以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るトイレシステムを示す全体図であり、図2は、本発明の第1の実施形態において省エネ運転モードのうち直接排水運転で使用する場合を示す説明図であり、図3は、本発明の第1の実施形態において省エネ運転モードのうち限定処理運転で使用する場合を示す説明図であり、図4は、本発明の第1の実施形態において自己処理循環モードで使用する場合を示す説明図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係るトイレシステム100は、水タンク2を備える便器3と、便器3からの排水を微生物によって浄水処理する処理槽30と、を備える。
水タンク2は、上水道からの上水を水タンク2へ供給する給水路1と、処理槽30によって浄水処理された処理水を水タンク2へ供給する返水路40に接続されている。また、水タンク2は、便器3を1回洗浄するのに必要な水量の洗浄水を貯留することができる。水タンク2に貯留された洗浄水は、水タンク2に備えられたフラッシュバルブ51を操作することによって便器3に流され、排泄物を下流工程へ流し出す。
便器3は、水タンク2から流し出された洗浄水の排水を行う排水路20に接続されている。また、便器3には、排水の水素イオン濃度指数を測定するpHセンサを設置しても構わない。
排水路20は下水道につながる下水側排水路21と、処理槽30につながる循環側排水路22とに分岐されている。
下水側排水路21と循環側排水路22との分岐部には、排水の経路を切り替える排水切替バルブ10が設けられ、排水切替バルブ10は、第1排水バルブ11と第2排水バルブ12とを備える。
第1排水バルブ11は、下水側排水路21側に設けられ、下水側排水路21の連通と遮断の切換を行う。
第2排水バルブ12は、循環側排水路22側に設けられ、循環側排水路22の連通と遮断の切換を行う。
なお、本実施形態において、第1排水バルブ11と第2排水バルブ12とは、一体の三方弁で構成されてもよく、または、第1排水バルブ11と第2排水バルブ12とがそれぞれ独立して設置されるボール弁であっても構わない。
排水切替バルブ10は、第1排水バルブ11を開弁し第2排水バルブ12を閉弁した直接排水運転と、第1排水バルブ11を閉弁し第2排水バルブ12を開弁した限定処理運転とを、後述する排水切替手段によって切替可能に構成されている。
処理槽30は、微生物によって便器3から流入した排水に含まれる有機物を分解し、浄水処理を行う機能を備える。本実施形態において、有機物を分解する微生物としては、一例として、ズーグレア、シュードモナス、バチルス等の多種類の細菌が用いられ、その他、ツリガネ虫やワムシ等の原生動物が含まれていても構わない。このような微生物による浄水処理を行うためには、微生物の活性状態を保つため、処理槽30内への酸素の供給や、浄水処理を行う排水の水温管理等が重要となる。そのため、処理槽30は、処理槽30内の排水に空気を供給する散気管34と、処理槽30内の雰囲気温度と水温管理のための温度センサ53を備える。
散気管34は、例えば処理槽30の槽底部付近に設置され、空気を微細な気泡として供給する。散気管34は、散気管34に空気を供給するブロワ33に接続されている。
また、処理槽30は、温度センサ53によって処理槽30内の雰囲気温度、または排水温度の低下が検知された際に使用されるヒーターを備える。
また、処理槽30は、処理槽30内に流入する排水量や、浄水処理後の汚泥の量を管理する重量センサ54を備える。その他にも、処理槽30には、例えば、処理槽30内の臭気強度の度合いを管理する臭気センサや、処理槽30内の微生物による浄水処理能力を管理するために、水中の酸素濃度を測定する溶存酸素計や、水中の水素イオン濃度指数を測定するpHセンサ等を設置しても構わない。
また、処理槽30は、返水路40を介して浄水処理後の処理水を水タンク2に汲み上げる循環ポンプ36を備える。なお、循環ポンプ36によって汲み上げられる処理水は、微生物によって排水中の有機物を分解させた後に、汚泥と分離された上澄み液である。
また、処理槽30は下水側排水路21に接続される処理槽排水路32及び、この処理槽排水路32の連通と遮断を行う処理槽排水バルブ31を備える。
なお、本実施形態において、処理槽30は、一例として、排水内に空気を送らず撹拌し汚泥に含まれるリンを放出させる嫌気槽や、窒素の除去を行う無酸素槽、微生物によって排水内の有機物を分解する曝気槽、曝気槽で分解された処理水を自然沈降によって汚泥と上澄み液とに分離する沈殿槽等に分かれていてもよく、また、物理ろ過装置等が設置されていても構わない。
また、処理槽30は、一例として、杉などのチップ材を敷き詰めて、やや乾燥した状態で有機物を微生物によって分解させる反応槽と、反応槽を通過した水分を貯留する貯水尾槽と、から構成されていても構わない。なお、処理槽30は、このような反応槽と貯水槽を、上述した嫌気槽や曝気槽等と組み合わせて構成されていても構わない。
また、トイレシステム100には、後述する直接排水運転と限定処理運転とを切り替える排水切替手段の一つとして使用されるタイマーを備える。
次に、本実施形態のトイレシステム100の使用方法について説明を行う。
本実施形態のトイレシステム100は、上下水道が確保されている平常時に使用される省エネ運転モードと、災害などで上下水道が途絶した際に使用される自己処理循環モードとの二通りの使用が可能である。
まず、省エネ運転モードについて説明を行う。本実施形態における省エネ運転モードでは、直接排水運転と限定処理運転との二通りの運転方法によって使用される。
直接排水運転においては、排水切替バルブ10の第1排水バルブ11を開弁し、第2排水バルブ12を閉弁させる。また、処理槽排水バルブ31を閉弁させる。この時、循環ポンプ36は停止状態にしておく。
上記の直接排水運転の状態では、図2に示すような流路が形成され、上水道から水タンク2に供給された上水は、便器3を洗浄した後に直接下水道に排水される。
