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JP7759015B2 - 鋼材 - Google Patents

鋼材

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JP7759015B2
JP7759015B2 JP2025503422A JP2025503422A JP7759015B2 JP 7759015 B2 JP7759015 B2 JP 7759015B2 JP 2025503422 A JP2025503422 A JP 2025503422A JP 2025503422 A JP2025503422 A JP 2025503422A JP 7759015 B2 JP7759015 B2 JP 7759015B2
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Description

本開示は鋼材に関する。
油井やガス井(以下、油井及びガス井を総称して「油井」という)の中には、腐食性物質を多く含有する環境がある。腐食性物質はたとえば、硫化水素等の腐食性ガス等である。本明細書において、硫化水素を含有する環境を「サワー環境」という。サワー環境の温度は、井戸の深さにもよるが、常温~200℃程度である。
このようなサワー環境で使用される鋼材として、たとえば、油井管として適用される油井用鋼材や、ラインパイプとして適用されるラインパイプ用鋼材等がある。近年、油井の深井戸化により、油井用鋼材等の高強度化が求められている。
一方、鋼材をサワー環境で使用する場合、鋼材表面が腐食性物質と接触して、電気化学反応が起こり、鋼材表面に水素が発生する。この水素に起因して、鋼材に硫化物応力腐食割れ(SSC:Sulfide Stress Cracking)に代表される水素脆化割れが発生しやすい。したがって、サワー環境で使用される鋼材では、高い強度とともに、優れた耐水素脆化特性も求められる。
サワー環境で使用される鋼材において耐水素脆化特性を高める技術が、特開2011-246798号公報(特許文献1)、及び、特開2015-38247号公報(特許文献2)に開示されている。
特許文献1では、低合金鋼からなる油井用鋼管において、所定量の固溶Moを確保し、旧オーステナイト粒を微細化し、M2C型析出物を分散させる。これにより、耐SSC性を高めている。特許文献1ではさらに、旧オーステナイト粒界にMo偏析領域を形成することにより、耐水素脆化特性をさらに高めている。
特許文献2では、低合金鋼からなる油井用鋼管において、Mo偏析領域をなるべく抑制することにより、耐水素脆化特性を高めている。
さらに最近では、水素を燃料として走行する燃料電池自動車の開発、及び、燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションの実用化が進められている。水素ステーションに設置される高圧水素蓄圧器には、高圧の水素ガスが貯蔵される。また、燃料電池自動車として、高圧水素ボンベを搭載した自動車の開発も進められている。このような高圧水素蓄圧器や高圧水素ボンベに代表される高圧水素容器に利用される鋼材も、高い強度とともに、優れた耐水素脆化特性が求められる。
高圧水素容器に利用される鋼材において耐水素脆化特性を高める技術が、特開2009-74122号公報(特許文献3)に提案されている。特許文献3では、低合金鋼からなる鋼材において、V含有量及びMo含有量を従来よりも高めることにより、旧オーステナイト粒界の炭化物の形態を改善し、耐水素脆化特性を高めている。
特開2011-246798号公報 特開2015-38247号公報 特開2009-74122号公報
上記特許文献1~3に開示する技術によれば、サワー環境での使用や高圧水素容器への利用が想定された鋼材の耐水素脆化特性を高めることができる。しかしながら、上述の特許文献1~3に記載された手段以外の他の手段により、高強度と、優れた耐水素脆化特性とを有する鋼材が得られてもよい。
本開示の目的は、高強度と、優れた耐水素脆化特性とを両立する鋼材を提供することである。
本開示による鋼材は、
質量%で、
C:0.15~0.45%、
Si:0.05~1.00%、
Mn:0.05~1.00%、
P:0.030%以下、
S:0.0050%以下、
Al:0.005~0.100%、
Cr:0.30~1.50%、
Mo:0.40~2.00%、
Ti:0.002~0.020%、
Nb:0.002~0.100%、
V:0.05~0.30%、
B:0.0005~0.0040%、
N:0.0100%以下、
O:0.0040%以下、
Cu:0~0.50%、
Ni:0~0.50%、
W:0~0.50%、
Ca:0~0.0100%、
Mg:0~0.0100%、
Zr:0~0.0100%、
希土類元素:0~0.0100%、及び、
残部がFe及び不純物からなり、
降伏強度が965MPa以上であり、
前記鋼材中において、
質量%で、Si含有量が20%以上であり、O含有量が10%以上であり、長径が5.0μm以上のSi酸化物の個数密度が、5個/200mm2以下である。
本開示による鋼材は、高強度と、優れた耐水素脆化特性とを両立する。
図1は、本実施例における粗大Si酸化物(長径が5.0μm以上のSi酸化物)の個数密度(個/200mm2)と、耐水素脆化特性の指標である相対破断応力(=BS1/BS0)との関係を示す図である。
本発明者らはまず、サワー環境での使用や高圧水素容器への利用を想定して、高強度として965MPa以上(140ksi以上)の降伏強度を有する鋼材を得ることを検討した。さらに本発明者らは、化学組成に着目して、965MPa以上の降伏強度と、優れた耐水素脆化特性とを両立する鋼材を得ることを検討した。その結果、本発明者らは、質量%で、C:0.15~0.45%、Si:0.05~1.00%、Mn:0.05~1.00%、P:0.030%以下、S:0.0050%以下、Al:0.005~0.100%、Cr:0.30~1.50%、Mo:0.40~2.00%、Ti:0.002~0.020%、Nb:0.002~0.100%、V:0.05~0.30%、B:0.0005~0.0040%、N:0.0100%以下、O:0.0040%以下、Cu:0~0.50%、Ni:0~0.50%、W:0~0.50%、Ca:0~0.0100%、Mg:0~0.0100%、Zr:0~0.0100%、希土類元素:0~0.0100%、及び、残部がFe及び不純物からなる鋼材であれば、965MPa以上の降伏強度と、優れた耐水素脆化特性とを両立できる可能性があると考えた。
一方、上述の化学組成を有する鋼材であっても、965MPa以上の降伏強度を有する場合、高圧水素ガス環境における優れた耐水素脆化特性を得られない場合があった。そこで本発明者らは、上述の化学組成を有し、965MPa以上の降伏強度を有する鋼材について、耐水素脆化特性が低下する要因について、詳細に検討した。その結果、上述の化学組成を有する鋼材では、鋼材中に粗大なSi酸化物が含まれる懸念があることが明らかになった。鋼材中に粗大なSi酸化物が含まれれば、鋼材の耐水素脆化特性が低下する可能性がある。
本明細書において、質量%で、Si含有量が20%以上であり、O含有量が10%以上であり、長径が5.0μm以上のSi酸化物を、「粗大Si酸化物」ともいう。本発明者らの詳細な検討の結果、粗大Si酸化物の個数密度を5個/200mm2以下とすることで、965MPa以上の降伏強度と、優れた耐水素脆化特性とを両立できることが明らかになった。この点について、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本実施例における粗大Si酸化物(長径が5.0μm以上のSi酸化物)の個数密度(個/200mm2)と、耐水素脆化特性の指標である相対破断応力(=BS1/BS0)との関係を示す図である。図1は、後述する実施例のうち、上述の化学組成と、965MPa以上の降伏強度とを有する鋼材について、後述する方法で求めた粗大Si酸化物の個数密度と、後述する方法で求めた相対破断応力とを用いて作成した。
図1を参照して、上述の化学組成と、965MPa以上の降伏強度とを有する鋼材では、粗大Si酸化物の個数密度が5個/200mm2以下であれば、相対破断応力が0.85以上となり、優れた耐水素脆化特性が得られることが確認できる。したがって、本実施形態による鋼材は、上述の化学組成と、965MPa以上の降伏強度とを有し、さらに、粗大Si酸化物の個数密度を5個/200mm2以下とする。その結果、本実施形態による鋼材は、965MPa以上の降伏強度と、優れた耐水素脆化特性とを両立することができる。
