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JP7768000B2 - 樹脂組成物、樹脂シート、積層体、シート硬化物及び回路基板材料 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂シート、積層体、シート硬化物及び回路基板材料

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JP7768000B2
JP7768000B2 JP2022043672A JP2022043672A JP7768000B2 JP 7768000 B2 JP7768000 B2 JP 7768000B2 JP 2022043672 A JP2022043672 A JP 2022043672A JP 2022043672 A JP2022043672 A JP 2022043672A JP 7768000 B2 JP7768000 B2 JP 7768000B2
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Description

本発明は樹脂組成物、樹脂シート、積層体、シート硬化物及び回路基板材料に関する。
近年、電気・電子機器の高性能・高機能化に伴い、通信速度及び情報伝達量の向上のために、通信周波数の高周波化が進んでいる。
回路基板にデジタル信号を流すと、送信されたデジタル信号の一部が回路基板中で熱変換され、伝送損失が発生する。伝送損失の量は比誘電率及び誘電正接の積で表されるため、低損失通信を実現するには、比誘電率及び誘電正接の低い材料、すなわち低誘電特性を有する部材が必要となる。特に高周波領域における伝送信号はより熱に変換されやすい特徴があるため、より低誘電特性を有する材料が求められている。
一方、電気・電子機器内の回路の高集積化に伴い、電気・電子機器内部の発熱量も大き
くなっているため、回路基板材料は耐熱性を有することも求められる。
例えば、特許文献1には、低吸湿性や耐熱性、機械的特性や電気的特性等に優れて電気・電子部品の封止処理や固着処理などに好適な熱硬化性樹脂として、不飽和基含有のポリフェニレンエーテル系樹脂と、ベンゾシクロブテン基含有化合物を成分とすることを特徴とする熱硬化性樹脂が開示されている。そのベンゾシクロブテン基含有化合物として、ジビニルシロキサンビスベンゾシクロブテン(CYCLOTENE(登録商標)3022、ダウケミカル社製)が開示されている。
特許文献2には、共重合形態の、アルキル、ヘテロ原子含有アルキル、アリール、ヘテロ原子含有アリール、またはヘテロ原子含有アリールオキシから選択される1つ以上の基をシクロブテン環置換基として有する1つ以上の付加重合性アリールシクロブテン含有モノマーA、1つ以上の第2の芳香族付加重合性モノマー、及び第3の付加重合性窒素複素環含有モノマー、第4の付加重合性モノマー、または前記1つ以上の第3のモノマー及び前記1つ以上の第4のモノマーの両方から選択される1つ以上の他の付加重合性モノマーのモノマー混合物を含む、ポリマー組成物が開示されている。
特開平9-194549号公報 特開2019-085562号公報
しかしながら、特許文献1に記載の熱硬化性樹脂は、高周波領域(GHzオーダー)での誘電正接が十分でなく、さらなる改善が必要であった。
また、特許文献2に記載のポリマー組成物は、硬化物の架橋密度が小さく、架橋時に網目構造が形成されにくく、耐熱性向上には十分ではない場合があった。
そこで、本発明の目的は、低誘電特性を有し、かつ耐熱性を有するシート硬化物及び回路基板材料、並びに、低誘電特性を有し、かつ耐熱性を有する前記シート硬化物及び前記回路基板材料を製造可能な樹脂組成物、樹脂シート及び積層体を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に特定の架橋剤を添加することで、上記課題を解決し得ることを見出した。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びエチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)と、下記一般式(1)で表される化合物(B)とを含有する、樹脂組成物。
(式(1)中、Cは炭素原子を表し、Hは水素原子を表し、Aは各々独立に下記一般式(2)で表される置換基を表し、添字xは0~2の整数を表す。)
(式(2)中、L21は各々独立に置換基を有していても良い結合基、CL21は各々独立に下記一般式(3)で表される架橋基、記号*は、式(1)における炭素原子との結合手を表し、添字yは1~6の整数、添字zは0~4の整数、但し、zが0の場合、結合基L21にはCL21の代りに水素原子が結合する。また、一般式(1)で表される化合物中にCL21は3以上存在する。)
(式(3)中、Aromは、置換基を有していても良い炭素数3~30の芳香族環を表し、R31、R32は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、記号*は、式(2)におけるL21との結合手を表し、式(2)との結合手は、Aromに結合する。)
[2] 前記熱可塑性樹脂(A)として、スチレン系熱可塑性エラストマーを含む、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量が10質量%以上70質量%以下である、[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 前記化合物(B)の結合基L21が、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基又は芳香族基である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] 前記化合物(B)の添字zが0~2である、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] 重合開始剤を実質的に含まない、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物からなる樹脂シート。
[8] 請求項7に記載の樹脂シートの一方又は両方の面に、離型フィルムを備える積層体。
[9] 請求項7に記載の樹脂シートを硬化させてなるシート硬化物。
[10] 請求項7に記載の樹脂シートからなる絶縁層と、導体とを積層してなる回路基板材料。
[11] スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びエチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)と、下記一般式(1)で表される化合物(B)とを含有する樹脂組成物からなる塗工液を調製する塗工液調製工程と、前記塗工液をシート状に成形する成形工程とを含む、樹脂シートの製造方法。
(式(1)中、Cは炭素原子を表し、Hは水素原子を表し、Aは各々独立に下記一般式(2)で表される置換基を表し、添字xは0~2の整数を表す。)
(式(2)中、L21は各々独立に置換基を有していても良い結合基、CL21は各々独立に下記一般式(3)で表される架橋基、記号*は、式(1)における炭素原子との結合手を表し、添字yは1~6の整数、添字zは0~4の整数、但し、zが0の場合、結合基L21にはCL21の代りに水素原子が結合する。また、一般式(1)で表される化合物中にCL21は3以上存在する。)
(式(3)中、Aromは、置換基を有していても良い炭素数3~30の芳香族環を表し、R31、R32は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、記号*は、式(2)におけるL21との結合手を表し、式(2)との結合手は、Aromに結合する。)
[12] スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びエチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)と、下記一般式(1)で表される化合物(B)とを含有する樹脂組成物を溶融混練し、シート状に製膜する製膜工程を含む、樹脂シートの製造方法。
