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JP7282531B2 - 金属板、金属板の製造方法、金属樹脂複合成形品およびその製造方法 - Google Patents

金属板、金属板の製造方法、金属樹脂複合成形品およびその製造方法 Download PDF

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JP7282531B2 JP2019008934A JP2019008934A JP7282531B2 JP 7282531 B2 JP7282531 B2 JP 7282531B2 JP 2019008934 A JP2019008934 A JP 2019008934A JP 2019008934 A JP2019008934 A JP 2019008934A JP 7282531 B2 JP7282531 B2 JP 7282531B2
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Description

本発明は、樹脂と接合される金属板、その金属板の製造方法、及び当該製造方法で製造された金属板と樹脂とを備える金属樹脂複合成形品に関する。
金属や合金等から構成される金属板と、熱可塑性樹脂組成物から構成される樹脂成形品とが複合化されてなる金属樹脂複合成形品は、従来から、インストルメントパネル周りのコンソールボックス等の自動車の内装部材やエンジン周り部品、インテリア部品、デジタルカメラや携帯電話等の電子機器の筐体部、インターフェース接続部、電源端子部等の外界と接触する部品に用いられている。
金属板と樹脂成形品とを複合化する方法としては、金属板側の接合面に微小な凹凸を形成しておきアンカー効果で接合する方法、接着剤や両面テープを用いて接着する方法、金属板及び/又は樹脂成形品に折り返し片や爪等の固定部材を設け、この固定部材を用いて両者を固着させる方法、ねじ等を用いて接合する方法等がある。これらの中でも、金属板に微小な凹凸を形成する方法や接着剤を用いる方法は、金属樹脂複合成形品を設計する形状自由度の点で有効である。
特に、金属板の表面を加工し微小な凹凸を形成する方法は、高価な接着剤を使用しない点、接着剤の塗布及び硬化の工程が不要である点において有利である。金属板の表面を加工し微小な凹凸を形成する方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法が挙げられる。
特開2014-117724号公報
上記特許文献1に記載の方法は、レーザーで金属板の表面に溝を形成するため、上記表面における所望の範囲に溝を形成可能であり、作業も簡便で、有効な方法の一つである。
ところで、金属板をレーザー加工する際には、金属板の加工点において局所的な発熱があり、金属板の熱膨張に起因する変形を生じることがある。熱膨張の小さい金属あるいは、熱拡散が容易に起こるような形態の金属板であればこのような変形はある程度抑えられるが、金属板であって板厚が500μmを下回るような薄肉のものでは、金属板自体の剛性による構造強度を確保することが難しいため、この変形が無視できない程度に大きなものとなっている。
最近のスマートフォンの筐体のような薄型が求められる金属板では、この変形を抑制することが課題となっていた。
また、フープ成形のインサート端子のように、金属をロール状に巻いて用いる場合には、金属板が厚すぎてはロール状に巻き取ることができず、仮に巻くことができても、厚い金属板を無理に巻き取ると、その際に金属板にかかった負荷が内部歪として残留し、金属板の強度低下や変形が生じ、インサート成形品としての接合強度や気密性を低下させるといった問題が発生するため、このような用途においては、巻取り性の面からやはり厚さ500μm以下程度の金属薄板が必要となり、そのような薄肉の金属板のレーザー加工時の変形を抑制することが課題となっていた。
本発明の目的は、レーザーで金属板の表面に凹凸を形成して、金属板と樹脂との密着性を向上させる技術において、金属板が薄くなってもレーザー加工による変形を抑制できる金属樹脂複合成形品を提供することにある。
本発明は、下記によって達成された。
1. 樹脂組成物からなる成形品と接合するための表面に凹凸を有する金属板であって、該凹凸は間隔Yが0.5~30μm、深さXが0.5~10μmであり、下記で定義されるアンダーカット率が5~30%である、金属板。