粗大Si酸化物の個数密度を5個/200mm2以下であることによって、鋼材の耐水素脆化特性が高められる理由について、詳細は明らかになっていない。しかしながら、本発明者らは次のように推察している。上述の化学組成を有する鋼材を製造する場合、製鋼工程において、主としてアルミニウム(Al)による脱酸が実施される。そのため、上述の化学組成を有する鋼材では、Al23に代表されるAl酸化物について検討されてきたものの、Si酸化物には着目されてこなかった。しかしながら、数の少ないSi酸化物、特に長径が5.0μm以上の粗大Si酸化物は、Al酸化物よりも鋼材の耐水素脆化特性を低下させやすい可能性がある。そのため、粗大Si酸化物の個数密度を5個/200mm2以下にまで低下させることで、鋼材の耐水素脆化特性を高められるのではないか、と本発明者らは推察している。
なお、本発明者らの推察とは異なるメカニズムによって、鋼材の耐水素脆化特性が高まっている可能性はあり得る。上述の化学組成を有し、粗大Si酸化物の個数密度が5個/200mm2以下である結果、965MPa以上の降伏強度と、優れた耐水素脆化特性とを両立できる点は、後述する実施例によって証明されている。したがって、本実施形態による鋼材は、上述の化学組成と、965MPa以上の降伏強度とを有し、鋼材中の粗大Si酸化物の個数密度が5個/200mm2以下である。その結果、本実施形態による鋼材は、965MPa以上の降伏強度と、優れた耐水素脆化特性とを両立することができる。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態による鋼材の要旨は、次のとおりである。
[1]
鋼材であって、
質量%で、
C:0.15~0.45%、
Si:0.05~1.00%、
Mn:0.05~1.00%、
P:0.030%以下、
S:0.0050%以下、
Al:0.005~0.100%、
Cr:0.30~1.50%、
Mo:0.40~2.00%、
Ti:0.002~0.020%、
Nb:0.002~0.100%、
V:0.05~0.30%、
B:0.0005~0.0040%、
N:0.0100%以下、
O:0.0040%以下、
Cu:0~0.50%、
Ni:0~0.50%、
W:0~0.50%、
Ca:0~0.0100%、
Mg:0~0.0100%、
Zr:0~0.0100%、
希土類元素:0~0.0100%、及び、
残部がFe及び不純物からなり、
降伏強度が965MPa以上であり、
前記鋼材中において、
質量%で、Si含有量が20%以上であり、O含有量が10%以上であり、長径が5.0μm以上のSi酸化物の個数密度が、5個/200mm2以下である、
鋼材。
[2]
[1]に記載の鋼材であって、
Cu:0.01~0.50%、
Ni:0.01~0.50%、
W:0.01~0.50%、
Ca:0.0001~0.0100%、
Mg:0.0001~0.0100%、
Zr:0.0001~0.0100%、及び、
希土類元素:0.0001~0.0100%からなる群から選択される1元素以上を含有する、
鋼材。
[3]
[1]又は[2]に記載の鋼材であって、
前記鋼材は継目無鋼管である、
鋼材。
本実施形態による鋼材の形状は特に限定されない。本実施形態による鋼材は、鋼管であってもよく、丸鋼(中実材)であってもよく、鋼板であってもよい。なお、丸鋼とは、軸方向に垂直な断面が円形状の棒鋼を意味する。また、鋼管は継目無鋼管であってもよく、溶接鋼管であってもよい。
本実施形態による鋼材は、油井用鋼管、ラインパイプ用鋼管、及び、高圧水素容器用鋼管のいずれかであってもよい。ここで、本明細書において「油井用鋼管」とは、油井管として利用される鋼管を意味する。油井管とは、油井又はガス井の掘削、原油又は天然ガスの採取等に用いられるケーシング、チュービング、ドリルパイプの総称を意味する。
また、本明細書において「ラインパイプ用鋼管」とは、油井又はガス井から採取された生産流体(原油又は天然ガス)を輸送するパイプラインを構成するラインパイプ用途の鋼管を意味する。パイプラインはたとえば、油井又はガス井から生産流体を輸送するフローライン、フローラインで輸送された生産流体を集合して一次処理施設まで輸送するギャザリングライン、脱水等の一次処理を実施した生産流体を市場近郊まで輸送するトランクライン、及び、消費者まで輸送するディストリビューションライン等である。
本明細書において、「高圧水素容器用鋼管」は、ISO11439、ANSI/NGV、高圧ガス保安法、容器保安規則例示基準等で規格化されており、高圧の水素ガスが貯蔵される高圧水素容器に利用される鋼管を意味する。高圧水素容器はたとえば、水素ステーションに設置される高圧水素蓄圧器であり、燃料電池自動車に搭載される高圧水素ボンベである。
以下、本実施形態による鋼材について詳述する。元素に関する「%」は、特に断りがない限り、質量%を意味する。
[化学組成]
本実施形態による鋼材の化学組成は、次の元素を含有する。
C:0.15~0.45%
炭素(C)は鋼材の焼入れ性を高め、鋼材の強度を高める。Cはさらに、製造工程中の焼戻しにおいて、炭化物の球状化を促進し、鋼材の耐SSC性を高める。C含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、C含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、炭化物が多くなりすぎ、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、C含有量は0.15~0.45%である。C含有量の好ましい下限は0.18%であり、さらに好ましくは0.20%であり、さらに好ましくは0.22%であり、さらに好ましくは0.23%である。C含有量の好ましい上限は0.40%であり、さらに好ましくは0.38%であり、さらに好ましくは0.35%である。
Si:0.05~1.00%
ケイ素(Si)は、鋼を脱酸する。Si含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Si含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大Si酸化物が多数形成され、鋼材の耐水素脆化特性が低下する場合がある。したがって、Si含有量は0.05~1.00%である。Si含有量の好ましい下限は0.10%であり、さらに好ましくは0.15%であり、さらに好ましくは0.20%である。Si含有量の好ましい上限は0.85%であり、さらに好ましくは0.75%であり、さらに好ましくは0.60%であり、さらに好ましくは0.50%であり、さらに好ましくは0.40%である。
Mn:0.05~1.00%
マンガン(Mn)は鋼を脱酸する。Mnはさらに、鋼材の焼入れ性を高める。Mn含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大な硫化物系介在物が形成され、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、Mn含有量は0.05~1.00%である。Mn含有量の好ましい下限は0.06%であり、さらに好ましくは0.08%であり、さらに好ましくは0.10%である。Mn含有量の好ましい上限は0.90%であり、さらに好ましくは0.80%であり、さらに好ましくは0.70%であり、さらに好ましくは0.60%であり、さらに好ましくは0.50%であり、さらに好ましくは0.40%である。
P:0.030%以下
りん(P)は不純物である。すなわち、P含有量の下限は0%超である。P含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、Pが粒界に偏析し、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、P含有量は0.030%以下である。P含有量の好ましい上限は0.025%であり、さらに好ましくは0.020%であり、さらに好ましくは0.015%であり、さらに好ましくは0.010%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。ただし、P含有量の極端な低減は、製造コストを大幅に高める。したがって、工業生産を考慮した場合、P含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.002%であり、さらに好ましくは0.003%である。
S:0.0050%以下
硫黄(S)は不純物である。すなわち、S含有量の下限は0%超である。S含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、Sが粒界に偏析し、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、S含有量は0.0050%以下である。S含有量の好ましい上限は0.0040%であり、さらに好ましくは0.0031%であり、さらに好ましくは0.0030%であり、さらに好ましくは0.0020%であり、さらに好ましくは0.0015%である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。ただし、S含有量の極端な低減は、製造コストを大幅に高める。したがって、工業生産を考慮した場合、S含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0002%であり、さらに好ましくは0.0003%である。
