本発明の第1態様にかかる粘着シートは、
互いに対向する第1表面及び第2表面を有する粘着シートであって、
下記試験により求めたクリープ量が10μm以上であり、
原子間力顕微鏡を用いて測定した前記第1表面の弾性率が1.0MPa以上である。
試験:縦10mm×横10mmの接合面にてステンレス製試験板に貼り付けた前記粘着シートに対して、前記試験板を固定した状態で500gfの荷重を鉛直下方に加える。荷重を加え始めてから3600秒後における前記試験板に対する前記粘着シートのクリープ量(ずれ量)を測定する。
本発明の第2態様において、例えば、第1態様にかかる粘着シートは、第1層と、前記第1層の上に位置する第2層とを有し、前記第1表面が前記第2層の表面と一致する。
本発明の第3態様において、例えば、第2態様にかかる粘着シートでは、前記第2層の厚さが1.0μm以下である。
本発明の第4態様において、例えば、第1~第3態様のいずれか1つにかかる粘着シートでは、前記クリープ量が300μm以下である。
本発明の第5態様において、例えば、第1~第4態様のいずれか1つにかかる粘着シートでは、前記第1表面の前記弾性率が10.0MPa以下である。
本発明の第6態様において、例えば、第1~第5態様のいずれか1つにかかる粘着シートでは、原子間力顕微鏡を用いて測定した前記第2表面の弾性率が1.0MPa未満である。
本発明の第7態様において、例えば、第1~第6態様のいずれか1つにかかる粘着シートでは、前記第1表面は、表面改質処理が施された面である。
本発明の第8態様において、例えば、第7態様にかかる粘着シートでは、前記表面改質処理がコロナ処理である。
本発明の第9態様において、例えば、第1~第8態様のいずれか1つにかかる粘着シートは、単量体群及び/又は前記単量体群の重合物を含む粘着剤組成物から形成される。
本発明の第10態様において、例えば、第9態様にかかる粘着シートでは、前記単量体群は、(メタ)アクリル系単量体を含む。
本発明の第11態様において、例えば、第9又は第10態様にかかる粘着シートでは、前記粘着剤組成物は、光硬化性である。
本発明の第12態様において、例えば、第9~第11態様のいずれか1つにかかる粘着シートでは、前記粘着剤組成物における溶剤の含有率が5重量%以下である。
本発明の第13態様において、例えば、第1~第12態様のいずれか1つにかかる粘着シートは、厚さが50μm以下である。
本発明の第14態様にかかる光学積層体は、
第1~第13態様のいずれか1つにかかる粘着シートと、
偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む光学フィルムと、
を備える。
本発明の第15態様において、例えば、第14態様にかかる光学積層体では、前記粘着シートの前記第1表面が前記光学フィルムと接している。
本発明の第16態様において、例えば、第14又は第15態様にかかる光学積層体では、前記粘着シートと前記光学フィルムとの投錨力が10.0N/25mm以上である。
本発明の第17態様にかかる画像表示装置は、第14~第16態様のいずれか1つにかかる光学積層体を備える。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
[粘着シートの実施形態]
本実施形態の粘着シートの一例を図1に示す。図1の粘着シート1は、互いに対向する第1表面1a及び第2表面1bを有する。一例として、第1表面1aを介して粘着シート1が光学フィルムに貼り付けられ、第2表面1bを介して粘着シート1が画像表示パネルに貼り付けられる。
粘着シート1は、下記試験により求めたクリープ量が10μm以上である。さらに、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した第1表面1aの弾性率G1が1.0MPa以上である。
試験:縦10mm×横10mmの接合面にてステンレス製試験板に貼り付けた粘着シート1に対して、試験板を固定した状態で500gfの荷重を鉛直下方に加える。荷重を加え始めてから3600秒後における試験板に対する粘着シート1のクリープ量(ずれ量)を測定する。
本実施形態の粘着シート1によれば、上記のクリープ量及び弾性率G1に起因して、高温環境下における画像表示装置の部材間での剥がれを抑制することができる。詳細には、クリープ量が10μm以上であることによって、光学積層体と画像表示パネルとの間での剥がれが抑制される傾向がある。第1表面1aの弾性率G1が1.0MPa以上であることによって、粘着シート1と光学フィルムとの間での剥がれが抑制される傾向がある。画像表示装置の部材間での剥がれが抑制されることによって、空気の侵入や光学フィルムのずれが抑制されるため、本実施形態の粘着シート1を用いた場合には、画像表示装置の画像表示機能に問題が生じにくい傾向もある。
粘着シート1のクリープ量は、詳細には、次の方法によって評価することができる(図2A及び図2B参照)。まず、粘着シート1の第1表面1aがサポートフィルム51に対向するように、粘着シート1をサポートフィルム51に貼り合わせ、積層体を作製する。この積層体を10mm×50mmの短冊状に切り出して試験片52とする。サポートフィルム51は、試験時に荷重が加えられる粘着シート1における当該荷重の印加部分の変形を抑え、これにより、クリープ量をより精度よく測定することを目的として配置する。サポートフィルム51には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の樹脂フィルムを使用できる。サポートフィルム51は、光学フィルム、あるいは光学フィルムを含む積層体であってもよい。サポートフィルム51の厚さは、上記荷重により自らが変形しない厚さであればよく、例えば、20~200μmである。次に、図2A及び図2Bに示すように、縦10mm×横10mmの接合面にて、ステンレス製試験板53の表面に試験片52を粘着シート1により貼り付ける。なお、図2Bは、図2Aの断面B-Bである。試験板53への試験片52の貼り付けは、試験板53と粘着シート1との間に気泡が混入しないように実施する。また、貼り付けた後、50℃及び5気圧(絶対圧)のオートクレーブ内に15分収容して試験板53と粘着シート1との接合を均質化させる。次に、試験板53及び試験片52を、試験板53が上方となるように垂直に保持して25℃の雰囲気に少なくとも5分放置した後、試験板53を固定した状態で試験片52の下端中央に質量500gの錘を固定して500gfの荷重54を鉛直下方に加える。荷重54を加え始めてから3600秒後の時点における試験板53に対する粘着シート1のクリープ量(ずれ量)を錘の落下量として測定する。錘の落下量の測定には、レーザー変位計を使用できる。なお、荷重54を加える操作は、25℃の雰囲気下で行う。
上述のとおり、本実施形態において、粘着シート1のクリープ量は10μm以上である。粘着シート1のクリープ量は、好ましくは15μm以上であり、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上、100μm以上、110μm以上、120μm以上、さらには130μm以上であってもよい。粘着シート1のクリープ量が大きければ大きいほど、高温環境下における画像表示装置の部材間、特に光学積層体と画像表示パネルとの間での剥がれが抑制される傾向がある。ただし、粘着シート1のクリープ量が過度に大きい場合、高温環境下で、粘着シート1の内部に裂け(糊裂け)が生じる傾向がある。本発明者らの検討によると、高温環境下での粘着シート1の裂けは、粘着剤組成物に光を照射して硬化させる方法(光硬化法)により作製した粘着シート1で特に生じやすい。高温環境下での粘着シート1の裂けを抑制する観点から、粘着シート1のクリープ量の上限は、例えば500μm以下であり、400μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、180μm以下、160μm以下、さらには150μm以下であってもよい。
第1表面1aの弾性率G1は、詳細には、次の方法によって評価することができる。まず、粘着シート1を縦0.8cm×横0.5cm程度の大きさに切り出し、試験片とする。次に、導電性両面テープを用いて、試験片を試料台に固定する。このとき、試験片の第2表面1bが試料台に対向し、第1表面1aが外部に露出するように試験片を配置する。試験片は、1時間以上静置させ、安定させる。
次に、AFMを用いて、試験片の第1表面1aにおける縦20μm×横20μmの範囲について、測定点の数が28(256)となるように弾性率を測定する。このとき、隣接する測定点の間隔を約1μmに調整する。弾性率の測定は、例えば、試験片の第1表面1aにおける縦20μm×横20μmの範囲全体について行う。弾性率は、フォースカーブ測定により得られた荷重-変位曲線を用いて、JKR2点法により特定することができる。AFMとしては、市販の走査型プローブ顕微鏡(例えば、ASYLUM RESEARCH社製のMFP-3Dスタンドアロン)を利用することができる。弾性率の測定条件の詳細は、以下のとおりである。
・測定条件
測定モード:フォースモード
カンチレバー:Olympus社製、OMCL-AC240TS(共振周波数:75kHz、バネ定数:1.7N/m、先端形状:Sphere(半球)(半径10nm)、ポアソン比:0.5)
走査範囲:縦20μm×横20μm
取り込みデータ数:16×16(256)
押し込み速度:1.98μm/s
トリガーポイント:0.05V
測定温度:25℃
上記の測定によって、試験片の第1表面1aについて、複数の位置ごとに弾性率のデータを得ることができる。このデータをマッピングすることによって、図3Aに示すようなAFM画像を得ることができる。このAFM画像では、弾性率の数値に基づいて各ピクセルに色調の視覚情報が付与されている。AFM画像における1つのピクセルのサイズは、カンチレバーの先端のサイズに対応している。AFM画像を構成するピクセルの数は、測定点の数と一致する。
次に、階級の幅が0.02MPaである弾性率のヒストグラムを作成する(図3B)。このヒストグラムにおいて、横軸が弾性率を示し、縦軸が度数(測定点の数)を示している。ヒストグラムにおける度数の最大値Mに対応する弾性率(最頻値)を第1表面1aの弾性率G1として特定する。
なお、本実施形態において、上記の方法により作成したヒストグラムに存在するピークの数は、1つであることが好ましい。一例として、図3Bでは、1つのピークPが示されている。ピークPは、典型的には単峰性である。ただし、ヒストグラムには、複数のピークや多峰性のピークが存在してもよい。
上述のとおり、本実施形態において、第1表面1aの弾性率G1は1.0MPa以上である。例えば、粘着シート1の第1表面1aが光学フィルムと接触している場合、弾性率G1が1.0MPa以上であることによって、粘着シート1と光学フィルムとの投錨力が十分に大きい値に調整される傾向がある。弾性率G1は、好ましくは1.1MPa以上であり、1.2MPa以上、1.3MPa以上、1.4MPa以上、1.5MPa以上、1.6MPa以上、1.7MPa以上、1.8MPa以上、さらには1.9MPa以上であってもよい。弾性率G1の上限は、特に限定されず、例えば10.0MPa以下であり、5.0MPa以下、3.0MPa以下、さらには2.0MPa以下であってもよい。
なお、AFMを用いて測定した第2表面1bの弾性率G2は、特に限定されないが、上記の弾性率G1よりも小さいことが好ましい。弾性率G2は、例えば1.0MPa未満であり、0.9MPa以下、0.8MPa以下、さらには0.7MPa以下であってもよい。第2表面1bの弾性率G2の下限は、例えば0.1MPa以上であり、0.3MPa以上、さらには0.5MPa以上であってもよい。ただし、場合によっては、第2表面1bの弾性率G2は、1.0MPa以上であってもよく、弾性率G1について上述した範囲内であってもよい。第2表面1bの弾性率G2は、第1表面1aの弾性率G1と同様の方法によって測定することができる。
