以下に、本発明の実施形態に係る時計につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[第1実施形態]
図1から図6を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、時計に関する。図1は、第1実施形態に係る時計を示す図、図2は、第1実施形態に係る時計の断面図、図3は、第1実施形態に係る静電モータの回転子および固定子を示す図、図4は、第1実施形態に係る静電モータの斜視図、図5は、第1実施形態に係る風防の断面図、図6は、第1実施形態の時計におけるパッキンの近傍の断面図である。
図1および図2に示すように、本実施形態の時計1は、指針36によって時刻を表示するアナログ電子時計である。例示された時計1は、ユーザの腕に装着される腕時計である。時計1は、時計ケース20、風防10、文字板31、ムーブメント34、および指針36を有する。指針36は、秒針36a、分針36b、および時針36cを有する。
図2に示すように、時計ケース20は、外装ケース21および裏蓋22を有する。外装ケース21は、導電性を有する金属によって形成されている。外装ケース21の形状は、筒形状であり、例えば、略円筒形状である。外装ケース21は、文字板31、ムーブメント34、および指針36を収容している。以下の説明では、外装ケース21の軸方向を単に「軸方向Z」と称する。また、軸方向Zの一方側を「前面側Fz」と称し、軸方向Zの他方側を「背面側Rz」と称する。指針36の針本体36mは、文字板31に対して前面側Fzに配置されている。つまり、前面側Fzは、ユーザが時刻を確認するときにユーザを向く側である。背面側Rzは、時計1がユーザの腕に装着されているときにユーザの腕を向く側である。
文字板31は、前面31aおよび背面31bを有する。前面31aは、目盛りや時字が配置されている面である。背面31bは、文字板31の裏面であり、ムーブメント34と対向する面である。文字板31は、前面31aを前面側Fzに向けて外装ケース21に対して固定されている。
ムーブメント34は、文字板31に対して背面側Rzに配置されている。ムーブメント34は、中枠35を介して外装ケース21に対して固定されている。また、文字板31の周縁には、見切り37が配置されている。見切り37は、文字板31に対して前面側Fzに配置されており、外装ケース21に対して固定されている。見切り37は、見返しリングである。見切り37の内周面は、軸方向Zに対して傾斜している。
外装ケース21は、開口21a,21bを有する。開口21aは、外装ケース21における前面側Fzの開口である。開口21aは、軸方向Zにおいて文字板31の前面31aと対向している。開口21bは、外装ケース21における背面側Rzの開口である。開口21bは、軸方向Zにおいて文字板31の背面31bと対向している。
風防10は、外装ケース21の開口21aを閉塞している。風防10は、基材11および被膜12を有する。基材11は、透明な部材であり、例えば、ガラスまたはプラスチックによって形成されている。ガラスとしては、サファイアガラス、ソーダガラス、強化クリスタルガラスが挙げられる。プラスチックとしては、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどが挙げられる。本実施形態の被膜12は、無機層6および有機層7を有する。被膜12は、基材11に対して背面側Rzに形成されており、基材における文字板と対向する側に形成されている。被膜12は、外装ケースの内部空間に露出している透明な層である。被膜12の詳細については後述する。
パッキン32は、風防10と外装ケース21との間に介在している。パッキン32は、風防10と外装ケース21の内周面との間をシールする。パッキン32は、風防10と見切り37の前面との間をシールしていてもよい。パッキン32は、環状のシール部材であり、例えば、ゴム等の樹脂によって形成されている。
裏蓋22は、外装ケース21の開口21bを閉塞している。裏蓋22は、例えば、導電性を有する金属によって形成されている。外装ケース21と裏蓋22との間には、パッキン33が介在している。例示されたパッキン33は、面シールであり、外装ケース21の背面と裏蓋22の前面との間をシールしている。パッキン32,33により、外装ケース21の内部空間23に塵、埃、水分などが浸入しないような気密構造が形成されている。
本実施形態のムーブメント34は、図3および図4に示す静電モータ4を有する。静電モータ4は、回転子40、回転軸41、および固定子50を有する。本実施形態の回転子40および固定子50は、それぞれ円盤形状であるが、固定子50は円盤形状に限定されず、四角などの形状でもよい。本実施形態の固定子50は、回転不能なように筐体等に対して固定されている。回転軸41は、回転子40に対して固定されている。回転軸41は、受石等によって回転自在に支持されている。回転子40は、固定子50と同軸上に、かつ固定子50に対して隙間をあけて対向している。
回転子40は、シリコン基板、帯電用の電極面が設けられたガラスエポキシ基板、あるいはアルミ板などの基板材料により形成された円盤形状の部材である。回転子40において、固定子50と対向する面には、複数のエレクトレット膜42が形成されている。エレクトレット膜42は、回転軸41を中心とする回転方向に沿って等間隔で配置されている。エレクトレット膜42は、エレクトレット材料で構成されている薄膜である。本実施形態のエレクトレット膜42は、マイナスの電位に帯電している。回転子40には、隣接するエレクトレット膜42の間に貫通孔43が形成されている。