Al:0.005~0.100%
アルミニウム(Al)は鋼を脱酸する。Al含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られず、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。一方、Al含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大なAl酸化物が形成され、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、Al含有量は0.005~0.100%である。Al含有量の好ましい下限は0.010%であり、さらに好ましくは0.015%であり、さらに好ましくは0.020%である。Al含有量の好ましい上限は0.080%であり、さらに好ましくは0.060%であり、さらに好ましくは0.040%であり、さらに好ましくは0.035%である。本明細書にいう「Al」含有量は「酸可溶Al」、つまり、「sol.Al」の含有量を意味する。
Cr:0.30~1.50%
クロム(Cr)は鋼材の焼入れ性を高める。Crはさらに、鋼材の焼戻し軟化抵抗を高め、高温焼戻しを可能にする。その結果、鋼材の耐水素脆化特性が高まる。Cr含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Cr含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、Cr含有量は0.30~1.50%である。Cr含有量の好ましい下限は0.35%であり、さらに好ましくは0.40%であり、さらに好ましくは0.50%である。Cr含有量の好ましい上限は1.40%であり、さらに好ましくは1.30%であり、さらに好ましくは1.20%であり、さらに好ましくは1.10%であり、さらに好ましくは1.05%である。
Mo:0.40~2.00%
モリブデン(Mo)は鋼材の焼入れ性を高める。Moはさらに、鋼材の焼戻し軟化抵抗を高め、高温焼戻しを可能にする。その結果、鋼材の耐水素脆化特性が高まる。Mo含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Mo含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大な炭化物が形成され、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、Mo含有量は0.40~2.00%である。Mo含有量の好ましい下限は0.45%であり、さらに好ましくは0.49%であり、さらに好ましくは0.50%であり、さらに好ましくは0.55%であり、さらに好ましくは0.60%である。Mo含有量の好ましい上限は1.80%であり、さらに好ましくは1.60%であり、さらに好ましくは1.40%であり、さらに好ましくは1.30%である。
Ti:0.002~0.020%
チタン(Ti)はNと結合して窒化物を形成し、ピンニング効果により鋼材の結晶粒を微細化する。その結果、鋼材の耐水素脆化特性が高まる。Ti含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Ti含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、Ti窒化物が粗大化して、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、Ti含有量は0.002~0.020%である。Ti含有量の好ましい下限は0.003%であり、さらに好ましくは0.004%である。Ti含有量の好ましい上限は0.018%であり、さらに好ましくは0.015%であり、さらに好ましくは0.010%であり、さらに好ましくは0.008%である。
Nb:0.002~0.100%
ニオブ(Nb)はC及び/又はNと結合して、炭化物、窒化物又は炭窒化物(以下、「炭窒化物等」という)を形成する。炭窒化物等はピンニング効果により、鋼材の結晶粒を微細化し、鋼材の耐水素脆化特性を高める。Nbはさらに、焼戻し時に微細な炭化物を形成して鋼材の焼戻し軟化抵抗を高め、鋼材の強度を高める。Nb含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Nb含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、炭窒化物等が過剰に形成され、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、Nb含有量は0.002~0.100%である。Nb含有量の好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.010%であり、さらに好ましくは0.015%であり、さらに好ましくは0.020%である。Nb含有量の好ましい上限は0.080%であり、さらに好ましくは0.060%であり、さらに好ましくは0.040%である。
V:0.05~0.30%
バナジウム(V)は炭窒化物等を形成する。炭窒化物等はピンニング効果により、鋼材の結晶粒を微細化し、鋼材の耐水素脆化特性を高める。Vはさらに、焼戻し時に微細な炭化物を形成して鋼材の焼戻し軟化抵抗を高め、鋼材の強度を高める。V含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、V含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、炭窒化物等が過剰に形成され、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、V含有量は0.05~0.30%である。V含有量の好ましい下限は0.06%であり、さらに好ましくは0.07%であり、さらに好ましくは0.08%である。V含有量の好ましい上限は0.25%であり、さらに好ましくは0.20%であり、さらに好ましくは0.15%である。
B:0.0005~0.0040%
ホウ素(B)は鋼に固溶して鋼材の焼入れ性を高め、鋼材の強度を高める。Bはさらに、Pの粒界偏析を抑制して、鋼材の耐水素脆化特性を高める。B含有量が低すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、B含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大な窒化物が形成され、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、B含有量は0.0005~0.0040%である。B含有量の好ましい下限は0.0006%であり、さらに好ましくは0.0008%である。B含有量の好ましい上限は0.0035%であり、さらに好ましくは0.0030%であり、さらに好ましくは0.0025%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
N:0.0100%以下
窒素(N)は不可避に含有される。すなわち、N含有量の下限は0%超である。NはTiと結合して窒化物を形成し、ピンニング効果により、鋼材の結晶粒を微細化する。その結果、鋼材の強度が高まる。しかしながら、N含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大な窒化物が形成され、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、N含有量は0.0100%以下である。N含有量の好ましい上限は0.0080%であり、さらに好ましくは0.0060%であり、さらに好ましくは0.0050%であり、さらに好ましくは0.0045%である。上記効果をより有効に得るためのN含有量の好ましい下限は0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0015%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
O:0.0040%以下