(式(1)中、Cは炭素原子を表し、Hは水素原子を表し、Aは各々独立に下記一般式(2)で表される置換基を表し、添字xは0~2の整数を表す。)
(式(2)中、L21は各々独立に置換基を有していても良い結合基、CL21は各々独立に下記一般式(3)で表される架橋基、記号*は、式(1)における炭素原子との結合手を表し、添字yは1~6の整数、添字zは0~4の整数、但し、zが0の場合、結合基L21にはCL21の代りに水素原子が結合する。また、一般式(1)で表される化合物中にCL21は3以上存在する。)
(式(3)中、Aromは、置換基を有していても良い炭素数3~30の芳香族環を表し、R31、R32は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、記号*は、式(2)におけるL21との結合手を表し、式(2)との結合手は、Aromに結合する。)
本発明によれば、低誘電特性を有し、かつ耐熱性を有するシート硬化物及び回路基板材料、並びに、低誘電特性を有し、かつ耐熱性を有する前記シート硬化物及び前記回路基板材料を製造可能な樹脂組成物、樹脂シート及び積層体を得ることができる。
以下に本発明について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。
以下において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物(以下、「本組成物」ともいう。)は、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びエチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)と、特定の構造を有する化合物(B)とを含有する。
本組成物からなるシート硬化物及び回路基板材料の耐熱性が良好となる理由は定かではないが、本組成物を硬化させると、熱可塑性樹脂(A)と化合物(B)とが密度の高い相互侵入高分子網目構造(以下、「セミIPN構造」ともいう。)を形成するためであると考えられる。セミIPN構造とは、熱可塑性樹脂(A)と化合物(B)とが化学的結合を形成するのではなく、熱可塑性樹脂(A)と化合物(B)の架橋物の分子鎖同士が互いに部分的かつ物理的に絡み合った構造である。このセミIPN構造を形成することで、熱可塑性樹脂(A)単体に比べて疑似的に架橋密度が高くなる。さらに、化合物(B)は上記特許文献2に記載のベンゾシクロブテン化合物に比べて架橋点が多いため、より架橋密度が高くなり、高温領域での弾性率が向上して耐熱性が良好となると考えられる。
以下、本組成物の各成分について説明する。
1.熱可塑性樹脂(A)
本組成物の熱可塑性樹脂(A)は、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びエチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
上記スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)及びこれらを水添したスチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられる。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてポリオレフィンを含み、ソフトセグメントとしてゴム成分を含む。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーは、ポリオレフィンとゴム成分との混合物(ポリマーブレンド)であってもよく、ポリオレフィンとゴム成分とを架橋反応させた架橋物であってもよく、ポリオレフィンとゴム成分とを重合させた重合体であってもよい。
上記ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。
上記ゴム成分としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-イソプレンゴム等のジエン系ゴム、エチレン-プロピレン非共役ジエンゴム、エチレン-ブタジエン共重合体ゴム等が挙げられる。
上記エチレン系重合体としては、エチレンの単独重合体、及びエチレンと他の単量体との共重合体が挙げられる。
上記エチレンと他の単量体との共重合体は、エチレンを主成分とすることが好ましい。ここで、「エチレンを主成分とする」とは、共重合体中にエチレン構造単位を50mol%以上、好ましくは60mol%以上含有することをいう。
また、エチレンと共重合する他の単量体は、エチレンと共重合可能な単量体であれば特に限定されない。
上記エチレン系重合体の好ましい例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン系触媒を用い重合して得られたポリエチレン等が挙げられる。その中でも特に、柔軟性が高い点から、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが好ましい。
上記の中でも、低誘電特性及び加工しやすさの観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)がより好ましい。
熱可塑性樹脂(A)としてスチレン系熱可塑性エラストマーを用いる場合、該スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量は10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、40質量%以下がよりさらに好ましい。
スチレン含有量が上記範囲内であると、誘電正接が低く、弾性率も適度な値となるため、低誘電特性と耐熱性を両立でき、ハンドリング性も良好となる。
熱可塑性樹脂(A)は、公知の方法により変性されていてもよい。変性体としては、例えば、上記例示した熱可塑性樹脂(A)と不飽和カルボン酸及び/又はその無水物との反応物が挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)を変性することによりポリマーの極性が大きくなるので、銅箔等の金属層との接着性向上が期待できる。
上記不飽和カルボン酸及び/又はその無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸類等の不飽和カルボン酸、及びこれらの無水物が挙げられる。
また、酸無水物としては、具体的には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸類が挙げられる。
なお、ナジック酸類又はその無水物としては、エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸)、メチル-エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸)等及びその無水物が挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸及び/又はその無水物の中では、アクリル酸、マレイン酸、ナジック酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸が好ましい。
不飽和カルボン酸及び/又はその無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂(A)の24℃における貯蔵弾性率は、0.1MPa以上が好ましく、1MPa以上がより好ましい。また、2000MPa未満が好ましく、1500MPa未満がより好ましく、1000MPa未満がさらに好ましく、500MPa未満がよりさらに好ましく、300MPa未満が特に好ましく、100MPa未満がとりわけ好ましく、50MPa未満が最も好ましい。
貯蔵弾性率を上記の上限値未満とすることで、得られるシート硬化物の柔軟性が良好となる。また、貯蔵弾性率を上記の下限値以上とすることで、得られるシート硬化物の耐熱性やハンドリング性が良好となる。
なお、上記貯蔵弾性率は、熱可塑性樹脂(A)からなる厚さ300μmの樹脂シートを250℃、0.2MPaの条件で30分間熱プレスして得られたシート硬化物を試験片とし、動的粘弾性を測定することによって求めた値である。
水中置換法(ISO 1183)により測定される熱可塑性樹脂(A)の密度は980g/cm以下が好ましく、950g/cm以下がより好ましく、910g/cm以下がさらに好ましい。一方、下限は特に限定されないが、800g/cm以上が好ましい。