固定子50において、回転子40と対向する面には複数の固定電極51,52,53が配置されている。例示された静電モータ4は、U相、V相、W相の三相式のモータである。固定電極51は、U相に対応する電極であり、固定電極52は、V相に対応する電極であり、固定電極53は、W相に対応する電極である。固定子50には、固定電極51,52,53からなる電極群54が複数配置されている。固定電極51,52,53は、回転子40の回転方向CWに沿って等間隔で配置されている。静電モータ4は、固定電極51,52,53からエレクトレット膜42に作用させる静電力によって回転子40を回転させる。
静電モータ4の回転軸41は、例えば、輪列を介して指針36の回転軸と連結されている。本実施形態の時計1では、回転軸41が秒針36aの回転軸と連結されている。つまり、静電モータ4は、秒針36aを回転駆動する。この場合、ムーブメント34は、分針36bおよび時針36cを駆動するモータとして、静電モータ4とは異なるモータを有していてもよい。なお、ムーブメント34は、秒針36a、分針36b、および時針36cの全てを静電モータ4によって駆動してもよい。
図5には、本実施形態に係る風防10の断面が示されている。図5に示すように、被膜12は、透明な無機層6および透明な有機層7を有する。無機層6は、有機層7と基材11との間に介在している。言い換えると、基材11の背面11bに無機層6が形成されており、無機層6の背面6bに有機層7が形成されている。なお、基材11に無機層6が形成される場合、基材11はガラス等の無機物で形成されていてもよい。
無機層6は、第一無機層61および第二無機層62を有する。第一無機層61の屈折率n1は、第二無機層62の屈折率n2よりも大きい。つまり、第一無機層61は、高屈折率層であり、第二無機層62は、低屈折率層である。無機層6は、第一無機層61および第二無機層62を交互に重ねて形成されている。無機層6における最も前面側Fzの層は、第一無機層61である。つまり、無機層6は、基材11の背面11bに第一無機層61を形成し、その後に第二無機層62および第一無機層61を交互に重畳させて形成されている。無機層6における最表層、すなわち最も背面側Rzに位置する層は、第一無機層61である。例示された無機層6は、三層の第一無機層61と、二層の第二無機層62と、を有する。
第一無機層61は、例えば、酸化アルミ(AL2O3)で形成される。第二無機層62は、例えば、フッ化マグネシウム(MGF2)で形成される。なお、第一無機層61を形成する無機材料は、酸化アルミ(AL2O3)には限定されず、例えば、窒化ケイ素(SiN)等であってもよい。第二無機層62を形成する無機材料は、フッ化マグネシウム(MGF2)には限定されず、例えば、酸化ケイ素(SiO2)等であってもよい。
例示された有機層7は、単層の第一導電層70で構成されている。第一導電層70は、導電性を有する有機材料を含む層であり、例えば、導電性高分子を含んでいる。第一導電層70は、無機層6を文字板31の側から覆っている。第一導電層70は、外装ケース21の内部空間23に露出している。言い換えると、第一導電層70の背面70bは、軸方向Zにおいて文字板31と対向している露出面である。
本実施形態の被膜12では、無機層6と有機層7とによって反射防止層が構成されている。第一導電層70の屈折率n3は、第一無機層61の屈折率n1よりも小さい。つまり、被膜12は、相対的に高い屈折率を有する第一無機層61と、相対的に低い屈折率を有する層(第二無機層62または第一導電層70)と、が交互に積層されて構成されている。第一無機層61の厚さt1、第二無機層62の厚さt2、および第一導電層70の厚さt3は、被膜12が反射防止機能を有するように定められている。被膜12は、光の干渉により反射光を打ち消すように構成されている。
本実施形態の時計1では、風防10において、内部空間23に露出している第一導電層70が導電性を有している。つまり、第一導電層70において、電位の局在化が発生しにくい。言い換えると、第一導電層70の背面70bにおいて、電位が均一化されやすい。その結果、本実施形態の時計1では、電位の局在化に起因する問題の発生が抑制される。例えば、本実施形態の時計1は、指針36の運針を安定させることができる。
本実施形態の風防10に対する比較例として、第一導電層70が設けられていない風防について検討する。比較例の風防では、文字板31と対向する露出面において電位の局在化が発生しやすい。電位が局在化すると、例えば、指針36に作用する静電力が変動することで指針36の運針が不安定となることがある。また、風防の露出面において電位が局在化すると、回転子40の回転を不安定化させる静電力が作用することがある。これに対して、本実施形態の時計1は、指針36の運針を安定させることができる。
図6に示すように、本実施形態の時計1では、パッキン32に導電膜32aが設けられている。導電膜32aは、例えば、パッキン32の全体を覆うように形成されている。導電膜32aは、例えば、導電性を有する塗料がパッキン32の表面に塗布されて形成される。導電膜32aは、第一導電層70および外装ケース21と接触している。つまり、第一導電層70は、パッキン32を介して外装ケース21に接地されている。第一導電層70が接地されていることで、第一導電層70が帯電しにくい。よって、第一導電層70と指針36や回転子40との間で静電力が発生しにくい。その結果、指針36の運針が安定する。また、第一導電層70が帯電しにくいことで、第一導電層70に汚れが付着しにくい。
また、導電膜32aは、基材11を外装ケース21に接地している。よって、基材11が帯電しにくく、基材11に汚れが付着しにくい。例えば、基材11がプラスチックで形成されている場合に、基材11に対する汚れの付着が好適に抑制される。なお、見切り37の表面に導電膜が形成されてもよい。