酸素(O)は不純物である。すなわち、O含有量の下限は0%超である。O含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大な酸化物が形成され、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、O含有量は0.0040%以下である。O含有量の好ましい上限は0.0035%であり、さらに好ましくは0.0033%であり、さらに好ましくは0.0030%であり、さらに好ましくは0.0025%であり、さらに好ましくは0.0020%である。O含有量はなるべく低い方が好ましい。ただし、O含有量の極端な低減は、製造コストを大幅に高める。したがって、工業生産を考慮した場合、O含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0002%であり、さらに好ましくは0.0003%である。
本実施形態による鋼材の化学組成の残部は、Fe及び不純物からなる。ここで、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、又は、製造環境などから混入されるものであって、本実施形態による鋼材に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
[任意元素]
上述の鋼材の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Cu、及び、Niからなる群から選択される1元素以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも任意元素であり、鋼材の焼入れ性を高める。
Cu:0~0.50%
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Cu含有量は0%であってもよい。含有される場合、Cuは鋼材の耐水素脆化特性を高める。Cuが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Cu含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性が低下する。したがって、Cu含有量は0~0.50%である。Cu含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%である。Cu含有量の好ましい上限は0.35%であり、さらに好ましくは0.25%であり、さらに好ましくは0.15%であり、さらに好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.05%である。
Ni:0~0.50%
ニッケル(Ni)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Ni含有量は0%であってもよい。含有される場合、Niは鋼材の焼入れ性を高め、鋼材の強度を高める。Niはさらに、鋼に固溶して、鋼材の耐SSC性を高める。Niが少しでも含有されれば、これらの効果がある程度得られる。しかしながら、Ni含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、局部的な腐食が促進され、鋼材の耐SSC性が低下する。したがって、Ni含有量は0~0.50%である。Ni含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%である。Ni含有量の好ましい上限は0.30%であり、さらに好ましくは0.20%であり、さらに好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.05%である。
上述の鋼材の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Wを含有してもよい。
W:0~0.50%
タングステン(W)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、W含有量は0%であってもよい。含有される場合、Wはサワー環境において、保護性の腐食被膜を形成し、鋼材への水素の侵入を抑制する。その結果、鋼材の耐水素脆化特性が高まる。Wが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、W含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材中に粗大な炭化物が形成され、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、W含有量は0~0.50%である。W含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.03%であり、さらに好ましくは0.05%である。W含有量の好ましい上限は0.50%未満であり、さらに好ましくは0.48%である。
上述の鋼材の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Ca、Mg、Zr、及び、希土類元素からなる群から選択される1元素以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも任意元素であり、鋼材中のSを硫化物として無害化する。その結果、これらの元素は鋼材の耐水素脆化特性を高める。
Ca:0~0.0100%
カルシウム(Ca)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Ca含有量は0%であってもよい。含有される場合、Caは鋼材中のSを硫化物として無害化し、鋼材の耐水素脆化特性を高める。Caが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Ca含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材中の酸化物が粗大化して、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、Ca含有量は0~0.0100%である。Ca含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%であり、さらに好ましくは0.0006%である。Ca含有量の好ましい上限は0.0040%であり、さらに好ましくは0.0025%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
Mg:0~0.0100%
マグネシウム(Mg)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Mg含有量は0%であってもよい。含有される場合、Mgは鋼材中のSを硫化物として無害化し、鋼材の耐水素脆化特性を高める。Mgが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Mg含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材中の酸化物が粗大化して、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、Mg含有量は0~0.0100%である。Mg含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%であり、さらに好ましくは0.0006%である。Mg含有量の好ましい上限は0.0040%であり、さらに好ましくは0.0025%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
Zr:0~0.0100%
ジルコニウム(Zr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Zr含有量は0%であってもよい。含有される場合、Zrは鋼材中のSを硫化物として無害化し、鋼材の耐水素脆化特性を高める。Zrが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Zr含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材中の酸化物が粗大化して、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、Zr含有量は0~0.0100%である。Zr含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%であり、さらに好ましくは0.0006%である。Zr含有量の好ましい上限は0.0040%であり、さらに好ましくは0.0025%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
希土類元素(REM):0~0.0100%