粘着シート1の第1表面1aは、例えば、表面改質処理が施された面である。表面改質処理が施された第1表面1aは、上記の弾性率G1が高い傾向がある。一方、粘着シート1の第2表面1bには、表面改質処理が施されていないことが好ましい。表面改質処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、エキシマ処理、フレーム処理などが挙げられる。第1表面1aは、表面改質処理として、コロナ処理が施されていることが好ましい。
表面改質処理は、不活性ガス雰囲気で実施してもよい。不活性ガスにより酸素濃度を低減した状態で表面改質処理を行うことで、残存モノマーへの着火リスクを低減することができる。具体的には、酸素濃度が8体積%以下で表面改質処理を行うことが好ましい。より好ましくは6体積%以下、さらに好ましくは3体積%以下である。酸素濃度が低すぎると、表面改質処理による粘着シート1の表面への官能基の導入が不十分になる場合があるため、酸素濃度は0.01体積%以上が好ましく、0.1体積%以上がより好ましく、0.5体積%以上が特に好ましい。不活性ガスの具体例としては、窒素やアルゴンが挙げられる。表面改質処理は、常圧(1気圧)下で実施してもよい。
コロナ処理である表面改質処理の条件は、放電量により表して、例えば1W/m2・min以上であり、10W/m2・min以上、20W/m2・min以上、30W/m2・min以上、40W/m2・min以上、50W/m2・min以上、さらには60W/m2・min以上であってもよい。ただし、粘着シート1の第1表面1aにコロナ処理を行う場合、放電量が過度に大きいと、第1表面1a内で弾性率にムラが生じ、上記の方法によって特定される弾性率G1が十分に上昇しないことがある。第1表面1aの弾性率G1を適切な値に調整する観点から、放電量は、好ましくは400W/m2・min以下であり、350W/m2・min以下、300W/m2・min以下、250W/m2・min以下、200W/m2・min以下、150W/m2・min以下、100W/m2・min以下、さらには80W/m2・min以下であってもよい。
図1に示すように、粘着シート1は、第1層5と、第1層5の上に位置する第2層6とを有することが好ましい。第2層6は、典型的には、第1層5と直接接触している。第2層6は、第1層5の表面を全体的に被覆していてもよく、部分的に被覆していてもよい。一例として、粘着シート1の第1表面1aが第2層6の表面6aと一致し、粘着シート1の第2表面1bが第1層5の表面5aと一致する。第2層6は、典型的には、第1層5と比べて、弾性率が高く、かつ厚さが小さい層である。なお、粘着シート1は、クリープ量や、第1表面1aの弾性率G1が上記の範囲に調整されている限り、第1層5及び第2層6の積層構造を有していなくてもよく、単層膜であってもよい。
後述するとおり、第1層5及び第2層6は、例えば、粘着剤組成物から形成された硬化シートに、表面改質処理を行うことによって作製することができる。詳細には、表面改質処理を行った部分に、弾性率が高い第2層6が形成され、その他の部分として第1層5が形成される。このように作製された第1層5及び第2層6は、組成が互いに同じであり、同じ粘着剤組成物から形成されていると言える。
第1層5の厚さは、例えば500μm以下であり、250μm以下、150μm以下、100μm以下、50μm以下、30μm以下、25μm以下、さらには20μm以下であってもよい。第1層5の厚さの下限は、例えば2μm以上であり、5μm以上であってもよい。第1層5の厚さは、例えば、粘着シート1の厚さ、及び、第2層6の厚さに基づいて算出することができる。
第2層6の厚さは、例えば1.0μm以下であり、0.8μm以下、0.5μm以下、0.4μm以下、0.3μm以下、0.2μm以下、さらには0.1μm以下であってもよい。第2層6の厚さの下限は、特に限定されず、例えば0.001μm以上である。第2層6の厚さは、第1層5と比べて十分に小さい傾向がある。
第2層6の厚さは、例えば、次の方法によって測定することができる。まず、粘着シート1の第1表面1aがサポートフィルムに対向するように、粘着シート1をサポートフィルムに貼り合わせ、積層体を作製する。サポートフィルムとしては、光学フィルムなどを利用することができる。作製した積層体を凍結させてから、ウルトラミクロトームにより、厚さ方向に積層体を切削し、試験片を得る。この試験片は、厚さが約200nmであり、主面(最も面積が大きい表面)が積層体の断面に一致する切片である。次に、この試験片をシリコンウエハ上に固定し、一晩静置させ、安定させる。
次に、AFMを用いて、試験片の主面のうち、粘着シート1とサポートフィルムとの界面近傍における縦1μm×横1μmの範囲について、測定点の数が214(16384)となるように弾性率を測定する。このとき、隣接する測定点の間隔を約8nmに調整する。弾性率の測定は、例えば、試験片の主面における縦1μm×横1μmの範囲全体について行う。弾性率は、フォースカーブ測定により得られた荷重-変位曲線を用いて、JKR2点法により特定することができる。AFMとしては、市販の走査型プローブ顕微鏡(例えば、ASYLUM RESEARCH社製のMFP-3Dスタンドアロン)を利用することができる。弾性率の測定条件の詳細は、以下のとおりである。
・測定条件
測定モード:フォースモード
カンチレバー:Olympus社製、OMCL-AC240TS(共振周波数:75kHz、バネ定数:1.7N/m、先端形状:Sphere(半球)(半径10nm)、ポアソン比:0.5)
走査範囲:縦1μm×横1μm
取り込みデータ数:128×128(16384)
押し込み速度:1.98μm/s
トリガーポイント:0.05V
測定温度:25℃
上記の測定によって、試験片の主面について、複数の位置ごとに弾性率のデータを得ることができる。このデータをマッピングすることによって、図4に示すようなAFM画像を得ることができる。このAFM画像では、弾性率の数値に基づいて各ピクセルに色調の視覚情報が付与されている。AFM画像における1つのピクセルのサイズは、カンチレバーの先端のサイズに対応している。AFM画像を構成するピクセルの数は、測定点の数と一致する。
図4に示すように、AFM画像からは、粘着シート1が存在する領域において、弾性率が比較的低い領域(第1層5)と、弾性率が比較的高い領域(第2層6)を確認することができる。なお、弾性率が比較的高い領域は、粘着シート1とサポートフィルムとの界面近傍に存在する。得られたAFM画像に基づいて、第2層6の厚さを特定することができる。詳細には、AFM画像における第1層5とサポートフィルムとの距離を任意の複数の点(例えば5点以上)において測定し、得られた値の平均値を第2層6の厚さとみなすことができる。
粘着シート1の厚さは、例えば500μm以下であり、250μm以下、150μm以下、100μm以下、50μm以下、30μm以下、25μm以下、さらには20μm以下であってもよい。粘着シート1の厚さの下限は、例えば2μm以上であり、5μm以上であってもよい。
(粘着剤組成物)
粘着シート1は、例えば、単量体群及び/又は当該単量体群の重合物を含む粘着剤組成物から形成されている。詳細には、粘着シート1は、上記の粘着剤組成物から形成された硬化シートに、表面改質処理を行うことによって作製することができる。粘着剤組成物は、光が照射されることによって硬化する光硬化性の粘着剤組成物(光硬化性組成物)であることが好ましい。ただし、粘着剤組成物は、熱によって硬化する熱硬化性の粘着剤組成物であってもよい。
なお、一般的に、粘着シートは、例えば、次の熱硬化法によって製造される。まず、重合性単量体を有機溶剤中で重合して製造したポリマーに、架橋剤等を配合して粘着剤組成物を調製する。この粘着剤組成物をはく離ライナー等の基材に塗工し、有機溶剤を加熱除去してシート化する。必要に応じて加熱エージングを施し、架橋を完了させることで、粘着シートを製造できる。この製造プロセスでは、溶剤の加熱除去や加熱エージングに必要な熱エネルギーを生み出すために、LNG等の燃料を多量に燃焼させる必要がある。また、加熱除去した有機溶剤をそのまま大気放出すると、周辺環境に著しい悪影響を及ぼす恐れがある。そのため、有機溶剤については、脱臭炉等で燃焼させてから放出することが多い。この場合、脱臭炉での燃焼のための燃料がさらに必要になるだけでなく、有機溶剤自体も燃焼によりCO2に変換されて大気放出されることとなり、CO2排出量が極めて大きい製造プロセスである。
近年、温室効果ガスによる気候変動が喫緊の課題であり、各国政府が数値目標を掲げてCO2削減に取り組んでいる。そのため、粘着シートの製造においても、有機溶剤を用いることなく、CO2排出量の少ない製造プロセスを選択することが好ましい。光を利用して粘着シートを作製する方法(光硬化法)によれば、熱硬化法に比べて、粘着シートの形成に必要なエネルギーの量やCO2排出量を削減できる傾向がある。
本発明者らの検討によると、従来では、光硬化性の粘着剤組成物から形成した粘着シートを用いた場合、熱硬化性の粘着剤組成物から形成した粘着シートを用いた場合と比べて、画像表示装置の部材間、特に粘着シートと光学フィルムとの間での剥がれが生じやすい傾向がある。この傾向は、熱硬化性の粘着剤組成物から形成した粘着シートを光学フィルムと貼り合わせた場合に、光学フィルムの表面上で粘着シートの硬化がさらに進行する一方、光硬化性の粘着剤組成物から形成した粘着シートでは、光学フィルムと貼り合わせた後に硬化がほとんど進行しないことに起因していると推定される。本実施形態では、クリープ量や、第1表面1aの弾性率G1が上記の範囲に調整されていることによって、粘着シート1が光硬化性の粘着剤組成物から形成された場合であっても、画像表示装置の部材間での剥がれを十分に抑制できる傾向がある。
上述のとおり、粘着剤組成物は、単量体群及び/又は当該単量体群の重合物を含む。単量体群は、例えば、(メタ)アクリル系単量体を含む。粘着剤組成物における(メタ)アクリル系成分、すなわち(メタ)アクリル系単量体及びその重合物、の含有率は、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、さらには80重量%以上であってもよく、この場合、(メタ)アクリル重合体及びその架橋物を主成分とするアクリル系の粘着シート1を形成できる。ただし、粘着剤組成物は上記例に限定されない。本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルを意味する。(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
(メタ)アクリル系単量体の例は、炭素数1~20のアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。アルキル基の炭素数は、7以下、6以下、5以下、さらには4以下であってもよい。アルキル基は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びオクタデシル(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、n-ブチル(メタ)アクリレートであってもよい。
単量体群100重量部のうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合量は、例えば40重量部以上であり、50重量部以上、60重量部以上、70重量部以上、80重量部以上、85重量部以上、90重量部以上、さらには95重量部以上であってもよい。なお、特定の単量体の配合量の計算にあたり、重合物の重量は、重合前の各単量体としての重量に換算する。
