詳細な説明
本開示をより容易に理解するために、特定の用語および語句を下記のみならず本明細書全体にわたり定義する。本明細書に提供される定義は非限定的であり、当業者が知っているであろう知識を考慮して読むべきである。
本方法および組成物を説明する前に、本発明が記載される特定の方法または組成物に限定されず、このようにもちろん変動し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様だけを説明することを目的とし、限定することを意図しないことも理解されたい。
値の範囲が提供される場合、文脈が別途明確に指示しない限り、この範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの各介在値も具体的に開示されることが理解されている。任意の表示値または表示範囲内の介在値と、他の任意の表示値または表示範囲内の介在値との間のより小さい範囲が各々本発明に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、より小さい範囲に含まれるまたはより小さい範囲から除外される場合があり、表示範囲において具体的に除外される任意の限界値があれば、これらの限界値のうちのいずれか一方もしくは両方がより小さい範囲に含まれる各範囲またはどちらも含まれない各範囲も、本発明に包含される。表示範囲がこれらの限界値のうちのいずれか一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値のうちのいずれか一方または両方を除外する範囲もまた本発明に含まれる。
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。本明細書に記載の方法および物質と同様もしくは同等の任意の方法および物質を本発明の実施または試験に使用することもできるが、いくつかの潜在的で好ましい方法および物質が、これから説明される。本明細書で言及されるすべての刊行物は、それとの関連で刊行物が引用される方法および/または物質を開示および記載するために、参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書および添付の特許請求の範囲に使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数指示対象を含むことに留意すべきである。したがって例えば、「細胞」への言及は、複数のこのような細胞を含み、「ペプチド」への言及は、1つまたは複数のペプチドおよびその等価物、例えば、当業者に公知のポリペプチドなどへの言及を含む。
本明細書で論じる刊行物は、それらの開示が本出願の出願日に先行するものについてのみ提供される。本明細書に含まれるいかなる記述も、本発明が先行発明によってそのような刊行物に先行する権利を与えられないことを認めるものとして解釈すべきではない。さらに、提示する刊行の日付は、別個に確認する必要があり得る実際の刊行の日付と異なる場合がある。
特に示されていない限り、部分は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度(℃)であり、圧力は大気圧または大気圧近くである。標準的な省略が使用される:bp=塩基対;kb=キロ塩基;sまたはsec=秒;min=分;hまたはhr=時間;AAまたはaa=アミノ酸;kb=キロ塩基;nt=ヌクレオチド;pg=ピコグラム;ng=ナノグラム;μg=マイクログラム;mg=ミリグラム;g=グラム;kg=キログラム;pl=ピコリットル;dlまたはdL=デシリットル;μl、ulまたはμL=マイクロリットル;mlまたはmL=ミリリットル;lまたはL=リットル;μMまたはuM=マイクロモル濃度;pM=ピコモル濃度;nM=ナノモル濃度;fm=フェムトモル濃度;mM=ミリモル濃度;M=モル濃度;kDa=キロダルトン;SCまたはSQ=皮下(に);QD=1日1回;QW=週1回;QM=月1回;BW=体重;U=単位;ns=統計的に有意でない;PBS=リン酸緩衝食塩水;HSA=ヒト血清アルブミン;MSA=マウス血清アルブミン;および下の表1に提供される略語。
本開示にわたり、アミノ酸が1文字コードまたは3文字コードに従って参照されることが認識されるであろう。読者の便宜上、1文字アミノ酸コードおよび3文字アミノ酸コードを下の表2に提供する:
分子生物学における標準方法は、科学文献に記載されている(例えば、Sambrook and Russell (2001) Molecular Cloning, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;ならびに細菌細胞におけるクローニングおよびDNA変異誘発(Vol. 1)、哺乳動物細胞および酵母におけるクローニング(Vol. 2)、複合糖質およびタンパク質の発現(Vol. 3)、ならびにバイオインフォマティクス(Vol. 4)を記載しているAusubel, et al. (2001) Current Protocols in Molecular Biology, Vols. 1-4, John Wiley and Sons, Inc. New York, N.Y.を参照されたい)。この科学文献は、免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、および結晶化を含むタンパク質精製のための方法のみならず、化学分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の産生、およびタンパク質のグリコシル化を記載している(例えば、Coligan, et al. (2000) Current Protocols in Protein Science, Vols. 1-2, John Wiley and Sons, Inc., NYを参照されたい)。
特に示されていない限り、以下の用語は下に示される意味を有することが意図される。他の用語は、本明細書を通して別途定義される。
定義:
活性化する:本明細書で使用される場合、「活性化する」という用語は、受容体または受容体複合体を参照して受容体へのアゴニストリガンドの結合の生物学的効果を反映するために使用される。活性化物質は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、または細胞を、増大させる、活性化する、促進する、活性化を増強する、感作する、またはアップレギュレーションする分子である。例えば、IL2アゴニストのIL2受容体(例えば、高親和性CD25/CD122/CD132受容体複合体)への結合は、受容体のシグナル伝達を「活性化して」、1つまたは複数の細胞内生物学的効果(例えば、STAT5のリン酸化)を産生する。
活性:本明細書で使用される場合、「活性」という用語は、ある分子に関して、検査系(例えばアッセイ)に関する当該分子の性質、当該分子の生物学的もしくは化学的性質(例えば、当該分子の別の分子への結合の程度)、または物質もしくは細胞の物理的性質(例えば、細胞膜電位の改変)を記載するために使用される。そのような生物学的機能の例は、生物学的作用物質の触媒活性、細胞内シグナル伝達を刺激する能力、遺伝子発現、細胞増殖、炎症応答などの免疫活性をモジュレートする能力を含むが、それに限定されるわけではない。「活性」は、典型的には、投与された作用物質の単位あたりの生体活性、例えば[触媒活性]/[mgタンパク質]、[免疫活性]/[mgタンパク質]、活性の国際単位(IU)、[STAT5リン酸化]/[mgタンパク質]、[T細胞増殖]/[mgタンパク質]、プラーク形成単位(pfu)などとして表現される。
投与する/投与:「投与」および「投与する」という用語は、対象のインビトロ、インビボおよび/またはエクスビボで細胞、組織、臓器、または生体液を作用物質(例えば、hIL2ムテイン、hIL2ムテインをコードするベクター、hIL2ムテインを発現している操作された細胞、化学療法剤、抗体、または前述の1つもしくは複数を含む薬学的製剤)と接触させることを含む、対象を接触させる行為を指すために、本明細書において互換的に使用される。作用物質の投与は、外用投与、血管内注射(静脈内または動脈内注入を含む)、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、頭蓋内注射、腫瘍内注射、経皮、経粘膜、イオントフォレーシス送達、リンパ内注射、胃内注入、前立腺内注射、膀胱内注入(例えば膀胱)、吸入(例えば、ドライパウダーインヘラーを含む吸入器)、眼内注射、腹内注射、病巣内注射、卵巣内注射、脳内注入または注射、脳室内注射(ICVI)、などを含むが、それに限定されるわけではない、当技術分野において承認されている多様な方法のいずれかにより達成され得る。「投与」という用語は、作用物質と、細胞、組織または臓器との接触のみならず、作用物質と、細胞と接触している液体との接触を含む。「投与」という用語は、対象から単離され、作用物質と接触され得る細胞(または細胞集団)のエクスビボ接触を含み、該細胞(または細胞集団)は、同じ対象(例えば、自家細胞移入)または異なる対象(例えば、同種細胞移入)に投与される。
有害事象:本明細書で使用される用語「有害事象」は、対象における治療剤または予防剤の使用と関連する任意の望ましくない経験を指す。有害事象は、治療剤または予防剤(例えば、IL2ムテイン)の投与によって必ずしも引き起こされる必要はなく、無関係の状況から生じ得る。有害事象は、典型的には軽度、中等度、または重度に分類される。本明細書で使用される場合、本明細書で使用される有害事象の分類は、米国保健福祉省、米国国立保健研究所および米国国立がん研究所によって刊行された、刊行日2017年11月27日の有害事象共通用語規準v5.0(CTCAE)に従う。
親和性:本明細書で使用される「親和性」という用語は、第1の分子(例えばリガンド)の第2の分子(例えば受容体)への特異的結合の程度を指し、分子とその標的との間の解離定数(Koff)と、分子とその標的との間の会合定数(Kon)との比であるKdとして表現される結合動態によって測定される。
アゴニスト:本明細書で使用される「アゴニスト」という用語は、第2の作用物質(「標的」)と特異的に結合し、標的と相互作用して標的の活性化の増強を引き起こすまたは促進する、第1の作用物質を指す。場合によっては、アゴニストは、細胞活性化をモジュレートする、活性化を増強する、細胞を第2の作用物質による活性化へと感作する、または1つもしくは複数の遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体の発現、細胞増殖をもたらし得る生物学的経路または細胞周期の停止もしくはアポトーシスなどによる細胞死を結果としてもたらす経路をアップレギュレーションする、受容体タンパク質の活性化物質である。いくつかの態様では、アゴニストは、受容体に結合し、受容体の状態を変更し、受容体の内因性リガンドの効果を模倣する生物学的応答を結果としてもたらす作用物質である。「アゴニスト」という用語は、部分アゴニスト、完全アゴニストおよびスーパーアゴニストを含む。アゴニストは、このようなアゴニストが研究中の受容体によって誘導される実質的に完全な生物学的応答(すなわち、天然のリガンド/受容体結合相互作用と関連する応答)をもたらす場合の「完全アゴニスト」、または部分アゴニストとして記載される場合がある。「スーパーアゴニスト」は、標的受容体に対して内因性アゴニストよりも大きな最大応答を産生することが可能なタイプのアゴニストであり、したがって、天然リガンドの100%よりも大きな活性を有する。スーパーアゴニストは、典型的には、同等のアッセイにおいて同様の濃度で評価された場合、天然形態の分子の評価可能な量的または質的パラメーターにおいて110%よりも大きい、代替的に120%よりも大きい、代替的に130%よりも大きい、代替的に140%よりも大きい、代替的に150%よりも大きい、代替的に160%よりも大きい、または代替的に170%よりも大きい応答を示す合成分子である。hIL2ムテインに関して、hIL2ムテインの活性は、同等のアッセイにおいて同様の濃度で評価された場合、WHO国際標準(NIBSCコード:86/500)野生型成熟hIL2に従って表現される。完全アゴニストに関連する生物学的効果が、部分アゴニストまたはスーパーアゴニストのそれらの生物学的効果と程度および/または種類が異なり得ることに留意すべきである。アゴニストと対照的に、アンタゴニストは、受容体に特異的に結合し得るが、典型的には受容体によって開始されるシグナルカスケードを結果としてもたらさず、その受容体でのアゴニストの作用を改変し得る。インバースアゴニストは、アゴニストの薬理応答と逆方向の薬理応答を産生する作用物質である。
アゴニストと対照的に、アンタゴニストは、受容体に特異的に結合し得るが、典型的には受容体によって開始されるシグナルカスケードを結果としてもたらさず、その受容体でのアゴニストの作用を改変し得る。「スーパーアゴニスト」は、標的受容体に対して内因性アゴニストよりも大きな最大応答を産生することが可能なタイプのアゴニストであり、したがって、100%よりも大きな有効性を有する。本開示のIL2スーパーアゴニストは、同等のアッセイにおいて同様の濃度で評価された場合、WHO国際標準(NIBSCコード:86/500)野生型成熟hIL2の活性の110%よりも大きい、代替的に120%よりも大きい、代替的に130%よりも大きい、代替的に140%よりも大きい、代替的に150%よりも大きい、代替的に160%よりも大きい、または代替的に170%よりも大きい活性を有し得る。インバースアゴニストは、アゴニストの薬理応答と逆方向の薬理応答を産生する作用物質である。
アンタゴニスト:本明細書で使用される「アンタゴニスト」または「阻害剤」という用語は、アゴニストの作用と対抗する分子を指す。アンタゴニストは、アゴニストの活性を防止、低減、阻害、または中和し、アンタゴニストはまた、特定されたアゴニストがない場合であっても、標的、例えば標的受容体の構成的活性を防止、阻害、または低減することができる。阻害剤は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、免疫チェックポイント経路などの生物学的経路、または細胞を減少させる、遮断する、防止する、活性化を遅延させる、不活性化する、脱感作する、またはダウンレギュレーションする分子である。
抗体:本明細書で使用される用語「抗体」は、まとめて:(a)標的分子に特異的に結合するグリコシル化および非グリコシル化免疫グロブリン(哺乳動物免疫グロブリンクラスIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含むが、それに限定されるわけではない)ならびに(b)標的分子との結合をそれが由来した免疫グロブリンと競合する、IgG(1-4)デルタCH2、F(ab')2、Fab、ScFv、VH、VL、テトラボディー、トリアボディー、ダイアボディー、dsFv、F(ab')3、scFv-Fcおよび(scFv)2を含むが、それに限定されるわけではない免疫グロブリン誘導体を指す。抗体という用語は、任意の特定の哺乳動物種に由来する免疫グロブリンに限定されず、マウス、ヒト、ウマ、ラクダ科動物、ヒトの抗体を含む。抗体という用語は、典型的にはラクダ科動物(ラクダ、ラマおよびアルパカを含む)の免疫処置から得られるような、いわゆる「重鎖抗体」または「VHH」または「Nanobodies(登録商標)」を含む(例えば、Hamers-Casterman, et al. (1993) Nature 363:446-448を参照されたい)。所与の特異性を有する抗体はまた、サメを含むが、それに限定されるわけではない軟骨魚類の免疫処置から得られるVHHなどの非哺乳動物起源に由来し得る。「抗体」という用語は、天然起源から、または抗原による免疫処置後の動物から単離可能な抗体のみならず、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、三重特異性、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、CDR移植、ベニヤ化(veneered)、または脱免疫化(deimmunized)(例えば、T細胞エピトープを除去するため)抗体を含む、操作された抗体を包含する。「ヒト抗体」という用語は、ヒトから得られた抗体のみならず、抗原により刺激されると、トランスジェニック動物が、ヒトによって産生される抗体のアミノ酸配列特性を含む抗体を産生するような、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニック哺乳動物から得られた抗体を含む。抗体という用語は、親抗体およびその誘導体、例えば親和性成熟、ベニヤ化、CDR移植(CDR移植VHHを含む)、ヒト化、ラクダ化(非ラクダ由来VHHの場合)、または非免疫グロブリン足場中に抗体の結合ドメイン(例えばCDR)を含む結合分子の両方を含む。「抗体」という用語は、任意の特定の合成手段に限定されず、これは、天然起源から単離可能な天然抗体のみならず、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックであるトランスジェニック動物またはそれから調製されたハイブリドーマから単離された抗体、抗体の発現をもたらす核酸構築物により形質転換された宿主細胞から単離された抗体、ファージディスプレイライブラリーを含むコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体を含む、「組み換え」手段によって調製される、操作された抗体分子を含む、または化学合成(例えば、固相タンパク質合成)される。一態様では、「抗体」は、哺乳動物免疫グロブリンである。いくつかの態様では、抗体は、結合機能およびエフェクター機能を提供する可変ドメインおよび定常ドメインを含む「全長抗体」である。ほとんどの場合、全長抗体は、2つの軽鎖および2つの重鎖を含み、各軽鎖は、可変領域および定常領域を含む。いくつかの態様では、「全長抗体」という用語は、2つの軽鎖および2つの重鎖を含む従来のIgG免疫グロブリン構造を指すために使用され、各軽鎖は、可変領域および定常領域を含み、結合機能およびエフェクター機能を提供する。抗体という用語は、下記により詳細に記載するような融合タンパク質またはポリマーとのコンジュゲーション(例えばPEG化)などの、作用持続時間を延長するための改変を含む抗体コンジュゲートを含む。
生体試料:本明細書で使用される「生体試料」または「試料」という用語は、対象から得られた、または対象に由来する試料を指す。例として、生体試料は、体液、血液、全血、血漿、血清、粘液分泌、唾液、脳脊髄液(CSF)、気管支肺胞洗浄液(BALF)、眼球液(fluid of the eye)(例えば、硝子体液、房水)、リンパ液、リンパ節組織、脾臓組織、骨髄、およびこれらの組織のうちの1つまたは複数に由来する免疫グロブリン濃縮画分からなる群より選択される材料を含む。いくつかの態様では、試料は、同じIL2ムテインへの反復曝露などの、IL2ムテインの薬学的製剤を含む治療的処置レジメンを受けたことがある対象から得られる。他の態様では、試料は、最近IL2ムテインに曝露されたことがない対象から得られる、またはIL2ムテインの計画投与前の対象から得られる。
「CAR」または「キメラ抗原受容体」:本明細書で使用される用語「キメラ抗原受容体」および「CAR」は、アミノ末端からカルボキシ末端への配列に配置された複数の機能的ドメイン:(a)抗原結合ドメイン(ABD)および「ヒンジ」ドメインを含む細胞外ドメイン(ECD)、(b)膜貫通ドメイン(TD);ならびに(c)1つまたは複数の細胞質シグナル伝達ドメイン(CSD)を含むキメラポリペプチドを指すために互換的に使用され、ここで、前述のドメインは、任意で1つまたは複数のスペーサードメインによって連結されている場合がある。CARはまた、シグナルペプチド配列をさらに含む場合があり、シグナルペプチドは、CARの翻訳後プロセシングおよびCARをコードする核酸配列を含む発現ベクターにより形質転換された細胞の細胞表面でのCARの提示の間に慣例的に除去される。CARは、当技術分野において周知の原理に従って調製され得る。例えば、Eshharら(2010年6月22日に発行された米国特許第7,741,465 B1号);Sadelain, et al. (2013) Cancer Discovery 3(4):388-398;CampanaおよびImai(2013年3月19日に発行された米国特許第8,399,645号)、Jensen and Riddell (2015) Current Opinions in Immunology 33:9-15;Gross, et al. (1989) PNAS(USA) 86(24): 10024-10028;Curran, et al. (2012) J Gene Med 14(6):405-15;Brogdonら(2019年1月8日に発行された米国特許第10,174,095号)、Guedan, et al. (2019) Engineering and Design of Chimeric Antigen Receptors (2019) Molecular Therapy: Methods & Clinical Development Vol. 12: 145-156を参照されたい。
CAR-T細胞:本明細書で使用される用語「キメラ抗原受容体T細胞」および「CAR-T細胞」は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように組み換え改変されているT細胞を指すために互換的に使用される。市販のCAR-T細胞製品の例は、アキシカブタゲン シロルユーセル(Gilead PharmaceuticalsからYescarta(登録商標)として市販)およびチサゲンレクルユーセル(NovartisからKymriah(登録商標)として市販)を含む。
CD25:本明細書で使用される「CD25」、「IL2受容体アルファ」、「IL2Rα」、「IL2Ra」および「p55」という用語は、Treg細胞において構成的に発現する55kDポリペプチドであって、活性化(例えば、CD3による)に応答して他のT細胞上で誘導的に発現する55kDポリペプチドに互換的に使用される。CD25はまた、文献で「低親和性」IL2受容体とも称される。ヒトCD25の核酸配列およびタンパク質配列は、それぞれ、GenBankアクセッション番号NM_000417およびNP_0004Q8として見出され得る。ヒトCD25は、アミノ酸21個のシグナル配列を含むアミノ酸272個のプレタンパク質として発現し、シグナル配列が翻訳後に除去されてアミノ酸251個の成熟タンパク質になる。アミノ酸22~240(成熟タンパク質のアミノ酸1~219)は、細胞外ドメインに対応する。アミノ酸241~259(成熟タンパク質のアミノ酸220~238)は、膜貫通ドメインに対応する。アミノ酸260~272(成熟タンパク質のアミノ酸239~251)は、細胞内ドメインに対応する。hCD25の成熟形態のアミノ酸配列は、
である。
CD122:本明細書で使用される「CD122」、「インターロイキン-2受容体ベータ」、「IL2Rb」、「IL2Rβ」、「IL15Rβ」および「p70-75」という用語は、ヒトCD122膜貫通タンパク質を指すために互換的に使用される。ヒトCD122(hCD122)は、アミノ酸551個のタンパク質として発現し、最初のアミノ酸26個はシグナル配列を含み、シグナル配列が翻訳後に切断されてアミノ酸525個の成熟タンパク質になる。アミノ酸27~240(成熟タンパク質のアミノ酸1~214)は、細胞外ドメインに対応し、アミノ酸241~265(成熟タンパク質のアミノ酸225~239)は膜貫通ドメインに対応し、アミノ酸266~551(成熟タンパク質のアミノ酸240~525)は細胞内ドメインに対応する。本明細書で使用される用語CD122は、S57FおよびD365E(成熟hCD122タンパク質に従って番号付けされた場合)を含むCD122タンパク質の天然バリアントを含む。hCD122は、UniProtKBデータベースでエントリーP14784として参照される。ヒトCD122の核酸配列およびタンパク質配列は、それぞれGenBankアクセッション番号NM_000878およびNP_000869として見出され得る。成熟hCD122タンパク質のアミノ酸配列は、
であり、hCD122の細胞外ドメインのアミノ酸配列は、
である。
CD132:本明細書で使用される「CD132」、「IL2受容体ガンマ」、「IL2Rg」、「IL2Rγ」という用語は、1型サイトカイン受容体を指し、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、およびIL21に対する受容体複合体によって共有されることから「共通」ガンマ鎖を指す。ヒトCD132(hCD132)は、アミノ酸22個のN末端シグナル配列を含む、アミノ酸369個のプレタンパク質として発現する。アミノ酸23~262(成熟タンパク質のアミノ酸1~240)は細胞外ドメインに対応し、アミノ酸263~283(成熟タンパク質のアミノ酸241~262)はアミノ酸21個の膜貫通ドメインに対応し、アミノ酸284~369(成熟タンパク質のアミノ酸262~347)は細胞内ドメインに対応する。hCD132は、UniProtKBデータベースでエントリーP31785として参照される。ヒトCD132の核酸配列およびタンパク質配列は、それぞれGenBankアクセッション番号:NM_000206およびNP_000197として見出され得る。成熟hCD132タンパク質のアミノ酸配列は、
である。
CDR:本明細書で使用される用語「CDR」または「相補性決定領域」は、重鎖免疫グロブリンポリペプチドおよび軽鎖免疫グロブリンポリペプチドの両方の可変領域内に見出される非連続抗原結合部位(combining site)を意味することが意図される。CDRは、Kabat et al., J. Biol. Chem. 252:6609-6616 (1977);Kabat, et al., U.S. Dept. of Health and Human Services publication entitled "Sequences of proteins of immunological interest" (1991)(本明細書において「Kabat 1991」または「Kabat」とも称される);Chothia, et al. (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917(本明細書において「Chothia」とも称される);およびMacCallum, et al. (1996) J. Mol. Biol. 262:732-745によって記載されており、ここで、これらの定義は相互に比較した場合にアミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。それにもかかわらず、抗体もしくは移植抗体またはそれらのバリアントのCDRを指すためのいずれかの定義の適用は、本明細書において定義および使用される場合にこの用語の範囲内であると意図される。本開示に関連して、CDR位置の番号付けは、Kabatの番号付けの慣例に従って提供される。
同等:本明細書で使用される「同等」という用語は、評価可能な定量または定性パラメーターの2つの測定値における差の程度を記載するために使用される。例えば、評価可能な定量パラメーター(例えば、CTLL-2の増殖またはホスホ-STAT5アッセイによって決定される場合のIL2の活性レベル)の第1の測定値と、評価可能なパラメーターの第2の測定値との差が、当業者がその状況における2つの結果の間に実際に統計的有意差を生じないと認識するであろう範囲を超えない場合、これら2つの測定値は「同等」と見なされるであろう。場合によっては、ある測定値の別の測定値からの差が30%未満、代替的に25%未満、代替的に20%未満、代替的に15%未満、代替的に10%未満、代替的に7%未満、代替的に5%未満、代替的に4%未満、代替的に3%未満、代替的に2%未満、または1%未満である場合、これらの測定値は「同等」と見なされ得る。特定の態様では、ある測定値の参照標準からの差が15%未満、代替的に10%未満、または代替的に5%未満である場合、この測定値は参照標準と同等である。
保存的アミノ酸置換:本明細書で使用される「保存的アミノ酸置換」という用語は、1つのアミノ酸残基が別のアミノ酸残基に交換されることにより、結果として生じるタンパク質が同様の検査系において親ポリペプチドと同等の活性を保持する、ポリペプチドのアミノ酸配列の改変を指す。いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインは、野生型IL2アミノ酸配列内にもう1つの保存的アミノ酸置換をさらに含み得る。保存的置換の例は、DayhoffによってThe Atlas of Protein Sequence and Structure 5 (1978)に、およびArgosによってEMBO J., 8:779-785 (1989)に記載されたものを含む。保存的置換は、典型的には、下の表3に示される以下のチャートに従って行われる。
機能または免疫学的同一性における実質的な変化は、表3に示される置換よりも保存的でないアミノ酸置換(「非保存的アミノ酸置換」)を選択することによって行われ得る。非保存的アミノ酸置換の例は、小型非荷電側鎖を有するアミノ酸(例えばグリシン)の大型荷電かさばり側鎖(アスパラギン)による置換を含む、ポリペプチド主鎖の構造に顕著に影響する、または二次もしくは三次エレメントを破壊する置換である。
由来する:本明細書で使用される「由来する」という用語は、アミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の文脈で(例えば、IL2ポリペプチドに「由来する」アミノ酸配列)、ポリペプチドまたは核酸が参照ポリペプチドまたは核酸(例えば、天然IL2ポリペプチドまたはIL2をコードする核酸)の配列に基づく配列を有することを示すことが意味され、タンパク質または核酸が作られる起源または方法に関して限定的であることは意味されない。例として、「由来する」という用語は、参照アミノ酸配列またはDNA配列の相同体またはバリアントを含む。
有効濃度(EC):本明細書で使用される「有効濃度」という用語またはその略語「EC」は、検査系において所与のパラメーターに応答を引き起こすのに十分な量の作用物質(例えば、hIL2ムテイン)の濃度を指すために互換的に使用される。略語「E」は、検査系が被験作用物質に曝された場合に、該検査系において観察される所与の生物学的効果の大きさを指す。応答の大きさが、被験作用物質の濃度(「C」)の因数として表現される場合、略語「EC」が使用される。生物学的システムの文脈で、Emaxという用語は、活性化被験作用物質の飽和濃度に応答して観察される所与の生物学的効果の最大の大きさを指す。略語ECに下付き文字が付く場合(例えば、EC40、EC50など)、下付き文字は、その濃度で観察される生物学的効果のEmaxに対するパーセントを指す。例えば、被験作用物質に応答した、測定可能な生物学的パラメーターの最大レベルの30%である、検査系におけるこのような測定可能な生物学的パラメーターの誘導を結果としてもたらすのに十分なこのような被験作用物質の濃度は、このような生物学的パラメーターに関する被験作用物質の「EC30」と称される。同様に、「EC100」という用語は、作用物質に応答する測定可能なパラメーターの最大(100%)応答を結果としてもたらす、このような作用物質の有効濃度を意味するために使用される。同様に、EC50という用語(薬力学の分野で一般に使用される)は、測定可能なパラメーターに最大半量(50%)の変化を結果としてもたらすのに十分な作用物質の濃度を指す。「飽和濃度」という用語は、温度および圧力の標準条件下で標準体積の特定の溶媒(例えば水)中に溶解できる被験作用物質の最大可能量を指す。薬力学において、薬物の飽和濃度は、典型的には、すべての利用可能な受容体が薬物によって占有されるのに十分な薬物濃度を意味するために使用され、EC50は、最大半量効果を与えるための薬物濃度である。被験作用物質の特定の有効濃度のECは、特定のパラメーターおよび検査系に関して略され得る。例えば、CD25+ T細胞においてSTAT5リン酸化の最大レベルの50%を誘導するIL2ムテインの濃度は、文脈に応じて「EC50
pSTAT5-CD25+」または類似の用語として略され得る。Emaxは、測定されているパラメーター(例えば、pSTAT5誘導、増殖)、被験作用物質(例えば、下記の「REH」などの特定のIL2ムテイン)および検査系(例えば、CD25+ヒトT細胞、ヒトCD25- 細胞、初代ヒトT細胞)の因数であるので、EmaxおよびEmaxの特定のパーセントを生じるのに十分な被験作用物質の濃度(例えばEC20、EC50など)の決定は、特定に検査系において経験的に決定され得る。場合によっては、分子について確立されている、生体活性の一般に認められた標準化尺度がある。例えばhIL2の効力に関して、hIL2効力を国際単位(IU)で評価するための標準的方法論は、マウス細胞傷害性T細胞株CTLL-2において、Wadhwa, et al. (2013) "The 2nd International standard for Interleukin-2 (IL2) Report of a collaborative study" Journal of Immunological Methods 397:1-7により十分に説明されるような標準手順に従って測定される。本開示に関連して、マウスIL2受容体は、細胞内シグナルのシグナル伝達(例えば、STAT5リン酸化)を提供するために、特に三量体型受容体複合体のすべての構成要素の必要性に関してヒトIL2受容体と異なって機能することに留意すべきである。例えば、Horta, et al., (2019) "Human and murine IL2 receptors differentially respond to the human-IL2 component of immunocytokines" Oncoimmunology 8(6):e1238538-1, e1238538-15およびNemoto, et al. (1995) "Differences in the Interleukin-2 (IL2) receptor system in human and mouse: alpha chain is require for formation of the functional mouse IL2 receptor" European J Immunology 25(11)3001-5を参照されたい。その結果、特にCD25に関する選択性に関して、本開示のhIL2ムテインの活性を評価する場合、低、中、および高親和性のヒトIL2受容体および受容体複合体の生物学を再現するヒト細胞または系の使用が好ましく、マウス検査系(例えば、マウス細胞を使用するインビトロ検査系またはマウスにおけるインビボ)において選択的な結合または活性化を示す分子は、ヒト系(例えば、ヒト細胞を使用するインビトロ検査系またはヒト対象におけるインビボ)においてこのような選択的活性を再現しない場合がある。
EC増殖:「CD3により活性化した初代ヒトT細胞の増殖を誘導するのに十分な有効濃度」(本明細書において「ECPRO」と略される)という用語は、当技術分野において標準的なプロトコルの教示に従って決定された場合の、CD3により活性化した初代ヒトT細胞の増殖を誘導するのに十分なIL2ムテインの有効濃度を指す。CD3により活性化した初代ヒトT細胞の増殖を評価するためのこのような標準的なプロトコルの例は、Crouch, et al. (1993) "The use of ATP bioluminescence as a measure of cell proliferation and cytotoxicity" J. Immunol. Methods 160: 81-8に記載されたような、培養物中に存在する細胞の数に正比例するATPの存在量に比例する発光シグナルを生成する生物発光アッセイ、またはPromega Corporation, 2800 Woods Hollow Road, Madison WI 53711からそれぞれカタログ番号G9241およびG9681として市販されている、製造者によって提供される説明書に実質的に従うCellTiter-Glo(登録商標)2.0細胞生存率アッセイもしくはCellTiter-Glo(登録商標)3D細胞生存率キットなどの標準的な市販のアッセイシステムを含む。略語ECPROが下付き文字付きで使用される場合、これは、所与の検査プロトコルによって測定された場合の被験作用物質に応答した初代ヒトT細胞の最大増殖に対する表示パーセントを誘導するのに十分な被験作用物質の濃度を示すために提供される。実例として、略語EC30
PROは、hIL2ムテインに関して、CellTiter-Glo(登録商標)2.0細胞生存率アッセイによって測定された場合の、当該IL2ムテインに関して応答したCD3により活性化した初代ヒトT細胞の増殖の最大レベルの30%に関連する濃度を示すために使用され得る。
EC活性化:「T細胞の活性化を誘導するのに十分な有効濃度」(本明細書において「ECACT」と略される)という用語は、ヒトT細胞の活性化および/または分化を誘導するのに十分なIL2ムテインの有効濃度を指す。T細胞の活性化を測定するための評価可能なパラメーターは、当技術分野において周知である。いくつかの態様では、被験作用物質の投与に応答したT細胞活性化のレベルは、当技術分野において周知の方法に従ってSTAT5リン酸化のレベルによって決定されるような、記載のフローサイトメトリー方法によって決定され得る。STAT5リン酸化は、Hortaら、前記、Garciaら、前記に記載されたようなフローサイトメトリー技術、または製造者の教示に実質的に従ってホスホ-STAT5(Tyr694)キット(Perkin-Elmer/cisbio Waltham MAからパーツ番号64AT5PEGとして市販されている)などの市販のキットを使用して測定され得る。略語ECACTが下付き文字付きで使用される場合、これは、検査プロトコルに従って測定された場合の、被験作用物質の適用に応答してT細胞において最大STAT5リン酸化に対する表示のパーセントを誘導するのに十分な被験作用物質の濃度を示すために提供される。実例として略語EC30
PROは、hIL2ムテインに関して、測定された場合の、当該IL2ムテインに関して応答したT細胞の増殖の最大レベルの30%に関連する濃度を示すために使用され得る。
濃縮されている:本明細書で使用される「濃縮されている」という用語は、関心対象の種(例えば、分子または細胞)が:(a)出発試料、例えば生体試料(例えば、分子が自然に存在するもしくは分子が投与後に存在する試料)中の種の濃度よりも高い濃度(例えば、少なくとも3倍高い、代替的に少なくとも5倍高い、代替的に少なくとも10倍高い、代替的に少なくとも50倍高い、代替的に少なくとも100倍高い、もしくは代替的に少なくとも1000倍高い);または(b)分子が作られた環境(例えば、組み換え改変された細菌または哺乳動物細胞)よりも高い濃度で存在するように非天然に操作された試料を指す。
細胞外ドメイン:本明細書で使用される「細胞外ドメイン」という用語またはその略語「ECD」は、細胞の形質膜外側である、細胞表面タンパク質(例えば細胞表面受容体)の部分を指す。細胞表面タンパク質は、膜貫通タンパク質、細胞表面タンパク質または膜関連タンパク質であり得る。
同一性:ポリペプチド配列またはDNA配列を参照して本明細書において使用される「同一性」という用語は、2つの分子の間のサブユニット配列同一性を指す。両方の分子におけるサブユニット位置が同じ単量体サブユニット(すなわち、同じアミノ酸残基またはヌクレオチド)によって占有されている場合、これらの分子はその位置で同一である。2つのアミノ酸または2つのヌクレオチド配列の間の類似性は、同一位置の数の直接の関数である。一般に、最高水準のマッチが得られるようにこれらの配列がアライメントされる。必要ならば、公表された技術および広く利用可能なコンピュータープログラム、例えばGCSプログラムパッケージ(Devereux, et al., (1984) Nucleic Acids Res. 12:387)、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul, et al. (1990) J. Molecular Biol. 215:403-410)を使用して同一性を計算することができる。配列同一性および配列類似性のパーセントを決定するために適したアルゴリズムは、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410およびAltschul, et al. (1977) Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402に記載されているBLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のウェブサイトを通じて公的に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードとアライメントした場合にマッチするまたはある正の値の閾値スコア「T」を満たす、クエリ配列内の長さWの短いワードを同定することによって、最初に高スコア配列ペア(HSP)を同定することを伴う。Tは、隣接ワードスコアの閾値と称される(Altschulら、前記)。これらの最初の隣接ワードのヒットは、それらを含有するより長いHSPを見出す検索を開始するためのシードとして働く。次いで、アライメントスコアの合計が増加できる限り、配列毎にワードのヒットを両方向に伸ばす。ヌクレオチド配列について、パラメーター「M」(マッチする残基のペアについての報酬スコア(reward score);常に>0)および「N」(ミスマッチする残基についてのペナルティースコア(penalty score);常に<0)を使用してスコアの合計が計算される。アミノ酸配列について、スコアの合計を計算するためにスコアリング行列が使用される。各方向におけるワードヒットの伸展は、(a)アライメントスコアの合計がその最大達成値から量Xだけ低下する;1つもしくは複数の負スコアの残基のアライメントの累積によりスコアの合計がゼロ以下になる;または(b)いずれかの配列の末端に達する場合に停止される。BLASTアルゴリズムパラメーター「W」、「T」、および「X」は、アライメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、同様に機能するが、デフォルトとしてワードサイズ(「W」)28、期待値(「E」)10、M=1、N=-2、および両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとしてワードサイズ(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアリング行列を使用する。(Henikoff & Henikoff, (1989) PNAS(USA) 89:10915-10919を参照されたい)。