密度が上記の値以下であることで、得られるシート硬化物の柔軟性が良好となる。
熱可塑性樹脂(A)の誘電正接は10GHzにおいて0.003未満が好ましく、0.002未満がより好ましく、0.0015未満がさらに好ましい。一方、下限は特に限定されず、0以上であればよい。
誘電正接が小さければ小さいほど誘電損失が小さいので、本組成物を回路基板材料とした際の電気信号の伝達効率、高速化が得られる。
なお、上記誘電正接は、熱可塑性樹脂(A)からなる厚さ300μmの樹脂シートを250℃、0.2MPaの条件で30分間熱プレスして得られたシート硬化物を試験片とし、シート硬化物の面内方向の比誘電率及び誘電正接を、空洞共振器(AET社製)とネットワークアナライザMS46 122B(アンリツ社製)を用いてTEモードで測定して求めた値である。
2.化合物(B)
本組成物の化合物(B)は、下記一般式(1)で表される。
(式(1)中、Cは炭素原子を表し、Hは水素原子を表し、Aは各々独立に下記一般式(2)で表される置換基(以下、「置換基(2)」と称す場合がある。)を表し、添字xは0~2の整数を表す。)
(式(2)中、L21は各々独立に置換基を有していても良い結合基、CL21は各々独立に下記一般式(3)で表される架橋基(以下、「架橋基(3)」又は「ベンゾシクロブテン架橋基」と称す場合がある。)、記号*は、式(1)における炭素原子との結合手を表し、添字yは1~6の整数、添字zは0~4の整数、但し、zが0の場合、結合基L21にはCL21の代りに水素原子が結合する。また、一般式(1)で表される化合物中にCL21は3以上存在する。)
(式(3)中、Aromは、置換基を有していても良い炭素数3~30の芳香族環を表し、R31、R32は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、記号*は、式(2)におけるL21との結合手を表し、式(2)との結合手は、Aromに結合する。)
なお、一般式(1)中のxが2であり、2つのL21、CL21、y及びzが存在する場合、2つのL21、CL21、y及びzはそれぞれ同一であってもよく、異なる数であってもよい。
<定義>
以下、本発明に係る化合物(B)を詳細に説明するにあたり、共通する部分構造は特段の断りが無い限り、以下の構造であるとする。
(芳香族基)
芳香族基とは芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基、又はこれらから選択される複数の環が複数連結した構造が挙げられる。芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が複数個連結する場合は、通常、2~10連結した構造が挙げられ、2~5個連結した構造であることが好ましい。芳香族炭化水素基、及び芳香族複素環基が複数個連結する場合、同一の構造が連結してもよく、異なる構造が連結してもよい。
芳香族炭化水素基、及び芳香族複素環基が複数個連結する構造として、好ましくは、フェニルピリジン環由来の基、ジフェニルピリジン環由来の基、フェニルカルバゾール環由来の基、ジフェニルカルバゾール環由来の基である。
(芳香族炭化水素基)
芳香族炭化水素基とは、化合物(B)の構造の中での結合状態に応じて、芳香族炭化水素環構造の1価、2価、又は3価以上の構造を指す。
芳香族炭化水素環の構造において、通常、炭素数は制限されるものではないが、好ましくは炭素数6以上、60以下であり、炭素数の上限としてさらに好ましくは炭素数48以下、より好ましくは炭素数30以下である。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等の、6員環の単環若しくは2~5縮合環の基、又はこれらから選択される複数の基が複数連結した構造が挙げられる。芳香族炭化水素環が複数個連結する場合は、通常、2~10連結した構造が挙げられ、2~5個連結した構造であることが好ましい。芳香族炭化水素環が複数個連結する場合、同一の構造が連結してもよく、異なる構造が連結してもよい。
芳香族炭化水素環構造として好ましくは、ベンゼン環、ビフェニル環すなわちベンゼン環が2連結した構造、ターフェニル環すなわちベンゼン環が3連結した構造、クォーターフェニレン環すなわちベンゼン環が4連結した構造、ナフタレン環、フルオレン環である。
(芳香族複素環基)
芳香族複素環基とは、化合物(B)の構造の中での結合状態に応じて、芳香族複素環構造の1価、2価、又は3価以上構造を指す。
芳香族複素環の構造において、通常、炭素数は制限されるものではないが、好ましくは、炭素数3以上、60以下であり、炭素数の上限としてさらに好ましくは炭素数48以下、より好ましくは炭素数30以下である。具体的には、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環等の、5~6員環の単環若しくは2~4縮合環の2価の基又はこれらが複数連結した基が挙げられる。芳香族複素環が複数個連結する場合、同一の構造が連結してもよく、異なる構造が連結してもよい。芳香族複素環が複数個連結される場合は、通常、2~10連結した構造が挙げられ、2~5個連結した構造であることが好ましい。
芳香族複素環構造として好ましくは、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリミジン環、トリアジン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環である。
(置換基)
以下、化合物(B)の構造の説明において、特に断りの無い場合、置換基とは任意の基であるが、好ましくは、下記置換基群Zから選択される基である。また、本発明の化合物(B)の構造の説明において、有してよい置換基が置換基群Zから選択される、又は、有してよい置換基が置換基群Zから選択されることが好ましい、と記されている場合、好ましい置換基も下記置換基群Zに記されている通りである。
(置換基群Z)
置換基群Zは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、芳香族炭化水素基、及び芳香族複素環基よりなる群である。これらの置換基は直鎖、分岐及び環状のいずれの構造を含んでいてもよい。
置換基群Zとして、より具体的には、以下の構造が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖、分岐、又は環状であり、炭素数は1以上であり、好ましくは4以上であり、24以下、好ましくは12以下であり、さらに好ましくは8以下であり、より好ましくは6以下である。具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、ドデシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖、分岐、又は環状であり、炭素数は2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下である。具体例としては、ビニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、直鎖又は分岐であり、炭素数は2以上であり、24以下、好ましくは12以下である。具体例としては、エチニル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1以上、24以下、好ましくは12以下である。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基及びヘテロアリールオキシ基としては、炭素数4以上、好ましくは5以上であり、36以下、好ましくは24以下である。具体例としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等である。好ましくはフッ素原子である。
ハロアルキル基としては、炭素数1以上、12以下、好ましくは6以下である。具体例としては、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられ、特に好ましくは、フッ素が置換したアルキル基であり、最も好ましくは、トリフルオロメチル基である。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6以上、36以下、好ましくは24以下である。具体例としては、フェニル基、ナフチル基、複数のフェニル基が連結した基、等が挙げられる。