すなわち、直接排水運転においては、上水道から、給水路1、水タンク2、便器3、排水路20、第1排水バルブ11、下水側排水路21を経由し下水道に至る流路を有する。
一方、限定処理運転においては、排水切替バルブ10の第1排水バルブ11を閉弁し、第2排水バルブ12を開弁させる。また、処理槽排水バルブ31を開弁させる。この時、循環ポンプ36は停止状態にしておく。
上記の限定処理運転の状態では、図3に示すような流路が形成され、上水道から水タンク2に供給された上水は、便器3を洗浄した後に処理槽30を経由して下水道に排水される。
すなわち、限定処理運転においては、上水道から、給水路1、水タンク2、便器3、排
水路20、第2排水バルブ12、循環側排水路22、処理槽30、処理槽排水バルブ31、処理槽排水路32、下水側排水路21を経由し下水道に至る流路を有する。
このように、限定処理運転においては、便器3からの排水を処理槽30に流入させることで、浄水処理を行う際に微生物が増殖するのに必要な栄養源を供給することができる。またこの時、処理槽30に設置された温度センサ53や臭気センサ、溶存酸素計の測定値から判断される微生物の活性状態に応じて、ヒーターによる水温調整や、ブロワ33と散気管34による酸素の供給を適宜行っても構わない。
なお、本実施形態のトイレシステム100は、省エネ運転モードにおいて、直接排水運転と限定処理運転とが自動的に切り替わる排水切替手段を有しており、排水切替手段として、以下に述べる方法を備える。
排水切替手段は、一例として、省エネ運転モードで使用中のフラッシュバルブ51の操作回数によって、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、フラッシュバルブ51の操作回数が2回より多く操作された場合に、直接排水運転と限定処理運転とを1回切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、処理槽30に設けられた重量センサ54によって、処理槽30内の排水や汚泥の量を管理し、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、処理槽30内の重量が満水状態での重量に対して5割以下の重量となるように管理され、直接排水運転と限定処理運転とを切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、処理槽30に設けられた温度センサ53によって、処理槽30内の微生物の活性状態を判断し、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、処理槽30内の雰囲気温度が30度未満の場合には限定処理運転をさせ、30度以上の場合には直接排水運転となるように切り替えると好適である。また、例えば、処理槽30内の排水温度が15度未満の場合には限定処理運転をさせ、15度以上の場合には直接排水運転となるように切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、タイマーによって一定時間経過後に、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、トイレシステム100の使用時間に対して5割以下の時間が限定処理運転となるように、直接排水運転と限定処理運転とを切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、処理槽30に設けられた臭気センサによって臭気強度を判断し、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、処理槽30内の臭気強度が高くなった場合には限定処理運転をさせ、臭気強度が異常値を超えないように、直接排水運転と限定処理運転とを切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、便器3または処理槽30に設けられたpHセンサによって排水の液性を判断し、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、便器3の清掃時に洗剤等が使用された場合には直接排水運転をさせ、処理槽30内へ微生物に悪影響を与えるものが混入しないように、直接排水運転と限定処理運転とを切り替えると好適である。
なお、これらの排水切替手段は、上記に示す方法の一つのみを使用してもよく、複数を組み合わせて使用しても構わない。また、任意のタイミングで手動によって直接排水運転と限定処理運転とを切り替えても構わない。
上記のように、省エネ運転モードでは、直接排水運転と限定処理運転が自動的に切り替わることで、便器3からの排水を全量浄水処理するのではなく、排水の一部について限定的に浄水処理が行われる。このため、処理槽30内の微生物の活性状態は維持されるが、過度な浄水処理を抑制することができ、消費エネルギーを低減することが可能である。
次に、自己処理循環モードについて説明を行う。
自己処理循環モードにおいては、排水切替バルブ10の第1排水バルブ11を閉弁し第2排水バルブ12を開弁させる。また、処理槽排水バルブ31を閉弁させる。この時、循環ポンプ36は稼働状態になっており、水タンク2に貯留された洗浄水が使用され、水タンク2内の水位が低下した際には、処理槽30にて浄水処理された処理水が返水路40を介して水タンク2へ供給される。
なお、自己処理循環モードにおいては、上水道からの上水は途絶しており、給水路1から水タンク2への上水の供給は行われない。
上記の自己処理循環モードの状態では、図4に示すような流路が形成される。図4に示すように、水タンク2に貯留された洗浄水は、便器3を洗浄した後に処理槽30に流入し浄水処理される。浄水処理によって得られた処理水は、循環ポンプ36によって水タンク2に供給され、再度洗浄水として使用される。
