JP7272471B2 - 鋼板 - Google Patents
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Description
[1]成分組成が、質量%で、
C:0.030~0.120%、
Si:0.01~0.15%、
Mn:0.80~2.00%、
P:0.020%以下、
S:0.0005~0.0050%、
Al:0.005~0.100%、
Ti:0.005~0.030%、
N:0.0030~0.0080%、
Ca:0.0005~0.0030%、
O:0.0040%以下を含有し、
残部はFeおよび不可避的不純物であり、
さらに、S、Ca、Oが下記(1)式を満たすように含有し、TiNの析出物のうち円相当径で0.1μmを超える析出物が質量割合で40%以上である鋼板。
0<(Ca-(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S<1 ・・・(1)
但し、各元素記号は各元素の含有量(質量%)を示す。
[2]成分組成が、更に、質量%で、
Cu:1.00%以下、
Ni:1.50%以下、
Cr:1.00%以下、
Mo:0.50%以下、
V:0.50%以下、および、
Nb:0.05%以下の中から選ばれる1種以上を含有する[1]に記載の鋼板。
[3] 成分組成が、更に、質量%で、
B:0.0025%以下、
Mg:0.0050%以下、
Zr:0.0200%以下、
REM:0.0200%以下の中から選ばれる1種以上を含有する[1]または[2]に記載の鋼板。
Cは、鋼材の強度を高める元素であり、構造用鋼として必要な強度を確保するためには、0.030%以上含有させる必要がある。よって、C含有量の下限は、0.030%とする。C含有量は、好ましくは0.040%以上であり、より好ましくは0.050%以上であり、さらに好ましくは0.060%以上である。一方、Cが0.120%を超えると、溶接熱影響部において島状マルテンサイト(以降、MAという場合もある。)が生成し易くなり、靭性の低下につながるため、上限は0.120%とする。C含有量は、好ましくは0.100%以下であり、より好ましくは0.090%以下であり、さらに好ましくは0.085%以下である。
Siは、鋼を溶製する際の脱酸剤として添加される元素であり、0.01%以上の含有が必要である。したがって、Si含有量は0.01%以上とする。Si含有量は、好ましくは0.02%以上であり、より好ましくは0.03%以上であり、さらに好ましくは0.04%以上であり、もっとも好ましくは0.06%以上である。しかし、0.15%を超えると、母材の靱性が低下するほか、大入熱溶接熱影響部において島状マルテンサイトの生成傾向を高め、靱性の低下を招くことがある。よって、Si含有量は0.15%以下とする。Si含有量は、好ましくは0.13%以下であり、より好ましくは0.10%以下であり、さらに好ましくは0.09%以下である。
Mnは、母材の強度を確保するために、Mn含有量は、0.80%以上とする。Mn含有量は、好ましくは1.00%以上であり、より好ましくは1.20%以上であり、さらに好ましくは1.40%以上であり、もっとも好ましくは1.50%以上である。一方、Mn含有量は2.00%を超えるとHAZの靭性を著しく劣化させるため、2.00%以下とする。なお、Mn含有量は、好ましくは1.90%以下であり、より好ましくは1.85%以下であり、さらに好ましくは1.80%以下であり、もっとも好ましくは1.70%以下である。
Pは、ボンド部近傍のHAZでのMA生成を促進し、靭性を大きく低下させるため、P含有量は0.020%以下とした。P含有量は、好ましくは、0.015%以下であり、さらに好ましくは0.012%以下である。なお、P含有量の下限は特に限定されない。ただし、過度の脱Pはコストの増加を招くので、P含有量は0.002%以上が好ましい。
Sはフェライトの核生成サイトとして作用するMnSあるいはCaSを形成するために必要な元素である。このため、S含有量は0.0005%以上とする。S含有量は、好ましくは0.0010%以上であり、より好ましくは0.0015%以上である。しかしながら、Sを過度に含有させると母材靭性の低下を招くため、S含有量は0.0050%以下とする。S含有量は、好ましくは0.0040%以下であり、より好ましくは0.0035%以下であり、さらに好ましくは0.0030%以下である。
Alは、鋼の脱酸のために含有される元素であり、Al含有量は、0.005%以上とする。Al含有量は、好ましくは0.010%以上であり、より好ましくは0.020%以上であり、さらに好ましくは0.030%以上である。しかし、0.100%を超えて含有すると、母材の靱性のみならず、溶接金属の靱性をも低下させる。よって、Al含有量は0.100%以下とする。Al含有量は、好ましくは0.085%以下であり、より好ましくは0.070%以下であり、さらに好ましくは0.065%以下である。
