JP7242395B2 - 現像部材、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents
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Description
現像部材には電子写真感光体(以降、「感光体」という)へのトナー搬送、トナーへの電荷付与、表面汚染のしにくさなど、様々な機能が求められ、これらを達成するため種々の対策手段が開示されている。
特許文献1では、表面に連続相と非連続相を有するロール状の現像剤担持体を用いることによりトナー離型性や摩耗性を向上させる方法が開示されている。
また、特許文献2では、導電性部材の表面層が非導電性の海部と電子導電剤を含む島部からなる海島構造を有することで、放電ムラを低減する方法が開示されている。
例えばカーボンブラックのような電子導電剤を導電層中に分散させると、導電性支持体から導電性部材表面まで電子導電剤が連結した導電パスの中を、電荷が移動することで導電性が発現する。したがって、この導電パスが、通電で消費する電荷の輸送を担うため、次の通電のための電荷の供給までに一定の時間を要する。
すなわち、高速プロセスにおいては、トナーに与える電荷の供給がプロセス速度に追随できない場合に、トナーに与える電荷量のばらつきが生じる。これにより均一な現像を実現することが難しくなり、例えば、帯電量の乏しいトナーが画像に現れるカブリ画像が発生する場合があった。
また、導電層中にイオン導電剤を分散させて導電性を発現する導電性部材は、第4級アンモニウムのようなアニオンとカチオンが移動することによって導電性が発現する。したがって、高速プロセスにおいては、アニオンやカチオンの移動速度が遅い場合、プロセス速度に追随できず、上記と同様に、次の現像のためのトナーへの電荷供給が不足し、カブリ画像が発生することがあった。
導電パス内の電荷の動きと、トナーへの電荷付与のプロセスは次のように推測される。
まず、電源に接続された導電性支持体に電圧が印可され、電荷が供給される。この電荷は、導電性部材の導電層を通って、現像部材の表面まで輸送(供給)される。
この状態で現像部材の表面がトナーと接触すると、現像部材の表面の電荷が、トナーに移動する、すなわち電荷がトナーに供給される。
トナーに移動した分だけ、現像部材の表面の電荷が減少するが、現像部材の導電性支持体が電源に接続されている限り、導電性支持体を通じて、新たな電荷が現像部材の表面に供給される。
このように、新たな電荷が連続的に現像部材に供給されることにより、トナーへの電荷供給を連続的に行うことができる。
したがって、現像部材の電荷の供給が停滞し、現像部材の導電層の電荷移動速度が遅いと、現像部材の表面への新たな電荷の供給量が制限されてしまう。単位時間あたりに多くのトナーに電荷を供給する必要がある高速プロセスにおいては、現像部材の表面への新たな電荷の供給量が制限されると、トナーへの電荷供給不足が発生する。その結果、現像部材表面との接触および転動時に受けた電荷量にばらつきが生じ、トナーの帯電量分布が大きくなる。さらに、現像部(感光体と現像部材とが対向する位置)において現像されにくいトナーができてしまい、いわゆるカブリが表れやすくなる。
本発明者らは、現像部材の導電層の電荷移動速度を高めるために、導電層に導電剤を多量に配合し、導電層の低抵抗化を図った。
しかし、イオン導電剤、電子導電剤のどちらを用いた場合であっても、高速プロセスの現像部において、十分に帯電されていないトナーの割合を低減する効果は小さく、期待するほどのカブリ低減効果は得られなかった。
上記のように、高速プロセスにおいても高品位な画像を形成しうる現像部材を提供することは容易ではない。本発明者らの検討によれば、特許文献1に係る導電性ロールや特許文献2に係る導電性ローラは、高速プロセスでの画像評価において、電荷供給量の不足と思われる、カブリ画像を発生する場合があった。
また、本発明の他の態様によれば、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、上記の現像部材を具備するプロセスカートリッジが提供される。