また、自己処理循環モードにおいては、処理槽30に設置されたヒーターやブロワ33を稼働状態にさせ、処理槽30内の微生物による浄水処理能力が下がらないよう適宜管理される。
本実施形態において、上述した省エネ運転モードと自己処理循環モードとは、給水路1の圧力低下や、非常用電源への切替りを検知した際に自動的に切り替わる。このため、災害等が発生し上下水道が途絶した場合であっても、即座に自己処理循環モードでのトイレシステムの使用が可能である。
また、上述の通り平常時での省エネ運転モードにおいて、常に処理槽30内の微生物は活性状態に保たれているため、自己処理循環モードに切り替わった際にも、即座に浄水処理能力を発揮することが可能である。
[第2の実施形態]
以上説明した第1の実施形態に係るトイレシステム100は、一つの処理槽30によって浄水処理を行い、省エネ運転モードと自己処理循環モードとを切り替えて使用できるトイレシステムについて説明を行った。次に説明する第2の実施形態に係るトイレシステム200は、第1の実施形態と異なる構成を有するトイレシステムについて説明を行う。なお、上述した第1の実施形態と同一または類似する構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係るトイレシステムを示す全体図であり、図6は、本発明の第2の実施形態において省エネ運転モードのうち直接排水運転で使用する場合を示す説明図であり、図7は、本発明の第2の実施形態において省エネ運転モードのうち限定処理運転で使用する場合を示す説明図であり、図8は、本発明の第2の実施形態において自己処理循環モードで使用する場合を示す説明図である。
図5に示すように、第2の実施形態に係るトイレシステム200は、水タンク2を備える便器3と、便器3からの排水を微生物によって浄水処理する第1処理槽60及び第2処理槽70と、を備える。
便器3から排水路20を介して接続される排水切替バルブ10は、第1の実施形態と同様に、第1排水バルブ11と第2排水バルブ12を備え、第1排水バルブ11を開弁し第2排水バルブ12を閉弁した直接排水運転と、第1排水バルブ11を閉弁し第2排水バル
ブ12を開弁した限定処理運転とを、後述する排水切替手段によって切替可能に構成されている。
なお、本実施形態において、第1排水バルブ11と第2排水バルブ12とは、一体の三方弁で構成されてもよく、または、第1排水バルブ11と第2排水バルブ12とがそれぞれ独立して設置されるボール弁であっても構わない。
第1処理槽60及び第2処理槽70は、微生物によって便器3から流入した排水に含まれる有機物を分解し、浄水処理を行う機能を備える。本実施形態において、有機物を分解する微生物としては、一例として、ズーグレア、シュードモナス、バチルス等の多種類の細菌が用いられ、その他、ツリガネ虫やワムシ等の原生動物が含まれていても構わない。このような微生物による浄水処理を行うためには、微生物の活性状態を保つため、第1処理槽60及び第2処理槽70内への酸素の供給や、浄水処理を行う排水の水温管理等が重要となる。そのため、第1処理槽60は、第1処理槽60内の排水に空気を供給する散気管64と、第1処理槽60内の雰囲気温度と水温管理のための温度センサ153を備え、第2処理槽70は、第2処理槽70内の排水に空気を供給する散気管74と、第2処理槽70内の雰囲気温度と水温管理のための温度センサ253を備える。
散気管64及び散気管74は、例えば第1処理槽60及び第2処理槽70の槽底部付近にそれぞれ設置され、空気を微細な気泡として供給する。散気管64及び散気管74は、それぞれの散気管に空気を供給するブロワ63、73に接続されている。なお、散気管64及び散気管74は、それぞれ独立させて空気の供給と停止が可能であっても、両方同時に空気の供給と停止が可能であっても構わない。したがって、散気管64及び散気管74に接続されるブロワは、それぞれ独立した二つのブロワ63、73であってもよく、一つの共通のブロワを使用して、既知の切替手段によって空気の供給先を変更しても構わない。
また、第1処理槽60及び第2処理槽70内には、温度センサ153及び温度センサ253によって、処理槽内の雰囲気温度、または排水温度の低下が検知された際に使用されるヒーターを備える。
また、第1処理槽60及び第2処理槽70は、処理槽内に流入する排水量や、浄水処理後の汚泥の量を管理する重量センサを備える。その他にも、第1処理槽60及び第2処理槽70には、例えば、第1処理槽60及び第2処理槽70内の臭気強度の度合いを管理する臭気センサや、微生物による浄水処理能力を管理するために、水中の酸素濃度を測定する溶存酸素計や、水中の水素イオン濃度指数を測定するpHセンサ等を設置しても構わない。
上述の通り、第1処理槽60及び第2処理槽70は、共に微生物による浄水処理機能を備えるが、浄水処理が可能な容量については、第1処理槽60の容量に対し第2処理槽70の容量の方が大きく設定されている。本実施形態において、第1処理槽60の容量は、例えば、第2処理槽70の容量の半分以下となるように構成される。
また、第1処理槽60は、処理槽間バルブ69を介して第2処理槽70と連通している。また、第1処理槽60は下水側排水路21に接続される第1処理槽排水路62及び、この第1処理槽排水路62の連通と遮断を行う第1処理槽排水バルブ61を備える。
第2処理槽70は、返水路40を介して浄水処理後の処理水を水タンク2に汲み上げる循環ポンプ76を備える。なお、循環ポンプ76によって汲み上げられる処理水は、微生物によって排水中の有機物を分解させた後に、汚泥と分離された上澄み液である。また、
第2処理槽70は下水側排水路21に接続される第2処理槽排水路72及び、この第2処理槽排水路72の連通と遮断を行う第2処理槽排水バルブ71を備える。
なお、本実施形態において、第1処理槽60及び第2処理槽70は、一例として、排水内に空気を送らず撹拌し汚泥に含まれるリンを放出させる嫌気槽や、窒素の除去を行う無酸素槽、微生物によって排水内の有機物を分解する曝気槽、曝気槽で分解された処理水を自然沈降によって汚泥と上澄み液とに分離する沈殿槽等に分かれていてもよく、また、物理ろ過装置等が設置されていても構わない。