IL2:本明細書で使用される「インターロイキン-2」または「IL2」という用語は、IL2活性を有する天然IL2ポリペプチドを指す。いくつかの態様では、IL2は、成熟野生型ヒトIL2を指す。成熟野生型ヒトIL2(hIL2)は、Fujita, et. al, PNAS USA, 80, 7437-7441 (1983)に記載されるように、アミノ酸133個の成熟ポリペプチド(さらなる20個のN末端アミノ酸からなるシグナルペプチドだけ小さい)として存在する。本明細書において使用されるhIL2ムテインの残基の番号付けは、SEQ ID NO:1の配列と同じであるシグナルペプチドを除外するhIL2配列UniProt ID P60568に基づく。成熟野生型ヒトIL2(hIL2)の天然バリアントのアミノ酸配列は:
である。
IL2活性:「IL2活性」という用語は、細胞を有効量のIL2ポリペプチドと接触させることに応答した、細胞に対する1つまたは複数の生物学的効果を指す。IL2活性は、例えば、実質的にGearing, A.J.H. and C.B. Bird(1987) in Lymphokines and Interferons, A Practical Approach. Clemens, M.J. et al. (eds): IRL Press. 295の教示に従ってCTLL-2マウス細胞傷害性T細胞を使用する細胞増殖アッセイで測定され得る。組み換えヒトIL2(rhIL2)の比活性は約2.1×104IU/μgであり、これは、組み換えヒトIL2のWHO国際標準(NIBSCコード:86/500)に対して較正される。いくつかの態様では、IL2活性のレベルは、当技術分野において公知のフローサイトメトリー法によって決定され得るSTAT5リン酸化レベルとして表現され得る。
IL2ムテイン:本明細書で使用される「IL2ムテイン」という用語は、IL2分子のアミノ酸配列への改変を含む、天然形態のIL2に由来するムテインを指す。IL2ムテインは、天然型の親IL2ポリペプチド鎖の1つまたは複数部位またはその他の残基でのアミノ酸の挿入、欠失、置換および改変によって特徴付けられる。いくつかの態様では、本発明のIL2ムテインは、同等のアッセイで同様の濃度で評価された場合、WHO国際標準(NIBSCコード:86/500)の野生型成熟ヒトIL2の活性と同等のCD122結合活性を保持する。例示的なムテインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのアミノ酸の置換を含むことができる。
応答を引き起こすのに十分な量で:本明細書で使用される「応答を引き起こすのに十分な量で」という語句は、検査系への被験作用物質の適用前(例えばベースラインレベル)および後に測定された指標のレベルの検出可能な変化を提供するのに十分な被験作用物質の量を参照して使用される。いくつかの態様では、検査系は、細胞、組織または生物である。いくつかの態様では、検査系は、蛍光アッセイなどのインビトロ検査系である。いくつかの態様では、検査系は、細胞、組織、または生物への被験作用物質の適用前および後の生物学的機能を反映する、細胞、組織、または生物のパラメーターのレベルの変化の測定を伴うインビボ系である。いくつかの態様では、指標は、ある量の被験作用物質の投与に応答した、アッセイにおいて評価された細胞の生物学的機能または発生状態を反映する。いくつかの態様では、検査系は、細胞、組織、または生物への1つまたは複数の被験作用物質の適用前および後の生物学的状態を反映する、細胞、組織、または生物の指標のレベルの変化の測定を伴う。「応答を引き起こすのに十分な量で」という用語は、十分に治療有効量であり得るが、治療有効量よりも多いまたは少ない場合もある。
治療を必要とする:本明細書で使用される「治療を必要とする」という用語は、対象に関して医師または他の介護者によってなされる、対象が治療を必要とするまたは治療から潜在的に恩恵を受けるであろうという判断を指す。この判断は、医師または介護者の専門的知識の範囲内である多様な要因に基づいて行われる。
予防を必要とする:本明細書で使用される「予防を必要とする」という用語は、対象に関して医師または他の介護者によってなされる、対象が予防的ケアを必要とするまたは予防的ケアから潜在的に恩恵を受けるであろうという判断を指す。この判断は、医師または介護者の専門的知識の範囲内である多様な要因に基づいて行われる。
阻害剤:本明細書で使用される「阻害剤」という用語は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、または細胞を減少させる、遮断する、防止する、その活性化を遅延させる、不活性化する、脱感作する、またはダウンレギュレーションする分子を指す。阻害剤はまた、細胞または生物の構成的活性を低減、遮断、または不活性化する分子としても定義することができる。
単離されている:本明細書で使用される「単離されている」という用語は、天然に存在するならば、天然に存在することができる環境と異なる環境中にある、関心対象のポリペプチドを参照して使用される。「単離されている」は、関心対象のポリペプチドが実質的に濃縮されており、かつ/または関心対象のポリペプチドが部分的もしくは実質的に精製されている試料内にあるポリペプチドを含むことが意味される。ポリペプチドが非天然の場合、「単離されている」は、ポリペプチドが、それが合成された環境から分離されていること、例えば、ポリペプチドを発現するように操作された細胞を含む組み換え細胞培養物から、または固相合成手段に起因する溶液によって、単離されていることを示す。
Kabat番号付け:本明細書で使用される「Kabat番号付け」という用語は、免疫グロブリンの重鎖領域および軽鎖領域内の他のアミノ酸残基(例えば、超可変残基)よりも変動が大きいアミノ酸残基の番号付けシステムを指すための、抗体操作の技術分野において認識されている用語である(Kabat, et al., (1971) Ann. NY Acad. Sci 190:382-93;Kabat, et al., (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)。本開示のために、本明細書に開示される抗体の可変領域内のCDRの位置付けは、Kabat番号付けまたは単に「Kabat」に従う。
転移:本明細書で使用される「転移」という用語は、原発腫瘍から周囲の組織および遠隔臓器へのがん細胞の拡散を説明する。
リガンド:本明細書で使用される「リガンド」という用語は、受容体と特異的に結合し、その受容体を発現する細胞において受容体の活性または応答に変化を引き起こすように、受容体に変化をもたらす分子を指す。一態様では、「リガンド」という用語は、受容体のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用することができる分子、またはその複合体を指す。本明細書で使用される「リガンド」という用語は、天然および合成リガンドを包含する。「リガンド」はまた、小分子、サイトカインのペプチド模倣体および抗体のペプチド模倣体を包含する。リガンドおよび受容体の複合体は、「リガンド-受容体複合体」と名付けられる。リガンドは、ポリタンパク質または融合タンパク質の一ドメイン(例えば、抗体/リガンド融合タンパク質のいずれかのドメイン)を含み得る。リガンドおよび受容体の複合体は、「リガンド-受容体複合体」と名付けられる。
改変IL2ムテイン:本明細書で使用される「改変IL2ムテイン」という用語は、1つまたは複数の余分なさらなる改変(すなわち、hIL2ムテインのコアアミノ酸配列以外の改変)、例えばPEG化、グリコシル化(N-結合型およびO-結合型)、アシル化、もしくはポリシアリル化を含むIL2ムテイン、または血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)もしくはウシ血清アルブミン(BSA))を含むアルブミン融合ポリペプチドまたはFc-融合タンパク質を含むが、それに限定されるわけではない、他のポリペプチド担体分子とのコンジュゲーション(化学的コンジュゲーションもしくは融合タンパク質として)によるIL2ムテイン、またはIL2オルソゴナルポリペプチド融合タンパク質、標的IL2ムテインポリペプチド、例えばScFv-IL2ムテインポリペプチド融合タンパク質およびVHH-IL2ムテインポリペプチド融合タンパク質を含むIgGなどのターゲティング部分を有するIL2ムテインを指すために使用される。改変IL2ムテインは、1つまたは複数の性質を増強するために、例えば、免疫原性をモジュレートする;水溶性、バイオアベイラビリティー、血清半減期、および/もしくは治療的半減期を増大させる方法;ならびに/または生体活性をモジュレートするために調製され得る。特定の改変はまた、例えば、検出アッセイ(例えば、エピトープタグ)に使用するための抗体を産出するためおよびタンパク質の精製の容易さを提供するために有用であることができる。いくつかの態様では、改変IL2ムテインは、SEQ ID NO:1と少なくとも95、96、97、98、または99%同一であり、表4に示されるようなSEQ ID NO:1に対して3つの改変の組み合わせのうち1つを有する。
モジュレートする:本明細書で使用される「モジュレートする」、「モジュレーション」などの用語は、生物学的システムまたは生化学経路を含むシステムにおいて被験作用物質がプラスもしくはマイナスに、または直接的もしくは間接的に応答を引き起こす能力を指す。モジュレーターという用語は、アゴニスト(部分アゴニスト、完全アゴニストおよびスーパーアゴニストを含む)およびアンタゴニストの両方を含む。
ムテイン:本明細書で使用される「ムテイン」という用語は、このようなポリペプチドの一次構造(すなわちアミノ酸配列)への改変を含む野生型ポリペプチドの改変バージョンを指すために使用される。ムテインという用語は、ポリペプチド自体、ポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードする核酸配列を指す場合がある。いくつかの態様では、ムテインポリペプチドは、親ポリペプチドと比べて約1~約10個のアミノ酸改変、代替的に親と比較して約1~約5つのアミノ酸改変、代替的に親と比較して約1~約3つのアミノ酸改変、代替的に親と比較して1~2つのアミノ酸改変、代替的に親と比較して単一のアミノ酸改変を含む。ムテインは、親ポリペプチドと少なくとも約99%同一、代替的に少なくとも約98%同一、代替的に少なくとも約97%同一、代替的に少なくとも約95%同一、または代替的に少なくとも約90%同一であり得る。
N末端:ポリペプチドの構造の文脈で本明細書で使用される「N末端」(または「アミノ末端」)および「C末端」(または「カルボキシル末端」)は、それぞれポリペプチドのアミノ最末端およびカルボキシル最末端を指すのに対し、「N末端側」および「C末端側」は、それぞれポリペプチドのアミノ酸配列におけるN末端およびC末端方向の相対位置を指し、それぞれN末端およびC末端の残基を含むことができる。「直接N末端側」または「直接C末端側」は、第2のアミノ酸残基と比べた第1のアミノ酸残基の位置を指し、ここで、第1のアミノ酸残基および第2のアミノ酸残基は共有結合して、連続するアミノ酸配列を提供する。
新生物疾患:本明細書で使用され、下により詳細に述べられる「新生物疾患」という用語は、細胞の過剰増殖または調節されない(もしくは調節不全の)細胞複製から生じる、対象における障害または状態を指す。新生物疾患という用語は、対象における新生物の存在から生じる障害を指す。新生物は、(1)良性、(2)前悪性(または「前がん性」);および(3)悪性(または「がん性」)として分類され得る。「新生物疾患」という用語は、新生物関連性の疾患、障害および状態を含み、これは、新生物疾患と直接または間接的に関連する状態を指し、例えば、異形成またはくすぶり型多発性骨髄腫などの血管新生および前がん状態を含む。調節不全の細胞複製から生じる良性障害の例は、ケロイド瘢痕などの肥厚性瘢痕を含む。
核酸:「核酸」、「核酸分子」、「ポリヌクレオチド」などの用語は、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはそれらの類似体であるヌクレオチドの任意の長さのポリマー形態を指すために、本明細書において互換的に使用される。ポリヌクレオチドの非限定的な例は、線状または環状核酸、メッセンジャーRNA(mRNA)、相補的DNA(cDNA)、組み換えポリヌクレオチド、ベクター、プローブ、プライマーなどを含む。
IL2に従って番号付けされた:本明細書で使用される「IL2に従って番号付けされた」という用語は、特定のアミノ酸が成熟野生型hIL2の成熟配列中に通常存在する位置を基準とする該アミノ酸の場所の識別を指し、例えばR81は、SEQ ID NO:1に存在する81番目のアミノ酸、アルギニンを指す。
機能的に連結されている:「機能的に連結されている」という用語は、本明細書において、構成要素分子の機能の各々が保持されるように構築物中に配置された分子、典型的にはポリペプチドまたは核酸の間の関係を指すために使用されるが、機能的な連結は、構築物の個々の構成要素の活性のプラスまたはマイナスのモジュレーションを結果としてもたらし得る。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)分子の野生型タンパク質への機能的な連結は、タンパク質の生体活性が野生型分子と比べて低下している構築物をもたらし得るが、それにもかかわらず、これら2つは機能的に連結されていると見なされる。「機能的に連結されている」という用語が、異なる機能をコードする複数の核酸配列の関係に適用される場合、複数の核酸配列は、組み合わせられて単一の核酸分子になると、例えば、組み換え技術を使用して細胞内に導入されると、細胞中で特定の核酸配列の転写および/または翻訳を引き起こすことが可能な核酸を提供する。例えば、シグナル配列をコードする核酸配列は、シグナル配列がポリペプチドの分泌を促進するプレタンパク質の発現を結果としてもたらすならば、ポリペプチドをコードするDNAと機能的に連結されると見なされる場合がある;プロモーターもしくはエンハンサーは、それが配列の転写に影響するならば、コード配列に機能的に連結されると見なされる;またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置付けられているならば、コード配列と機能的に連結されると見なされる。核酸分子に関連して、一般的に「機能的に連結されている」という用語は、連結される核酸配列が連続していること、分子の分泌リーダーまたは関連サブドメインの場合は、連続し、かつ読み取り相(reading phase)にあることを意味する。しかし、エンハンサーなどの特定の遺伝要素は、ある距離を置いて機能する場合があり、それらがそれらの効果を提供する配列に関して連続している必要はないが、それでも機能的に連結されている、と見なされる場合がある。
親ポリペプチド:本明細書で使用される「親ポリペプチド」または「親タンパク質」という用語は、第1の「親」ポリペプチドに関して改変された、第2のポリペプチド(例えば、誘導体またはバリアント)の起源を呼ぶために互換的に使用される。場合によっては、親ポリペプチドは、タンパク質の野生型または天然型である。ある場合には、親ポリペプチドは、天然タンパク質がさらに改変された改変型であり得る。「親ポリペプチド」という用語は、ポリペプチド自体または親ポリペプチドを含む組成物(例えば、グリコシル化もしくはPEG化形態および/または親ポリペプチドを含む融合タンパク質)を指し得る。
部分アゴニスト:本明細書で使用される「部分アゴニスト」という用語は、所与の受容体に特異的に結合し、それを活性化するが、完全アゴニストと比べて受容体の部分活性化だけを有する分子を指す。部分アゴニストは、アゴニスト効果およびアンタゴニスト効果の両方を示す場合がある。例えば、完全アゴニストおよび部分アゴニストの両方が存在する場合、部分アゴニストは、受容体との結合を完全アゴニストと競合することによって競合アンタゴニストとして作用し、部分アゴニストの非存在下での受容体と完全アゴニストとの接触と比べて受容体活性化に純減をもたらす。臨床的には、部分アゴニストは、不十分な量の内因性リガンドが存在する場合に受容体を活性化して、所望の最大下の応答を与えるように使用することができる、または過剰量の内因性リガンドが存在する場合に、それらは受容体の過刺激を低減することができる。部分アゴニストによって産生される最大応答(Emax)は、その内在活性と呼ばれ、完全アゴニストが100%応答を産生したパーセンテージスケールで発現し得る。本開示のIL2部分アゴニストは、同等のアッセイにおいて同様の濃度で評価された場合にWHO国際標準(NIBSCコード:86/500)野生型成熟ヒトIL2の活性の10%超、代替的に20%超、代替的に30%超、代替的に40%超、代替的に50%超、代替的に60%超、または代替的に70%超、代替的に10%超100%未満、代替的に20%超100%未満、代替的に30%超100%未満、代替的に40%超100%未満、代替的に50%超100%未満、代替的に60%超100%未満、代替的に70%超100%未満、代替的に80%超100%未満、または代替的に90%超100%未満を有する場合がある。
PEG-IL2ムテイン:本明細書で使用される「PEG-IL2ムテイン」という用語は、少なくとも1つのポリエチレングリコール(PEG)分子に共有結合したIL2ムテインを指し、少なくとも1つのPEG分子は、IL2ムテインの少なくとも1つのアミノ酸残基に共有結合している。PEG化ポリペプチドは、モノPEG化、ジPEG化、トリPEG化(およびその他)とさらに称されて、それぞれIL2ムテインに結び付いた1、2、3つ(またはそれより多く)のPEG部分を含むPEG-IL2ムテインを表す場合がある。いくつかの態様では、PEGは、IL2ムテインと(例えば、リシンの側鎖、システインのスルフヒドリル基もしくはN末端アミンを経由して)直接共有結合している場合がある、またはPEGとIL-2ムテインとの間にリンカーを採用してもよい。いくつかの態様では、PEG-IL2ムテインは、それぞれが異なるアミノ酸残基に結合した複数のPEG分子を含む。いくつかの態様では、PEG-IL2ムテインは、SEQ ID NO:1(天然hIL2)に由来する。IL2のPEG化形態およびIL2ポリペプチドのPEG化の方法論は、当技術分野において周知である(例えば、1990年6月5日に発行されたKatreら、米国特許第4,931,544号;1993年4月27日に発行されたKatreら、米国特許第5,206,344号;および2018年1月9日に発行されたBossardら、米国特許第9,861,705号を参照されたい)。いくつかの態様では、2017年12月28日に公開されたPtacinら、米国特許出願公開US20170369871A1に記載されるように、部位特異的PEG化を促進するために、IL2ムテインが天然に存在しないアミノ酸側鎖を有する非天然アミノ酸の組み入れによって改変される場合がある。他の態様では、2016年2月18日にWO2016/025385として公開されたGreveら、PCT国際特許出願番号PCT/US2015/044462に記載されたように、システイン側鎖を介する部位特異的PEG化を促進するために、システイン残基がIL2分子内の様々な位置に組み入れられる場合がある。
ポリペプチド:本明細書で使用される「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、遺伝的にコードされるアミノ酸および遺伝的にコードされないアミノ酸、化学的または生化学的に改変または誘導体化されたアミノ酸、ならびに改変ポリペプチド主鎖を有するポリペプチドを含むことができる任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指すために本明細書において互換的に使用される。用語ポリペプチドは、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質;異種および相同リーダー配列を有する融合タンパク質;N末端メチオニン残基を有するまたは有しない融合タンパク質;キレートペプチドなどの精製を容易にするアミノ酸配列を有する融合タンパク質;免疫的にタグ付けされたタンパク質との融合タンパク質;免疫的活性ポリペプチド断片(例えば、抗原性ジフテリアまたは破傷風の毒素またはトキソイド断片)を有するペプチドを含む融合タンパク質、などの融合タンパク質を含むが、それに限定されるわけではない融合タンパク質を含む。
予防する:本明細書で使用される「予防する」、「予防すること」、「予防」など用語は、一般的に遺伝要因、経験的要因、または環境要因により、特定の疾患、障害、または状態を有する素因のある対象に関連して、対象が疾患、障害、状態、もしくはその他(例えば、臨床症状の非存在によって決定されるもの)を発生するリスクを一時的もしくは永続的に予防する、抑制する、阻害する、もしくは低減する、またはそれらの発生を遅延させるように、疾患、障害、状態、またはそれらの症状の発生前に対象に関して開始される行動を指す。特定の例では、「予防する」、「予防すること」、「予防」という用語は、疾患、障害、または状態の現在の状態からより有害な状態への進行を遅らせることを指すためにも使用される。
受容体:本明細書で使用される「受容体」という用語は、リガンドの結合がポリペプチドの少なくとも1つの生物学的性質に変化をもたらす、リガンドと特異的に結合するドメインを有するポリペプチドを指す。いくつかの態様では、受容体は、細胞表面と関連しない「可溶性」受容体である。可溶性形態のhCD25は、hIL2と特異的に結合する可溶性受容体の例である。いくつかの態様では、受容体は、細胞外ドメイン(ECD)と、ECDを細胞表面に固定するように作用する膜関連ドメインとを含む細胞表面受容体である。細胞表面受容体のいくつかの態様では、受容体は、典型的には膜貫通ドメイン(TM)と称される膜貫通ドメインによって連結された細胞内ドメイン(ICD)および細胞外ドメイン(ECD)を含む膜貫通ポリペプチドである。リガンドの受容体への結合は、受容体にコンフォメーション変化をもたらし、測定可能な生物学的効果をもたらす。受容体がECD、TMおよびICDを含む膜貫通ポリペプチドであるいくつかの場合では、リガンドのECDへの結合は、リガンドのECDへの結合に応答してICDの1つまたは複数のドメインによって媒介される測定可能な細胞内生物学的効果をもたらす。いくつかの態様では、受容体は細胞内シグナル伝達を促進するための多成分複合体の一成分である。例えば、リガンドは、いかなる細胞内シグナル伝達単独とも関連していない細胞表面分子と結合し得るが、リガンドが結合すると、ヘテロ二量体型(例えば、中親和性CD122/CD132 IL2受容体)、ヘテロ三量体型(例えば、高親和性CD25/CD122/CD132 hIL2受容体)または細胞内シグナル伝達カスケード(例えば、Jak/STAT経路)の活性化をもたらすホモ多量体型(例えば、ホモ二量体型、ホモ三量体型、ホモ四量体型)複合体を含むヘテロ多量体の形成を促進する。
組み換え:本明細書で使用される「組み換え」という用語は、ポリペプチド、核酸、または細胞が組み換えDNA技術を使用して改変された方法を指すために形容詞として使用される。「組み換えタンパク質」は、組み換えDNA技術を使用して産生されるタンパク質であり、しばしば、タンパク質が産生された方法を明示するためにタンパク質名に先行して小文字「r」を付けることで省略される(例えば、組み換え産生されたヒト成長ホルモンは、通常「rhGH」と省略される)。同様に、組み換えDNA技術を使用して外因性核酸(例えば、ssDNA、dsDNA、ssRNA、dsRNA、mRNA、ウイルスまたは非ウイルスベクター、プラスミド、コスミドなど)の組み入れ(例えば、トランスフェクション、形質導入、感染)によって細胞が改変されているならば、その細胞は「組み換え細胞」と称される。組み換えDNA技術のための技術およびプロトコルは、当技術分野において周知である。
応答:例えば、細胞、組織、臓器、または生物の「応答」という用語は、評価可能な生化学または生理学パラメーター(例えば、濃度、密度、接着、増殖、活性化、リン酸化、遊走、酵素活性、遺伝子発現レベル、遺伝子発現速度、エネルギー消費速度、分化のレベルまたは状態)の量的または質的変化を包含し、ここで、変化は、外因性作用物質または遺伝的プログラミングなどの内部メカニズムを用いた活性化、刺激、もしくは治療、またはそれとの接触と相関関係がある。特定の状況では、「活性化」、「刺激」などの用語は、内部メカニズムのみならず、外部因子または環境因子によって調節される場合の細胞の活性化を指し;一方で、「阻害」、「ダウンレギュレーション」などの用語は、逆の効果を指す。「応答」は、アッセイ系、表面プラズモン共鳴、酵素活性、質量分析、アミノ酸またはタンパク質シーケンシング技術の使用などにより、インビトロで評価され得る。「応答」は、体温、体重、腫瘍体積、血圧などの客観的生理パラメーターの評価、X線もしくは他のイメージング技術の結果によってインビボで定量的に、または幸福、抑うつ、興奮、もしくは疼痛の報告された主観的感覚の変化によって定性的に評価され得る。いくつかの態様では、CD3により活性化した初代ヒトT細胞の増殖レベルは、Crouch, et al. (1993) J. Immunol. Methods 160: 81-8に記載されているように培養物中に存在する細胞数と正比例するATPの存在量と比例する発光シグナルを生成する生物発光アッセイで、または製造者によって提供される説明書に実質的に従って、Promega Corporation、Madison WI 53711からカタログ番号G9241およびG9681として市販されているCellTiter-Glo(登録商標)2.0細胞生存率アッセイもしくはCellTiter-Glo(登録商標)3D細胞生存率キットなどの市販のアッセイを使用することによって評価され得る。いくつかの態様では、被験作用物質の投与に応答したT細胞の活性化レベルは、当技術分野において周知の方法に従って、STAT(例えば、STAT1、STAT3、STAT5)リン酸化レベルによって決定された場合の、既述のフローサイトメトリー方法によって決定され得る。例えば、STAT5リン酸化は、Hortaら、前記、Garciaら、前記に記載されるフローサイトメトリー技術、または製造者によって提供される説明書に実質的に従って行われるホスホ-STAT5(Tyr694)キット(Perkin-Elmer, Waltham MAからパーツ番号64AT5PEGとして市販されている)などの市販のキットを使用して測定され得る。
選択的:本明細書で使用される「選択的」という用語は、このような細胞集団の特定の性質に基づき、作用物質が特定の細胞型に優先的に結合するおよび/またはそれを活性化する性質を指すために使用される。いくつかの態様では、本開示は、このようなムテインがCD132受容体を発現している細胞と比べてCD25および/またはCD25/CD122受容体を発現している細胞の優先的活性化を示す点でCD25選択的なムテインを提供する。選択性は、典型的には、リガンド/受容体結合に応答して誘導される活性のアッセイ特性として測定された活性によって評価される。いくつかの態様では、選択的IL2ムテインは、顕著に低下した結合性を示す。いくつかの態様では、選択性は、顕著に低い(好ましくは検出不能な)レベルのCD25を提示している細胞(例えば、YTCD25NEGまたはYTCD25-細胞)の活性化と比べたCD25を発現している細胞(例えば、YTCD25POSまたはYTCD25+細胞)の活性化によって測定される。いくつかの態様では、選択性は、低レベルのCD25を発現しているT細胞(例えば、刺激されていないCD8+ T細胞またはCD4+ T細胞)と比べたCD25を発現しているT細胞(例えばTreg)の活性化によって測定される。いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインは、同じアッセイで測定した場合にCD25-細胞と比べてCD25+細胞上にEC50の少なくとも3倍、代替的に少なくとも5倍、代替的に少なくとも10倍、代替的に少なくとも20倍、代替的に少なくとも30倍、代替的に少なくとも40倍、代替的に少なくとも50倍、代替的に少なくとも100倍、代替的に少なくとも200倍の差を有する。
顕著に低下した結合性:本明細書で使用される「顕著に低下した結合性を示す」という用語は、第1の分子の親形態と比べて第2の分子(例えば受容体)に対する親和性に顕著な低下を示す第1の分子(例えばリガンド)のバリアントに関して使用される。抗体バリアントに関して、抗体バリアントが天然形態の受容体に、そのバリアントが由来した親抗体の20%未満、代替的に約10%未満、代替的に約8%未満、代替的に約6%未満、代替的に約4%未満、代替的に約2%未満、代替的に約1%未満、または代替的に約0.5%未満の親和性で結合する場合、そのバリアントは「顕著に低下した結合性を示す」。同様に、バリアントリガンドに関して、バリアントリガンドが受容体に、そのバリアントリガンドが由来した親リガンドの20%未満、代替的に約10%未満、代替的に約8%未満、代替的に約6%未満、代替的に約4%未満、代替的に約2%未満、代替的に約1%未満、または代替的に約0.5%未満の親和性で結合するならば、そのバリアントリガンドは「顕著に低下した結合性を示す」。同様に、バリアント受容体に関して、そのバリアント受容体が由来した親受容体の20%未満、代替的に約10%未満、代替的に約8%未満、代替的に約6%未満、代替的に約4%未満、代替的に約2%未満、代替的に約1%未満、または代替的に約0.5%未満の親和性で結合するならば、そのバリアントリガンドは「顕著に低下した結合性を示す」。
小分子:「小分子」という用語は、約10kDa未満、約2kDa未満、または約1kDa未満である分子量を有する化学化合物(典型的には薬学的に活性な化合物)を指す。小分子は、無機分子、有機分子、無機構成要素を含有する有機分子、放射性原子を含む分子、および合成分子を含むが、それに限定されるわけではない。「小分子」という用語は、薬学の専門家に十分に理解されている用語であって、典型的には有機化学化合物を生物製剤と区別するために使用される。
可溶性hCD25:本明細書で使用される「可溶性CD25」、「可溶性ヒトCD25」、「可溶性hCD25」および「shCD25」という用語は、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを欠如するhCD25のECDを含むhCD25分子を指すために本明細書において互換的に使用される。前述のように、ヒトCD25(「hCD25」)は、アミノ酸21個のシグナル配列を含むアミノ酸272個のプレタンパク質として発現し、翻訳後にシグナル配列が除去されて、アミノ酸251個の成熟タンパク質になる。アミノ酸22~240(成熟タンパク質のアミノ酸1~219)は細胞外ドメインに相当する。アミノ酸241~259(成熟タンパク質のアミノ酸220~238)は膜貫通ドメインに相当する。アミノ酸260~272(成熟タンパク質のアミノ酸239~251)は細胞内ドメインに相当する。hCD25の成熟形態のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2として提供される。
特異的に結合する:本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、1つの分子が別の分子に結合する選択性または親和性の程度を指す。結合ペア(例えば、リガンド/受容体、抗体/抗原、抗体/リガンド、抗体/受容体結合ペア)に関連して、結合ペアの第1の分子が試料中に存在する他の成分と有意な量で結合しない場合、結合ペアの第1の分子は、結合ペアの第2の分子に特異的に結合すると言われる。第2の分子に対する第1の分子の親和性が、試料中に存在する他の成分に対する第1の分子の親和性よりも少なくとも2倍大きい、代替的に少なくとも5倍大きい、代替的に少なくとも10倍大きい、代替的に少なくとも20倍大きい、または代替的に少なくとも100倍大きい場合、結合ペアの第1の分子は第2の分子と特異的に結合すると言われる。結合ペアの第1の分子が抗体である特定の態様では、例えば、Scatchard analysis (Munsen, et al. 1980 Analyt. Biochem. 107:220-239)によって決定された場合、抗体と結合ペアの第2の分子との間の平衡解離定数が約106Mよりも大きい、代替的に約108Mよりも大きい、代替的に約1010Mよりも大きい、代替的に約1011Mよりも大きい、代替的に約1010Mよりも大きい、約1012Mよりも大きいならば、抗体は、結合ペアの第2の分子(例えば、タンパク質、抗原、リガンド、または受容体)に特異的に結合する。リガンドがIL2ムテインであり、受容体がオルソゴナルなCD122 ECDを含む一態様では、IL2ムテイン/オルソゴナルなCD122 ECDの平衡解離定数が約105Mよりも大きい、代替的に約1O6Mよりも大きい、代替的に約107Mよりも大きい、代替的に約108Mよりも大きい、代替的に約109Mよりも大きい、代替的に約1010Mよりも大きい、または代替的に約1011Mよりも大きいならば、IL2ムテインは特異的に結合する。特異的結合は、競合ELISA、放射性リガンド結合アッセイ(例えば、飽和結合、スキャッチャードプロット、非線形カーブフィッティングプログラムおよび競合結合アッセイ);非放射性リガンド結合アッセイ(例えば、蛍光偏光法(FP)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)および表面プラズモン共鳴アッセイ(例えば、Drescher et al., Methods Mol Biol 493:323-343 (2009)を参照されたく、Biacore 8+、Biacore S200、Biacore T200(GE Healthcare Bio-Sciences, 100 Results Way, Marlborough MA 01752)のような計装は、GE Healthcare Bio-Sciencesから市販されている);液相リガンド結合アッセイ(例えば、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)、および免疫沈降);ならびに固相リガンド結合アッセイ(例えば、マルチウェルプレートアッセイ、オンビーズリガンド結合アッセイ、オンカラムリガンド結合アッセイ、およびフィルターアッセイ)を含むが、それに限定されるわけではない、当技術分野において公知の技術を使用して評価される場合がある。
対象:「レシピエント」、「個体」、「対象」、および「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用され、診断、治療、または治療法が所望される任意の哺乳動物対象、特にヒトを指す。治療のための「哺乳動物」は、ヒト、家畜および農用動物、および展示動物、競技動物、または愛玩動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどを含む哺乳動物として分類される任意の動物を指す。いくつかの態様では、哺乳動物はヒトである。
患っている:本明細書で使用される「患っている」という用語は、X線、CTスキャン、従来の臨床診断検査(例えば血球算定など)、ゲノムデータ、タンパク質発現データ、免疫組織化学を含むが、それに限定されるわけではない疾患、障害、または状態の特定のために、当分野において受け入れられている入手可能な情報に基づき、対象に関して医師によって行われる、対象が治療を必要とするまたは治療から恩恵を受けるであろうという決定を指す。患っているという用語は、典型的には、「新生物疾患を患っている」のように特定の病状と共に使用され、新生物が存在すると診断されている対象を指す。
実質的に純粋な:本明細書で使用される「実質的に純粋な」という用語は、組成物の成分が組成物の総含量の約50%超、代替的に約60%超、代替的に約70%超、代替的に約80%超、代替的に約90%超、代替的に約95%超を構成することを示す。「実質的に純粋な」タンパク質は、組成物の総含量の約50%超、代替的に約60%超、代替的に約70%超、代替的に約80%超、代替的に約90%超、代替的に約95%超を含む。
T細胞:本明細書で使用される「T-細胞」または「T細胞」という用語は、胸腺内で分化し、特異的細胞表面抗原受容体を有し、細胞媒介免疫および液性免疫の開始または抑制を制御するものならびに抗原担持細胞を溶解させるものを含む、リンパ球を指すためにその従来の意味で使用される。いくつかの態様では、T細胞は、ナイーブCD8+ T細胞、細胞傷害性CD8+ T細胞、ナイーブCD4+ T細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1、TH2、TH9、TH11、TH22、TFH;制御性T細胞、例えばTR1、Treg、誘導性Treg;メモリーT細胞、例えば中枢性メモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、NKT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)ならびにCAR-T細胞、組み換え改変TILおよびTCR操作細胞を含むが、それに限定されるわけではない、このようなT細胞の操作バリアントを含むが、それに限定されるわけではない。
末端/末端側:ポリペプチドの構造に関連して本明細書で使用される「N末端」(または「アミノ末端」)および「C末端」(または「カルボキシル末端」)は、それぞれポリペプチドのアミノ最末端およびカルボキシル最末端を指すのに対し、「N末端側」および「C末端側」という用語は、それぞれポリペプチドのアミノ酸配列におけるN末端およびC末端方向の相対位置を指し、それぞれN末端およびC末端の残基を含むことができる。「直接N末端側」は、連続するポリペプチド配列中の第2のアミノ酸残基と比べた第1のアミノ酸残基の位置を指し、第1のアミノ酸は、ポリペプチドのN末端により近い。「直接C末端側」は、連続するポリペプチド配列中の第2のアミノ酸残基と比べた第1のアミノ酸残基の位置を指し、第1のアミノ酸は、ポリペプチドのC末端により近い。
治療有効量:「治療有効量」という語句は、対象に投与した場合に疾患、障害、または状態の任意の症状、局面、または特徴に任意の検出可能なプラス効果を有することができる量の単一用量で、一連の用量の一部として、単独で、または薬学的組成物もしくは治療レジメンの一部として作用物質を対象に投与することを参照して本明細書において使用される。治療有効量は、関連する生理学的効果を測定することによって確認することができ、これは、投薬レジメンに関して、ならびに対象の状態などの診断分析に応じて調整され得る。作用物質の治療有効量を決定するための評価のためのパラメーターは、年齢、体重、性別、全身の健康状態、ECOGスコア、観察可能な生理学的パラメーター、血中レベル、血圧、心電図、コンピューター断層撮影、X線、およびその他などの徴候を含むが、それに限定されるわけではない、当技術分野において承認されている診断基準を使用して医師によって決定される。代替的にまたは追加的に、臨床背景で通常評価される他のパラメーター、例えば、体温、心拍、血液化学の正常化、血圧の正常化、コレステロールレベルの正常化、または疾患、障害、もしくは状態の任意の症状、局面、もしくは特徴、バイオマーカー(例えば、炎症性サイトカイン、IFN-γ、グランザイム、など)、血清腫瘍マーカーの低減、固形がん効果判定基準(RECIST)の改善、免疫関連応答基準(irRC)の改善、生存期間の延長、無増悪生存期間の延長、無増悪期間の延長、治療成功期間の延長、無イベント生存期間の延長、次治療までの期間の延長、奏効率の改善、奏効期間の改善、腫瘍量の低減、完全奏効、部分奏効、病状安定、などは、作用物質の治療有効量が対象に投与されていたかを決定するために監視される場合があり、これらのパラメーターは、作用物質の投与に応答した対象の状態の改善を評価するために当技術分野の臨床家によって頼られている。標的病変に関連して本明細書で使用される「完全奏効(CR)」、「部分奏効(PR)」、「病状安定(SD)」および「病態進行(PD)」という用語、ならびに非標的病変に関連する「完全奏効(CR)」、「不完全奏効/病状安定(SD)」および病態進行(PD)という用語は、RECIST基準に定義される通りであると理解される。本明細書で使用される「免疫関連完全奏効(irCR)」、「免疫関連部分奏効(irPR)」、「免疫関連病態進行(irPD)」および「免疫関連病状安定(irSD)」という用語は、免疫関連応答基準(irRC)に従って定義される通りである。本明細書で使用される「免疫関連応答基準(irRC)」という用語は、Wolchok, et al. (2009) Guidelines for the Evaluation of Immune Therapy Activity in Solid Tumors: Immune-Related Response Criteria, Clinical Cancer Research 15(23): 7412-7420に記載されているような免疫療法に対する応答の評価のためのシステムを指す。治療有効量は、投薬レジメンならびに/または対象の状態および前述の要因における変動の評価に関連する対象の治療の経過にわたり調整される場合がある。一態様では、治療有効量は、単独で使用された場合または別の作用物質と併用された場合に、哺乳動物対象への投与の過程で不可逆的な重篤な有害事象をもたらさない作用物質の量である。
膜貫通ドメイン:「膜貫通ドメイン」または「TM」という用語は、膜貫通ポリペプチドが細胞膜と関連している場合に、細胞膜内に埋もれ、膜貫通ポリペプチドの細胞外ドメイン(ECD)および細胞内ドメイン(ICD)とペプチド結合している、膜貫通ポリペプチド(例えば、CD122またはCD132またはCARなどの膜貫通ポリペプチド)のドメインを指す。膜貫通ドメインは、細胞外ドメインおよび/または細胞内ドメインの一方または両方と相同(天然に関連している)または異種(天然には関連していない)である場合がある。膜貫通ドメインは、細胞外ドメインおよび/または細胞内ドメインの一方または両方と相同(天然に関連している)または異種(天然には関連していない)である場合がある。受容体が第1の親受容体に由来する細胞内ドメインおよび第2の異なる親受容体に由来する第2の細胞外ドメインを含むキメラ受容体であるいくつかの態様では、キメラ受容体の膜貫通ドメインは、キメラ受容体が由来する親受容体のICDまたはECDのいずれかと通常関連する膜貫通ドメインである。代替的に、受容体の膜貫通ドメインは、形質膜を貫通する人工アミノ酸配列であり得る。受容体が第1の親受容体に由来する細胞内ドメインおよび第2の異なる親受容体に由来する第2の細胞外ドメインを含むキメラ受容体であるいくつかの態様では、キメラ受容体の膜貫通ドメインは、キメラ受容体が由来する親受容体のICDまたはECDのいずれかと通常関連する膜貫通ドメインである。
治療する:「治療する」、「治療すること」、「治療」などの用語は、疾患、障害、もしくは状態、またはそれらの症状が対象において診断された、観察された、またはその他の後に、対象を苦しめているこのような疾患、障害、もしくは状態の根本原因の少なくとも1つ、またはこのような疾患、障害、もしくは状態に関連する症状の少なくとも1つを一時的または永続的に除去する、低減する、抑制する、緩和する、または回復させるように対象に関して開始される行動(例えば、IL2ムテイン、またはそれを含む薬学的組成物を投与すること)を指す。治療は、疾患を患っている対象に関して採られる行動を含み、当該行動は、対象における疾患の阻害をもたらす(例えば、疾患、障害、もしくは状態の進展を停止させる、またはそれに関連する1つもしくは複数の症状を回復させる)。
