最初に、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る掘削機としてのショベル100について説明する。図1はショベル100の側面図であり、図2はショベル100の上面図である。
本実施形態では、ショベル100の下部走行体1はクローラ1Cを含む。クローラ1Cは、下部走行体1に搭載されている走行アクチュエータとしての走行油圧モータ2Mによって駆動される。具体的には、クローラ1Cは左クローラ1CL及び右クローラ1CRを含む。左クローラ1CLは左走行油圧モータ2MLによって駆動され、右クローラ1CRは右走行油圧モータ2MRによって駆動される。
下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。旋回機構2は、上部旋回体3に搭載されている旋回アクチュエータとしての旋回油圧モータ2Aによって駆動される。但し、旋回アクチュエータは、電動アクチュエータとしての旋回電動発電機であってもよい。
上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントATを構成する。ブーム4はブームシリンダ7で駆動され、アーム5はアームシリンダ8で駆動され、バケット6はバケットシリンダ9で駆動される。ブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9は、アタッチメントアクチュエータを構成している。エンドアタッチメントは、法面バケットであってもよい。
ブーム4は、上部旋回体3に対して上下に回動可能に支持されている。そして、ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられている。ブーム角度センサS1は、ブーム4の回動角度であるブーム角度αを検出できる。ブーム角度αは、例えば、ブーム4を最も下降させた状態からの上昇角度である。そのため、ブーム角度αは、ブーム4を最も上昇させたときに最大となる。
アーム5は、ブーム4に対して回動可能に支持されている。そして、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられている。アーム角度センサS2は、アーム5の回動角度であるアーム角度βを検出できる。アーム角度βは、例えば、アーム5を最も閉じた状態からの開き角度である。そのため、アーム角度βは、アーム5を最も開いたときに最大となる。
バケット6は、アーム5に対して回動可能に支持されている。そして、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。バケット角度センサS3は、バケット6の回動角度であるバケット角度γを検出できる。バケット角度γは、バケット6を最も閉じた状態からの開き角度である。そのため、バケット角度γは、バケット6を最も開いたときに最大となる。
図1の実施形態では、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3のそれぞれは、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成されている。但し、加速度センサのみで構成されていてもよい。また、ブーム角度センサS1は、ブームシリンダ7に取り付けられたストロークセンサであってもよく、ロータリエンコーダ、ポテンショメータ、又は慣性計測装置等であってもよい。アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3についても同様である。
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられ、且つ、エンジン11等の動力源が搭載されている。また、上部旋回体3には、空間認識装置70、向き検出装置71、測位装置73、機体傾斜センサS4、及び旋回角速度センサS5等が取り付けられている。キャビン10の内部には、操作装置26、コントローラ30、情報入力装置72、表示装置D1、及び音声出力装置D2等が設けられている。なお、本書では、便宜上、上部旋回体3における、掘削アタッチメントATが取り付けられている側を前方とし、カウンタウェイトが取り付けられている側を後方とする。
空間認識装置70は、ショベル100の周囲の三次元空間に存在する物体を認識するように構成されている。また、空間認識装置70は、空間認識装置70又はショベル100から認識された物体までの距離を算出するように構成されていてもよい。空間認識装置70は、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、単眼カメラ、ステレオカメラ、LIDAR、距離画像センサ、赤外線センサ等、又はそれらの任意の組み合わせを含む。本実施形態では、空間認識装置70は、キャビン10の上面前端に取り付けられた前方センサ70F、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後方センサ70B、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左方センサ70L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右方センサ70Rを含む。上部旋回体3の上方の空間に存在する物体を認識する上方センサがショベル100に取り付けられていてもよい。
向き検出装置71は、上部旋回体3の向きと下部走行体1の向きとの相対的な関係に関する情報を検出するように構成されている。向き検出装置71は、例えば、下部走行体1に取り付けられた地磁気センサと上部旋回体3に取り付けられた地磁気センサの組み合わせで構成されていてもよい。或いは、向き検出装置71は、下部走行体1に取り付けられたGNSS受信機と上部旋回体3に取り付けられたGNSS受信機の組み合わせで構成されていてもよい。向き検出装置71は、ロータリエンコーダ、ロータリポジションセンサ等、又は、それらの任意の組み合わせであってもよい。旋回電動発電機で上部旋回体3が旋回駆動される構成では、向き検出装置71は、レゾルバで構成されていてもよい。向き検出装置71は、例えば、下部走行体1と上部旋回体3との間の相対回転を実現する旋回機構2に関連して設けられるセンタージョイントに取り付けられていてもよい。
向き検出装置71は、上部旋回体3に取り付けられたカメラで構成されていてもよい。この場合、向き検出装置71は、上部旋回体3に取り付けられているカメラが撮像した画像(入力画像)に既知の画像処理を施して入力画像に含まれる下部走行体1の画像を検出する。そして、向き検出装置71は、既知の画像認識技術を用いて下部走行体1の画像を検出することで、下部走行体1の長手方向を特定する。そして、上部旋回体3の前後軸の方向と下部走行体1の長手方向との間に形成される角度を導き出す。上部旋回体3の前後軸の方向は、カメラの取り付け位置から導き出される。特に、クローラ1Cは上部旋回体3から突出しているため、向き検出装置71は、クローラ1Cの画像を検出することで下部走行体1の長手方向を特定できる。この場合、向き検出装置71は、コントローラ30に統合されていてもよい。また、カメラは、空間認識装置70であってもよい。
情報入力装置72は、ショベルの操作者がコントローラ30に対して情報を入力できるように構成されている。本実施形態では、情報入力装置72は、表示装置D1の表示部に近接して設置されるスイッチパネルである。但し、情報入力装置72は、表示装置D1の表示部の上に配置されるタッチパネルであってもよく、キャビン10内に配置されているマイクロフォン等の音声入力装置であってもよい。また、情報入力装置72は、外部からの情報を取得する通信装置であってもよい。
測位装置73は、上部旋回体3の位置を測定するように構成されている。本実施形態では、測位装置73は、GNSS受信機であり、上部旋回体3の位置を検出し、検出値をコントローラ30に対して出力する。測位装置73は、GNSSコンパスであってもよい。この場合、測位装置73は、上部旋回体3の位置及び向きを検出できるため、向き検出装置71としても機能する。
機体傾斜センサS4は、所定の平面に対する上部旋回体3の傾斜を検出する。本実施形態では、機体傾斜センサS4は、水平面に関する上部旋回体3の前後軸回りの傾斜角及び左右軸回りの傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、互いに直交してショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点を通る。
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出する。本実施形態では、ジャイロセンサである。レゾルバ、ロータリエンコーダ等、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。旋回角速度センサS5は、旋回速度を検出してもよい。旋回速度は、旋回角速度から算出されてもよい。
以下では、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4及び旋回角速度センサS5の少なくとも1つは、姿勢検出装置とも称される。掘削アタッチメントATの姿勢は、例えば、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3のそれぞれの出力に基づいて検出される。
表示装置D1は、情報を表示する装置である。本実施形態では、表示装置D1は、キャビン10内に設置された液晶ディスプレイである。但し、表示装置D1は、スマートフォン等の携帯端末のディスプレイであってもよい。
音声出力装置D2は、音声を出力する装置である。音声出力装置D2は、キャビン10内の操作者に向けて音声を出力する装置、及び、キャビン10外の作業者に向けて音声を出力する装置の少なくとも1つを含む。携帯端末のスピーカであってもよい。
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。操作装置26は、例えば、操作レバー及び操作ペダルを含む。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータの少なくとも1つを含む。
コントローラ30は、ショベル100を制御するための制御装置である。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、揮発性記憶装置、及び不揮発性記憶装置等を備えたコンピュータで構成されている。そして、コントローラ30は、各機能に対応するプログラムを不揮発性記憶装置から読み出して揮発性記憶装置にロードし、対応する処理をCPUに実行させる。各機能は、例えば、操作者によるショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能、及び、操作者によるショベル100の手動操作を支援したり或いはショベル100を自動的或いは自律的に動作させたりするマシンコントロール機能を含む。コントローラ30は、ショベル100の周囲の監視範囲内に存在する物体とショベル100との接触を回避するためにショベル100を自動的或いは自律的に動作させたり或いは停止させたりする接触回避機能を含んでいてもよい。ショベル100の周囲の物体の監視は、監視範囲内だけでなく監視範囲外に対しても実行される。この際、コントローラ30は、物体の種類と物体の位置を検出する。
次に、図3を参照し、ショベル100に搭載される油圧システムの構成例について説明する。図3は、ショベル100に搭載される油圧システムの構成例を示す図である。図3は、機械的動力伝達系、作動油ライン、パイロットライン及び電気制御系を、それぞれ、二重線、実線、破線及び点線で示している。
ショベル100の油圧システムは、主に、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブユニット17、操作装置26、吐出圧センサ28、操作圧センサ29、及びコントローラ30等を含む。