芳香族複素環基としては、炭素数3以上、好ましくは4以上であり、36以下、好ましくは24以下である。具体例としては、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。
上記置換基は、直鎖、分岐又は環状のいずれの構造を含んでいてもよい。
上記置換基が隣接する場合、隣接した置換基同士が結合して環を形成してもよい。好ましい環の大きさは、4員環、5員環、6員環であり、具体例としては、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環である。
上記の置換基群Zの中でも、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基であり、誘電特性向上の面から、特に好ましくはアルキル基、芳香族炭化水素基である。
また、上記置換基群Zの各置換基は更に置換基を有していてもよい。それら置換基としては、上記置換基群Zと同じのものが挙げられる。好ましくは、更なる置換基は有さないか、炭素数8以下のアルキル基、炭素数8以下のアルコキシ基、またはフェニル基、より好ましくは炭素数6以下のアルキル基、またはフェニル基である。電荷輸送性の観点からは、さらなる置換基を有さないことがより好ましい。
<L21
置換基(2)における結合基L21は、好ましくは、カルコゲン原子、アルキレン基又は2価芳香族基である。
具体的には、
カルコゲン原子としては、酸素原子、硫黄原子が挙げられ、好ましくは酸素原子である。
アルキレン基としては、直鎖、分岐、又は環状であり、炭素数は1以上であり、好ましくは4以上であり、24以下、好ましくは12以下であり、さらに好ましくは8以下であり、より好ましくは6以下である。具体例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ドデカンから誘導される2価の基等が挙げられる。
芳香族基としては、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が挙げられ、好ましくは芳香族炭化水素基である。具体例としては、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、フルオレンから誘導される2価の基等が挙げられる。ただし、芳香族基は、末端の芳香環に1~4個のCL21、好ましくは1~2個のCL21を有しうるものであり、その場合は2~3価の基とも言える。
<CL21
置換基(2)におけるCL21は、一般式(3)で表される架橋基(3)である。
(式(3)中、Aromは、置換基を有していても良い炭素数3~30の芳香族環を表し、R31、R32は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、記号*は、式(2)におけるL21との結合手を表し、式(2)との結合手は、Aromに結合する。)
<Arom>
Aromは置換基を有していても良い炭素数3~30の芳香族環を表す。
炭素数3~30の芳香族環として好ましくは、前記芳香族炭化水素環の単環又は縮合環、又は前記芳香族複素環の単環又は縮合環である。好ましくは芳香族炭化水素環であり、さらに好ましくはベンゼン環又はナフタレン環である。
<x、z>
一般式(1)におけるxは0~2の整数であり、一般式(2)におけるzは0~4の整数である。ただし、化合物(B)中にCL21は3以上存在する。CL21が、化合物中に3以上存在することにより、架橋反応時に網目構造が形成され、熱的安定性に優れた本組成物、更には樹脂シート、積層体、シート硬化物、回路基板材料となる。
xが0又は1である場合は特に次の場合が好ましい。
すなわち、xが0の場合、4つのzは、1つが0であり3つが1であるか、又は、全て1であることが好ましく、xが1の場合は3つのzは全て1であることが好ましい。
xが2の場合は、2つのzは、1つが2であり、一方が1であるか、又は、全て2であることが好ましい。
なお、前記一般式(2)において、zが0の場合、L21にはCL21の代りに水素原子が結合する。
<y>
一般式(2)におけるyは1~6の整数である。熱物性向上の観点から、好ましくは、1~3の整数である。
<R31、R32
一般式(3)におけるR31、R32は各々独立に水素原子又はアルキル基である。
該アルキル基としては、前述の置換基群Zとして例示したアルキル基が挙げられ、好ましいものも同様である。
31、R32は、立体障害が減少する為反応性の観点からは水素原子であることが好ましく、溶解性が向上し、均一な組成物が得られる観点からは炭素数1~10のアルキル基であることが好ましい。
<化合物(B)の具体例>
以下に化合物(B)の具体例を示すが、本発明で用いる化合物(B)は何ら以下のものに限定されるものではない。
<化合物(1)の製造方法>
化合物(1)は、例えば、下記文献1,2に記載の、有機ハロゲン化合物とアルコール誘導体との塩基/触媒存在下での反応、下記文献3に記載の、ニッケルホスフィン錯体触媒を用いた、有機ハロゲン化合物とグリニャール試薬とのクロスカップリング反応、下記文献4に記載の、パラジウム触媒を用いた芳香族ハロゲン化物とボロン化合物に代表される有機金属化合物との反応等、による一般的な合成方法により得ることができる。
文献1:Macromolecules, 2021, 54(13), 6161-6170
文献2:Polymer Chemistry, 2017, 8(30), 4327-4331
文献3:J. Am. Chem. Soc., 1972, 4374
文献4:Journal of Chemical Research, 2005, (3), 184-186
前記有機ハロゲン化合物としては、1,2,3-トリブロモプロパン、ペンタエリトリチルテトラブロミド、1,2,5,6-テトラブロモヘキサン等のアルキルハロゲン化物、1,3,5-トリブロモアダマンタン等のシクロアルキルハロゲン化物、トリブロモベンゼン、テトラブロモビフェニル等の芳香族ハロゲン化物が挙げられる。
アルコール誘導体としては、4-ヒドロキシベンゾシクロブテン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゾ[b]シクロブテン等が挙げられる。
塩基又は触媒としては、水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属類、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ金属塩、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウムなどのパラジウム触媒、ヨウ化銅、塩化銅、酢酸銅等の銅触媒等が挙げられる。
グリニャール試薬は、例えば、溶媒中で金属マグネシウムを有機ハロゲン化合物と混合することによって調製することができる。
有機金属化合物としては、R-MgX、R-B(OH)、R-SnR 、R-ZnX等が挙げられる。ここで、Rはアルキル基又は芳香族基を表し、Rはアルキル基を表し、Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。
非対称性の化合物は、上記反応を段階的に行うことにより得ることが可能である。
<化合物(B)の含有量>
本組成物における化合物(B)の含有量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して好ましくは1質量部以上500質量部未満であり、中でも3質量部以上450質量部以下が好ましく、5質量部以上400質量部以下がより好ましく、10質量部以上350質量部以下がさらに好ましい。
化合物(B)の含有量が上記範囲内であると、低誘電特性を維持しながら、架橋密度の高いセミIPN構造を形成しやすくなるため、得られるシート硬化物の耐熱性が良好となる。
3.溶剤(C)
本組成物から塗布工程を経て樹脂シートを製造する場合には、溶剤(C)を含有してもよい。
溶剤(C)は、熱可塑性樹脂(A)及び化合物(B)が均一に溶解するものであれば特に限定されないが、トルエン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、キシレン等が挙げられる。