さらに、本発明の他の態様によれば、上記のプロセスカートリッジを具備する電子写真装置が提供される。
電圧の印可により、現像部材表面まで導電パスを経由して電荷が輸送され、トナーと現像部材との間に、電界が発生する。さらに現像部材表面とトナーの接触面において、電界により現像部材表面から電荷がトナーに移動する。トナーは通常2~3個分の厚みを有するトナー層として現像部材表面に担持され、転動しながら現像部材との接触時に電荷の供給を受ける。
また、トナーと現像部材との接触領域はある一定の面積を有する。この面積内でトナーへの電荷付与は複数回発生している。例えば、現像装置が現像ローラと現像ブレードを有する場合では、トナーが、現像ローラの回転、およびトナーの転動によって、現像ブレードとの接触領域を通過する間に、トナーへの電荷付与は複数回発生している。
電荷付与が一度発生すると、現像部材表面から供給される電荷付与は一定時間持続し、現像部材表面まで輸送された電荷が消費される。電荷付与が終了すると、再び現像部材内部の導電パスから現像部材表面まで、消費された電荷が供給され、次の電荷付与が発生する。従って最終的なトナーの有する電荷量は、この複数回の付与電荷量の積算と考えられる。
上記に述べたように、トナーの環境や現像の履歴は、現像部材表面との接触部における電界に影響を与え、付与電荷量も左右されるため、通常の場合、トナーの電荷量は分布を有する。
特に、高速プロセスの場合、トナーへの最初の電荷付与が生じたあとに、次の電荷付与のための電荷量の供給が追随できなくなる場合がある。特に、感光体と現像部材によって形成される現像ニップ領域に侵入してすぐの1回目の電荷付与は十分な量の電荷量を有したものになるが、その後の電荷付与のための電荷供給が追随できない場合がある。
現像部材は、導電性の外表面を有する支持体と、該支持体の外表面上に設けられた導電層を有し、該導電層が、第一のゴムを含むマトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインとを有し、該ドメインは、第二のゴムおよび電子導電剤を含む。
現像部材は、その外表面に金属膜を設け、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、該支持体の外表面と該金属膜との間に振幅が1Vの交流電圧を、周波数1.0×10-2Hz~1.0×107Hzの間で変化させながら印加することによってインピーダンスを測定し、周波数を横軸、インピーダンスを縦軸に両対数プロットしたときに、以下の第一の要件及び第二の両方の要件を満たす。
周波数1.0×106Hz~1.0×107Hzにおける傾きが、-0.8以上、-0.3以下である。
<第二の要件>
周波数が1.0×10-2Hz~1.0×100Hzにおけるインピーダンスが、1.0×104~1.0×1011Ωである。
以下、本態様に係る現像部材についての態様を例に説明する。なお、本態様に係る現像部材は、現像ローラに限定されるものでなく、例えば、現像ブレード、トナー供給ローラにも適用し得る。
本態様に係る現像部材は、導電性の外表面を有する支持体、及び、該支持体の外表面上に設けられた導電層を有する。該導電層は、導電性を有する。ここで、導電性とは体積抵抗率が1.0×108Ωcm未満であると定義する。そして、該導電層は、第一のゴムを含むマトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインとを有し、該ドメインは、第二のゴムおよび電子導電剤を含む。また、該現像部材は、上記の<第一要件>および<第二要件>を満たす。
第一の要件は、高周波数側で現像部材内での電荷の停滞が発生し難いことを規定している。
従来の現像部材のインピーダンスを測定すると、高周波数側で、必ず傾きが-1となる。ここで、傾きとは、図3に示すように、現像部材のインピーダンス特性を周波数に対して両対数プロットした際の、横軸に対する傾きのことである。
現像部材の等価回路は、電気抵抗Rと静電容量Cの並列回路で表され、インピーダンスの絶対値|Z|は下記式(1)で表現できる。このとき、式(1)内のfは周波数を示す。
