(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、人の生理データと、その人のタスクを処理する能力であるパフォーマンスとの間に相関があることを実験により見出した。
図1は、実験結果を示す図である。具体的には、図1の(a)は、実験として行われた暗算に対する計算能力のレベルの推移を示すグラフであり、図1の(b)は、実験結果から得られる計算能力のレベルとRRIとの関係を示すグラフである。
実験では、暗算の問題を解く課題が、同じ被験者に対して週に1回の頻度で、約半年間実施された。その暗算の問題は、1桁または2桁の数字と1桁または2桁の数字との掛け算である。また、暗算の問題には、計算能力のレベルとして、Lv1~7が設定されている。
Lv1~7の詳細な内容は以下の通りである。なお、下記[左の数字の幅]は、掛け算「A×B」のAが取り得る数値範囲であり、下記[右の数字の幅]は、掛け算「A×B」のBが取り得る数値範囲である。なお、AおよびBはそれぞれ、下1桁目が1でもなく、かつ5でもない整数である。
Lv1:[左の数字の幅]=5~9、[右の数字の幅]=4~9
Lv2:[左の数字の幅]=12~19、[右の数字の幅]=3~9
Lv3:[左の数字の幅]=12~19、[右の数字の幅]=12~19
Lv4:[左の数字の幅]=22~49、[右の数字の幅]=12~14
Lv5:[左の数字の幅]=22~49、[右の数字の幅]=22~29
Lv6:[左の数字の幅]=22~49、[右の数字の幅]=22~49
Lv7:[左の数字の幅]=52~99、[右の数字の幅]=52~99
実験では、ディスプレイに暗算の問題を表示して、被験者に答えを3つの選択肢から選んで答えてもらった。1問に対して答える時間には制限時間があり、その制限時間内に答えることができなければ不正解となる。また、15分間において暗算の問題を解く課題は、3問ずつ行われ、3問の解答結果に応じて、次の3問のレベルが決定される。より具体的には、その課題は、Lv4の3問から開始される。そして、3問中の2または3問に対する解答が正解であれば、次の3問のレベルは、その解答が得られた直前のレベルよりも1段階高いレベルに決定される。例えば、直前のレベルがLv4であれば、次の3問のレベルはLv5に決定される。また、3問中の1問に対する解答のみ正解であれば、次の3問のレベルは、その解答が得られた直前のレベルと同じレベルに決定される。例えば、直前のレベルがLv4であれば、次の3問のレベルもLv4に決定される。また、3問中の3問全てに対する解答が不正解であれば、次の3問のレベルは、その解答が得られた直前のレベルよりも1段階低いレベルに決定される。例えば、直前のレベルがLv5であれば、次の3問のレベルはLv4に決定される。また、1段階低いレベルに決定された後には、問題のレベルは固定される。つまり、各問題に対して正解が得られる状況が続いても、その後に表示される問題のレベルは変化しない。
このような15分間の暗算の問題を解く課題に対して、計算能力のレベルは、図1の(a)に示すように推移した。なお、図1の(a)に示すグラフの横軸は、時間(秒)を示し、その縦軸は計算能力のレベルを示す。また、図1の(a)のグラフに含まれる1つのドットは、1つの暗算の問題が表示されたタイミングと、その問題のレベルとを示す。図1の(a)に示すように、その計算能力のレベルは、15分間の後半では、同じレベル、すなわちLv7に収束している。このような15分間の後半に収束する計算能力のレベルは、その時の被験者のパフォーマンスと解釈できると考えられる。なお、被験者のパフォーマンスは、被験者のタスクを処理する能力である。
また、このような15分間の暗算の問題を解く課題は、毎週、約半年間実施され、その毎週の課題が実施される直前には、その被験者のRRIが計測された。RRIは、連続する2つの心拍のR波のピークの間隔である心拍間隔(R-R intervals)である。このようなRRIは、課題が実施される直前の被験者が安静状態にあるときに計測された。
上記課題によって得られたパフォーマンスである計算能力のレベルと、その課題が行われる直前のRRIとは、図1の(b)に示す関係を有する。なお、図1の(b)におけるグラフの横軸は、RRIを示し、その縦軸は、計算能力のレベル、すなわちパフォーマンスを示す。また、図1の(b)のグラフに含まれる1つのドットは、15分間の暗算が開始される直前のRRIと、その暗算が行われた結果から得られる計算能力のレベルとを示す。なお、その計算能力のレベルは、上述のように15分間の後半で収束されたレベルである。
この図1の(b)では、計算能力のレベルとRRIとでは、相関係数r=-0.56であって、かつ、p値=0.004であって、負の相関を有する。つまり、計算能力のレベルであるパフォーマンスと、課題が実行される前のRRIとの間には、相関があることが分かった。この相関は、人に与えられるプレッシャーとその人のパフォーマンスとの関係を示しているとも言える。
したがって、タスクが実行される前のRRIなどの心拍情報である生理データを調べることで、そのタスクに対するパフォーマンスを推定することできる。
そこで、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータによって行われる情報処理方法であって、作業者がタスクを開始する前の前記作業者の心拍に関する心拍情報を取得し、前記作業者が前記タスクを開始する前に、取得された前記心拍情報に基づき、前記作業者の前記タスクを処理する能力を推定する。
ここで、上述のように、タスクが開始される前の作業者のRRIなどの心拍情報と、その後にその作業者がタスクを処理する能力であるパフォーマンスとの間には、相関がある。したがって、その作業者がタスクを開始する前の心拍情報に基づいてその作業者のパフォーマンスを推定することによって、そのパフォーマンスを事前に適切に推定することができる。つまり、作業者がタスクを開始する前に、その作業者のタスクを処理する能力を適切に推定することができる。
また、前記心拍情報の取得では、前記作業者を含む複数の作業者のそれぞれについて、当該作業者の前記心拍情報を取得し、前記能力の推定では、前記複数の作業者のそれぞれについて、当該作業者の前記能力を推定し、前記情報処理方法では、さらに、前記複数の作業者のそれぞれの推定された前記能力に基づいて、前記複数の作業者のそれぞれによって行われる前記タスクの内容を決定してもよい。
これにより、複数の作業者のそれぞれに対して、その作業者の能力に応じたタスクの内容が決定されるため、作業者に対してその能力に見合った作業を割り当てることができる。その結果、工場全体の作業効率の向上を図ることができる。