溶剤(C)は、樹脂シートの乾燥時に揮発するように、沸点が200℃以下であることが好ましい。
本組成物における溶剤(C)の含有量は、製膜性の観点から、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して100質量部以上500質量部以下が好ましく、200質量部以上400質量部以下がより好ましい。
4.その他の成分
本組成物は、上記以外の成分として、熱可塑性樹脂(A)以外の熱可塑性エラストマー、化合物(B)以外の架橋剤、重合開始剤、架橋触媒、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カップリング剤、可塑剤、難燃剤、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤、増粘剤、レベリング剤、無機粒子、有機粒子等を含有してもよい。
化合物(B)以外の架橋剤としては、例えば、ビスマレイミド化合物、エポキシ化合物等が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル及びケトンパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。
より具体的には、キュメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジt-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン等のジアルキルパーオキサイド;ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエイト、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシエステル;シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイドが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、硬化反応の促進の点で、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましい。一方、誘電特性を低く維持することができる点で、5質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.1質量部以下がさらに好ましく、実質的に含まないことが最も好ましい。
なお、上記「実質的に含まない」とは、意図して含有しないという意味であり、具体的には、重合開始剤の含有量が熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して0質量部以上0.05質量部以下、より好ましくは0質量部以上0.01質量部以下であることをいう。
無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マグネシウムシリケート、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等が挙げられる。
有機粒子としては、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、ナイロン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン系樹脂粒子、ウレタン系樹脂粒子等が挙げられる。
<樹脂シート>
本発明の樹脂シート(以下、「本樹脂シート」ともいう。)は、本組成物を未硬化の状態でシート状に成形したものである。
本樹脂シートの硬化後における厚さは、1~300μmが好ましく、2~250μmがより好ましく、5~200μmがさらに好ましい。
本樹脂シートの硬化後における厚さが上記下限値以上であると、ハンドリング性が良好となる。また、厚さが上記上限値以下であると、本樹脂シートを回路基板材料として用いる場合は、基板の段差への追従性が良好となる。
なお、上記厚さは、本樹脂シートを250℃、0.2MPaの条件で30分間熱プレスして得られたシート硬化物をマイクロメータで測定した値である。
本樹脂シートの硬化後における比誘電率は、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2.5以下がよりさらに好ましい。一方、下限は特に限定されず、1以上であればよい。
また、本樹脂シートの硬化後における誘電正接は、0.003以下が好ましく、0.002以下がより好ましく、0.0015以下がよりさらに好ましい。一方、下限は特に限定されず、0以上であればよい。
なお、上記比誘電率及び誘電正接は、本樹脂シートを250℃、0.2MPaの条件で30分間熱プレスして得られたシート硬化物を試験片とし、シート硬化物の面内方向の比誘電率及び誘電正接を、空洞共振器(AET社製)とネットワークアナライザMS46 122B(アンリツ社製)を用いてTEモードで測定して求めた値である。
本樹脂シートの硬化後における貯蔵弾性率(130℃)は、耐熱性の観点から、0.01MPa以上が好ましく、0.05MPa以上がより好ましく、0.1MPa以上がさらに好ましい。上限は柔軟性の観点から、10000MPa以下が好ましく、1000MPa以下がより好ましい。
なお、上記貯蔵弾性率は、本樹脂シートを250℃、0.2MPaの条件で30分間熱プレスして得られたシート硬化物を試験片とし、動的粘弾性を測定することによって求めた値である。
本樹脂シートの硬化後における線熱膨張係数は、1000ppm/K以下が好ましく、750ppm/K以下がより好ましく、500ppm/K以下がさらに好ましく、400ppm/K以下がよりさらに好ましい。一方、線熱膨張係数の下限は特に限定されないが、0ppm/K以上が好ましい。
線熱膨張係数が上記上限値以下であると、本樹脂シートを回路基板材料として用いる場合、導体との張り合わせ時の反りを抑制し、高い信頼性を得ることができる。
なお、上記線熱膨張係数は、本樹脂シートを250℃、0.2MPaの条件で30分間熱プレスして得られたシート硬化物を試験片とし、実施例に記載の方法で0~120℃の平均として求めた値である。
<積層体>
本樹脂シートは、ハンドリング性を良好にするため、一方又は両方の面に離型フィルムを設けて積層体とすることが好ましい。
離型フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリイミド;ポリカーボネート等を主成分とする樹脂フィルムを用いることができる。これらの表面に
シリコーン樹脂離型剤等を塗布して剥離強度を調整してもよい。
離型フィルムの厚さは、1μm以上300μm以下が好ましく、5μm以上200μm以下がより好ましく、10μm以上150μm以下がさらに好ましく、20μm以上120μm以下がよりさらに好ましい。
離型フィルムは、樹脂シートと接触する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
上記積層体は、コアに捲回されて捲回体としてもよい。
この捲回体において、積層体の長さは、好ましくは10m以上であり、より好ましくは20m以上である。積層体の長さが10m以上であることによって、例えば本樹脂シートをフレキシブル積層板又はストレッチャブル積層板として用いる場合、電子部材を連続して生産することが可能であり、連続製膜性に優れる。なお、前記長さの上限は特に限定されないが、1000m以下が好ましい。
コアの素材は特に限定されないが、例えば、紙、樹脂含浸紙、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、繊維強化プラスチック(FRP)、フェノール樹脂、無機物含有樹脂等が挙げられる。コアには、接着剤を使用してもよい。
<樹脂シートの製造方法>
以下、本樹脂シートの製造方法を説明するが、本樹脂シートの製造方法は下記の製造方法に限定されるものではない。
[第一の製造方法]
本樹脂シートの第一の製造方法は、本組成物からなる塗工液を調製する塗工液調製工程と、該塗工液をシート状に成形する成形工程と、を含む。
第一の製造方法は、熱可塑性樹脂(A)と化合物(B)が適度に相溶し、硬化後に最適なセミIPN構造を構築できるため、低誘電特性が良好になる点で好ましい。
(1)塗工液調製工程