また、第1処理槽60及び第2処理槽70は、一例として、杉などのチップ材を敷き詰めて、やや乾燥した状態で有機物を微生物によって分解させる反応槽と、反応槽を通過した水分を貯留する貯水槽と、から構成されていても構わない。なお、第1処理槽60及び第2処理槽70は、このような反応槽と貯水槽を、上述した嫌気槽や曝気槽等と組み合わせて構成されていても構わない。
また、トイレシステム200には、後述する直接排水運転と限定処理運転とを切り替える排水切替手段の一つとして使用されるタイマーを備える。
次に、本実施形態のトイレシステム200の使用方法について説明を行う。
本実施形態のトイレシステム200は、第1の実施形態に係るトイレシステム100と同様に、上下水道が確保されている平常時に使用される省エネ運転モードと、災害などで上下水道が途絶した際に使用される自己処理循環モードとの二通りの使用が可能である。
まず、省エネ運転モードについて説明を行う。本実施形態における省エネ運転モードでは、直接排水運転と限定処理運転との二通りの運転方法によって使用される。
直接排水運転においては、排水切替バルブ10の第1排水バルブ11を開弁し、第2排水バルブ12を閉弁させる。また、第1処理槽排水バルブ61、第2処理槽排水バルブ71及び処理槽間バルブ69を閉弁させる。この時、循環ポンプ76は停止状態にしておく。
上記の直接排水運転の状態では、図6に示すような流路が形成され、上水道から水タンク2に供給された上水は、便器3を洗浄した後に直接下水道に排水される。
すなわち、直接排水運転においては、上水道から、給水路1、水タンク2、便器3、排水路20、第1排水バルブ11、下水側排水路21を経由し下水道に至る流路を有する。
一方、限定処理運転においては、排水切替バルブ10の第1排水バルブ11を閉弁し、第2排水バルブ12を開弁させる。また、第1処理槽排水バルブ61を開弁させ、処理槽間バルブ69及び第2処理槽排水バルブ71を閉弁させる。この時、循環ポンプ76は停止状態にしておく。
上記の限定処理運転の状態では、図7に示すような流路が形成され、上水道から水タンク2に供給された上水は、便器3を洗浄した後に処理槽60を経由して下水道に排水される。
すなわち、限定処理運転においては、上水道から、給水路1、水タンク2、便器3、排水路20、第2排水バルブ12、循環側排水路22、処理槽60、第1処理槽排水バルブ61、第1処理槽排水路62、下水側排水路21を経由し下水道に至る流路を有する。
このように、限定処理運転においては、便器3からの排水を第1処理槽60に流入させることで、浄水処理を行う際に微生物が増殖するのに必要な栄養源を供給することができる。またこの時、処理槽60に設置された温度センサ153や臭気センサ、溶存酸素計の測定値から判断される微生物の活性状態に応じて、ヒーターによる水温調整や、ブロワ63による酸素の供給を適宜行っても構わない。
なお、本実施形態のトイレシステム200は、省エネ運転モードにおいて、直接排水運転と限定処理運転とが自動的に切り替わる排水切替手段を有しており、排水切替手段として、以下に述べる方法を備える。
排水切替手段は、一例として、省エネ運転モードで使用中のフラッシュバルブ51の操作回数によって、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、フラッシュバルブ51の操作回数が2回より多く操作された場合に、直接排水運転と限定処理運転とを1回切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、処理槽60に設けられた重量センサによって、処理槽60内の排水や汚泥の量を管理し、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、処理槽60内の重量が満水状態での重量に対して5割以下の重量となるように管理され、直接排水運転と限定処理運転とを切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、処理槽60に設けられた温度センサ153によって、処理槽60内の微生物の活性状態を判断し、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、処理槽60内の雰囲気温度が30度未満の場合には限定処理運転をさせ、30度以上の場合には直接排水運転となるように切り替えると好適である。また、例えば、処理槽60内の排水温度が15度未満の場合には限定処理運転をさせ、15度以上の場合には直接排水運転となるように切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、タイマーによって一定時間経過後に、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、トイレシステム200の使用時間に対して5割以下の時間が限定処理運転となるように、直接排水運転と限定処理運転とを切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、処理槽60に設けられた臭気センサによって臭気強度を判断し、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、処理槽60内の臭気強度が高くなった場合には限定処理運転をさせ、臭気強度が異常値を超えないように、直接排水運転と限定処理運転とを切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、便器3または処理槽60に設けられたpHセンサによって排水の液性を判断し、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、便器3の清掃時に洗剤等が使用された場合には直接排水運転をさせ、処理槽60内へ微生物に悪影響を与えるものが混入しないように、直接排水運転と限定処理運転とを切り替えると好適である。