また、前記タスクの内容の決定では、前記複数の作業者のそれぞれによって行われる前記タスクの量を、前記タスクの内容として決定してもよい。例えば、前記タスクの内容の決定では、前記複数の作業者のそれぞれについて、当該作業者の推定された前記能力が高いほど、前記タスクの量として多い量を決定してもよい。
これにより、作業者に対してその能力に見合った量の作業を割り当てることができる。その結果、工場全体の作業効率の向上を図ることができる。
また、前記タスクの内容の決定では、前記複数の作業者のそれぞれによって行われる前記タスクの難易度を、前記タスクの内容として決定してもよい。例えば、前記タスクの内容の決定では、前記複数の作業者のそれぞれについて、当該作業者の推定された前記能力が高いほど、前記タスクの難易度として高い難易度を決定してもよい。
これにより、作業者に対してその能力に見合った難易度の作業を割り当てることができる。その結果、工場全体の作業効率の向上を図ることができる。
また、前記能力の推定では、心拍情報の入力に対して、タスクを処理する能力を出力するように機械学習が行われた学習モデルに、前記作業者の前記心拍情報を入力することによって、前記作業者の前記タスクを処理する能力を推定してもよい。
これにより、学習モデルが用いられるため、作業者のタスクを処理する能力をより適切に推定することができる。
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
(実施の形態)
図2は、本実施の形態における情報処理システムの構成を示すブロック図である。
本実施の形態における情報処理システム10は、センサ21によって得られたセンシング情報に基づいて、人がタスクを開始する前に、その人のタスクを処理する能力を適切に推定する装置である。なお、そのタスクを処理する能力は、パフォーマンスとも呼ばれる。また、情報処理システム10は、その人に対して推定された能力、すなわちパフォーマンスに基づいて、表示部23と、その人の周辺にある環境変更機器22とを制御する。また、本実施の形態では、上述の人は、工場の作業者であり、タスクは、その作業者が行う作業である。なお、本実施の形態におけるタスクは、上述のように作業であるが、作業に限らず、人に課される活動であれば、仕事であっても、学習であってもよく、その他の活動であってもよい。
このような本実施の形態における情報処理システム10は、心拍取得部11と、能力推定部12と、タスク内容決定部13と、環境制御部14と、表示制御部15と、能力取得部16と、アルゴリズム修正部17と、アルゴリズム格納部DB1と、推定能力格納部DB2と、決定内容格納部DB3とを備える。
心拍取得部11は、作業者がタスクを開始する前のその作業者の心拍に関する情報を心拍情報として取得する。具体的には、心拍取得部11は、センサ21から作業者のセンシング情報を取得し、そのセンシング情報から作業者の心拍情報を取得する。センサ21は、例えば、タスクを開始する直前の作業者を撮影することによって、その作業者の顔画像をセンシング情報として生成するカメラである。その顔画像は、例えば、作業者の顔が映し出された動画像である。この場合、心拍取得部11は、その顔画像から、映像脈波抽出によって作業者のRRIまたは心拍数を示す心拍情報を取得する。つまり、心拍取得部11は、顔画像に映し出されている作業者の顔にある皮膚の色度の変化に基づいて、その心拍情報を取得する。心拍数は、例えば1分間あたりの拍動の数であって、RRIの秒数で60秒を除算することによって算出される数である。また、心拍情報によって示されるRRIまたは心拍数は、1~5分程度の期間における平均値であってもよい。
なお、センサ21は、カメラに限らず、心電または脈波を計測するウェアラブルデバイスであってもよい。ウェアラブルデバイスは、フォトトランジスタおよびフォトダイオードを備え、血管中の血液量の変化を反射光または透過光により測定することによって、脈波を計測してもよい。そして、ウェアラブルデバイスは、その脈波の計測結果をセンシング情報として心拍取得部11に出力する。心拍取得部11は、このようなセンシング情報から作業者のRRIまたは心拍数を示す心拍情報を取得する。
また、センシング情報および心拍情報が取得されるタイミングは、作業者がタスクを開始する前であって、より具体的には、タスクを開始する直前である。つまり、このときは、作業者はタスクを行っておらず、安静状態にある。例えば、心拍取得部11は、作業者が安静状態にあるか否かを判定し、安静状態にあるときに、その作業者の心拍情報を取得してもよい。具体的には、心拍取得部11は、カメラとして構成されているセンサ21の撮像画像に基づいて、作業者の移動量または体の動きを解析し、その移動量または動きが閾値以下であれば、作業者が安静状態にあると判定してもよい。または、心拍取得部11は、その移動量または動きが閾値以下の状態が所定時間継続したときに、作業者が安静状態にあると判定してもよい。そして、作業者が安静状態にあるときに、心拍取得部11は心拍情報を取得する。これにより、作業者の運動によって変化した不適切な心拍情報の取得を抑えることができる。
能力推定部12は、作業者がタスクを開始する前に、心拍取得部11で取得された心拍情報に基づき、その作業者のタスクを処理する能力をパフォーマンスとして推定する。このパフォーマンスの推定には、アルゴリズム格納部DB1に格納されているアルゴリズムが用いられる。そのアルゴリズムは、事前に得られているRRIまたは心拍数とパフォーマンスとの相関を示すデータである。アルゴリズムは、例えば、線型回帰モデルまたは非線形回帰モデルなどによって表現される変換関数であってもよい。
また、アルゴリズムは、変換関数に限らず、ニューラルネットワークなどの学習モデルであってもよい。この場合、能力推定部12は、心拍情報の入力に対して、タスクを処理する能力を出力するように機械学習が行われた学習モデルに、その作業者の心拍情報を入力することによって、その作業者のタスクを処理する能力をパフォーマンスとして推定する。
なお、能力推定部12によって推定される能力は、タスクが行われている期間内の各タイミングでの作業者の集中度ではなく、タスクが行われる前、より具体的には、タスクが行われる直前の作業者の能力である。
タスク内容決定部13は、能力推定部12によって推定された作業者のパフォーマンスに基づいて、その作業者が行うタスクの内容を決定する。タスクの内容は、タスクの量であってもよく、タスクの難易度であってもよい。つまり、タスク内容決定部13は、作業者に対して推定されたパフォーマンスが高いほど、その作業者のタスクの量として多い量を決定する。なお、このタスクの量は、単位時間あたりの量であってもよく、単位時間に関わらず、1日、1週間または数か月におけるトータルの量であってもよい。または、タスク内容決定部13は、作業者に対して推定されたパフォーマンスが高いほど、その作業者のタスクの難易度として高い難易度を決定する。