Treg細胞または制御性T細胞:本明細書で使用される「制御性T細胞」または「Treg細胞」という用語は、エフェクターT細胞(Teff)を含むが、それに限定されるわけではない他のT細胞の応答を抑制することができるCD4+ T細胞のタイプを指す。Treg細胞は、CD4、IL2受容体aサブユニット(CD25)、および転写因子フォークヘッドボックスP3(FOXP3)の発現によって特徴付けられる(Sakaguchi, Annu Rev Immunol 22, 531-62 (2004))。「従来型CD4+ T細胞」によって、制御性T細胞以外のCD4+ T細胞が意味される。
バリアント:「タンパク質バリアント」または「バリアントタンパク質」または「バリアントポリペプチド」という用語は、少なくとも1つのアミノ酸改変によって親ポリペプチドと異なるポリペプチドを指すために本明細書において互換的に使用される。親ポリペプチドは、天然もしくは野生型(WT)ポリペプチドの場合があり、またはWTポリペプチドの改変バージョン(すなわちムテイン)の場合がある。
野生型:本明細書における「野生型」または「WT」または「天然型」によって、アレル変異を含む、自然界で見出されるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列が意味される。野生型のタンパク質、ポリペプチド、抗体、免疫グロブリン、IgGなどは、ヒトの手によって改変されていないアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を有する。
命名規則:
いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、wt hIL2(SEQ ID NO:1)アミノ酸配列と比べて置換、欠失、または挿入を含む。残基は、本明細書において一文字または三文字アミノ酸コードに続くwt hIL2のアミノ酸位置によって名付けられる場合があり、例えば、「Cys125」または「C125」は、wt hIL2(SEQ ID NO:1)の125位のシステイン残基を指す。置換、欠失または挿入を指すために、本明細書において以下の命名法が使用される。置換は、本明細書において、wt hIL2残基についての一文字アミノ酸コードに続く、IL2のアミノ酸位置に続く、新たに置換されたアミノ酸についての一文字アミノ酸コードによって名付けられる。例えば「K35A」は、配列番号1の35位のリシン(K)残基のアラニン(A)残基による置換を指す。欠失は、「des」に続く、アミノ酸残基およびwt hIL2(SEQ ID NO:1)におけるその位置として称される。例えば、「des-Ala1」または「desA1」という用語は、wt hIL2のポリペプチド(SEQ ID NO:1)の1位でのアラニンの欠失を指す。
hIL2ムテイン
いくつかの態様では、本開示の方法の実施に有用で、部分アゴニストであるhIL2ムテインは、wt hIL2と比較して1つまたは複数の低減した機能を有する。いくつかの態様では、hIL2ムテインは、wt hIL2(SEQ ID NO:1)と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のアミノ酸置換、改変または欠失からなる。
本開示は、新生物疾患の治療および/または予防に有用なヒトIL2(「hIL2」)ムテインを含む組成物およびそれを用いる方法を提供し、ここで、ヒトIL2ムテインは、次の式1
(SEQ ID NO:10):
[式中:
・ a、b、c、d、e、f、g、h、およびiの各々は、0または1より個々に選択され;
・ AA1は、A(野生型、a=1)であるか、または欠失しており(a=0);
・ AA2は、P(野生型、b=1)であるか、または欠失しており(b=0);
・ AA3は、T(野生型、c=1)、C、A、G、Q、E、N、D、R、K、Pであるか、または欠失しており(c=0);
・ AA4は、S(野生型、d=1)であるか、または欠失しており(d=0);
・ AA5は、S(野生型、e=1)であるか、または欠失しており(e=0);
・ AA6は、S(野生型、f=1)であるか、または欠失しており(f=0);
・ AA7は、T(野生型、g=1)であるか、または欠失しており(g=0);
・ AA8は、K(野生型、h=1)であるか、または欠失しており(h=0);
・ AA9は、K(野生型、i=1)であるか、または欠失しており(i=0);
・ AA18は、L(野生型)またはR、L、G、M、F、E、H、W、K、Q、S、V、I、Y、H、D、もしくはTであり;
・ AA22は、Q(野生型)またはF、E、G、A、L、M、F、W、K、S、V、I、Y、H、R、N、D、T、もしくはFであり;
・ AA35は、K(野生型)またはEであり;
・ AA38は、R(野生型)、W、またはGであり;
・ AA39は、M(野生型)、L、またはVであり;
・ AA55は、H(野生型)またはYであり;
・ AA69は、V(野生型)またはAであり;
・ AA74は、Q(野生型)、P、N、H、Sであり;
・ AA80は、L(野生型)、F、またはVであり;
・ AA81は、R(野生型)、I、D、またはTであり;
・ AA85は、L(野生型)またはVであり;
・ AA86は、I(野生型)またはVであり;
・ AA89は、I(野生型)またはVであり;
・ AA91は、V(野生型)、R、またはKであり;
・ AA92は、I(野生型)またはFであり;
・ AA97は、K(野生型)またはQであり;
・ AA104は、M(野生型)またはAであり;
・ AA109は、D(野生型)、C、または活性化した側鎖を有する非天然アミノ酸であり;
・ AA113は、T(野生型)またはNであり;
・ AA125は、C(野生型)、A、またはSであり;
・ AA126は、Q(野生型)またはH、M、K、C、D、E、G、I、R、S、もしくはTであり;
・ AA130は、S(野生型)、T、G、またはRである]
に従うアミノ酸配列を含む野生型hIL2(「wt hIL2」、SEQ ID NO:1)ポリペプチドと比べて、CD132に対して低下した結合親和性を示す。
本開示のhIL2ムテインは、hCD132(またはその細胞外ドメイン)に対してwt hIL2(SEQ ID NO:1)の親和性の<70%、代替的に<65%、代替的に<60%、代替的に<55%、代替的に<50%、代替的に<45%、代替的に<40%、代替的に<35%、代替的に<25%、代替的に<20%、代替的に<15%、代替的に<10%、または代替的に<5%で結合するならば、このhIL2ムテインは、hCD132(SEQ ID NO:5)またはhCD132の細胞外ドメインへの低下した結合親和性を有する。
特定の態様では、hIL2ムテインはCD122とCD132との会合を破壊し、その結果、このCD122/CD132相互作用は、野生型hIL2と比べて約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約50%、約75%、約90%、約95%、またはそれより大きく低減する。
いくつかの態様では、hIL2ムテインは、wt hIL2と比べてCD132に対して低下した結合親和性を示し、CD122および/またはCD25に対して顕著な結合親和性を保持する。
いくつかの態様では、hIL2ムテインは、wt hIL2と比べてCD132に対して低下した結合親和性を示し、hCD122(SEQ ID NO:3)、またはそのECD(SEQ ID NO:4)に対してwt hIL2同等以上の結合親和性を示す。hIL2ムテインが、野生型ヒトCD122(SEQ ID NO:3)またはそのECDに対するwt hIL2(SEQ ID NO:1)の結合親和性の約50%よりも大きい、代替的に>60%、代替的に>65%、代替的に>70%、代替的に>75%、代替的に>80%、代替的に>85%、代替的に>90%、代替的に>90%、代替的に>95%、代替的に>100%、代替的に>105%、代替的に>110%、代替的に>115%、代替的に>125%、代替的に>150%、代替的に>200%、代替的に>300%、代替的に>400%、代替的に>500%大きい結合親和性でhCD122(またはそのECD)に結合するならば、IL2ムテインは、hCD122(またはそのECD)に対してwt hIL2同等以上の結合親和性を保持する。
いくつかの態様では、hIL2ムテインは、CD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を示し、CD25に対してwt hIL2と同等以上の結合親和性を保持する。hIL2ムテインが、野生型hCD25(SEQ ID NO:2)および/またはshCD25に対する野生型IL2の親和性の約50%よりも大きい、代替的に>60%、代替的に>65%、代替的に>70%、代替的に>75%、代替的に>80%、代替的に>85%、代替的に>90%、代替的に>90%、代替的に野生型IL2の親和性の>95%、代替的に>100%、代替的にwt hIL2(SEQ ID NO:1)の親和性の>105%、代替的に>110%、代替的に>115%、代替的に>125%、代替的に>150%、代替的に>200%、代替的に>300%、代替的に>400%、代替的に>500%の親和性でhCD25に結合するならば、IL2ムテインは、hCD25に対してwt hIL2と同等以上の結合親和性を保持する。
いくつかの態様では、hIL2ムテインは、CD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を示し、CD122およびCD25に対してwt hIL2と同等以上の結合親和性を保持する。
いくつかの態様では、hIL2ムテインは、hCD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を示し、wt hIL2と比べてhCD25/hCD122受容体複合体および/または高親和性hCD25/hCD122/hCD132受容体複合体への向上した結合親和性を示す。
いくつかの態様では、hIL2ムテインは、hCD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を示し、hCD25/hCD122受容体複合体に対してwt hIL2と同等以上の結合親和性を示す。hIL2ムテインは、hCD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を示し、hIL2ムテインが、hCD25/hCD122受容体複合体に対する野生型IL2の親和性の約50%よりも大きい、代替的に>60%、代替的に>65%、代替的に>70%、代替的に>75%、代替的に>80%、代替的に>85%、代替的に>90%、代替的に>90%、代替的に野生型IL2の親和性の>95%、代替的に>100%、代替的にwt hIL2(SEQ ID NO:1)の親和性の>105%、代替的に>110%、代替的に>115%、代替的に>125%、代替的に>150%、代替的に>200%、代替的に>300%、代替的に>400%、代替的に>500%の親和性でhCD25/hCD122複合体に結合するならば、hCD25/hCD122受容体複合体に対してwt hIL2と同等以上の結合親和性を示す。
いくつかの態様では、hIL2ムテインは、hCD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を示し、hCD25/hCD122/CD132受容体複合体に対してwt hIL2と同等以上の結合親和性を示す。hIL2ムテインは、hCD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を示し、hIL2ムテインがhCD25/hCD122/CD132受容体複合体に対する野生型IL2の親和性の約50%よりも大きい、代替的に>60%、代替的に>65%、代替的に>70%、代替的に>75%、代替的に>80%、代替的に>85%、代替的に>90%、代替的に>90%、代替的に野生型IL2の親和性の>95%、代替的に>100%、代替的にwt hIL2(SEQ ID NO:1)の親和性の>105%、代替的に>110%、代替的に>115%、代替的に>125%、代替的に>150%、代替的に>200%、代替的に>300%、代替的に>400%、代替的に>500%の親和性でhCD25/hCD122/CD132複合体に結合するならば、このhIL2ムテインはhCD25/hCD122/hCD132受容体複合体に対してwt hIL2と同等以上の結合親和性を示す。
いくつかの態様では、hIL2ムテインは、hCD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を示し、wt hIL2と比べてhCD25/hCD122受容体複合体および高親和性hCD25/hCD122/hCD132受容体複合体への向上した結合親和性を示す。いくつかの態様では、hIL2ムテインは、CD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を示し、CD25、膜結合型CD25またはsCD25の存在下でCD122に対してwt hIL2と同等以上の向上した結合親和性を示す。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、CD132受容体の結合を減少させる1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。いくつかの態様では、CD132受容体の結合親和性を減少させる1つまたは複数のアミノ酸置換は、hIL2とhCD132との界面にあるアミノ酸より選択される。hIL2およびそれとhCD132との界面の結晶構造が発表されており、hIL2のCD132への結合と相互作用するとして、残基L18、Q22、Q126、T123、S127、I129、およびS130を含むhIL2分子の位置を特定した他の試験が行われている。いくつかの態様では、L18での置換は、L18R、L18G、L18M、L18F、L18E、L18H、L18W、L18K、L18Q、L18S、L18V、L18I、L18Y、L18H、L18D、L18N、およびL18Tを含む。いくつかの態様では、Q22での置換は、Q22F、Q22E、Q22G、Q22A、Q22L、Q22M、Q22F、Q22W、Q22K、Q22S、Q22V、Q22I、Q22Y、Q22H、Q22R、Q22N、Q22D、Q22T、およびFを含む。いくつかの態様では、Q126での置換は、Q126H、Q126M、Q126K、Q126C、Q126D、Q126E、Q126G、Q126I、Q126R、Q126S、またはQ126Tを含む。いくつかの態様では、S130での置換は、S130RおよびS130Gを含む。
いくつかの態様では、hCD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を示しているhIL2ムテインは、野生型hIL2に従って番号付けされた18、22および/または126位に改変を組み入れて、野生型IL2の一次構造に改変を組み入れている。いくつかの態様では、hIL2ムテインは、野生型IL2の一次構造への改変が、野生型hIL2に従って番号付けされたL18、Q22および/またはQ126の1つにアミノ酸置換:本明細書において「LQH」とも称される[Q126H];本明細書において「LEQ」とも称される[Q22E];および本明細書において「RQQ」とも称される[L18R]を含むが、それに限定されるわけではない単一置換を組み入れている場合、hCD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を示す。
いくつかの態様では、野生型IL2の一次構造に改変を組み入れて、wt hIL2と比べてhCD132に対して低下した結合親和性を示すhIL2ムテインは、野生型hIL2に従って番号付けされたL18、Q22および/またはQ126の1つにアミノ酸置換のセット:本明細書において「LEH」とも称される[Q22E、Q126H];および本明細書において「RQH」とも称される[L18R;Q126H]を含むが、それに限定されるわけではない単一置換を組み入れている。
特定の態様では、本開示は、18、22および126位に置換を含むhIL2ムテインを提供し、ここで、18、22および126位の置換は、
・ L18R、L18G、L18M、L18F、L18E、L18H、L18W、L18K、L18Q、L18S、L18V、L18I、L18Y、L18H、L18D、L18N、およびL18Tの1つ;
・ Q22F、Q22E、Q22G、Q22A、Q22L、Q22M、Q22F、Q22W、Q22K、Q22S、Q22V、Q22I、Q22Y、Q22H、Q22R、Q22N、Q22D、Q22T、およびFの1つ;ならびに
・ Q126H、Q126M、Q126K、Q126C、Q126D、Q126E、Q126G、Q126I、Q126R、Q126S、およびQ126Tの1つ
より選択される。アミノ酸置換のセットを含む野生型hIL2に従って番号付けされた18、22および126位に置換を含む例示的なhIL2ムテインを下の表4に提供する。
(表4)18、22、および126位置換hIL2ムテイン
特定のIL2ムテインについての三文字略語は、18、22および126位に変異を有するIL2ムテインを反映することに留意されたく、例えば、「FEH」は、置換L18F、Q22EおよびQ126Hを含むIL2ムテインについての短縮命名法である。上に提供される名称は、本明細書において評価されるhIL2ムテインにおける1つまたは複数のアミノ酸置換セットを指すために本明細書全体にわたって使用される。
いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、hCD122受容体の結合(またはhCD122のECDへの結合)を増大させる1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。いくつかの態様では、CD132受容体に対して低下した結合親和性を有する本開示の方法の実施に有用なhIL2ムテインは、CD122の結合親和性を向上させる1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個、またはそれより多くの変異をさらに含む。特定の態様では、本開示の方法の実施に有用な対象IL2ムテインは、wt hIL2と比べて少なくとも1つの変異(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれより多くのアミノ酸残基の欠失、付加、または置換)を含み、その結果、hIL2ムテインはCD122とwt hIL2よりも高い親和性で結合する。特定の態様では、hIL2ムテインは、CD122と野生型IL2よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%大きい親和性で結合する。IL2ムテインの結合親和性はまた、CD122に対してwt hIL2よりも1.2、1.4、1.5、2、5、10、15、20、25、50、100、200、250倍、またはそれより大幅に大きい親和性として表現することができる。
いくつかの態様では、hCD122受容体の結合親和性を向上させる1つまたは複数のアミノ酸置換は、hIL2とhCD122との界面にあるアミノ酸より選択される。hIL2とその受容体との結晶構造に基づき、hIL2のhCD122への結合と相互作用するとして特定されている位置は、成熟wt hIL2に従って番号付けされたQ74、L80、R81、L85、I86、I89V、およびI92を含むが、それに限定されるわけではない。CD122結合親和性を向上させるアミノ酸置換の例は、Q74N、Q74H、Q74S、L80F、L80V、R81D、R81T、L85V、I86V、I89V、および/もしくはI92Fまたはそれらの組み合わせを含むが、それに限定されるわけではない。特定の態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、L80F、R81D、L85V、I86VおよびI92Fを含む。いくつかの態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、N74Q、L80F、R81D、L85V、I86V、I89V、およびI92Fを含む。いくつかの態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、Q74N、L80V、R81T、L85V、I86V、およびI92Fを含む。特定の態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、Q74H、L80F、R81D、L85V、I86VおよびI92Fを含む。いくつかの態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、Q74S、L80F、R81D、L85V、I86VおよびI92Fを含む。特定の態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、Q74N、L80F、R81D、L85V、I86VおよびI92Fを含む。特定の態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、成熟wt hIL2に従って番号付けされたQ74S、R81T、L85V、およびI92Fを含む。
一局面では、本開示は、野生型ヒトIL2(hIL2)と比較してhCD25に対して顕著なまたは向上した結合親和性およびhCD132(もしくはhCD132の細胞外ドメイン)受容体に対して低下した結合親和性を示しているhIL2ムテインを提供する。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、hCD25の結合を増大させる1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。いくつかの態様では、hCD25受容体の結合親和性を向上させるための1つまたは複数のアミノ酸置換は、hIL2とhCD25との界面にあるアミノ酸より選択される。いくつかの態様では、IL2ムテインは、CD25と接触する、またはCD25と接触する他の位置の配向を変更する、IL2配列の位置に1つまたは複数の変異を含み、CD25に対して向上した親和性を有するIL2ムテインを結果としてもたらす。hIL2とその受容体との結晶構造および他の試験に基づき、hIL2とhCD25との結合と相互作用すると特定されている位置は、成熟wt hIL2に従って番号付けされたV69およびQ74を含む。いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインは、置換V69AおよびQ74Pのうちの1つまたは複数を含む。
さらなる配列改変:
CD25、CD122および/またはCD132に関してhIL2ムテインの結合活性をモジュレートするwt hIL2配列への前述のアミノ酸置換および改変に加えて、hIL2は、任意で、さらなる恩恵を提供する、一次配列への1つまたは複数の改変を提供し得る。
グリコシル化部位の除去:IL2ムテインが真核生物発現系において、特に、CHO細胞またはHEK細胞などの哺乳動物宿主細胞において発現する場合、本開示のhIL2ムテインは、非グリコシル化hIL2ムテインの産生を促進するためにThr3(T3)位でO-グリコシル化部位を脱離するための改変を含む場合がある。一態様では、本開示のhIL2ムテインは、T3でのO-グリコシル化を防止するためにヒトIL2のThr3(T3)位にアミノ酸の改変、欠失または置換部位を含む。一態様では、T3での改変はアミノ酸置換である。例示的なアミノ酸置換は、生体活性を消失させずに3位のグリコシル化部位を除去するT3A、T3G、T3Q、T3E、T3N、T3D、T3R、T3K、およびT3Pを含む(米国特許第5,116,943号;Weiger et al., (1989) Eur. J. Biochem., 180:295-300を参照されたい)。一態様では、hIL2ムテインは、アミノ酸置換T3Aを含む。
血管漏出症候群の最小化:本開示のいくつかの態様では、IL2ムテインは、有効性の実質的な喪失なしに血管漏出症候群、ヒトにおけるIL2療法の使用の実質的にマイナスで用量制限性の副作用を回避するために、アミノ酸置換を含む。2009年4月7日に発行されたEpsteinら、米国特許第7,514,073B2号を参照されたい。一態様では、hIL2ムテインは、R38W、R38G、R39L、R39V、F42K、およびH55Yより選択される1つまたは複数のアミノ酸置換をさらに含む。
酸化抵抗性M104A:本開示のいくつかの態様では、hIL2ムテインは、メチオニン104のアラニン残基によるアミノ酸置換(M104A)を含む。このようなIL2ムテインは、酸化および活性喪失に対する抵抗性がより高い場合がある(1988年6月21日に発行されたKothsら、米国特許第4,752,585号を参照されたい)。
Cys125:wt hIL2配列は、125位に不対システイン残基を含む。不対システインは、システインのスルフヒドリル基間の不正確なジスルフィド架橋によってタンパク質がミスフォールディングする機会を提示する。これは、hIL2ムテインが細菌において組み換え発現し、封入体から単離された場合に、独特な問題であり得る。結果として、本開示のhIL2ムテインは、任意で125位にアミノ酸置換を含み得る。いくつかの態様では、置換はC125AまたはC125Sである。
V91:いくつかの態様では、本開示の方法の実施に有用なCD25バイアス型IL2ムテインは、91位にアミノ酸置換を含む。いくつかの態様では、本開示の方法は、91位にV91K、V91R、V91Kより選択される置換を含むIL2ムテインを用いた新生物疾患の治療を含む。いくつかの態様では、本開示の方法は、91位にV91K、V91R、V91Kより選択される置換を含むIL2ムテインを用いた新生物疾患の治療を含み、該IL2ムテインは、2017年2月28日に付与されたGavinら、米国特許第9,580,486B2号に、より十分に説明されるFc融合体の形態で使用され、該特許の教示は、91位に置換を含むIL2ムテインのFc融合体の構築に関して参照により本明細書に組み入れられる。
非天然アミノ酸の組み入れ:いくつかの態様では、本開示の方法の実施に有用なCD25バイアス型IL2ムテインは、CD132への結合を妨害し、分子の活性をCD25+ T細胞方向に偏らせるためのPEG構造の組み入れを含む。炎症徴候および自己免疫徴候の治療に有用であるとして開示されたこのような分子の例は、Ptacinら(2018年8月3日に出願され、2019年2月7日に国際公開公報番号WO2019/028419Alとして公開されたPCT国際出願番号PCT/US2018/045257)に記載されたものを含む。このようなPEG IL2ムテインの一態様は、Ptacin, et al. (2019) THOR-809: An IL2 Engineered from an Expanded Genetic Alphabet for the Potential Treatment of Autoimmune Disorders, Abstract 89, 2019 PACR/ARP Annual Meeting, November 8-13, 2019 Atlanta; Arthritis Rheumatol 2019: 71(supplement 10)に記載された場合にTHOR-809として識別されるPEG化IL2分子である。
親和性成熟:いくつかの態様では、hIL2ムテインは、それらのCD25および/またはCD122に対する親和性を向上させるために親和性成熟され、hIL2ムテインのアミノ酸配列への改変を結果としてもたらす場合がある。「親和性成熟された」ポリペプチドは、1つまたは複数の残基に1つまたは複数の変更を有するポリペプチドであり、その変更の結果、それらの変更を有しない親ポリペプチドと比較して、ポリペプチドのその受容体に対する親和性に改善がもたらされる、またはその逆である。親和性成熟は、IL2ムテインの結合親和性を親IL2ムテインポリペプチドと比較して少なくとも約10%、代替的に少なくとも約50%、代替的に少なくとも約100%、代替的に少なくとも約150%、または2倍、3倍、4倍もしくは5倍向上させるために行うことができる。
N末端の欠失:hIL2ムテインはさらに、hIL2活性と、CD132に対する低下した結合親和性とを保持しながら、1~9位(a、b、c、d、e、f、g、h、およびiがすべてゼロである上記式1の化合物)、代替的に1~8位(a、b、c、d、e、f、g、およびhがすべてゼロである上記式1の化合物)、代替的に1~7位(a、b、c、d、e、f、およびgがすべてゼロである上記式1の化合物)、代替的に1~6位(a、b、c、d、e、およびfがすべてゼロである上記式1の化合物)、代替的に1~5位(a、b、c、d、およびeがすべてゼロである上記式1の化合物)、代替的に1~4位(a、b、cおよびdがすべてゼロである上記式1の化合物)、代替的にdes1~3位(a、b、およびcがすべてゼロである上記式1の化合物)、代替的に1~2位(aおよびbがゼロである上記式1の化合物)、または代替的に1位(aがゼロである上記式1の化合物)のうち1つまたは複数にN末端アミノ酸の脱離を含み得る。
IL2ムテインは、選択的N末端改変、特にシステインのスルフヒドリル基のPEG化を促進するために、最初の2つのアミノ酸の欠失(desAla1-desPro2)のみならず、Thr3グリコシル化のシステイン残基による置換を含み得る(例えば、1993年4月27日に発行されたKatreら、米国特許第5,206,344号を参照されたい)。
wt hIL2は、哺乳動物細胞において内因性発現した場合、哺乳動物細胞において効率的に切断されて、成熟hIL2ポリペプチドのN末端アミノ酸がアラニン残基であること(Ala1)を結果としてもたらすシグナルペプチドを含むプレタンパク質として発現する。哺乳動物細胞におけるhIL2ムテインの発現は可能であるものの、典型的には細菌細胞産生よりも費用がかかり、哺乳動物細胞における発現はまた、使用される細胞株に応じてhIL2の非天然グリコシル化をもたらし得る。結果として、特定の状況では細菌細胞におけるhIL2ムテインの産生が好ましい場合がある。しかし、細菌細胞におけるhIL2ペプチドの直接発現(すなわち、融合タンパク質としてではなく)は、N末端メチオニン残基の付加を結果としてもたらす。wt IL2配列のAla1が保持されるならば、これは、N末端メチオニンに対して+2位にプロリンを結果としてもたらす。プロリンがN末端メチオニンに対して+2位に存在する場合、内因性の細菌メチオニルアミノペプチダーゼ(MAP)はN末端メチオニンを効率的には切断しない。結果として、Met-IL2の細菌直接発現は、N末端メチオニンを有する一部の種とN末端メチオニンを欠如する別の種とのIL2種の混合物を結果としてもたらす。このようなIL2種の混合物は、典型的な製造手順によって分割することが困難であり、加工の増大、産物の喪失を結果としてもたらし、IL2ムテインをターゲティング部分などのN末端部分またはPEG分子にコンジュゲートすることを試みる場合、困難を生む。しかし、IL2ムテインからAla1を欠失させることによって、N末端メチオニンに対して+2位の残基は、N末端メチオニンの非常に効率的な切断を結果としてもたらし、かつIL2ムテインの細菌産生を促進する、スレオニン(T3)である。いくつかの態様では、本開示は、1位にアラニンの欠失を含むhIL2ムテイン(des-Ala1;des-A1、hIL2に従って番号付け)を提供する。
アゴニスト活性:いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、操作されたT細胞または単離されたT細胞を含むT細胞などの免疫細胞の活性化および/または増殖に関する部分アゴニスト、完全アゴニストまたはスーパーアゴニストである。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、免疫細胞におけるSTAT5リン酸化の部分アゴニスト、完全アゴニストまたはスーパーアゴニストである。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、野生型IL2がhIL2受容体陽性免疫細胞におけるSTAT5リン酸化を刺激するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ未満であるレベルで、同じ細胞型におけるSTAT5リン酸化を誘導する部分アゴニストである。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、野生型IL2がhIL2受容体陽性免疫細胞におけるSTAT5リン酸化を刺激するレベルの95%~105%のレベルで同じ細胞型におけるSTAT5リン酸化を誘導する完全アゴニストである。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、野生型IL2がhIL2受容体陽性免疫細胞におけるSTAT5リン酸化を刺激するレベルの105%よりも大きい、代替的に110%よりも大きい、代替的に120%よりも大きい、代替的に150%よりも大きい、代替的に200%よりも大きい(2倍)、代替的に300%よりも大きい(3倍)のレベルで同じ細胞型におけるSTAT5リン酸化を誘導するスーパーアゴニストである。特定の態様では、免疫細胞はT細胞である。特定の態様では、免疫細胞はCD8+ T細胞である。いくつかの態様では、CD8+ T細胞は新鮮単離されたCD8+ T細胞である。いくつかの態様では、新鮮単離されたCD8+細胞はTILである。他の態様では、CD8+ T細胞は活性化CD8+ T細胞である。特定の態様では、免疫細胞は、CAR T細胞、TCR操作された細胞、操作されたTreg、または操作されたNK細胞を含むが、それに限定されるわけではない操作された免疫細胞である。
いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、hIL2受容体陽性免疫細胞におけるpERK1/ERK2シグナル伝達の部分アゴニスト、完全アゴニストまたはスーパーアゴニストである。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、野生型IL2が同じ細胞型においてpERK1/ERK2シグナル伝達を刺激するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ未満であるレベルでpERK1/ERK2シグナル伝達を刺激する部分アゴニストである。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、野生型IL2がhIL2受容体陽性免疫細胞においてpERK1/ERK2シグナル伝達を刺激するレベルの95%~105%のレベルで同じ細胞型においてpERK1/ERK2シグナル伝達を刺激する完全アゴニストである。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、野生型IL2がhIL2受容体陽性免疫細胞においてpERK1/ERK2シグナル伝達を刺激するレベルの105%よりも大きい、代替的に110%よりも大きい、代替的に120%よりも大きい、代替的に150%よりも大きい、代替的に200%よりも大きい(2倍)、代替的に300%よりも大きい(3倍)レベルで同じ細胞型におけるpERK1/ERK2シグナル伝達を刺激するスーパーアゴニストである。特定の態様では、免疫細胞はT細胞である。特定の態様では、免疫細胞はCD8+ T細胞である。いくつかの態様では、CD8+ T細胞は新鮮単離されたCD8+ T細胞である。いくつかの態様では、新鮮単離されたCD8+細胞はTILである。他の態様では、CD8+ T細胞は活性化CD8+ T細胞である。特定の態様では、免疫細胞は、CAR T細胞、TCR操作された細胞、操作されたTreg、または操作されたNK細胞を含むが、それに限定されるわけではない操作された免疫細胞である。
STAT5およびERK1/2シグナル伝達は、例えば、当技術分野において公知の任意の適切な方法を使用するSTAT5およびERK1/2のリン酸化によって測定することができる。例えば、STAT5およびERK1/2リン酸化は、これらの分子のリン酸化バージョンに特異的な抗体を使用して測定することができる。
特定の態様では、本開示の方法の実施に有用な本開示のhIL2ムテインは、野生型hIL2と比較してhIL2ムテインがリンパ球の増殖を誘導する能力によって測定される場合の部分、完全またはスーパーアゴニストである。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、野生型IL2が同じ細胞型においてリンパ球の増殖を誘導するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ未満であるレベルでリンパ球の増殖を誘導する部分アゴニストである。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、野生型IL2がhIL2受容体陽性免疫細胞においてリンパ球の増殖を誘導するレベルの95%~105%のレベルで同じ細胞型におけるリンパ球増殖を誘導する完全アゴニストである。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、野生型IL2がhIL2受容体陽性免疫細胞においてリンパ球の増殖を誘導するレベルの105%よりも大きい、代替的に110%よりも大きい、代替的に120%よりも大きい、代替的に150%よりも大きい、代替的に200%(2倍)よりも大きい、代替的に300%(3倍)よりも大きいレベルで同じ細胞型におけるリンパ球増殖シグナル伝達を誘導するスーパーアゴニストである。特定の態様では、免疫細胞はT細胞である。特定の態様では、免疫細胞はCD8+ T細胞である。いくつかの態様では、CD8+ T細胞は新鮮単離されたCD8+ T細胞である。いくつかの態様では、新鮮単離されたCD8+細胞はTILである。他の態様では、CD8+ T細胞は活性化CD8+ T細胞である。特定の態様では、免疫細胞は、CAR T細胞、TCR操作された細胞、操作されたTreg、または操作されたNK細胞を含むが、それに限定されるわけではない操作された免疫細胞である。いくつかの態様では、リンパ球はT細胞である。特定の態様では、リンパ球は初代CD8+ T細胞である。他の態様では、リンパ球は活性化CD8+ T細胞である。免疫細胞の増殖は、当技術分野において公知の任意の適切な方法を使用して測定することができる。例えば、リンパ球の増殖は、本明細書に記載されるようにカルボキシフルオセイン二酢酸サクシニミジルジエステル(CFSE)希釈アッセイを使用して、または[31-1]-チミジン取り込みによって測定することができる。
式1のhIL2ムテインは、CD122およびCD132受容体構成要素の両方への結合性を保持するので、hIL2ムテインは、ナチュラルキラー(NK)細胞の部分アゴニストとして作用し得る。NK細胞のIL2活性化は、当技術分野において公知の任意の適切な方法によって、例えば、本明細書に記載されるようにIL2によって誘導されたCD69の発現および/または細胞傷害性を測定することによって、測定することができる。
hIL2ムテインのインビトロ評価:
本開示の野生型hIL2と比べてCD132に対して低下した結合親和性を有するhIL2ムテインの活性およびCD25発現細胞のそれらの優先的活性化を実証するために、一連のhIL2ムテインを調製し、それらが、YT細胞、IL2受容体の中親和性二量体形態を発現しているNK細胞、および細胞表面にCD25を発現する(iCD25+)ように改変されて高親和性三量体型IL2受容体の3つの構成要素すべてを発現するヒト免疫細胞を結果としてもたらすYT細胞であるYT CD25と称されるYT細胞バリアントの選択的活性化を提供する能力について評価した。
CD132と界面を形成する18、22および/または126位にアミノ酸置換を含む式1の一連の例示的なhIL2ムテインを調製し、検査した。本明細書における実施例1~7の教示に実質的に従って分子を調製し、検査した。これらの実験の結果を添付の図面の図1、2および3に提供する。図1に示すように、hIL2のhCD132への結合性に関与する、18、22、および/または126位にアミノ酸置換を含むhIL2ムテインは、pSTAT5シグナル伝達に顕著な増強を示し、YT CD25細胞においてこれらのhIL2ムテインがwt hIL2と比べて顕著なhIL2活性を保持することを実証している。図2に表示するように、本開示のhIL2ムテインは、CD25陰性YT細胞と比べてCD25陽性YT CD25細胞に対して、野生型hIL2と比べて優先的なpSTAT5シグナル伝達活性を示した。これらの分子の希釈物からのデータを添付の図面の図3に提供する。
CD4陽性ヒトT細胞、3F8細胞における活性について本開示のさらなるhIL2ムテインを評価するためにさらなる試験を行った。EBV形質転換B細胞株JYによる、健康ヒトドナーから得られたPBMCの活性化によって3F8細胞株を生成した。CD4陽性T細胞クローン3F8は、CD25およびCD122を発現し、IL-2に応答して増殖し、IFNγを産生する。本明細書における実施例8の教示に従って、3F8細胞における増殖活性およびIFNγ産生について、下の表5に詳記するように式1のさらなる代表的なhIL2ムテインを評価した。この実験からのデータを下の表5ならびに添付の図面の図4(細胞増殖)および図5(IFNγ産生)に提供する。IC50をトランスフェクション上清中のタンパク質濃度に関して補正する。
(表5)hIL2ムテインに応答したヒトCD4陽性T細胞クローン3F8の増殖およびIFNγ産生
表5ならびに図4および5における前述のデータは、CD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を有する本開示のhIL2ムテインが、CD25+/CD122+ヒト免疫細胞の増殖およびそれからのIFNγ産生を刺激することに有効であることを実証している。
抗新生物活性の評価
本開示は、新生物疾患の治療および/または予防においてhIL2ムテインを用いる組成物および方法を提供し、ここで、ヒトIL2ムテインは、数ある特性の中でとりわけ、CD132に対してwt hIL2と比べて低下した結合親和性を示す。このアプローチの有用性を実証するために、さらなるインビトロ特徴付け試験、ならびにげっ歯類および非ヒト霊長類において治療有効性、毒性、および薬物動態を評価するためのインビボ試験を、下にさらに詳細に記載されるように行った。累積的に、これらの試験の結果は、本開示のhIL2ムテインが、治療に有効で耐容性良好な用量および曝露で、(a)高親和性hIL-2受容体を発現しているヒト免疫細胞(特に抗原により活性化したT細胞、抗原を経験したT細胞、および制御性T細胞)の選択的活性化および/または増殖;(b)wt hIL2よりも顕著に低い毒性(血管漏出症候群(VLS)のエビデンスがより低いことを含む)をもたらす一方で、(c)NK細胞またはナイーブCD25陰性T細胞に対して顕著に低減した生体活性を示すことを実証している。