絶縁性の現像部材のインピーダンス特性を測定すると、傾きが-1の直線となることから、現像部材のインピーダンス測定において、傾きが-1になる状態は、高周波数側で電荷の動きが停滞している特性が現れていると推測される。高周波数側での電荷の動きが停滞すると、通電ための電荷の供給がトナーへの電荷供給の周波数に追随できなくなる。その結果、電荷供給のできないタイミングが生じ、トナー帯電量のバラつきが生じていると推測される。
より高速プロセスになるにしたがって、電荷供給の周波数をより高くして放電の回数を増大させる必要があるため、上記範囲の中でも特に、1.0×106Hz~1.0×107Hzの如き高周波数領域における電荷供給および導電機構の制御が重要である。
第二要件にかかる低周波数側のインピーダンスは、電荷の停滞が発生し難いという特性を表しているものである。
これは、低周波数側のインピーダンスの傾きが-1ではない領域であることからもわかる。そして、式(1)において、周波数をゼロに近似すると、電気抵抗値Rに近似できることから、電気抵抗値Rは、電荷が単一方向に移動する際の能力を表すことが分かる。
従って、低周波数の電圧を印可しながらの測定では、電圧の振動に電荷の動きが追随できた状態での電荷の移動量を模擬していると想定できる。
低周波数における電荷の移動量は、現像部材から測定電極との間での電荷の移動しやすさの指標であり、更に、現像部材の表面からトナーに対して、通電によって電荷を移動させられる電荷量の指標とすることができる。
また、第一要件及び第二要件にかかるインピーダンスの測定に用いられる交流電圧は振幅が1Vである。この測定用の振動電圧は、実際に電子写真方式の画像形成装置の中で現像部材に印可される電圧が数100V~数1000Vであるのに対し大幅に低い。従って、第一要件及び第二要件にかかるインピーダンスの測定によって、現像部材の表面からの電荷の出やすさをより高次元で評価できると考えている。
なお、図4で説明したように現像部材においては、低周波数の領域においては、インピーダンスの絶対値は一定値をとり、1.0×10-2Hz~1.0×100Hzにおけるインピーダンスは、例えば1Hzの周波数におけるインピーダンスの値で代用することができる。
第一要件と第二要件とを両立する現像部材は、低周波数側から高周波数側までの周波数域においてトナーへの電荷供給のバラつきを抑制して、カブリを低減することが可能となる。第一要件を満たすことで、高周波数側での電荷供給のバラつきを抑制することができる。また、第二要件を満たすことで、供給電荷量がより一層向上し、カブリの発生を効果的に抑制することができる。
現像部材のインピーダンスは次のような方法によって測定することができる。
インピーダンスの測定に際し、現像部材と測定電極との間の接触抵抗の影響を排除するために、低抵抗な薄膜を現像部材の表面に堆積させ、当該薄膜を電極として使用し、一方で導電性の支持体を接地電極として2端子でインピーダンスを測定することが好ましい。
当該薄膜の形成方法としては、金属蒸着、スパッタリング、金属ペーストの塗布、金属テープを貼付するなどの金属膜の形成方法を挙げることができる。これらの中でも、現像部材との接触抵抗の低減という観点で、白金やパラジウムのような金属薄膜を蒸着によって電極として形成する方法が好ましい。
現像部材の表面に金属薄膜を形成する場合、その簡便さおよび薄膜の均一性を考慮すると、真空蒸着装置に対して現像部材を把持できる機構を付与し、断面が円柱状の現像部材に対しては、さらに回転機構を付与した、真空蒸着装置を使用することが好ましい。
現像部材の長手方向で10mm程度の幅の金属薄膜電極を形成し、当該金属薄膜電極に対して隙間なく長手方向に対して交差する方向に巻き付けた金属シートを測定装置から出ている測定電極と接続して測定を行うことが好ましい。円柱状の現像部材の場合では、現像部材の周方向に隙間なく巻き付けた金属シートを用いることが好ましい。これにより、現像部材の長手方向に直交する断面での外縁のサイズ(円柱状の現像部材では外径)の振れや、表面形状に影響されずに、インピーダンス測定を実施することができる。金属シートとしては、アルミホイルや金属テープ等を用いることができる。
インピーダンスの測定装置は、インピーダンスアナライザ、ネットワークアナライザ、スペクトルアナライザ等、107Hzまでの周波数領域におけるインピーダンスを測定できる装置であればよい。これらの中でも現像部材の電気抵抗域から、インピーダンスアナライザによって測定することが好ましい。