図3において、油圧システムは、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14から、センターバイパス管路40又はパラレル管路42を経て作動油タンクまで作動油を循環させることができるように構成されている。
エンジン11は、ショベル100の駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に連結されている。
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブユニット17に供給できるように構成されている。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御できるように構成されている。本実施形態では、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによってメインポンプ14の吐出量を制御する。
パイロットポンプ15は、パイロット圧生成装置の一例であり、パイロットラインを介して操作装置26を含む油圧制御機器に作動油を供給できるように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロット圧生成装置は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブユニット17に供給する機能に加え、パイロットラインを介して操作装置26を含む各種油圧制御機器に作動油を供給する機能を備えていてもよい。この場合、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。
コントロールバルブユニット17は、ショベル100における油圧システムを制御する油圧制御装置である。本実施形態では、コントロールバルブユニット17は、制御弁171~176を含む。制御弁175は制御弁175L及び制御弁175Rを含み、制御弁176は制御弁176L及び制御弁176Rを含む。コントロールバルブユニット17は、制御弁171~176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できるように構成されている。制御弁171~176は、例えば、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行油圧モータ2ML、右走行油圧モータ2MR及び旋回油圧モータ2Aを含む。
操作装置26は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブユニット17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できるように構成されている。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。但し、操作装置26は、上述のようなパイロット圧式ではなく、電気制御式であってもよい。この場合、コントロールバルブユニット17内の制御弁は、電磁ソレノイド式スプール弁であってもよい。
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出できるように構成されている。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
操作圧センサ29は、操作者による操作装置26の操作の内容を検出できるように構成されている。本実施形態では、操作圧センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を圧力(操作圧)の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作装置26の操作の内容は、操作圧センサ以外の他のセンサを用いて検出されてもよい。
メインポンプ14は、左メインポンプ14L及び右メインポンプ14Rを含む。そして、左メインポンプ14Lは、左センターバイパス管路40L又は左パラレル管路42Lを経て作動油タンクまで作動油を循環させ、右メインポンプ14Rは、右センターバイパス管路40R又は右パラレル管路42Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
左センターバイパス管路40Lは、コントロールバルブユニット17内に配置された制御弁171、173、175L及び176Lを通る作動油ラインである。右センターバイパス管路40Rは、コントロールバルブユニット17内に配置された制御弁172、174、175R及び176Rを通る作動油ラインである。
制御弁171は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を左走行油圧モータ2MLへ供給し、且つ、左走行油圧モータ2MLが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁172は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油を右走行油圧モータ2MRへ供給し、且つ、右走行油圧モータ2MRが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁173は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁174は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁175Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁175Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁176Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁176Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
左パラレル管路42Lは、左センターバイパス管路40Lに並行する作動油ラインである。左パラレル管路42Lは、制御弁171、173、及び175Lの何れかによって左センターバイパス管路40Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。右パラレル管路42Rは、右センターバイパス管路40Rに並行する作動油ラインである。右パラレル管路42Rは、制御弁172、174、及び175Rの何れかによって右センターバイパス管路40Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
レギュレータ13は、左レギュレータ13L及び右レギュレータ13Rを含む。左レギュレータ13Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を制御する。具体的には、左レギュレータ13Lは、例えば、左メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節して吐出量を減少させる。右レギュレータ13Rについても同様である。吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14の吸収パワー(吸収馬力)がエンジン11の出力パワー(出力馬力)を超えないようにするためである。
操作装置26は、左操作レバー26L、右操作レバー26R及び走行レバー26Dを含む。走行レバー26Dは、左走行レバー26DL及び右走行レバー26DRを含む。
左操作レバー26Lは、旋回操作とアーム5の操作に用いられる。左操作レバー26Lは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁176のパイロットポートに導入させる。また、左右方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁173のパイロットポートに導入させる。
具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向に操作された場合に、制御弁176Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向に操作された場合には、制御弁176Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、左旋回方向に操作された場合に、制御弁173の左側パイロットポートに作動油を導入させ、右旋回方向に操作された場合に、制御弁173の右側パイロットポートに作動油を導入させる。
右操作レバー26Rは、ブーム4の操作とバケット6の操作に用いられる。右操作レバー26Rは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁175のパイロットポートに導入させる。また、左右方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁174のパイロットポートに導入させる。
具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向に操作された場合に、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向に操作された場合には、制御弁175Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向に操作された場合に、制御弁174の右側パイロットポートに作動油を導入させ、バケット開き方向に操作された場合に、制御弁174の左側パイロットポートに作動油を導入させる。
走行レバー26Dは、クローラ1Cの操作に用いられる。具体的には、左走行レバー26DLは、左クローラ1CLの操作に用いられる。左走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。左走行レバー26DLは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁171のパイロットポートに導入させる。右走行レバー26DRは、右クローラ1CRの操作に用いられる。右走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。右走行レバー26DRは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁172のパイロットポートに導入させる。
吐出圧センサ28は、吐出圧センサ28L及び吐出圧センサ28Rを含む。吐出圧センサ28Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。吐出圧センサ28Rについても同様である。
操作圧センサ29は、操作圧センサ29LA、29LB、29RA、29RB、29DL、29DRを含む。操作圧センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作の内容は、例えば、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等である。
同様に、操作圧センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作圧センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作圧センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作圧センサ29DLは、操作者による左走行レバー26DLに対する前後方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作圧センサ29DRは、操作者による右走行レバー26DRに対する前後方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