単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含んでいてもよい。カルボキシル基含有単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよく、換言すれば、(メタ)アクリル系単量体がカルボキシル基含有単量体を含んでいてもよい。カルボキシル基含有単量体の例は、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びクロトン酸である。単量体群100重量部のうち、カルボキシル基含有単量体の配合量は、例えば10重量部以下であり、9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、6重量部以下、5重量部以下、4.8重量部以下、4重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、さらには0.5重量部以下であってもよい。配合量の下限は、例えば0.1重量部以上であり、場合によっては、0.5重量部以上であってもよい。単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含んでいなくてもよい。
単量体群は、ヒドロキシ基含有単量体を含んでいてもよい。ヒドロキシ基含有単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよく、換言すれば、(メタ)アクリル系単量体がヒドロキシ基含有単量体を含んでいてもよい。ヒドロキシ基含有単量体は、粘着シートの凝集力向上に寄与しうる。ヒドロキシ基含有単量体の例は、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル及び(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレートである。ヒドロキシ基含有単量体は、好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルである。単量体群100重量部のうち、ヒドロキシ基含有単量体の配合量は、例えば20重量部以下であり、15重量部以下、10重量部以下、7.5重量部以下、5重量部以下、4重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、さらには0.5重量部以下であってもよい。配合量の下限は、例えば0.01重量部以上であり、0.03重量部以上、さらには0.05重量部以上であってもよい。単量体群は、ヒドロキシ基含有単量体を含んでいなくてもよい。
単量体群は、エーテル基含有単量体を含んでいてもよい。エーテル基含有単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよく、換言すれば、(メタ)アクリル系単量体がエーテル基含有単量体を含んでいてもよい。エーテル基含有単量体は、粘着シート1と光学フィルムとの投錨力の向上に寄与しうる。
エーテル基含有単量体は、アルコキシ基含有単量体であることが好ましい。アルコキシ基含有単量体としては、例えば、以下の化学式(A)に示すアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。式(A)のR
1は、水素原子又はメチル基である。式(A)のR
2は、アルキル基である。アルキル基は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。R
2は、好ましくは直鎖状のアルキル基である。R
2の例は、メチル基及びエチル基である。式(A)のnは、1~30の整数であり、好ましくは1~12の整数であり、1~5の整数であってもよい。
式(A)に示すアルキレンオキサイド付加物の例は、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートであり、好ましくは2-メトキシエチルアクリレート(MEA)である。
エーテル基含有単量体は、上記のアルキレンオキサイド付加物に限定されない。エーテル基含有単量体は、環構造を有していてもよく、当該環構造がエーテル基を有していてもよい。エーテル基を有する環構造としては、テトラヒドロフラン環、ジオキサン環などが挙げられる。環構造を有するエーテル基含有単量体の例は、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートである。
単量体群100重量部のうち、エーテル基含有単量体の配合量は、例えば1重量部以上であり、5重量部以上、10重量部以上、20重量部以上、25重量部以上、30重量部以上、40重量部以上、50重量部以上、60重量部以上、70重量部以上、80重量部以上、さらには90重量部以上であってもよい。配合量の上限は、例えば99重量部以下であり、場合によっては50重量部以下であってもよい。単量体群は、エーテル基含有単量体を含んでいなくてもよい。
単量体群は、窒素原子含有単量体を含んでいてもよい。窒素原子含有単量体とは、分子内(1分子内)に窒素原子を少なくとも1つ有する単量体を意味する。なお、本明細書において、分子内にヒドロキシ基及び窒素原子を有する単量体は、窒素原子含有単量体に分類する。分子内にカルボキシル基及び窒素原子を有する単量体は、カルボキシル基含有単量体に分類する。
窒素原子含有単量体としては、N-ビニル環状アミド、(メタ)アクリルアミド等が好ましい。なお、窒素原子含有単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
N-ビニル環状アミドは、下記式(B)で表されるものが好ましい。
式(B)において、R1は、2価の有機基であり、好ましくは2価の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基であり、より好ましくは2価の飽和炭化水素基(例えば、炭素数3~5のアルキレン基等)である。なお、式(B)は、NとR1が単結合により直接結合して環構造を形成していることを表している。
式(B)で表されるN-ビニル環状アミドとしては、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン等が好ましく、より好ましくはN-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-カプロラクタムであり、さらに好ましくはN-ビニル-2-ピロリドンである。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。N-アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド等が挙げられる。N-アルキル(メタ)アクリルアミドには、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのようなアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドも含まれる。
N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドには、例えば、各種のN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドには、例えば、各種のN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
N-ビニル環状アミド、(メタ)アクリルアミド以外の窒素原子含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル等のアミノ基含有単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有単量体;(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルピラジン、N-ビニルモルホリン、N-ビニルピラゾール、ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルオキサゾール、ビニルイソオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルイソチアゾール、ビニルピリダジン、(メタ)アクリロイルピロリドン、(メタ)アクリロイルピロリジン、(メタ)アクリロイルピペリジン、N-メチルビニルピロリドン等の複素環含有単量体;N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N-ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルヘキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド、N-シクロヘキシルイタコンイミド等のイタコンイミド系単量体、N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系単量体等のイミド基含有単量体;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有単量体等が挙げられる。
単量体群における窒素原子含有単量体の含有率は、例えば40重量%以下であり、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、さらには8重量%以下であってもよい。含有率の下限は、例えば1重量%以上であり、3重量%以上、さらには5重量%以上であってもよい。単量体群は、窒素原子含有単量体を含んでいなくてもよい。
単量体群は、カルボキシル基含有単量体及び/又は窒素原子含有単量体を含むことが好ましく、カルボキシル基含有単量体及び窒素原子含有単量体の双方を含むことがより好ましい。特に、窒素原子含有単量体、特に窒素原子含有単量体及びカルボキシル基含有単量体の双方、が光重合系に存在すると、重合体の分子量が増大する傾向が見られる。上記傾向には、水素結合の生成による重合系の粘度上昇によって重合体の成長末端同士の停止反応が抑制され、単量体が成長鎖の末端に滞留し易くなることが寄与している可能性がある。なお、重合体の分子量は、粘着シート1のクリープ量に影響を与える可能性がある。
粘着剤組成物において、上述した各単量体は重合物として含まれていてもよい。粘着剤組成物が光硬化性である場合、重合物は、部分重合物であることが好ましい。部分重合物は、単一重合体及び共重合体のいずれであってもよい。部分重合物は、粘着剤組成物の粘度を適度に増大させることで、後述する塗布層の安定した形成に寄与しうる。
粘着剤組成物は、光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤の例は、光の照射によりラジカルを発生する光ラジカル発生剤である。光重合開始剤では、波長340nmの光に対する吸光係数が、例えば0.1L/(g・cm)以上であり、0.5L/(g・cm)以上、1.0L/(g・cm)以上、3.0L/(g・cm)以上、さらには5.0L/(g・cm)以上であってもよい。この吸光係数の上限は、特に限定されず、例えば50L/(g・cm)以下である。光重合開始剤の吸光係数は、光路長1cmの石英セルを用いて、可視-紫外分光光度計により測定した0.01mg/mLのメタノール溶液の吸光度からの算出値である。
光重合開始剤の例は、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾインエーテル類;アニソールメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテル;2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等の置換アセトフェノン;1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-2,2’-ジメチル-1,1’-[メチレンビス(4,1-フェニレン)]ビス(プロパン-1-オン)等のα-ヒドロキシアルキルフェノン;2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン等の置換アルファーケトール;2-ナフタレンスルホニルクロライド等の芳香族スルホニルクロライド;1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシム等の光活性オキシム;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;並びにチタノセン系化合物である。粘着剤組成物は、1種又は2種以上の光重合開始剤を含んでいてもよい。なお、α-ヒドロキシアルキルフェノンは、波長340±10nmの光の吸収が大きい傾向がある。