アンダーカット率=(実際の有効線長さRlr-Rl)/Rl×100
ただし、該金属板の断面における所定の測定長さlr当たりの山数nを(lr/lr内に存在する粗さ要素の平均間隔SRSm)とし、凹凸が理想的なアンダーカットがゼロである長方形の断面を有する場合の接合に寄与する有効長さRlを(十点平均粗さRzJIS×2×山数n+lr)とし、Rlrを実際の有効線長さとする。
2. 前記金属板の厚さHが50~500μmである前記1記載の金属板。
3. 樹脂組成物からなる成形品と接合するための表面に凹凸を有する金属板の製造方法であって、該凹凸の間隔Yを0.5~30μm、深さXを0.5~10μmとし、下記で定義されるアンダーカット率を5~30%とする凹凸形成工程を有する、金属板の製造方法。
アンダーカット率=(実際の有効線長さRlr-Rl)/Rl×100
ただし、該金属板の断面における所定の測定長さlr当たりの山数nを(lr/lr内に存在する粗さ要素の平均間隔SRSm)とし、凹凸が理想的なアンダーカットがゼロである長方形の断面を有する場合の接合に寄与する有効長さRlを(十点平均粗さRzJIS×2×山数n+lr)とし、Rlrを実際の有効線長さとする。
4. 金属板に樹脂組成物からなる成形品を接合した金属樹脂複合成形品であって、該金属板の該樹脂組成物がインサートされた表面には凹凸が形成されており、該凹凸は、間隔Yが0.5~30μm、深さXが0.5~10μm、下記で定義されるアンダーカット率が5~30%である金属樹脂複合成形品。
アンダーカット率=(実際の有効線長さRlr-Rl)/Rl×100
ただし、該金属板の断面における所定の測定長さlr当たりの山数nを(lr/lr内に存在する粗さ要素の平均間隔SRSm)とし、凹凸が理想的なアンダーカットがゼロである長方形の断面を有する場合の接合に寄与する有効長さRlを(十点平均粗さRzJIS×2×山数n+lr)とし、Rlrを実際の有効線長さとする。
5. 樹脂組成物からなる成形品を接合して金属樹脂複合成形品を製造する方法であって、該金属板の表面に該樹脂組成物をインサートする凹凸形成工程を有し、該凹凸形成工程が、間隔Yが0.5~30μm、深さXを0.5~10μmとし、下記式で定義されるアンダーカット率を5~30%とする工程である、金属樹脂複合成形品の製造方法。
アンダーカット率=(実際の有効線長さRlr-Rl)/Rl×100
ただし、該金属板の断面における所定の測定長さlr当たりの山数nを(lr/lr内に存在する粗さ要素の平均間隔SRSm)とし、凹凸が理想的なアンダーカットがゼロである長方形の断面を有する場合の接合に寄与する有効長さRlを(十点平均粗さRzJIS×2×山数n+lr)とし、Rlrを実際の有効線長さとする。
本発明の金属樹脂複合成形品は、金属板が薄膜であってもレーザー加工による変形が小さく抑制されているものである。
金属板の断面の所定長さlr、凹凸の平均間隔SRSm、山数nを表す概念図である。 アンダーカットゼロである理想の凹凸における有効長さRlを表す概念図である。 実際の有効線長さRlrからアンダーカット率を算出する考え方を表す概念図である。 接合強度を測定する試験片を表す概念図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<金属板>
本発明の金属板は、樹脂組成物をインサート成形するための表面に凹凸を有する金属板であって、該凹凸は幅Yが0.5~30μm、深さXが0.5~10μmであり、下記で定義されるアンダーカット率が5~30%であることを特徴とする。
アンダーカット率=(実際の有効線長さRlr-Rl)/Rl×100
ただし、該金属板の断面における所定の測定長さlr当たりの山数nを(lr/lr内に存在する粗さ要素の平均間隔SRSm)とし、凹凸が理想的なアンダーカットがゼロである長方形の断面を有する場合の接合に寄与する有効長さRlを(十点平均粗さRzJIS×2×山数n+lr)とし、Rlrを実際の有効線長さとする。
本発明に使用される金属板としては、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス鋼、銅、チタン等を例示することができる。また、金属板は、金属合金から構成されてもよい。また、金属材料の表面には、陽極酸化処理等の表面処理や塗装がされていてもよい。軽量、強度の点からアルミニウム、マグネシウム、銅、チタンが好ましく、端子等の導電性が必要とされる用途においてはアルミニウム、銅がより好ましく、銅が特に好ましい。また、携帯用の通信端末筐体等の薄肉での剛性が要求される用途においてはマグネシウム、チタンが好ましく、チタンが特に好ましい。