コントローラ30は、操作圧センサ29の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。また、コントローラ30は、絞り18の上流に設けられた制御圧センサ19の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。絞り18は左絞り18L及び右絞り18Rを含み、制御圧センサ19は左制御圧センサ19L及び右制御圧センサ19Rを含む。
左センターバイパス管路40Lには、最も下流にある制御弁176Lと作動油タンクとの間に左絞り18Lが配置されている。そのため、左メインポンプ14Lが吐出した作動油の流れは、左絞り18Lで制限される。そして、左絞り18Lは、左レギュレータ13Lを制御するための制御圧を発生させる。左制御圧センサ19Lは、この制御圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。コントローラ30は、この制御圧に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を制御する。コントローラ30は、この制御圧が大きいほど左メインポンプ14Lの吐出量を減少させ、この制御圧が小さいほど左メインポンプ14Lの吐出量を増大させる。右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御される。
具体的には、図3で示されるようにショベル100における油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態の場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、左センターバイパス管路40Lを通って左絞り18Lに至る。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、吐出した作動油が左センターバイパス管路40Lを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。一方、何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lに至る量を減少或いは消失させ、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を低下させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。なお、コントローラ30は、右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御する。
上述のような構成により、図3の油圧システムは、待機状態においては、メインポンプ14における無駄なエネルギ消費を抑制できる。無駄なエネルギ消費は、メインポンプ14が吐出する作動油がセンターバイパス管路40で発生させるポンピングロスを含む。また、図3の油圧システムは、油圧アクチュエータを作動させる場合には、メインポンプ14から必要十分な作動油を作動対象の油圧アクチュエータに確実に供給できる。
次に、図4A~図4Dを参照し、コントローラ30がマシンコントロール機能によってアクチュエータを動作させるための構成について説明する。図4A~図4Dは、油圧システムの一部を抜き出した図である。具体的には、図4Aは、アームシリンダ8の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図であり、図4Bは、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。図4Cは、バケットシリンダ9の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図であり、図4Dは、旋回油圧モータ2Aの操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。
図4A~図4Dに示すように、油圧システムは、比例弁31、シャトル弁32、及び比例弁33を含む。比例弁31は、比例弁31AL~31DL及び31AR~31DRを含み、シャトル弁32は、シャトル弁32AL~32DL及び32AR~32DRを含み、比例弁33は、比例弁33AL~33DL及び33AR~33DRを含む。
比例弁31は、マシンコントロール用制御弁として機能する。比例弁31は、パイロットポンプ15とシャトル弁32とを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31及びシャトル弁32を介し、コントロールバルブユニット17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できる。
シャトル弁32は、2つの入口ポートと1つの出口ポートを有する。2つの入口ポートのうちの1つは操作装置26に接続され、他方は比例弁31に接続されている。出口ポートは、コントロールバルブユニット17内の対応する制御弁のパイロットポートに接続されている。そのため、シャトル弁32は、操作装置26が生成するパイロット圧と比例弁31が生成するパイロット圧のうちの高い方を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させることができる。
比例弁33は、比例弁31と同様に、マシンコントロール用制御弁として機能する。比例弁33は、操作装置26とシャトル弁32とを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、比例弁33は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、操作装置26が吐出する作動油の圧力を減圧した上で、シャトル弁32を介し、コントロールバルブユニット17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できる。
この構成により、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われていない場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。また、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われている場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータの動作を強制的に停止させることができる。
例えば、図4Aに示すように、左操作レバー26Lは、アーム5を操作するために用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁176のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの右側パイロットポートと制御弁176Rの左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの左側パイロットポートと制御弁176Rの右側パイロットポートに作用させる。
左操作レバー26LにはスイッチNSが設けられている。本実施形態では、スイッチNSは、左操作レバー26Lの先端に設けられた押しボタンスイッチである。操作者は、スイッチNSを押しながら左操作レバー26Lを操作できる。スイッチNSは、右操作レバー26Rに設けられていてもよく、キャビン10内の他の位置に設けられていてもよい。
操作圧センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
比例弁31ALは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31AL及びシャトル弁32ALを介して制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31ARは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31AR及びシャトル弁32ARを介して制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31AL、31ARは、制御弁176L、176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31AL及びシャトル弁32ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、アーム5を閉じることができる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31AR及びシャトル弁32ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、アーム5を開くことができる。
比例弁33ALは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から左操作レバー26L、比例弁33AL、及びシャトル弁32ALを介して制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を減圧する。比例弁33ARは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から左操作レバー26L、比例弁33AR、及びシャトル弁32ARを介して制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を減圧する。比例弁33AL、33ARは、制御弁176L、176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、制御弁176の閉じ側のパイロットポート(制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポート)に作用するパイロット圧を減圧し、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させることができる。操作者によるアーム開き操作が行われているときにアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
或いは、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、比例弁31ARを制御し、制御弁176の閉じ側のパイロットポートの反対側にある、制御弁176の開き側のパイロットポート(制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポート)に作用するパイロット圧を増大させ、制御弁176を強制的に中立位置に戻すことで、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させてもよい。この場合、比例弁33ALは省略されてもよい。操作者によるアーム開き操作が行われている場合にアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
また、以下の図4B~図4Dを参照しながらの説明を省略するが、操作者によるブーム上げ操作又はブーム下げ操作が行われている場合にブーム4の動作を強制的に停止させる場合、操作者によるバケット閉じ操作又はバケット開き操作が行われている場合にバケット6の動作を強制的に停止させる場合、及び、操作者による旋回操作が行われている場合に上部旋回体3の旋回動作を強制的に停止させる場合についても同様である。また、操作者による走行操作が行われている場合に下部走行体1の走行動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