なお、本実施形態の風防10において、無機層6が設けられずに、基材11に対して第一導電層70が直接形成されてもよい。本実施形態の第一導電層70は、帯電防止膜であり、以下に説明する風防用帯電防止膜形成用組成物によって形成される。
<風防用帯電防止膜形成用組成物>
本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物は、導電性高分子と、アセチレン系界面活性剤と、沸点180℃以上の水溶性有機溶媒と、イソプロピルアルコールおよびエタノールから選ばれる少なくとも1種のアルコールと、水とを含む。また、本実施形態の時計用帯電防止膜形成用組成物は、上記導電性高分子を0.03質量%以上5.0質量%以下の量で、上記アセチレン系界面活性剤を0.01質量%以上1.0質量%以下の量で、上記沸点180℃以上の水溶性有機溶媒を0.1質量%以上10.0質量%以下の量で含む。溶解性の観点から、上記導電性高分子を0.03質量%以上1.0質量%以下の量で含むことが好ましい。
本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物は、たとえば一例として時計の風防10を構成する基材11の表面に帯電防止膜を形成することができる。たとえば、時計の風防10を構成する基材11の表面に本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物を塗布等により付着し、加熱して帯電防止膜を形成できる。形成された帯電防止膜は、加熱の際に、沸点180℃以上の水溶性有機溶媒、アルコール、水が蒸発するため、少なくとも導電性高分子を含む導電性高分子膜である。ところで、特許文献1のように、帯電防止膜をITO(Indium Tin Oxide)等の無機化合物により形成することもできる。しかしながら、ITO膜は、真空蒸着装置を使用して形成する必要があり、煩雑であり高コストとなる。また、ITO膜は、温度変化によりひびが入ることがある。これに対して、導電性高分子膜は、上記のように塗布等による付着および加熱を経て形成できる。すなわち、簡便に形成でき、コストを抑えられる。また、基材11がプラスチックであっても導電性高分子膜を形成できる。さらに、導電性高分子膜は、温度変化によりひびが入り難いととともに、帯電防止性能にも優れている。
また、従来、基材11がプラスチックの場合には、界面活性剤を用いて帯電防止膜が形成されることがある。界面活性剤で形成された帯電防止膜では、空気中の水分を利用して、表面抵抗を下げることにより、帯電を防止する。このため、湿度が低いと帯電防止性能を発揮し難い。これに対して、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物を用いて形成した帯電防止膜では、導電性高分子の働きにより、帯電を防止する。このため、湿度に関係なく帯電防止性能を発揮できる。したがって、基材11における文字板31側の表面に帯電防止膜を設けた場合も、帯電防止性能を発揮できる。
また、静電モータ4を使用した時計では、静電誘導力で起動するため、時計ケース20内を低湿度に保つ必要があり、風防10が帯電しやすく、風防10の帯電により風防10の帯電部分と時刻などを表示する指針36との間で静電引力が発生しやすい。そのため、運針ムラが発生する場合がある。このような時計であっても、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物によれば帯電防止性能に優れる帯電防止膜が形成できるため、運針ムラを抑制できる。
上記のように、形成された帯電防止膜には、導電性高分子が含まれるため、優れた帯電防止性能が発揮される。また、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物において、導電性高分子が上記の量で含まれていると、優れた帯電防止性能が発揮できる帯電防止膜が得られる。また、導電性高分子が上記の量で含まれていると、風防10の見栄えにも影響を与え難い。
導電性高分子としては、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホナート)(PEDOT/PSS;Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(styrenesulfonate))、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、これらの誘導体が挙げられる。導電性高分子は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのうちで、導電性高分子としては、帯電防止性能の観点から、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホナート)が好適に用いられる。
アセチレン系界面活性剤を用いると、基材11や無機層6に本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物を付着させる際、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物がはじかれ難くなる。したがって、薄く均一に付着できる。また、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物において、アセチレン系界面活性剤が上記の量で含まれていると、上記機能が充分に発揮される。
アセチレン系界面活性剤としては、アセチレンアルコール、アセチレンジオール、およびこれらにアルキレンオキサイドを付加した化合物が挙げられる。アセチレン系界面活性剤は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