環境制御部14は、能力推定部12によって推定された作業者のパフォーマンスに基づいて、その作業者の周辺にある環境変更機器22を制御することによって、その作業者の周辺環境を変更する。環境変更機器22は、例えば、作業者の周辺に配設されている空調機器、照明機器、オーディオ機器、およびアロマディフューザなどである。例えば、環境制御部14は、推定された作業者のパフォーマンスが閾値よりも低ければ、このような環境変更機器22にその周辺環境を変更させることによって、その作業者のパフォーマンスを向上させる。
表示制御部15は、能力推定部12によって推定された作業者のパフォーマンスと、タスク内容決定部13によって決定された作業者のタスクの内容とを、表示部23に表示させる。表示部23は、例えば、作業者が作業を行う工場の管理者に用いられる。したがって、管理者は、その表示部23を見ることによって、作業者のパフォーマンスおよびタスクの内容などを把握することができる。このような表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。
能力取得部16は、作業者によって実行されたタスクの出来高から、その作業者の実際のパフォーマンスを取得する。なお、タスクの出来高は、実際に行われたタスクの量または質である。能力取得部16は、出来高が高いほど、高いパフォーマンスを導出する関数などに基づいて、その実際のパフォーマンスを取得する。具体的には、能力取得部16は、作業者によって行われた作業量を出来高として取得し、その作業量を上述の関数に入力することによって、実際のパフォーマンスを取得する。
アルゴリズム修正部17は、能力推定部12によって推定された作業者のパフォーマンスと、能力取得部16によって取得された実際のパフォーマンスとを比較する。そして、アルゴリズム修正部17は、その比較結果に基づいて、能力推定部12によって用いられるアルゴリズムを修正する。つまり、アルゴリズム修正部17は、能力推定部12によって推定されるパフォーマンスが、実際のパフォーマンスに近づくように、そのアルゴリズムを修正する。アルゴリズムが学習モデルであれば、その学習モデルの再学習が行われる。
アルゴリズム格納部DB1は、上述のアルゴリズムを格納している記録媒体である。
推定能力格納部DB2は、上述の能力推定部12によって推定された作業者のパフォーマンスを示すデータを格納するための記録媒体である。なお、そのデータを、以下、推定能力データという。
決定内容格納部DB3は、上述のタスク内容決定部13によって決定された作業者のタスクの内容を示すデータを格納するための記録媒体である。なお、そのデータを、以下、決定タスクデータという。
アルゴリズム格納部DB1、推定能力格納部DB2、および決定内容格納部DB3などの記録媒体は、例えば、ハードディスク、RAM(Read Only Memory)、ROM(Random Access Memory)、または半導体メモリなどである。また、このような記録媒体は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
ここで、本実施の形態における情報処理システム10は、1人の作業者だけでなく、複数の作業者のパフォーマンスを推定し、その推定結果に応じた処理を行ってもよい。この場合、心拍取得部11は、複数のセンサ21のそれぞれから、互いに異なる作業者のセンシング情報を取得する。つまり、心拍取得部11は、複数の作業者のそれぞれについて、その作業者の心拍情報を取得し、能力推定部12は、その複数の作業者のそれぞれについて、その作業者のパフォーマンスを推定する。そして、タスク内容決定部13は、その複数の作業者のそれぞれの推定されたパフォーマンスに基づいて、複数の作業者のそれぞれによって行われるタスクの内容を決定する。
例えば、タスク内容決定部13は、複数の作業者のそれぞれによって行われるタスクの量を、タスクの内容として決定する。具体的には、タスク内容決定部13は、複数の作業者のそれぞれについて、その作業者の推定されたパフォーマンスが高いほど、タスクの量として多い量を決定する。または、タスク内容決定部13は、複数の作業者のそれぞれによって行われるタスクの難易度を、タスクの内容として決定する。具体的には、タスク内容決定部13は、複数の作業者のそれぞれについて、その作業者の推定されたパフォーマンスが高いほど、タスクの難易度として高い難易度を決定する。
また、アルゴリズム格納部DB1には、複数の作業者のそれぞれに対応付けられたアルゴリズムが格納されていてもよい。この場合、能力推定部12は、複数の作業者のそれぞれのパフォーマンスを推定するときには、推定対象の作業者に対応付けられた専用のアルゴリズムを用いて、その推定対象の作業者のパフォーマンスを推定する。この場合には、能力推定部12によるパフォーマンスの推定精度を向上することができる。なお、アルゴリズム格納部DB1には、複数の作業者に対して共通のアルゴリズムが格納されていてもてよい。この場合、能力推定部12は、何れの作業者に対してもその共通のアルゴリズムを用いて、複数の作業者のそれぞれのパフォーマンスを推定する。
また、複数の作業者のそれぞれに対して推定されたパフォーマンスは、上述の推定能力格納部DB2に格納されている推定能力データに示される。同様に、複数の作業者のそれぞれに対して決定されたタスクの内容は、上述の決定内容格納部DB3に格納されている決定タスクデータに示される。
また、環境制御部14は、複数の作業者のそれぞれについて、推定されたパフォーマンスに基づいて、その作業者の周辺にある環境変更機器22を制御することによって、その作業者の周辺環境を変更する。
図3は、作業者の状態の一例を示す図である。なお、図3の(a)は、工場での作業が行われる前であって、パフォーマンスが推定されるときの作業者の状態の一例を示し、図3の(b)は、そのパフォーマンスの推定後に、工場において作業を行う作業者の状態の一例を示す。
例えば、図3の(a)に示すように、作業者Wは、机の前に置かれた椅子に着席する。この机上には、パーソナルコンピュータ30と、ディスプレイ31と、キーボード32とが設定されている。また、ディスプレイ31には、カメラとして構成されているセンサ21が取り付けられている。センサ21は、図3の(b)に示す工場での作業が行われる前に、作業者Wの顔を撮影することによって、センシング情報を生成し、そのセンシング情報を、パーソナルコンピュータ30を介して情報処理システム10に送信する。このとき、パーソナルコンピュータ30は、その作業者Wの識別情報をセンシング情報に付加して情報処理システム10に送信してもよい。なお、その識別情報は、センサ21であるカメラの撮影によって得られる作業者Wの顔画像であってもよい。そして、情報処理システム10は、そのセンシング情報に基づいて、作業者Wのタスクを処理する能力であるパフォーマンスを推定し、さらに、その推定されたパフォーマンスから、作業者Wのタスクの内容を決定する。タスクの内容は、上述のように、タスクの量または難易度である。