光重合開始剤の別の一例は、以下の式(1)に示す化学構造(以下、化学構造Xと記載)を分子内に有する化合物である。
前記式(1)のR1及びR2は、互いに独立して、C1~C8のアルキル基;-OH、C1~C4のアルコキシ基、-CN、-COOR51、-OOCR52、若しくは-NR53R54によって水素原子が置換されているC1~C4のアルキル基;C3~C6のアルケニル基;又は、-CH2-C6H4-R55である。R1及びR2は、互いに結合して、C2~C9のアルキレン基、又は、C3~C6のオキシアルキレン基、若しくはアザアルキレン基を構成していてもよい。R51は、C1~C8のアルキル基である。R52は、C1~C4のアルキル基である。R53及びR54は、互いに独立して、水素原子、C1~C12のアルキル基;-OH、C1~C4のアルコキシ基、-CN及び-COOR59からなる群から選択される少なくとも1つの基によって水素原子が置換されているC2~C4のアルキル基;C3~C5のアルケニル基;又は、シクロヘキシル基である。R53及びR54は、互いに結合して、-O-又は-N(R60)-によって中断されていてもよいC3~C9のアルキレン基であってもよい。R55は、C1~C4のアルキル基である。R59は、C1~C4のアルキル基である。R60は、水素原子、C1~C4のアルキル基、アリル基、C1~C4のヒドロキシアルキル基、-CH2CH2-COOR61又は-CH2CH2CNである。R61は、C1~C4のアルキル基である。
Xは、-OR56、又は、-NR57R58である。R56は、水素原子、-SiR62
3、C1~C8のアルキル基、又は、C3~C6のアルケニル基である。R57及びR58は、C1~C12のアルキル基;-OH、C1~C4のアルコキシ基、-CN及び-COOR63からなる群から選択される少なくとも1つの基によって水素原子が置換されているC2~C4のアルキル基;C3~C5のアルケニル基;又は、シクロヘキシル基である。R57及びR58は、互いに結合して、-O-又は-N(R64)-によって中断されていてもよいC3~C9のアルキレン基であってもよい。R62は、C1~C6のアルキル基である。R63は、C1~C4のアルキル基である。R64は、水素原子、C1~C4のアルキル基、アリル基、C1~C4のヒドロキシアルキル基、-CH2CH2-COOR65又は-CH2CH2CNである。R65は、C1~C4のアルキル基である。
化学構造Xは、式(1)において*で示された炭素原子を介して水素原子又は水素原子の置換構造と結合しうる。
式(1)の説明において記載しているアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキレン基、オキシアルキレン基、アザアルキレン基、及び、ヒドロキシアルキル基は、いずれも、非分岐鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。また、式(1)の説明を含め、本明細書における「Cn1~Cn2」との記載(n1及びn2は自然数)は、炭素数がn1~n2の範囲にあることを意味する。
R1及びR2は、互いに独立して、C1~C8のアルキル基、又は、C3~C6のアルケニル基であってもよく、C1~C8のアルキル基であってもよい。R1及びR2は、互いに独立して、C1~C4のアルキル基であってもよく、C1~C3のアルキル基、C1~C2のアルキル基であってもよい。R1及びR2は、メチル基であってもよい。
R1及びR2は、同一であってもよい。
Xは、-OR56であってもよい。R56は、水素原子、又は、C1~C8のアルキル基であってもよく、水素原子であってもよい。換言すれば、Xは、-OHであってもよい。
R1、R2及びXは、上記好ましい例を任意の組み合わせでとりうる。
化学構造Xは、以下の式(2)に示す構造であってもよい。式(2)の化学構造Xでは、*で示された炭素原子に水素原子の置換構造が結合した場合、当該置換構造と、式(2)における-COCR
1XR
2基とは、化学構造Xが有するベンゼン環に対してパラ位の関係にある。
光重合開始剤は、2以上の化学構造Xを1分子内に有する化合物であってもよい。
光重合開始剤は、以下の式(3)に示す化合物であってもよい。式(3)の化合物は、2つの化学構造Xを1分子内に有する。2つの化学構造Xは、光重合開始剤の分子の双方の末端に各々位置している。より具体的には、2つの化学構造Xは、-A-によって、上記*で示されたフェニレン基の炭素原子にて互いに結合されている。
式(3)のR1’及びR2’は、互いに、及び、R1及びR2とは独立して、R1及びR2としてとりうる基である。R1’及び/又はR2’は、R1及び/又はR2と同一であってもよい。R1、R2、R1’及びR2’は、全て同一であってもよい。
式(3)のX’は、式(1)のXとは独立して、Xしてとりうる基である。X’及びXは、同一であってもよい。
Aは、-O-、-CYR3-、又は、-C(CH3)R4である。
Yは、水素原子、-Cl、-Br、-O-R71、-NR72R73、又は、-S-R74である。R3は、水素原子、C1~C8のアルキル基、C3~C6のアルケニル基、ベンジル基、-CH2-C6H4-R75、又は、フェニル基である。R4は、C1~C6のアルキル基又はアルキレン基であって、このアルキレン基は、式(3)の化合物が有するフェニレン基の炭素原子に結合している。
R71は、水素原子、-Si(R76)3、C1~C12のアルキル基、C2~C18のアシル基、-CO-NH-R77、C2~C20のヒドロキシアルキル基、C2~C20のメトキシアルキル基、3-R78-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-〔1,3,3,3-テトラメチル-1-〔(トリメチルシリル)オキシ〕ジシロキサニル〕-プロピル基、2,3-ジヒドロキシ-プロピル基、又は、1~9個の酸素原子によって炭素鎖が中断されているC2~C21のヒドロキシアルキル基、若しくはC3~C25のアルキル基である。R72及びR73は、互いに独立して、C1~C12のアルキル基;-OH、C1~C4のアルコキシ基、-CN、及び-COOR79からなる群から選択される少なくとも1つの基によって水素原子が置換されているC2~C4のアルキル基;C3~C5のアルケニル基;シクロヘキシル基;又は、C7~C9のフェニルアルキル基である。R72及びR73は、互いに結合して、-O-又は-N(R80)-によって中断されていてもよいC3~C9のアルキレン基であってもよい。R74は、C1~C18のアルキル基、ヒドロキシエチル基、2,3-ジヒドロキシプロピル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、C1~C12のアルキルフェニル基、-CH2-COOR81-CH2CH2-COOR82、又は、-CH(CH3)-COOR83である。R75は、C1~C4のアルキル基である。R76は、C1~C6のアルキル基である。R77は、C1~C12のアルキル基である。R78は、C1~C18のアルコキシ基である。R79は、C1~C4のアルキル基である。R80は、水素原子、C1~C4のアルキル基、アリル基、ベンジル基、C1~C4のヒドロキシアルキル基、-CH2CH2-COOR84、又は、-CH2CH2CNである。R81、R82及びR83は、互いに独立して、C1~C18のアルキル基である。R84は、C1~C4のアルキル基である。
式(3)の説明において記載しているアルキル基、アルケニル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、メトキシアルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基におけるアルキル基の部分、アルキレン基は、いずれも、非分岐鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
式(3)のR1、R2、R1’及びR2’の好ましい例は、式(1)の説明において上述したR1及びR2の好ましい例と同じである。式(3)のX’の好ましい例は、式(1)の説明において上述したXの好ましい例と同じである。Aは、-CYR3-であってもよい。Yは水素原子であってもよい。R3は水素原子であってもよい。Aが-CYR3-であると共に、Y及びR3は、共に水素原子であってもよい。換言すれば、Aは、-CH2-であってもよい。
式(3)のR1、R2、R1’、R2’、X、X’、Aは、上記好ましい例を任意の組み合わせでとりうる。
光重合開始剤は、以下の式(4)に示す化合物であってもよい。式(4)の化合物は、式(3)の化合物の1種である。
光重合開始剤の具体例を以下の式(5)~(9)に示す。光重合開始剤は、式(5)~(9)からなる群から選択される少なくとも1つの式に示された化合物であってもよく、式(5)~(8)からなる群から選択される少なくとも1つの式に示された化合物であってもよく、式(5)~(7)からなる群から選択される少なくとも1つの式に示された化合物であってもよく、式(5)に示された化合物であってもよい。なお、式(8)の化合物は、化学構造Xを側鎖に有するビニル化合物に由来する。より具体的には、当該ビニル化合物のオリゴマーである。
式(5)~(9)に示す光重合開始剤は、それぞれ、Omnirad127、Esacure KIP160、Esacure one、Esacure KIP150、Omnirad1173(いずれもIGM Resins製)として市販されている。光重合開始剤は、これらの群から選択される少なくとも1つであってもよい。
具体的な光重合開始剤の例は、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)2-メチルプロパン-1-オン、及び、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンである。上記各光重合開始剤は、それぞれ、Omnirad184、Omnirad819、Omnirad127及びOmnirad651として市販されている(いずれもIGM Resin社製)。
粘着剤組成物における光重合開始剤の配合量は、単量体群及びその重合物の合計100重量部に対して、例えば20重量部以下であり、10重量部以下、5.0重量部以下、3.0重量部以下、1.0重量部以下、0.5重量部以下、0.3重量部以下、0.25重量部以下、0.2重量部以下、0.15重量部以下、0.1重量部以下、さらには0.05重量部以下であってもよい。配合量の下限は、単量体群及びその重合物の合計100重量部に対して、例えば0.01重量部以上であり、0.03重量部以上であってもよい。
粘着剤組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤の例は、1分子中に2以上の重合性官能基を有する多官能単量体である。多官能単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよい。多官能単量体の例は、1分子中に2以上のC=C結合を有する単量体、及び1分子中に1以上のC=C結合と、1以上のエポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、ヒドラジン基、メチロール基等の重合性官能基とを有する単量体である。多官能単量体は、好ましくは、1分子中に2以上のC=C結合を有する単量体である。
多官能単量体の例は、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2-エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート(NDDA)、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート(多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物等);アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートである。多官能単量体は、好ましくは、多官能アクリレートであり、より好ましくは、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