アセチレンアルコールとしては、HOCR1R2-C≡CH(R1、R2は、それぞれ炭素数1~8のアルキル基を示す。)で表される化合物が挙げられる。具体的には、R1がメチル基、R2がイソブチル基である化合物、R1およびR2がメチル基である化合物、R1がメチル基、R2がエチル基である化合物が挙げられる。
アセチレンジオールとしては、HOCR1R2-C≡C-CR1R2OH(R1、R2は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1~8のアルキル基を示す。)で表される化合物が挙げられる。具体的には、R1がメチル基、R2がイソブチル基である化合物、R1およびR2がメチル基である化合物、R1がメチル基、R2がエチル基である化合物、R1がメチル基、R2がイソペンチル基である化合物が挙げられる。
また、これらにアルキレンオキサイドを付加した化合物としては、上記アセチレンアルコールまたはアセチレンジオールに、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを付加した化合物が挙げられる。
これらのうちで、アセチレン系界面活性剤としては、膜形成のしやすさの観点から、2,5,8,11-テトラメチル-6-ドデシン-5,8-ジオール,エトキシラテドが好適に用いられる。
沸点180℃以上の水溶性有機溶媒は、基材11や無機層6に付着させた本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物を加熱する際、徐々にゆっくり蒸発する。上記水溶性有機溶媒がゆっくり蒸発していくと、その間に導電性高分子の分子間のパス(いいかえると、導電性を発現するための電子が移動できる道筋)が形成できる。したがって、優れた帯電防止性能が発揮できる帯電防止膜が得られる。また、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物において、沸点180℃以上の水溶性有機溶媒が上記の量で含まれていると、上記機能が充分に発揮される。
沸点180℃以上の水溶性有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)、エチレングリコール(沸点197.6℃)、N-メチルピロリドン(沸点202℃)が挙げられる。沸点180℃以上の水溶性有機溶媒は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのうちで、ジメチルスルホキシドとしては、パス形成のしやすさの観点から、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホナート)が好適に用いられる。
本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物において、残部は、イソプロピルアルコールおよびエタノールから選ばれる少なくとも1種のアルコールおよび水である。なお、本明細書において、イソプロピルアルコールおよびエタノールから選ばれる少なくとも1種のアルコールについて、単にアルコール成分ともいう。アルコール成分は、イソプロピルアルコール、エタノールを単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。アルコール成分および水は、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物において、アセチレン系界面活性剤および導電性高分子の両者を溶解させる役割を有する。
アルコール成分としては、相溶性の観点から、イソプロピルアルコールが好適に用いられる。
本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物は、さらにエポキシ基を有するシランカップリング剤を含んでいてもよい。エポキシ基を有するシランカップリング剤を用いると、特に基材11がガラスの場合に、基材11に帯電防止膜を強固に付けられる。また、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物の安定性も向上する。
エポキシ基を有するシランカップリング剤は、具体的には、無機材料と親和性や反応性を有する加水分解基(X)と、有機材料と化学結合するエポキシ基(Y)とを有するケイ素化合物である。たとえば、上記シランカップリング剤は、X3-nMenSi-R-Y(Xは加水分解基、Yはエポキシ基、Meはメチル基、Rは炭素数2~3のアルキレン基を示し、nは0または1である。)で表される化合物である。加水分解性基(X)としては、CH3O-(メトキシ基)、CH3CH2O-(エトキシ基)、CH3OCH2CH2O-(2-メトキシエトキシ基)が挙げられる。また、R(アルキレン基)としては、エチレン基、プロピレン基が挙げられる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、たとえば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシランが挙げられる。エポキシ基を有するシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物は、エポキシ基を有するシランカップリング剤を含む場合は、エポキシ基を有するシランカップリング剤を0.01質量%以上0.5質量%以下の量で含むことが好ましい。