また、図4Bに示すように、右操作レバー26Rは、ブーム4を操作するために用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁175のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Lの右側パイロットポートと制御弁175Rの左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Rの右側パイロットポートに作用させる。
操作圧センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
比例弁31BLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31BL及びシャトル弁32BLを介して制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31BRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31BR及びシャトル弁32BRを介して制御弁175Lの左側パイロットポート及び制御弁175Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31BL、31BRは、制御弁175L、175Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
この構成により、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BL及びシャトル弁32BLを介し、制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、ブーム4を上げることができる。また、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BR及びシャトル弁32BRを介し、制御弁175Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、ブーム4を下げることができる。
また、図4Cに示すように、右操作レバー26Rは、バケット6を操作するためにも用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、左右方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁174のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向(左方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁174の左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、バケット開き方向(右方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁174の右側パイロットポートに作用させる。
操作圧センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
比例弁31CLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31CL及びシャトル弁32CLを介して制御弁174の左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31CRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31CR及びシャトル弁32CRを介して制御弁174の右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31CL、31CRは、制御弁174を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
この構成により、コントローラ30は、操作者によるバケット閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CL及びシャトル弁32CLを介し、制御弁174の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、バケット6を閉じることができる。また、コントローラ30は、操作者によるバケット開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CR及びシャトル弁32CRを介し、制御弁174の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、バケット6を開くことができる。
また、図4Dに示すように、左操作レバー26Lは、旋回機構2を操作するためにも用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、左右方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁173のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、左旋回方向(左方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁173の左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、右旋回方向(右方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁173の右側パイロットポートに作用させる。
操作圧センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
比例弁31DLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31DL及びシャトル弁32DLを介して制御弁173の左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31DRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31DR及びシャトル弁32DRを介して制御弁173の右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31DL、31DRは、制御弁173を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
この構成により、コントローラ30は、操作者による左旋回操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DL及びシャトル弁32DLを介し、制御弁173の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、旋回機構2を左旋回させることができる。また、コントローラ30は、操作者による右旋回操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DR及びシャトル弁32DRを介し、制御弁173の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、旋回機構2を右旋回させることができる。
ショベル100は、下部走行体1を自動的或いは自律的に前進・後進させる構成を備えていてもよい。この場合、左走行油圧モータ2MLの操作に関する油圧システム部分、及び、右走行油圧モータ2MRの操作に関する油圧システム部分は、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分等と同じように構成されてもよい。
また、操作装置26の形態として油圧式パイロット回路を備えた油圧式操作レバーに関する説明を記載したが、油圧式操作レバーではなく電気式パイロット回路を備えた電気式操作レバーが採用されてもよい。この場合、電気式操作レバーのレバー操作量は、電気信号としてコントローラ30へ入力される。また、パイロットポンプ15と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置される。電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。この構成により、電気式操作レバーを用いた手動操作が行われると、コントローラ30は、レバー操作量に対応する電気信号によって電磁弁を制御してパイロット圧を増減させることで各制御弁を移動させることができる。なお、各制御弁は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーのレバー操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。
次に、図5を参照し、コントローラ30の構成例について説明する。図5は、コントローラ30の構成例を示す図である。図5では、コントローラ30は、姿勢検出装置、操作装置26、空間認識装置70、向き検出装置71、情報入力装置72、測位装置73及びスイッチNS等の少なくとも1つが出力する信号を受け、様々な演算を実行し、比例弁31、表示装置D1及び音声出力装置D2等の少なくとも1つに制御指令を出力できるように構成されている。姿勢検出装置は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4及び旋回角速度センサS5を含む。コントローラ30は、位置算出部30A、軌道取得部30B、及び自律制御部30Cを機能要素として有する。なお、位置算出部30A、軌道取得部30B、及び自律制御部30Cは、説明の便宜のために区別されて示されているが、物理的に区別されている必要はなく、全体的に或いは部分的に共通のソフトウェアコンポーネント若しくはハードウェアコンポーネントで構成されていてもよい。また、コントローラ30における1又は複数の機能要素は、後述の管理装置300等の他の制御装置における機能要素であってもよい。すなわち、各機能要素は、何れの制御装置によって実現されてもよい。例えば、自律制御部30Cは、ショベル100の外部にある管理装置300によって実現されてもよい。
位置算出部30Aは、測位対象の位置を算出するように構成されている。本実施形態では、位置算出部30Aは、アタッチメントの所定部位の基準座標系における座標点を算出する。所定部位は、例えば、バケット6の爪先である。基準座標系の原点は、例えば、旋回軸とショベル100の接地面との交点である。基準座標系は、例えば、XYZ直交座標系であり、ショベル100の前後軸に平行なX軸と、ショベル100の左右軸に平行なY軸と、ショベル100の旋回軸に平行なZ軸とを有する。位置算出部30Aは、例えば、ブーム4、アーム5及びバケット6のそれぞれの回動角度からバケット6の爪先の座標点を算出する。位置算出部30Aは、バケット6の爪先の中央の座標点だけでなく、バケット6の爪先の左端の座標点、及び、バケット6の爪先の右端の座標点を算出してもよい。この場合、位置算出部30Aは、機体傾斜センサS4の出力を利用してもよい。また、位置算出部30Aは、測位装置73の出力を利用し、アタッチメントの所定部位の世界座標系における座標点を算出してもよい。