塗工液調製工程では、熱可塑性樹脂(A)、化合物(B)並びに必要に応じて添加される溶剤(C)及びその他の成分を攪拌して均一に混合することで、塗工液を得る。
混合には、例えば、ミキサー、ブレンダー、三本ロール混練装置、ボールミル、ニーダー、単軸又は二軸混練機等の一般的な混合・攪拌装置を用いることができ、混合に際しては、必要に応じて加熱してもよい。
(2)成形工程
成形工程では、上記塗工液をシート状に成形して、樹脂シートを得る。
上記塗工液をシート状に成形する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、ドクターブレード法、溶剤キャスト法又は押出成膜法等の方法であってよい。好ましい成形方法としては、以下に示す(2-1)塗布工程及び(2-2)乾燥工程を含む方法が挙げられる。
(2-1)塗布工程
塗布工程では、離型フィルムの表面に塗工液を塗布して、塗膜を形成する。
塗布方法は、ディップ法、スピンコート法、スプレーコート法、ブレード法等の一般的な方法であってよい。塗布には、スピンコーター、スリットコーター、ダイコーター、ブレードコーター等の塗布装置を用いることができ、これにより、離型フィルム上に所定の膜厚の塗膜を均一に形成することが可能である。
(2-2)乾燥工程
乾燥工程では、上記で形成された塗膜から溶剤が除去される。
乾燥温度は特に限定されないが、通常10℃以上150℃以下、好ましくは25℃以上120℃以下、より好ましくは30℃以上110℃以下である。乾燥温度が上記上限値以下であることで、塗膜中の化合物(B)の架橋反応が抑制される。また、乾燥温度が上記下限値以上であることで、樹脂シートの発泡を抑制し、効果的に溶剤を取り除くことができ、生産性が向上する。
乾燥時間は、塗膜の状態、乾燥環境等によって適宜調整することができる。好ましくは1分以上であり、より好ましくは2分以上、さらに好ましくは5分以上、よりさらに好ましくは10分以上、特に好ましくは20分以上、最も好ましくは30分以上である。一方、好ましくは4時間以下であり、より好ましくは3時間以下であり、さらに好ましくは2時間以下である。
乾燥時間が上記下限以上であることで、十分に溶剤が除去できる。乾燥時間が上記上限以下であることで、生産性が向上し、製造コストを抑制できる。
樹脂組成物中の溶剤は、ホットプレート、熱風炉、IR加熱炉、真空乾燥機、高周波加
熱機など公知の加熱方法で除去することができる。
なお、樹脂シート表面の汚染防止や、ハンドリング性の観点から、上記乾燥工程後に、樹脂シートの上に離型フィルムが積層されてもよい。
[第二の製造方法]
本樹脂シートの第二の製造方法は、本組成物を溶融混練し、シート状に製膜する製膜工程を含む。
第二の製造方法は、溶剤を使用する必要がないため、コストの点や、多層化が容易である点、及び残留溶剤に起因する不具合が発生しにくい点で好ましい。
製膜工程では、熱可塑性樹脂(A)、化合物(B)及び必要に応じて添加されるその他の成分を単軸又は二軸押出機で混練し、熱可塑性樹脂(A)の融点以上、かつ、化合物(B)の架橋温度未満の温度条件下で、押出機等を用いて離型フィルム上に押し出して製膜を行う。樹脂組成物の押出法は特に限定されないが、より具体的にはTダイ成形が挙げられる。
<シート硬化物>
本発明のシート硬化物(以下、「本硬化物」ともいう。)は、上記樹脂シートを硬化したものである。
硬化温度は、熱可塑性樹脂(A)が流動せず、かつ、化合物(B)の架橋反応が進行する温度であればよい。具体的には、通常80℃以上であり、より架橋速度が加速するため、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。
また、樹脂の分解を抑制できる観点から、通常350℃以下であり、好ましくは310℃以下、より好ましくは300℃以下、さらに好ましくは270℃以下である。
硬化時間は特に限定されないが、通常5分以上であり、より硬度を増加させる観点から、10分以上、好ましくは20分以上、より好ましくは30分以上である。
また、樹脂の分解を抑制するために、通常3時間以下であり、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下である。
<樹脂組成物、樹脂シート及びシート硬化物の用途>
本発明の樹脂組成物、樹脂シート及びシート硬化物の用途の一例としては、銅箔積層板、ストレッチャブル基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子機器用回路基板材料、アンダーフィル材料、3D-LSI用インターチップフィル、絶縁シート、制振材、接着剤、ソルダーレジスト、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<回路基板材料>
本発明の樹脂シートは、導体と積層することにより回路基板材料とすることができる。
導体としては、銅、アルミニウム等の導電性金属や、これらの金属を含む合金等からなる金属箔、あるいはメッキやスパッタリングで形成された金属層を用いることができる。
電気・電子機器用の回路基板材料として用いる場合、樹脂シートの厚みは10μm以上500μm以下が好ましい。また、導体の厚みは0.2μm以上70μm以下が好ましい。
<回路基板材料の製造方法>
本発明における回路基板材料は、例えば次のような方法で製造できる。
本発明の樹脂シートを導体に積層した後、樹脂シートを熱硬化し、絶縁層を形成する。絶縁層の上にさらに導体を積層し、こうした層を必要数重ねる。
樹脂シートの硬化温度は、熱可塑性樹脂(A)が流動せず、かつ、化合物(B)の架橋反応が進行する温度であればよい。具体的には、通常80℃以上であり、より架橋速度が加速するため、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。
また、樹脂の分解を抑制できる観点から、通常350℃以下であり、好ましくは310℃以下、より好ましくは300℃以下、さらに好ましくは270℃以下である。
硬化時間は特に限定されないが、通常5分以上であり、より硬度を増加させる観点から、10分以上、好ましくは20分以上、より好ましくは30分以上である。
また、樹脂の分解を抑制するために、通常3時間以下であり、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下である。
樹脂シートと導体との積層は、樹脂シートに導電性金属箔を直接重ね合わせる方法であってもよく、接着剤を用いて樹脂シートと導電性金属箔とを接着する方法であってもよい。また、メッキやスパッタリングにより導電性金属層を形成する方法であってもよく、これらの方法を組み合わせて行ってもよい。
また、絶縁層に穴あけ加工してビアホールを形成する工程や、絶縁層の表面を粗化処理する工程を含んでもよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<原料>
[熱可塑性樹脂(A)]
・a-1:スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS:旭化成社製「タフテックH1052」、スチレン含有量=20質量%、貯蔵弾性率(24℃)=6.2MPa、密度=890g/cm、誘電正接(10GH)=0.0004)
[化合物(B)]
・b-1:化合物b-1として下記方法により作製した化合物Aを用いた。
[化合物Aの合成]
水酸化カリウム(106.9g)のエタノール(700mL)溶液に、4-ヒドロキシベンゾシクロブタン(141.8g)のエタノール(100mL)溶液を添加した。室温で20分間攪拌後、減圧下、溶媒を留去した。残渣をDMF(1100mL)で希釈し、室温攪拌下、1,3-ジブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル)プロパン(64.1g)を3回に分けて投入し135℃で4時間半反応させた。室温まで放冷後、精製水1.1Lを注ぎ、酢酸エチル/ヘキサンにて抽出後、有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ、減圧下に溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、化合物A(83.6g)を得た。
1H-NMR: 3.06-3.09(m, 16H), 4.27(s, 8H), 6.67(s, 4H), 6.74(d, J=8Hz, 4H), 6.90(d, J=8Hz, 4H)