なお、エポキシ基を有するシランカップリング剤を用いる場合は、風防用帯電防止膜形成用組成物は、導電性高分子と、アセチレン系界面活性剤と、沸点180℃以上の水溶性有機溶媒と、エポキシ基を有するシランカップリング剤とを含み、残部が、アルコール成分および水である。
本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物は、さらに水溶性ポリウレタンおよび水溶性ポリエステルから選ばれる少なくとも1種の水溶性樹脂を含んでいてもよい。水溶性樹脂は、水溶性ポリウレタン、水溶性ポリエステルを単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。水溶性樹脂を用いると、帯電防止膜の密着性が向上できる。このため、基材11の他、パッキン32または有機塗装された外装部品にも帯電防止膜をより好適に形成できるようになる。
また、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物は、水溶性樹脂を含む場合は、水溶性樹脂を0.01質量%以上2.5質量%以下の量で含むことが好ましい。
なお、水溶性樹脂を用いる場合は、風防用帯電防止膜形成用組成物は、導電性高分子と、アセチレン系界面活性剤と、沸点180℃以上の水溶性有機溶媒と、水溶性樹脂とを含み、残部が、アルコール成分および水である。
本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物は、たとえば、以下の手順により調製できる。まず、導電性高分子を含む水溶液を用意し、これを攪拌しながら、アルコール成分を少しずつ加え、次いで、他の成分を加える。さらに、最終的な濃度調整のため、アルコール成分および/または水を添加してもよい。このようにして、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物を得ることができる。
本実施形態の第一導電層70は、導電性高分子を含む。導電性高分子は、たとえば、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物において例示した導電性高分子である。導電性高分子としては、帯電防止性能の観点から、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホナート)が好適に用いられる。
基材11の厚さは、通常0.5mm以上8mm以下である。第一導電層70の厚さは、通常4nm以上1μm以下である。
第一導電層70は、例えば、無機層6の背面6bまたは基材11の背面11bに風防用帯電防止膜形成用組成物を付着し、60℃以上130℃以下に加熱して形成される。形成された第一導電層70は、少なくとも導電性高分子を含み、アセチレン系界面活性剤を含んでいてもよい。その他、風防用帯電防止膜形成用組成物がエポキシ基を有するシランカップリング剤を含む場合は、第一導電層70は、該シランカップリング剤に由来する化合物を含んでいてもよい。また、風防用帯電防止膜形成用組成物が水性樹脂を含む場合は、第一導電層70は、該水性樹脂を含んでいてもよい。
パッキン32の導電膜32aは、本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物によって形成されてもよい。また、パッキン33に対して本実施形態の風防用帯電防止膜形成用組成物によって導電膜が形成されてもよい。
以上説明したように、本実施形態の時計1は、文字板31と、外装ケース21と、透明な風防10と、を有する。外装ケース21は、文字板31を収容し、かつ文字板31と対向する開口21aを有する部材である。風防10は、外装ケース21の開口21aを閉塞する。風防10は、透明な基材11と、透明な有機層7と、を有する。有機層7は、基材11における文字板31と対向する側に形成され、かつ外装ケース21の内部空間23に露出している。有機層7は、反射防止層または導電層の少なくとも一方を有する。本実施形態の有機層7は、第一導電層70を有する。有機層7は、無機層と比較して低コストで形成可能である。有機層7を用いることで、風防10において低コストで反射防止機能や帯電防止機能を実現できる。
本実施形態の風防10は、有機層7と基材11との間に介在する無機層6を有する。第一導電層70は、無機層6を文字板31の側から覆っている。導電性を有する第一導電層が無機層6を覆っていることで、風防10における帯電防止性能が向上する。
また、本実施形態の第一導電層70は、無機層6と共に反射防止層を構成している。第一導電層70は、反射防止機能および帯電防止機能を実現させる。
また、本実施形態の第一導電層70は、有機層7の最表層に位置している。よって、第一導電層70は、風防10の表面における電位の局在化を抑制することができる。
また、本実施形態の時計1は、風防10と外装ケース21との間に介在し、かつ表面に導電膜32aが形成されたパッキン32を有する。有機層7の第一導電層70は、パッキン32を介して外装ケース21に接地されている。この構成により、第一導電層70の帯電防止性能が向上する。
本実施形態の時計1は、静電モータ4と、静電モータ4によって駆動される指針36と、を有する。よって、静電モータ4を有する時計1において、反射防止機能、および指針36の運針の安定化の少なくとも一方が実現される。
[第2実施形態]
図7を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図7は、第2実施形態に係る風防の断面図である。第2実施形態の風防10において、上記第1実施形態の風防10と異なる点は、例えば、被膜12が無機層6を有していない点である。