なお、これらの排水切替手段は、上記に示す方法の一つだけを使用してもよく、複数を組み合わせて使用しても構わない。また、任意のタイミングで手動によって直接排水運転と限定処理運転とを切り替えても構わない。
上記のように、省エネ運転モードでは、直接排水運転と限定処理運転が自動的に切り替わることで、便器3からの排水を全量浄水処理するのではなく、排水の一部について限定的に浄水処理が行われる。このため、処理槽60内の微生物の活性状態は維持されるが、過度な浄水処理を抑制することができ、消費エネルギーを低減することが可能である。
次に、自己処理循環モードについて説明を行う。
自己処理循環モードにおいては、排水切替バルブ10の第1排水バルブ11を閉弁し第
2排水バルブ12を開弁させる。また、処理槽間バルブ69を開弁させ第1処理槽60と第2処理槽70とを連通させ、第1処理槽排水バルブ61と第2処理槽排水バルブ71を閉弁させる。この時、循環ポンプ76は稼働状態になっており、水タンク2に貯留された洗浄水が使用され、水タンク2内の水位が低下した際には、第1処理槽60及び第2処理槽70にて浄水処理された処理水が返水路40を介して水タンク2へ供給される。
なお、自己処理循環モードにおいては、上水道からの上水は途絶しており、給水路1から水タンク2への上水の供給は行われない。
上記の自己処理循環モードの状態では、図8に示すような流路が形成される。図8に示すように、水タンク2に貯留された洗浄水は、便器3を洗浄した後に第1処理槽60及び第2処理槽70に流入し浄水処理される。浄水処理によって得られた処理水は、循環ポンプ76によって水タンク2に供給され、再度洗浄水として使用される。
また、自己処理循環モードにおいては、第1処理槽60及び第2処理槽70に設置されたヒーターやブロワ63、73を稼働状態にさせ、第1処理槽60及び第2処理槽70内の微生物による浄水処理能力が下がらないよう適宜管理される。
本実施形態において、上述した省エネ運転モードと自己処理循環モードとは、給水路1の圧力低下や、非常用電源への切替りを検知した際に自動的に切り替わる。このため、災害等が発生し上下水道が途絶した場合であっても、即座にトイレシステムの自己処理循環モードでの使用が可能である。
また、上述の通り平常時での省エネ運転モードにおいて、常に第1処理槽60内の微生物は活性状態に保たれており、自己処理循環モードに切り替わった際、第2処理槽70に活性状態の微生物を含んだ排水が流れ込むことで、大容量の浄水処理能力を即座に発揮することが可能である。なお、省エネ運転モードにおいて第2処理槽70には、自己処理循環モードにて使用される洗浄水が貯留されている。この時貯留される洗浄水は、上水の他、雨水や井水であっても構わない。また、省エネ運転モードにおいて、第2処理槽70に貯留されている洗浄水は、腐敗防止のため定期的に交換がされると好適である。
また、省エネ運転モードにて浄水処理機能を稼働させる第1処理槽60の容量は、自己処理循環モードに切り替わった際に、第1処理槽60と第2処理槽70の両方で行う浄水処理を、即座に発揮させるために必要な微生物の量が確保できる最小限の容量で構わない。そのため、第1処理槽60内の微生物を活性状態にさせるためのヒーターやブロワ63は、必要最小限の出力のものを使用することができ、平常時の消費エネルギーを抑えることが可能である。
[第3の実施形態]
以上説明した第1、第2の実施形態に係るトイレシステム100、200は、一つのトイレについて使用されるトイレシステムについて説明を行った。次に説明する第3の実施形態に係るトイレシステム300は、第1、第2の実施形態と異なる構成を有するトイレシステムについて説明を行う。なお、上述した第1、第2の実施形態と同一または類似する構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図9は、本発明の第3の実施形態に係るトイレシステムを示す全体図であり、図10は、本発明の第3の実施形態において省エネ運転モードのうち直接排水運転で使用する場合を示す説明図であり、図11は、本発明の第3の実施形態において省エネ運転モードのうち限定処理運転で使用する場合を示す説明図であり、図12は、本発明の第3の実施形態において自己処理循環モードで使用する場合を示す説明図である。
図9に示すように、第3の実施形態に係るトイレシステム300は、住居用のマンションや商業ビルなどの複数階層を有する建物において使用されるトイレシステムであって、最上階に設置され洗浄水を貯留する高置水槽6と、高置水槽6へ上水道からの上水を汲み上げる上水汲み上げポンプ4と、最下階と同じ高さ又は最下階よりも低位置に設置され、浄水処理された処理水を貯留する貯水槽7と、貯水槽7に貯留された処理水を高置水槽6へ汲み上げる処理水汲み上げポンプ8と、各階層に設置されるトイレシステム300a、300b、300xと、階層を縦に貫通し、各階層のトイレシステムから出た排水を下水道へと運ぶ主排水路130と、を備える。
高置水槽6は、上水道からの上水が供給される揚水路5と、貯水槽7に貯留された処理水が供給される返水路9に接続されている。また、高置水槽6は、貯留された洗浄水を各階層に設置されるトイレシステムに供給する給水路80に接続されている。
揚水路5は、最上階に設置された高置水槽6へ揚水可能な上水汲み上げポンプ4に接続され、上水汲み上げポンプ4よりも上流側には、上水道の圧力低下を検知する圧力計55を備える。
給水路80は、最上階に位置するトイレシステム300aに接続される各階給水路81aと、階層を縦に貫通する階層連通給水路82とに分岐されている。
各階給水路81aと階層連通給水路82との分岐部には、洗浄水の経路を切り替える給水切替バルブ90が設けられ、給水切替バルブ90は、第1給水バルブ91aと第2給水バルブ92とを備える。
第1給水バルブ91aは、各階給水路81a側に設けられ、各階給水路81aの連通と遮断の切換を行う。