インピーダンスの測定条件に関して述べる。
インピーダンス測定の装置を使用し、1.0×10-2Hz~1.0×107Hzの周波数領域におけるインピーダンスを測定する。測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境下で行なう。測定ばらつきを低減するために、周波数1桁あたり5点以上の測定点を設け、振動電圧は1Vppである。
次に、インピーダンスの傾きの算出方法について述べる。
上記の条件で測定した測定結果に対し、Windowsエクセル(登録商標)のような表計算ソフトを使用して、インピーダンスの絶対値を、測定周波数に対して両対数グラフでプロットする。この両対数プロットで得られたグラフの、1.0×106~1.0×107Hzの周波数領域におけるインピーダンスの絶対値の傾きを、1.0×106~1.0×107Hzの周波数領域の測定点を利用して求めればよい。具体的には、当該周波数範囲のグラフのプロットに対し、一次関数の近似直線を最小二乗法で算出し、その傾きを算出すればよい。
次いで、当該両対数グラフ内の1.0×10-2~1.0×100Hzの周波数領域における測定点での算術平均値を算出し、得られた値を低周波数側のインピーンダンスとすればよい。
インピーダンスの傾きの測定では、現像部材の長手方向を5等分した際のそれぞれの領域内の任意の場所で測定を5か所行い、5か所の傾きの測定値の算術平均を算出すればよい。
本態様に係る電子写真用の現像部材は、導電性の支持体と、支持体上の少なくとも一層の導電層を有する。
一例として、ローラ形状の現像部材(現像ローラ)を図1に示す。図1に示す現像ローラ1Aは、導電性の支持体2と、その外周面(外表面)に設けられた導電層3とを有する。現像ローラ1Aにおいて、本発明の一実施形態に係る効果をより効果的に奏するためには、図1に示すように、導電層3が現像ローラ1Aの唯一の層として、支持体2に直接設けられていることが好ましい。
なお、現像ローラ1Aの層の構成は、図1に示される形態に限定されるものではない。現像ローラ1Aの他の形態としては、図5に示すように、支持体2とその外周面に設けられた導電層3の間に、中間層53を有する現像ローラ1Cが挙げられる。
また、現像部材の他の例として、ブレード形状の部材(現像ブレード)が挙げられる。
図2は、現像ブレード1Bの概略断面図である。図2に示す現像ブレード1Bは、導電性の支持体2と、支持体2の外表面の端部を含む一部の領域に設けられた導電層3とから構成されている。
現像ブレード1Bは、導電層3を、支持体の一部となる導電性のステンレス鋼製シートの先端部に被覆し、ステンレス鋼製シートの後端部を導電性の支持体2に溶接する構成とすることもできる。
現像部材は、現像ローラ、現像スリーブ、現像ブレード、トナー供給ローラに用いることが可能である。
<導電性の支持体>
導電性の支持体2は、現像部材の支持部材、および場合によっては電極として機能する。支持体の具体例について、現像部材がローラ形状である場合、支持体2は、中実円柱状または中空円筒状であり、現像部材がブレード形状である場合、支持体2は、薄板形状である。
導電性の支持体を構成する材料としては、電子写真用の導電性部材の分野で公知なものや、かかる現像部材として利用できる材料から適宜選択して用いることができる。一例として、アルミニウム、ステンレスに代表される金属、炭素鋼合金、導電性を有する合成樹脂、鉄、銅合金などの金属または合金が挙げられる。更に、これらに対して、酸化処理やクロム、ニッケルなどで鍍金処理を施しても良い。鍍金の種類としては電気鍍金、無電解鍍金のいずれも使用することができる。寸法安定性の観点から無電解鍍金が好ましい。ここで使用される無電解鍍金の種類としては、ニッケル鍍金、銅鍍金、金鍍金、その他各種合金鍍金を挙げることができる。鍍金厚さは、0.05μm以上が好ましく、作業効率と防錆能力のバランスを考慮すると、鍍金厚さは0.1~30μmであることが好ましい。