図7に示すように、第2実施形態の被膜12は、有機層7である。有機層7は、反射防止層とし機能するように構成されており、かつ導電層を有している。有機層7は、高屈折率層71,73,75、および低屈折率層72,74,76を有する。高屈折率層71,73,75の屈折率は、低屈折率層72,74,76の屈折率よりも高い。
有機層7は、高屈折率層71,73,75と、低屈折率層72,74,76とが交互に積層された、6層の積層膜である。より詳しくは、有機層7は、基材11の側から、高屈折率層71、低屈折率層72、高屈折率層73、低屈折率層74、高屈折率層75、および低屈折率層76の順で積層されている。すなわち、有機層7の最表層は、低屈折率層76である。本実施形態の有機層7では、基材11の背面11bに高屈折率層71が接している。また、有機層7の最表層に低屈折率層76が配置されていることにより、当該最表層の屈折率と空気の屈折率とのギャップが小さくなっている。
本実施形態の高屈折率層71,73,75および低屈折率層72,74,76は、それぞれ高分子を用いて形成される。よって、本実施形態の風防10は、蒸着装置を用いずに、簡便な方法により低コストで製造できる。
高屈折率層71,73,75は、屈折率が1.5を超える高屈折率高分子を含む。高屈折率高分子としては、たとえばポリ(ペンタブロモフェニルメタクリレート)(Poly(pentabromophenyl methacrylate)、屈折率:1.7)、ポリ(ビニルフェニルスルフィド)(Poly(vinylphenylsulfide)、屈折率:1.7)またはポリ(2-ビニルチオフェン)(Poly(2-vinylthiophene)、屈折率:1.6)が挙げられる。高屈折率高分子は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
低屈折率層72,74,76は、屈折率が1.5以下である低屈折率高分子を含む。低屈折率高分子としては、たとえばポリ(2,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)(Poly(2,2,3,3,4,4,4-heptafluorobutyl methacrylate)、屈折率:1.4)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホナート)(PEDOT/PSS;Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(styrenesulfonate)、屈折率:1.47)が挙げられる。低屈折率高分子は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なお、複数存在する高屈折率層71,73,75は、それぞれ、同じ高屈折率高分子を含んでいてもよく、異なる高屈折率高分子を含んでいてもよい。また、複数存在する低屈折率層72,74,76は、それぞれ、同じ低屈折率高分子を含んでいてもよく、異なる低屈折率高分子を含んでいてもよい。所望の反射防止性能が得られるように、適宜高分子の種類を選択することができる。
また、低屈折率層72,74,76がPEDOT/PSSを含むときは、この低屈折率層は、帯電防止性能にも優れ、帯電防止膜ともいえる。このため、このような低屈折率層を含む被膜12は、時計1を構成した際に反射防止性能とともに、帯電防止性能を発揮する。特に、帯電防止性能の観点からは、被膜12の最表面の低屈折率層76がPEDOT/PSSを含むことが好ましい。
高屈折率層71,73,75および低屈折率層72,74,76の厚さ、ならびに被膜12全体の厚さは、所望の反射防止性能が得られるように、適宜設定することができる。高屈折率層71,73,75および低屈折率層72,74,76の厚さは、たとえば、それぞれ0.1μm以上0.4μm以下である。
さらに、被膜12は、時計1を構成した際に、基材11における文字板31側となる背面11bに形成されている。この場合は、反射防止性能、視認性および耐傷性の観点からより好ましい。
なお、被膜12の積層数は、6層には限定されない。基材11の表面に高屈折率層が接しており、被膜12の最表面が低屈折率層である限り、被膜12は6層の積層膜以外、たとえば2層、4層、8層の積層膜などであってもよい。反射防止性能の観点からは、積層数は大きい方が好ましいが、コストの観点からは、積層数は少ない方が好ましいため、両者を考慮し、適宜設定することができる。
なお、被膜12は、反射防止層の背面側Rzに、さらに他の帯電防止膜を有していてもよい。他の帯電防止膜は、たとえば、PEDOT/PSS以外の導電性高分子を含む。導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、これらの誘導体が挙げられる。導電性高分子は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本実施形態の風防10を製造する製造方法は、例えば、高屈折率層形成工程(I)、低屈折率層形成工程(II)、高屈折率層形成工程(III)、低屈折率層形成工程(IV)、高屈折率層形成工程(V)、および低屈折率層形成工程(VI)を含む。
高屈折率層形成工程(I)では、基材11の表面に、屈折率が1.5を超える高屈折率高分子を含む高屈折率層形成用組成物を付着し、加熱して、高屈折率高分子を含む高屈折率層71を形成する。
基材11は、ガラスまたはプラスチックを含む。基材11の詳細については、上記第1実施形態の風防10において述べたとおりである。
高屈折率層形成用組成物は、高屈折率高分子を含む。高屈折率高分子の詳細については、本実施形態の時計用風防において述べたとおりである。
高屈折率層形成用組成物は、通常、さらに有機溶媒を含む。有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