架橋剤は、上記の多官能単量体以外の他の架橋剤を含んでいてもよい。他の架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。粘着剤組成物は、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤を含んでいてもよく、上記の多官能単量体及びイソシアネート系架橋剤の両方を含んでいてもよい。イソシアネート系架橋剤は、粘着シート1と光学フィルムとの投錨力の向上に寄与しうる。
イソシアネート系架橋剤としては、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物(イソシアネート化合物)を用いることができる。イソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基の数は、3以上であることが好ましい。イソシアネート基の数の上限値は、特に限定されず、例えば5である。イソシアネート化合物としては、芳香族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物などが挙げられる。
芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環族イソシアネート化合物としては、例えば、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族イソシアネート化合物としては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、上記イソシアネート化合物の多量体(2量体、3量体、5量体など)、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールに付加して得られた付加物、ウレア変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどに付加して得られたウレタンプレポリマーなども挙げられる。
イソシアネート系架橋剤は、好ましくは脂肪族イソシアネート化合物及び/又は脂肪族イソシアネート化合物の誘導体を含む。イソシアネート系架橋剤は、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)系架橋剤(PDI及びその誘導体)及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系架橋剤(HDI及びその誘導体)からなる群より選ばれる少なくとも1つであることが特に好ましい。PDI系架橋剤の具体例は、PDIのイソシアヌレート変性体などである。HDI系架橋剤の具体例は、HDIのイソシアヌレート変性体やビウレット変性体などである。
粘着剤組成物における架橋剤の配合量は、分子量や官能基数等により異なるが、単量体群及びその重合物の合計100重量部に対して、例えば5重量部以下であり、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、さらには0.5重量部以下であってもよい。粘着剤組成物における架橋剤の配合量が少なければ少ないほど、粘着シート1のクリープ量が増加する傾向がある。配合量の下限は、例えば0.01重量部以上であり、0.05重量部以上、さらには0.1重量部以上であってもよい。
なお、粘着剤組成物がイソシアネート系架橋剤を含む場合、イソシアネート系架橋剤の配合量は、単量体群及びその重合物の合計100重量部に対して、例えば0.02重量部以上であり、0.05重量部以上、0.1重量部以上、0.5重量部以上、さらには1重量部以上であってもよい。粘着剤組成物がイソシアネート系架橋剤を含む場合、粘着剤組成物におけるヒドロキシ基含有単量体の配合量を小さい値に調整すると、粘着シート1と光学フィルムとの投錨力がより向上する傾向がある。
イソシアネート系架橋剤を添加した場合、特に高温環境下で、粘着シートが硬くなることがある。このような場合、粘着シートの応力緩和性が損なわれるため、光学フィルムの膨張や収縮応力が粘着シートと被着体との界面に伝わりやすくなり、剥がれが生じやすい傾向がある。イソシアネート系架橋剤の添加以外の手段で、粘着シートと光学フィルム間の投錨力を確保できる場合、粘着剤組成物は、イソシアネート系架橋剤を含まないことが望ましい。
粘着剤組成物は、リワーク向上剤をさらに含んでいてもよい。リワーク向上剤とは、粘着シート1を無アルカリガラスや透明導電層等の被着体に貼り付けたときに、当該被着体の表面上に偏析することによって粘着シート1と被着体との接着力(例えば、後述する接着力P0)を低下させる成分である。
リワーク向上剤は、例えば、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤であってもよく、アルコキシシリル基とともに極性基をさらに有することが好ましい。リワーク向上剤において、アルコキシシリル基に含まれるアルコキシ基の具体例は、メトキシ基、エトキシ基などである。極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基などが挙げられる。カルボキシル基は、酸無水物基が加水分解されることによって生じた基であってもよい。酸無水物基としては、例えば、コハク酸無水物基、フタル酸無水物基、マレイン酸無水物基などのカルボン酸無水物基が挙げられる。リワーク向上剤は、エポキシ基以外のエーテル基を有していてもよく、ポリエーテル骨格を有していてもよい。
リワーク向上剤は、酸無水物基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つを有することが好ましい。酸無水物基やエポキシ基を有するリワーク向上剤を用いた場合、粘着シート1を無アルカリガラスに貼り付けた後に加熱処理を行うことによって、粘着シート1とガラスとの接着力(後述する接着力P1)を向上させることができる傾向がある。
リワーク向上剤としては、極性基を有するアルコキシシラン化合物、極性基及びアルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサン化合物、アルコキシシリル基を有するポリエーテル化合物などが挙げられる。
極性基を有するアルコキシシラン化合物としては、2-トリメトキシシリルエチルコハク酸無水物、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(信越化学工業社製、商品名「X-12-967C」)、3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、1-カルボキシ-3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物などが挙げられる。
極性基及びアルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサン化合物としては、信越化学工業社製の酸無水物基含有オリゴマー型シランカップリング剤(商品名「X-24-9591F」)、エポキシ基含有オリゴマー型シランカップリング剤(商品名「X-41-1053」、「X-41-1059A」、「X-41-1056」、「X-40-2651」など)などが挙げられる。
アルコキシシリル基を有するポリエーテル化合物としては、カネカ社製のMSポリマーS203、S303、S810、SILYL EST250、EST280、SAT10、SAT200、SAT220、SAT350、SAT400、旭硝子社製のEXCESTAR S2410、S2420、S3430などが挙げられる。
粘着剤組成物におけるリワーク向上剤の配合量は、単量体群及びその重合物の合計100重量部に対して、例えば0.01重量部以上であり、0.05重量部以上、0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.5重量部以上、さらには0.6重量部以上であってもよい。配合量の上限は、例えば10重量部以下であり、5重量部以下、さらには1重量部以下であってもよい。粘着剤組成物は、リワーク向上剤を含んでいなくてもよい。
粘着剤組成物は、上述した以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例は、連鎖移動剤、リワーク向上剤以外のシランカップリング剤、粘度調整剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、酸化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤及び紫外線吸収剤である。
粘着剤組成物における溶剤の含有率は、例えば5重量%以下であり、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、さらには0.5重量%以下であってもよい。粘着剤組成物は、溶剤を実質的に含まなくてもよい。溶剤を実質的に含まないとは、添加剤等に由来する溶剤等を、例えば0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下の含有率で許容する趣旨である。
粘着剤組成物の粘度は、好ましくは、5~150ポイズである。上記範囲の粘度を有する粘着剤組成物は、後述する塗布層の形成に特に適している。
(粘着シートの物性)
粘着シート1における単量体群の重合率は、好ましくは90%以上である。重合率は、95%以上、98%以上、さらには99%以上であってもよい。
粘着シート1のゲル分率は、例えば50%以上であり、75%以上、80%以上、さらには85%以上であってもよい。
(粘着シートの製造方法)
粘着シート1の製造方法は、特に限定されない。一例として、粘着剤組成物が光硬化性である場合、粘着シート1は、次の方法によって製造できる。まず、図5Aや図5Bに示すように、基材シート21、粘着剤組成物を含む塗布層22、及びはく離ライナー23をこの順に含む第1の積層体15を作製する。第1の積層体15に光14を照射することによって塗布層22から硬化シート20を形成する(図5C)。硬化シート20からはく離ライナー23を剥離し、硬化シート20の露出面に表面改質処理を行う。表面改質処理は、例えば、硬化シート20の露出面に対して活性エネルギー線13を照射することによって行う(図5D)。表面改質処理によって、硬化シート20から粘着シート1が形成される(図5E)。詳細には、表面改質処理を行った部分に、弾性率が高い第2層6が形成され、その他の部分として第1層5が形成される。
第1の積層体15に対する光14の照射は、典型的には、基材シート21の側から実施する(図5A)。このとき、光14は、基材シート21を透過して塗布層22に到達し、塗布層22を硬化させる。ただし、光14の照射は、はく離ライナー23の側から実施してもよいし、はく離ライナー23及び基材シート21の双方の側から実施してもよい(図5B)。塗布層22から形成された硬化シート20は、はく離ライナー23が剥離されるまでは、基材シート21及びはく離ライナー23によって挟持されて、第2の積層体16の一部を構成している。
光14は、例えば、波長450nmよりも短い波長を有する可視光又は紫外線である。光14は、粘着剤組成物が含む光重合開始剤の吸収波長と同じ領域の波長の光を含んでいてもよい。波長300nm以下の短波長光をフィルター等でカットした光を照射してもよく、短波長光をカットすることは、光14による基材シート21及び/又ははく離ライナー23の劣化の抑制に適している。光14の光源は、例えば紫外線照射ランプを備える光照射装置である。紫外線照射ランプの例は、発光ダイオード(LED:light-emitting diode)、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、マイクロウエーブ励起水銀灯、ブラックライトランプ、ケミカルランプ、殺菌ランプ、低圧放電水銀ランプ、エキシマレーザーである。2以上の紫外線照射ランプが組み合わされていてもよい。LEDによれば、照射する紫外線の帯域を他の光源を用いた場合に比べて狭くできる。