作業者Wは、このように決定された量または難易度のタスクを、図3の(b)に示すように実行する。なお、作業者Wは、パフォーマンスが推定された場所から離れずに、その場所でタスクを実行してもよい。つまり、作業者Wは、図3の(a)に示す机上で作業を行ってもよい。
なお、タスクは、ベルトコンベアを流れる製品を加工したり、その製品に対する検査などを行うライン作業であってもよい。この場合、情報処理システム10のタスク内容決定部13は、作業者Wに対して推定されたパフォーマンスが高いほど、その作業者によって難易度の高いライン作業が行われるように、ベルトコンベア装置を制御してもよい。つまり、ベルトコンベア装置は、タスク内容決定部13による制御に応じて、パフォーマンスが高い作業者に、難易度の高いライン作業用の製品が流れるように、製品の搬送経路を変更する。あるいは、タスク内容決定部13は、作業者Wに対して推定されたパフォーマンスが高いほど、その作業者によって多くの製品に対するライン作業が行われるように、ベルトコンベア装置を制御してもよい。つまり、ベルトコンベア装置は、タスク内容決定部13による制御に応じて、パフォーマンスが高い作業者に多くの製品が流れるように、製品の搬送経路を変更する。
図4は、環境制御部14による処理の一例を示す図である。
環境制御部14は、能力推定部12によって推定された作業者Wのパフォーマンスに基づいて、環境変更機器22を制御する。これにより、作業者Wの能力を活性化させ、パフォーマンスの向上を図ることができる。例えば、環境変更機器22は、作業者Wの周辺に配設されている空調機器22a、照明機器22b、オーディオ機器22c、およびアロマディフューザ22dを含む。
例えば、環境制御部14は、能力推定部12によって推定された作業者Wのパフォーマンスが閾値より低い場合、環境データを参照する。この環境データは、複数の作業者Wのそれぞれについて、その作業者Wのパフォーマンスを向上させるための温度、湿度、明るさ、音響、および香りのそれぞれを示す。環境制御部14は、その環境データにおいて、低いパフォーマンスが推定された作業者Wに関係付けられている、温度、湿度、明るさ、音響、および香りを特定する。そして、環境制御部14は、作業者Wの周辺の温度および湿度がその特定された温度および湿度になるように空調機器22aを制御する。また、環境制御部14は、作業者Wの周辺の明るさがその特定された明るさになるように照明機器22bを制御する。また、環境制御部14は、作業者Wの周辺に、特定された音響が流れるようにオーディオ機器22cを制御する。さらに、環境制御部14は、作業者Wの周辺に、特定された香りが漂うようにアロマディフューザ22dを制御する。これにより、複数の作業者Wのそれぞれの個性に応じて、その作業者のパフォーマンスを向上させることができる。
なお、本実施の形態では、環境制御部14は、空調機器22a、照明機器22b、オーディオ機器22c、およびアロマディフューザ22dを制御するが、こられの機器の全てを制御することなく、少なくとも1つの機器のみを制御してもよい。
また、本実施の形態では、推定された作業者Wのパフォーマンスと、環境制御部14によって作業者Wに対して行われた制御内容と、その制御が行われたときの実際のパフォーマンスとを関連付けて示す情報を記録媒体に蓄積してもよい。このような情報は、複数の作業者Wのそれぞれに対して蓄積されてもよい。そして、環境制御部14は、その記録媒体に蓄積された情報に基づき、環境データに示される各作業者Wに対する温度などの内容を更新してもよい。これにより、複数の作業者Wそれぞれのパフォーマンスのさらなる向上に適した環境制御を行うことができる。
図5Aは、推定能力格納部DB2に格納されている推定能力データの一例を示す図である。
能力推定部12は、複数の作業者Wのそれぞれについて、その作業者Wのパフォーマンスを推定すると、その推定されたパフォーマンスをその作業者Wの識別情報と関連付けることによって、推定能力データd1を生成し、推定能力格納部DB2に格納する。
推定能力格納部DB2に格納されている推定能力データd1は、図5Aに示すように、複数の作業者Wのそれぞれについて、その作業者Wの識別情報である作業者IDと、その作業者Wに対して推定されたパフォーマンスとを関連付けて示す。例えば、パフォーマンスは、0~5の数値として示される。推定されたパフォーマンスが高いほど、そのパフォーマンスは大きい数値として示され、逆に、推定されたパフォーマンスが低いほど、そのパフォーマンスは小さい数値として示される。
図5Bは、決定内容格納部DB3に格納されている決定タスクデータの一例を示す図である。
タスク内容決定部13は、複数の作業者Wのそれぞれについて、その作業者Wのタスクの内容を決定すると、その決定されたタスクの内容をその作業者Wの識別情報と関連付けることによって、決定タスクデータd2を生成し、決定内容格納部DB3に格納する。
決定内容格納部DB3に格納されている決定タスクデータd2は、図5Bの(a)に示すように、複数の作業者Wのそれぞれについて、その作業者Wの識別情報である作業者IDと、その作業者Wに対して決定されたタスクの量とを関連付けて示す。例えば、タスクの量は、0~50の数値として示される。決定されたタスクの量が多いほど、そのタスクの量は大きい数値として示され、逆に、決定されたタスクの量が少ないほど、そのタスクの量は小さい数値として示される。なお、タスクの量は、例えば作業量である。
または、決定タスクデータd2は、図5Bの(b)のように、複数の作業者Wのそれぞれについて、その作業者Wの識別情報である作業者IDと、その作業者Wに対して決定されたタスクの難易度とを関連付けて示す。例えば、タスクの難易度は、0~10の数値として示される。決定されたタスクの難易度が高いほど、そのタスクの難易度は大きい数値として示され、逆に、決定されたタスクの難易度が低いほど、そのタスクの難易度は小さい数値として示される。なお、タスクの難易度は、例えば作業の難易度である。より具体的には、精密な機器の調整作業は、難易度が高く、台車での機材の運搬などの作業は、難易度が低い。
図6は、表示部23による表示の一例を示す図である。
表示制御部15は、推定能力格納部DB2に格納されている推定能力データd1を、例えば図6の(a)に示すようにヒストグラムとして表示部23に表示してもよい。つまり、表示制御部15は、複数の作業者Wのそれぞれに対して推定されたパフォーマンスをヒストグラムとして表示部23に表示する。工場の管理者は、そのヒストグラムを見ることによって、各作業者Wの状態を適切に把握することができる。