本発明では、金属板の厚みHが50~500μmである場合に有用である。金属膜の厚みHは、強度的に100μm以上であることが好ましい。
<凹凸の形状>
本発明において、金属板の表面に形成される凹凸は、間隔Yが0.5~30μm、深さXが0.5~10μmであり、下記で定義されるアンダーカット率が5~30%であるように形成される。
アンダーカット率=(実際の有効線長さRlr-Rl)/Rl×100
ただし、該金属板の断面における所定の測定長さlr当たりの山数nを(lr/lr内に存在する粗さ要素の平均間隔SRSm)とし、凹凸が理想的なアンダーカットがゼロである長方形の断面を有する場合の接合に寄与する有効長さRlを(十点平均粗さRzJIS×2×山数n+lr)とし、Rlrを実際の有効線長さとする。
金属板の厚みHが500μmを超えるようなものであれば、所望の形状として形成した溝の深さと接合強度はほぼ相関し、溝の深さを増すことで所望の接合強度を得ることができるが、金属板の厚みHが500μm以下である場合、まず薄いため、溝を形成する際に金属板が容易に変形してしまうこと、また溝の深さが深い場合、溝部において金属板がさらに薄くなるため、金属板の強度を保ったままで十分な溝の深さを確保できないことがあり、深さ以外に接合強度を得る技術的手段が必要であった。本発明ではそれを、浅い凹凸の形状の調製によって達成できることを見出したものである。
本発明の凹凸の深さX及び凹凸の間隔Yとは、JIS B0601に準じた算術平均粗さ(RzJIS)及び粗さ要素の平均間隔(SRSm)を指し、走査型電子顕微鏡にて撮影した4方向反射画像を用いて3D解析により測定された値を採用する。これらの値は、例えば日立製作所製の走査電子顕微鏡「S2700」と「日立走査電子顕微鏡用3D-VIEW三次元モデル表示・計測ソフトウェア」を用いて測定することができる。
本発明においては、凹凸の間隔Yは0.5~30μmであり、1.0~20μmであることが、変形と接合強度のバランスの点で好ましく、2.0~10μmであることがより好ましい。深さXは0.5~10μmであり、好ましくは1.0~8μmであり、より好ましくは1.5~6μmである。
<アンダーカット率>
本発明のアンダーカット率は、金属板断面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察し、4方向反射画像を用いた3D解析によって、図1~3に示す各パラメータをもとに算出した。算出は、次のようにして処理した。このような解析は例えば日立製作所製の走査電子顕微鏡「S2700」と「日立走査電子顕微鏡用3D-VIEW三次元モデル表示・計測ソフトウェア」を用いて行うことができる。
1.所定の測定長さlr当たりの山数n=lr/lr内に存在する粗さ要素の平均間隔SRSm
2.凹凸が理想的な(アンダーカットがゼロ)長方形の断面を有する場合の接合に寄与する有効長さRl
=十点平均粗さRzJIS×2×山数n+lr
3.アンダーカット率=(実際の有効線長さRlr-Rl)/Rl×100
本発明のアンダーカット率は、5~30%であり、変形と接合強度のバランスの点で10~25%が好ましい。なお、上記のアンダーカット率は、特定の凹凸の間隔Yの範囲に抽出して測定することができ、凹凸の間隔Yが4μm以下(例えば3.6μm以下)の領域において5~30%であることがより好ましく、凹凸の間隔Yが4μm以下の領域において10~25%であることがさらに好ましく、凹凸の間隔Yが3μm以下(例えば2.1~2.5μm)の領域において5~30%であることが特に好ましく、凹凸の間隔Yが3μm以下(例えば2.1~2.5μm)の領域において10~25%であることが最も好ましい。
<凹凸の形成方法および金属板の製造方法>
本発明のアンダーカット率を有する凹凸は、レーザーによって形成される。そして局部的に溝を形成するのではなく、樹脂成形品と接合する位置に全面処理することを特徴とする。具体的には、レーザーを照射して接合部表面の金属を昇華させることで、凹凸を形成する。レーザーの照射条件は、対象の金属種や、レーザーの波長により、出力0.1~50W、スキャン速度1~12000mm/s、最小スポット径20~80μm、スイッチング周波数0~400kHzの範囲で適宜設定することができ、レーザーの波長としては300~1200nmを用いることができる。