光14の光源は、ピーク波長が300~450nmの光を照射するLEDであってもよく、ピーク波長が340±10nmの光を照射するLED(以下、LED340と記載)であってもよい。本発明者らの検討によれば、LED340の使用は、例えばブラックライト光源を使用する場合に比べて、粘着シート1(詳細には硬化シート20)における単量体群の重合率の向上、重合体の分子量の向上、及び、光重合開始剤の残存量の低減から選ばれる少なくとも1つに寄与する可能性がある。また、LED340によれば、ピーク波長が365nm程度の光を放射するLEDを使用する場合に比べて発熱を抑制できる傾向にある。発熱の抑制は、塗布層22の温度の制御に寄与しうる。なお、ピーク波長とは、光の波長と強度の関係を示すスペクトルにおいて、強度が極大値となる波長を意味する。
第1の積層体15(詳細には塗布層22)に照射する光14の照度は、例えば2.0~30mW/cm2である。照度は、2.5mW/cm2以上、3.0mW/cm2以上、3.5mW/cm2以上、4.0mW/cm2以上、5.0mW/cm2以上、6.0mW/cm2以上、7.0mW/cm2以上、8.0mW/cm2以上、9.0mW/cm2以上、さらには10mW/cm2以上であってもよい。照度の上限は、例えば25mW/cm2以下であり、20mW/cm2以下、さらには15mW/cm2以下であってもよい。
第1の積層体15(詳細には塗布層22)に光14を照射する時間は、例えば10秒~1000秒であり、60秒以上、100秒以上、150秒以上、200秒以上、250秒以上、さらには300秒以上であってもよい。時間の上限は、例えば800秒以下であり、600秒以下、500秒以下、400秒以下、350秒以下、300秒以下、さらには250秒以下であってもよい。光14の照射は、連続的であっても断続的であってもよい。
第1の積層体15(詳細には塗布層22)に対する光14の積算光量は、例えば25mJ/cm2以上であり、100mJ/cm2以上、250mJ/cm2以上、500mJ/cm2以上、750mJ/cm2以上、850mJ/cm2以上、1000mJ/cm2以上、1250mJ/cm2以上、さらには1500mJ/cm2以上であってもよい。積算光量の上限は、特に限定されず、例えば5000mJ/cm2以下であり、4000mJ/cm2以下、3000mJ/cm2以下、2500mJ/cm2以下、2000mJ/cm2以下、さらには1750mJ/cm2以下であってもよい。
はく離ライナー23の基材(以下、「ライナー基材」)の例は、樹脂フィルムである。ライナー基材に含まれうる樹脂の例は、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル、アセテート樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、並びにポリフェニレンサルファイドである。樹脂は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルである。
はく離ライナー23は、光14の透過性を有していてもよく、基材シート21と同程度の光14の透過性を有していてもよい。
はく離ライナー23の厚さは、例えば10~200μmであり、25~150μmであってもよい。
はく離ライナー23は、ライナー基材以外の層を備えていてもよい。はく離ライナー23は、離型層を備えていてもよい。はく離ライナー23は、例えば、ライナー基材と、ライナー基材の一方の面に形成された離型層とを備える。このはく離ライナー23は、離型層が塗布層22の側となるように使用できる。
離型層は、典型的には、離型剤を含む離型剤組成物の硬化層である。離型剤には、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、脂肪酸アミド系離型剤、シリカ粉等の種々の離型剤を使用できる。はく離ライナー23は、シリコーン系離型剤を主成分として含む離型剤組成物の硬化層(以下「シリコーン離型層」)を備えていてもよい。シリコーン離型層は、粘着シート1に対する密着性及び剥離性の両立に特に適している。なお、本明細書において主成分とは、最も含有率の大きな成分を意味する。
シリコーン系離型剤は、例えば、付加反応型、縮合反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型、無溶媒型等の各種の硬化型シリコーン材料であり、付加反応硬化型シリコーン材料が好ましい。付加反応硬化型シリコーン材料は、粘着シート1に対する密着性及び剥離性の両立した離型層の形成に特に適している。硬化型シリコーン材料は、ウレタン、エポキシ、アルキッド樹脂等の有機樹脂にグラフト重合等により反応性シリコーンを導入したシリコーン変性樹脂であってもよい。
付加反応硬化型シリコーン材料の例は、ビニル基又はアルケニル基を分子内に有するポリオルガノシロキサンである。付加反応硬化型シリコーン材料は、ヒドロシリル基を有さなくてもよい。アルケニル基の例は、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基、6-ヘプテニル基、7-オクテニル基、8-ノネニル基、9-デセニル基、10-ウンデセニル基、及び11-ドデセニル基である。ポリオルガノシロキサンの例は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン及びポリメチルエチルシロキサン等のポリアルキルアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、並びにポリ(ジメチルシロキサン-ジエチルシロキサン)等の複数種のSi原子含有モノマーの共重合体である。ポリオルガノシロキサンは、好ましくはポリジメチルシロキサンである。
シリコーン系離型剤を主成分として含む離型剤組成物(以下「シリコーン離型剤組成物」)は、通常、架橋剤を含む。架橋剤の例は、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンである。架橋剤は、一分子中に2以上のヒドロシリル基を有していてもよい。
シリコーン離型剤組成物は、硬化触媒を含んでいてもよい。硬化触媒の例は、白金系触媒である。白金系触媒の例は、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、塩化白金酸のオレフィン錯体である。白金系触媒の使用量は、組成物の全固形分に対して、例えば10~1000ppm(重量基準、白金換算)である。
シリコーン離型剤組成物は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例は、剥離コントロール剤及び密着性向上剤である。剥離コントロール剤の例は未反応性のシリコーン樹脂であり、より具体的な例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のオルガノシロキサン、及びMQレジンである。剥離コントロール剤及び密着性向上剤の使用量は、組成物の全固形分に対して合計で、例えば1~30重量%である。添加剤のさらなる例は、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び着色剤である。さらなる添加剤の使用量は、組成物の全固形分に対して合計で、例えば10重量%以下である。
シリコーン離型剤組成物は、有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒の例は、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒である。2種以上の有機溶媒が含まれていてもよい。有機溶媒の使用量は、好ましくは、シリコーン離型剤組成物の80~99.9重量%である。
離型層は、例えば、ライナー基材上に形成した離型剤組成物を含む塗布膜を加熱及び乾燥して形成できる。離型剤組成物の塗布には、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコート等の各種の塗布方法を適用できる。加熱及び乾燥には、例えば熱風乾燥を適用できる。加熱温度及び時間は、ライナー基材の耐熱性により異なるが、通常、80~150℃及び10秒~10分程度である。必要に応じて、紫外線等の活性エネルギー線の照射を併用してもよい。
離型層の厚さは、例えば10~300nmである。厚さの上限は、200nm以下、150nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、100nm未満、90nm以下、80nm以下、70nm以下、70nm未満、さらには65nm以下であってもよい。厚さの下限は、15nm以上、20nm以上、25nm以上、30nm以上、35nm以上、40nm以上、45nm以上、さらには50nm以上であってもよい。
はく離ライナー23は、枚葉状であっても長尺状であってもよい。
基材シート21の例は、樹脂フィルムである。基材シート21に含まれる樹脂の例は、ライナー基材に含まれうる樹脂の例と同じである。
基材シート21は、光14の透過性に優れることが好ましい。
基材シート21の厚さは、例えば10~200μmであり、25~150μmであってもよい。
基材シート21は、塗布層22の側の面に離型層を備えていてもよい。基材シート21が備えうる離型層及びその製法の例は、はく離ライナー23が備えうる離型層及びその製法の例と同じである。はく離ライナー23及び基材シート21の双方が離型層を備えていてもよい。この場合、双方の離型層は、同じ離型剤を主成分として含む離型剤組成物から形成されていてもよい。また、双方の離型層の厚さは異なっていてもよく、例えば、基材シート21が備える離型層の方が厚くてもよい。
基材シート21には、通常、硬化シート20との剥離力がはく離ライナー23に比べて大きなシートを選択できる。
基材シート21は、枚葉状であっても長尺状であってもよい。
第1の積層体15は、例えば、基材シート21(又ははく離ライナー23)の上に塗布層22を形成し、形成した塗布層22の上にはく離ライナー23(又は基材シート21)を配置して形成できる。また、互いの主面が向き合うように所定の間隔に保持された基材シート21及びはく離ライナー23の間の空間に粘着剤組成物を流しこむように塗布して第1の積層体15を形成してもよい。
塗布層22の形成には、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコート等の各種の塗布方法を適用できる。
塗布層22の厚さは、目的とする粘着シート1の厚さに応じて調整でき、例えば5~500μmであり、5~250μm、5~150μm、5~100μm、5~50μm、5~30μm、5~25μm、さらには5~20μmであってもよい。
硬化シート20に対して実施する表面改質処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、エキシマ処理、フレーム処理などが挙げられ、好ましくはコロナ処理である。換言すれば、活性エネルギー線13は、電子線、イオン線、プラズマ線及び紫外線からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。各々の表面改質処理は、対応する公知の処理装置により実施できる。表面改質処理の条件は、上述したものが挙げられる。
[光学積層体の実施形態]