希土類元素(REM)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、REM含有量は0%であってもよい。含有される場合、REMは鋼材中のSを硫化物として無害化し、鋼材の耐水素脆化特性を高める。REMはさらに、鋼材中のPと結合して、結晶粒界におけるPの偏析を抑制する。そのため、Pの偏析に起因した鋼材の耐水素脆化特性の低下が抑制される。REMが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、REM含有量が高すぎれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材中の酸化物が粗大化して、鋼材の耐水素脆化特性が低下する。したがって、REM含有量は0~0.0100%である。REM含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%であり、さらに好ましくは0.0006%である。REM含有量の好ましい上限は0.0040%であり、さらに好ましくは0.0025%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
なお、本明細書におけるREMとは、原子番号21番のスカンジウム(Sc)、原子番号39番のイットリウム(Y)、及び、ランタノイドである原子番号57番のランタン(La)~原子番号71番のルテチウム(Lu)からなる群から選択される1種以上の元素を意味する。また、本明細書におけるREM含有量とは、これら元素の合計含有量を意味する。
[降伏強度]
本実施形態による鋼材の降伏強度は965MPa以上(140ksi以上)である。本明細書でいう降伏強度は、ASTM E8/E8M(2021)に準拠した常温(25℃)での引張試験で得られた0.65%伸び時の応力(0.65%耐力)を意味する。本実施形態による鋼材は、上述の化学組成を有し、後述する粗大Si酸化物の個数密度を満たすことで、降伏強度が965MPa以上であっても、優れた耐SSC性を有する。なお、本実施形態において、降伏強度の上限は特に限定されないが、たとえば、1172MPaである。本実施形態において、降伏強度の好ましい下限は986MPaであり、さらに好ましくは1000MPaであり、さらに好ましくは1030MPaであり、さらに好ましくは1034MPa超であり、さらに好ましくは1035MPa、さらに好ましくは1040MPaである。
本実施形態による鋼材の降伏強度は、次の方法で求める。まず、本実施形態による鋼材から、丸棒試験片を作製する。鋼材が鋼板の場合、板厚中央部から丸棒試験片を作製する。この場合、丸棒試験片の軸方向は、鋼板の圧延方向に平行な方向とする。鋼材が鋼管の場合、肉厚中央部から丸棒試験片を作製する。この場合、丸棒試験片の軸方向は、鋼管の管軸方向に平行な方向とする。鋼材が丸鋼である場合、R/2位置から丸棒試験片を作製する。本明細書において、R/2位置とは、丸鋼の軸方向に垂直な断面における半径Rの中心位置を意味する。この場合、丸棒試験片の軸方向は、丸鋼の軸方向に平行な方向とする。丸棒試験片の大きさは、たとえば、平行部直径8.9mm、標点距離35.6mmである。作製された丸棒試験片を用いて、ASTM E8/E8M(2021)に準拠した方法で、常温(25℃)、大気中で引張試験を実施して、得られた0.65%伸び時の応力(0.65%耐力)を降伏強度(MPa)と定義する。なお、本実施形態において降伏強度(MPa)は、得られた数値の小数第一位を四捨五入して求める。
[粗大Si酸化物の個数密度]
本実施形態による鋼材は、上述の化学組成と、965MPa以上の降伏強度を有し、さらに、鋼材中の粗大Si酸化物の個数密度が5個/200mm2以下である。上述のとおり、本明細書では、質量%で、Si含有量が20%以上であり、O含有量が10%以上の粒子を「Si酸化物」ともいう。上述のとおり、本明細書ではさらに、長径が5.0μm以上のSi酸化物を「粗大Si酸化物」ともいう。つまり、粗大Si酸化物とは、質量%で、Si含有量が20%以上であり、O含有量が10%以上であり、長径が5.0μm以上の粒子を意味する。
上述のとおり、これまでSi酸化物は、その数の少なさから着目されてこなかった。しかしながら、965MPa以上の高い降伏強度を有する場合、数の少ない粗大Si酸化物であっても、耐水素脆化特性の低下が顕在化しやすい可能性がある。そのため、粗大Si酸化物の個数密度を5個/200mm2以下にすることで、965MPa以上にまで降伏強度を高めても、優れた耐水素脆化特性を安定して得られる可能性がある。そこで、本実施形態による鋼材は、上述の化学組成と、965MPa以上の降伏強度とを有し、さらに、鋼材中の粗大Si酸化物の個数密度を5個/200mm2以下とする。
本実施形態において、粗大Si酸化物の個数密度の好ましい上限は4個/200mm2であり、さらに好ましくは3個/200mm2である。本実施形態において、粗大Si酸化物の個数密度の下限は特に限定されず、0個/200mm2であってもよい。粗大Si酸化物の個数密度の下限は、たとえば、1個/200mm2であってもよい。
本実施形態において、鋼材中の粗大Si酸化物の個数密度は、次の方法で求めることができる。まず、本実施形態による鋼材から、圧延方向及び圧下方向を含む面を観察面とする試験片を作製する。具体的に、鋼材が鋼板の場合、板幅中央部かつ板厚t/4部から、圧延方向と板厚方向とを含む面を観察面とする試験片を作製する。ここで、板厚t/4部とは、鋼板の板厚をtとした場合に、鋼板の表面からt/4深さ位置を意味する。鋼材が鋼管の場合、肉厚中央部から、管軸方向と管径方向とを含む面を観察面とする試験片を作製する。鋼材が丸鋼である場合、R/2位置を中央に含み、軸方向と径方向とを含む面を観察面とする試験片を作製する。
作製した試験片の観察面を鏡面に研磨した後、測定を行う。観察面の面積は限定されないが、たとえば、300mm2(20mm×15mm)とする。観察面において、長径が5.0μm以上のSi酸化物の個数を求める。具体的には、まず観察面における粒子をコントラストから特定する。特定した各粒子について、元素濃度分析(EDS分析)を実施する。EDS分析では、加速電圧を20kVとし、対象元素をN、O、Mg、Al、Si、P、S、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Cu、Zr、Nbとして定量する。各粒子のEDS分析結果に基づいて、質量%でSi含有量が20%以上であり、かつ、O含有量が10%以上である場合、その粒子を「Si酸化物」と特定する。
観察面において特定されたSi酸化物のうち、長径が5.0μm以上のSi酸化物(粗大Si酸化物)を特定し、粗大Si酸化物の総個数を求める。なお、Si酸化物の長径は、周知の方法で求めることができる。また、本明細書において、Si酸化物の長径とは、観察面において、Si酸化物の外周の任意の2点を結ぶ線分のうち、最大の線分(μm)を意味する。
粗大Si酸化物の総個数と、観察面の総面積とに基づいて、粗大Si酸化物の個数密度(個/200mm2)を求める。なお、本実施形態において、粗大Si酸化物の個数密度(個/200mm2)は、得られた数値の小数第一位を四捨五入して求める。また、粗大Si酸化物の個数密度の測定は、走査電子顕微鏡に組成分析機能を付与された装置(SEM-EDS装置)を用いて行うことができる。SEM-EDS装置としてたとえば、FEI(ASPEX)社製の自動分析装置である商品名:Metals Quality Analyzerを用いることができる。
[耐水素脆化特性]
本実施形態による鋼材は、上述の化学組成と、965MPa以上の降伏強度とを有し、鋼材中の粗大Si酸化物の個数密度が5個/200mm2以下である。その結果、本実施形態による鋼材は、高強度と優れた耐水素脆化特性とを両立する。本実施形態において、優れた耐水素脆化特性とは、次の方法で評価できる。
本実施形態による鋼材から、耐水素脆化特性評価用の試験片を作製する。試験片は、環状切欠き付き丸棒試験片とする。試験片は、たとえば、平行部の外径が4.0mm、平行部の長さが25mmであり、平行部の長手方向中央位置には、環状ノッチが形成される。このとき、切欠き形状について、切欠きの深さが0.3mm、切欠き角度が60°であり、切欠き底の曲率半径が0.125mmである。鋼材が鋼板である場合、板幅中央部かつ板厚t/4部から丸棒試験片を作製する。この場合、丸棒試験片の軸方向は、鋼板の圧延方向に平行な方向とする。鋼材が鋼管である場合、肉厚中央部から丸棒試験片を作製する。この場合、丸棒試験片の軸方向は、鋼管の管軸方向に平行な方向とする。鋼材が丸鋼である場合、R/2位置から丸棒試験片を作製する。この場合、丸棒試験片の軸方向は、丸鋼の軸方向に平行な方向とする。
作製された環状切欠き付き丸棒試験片に対して、陰極水素チャージ法により水素をチャージする。具体的には、常温の陰極水素チャージ溶液を準備する。陰極水素チャージ溶液は、常温の5質量%の塩化ナトリウム水溶液、30g/LのNH4SCN、及び、酢酸緩衝液を含有する水溶液とし、酢酸緩衝液により、試験前のpHをpH3.5に調整する。