ここで、本発明のアンダーカット率を有する凹凸を形成するには、上述の通り接合予定面の全面にわたりレーザーを照射することが有効であるが、ここでいう全面とは必ずしも接合予定面の面積の100%が処理されている場合のみに限定される訳ではなく、本発明のアンダーカット率を満足していれば、接合予定面の一部が未処理の状態で残っていてもよい(例えば接合予定面の90%以上が処理されていればよい)。なお、全面処理を施すにあたっては、処理ピッチを焦点のスポット径以下とすることが好ましい。
本発明におけるレーザーの照射方法は、一度レーザー光を照射した位置に、二重、三重と重ねてレーザー光を照射したり(走査回数の調整)、レーザー光のスポット径を調整したり、レーザー光の出力を調整したり、レーザー光の周波数を調整したり、レーザー光の走査速度を調整したりする方法が挙げられる。具体的な条件については、金属板を構成する金属材料の種類等によって異なるため、金属材料の種類等に応じて適宜好ましい条件を採用する。
用途等に応じて所望の形状に成形した金属板を使用する。例えば、所望の形状の型に溶融した金属等を流し込むことで、所望の形状の金属板を得ることができる。また、金属板を所望の形状に成形するために、工作機械等によるプレス加工や切削加工等を用いてもよい。
特に、本発明のような薄肉の金属板は、ロール状に巻いた状態でフープ成形に供給する場合があるが、そのような場合は、金属板を巻いたロールから、成形機に供給する途中の段階でレーザー光を照射して凹凸を形成してもよいし、あらかじめレーザー光を照射して凹凸を形成しておいた金属板をロール状に巻き取ってもよい。
上記のようにして得られた金属板の表面に、レーザーを用いて、凹凸を形成する。凹凸を形成する位置や、凹凸の範囲の大きさは、樹脂が形成される位置等を考慮して決定される。
<樹脂組成物>
本発明で金属板にインサートされる樹脂組成物は、特に限定されず、従来公知の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性組成物を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)を、熱可塑性樹脂(汎用エンジニアリング樹脂)としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GF強化ポリエチレンテレフタレート(GF-PET)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)を、熱可塑性樹脂(スーパーエンジニアリング樹脂)としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶性樹脂(LCP)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)を、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレートを、エラストマーとしては、例えば、熱可塑性エラストマーやゴム、例えば、スチレン・ブタジエン系、ポリオレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2-ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル系、アイオノマーを挙げることができる。更には、熱可塑性樹脂にガラスファイバーを添加したものや、ポリマーアロイ等も挙げることができる。
また、本発明の効果を大きく損なわない範囲において、所望の物性付与のために、ガラスファイバーに代表される無機充填剤、有機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、着色剤、離型剤、可塑剤等の添加剤を添加することができる。
熱可塑性樹脂組成物の中でも、より良い密着性を得るために、熱可塑性樹脂の融点+20℃以上熱可塑性樹脂の融点+30℃以下の温度で測定した、せん断速度1000/秒での溶融粘度が500Pa・s以下の熱可塑性樹脂組成物を用いることが好ましい。
上記の点で、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶性樹脂(LCP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体(ABS)等は、好ましい熱可塑性樹脂であり、特に、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶性樹脂(LCP)が好ましく用いられる。