軌道取得部30Bは、ショベル100を自律的に動作させるときにアタッチメントの所定部位が辿る軌道である目標軌道を取得するように構成されている。本実施形態では、軌道取得部30Bは、自律制御部30Cがショベル100を自律的に動作させるときに利用する目標軌道を取得する。具体的には、軌道取得部30Bは、不揮発性記憶装置に記憶されている目標面に関するデータ(以下、「設計データ」とする。)に基づいて目標軌道を導き出す。軌道取得部30Bは、空間認識装置70が認識したショベル100の周囲の地形に関する情報に基づいて目標軌道を導き出してもよい。或いは、軌道取得部30Bは、揮発性記憶装置に記憶されている姿勢検出装置の過去の出力からバケット6の爪先の過去の軌跡に関する情報を導き出し、その情報に基づいて目標軌道を導き出してもよい。或いは、軌道取得部30Bは、アタッチメントの所定部位の現在位置と設計データとに基づいて目標軌道を導き出してもよい。
自律制御部30Cは、ショベル100を自律的に動作させることができるように構成されている。本実施形態では、所定の開始条件が満たされた場合に、軌道取得部30Bが取得した目標軌道に沿ってアタッチメントの所定部位を移動させるように構成されている。具体的には、スイッチNSが押されている状態で操作装置26が操作されたときに、所定部位が目標軌道に沿って移動するように、ショベル100を自律的に動作させる。
本実施形態では、自律制御部30Cは、アクチュエータを自律的に動作させることで操作者によるショベルの手動操作を支援するように構成されている。例えば、自律制御部30Cは、操作者がスイッチNSを押しながら手動でアーム閉じ操作を行っている場合に、目標軌道とバケット6の爪先の位置とが一致するようにブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9の少なくとも1つを自律的に伸縮させてもよい。この場合、操作者は、例えば、左操作レバー26Lをアーム閉じ方向に操作するだけで、バケット6の爪先を目標軌道に一致させながら、アーム5を閉じることができる。この例では、主な操作対象であるアームシリンダ8は「主要アクチュエータ」と称される。また、主要アクチュエータの動きに応じて動く従動的な操作対象であるブームシリンダ7及びバケットシリンダ9は「従属アクチュエータ」と称される。
本実施形態では、自律制御部30Cは、比例弁31に制御指令(電流指令)を与えて各アクチュエータに対応する制御弁に作用するパイロット圧を個別に調整することで各アクチュエータを自律的に動作させることができる。例えば、右操作レバー26Rが傾倒されたか否かにかかわらず、ブームシリンダ7及びバケットシリンダ9の少なくとも1つを動作させることができる。
次に、図6及び図7を参照し、自律制御部30Cの構成例について説明する。図6は、自律制御部30Cの入力側の構成例を示す。図7は、自律制御部30Cの出力側の構成例を示す。
本実施形態では、自律制御部30Cは、法面仕上げ作業又は均し作業等において、エンドアタッチメントにおける複数の所定点のそれぞれに関してアクチュエータの制御量を算出するように構成されている。エンドアタッチメントにおける複数の所定点は、例えば、バケット6の爪先における点、及び、バケット6の背面における点等を含む。所定点の現在位置は、例えば、基準座標系における座標点で表される。アクチュエータの制御量は、例えば、ブームシリンダ7の制御量、アームシリンダ8の制御量及びバケットシリンダ9の制御量等を含む。ブームシリンダ7の制御量は、例えば、ブームシリンダ7のストローク量又はブーム角度α等で表される。アームシリンダ8の制御量及びバケットシリンダ9の制御量についても同様である。
自律制御部30Cは、例えば、ブームシリンダ7の制御量としてのブーム角度「X度」に関する制御指令を比例弁31に対して出力することで、ブーム4をX度だけ回動させることができる。
自律制御部30Cは、例えば、主要アクチュエータであるアームシリンダ8の制御量を最初に算出し、その後に、従属アクチュエータであるブームシリンダ7及びバケットシリンダ9のそれぞれの制御量を算出する。主要アクチュエータであるアームシリンダ8の制御量は、例えば、左操作レバー26Lの操作量に基づいて算出された後で、必要に応じて調節(補正)される。そして、アームシリンダ8の制御量が変化すると、その変化に応じてブームシリンダ7及びバケットシリンダ9のそれぞれの制御量も変化する。
本実施形態では、自律制御部30Cは、目標値算出部30D、合成部30E及び演算部30Fを含む。目標値算出部30Dは、所定の制御周期毎に、エンドアタッチメントにおける複数の所定点のそれぞれに関する目標値を算出するように構成されている。目標値は、例えば、エンドアタッチメントにおける所定点の所定時間後の位置(目標位置)に関する値であり、典型的には、目標ブーム角度、目標アーム角度及び目標バケット角度で表される。なお、目標値算出部30D、合成部30E及び演算部30Fは、説明の便宜のために区別されて示されているが、物理的に区別されている必要はなく、全体的に或いは部分的に共通のソフトウェアコンポーネント若しくはハードウェアコンポーネントで構成されていてもよい。また、自律制御部30Cにおける1又は複数の機能要素は、後述の管理装置300等の他の制御装置における機能要素であってもよい。すなわち、各機能要素は、何れの制御装置によって実現されてもよい。例えば、目標値算出部30D及び合成部30Eは、ショベル100の外部にある管理装置300によって実現されてもよい。
本実施形態では、目標値算出部30Dは、第1目標値算出部30D1及び第2目標値算出部30D2を含む。第1目標値算出部30D1は、バケット6の爪先の制御基準点Pa(図1参照。)に関する目標値を算出するように構成されている。第2目標値算出部30D2は、バケット6の背面の制御基準点Pb(図1参照。)に関する目標値を算出するように構成されている。
具体的には、第1目標値算出部30D1は、操作圧センサ29LA、情報入力装置72、スイッチNS及び位置算出部30Aのそれぞれの出力に基づき、バケット6の爪先の制御基準点Paの目標位置を算出する。目標位置は、制御基準点Paが所定時間後に到達する位置である。
より具体的には、第1目標値算出部30D1は、操作圧センサ29LAの出力とスイッチNSの出力とに基づき、スイッチNSが押された状態で左操作レバー26Lが前後方向に操作されているか否かを判定する。そして、スイッチNSが押された状態で左操作レバー26Lが前後方向に操作されていると判定した場合、第1目標値算出部30D1は、制御基準点Paの現在位置と目標面に関する情報とに基づき、制御基準点Paの目標位置を算出する。目標面に関する情報は、例えば、情報入力装置72を通じて入力される設計データから導き出される。目標面に関する情報は、例えば、法面角度等を含む。制御基準点Paの現在位置は、例えば、位置算出部30Aによって算出される。位置算出部30Aは、例えば、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3等の出力に基づいて制御基準点Paの現在位置を算出する。そして、第1目標値算出部30D1は、算出した制御基準点Paの目標位置に基づき、制御基準点Paを目標位置に移動させたときのブーム角度αt1、アーム角度βt1及びバケット角度γt1を導き出す。本実施形態では、ブーム角度αt1は、ブームシリンダ7に関する第1制御量を表す。同様に、アーム角度βt1は、アームシリンダ8に関する第1制御量を表し、バケット角度γt1は、バケットシリンダ9に関する第1制御量を表す。
第2目標値算出部30D2は、第1目標値算出部30D1と同様に、操作圧センサ29LA、情報入力装置72、スイッチNS及び位置算出部30Aのそれぞれの出力に基づき、バケット6の背面の制御基準点Pbの目標位置を算出する。目標位置は、制御基準点Pbが所定時間後に到達する位置である。
具体的には、第2目標値算出部30D2は、第1目標値算出部30D1と同様に、スイッチNSが押された状態で左操作レバー26Lが前後方向に操作されているか否かを判定する。そして、スイッチNSが押された状態で左操作レバー26Lが前後方向に操作されていると判定した場合、第2目標値算出部30D2は、制御基準点Pbの現在位置と目標面に関する情報とに基づき、制御基準点Pbの目標位置を算出する。そして、第2目標値算出部30D2は、算出した制御基準点Pbの目標位置に基づき、制御基準点Pbを目標位置に移動させたときのブーム角度αt2、アーム角度βt2及びバケット角度γt2を導き出す。本実施形態では、ブーム角度αt2は、ブームシリンダ7に関する第2制御量を表す。同様に、アーム角度βt2は、アームシリンダ8に関する第2制御量を表し、バケット角度γt2は、バケットシリンダ9に関する第2制御量を表す。
本実施形態では、第1目標値算出部30D1及び第2目標値算出部30D2は、互いに独立して動作する別々の機能要素であるが、同じ1つの機能要素として一体的に構成されていてもよい。
合成部30Eは、1つのアクチュエータに関する複数の制御量を合成するように構成されている。本実施形態では、合成部30Eは、第1合成部30E1、第2合成部30E2及び第3合成部30E3を含む。
演算部30Fは、合成部30Eが出力する合成制御量に基づき、比例弁31に対して出力する制御指令(電流指令)を生成するように構成されている。本実施形態では、演算部30Fは、第1演算部30F1、第2演算部30F2及び第3演算部30F3を含む。
第1合成部30E1は、ブームシリンダ7に関する複数の制御量を合成して導き出した合成制御量αtを第1演算部30F1に対して出力するように構成されている。そして、第1演算部30F1は、第1合成部30E1が出力する合成制御量αtに基づき、ブームシリンダ7に関する比例弁31BL、31BRに対して出力する制御指令(電流指令)を生成するように構成されている。本実施形態では、第1合成部30E1は、ブームシリンダ7に関する第1制御量(ブーム角度αt1)と第2制御量(ブーム角度αt2)とを合成して合成制御量αtを導き出す。「合成」は、相加平均、相乗平均、加重平均、又は択一等の何れであってもよい。択一の場合、第1合成部30E1は、例えば、第1制御量と第2制御量とを比較して大きい方を選択してもよい。第1演算部30F1は、例えば、合成制御量αtと現在のブーム角度αとの差がゼロに近づくように制御指令を生成し、その制御指令をブームシリンダ7に関する比例弁31BL、31BRに対して出力する。
第2合成部30E2は、アームシリンダ8に関する複数の制御量を合成して導き出した合成制御量βtを第2演算部30F2に対して出力するように構成されている。そして、第2演算部30F2は、第2合成部30E2が出力する合成制御量βtに基づき、アームシリンダ8に関する比例弁31AL、31ARに対して出力する制御指令(電流指令)を生成するように構成されている。本実施形態では、第2合成部30E2は、アームシリンダ8に関する第1制御量(アーム角度βt1)と第2制御量(アーム角度βt2)とを合成して合成制御量βtを導き出す。「合成」は、相加平均、相乗平均、加重平均、又は択一等の何れであってもよい。択一の場合、第2合成部30E2は、例えば、第1制御量と第2制御量とを比較して大きい方を選択してもよい。第2演算部30F2は、例えば、合成制御量βtと現在のアーム角度βとの差がゼロに近づくように制御指令を生成し、その制御指令をアームシリンダ8に関する比例弁31BL、31BRに対して出力する。
第3合成部30E3は、バケットシリンダ9に関する複数の制御量を合成して導き出した合成制御量γtを第3演算部30F3に対して出力するように構成されている。そして、第3演算部30F3は、第3合成部30E3が出力する合成制御量γtに基づき、バケットシリンダ9に関する比例弁31CL、31CRに対して出力する制御指令(電流指令)を生成するように構成されている。本実施形態では、第3合成部30E3は、バケットシリンダ9に関する第1制御量(バケット角度γt1)と第2制御量(バケット角度γt2)とを合成して合成制御量γtを導き出す。「合成」は、相加平均、相乗平均、加重平均、又は択一等の何れであってもよい。択一の場合、第3合成部30E3は、例えば、第1制御量と第2制御量とを比較して大きい方を選択してもよい。第3演算部30F3は、例えば、合成制御量γtと現在のバケット角度γとの差がゼロに近づくように制御指令を生成し、その制御指令をバケットシリンダ9に関する比例弁31CL、31CRに対して出力する。