hIL2ムテインの被験作用物質:哺乳動物対象における新生物疾患の有効な治療への本開示のhIL2ムテインの有用性を実証するこれらの広範なインビトロ特徴付け試験およびインビボ試験を行うために、L18、Q22およびQ126位にアミノ酸置換を含む式1の例示的なhIL2ムテインを、式1の化合物の代表的なメンバーとして評価した。前述のように、L18、Q22およびQ126位のhIL2の改変は、hCD132へのモジュレートされた親和性を有するが、典型的にはhCD25およびhCD122に対する結合性がwt hIL2と同等であるhIL2ムテインを提供する。その構造を下に提供する2つの代表的なL18、Q22およびQ126-改変hIL2ムテイン(STK-008およびSTK-011)ならびに代用マウスIL2(mIL2)ムテイン(STK-014)をこれらの試験に使用した。
STK-008:式1の例示的なhIL2ムテインは、アミノ酸置換L18R、Q22EおよびQ126Hを含み、そのうえAla1の欠失を含むヒトIL2ムテインであって、本明細書においてdes-Ala1 REH、REHおよびSTK-008と称されるヒトIL2ムテインである。STK-008のアミノ酸配列を下に提供する(SEQ ID NO:7):
STK-011:式1の第2の例示的なhIL2ムテインは、アミノ酸置換L18R、Q22EおよびQ126Kを含み、そのうえAla1の欠失を含むヒトIL2ムテインであって、本明細書においてdes-Ala1 REK、REKおよびSTK-011と称されるヒトIL2ムテインである。STK-011のアミノ酸配列を下に提供する(SEQ ID NO:8):
従来の組み換えDNA技術を使用して大腸菌(E. coli)においてSTK-011およびSTK-008ポリペプチドの試料を組み換え産生し、透析、イオン交換クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーを含む従来手順によって実質的に純粋な形態で単離した。典型的にはhIL2分子の1位に存在するアラニンを欠失させることによって、N末端メチオニンの次の位置にアラニンの代わりにプロリンがあるため、N末端メチオニンが細菌産生細胞によってより効率的に除去され、増大した加工効率、より低いコスト、ならびに実質的に純粋な均一タンパク質産物を産生するための簡素化された精製およびリフォールディングなどの、経済的および技術的双方の利点を提供する、実質的により多いhIL2均質産物の発現および回収を結果としてもたらし、そのことは、担体またはターゲティング分子などのさらなる作用物質がhIL2ポリペプチドのN末端にコンジュゲートされた場合に、より均一な試薬を結果としてもたらす。以前の報告に示され、本試験によって確認されたように、1位のアラニンの脱離は、結果として生じるhIL2ポリペプチドの生体活性を実質的には改変しない。
以前の試験に実質的に従い、実施例1~7により十分に説明されるように、wt hIL2と比べたSTAT5のリン酸化によって評価された場合の、REHおよびREKがIL2受容体を介してシグナル伝達を提供する能力を、YT CD25(CD25陽性)およびYT(CD25陰性)細胞において評価した。簡潔には、293T細胞にIL-2ムテイン構築物をトランスフェクトし、2~3日後に、可溶性hIL2ムテインを含有する上清を取り出した。20分の刺激後に上清をYTおよびYT CD25細胞に添加した。YT細胞は、検出可能なレベルのCD25を内因性発現しないNKリンパ腫細胞株である。YT細胞およびCD25を外因性発現している派生YT細胞(YT CD25)のIL-2応答を比較した。YT CD25細胞上のIL-2受容体の構成要素の発現を蛍光フローサイトメトリーによって検証し、データを添付の図面の図6、パネルAおよびBに提示した。このデータは、それぞれYT細胞およびYT CD25細胞によるCD25(IL2Rα)、CD122(IL2Rβ)、およびCD132(IL2Rγ)の発現を示している。黒のヒストグラムは染色細胞を示し、破線のヒストグラムは、未染色対照細胞を示す。ゲートは、陽性細胞のパーセントを染色毎に示す。フローサイトメトリーによってpSTAT5レベルを測定した。上清中のIL-2濃度をMSDアッセイによって測定した。この実験から生成した平均蛍光強度のデータを下の表6および7に提供する。
(表6)処理されたYT CD25+細胞におけるpSTAT5のMFI
(表7)処理されたYT(CD25陰性)細胞におけるP-STAT5のMFI
前述の表6および7におけるデータが示すように、中親和性二量体型CD122/CD132 hIL2受容体を発現しているヒト免疫細胞、YT細胞におけるpSTAT5と比べて、高親和性三量体型CD25/CD122/CD132 hIL2受容体を発現しているヒト免疫細胞(YT CD25細胞)において増強した(wt hIL2と同等の)pSTAT5産生によって示されるように、REHおよびREKは、CD25陰性T細胞と比べてCD25陽性T細胞の選択的活性化を提供する。
STK-010およびSTK-012:好都合なインビボ薬物動態(例えば、作用の持続時間延長)を提供するために、STK-008およびSTK-011ムテインのN末端プロリンを、40kd(20kD×2アーム)分岐PEG部分とリンカーを介してコンジュゲートして、本明細書においてそれぞれSTK-010およびSTK-012と称される化合物を提供した。分岐40kD PEGならびにSTK-008およびSTK-011のN末端プロリンにコンジュゲートされてSTK-010およびSTK-012を産生するリンカーは、構造:
を有する。
STK-012のインビトロ特徴付け:NKL細胞を使用する増殖バイオアッセイによってSTK-012の生体活性を評価した。NKLは、野生型ヒト高親和性IL-2受容体(CD25/CD122/CD132)を発現するナチュラルキラー細胞株であって、ヒトIL-2に応答する。IL-2受容体の構成要素の発現を蛍光フローサイトメトリーによって検証した(図6)。提示したデータによって示すように、三量体型高親和性IL-2Rの発現は、NKL細胞をSTK-012に応答性にする。野生型ヒトIL-2およびSTK-012双方の生体活性を、NKL細胞株、ヒトリンパ芽球NK細胞株を使用する増殖アッセイで評価した。CD25発現細胞に対するSTK-012の特異性を、YT細胞およびYT CD25におけるpSTAT5活性アッセイで立証した。添付の図面の図7に提示されるデータに示されるように、ヒトIL-2およびSTK-012は、類似の用量範囲でNKL細胞の増殖を誘導し、STK-012が、wt hIL2と同等の、ヒト免疫細胞においてpSTAT5を誘導する能力を保持することを実証している。
STK-014:マウスにおける有効性試験のためのSTK-012マウス代用物:IL2とその受容体構成要素との界面は、げっ歯類(例えばマウス)IL2分子と霊長類(例えばヒト)IL2分子との間でわずかに異なる。結果として、マウスモデルにおけるヒトIL2ムテインの活性を示すために、本開示の代表的なヒトIL2ムテイン(STK-012)を選択し、マウスにおけるインビボ試験のためにマウスIL2ムテイン代用物(STK-014)を発生させて、げっ歯類(マウス)環境と霊長類(ヒト)環境との間で活性を対比させた。STK-014のマウスIL2(mIL2)ポリペプチド構成要素のアミノ酸配列は:
である。STK-014分子の完成のために、上記STK-010およびSTK-012の調製に使用されたものと同じ構造のPEGリンカーにより前述のIL2ポリペプチドのN末端をPEG化する。
STK-014がSTK-012の妥当な代用物に相当することを実証するために、マウス細胞およびヒト細胞に対する標的の特異性を評価するための試験を行った。抗CD3/抗CD28刺激により活性化した初代ヒトCD8+ T細胞および初代ヒトNK細胞において、各分子がホスホ-STAT5(pSTAT5)を誘導するEC50を比較することによってヒト野生型IL-2(huIL-2)およびSTK-012の相対効力を評価するための試験を行った。両方の細胞型を新鮮ドナー末梢血単核球細胞(PBMC)から単離した。STK-014はマウスIL2ムテインであるので、マウス脾臓から新鮮単離された等しい細胞集団に対してそれを試験した。この試験の結果を下の表8に提供する。
(表8)pSTAT5アッセイにおけるヒトIL2ムテインおよびマウスIL2ムテインの効力
表8に提供されるデータは、STK-012がヒト細胞に示すものと類似の標的特異性をSTK-014がマウス細胞に対して有するので、STK-014がインビボ有効性モデルに使用するためのSTK-012の妥当な代用物に相当することを実証している。
マウスにおけるSTK-014を用いたインビボ有効性試験
ヒトSTK-012のマウス代用物として作用するSTK-014を用いて、マウスにおいていくつかのインビボ有効性試験およびインビボ薬理試験を行った。STK-014が抗原により活性化したT細胞をインビボで拡大増殖させ、活性化する能力を評価するため、ならびにSTK-014単独および抗PD-1と組み合わせた抗腫瘍有効性および毒性をマウス腫瘍モデルにおいて検査するために、これらの試験を行った。そのうえ、投与された分子の毒性を、毒性試験に関与した動物において評価した。STK-014の活性をPEG化野生型マウスIL-2(mPEG-IL-2)と比較した。STK-014は、mPEG-IL-2と比較して改善された抗腫瘍活性および増大したT細胞腫瘍浸潤のみならず、mPEG-IL-2と比べて顕著に低減した致死性および毛細血管漏出症候群(CLS)の低減したエビデンスを含む、改善された毒性を示した。STK-014は、致死性も顕著なCLSのエビデンスも示さなかった。
STK-014の最大耐量の確立:臨床腫瘍診療において、高い血清曝露を維持して組み換えIL-2の短い半減期を克服するために、IL-2を最大耐量(MTD)またはその近くで1日3回の投与計画で投与する(Atkins, et al. 前記)。インビボ試験についてのPEGmIL2および/またはSTK-014の最大耐量を確立するために、組み換えmIL-2、N末端に40kD PEG部分が共有結合したPEG化マウス野生型IL-2(PEGmIL-2)およびSTK-014についてのMTDを確立した。C57BL/6マウスに1日3回5日間投与した。wt IL-2を3回/日投与した。他の分子はすべて、3日目の誤投与を有して2日に1回投与され、それで、組み換えmIL-2の場合、投与は0-2-3-5-7-9日目、PEG-mIL2またはSTK-014の場合2日に1回であった。投薬量を図9の説明に提供する。試験の結果のカプラン-マイヤー生存プロットを添付の図面の図9に提示する。図9に提示されるデータによって示されるように、mIL-2およびPEGmIL-2の両方で(5μg q.o.d.以上の用量で)致死性が観察されたが、STK-014では観察されなかった。前述のデータは、本開示のhIL2ムテインがwt hIL2と比べて低減した毒性を有することを実証し、HD-hIL2と比べて顕著な安全上の利点を示唆している。
PEGmIL-2およびSTK-014に応答した毛細血管漏出の評価:HD-IL-2を受けた患者は、連続HD-IL-2治療を3日以上受けた後、または8時間間隔で中央値8回の投与を受けた後で急性低血圧およびCLSを有する。MTDを確立するための前述の試験では、試験終了時または中途終止時または死亡時に肺を回収した(mIL-2治療動物において)。CLSの尺度として、mIL-2またはSTK-014で治療されたマウス由来の肺の水含量を、新鮮肺重量から乾燥後の肺重量を引いた差として計算した。本試験の結果を、添付の図面の図10に提示する。図10に提供されるデータが例示するように、STK-014で治療されたマウスでなく、HD-IL-2またはPEGmIL-2で治療された動物は、毛細血管漏出を示す肺湿重量の増大を有した。
STK-014をCLSの早期発生の間のIL-2と直接比較するために、図11の説明に示す用量レベルのPEG-mIL2またはSTK-014で2回、2日間隔でマウスを3日間治療した。そのうえ、wt mIL2(PEG化されていない)を12.2ug(HD-マウスIL-2)の用量で投与して、HD-hIL2療法を刺激した。合計出発体重に関して肺湿重量を決定した。本試験の結果を添付の図面の図11に提示する。図11に提示されるデータが例示するように、STK-014で治療されたマウスでなく、HD-IL-2、PEGmIL-2で治療された動物は、毛細血管漏出を示す増大した肺湿重量-体重比を有した。前述のデータは、本開示のhIL2ムテインがwt hIL2と比べてCLSの低減したリスクを有することを実証し、ヒト対象の治療においてHD-hIL2と比べた顕著な安全上の利点を示唆している。
同系CT26結腸がんモデルにおけるSTK-014の評価:
STK-014の抗腫瘍有効性を、Balb/CマウスでのマウスCT-26結腸がんモデルにおいて検査した。試験計画および治療群を下の表9に要約する。
(表9)STK-014の抗腫瘍有効性を評価する試験計画
簡潔には、CT-26結腸がん(細胞3×105個)を皮下注射し、腫瘍を腫瘍サイズ>100mm3に成長させ、腫瘍細胞移植の10日後に治療を開始した。表9に従ってマウスに投与した。治療相の間、腫瘍サイズを1週間に2回ノギス測定によって測定した。このCT26試験の結果を添付の図面の図12にグラフ表示する。図12に示すように、CT-26結腸がんモデルにおいてSTK-014治療群(群4)だけがマウスの50%超で腫瘍の拒絶を結果としてもたらした。このデータは、そのPEG化バリアントを含む本開示のhIL2ムテインが、ヒト対象においてwt hIL2療法と比べて改善された抗腫瘍有効性を有することを示唆している。
CT-26腫瘍モデルにおける腫瘍浸潤T細胞の分析:前述のCT26腫瘍モデル試験の動物から回収された臓器を免疫組織化学によって評価した。組織の免疫組織化学分析は、STK-014によって治療されたマウスの腫瘍がPEG-mIL-2と比較して腫瘍内CD8+ T細胞の強い拡大増殖を示したことを実証している(図13パネルA)。腫瘍内CD25+ CD8+ T細胞のいっそう大きな拡大増殖が腫瘍において観察され、STK-014のCD25選択性を示した(図13パネルB)。脾臓中のTregを含むCD25+ T細胞も、STK-014治療によって強く、PEG-IL-2によってより低い程度に拡大増殖した(図14)。ヒト腫瘍におけるT細胞の浸潤は、腫瘍のステージ分けと無関係に、患者の生存率改善と予後的に関連する(Fridman, et al. 2012)。同様に、免疫チェックポイント遮断への応答は、腫瘍におけるCD8+ T細胞の高い浸潤と相関関係にある(Tumeh, et al. 2014)。結果として、式1のhIL2ムテインのマウス代用物であるSTK-014で観察されたCD8+ Tの増大した腫瘍内浸潤は、本開示のhIL2ムテインが、ヒトがん患者における改善した臨床転帰と関連する腫瘍内T細胞におけるこのような増大を同様に示すことを示唆している。
MC38同系結腸がんモデル:
前述のCT-26結腸がん試験に加えて、本開示の代表的な組成物および方法をMC-38結腸がんモデルにおいて評価した。MC38試験についての試験計画および治療群を下の表10に要約する。
(表10)MC-38結腸がんの抗腫瘍有効性を評価する試験計画
簡潔には、MC-38結腸がん細胞(細胞1×106個)をマウスに皮下注射し、局所腫瘍を18日間形成させた。マウスを未処置のまま放置した、または18日目からSTK-014で治療した。STK-014治療を観察期間にわたり継続した。この試験の結果を添付の図面の図15に提示する。図示のように、STK-014を用いた治療は腫瘍の制御および退縮をもたらしたのに対し、PEG-mIL-2単剤療法は、腫瘍を制御する低減した能力を示した。
増大した腫瘍内CD8+ T細胞:前述のMC38腫瘍モデル試験の動物から回収した臓器を免疫組織化学によって評価した。組織の免疫組織化学分析は、STK-014によって治療されたマウスの腫瘍がPEG-mIL-2と比較して腫瘍内CD8+ T細胞の強い拡大増殖を示したことを実証している。図16Aに示すように、PEG-mIL-2を用いた治療は、MC-38腫瘍における腫瘍内CD8+ T細胞数を増大させたが、STK-014を用いた治療はMC-38腫瘍へのT細胞浸潤をさらに改善した。同様に、図16Bに示すように、STK-014はまた、MC-38腫瘍におけるCD8+ CD25+ T細胞数を増大させた。
血管漏出症候群:前述のように、wt hIL2(特にHD-hIL2)療法は、特に血管漏出症候群(VLS)に起因する顕著な毒性を結果としてもたらす。本開示の例示的なhIL2ムテインを、下により詳細に説明するように、マウスおよび非ヒト霊長類においてインビボで評価した。マウス毒性モデルにおいて、STK-014は血管漏出症候群を誘発せずに低減した毒性を示した。同系マウス腫瘍モデルにおけるSTK-014を用いた有効性試験では、本開示のhIL2ムテインは、wt hIL2と比べて好都合な毒性を提供する。
マウスにおけるVLSの評価:VLSは体重増加および臓器湿重量の増大と関連するが、嗜眠による全体重減少と関連する。簡潔には、マウスにSTK-014を1.25、2.5、5および10マイクログラムの投薬量で、対照としてリン酸緩衝食塩水を用いて毎日投与する実験を行った。図18に示すように、この実験の結果は顕著な重量減少を証明しなかった(被験動物において8%未満、これは本開示の組成物を用いた治療に応答したマウスにおいてVLSの非存在を示す)。VLSに関連する重量増加に加えて、体重における実質的な減少は、マウスの全身毒性を示す。野生型マウスIL2を12.2マイクログラムの用量で1日3回与えるのみならず、40kD N末端PEG化wt mIL2分子を2.5、5および10マイクログラムの投薬量で与える効果を評価するために実験を行った。実験結果を添付の図面の図19にグラフ形式で提供する。図19に示すように、wt mIL2は、マウスにおいて顕著な重量減少をもたらし、それは、PEG化wt mIL2分子の持続時間延長によって悪化する。対照的に、図19におけるデータは、同様にPEG化されたmIL2 REHバリアントが顕著な重量減少を誘導しなかったことを実証している。まとめると、これらのデータは、本開示の分子が天然形態および長期作用形態の両方で野生型IL2と比べて低減した毒性を有することを実証している。
マウスにおけるインビボ薬理データの概要:免疫療法の恩恵は、制御性T細胞と比べたエフェクターT細胞の相対的増大としばしば相関する。STK-014がもっとも顕著に腫瘍中のCD8/Treg比を増大させた(図17)。同系マウスにおけるSTK-014を用いた有効性試験では、STK-014は、wt-mIL-2と比較して腫瘍内T細胞の顕著に強い活性化および拡大増殖を誘導する。治療されたマウスの腫瘍中のT細胞の分析は、PEG-IL-2と比較してSTK-014に応答して腫瘍内CD8+ T細胞の強い拡大増殖を示した。CD25+ CD8+ T細胞でSTK-014のCD25選択性を示すいっそう大きな増大が観察された。Tregを含むCD25+ T細胞はまた、STK-014治療によって脾臓中で強く、PEG-IL-2によってより低い程度に拡大増殖された。そのうえ、STK-014治療は、マウスにおいてHD-IL-2に関連する致死および毛細血管漏出症候群を誘導しなかった。STK-014は同系腫瘍モデルにおいて腫瘍制御/完全奏効を誘導した。STK-014の投薬は、腫瘍浸潤CD8+ T細胞、CD25+CD8+ T細胞およびグランザイム(データは示さず)発現細胞の数を増大させる。
STK-014と抗PD-1との組み合わせの有効性:抗PD-1免疫チェックポイントの遮断は、ヒト腫瘍の免疫療法の特徴である。抗PD-1療法に部分応答するMC-38腫瘍においてSTK-014と抗PD-1との組み合わせ治療を評価した。免疫調節性の腫瘍微小環境を発生させるために、治療の開始前にMC-38腫瘍を十分に樹立した。マウスを抗PD-1、PEG-mIL-2またはSTK-014単独でまたは組み合わせて治療した(表11)。
(表11)MC38腫瘍モデルにおけるSTK-014およびPD1阻害剤との組み合わせ治療についての試験計画
前述の試験の結果を添付の図面の図20に提供する。PEG-IL-2およびSTK-014の両方は、単一の作用物質で有効性を有し、この腫瘍モデルにおいて部分奏効を誘導した。いずれかの作用物質と抗PD-1との組み合わせは抗腫瘍有効性を増大させ、STK-014+抗PD-1の組み合わせは100%の完全奏効を有した(図20)。そのうえ、腫瘍内T細胞の存在を上記のように評価し、結果を添付の図面の図21に提供した。示したように、STK-014と抗PD-1との組み合わせは、マウスモデルにおいて腫瘍の根絶を結果としてもたらし、腫瘍内CD8+ T細胞数の増大と関連する。
非ヒト霊長類試験:
マウスにおける前述の毒性試験に加えて、非ヒト霊長類(NHP)毒性試験においてSTK-012を評価した。STK-012は、前記の有効用量および曝露で2週間薬物動態(PK)および耐容性試験で耐容された。要約すると、STK-012およびそのマウス代用物STK-014は、顕著に高い曝露にかかわらずPEG化マウスIL-2と関連する毒性を示さなかった。
非ヒト霊長類におけるSTK-012の非GLP耐容性および毒性試験
STK-012についてカニクイザルにおける非GLP耐容性および毒物動態反復投与漸増(MAD)試験が試験委託者によって行われている。非ヒト霊長類(NHP)に下のSTK-012を最大2用量で最大2週間投与した(表12)。
(表12)非ヒト霊長類における非GLP耐容性および毒性試験についての投与回数および用量レベル
血清PK、サイトカイン分析、細胞フローサイトメトリー、臨床化学および血液分析を試験全体にわたり行った。最終の解剖(terminal takedown)時に臓器の肉眼および顕微鏡分析を行った。組み換えヒトIL-2(プロロイキン)を陽性対照として使用した。
STK-012の毒物動態分析:STK-012の血清濃度は、STK-012のSC注射後に急速に上昇し、注射後(PI)24hでCmaxに達した。STK-012の曝露は安定であり、投与間のクリアランスは、11hのT1/2を有した中間IL-2受容体と結合する類似サイズのPEG-IL-2ムテインと比較して低速であった(7日)(図22)(Milla, et al. 2018)。STK-012のT1/2は、最初の投与後23~27時間であった(表13)。
(表13)カニクイザルにおけるSTK-012の薬物動態データ
STK-012の薬力学評価:STK-012は、NHP試験においてT細胞のCD25+ CD122+サブセット拘束性STAT5リン酸化を含む生体活性を示した(図24)。0.05mg/kg以上のSTK-012用量は、血中のCD25+CD4+ T細胞サブセットにおいてリン酸化STAT5(P-STAT5)を誘導した。STK-012は、投与間隔全体にわたりSTK-012感受性集団中にP-STAT5陽性を維持するのに十分なレベルで持続した(図23)。STK-012は、CD25およびCD122の最近のTCR媒介アップレギュレーションを有したT細胞を特異的にターゲティングすることを目指している。濃度に応じて、STK-012は、表面に高レベルのCD25およびCD122を発現している細胞中に特異的にSTAT5リン酸化を誘導した(図24)。STK-012は、インビトロおよびカニクイザルにおいてCD25+ T細胞と特異的に結合し、それを活性化する(図24)。STK-012特異性を支援して、CD25+ CD8+ T細胞はSTK-012に応答してCD25- CD8+ T細胞よりも早期に、高いパーセントまで増殖した(KI-67+によって検出)(図25)。STK-012の投与およびCDD25+ CD8+ T細胞の増殖と比べてCD25- CD8+ T細胞の増殖は遅延したが、これは、CD25+ T細胞によるwtIL-2分泌の結果であり得る。CD28+ CD95+ CD8+中枢性メモリーT細胞(Tcm)は、抗原を経験したT細胞集団を表す。黒色腫患者において、抗PD-1抗体を用いた治療は、腫瘍応答と相関してCD28+ Tcmの増殖および拡大増殖を誘導する(Huang, et al. 2017)。STK-012治療は、NHPの血中のCD28+ CD95+ CD8+ T細胞の拡大増殖を誘導した(図26)。
非臨床試験における臨床観察の概要:8日目の0.36mg/kgのSTK-012の投与は、円背姿勢、嗜眠、眼瞼腫脹、フレーク状皮膚、軟便および液状便を含む、臨床観察における行動変化と関連した。円背姿勢は、オスでは9、12、14および15日目に、メスでは14および15日目に出現した。オス動物ではまた、9および12日目に嗜眠、12日目に運動減少、15日目に両側眼瞼腫脹、9および12日目に左後肢のフレーク状皮膚、11~13日目に軟便、ならびに9および10日目に液状便が出現した。他のSTK-012用量レベルの動物において試験品に関連する臨床観察は出現しなかった。本試験における重篤な毒性が発現しない最大投与量(HNSTD)は、したがって100μg/kgである。
病理評価の概要:STK-012を投与された動物の肝臓、腎臓、および脾臓に次の試験品関連顕微鏡所見が出現した:肝臓における最小限~中等度の血管周囲混合炎症細胞浸潤(STK-012、0.01/0.05および0.1/0.36mg/kg);赤脾髄における単核球細胞の細胞充実度の最小限の増大(STK-012、0.1/0.36mg/kg);腎皮質の軽度の単核球細胞浸潤(STK-012、0.01/0.05および0.1/0.36mg/kg)。患部は、門脈および中心静脈の両方を含む主に血管周囲の領域を含んでいたが、肝細胞の明らかな変性も壊死も見られなかった。血清トランスアミナーゼに著変はなかった。
STK-012は、高親和性ヒトIL-2R(CD25、CD122およびCD132)だけと結合し、それを活性化する構造改変IL-2である。この標的細胞選択性は、標的媒介クリアランスを低減し得る。STK-012は、プロロイキン(本試験)または文献に記載されている他の同様にPEG化されたIL-2(Milla, Ptacin et al. 2018)と比較してクリアランスの低減を示し、高い曝露を有した。高い血清曝露にもかかわらず、STK-012は、最大100μg/kgの用量で持続的に高い血清濃度を有して耐容される。STK-012は、CD25+ T細胞中のP-STAT5によって示される、強く持続性の生体活性を示した。
改変された薬物動態を有するhIL2ムテイン:
本開示は、改変された薬物動態(PK)特性を有する改変されたhIL2ムテインをさらに提供する。いくつかの態様では、改変されたPK特性を有する本開示のhIL2ムテインは、哺乳動物対象におけるそれらの作用の持続時間を延ばすように改変されている。このようなPK改変の例は、hIL2ムテインの1つもしくは複数の担体タンパク質へのコンジュゲーション、PEG化、アシル化、またはアミノ酸配列の改変、置換もしくは欠失を含むが、それに限定されるわけではない。
いくつかの態様では、改変された薬物動態(PK)特性を有する改変されたhIL2ムテインは、ヒト対象において4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、14日、または30日よりも大きい血漿半減期を含む。
アミノ酸の改変:いくつかの態様では、hIL2ムテインは、インビボ存続期間の延長をもたらすようにhIL2ムテインのPKを改変する特定のアミノ酸置換を含み得る。例えば、Dakshinamurthi, et al. (International Journal of Bioinformatics Research (2009) 1(2):4-13)は、hIL2ポリペプチドにおける置換V91R、K97EおよびT113Nのうち1つまたは複数が、増強した安定性および活性を有するhIL2バリアントを提供すると述べている。いくつかの態様では、本開示のhIL2ムテインは、V91R、K97Eおよび/またはT113N改変のうち1つ、2つまたは3つすべてを含む。
担体分子とのコンジュゲーション:いくつかの態様では、改変されたPK特性を有する本開示のhIL2ムテインは、1つまたは複数の担体分子とコンジュゲートされる。いくつかの態様では、IL2ムテインの半減期を延長するために、例えばPEG化、グリコシル化、脂肪酸アシル化、および当技術分野において公知のその他によってIL2ムテインをIgGのFcドメイン、アルブミン、または他の分子と共有結合させることができる。
いくつかの態様では、改変されたPK特性を有する本開示のhIL2ムテインは、インビボで曝露の延長を促進することが当技術分野において公知である、アルブミン分子(例えばヒト血清アルブミン)との融合タンパク質として発現する。本発明の一態様では、hIL2ムテインは、アルブミンとコンジュゲートされ、本明細書において「hIL2ムテインアルブミン融合体」と称される。hIL2類似体アルブミン融合体の文脈で使用される「アルブミン」という用語は、ヒト血清アルブミン(HSA)、イヌ血清アルブミン、およびウシ血清アルブミン(BSA)などのアルブミンを含む。いくつかの態様では、HSAは、野生型HSA配列と比べてC34SまたはK573Pアミノ酸置換を含む。本開示により、アルブミンを、カルボキシル末端、アミノ末端、カルボキシル末端およびアミノ末端の両方、ならびに内部でhIL2ムテインとコンジュゲートすることができる(例えば、米国特許第5,876,969号および米国特許第7,056,701号を参照されたい)。本開示によって考えられているHSA-hIL2ムテインポリペプチドコンジュゲートでは、アルブミン分泌プレ配列およびそのバリアント、断片およびそのバリアント、ならびにHSAバリアントなどの様々な形態のアルブミンを使用することができる。このような形態は、一般的に、1つまたは複数の所望のアルブミン活性を有する。さらなる態様では、本開示は、アルブミン、アルブミン断片、およびアルブミンバリアントなどと直接または間接的に融合したhIL2類似体ポリペプチドを含む融合タンパク質を伴い、ここで、融合タンパク質は、未融合薬物分子よりも高い血漿安定性を有し、かつ/または融合タンパク質は、未融合薬物分子の治療活性を保持する。いくつかの態様では、間接的融合は、下により十分に説明するように、ペプチドリンカーまたはその改変バージョンなどのリンカーによって引き起こされる。
代替的に、hIL2ムテインアルブミン融合体は、アルブミン結合ドメイン(ABD)ポリペプチド配列およびIL2ムテインポリペプチドを含む融合タンパク質であるIL2ムテインを含む。上に言及するように、アルブミン結合ドメイン(ABD)ポリペプチド配列およびhIL2類似体ポリペプチドを含む融合タンパク質は、例えば、HSAまたはその断片をコードする核酸が、1つまたは複数のIL2ムテイン配列をコードする核酸と繋がれるような遺伝子操作によって達成することができる。いくつかの態様では、アルブミン結合ペプチドは、アミノ酸配列ICLPRWGCLW(SEQ ID NO:6)を含む。
いくつかの態様では、改変されたPK特性を有する本開示のhIL2ムテインは、大きな、低速代謝される高分子、例えばタンパク質;多糖、例えばセファロース、アガロース、セルロース、またはセルロースビーズ;ポリマーアミノ酸、例えばポリグルタミン酸、またはポリリシン;アミノ酸コポリマー;不活性化ウイルス粒子;不活性化細菌毒素、例えばジフテリア、破傷風、コレラ由来のトキソイド、またはロイコトキシン分子;不活性化細菌、樹状細胞、サイログロブリン;破傷風トキソイド;ジフテリアトキソイド;ポリアミノ酸、例えばポリ(D-リシン:D-グルタミン酸);ロタウイルスのVP6ポリペプチド;インフルエンザウイルスヘマグルチニン、インフルエンザウイルス核タンパク質;キーホールリンペットヘモシアニン(KLH);ならびにB型肝炎ウイルスコアタンパク質および表面抗原へのコンジュゲーションによって達成される。このようなコンジュゲートされた形態を、所望であれば本開示のポリペプチドに対する抗体を産生するために使用することができる。
いくつかの態様では、改変されたPK特性を有する本開示のhIL2ムテインは、PEG化に似た持続時間延長をもたらすXTENとのコンジュゲーションによって達成され、大腸菌において組み換え融合タンパク質として産生され得る。本開示のIL2ムテインと一緒に使用するために適したXTENポリマーは、Podust, et al. (2016) "Extension of in vivo half-life of biologically active molecules by XTEN protein polymers", J Controlled Release 240:52-66およびHaeckel et al. (2016) "XTEN as Biological Alternative to PEGylation Allows Complete Expression of a Protease- Activatable Killin-Based Cytostatic" PLOS ONE | DOI:10.1371/journal.pone.0157193 June 13, 2016に提供される。XTENポリマー融合タンパク質は、XTENポリペプチドとIL2ムテインとの間にMMP-2切断部位などのプロテアーゼ感受性切断部位を組み入れている場合がある。
本開示のIL2ムテインは、周知の化学コンジュゲーション方法を使用してこのような担体分子に化学的にコンジュゲートされ得る。当技術分野において周知のホモ官能性およびヘテロ官能性架橋試薬などの二官能性架橋試薬をこの目的のために使用することができる。使用すべき架橋試薬の種類は、IL2ムテインとカップリングすべき分子の性質に依存し、当業者によって容易に同定されることができる。代替的または追加的に、コンジュゲートされることが意図されるIL2ムテインおよび/または分子は、化学的に誘導体化される場合があり、その結果、当技術分野においても周知のようにこれら2つを別々の反応でコンジュゲートすることができる。
PEG化:いくつかの態様では、IL2ムテインは、1つまたは複数の水溶性ポリマーとコンジュゲートされる。本発明の実施に有用な水溶性ポリマーの例は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ-プロピレングリコール(PPG)、多糖(ポリビニルピロリドン、エチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリオレフィンアルコール、多糖、ポリ-アルファ-ヒドロキシ酸、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(POZ)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、IL2ムテインは、1つまたは複数のポリエチレングリコール分子とコンジュゲートされる、または「PEG化」される。PEGをIL2ムテインに結び付ける方法または部位は様々であり得るものの、特定の態様では、PEG化は、IL2ムテインの活性を変更しない、または最小限しか変更しない。いくつかの態様では、特定の化学反応を使用してN末端のPEG化を促進するために、システインが3位のスレオニンの代わりに置換され得る(3TC)。
いくつかの態様では、例えば、Ptacinら(2018年8月3日に出願され、2019年2月7日に国際公開公報番号WO2019/028419A1として公開されたPCT国際出願公開番号PCT/US2018/045257)に記載された選択的PEGコンジュゲーション化学反応を促進するために側鎖を有する非天然アミノ酸の組み入れによるIL2ムテインの選択的PEG化が、IL2受容体複合体の1つまたは複数のサブユニット(例えば、CD25、CD132)に対する親和性が低減しているIL2ムテインを生成するために採用され得る。例えば、アミノ酸34~45、61~72および105~109を含む、CD25と相互作用すると特定されたIL2の配列または残基にPEG化可能な特異的部分を有する非天然アミノ酸を組み入れているhIL2ムテインは、典型的には、CD25への結合性が低下したIL2ムテインを提供する。同様に、アミノ酸18、22、109、126、もしくは119~133を含む、hCD132と相互作用すると特定されたIL2の配列または残基にPEG化可能な特異的部分を有する非天然アミノ酸を組み入れているhIL2ムテインは、hCD132への結合性が低下したIL2ムテインを提供する。
特定の態様では、半減期の増大は、いかなる生物学的活性の低下よりも大きい。ポリペプチド配列へのコンジュゲーションに適したPEGは、一般的に、室温で水溶性であり、一般式R(O-CH2-CH2)nO-R[式中、Rは水素またはアルキル基もしくはアルカノール基などの保護基であり、nは、1~1000の整数である]を有する。Rが保護基である場合、これは一般的に1~8つの炭素を有する。ポリペプチド配列とコンジュゲーションされるPEGは、直鎖または分岐であることができる。分岐PEG誘導体、「スターPEG」およびマルチアーム型PEGが本開示によって考えられている。
本開示に使用されるPEGの分子量は、任意の特定の範囲に制限されない。PEG-IL2ムテインのPEG部分は、約5kDaよりも大きい、約10kDaよりも大きい、約15kDaよりも大きい、約20kDaよりも大きい、約30kDaよりも大きい、約40kDaよりも大きい、または約50kDaよりも大きい分子質量を有することができる。いくつかの態様では、分子質量は、約5kDa~約1OkDa、約5kDa~約15kDa、約5kDa~約20kDa、約10kDa~約15kDa、約10kDa~約20kDa、約1OkDa~約25kDaまたは約1OkDa~約30kDaである。直鎖または分岐PEG分子は、約2,000~約80,000ダルトン、代替的に約2,000~約70,000ダルトン、代替的に約5,000~約50,000ダルトン、代替的に約10,000~約50,000ダルトン、代替的に約20,000~約50,000ダルトン、代替的に約30,000~約50,000ダルトン、代替的に約20,000~約40,000ダルトン、代替的に約30,000~約40,000ダルトンの分子量を有する。本発明の一態様では、PEGは2つの20kDアームを含む40kDの分岐PEGである。
本開示はまた、PEGが異なるn値を有し、したがって、様々な異なるPEGが特定の比で存在する、コンジュゲートの組成物を考えている。例えば、いくつかの組成物は、n=1、2、3および4であるコンジュゲートの混合物を含む。いくつかの組成物では、n=1であるコンジュゲートの率は18~25%であり、n=2であるコンジュゲートの率は50~66%であり、n=3であるコンジュゲートの率は12~16%であり、n=4であるコンジュゲートの率は最大5%である。このような組成物は、当技術分野において公知の反応条件および精製方法によって産生することができる。クロマトグラフィーは、コンジュゲートの画分を分離するために使用される場合があり、次いで、例えば、所望の数のPEGが結び付いているコンジュゲートを含有する画分が特定され、未改変タンパク質配列および他の数のPEGが結び付いたコンジュゲートがないように精製される。
ポリペプチド配列へのコンジュゲーションに適したPEGは、一般的に室温で水溶性であり、一般式R(O-CH2-CH2)nO-R[式中、Rは水素またはアルキル基もしくはアルカノール基などの保護基であり、nは1~1000の整数である]を有する。Rが保護基である場合、これは一般的に1~8つの炭素を有する。
2つの広く使用されている第1世代活性化モノメトキシPEG(mPEG)はスクシンイミジルカルボネートPEG(SC-PEG;例えば、Zalipsky, et al. (1992) Biotehnol. Appl. Biochem 15:100-114を参照されたい)およびベンゾトリアゾールカルボネートPEG(BTC-PEG;例えば、Dolenceら、米国特許第5,650,234号を参照されたい)であり、それらは、リシン残基と優先的に反応してカルバメート結合を形成するが、ヒスチジン残基およびチロシン残基と反応することも知られている。PEG-アルデヒドリンカーの使用は、還元的アミノ化を経てポリペプチドのN末端の単一部位をターゲティングする。
PEG化は、ポリペプチドのN末端でのα-アミノ基、リシン残基の側鎖でのイプシロンアミノ基、およびヒスチジン残基の側鎖でのイミダゾール基で起こることが最も多い。大部分の組み換えポリペプチドは、単一のαアミノ基ならびにいくつかのεアミノ基およびイミダゾール基を有するので、リンカーの化学的性質に依存して多数の位置異性体を生成することができる。当技術分野に公知の一般的なPEG化戦略を本明細書に適用することができる。
PEGは、1つまたは複数のポリペプチド配列の遊離アミノ基またはカルボキシル基とポリエチレングリコールとの間の結合を媒介する末端反応基(「スペーサー」)を介して本開示のIL2ムテインに結合されることができる。遊離アミノ基に結合されることができるスペーサーを有するPEGは、ポリエチレングリコールのコハク酸エステルをN-ヒドロキシスクシニルイミドで活性化することによって調製することができるN-ヒドロキシスクシニルイミドポリエチレングリコールを含む。
いくつかの態様では、独特な側鎖を担持する非天然アミノ酸を組み入れて部位特異的PEG化を促進することによって、IL2ムテインのPEG化が促進される。このようなポリペプチドの部位特異的PEG化を達成するための機能的部分を提供するためにポリペプチドに非天然アミノ酸を組み入れることは、当技術分野において公知である。例えば、Ptacinら(2018年8月3日に出願され、2019年2月7日に国際公開公報番号WO2019/028419A1として公開されたPCT国際出願番号PCT/US2018/045257)を参照されたい。一態様では、本発明のIL2ムテインは、IL2ムテインのD109位に非天然アミノ酸を組み入れている。本発明の一態様では、IL2ムテインは、IL2ムテインの109位で約20kD、代替的に約30kD、代替的に約40kDの分子量を有するPEG分子へとPEG化される。
ポリペプチド配列とコンジュゲートされたPEGは、直鎖または分岐であることができる。分岐PEG誘導体、「スターPEG」およびマルチアーム型PEGが、本開示によって考えられている。特定の態様では、本発明の実施に有用なPEGは、10kDa直鎖PEG-アルデヒド(例えば、Sunbright(登録商標)ME-100AL, NOF America Corporation, One North Broadway, White Plains, NY 10601 USA)、10kDa直鎖PEG-NHSエステル(例えば、Sunbright(登録商標)ME-100CS、Sunbright(登録商標)ME-100AS、Sunbright(登録商標)ME-100GS、Sunbright(登録商標)ME-100HS、NOF)、20kDa直鎖PEG-アルデヒド(例えば、Sunbright(登録商標)ME-200AL、NOF、20kDa直鎖PEG-NHSエステル(例えば、Sunbright(登録商標)ME-200CS、Sunbright(登録商標)ME-200AS、Sunbright(登録商標)ME-200GS、Sunbright(登録商標)ME-200HS、NOF)、20kDa 2アーム型分岐PEG-アルデヒドであって、2つの10kDa直鎖PEG分子を含む20kDA PEG-アルデヒド(例えば、Sunbright(登録商標)GL2-200AL3、NOF)、20kDa 2アーム型分岐PEG-NHSエステルであって、2つの10kDA 直鎖PEG分子を含む20kDA PEG-NHSエステル(例えば、Sunbright(登録商標)GL2-200TS、Sunbright(登録商標)GL200GS2、NOF)、40kDa 2アーム型分岐PEG-アルデヒドであって、2つの20kDA 直鎖PEG分子を含む40kDA PEG-アルデヒド(例えば、Sunbright(登録商標)GL2-400AL3)、40kDa 2アーム型分岐PEG-NHSエステルであって、2つの20kDA 直鎖PEG分子を含む40kDA PEG-NHSエステル(例えば、Sunbright(登録商標)GL2-400AL3、Sunbright(登録商標)GL2-400GS2、NOF)、直鎖30kDa PEG-アルデヒド(例えば、Sunbright(登録商標)ME-300AL)および直鎖30kDa PEG-NHSエステルを含む。