また、表示制御部15は、作業の工程ごとに推定されたパフォーマンスを、例えば図6の(b)に示すようにヒストグラムとして表示部23に表示してもよい。具体的には、表示制御部15は、各作業者Wが工程A~工程Dのうちの何れの工程を担当するかを示す工程データを参照する。そして、表示制御部15は、工程データに示される、工程Aを担当する少なくとも1人の作業者Wを特定する。表示制御部15は、その特定された少なくとも1人の作業者Wのそれぞれに対して推定されたパフォーマンスの数値を積算することによって、その工程Aのパフォーマンスを推定する。同様に、表示制御部15は、工程B~工程Dのそれぞれの工程に対しもパフォーマンスを推定する。そして、表示制御部15は、それらの工程ごとに推定されたパフォーマンスをヒストグラムとして表示部23に表示する。
工場の管理者は、そのヒストグラムを見ることによって、工程間の作業者Wの調整を行ってもよい。つまり、管理者は、工程データに示される、作業者Wが担当する工程を変更する。例えば、管理者は、工程データに示される作業者Wが担当する工程を、パフォーマンスの高い工程から、パフォーマンスの低い工程に変更する。これにより、工場全体のパフォーマンスを向上させることができる。なお、作業者Wが担当する工程の変更は、タスク内容決定部13によって行われてもよい。例えば、タスク内容決定部13は、工程A~工程Dのそれぞれの工程難易度を示す工程難易度データを参照する。そして、タスク内容決定部13は、作業者Wに対して推定されたパフォーマンスが高いほど、工程難易度が高い工程にその作業者が配置されるように、各作業者Wが担当する工程を変更する。逆に、タスク内容決定部13は、作業者Wに対して推定されたパフォーマンスが低いほど、工程難易度が低い工程にその作業者が配置されるように、各作業者Wが担当する工程を変更する。
あるいは、表示制御部15は、例えば図6の(c)に示すように、複数の作業者Wのそれぞれに対して推定されるトラブルの発生確率をヒストグラムとして表示部23に表示してもよい。作業者Wに対して推定されたパフォーマンスが高いほど、その作業者Wにはトラブルが生じ難く、逆に、作業者Wに対して推定されたパフォーマンスが低いほど、その作業者Wにはトラブルが生じ易い傾向がある。そこで、表示制御部15は、例えば、その作業者Wに対して推定されたパフォーマンスに反比例する数値を算出することによって、その作業者Wによって引き起こされるトラブルの発生確率を導出する。そして、表示制御部15は、複数の作業者Wのそれぞれに対して導出されたトラブルの発生確率をヒストグラムとして表示部23に表示する。工場の管理者は、そのヒストグラムを見ることによって、トラブルの発生を抑えるための対策を事前に行うことができる。
図7は、表示部23による表示の他の例を示す図である。
表示制御部15は、推定能力格納部DB2に格納されている推定能力データd1を、例えば図7に示すようにイラストとして表示部23に表示してもよい。具体的には、表示制御部15は、推定能力データd1に示されている各作業者Wのイラストを表示部23に表示させる。さらに、表示制御部15は、作業者Wに対して推定されたパフォーマンスの数値に応じた色のマークを、その作業者Wのイラストの近傍に表示する。例えば、パフォーマンスが0~5の数値で表される場合、0または1の数値のパフォーマンスには、青色のマークが表示され、2または3の数値のパフォーマンスには、黄色のマークが表示され、4または5の数値のパフォーマンスには、赤色のマークが表示される。なお、図7の例では、パフォーマンスの数値に応じた色のマークが表示されるが、そのようなマークに限らず、他の画像が表示されてもよい。例えば、パフォーマンスの数値に応じた種類の記号、またはパフォーマンスの数値に応じた向きの矢印が表示されてもよい。
図8は、表示部23による表示のさらに他の例を示す図である。
表示制御部15は、複数の作業者Wのそれぞれの実際のパフォーマンスが能力取得部16によって取得されると、例えば図8に示すように、図6の(a)に示すヒストグラムに対して、その実際のパフォーマンスを示すバーも付加して表示部23に表示する。つまり、表示部23には、複数の作業者Wのそれぞれについて、その作業者Wに対して推定されたパフォーマンスである推定値を示すバーと、その作業者Wの実際のパフォーマンスである実測値を示すバーとが表示される。アルゴリズム修正部17は、このような推定値と実測値との差が大きい場合には、その差が小さくなるように、アルゴリズム格納部DB1に格納されているアルゴリズムを修正する。
図9Aは、本実施の形態における情報処理システム10によって行われる処理であって、作業者Wがタスクを開始する前に行われる事前処理の一例を示すフローチャートである。
まず、情報処理システム10は、カウント数nを1に初期化する(ステップS11)。そして、情報処理システム10は、作業者Wのタスクを処理する能力をパフォーマンスとして推定する能力推定処理を実行する(ステップS12)。
次に、情報処理システム10の環境制御部14は、そのステップS12の能力推定処理で推定されたパフォーマンスが閾値よりも低いか否かを判定する(ステップS13)。ここで、環境制御部14は、そのパフォーマンスが低いと判定すると(ステップS13のYes)、環境制御を実行する(ステップS14)。つまり、環境制御部14は、環境変更機器22を制御することによって、作業者Wの周辺環境を変更する。これによって、環境制御部14は、作業者Wのパフォーマンスの向上を図る。
そして、環境制御部14は、カウント数nがKであるか否かを判定する(ステップS15)。Kは、2以上の任意の整数である。ここで、環境制御部14によってカウント数nがKであると判定されると(ステップS15のYes)、タスク内容決定部13は、作業者Wのタスクの内容を決定する(ステップS16)。例えば、タスク内容決定部13は、直近のステップS12の能力推定処理で推定されたパフォーマンスが高いほど、タスクの内容として多い量を決定し、逆に、その推定されたパフォーマンスが低いほど、タスクの内容として少ない量を決定する。つまり、パフォーマンスが高いほど、多い作業量が決定され、逆に、パフォーマンスが低いほど、少ない作業量が決定される。
一方、環境制御部14によってカウント数nがK未満であると判定されると(ステップS15のNo)、情報処理システム10は、カウント数nに対してインクリメントを行い(ステップS18)、ステップS12からの処理を繰り返し実行する。なお、ステップS14の環境制御が繰り返し行われる場合には、環境制御部14は、環境変更機器22を制御することによって、既に変更された環境と異なる環境を変更してもよい。例えば、先のステップS14で、作業者Wの周辺の温度が変更された場合には、環境制御部14は、次のステップS14では、作業者Wの周辺の明るさを変更してもよい。