陰極水素チャージ溶液に環状切欠き丸棒試験片を浸漬した状態で、電位を-1.5V、チャージ時間を24時間として、環状切欠き付き丸棒試験片に水素をチャージする。このとき、好ましくは、水素がチャージされた環状切欠き付き丸棒試験片の表面に、亜鉛めっき被膜を形成し、環状切欠き付き丸棒試験片内の水素が外部に漏れないようにする。
水素がチャージされた環状切欠き付き丸棒試験片に対して、低ひずみ速度試験機(SSRT)を用いて、常温(25℃)、大気中で引張試験を実施する。このとき、ひずみ速度を4.2×10-6/秒として、破断応力BS1(MPa)を求める。水素がチャージされていない環状切欠き付き丸棒試験片に対して、同様の条件で引張試験を実施して、破断応力BS0(MPa)を求める。なお、本実施形態において破断応力(MPa)は、得られた数値の小数第一位を四捨五入して求める。さらに、得られた破断応力BS1(MPa)の、破断応力BS0(MPa)に対する比を、相対破断応力(=BS1/BS0)と定義する。本実施形態では、相対破断応力が0.85以上であれば、優れた耐水素脆化特性を有すると判断する。なお、本実施形態において相対破断応力は、得られた数値の小数第三位を四捨五入して求める。
[ミクロ組織]
本実施形態による鋼材のミクロ組織は、焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの体積率の合計が90%以上である。ミクロ組織の残部はたとえば、フェライト、又は、パーライトである。上述の化学組成を有する鋼材のミクロ組織が、焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの体積率の合計が90%以上を含有すれば、本実施形態の他の構成を満たすことを条件に、965MPa以上の降伏強度と、優れた耐水素脆化特性とを両立できる。すなわち、本実施形態では、鋼材が965MPa以上の降伏強度と、優れた耐SSC性とを両立していれば、ミクロ組織は焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの体積率の合計が90%以上であると判断する。
なお、焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの体積率を観察により求める場合、以下の方法で求めることができる。まず、本実施形態による鋼材から、観察面を有する試験片を作製する。鋼材が鋼板の場合、板幅中央部かつ板厚t/4部から、圧延方向と板厚方向とを含む面を観察面とする試験片を作製する。鋼材が鋼管の場合、肉厚中央部から、管軸方向と管径方向とを含む面を観察面とする試験片を作製する。鋼材が丸鋼である場合、R/2位置を中央に含み、軸方向と径方向とを含む面を観察面とする試験片を作製する。
試験片の観察面を鏡面に研磨した後、ナイタール腐食液に10秒程度浸漬して、エッチングによる組織現出を行う。エッチングした観察面を、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて、二次電子像にて10視野観察する。視野面積は、たとえば、0.01mm2(倍率1000倍)である。各視野において、コントラストから焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトを特定する。特定した焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの面積率を求める。面積率を求める方法は特に限定されず、周知の方法でよい。たとえば、画像解析によって、焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの面積率を求めることができる。本実施形態では、全ての視野で求めた、焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの面積率の算術平均値を、焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの体積率と定義する。
[製造方法]
本実施形態による鋼材の製造方法を説明する。以下、本実施形態による鋼材の一例として、継目無鋼管の製造方法を説明する。継目無鋼管の製造方法は、素材を準備する工程(製鋼工程)と、素材を熱間加工して素管を製造する工程(熱間加工工程)と、素管に対して焼入れ及び焼戻しを実施して、継目無鋼管とする工程(焼入れ工程及び焼戻し工程)とを備える。なお、本実施形態による製造方法は、以下に説明する製造方法に限定されない。以下、各工程について詳述する。
[製鋼工程]
製鋼工程では、初めに、周知の方法で製造された溶銑に対して、転炉での精錬(一次精錬)を実施する。一次精錬された溶鋼に対して、二次精錬を実施する。二次精錬において、成分調整の合金元素の添加を実施して、上述の化学組成を満たす溶鋼を製造する。
二次精錬は、たとえば、RH(Ruhrstahl-Hausen)真空脱ガス処理を実施する。その後、合金成分の最終調整を行う。二次精錬では、複合精錬を実施してもよい。この場合、RH真空脱ガス処理の前にたとえば、LF(Ladle Furnace)、又は、VAD(Vacuum Arc Degassing)を用いた精錬処理を実施する。
二次精錬が実施された溶鋼を用いて、素材を製造する。具体的には、二次精錬が実施された溶鋼を用いて連続鋳造法により鋳片(スラブ、ブルーム、又は、ビレット)を製造する。連続鋳造法では、まず、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注湯する。このとき、取鍋のノズルを封止するため、ノズルには通常、詰め砂が封入されている。そのため、取鍋からタンディッシュへ、溶鋼と一緒に詰め砂が混入する場合がある。また、上述の化学組成を有する素材を製造する際、詰め砂としてSi酸化物が用いられる場合がある。この場合、製造された素材には、Si酸化物が導入される懸念がある。
そこで、本実施形態では、取鍋のノズルに封入されるSi酸化物がタンディッシュ内に導入されるのを防止するため、溶鋼と、Si酸化物とを分離する。Si酸化物を分離する方法は特に限定されないが、たとえば、次の方法を用いることができる。取鍋のノズルの下方であって、タンディッシュの開口部の上方に、傾斜をつけた金属板を配置する。取鍋のノズルを開放した際、まず、Si酸化物がノズルから排出され、続いて溶鋼が排出される。ここで、Si酸化物は溶鋼と比較して軽い。そのため、ノズルから排出されるSi酸化物は、金属板の傾斜に沿って、タンディッシュの開口部の外へと誘導される。金属板の傾斜は、たとえば、底面の無い錐体状に加工した金属板を、取鍋のノズルの直下に頂点が来るように配置することによって設けられてもよく、他の方法によって設けられてもよい。また、金属板は1枚で用いてもよく、複数の金属板を重ねて用いてもよい。さらに、金属板の厚さは特に限定されないが、たとえば、1~10mm程度である。
ノズルからSi酸化物が排出された後、溶鋼が排出される。このとき、ノズルから排出される溶鋼は、金属板とともに開口部を通ってタンディッシュへ導入される。すなわち、本実施形態において、金属板の一部又は全部はタンディッシュへ導入され、溶鋼に混入してもよい。そのため、本実施形態における金属板は、溶鋼に含まれる合金元素からなる金属板とするのが好ましい。溶鋼に含まれる合金元素からなる金属板として、たとえば、アルミニウム板を用いることができる。なお、本明細書において、アルミニウム板とは、アルミニウム及び残部が不純物からなる金属板を意味する。
好ましくは、ノズルからSi酸化物が排出された後、溶鋼が排出される前に、ノズルの下方から金属板を除去する。この場合、金属板に付着したSi酸化物が溶鋼に混入するのを防ぐことができる。なお、金属板をノズルの下方から除去する方法は特に限定されないが、たとえば、金属板の一部に孔を形成しておき、先端にフックが形成された棒を用いて除去してもよい。この場合、棒の先端のフックを金属板の孔に引っ掛け、棒を引っ張ることによって金属板を除去することができる。以上の方法により、Si酸化物を溶鋼から分離して、溶鋼をタンディッシュへ導入することができる。なお、Si酸化物を溶鋼から分離する方法は、上述の方法に限定されない。
以上の方法により、溶鋼を鋳造して、素材を製造する。素材は、断面円形状のビレット(丸ビレット)が好ましい。素材を製造する方法は、特に限定されない。たとえば、連続鋳造法により、溶鋼を丸ビレットに鋳造してもよい。又は、溶鋼を鋳造して、断面矩形状のビレットを製造してもよく、ブルームを製造してもよい。これらの場合、分塊圧延を実施して、断面矩形状のビレット、又は、ブルームから、丸ビレットを製造するのが好ましい。
[熱間加工工程]
熱間加工工程では、準備された素材を熱間加工して中間鋼材を製造する。鋼材が継目無鋼管である場合、中間鋼材は素管に相当する。始めに、ビレットを加熱炉で加熱する。加熱温度は特に限定されないが、たとえば、1100~1300℃である。加熱炉から抽出されたビレットに対して熱間加工を実施して、素管(継目無鋼管)を製造する。熱間加工の方法は、特に限定されず、周知の方法でよい。