前述のように、PEGはIL2ムテインに直接、またはリンカー分子を介して結び付けられる場合がある。適切なリンカーは、一般的に改変ポリペプチド配列と、連結された構成要素および分子との間に幾分の運動を許すのに十分な長さの「フレキシブルなリンカー」を含む。リンカー分子は、一般的に約6~50原子長である。リンカー分子はまた、例えば、アリールアセチレン、2つ~10の単量体ユニットを含有するエチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二酸、アミノ酸、またはそれらの組み合わせであることができる。適切なリンカーは、容易に選択することができ、任意の適切な長さ、例えば1アミノ酸長(例えば、Gly)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10~20、20~30、30~50または50超のアミノ酸長であることができる。フレキシブルなリンカーの例は、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、および他のフレキシブルなリンカーを含む。グリシンポリマーおよびグリシン-セリンポリマーは、相対的に構造不定であり、したがって、構成要素間の中立テザーとして役立つことができる。フレキシブルなリンカーのさらなる例は、グリシンポリマー(G)n、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、グリシン-セリンポリマーを含む。グリシンポリマーおよびグリシン-セリンポリマーは相対的に構造不定であり、したがって、構成要素間の中立テザーとして役立つ場合がある。異種アミノ酸配列を本明細書に開示されるポリペプチドにコンジュゲートするために使用され得るフレキシブルなリンカーを提供するために、これらのリンカー配列の多量体(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10~20、20~30、または30~50)が一緒に連結される場合がある。
さらに、このようなリンカーは、IL2ムテインを本明細書に記載されるさらなる異種ポリペプチド成分に連結するために使用される場合があり、異種アミノ酸配列は、シグナル配列および/または融合パートナー、例えば、アルブミン、Fc配列、などであり得る。
アシル化:いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインは、Resh (2016) Progress in Lipid Research 63: 120-131に記載されるように脂肪酸分子とのコンジュゲーションによってアシル化され得る。コンジュゲートされ得る脂肪酸の例は、ミリステート、パルミテートおよびパルミトレイン酸を含む。ミリストイレートは、典型的には、N末端グリシンに連結されるが、リシンもミリストイル化され得る。パルミトイル化は、典型的には、S-パルミトイル化を触媒するDHHCタンパク質などの遊離システインの-SH基の酵素修飾によって達成される。セリンおよびスレオニン残基のパルミトレイル化(palmitoleylation)は、典型的には、PORCN酵素を使用して酵素的に達成される。
アセチル化:いくつかの態様では、IL2ムテインは、N末端アセチルトランスフェラーゼおよび例えばアセチルCoAとの酵素反応によってN末端がアセチル化される。N末端アセチル化に代替的にまたは追加的に、IL2ムテインは、例えばリシンアセチルトランスフェラーゼとの酵素反応によって1つまたは複数のリシン残基がアセチル化される。例えば、Choudhary et al. (2009) Science 325 (5942):834L2 ortho840を参照されたい。
Fc融合体:いくつかの態様では、IL2融合タンパク質は、IgG重鎖可変領域を欠如するIgGサブクラスの抗体に由来するFc領域を組み入れる場合がある。「Fc領域」は、パパインによるIgGの消化によって産生されるIgG C末端ドメインと相同な天然ポリペプチドまたは合成ポリペプチドであることができる。IgG Fcは、約50kDaの分子量を有する。変異型IL2ポリペプチドは、Fc領域全体、またはそれが一部分をなすキメラポリペプチドの循環半減期を延長する能力を保持するより小さな部分を含むことができる。加えて、全長または断片化Fc領域は、野生型分子のバリアントであることができる。すなわち、それらは、ポリペプチドの機能に影響する場合も影響しない場合もある変異を含有することができ;下にさらに記載するように、天然型の活性がすべての場合で必要または所望のわけではない。特定の態様では、IL2ムテイン融合タンパク質(例えば、本明細書に記載されるIL2部分アゴニストまたはアンタゴニスト)は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域を含む。例示的なFc領域は、補体結合およびFc受容体の結合を阻害する変異を含むことができる、またはこれは溶解性であり得、すなわち、補体と結合する、または抗体依存性補体溶解(ADCC)などの別のメカニズムを介して細胞を溶解することができる。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、Fc-融合キメラポリペプチド分子の機能的ドメインを含む。Fc融合コンジュゲートは、生物製剤の全身半減期を増大させることが示されており、したがって、生物製剤製品は、より頻度の少ない投与を必要とすることができる。Fcは、血管を覆う内皮細胞中の新生児Fc受容体(FcRn)に結合し、結合すると、Fc融合分子は、分解から保護され、循環中に再放出され、該分子を循環中により長く保つ。このFc結合は、内因性IgGがその長い血漿半減期を保持するメカニズムであると考えられる。最近のFc-融合技術は、生物製剤の単一コピーを抗体のFc領域に連結して、従来のFc-融合コンジュゲートと比較して生物製剤の薬物動態性質および薬力学性質を最適化する。Fc融合体の調製に有用な「Fc領域」は、パパインによるIgGの消化によって産生されるIgG C末端ドメインと相同な天然ポリペプチドまたは合成ポリペプチドであることができる。IgG Fcは、約50kDaの分子量を有する。IL2ムテインは、Fc領域全体、またはそれが一部分をなすキメラポリペプチドの循環半減期を延長する能力を保持する、より小さな部分を提供し得る。加えて、全長または断片化Fc領域は、野生型分子のバリアントであることができる。典型的な提示では、二量体Fcの各単量体は異種ポリペプチドを保有し、異種ポリペプチドは同じまたは異なる。
いくつかの態様では、IL2ムテインがFc融合体の形式で投与されることになる場合、特にFc二量体の各サブユニットにコンジュゲートされたポリペプチド鎖が異なる状況で、Fc融合は、「ノブイントゥホール(knob-into-hole)改変」を有するように操作され得る。ノブイントゥホール改変は、Ridgway, et al. (1996) Protein Engineering 9(7):617-621および1998年3月24日に発行された米国特許第5,731,168号により十分に記載されている。ノブイントゥホール改変は、CH3ドメイン中の2つの免疫グロブリン重鎖の間の界面での改変を指し、その際:i)第1の重鎖のCH3ドメイン中のアミノ酸残基が、より大きな側鎖を有するアミノ酸残基(例えば、チロシンまたはトリプトファン)により置換され、表面からの突出(「ノブ」)を作り出し、ii)第2の重鎖のCH3ドメイン中のアミノ酸残基が、より小さな側鎖を有するアミノ酸残基(例えば、アラニンまたはスレオニン)により置換され、それにより、第2のCH3ドメインにおける界面内に空洞(「ホール」)が生成し、その空洞の中で第1のCH3ドメインの突出している側鎖(「ノブ」)が第2のCH3ドメイン中の空洞によって収容される。一態様では、「ノブイントゥホール改変」は、抗体重鎖の一方にアミノ酸置換T366Wおよび任意でアミノ酸置換S354Cを含み、抗体重鎖の他方にアミノ酸置換T366S、L368A、Y407Vおよび任意でY349Cを含む。さらに、Fcドメインは、S354およびY349位でのシステイン残基の導入によって改変される場合があり、これは、Fe領域中の2つの抗体重鎖の間に安定化ジスルフィド架橋をもたらす(Carter, et al. (2001) Immunol Methods 248, 7-15)。ノブイントゥホール形式は、ヘテロ二量体ポリペプチドコンジュゲートの発現を促進するための「ノブ」改変を有する第1のFc単量体上の第1のポリペプチド(例えばIL2ムテイン)および「ホール」改変を有する第2のFc単量体上の第2のポリペプチドの発現を促進するために使用される。
Fc領域は、「溶解性」または「非溶解性」であることができるが、典型的には非溶解性である。非溶解性Fc領域は、典型的には高親和性Fc受容体結合部位およびC1q結合部位を欠如する。マウスIgG Fcの高親和性Fc受容体結合部位は、IgG Fcの235位にLeu残基を含む。したがって、Fc受容体結合部位は、Leu235を変異または欠失させることによって阻害することができる。例えば、Leu235に代わるGluへの置換は、Fc領域が高親和性Fc受容体と結合する能力を阻害する。マウスC1q結合部位は、IgGのGlu318、Lys320、およびLys322残基を変異または欠失させることによって機能的に破壊することができる。例えば、Glu318、Lys320、およびLys322に代わるAla残基への置換は、IgG1 Fcが抗体依存性補体溶解を指示できないようにする。対照的に、溶解性IgG Fc領域は、高親和性Fc受容体結合部位およびC1q結合部位を有する。高親和性Fc受容体結合部位は、IgG Fcの235位にLeu残基を含み、C1q結合部位は、IgG1のGlu318、Lys320、およびLys322残基を含む。溶解性IgG Fcは、これらの部位に野生型残基または保存的アミノ酸置換を有する。溶解性IgG Fcは、抗体依存性細胞性細胞傷害または補体依存性細胞溶解(CDC)のために細胞を標的付けることができる。ヒトIgGに適した変異も公知である(例えば、Morrison et al., The Immunologist 2: 119-124, 1994;およびBrekke et al., The Immunologist 2: 125, 1994を参照されたい)。
特定の態様では、本開示のIL2ムテインのアミノ末端またはカルボキシル末端を免疫グロブリンFc領域(例えば、ヒトFc)と融合して、融合コンジュゲート(または融合分子)を形成させることができる。Fc融合コンジュゲートは、生物製剤の全身半減期を増大させることが示されており、したがって、生物製剤製品に必要な投与頻度をより少なくすることができる。Fcは、血管を覆う内皮細胞中の新生児Fc受容体(FcRn)に結合し、結合すると、Fc融合分子は、分解から保護され、循環中に再放出され、該分子を循環中により長く保つ。このFc結合は、内因性IgGがその長い血漿半減期を保持するメカニズムであると考えられる。最近のFc-融合技術は、生物製剤の単一コピーを抗体のFc領域と連結して、従来のFc-融合コンジュゲートと比較して生物製剤の薬物動態的性質および薬力学的性質を最適化する。
いくつかの態様では、Fcドメイン単量体は、その全教示が参照により本明細書に組み入れられる米国特許US10,259,859B2に記載される野生型ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4 Fc領域と比べて少なくとも1つの変異を含む。いくつかの態様では、ポリペプチドは、野生型ヒトIgG Fc領域を有するポリペプチドと比較して、食作用アッセイにおいて食作用の低減を示す。いくつかの態様では、Fcドメイン単量体は、第2のFcドメイン単量体を含む第2のポリペプチドと連結されてFcドメイン二量体を形成する。
キメラポリペプチド/融合タンパク質:いくつかの態様では、IL2ムテインは、キメラポリペプチドの機能的ドメインを含み得る。本開示のIL2ムテイン融合タンパク質は、当技術分野において公知の技術による組み換えDNA方法論によって、IL2ムテインのN末端またはC末端のいずれかに融合パートナーをコードする核酸配列とインフレームでIL2ムテインをコードする核酸配列を含む組み換えベクターを構築することによって容易に産生される場合があり、該配列は、場合によりリンカーまたはスペーサーポリペプチドをインフレームでコードする核酸配列をさらに含んでもよい。
抗原性タグ:他の態様では、IL2ムテインは、FLAG配列などの、抗原性タグとして機能するさらなるポリペプチド配列を組み入れるために任意で改変される場合がある。FLAG配列は、本明細書に記載されるようにビオチン化高特異性抗FLAG抗体によって認識される(例えば、Blanar et al. (1992) Science 256:1014およびLeClair, et al. (1992) PNAS-USA 89:8145を参照されたい)。いくつかの態様では、IL2ムテインポリペプチドは、C末端c-mycエピトープタグをさらに含む。
本開示のhIL2ムテインへのコンジュゲーションのためのさらなる候補分子は、単離または精製に適したものを含む。特定の非限定的な例は、結合分子、例えばビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合ペア)、抗体、受容体、リガンド、レクチン、または例えば、プラスチックもしくはポリスチレンビーズ、プレートもしくはビーズ、磁気ビーズ、テストストリップ、およびメンブランを含む固体支持体を構成する分子を含む。
Hisタグ:いくつかの態様では、本発明のhIL2ムテイン(当該IL2ムテインの融合タンパク質を含む)は、1つまたは複数の遷移金属キレートポリペプチド配列を有する融合タンパク質として発現する。そのような遷移金属キレートドメインの組み入れは、1986年2月11日に発行されたSmithら、米国特許第4,569,794号に記載されたような精製固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を容易にする。本発明の実施に有用な遷移金属キレートポリペプチドの例は、Smithら、前記および1995年5月10日に発行されたDobeliら、米国特許第5,320,663号に記載されており、これらの全教示は、参照により本明細書に組み入れられる。本発明の実施に有用な特定の遷移金属キレートポリペプチドは、3~6つの連続ヒスチジン残基(SEQ ID NO: 12)、例えば6-ヒスチジンペプチド(His)6
(SEQ ID NO: 13)を含むペプチドであり、当技術分野においてしばしば「Hisタグ」と称される。
標的指向性hIL2ムテイン:いくつかの態様では、IL2ムテインは、ポリペプチド配列(「ターゲティングドメイン」)を有する融合タンパク質として提供されて、任意で、IL2ムテイン配列と融合タンパク質のターゲティングドメインの配列との間にアミノ酸1~40個(代替的に2~20個、代替的に5~20個、代替的に10~20個)のリンカー分子を組み入れて、このようなターゲティングドメインに特異的に結合する細胞表面分子を発現している特定の細胞型または組織への選択的結合を促進する。他の態様では、hIL2ムテインおよび抗体またはその抗原結合部分を含むキメラポリペプチドを生成することができる。キメラタンパク質の抗体または抗原結合構成要素は、ターゲティング部分として作用することができる。例えば、それは、細胞の特定のサブセットまたは標的分子にキメラタンパク質を局在化させるために使用することができる。サイトカイン-抗体キメラポリペプチドを生成する方法は、例えば、米国特許第6,617,135号、Nucleic Acid Molecules Encoding Mutant IL2に記載されている。
いくつかの態様では、hIL2ムテイン融合タンパク質のターゲティングドメインは、腫瘍細胞の細胞表面分子に特異的に結合する。CAR-T細胞のCARのECDがCD-19に特異的に結合する一態様では、IL2ムテインは、CD-19ターゲティング部分を有する融合タンパク質として提供され得る。例えば、CAR-T細胞のCARのECDが、CD-19との特異的結合を提供するscFv分子である一態様では、IL2ムテインは、CD-19に特異的に結合する一本鎖抗体(例えば、scFvまたはVHH)などのCD-19ターゲティング部分を有する融合タンパク質として提供される。いくつかの態様では、融合タンパク質は、hIL2ムテインおよび抗CD19 scFv FMC63を含む(Nicholson, et al. (1997) Mol Immunol 34: 1157-1165)。
同様に、CAR-T細胞のCARのECDがBCMAに特異的に結合するいくつかの態様では、hIL2ムテインは、Kalledら(2015年5月9日に発行された米国特許第9,034,324号)に記載される抗BMCA抗体のCDRを含む抗体またはBrogdonら(2019年1月8日に発行された米国特許第10,174,095号)に記載されるCDRを含む抗体などの、BCMAターゲティング部分を有する融合タンパク質として提供され得る。いくつかの態様では、hIL2ムテインは、Cheungら(2016年4月19日に発行された米国特許第9,315,585号)に記載されるCDRまたはME36.1(Thurin et al., (1987) Cancer Research 47:1229-1233)、14G2a、3F8(Cheung, et al., 1985 Cancer Research 45:2642-2649)、hu14.18、8B6、2E12、もしくはic9に由来するCDRを含む抗体などのGD2ターゲティング部分を有する融合タンパク質として提供され得る。
代替的な態様では、本開示の標的指向性hIL2ムテインは、抗FMC63抗体を含む標的指向性hIL2ムテイン構築物を用いることなどによって、CAR-T細胞の細胞外受容体に基づくCAR-T細胞へのIL2ムテインの標的指向性送達を提供して、IL2活性をCAR-T細胞に標的付け、消耗したCAR-T細胞をインビボで若返らせるためにCAR-T細胞療法と組み合わせて投与され得る。結果として、本開示の態様は、CAR-T細胞の特異的細胞表面分子と相互作用するように設計された抗体またはリガンドとIL2ムテインをコンジュゲートすることによる当該IL2ムテインの標的指向性送達を含む。このような分子の例は、抗FMC63-hIL2ムテインであろう。
他の態様では、キメラポリペプチドは、変異型IL2ポリペプチドと、Aga2pアグルチニンサブユニットなどの変異型IL2ポリペプチドの発現を強化するように、または細胞局在を指示するように機能する異種ポリペプチドとを含む(例えば、Boder and Wittrup, Nature Biotechnol. 15:553-7, 1997を参照されたい)。
タンパク質形質導入ドメイン融合タンパク質:いくつかの態様では、IL2ムテインは、「タンパク質形質導入ドメイン」または「PTD」に機能的に連結されている、場合がある。PTDは、脂質二重層、ミセル、細胞膜、オルガネラ膜、または小胞膜の横断を促進するポリペプチド、ポリヌクレオチド、炭水化物、または有機もしくは無機分子である。IL2ムテインへのPTDの組み入れは、分子が膜を横断することを促進する。いくつかの態様では、PTDは、IL2ムテインのアミノまたはカルボキシ末端に共有結合される。いくつかの態様では、PTDは、PTD-IL2ムテイン融合タンパク質の部分として、分子のN末端またはC末端のいずれかに組み入れられる。例示的なタンパク質形質導入ドメインは、最小デカペプチドタンパク質形質導入ドメイン(HIV-1 TATの残基47~57に対応する);細胞内への進入を指示するのに十分な数のアルギニン残基を含むポリアルギニン配列(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、または10~50個のアルギニン);VP22ドメイン(Zender et al. (2002) Cancer Gene Ther. 9(6):489-96);ショウジョウバエ(Drosophila)アンテナペディアタンパク質形質導入ドメイン(Noguchi et al. (2003) Diabetes 52(7):1732-1737);切断型ヒトカルシトニンペプチド(Trehin et al. (2004) Pharm. Research 21:1248-1256);ポリリシン(Wender et al. (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:13003-13008)、トランスポータン(Wierzbicki, et al., (2014) Folio Histomchemica et Cytobiologica 52(4): 270-280およびPooga, et a (1998) FASEB J 12(1)67-77に記載され、AnaSpecからカタログ番号AS-61256として市販されている);KALA(Wyman et al., (1997) Biochemistry 36(10) 3008-3017に記載され、AnaSpecからカタログ番号AS-65459として市販されている);アンテナペディアペプチド(Pietersz et al., (2001) Vaccine 19:1397に記載され、AnaSpecからカタログ番号AS-61032として市販されている);TAT 47-57(AnaSpecからカタログ番号AS-60023として市販されている)を含むが、それに限定されるわけではない。
治療用補助作用物質のコンジュゲーション:いくつかの態様では、hIL2ムテインは、抗炎症化合物もしくは抗新生物作用物質、治療用抗体(例えばハーセプチン)、ターゲティング部分、例えば抗腫瘍抗原抗体、免疫チェックポイントモジュレーター、免疫チェックポイント阻害剤(例えば抗PD1抗体)、またはがんワクチンを含むが、それに限定されるわけではない1つまたは複数のさらなる治療用作用物質と連結される場合がある。抗菌剤は、ゲンタマイシンなどのアミノグリコシド;リファンピシン、3'-アジド-3'-デオキシチミジン(AZT)、およびアシクロビル(acylovir)などの抗ウイルス化合物;フルコナゾールを含むアゾール類などの抗真菌剤;アンホテリシンBおよびカンジシジンなどのマクロライド;抗寄生虫化合物、などを含む。IL2ムテインは、さらなるサイトカイン、例えばCSF、GSF、GMCSF、TNF、エリスロポエチン、免疫モジュレーターまたはサイトカイン、例えばインターフェロンもしくはインターロイキン、神経ペプチド、生殖ホルモン、例えばHGH、FSH、もしくはLH、甲状腺ホルモン、神経伝達物質、例えばアセチルコリン、ホルモン受容体、例えばエストロゲン受容体にコンジュゲートされ得る。非ステロイド系抗炎症薬、例えばインドメタシン、サリチル酸アセテート、イブプロフェン、スリンダク、ピロキシカム、およびナプロキセン、ならびに麻酔薬または鎮痛薬も含まれる。イメージングのみならず治療に有用なものを含む放射性同位体も含まれる。
IL2ムテインの合成
本開示のIL2ムテインは、組み換え合成または固相合成を含む、ポリペプチドを構築するための従来の方法論によって産生され得る。
化学合成:組み換え分子生物学的技術によって変更されている核酸分子の発現を介して変異型ポリペプチドを生成することに加えて、対象hIL2ムテインを化学合成することができる。化学合成されたポリペプチドは、当業者によって日常的に生成される。化学合成は、記載された性質を示しているIL2ムテインをコードするタンパク質配列の化学的手段によるペプチドの直接合成を含む。この方法は、天然アミノ酸および非天然アミノ酸の両方をIL2と、CD25、CD122およびCD132との相互作用に影響する位置で組み入れることができる。
いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインは、化学合成によって調製され得る。IL2ムテインの化学合成は、液相または固相を介して進行し得る。固相ペプチド合成(SPPS)は、非天然アミノ酸および/またはペプチド/タンパク質主鎖改変の組み入れを可能にする。本開示のIL2ムテインを合成するために利用可能な様々な形態のSPPSが、当技術分野において公知である(例えば、Ganesan A. (2006) Mini Rev. Med. Chem. 6:3-10;およびCamarero J. A. et al., (2005) Protein Pept Lett. 12:723-8)。化学合成の過程で、アミド結合を連結するための条件下で安定であるが、形成したペプチド鎖を損なわずに容易に切断することができる、酸不安定基または塩基不安定基により、アルファ官能基および任意の反応性側鎖が保護され得る。
固相合成において、ポリペプチドのN末端またはC末端アミノ酸が適切な支持体材料にカップリングされ得る。適切な支持体材料は、合成工程の段階的縮合および切断反応のための試薬および反応条件に対して不活性な支持体材料であって、使用されている反応媒質中に溶解しない支持体材料である。市販の支持体材料の例は、反応基を有するように改変されているスチレン/ジビニルベンゼンコポリマーおよび/またはポリエチレングリコール;クロロメチル化スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー;ヒドロキシメチル化スチレンまたはアミノメチル化スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー;などを含む。保護されたアミノ酸の逐次カップリングは、ペプチド合成における従来方法に従って、典型的には自動ペプチド合成装置を用いて実行することができる。
固相合成の終わりに、側鎖保護基を同時に切断しながらポリペプチドが支持体材料から切断される。得られたポリペプチドは、疎水性吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および逆相HPLCを含むが、それに限定されるわけではない様々なクロマトグラフィー方法によって精製することができる。
組み換え産生:あるいは、本開示のIL2ムテインは組み換えDNA技術によって産生される。ポリペプチドの組み換え産生の典型的な実施において、所望のポリペプチドをコードする核酸配列は、発現が成し遂げられるであろう宿主細胞に適した発現ベクターに組み入れられ、該核酸配列は、ベクターによってコードされ、かつ標的宿主細胞において機能的な1つまたは複数の発現制御配列に機能的に連結される。分泌リーダー配列(シグナルペプチド)がポリペプチド中に組み入れられるならば、組み換えタンパク質は、宿主細胞の破壊を経て、または細胞培地から回収される場合がある。組み換えタンパク質は、組み入れを含むさらなる使用のために精製および濃縮され得る。IL2ポリペプチドの組み換え産生のための方法は、当技術分野において公知であり、1986年8月5日に発行されたFernandesおよびTaforo、米国特許第4,604,377号に記載され、IL2ムテインの組み換え産生のための方法は、1985年5月21日に発行されたMarkら、米国特許第4,512,584号、1983年8月30日に発行されたGillis、米国特許第4,401,756号に記載され、これらの全教示は、参照により本明細書に組み入れられる。
IL2ムテインをコードする核酸配列の構築:いくつかの態様では、IL2ムテインは、IL2ムテイン(またはIL2ムテインを含む融合タンパク質)をコードする核酸配列を使用して組み換え方法によって産生される。所望のhIL2ムテインをコードする核酸配列は、オリゴヌクレオチド合成装置を使用して化学的手段によって合成することができる。核酸分子は、ポリペプチドをコードする配列に限定されず;コード配列の上流または下流に存在する非コード配列の一部またはすべて(例えば、IL-2のコード配列)も含むことができる。分子生物学の当業者は、核酸分子を単離するための日常的な手順に精通している。それらは、例えば、制限エンドヌクレアーゼを用いたゲノムDNAの処理によって、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の能力によって生成することができる。結果的に、核酸分子はリボ核酸(RNA)であり、分子は、例えばインビトロ転写によって産生することができる。
IL2ムテイン(およびその融合体)をコードする核酸分子は、天然配列または天然に存在する配列と異なる配列を含有し得るが、遺伝コードの縮重により、同じポリペプチドをコードする。これらの核酸分子は、RNAもしくはDNA(例えば、ゲノムDNA、cDNA、もしくは合成DNA、例えば、ホスホンアミダイトベースの合成によって産生されたもの)、またはこれらのタイプの核酸内のヌクレオチドの組み合わせもしくは改変からなることができる。加えて、核酸分子は、二本鎖または一本鎖(すなわち、センス鎖もしくはアンチセンス鎖)であることができる。
IL2ムテインをコードする核酸配列は、オーダーメイドの核酸配列を提供する様々な商業的供給源から得られる場合がある。本開示のIL2ムテインを産生するためのIL2ポリペプチドのアミノ酸配列バリアントは、当技術分野において周知である遺伝コードに基づいてコード配列に適切なヌクレオチド変化を導入することによって調製される。このようなバリアントは、記載のように残基の挿入、置換、および/または特定の欠失を表す。最終構築物が本明細書において定義されるような所望の生物学的活性を有するならば、最終構築物に到達するために挿入、置換、および/または特定の欠失の任意の組み合わせが行われる。
hIL2ムテインをコードするDNA配列を構築するための方法および適切な形質転換宿主にそれらの配列を発現させるための方法は、PCR介助変異誘発技術を使用することを含むが、それに限定されるわけではない。hIL2ポリペプチドへのアミノ酸残基の欠失または付加からなる変異はまた、標準的な組み換え技術を用いて行うことができる。欠失または付加の場合に、hIL2をコードする核酸分子は、任意で、適切な制限エンドヌクレアーゼで消化される。結果として生じる断片を、直接発現させる、または例えばそれを第2の断片とライゲートすることによってさらに操作することができる。核酸分子の2つの末端が相互に重なり合う相補性ヌクレオチドを含有するならば、ライゲーションが促進される場合があるが、平滑末端断片もライゲートすることができる。PCRにより生成される核酸もまた使用して、様々な変異型配列を生成することができる。
本開示のIL2ムテインは、直接のみならず、異種ポリペプチド、例えばシグナル配列との、または成熟IL2ムテインのN末端もしくはC末端に特定の切断部位を有する他のポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても、組み換え産生される場合がある。一般に、シグナル配列は、ベクターの構成要素である場合も、またはベクターに挿入されるコード配列の一部である場合もある。選択された異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞により認識およびプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)配列である。いくつかの態様では、シグナル配列は、元々IL2ムテインと関連するシグナル配列(すなわち、ヒトIL2シグナル配列)である。シグナル配列の包含は、IL-2ムテインが製造される組み換え細胞からhIL2ムテインを分泌させることが望ましいかどうかによる。選ばれた細胞が原核細胞ならば、一般的に、DNA配列がシグナル配列をコードしないことが好ましい。選ばれた細胞が真核細胞ならば、一般的に、シグナル配列がコードされることが好ましく、野生型hIL2シグナル配列が使用されることがもっとも好ましい。あるいは、異種哺乳動物シグナル配列、例えば、同じ種または関係する種の分泌ポリペプチドからのシグナル配列のみならず、ウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが適切であり得る。組み換え宿主細胞がサッカロミセス・セレビシア(Saccharomyces cerevisiae)などの酵母細胞である場合、2007年4月3日に発行されたSingh、米国特許第7,198,919B1号に記載されたように培養培地中へのIL2ムテインの細胞外分泌を達成するためにアルファ接合因子分泌シグナル配列が採用され得る。
発現させるIL2ムテインをキメラ(例えば、IL2ムテインと異種ポリペプチド配列とを含む融合タンパク質)として発現させる場合、キメラタンパク質は、hIL2ムテインの全部または一部をコードする第1の配列と、異種ポリペプチドの全部または一部をコードする第2の配列とを含むハイブリッド核酸分子によってコードされることができる。例えば、本明細書に記載される対象hIL2ムテインは、細菌において発現したタンパク質の精製を促進するためにヘキサ-ヒスチジンタグ(SEQ ID NO: 13)に、または真核細胞において発現したタンパク質の精製を促進するためにヘマグルチニンタグに融合され得る。第1および第2によって、融合タンパク質のエレメントの配向への限定として理解すべきでなく、異種ポリペプチドは、IL2ムテインのN末端および/またはC末端に連結することができる。例えば、N末端がターゲティングドメインに連結され、C末端がヘキサ-ヒスチジンタグ(SEQ ID NO: 13)精製ハンドルに連結される場合がある。
発現させるポリペプチド(または融合体/キメラ)の全長アミノ酸配列を使用して、逆翻訳遺伝子を構築することができる。hIL2ムテインをコードするヌクレオチド配列を含有するDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、所望のポリペプチドの部分をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成し、次いでそれをライゲートすることができる。個々のオリゴヌクレオチドは、典型的には、相補的な集合のための5'または3'オーバーハングを含有する。
コドン最適化:いくつかの態様では、IL2ムテインをコードする核酸配列は、特定の宿主細胞型における発現を促進するために「コドン最適化」される場合がある。哺乳動物、酵母および細菌宿主細胞を含む多種多様な発現系におけるコドン最適化のための技術は、当技術分野において周知であり、多種多様な宿主細胞型における発現のためのコドン最適化配列を提供するためにオンラインツールがある。例えば、Hawash, et al (2017) 9:46-53およびDavid Hacker編、Recombinant Protein Expression in Mammalian Cells: Methods and Protocols (Human Press New York)中のMauro and Chappellを参照されたい。追加的に、コドン最適化核酸配列の調製を介助するために無料公開されている多様なウェブベースのオンラインソフトウェアパッケージがある。
発現ベクター:集合した後(合成、部位特異的変異誘発または別の方法による)、hIL2ムテインをコードする核酸配列は、発現ベクターに挿入されるであろう。様々な宿主細胞に使用するための多様な発現ベクターが入手可能であり、それらは、典型的には発現のための宿主細胞に基づき選択される。発現ベクターは、典型的には、以下のうちの1つまたは複数を含むが、それに限定されるわけではない:複製起点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列。ベクターは、ウイルスベクター、プラスミドベクター、組み入れベクター、などを含む。プラスミドは、非ウイルスベクターの例である。
選択マーカー:発現ベクターは、通常、選択マーカーとも名付けられる選択遺伝子を含有する。この遺伝子は、選択培地中で成長した形質転換宿主細胞の生存または成長に必要なタンパク質をコードする。選択遺伝子を含有するベクターにより形質転換されていない宿主細胞は、培養培地中で生存しないであろう。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質もしくは他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、もしくはテトラサイクリンへの耐性を付与する、(b)栄養要求欠損を補完する、または(c)複合培地から利用不可能な重要な栄養素を供給する、タンパク質をコードする。
調節制御配列:組み換えポリペプチドの効率的な発現を促進するために、発現させるポリペプチド配列をコードする核酸配列は、選ばれた発現宿主において機能的な転写および翻訳調節制御配列に機能的に連結される。本開示のIL2ムテインのための発現ベクターは、宿主生物によって認識される調節配列を含有し、IL2ムテインをコードする核酸配列に機能的に連結される。「調節制御配列」、「調節配列」または「発現制御配列」という用語は、本明細書において互換的に使用されて、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を指す。例えば、Goeddel (1990) in Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185 (Academic Press, San Diego CA USA)を参照されたい。調節配列は、多くのタイプの宿主細胞におけるヌクレオチド配列の構成的発現を指示する調節配列および特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指示する調節配列(例えば、組織特異的調節配列)を含む。発現ベクターの設計が、形質転換する宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル、などのような要因に依存することができるのが当業者によって認識されているであろう。発現制御配列を選択する上で、当業者によって理解される多様な要因を考慮すべきである。これらは、例えば、配列の相対強度、その制御可能性、および、それと、対象hIL2ムテインをコードする実際のDNA配列との、特に潜在的二次構造に関する適合性を含む。
プロモーター:いくつかの態様では、調節配列はプロモーターであり、調節配列は、例えば、発現が探究される細胞型に基づき選択される。プロモーターは、それが機能的に連結される特定の核酸配列の転写および翻訳を制御する構造遺伝子(一般的に約100~1000bp以内)の開始コドンの上流(5')に位置する非翻訳配列である。このようなプロモーターは、典型的には2つのクラス、誘導性プロモーターおよび構成的プロモーターに分けられる。誘導性プロモーターは、培養条件におけるある変化、例えば栄養素の存在もしくは非存在、または温度変化に応答する制御下にあるDNAから増大したレベルの転写を開始するプロモーターである。多様な潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが周知である。
T7プロモーターは、細菌において使用することができ、ポリヘドリンプロモーターは昆虫細胞において使用することができ、サイトメガロウイルスプロモーターまたはメタロチオネインプロモーターは、哺乳動物細胞において使用することができる。また、高等真核生物の場合、組織特異的プロモーターおよび細胞型特異的プロモーターが広く利用可能である。これらのプロモーターは、体内の所与の組織または細胞型において核酸分子の発現を指示できることから、そのように名付けられている。当業者は、数多くのプロモーターおよび核酸の発現を指示するために使用することができる他の調節エレメントを十分承知している。
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの転写は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えばヒトアデノウイルス血清型5)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス(例えばマウス幹細胞ウイルス)、B型肝炎ウイルスおよびもっとも好ましくはサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから、異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーター、PGK(ホスホグリセリン酸キナーゼ)、または免疫グロブリンプロモーターから、熱ショックプロモーターから得られるプロモーターによって、このようなプロモーターが宿主細胞系と適合するという条件で、制御され得る。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含有するSV40制限断片として好都合に得られる。
エンハンサー:高等真核生物による転写は、しばしば、ベクターにエンハンサー配列を挿入することによって増大する。エンハンサーは、プロモーターに作用してその転写を増大させる、通常約10~300bpのDNAシス作用エレメントである。エンハンサーは、相対的に配向および位置に非依存性であり、転写ユニットの5'および3'、イントロン内のみならず、コード配列自体の内部に見出されている。今や、哺乳動物遺伝子から多くのエンハンサー配列が知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、アルファ-フェトタンパク質、およびインスリン)。しかし、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用されるであろう。例には、複製起点の後側(late side)のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは、発現ベクター内のコード配列に対して5'または3'位にスプライス導入され得るが、好ましくはプロモーターの5'部位に位置する。真核宿主細胞に使用される発現ベクターはまた、転写終結およびmRNA安定化に必要な配列を含有する。このような配列は、通常、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの5'非翻訳領域、場合により3'非翻訳領域から入手可能である。上記構成要素のうちの1つまたは複数を含有する適切なベクターの構築は、標準的な技術を採用する。
挿入された核酸分子の転写を促進する配列に加えて、ベクターは、複製起点、および選択マーカーをコードする他の遺伝子を含有することができる。例えば、ネオマイシン耐性(neoR)遺伝子は、それを発現する細胞にG418耐性を与え、したがって、トランスフェクトされた細胞の表現型選択を可能にする。マーカーまたはレポーター遺伝子の追加的な例は、ベータ-ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼ(HPH)、チミジンキナーゼ(TK)、lacZ(ベータ-ガラクトシダーゼをコードする)、およびキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)を含む。当業者は、所与の調節エレメントまたは選択マーカーが特定の実験状況における使用に適しているかどうかを容易に決定することができる。