本実施形態の光学積層体の一例を図6に示す。図6の光学積層体10は、上記の粘着シート1と、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1つの光学フィルム2とを含む。粘着シート1は、光学フィルム2と直接接していることが好ましい。図6の例では、粘着シート1の第1表面1aが光学フィルム2と接している。光学積層体10は、粘着シート1の作製時に用いた基材シートが粘着シート1に積層された構造を有していてもよい。光学積層体10は、粘着シート付き光学フィルムとして使用できる。
(光学フィルム)
光学フィルム2は、粘着シート1に対向する表面2aを有する。例えば、表面2aが粘着シート1の第1表面1aと接している。光学フィルム2の表面2aには、表面改質処理が施されていてもよい。表面改質処理が施された表面2aによれば、粘着シート1と光学フィルム2との投錨力を向上できる傾向がある。表面改質処理としては、粘着シート1について上述したものが挙げられる。
表面2aは、表面改質処理としてコロナ処理が施されていることが好ましい。表面2aにコロナ処理が施される場合、放電量などの条件は、例えば、粘着シート1について上述した範囲で適宜調節することができる。
上述のとおり、光学フィルム2は、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。光学フィルム2は、偏光フィルム及び/又は位相差フィルムを含む積層フィルムであってもよい。光学フィルム2は、ガラス製のフィルムを含んでいてもよい。ただし、光学フィルム2は上記例に限定されない。
偏光フィルムは、偏光子を含む。偏光フィルムは、典型的には、偏光子及び保護フィルム(透明保護フィルム)を含む。保護フィルムは、例えば、偏光子の主面(最も広い面積を有する表面)に接して配置されている。偏光子は、2つの保護フィルムの間に配置されていてもよい。保護フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面に配置されていてもよい。
偏光子としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素、二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの;ポリビニルアルコールの脱水処理物、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。偏光子は、典型的には、ポリビニルアルコール系フィルム(ポリビニルアルコール系フィルムには、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムが含まれる)、及び、ヨウ素等の二色性物質からなる。
偏光子の厚さは、特に限定されず、例えば80μm以下であり、50μm以下、30μm以下、25μm以下、さらには20μm以下であってもよい。偏光子の厚さの下限は、特に限定されず、例えば1μm以上であり、5μm以上、10μm以上、さらには15μm以上であってもよい。薄型の偏光子(例えば、厚さ20μm以下)は、寸法変化が抑制されており、光学積層体の耐久性、特に高温下の耐久性、の向上に寄与しうる。
保護フィルムの材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及び、これらの混合物が挙げられる。保護フィルムの材料は、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂であってもよい。偏光フィルムが2つの保護フィルムを有する場合、2つの保護フィルムの材料は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、偏光子の一方の主面に対して、接着剤を介して、熱可塑性樹脂で構成された保護フィルムが貼り合わされ、偏光子の他方の主面に対して、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂で構成された保護フィルムが貼り合わされていてもよい。保護フィルムは、任意の添加剤を1種類以上含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル樹脂を含むフィルムは、粘着シートとの接着強度が小さい傾向がある。しかし、本実施形態では、粘着シート1について、クリープ量及び弾性率G1が適切に調整されていることによって、(メタ)アクリル樹脂を含む保護フィルムの表面が光学フィルム2の表面2aに相当する場合であっても、粘着シート1と光学フィルム2との投錨力を十分に高い値に調整することができる。
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性等の点より10~200μm程度である。
偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。上記の接着剤以外の他の接着剤としては、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。電子線硬化型偏光板用接着剤は、各種の保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。接着剤は、金属化合物フィラーを含んでいてもよい。
偏光フィルムでは、保護フィルムに代えて、位相差フィルム等を偏光子上に形成することもできる。保護フィルム上には、さらに別の保護フィルムを設けること、位相差フィルム等を設けること等もできる。
保護フィルムについて、偏光子と接着している表面と対向する表面には、ハードコート層が設けられていてもよく、反射防止、スティッキング防止、拡散、アンチグレア等を目的とした処理を施すこともできる。
偏光フィルムは、円偏光フィルムであってもよい。
位相差フィルムとしては、高分子フィルムを延伸させて得られるものや液晶材料を配向、固定化させたものを用いることができる。位相差フィルムは、例えば、面内及び/又は厚さ方向に複屈折を有する。
位相差フィルムには、反射防止用位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0221〕、〔0222〕、〔0228〕参照)、視野角補償用位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0225〕、〔0226〕参照)、視野角補償用の傾斜配向位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0227〕参照)等が含まれる。
位相差フィルムの具体的な構成、例えば、位相差値、配置角度、3次元複屈折率、単層か多層か等は特に限定されず、公知の位相差フィルムを使用することができる。
位相差フィルムの厚さは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは1~9μmであり、特に好ましくは3~8μmである。
位相差フィルムは、例えば、液晶材料が配向、固定化された1/4波長板及び/又は1/2波長板を含んでいてもよい。
(光学積層体の特性)
本実施形態では、粘着シート1と光学フィルム2との投錨力Fが大きい傾向がある。投錨力Fは、例えば10.0N/25mm以上であり、11.0N/25mm以上、12.0N/25mm以上、13.0N/25mm以上、14.0N/25mm以上、15.0N/25mm以上、16.0N/25mm以上、17.0N/25mm以上、さらには18.0N/25mm以上であってもよい。投錨力Fの上限は、特に限定されず、例えば50N/25mm以下であり、30N/25mm以下であってもよい。
粘着シート1と光学フィルム2との投錨力Fは、次の方法によって測定することができる。まず、評価対象である光学積層体10を幅25mm×長さ150mmに切り出して試験片とする。次に、両面テープを介して、試験片が備える光学フィルム2の表面全体をステンレス製試験板に重ね合わせ、2kgのローラを1往復させて、これらを圧着させる。次に、試験片が備える粘着シート1を評価用シートに重ね合わせ、2kgのローラを1往復させて、これらを圧着させる。評価用シートは、幅30mm×長さ150mmのサイズを有し、試験中に粘着シート1から剥離しないものである限り特に限定されない。評価用シートとしては、例えば、ITOフィルム(125テトライトOES(尾池工業社製)など)を用いることができる。次に、市販の引張試験機を用いて、評価用シートを把持した状態で、剥離角度180°、引張速度300mm/minで粘着シート1を光学フィルム2から引きはがした際の剥離力の平均値を粘着シート1と光学フィルム2との投錨力Fとして特定する。なお、上記の試験は、23℃の雰囲気下で行う。
光学積層体10は、リワーク性の観点から、下記試験1により求めた接着力P0が8.0N/25mm以下であることが好ましい。
試験1:粘着シート1を無アルカリガラスに貼り付けて、剥離速度300mm/min及び剥離角度90°で粘着シート1を無アルカリガラスから引きはがす。このときに必要な力(接着力P0)を測定する。
試験1は、次の方法によって行う。まず、光学積層体10を縦150mm×横25mmの短冊状に切り出して試験片とする。次に、粘着シート1を介して、試験片を無アルカリガラスに貼り付ける。無アルカリガラスは、アルカリ成分(アルカリ金属酸化物)を実質的に含まないガラスであり、詳細には、ガラスにおけるアルカリ成分の重量比率が、例えば1000ppm以下であり、さらには500ppm以下である。無アルカリガラスは、例えば板状であり、0.5mm以上の厚さを有する。
無アルカリガラスへの試験片の貼り付けは、例えば、ラミネーターを用いて行い、無アルカリガラスと粘着シート1との間に気泡が混入しないように実施する。試験片を貼り付けた後、50℃及び5気圧(絶対圧)のオートクレーブ内に15分収容して無アルカリガラスと粘着シート1との接合を均質化させ、粘着シート1を無アルカリガラスに密着させる。次に、剥離速度300mm/min及び剥離角度90°で、試験片を無アルカリガラスから引きはがす(測定長80mm)。このとき、試験片を無アルカリガラスから引きはがすために必要な力を1回/0.5sの間隔で測定する。得られた測定値の平均値を接着力P0として特定する。
接着力P0は、好ましくは7.0N/25mm以下であり、6.0N/25mm以下、5.0N/25mm以下、4.5N/25mm以下、4.0N/25mm以下、さらには3.5N/25mm以下であってもよい。接着力P0の下限は、例えば0.5N/25mm以上であり、1.0N/25mm以上、さらには1.5N/25mm以上であってもよい。接着力P0は、0.5~7.0N/25mmであることが好ましい。
上記の投錨力Fと接着力P0との差(F-P0)は、好ましくは5.0N/25mm以上であり、6.0N/25mm以上、7.0N/25mm以上、8.0N/25mm以上、9.0N/25mm以上、10.0N/25mm以上、11.0N/25mm以上、12.0N/25mm以上、さらには13.0N/25mm以上であってもよい。差(F-P0)の上限は、例えば20N/25mm以下である。
さらに、光学積層体10の粘着シート1は、耐久性の観点から、無アルカリガラスと接触した状態で加熱処理された場合に、その接着性が向上することが好ましい。一例として、光学積層体10は、下記試験2により求めた接着力P1が8.0N/25mm以上であることが好ましい。
試験2:粘着シート1を無アルカリガラスに貼り付けて、60℃で100時間加熱処理を行う。剥離速度300mm/min及び剥離角度90°で粘着シート1を無アルカリガラスから引きはがす。このときに必要な力(接着力P1)を測定する。
試験2は、オートクレーブ内で無アルカリガラスと粘着シート1との接合を均質化させた後に、大気圧下、60℃で100時間加熱処理を行い、さらに、試験片の温度を室温(例えば23℃)まで低下させてから試験片を無アルカリガラスから引きはがすことを除き、試験1と同じ方法で行うことができる。
接着力P1は、好ましくは9.0N/25mm以上であり、9.5N/25mm以上、10.0N/25mm以上、さらには10.5N/25mm以上であってもよい。接着力P1の上限は、例えば20N/25mm以下である。