Tiは、溶鋼の凝固時にTiNとなって母材中に析出し、オーステナイト粒の粗大化を抑制することで母材靭性の向上に寄与する。また、溶接時には溶接熱影響部においてTiNが組織の粗大を抑制するとともにフェライトの変態核となって、高靱性化に寄与する。斯かる効果を得るためには、0.005%以上の含有が必要である。よって、Ti含有量は0.005%以上とする。Ti含有量は、好ましくは0.008%以上であり、より好ましくは0.011%以上であり、さらに好ましくは0.015%以上である。一方、Tiは0.030%を超えて含有すると、析出したTiNが過剰に粗大化し、上記効果が得られなくなる。よって、Ti含有量は、0.030%以下とする。Ti含有量は、好ましくは0.027%以下であり、より好ましくは0.024%以下であり、さらに好ましくは0.020%以下である。
Nは、TiNを生成させ、靭性向上に寄与するため、N含有量は0.0030%以上とする。N含有量は、好ましくは0.0035%以上であり、より好ましくは0.0040%以上である。一方、0.0080%を超えると溶接熱サイクルにより高温で保持されTiNが溶解した場合に、生地組織への固溶Nが過剰になり靭性を劣化させることが懸念される。以上より、N含有量は0.0080%以下とする。N含有量は、好ましくは0.0070%以下であり、より好ましくは0.0065%以下であり、さらに好ましくは0.0070%以下である。
CaはSを固定して靭性を改善させる効果がある。その効果を得るため、Ca含有量は、0.0005%以上とする。Ca含有量は、好ましくは0.0010%以上であり、より好ましくは0.0015%以上である。一方、Ca含有量は0.0030%を超えると効果が飽和するため、Ca含有量は0.0030%以下とする。Ca含有量は、好ましくは0.0025%以下であり、より好ましくは0.0020%以下である。
OはCaS上にMnSが析出した複合硫化物の生成に間接的に影響を与えるため、O含有量は0.0040%以下とする。O含有量は、好ましくは0.0030%以下であり、より好ましくは0.0025%以下である。なお、O含有量の下限は特に限定されない。ただし、過度の酸素量低減はコストの増加を招くので、O含有量は0.0003%以上が好ましい。
0<(Ca-(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S<1 ・・・(1)
但し、各元素記号は各元素の含有量(質量%)を示す。
(1)式中の「(Ca-(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S」の値(以下、A値と称する)が0以下の場合、CaSが晶出せずSはMnS単体として析出して、鋼板製造時に圧延方向に伸長して母材靭性を低下させる。また、溶接熱影響部においてMnSが溶融されるため優れた靭性を得られない。よってA値は0超とする。A値は、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.3以上である。一方、A値が1以上の場合、SがほとんどCaによって固定され、フェライト生成核となるMnSがCaS上に析出しないため、溶接熱影響部にフェライトが生成せず、靭性向上効果が得られない。よってA値は1未満とする。A値は、好ましくは0.8以下であり、より好ましくは0.7以下である。
Cuは鋼板の高強度化に有効な元素であるが、過剰に添加すると鋳造した鋼塊の割れを助長し、鋼板の靭性を低下させることが懸念される。よって、Cuを含有する場合には、Cu含有量は1.00%以下とする。Cu含有量は、好ましくは0.50%以下が好ましく、より好ましくは0.30%以下である。一方、かかる効果を得るためには、Cuを含有する場合には、Cu含有量は0.03%以上とすることが好ましい。Cu含有量は、0.04%以上とするのがより好ましい。
Niは、鋼板の靭性を向上させるとともに、強度も上昇させるが、過剰な添加は母材およびHAZの靭性を低下させ、また製造コストを圧迫する。よってNiを含有する場合には、Ni含有量は1.50%以下とする。Ni含有量は、好ましくは1.0%以下であり、より好ましくは0.50%以下であり、さらに好ましくは0.30%以下である。一方、かかる効果を得るためには、Niを含有する場合には、Ni含有量は0.03%以上とすることが好ましい。Ni含有量は、0.04%以上とすることがより好ましい。
Crは鋼板の高強度化に有利な元素であるが、過剰な含有は母材およびHAZの靭性を低下させる。よって、Crを含有する場合には、Cr含有量は1.00%以下とする。Cr含有量は、好ましくは0.80%以下であり、より好ましくは0.50%以下であり、さらに好ましくは0.30%以下である。一方、かかる効果を得るためには、Crを含有する場合には、Cr含有量は0.02%以上とすることが好ましい。Cr含有量は、0.03%以上とすることがより好ましい。
Moは鋼板の高強度化に有利な元素であるが、過剰な含有は母材およびHAZの靭性を低下させる。よって、Moを含有する場合には、Mo含有量は0.50%以下とする。Mo含有量は、好ましくは0.40%以下であり、より好ましくは0.30%以下であり、さらに好ましくは0.20%以下である。一方、かかる効果を得るためには、Moを含有する場合には、Mo含有量は0.003%以上とすることが好ましい。Mo含有量は、0.004%以上とすることがより好ましい。