第2給水バルブ92は、階層連通給水路82側に設けられ、階層連通給水路82の連通と遮断の切換を行う。
また、階層連通給水路82は、図9に示すように、各階層に設置されるトイレシステムに接続される各階給水路81bへ分岐し、最下階の各階給水路81xに接続する。なお、図9においては省略するが、各階給水路81bは、複数階層の建物の最上階と最下階を除くすべての階層に設置されるトイレシステムに接続するように、階層連通給水路82から分岐されている。また、各階給水路81b、81xは、それぞれの給水路の連通と遮断の切替を行う給水バルブ91b、91xを備える。
各階に設置されるトイレシステムは、例えば最上階に設置されるトイレシステム300aを例にあげると、図9に示すように、水タンク2aを備える便器3aと、便器3aからの排水を微生物によって浄水処理する処理槽30aと、を備える。
水タンク2aは、高置水槽6からの洗浄水を水タンク2aへ供給する各階給水路81aに接続されている。また、水タンク2aは、便器3aを1回洗浄するのに必要な水量の洗浄水を貯留することができる。水タンク2aに貯留された洗浄水は、水タンク2aに備えられたフラッシュバルブを操作することによって便器3aに流され、排泄物を下流工程へ流し出す。
便器3aは、水タンク2aから流し出された洗浄水の排水を行う排水路20aに接続されている。また、便器3aには、排水の水素イオン濃度指数を測定するpHセンサを設置しても構わない。
排水路20aは主排水路130につながる下水側排水路21aと、処理槽30aにつながる循環側排水路22aとに分岐されている。
下水側排水路21aと循環側排水路22aとの分岐部には、排水の経路を切り替える排水切替バルブ10aが設けられ、排水切替バルブ10aは、第1排水バルブ11aと第2排水バルブ12aとを備える。
第1排水バルブ11aは、下水側排水路21a側に設けられ、下水側排水路21aの連通と遮断の切換を行う。
第2排水バルブ12aは、循環側排水路22a側に設けられ、循環側排水路22aの連通と遮断の切換を行う。
なお、本実施形態において、第1排水バルブ11aと第2排水バルブ12aとは、一体の三方弁で構成されてもよく、または、第1排水バルブ11aと第2排水バルブ12aとがそれぞれ独立して設置されるボール弁であっても構わない。
排水切替バルブ10aは、第1排水バルブ11aを開弁し第2排水バルブ12aを閉弁した直接排水運転と、第1排水バルブ11aを閉弁し第2排水バルブ12aを開弁した限定処理運転とを、後述する排水切替手段によって切替可能に構成されている。
処理槽30aは、微生物によって便器3aから流入した排水に含まれる有機物を分解し、浄水処理を行う機能を備える。本実施形態において、有機物を分解する微生物としては、一例として、ズーグレア、シュードモナス、バチルス等の多種類の細菌が用いられ、その他、ツリガネ虫やワムシ等の原生動物が含まれていても構わない。このような微生物による浄水処理を行うためには、微生物の活性状態を保つため、処理槽30a内への酸素の供給や、浄水処理を行う排水の水温管理等が重要となる。そのため、処理槽30aは、処理槽30a内の排水に空気を供給する散気管と、処理槽30a内の雰囲気温度と水温管理のための温度センサを備える。
処理槽30aに設置される散気管は、例えば処理槽30aの槽底部付近に設置され、空気を微細な気泡として供給する。散気管は、散気管に空気を供給するブロワに接続されている。
また、処理槽30a内には、温度センサによって処理槽30a内の雰囲気温度、または排水温度の低下が検知された際に使用されるヒーターを備える。
また、処理槽30aは、処理槽30a内に流入する排水量や、浄水処理後の汚泥の量を管理する重量センサを備える。その他にも、処理槽30aには、例えば、処理槽30a内の臭気強度の度合いを管理する臭気センサや、処理槽30a内の微生物による浄水処理能力を管理するために、水中の酸素濃度を測定する溶存酸素計や、水中の水素イオン濃度指数を測定するpHセンサ等を設置しても構わない。
処理槽30aは、処理槽30a内で浄水処理された処理水を下流工程へと送る処理槽排水路110aに接続される。なお、下流工程へと送られる処理水は、微生物によって排水中の有機物を分解させた後に、汚泥と分離された上澄み液である。
処理槽排水路110aは主排水路130につながる下水側処理槽排水路111aと、下階のトイレシステム300bの水タンク2bに接続する循環側処理槽排水路112aとに
分岐されている。
下水側処理槽排水路111aと循環側処理槽排水路112aとの分岐部には、排水の経路を切り替える処理槽排水切替バルブ120aが設けられ、処理槽排水切替バルブ120aは、第1処理槽排水バルブ121aと第2処理槽排水バルブ122aとを備える。
第1処理槽排水バルブ121aは、下水側処理槽排水路111a側に設けられ、下水側処理槽排水路111aの連通と遮断の切換を行う。
第2処理槽排水バルブ122aは、循環側処理槽排水路112a側に設けられ、循環側処理槽排水路112aの連通と遮断の切換を行う。
なお、本実施形態において、第1処理槽排水バルブ121aと第2処理槽排水バルブ122aとは、一体の三方弁で構成されてもよく、または、第1処理槽排水バルブ121aと第2処理槽排水バルブ122aとがそれぞれ独立して設置されるボール弁であっても構わない。
処理槽排水切替バルブ120aは、第1処理槽排水バルブ121aと第2処理槽排水バルブ122aを両方とも閉弁した直接排水運転と、第1処理槽排水バルブ121aを開弁し第2処理槽排水バルブ122aを閉弁した限定処理運転とを、後述する排水切替手段によって切替可能に構成されている。
本実施形態における最上階に設置されるトイレシステム300aは、上記のように構成される。なお、最上階よりも下階に位置するトイレシステム300bは、最上階に設置されるトイレシステム300aに対し、上階の処理槽で得られた処理水を供給する循環側処理槽排水路112aが水タンク2bに接続されている点において異なり、その他の構成は同様である。