本実施形態では、第1合成部30E1、第2合成部30E2、及び第3合成部30E3は、互いに独立して動作する別々の機能要素であるが、同じ1つの機能要素として一体的に構成されていてもよい。この場合も、「合成」は、相加平均、相乗平均、加重平均、又は択一等の何れであってもよい。択一の場合、その一体的に構成された機能要素は、例えば、第1制御量と第2制御量とを比較して大きい方を選択してもよい。このようにして、自律制御部30Cは、バケット6の全体を上げるためにブーム4を駆動させたり、バケット6の爪先が高くなるようにバケット6を回動させたりする等、所定の条件に基づいて油圧アクチュエータを制御する。また、第1演算部30F1、第2演算部30F2及び第3演算部30F3は、互いに独立して動作する別々の機能要素であるが、同じ1つの機能要素として一体的に構成されていてもよい。
比例弁31BL、31BRは、制御指令に応じたパイロット圧をブームシリンダ7に関する制御弁175に対して作用させる。比例弁31BL、31BRが生成したパイロット圧を受けた制御弁175は、メインポンプ14が吐出する作動油を、パイロット圧に対応する流れ方向及び流量でブームシリンダ7に供給する。
このとき、自律制御部30Cは、スプール変位センサ(図示せず。)の検出値である制御弁175のスプール変位量に基づいてスプール制御指令を生成してもよい。そして、スプール制御指令に対応する制御電流を比例弁31BL、31BRに対して出力してもよい。制御弁175をより高精度に制御するためである。
ブームシリンダ7は、制御弁175を介して供給される作動油により伸縮する。ブーム角度センサS1は、伸縮するブームシリンダ7によって動かされるブーム4のブーム角度αを検出する。そして、ブーム角度センサS1は、検出したブーム角度αをブーム角度αの現在値として第1演算部30F1にフィードバックする。
なお、上述の説明は、合成制御量αtに基づくブーム4の制御に関するものであるが、合成制御量βtに基づくアーム5の制御、及び、合成制御量γtに基づくバケット6の制御にも同様に適用可能である。そのため、合成制御量βtに基づくアーム5の制御の流れ、及び、合成制御量γtに基づくバケット6の制御の流れについてはその説明を省略する。
また、上述の説明は、ブーム4、アーム5、及びバケット6の制御に関するものであるが、旋回制御にも適用可能である。この場合、合成部30Eは、旋回アクチュエータに関する複数の制御量を合成して合成制御量を導き出すように構成されていてもよい。また、上述の説明は、アーム5の先端にバケット6ではなくチルトバケットが取り付けられている場合には、チルトバケットの制御にも適用可能である。この場合、合成部30Eは、チルト駆動部(チルトシリンダ)に関する複数の制御量を合成して合成制御量を導き出すように構成されていてもよい。
次に、図8A及び図8Bを参照し、複数の制御基準点に基づいてアクチュエータを自律的に動作させることによる効果について説明する。図8A及び図8Bは、目標面TSに沿って移動するバケット6の側面図である。図8A及び図8Bの例では、目標面TSは、水平部分HSと傾斜部分SLとを含む。自律制御部30Cは、スイッチNSが押されている状態で左操作レバー26Lがアーム閉じ方向に操作されたときに、目標面TSに対するバケット6の掘削角度θを維持しながら、バケット6を目標面TSに沿って移動させるように、ショベル100を自律的に動作させる。
図8A及び図8Bの例では、自律制御部30Cは、第1時点から第4時点の間に、バケット6を目標面TSに沿って左から右に移動させている。図8A及び図8Bの例では、第1時点におけるバケット6は二点鎖線で示され、第2時点におけるバケット6は一点鎖線で示され、第3時点におけるバケット6は破線で示され、第4時点(現時点)におけるバケット6は実線で示されている。
図8Aは、自律制御部30Cが1つの制御基準点に基づいて導き出した制御量に応じて掘削アタッチメントATを自律的に動作させたときのバケット6の移動経路を示す。すなわち、図8Aの例では、自律制御部30Cは、各時点で目標面TSに最も近い制御基準点である制御基準点Pa又は制御基準点Pbに基づいて導き出した制御量に応じて掘削アタッチメントATを自律的に動作させている。なお、自律制御部30Cは、目標面TSに最も近い制御基準点の現在位置と目標面に関する情報とに基づいて制御量を導き出している。
具体的には、自律制御部30Cは、第1時点では、水平部分HSと接している制御基準点Pb1に基づいて制御量を算出している。そして、自律制御部30Cは、バケット6を水平部分HSに沿って移動させるように、すなわち、矢印AR1で示す水平方向にバケット6を移動させるように制御量を算出している。
第2時点では、第1時点の場合と同様に、自律制御部30Cは、水平部分HSと接している制御基準点Pb2に基づいて制御量を算出している。そして、自律制御部30Cは、バケット6を水平部分HSに沿って移動させるように、すなわち、矢印AR2で示す水平方向にバケット6を移動させるように制御量を算出している。
第3時点では、自律制御部30Cは、傾斜部分SLと接している制御基準点Pa3に基づいて制御量を算出している。そして、自律制御部30Cは、バケット6を傾斜部分SLに沿って移動させるように、すなわち、矢印AR3で示す斜め上方向にバケット6を移動させるように、制御量を算出している。具体的には、自律制御部30Cは、掘削角度θで制御基準点Pbを傾斜部分SLに接触させることができるように制御量を算出している。
このように、図8Aの例では、自律制御部30Cは、制御基準点Pa3が傾斜部分SLと接触するまでは、制御基準点Pbに基づいて制御量を算出している。そして、自律制御部30Cは、制御基準点Pa3が傾斜部分SLと接触すると、制御量算出の基準となる制御基準点を制御基準点Pbから制御基準点Paに切り換え、制御基準点Paに基づいて制御量を算出する。目標面TSに関する最近傍点が制御基準点Pbから制御基準点Paに切り換わるためである。このときも、自律制御部30Cは、目標面TSに沿ってバケット6を移動させようとするが、点線で示すバケット6で表されるように、第3時点の直後に、バケット6の爪先が目標面TSに食い込んでしまうのを防止できない。最近傍点の切り換わりによって制御内容が急変しても、バケット6は、慣性によって水平方向右側に移動してしまうためである。すなわち、自律制御部30Cは、バケット6の爪先の位置の変化を、目標面TSの変化(水平部分HSから傾斜部分SLへの変化)に追従させることができないためである。
これに対し、図8Bの例では、自律制御部30Cは、2つの制御基準点のそれぞれの予測位置に基づいて導き出した制御量で掘削アタッチメントATを自律的に動作させるように構成されている。具体的には、図8Bの例では、自律制御部30Cは、制御基準点Paの予測位置に基づいて導き出した制御量と、制御基準点Pbの予測位置に基づいて導き出した制御量とを合成して得られる合成制御量で掘削アタッチメントATを自律的に動作させている。すなわち、図8Bの例は、2つの制御基準点に基づく点、及び、制御基準点の現在位置ではなく予測位置に基づく点で図8Aの例とは異なる。
制御基準点の予測位置は、制御基準点の現在位置から予測される制御基準点の所定時間後の位置を意味する。所定時間は、例えば、1又は複数回の制御周期に相当する時間である。但し、自律制御部30Cは、2つの制御基準点の現在位置に基づいて導き出した制御量で掘削アタッチメントATを自律的に動作させるように構成されていてもよい。なお、図8Bの例では、制御基準点の予測位置は、制御基準点の現在位置と左操作レバー26Lのアーム閉じ方向への操作量とに基づいて算出される。
より具体的には、自律制御部30Cは、第1時点では、図8Aの例の場合と同様、矢印AR11で示す水平方向にバケット6を移動させるように制御量を算出する。しかしながら、自律制御部30Cは、第2時点では、図8Aの例の場合と異なり、矢印AR12で示す斜め上方向にバケット6を移動させるように制御量を算出する。これは、自律制御部30Cが、制御基準点Pa2に基づいて算出される制御量と、制御基準点Pb2に基づいて算出される制御量とを合成して最終的な制御量を算出することによる。なお、制御基準点Pb2に基づいて算出される制御量は、点線矢印AR12aで示す水平方向にバケット6を移動させる制御量であり、制御基準点Pa2に基づいて算出される制御量は、点線矢印AR12bで示す斜め上方向にバケット6を移動させる制御量である。図8Bの例では、点線矢印AR12aで示す方向と点線矢印AR12bで示す方向とが異なるため、自律制御部30Cは、点線矢印AR12aで示す方向にバケット6を移動させる制御量が小さくなるように、最終的な制御量を算出するように構成されている。但し、自律制御部30Cは、このような場合であっても、点線矢印AR12aで示す方向にバケット6を移動させる制御量が小さくならないように、最終的な制御量を算出するように構成されていてもよい。
このように、図8Bの例では、自律制御部30Cは、制御基準点Pa及び制御基準点Pbのそれぞれに基づいて継続的に且つ個別に制御量を算出した上で、それら2つの制御量を合成して最終的な制御量を導き出す。そのため、自律制御部30Cは、図8Aの例に比べ、目標面TSに最も近い制御基準点以外の制御基準点に基づいて算出される制御量による影響を比較的早期に取り込むことができる。そのため、自律制御部30Cは、バケット6の爪先の位置の変化を、目標面TSの変化に追従させることができる。厳密には、自律制御部30Cは、目標面TSの変化に先だってバケット6の爪先の位置を変化させることができる。その結果、自律制御部30Cは、第3時点の直後に、バケット6の爪先が目標面TSに食い込んでしまうのを防止できる。
次に、図9を参照し、バケット6における制御基準点の別の設定例について説明する。図9は、バケット6の背面斜視図である。自律制御部30Cは、上述のように制御基準点Pa及び制御基準点Pbのそれぞれに基づいて制御量を算出する代わりに、図9に示すような4つの制御基準点のそれぞれに基づいて制御量を算出するように構成されていてもよい。
4つ制御基準点は、制御基準点PaL、PaR、PbL及びPbRを含む。制御基準点PaLは、バケット6の爪先の左側の端部に設定されている。制御基準点PaRは、バケット6の爪先の右側の端部に設定されている。制御基準点PbLは、バケット6の背面の左側の端部に設定されている。制御基準点PbRは、バケット6の背面の右側の端部に設定されている。
この場合、自律制御部30Cは、例えば、4つの制御基準点のそれぞれの現在位置又は予測位置に基づいて導き出した制御量を合成して得られる合成制御量に基づいて掘削アタッチメントATを自律的に動作させるように構成されていてもよい。また、自律制御部30Cは、3つ又は5つ以上の制御基準点のそれぞれの現在位置又は予測位置に基づいて導き出した制御量を合成して得られる合成制御量に基づいて掘削アタッチメントATを自律的に動作させるように構成されていてもよい。例えば、制御基準点は、制御基準点PaL、PaR、PbL及びPbRと、バケット6の背面の中央の端部に設定された制御基準点と、バケット6の爪先の中央の端部に設定された制御基準点とを含んでいてもよい。
また、自律制御部30Cは、ショベル100に関する情報又は目標面TSに関する情報等に基づき、制御量の算出のために利用する制御基準点の数を動的に決定してもよい。すなわち、自律制御部30Cは、複数の制御基準点のうちの何れの制御基準点を利用するかを動的に決定してもよい。例えば、自律制御部30Cは、ショベル100が傾斜地に位置すると判定した場合、4つの制御基準点PaL、PaR、PbL、及びPbRのそれぞれに基づいて制御量を算出し、ショベル100が平坦地に位置すると判定した場合、2つの制御基準点PaL及びPbLのそれぞれに基づいて制御量を算出するように構成されていてもよい。この場合、自律制御部30Cは、機体傾斜センサS4の出力に基づいてショベル100が傾斜地に位置するか平坦地に位置するかを判定してもよい。