次に、表示制御部15は、タスク内容決定部13によってステップS16で決定されたタスクの内容を表示部23に表示する(ステップS17)。
ここで、情報処理システム10は、工場に複数の作業者Wがいれば、図9Aに示す事前処理をその複数の作業者Wのそれぞれに対して実行する。この場合、ステップS16では、例えば、複数の作業者Wのそれぞれの作業量が、その作業者Wのパフォーマンスによって決定されるため、工場全体の作業のパフォーマンスを向上させることができる。
図9Bは、情報処理システム10による能力推定処理の一例を詳細に示すフローチャートである。なお、能力推定処理は、図9AのステップS12の処理である。
まず、情報処理システム10の心拍取得部11は、センサ21による作業者Wに対するセンシングによって得られるセンシング情報を、そのセンサ21から取得する(ステップS121)。次に、心拍取得部11は、そのセンシング情報から、作業者WのRRIまたは心拍数を示す心拍情報を取得する(ステップS122)。なお、心拍情報は、パフォーマンスを推定するための指標とも言える。
そして、能力推定部12は、ステップS122で取得された作業者Wの心拍情報と、アルゴリズム格納部DB1に格納されているアルゴリズムとを用いて、その作業者Wのタスクを処理する能力であるパフォーマンスを推定する(ステップS123)。例えば、そのアルゴリズムが学習モデルであれば、能力推定部12は、取得された作業者Wの心拍情報を学習モデルに入力することによって、その作業者Wのパフォーマンスを推定する。
次に、表示制御部15は、その作業者Wに対してステップS123で推定されたパフォーマンスを表示部23に表示する(ステップS124)。
ここで、情報処理システム10は、工場に複数の作業者Wがいれば、図9Bに示す能力推定処理をその複数の作業者Wのそれぞれに対して実行する。この場合、ステップS124では、例えば、図6または図7に示すヒストグラムまたはイラストが表示部23に表示される。
図10は、本実施の形態における情報処理システム10によって行われる処理であって、作業者Wがタスクを実行した後に行われる事後処理の一例を示すフローチャートである。
まず、情報処理システム10の能力取得部16は、作業者Wによるタスク終了後に、そのタスクの実行結果に基づいて、実際のパフォーマンスを取得する(ステップS21)。そして、アルゴリズム修正部17は、その作業者Wに対して能力取得部16によって取得された実際のパフォーマンスと、その作業者Wに対して能力推定部12によって推定されたパフォーマンスとを比較する(ステップS22)。このとき、表示制御部15は、その実際のパフォーマンスと、推定されたパフォーマンスとを、表示部23に表示する(ステップS23)。
次に、アルゴリズム修正部17は、その実際のパフォーマンスと、推定されたパフォーマンスとの差に基づいて、アルゴリズム格納部DB1に格納されているアルゴリズムを修正する(ステップS24)。このように修正されたアルゴリズムは、その後に行われる事前処理、すなわち図9BのステップS123の処理に利用される。言い換えれば、ステップS23の修正結果は、ステップS123における能力の推定にフィードバックされる。
ここで、情報処理システム10は、工場に複数の作業者Wがいれば、図10に示す事後処理をその複数の作業者Wのそれぞれに対して実行する。この場合、ステップS23では、例えば図8に示すヒストグラムが表示部23に表示される。また、アルゴリズム格納部DB1に、複数の作業者Wのそれぞれのアルゴリズムが格納されている場合には、ステップS24では、それらのアルゴリズムが修正される。つまり、作業者Wごとにアルゴリズムがカスタマイズされ、その修正が繰り返されることによって、そのアルゴリズムを作業者Wごとに最適化することができる。これにより、心拍情報とパフォーマンスとの相関に個人差がある場合であっても、その作業者Wのパフォーマンスをより正確に推定することができる。一方、アルゴリズム格納部DB1に共通のアルゴリズムが格納されている場合には、ステップS24では、その共通のアルゴリズムが修正される。
以上のように、本実施の形態では、タスクが開始される前の人のRRIなどの心拍情報と、その後にその人がタスクを処理する能力であるパフォーマンスとの間に相関があるため、タスクが開始される前に、その心拍情報を用いて、その能力を適切に推定することができる。つまり、情報処理システム10は、人がタスクを開始する前のその人の心拍に関する心拍情報を取得し、その人がタスクを開始する前に、取得されたその心拍情報に基づき、その人のタスクを処理する能力を推定する。これにより、人がタスクを開始する前に、その人のタスクを処理する能力を適切に推定することができる。
また、本実施の形態では、その人は、工場の作業者Wであり、上述のタスクは、作業者Wが行う作業である。これにより、作業者Wが作業を開始する前に、その作業者Wの作業を処理する能力、すなわち作業に対するパフォーマンスを適切に推定することができる。
また、本実施の形態では、複数の作業者Wのそれぞれについて、その作業者Wの心拍情報が取得され、その複数の作業者Wのそれぞれについて、当該作業者Wの能力が推定され、さらに、複数の作業者Wのそれぞれの推定された能力に基づいて、その複数の作業者Wのそれぞれによって行われるタスクの内容が決定される。これにより、複数の作業者Wのそれぞれに対して、その作業者Wの能力に応じたタスクの内容が決定されるため、作業者Wに対してその能力に見合った作業を割り当てることができる。その結果、工場全体の作業効率の向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、複数の作業者Wのそれぞれによって行われるタスクの量が、そのタスクの内容として決定される。つまり、複数の作業者Wのそれぞれについて、その作業者Wの推定された能力が高いほど、タスクの量として多い量が決定される。これにより、作業者Wに対してその能力に見合った量の作業を割り当てることができる。その結果、工場全体の作業効率の向上を図ることができる。
または、本実施の形態では、複数の作業者Wのそれぞれによって行われるタスクの難易度が、そのタスクの内容として決定される。つまり、複数の作業者Wのそれぞれについて、その作業者Wの推定された能力が高いほど、タスクの難易度として高い難易度が決定される。これにより、作業者Wに対してその能力に見合った難易度の作業を割り当てることができる。その結果、工場全体の作業効率の向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、心拍情報の入力に対して、タスクを処理する能力を出力するように機械学習が行われた学習モデルに、その人の心拍情報を入力することによって、その人のタスクを処理する能力が推定される。これにより、学習モデルが用いられるため、人のタスクを処理する能力をより適切に推定することができる。