発現ベクターの適切な組み立ては、ヌクレオチドシーケンシング、制限マッピング、および適切な宿主中の生体活性ポリペプチドの発現によって確認することができる。
宿主細胞:
本開示はさらに、本開示のhIL2ムテインをコードする核酸分子を含有および発現する原核細胞または真核細胞を提供する。本開示の細胞は、トランスフェクトされた細胞、すなわち核酸分子、例えば変異型hIL2ポリペプチドをコードする核酸分子が、組み換えDNA技術によって導入されている細胞である。そのような細胞の後代もまた、本開示の範囲内であると考えられている。
宿主細胞は、典型的には、それらの選ばれた発現ベクターとの適合性、本発明のDNA配列によってコードされる産物の毒性、それらの分泌特徴、それらがポリペプチドを正しく折り畳む能力、それらの発酵または培養要求性、およびDNA配列によってコードされる産物の精製の容易さに従って選択される。本明細書におけるベクター中のDNAをクローニングまたは発現させるために適した宿主細胞は、原核細胞、酵母細胞、または高等真核細胞である。
いくつかの態様では、組み換えhIL2ムテインまたはそれらの生体活性バリアントはまた、真核生物、例えば酵母細胞またはヒト細胞において製造することができる。適切な真核宿主細胞は、昆虫細胞(培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)におけるタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターの例は、pAcシリーズ(Smith et al. (1983) Mol. Cell Biol. 3:2156-2165)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers (1989) Virology 170:31-39)を含む);酵母細胞(酵母S.セレビシアにおける発現のためのベクターの例は、pYepSec1(Baldari et al. (1987) EMBO J. 6:229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz (1982) Cell 30:933-943)、pJRY88(Schultz et al. (1987) Gene 54:113-123)、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)、およびpPicZ(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)を含む);または哺乳動物細胞(哺乳動物発現ベクターは、pCDM8(Seed (1987) Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufman et al. (1987) EMBO J. 6:187:195)を含む)を含む。
有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、マウスL細胞(L-M[TK-]、ATCC#CRL-2648)、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(懸濁培養での成長のためにサブクローニングされたHEK293またはHEK293細胞;ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO);マウスセルトリ細胞(TM4);サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1 587);ヒト子宮頸がん細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞; MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞腫株(Hep G2)である。哺乳動物細胞において、発現ベクターの制御機能は、ウイルス調節エレメントによってしばしば提供される。例えば、通常使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびサルウイルス40に由来する。
hIL2ムテインは、細菌である大腸菌などの原核生物宿主または昆虫細胞(例えば、Sf21細胞)、もしくは哺乳動物細胞(例えば、COS細胞、NIH 3T3細胞、もしくはHeLa細胞)などの真核生物宿主において産生することができる。これらの細胞は、アメリカ培養細胞系統保存機関(Manassas, Va.)を含む多くの入手源から入手可能である。発現系を選択するにあたり、構成要素が相互に適合性であるかだけが問題である。当業者は、そのような決定を行うことができる。さらに、発現系の選択に指導が必要ならば、当業者は、Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, New York, N.Y., 1993)およびPouwelsら(Cloning Vectors: A Laboratory Manual, 1985 Suppl. 1987)を調べる場合がある。
いくつかの態様では、得られたhIL2ムテインは、ムテインを産生するために使用される宿主生物に応じてグリコシル化されるまたはグリコシル化されない。細菌が宿主として選ばれるならば、産生されるhIL2ムテインは、グリコシル化されないであろう。他方、真核細胞は、おそらく天然型hIL2がグリコシル化されるのと同じ方法ではないものの、hIL2ムテインをグリコシル化するであろう。
原核細胞および真核細胞の両方のための他のさらなる発現系については、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, N.Y.)の第16および17章を参照されたい。Goeddel (1990) in Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185(Academic Press, San Diego, Calif)を参照されたい。
トランスフェクション:
発現構築物を宿主細胞に導入して、それにより、本明細書に開示されるhIL2ムテインを産生するまたはその生体活性なムテインを産生することができる。ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術を介して原核細胞または真核細胞に導入することができる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするために適した方法は、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, N.Y.)および他の標準的な分子生物学の実験マニュアルに見出すことができる。
標的細胞のトランスフェクションを促進するために、非ウイルスベクターの取り込みを促進する条件下で標的細胞が非ウイルスベクターに直接曝露される場合がある。哺乳動物細胞による外来核酸の取り込みを促進する条件の例は、当技術分野において周知であり、それらは、化学的手段(例えば、Lipofectamine(登録商標)、Thermo-Fisher Scientific)、高塩、および磁場(エレクトロポレーション)を含むが、それに限定されるわけではない。
細胞培養:
細胞は、プロモーターを誘導する、形質転換体を選択する、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適するように改変された従来の栄養培地中で培養され得る。哺乳動物宿主細胞は、多様な培地中で培養され得る。ハムのF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、Sigma)、RPMI 1640(Sigma)、およびダルベッコ変法イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販の培地は、宿主細胞を培養するために適する。これらの培地のいずれかは、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の増殖因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩)、緩衝剤(例えば、HEPES)、ヌクレオシド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質、微量元素、およびグルコースまたは等価のエネルギー源を補充される場合がある。任意の他の必要な栄養補助剤がまた、当業者に公知であろう適切な濃度で含まれる場合がある。培養条件、例えば温度、pH、などは、発現のために選択された宿主細胞で以前に使用された条件であり、当業者に明白であろう。
組み換えタンパク質の回収:
組み換え産生されたIL2ムテインポリペプチドは、分泌リーダー配列が用いられる場合、分泌されたポリペプチドとして培養培地から回収することができる。あるいは、IL2ムテインポリペプチドはまた、宿主細胞溶解物から回収することができる。精製中のタンパク質分解を阻害するためにプロテアーゼ阻害剤、例えばフェニルメチルスルホニルフッ化物(PMSF)が、細胞溶解物からの回収段階の間に用いられる場合があり、外来性汚染菌の増殖を防止するために抗生物質が含まれる場合がある。
精製:
様々な精製段階が当技術分野において公知であり、例えばアフィニティークロマトグラフィーが用いられる。アフィニティークロマトグラフィーは、生体高分子に通常存在する高特異的結合部位を用い、分子が特定のリガンドと結合する能力に応じてそれらの分子を分離する。リガンドをタンパク質試料に明らかに提示し、それにより、1つの分子種の自然な特異的結合を使用して、第2の種を混合物から分離および精製する方法で、共有結合がリガンドを不溶性の多孔性支持媒体に結び付ける。抗体は、アフィニティークロマトグラフィーにおいて通常使用される。サイズ選択段階もまた使用される場合があり、タンパク質をそのサイズに応じて分離するために、例えばゲル濾過クロマトグラフィー(サイズ排除クロマトグラフィーまたは分子ふるいクロマトグラフィーとしても知られる)が使用される。ゲル濾過では、タンパク質溶液は、半透過性多孔性樹脂が充填されたカラムを通過する。半透過性樹脂は、カラムにより分離することができるタンパク質のサイズを決定する孔径範囲を有する。
形質転換宿主によって産生されるhIL2ムテインは、任意の適切な方法に従って精製することができる。hIL2を精製するために様々な方法が公知である。例えば、Current Protocols in Protein Science, Vol 2. Eds: John E. Coligan, Ben M. Dunn, Hidde L. Ploehg, David W. Speicher, Paul T. Wingfield, Unit 6.5 (Copyright 1997, John Wiley and Sons, Incを参照されたい。hIL2ムテインは、大腸菌において生成された封入体から、または所与のムテインを産生している哺乳動物培養物もしくは酵母培養物からの馴化培地から、陽イオン交換、ゲル濾過、および/または逆相液体クロマトグラフィーを使用して単離することができる。
組み換えポリペプチドの実質的に精製された形態は、日常的な生化学手順を使用して発現系から精製することができ、例えば、本明細書に記載される治療用作用物質として使用することができる。
hIL2ムテインの生物学的活性は、当技術分野において公知の任意の適切な方法によってアッセイすることができ、実質的に精製された形態として、または細胞溶解物、もしくは分泌リーダー配列が発現のために用いられる場合は、細胞培地の部分として評価される場合がある。このような活性アッセイは、CTLL-2増殖、T細胞におけるホスホ-STAT5(pSTAT5)活性の誘導、PHA-芽球増殖およびNK細胞増殖を含む。
製剤:
本開示の治療方法の態様において、治療を必要とする対象へのIL2ムテイン(および/またはIL2ムテインをコードする核酸)を含む薬学的製剤の投与が含まれる。対象への投与は、ボーラスとして、またはある期間にわたる連続注入による、静脈内注射によって達成され得る。投与の代替経路は、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液嚢内、くも膜下腔内、経口、外用、または吸入経路を含む。IL2ムテインはまた、腫瘍内、腫瘍周囲、病巣内、結節内もしくは病変周囲経路によって、またはリンパへと適切に投与されて、局所のみならず全身治療効果を発揮する。
いくつかの態様では、主題のhIL2ムテイン(および/または当該IL2ムテインをコードする核酸)は、薬学的組成物を含む組成物に組み入れることができる。このような組成物は、典型的には、ポリペプチドまたは核酸分子と、薬学的に許容される担体とを含む。薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合するように製剤化され、治療または予防を必要とする対象にIL2ムテインが投与されることになる治療的用途と適合する。
非経口製剤:
いくつかの態様において、本開示の方法は、hIL2ムテインの非経口投与を含み得る。非経口経路の投与の例には、例えば、静脈内、皮内、皮下、経皮(外用)、経粘膜、および直腸投与が含まれる。非経口適用のために使用される溶液または懸濁液を含む非経口製剤は、ビヒクル、担体および緩衝剤を含むことができる。非経口投与のための薬学的製剤は、無菌水溶液(水溶性の場合)または分散物、および無菌注射液または分散物の即時調製のための無菌粉末を含む。
担体:担体は、注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの無菌希釈剤を含む。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール、その他)、およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であることができる。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散物の場合、所要粒子径の維持によって、および界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムの使用によって維持することができる。静脈内投与のために、適切な担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF, Parsippany, N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。
緩衝剤:緩衝剤という用語は、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性の調整のための作用物質を含む。pHは、リン酸一ナトリウムおよび/もしくはリン酸二ナトリウム、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基を用いて調整することができる(例えば、pH約7.2~7.8、例えば、7.5へと)。
分散物:一般的に分散物は、基本分散媒および上に列挙した成分からの所要の他の成分を含有する無菌ビヒクル中に活性化合物を組み入れることによって調製される。無菌注射液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、それは、以前のその無菌濾過溶液から活性成分に加えて任意のさらなる所望の成分の粉末をもたらす。
保存剤:対象に非経口投与するための薬学的製剤は、無菌であるべきであり、容易なシリンジ通過性を促進するために流体であるべきである。これは、製造および保存の条件下で安定であるべきであり、汚染から保護されている。微生物の作用の防止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの作用物質;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール、およびその他などの作用物質によって達成することができる。無菌溶液は、上に列挙された成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒中に所要量の活性化合物を組み入れ、必要に応じてその後無菌濾過することによって調製することができる。
等張化剤:多くの場合、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましいであろう。
経口組成物:経口組成物は、使用されるならば、一般的に不活性希釈剤または食用担体を含む。経口治療用投与のために、活性化合物を賦形剤と共に組み入れることができ、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル剤の形態で使用することができる。経口組成物はまた、洗口剤として使用するために液体担体を使用して調製することができる。薬学的に適合性の結合剤、および/または補助物質を、組成物の部分として含ませることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分:結合剤、例えば結晶セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチン;賦形剤、例えばデンプンもしくはラクトース、崩壊剤、例えばアルギン酸、Primogel(商標)、もしくはトウモロコシデンプン;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはSterotes(商標);流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロースもしくはサッカリン;または香味剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料または類似の性質の化合物のいずれかを含有することができる。
吸入製剤:吸入による投与の際には、対象hIL2ムテイン、またはそれらをコードする核酸は、加圧容器または適切な噴射剤、例えば二酸化炭素などの気体を内部に含むディスペンサ、またはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で送達される。このような方法は、米国特許第6,468,798号に記載される方法を含む。
粘膜および経皮:対象hIL2ムテインまたは核酸の全身投与はまた、経粘膜または経皮手段によることができる。経粘膜または経皮投与のために、透過する障壁に適した浸透剤が製剤中に使用される。このような浸透剤は、当技術分野において一般的に公知であり、例えば、経粘膜投与のために、洗剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、点鼻スプレーまたは直腸送達のための坐剤(例えば、カカオ脂および他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を用いる)もしくは停留浣腸の使用により達成することができる。経皮投与のために、活性化合物は、当技術分野において一般的に公知のように軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに製剤化され、エタノールまたはラノリンなどの透過エンハンサーを組み入れる場合がある。
徐放性製剤およびデポー製剤:本開示の方法のいくつかの態様では、IL2ムテインは、IL2ムテイン作用物質の徐放を提供するために製剤として、治療を必要とする対象に投与される。注射用組成物の徐放性製剤の例は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含むことによってもたらすことができる。一態様では、対象hIL2ムテインまたは核酸は、変異型hIL2ポリペプチドを体内からの急速消失から保護する担体と一緒に調製され、例えば植込み剤およびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤である。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性生体適合性ポリマーを使用することができる。このような製剤は、標準的な技術を使用して調製することができる。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に得ることができる。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を感染細胞に標的付けるリポソームを含む)はまた、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、当業者に公知の方法に従って、例えば米国特許第4,522,811号に記載されるように調製することができる。
IL2ムテインをコードする核酸の投与(遺伝子療法):本開示の方法のいくつかの態様では、IL2ムテインをコードする核酸は、McCaffreyら(Nature 418:6893, 2002)、Xiaら(Nature Biotechnol. 20: 1006-1010, 2002)、またはPutnam(Am. J. Health Syst. Pharm. 53: 151-160, 1996, erratum at Am. J. Health Syst. Pharm. 53:325, 1996)に記載されている方法を含むが、それに限定されるわけではない、当技術分野において公知の方法を使用して、トランスフェクションまたは感染によって、対象に投与される。いくつかの態様では、IL2ムテインは、組み換え発現ベクターの薬学的に許容される製剤の投与によって対象に投与される。一態様では、組み換え発現ベクターはウイルスベクターである。いくつかの態様では、組み換えベクターは組み換えウイルスベクターである。いくつかの態様では、組み換えウイルスベクターは、組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)または組み換えアデノウイルス(rAd)、特にヒトアデノウイルス血清型3および/または5に由来する複製欠損アデノウイルスである。いくつかの態様では、複製欠損アデノウイルスは、ウイルスがヒト細胞において細胞周期および/またはアポトーシス経路を開始する能力を妨害する、E1領域への1つまたは複数の改変を有する。複製欠損アデノウイルスベクターは、任意で、E3ドメインに欠失を含んでもよい場合がある。いくつかの態様では、アデノウイルスは複製可能なアデノウイルスである。いくつかの態様では、アデノウイルスは、リンパ球において選択的に複製するように操作された複製可能な組み換えウイルスである。
一態様では、IL2ムテイン製剤は、その教示が参照により本明細書に組み入れられる、1986年8月5日に発行されたFernandesおよびTaforo、米国特許第4,604,377号ならびにYasuiら、米国特許第4,645,830号の教示に従って提供される。
非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブル注射筒または複数回投与用バイアル中に包有されることができる。一態様では、製剤は、非経口投与のための充填済み注射筒の中に提供される。
治療方法
本開示は、治療有効量の本明細書に記載されるようなIL2ムテイン(またはIL2ムテインをコードする組み換えベクターを含む、IL2ムテインをコードする核酸)の投与による、新生物疾患、障害、または状態を患っている対象の治療におけるIL2ムテインの使用方法を提供する。
本開示は、CD132に対しては低下した結合親和性を有するが、CD122および/またはCD25に対しては野生型ヒトIL2の親和性と同等の顕著な結合親和性を依然として保持するhIL2ムテインの治療有効量の投与による、新生物疾患、障害、または状態を治療および/または予防するための方法および組成物を提供する。
いくつかの態様では、本開示は、化学療法剤、免疫チェックポイントモジュレーター、放射線療法、および/または外科手術などの物理的介入治療方法のうちの1つまたは複数を含むが、それに限定されるわけではない補助作用物質と組み合わせて、CD132に対して低下した結合親和性を有するが、CD122および/またはCD25に対して野生型hIL2の活性と同等の顕著な結合親和性を依然として保持するヒトIL2ムテインの治療有効量を投与することによる、新生物疾患、障害、または状態を治療および/または予防するための方法および組成物を提供する。
いくつかの態様では、本開示は、新生物疾患を治療するための、1つまたは複数のIL2受容体に改変された結合特性を提供するヒトインターロイキン-2(IL2)ムテインを提供する。
治療を適用できる新生物:本開示の組成物および方法は、良性および悪性の新生物および新生物疾患を含む、新生物の存在によって特徴付けられる新生物疾患を患っている対象の治療に有用である。
本開示の組成物および方法を使用する治療が適用できる良性新生物の例は、腺腫、線維腫、血管腫、および脂肪腫を含むが、それに限定されるわけではない。本開示の組成物および方法を使用する治療が適用できる前悪性新生物の例は、過形成、異型、化生、および異形成を含むが、それに限定されるわけではない。本開示の組成物および方法を使用する治療が適用できる悪性新生物の例は、がん腫(皮膚などの上皮組織または内臓を覆う組織から発生するがん)、白血病、リンパ腫、および典型的には骨脂、筋肉、血管、または結合組織に由来する肉腫を含むが、それに限定されるわけではない。新生物という用語には、疣贅などのウイルス誘導新生物およびEBV誘導疾患(すなわち、伝染性単核症)、瘢痕形成、内膜平滑筋細胞過形成、再狭窄、血管閉塞、などを含む過剰増殖性血管疾患も含まれる。
「新生物疾患」という用語は、乳がん;肉腫(骨肉腫および血管肉腫および線維肉腫を含むが、それに限定されるわけではない)、白血病、リンパ腫、尿生殖器がん(卵巣、尿道、膀胱、および前立腺がんを含むが、それに限定されるわけではない);胃腸がん(結腸、食道および胃がんを含むが、それに限定されるわけではない);肺がん;骨髄腫;膵臓がん;肝臓がん;腎臓がん;内分泌がん;皮膚がん;ならびに神経膠腫および神経芽腫、星細胞腫、骨髄異形成障害を含む脳または中枢神経系(CNS)および末梢神経系腫瘍、悪性または良性;子宮頸部上皮内がん;腸ポリポーシス;口腔白板症;組織球症、ケロイド瘢痕を含む過剰増殖性瘢痕、血管腫;過剰増殖性動脈狭窄、乾癬、炎症性関節炎;関節炎を含む過角化症および丘疹落屑型発疹を含むが、それに限定されるわけではない固形腫瘍および非固形腫瘍によって特徴付けられるがんを含む。
新生物疾患という用語は、がん腫を含む。「がん腫」という用語は、呼吸器系がん腫、消化器系がん腫、泌尿生殖器系がん腫、精巣がん、乳がん、前立腺がん、内分泌系がん腫、および黒色腫を含む、上皮または内分泌組織の悪性疾患を指す。新生物疾患という用語は、腺がんを含む。「腺がん」は、腺組織に由来する、または腫瘍細胞が認識可能な腺構造を形成するがん腫を指す。
本明細書で使用される「造血新生物障害」という用語は、造血起源の、例えば、骨髄、リンパもしくは赤血球系列、またはその前駆細胞から生じる、過形成/新生細胞を伴う新生物疾患を指す。
骨髄系新生物は、骨髄増殖性新生物、好酸球増加を伴う骨髄性およびリンパ性障害、骨髄増殖性/骨髄異形成新生物、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病および関連する前駆細胞性新生物、ならびに分化系統不明瞭な急性白血病を含むが、それに限定されるわけではない。本開示に従う治療が適用できる例示的な骨髄系障害は、急性前骨髄球性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)を含むが、それに限定されるわけではない。
リンパ系新生物は、前駆リンパ系腫瘍、成熟B細胞新生物、成熟T細胞新生物、ホジキンリンパ腫、および免疫不全関連リンパ増殖性障害を含むが、それに限定されるわけではない。本開示に従う治療が適用できる例示的なリンパ障害は、B細胞性急性リンパ性白血病(ALL)およびT細胞性ALLを含む急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ性白血病(PLL)、ヘアリー細胞白血病(HLL)ならびにワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症(WM)を含むが、それに限定されるわけではない。
場合によっては、造血新生物障害は、低分化急性白血病(例えば、赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病)に起因する。本明細書で使用される「造血新生物障害」という用語は、非ホジキンリンパ腫およびそのバリアント、末梢T細胞性リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大型顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病およびリード-ステルンベルグ病を含むが、それに限定されるわけではない悪性リンパ腫を指す。
対象が「新生物疾患を患っている」かどうかの判定は、X線、CTスキャン、従来の臨床診断検査(例えば血球算定など)、ゲノムデータ、タンパク質発現データ、免疫組織化学を含むが、それに限定されるわけではない、疾患、障害、または状態を特定するための分野で受け入れられている入手可能な情報に基づき、医師が対象に関して行う、対象が治療を必要とするまたは治療から恩恵を受けるであろうという判定を指す。
腫瘍遺伝子変異量および免疫療法:適応免疫系は、腫瘍変異に応答して特定の細胞表面タンパク質の提示を認識し、新生細胞の認識および除去を促進する。より高い腫瘍遺伝子変異量(TMB)を有する腫瘍は、このような「腫瘍抗原」を提示する可能性がより高い。実際、臨床経験は、高い腫瘍遺伝子変異量を示している新生細胞から構成される腫瘍が免疫チェックポイント遮断を含む免疫療法に応答する可能性がより高いことを示している(Rizvi, et al. (2015) Science 348(6230): 124-128;Marabelle, et al. (2020) Lancet Oncol 21(10):1353-1365)。腫瘍遺伝子変異量は、免疫療法、例えば本開示に提供されるものに対して増感した腫瘍を特定するためのバイオマーカーとして有用である。
いくつかの態様では、本開示の組成物および方法は、中または高腫瘍遺伝子変異量(TMB)を示している固形腫瘍の形成に関連する新生物疾患の治療に有用である。いくつかの態様では、本開示の組成物および方法は、中または高腫瘍遺伝子変異量(TMB)を示している免疫感受性固形腫瘍の治療に有用である。本開示の組成物および方法を用いた治療が適用できる中または高腫瘍遺伝子変異量を有する固形腫瘍の形成と関連する新生物疾患の例は、非小細胞肺がんおよび腎細胞がんを含むが、それに限定されるわけではない。一態様では、組成物および方法は、中または高TMBを示している非小細胞肺がん(NSCLC)の治療に有用である。NSCLC細胞は、典型的には、顕著な数の変異を有し、したがって、免疫療法に対する感受性がより高い。NSCLCについての現在の標準治療は、がん発生メカニズムによって層別化され、一般的にNCCNまたはASCOの推奨に従う。大部分のNSCLCは、増大したTMBを有し、したがって、最初は免疫療法に対する感受性がより高い。しかし、大部分の腫瘍は、免疫チェックポイント阻害を受けると最終的に再発する。再発腫瘍を有する患者は、免疫チェックポイント阻害前の病変と比較して、典型的には腫瘍中のT細胞浸潤の低減、全身T細胞疲弊および免疫応答の抑制を示す。したがって、疲弊した稀少な腫瘍浸潤T細胞を再活性化し、拡大増殖させる免疫療法の改善が必要である。
腫瘍遺伝子変異量:本明細書で使用される「腫瘍遺伝子変異量(TMB)」という用語は、核酸シーケンシングによって決定された場合、1メガ塩基あたりの変異数として表現される、腫瘍試料中に存在する体細胞変異の数を指し、ここで、腫瘍試料中の少なくとも0.2メガ塩基の核酸がシーケンシングされ、代替的に腫瘍試料中の少なくとも0.5メガ塩基の核酸がシーケンシングされ、代替的に腫瘍試料中の少なくとも1メガ塩基の核酸がシーケンシングされ、または代替的に腫瘍試料中の少なくとも5メガ塩基もしくは代替的に少なくとも10メガ塩基の核酸がシーケンシングされる。腫瘍遺伝子変異量の割合は新生物疾患の間で様々であり、それで、所与の疾患型に関連して腫瘍遺伝子変異量を評価すべきであることが理解されている。例えば、特定のタイプのがんは、1メガ塩基あたり1つ未満の変異~1メガ塩基あたり数百の変異の広範囲の変異割合を示す。Chalmers, et al. (2017) Genome Medicine 9:34に記載されているように、低い腫瘍遺伝子変異量(低TMB)を評価する正確度は、FoundationOne(登録商標)アッセイを使用して改善される(Foundation Medicine, Cambridge MA, Frampton, et al. (2013) Nature Biotechnology 31:1023-31;He, et al. (2016) Blood 127:3004-14に記載)。
高、低、および中TMB:腫瘍は、診療において「高」、「低」または「中」腫瘍遺伝子変異量を示すとして通常特徴付けられる。本明細書で使用される用語「中腫瘍遺伝子変異量」は、特定の文脈で低変異量という用語に適用された腫瘍遺伝子変異量のレベルの上方閾値よりも大きい腫瘍遺伝子変異量を意味する。いくつかの態様では、中腫瘍遺伝子変異量という用語は、シーケンシングされた1メガ塩基あたり約15変異よりも大きいがシーケンシングされた1メガ塩基あたり約100変異未満、代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり約10変異よりも大きいがシーケンシングされた1メガ塩基あたり75変異未満、代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり約5変異よりも大きいがシーケンシングされた1メガ塩基あたり50変異未満、代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり約1変異よりも大きいがシーケンシングされた1メガ塩基あたり30変異未満、代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり約1変異よりも大きいがシーケンシングされた1メガ塩基あたり20変異未満である。本明細書で使用される高腫瘍遺伝子変異量という用語は、シーケンシングされた1メガ塩基あたり100変異以上、代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり75変異以上の、代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり50変異以上の、代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり30変異以上の、代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり20変異以上の、または代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり10変異以上の、中腫瘍遺伝子変異量を上回る腫瘍遺伝子変異量である。本明細書で使用される「低腫瘍遺伝子変異量」という用語は、シーケンシングされた1メガ塩基あたり15変異以下の、シーケンシングされた1メガ塩基あたり10変異以下の、代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり7変異以下の、代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり5変異以下の、代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり2変異以下の、または代替的にシーケンシングされた1メガ塩基あたり1変異以下の腫瘍遺伝子変異量を意味する。TMBを評価するためのシーケンシングは、当技術分野において十分に確立された次世代シーケンシング(NGS)技術を使用して、部分ゲノムシーケンシング、全エクソームシーケンシング(WES)または全ゲノムシーケンシング(WGS)を含む当技術分野において受け入れられている多様な方法のいずれかによって達成され得る。TMBの評価の正確度はシーケンシングされた核酸の量と共に高まるが、偏差のパーセントは、TMBを有する試料の方が低く、その結果、高TMBは、わずか数百の遺伝子の標的指向性シーケンシングによって効果的に同定することができ、一方で中TMBは、少なくとも0.5Mbの配列のシーケンシングによって改善されるのに対し、低TMBの信頼できる評価は、腫瘍試料中の5メガ塩基、代替的に10メガ塩基またはそれ以上の核酸のシーケンシングによって改善される。
抗新生物有効性の評価:がんの治療における本開示の方法の有効性の決定は、一般的に、病変の低減、特に転移性病変の低減、転移の低減、腫瘍体積の低減、ECOGスコアの改善、その他などの当技術分野において承認されている1つまたは複数のパラメーターの達成と関連する。治療に対する応答の決定は、このような治療法に対する対象の応答の存在および程度ならびにこのような治療法によって引き起こされる有害作用の存在および程度を含む、IL2ムテイン療法の任意の局面で有用な、再現性のある情報を提供することができるバイオマーカーの測定を通じて評価することができる。限定としてではなく例として、バイオマーカーは、IFNγの増加、ならびにグランザイムA、グランザイムB、およびパーフォリンのアップレギュレーション;CD8+ T細胞の数の増大および機能の増強;IFNγの増加、CD8+ T細胞上のICOS発現の増加、IL-10発現TReg細胞の増加を含む。治療応答は、臨床有効性の従来尺度における改善によって特徴付けられる場合があり、これらの尺度は、標的病変に関する完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、病状安定(SD)など、RECISTによって定義される完全奏効(CR)、不完全奏効/病状安定(SD)のみならず、免疫関連応答基準(irRC)によって定義される免疫関連完全奏効(irCR)、免疫関連部分奏効(irPR)、および免疫関連病状安定(irSD)を用いる場合があり、これらは、当業者によって哺乳動物(例えばヒト)対象での新生物疾患の治療における有効性を証拠付けるものと見なされる。
血清濃度の維持:本発明のいくつかの態様では、本開示は、CD132に対して低下した結合親和性を有するが、依然としてCD122および/またはCD25に対して野生型hIL2と同等の顕著な結合親和性を保持するhIL2ムテインの治療有効量の投与による新生物疾患、障害、または状態を治療および/または予防するための方法および組成物を提供し、ここで、hIL2ムテインの血清濃度は、大部分の期間(すなわち、当該期間の約50%よりも長い、代替的に約60%よりも長い、代替的に約70%よりも長い、代替的に約80%よりも長い、代替的に約90%よりも長い)(例えば、少なくとも24時間、代替的に少なくとも48時間、代替的に少なくとも72時間、代替的に少なくとも96時間、代替的に少なくとも120時間、代替的に少なくとも144時間、代替的に少なくとも7日、代替的に少なくとも10日、代替的に少なくとも12日、代替的に少なくとも14日、代替的に少なくとも28日、代替的に少なくとも45日、代替的に少なくとも60日、またはそれ以上長く)にわたって、当該IL2ムテインに関する、CD3によって活性化した初代ヒトT細胞の増殖を促進するのに十分なIL2ムテインの有効濃度以上(例えば、EC10
PRO以上、代替的にEC20
PRO以上、代替的にEC30
PRO以上、代替的にEC40
PRO以上、EC50
PRO以上、代替的にEC60
PRO以上)の血清濃度、しかし、当該IL2ムテインに関するT細胞の活性化を誘導するのに十分な当該IL2ムテインの有効濃度以下(例えば、EC100
PRO以下、代替的にEC90
PRO以下、代替的にEC80
PRO以下、代替的にEC70
PRO以下、EC60
PRO以下、代替的にEC50
PRO以下)の血清濃度に維持される。
IL2ムテインと治療用補助作用物質との組み合わせ:
本開示は、1つまたは複数のさらなる活性作用物質(「補助作用物質」)と組み合わせて本開示のIL2ムテインを使用するための方法を提供する。このようなさらなる組み合わせは、互換的に「補助的組み合わせ」または「補助的組み合わせ療法」と称され、本開示のIL2ムテインと組み合わせて使用される治療用作用物質は、「補助作用物質」と称される。本明細書で使用される「補助作用物質」という用語は、別々に投与または導入することができる作用物質、例えば、hIL2ムテインと組み合わせて投与または導入することができる別の投与のために別に製剤化された作用物質(例えば、キット中に提供され得る)および/または療法を含む。
と組み合わせて:本明細書で使用される「と組み合わせて」という用語は、対象への複数の作用物質の投与に関連して使用される場合、対象への第1の作用物質および少なくとも1つのさらなる(すなわち第2、第3、第4、第5など)作用物質の投与を指す。本発明のために、第1の作用物質の投与に起因する生物学的効果が第2の作用物質の投与時に対象において持続し、その結果、第1の作用物質の治療効果と第2の作用物質の治療効果とが重複するならば、1つの作用物質(例えばhIL2ムテイン)は、第2の作用物質(例えば、免疫チェックポイント経路のモジュレーター)と組み合わせて投与されると見なされる。例えば、PD1免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブまたはペムブロリズマブ)は、典型的にはIV注入により2週間毎または3週間毎に投与されるのに対し、本開示のhIL2ムテインは、典型的にはより頻繁に、例えば毎日、BID、または毎週投与される。しかし、第1の作用物質(例えばペムブロリズマブ)の投与は、長期にわたり治療効果を提供し、第2の作用物質(例えばhIL2ムテイン)の投与はその治療効果を提供するのに対し、第1の作用物質の治療効果は継続し、その結果、第1の作用物質が第2の作用物質の投与時間から顕著に離れた(例えば数日または数週)時点で投与されていた場合があるとはいえ、第2の作用物質と第1の作用物質とを組み合わせて投与されると見なされる。一態様では、1つの作用物質は、第1の作用物質および第2の作用物質が同時(相互に30分以内)に、同時発生的にまたは順次に投与されるならば、第2の作用物質と組み合わせて投与されると見なされる。いくつかの態様では、第1の作用物質と第2の作用物質とが互いに約24時間以内、好ましくは互いに約12時間以内、好ましくは互いに約6時間以内、好ましくは互いに約2時間以内、または好ましくは互いに約30分以内に投与されるならば、第1の作用物質は第2の作用物質と「同時発生的」に投与されると見なされる。「と組み合わせて」という用語は、第1の作用物質と第2の作用物質とが単一の薬学的に許容される製剤として共製剤化され、共製剤が対象に投与される状況に適用されることも理解されたい。特定の態様では、例えば、1つの作用物質が1つまたは複数の他の作用物質の前に投与されるならば、hIL2ムテインおよび補助作用物質は順次に投与または適用される。他の態様では、例えば、2つ以上の作用物質が同時またはおよそ同時に投与される場合、hIL2ムテインおよび補助作用物質は同時に投与され;2つ以上の作用物質が2つ以上の別々の製剤中に存在するか、または単一の製剤(すなわち共製剤)として組み合わされる場合がある。作用物質が順次に投与されるか、または同時に投与されるかにかかわらず、それらは、本開示のために組み合わせて投与されると見なされる。