また、最下層に設置されるトイレシステム300xは、最上階に設置されるトイレシステム300aに対して、上記の相違点に加え、循環側処理槽排水路112xが貯水槽7に接続される点において異なり、その他の構成は同様である。
貯水槽7は、最下階と同じ高さ又は最下階よりも低位置に設置され、最下階の処理槽30xで浄水処理された処理水を貯留する。また、貯水槽7は、階層を縦に貫通する返水路9を介して貯留された処理水を高置水槽6へ汲み上げる処理水汲み上げポンプ8を備える。
なお、本実施形態において、各階層に設置される処理槽30a、30b、30xは、一例として、排水内に空気を送らず撹拌し汚泥に含まれるリンを放出させる嫌気槽や、窒素の除去を行う無酸素槽、微生物によって排水内の有機物を分解する曝気槽、曝気槽で分解された処理水を自然沈降によって汚泥と上澄み液とに分離する沈殿槽等に分かれていてもよく、また、物理ろ過装置等が設置されていても構わない。
また、各階層に設置される処理槽30a、30b、30xは、一例として、杉などのチップ材を敷き詰めて、やや乾燥した状態で有機物を微生物によって分解させる反応槽と、反応槽を通過した水分を貯留する貯水槽と、から構成されていても構わない。なお、各階層に設置される処理槽30a、30b、30xは、このような反応槽と貯水槽を、上述した嫌気槽や曝気槽等と組み合わせて構成されていても構わない。
また、トイレシステム300には、後述する直接排水運転と限定処理運転とを切り替え
る排水切替手段の一つとして使用されるタイマーを備える。
次に、本実施形態のトイレシステム300の使用方法について説明を行う。
本実施形態のトイレシステム300は、第1、第2の実施形態に係るトイレシステム100、200と同様に、上下水道が確保されている平常時に使用される省エネ運転モードと、災害などで上下水道が途絶した際に使用される自己処理循環モードとの二通りの使用が可能である。
まず、省エネ運転モードについて説明を行う。本実施形態における省エネ運転モードでは、直接排水運転と限定処理運転との二通りの運転方法によって使用される。
直接排水運転においては、給水切替バルブ90の第1給水バルブ91a、第2給水バルブ92及び各階層の給水バルブ91b、91xを開栓させる。また、排水切替バルブ10a、10b、10xの第1排水バルブ11a、11b、11xを開弁し、第2排水バルブ12a、12b、12xを閉弁させる。また、処理槽排水切替バルブ120a、120b、120xの第1処理槽排水バルブ121a、121b、121x及び第2処理槽排水バルブ122a、122b、122xを閉弁させる。この時、処理水汲み上げポンプ8は停止状態にしておく。
上記の直接排水運転の状態では、図10に示すような流路が形成され、上水道から高置水槽6に貯留された上水は、各階層のトイレシステムの水タンク2a、2b、2xに供給され、便器3a、3b、3xを洗浄した後に主排水路130を介し、直接下水道に排水される。
一方、限定処理運転においては、給水切替バルブ90の第1給水バルブ91a、第2給水バルブ92及び各階層の給水バルブ91b、91xを開栓させる。また、排水切替バルブ10a、10b、10xの第1排水バルブ11a、11b、11xを閉弁し、第2排水バルブ12a、12b、12xを開弁させる。また、処理槽排水切替バルブ120a、120b、120xの第1処理槽排水バルブ121a、121b、121xを開弁し、第2処理槽排水バルブ122a、122b、122xを閉弁させる。この時、処理水汲み上げポンプ8は停止状態にしておく。
上記の限定処理運転の状態では、図11に示すような流路が形成され、上水道から高置水槽6に貯留された上水は、各階層のトイレシステムの水タンク2a、2b、2xに供給され、便器3a、3b、3xを洗浄した後に処理槽30a、30b、30xを経由して、主排水路130を介し下水道に排水される。
このように、限定処理運転においては、便器3a、3b、3xからの排水を各階層の処理槽30a、30b、30xに流入させることで、浄水処理を行う際に微生物が増殖するのに必要な栄養源を供給することができる。またこの時、処理槽30a、30b、30xに設置された温度センサや臭気センサ、溶存酸素計の測定値から判断される微生物の活性状態に応じて、ヒーターによる水温調整や、ブロワによる酸素の供給を適宜行っても構わない。
なお、本実施形態のトイレシステム300は、省エネ運転モードにおいて、直接排水運転と限定処理運転とが自動的に切り替わる排水切替手段を有しており、排水切替手段として、以下に述べる方法を備える。
排水切替手段は、一例として、省エネ運転モードで使用中のフラッシュバルブの操作回
数によって、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、各階層のトイレシステムにおいて、フラッシュバルブの操作回数が2回より多く操作された場合に、直接排水運転と限定処理運転とを1回切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、処理槽30a、30b、30xに設けられた重量センサによって、処理槽30a、30b、30x内の排水や汚泥の量を管理し、必要に応じて直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、処理槽内の重量が満水状態での重量に対して5割以下の重量となるように管理され、直接排水運転と限定処理運転とを切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、処理槽30a、30b、30xに設けられた温度センサによって、処理槽30a、30b、30x内の微生物の活性状態を判断し、必要に応じて直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、処理槽内の雰囲気温度が30度未満の場合には限定処理運転をさせ、30度以上の場合には直接排水運転となるように切り替えると好適である。