(変形例)
上記実施の形態における情報処理システム10は、工場に適用され、工場で働く作業者Wの作業能力をパフォーマンスとして推定する。しかし、推定される人は作業者Wに限ることなく、タスクを行う人であれば、どのような人であってもよい。
本変形例における情報処理システム10は、教育現場に適用され、学習問題を解く課題をタスクとして行う生徒のパフォーマンスを推定する。
図11は、本変形例における情報処理システム10の適用例を示す図である。
本変形例における情報処理システム10は、図11に示すように、タブレット端末40と通信する。このタブレット端末40は、センサ21および環境変更機器22を備える。センサ21は、タブレット端末40の前面カメラとして構成され、タブレット端末40のユーザである生徒Sの顔画像を撮影する。環境変更機器22は、例えば上述のオーディオ機器22cとして構成されている。
情報処理システム10の心拍取得部11は、そのタブレット端末40のユーザである生徒Sが学習問題を解く前に、センサ21によって得られたセンシング情報である顔画像をタブレット端末40から受信する。そして、心拍取得部11は、その顔画像から心拍情報を取得する。能力推定部12は、その心拍情報に基づいて生徒Sのパフォーマンスを推定する。そして、タスク内容決定部13は、その推定されたパフォーマンスに応じた学習問題の量または難易度を、タスクの内容として決定する。表示制御部15は、その決定された量または難易度の学習問題を、タブレット端末40に送信し、そのタブレット端末40のディスプレイに表示する。また、環境制御部14は、推定されたパフォーマンスが低ければ、タブレット端末40のオーディオ機器22cから音響を出力させ、生徒Sのパフォーマンスを向上させてもよい。
さらに、能力取得部16は、タブレット端末40で受け付けられた学習問題に対する解答を、そのタブレット端末40から受信する。そして、能力取得部16は、その解答の正解率から、その生徒Sの実際のパフォーマンスを取得する。そして、アルゴリズム修正部17は、推定されたパフォーマンスと、実際のパフォーマンスとの差に基づいて、アルゴリズム格納部DB1に格納されているアルゴリズムを修正する。
図12Aおよび図12Bは、本変形例における情報処理システム10による表示の一例を示す図である。
本変形例における情報処理システム10は、1人の生徒Sの教育現場だけでなく、複数の生徒Sが出席する授業または講義にも適用することができる。例えば、複数の生徒Sのそれぞれは、上述のタブレット端末40を用いる。情報処理システム10は、授業または講義が開始される前に、それらのタブレット端末40から顔画像を受信し、複数の生徒Sのそれぞれのパフォーマンスを推定する。このパフォーマンスは、生徒Sが例えば授業または講義を理解する能力である。
例えば、情報処理システム10は、図12Aに示すように、複数の生徒Sのそれぞれのイラストを、その授業または講義を行う教師が有する表示部23に表示する。さらに、情報処理システム10は、複数の生徒Sのそれぞれの近傍に円形マークを表示する。この円形マークの色は、その円形マークに対応する生徒Sに対して推定されたパフォーマンスのレベルを示す。例えば、赤色の円形マークは、高いパフォーマンス示し、黄色の円形マークは、中程度のパフォーマンスを示し、青色の円形マークは、低いパフォーマンスを示す。
または、情報処理システム10は、図12Bに示すように、複数の生徒Sのそれぞれの近傍に矢印を表示する。この矢印の向きは、その矢印に対応する生徒Sに対して推定されたパフォーマンスのレベルを示す。例えば、上向きの矢印は、高いパフォーマンス示し、右向きの矢印は、中程度のパフォーマンスを示し、下向きの矢印は、低いパフォーマンスを示す。
なお、生徒Sのイラストは、生徒Sの写真であってもよく、生徒Sの名前が付加されていてもよい。また、複数の生徒Sのイラストの配置は、教室内の複数の生徒Sの座席配置と同じであってもよい。また、パフォーマンスのレベルは、色および矢印の向きに限ることなく、文字、記号、または図柄によって示されていてもよい。
これにより、授業または講義を行う教師は、図12Aまたは図12Bに示す画面を見ることによって、授業または講義の進め方を修正することができ、教育効果を最適化することができる。また、各生徒Sに対して、個別の指導を行ったり、授業または講義の難易度を調整することができる。
また、環境制御部14は、推定されたパフォーマンスが低ければ、教室に配置されている空調機器22a、照明機器22b、オーディオ機器22c、およびアロマディフューザ22dなどの環境変更機器22を制御してもよい。これにより、各生徒Sの心身状態を調整し、パフォーマンスを向上させることができる。つまり、各生徒Sのパフォーマンスを活性化させることができる。
なお、本変形例では、生徒Sは、タブレット端末40を利用するが、実施の形態と同様に、センサ21が取り付けられたディスプレイ31と、そのディスプレイ31に接続されたパーソナルコンピュータ30とを利用してもよい。また、本変形例では、センサ21は、カメラとして構成されているが、上述のウェアラブルデバイスとして構成されていてもよい。
また、本変形例においても、上記実施の形態と同様、情報処理システム10は、複数の生徒Sのそれぞれに対応するアルゴリズムを有する。そして、情報処理システム10は、そのアルゴリズムを用いて各生徒Sのパフォーマンスを推定し、授業または講義をどれだけ理解したかの結果に応じて、そのアルゴリズムを修正してもよい。また、そのアルゴリズムは、授業または講義の科目によって使い分けされてもよい。つまり、情報処理システム10のアルゴリズム格納部DB1には、生徒Sごとにアルゴリズム群が格納され、そのアルゴリズム群には、各科目に対応するアルゴリズムが含まれていてもよい。これにより、生徒Sおよび科目に応じてアルゴリズムを最適化することができる。その結果、能力推定部12は、生徒Sごとに、各科目のパフォーマンスをより適切に推定することができる。なお、科目の代わりに、学習問題の種類などが用いられてもよい。
また、本変形例では、複数の生徒Sのそれぞれに1つのカメラがセンサ21として用いられるが、これらの個別のカメラの代わりに、教室などに設置されて、複数の生徒Sを撮影するカメラがセンサ21として用いられてもよい。