また、高屈折率層形成用組成物は、さらにエポキシ基を有するシランカップリング剤を含んでいてもよい。エポキシ基を有するシランカップリング剤を用いると、特に基材がガラスの場合に、基材に無反射膜を強固に付けられる。また、高屈折率層形成用組成物の安定性も向上する。
エポキシ基を有するシランカップリング剤の詳細については、例えば、上記第1実施形態の風防10において述べたものと同様である。
高屈折率層形成用組成物において、高屈折率高分子の濃度は、形成する高屈折率層の厚さによって適宜調整することができる。また、エポキシ基を有するシランカップリング剤の濃度も、形成する高屈折率層の厚さによって適宜調整することができる。
高屈折率層形成用組成物の付着は、たとえばスプレー塗布等の塗布により行ってもよく、ディップにより行ってもよい。基材に付着させた高屈折率層形成用組成物の加熱は、有機溶媒が蒸発するまで行えばよい。また、加熱は、空気中で行ってもよく、窒素ガスなどの不活性ガス中で行ってもよい。
これにより、基材11の表面に、屈折率が1.5を超える高屈折率高分子を含む高屈折率層71が形成できる。なお、高屈折率層71は、少なくとも高屈折率高分子を含み、エポキシ基を有するシランカップリング剤に由来する化合物を含んでいてもよい。
次に、低屈折率層形成工程(II)では、高屈折率層形成工程(I)で形成された高屈折率層71の表面に、屈折率が1.5以下である低屈折率高分子を含む低屈折率層形成用組成物を付着し、加熱して、低屈折率高分子を含む低屈折率層72を形成する。
低屈折率層形成用組成物は、低屈折率高分子を含む。低屈折率高分子の詳細については、本実施形態の風防10において述べたとおりである。
低屈折率高分子としてポリ(2,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を用いる場合、低屈折率層形成用組成物(低屈折率層形成用組成物(A))は、通常、さらに有機溶媒を含む。有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、フッ素系有機溶媒などが挙げられる。これらのうちで、フッ素系有機溶媒が好適に用いられる。
低屈折率層形成用組成物(A)は、さらにエポキシ基を有するシランカップリング剤を含んでいてもよい。低屈折率層形成用組成物(A)において、エポキシ基を有するシランカップリング剤の詳細については、高屈折率層形成用組成物において述べたとおりである。
低屈折率層形成用組成物(A)において、低屈折率高分子の濃度は、形成する低屈折率層72の厚さによって適宜調整することができる。また、エポキシ基を有するシランカップリング剤の濃度も、形成する低屈折率層72の厚さによって適宜調整することができる。
低屈折率高分子としてPEDOT/PSSを用いる場合、低屈折率層形成用組成物(低屈折率層形成用組成物(B))は、通常、上記低屈折率高分子とともに、アセチレン系界面活性剤と、沸点180℃以上の水溶性有機溶媒と、イソプロピルアルコールおよびエタノールから選ばれる少なくとも1種のアルコールと、水とを含む。
アセチレン系界面活性剤を用いると、層を形成する際、低屈折率層形成用組成物(B)がはじかれ難くなる。したがって、薄く均一に付着できる。
アセチレン系界面活性剤としては、アセチレンアルコール、アセチレンジオール、およびこれらにアルキレンオキサイドを付加した化合物が挙げられる。アセチレン系界面活性剤は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。アセチレンアルコール、アセチレンジオール、およびこれらにアルキレンオキサイドの詳細については、例えば、上記第1実施形態の風防10において述べたものと同様である。
沸点180℃以上の水溶性有機溶媒は、層を形成する際、低屈折率層形成用組成物(B)の加熱において、徐々にゆっくり蒸発する。上記水溶性有機溶媒がゆっくり蒸発していくと、その間に導電性高分子でもある低屈折率高分子の分子間のパス(いいかえると、導電性電子が移動できる道筋)が形成できる。したがって、優れた帯電防止性能も発揮できる帯電防止膜が得られる。
沸点180℃以上の水溶性有機溶媒の詳細については、例えば、上記第1実施形態の風防10において述べたものと同様である。
低屈折率層形成用組成物(B)において、残部は、イソプロピルアルコールおよびエタノールから選ばれる少なくとも1種のアルコールおよび水である。なお、本明細書において、イソプロピルアルコールおよびエタノールから選ばれる少なくとも1種のアルコールについて、単にアルコール成分ともいう。アルコール成分は、イソプロピルアルコール、エタノールを単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。アルコール成分および水は、低屈折率層形成用組成物(B)において、アセチレン系界面活性剤および導電性高分子でもある低屈折率高分子の両者を溶解させる役割を有する。
アルコール成分としては、相溶性の観点から、イソプロピルアルコールが好適に用いられる。
低屈折率層形成用組成物(B)は、さらにエポキシ基を有するシランカップリング剤を含んでいてもよい。低屈折率層形成用組成物(B)において、エポキシ基を有するシランカップリング剤の詳細については、高屈折率層形成用組成物において述べたとおりである。
なお、エポキシ基を有するシランカップリング剤を用いる場合は、低屈折率層形成用組成物(B)は、低屈折率高分子と、アセチレン系界面活性剤と、沸点180℃以上の水溶性有機溶媒と、エポキシ基を有するシランカップリング剤とを含み、残部が、アルコール成分および水である。