<金属樹脂複合成形品の製造方法>
本発明の金属樹脂複合成形品は、上記金属板と、金属板の表面の少なくとも一部に形成される樹脂組成物とを備える。
金属樹脂複合成形品の製造方法の具体的な工程は特に限定されず、溶融した熱可塑性樹脂組成物を金属板の凹凸に密着させることで、樹脂と金属板とを複合化させるものであればよい。
例えば、凹凸が形成された金属板を、射出成形用金型内に配置し、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を射出成形用金型内に射出して、樹脂と金属板との金属樹脂複合成形品を製造する方法が挙げられる。射出成形の条件は特に限定されず、熱可塑性樹脂組成物の物性等に応じて、適宜、好ましい条件を設定することができる。また、トランスファ成形、圧縮成形等を用いる方法も樹脂と金属板とが複合化した金属樹脂複合成形品を形成する有効な方法である。
他の例としては、予め射出成形法等の一般的な成形方法で樹脂を製造し、凹凸が形成された金属板と上記樹脂とを、所望の接合位置で当接させ、当接面に熱を与えることで、樹脂の当接面付近を溶融させて、樹脂と金属板との金属樹脂複合成形品を製造する方法が挙げられる。
<金属樹脂複合成形品の特性>
ここで、本発明の金属樹脂複合成形品は、薄肉の金属板を用いているため、これをロール状として供給するフープ成形によって効率よく製造することができる点で、気密性が要求される電子部品やその端子保持構造体に好適に使用することができる。
より具体的には、本発明の金属樹脂複合成形品は、電気・電子機器の一部として有用である。ここで、電気・電子機器としては、スマートフォン、携帯電話、カメラ、ビデオ複合型カメラ、デジタルカメラ等の携帯用映像電子機器、ノート型パソコン、ポケットコンピュータ、電卓、電子手帳、PDC、PHS、携帯電話等の携帯用情報又は通信端末、MD、カセットヘッドホンステレオ、ラジオ等の携帯用音響電子機器、液晶TV・モニター、電話、ファクシミリ、ハンドスキャナー等の家庭用電化機器等を挙げることができる。また、気密性が要求される電子部品としては、コネクタ、センサ、コンデンサ、キャパシタ、電池、LEDパッケージ等を挙げることができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<インサート成形体の製造方法>
このインサート成形体を以下の方法で製造した。なお、図中の寸法の単位はmmである。
樹脂部を構成する熱可塑性樹脂組成物として、ポリフェニレンサルファイド系樹脂組成物(充填材としてガラスファイバーを35質量%含み、310℃で測定した、せん断速度1000/秒での溶融粘度が260Pa・sの樹脂組成物、ポリプラスチックス(株)社製、「ジュラファイド(登録商標)1135MF1」)を用いた。
金属板として、アルミ(A5052、厚さ1.5mm)から構成され、下記の通りにして凹凸を形成したISO19095 Type Bに準拠した18mm×45mm×1.5mmの金属板(図4(a))を用いた。この金属板は、図4(b)の小さいハッチング部に示した5mm×10mmの領域に接合予定面を有する。
<凹凸の形成>
以下の各種の方法を用いて、金属板の接合予定面(図4(b)ハッチング部)に凹凸を形成した。
[実施例1]
レーザーマーカMD-U1000C(キーエンス社製、レーザータイプ:YVOレーザー、発信波長:355nm(UVレーザー)、最大定格出力:2.5W(平均)、スポット径:20μm)を用い、出力90%、周波数50kHz、走査速度500mm/s、処理ピッチ10μm、走査回数10回にて、接合予定面の金属表面に、レーザー光を照射して凹凸を形成した。
[実施例2]
レーザーマーカMD-V9900(キーエンス社製、レーザータイプ:YVOレーザー、発信波長:1064nm、最大定格出力:13W(平均)、スポット径:60μm)を用い、出力99%、周波数50kHz、走査速度500mm/s、処理ピッチ40μm、走査回数8回にて、接合予定面の金属表面に、レーザー光を照射して凹凸を形成した。
[実施例3]
レーザーマーカML-7350L(アマダミヤチ社製、レーザータイプ:Ybファイバレーザー、発信波長:1055~1070nm、最大定格出力:50W(平均)、スポット径:58μm)を用い、出力90%、周波数50kHz、走査速度1000mm/s、処理ピッチ30μm、走査回数10回にて、接合予定面の金属表面に、レーザー光を照射して凹凸を形成した。