支持体と導電層の間に、中抵抗層、あるいは絶縁層が存在すると、通電による電荷の消費後の電荷の供給を迅速にできなくなる。よって、導電層は、支持体に直接設けるか、あるいは、プライマーのごとき、薄膜、かつ、導電性の樹脂層からなる中間層のみを介して支持体の外周に導電層を設けることが好ましい。
プライマーとしては、導電層形成用のゴム材料及び支持体の材質等に応じて公知のものを選択して用いることができる。プライマーの材料としては、例えば熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、フェノール系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂の如き材料を用い得る。
樹脂層及び支持体のインピーダンスは、周波数が1.0×10-2Hz~1.0×100Hzにおいて、1.0×10-5~1.0×101Ωの範囲であることが好ましい。
低周波数におけるインピーダンスが上記範囲の支持体及び樹脂層であれば、導電層に対し、十分な電荷の供給を実施でき、導電層に含まれるマトリックスドメイン構造の、第一要件と第二要件による放電の抜けを抑制する機能が阻害されないため好ましい。
樹脂層のインピーダンスは、最外表面に存在する導電層を剥離して行うこと以外は、上記のインピーダンスの傾きの測定と同様の方法によって測定することができる。また、支持体のインピーダンスは、樹脂層または導電層を被覆する前の状態で、あるいは、現像ローラ形成後は、導電層、あるいは樹脂層と導電層からなる被覆層を剥離した状態で、上記のインピーダンスの測定と同様の方法により測定することができる。
前記<第一要件>および<第二要件>を満たす現像部材としては、例えば、導電層が、以下の構成(i)~構成(iii)のうちの少なくとも1つの構成を満たす現像部材が好ましい。
(i)該マトリックスの体積抵抗率が、1.0×1012Ωcmより大きく1.0×1017Ωcm以下であること。
(ii)該ドメインの体積抵抗率が、1.0×101Ωcm以上、1.0×104Ω・cm以下であること。
(iii)該ドメインの隣接壁面間距離が、0.2μm以上、2.0μm以下の範囲内であること。
以下、上記(i)~(iii)の要素について説明する。
図6に、導電性ローラの長手方向に対して垂直な方向の導電層の部分断面図を示す。導電層6は、マトリックス6aとドメイン6bとを有するマトリックス-ドメイン構造を有する。そして、ドメイン6bは、電子導電剤としての電子導電剤6cを含む。
このように電子導電剤を含むドメインがマトリックス中に分散されている導電層を具備する現像部材に導電性支持体と他部材との間にバイアスが印加されたときの導電層内において、電荷は以下のようにして導電層の導電性支持体側から反対側、すなわち、現像部材の外表面側に移動すると考えられる。すなわち、電荷は、ドメイン中のマトリックスとの界面近傍に蓄積される。そして、その電荷は、導電性支持体側に位置するドメインから、導電性支持体の側とは反対側に位置するドメインに順次受け渡されていき、導電層の導電性支持体の側とは反対側の表面(以降、「導電層の外表面」ともいう)に到達する。このとき、1回の電荷供給工程で全てのドメインの電荷が導電層の外表面側に移動すると、次の電荷供給工程に向けて、導電層中に電荷を蓄積するために時間を要することとなる。すなわち、高速の電子写真画像形成プロセスに対応することが困難となる。従って、バイアスが印加されてもドメイン間の電荷の授受が同時的に生じないようにすることが好ましい。また、電荷の動きが制約される高周波数領域においても、1回の電荷供給で十分な量の電荷を供給させるためには、ドメインに十分な量の電荷を蓄積させることが有効となる。
以上述べたように、バイアス印加時のドメイン間での同時的な電荷の授受の発生を抑制し、かつ、ドメイン内に十分な電荷を蓄積させるために、マトリックスの体積抵抗率を1.0×1012Ωcmより大きく1.0×1017Ωcm以下とすること(構成(i))、ドメインの体積抵抗率が、1.0×101Ωcm以上、1.0×104Ω・cm以下とすること(構成(ii)、および、ドメイン間の隣接壁面間距離を0.2μm以上、2.0μm以下の範囲内とすること(構成(iii))のうちの少なくとも一つを満たすことが好ましい。
・マトリックスの体積抵抗率;