たとえば、熱間加工としてマンネスマン法を実施して、素管を製造してもよい。この場合、穿孔機により丸ビレットを穿孔圧延する。穿孔圧延する場合、穿孔比は特に限定されないが、たとえば、1.0~4.0である。穿孔圧延された丸ビレットをさらに、マンドレルミル、レデューサー、サイジングミル等により熱間圧延して素管にする。熱間加工工程での累積の減面率はたとえば、20~70%である。
他の熱間加工方法を実施して、ビレットから素管を製造してもよい。たとえば、カップリングのように短尺の厚肉鋼材である場合、エルハルト法等の鍛造により素管を製造してもよい。以上の工程により素管が製造される。素管の肉厚は特に限定されないが、たとえば、9~60mmである。
鋼材が丸鋼の場合、初めに、素材を加熱炉で加熱する。加熱温度は特に限定されないが、たとえば、1100~1300℃である。加熱炉から抽出された素材に対して熱間加工を実施して、軸方向に垂直な断面が円形の中間鋼材を製造する。熱間加工はたとえば、分塊圧延機による分塊圧延、又は、連続圧延機による熱間圧延である。連続圧延機は、上下方向に並んで配置された一対の孔型ロールを有する水平スタンドと、水平方向に並んで配置された一対の孔型ロールを有する垂直スタンドとが交互に配列されている。
鋼材が鋼板の場合、初めに、素材を加熱炉で加熱する。加熱温度は特に限定されないが、たとえば、1100~1300℃である。加熱炉から抽出された素材に対して、分塊圧延機、及び、連続圧延機を用いて熱間圧延を実施して、鋼板形状の中間鋼材を製造する。
熱間加工により製造された素管は空冷されてもよい(As-Rolled)。熱間加工により製造された素管は、常温まで冷却せずに、熱間加工後に直接焼入れを実施してもよく、熱間加工後に補熱(再加熱)した後、焼入れを実施してもよい。
熱間加工後に直接焼入れ、又は、補熱した後焼入れを実施する場合、焼入れ途中に冷却の停止、又は、緩冷却を実施してもよい。この場合、素管に焼割れが発生するのを抑制できる。熱間加工後に直接焼入れ、又は、補熱した後焼入れを実施する場合さらに、焼入れ後であって次工程の熱処理前に、応力除去焼鈍(SR)を実施してもよい。この場合、素管の残留応力が除去される。
以上のとおり、熱間加工工程では、準備された素材を熱間加工して、中間鋼材を製造する。以下、焼入れ工程について詳述する。
[焼入れ工程]
焼入れ工程では、準備された中間鋼材(素管)に対して、焼入れを実施する。本明細書において、「焼入れ」とは、A3点以上の中間鋼材を急冷することを意味する。好ましい焼入れ温度は800~1000℃である。焼入れ温度が高すぎれば、旧γ粒の結晶粒が粗大になり、鋼材の耐SSC性が低下する場合がある。したがって、焼入れ温度は800~1000℃であるのが好ましい。
本明細書において、焼入れ温度とは、熱間加工後に直接焼入れを実施する場合、最終の熱間加工を実施する装置の出側に設置された温度計で測定された、中間鋼材の表面温度に相当する。焼入れ温度とはさらに、熱間加工後に補熱又は再加熱した後、焼入れを実施する場合、補熱又は再加熱を実施する炉の温度に相当する。
焼入れ方法はたとえば、焼入れ開始温度から中間鋼材(素管)を連続的に冷却し、素管の表面温度を連続的に低下させる。連続冷却処理の方法は特に限定されず、周知の方法でよい。連続冷却処理の方法はたとえば、水槽に素管を浸漬して冷却する方法や、シャワー水冷又はミスト冷却により素管を加速冷却する方法である。
焼入れ時の冷却速度が遅すぎれば、マルテンサイト及びベイナイト主体のミクロ組織とならず、本実施形態で規定する機械的特性(965MPa以上の降伏強度)が得られない。この場合さらに、優れた耐SSC性が得られない。
したがって、上述のとおり、本実施形態による鋼材の製造方法では、焼入れ時に中間鋼材を急冷する。具体的には、焼入れ工程において、焼入れ時の中間鋼材(素管)の表面温度が800~500℃の範囲における平均冷却速度を、焼入れ時冷却速度CR800-500と定義する。より具体的には、焼入れ時冷却速度CR800-500は、焼入れされる中間鋼材の断面内で最も遅く冷却される部位(たとえば、両表面を強制冷却する場合、中間鋼材厚さの中心部)において測定された温度から決定される。
好ましい焼入れ時冷却速度CR800-500は300℃/分以上である。より好ましい焼入れ時冷却速度CR800-500の下限は450℃/分であり、さらに好ましくは600℃/分である。焼入れ時冷却速度CR800-500の上限は特に規定しないが、たとえば、60000℃/分である。
好ましくは、素管に対してオーステナイト域での加熱を複数回実施した後、焼入れを実施する。この場合、焼入れ前のオーステナイト粒が微細化されるため、鋼材の耐SSC性が高まる。複数回焼入れを実施することにより、オーステナイト域での加熱を複数回繰り返してもよいし、焼準及び焼入れを実施することにより、オーステナイト域での加熱を複数回繰り返してもよい。また、焼入れと後述する焼戻しとを組合せて、複数回実施してもよい。すなわち、複数回の焼入れ焼戻しを実施してもよい。この場合、鋼材の耐SSC性がさらに高まる。以下、焼戻し工程について詳述する。
[焼戻し工程]
焼戻し工程では、上述の焼入れが実施された素管に対して、焼戻しを実施する。本明細書において、「焼戻し」とは、焼入れ後の中間鋼材をAc1点未満の温度で再加熱して、保持することを意味する。ここで、焼戻し温度とは、焼入れ後の中間鋼材を加熱して、保持する際の炉の温度に相当する。焼戻し時間とは、中間鋼材を焼戻し温度で保持する時間を意味する。
焼戻し温度は、継目無鋼管の化学組成、及び、得ようとする降伏強度に応じて適宜調整する。つまり、本実施形態の化学組成を有する素管に対して、焼戻し温度を調整して、継目無鋼管の降伏強度を965MPa以上に調整する。なお、当業者であれば、焼戻し温度を調整して、継目無鋼管の降伏強度を965MPa以上に調整することは、当然に可能である。具体的に、本実施形態による焼戻し工程において、好ましい焼戻し温度は640~680℃である。
焼戻し時間が短すぎれば、焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイト主体のミクロ組織が得られない場合がある。一方、焼戻し時間が長すぎれば、上記効果は飽和する。したがって、本実施形態の焼戻し工程において、焼戻し時間は10~90分とするのが好ましい。焼戻し時間のより好ましい下限は15分である。焼戻し時間のより好ましい上限は80分である。
以上の製造方法によって、本実施形態による鋼材を製造することができる。なお、上述の製造方法では、一例として継目無鋼管の製造方法を説明した。しかしながら、本実施形態による鋼材は、鋼板や他の形状であってもよい。鋼板や他の形状の製造方法も、上述の製造方法と同様に、たとえば、準備工程と、焼入れ工程と、焼戻し工程とを備える。さらに、上述の製造方法は一例であり、他の製造方法によって製造されてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。
表1-1及び表1-2に示す化学組成を有する溶鋼を製造した。なお、表1-2中の「-」は、各元素の含有量が不純物レベルであることを意味する。具体的に、鋼AのCu含有量、Ni含有量、及び、W含有量は、小数第三位を四捨五入して、0%であったことを意味する。さらに、鋼AのCa含有量、Mg含有量、Zr含有量、及び、希土類元素(REM)含有量は、小数第五位を四捨五入して、0%であったことを意味する。
上記溶鋼を用いて、連続鋳造法によって丸ビレットを製造した。連続鋳造法において、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を導入する際、タンディッシュの開口部上方に、底面の無い錐体状に加工した金属板を、取鍋のノズルの直下に頂点が来るように配置した。タンディッシュの開口部上方に、上記形状の金属板を配置したか否かを、表2に示す。具体的に、タンディッシュの開口部上方に、上記形状の金属板を配置した場合、表2の「金属板」欄に「A」と示す。タンディッシュの開口部上方に、上記形状の金属板を配置しなかった場合、表2の「金属板」欄に「B」と示す。なお、タンディッシュの開口部上方に配置した、上記形状の金属板は、アルミニウム板とした。具体的に、厚さ2mmのアルミニウム板を3枚重ねて使用した。また、金属板を配置した場合、ノズルからSi酸化物が排出された後、溶鋼が排出される前に、先端にフックの形成された棒を用いてノズルの下方から金属板を除去した。