本実施形態の光学積層体の別の一例を図7に示す。図7の光学積層体11は、粘着シート1、光学フィルム2A、粘着シート7及び光学フィルム2Bがこの順に積層された積層構造を有する。光学積層体11は、粘着シート1の作製時に用いた基材シートが粘着シート1に積層された構造を有していてもよい。
光学積層体11において、典型的には、光学フィルム2Aが位相差フィルムであり、光学フィルム2Bが偏光フィルムである。粘着シート7は、光学フィルム2A及び2Bの層間粘着剤として機能する。粘着シート7は、公知の粘着剤を使用したものであってもよく、粘着シート1について上述したものであってもよい。
本実施形態の光学積層体10及び11は、例えば、帯状の光学積層体を巻回した巻回体として、あるいは枚葉状の光学積層体として、流通及び保管が可能である。
本実施形態の光学積層体は、典型的には、画像表示装置に用いられる。画像表示装置は、例えば、光学積層体10又は11を備えており、光学積層体10又は11と画像表示パネルとを接合して形成できる。接合は、例えば、粘着シート1により行う。画像表示装置は、有機ELディスプレイであってもよく、液晶ディスプレイであってもよい。ただし、画像表示装置は上記例に限定されない。画像表示装置は、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)等であってもよい。画像表示装置は、家電用途、車載用途、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)用途等に用いることができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
[モノマーシロップA1]
n-ブチルアクリレート(BA)95.5重量部、アクリル酸(AA)4.4重量部、及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)0.1重量部と、光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(Omnirad184、IGM Resins B.V.社製)0.05重量部、及び2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Omnirad651、IGM Resins B.V.社製)0.05重量部とを4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線を照射することによって、部分的に光重合したモノマーシロップA1を得た。紫外線の照射は、フラスコ内の液体の粘度(計測条件:BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで実施した。
[モノマーシロップA2]
単量体及び光重合開始剤を表1のように変更したことを除き、モノマーシロップA1と同じ方法によって、モノマーシロップA2を調製した。
表1中の略称は以下のとおりである。
BA:n-ブチルアクリレート
AA:アクリル酸
HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート
Omnirad184:1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(Omnirad184、IGM Resins B.V.社製)
Omnirad651:2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Omnirad651、IGM Resins B.V.社製)
Omnirad819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(Omnirad819、IGM Resins B.V.社製)
[粘着剤組成物C1~C8]
次に、以下の表2に示す組成となるように、モノマーシロップ、単量体、架橋剤、及びシランカップリング剤を混合して、粘着剤組成物C1~C8を得た。
表2中の略称は以下のとおりである。
NVP:N-ビニル-2-ピロリドン
NDDA:1,9-ノナンジオールジアクリレート
KBM403:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業製、商品名「KBM-403」)
各粘着剤組成物に含まれる単量体の最終組成を以下の表3に示す。
(実施例1)
[はく離ライナーの作製]
付加反応硬化型シリコーン(ヘキセニル基含有ポリオルガノシロキサンを含むLTC761、30重量%トルエン溶液、東レ・ダウコーニング製)30重量部、剥離コントロール剤(未反応性シリコーン樹脂を含むBY24-850、東レ・ダウコーニング製)0.9重量部、及び硬化触媒(白金触媒を含むSRX212、東レ・ダウコーニング製)2重量部、及び希釈溶媒としてトルエン/ヘキサン混合溶媒(体積比1:1)を混合して、シリコーン系離型剤組成物を得た。離型剤組成物におけるシリコーン固形分の濃度は、1.0重量%であった。次に、ライナー基材(ポリエステルフィルムであるルミラーXD500P、厚さ75μm)の片面に離型剤組成物をワイヤーバーにより塗布し、130℃で1分間加熱して、離型層(厚さ60nm)を片面に備えるはく離ライナーを作製した。
[粘着シートの作製]
基材シート(PETセパレータ、三菱樹脂製、MRF38)の片面に、粘着剤組成物C1をアプリケーターにより塗布し、塗布層(厚さ20μm)を形成した。次に、形成した塗布層の上にはく離ライナーを配置して第1の積層体を得た。はく離ライナーは、離型層が塗布層に接するように配置した。次に、第1の積層体における基材シートの側から光を照射した。光源としては、ブラックライト光源(BL)と、ピーク波長が340nmの光を照射するLEDを組み合わせて用いた。各光源の照射条件は、以下のとおりとした。なお、光の照度は、照度計(トプコンテクノハウス社製、UD-T3040T2)を用い、基材シートにおける紫外線の入射面の近傍にあたる位置での照度を測定した。
BL:照度6.2mW/cm2及び照射時間95秒の条件(積算光量589mJ/cm2)
LED:照度3.1mW/cm2及び照射時間90秒の条件(積算光量279mJ/cm2)
光の照射により、塗布層が光硬化し、はく離ライナー、硬化シート(厚さ20μm)及び基材シートにより構成される第2の積層体が得られた。次に、第2の積層体からはく離ライナーを剥離し、硬化シートの露出面に対して、放電量61W/m2・minでコロナ処理を行った。これにより、コロナ処理を行った部分に、弾性率が高い層(第2層)が形成され、実施例1の粘着シートが得られた。
(実施例2~10及び比較例1~3)
使用する粘着剤組成物及びコロナ処理の放電量を表4に示すように変更したことを除き、実施例1と同じ方法によって、実施例2~10及び比較例1~3の粘着シートを得た。なお、比較例1では、コロナ処理を行わず、硬化シートを粘着シートとみなした。
[AFM測定]
・第1表面の弾性率G1、及び、第2表面の弾性率G2
実施例及び比較例の粘着シートについて、上述の方法によって、AFMを用いて第1表面の弾性率G1、及び、第2表面の弾性率G2を測定した。なお、実施例1~10及び比較例2~3については、コロナ処理を行った表面を第1表面とみなし、比較例1については、第2の積層体からはく離ライナーを剥離することにより露出した粘着シートの表面を第1表面とみなした。走査型プローブ顕微鏡としては、ASYLUM RESEARCH社製のMFP-3Dスタンドアロンを用いた。
・第2層の厚さ
実施例の粘着シートでは、いずれも、コロナ処理を行った部分に、弾性率が高い層(第2層)が形成されていた。この第2層について、上述の方法によって、AFMを用いて厚さを測定した。その結果、実施例の粘着シートにおける第2層は、いずれも、厚さが100nm~150nm程度であった。なお、第2層の厚さを測定するための試験片は、粘着シートをサポートフィルムに貼り合わせて得られた積層体をウルトラミクロトームにより切削して作製した。サポートフィルムとしては、後述する偏光フィルムD1を用いた。
[クリープ量]
実施例及び比較例の粘着シートについて、上述の方法によって、クリープ量を測定した。サポートフィルム51には、厚さ50μmのPETフィルムを使用した。試験板53には、SUS304の板(30mm×75mm、厚さ2.5mm)を使用した。レーザー変位計には、キーエンス社製LK-H057を用いた。
[光学積層体の作製]
次に、偏光フィルムD1を作製し、実施例及び比較例の粘着シートと組み合わせて光学積層体を作製した。偏光フィルムD1は、次の方法によって準備した。まず、厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、速度比の異なるロール間において、温度30℃、濃度0.3%のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3倍まで延伸した。次に、濃度4%でホウ酸を含み、かつ濃度10%でヨウ化カリウムを含む、温度60℃の水溶液中に0.5分間浸漬しながら、総合延伸倍率が6倍になるまで延伸した。次に、濃度1.5%でヨウ化カリウムを含む、温度30℃の水溶液中に10秒間浸漬させて洗浄した後、50℃で4分間乾燥を行うことによって、厚さ20μmの偏光子を得た。当該偏光子の片面に、トリアセチルセルロース(TAC)系透明保護フィルム(厚さ25μm、富士フイルム社製)にケン化処理を施したものをポリビニルアルコール系接着剤により貼り合せた。さらに、偏光子の他方の面に、シクロオレフィンポリマー(COP)系透明保護フィルム(厚さ13μm、日本ゼオン社製)にコロナ処理を施したものをポリビニルアルコール系接着剤により貼り合せた。これにより、TAC系透明保護フィルム/偏光子/COP系透明保護フィルムの構成を有する偏光フィルムD1を得た。
実施例1~10、及び比較例1~3では、粘着シートの第1表面に上記の偏光フィルムD1を配置して光学積層体を作製した。このとき、偏光フィルムD1は、COP系透明保護フィルム側の表面が粘着シートに接するように配置した。
[投錨力]
上述の方法で作製した光学積層体について、上述の方法によって、粘着シートと偏光フィルムとの投錨力Fを測定した。両面テープとしては、日東電工社製の商品名「No.531」を用いた。ステンレス製試験板としては、SUS304の板(幅40mm×長さ120mm)を用いた。評価用シートとしては、ITOフィルム(125テトライトOES、尾池工業製)を用いた。引張試験機としては、オートグラフSHIMAZU AG-I 10KN(島津製作所製)を用いた。
[耐久性]
上述の方法で作製した光学積層体を用いて、次の方法によって耐久性(85℃耐久性)を評価した。まず、光学積層体を縦300mm×横220mmの短冊状に切り出して試験片とした。次に、厚さ0.7mmの無アルカリガラス(コーニング社製、商品名「EG-XG」)の表面に試験片を粘着シートにより貼り付けた。このとき、粘着シートの第2表面を無アルカリガラスに接触させた。無アルカリガラスへの試験片の貼り付けは、ラミネーターを用いて行った。試験片を貼り付けた後、50℃及び0.5MPaのオートクレーブ内に15分収容して無アルカリガラスと粘着シートとの接合を均質化させ、粘着シートを無アルカリガラスに密着させた。次に、試験片について、大気圧下、85℃で500時間加熱処理を行った。偏光フィルムと無アルカリガラスとの間の粘着シートの外観を目視により観察し、下記基準で、剥がれや、内部での裂け(糊裂け)を評価した。
・剥がれ
(評価基準)
A:剥がれが確認されない。
B:端部に微小な剥がれがあるが、画像表示機能に影響を与えない。
C:画像表示機能に影響を与えうる著しい剥がれがある。
・糊裂け
(評価基準)
A:糊裂けが確認されない。
B:端部にわずかな糊裂けがある。
C:端部に糊裂けがある。
表4からわかるとおり、クリープ量が10μm以上であり、かつ、第1表面の弾性率G1が1.0MPa以上である実施例の粘着シートは、比較例と比べて、耐久性試験での剥がれの評価が良好な結果であった。この結果から、実施例の粘着シートは、高温環境下で、画像表示装置の部材間での剥がれを抑制することに適していることが推定される。