また、例えば、処理槽内の排水温度が15度未満の場合には限定処理運転をさせ、15度以上の場合には直接排水運転となるように切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、タイマーによって一定時間経過後に、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、各階層のトイレシステムの使用時間に対して5割以下の時間が限定処理運転となるように、直接排水運転と限定処理運転とを切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、処理槽に設けられた臭気センサによって臭気強度を判断し、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、処理槽内の臭気強度が高くなった場合には限定処理運転をさせ、臭気強度が異常値を超えないように、直接排水運転と限定処理運転とを切り替えると好適である。
また、排水切替手段は、一例として、便器または処理槽に設けられたpHセンサによって排水の液性を判断し、直接排水運転と限定処理運転とを自動的に切り替える。この場合、例えば、便器の清掃時に洗剤等が使用された場合には直接排水運転をさせ、処理槽内へ微生物に悪影響を与えるものが混入しないように、直接排水運転と限定処理運転とを切り替えると好適である。
なお、このような直接排水運転と限定処理運転との切り替えは、各階層に設置された処理槽の状態に合わせ、各階層ごとのトイレシステムについて切り替えてもよく、建物全体のトイレシステムについて同時に切り替えても構わない。
また、これらの排水切替手段は、上記に示す方法の一つだけを使用してもよく、複数を組み合わせて使用しても構わない。また、任意のタイミングで手動によって直接排水運転と限定処理運転とを切り替えても構わない。
上記のように、省エネ運転モードでは、直接排水運転と限定処理運転が自動的に切り替わることで、便器3a、3b、3xからの排水を全量浄水処理するのではなく、排水の一部について限定的に浄水処理が行われる。このため、処理槽30a、30b、30x内の微生物の活性状態は維持されるが、過度な浄水処理を抑制することができ、消費エネルギーを低減することが可能である。
次に、自己処理循環モードについて説明を行う。
自己処理循環モードにおいては、給水切替バルブ90の第1給水バルブ91a及び第2給水バルブ92を開栓させ、各階層の給水バルブ91b、91xを閉栓させる。また、排水切替バルブ10a、10b、10xの第1排水バルブ11a、11b、11xを閉弁し第2排水バルブ12a、12b、12xを開弁させる。また、処理槽排水切替バルブ120a、120b、120xの第1処理槽排水バルブ121a、121b、121xを閉弁させ、第2処理槽排水バルブ122a、122b、122xを開弁させる。この時、処理
水汲み上げポンプ8は稼働状態になっており、高置水槽6に貯留された洗浄水が使用され、高置水槽6内の水位が低下した際には、貯水槽7に貯留された処理水が返水路9を介して高置水槽6へ供給される。
なお、自己処理循環モードにおいては、上水道からの上水は途絶しており、揚水路5から高置水槽6への上水の供給は行われない。
上記の自己処理循環モードの状態では、図12に示すような流路が形成される。図12に示すように、最下階以外の各階層の便器3a、3bを洗浄した排水は、各階層のトイレシステムに設置される処理槽30a、30bに流入し、浄水処理された後、処理水として下階の水タンク2b、2xへ供給され、再度洗浄水として使用される。最下階のトイレシステム300xにおいては、便器3xを洗浄した排水は、処理槽30xに流入し、浄水処理された後、処理水として貯水槽7に供給される。
なお、各階層のトイレシステムの使用回数にばらつきが生じ、上階からの処理水の供給量が不足するような場合には、洗浄水の循環量のバランスを保つため、各階層の給水バルブ91b、91xを開栓させ、高置水槽6に貯留される洗浄水を各階層の水タンク2b、2xに供給しても構わない。
また、自己処理循環モードにおいては、各階層に設置された処理槽30a、30b、30xに備わるヒーターやブロワを稼働状態にさせ、処理槽30a、30b、30x内の微生物による浄水処理能力が下がらないよう適宜管理される。
本実施形態において、省エネ運転モードと自己処理循環モードとは、上水道の圧力低下を圧力計55によって検知した場合や、非常用電源への切替りを検知した際に自動的に切り替わる。このため、災害等が発生し上下水道が途絶した場合であっても、即座にトイレシステムの自己処理循環モードでの使用が可能である。
また、本実施形態において、平常時での省エネ運転モードでは、常に各階層の処理槽30a、30b、30x内の微生物は活性状態に保たれているため、自己処理循環モードに切り替わった際にも、即座に浄水処理能力を発揮することが可能である。
また、本実施形態において、各階層で浄水処理された処理水は、下階の便器を洗浄する洗浄水として使用されるため、各階層のトイレシステムには処理水を循環させるためのポンプが不要となる。そのため、トイレシステム300全体の循環ポンプを削減することができ、処理水の循環に要する消費エネルギーを抑えることが可能である。
なお、第3の実施形態について、各階層のトイレシステムには一つの処理槽が設置されている場合について説明をおこなったが、処理槽の構成は上記に限らず、第2の実施形態について説明したように、各階層のトイレシステムの処理槽を2分割して構成しても構わない。
なお上記では、水タンクまたは高置水槽6に貯留される洗浄水は、上水道からの上水または浄水処理された処理水として説明を行ったが、洗浄水と使用される水はこれに限らず、例えば雨水や井水を使用しても構わない。なお、この場合には上水道からの上水とは別の流路によって、水タンクまたは高置水槽6に雨水が供給される。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。