製造した各試験番号の丸ビレットを1250℃で1時間保持した後、マンネスマン-マンドレル方式による熱間圧延を実施して、各試験番号の素管(継目無鋼管)を製造した。さらに、得られた各試験番号の素管に対して、焼入れを実施した。具体的には、各試験番号の素管を、表2の「焼入れ工程」欄に記載の温度(℃)で時間(分)だけ保持した後、シャワー水冷による焼入れを実施した。また、試験番号5については、上述の焼入れを実施した後、900℃で10分だけ保持した後、シャワー水冷による焼入れをさらに実施した。なお、各試験番号において、焼入れ時冷却速度CR800-500は、いずれも480~30000℃/分の範囲内であった。ここで、焼入れ工程の温度(℃)は、素管を加熱した熱処理炉の温度(℃)とした。さらに、焼入れ工程の時間(分)は、素管を焼入れ温度で保持した時間(分)とした。
得られた各試験番号の素管に対して、焼戻しを実施した。具体的には、各試験番号の素管を、表2の「焼戻し工程」欄に記載の温度(℃)で時間(分)だけ保持する焼戻しを実施した。ここで、表2に記載の焼戻しの温度(℃)は、素管を加熱した焼戻し炉の温度(℃)とした。さらに、表2に記載の焼戻しの時間(分)は、素管を焼戻し温度で保持した時間(分)とした。以上の製造工程により、各試験番号の継目無鋼管を得た。
[評価試験]
上記の焼戻し後の各試験番号の継目無鋼管に対して、以下に説明する引張試験、粗大Si酸化物の個数密度測定試験、及び、耐水素脆化特性評価試験を実施した。
[引張試験]
各試験番号の継目無鋼管に対して、引張試験を実施して、降伏強度を求めた。引張試験はASTM E8/E8M(2021)に準拠して行った。各試験番号の継目無鋼管の肉厚中央部から、平行部直径8.9mm、標点距離35.6mmの丸棒試験片を作製した。丸棒試験片の軸方向は、継目無鋼管の管軸方向と平行であった。作製した丸棒試験片を用いて、常温(25℃)、大気中にて引張試験を実施して、各試験番号の継目無鋼管の降伏強度(MPa)を得た。なお、本実施例では、引張試験で得られた0.65%伸び時の応力(0.65%耐力)を、降伏強度と定義した。得られた降伏強度(MPa)を「YS(MPa)」として表3に示す。
[粗大Si酸化物の個数密度測定試験]
各試験番号の継目無鋼管に対して、粗大Si酸化物の個数密度測定試験を実施して、長径5.0μm以上のSi酸化物(粗大Si酸化物)の個数密度を求めた。各試験番号の継目無鋼管の肉厚中央部から作製した試験片を用いて、上述の方法で、粗大Si酸化物の個数密度を求めた。得られた粗大Si酸化物の個数密度(個/200mm2)を、表3の「粗大Si酸化物(個/200mm2)」欄に示す。
[耐水素脆化特性評価試験]
各試験番号の継目無鋼管の肉厚中央部から、環状切欠き付き丸棒試験片を2つ作製した。各試験片の平行部の外径は4.0mmであり、平行部の長さは25mmであり、平行部の長手方向中央位置には、環状ノッチを形成した。切欠き形状では、切欠きの深さが0.3mm、切欠き角度が60°であり、切欠き底の曲率半径が0.125mmであった。なお、丸棒試験片の軸方向は、継目無鋼管の圧延方向(管軸方向)と平行になるように丸棒試験片を作製した。
陰極水素チャージ法により、2つの環状切欠き付き丸棒試験片のうちの一方に対して、水素をチャージした。具体的には、常温の陰極水素チャージ溶液を準備した。陰極水素チャージ溶液は、常温の5質量%の塩化ナトリウム水溶液、30g/LのNH4SCN、及び、酢酸緩衝液を含有する水溶液とし、酢酸緩衝液により、試験前のpHをpH3.5に調整した。
陰極水素チャージ溶液に環状切欠き丸棒試験片を浸漬した状態で、電位を-1.5V、チャージ時間を24時間として、環状切欠き付き丸棒試験片に水素をチャージした。つまり、水素をチャージすることにより、サワー環境を模擬した。水素がチャージされた環状切欠き付き丸棒試験片の表面に、各試験番号で同じ条件で亜鉛めっき被膜を形成し、環状切欠き付き丸棒試験片内の水素が外部に漏れないようにした。なお、もう1つの環状切欠き付き丸棒試験片については、水素をチャージしなかった。
亜鉛めっき被膜が形成された環状切欠き付き丸棒試験片に対して、低ひずみ速度試験機(SSRT)を用いて、常温、大気中において、4.2×10-6/秒のひずみ速度で引張試験を実施し、水素環境中の破断応力BS1(MPa)を求めた。
さらに、各試験番号の水素をチャージしなかった環状切欠き付き丸棒試験片に対して、低ひずみ速度試験機(SSRT)を用いて、常温、大気中において、4.2×10-6/秒のひずみ速度で引張試験を実施し、大気中の破断応力BS0(MPa)を求めた。
得られた大気中の破断応力BS0(MPa)を、表3中の「ノッチ付き引張試験結果」欄の「大気中BS0(MPa)」欄に示す。得られた水素環境中の破断応力BS1(MPa)を、表3中の「ノッチ付き引張試験結果」欄の「水素環境中BS1(MPa)」欄に示す。大気中の破断応力BS0(MPa)及び水素環境中の破断応力BS1(MPa)から求めた、相対破断応力(BS1/BS0)を、表3に示す。
[評価結果]
表1-1、表1-2、表2、及び、表3を参照して、試験番号1~17の継目無鋼管の化学組成は適切であり、製造方法も上述の好ましい条件を満たしていた。その結果、これらの継目無鋼管は、降伏強度が965MPa以上であり、さらに、粗大Si酸化物の個数密度が5個/200mm2以下であった。その結果、これらの継目無鋼管は、耐水素脆化特性評価試験において、相対破断応力が0.85以上となった。すなわち、試験番号1~17の継目無鋼管は、965MPa以上の降伏強度と、優れた耐水素脆化特性とを両立していた。なお、これらの継目無鋼管は、ミクロ組織において、焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの体積率の合計が90%以上であると判断した。
試験番号18~22の継目無鋼管は、製鋼工程において金属板を使用しなかった。その結果、これらの継目無鋼管は、粗大Si酸化物の個数密度が5個/200mm2を超えた。その結果、これらの継目無鋼管は、耐水素脆化特性評価試験において、相対破断応力が0.85未満となり、優れた耐水素脆化特性を有していなかった。
試験番号23の継目無鋼管は、O含有量が高すぎた。その結果、この継目無鋼管は、耐水素脆化特性評価試験において、相対破断応力が0.85未満となり、優れた耐水素脆化特性を有していなかった。
試験番号24の継目無鋼管は、Mo含有量が低すぎた。その結果、この継目無鋼管は、耐水素脆化特性評価試験において、相対破断応力が0.85未満となり、優れた耐水素脆化特性を有していなかった。
試験番号25の継目無鋼管は、S含有量が高すぎた。その結果、この継目無鋼管は、耐水素脆化特性評価試験において、相対破断応力が0.85未満となり、優れた耐水素脆化特性を有していなかった。
以上、本開示の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。したがって、本開示は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。

Claims (3)

  1. 鋼材であって、
    質量%で、
    C:0.15~0.45%、
    Si:0.05~1.00%、
    Mn:0.05~1.00%、
    P:0.030%以下、
    S:0.0050%以下、
    Al:0.005~0.100%、
    Cr:0.30~1.50%、
    Mo:0.40~2.00%、
    Ti:0.002~0.020%、
    Nb:0.002~0.100%、
    V:0.05~0.30%、
    B:0.0005~0.0040%、
    N:0.0100%以下、
    O:0.0040%以下、
    Cu:0~0.50%、
    Ni:0~0.50%、
    W:0~0.50%、
    Ca:0~0.0100%、
    Mg:0~0.0100%、
    Zr:0~0.0100%、
    希土類元素:0~0.0100%、及び、
    残部がFe及び不純物からなり、
    降伏強度が965MPa以上であり、
    前記鋼材のミクロ組織において、焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの体積率の合計が90%以上であり、
    前記鋼材中において、
    質量%で、Si含有量が20%以上であり、O含有量が10%以上であり、長径が5.0μm以上のSi酸化物の個数密度が、5個/200mm以下である、
    鋼材。
  2. 請求項1に記載の鋼材であって、
    Cu:0.01~0.50%、
    Ni:0.01~0.50%、
    W:0.01~0.50%、
    Ca:0.0001~0.0100%、
    Mg:0.0001~0.0100%、
    Zr:0.0001~0.0100%、及び、
    希土類元素:0.0001~0.0100%からなる群から選択される1元素以上を含有する、
    鋼材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の鋼材であって、
    前記鋼材は継目無鋼管である、
    鋼材。
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