b-2:化合物b-2として下記方法により作製した化合物Bを用いた。
[化合物Bの合成]
<中間体B-1の合成>
1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(93.1g)、トリエチルアミン(161.4g)の塩化メチレン(1400mL)溶液を零下40℃まで冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(308.7g)の塩化メチレン(300mL)溶液を滴下した。滴下終了後、室温まで温度を上昇後、12時間攪拌した。氷冷下、2N塩酸(1000mL)を滴下し、油層を分離後、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を併せ、精製水、飽和重曹水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ、減圧下に溶媒を留去した。残渣をメタノールにて懸濁洗浄を行い、中間体B-1(190.7g)を濾取した。
<化合物Bの合成>
アルゴン気流下、中間体B-1(188.4g)、ベンゾシクロブテン-4-イルボロン酸(166.7g)のジメトキシエタン(3770mL)溶液に2M炭酸カリウム水溶液(1010mL)を添加した。混合物をアルゴンバブリングにて脱気し、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(27.9g)を添加した。混合物を還流下で8時間30分攪拌し、室温まで放冷した。トルエンで抽出し、有機層を精製水で洗浄後、無水芒硝で乾燥後、濾過した。濾液を減圧下に濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、化合物B(116.5g)を得た。
1H-NMR: 2.27(s, 1H), 3.19-3.24(m, 1H), 7.10(d, J=7.6Hz,3H), 7.21-7.24(m, 6H), 7.29(s, 3H), 7.43(d, J=8Hz, 3H), 7.46-7.49(m, 6H)
・b-3:化合物b-3として下記方法により作製した化合物Cを用いた。
[化合物Cの合成]
<中間体C-1の合成>
フラスコに、窒素気流下で4’-ブロモアセトフェノン(13.2g、66.41mmol)、フェノール(75.0g、796.94mmol)、酢酸85mLを入れ室温で攪拌した。これに塩酸(12M)240mLを入れ、90℃で24時間加熱還流した。反応後、反応液は熱水に注ぎ、不溶物を集めて酢酸エチルで溶解させ、さらに酢酸エチルで抽出して分液し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、中間体C-1(11.73g)を得た。
<中間体C-2の合成>
フラスコに、窒素気流下で中間体C-1(11.73g、31.77mmol)、化合物1(8.05g、34.94mmol)、1,2-ジメトキシエタン200mLを入れ室温で攪拌した。これに2M炭酸カリウム水溶液75mLを入れ、30分間、室温で窒素バブリングを行った。次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.75g、0.65mmol)を入れ、窒素下で5時間加熱還流した。放冷後、酢酸エチルで抽出して分液、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製することにより、中間体C-2(10.8g)を得た。
<中間体C-3の合成>
-5℃で、中間体C-2(14.8g、37.71mmol)、塩化メチレン(250ml)、トリエチルアミン19.0g(188.5mmol)に溶解させ、トリフルオロメタンスルホン酸無水物31.9g(113.13mmol)を70mLの塩化メチレンに溶かしてゆっくり滴下した。4時間で反応を終了し、反応液を氷水に注ぎ、塩化メチレンで抽出して分液し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:塩化メチレン=3:1)で精製することにより、中間体C-3(19.5g)を得た。
<中間体C-4の合成>
窒素気流下、500mLのフラスコに200mLのジメチルスルホキシド、中間体C-3(19.5g、29.70mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(18.1g、71.28mmol)、酢酸カリウム(17.5g、178.2mmol)を入れ、60℃で30分間攪拌した。その後1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリド-ジクロロメタン〔PdCl(dppf)CHCl〕(1.2g、1.49mmol)を加え、85℃で4時間反応した。反応液を減圧濾過し、濾液がトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、得られた溶液を濃縮してメタノールにより無色固体の中間体C-4を得た(収量15.0g、収率82.5%)。
<中間体C-5の合成>
窒素気流下、1000mLのフラスコにトルエン300mL、エタノール100mL、中間体C-4(15.0g、24.49mmol)、1-ブロモ-4-ヨードベンゼン(14.5g、51.43mmol)、リン酸カリウム水溶液(2M、すなわち2モル/リットル濃度)100mLを入れて加熱し、30分間攪拌した。その後テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム〔Pd(PPh〕(0.57g、0.49mmol)を加え、5時間還流した。反応液に水を入れ、トルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムおよび活性白土で処理した。吸着シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n-ヘキサン:塩化メチレン=4:1)により精製し、無色固体の中間体C-5を得た(収量4.8g、収率29.2%)。
<化合物Cの合成>
窒素気流下、500mLのフラスコにトルエン100mL、エタノール50mL、中間体C-5(10.15g、15.14mmol)、フェニルボロン酸(5.54g、45.41mmol)、リン酸カリウム水溶液(2M、すなわち2モル/リットル濃度)46mLを入れて加熱し、30分間攪拌した。その後テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム〔Pd(PPh〕(0.87g、0.76mmol)を加え、2時間90℃で反応した。反応液に水50mL及びエタノール50mLを入れ、析出物を減圧濾過した。ろ取物を塩化メチレンで溶解して活性白土を処理した。更に減圧濾過し、ろ液を濃縮、ろ取物をメタノール100mL及びエタノール100mLで懸洗して減圧濾過した。ろ取物を乾燥し、無色固体の化合物Cを得た(収量8.9g、収率88.4%)。
[実施例1]
表1に示した割合で原料を配合し、約80℃で加熱して原料を完全に溶解させて樹脂組成物を調製した。調製した樹脂組成物をシリコーン離型処理された厚さ50μmの離型フィルム(三菱ケミカル社製PETフィルム)の離型処理面上にシート状に展開し、樹脂シートを得た。樹脂シートの厚さは、硬化後のシートの厚さが約300μmになるように調整した。
離型フィルム上に展開した樹脂シートを100℃のオーブンで1時間乾燥した後、樹脂シートの上から厚さ75μmの離型フィルム(中興化成工業社製チューコーフローGタイプ加工品)を積層し、上記のPETフィルムを取り去り、この面にも同じ離型フィルムを積層して、両面に積層して積層体を形成した。この積層体を250℃の熱プレス機で約0.2MPaの圧力をかけながら30分間保持し、樹脂シートを完全に硬化させた後、両面の離型フィルムを剥がしてシート硬化物を得た。得られたシート硬化物について、以下に示す測定方法で誘電特性、貯蔵弾性率及び線熱膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2~5、比較例1及び2]
表1に示した割合に従って原料を配合した以外は実施例1と同様の方法で、シート硬化物を作製した。得られたシート硬化物について、以下に示す測定方法で誘電特性、貯蔵弾性率及び線熱膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例6]