最適な併用療法を確立すること:さらなる態様は、組み合わせた作用物質の最適量を決定するための方法またはモデルを含む。最適量は、例えば、対象もしくは対象集団において最適な効果を達成する量、または治療効果を達成する一方で、1つもしくは複数の作用物質と関連する有害作用を最小化もしくは除去する量であることができる。いくつかの態様では、方法は、対象(例えばヒト)または対象集団において本明細書に記載される疾患、障害または状態(例えば、がん性状態)を治療または予防することに有効であることが公知である、または有効であると決定されているhIL2ムテインと補助作用物質との組み合わせを伴い、一方の作用物質の量が変動される(titrated)のに対し、他方の作用物質の量は一定に保たれる。この方法で作用物質の量を操作することによって、臨床医は、例えば、特定の疾患、障害、もしくは状態を治療するために、または有害作用を除去するもしくは有害作用を低減し、それにより、その状況でそれらを許容可能にするためにもっとも有効な作用物質の比を決定することができる。
補助作用物質:
化学療法剤:いくつかの態様では、補助作用物質は化学療法剤である。いくつかの態様では、補助作用物質は複数の化学療法剤の「カクテル」である。いくつかの態様では、化学療法剤またはカクテルは、1つまたは複数の物理的方法(例えば放射線療法)と組み合わせて投与される。「化学療法剤」という用語は、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾデパ、カルボコン、メツレデパおよびウレデパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミンを含むエチレンイミンおよびメチラメラミン(methylamelamine);ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばアクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシンA2などのブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアミシン、カラビシン、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシンおよびデメトキシ-ダウノマイシン、11-デオキシダウノルビシン、13-デオキシダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシンなどの誘導体、マルセロマイシン、マイトマイシンC、N-メチルマイトマイシンCなどのマイトマイシン;ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えばメトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート、ジデアザテトラヒドロ葉酸、およびフォリン酸;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスリジン、5-FU;アンドロゲン、例えばカルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬(anti-adrenal)、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充物、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキセート;デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エフロルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2',2"-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara-C);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル、nab-パクリタキセルおよびドキセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金および白金配位化合物、例えばシスプラチン、オキサプラチン(oxaplatin)およびカルボプラチン;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT11;トポイソメラーゼ阻害剤;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;タキサン、例えばパクリタキセル、ドセタキセル、カルバジタキセル;カルミノマイシン、アドリアマイシン、例えば4'-エピアドリアマイシン、4-アドリアマイシン-14-ベンゾエート、アドリアマイシン-14-オクタノエート、アドリアマイシン-14-ナフタレンアセテート;コルヒチンならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体を含むが、それに限定されるわけではない。
「化学療法剤」という用語はまた、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、オナプリストンおよびトレミフェンを含む抗エストロゲン薬;ならびに抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体などの、腫瘍に対するホルモンの作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤を含む。
いくつかの態様では、補助作用物質は、TAC、FOLFOX、TPC、FEC、ADE、FOLFOX-6、EPOCH、CHOP、CMF、CVP、BEP、OFF、FLOX、CVD、TC、FOLFIRI、PCV、FOLFOXIRI、ICE-V、XELOX、および当技術分野における熟練の臨床家によって容易に認識されるその他を含むが、それに限定されるわけではない公知の化学療法治療レジメンに実践されるような、サイトカインまたはサイトカインアンタゴニスト、例えばIL-12、INFα、または抗上皮増殖因子受容体、イリノテカン;テトラヒドロ葉酸代謝拮抗薬、例えばペメトレキセド;腫瘍抗原に対する抗体、モノクローナル抗体と毒素との複合体、T細胞アジュバント、骨髄移植片、または抗原提示細胞(例えば樹状細胞療法)、抗腫瘍ワクチン、複製可能なウイルス、シグナル伝達阻害剤(例えば、Gleevec(登録商標)もしくはHerceptin(登録商標))または腫瘍成長の相加的もしくは相乗的抑制を達成するための免疫モジュレーター、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤、ステロイド、TNFアンタゴニスト(例えば、Remicade(登録商標)およびEnbrel(登録商標))、インターフェロン-β1a(Avonex(登録商標))、およびインターフェロン-β1b(Betaseron(登録商標))のみならず、前記の1つまたは複数の組み合わせを含むが、それに限定されるわけではない、新生物疾患の治療に有用であると当技術分野において同定された1つまたは複数の化学作用物質または生物学的作用物質である。
いくつかの態様では、hIL2ムテインは、BRAF/MEK阻害剤、キナーゼ阻害剤、例えばスニチニブ、PARP阻害剤、例えばオラパリブ、EGFR阻害剤、例えばオシメルチニブ(Ahn, et al. (2016) J Thorac Oncol 11:S115)、IDO阻害剤、例えばエパカドスタット、および腫瘍溶解性ウイルス、例えばタリモジーン-ラハーパレプベック(T-VEC)と組み合わせて投与される。
治療用抗体との組み合わせ
いくつかの態様では、「補助作用物質」は治療用抗体である(二重特異性T細胞誘導抗体(BITE)、二重親和性リターゲティング(DART)構築物、および三重特異性キラーエンゲージャー(TriKE)構築物を含むが、それに限定されるわけではない、1つまたは複数の腫瘍関連抗原に結合する二重特異性および三重特異性抗体を含む)。
いくつかの態様では、治療用抗体は、HER2(例えば、トラスツズマブ、ペルツズマブ、ado-トラスツズマブ エムタンシン)、ネクチン-4(例えばエンホルツマブ)、CD79(例えばポラツズマブ ベドチン)、CTLA4(例えばイピリムマブ)、CD22(例えばモキセツモマブ パスドトクス)、CCR4(例えばモガムリズマブ)、IL23p19(例えばチルドラキズマブ)、PDL1(例えばデュルバルマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ)、IL17a(例えばイキセキズマブ)、CD38(例えばダラツムマブ)、SLAMF7(例えばエロツズマブ)、CD20(例えば、リツキシマブ、トシツモマブ、イビリツモマブおよびオファツムマブ)、CD30(例えばブレンツキシマブ ベドチン)、CD33(例えばゲムツズマブ オゾガマイシン)、CD52(例えばアレムツズマブ)、EpCam、CEA、fpA33、TAG-72、CAIX、PSMA、PSA、葉酸結合タンパク質、GD2(例えばジヌツキシマブ)、GD3、IL6(例えばシルツキシマブ)、GM2、Ley、VEGF(例えばベバシズマブ)、VEGFR、VEGFR2(例えばラムシルマブ)、PDGFRα(例えばオファツムマブ(olartumumab))、EGFR(例えば、セツキシマブ、パニツムマブおよびネシツムマブ)、ERBB2(例えばトラスツズマブ)、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAIL R1、TRAIL R2、RANKL RAP、テネイシン、インテグリンαVβ3、およびインテグリンα4β1からなる群より選択される少なくとも1つの腫瘍抗原に結合する抗体である。
FDA承認済みで、新生物疾患の治療における使用のための補助作用物質として使用され得る抗体治療薬の例は、下の表14に提供されるものを含む。
いくつかの態様では、抗体は、第1の腫瘍抗原および第2の腫瘍抗原、例えばHER2およびHER3(HER2×HER3と省略)を標的とする二重特異性抗体、FAP×DR-5二重特異性抗体、CEA×CD3二重特異性抗体、CD20×CD3二重特異性抗体、EGFR-EDV-miR16三重特異性抗体、gp100×CD3二重特異性抗体、Ny-eso×CD3二重特異性抗体、EGFR×cMet二重特異性抗体、BCMA×CD3二重特異性抗体、EGFR-EDV二重特異性抗体、CLEC12A×CD3二重特異性抗体、HER2×HER3二重特異性抗体、Lgr5×EGFR二重特異性抗体、PD1×CTLA-4二重特異性抗体、CD123×CD3二重特異性抗体、gpA33×CD3二重特異性抗体、B7-H3×CD3二重特異性抗体、LAG-3×PD1二重特異性抗体、DLL4×VEGF二重特異性抗体、カドヘリン-P×CD3二重特異性抗体、BCMA×CD3二重特異性抗体、DLL4×VEGF二重特異性抗体、CD20×CD3二重特異性抗体、Ang-2×VEGF-A二重特異性抗体、CD20×CD3二重特異性抗体、CD123×CD3二重特異性抗体、SSTR2×CD3二重特異性抗体、PD1×CTLA-4二重特異性抗体、HER2×HER2二重特異性抗体、GPC3×CD3二重特異性抗体、PSMA×CD3二重特異性抗体、LAG-3×PD-L1二重特異性抗体、CD38×CD3二重特異性抗体、HER2×CD3二重特異性抗体、GD2×CD3二重特異性抗体、およびCD33×CD3二重特異性抗体である。このような治療用抗体は、直接またはリンカー、特に酸リンカー、塩基リンカーまたは酵素不活性リンカーを経由して、1つまたは複数の化学療法剤とさらにコンジュゲートされる場合がある(例えば、抗体薬物複合体またはADC)。
物理的方法との組み合わせ:いくつかの態様では、補助作用物質は、1つまたは複数の非薬理学的様式(例えば、局所放射線療法または全身放射線療法または外科手術)である。例として、本開示は、放射線照射相に、IL2ムテインおよび1つまたは複数の補助作用物質を含む治療レジメンを用いた治療が先行または後続する治療レジメンを考えている。いくつかの態様では、本開示は、外科手術(例えば腫瘍切除)と組み合わせたIL2ムテインの使用をさらに考えている。いくつかの態様では、本開示は、骨髄移植、末梢血幹細胞移植または他の種類の移植療法と組み合わせたIL2ムテインの使用をさらに考えている。
免疫チェックポイントモジュレーターとの組み合わせ:いくつかの態様では、「補助作用物質」は、対象における新生物疾患のみならず、新生物疾患に関連する疾患、障害または状態を治療および/または予防するための免疫チェックポイントモジュレーターである。「免疫チェックポイント経路」という用語は、免疫応答の刺激(例えば、T細胞活性のアップレギュレーション)または阻害(例えば、T細胞活性のダウンレギュレーション)のいずれかを介して免疫応答をモジュレートする、抗原提示細胞(APC)上に発現する第1の分子(例えば、PD1などのタンパク質)の、免疫細胞(例えばT細胞)上に発現する第2の分子(例えば、PDL1などのタンパク質)への結合によって誘発される生物学的応答を指す。免疫応答をモジュレートする結合ペアの形成に関与する分子は、一般に「免疫チェックポイント」と称される。このような免疫チェックポイント経路によってモジュレートされる生物学的応答は、細胞の活性化、サイトカイン産生、細胞遊走、細胞傷害性因子の分泌、および抗体産生などの下流の免疫エフェクター経路に至る細胞内シグナル伝達経路によって媒介される。免疫チェックポイント経路は、一般に、第1の細胞表面発現分子の、免疫チェックポイント経路に関連する第2の細胞表面分子への結合(例えば、PD1のPDL1への結合、CTLA4のCD28への結合など)によって誘発される。免疫チェックポイント経路の活性化は、免疫応答の刺激または阻害をもたらすことができる。
活性化が免疫応答の阻害またはダウンレギュレーションを結果としてもたらす免疫チェックポイントは、本明細書において「ネガティブ免疫チェックポイント経路モジュレーター」と称される。ネガティブ免疫チェックポイントモジュレーターの活性化に起因する免疫応答の阻害は、宿主免疫系が腫瘍関連抗原などの外来抗原を認識する能力を低下させる。ネガティブ免疫チェックポイント経路という用語は、PD1のPDL1への結合、PD1のPDL2への結合、およびCTLA4のCDCD80/86への結合によってモジュレートされる生物学的経路を含むが、それに限定されるわけではない。このようなネガティブ免疫チェックポイントアンタゴニストの例は、PD1(CD279とも称される)、TIM3(T細胞膜タンパク質3;HAVcr2としても知られる)、BTLA(BおよびTリンパ球アテニュエーター;CD272としても知られる)、VISTA(B7-H5)受容体、LAG3(リンパ球活性化遺伝子3;CD233としても知られる)およびCTLA4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4;CD152としても知られる)を含むが、それに限定されるわけではないT細胞阻害受容体と結合するアンタゴニスト(例えばアンタゴニスト抗体)を含むが、それに限定されるわけではない。
一態様では、活性化が免疫応答の刺激を結果としてもたらす免疫チェックポイント経路は、本明細書において「ポジティブ免疫チェックポイント経路モジュレーター」と称される。ポジティブ免疫チェックポイント経路モジュレーターという用語は、ICOSLのICOS(CD278)への、B7-H6のNKp30への、CD155のCD96への、OX40LのOX40への、CD70のCD27への、CD40のCD40Lへの、およびGITRLのGITRへの結合によってモジュレートされる生物学的経路を含むが、それに限定されるわけではない。ポジティブ免疫チェックポイント(免疫応答を刺激する結合ペアの構成要素に対する天然リガンドまたは合成リガンドなど)を刺激する(agonize)分子は、免疫応答をアップレギュレーションするために有用である。このようなポジティブ免疫チェックポイントアゴニストの例は、ICOS(例えばJTX-2011、Jounce Therapeutics)、OX40(例えばMEDI6383、Medimmune)、CD27(例えばバルリルマブ、Celldex Therapeutics)、CD40(例えばダセツズムマブ(dacetuzmumab)CP-870,893、Roche、Chi Lob 7/4)、HVEM、CD28、CD137、4-1BB、CD226、およびGITR(例えばMEDI1873、Medimmune;INCAGN1876、Agenus)などのT細胞活性化受容体と結合するアゴニスト抗体を含むが、それに限定されるわけではない。
本明細書で使用される「免疫チェックポイント経路モジュレーター」という用語は、免疫適格な哺乳動物を含む生物学的システムにおける免疫チェックポイント経路の活性を阻害または刺激する分子を指す。免疫チェックポイント経路モジュレーターは、免疫チェックポイントタンパク質(がん細胞および/または免疫Tエフェクター細胞などの抗原提示細胞(APC)の表面に発現する免疫チェックポイントタンパク質など)への結合によってその効果を発揮する場合があり、または免疫チェックポイント経路における上流および/もしくは下流の反応にその効果を発揮する場合がある。例えば、免疫チェックポイント経路モジュレーターは、SHP2、すなわちPD-1およびCTLA-4シグナル伝達に関与するチロシンホスファターゼの活性をモジュレートする場合がある。「免疫チェックポイント経路モジュレーター」という用語は、阻害性免疫チェックポイントの機能を少なくとも部分的にダウンレギュレーションすることができる免疫チェックポイント経路モジュレーター(本明細書において「免疫チェックポイント経路阻害剤」または「免疫チェックポイント経路アンタゴニスト」と称される)と、刺激性免疫チェックポイントの機能を少なくとも部分的にアップレギュレーションすることができる免疫チェックポイント経路モジュレーター(本明細書において「免疫チェックポイント経路エフェクター」または「免疫チェックポイント経路アゴニスト」と称される)との両方を包含する。
免疫チェックポイント経路によって媒介される免疫応答は、T細胞媒介免疫応答に限定されない。例えば、NK細胞のKIR受容体は、NK細胞によって媒介される腫瘍細胞に対する免疫応答をモジュレートする。腫瘍細胞は、NK細胞のKIR受容体を阻害するHLA-Cと呼ばれる分子を発現し、縮小(dimunition)または抗腫瘍免疫応答をもたらす。HLA-CのKIR受容体への結合と拮抗する作用物質、例えば抗KIR3 mab(例えばリリルマブ、BMS)の投与は、HLA-CがNK細胞阻害受容体(KIR)と結合する能力を阻害し、それにより、NK細胞ががん細胞を検出し、攻撃する能力を回復させる。したがって、HLA-CのKIR受容体への結合によって媒介される免疫応答は、その阻害が非T細胞媒介免疫応答の活性化を結果としてもたらすネガティブ免疫チェックポイント経路の例である。
一態様では、免疫チェックポイント経路モジュレーターは、ネガティブ免疫チェックポイント経路阻害剤/アンタゴニストである。別の態様では、IL2ムテインと組み合わせて用いられる免疫チェックポイント経路モジュレーターは、ポジティブ免疫チェックポイント経路アゴニストである。別の態様では、IL2ムテインと組み合わせて用いられる免疫チェックポイント経路モジュレーターは、免疫チェックポイント経路アンタゴニストである。
「ネガティブ免疫チェックポイント経路阻害剤」という用語は、ネガティブ免疫チェックポイント経路の活性化を妨害して、免疫応答のアップレギュレーションまたは増強を結果としてもたらす免疫チェックポイント経路モジュレーターを指す。例示的なネガティブ免疫チェックポイント経路阻害剤は、プログラム死-1(PD1)経路阻害剤、プログラム死リガンド-1(PDL1)経路阻害剤、TIM3経路阻害剤および抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA4)経路阻害剤を含むが、それに限定されるわけではない。
一態様では、免疫チェックポイント経路モジュレーターは、PD1のPDL1および/またはPDL2への結合を阻害するネガティブ免疫チェックポイント経路のアンタゴニスト(「PD1経路阻害剤」)である。PD1経路阻害剤は、T細胞疲弊の後退、サイトカイン産生の回復、および抗原依存性T細胞の拡大増殖などの一連の好都合な免疫応答の刺激を結果としてもたらす。PD1経路阻害剤は、多様ながんに有効であることが認識されており、黒色腫、肺がん、腎臓がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、膀胱がんおよび尿路上皮がんを含む多様ながんの治療のためにUSFDAから承認を受けている。
PD1経路阻害剤という用語は、PD1のPDL1および/またはPDL2への結合を妨害するモノクローナル抗体を含む。抗体PD1経路阻害剤は、当技術分野において周知である。PD1のPDL1および/またはPDL2への結合を妨害するモノクローナル抗体である市販のPD1経路阻害剤の例は、ニボルマブ(Opdivo(登録商標)、BMS-936558、MDX1106、BristolMyers Squibb、Princeton NJから市販)、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標)MK-3475、ランブロリズマブ、Merck and Company、Kenilworth NJから市販されている)、およびアテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標)、Genentech/Roche、South San Francisco CA)を含む。デュルバルマブ(MEDI4736, Medimmune/AstraZeneca)、ピディリズマブ(CT-011, CureTech)、PDR001(Novartis)、BMS-936559(MDX1105, BristolMyers Squibb)、およびアベルマブ(MSB0010718C, Merck Serono/Pfizer);およびSHR-1210(Incyte)を含むが、それに限定されるわけではないさらなるPD1経路阻害抗体は、臨床開発中である。さらなる抗体PD1経路阻害剤は、2012年7月10日に発行された米国特許第8,217,149号(Genentech, Inc);2012年5月1日に発行された米国特許第8,168,757号(Merck SharpおよびDohme Corp.)、2011年8月30日に発行された米国特許第8,008,449号(Medarex)、2011年5月17日に発行された米国特許第7,943,743号(Medarex, Inc)に記載されている。
PD1経路阻害剤という用語は、アンタゴニスト抗体に限定されない。AMP-224、PD-L2 IgG2a融合タンパク質、およびAMP-514、PDL2融合タンパク質を含む同様に臨床開発中の非抗体性生物学的PD1経路阻害剤は、AmplimmuneおよびGlaxo SmithKlineによって臨床開発中である。PD1経路阻害剤として有用なアプタマー化合物もまた、文献に記載されている(Wang, et al. (2018) 145:125-130.)。
PD1経路阻害剤という用語は、2016年8月23日に発行されたSasikumarら、米国特許第9,422,339号、および2014年12月9日に発行されたSasilkumarら、米国特許第8,907,053号に記載されているものなどのペプチジルPD1経路阻害剤を含む。CA-170(AUPM-170, Aurigene/Curis)は、免疫チェックポイントPDL1およびVISTAをターゲティングする経口的に生物利用可能な小分子であると報告されている。Pottayil Sasikumar, et al. Oral immune checkpoint antagonists targeting PD-L1/VISTA or PD-L1/Tim3 for cancer therapy. [abstract]. In: Proceedings of the 107th Annual Meeting of the American Association for Cancer Research; 2016 Apr 16-20; New Orleans, LA. Philadelphia (PA): AACR; Cancer Res 2016;76(14 Suppl): Abstract No.4861。CA-327(AUPM-327, Aurigene/Curis)は、免疫チェックポイント、プログラム死リガンド-1(PDL1)およびT細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有タンパク質-3(TIM3)を阻害する経口的に利用可能な小分子であると報告されている。
PD1経路阻害剤という用語は、小分子PD1経路阻害剤を含む。Sasikumar, et al., 1,2,4-oxadiazole and thiadiazole compounds as immunomodulators(2016年3月7日に出願され、2016年9月15日にWO2016142833A1として公開されたPCT/IB2016/051266)および Sasikumar, et al. 3-substituted-1,2,4-oxadiazole and thiadiazole(2016年3月9日に出願され、WO2016142886A2として公開されたPCT/IB2016/051343)、BMS-1166およびChupak LS and Zheng X. Compounds useful as immunomodulators. Bristol-Myers Squibb Co. (2015) 2017年8月9日に付与されたWO2015/034820 A1、EP3041822 B1; WO2015034820 A1;およびChupak, et al. Compounds useful as immunomodulators. Bristol-Myers Squibb Co. (2015) WO2015/160641 A2、WO2015/160641 A2、Chupak, et al. Compounds useful as immunomodulators. Bristol-Myers Squibb Co. Sharpe, et al. Modulators of immunoinhibitory receptor PD-1, and methods of use thereof、2011年7月7日に公開されたWO2011082400 A2;2009年2月10日に発行された米国特許第7,488,802号(Wyeth)を含む、本発明の実施に有用な小分子PD1経路阻害剤の例は、当技術分野において記載されている。
いくつかの態様では、IL2ムテインと1つまたは複数のPD1免疫チェックポイントモジュレーターとの組み合わせは、疾患の治療のためのFDA承認により、または黒色腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、頭頸部がん、腎細胞がん、膀胱がん、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、子宮肉腫、胃がん、食道がん、DNAミスマッチ修復欠損結腸がん、DNAミスマッチ修復欠損子宮内膜がん、肝細胞がん腫、乳がん、メルケル細胞がん、甲状腺がん、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、菌状息肉症、末梢T細胞リンパ腫を含むが、それに限定されるわけではない、臨床試験における臨床有効性の実証により、PD1経路阻害剤がヒトにおいて臨床効果を実証した新生物状態の治療に有用である。いくつかの態様では、IL2ムテインとPD1免疫チェックポイントモジュレーターとの組み合わせは、高レベルのPDL1発現によって特徴付けられる腫瘍の治療に有用であり、ここで、腫瘍は腫瘍遺伝子変異量を有し、腫瘍中に高レベルのCD8+ T細胞、IFNγに関連する免疫活性化シグネチャー、および転移性疾患の欠如、特に肝転移の欠如がある。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、CTLA4のCD28への結合を阻害するネガティブ免疫チェックポイント経路のアンタゴニスト(「CTLA4経路阻害剤」)と組み合わせて投与される。CTLA4経路阻害剤の例は、当技術分野において周知である(例えば、2004年1月27日に発行された米国特許第6,682,736号(Abgenix);2007年5月29日に発行された米国特許第6,984,720号(Medarex, Inc.);2009年10月20日に発行された米国特許第7,605,238号(Medarex, Inc.)を参照されたい)。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、BTLAのHVEMへの結合を阻害するネガティブ免疫チェックポイント経路のアンタゴニスト(「BTLA経路阻害剤」)と組み合わせて投与される。抗BTLA抗体およびアンタゴニストHVEM-Igを使用してBTLA/HVEM経路をターゲティングするいくつかのアプローチが評価されており、そのようなアプローチは、移植、感染、腫瘍、および自己免疫疾患を含むいくつかの疾患、障害および状態に有望な有用性が示唆されている(例えば、Wu, et al., (2012) Int. J. Biol. Sci. 8:1420-30を参照されたい)。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、TIM3がTIM3活性化リガンドに結合する能力を阻害する、ネガティブ免疫チェックポイント経路のアンタゴニスト(「TIM3経路阻害剤」)と組み合わせて投与される。TIM3経路阻害剤の例は、当技術分野において公知であり、代表的な非限定的な例は、2016年9月15日に公開されたPCT国際特許公開公報番号WO2016/144803;2016年9月8日に公開されたLifkeら、米国特許出願公開第20160257749 A1号(F. Hoffman-LaRoche);2017年4月27日に発行されたKarunsky、米国特許第9,631,026号;2014年9月23日に発行されたKarunsky、Sabatos-Peytonら、米国特許8,841,418号;米国特許第9,605,070号;2013年10月8日に発行されたTakayanagiら、米国特許第8552156号に記載されている。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、LAG3およびPD1の遮断が、慢性感染の状況で腫瘍特異的CD8+ T細胞とウイルス特異的CD8+ T細胞との間のアネルギーを相乗的に後退させることが示唆されているので、LAG3およびPD1の両方の阻害剤と組み合わせて投与される。IMP321(ImmuFact)は、黒色腫、乳がん、および腎細胞がんにおいて評価されている。一般的に、Woo et al., (2012) Cancer Res 72:917-27;Goldberg et al., (2011) Curr. Top. Microbiol. Immunol. 344:269-78;Pardoll (2012) Nature Rev. Cancer 12:252-64;Grosso et al., (2007) J. Clin. Invest. 117:3383-392を参照されたい。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、A2aR阻害剤と組み合わせて投与される。A2aRは、CD4+ T細胞をTReg細胞に発達する方向に刺激することによってT細胞応答を阻害する。細胞ターンオーバーによる腫瘍における細胞死の率が高く、瀕死の細胞がA2aRに対するリガンドであるアデノシンを放出するので、A2aRは腫瘍免疫において特に重要である。加えて、A2aRの欠失は、感染に対する増強した、時に病理的な、炎症応答と関連している。A2aRの阻害は、アデノシンの結合を遮断する抗体などの分子の投与により、またはアデノシン類似体により引き起こすことができる。このような作用物質は、がんおよびパーキンソン病などの治療障害に使用するためのIL2ムテインと組み合わせて使用される場合がある。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、IDO(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)の阻害剤と組み合わせて投与される。IDOは、トリプトファンの酸化を経由して媒介される免疫応答をダウンレギュレーションし、T細胞活性化の阻害およびT細胞アポトーシスの誘導を結果としてもたらし、腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球が機能的に不活性にされるか、または対象のがん細胞をもはや攻撃できない環境を生み出す。インドキシモド(NewLink Genetics)は、転移性乳がんにおいて評価されているIDO阻害剤である。
前述のように、本発明は、2つ、3つ、またはそれより多くの免疫チェックポイント経路をモジュレートする免疫チェックポイント経路モジュレーターを含む、少なくとも1つの免疫チェックポイント経路をモジュレートする作用物質と組み合わせたIL2ムテインの投与による、哺乳動物対象における新生物疾患(例えばがん)の治療方法を提供する。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、複数の免疫チェックポイント経路をモジュレートすることが可能な免疫チェックポイントモジュレーターと組み合わせて投与される。複数の免疫チェックポイント経路は、複数の免疫チェックポイント経路のモジュレーターとして作用することが可能な多機能分子の投与によってモジュレートされる場合がある。このような複数の免疫チェックポイント経路モジュレーターの例は、二重特異性または多特異性抗体を含むが、それに限定されるわけではない。複数の免疫チェックポイント経路のモジュレーターとして作用することが可能な多特異性抗体の例は、当技術分野において公知である。例えば、米国特許出願公開第2013/0156774号は、PD1およびTIM3を共発現する細胞を標的とする二重特異性および多重特異性作用物質(例えば抗体)、ならびにそれらの使用方法を記載している。その上、BTLAおよびPD1の二重遮断は、抗腫瘍免疫を増強することが示されている(Pardoll, (April 2012) Nature Rev. Cancer 12:252- 64)。本開示は、PD1およびLAG3の両方に結合する二重特異性抗体を含むが、それに限定されるわけではない複数の免疫チェックポイント経路を標的とする免疫チェックポイント経路モジュレーターと組み合わせたhIL2ムテインの使用を考えている。したがって、抗腫瘍免疫は、複数のレベルで増強することができ、様々な機構的考察を考慮して組み合わせ戦略を生成することができる。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、2つ、3つ、4つ、またはそれより多くのチェックポイント経路モジュレーターと組み合わせて投与され得る。このような組み合わせは、免疫チェックポイント経路が別個の作用機作を有し得る点で有利であり得、これは、基礎となる疾患、障害または状態を複数の別個の治療角度から攻撃する機会を提供する。
免疫チェックポイント経路阻害剤への治療応答がしばしばチロシンキナーゼ阻害剤などの伝統的な化学療法に対する応答よりもずっと遅く出現することに留意するべきである。ある場合には、免疫チェックポイント経路阻害剤を用いた治療開始の後、治療応答の客観的特徴が観察される前に6ヶ月以上かかる可能性がある。したがって、本開示のIL2ムテインと組み合わせた免疫チェックポイント経路阻害剤を用いた治療に関する決定は、従来の化学療法よりもしばしば長い無増悪期間にわたり行われなければならい。所望の応答は、この状況下で好都合であると見なされる任意の結果であることができる。いくつかの態様では、所望の応答は、疾患、障害または状態の進行の予防であるのに対し、他の態様では、所望の応答は、疾患、障害または状態の1つまたは複数の特徴の退縮または安定化である(例えば、腫瘍サイズの低減)。なお他の態様では、所望の応答は、この組み合わせの1つまたは複数の作用物質に関連する1つまたは複数の有害作用の低減または消失である。
補助作用物質としての細胞療法剤および方法:
いくつかの態様では、本開示の方法は、新生物疾患、自己免疫疾患、または炎症性疾患を治療するための細胞療法の形態の、IL2ムテインと補助作用物質との投与の組み合わせを含む場合がある。本開示の方法と組み合わせて使用することが適用できる細胞療法の例は、1つまたは複数の活性化CAR-T細胞、操作されたTCR細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、操作されたTreg細胞を含む操作されたT細胞産物を含むが、それに限定されるわけではない。操作されたT細胞産物は、通常、対象へのそれらの投与前にエクスビボで活性化され、したがって、アップレギュレーションされたレベルのCD25を提供するので、このような活性化された操作T細胞型を含む細胞産物は、本明細書に記載されるCD25バイアス型IL2ムテインの投与をさらに支援するために適用できる。
CAR-T細胞
本開示の方法のいくつかの態様では、補助作用物質は、キメラ抗原受容体を発現するように組み換え改変されているT細胞を指すために互換的に使用される「キメラ抗原受容体T細胞」および「CAR-T細胞」である。本明細書で使用される「キメラ抗原受容体」および「CAR」という用語は、配列中にアミノ末端からカルボキシ末端へと配置された複数の機能性ドメイン:(a)抗原結合ドメイン(ABD)、(b)膜貫通ドメイン(TD);および(c)1つまたは複数の細胞質シグナル伝達ドメイン(CSD)を含むキメラポリペプチドを指すために互換的に使用され、ここで、前述のドメインは、任意で、1つまたは複数のスペーサードメインによって連結されている場合がある。CARはまた、CARをコードする核酸配列を含む発現ベクターにより形質転換された細胞の細胞表面でのCARの翻訳後プロセシングおよび提示の間に慣例的に除去されるシグナルペプチド配列をさらに含む場合がある。本発明の実施に有用なCARは、当技術分野において周知の原理に従って調製される。例えば、2010年6月22日に発行されたEshhaarら、米国特許第7,741,465 B1号;Sadelain, et al (2013) Cancer Discovery 3(4):388-398;Jensen and Riddell (2015) Current Opinions in Immunology 33:9-15;Gross, et al. (1989) PNAS(USA) 86(24):10024-10028;Curran, et al. (2012) J Gene Med 14(6):405-15を参照されたい。本発明のオルソゴナル受容体を組み入れるために改変され得る市販のCAR-T細胞産物の例は、アキシカブタゲン シロルユーセル(Gilead PharmaceuticalsからYescarta(登録商標)として販売)およびチサゲンレクルユーセル(NovartisからKymriah(登録商標)として販売)を含む。
本明細書で使用される抗原結合ドメイン(ABD)という用語は、標的細胞の表面に発現する抗原に特異的に結合するポリペプチドを指す。ABDは、標的細胞の表面に発現する1つまたは複数の細胞表面分子(例えば腫瘍抗原)に特異的に結合する任意のポリペプチドであり得る。いくつかの態様では、ABDは、腫瘍細胞と関連する、GD2、BCMA、CD19、CD33、CD38、CD70、GD2、IL3Rα2、CD19、メソセリン、Her2、EpCam、Muc1、ROR1、CD133、CEA、EGRFRVIII、PSCA、GPC3、汎ErbBおよびFAPからなる群より選択される細胞表面分子に特異的に結合するポリペプチドである。いくつかの態様では、ABDは、腫瘍細胞と関連する少なくとも1つの細胞表面分子(すなわち少なくとも1つの腫瘍抗原)に特異的に結合する抗体(1つまたは複数のVHH、scFvなどの分子を含むことが本明細書上記に定義される)であり、ここで、腫瘍細胞と関連する細胞表面分子は、GD2、BCMA、CD19、CD33、CD38、CD70、GD2、IL3Rα2、CD19、メソセリン、Her2、EpCam、Muc1、ROR1、CD133、CEA、EGRFRVIII、PSCA、GPC3、汎ErbBおよびFAPからなる群より選択される。本開示の方法の実施における補助作用物質として有用なCAR-T細胞の例は、抗GD2抗体、抗BCMA抗体、抗CD19抗体、抗CD33抗体、抗CD38抗体、抗CD70抗体、抗GD2抗体およびIL3Rα2抗体、抗CD19抗体、抗メソセリン抗体、抗Her2抗体、抗EpCam抗体、抗Muc1抗体、抗ROR1抗体、抗CD133抗体、抗CEA抗体、抗PSMA抗体、抗EGRFRVIII抗体、抗PSCA抗体、抗GPC3抗体、抗汎ErbB抗体、抗FAP抗体のうち少なくとも1つをさらに含むABDを含むCARを発現しているCAR-T細胞を含むが、それに限定されるわけではない。
本開示の方法の実施に有用なCAR-T細胞のCARは、ABD(または用いるならばリンカー、下記のリンカーの説明を参照されたい)をCARの細胞内細胞質ドメインに繋ぐ膜貫通ドメインをさらに含む。膜貫通ドメインは、真核細胞膜内で熱力学的に安定な任意のポリペプチド配列から構成される。膜貫通ドメインは、天然の膜貫通タンパク質の膜貫通ドメインに由来する場合がある、または合成の場合がある。合成膜貫通ドメインの設計にあたり、アルファ-ヘリックス構造に好都合なアミノ酸が好ましい。CARの構築に有用な膜貫通ドメインは、アルファ-ヘリックス二次構造を有する編成に好都合なおよそ10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、22、23、または24個のアミノ酸から構成される。アルファ-ヘリックスコンフォメーションに好都合なアミノ酸は、当技術分野において周知である。例えば、Pace, et al. (1998) Biophysical Journal 75: 422-427を参照されたい。アルファヘリックスコンフォメーションにおいて特に好都合なアミノ酸は、メチオニン、アラニン、ロイシン、グルタミン酸、およびリシンを含む。いくつかの態様では、CAR膜貫通ドメインは、CD3ζ、CD4、CD8、CD28などのI型膜貫通タンパク質からの膜貫通ドメインに由来する場合がある。