更に、自律制御部30Cは、旋回動作中において、複数の制御基準点のうちの何れの制御基準点を利用するかを動的に決定してもよい。例えば、自律制御部30Cは、旋回動作中であると判定した場合、4つの制御基準点PaL、PaR、PbL、及びPbRのそれぞれに基づいて制御量を算出してもよい。或いは、自律制御部30Cは、旋回停止中であると判定した場合、2つの制御基準点PaL及びPbLのそれぞれに基づいて制御量を算出するように構成されていてもよい。この場合、自律制御部30Cは、左操作レバー26Lの左右方向(旋回方向)におけるレバー操作量、制御弁173のパイロットポートに作用するパイロット圧、旋回油圧モータ2Aにおける作動油の圧力、及び、旋回角速度センサS5の検出値等の少なくとも1つに基づいて旋回動作中であるか旋回停止中であるかを判定してもよい。
この構成により、自律制御部30Cは、例えば、ショベル100が法面に正対していない状態で、マシンコントロール機能を利用した法面仕上げ作業が行われる際に、バケット6の爪先が法面に食い込んでしまうのをより確実に防止できる。
次に、図10を参照し、図9に示された4つの制御基準点PaL、PaR、PbL、及びPbRが利用される場合の効果について説明する。図10は、ショベル100の正面図である。
図10に示す例では、右クローラ1CRは水平面の上に位置し、左クローラ1CLが水平面上にある石STの上に位置している。そのため、ショベル100は、右側が低くなるように傾いている。そして、操作者は、左旋回によってバケット6の爪先を目標面TSに沿って移動させようとしている。目標面TSは、水平部分HSと傾斜部分SLとを有し、左に向かって上り勾配となっている。
この場合、自律制御部30Cは、水平部分HSと接している制御基準点PaRのみに基づいて制御量を算出すると、左操作レバー26Lが左旋回方向に操作されてバケット6が左方に移動したときに制御基準点PaLが傾斜部分SLと接触し、目標面TSを損傷してしまう。図10において破線で示されるバケット6Aは、バケット6の爪先の左側の端部が目標面TSの傾斜部分SLに食い込んだときのバケット6の状態を表している。
そこで、自律制御部30Cは、例えば、機体傾斜センサS4の出力に基づき、右側が低くなるようにショベル100が傾いていると判定した場合には、4つの制御基準点PaL、PaR、PbL、及びPbRのそれぞれに基づいて制御量を算出する。
或いは、自律制御部30Cは、例えば、操作圧センサ29LBの出力に基づき、旋回操作が行われていると判定した場合には、4つの制御基準点PaL、PaR、PbL、及びPbRのそれぞれに基づいて制御量を算出する。この場合、自律制御部30Cは、ショベル100が傾いているか否かにかかわらず、4つの制御基準点PaL、PaR、PbL、及びPbRのそれぞれに基づいて制御量を算出してもよい。
或いは、自律制御部30Cは、操作圧センサ29LBの出力に基づき、左旋回操作が行われていると判定した場合には、制御基準点PaL及びPbLの少なくとも一方に基づいて制御量を算出してもよい。制御基準点PaL及びPbLは、旋回方向の先頭に位置しているためである。同様に、自律制御部30Cは、操作圧センサ29LBの出力に基づき、右旋回操作が行われていると判定した場合には、制御基準点PaR及びPbRの少なくとも一方に基づいて制御量を算出してもよい。制御基準点PaR及びPbRは、旋回方向の先頭に位置しているためである。
なお、自律制御部30Cは、バケット6の背面を目標面TSに接触させない場合には、2つの4つの制御基準点PaL及びPaRのそれぞれに基づいて制御量を算出してもよい。
この構成により、自律制御部30Cは、バケット6が左方に移動した場合であっても、制御基準点PaL(バケット6の爪先の左側の端部)が目標面TSの傾斜部分SLに食い込んでしまうのを防止できる。図10において一点鎖線で示されるバケット6Bは、バケット6の爪先の左側の端部が目標面TSの傾斜部分SLに食い込まないように僅かに上方に持ち上げられたときのバケット6の状態を表している。
次に、図11を参照し、チルトバケット6Tにおける制御基準点の設定例について説明する。図11は、チルトバケット6Tをキャビン10から見たときのチルトバケット6Tの斜視図である。自律制御部30Cは、図9の場合と同様に、4つの制御基準点のそれぞれに基づいて制御量を算出するように構成されていてもよい。
4つ制御基準点は、制御基準点PaL、PaR、PbL及びPbRを含む。制御基準点PaLは、チルトバケット6Tの爪先の左側の端部に設定されている。制御基準点PaRは、チルトバケット6Tの爪先の右側の端部に設定されている。制御基準点PbLは、チルトバケット6Tの背面の左側の端部に設定されている。制御基準点PbRは、チルトバケット6Tの背面の右側の端部に設定されている。
図11に示す例では、コントローラ30は、左右一対のチルトシリンダTCのそれぞれを別々に伸縮させることによってチルトバケット6Tをチルト軸AX回りに傾けることができる。なお、チルトシリンダTCは、チルト軸AXの左側に1つだけ取り付けられていてもよく、チルト軸AXの右側に1つだけ取り付けられていてもよい。
次に、図12を参照し、図11に示された4つの制御基準点PaL、PaR、PbL、及びPbRが利用される場合の効果について説明する。図12は、ショベル100の正面図であり、図10に対応している。
図12に示す例では、図10の場合と同様に、右クローラ1CRは水平面の上に位置し、左クローラ1CLが水平面上にある石STの上に位置している。そのため、ショベル100は、右側が低くなるように傾いている。そして、操作者は、左旋回によってチルトバケット6Tの背面を目標面TSに沿って移動させようとしている。目標面TSは、水平部分HSと傾斜部分SLとを有し、左に向かって上り勾配となっている。
この場合、自律制御部30Cは、水平部分HSと接している制御基準点PaRのみに基づいて制御量を算出すると、左操作レバー26Lが左旋回方向に操作されてチルトバケット6Tが左方に移動したときに制御基準点PaLが傾斜部分SLと接触し、目標面TSを損傷してしまう。図12において破線で示されるチルトバケット6TAは、チルトバケット6Tの爪先の左側の端部が目標面TSの傾斜部分SLに食い込んだときのチルトバケット6Tの状態を表している。
そこで、自律制御部30Cは、例えば、機体傾斜センサS4の出力に基づき、右側が低くなるようにショベル100が傾いていると判定した場合には、チルトバケット6Tの爪先の左側の端部と右側の端部の双方が目標面TSと接触するように、チルト軸AX回りにチルトバケット6Tを傾けるようにする。ここでは、自律制御部30Cは、チルトバケット6Tの背面が目標面TSの水平部分HSと平行になるように、チルト軸AX回りにチルトバケット6Tを傾けるようにする。
その上で、自律制御部30Cは、4つの制御基準点PaL、PaR、PbL、及びPbRのそれぞれに基づいて制御量を算出する。
或いは、自律制御部30Cは、例えば、操作圧センサ29LBの出力に基づき、旋回操作が行われていると判定した場合には、4つの制御基準点PaL、PaR、PbL、及びPbRのそれぞれに基づいて制御量を算出する。この場合、自律制御部30Cは、ショベル100が傾いているか否かにかかわらず、4つの制御基準点PaL、PaR、PbL、及びPbRのそれぞれに基づいて制御量を算出してもよい。
或いは、自律制御部30Cは、操作圧センサ29LBの出力に基づき、左旋回操作が行われていると判定した場合には、制御基準点PaL及びPbLの少なくとも一方に基づいて制御量を算出してもよい。制御基準点PaL及びPbLは、旋回方向の先頭に位置しているためである。同様に、自律制御部30Cは、操作圧センサ29LBの出力に基づき、右旋回操作が行われていると判定した場合には、制御基準点PaR及びPbRの少なくとも一方に基づいて制御量を算出してもよい。制御基準点PaR及びPbRは、旋回方向の先頭に位置しているためである。
なお、自律制御部30Cは、チルトバケット6Tの背面を目標面TSに接触させない場合には、2つの制御基準点PaL及びPaRのそれぞれに基づいて制御量を算出してもよい。すなわち、自律制御部30Cは、残りの2つの制御基準点PbL及びPbRに基づかずに制御量を算出してもよい。
この構成により、自律制御部30Cは、チルトバケット6Tが左方に移動した場合であっても、制御基準点PaL(チルトバケット6Tの爪先の左側の端部)が目標面TSの傾斜部分SLに食い込んでしまうのを防止できる。図12において一点鎖線で示されるチルトバケット6TBは、チルトバケット6Tの爪先の右側の端部が目標面TSの水平部分HSと一致し、且つ、チルトバケット6Tの爪先の左側の端部が目標面TSの傾斜部分SLと一致するようにチルト軸AX回りに傾けられたときのチルトバケット6Tの状態を表している。
次に、図13を参照して、施工システムSYSについて説明する。図13は、施工システムSYSの一例を示す概略図である。図13に示すように、施工システムSYSは、ショベル100と、支援装置200と、管理装置300とを含む。施工システムSYSは、1台又は複数台のショベル100による施工を支援できるように構成されている。
ショベル100が取得する情報は、施工システムSYSを通じ、管理者及び他のショベルの操作者等と共有されてもよい。施工システムSYSを構成するショベル100、支援装置200、及び管理装置300のそれぞれは、1台であってもよく、複数台であってもよい。図13に示す例では、施工システムSYSは、1台のショベル100と、1台の支援装置200と、1台の管理装置300とを含む。
支援装置200は、典型的には携帯端末装置であり、例えば、施工現場にいる作業者等が携帯するラップトップ型のコンピュータ端末、タブレット端末、或いはスマートフォン等である。支援装置200は、ショベル100の操作者が携帯する携帯端末であってもよい。支援装置200は、固定端末装置であってもよい。
管理装置300は、典型的には固定端末装置であり、例えば、施工現場外の管理センタ等に設置されるサーバコンピュータ(いわゆるクラウドサーバ)である。また、管理装置300は、例えば、施工現場に設定されるエッジサーバであってもよい。また、管理装置300は、可搬性の端末装置(例えば、ラップトップ型のコンピュータ端末、タブレット端末、或いはスマートフォン等の携帯端末)であってもよい。
支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方は、モニタと遠隔操作用の操作装置とを備えていてもよい。この場合、支援装置200や管理装置300を利用する操作者は、遠隔操作用の操作装置を用いつつ、ショベル100を操作してもよい。遠隔操作用の操作装置は、例えば、近距離無線通信網、携帯電話通信網、又は衛星通信網等の無線通信網を通じ、ショベル100に搭載されているコントローラ30に通信可能に接続される。
また、キャビン10内に設置された表示装置D1に表示される各種情報画像(例えば、ショベル100の周囲の様子を表す画像情報や各種の設定画面等)が、支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方に接続された表示装置で表示されてもよい。ショベル100の周囲の様子を表す画像情報は、撮像装置(例えば空間認識装置70としてのカメラ)の撮像画像に基づき生成されてよい。これにより、支援装置200を利用する作業者、或いは、管理装置300を利用する管理者等は、ショベル100の周囲の様子を確認しながら、ショベル100の遠隔操作を行ったり、ショベル100に関する各種の設定を行ったりすることができる。