[比較例1]
JIS R6010に規定される粒度P120番の紙やすりを用いて、凹凸の深さXが約2μm、凹凸の間隔Yが約7μmとなるように研磨して、接合予定面の金属表面に凹凸を形成した。
[比較例2]
レーザーマーカMD-U1000C(キーエンス社製、レーザータイプ:YVOレーザー、発信波長:355nm(UVレーザー)、最大定格出力:2.5W(平均)、スポット径:20μm)を用い、出力38%、周波数50kHz、走査速度500mm/s、処理ピッチ200μm、走査回数40回にて、接合予定面の金属表面に、レーザー光を照射して格子状パターンの溝を形成した。
上記の各処理を行った金属板について、凹凸の深さX、凹凸の間隔Y、及び凹凸の間隔Yが2.1~2.5μm及び3.3~3.6μmのそれぞれの領域における各金属板のアンダーカット率を、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、「S2700」)と「日立走査電子顕微鏡用3D-VIEW三次元モデル表示・計測ソフトウェア」を用いて測定した。
また、同じ装置を用いて、表面状態の他の指標として、粗さ曲線要素の平均長さRSmを測定した。深さX、間隔Y、アンダーカット率、RSmの測定結果を表1に示す。なお、アンダーカット率を測定する間隔Yの領域は、本発明の凹凸の間隔Yの範囲で適宜設定することができるが、上記と同じ装置により取得できるパワースペクトルをもとに、凹凸の間隔Yごとの凹凸数の分布を把握しておくことで、より効率的にアンダーカット率の影響を評価できる領域を設定することができる。
さらに参考として、樹脂との接合に用いるために金属板に表面処理を施す際に、その表面処理状態の指標として用いられることのある、算術表面粗さ(Ra)を測定した。測定はミツトヨ社製表面粗さ計サーフテストSV3000S(スタイラスのテーパー60°、先端半径2μm)を用いて、測定長さ5mmにて行った。結果を表1に示す。
これらの金属板をそれぞれ金型に配置し、複合化工程を行った。成形条件は以下の通りである。金属樹脂複合成形品の形状は図4(a)に示す通りである。
[成形条件]
成形機:ソディックTR-100EH(横型射出成形機)
シリンダー温度:320℃
金型温度:150℃
射出速度:15mm/s
保圧力:80MPa×5秒
<評価>
上記の方法で作成した金属樹脂複合成形品について、接合部分の接合強度を評価した。具体的な評価方法は以下の通りである。
[接合強度]
上記の方法で作製した金属樹脂複合成形体5について、ISO19095に準拠し接合強度を測定した。なお、試験片をそのまま引張試験すると試験片に曲げモーメントがかかり、本来の接合強度以下で破断することがあるため、図4(c)に表す試験片を保持する治具を使用して試験を実施した。結果を表1に示す。
[変形]
薄肉の金属板を用いる場合を想定し、アルミニウム(A5052、厚さ0.1mm)の金属板を用意し、20mm×50mmの板状に裁断し、20mm×50mmの片面全面に対して、上記の各実施例、比較例の接合強度評価と同じ条件でレーザー照射を行った。処理後の金属板を目視で観察し、反り等の変形が見られるものは×、そうでないものは○として評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007282531000001
表1に示す通り、本発明の範囲では、樹脂部と金属板との接合強度を向上させることができる。特に、従来、金属の表面を粗化して樹脂との密着性を向上させる技術においては、表面粗さを高くする方が接合強度が高くなると考えられていたが、表1のRaと接合強度には相関が見られておらず、また、RSmと接合強度にも明確な相関は示されていないことから、本発明のような浅い凹凸の場合、接合強度は単純に表面粗さに依存するものではないことが分かる。
一方でアンダーカット率が高ければ優れた接合強度が得られることが確認され、特に、凹凸の間隔Yが2.1~2.5μmの領域におけるアンダーカット率を高くすることが、接合強度の向上に有効であると言える。この原因は明確ではないが、凹凸のサイズによる樹脂の入り込みやすさと凹凸の絶対数、そしてアンダーカットによるアンカー効果のバランスによるものと推測される。