表1に示した割合で原料をプラストグラフ(東洋精機(株)製)に供給し、温度=150℃、回転数=60rpm、混練時間=10分の条件で溶融混練し、得られた樹脂組成物に厚さ75μmの離型フィルム(中興化成工業社製チューコーフローGタイプ加工品)を両面に積層して積層体を形成した。この積層体を250℃の熱プレス機で約0.2MPaの圧力をかけながら30分間保持し、樹脂シートを完全に硬化させた後、両面の離型フィルムを剥がしてシート硬化物を得た。樹脂シートの厚さは、硬化後のシートの厚さが約300μmになるように調整した。
得られたシート硬化物について、以下に示す測定方法で誘電特性、貯蔵弾性率及び線熱膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
[測定方法]
(1)誘電特性
シート硬化物の面内方向の比誘電率及び誘電正接を、空洞共振器(AET社製)とネットワークアナライザMS46 122B(アンリツ社製)を用いてTEモードで測定した。測定周波数は10GHzとした。
(2)貯蔵弾性率
シート硬化物の動的粘弾性を、粘弾性スペクトロメーターDVA-200(アイティー計測制御(株)製)を用いて下記条件で測定した。測定結果から、130℃における貯蔵弾性率の値を各シート硬化物の貯蔵弾性率とした。
<測定条件>
振動周波数:10Hz
歪み:0.1%
昇温速度:3℃/分
測定温度:-100℃~300℃
(3)線熱膨張係数
シート硬化物の寸法変化を、熱機械分析装置TMA7100((株)日立ハイテクサイエンス製)を用いて下記条件で測定した。測定結果から、3rd stepの0~120℃における寸法変化率の平均値を各シート硬化物の線熱膨張係数とした。
<測定条件>
測定モード:引張モード
雰囲気:200mL/分 窒素フロー
昇温速度:5℃/分
測定温度:1st step:0~100℃
2nd step:100~0℃
3rd step:0~120℃
実施例1~6及び比較例1より、熱可塑性樹脂(A)に特定の構造を有する化合物(B)を添加することで、低誘電特性を維持しながら、熱可塑性樹脂(A)単体では流動してしまう温度(130℃)でも樹脂組成物の変形(流動)を抑制でき、かつ熱線膨張係数を抑え、耐熱性が向上することが示された。
比較例2では、化合物(B)の分子内にベンゾシクロブテン架橋基が1つしかないため、架橋密度が高くなりにくく、130℃での貯蔵弾性率が低く、耐熱性が向上しなかったと考えられる。
なお、上記実施例では熱可塑性樹脂(A)としてオレフィン系熱可塑性エラストマー又はエチレン系重合体を用いた例はないが、熱可塑性樹脂(A)と化合物(B)の架橋物の分子鎖同士が絡まり合うことで耐熱性を向上できるというメカニズムからして、スチレン系熱可塑性エラストマーと同様の効果を期待することができる。

Claims (12)

  1. スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びエチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)と、下記一般式(1)で表される化合物(B)とを含有する、樹脂組成物。
    (式(1)中、Cは炭素原子を表し、Hは水素原子を表し、Aは各々独立に下記一般式(2)で表される置換基を表し、添字xは0~2の整数を表す。)
    (式(2)中、L21は各々独立に置換基を有していても良い結合基、CL21は各々独立に下記一般式(3)で表される架橋基、記号*は、式(1)における炭素原子との結合手を表し、添字yは1~6の整数、添字zは0~4の整数、但し、zが0の場合、結合基L21にはCL21の代りに水素原子が結合する。また、一般式(1)で表される化合物中にCL21は3以上存在する。)
    (式(3)中、Aromは、置換基を有していても良い炭素数3~30の芳香族環を表し、R31、R32は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、記号*は、式(2)におけるL21との結合手を表し、式(2)との結合手は、Aromに結合する。)
  2. 前記熱可塑性樹脂(A)として、スチレン系熱可塑性エラストマーを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量が10質量%以上70質量%以下である、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記化合物(B)の結合基L21が、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基又は芳香族基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記化合物(B)の添字zが0~2である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 重合開始剤を実質的に含まない、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる樹脂シート。
  8. 請求項7に記載の樹脂シートの一方又は両方の面に、離型フィルムを備える積層体。
  9. 請求項7に記載の樹脂シートを硬化させてなるシート硬化物。
  10. 請求項7に記載の樹脂シートからなる絶縁層と、導体とを積層してなる回路基板材料。
  11. スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びエチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)と、下記一般式(1)で表される化合物(B)とを含有する樹脂組成物からなる塗工液を調製する塗工液調製工程と、
    前記塗工液をシート状に成形する成形工程とを含む、樹脂シートの製造方法。
    (式(1)中、Cは炭素原子を表し、Hは水素原子を表し、Aは各々独立に下記一般式(2)で表される置換基を表し、添字xは0~2の整数を表す。)
    (式(2)中、L21は各々独立に置換基を有していても良い結合基、CL21は各々独立に下記一般式(3)で表される架橋基、記号*は、式(1)における炭素原子との結合手を表し、添字yは1~6の整数、添字zは0~4の整数、但し、zが0の場合、結合基L21にはCL21の代りに水素原子が結合する。また、一般式(1)で表される化合物中にCL21は3以上存在する。)
    (式(3)中、Aromは、置換基を有していても良い炭素数3~30の芳香族環を表し、R31、R32は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、記号*は、式(2)におけるL21との結合手を表し、式(2)との結合手は、Aromに結合する。)
  12. スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びエチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)と、下記一般式(1)で表される化合物(B)とを含有する樹脂組成物を溶融混練し、シート状に製膜する製膜工程を含む、樹脂シートの製造方法。
    (式(1)中、Cは炭素原子を表し、Hは水素原子を表し、Aは各々独立に下記一般式(2)で表される置換基を表し、添字xは0~2の整数を表す。)
    (式(2)中、L21は各々独立に置換基を有していても良い結合基、CL21は各々独立に下記一般式(3)で表される架橋基、記号*は、式(1)における炭素原子との結合手を表し、添字yは1~6の整数、添字zは0~4の整数、但し、zが0の場合、結合基L21にはCL21の代りに水素原子が結合する。また、一般式(1)で表される化合物中にCL21は3以上存在する。)
    (式(3)中、Aromは、置換基を有していても良い炭素数3~30の芳香族環を表し、R31、R32は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、記号*は、式(2)におけるL21との結合手を表し、式(2)との結合手は、Aromに結合する。)
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