例えば、施工システムSYSにおいて、ショベル100のコントローラ30は、スイッチNSが押されたときの時刻及び場所、ショベル100を自律的に動作させる際に利用された目標軌道、並びに、自律動作の際に所定部位が実際に辿った軌跡等の少なくとも1つに関する情報を支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方に送信してもよい。その際、コントローラ30は、撮像装置の撮像画像を支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方に送信してもよい。撮像画像は、自律動作中に撮像された複数の画像であってもよい。更に、コントローラ30は、自律動作中におけるショベル100の動作内容に関するデータ、ショベル100の姿勢に関するデータ、及び掘削アタッチメントの姿勢に関するデータ等の少なくとも1つに関する情報を支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方に送信してもよい。これにより、支援装置200を利用する作業者、又は、管理装置300を利用する管理者は、自律動作中のショベル100に関する情報を入手することができる。
このようにして、支援装置200又は管理装置300において、ショベル100の監視範囲外における監視対象の種類及び位置が時系列的に記憶部に記憶される。ここで、支援装置200又は管理装置300において記憶される対象物(情報)は、ショベル100の監視範囲外であり、他のショベルの監視範囲内における監視対象の種類及び位置であってもよい。
このように、施工システムSYSは、ショベル100に関する情報を管理者及び他のショベルの操作者等と共有できるようにする。
なお、図13に示すように、ショベル100に搭載されている通信装置は、無線通信を介し、遠隔操作室RCに設置された通信装置T2との間で情報を送受信するように構成されていてもよい。図13に示す例では、ショベル100に搭載されている通信装置と通信装置T2とは、第5世代移動通信回線(5G回線)、LTE回線、又は衛星回線等を介して情報を送受信するように構成されている。
遠隔操作室RCには、遠隔コントローラ30R、音出力装置A2、室内撮像装置C2、表示装置RD、及び通信装置T2等が設置されている。また、遠隔操作室RCには、ショベル100を遠隔操作する操作者OPが座る運転席DSが設置されている。
遠隔コントローラ30Rは、各種演算を実行する演算装置である。本実施形態では、遠隔コントローラ30Rは、コントローラ30と同様、CPU及びメモリを含むマイクロコンピュータで構成されている。そして、遠隔コントローラ30Rの各種機能は、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
音出力装置A2は、音を出力するように構成されている。本実施形態では、音出力装置A2は、スピーカであり、ショベル100に取り付けられている集音装置(図示せず。)が集めた音を再生するように構成されている。
室内撮像装置C2は、遠隔操作室RC内を撮像するように構成されている。本実施形態では、室内撮像装置C2は、遠隔操作室RCの内部に設置されたカメラであり、運転席DSに着座する操作者OPを撮像するように構成されている。
通信装置T2は、ショベル100に取り付けられた通信装置との無線通信を制御するように構成されている。
本実施形態では、運転席DSは、通常のショベルのキャビン内に設置される運転席と同様の構造を有する。具体的には、運転席DSの左側には左コンソールボックスが配置され、運転席DSの右側には右コンソールボックスが配置されている。そして、左コンソールボックスの上面前端には左操作レバーが配置され、右コンソールボックスの上面前端には右操作レバーが配置されている。また、運転席DSの前方には、走行レバー及び走行ペダルが配置されている。更に、右コンソールボックスの上面中央部には、ダイヤル75が配置されている。左操作レバー、右操作レバー、走行レバー、走行ペダル、及びダイヤル75のそれぞれは、操作装置26Aを構成している。
ダイヤル75は、エンジン11の回転数を調整するためのダイヤルであり、例えばエンジン回転数を4段階で切り換えできるように構成されている。
具体的には、ダイヤル75はSPモード、Hモード、Aモード、及びアイドリングモードの4段階でエンジン回転数の切り換えができるように構成されている。ダイヤル75は、エンジン回転数の設定に関するデータをコントローラ30に送信する。
SPモードは、操作者OPが作業量を優先させたい場合に選択される回転数モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、操作者OPが作業量と燃費を両立させたい場合に選択される回転数モードであり、二番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、操作者OPが燃費を優先させながら低騒音でショベルを稼働させたい場合に選択される回転数モードであり、三番目に高いエンジン回転数を利用する。アイドリングモードは、操作者OPがエンジンをアイドリング状態にしたい場合に選択される回転数モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。そして、エンジン11は、ダイヤル75を介して選択された回転数モードのエンジン回転数で一定に回転数制御される。
操作装置26Aには、操作装置26Aの操作内容を検出するための操作センサ29Aが設置されている。操作センサ29Aは、例えば、操作レバーの傾斜角度を検出する傾斜センサ、又は、操作レバーの揺動軸回りの揺動角度を検出する角度センサ等である。操作センサ29Aは、圧力センサ、電流センサ、電圧センサ、又は距離センサ等の他のセンサで構成されていてもよい。操作センサ29Aは、検出した操作装置26Aの操作内容に関する情報を遠隔コントローラ30Rに対して出力する。遠隔コントローラ30Rは、受信した情報に基づいて操作信号を生成し、生成した操作信号をショベル100に向けて送信する。操作センサ29Aは、操作信号を生成するように構成されていてもよい。この場合、操作センサ29Aは、遠隔コントローラ30Rを経由せずに、操作信号を通信装置T2に出力してもよい。
表示装置RDは、ショベル100の周囲の状況に関する情報を表示するように構成されている。本実施形態では、表示装置RDは、縦3段、横3列の9つのモニタで構成されるマルチディスプレイであり、ショベル100の前方、左方、及び右方の空間の様子を表示できるように構成されている。各モニタは、液晶モニタ又は有機ELモニタ等である。但し、表示装置RDは、1又は複数の曲面モニタで構成されていてもよく、プロジェクタで構成されていてもよい。
表示装置RDは、操作者OPが着用可能な表示装置であってもよい。例えば、表示装置RDは、ヘッドマウントディスプレイであり、無線通信によって、遠隔コントローラ30Rとの間で情報を送受信できるように構成されていてもよい。ヘッドマウントディスプレイは、遠隔コントローラに有線接続されていてもよい。ヘッドマウントディスプレイは、透過型ヘッドマウントディスプレイであってもよく、非透過型ヘッドマウントディスプレイであってもよい。ヘッドマウントディスプレイは、片眼型ヘッドマウントディスプレイであってもよく、両眼型ヘッドマウントディスプレイであってもよい。
表示装置RDは、遠隔操作室RCにいる操作者OPがショベル100の周囲を視認できるようにする画像を表示するように構成されている。すなわち、表示装置RDは、操作者が遠隔操作室RCにいるにもかかわらず、あたかもショベル100のキャビン10内にいるかのように、ショベル100の周囲の状況を確認することができるように、画像を表示する。
次に、図14を参照し、施工システムSYSの別の構成例について説明する。図14に示す例では、施工システムSYSは、ショベル100による施工を支援するように構成されている。具体的には、施工システムSYSは、ショベル100と通信を行う通信装置CD及び制御装置CTRを有する。制御装置CTRは、ショベル100のアクチュエータを自律的に動作させる第1制御部、及び、アクチュエータを自律的に動作させる第2制御部を含むように構成されている。そして、制御装置CTRは、第1制御部と第2制御部とを含む複数の制御部で競合が生じていると判定した場合、第1制御部及び第2制御部を含む複数の制御部のうちの1つを優先的に動作させる優先制御部として選択するように構成されている。なお、第1制御部及び第2制御部は、説明の便宜のために区別されて表されているが、物理的に区別されている必要はなく、全体的に或いは部分的に共通のソフトウェアコンポーネント若しくはハードウェアコンポーネントで構成されていてもよい。
上述のように、本発明の実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられたアタッチメントと、アタッチメントを構成するエンドアタッチメントと、アタッチメントを動かすアクチュエータと、アクチュエータを自律的に動作させる制御装置としてのコントローラ30と、有している。そして、コントローラ30は、エンドアタッチメントにおける複数の所定点(制御基準点)のそれぞれに関してアクチュエータの制御量を算出し、算出した各制御量に基づいてアクチュエータを自律的に動作させるように構成されている。この構成により、ショベル100は、マシンコントロール機能を利用した作業が行われる際に、エンドアタッチメントによる目標面TSの損傷をより確実に防止できる。
エンドアタッチメントは、典型的には、バケット6である。この場合、バケット6における複数の制御基準点は、バケット6の爪先の一点であってもよく、バケット6の背面上の一点であってもよい。或いは、バケット6における複数の制御基準点は、図9に示すように、バケット6の爪先の左端点及び右端点と、バケット6の背面の左後端点及び右後端点とを含んでいてもよい。この構成により、ショベル100は、マシンコントロール機能を利用した作業が行われる際に、バケット6による目標面TSの損傷をより確実に防止できる。
コントローラ30は、例えば、各制御量を合成して合成制御量を算出し、その合成制御量に基づいてアクチュエータを自律的に動作させるように構成されていてもよい。この構成により、コントローラ30は、目標面TSに最も近い制御基準点以外の制御基準点に基づいて算出される制御量を合成制御量に適切に反映させることができ、バケット6による目標面TSの損傷をより確実に防止できる。
コントローラ30は、複数の制御基準点のそれぞれと目標面との距離の変化に基づいて複数の制御基準点のそれぞれに関するアクチュエータの制御量を算出するように構成されていてもよい。例えば、コントローラ30は、各制御量を合成して合成制御量を算出する際に、複数の制御基準点のうち、距離の変化が最も大きい制御基準点に関する制御量の影響が最も大きくなるように構成されていてもよい。この構成により、コントローラ30は、複数の制御基準点のうち、目標面TSに誤って食い込む可能性が最も高い制御基準点に基づいて算出される制御量を合成制御量に優先的に反映させることができ、バケット6による目標面TSの損傷をより確実に防止できる。
コントローラ30は、複数の制御基準点のそれぞれの所定時間後の位置を予測し、その所定時間後の位置に基づいて複数の制御基準点のそれぞれに関するアクチュエータの制御量を算出するように構成されていてもよい。この構成により、コントローラ30は、各制御基準点が目標面TSに食い込むおそれがあるか否かをより早期に判断でき、バケット6による目標面TSの損傷をより確実に防止できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
例えば、上述の実施形態では、制御基準点の予測位置は、制御基準点の現在位置から予測される制御基準点の所定時間後の位置とされ、所定時間は、例えば、1又は複数回の制御周期に相当する時間とされている。すなわち、所定時間は、数十ミリ秒から数百ミリ秒の範囲の時間とされている。しかしながら、所定時間は、1秒以上の時間であってもよい。また、自律制御部30Cは、オブザーバ(状態観測器)を用いたモデル予測制御を利用してショベル100を自律的に動作させるように構成されていてもよい。
本願は、2019年3月28日に出願した日本国特許出願2019-065022号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。