なお、フープ成形に用いる場合を想定し、上記の変形の評価と同様に20mm×50mmに裁断した、厚さ50μm(0.05mm)、200μm(0.2mm)、500μm(0.5mm)、1000μm(1mm)の各厚さのアルミ(A5052)の金属板について、レーザー照射を行う前の状態で、長手方向が円周方向になるように、曲率半径40mmの円柱に巻き付けて10秒間保持した後、保持時に外側になっていた面を下にして定盤上に載置し、歪による反りの発生を目視で確認したところ、500μmまでは問題ないレベルであったが、1000μmでは著しい反りが見られた。
このように、金属板が厚くなると、フープ成形等に用いる板金においては巻き取り性が不利となるため、そのような用途では金属板を薄くする必要があるが、本発明の方法ならば薄肉の金属板に対しても、表1の通り変形の少ない状態で表面処理することができる。
lr:所定の測定長
Sm1、Sm2、Sm3・・・Smn:lrに存在する各凹凸の間隔長
Rl:凹凸が理想的な(アンダーカットがゼロ)長方形の断面を有する場合の接合に寄与する有効長
RzJIS:lrの十点平均粗さ
Rlr:lrにおいてアンダーカットを有する実際の有効線長

Claims (5)

  1. 樹脂組成物からなる成形品と接合するための表面に凹凸を有する金属板であって、該金属板の厚さHが50~500μmであり、該凹凸は間隔Yが0.5~30μm、深さXが0.5~10μmであり、下記で定義されるアンダーカット率が5~30%である、フープ成形用金属板。
    アンダーカット率=(実際の有効線長さRlr-Rl)/Rl×100
    ただし、該金属板の断面における所定の測定長さlr当たりの山数nを(lr/lr内に存在する粗さ要素の平均間隔SRSm)とし、凹凸が理想的なアンダーカットがゼロである長方形の断面を有する場合の接合に寄与する有効長さRlを(十点平均粗さRzJIS×2×山数n+lr)とし、Rlrを実際の有効線長さとする。
  2. 樹脂組成物からなる成形品と接合するための表面に凹凸を有する金属板の製造方法であって、該凹凸をレーザーによって形成し、該凹凸の間隔Yを0.5~30μm、深さXを0.5~10μmとし、下記で定義されるアンダーカット率を5~30%とする凹凸形成工程を有する、金属板の製造方法。
    アンダーカット率=(実際の有効線長さRlr-Rl)/Rl×100
    ただし、該金属板の断面における所定の測定長さlr当たりの山数nを(lr/lr内に存在する粗さ要素の平均間隔SRSm)とし、凹凸が理想的なアンダーカットがゼロである長方形の断面を有する場合の接合に寄与する有効長さRlを(十点平均粗さRzJIS×2×山数n+lr)とし、Rlrを実際の有効線長さとする。
  3. 金属板に樹脂組成物からなる成形品を接合した金属樹脂複合成形品であって、該金属板の該樹脂組成物がインサートされた表面には凹凸が形成されており、該凹凸は、間隔Yが0.5~30μm、深さXが0.5~10μm、下記で定義されるアンダーカット率が5~30%である金属樹脂複合成形品(ただし、金属板に樹脂組成物からなる成形品を接着剤を介して接合した金属樹脂複合成形品を除く)。
    アンダーカット率=(実際の有効線長さRlr-Rl)/Rl×100
    ただし、該金属板の断面における所定の測定長さlr当たりの山数nを(lr/lr内に存在する粗さ要素の平均間隔SRSm)とし、凹凸が理想的なアンダーカットがゼロである長方形の断面を有する場合の接合に寄与する有効長さRlを(十点平均粗さRzJIS×2×山数n+lr)とし、Rlrを実際の有効線長さとする。
  4. 前記金属板の厚さHが50~500μmである請求項3記載の金属樹脂複合成形品。
  5. 金属板に樹脂組成物からなる成形品を接合して金属樹脂複合成形品を製造する方法であって、該金属板の表面に凹凸を形成する凹凸形成工程と、該凹凸が形成された該金属板の表面に該樹脂組成物をインサートする工程とを有し、該凹凸形成工程が、該凹凸をレーザーによって形成し、間隔Yが0.5~30μm、深さXを0.5~10μmとし、下記式で定義されるアンダーカット率を5~30%とする工程である、金属樹脂複合成形品の製造方法。
    アンダーカット率=(実際の有効線長さRlr-Rl)/Rl×100
    ただし、該金属板の断面における所定の測定長さlr当たりの山数nを(lr/lr内に存在する粗さ要素の平均間隔SRSm)とし、凹凸が理想的なアンダーカットがゼロである長方形の断面を有する場合の接合に寄与する有効長さRlを(十点平均粗さRzJIS×2×山数n+lr)とし、Rlrを実際の有効線長さとする。
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