以上、本開示の1つまたは複数の態様に係る情報処理システムについて、上記実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本開示は、その実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態または変形例に施したものも本開示に含まれてもよい。また、上記実施の形態との変形例のそれぞれの構成要素を組み合わせて構築される形態も本開示に含まれてもよい。
例えば、上記実施の形態および変形例では、情報処理システム10は、工場または教育現場の環境に限らず、コールセンター、オフィス、スポーツジムまたは競技大会の会場など、その他の環境にも適用されてもよく、作業者とはそれらの環境で作業に従事する人であってもよい。
また、上記実施の形態および変形例では、決定されるタスクの内容は、量および難易度であるが、それら以外の内容であってもよい。例えば、タスクの処理速度などであってもよい。
また、上記実施の形態では、カメラであるセンサ21、ディスプレイ31およびパーソナルコンピュータ30を含むセットが作業者Wに用いられるが、上記変形例のように、そのセットの代わりにタブレット端末40が用いられてもよい。
また、上記実施の形態および変形例では、情報処理システム10は、図2に示す各構成要素を備えるが、心拍取得部11および能力推定部12以外の全ての構成要素のうちの少なくとも1つを備えていなくてもよい。同様に、情報処理システム10は、図9Aに示すステップS11~S18の処理のうち、ステップS12以外の全ての処理のうちの少なくとも1つを実行しなくてもよい。
また、上記実施の形態および変形例では、情報処理システム10は、推定されたパフォーマンス、および決定されたタスクの内容などを表示部23に表示するが、そのパフォーマンスを示す情報、およびそのタスクの内容を示す情報を、外部機器に出力してもよい。外部機器は、スピーカであってもよい。この場合、それらの情報がスピーカから音声で管理者に報知される。
また、上記実施の形態および変形例では、情報処理システム10は、アルゴリズム格納部DB1、推定能力格納部DB2、および決定内容格納部DB3を備えるが、これらの格納部は、情報処理システム10の外部にあってもよい。例えば、これらの格納部は、クラウドサーバに備えられていてもよい。この場合、情報処理システム10は、インターネットなどの通信ネットワークを介してクラウドサーバにアクセスする。
なお、上記実施の形態および変形例において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記実施の形態および変形例の情報処理システム10などを実現するソフトウェアは、図9A、図9B、および図10に示すフローチャートの各ステップをコンピュータに実行させるプログラムである。
また、上記実施の形態および変形例における情報処理システム10は、以下のシステムであるとも言える。つまり、情報処理システム10は、作業者がタスクを開始する前のその作業者の心拍に関する心拍情報を取得するセンサと、その作業者がタスクを開始する前に、取得された心拍情報に基づき、その作業者のタスクを処理する能力を推定する処理回路とを備える。センサは、図2に示す少なくとも1つのセンサ21から構成されていてもよく、少なくとも1つのセンサ21および心拍取得部11から構成されていてもよい。また、処理回路は、図2に示す能力推定部12を含む。なお、処理回路は、例えばCPUまたはプロセッサなどである。
また、情報処理システム10は、タスクを提供するタスク提供装置をさらに備えてもよい。そして、上述のセンサは、作業者を含む複数の作業者のそれぞれについて、その作業者の心拍情報を取得する。処理回路は、その複数の作業者のそれぞれについて、取得した心拍情報に基づいて、その作業者の前記能力を推定し、その作業者の推定された能力に基づいて、その作業者が行うタスクの内容を決定し、決定した内容が反映されたタスクを作業者に提供するように、タスク提供装置に制御信号を送信する。タスク提供装置は、例えば、図2に示す表示部23であってもよく、ベルトコンベア装置であってもよい。あるいは、タスク提供装置は、図3に示すパーソナルコンピュータ30またはディスプレイ31であってもよく、図11に示すタブレット端末40であってもよい。なお、タスクを提供する処理は、そのタスクまたはタスクの内容を提示する処理であってもよく、タスクに用いられる物品を提供する処理であってもよい。
また、処理回路は、複数の作業者のそれぞれについて、その作業者の推定された能力に基づいて、その作業者が行うタスクの量を決定し、決定した量のタスクをその作業者に提供するように、タスク提供装置に制御信号を送信してもよい。
また、処理回路は、複数の作業者のそれぞれについて、その作業者の推定された能力に基づいて、その作業者が行うタスクの難易度を決定し、決定した難易度のタスクを作業者に提供するように、タスク提供装置に制御信号を送信してもよい。
また、センサは、作業者の顔画像を取得するカメラであり、心拍情報は、顔画像に基づいて取得されてもよい。
また、処理回路は、その顔画像に基づいて、作業者を識別する識別情報を生成してもよい。なお、識別情報は、その顔画像であってもよい。
また、情報処理システム10は、作業者が行ったタスクの出来高を示す情報を取得する能力取得装置と、記録媒体と、をさらに備えてもよい。記録媒体は、上述の識別情報、タスクを開始する前に推定された能力、およびそのタスクの出来高を示す情報と、を関連付けて蓄積する。なお、能力取得装置は、図2に示す能力取得部16を含む。また、記録媒体は、図5Aに示す推定能力格納部DB2であってもよく、推定能力データd1に、さらに、タスクの出来高が示されていてもよい。
なお、以下のような場合も本開示に含まれる。
(1)上記の少なくとも1つの装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。そのRAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、上記の少なくとも1つの装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(2)上記の少なくとも1つの装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(3)上記の少なくとも1つの装置を構成する構成要素の一部または全部は、その装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(4)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であるとしてもよい。
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。