低屈折率層形成用組成物(B)において、低屈折率高分子の濃度は、形成する低屈折率層72の厚さによって適宜調整することができる。また、アセチレン系界面活性剤、沸点180℃以上の水溶性有機溶媒またはエポキシ基を有するシランカップリング剤の濃度も、形成する低屈折率層72の厚さによって適宜調整することができる。
低屈折率層形成用組成物の付着は、たとえばスプレー塗布等の塗布により行ってもよく、ディップにより行ってもよい。付着させた低屈折率層形成用組成物の加熱は、溶媒が蒸発するまで行えばよい。また、加熱は、空気中で行ってもよく、窒素ガスなどの不活性ガス中で行ってもよい。
これにより、高屈折率層71の表面に、屈折率が1.5以下である低屈折率高分子を含む低屈折率層72が形成できる。なお、低屈折率層72は、少なくとも低屈折率高分子を含み、アセチレン系界面活性剤またはエポキシ基を有するシランカップリング剤に由来する化合物を含んでいてもよい。
さらに、低屈折率層形成工程(II)に続いて、高屈折率層形成工程(III)、低屈折率層形成工程(IV)、高屈折率層形成工程(V)、および低屈折率層形成工程(VI)を行う。高屈折率層形成工程(III)は、低屈折率層形成工程(II)で形成された低屈折率層72の表面に、高屈折率層73を形成する以外は、高屈折率層形成工程(I)と同様である。また、低屈折率層形成工程(IV)は、高屈折率層形成工程(III)で形成された高屈折率層73の表面に、低屈折率層74を形成する以外は、低屈折率層形成工程(II)と同様である。
高屈折率層形成工程(V)は、低屈折率層形成工程(IV)で形成された低屈折率層74の表面に、高屈折率層75を形成する以外は、高屈折率層形成工程(I)と同様である。低屈折率層形成工程(VI)は、高屈折率層形成工程(V)で形成された高屈折率層75の表面に、低屈折率層76を形成する以外は、低屈折率層形成工程(IV)と同様である。
以上の製造方法により、基材11の表面には高屈折率層71が接しており、無反射膜の最表面が低屈折率層76である被膜12が得られる。なお、低屈折率高分子としてPEDOT/PSSを用いる場合は、帯電防止性能の観点からは、低屈折率層形成工程(VI)で用いることが好ましい。
また、本実施形態の風防10において、被膜12の表面に、さらに他の帯電防止膜を有する場合は、低屈折率層形成工程(VI)に続いて、他の帯電防止膜を形成する工程を行えばよい。この場合も、簡便な方法により低コストで製造できる。
以上説明したように、第2実施形態の有機層7は、高屈折率層71,73,75と、低屈折率層72,74,76と、が交互に積層された反射防止層を有する。低屈折率層72,74,76の屈折率は、高屈折率層の屈折率よりも低い。有機層7によって反射防止層が構成されることで、風防10の低コスト化が実現される。有機層7において、最も文字板31側の層が導電層とされてもよい。この場合、帯電防止性能が向上する。
[第3実施形態]
図8および図9を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態については、上記第1実施形態および第2実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図8は、第3実施形態に係る風防の断面図、図9は、第3実施形態に係る他の風防の断面図である。第3実施形態の風防10において、上記各実施形態の風防10と異なる点は、例えば、基材11の前面側Fzに無機層8が形成されている点である。
図8に示す風防10において、基材11、無機層6、および有機層7は、上記第1実施形態の基材11、無機層6、および有機層7と同様である。無機層8は、基材11の前面11aに形成されている。
無機層8は、第一無機層81および第二無機層82を有する。第一無機層81の屈折率n4は、第二無機層82の屈折率n5よりも大きい。つまり、第一無機層81は、高屈折率層であり、第二無機層82は、低屈折率層である。無機層8は、第一無機層81および第二無機層82を交互に重ねて形成されている。例示された無機層8は、二つの第一無機層81および二つの第二無機層82を有する。無機層8における最も背面側Rzの層は、第一無機層81である。つまり、無機層8は、基材11の前面11aに第一無機層81を形成し、その後に第二無機層82および第一無機層81を交互に重畳させて形成されている。無機層8における最表層は、第二無機層82である。
第一無機層81は、例えば、窒化ケイ素(SiN)で形成される。第二無機層82は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)で形成される。なお、第一無機層81を形成する無機材料は、窒化ケイ素(SiN)には限定されず、例えば、酸化アルミ(AL2O3)等であってもよい。第二無機層82を形成する無機材料は、酸化ケイ素(SiO2)には限定されず、例えば、フッ化マグネシウム(MGF2)等であってもよい。また、無機層8の積層数は、4層には限定されない。無機層8は、例えば、2層、6層、または8層の積層膜であってもよい。
図9に示す風防10において、基材11および有機層7は、上記第2実施形態の基材11および有機層7と同様である。無機層8は、基材11の前面11aに形成されている。無機層8の構成は、例えば、図8を参照して説明した無機層8と同様である。
第3実施形態に係る時計1によれば、基材11の前面側Fzおよび背面側Rzの両側に反射防止層が設けられていることで、視認性が向上する。
[各実施形態の変形例]
時計1は、アナログ式の腕時計には限定されない。時計1は、デジタル時計であってもよく、掛け時計、置き時計、懐中時計などであってもよい。
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。