CARポリペプチドの細胞質ドメインは、1つまたは複数の細胞内シグナルドメインを含む。一態様では、細胞内シグナルドメインは、抗原受容体の会合後にシグナル伝達を開始するT細胞受容体(TCR)および共受容体の細胞質配列ならびにその機能的誘導体および部分断片を含む。T細胞受容体ゼータ鎖に由来するものなどの細胞質シグナル伝達ドメインは、キメラ受容体と標的抗原との会合に続いてTリンパ球の増殖およびエフェクター機能のための刺激シグナルを産生するためにCARの部分として用いられる。細胞質シグナル伝達ドメインの例は、CD27の細胞質ドメイン、CD28の細胞質ドメイン、CD137(4-1BBおよびTNFRSF9とも称される)の細胞質ドメイン、CD278(ICOSとも称される)の細胞質ドメイン、PI3キナーゼのp110α、β、またはδ触媒サブユニット、ヒトCD3ζ鎖、CD134(OX40およびTNFRSF4とも称される)の細胞質ドメイン、FcεR1γおよびβ鎖、MB1(Igα)鎖、B29(Igβ)鎖など、CD3ポリペプチド(δ、Δおよびε)、sykファミリーチロシンキナーゼ(Syk、ZAP 70など)、srcファミリーチロシンキナーゼ(Lck、Fyn、Lynなど)ならびにCD2、CD5およびCD28などのT細胞形質導入に関与する他の分子を含むが、それに限定されるわけではない。
いくつかの態様では、CARはまた、共刺激ドメインを提供する場合がある。「共刺激ドメイン」という用語は、一次特異的刺激が伝播される二次非特異的活性化メカニズムを提供するCARの刺激ドメイン、典型的には内部ドメインを指す。共刺激ドメインは、CARにおける、メモリー細胞の増殖、生存、または発生を増強する部分を指す。共刺激の例は、T細胞受容体を経由する抗原特異的シグナル伝達後の抗原非特異的T細胞共刺激およびB細胞受容体を経由するシグナル伝達後の抗原非特異的B細胞共刺激を含む。共刺激、例えばT細胞共刺激、および関係因子は、Chen & Flies (2013) Nat Rev Immunol 13(4):227-42に記載されている。本開示のいくつかの態様では、CSDは、TNFRスーパーファミリーのメンバー、CD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)、Dap10、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40またはそれらの組み合わせのうち1つまたは複数を含む。
本開示の方法の実施に有用なCARは、任意で、CARのドメインを連結している1つまたは複数のポリペプチドスペーサー、特にCARのABDと膜貫通ドメインとの間の連結を含む場合がある。CAR構造の不可欠な要素ではないものの、スペーサードメインの包含は、一般的に、ARDによる抗原認識を促進するために望ましいと見なされる。本明細書に記載されるCAR-T細胞技術と併せて使用される「リンカー」、「リンカードメイン」および「リンカー領域」という用語は、約1~100アミノ酸長のポリペプチドを指す。リンカーは、典型的には、CARの隣接ドメインが相互に対してより大きな運動自由度を提供するようにポリペプチドの柔軟性を可能にするアミノ酸残基(例えば、グリシンおよびセリン)から構成される。スペーサーがその機能を達成するために必要なアミノ酸の規定の長さまたは配列は特にないものの、スペーサーの典型的な特性は、抗原認識のターゲティングを促進するためのABDの運動自由度を可能にするための柔軟性である。同様に、CARの機能を保持しながらスペーサーの長さに実質的な寛大さがあることが見出されている。Jensen and Riddell (2014) Immunol. Review 257(1) 127-144。本発明の実施に有用なCARの構築におけるスペーサーとして有用な配列は、IgG1のヒンジ領域、免疫グロブリン1CH2-CH3領域、IgG4ヒンジ-CH2-CH3、IgG4ヒンジ-CH3、およびIgG4ヒンジを含むが、それに限定されるわけではない。ヒンジドメインおよび膜貫通ドメインは、CD8-アルファのヒンジドメインおよび膜貫通ドメインなどの同じ分子に由来する場合がある。Imai, et al. (2004) Leukemia 18(4):676-684。
CARは、しばしば、第1、第2、第3または第4世代と称される。第1世代CARという用語は、細胞質ドメインが抗原結合から単一のシグナル伝達ドメインだけ、例えば、IgE FcεR1γに対する高親和性受容体またはCD3ζ鎖に由来するシグナル伝達ドメインを経由して、シグナルを伝達するCARを指す。ドメインは、抗原依存性T細胞活性化のための1つまたは3つの免疫受容活性化チロシンモチーフ[ITAM]を含有する。ITAMベースの活性化シグナルは、抗原結合に応答して標的腫瘍細胞を溶解し、サイトカインを分泌する能力を有するT細胞を授ける。第2世代CARは、CD3ζシグナルに加えて共刺激シグナルを含む。共刺激シグナルの同時発生的送達は、CAR形質導入T細胞によって誘導されるサイトカイン分泌および抗腫瘍活性を増強する。共刺激ドメインは、通常、CD3ζドメインに対して膜近位である。第3世代CARは、例えばCD28、CD3ζ、OX40または4-1BBシグナル伝達領域を含む3連シグナル伝達ドメインを含む。第4世代または「武装化(armored)car」では、CAR T細胞は、IL-12、IL-18、IL-7、および/またはIL-10;4-1BBリガンド、CD-40リガンドの発現などの免疫活性を増強するための分子および/または受容体を発現または遮断するようにさらに改変される。本発明のCARに組み入れられ得る細胞内シグナル伝達ドメインの例は、(アミノからカルボキシへと):CD3ζ;CD28-41BB-CD3ζ;CD28-OX40-CD3ζ;CD28-41BB-CD3ζ;41BB-CD-28--CD3ζおよび41BB-CD3ζを含む。
CARという用語は、スプリットCAR、オンスイッチCAR、二重特異性またはタンデムCAR、阻害性CAR(iCAR)および人工多能性幹細胞(iPS)CAR-T細胞を含むが、それに限定されるわけではないCARバリアントを含む。「スプリットCAR」という用語は、CARの細胞外部分、ABDおよび細胞質シグナル伝達ドメインが2つの別々の分子上に存在するCARを指す。CARバリアントはまた、条件的に活性化可能なCARであるオンスイッチCARを含み、例えば、スプリットCARの2つの部分の条件付きヘテロ二量体化が薬理学的に制御されるスプリットCARを含む。CAR分子およびその誘導体(すなわち、CARバリアント)は、例えば、PCT出願番号US2014/016527、US1996/017060、US2013/063083; Fedorov et al. Sci Transl Med (2013) ;5(215):215ra172; Glienke et al. Front Pharmacol (2015) 6:21; Kakarla & Gottschalk 52 Cancer J (2014) 20(2):151-5; Riddell et al. Cancer J (2014) 20(2):141-4; Pegram et al. Cancer J (2014) 20(2):127-33; Cheadle et al. Immunol Rev (2014) 257(1):91-106; Barrett et al. Annu Rev Med (2014) 65:333-47; Sadelain et al. Cancer Discov (2013) 3(4):388-98; Cartellieri et al., J Biomed Biotechnol (2010) 956304に記載されており、これらの開示は、その全体で参照により本明細書に組み入れられる。「二重特異性またはタンデムCAR」という用語は、一次CARの活性を増幅または阻害することができる二次CAR結合ドメインを含むCARを指す。「阻害性キメラ抗原受容体」または「iCAR」という用語は、CARを指すために本明細書において互換的に使用され、iCARの結合は、二次CAR結合ドメインの阻害性シグナル伝達ドメインを備える第2の抑制性受容体の会合を経由する、活性CARの活性化をシャットダウンするための二重抗原ターゲティングを使用し、一次CAR活性化の阻害をもたらす。阻害性CAR(iCAR)は、阻害性受容体シグナル伝達モジュールの活性化を経由してCAR-T細胞の活性を調節するように設計される。このアプローチは、2つのCARの活性を組み合わせ、その一方は、活性化受容体によって活性化されるCAR-T細胞の応答を限定する優位な陰性シグナルを生成する。iCARは、正常組織においてのみ発現する特異的抗原に結合した場合、対抗活性化物質CARの応答をスイッチオフすることができる。このようにして、iCAR-T細胞は、がん細胞を健康な細胞と識別することができ、抗原選択的に形質導入T細胞の機能性を可逆的に遮断する。iCARにおけるCTLA-4細胞内ドメインまたはPD-1細胞内ドメインは、Tリンパ球への阻害性シグナルを誘発し、より少ないサイトカイン産生、より効率の低い標的細胞溶解、および変更されたリンパ球運動性をもたらす。「タンデムCAR」または「TanCAR」という用語は、2つの異なる腫瘍関連抗原の独立した会合に応答して刺激シグナルまたは共刺激シグナルを送達するように設計された2つのキメラ受容体の会合を経由してT細胞の二重特異性活性化を媒介するCARを指す。
典型的には、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)は、上記教示に実質的に従ってCARをコードする発現ベクターの形質導入によって組み換え改変されているT細胞である。
いくつかの態様では、操作されたT細胞は、治療される個体に対して同種である。Graham et al. (2018) Cell 7(10) E155。いくつかの態様では、操作された同種T細胞は、完全にHLAがマッチする。しかし、すべての患者が完全にマッチしたドナーを有するわけではなく、HLAタイプと無関係にすべての患者に適する細胞産物が代替となる。
細胞産物は、対象自身のT細胞からなり得るので、対象に投与されることになる細胞集団は、必然的に可変である。そのうえ、CAR-T細胞作用物質は可変であるので、このような作用物質への応答は、変動する可能性があり、したがって、治療関連毒性の監視および管理の継続を伴う。治療関連毒性は、薬理学的免疫抑制またはCAR-T細胞治療の施与前のB細胞枯渇のクールにより管理される。通常、収集の間に得られるT細胞の数によって限定される、通常、少なくとも1×106細胞/kg、少なくとも1×107細胞/kg、少なくとも1×108細胞/kg、少なくとも1×109細胞/kg、少なくとも1×1010細胞/kg、またはそれより多くが投与されるであろう。操作された細胞は、細胞が適切な成長部位を見出し得る他の経路によっても導入され得るものの、任意の生理学的に許容される媒質中で、任意の好都合な投与経路によって、対象に、通常は血管内に注入される場合がある。
本発明の実施に使用されるT細胞が同種T細胞である場合、そのような細胞は、移植片対宿主病を低減するように改変され得る。例えば、本発明の操作された細胞は、遺伝子編集技術によって達成されるTCRαβ受容体ノックアウトであり得る。TCRαβはヘテロ二量体であり、それが発現するには、アルファ鎖およびベータ鎖の両方が存在する必要がある。単一遺伝子がアルファ鎖をコードし(TRAC)、一方でベータ鎖をコードする遺伝子は2つあり、したがって、TRAC座位KOがこの目的のために欠失されている。この欠失を達成するためにいくつかの異なるアプローチ、例えば、CRISPR/Cas9;メガヌクレアーゼ;操作I-CreIホーミングエンドヌクレアーゼなどが使用されている。例えば、TRACコード配列がCARコード配列によって置換されているEyquem et al. (2017) Nature 543:113-117;およびCARをTRAC座位に直接組み入れずに、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/Cas9によるTRAC破壊とCAR発現を連結したGeorgiadis et al. (2018) Mol. Ther. 26:1215-1227を参照されたい。GVHDを予防するための代替戦略は、例えば、TCR阻害分子としてCD3ζの短縮型を使用してTCRαβシグナル伝達の阻害剤を発現するようにT細胞を改変する。
補助作用物質としてのケモカイン作用物質およびサイトカイン作用物質:
いくつかの態様では、IL2ムテインは、その各々の類似体およびバリアントを含むIL-7、IL-12、IL-15およびIL-18を含むが、それに限定されるわけではないさらなるサイトカインと組み合わせて投与される。
活性化誘導細胞死阻害剤
いくつかの態様では、IL2ムテインは、活性化誘導細胞死(AICD)を阻害する1つまたは複数の補助作用物質と組み合わせて投与される。AICDは、Fas受容体(例えば、Fas、CD95)とFasリガンド(例えば、FasL、CD95リガンド)との相互作用に起因するプログラム細胞死の一形態であり、末梢性免疫寛容を維持することを助ける。AICDエフェクター細胞はFasLを発現し、アポトーシスが、Fas受容体を発現している細胞において誘導される。活性化誘導細胞死は、それらのT細胞受容体の繰り返し刺激に起因する活性化Tリンパ球の負の調節物質である。本明細書に記載されるIL2ムテインと組み合わせて使用され得る、AICDを阻害する作用物質の例は、シクロスポリンA(Shih, et al., (1989) Nature 339:625-626)、IL-16および類似体(rhIL-16を含む、Idziorek, et al., (1998) Clinical and Experimental Immunology 112:84-91)、TGFb1(Genesteir, et al., (1999) J Exp Med189(2): 231-239)、およびビタミンE(Li-Weber, et al., (2002) J Clin Investigation 110(5):681-690)を含むが、それに限定されるわけではない。
物理的方法 いくつかの態様では、補助作用物質は、放射線療法、寒冷療法、温熱療法、外科手術、レーザーアブレーション、および陽子線治療を含むが、それに限定されるわけではない抗新生物性物理的方法である。
投薬量:このような対象IL2ムテインまたは核酸化合物の投薬量、毒性、および治療有効性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトに使用するための投薬量範囲の設定に使用することができる。このような化合物の投薬量は、好ましくは、最小許容毒性を有するED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、採用される投薬形態および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動し得る。本発明の方法に使用される任意の化合物について、治療有効用量は、最初、細胞培養アッセイから推定することができる。用量は、細胞培養において決定された場合のIC50を含む循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルで設定され得る。このような情報を使用して、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
本明細書において定義される場合、対象IL2ムテインの治療有効量(すなわち、有効投薬量)は、選択されるポリペプチドに依存する。例えば、約0.001~0.1mg/kg患者体重の範囲の単回用量を投与することができる。いくつかの態様では、約0.005、0.01、0.05mg/kgが投与され得る。いくつかの態様では、600,000IU/kgが投与される(IUは、リンパ球増殖バイオアッセイによって決定することができ、インターロイキン-2(ヒト)に関する世界保健機関第1回国際標準によって確立された国際単位(IU)で表現される)。
いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインの薬学的に許容される形態は、Klatzmanら、米国特許第9,669,071号および第10,293,028B2に記載される「低用量」治療プロトコルに従って対象に投与され、それらの全教示は、参照により本明細書に組み入れられる。さらなる低用量プロトコルは、Smith, K.A. (1993) Blood 81(6): 1414-1423、He, et al (2016) Nature Medicine 22(9): 991-993に記載されている。
本発明のいくつかの態様では、本開示は、治療有効量の本開示のhIL2ムテインを対象に投与することによって、対象における新生物疾患、障害、または状態を治療および/または予防するための方法および組成物を提供し、ここで、血清濃度は、ある期間(例えば少なくとも24時間、代替的に少なくとも48時間、代替的に少なくとも72時間、代替的に少なくとも96時間、代替的に少なくとも120時間、代替的に少なくとも144時間、代替的に少なくとも7日、代替的に少なくとも10日、代替的に少なくとも12日、代替的に少なくとも14日、代替的に少なくとも28日、代替的に少なくとも45日、代替的に少なくとも60日、またはそれ以上)の大部分(すなわち、期間の約50%よりも長い、代替的に約60%よりも長い、代替的に約70%よりも長い、代替的に約80%よりも長い、代替的に約90%よりも長い)にわたって、当該IL2ムテインに関してCD3によって活性化した初代ヒトT細胞の増殖を促進するのに十分なIL2ムテインの有効濃度以上(例えば、EC10
PRO以上、代替的にEC20
PRO以上、代替的にEC30
PRO以上、代替的にEC40
PRO以上、EC50
PRO以上、代替的にEC60
PRO以上)の血清濃度であるが、当該IL2ムテインに関してT細胞の活性化を誘導するのに十分な当該IL2ムテインの血清濃度での有効濃度以下(例えば、EC100
PRO以下、代替的にEC90
PRO以下、代替的にEC80
PRO以下、代替的にEC70
PRO以下、EC60
PRO以下、代替的にEC50
PRO以下)の血清濃度に維持される。
本発明のいくつかの態様では、本開示は、対象に投与することによって、対象における新生物疾患、障害、または状態を治療および/または予防するための方法および組成物を提供し、ここで、治療有効量のhIL2ムテインは、該ヒトIL2ムテインの血清濃度を、少なくとも24時間、代替的に少なくとも96時間、代替的に少なくとも120時間、代替的に少なくとも144時間、代替的に少なくとも7日間、代替的に少なくとも10日間、代替的に少なくとも12日間、代替的に少なくとも14日間、代替的に少なくとも28日間、代替的に少なくとも45日間、代替的に少なくとも60日間、またはそれ以上の期間の約50%よりも長い、代替的に約60%よりも長い、代替的に約70%よりも長い、代替的に約80%よりも長い、代替的に約90%よりも長い間、CD3により活性化した初代ヒトT細胞の増殖を促進するのに十分な該IL2ムテインの有効濃度以上(>EC10
PRO)、かつ該IL2ムテインに関してT細胞の活性化を誘導するのに十分な該IL2ムテインの血清濃度以下(すなわち、EC90
PRO未満)に維持するのに十分である。
本発明のいくつかの態様では、本開示は、対象に投与することによって、対象における新生物疾患、障害、または状態を治療および/または予防するための方法および組成物を提供し、ここで、治療有効量のhIL2ムテインは、少なくとも24時間、代替的に少なくとも96時間、代替的に少なくとも120時間、代替的に少なくとも144時間、代替的に少なくとも7日間、代替的に少なくとも10日間、代替的に少なくとも12日間、代替的に少なくとも14日間、代替的に少なくとも28日間、代替的に少なくとも45日間、代替的に少なくとも60日間、またはそれより長い期間の約50%よりも長い、代替的に約60%よりも長い、代替的に約70%よりも長い、代替的に約80%よりも長い、代替的に約90%よりも長い間にわたって、ヒトIL2ムテインの血清濃度を、CD3により活性化した初代ヒトT細胞の増殖を促進するのに十分なIL2ムテインの有効濃度またはそれより高く(>EC10
PRO)、かつ当該IL2ムテインに関してT細胞の活性化を誘導するのに十分な当該IL2ムテインの血清濃度またはそれより低く(すなわちEC90
PRO未満)維持するのに十分であり、ここで、IL2またはhIL2ポリペプチドは、以下の変異のセット:L18R、Q22E、およびQ126H;L18R、Q22E、およびQ126K;L18R、Q22EおよびQ126M;L18R、Q22EおよびQ126T;L18R;Q22E;V91K;V91R;Q126H;L18R、およびQ126H;Q22E、およびQ126H;L18G、Q22EおよびQ126H;L18A、Q22EおよびQ126H;L18M、Q22EおよびQ126H;L18F、Q22EおよびQ126H;L18W、Q22EおよびQ126H;L18K,Q22EおよびQ126H;L18Q、Q22EおよびQ126H;L18E、Q22EおよびQ126H;L18S、Q22EおよびQ126H;L18V、Q22EおよびQ126H;L18I、Q22EおよびQ126H;L18Y、Q22EおよびQ126H;L18H、Q22EおよびQ126H;L18N、Q22EおよびQ126H;L18D、Q22EおよびQ126H;L18T、Q22EおよびQ126H;L18R、Q22GおよびQ126H;L18R、Q22AおよびQ126H;L18R、Q22LおよびQ126H;L18R、Q22MおよびQ126H;L18R、Q22FおよびQ126H;L18R、Q22WおよびQ126H;L18R、Q22KおよびQ126H;L18R、Q22SおよびQ126H;L18R、Q22VおよびQ126H;L18R、Q22IおよびQ126H;L18R、Q22YおよびQ126H;L18R、Q22HおよびQ126H;L18R、Q22RおよびQ126H;L18R、Q22NおよびQ126H;L18R、Q22DおよびQ126H;ならびにL18R、Q22TおよびQ126Hからなる群より選択される変異のセットを含む。
本発明の別の局面に従い、本開示のIL2ムテインを投与することによって動物の免疫系を刺激するための方法が提供される。方法は、宿主免疫応答が欠損している病状を治療するために有用である。対象を治療するにあたり、化合物(すなわち活性成分)の治療有効用量が投与される。治療有効用量は、対象の症状の改善または生存期間の延長を生じる活性成分の量を指す。有効用量は、投与されるIL2ムテインの特徴、治療される対象の身体的特徴、疾患または状態の性質、などにより変動するであろう。単回投与は、約50,000IU/kg~約1,000,000IU/kgまたはそれ以上の範囲、より典型的には約600,000IU/kgの範囲であることができる。これは、1日数回(例えば、1日2~3回)、数日間(例えば、連続約3~5日)繰り返される場合があり、次いで休止期間(例えば、約7~14日)の後に1回または複数回繰り返される場合がある。したがって、有効用量は、単回だけの投与またはある期間にわたる多回投与を含み得る(例えば、約600,000IU/kgを約20~30回、各々約10~20日間にわたり与える個別の投与)。
組成物は、1回または複数回/日から、一日おきに一回を含む、1回または複数回/週投与することができる。当業者は、疾患または障害の重症度、以前の治療、対象の全身の健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含むが、それに限定されるわけではない特定の要因が、対象を効果的に治療するために必要な投薬量およびタイミングに影響し得ることを認識しているであろう。その上、対象IL2ムテインの治療有効量を用いた対象の治療は、単回治療を含むことができる、または一連の治療を含むことができる。一態様では、組成物は、8時間毎5日間投与され、続いて、2~14日の休止期間、例えば9日に、さらなる8時間毎5日間の投与が続く。別の態様では、組成物は、2日に1回、少なくとも6日間、任意で少なくとも10日間、任意で少なくとも14日間、任意で少なくとも30日間、任意で少なくとも60日間投与される。当業者は、治療が慢性状態の治療のために延長される場合があり、自己免疫疾患(例えば、乾癬、IBD、その他)などの慢性疾患の症状の再発を予防する場合があることを認識しているであろう。
薬学的組成物は、投与のための説明書と一緒に容器、パック、またはディスペンサー中に含まれることができる。
毒性副作用を示す化合物が使用され得るとはいえ、未感染細胞への潜在的損傷を最小限にし、それにより副作用を低減するために、罹患組織部位にこのような化合物を標的付ける送達システムを設計するために注意を払うべきである。IL2ムテインの毒性および治療有効性は、細胞培養または実験動物における標準的薬学的手順によって決定することができる。細胞培養アッセイおよび動物試験を使用して、LD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%に治療的に有効な用量)を決定することができる。毒性作用と治療効果との間の用量比は治療指数であり、治療指数は、比LD50/ED50として表現することができる。大きな治療指数を示すIL2ムテインが好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトでの使用に適した投薬量の範囲の設定に使用することができる。このような変異体の投薬量は、好ましくは、毒性がほとんどまたはまったくなしにED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、多様な要因、例えば、採用される剤形、利用される投与経路、対象の状態、などに応じてこの範囲内で変動し得る。
治療有効用量は、最初、EC50を決定することによって細胞培養アッセイから推定することができる。次いで、用量を動物モデルで設定して、細胞培養で決定されたEC50を含む循環血漿濃度範囲を達成することができる。このような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより精密に決定することができる。血漿中レベルは、例えばHPLCによって測定され得る。正確な製剤、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個別の医師によって選択されることができる。
IL2ムテインを用いて治療された患者の担当医師は、毒性、臓器機能不全などの要因により、投与をいつ、どのように終結する、中断する、または調整するかを知っているであろう。逆に、担当医師はまた、臨床応答が不十分(毒性を除く)ならば、治療をより高いレベルに調整することを知っているであろう。関心対象の障害の管理における投与用量の大きさは、治療される状態の重症度、投与経路、などに応じて変動するであろう。状態の重症度は、例えば、標準的な予後評価方法によって一部評価され得る。さらに、用量およびおそらく投薬回数はまた、個々の患者の年齢、体重、および応答に従って変動するであろう。
キット:本開示はまた、薬学的組成物、IL2ムテインおよびその薬学的組成物を含むキットを考えている。キットは、一般的に、下記のような様々な構成要素を収容している物理的構造の形態であり、例えば上記の方法の実施に利用することができる。キットは、使用できる状態の、対象への投与に適した薬学的組成物の形態、または投与前に調製、例えば、解凍、再構成もしくは希釈を必要とする形態のIL2ムテインを含み得る。IL2ムテインが使用者によって再構成される必要のある形態である場合、キットはまた、緩衝剤、薬学的に許容される賦形剤、などを含む再構成媒を提供している無菌容器を含み得る。本開示のキットは、その中に収容された構成要素を正しく維持する(例えば、冷蔵または凍結)ために必要な条件のために設計することができる。キットはさらに、その中の構成要素についての識別情報およびそれらの使用説明書を含むラベルまたは添付文書を含有する場合がある。キットの各構成要素を個々の容器内に内蔵することができ、様々な容器をすべて1つのパッケージに入れることができる。ラベルまたは添付文書は、ロット番号および有効期限などの製造者情報を含むことができる。ラベルまたは添付文書は、例えば、構成要素を内蔵している物理的構造中に組み入れられるか、物理的構造内に別々に含有されるか、またはキットの構成要素(例えば、アンプル、シリンジまたはバイアル)に貼り付けられることができる。ラベルまたは添付文書は、物理的形態またはコンピューター可読媒体中に提供される場合がある。いくつかの態様では、実際の説明書はキット内に存在せず、逆にキットは、行政の規制(例えばHIPAA)に従い遠隔供給源から例えばパスワード(またはIL2ムテインもしくはそれを含むキットの容器上のバーコードもしくはQRコードのようなスキャン可能なコード)を提供することによる安全なアクセスによるものを含むインターネットのサイトを介して説明書を得るための手段を提供する。
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのようなより小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含むことが意図される。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのようなより大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲がすべて本明細書に明確に記載されているかのように含む。
本明細書に引用されるいかなる参考文献も、先行技術を構成すると認めるものではない。参考文献の考察は、その著者が主張するものを提示しており、本発明者らは、引用文献の正確性および妥当性に異議を申し立てる権利を有する。科学雑誌の記事、特許文書、および教科書を含むいくつかの情報源が、本明細書において参照されるものの;この参照は、これらの文書のいずれかが当技術分野において共通一般知識の一部を形成すると認めることにはならないことは、明らかに分かるであろう。
本明細書に示される一般的方法に関する考察は、例示することのみを意図している。他の代替的な方法および代替形態は、本開示を検討すれば当業者に明らかであり、本出願の精神および範囲内に含まれるものとする。
以下の実施例は、本明細書に提供される発明の特定の態様を説明するために提供されるのであって、限定するものとして解釈されるべきでない。
実施例1:ヒトIL2発現ベクターpcDNA3.1/hygro(+)-huIL2の生成
ヒトIL2 DNAオープンリーディングフレーム(「ORF」)(Genbank NM_000586.3)を合成し(Life Technologies GeneArt Service, Carlsbad, CA)、これを、Platinum SuperFi II DNAポリメラーゼキット(カタログ番号12361050として市販、ThermoFisher)を使用し、製造者のプロトコルに実質的に従い、NheI制限部位を組み入れるプライマー 5’ TATAGTCAGCGCCACcCATGTACAGGATGCAACTCCTGTC 3’(SEQ ID NO: 14)およびApaI制限部位を組み入れるプライマー 5’ TATAGGGCCCTATCAAGTCAGTGTTGAGATG 3’(SEQ ID NO: 15)を使用するPCRにより増幅した。PCR断片を1% アガロースゲル(アイテム#54803, Lonza, Rockland, ME)上で視覚化し、ゲルから切り出し、QIAquick PCR精製キット(カタログ番号28106として市販、Qiagen、Germany)を使用して製造者のプロトコルに従って精製した。
精製されたPCR断片および哺乳動物発現ベクターpcDNA 3.1/hygro(+)(カタログ番号V87020として市販、ThermoFisher、Carlsbad CA)をNheIおよびApaI(カタログ番号R0111SおよびR0114Lとして市販、New England Biolabs、Ipswich、MA)制限酵素で消化した。発現ベクターを、製造者のプロトコルに実質的に従ってQuick脱リン酸化キット(カタログ番号M0508Lとして市販、New England Biolabs)を用いてさらに処理した。Rapid DNAライゲーションキット(カタログ番号11635379001として市販、Sigma Aldrich、St. Louis、MO)を製造者のプロトコルに実質的に従って使用して、PCR断片をpcDNA 3.1/hygro(+)内にライゲートし、One Shot TOP 10ケミカルコンピテント大腸菌(カタログ番号C404006として市販、Life Technologies、Carlsbad、CA)中に形質転換し、100ug/ml カルベニシリンを含有するLB寒天プレート(カタログ番号L1010として市販、Teknova、Hollister、CA)上に蒔き、37Cで一晩成長させた。
翌日、個々の細菌コロニーを釣り上げ、100ug/ml アンピシリン(カタログ番号A9626として市販、Teknova)を有するLBブロス(#10855-001, Life Technologies)中で3ml細菌培養を開始するために使用した。培養物を37Cで一晩成長させた。翌日、大腸菌をペレットにし(6,000rpm、10分、卓上遠心分離機カタログ番号5424として市販、Eppendorf、Hauppauge、NY)、QIAprep Spin Mimprep Kit(#27106, Qiagen)を使用してDNA発現ベクターを単離した。プラスミドDNAをシーケンシングにより検証した(MCLab, South San Francisco, CA)。
実施例2. ヒトIL2 REH発現ベクターpcDNA3.I/hygro(+)-huIL2-REHの生成
ヒトIL2 ORE内に3つの変異(L38R、Q42EおよびQ146H;すべての番号付けは、全長ヒトIL2 ORF NM_000586.3の番号付け、すなわち、成熟hIL2分子のアミノ酸20個の配列ではなく、シグナルペプチドを含んで発現した場合のhIL2の番号付けに基づく)を導入した発現ベクターを実施例1の教示に実質的に従って組み立てたが、以下を例外とした。PCRのために使用された最初のテンプレートDNAを、L38R(成熟タンパク質のL18R)、Q42E(成熟タンパク質のQ22E)およびQ146H(成熟タンパク質のQ126H)変異を有するように合成した。
実施例3. ヒトIL2 REM発現ベクターpcDNA3.1/hygro(+)-huIL2 REMの生成
ヒトIL2 ORF内に3つの変異(L38R、Q42EおよびQ146M;すべての番号付けは、全長ヒトIL2 ORF NM_000586.3の番号付けに基づく)を導入した発現ベクターを、pcDNA3.1/hygro(+)におけるヒトIL2発現ベクターについて記載したものに正確に従って組み立てたが、以下を例外とした:PCRのために使用された最初のテンプレートDNAを、L38R、Q42EおよびQ146M変異を有するように合成した。
実施例4. pcDNA3.1/hygro(+)-huIL2およびpcDNA3.1/hygro(+)-huIL2 REH発現ベクター内への変異または逆変異の導入
すべての変異または逆変異(pcDNA3.1/hygro(+)-huIL2-REHにおける変異を野生型ヒトIL2 ORFとマッチするように復帰させる)をQuik Change II部位特異的変異誘発キット(#200524, Agilent Technologies, Santa Clara, CA)を製造者のプロトコルに実質的に従って使用して、pcDNA 3.1/hygro(+)-huIL2またはpcDNA3.1/hygro(+)-huIL2-REH発現ベクター中に導入した。表15および表16に、生成された変異、変異が導入されたテンプレート、および変異を導入するために使用したプライマーセットを記載する。pcDNA3.1/hygro-huIL2発現ベクターの生成と同じプロトコルを使用して、Quik Change PCR反応物の大腸菌への形質転換のみならず、プラスミドDNAの単離および配列解析を実施した。
実施例5. HEK293細胞における一過性トランスフェクション
すべての発現ベクターをHEK293細胞(#CRL-1573, ATCC, Manassas, VA)中に一過性トランスフェクトした。約1E6個のHEK293細胞を、6ウェル組織培養プレートの各ウェル中の、10% ウシ胎児血清(#SH30071.03, Fisher Scientific. Chicago, IL)を補充したDMEM(#10569044, Life Technologies)2ml中に蒔き、37Cおよび5% CO2で一晩成長させた。翌日、トランスフェクション1回あたりDNA 2.5ug、P3000試薬 5ul、およびLipofectamine 3000 7.5ulを使用して、Lipofectamine 3000試薬(#L3000150, Life Technologies)を製造者のプロトコルに従って使用して細胞をトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を37C、5% C02で48~72時間成長させ、次いで馴化培地を回収した。
実施例6. タンパク質の発現解析
タンパク質の発現を、ヒトIL2 V-PLEX ELISAキット(#K151QQD-4, Mesoscale Diagnostics, Baltimore, MD)を製造者のプロトコルに従って使用するELISAによって測定した(トランスフェクト後の培地を最初1:4に希釈し、次いで1:2に系列希釈した)。Meso Quickplex SQ120(Mesoscale Diagnostics)を用いて、このELISAキットのための製造者の事前プログラム設定を使用してプレートを読み取った。キット中のヒトIL2標準を使用して、馴化培地試料中のおよその発現レベルを計算した。
実施例7. CD25-細胞およびCD25+細胞上のIL2活性(STAT5)の決定
2~3日インキュベートした後、可溶性IL2タンパク質を含有する293T細胞からの上清の試料を上記実施例5に従って調製し、YT細胞(CD25NEG)およびCD25を構成的に発現するように操作されたYT細胞(YTCD25POS)に約20分間添加した。ホスホ-STAT5(pSTAT5)の誘導レベルをフローサイトメトリーによって測定した。pSTAT5レベルの誘導倍率の結果を添付の図面の図2に示す。CD25状態に対するIL2タンパク質の選択性を、CD25+ YT細胞でのホスホ-STAT5の上昇レベル(pSTAT5YTCD25)をCD25陰性YT細胞におけるホスホ-STAT5のレベル(pSTAT5YT)で割ったものとして計算した。これらの実験の結果を添付の図面の図2に提供する。
提示されたデータから分かるように、本開示のIL2ムテインは、CD25陽性細胞上のpSTAT5の選択的誘導を提供し、顕著なIL2活性を保持する。
実施例8. ヒトT細胞クローン3F8におけるオルソログの活性の評価
CD4陽性ヒトT細胞クローン3F8細胞における活性について代表的なhIL-2ムテインのパネルを評価した。混合リンパ球反応の2連続ラウンドに続く、記載のような(Yssel and Spits (2002) Current Protocols in Immunology 7.19.1 - 7.19.12)限界希釈による単一細胞クローニングにおいてEBV形質導入B細胞株JYによる健康ドナーのPBMCの活性化によってCD4陽性T細胞クローン3F8を生成した。CD4陽性T細胞クローン3F8は、CD25およびCD122を発現し、IL-2に応答して増殖し、IFNγを産生する。
3F8細胞を、hIL-2ムテインをトランスフェクトされた293T細胞からの上清と以下のように接触させた:Yssel培地(Iscove変法ダルベッコ培地(ThermoFisher)、0.25%w/v ヒトアルブミン(Sigma)、1パーセント ペニシリン/ストレプトマイシン(ThermoFisher)、1パーセント ITS-Xインスリン、トランスフェリン、セレン(Gibco)、30mg/L トランスフェリン(Roche)、2mg/L パルミチン酸(Sigma)、1パーセント LA-OA-アルブミンリノール酸、オレイン酸(Sigma)、1パーセント ヒト血清(Gemini))(Yssel et al (1984) J Immunol Methods 72: 219 - 227)からなる成長培地中で細胞を20万個/mlで、10万個/ウェルの50Gy照射JY細胞および100万個/mlの40Gy照射同種PBMCと共に成長させた。6日培養し、100pMのヒトIL-2を用いた拡大増殖後、細胞を洗浄し、透明底黒色96ウェルプレート(Costar)中、成長培地75μl中に細胞5万個/ウェルで蒔いた。成長培地中にトランスフェクトされた293T細胞上清の5倍系列希釈を行い、各希釈物75μlを3F8細胞のプレートに、1:2~1:78125の最終タイトレーションで、二つ組で加えた。プレートを加湿インキュベーター(ThermoFisher)に移し、5パーセント二酸化炭素中、セ氏37度で3日間インキュベートした。
プレートをインキュベーターから取り出し、培養上清40μlを96ウェル平底プレート(Costar)中に回収した。二つ組のウェルからの上清をプールした。製造者の説明に従って、Celltiterglo(Promega)をウェル1つあたり100μl添加することによって細胞を溶解させた。オービタルシェーカー(VWR Scientific)上で細胞溶解物を300rpmで2分間混合し、次いで、10分間室温に保った。3F8細胞溶解物についての発光を、Envision 2103 Multilabelプレートリーダー(Perkin Elmer)を用いてカウント/秒として読み取った。
MSD IFNγ V-Plexキット(MSD K151QOD)を製造者の説明書に従って使用して、培養上清中のIFNγの産生を測定した。簡潔には、mAbをプレコートしたMSD IFNγアッセイプレートをトリス洗浄緩衝液150μLで3回洗浄し、IFNγ標準を希釈液2の中に希釈した。培養上清を希釈液2で1:1希釈し、試料および標準50μLをIFNγアッセイプレートに添加し、オービタルシェーカー(VWR Scientific)上、300rpmおよび室温で120分間インキュベートした。プレートをトリス洗浄緩衝液で3回洗浄し、希釈液3中の1×検出抗体 25μLを各ウェルに添加した。プレートをオービタルシェーカー(VWR Scientific)上、300rpmおよび室温で60分間インキュベートした。プレートをトリス洗浄緩衝液で3回洗浄し、2×リード緩衝液T 150μLを各ウェルに添加し、Mesoscale Quickplex SQ120装置で発光シグナルを読み取った。MSDソフトウェアを用いて標準曲線に基づき上清中のIFNγ濃度を計算した。
3F8細胞の増殖およびIFNγ産生に対する各hIL-2ムテインの効果を比較するために、上清で処理された細胞についてのCelltiterGlo値およびIFNγ濃度を、成長培地のみ、野生型IL-2トランスフェクション、またはヒトREK IL-2トランスフェクションからの上清で処理された対照細胞について得られたものと比較した。これらの実験からのデータを表5および図4に示す。これらのデータは、hIL-2ムテインが増殖を誘導する活性と、IFNγ産生との間の相関関係を実証している。