Vは鋼板の高強度化に有利な元素であるが、過剰な含有は母材およびHAZの靭性を低下させる。よって、Vを含有する場合には、V含有量は0.50%以下とする。V含有量は、好ましくは0.40%以下であり、より好ましくは0.30%以下であり、さらに好ましくは0.20%以下である。一方、かかる効果を得るためには、Vを含有する場合には、V含有量は0.003%以上とすることが好ましい。V含有量は、0.004%以上とすることがより好ましい。
Nbの鋼板の強度向上に大きく寄与するが、過剰な含有は溶接熱影響部組織において上部ベイナイトや島状マルテンサイトの増加の原因となる事があり、靭性の低下につながる。よって、Nbを含有する場合には、Nb含有量は0.05%以下とする。Nb含有量は、好ましくは0.04%以下であり、より好ましくは0.03%以下であり、さらに好ましくは0.02%以下である。一方、かかる効果を得るためには、Nbを含有する場合には、Nb含有量は0.002%以上とすることが好ましい。Nb含有量は、0.003%以上でとすることがより好ましい。
Bは、溶接熱影響部でBNを生成して、固溶Nを低減し、また、フェライト変態核となりフェライトを生成して靭性を向上させる。かかる効果を得るためには、Bを含有する場合には、B含有量は0.0003%以上とする。B含有量は、好ましくは0.0005%以上であり、より好ましくは0.0008%以上である。しかし、Bは0.0025%を超えて含有すると、母材およびHAZの靱性低下を招く。このため、Bを含有する場合には、B含有量は0.0025%以下とする。B含有量は、好ましくは0.0020%以下であり、より好ましくは0.0018%以下である。
Mg、ZrおよびREMはいずれも、酸化物の分散による靱性改善効果を有する元素である。このような効果を発現させるには、Mg、ZrおよびREMを含有する場合には、Mg含有量は0.0005%以上、Zr含有量およびREM含有量はそれぞれ0.0010%以上とすることが好ましい。Mg含有量は0.0010%以上、Zr含有量およびREM含有量はそれぞれ0.0015%以上とすることがより好ましい。一方、Mgは0.0050%超え、ZrおよびREMはそれぞれ0.0200%を超えて含有しても、その効果は飽和するだけである。よって、これらの元素を含有する場合は、Mg含有量は0.0050%以下、Zr含有量およびREM含有量はそれぞれ0.0200%以下とする。好ましくは、Mg含有量は0.0030%以下、Zr含有量およびREM含有量はそれぞれ0.01%以下である。
鋼板中のTiNの析出物について、全析出量のうち円相当径で0.1μmを超える析出物が質量割合(以下、P値ともいう)で40%以上とすることにより、20.0kJ/mmを超える大入熱溶接を施した場合においてもTiNが溶け残る。その結果、その後のオーステナイトの粒成長を抑制し、熱影響部および鋼板の靭性向上に寄与する。よって、TiNの析出物の全析出量のうち円相当径で0.1μmを超える析出物が質量割合で、40%以上とする。TiNの析出物の全析出量のうち円相当径で0.1μmを超える析出物が質量割合で、好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上とする。一方、サイズ(円相当径)の大きい析出物の質量割合が過剰に増大すると析出物が粗大化して破壊の起点となる可能性があることから、TiNの析出物の全析出量のうち円相当径で0.1μmを超える析出物が質量割合で、98%以下とすることが好ましい。TiNの析出物の全析出量のうち円相当径で0.1μmを超える析出物が質量割合で、98%以下がより好ましく、95%以下がさらに好ましい。また、円相当径で2.0μmを超える析出物は脆性破壊の起点となる可能性があるため極力低減することが望ましい。
Claims (3)
- 成分組成が、質量%で、
C:0.030~0.120%、
Si:0.01~0.15%、
Mn:0.80~2.00%、
P:0.020%以下、
S:0.0005~0.0050%、
Al:0.005~0.100%、
Ti:0.005~0.030%、
N:0.0030~0.0080%、
Ca:0.0005~0.0030%、
O:0.0040%以下を含有し、
残部はFeおよび不可避的不純物であり、
さらに、S、Ca、Oが下記(1)式を満たすように含有し、TiNの析出物のうち円相当径で0.1μm超え2.0μm以下の析出物が質量割合で40%以上である鋼板。
0<(Ca-(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S<1 ・・・(1)
但し、各元素記号は各元素の含有量(質量%)を示す。 - 成分組成が、更に、質量%で、
Cu:1.00%以下、
Ni:1.50%以下、
Cr:1.00%以下、
Mo:0.50%以下、
V:0.50%以下、および、
Nb:0.05%以下の中から選ばれる1種以上を含有する請求項1に記載の鋼板。 - 成分組成が、更に、質量%で、
B:0.0025%以下、
Mg:0.0050%以下、
Zr:0.0200%以下、
REM:0.0200%以下の中から選ばれる1種以上を含有する請求項1または2に記載の鋼板。
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