マトリックスの体積抵抗率を、1.0×1012Ωcmより大きく、1.0×1017Ωcm以下とすることで、電荷が、ドメインを迂回してマトリックス内を移動することを抑制できる。また、ドメインに蓄積された電荷が、マトリックスに漏洩することによって、あたかも導電層内を連通する導電経路が形成されているかの如き状態となることを防止できる。
前記<第一要件>に関し、高周波数のバイアス印加下でも導電層中を、ドメインを介して電荷を移動させるためには、電荷が十分に蓄積された領域(ドメイン)が、電気的に絶縁性の領域(マトリックス)で分断されている構成が有効であると本発明者らは考えている。そして、マトリックスの体積抵抗率を上記したような高抵抗領域の範囲とすることで、各ドメインとの界面において十分な電荷を留めることができ、また、ドメインからの電荷漏洩を抑制できる。
また、前記<第二要件>を満たす導電層とするためには、電荷の移動経路が、ドメインを介在した経路に限定することが効果的であることを見出した。ドメインからのマトリックスへの電荷の漏洩を抑制し、電荷の輸送経路を複数のドメインを介した経路に限定することにより、ドメインに存在する電荷の密度を向上させることができるため、各ドメインにおける電荷の充填量をより増大させることができる。
これにより、通電の起点である導電相としてのドメインの表面において、通電に関与できる電荷の総数を向上させることができ、結果、現像部材の表面からの電荷の出やすさを向上させることができると考えられる。
マトリックスの体積抵抗率は、当該現像部材を薄片化し、微小探針によって計測することができる。薄片化する手段としては、例えば、鋭利なカミソリや、ミクロトーム、収束イオンビーム法(FIB)などがあげられる。
薄片の作製に関しては、ドメインの影響を排除し、マトリックスのみの体積抵抗率を計測する必要があるため、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などであらかじめ計測したドメイン間距離よりも小さい膜厚の薄片を作成する必要がある。したがって、薄片化の手段としては、ミクロトームのような非常に薄いサンプルを作成できる手段が好ましい。
体積抵抗率の測定は、まず、当該薄片の片面を接地した後に、薄片中のマトリックスとドメインの場所を特定する。この場所の特定には、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、原子間力顕微鏡(AFM)などで、マトリックスとドメインの体積抵抗率あるいは硬度の分布を計測できる手段を用いることができる。次いで、当該マトリックスに探針を接触させ、10VのDC電圧を印可したときの接地電流を測定し、電気抵抗として算出すればよい。このとき、薄片のSPMやAFMのような形状測定も可能な手段であれば、当該薄片の膜厚が計測でき、体積抵抗率が測定可能であるため、好適である。
円柱状の現像部材におけるマトリックスの体積抵抗率の測定は、導電層を周方向に4分割、長手方向に5分割した領域のそれぞれから各1つずつ薄片サンプルを切り出し、上記の測定値を得た後に、合計20サンプルの体積抵抗率の算術平均値を算出することによって行なうことができる。
・ドメインの体積抵抗率;
ドメインの体積抵抗率は1.0×101Ωcm以上1.0×104Ωcm以下にすることが好ましい。ドメインの体積抵抗率をより低い状態にすることで、マトリックスで目的としない電荷の移動を抑制しつつ、電荷の輸送経路を、より効果的に複数のドメインを介する経路に限定することができる。
更に、ドメインの体積抵抗率は、1.0×102Ωcm以下であることがより好ましい。ドメインの体積抵抗率を当該範囲まで下げることで、ドメイン内で移動する電荷の量を飛躍的に向上できるため、周波数が1.0×10-2Hz~1.0×100Hzにおける導電層のインピーダンスを、1.0×105Ω以下の更に低い範囲に制御でき、更に効果的に電荷の輸送経路をドメイン経由に限定することができる。
ドメインの体積抵抗率は、ドメインのゴム成分に対し、導電剤を使用することによって、その導電性を所定の値にすることで調整する。
ドメイン用のゴム材料としては、マトリックス用としてのゴム成分を含むゴム組成物を用いることができるが、マトリックスドメイン構造を形成するためにマトリックスを形成するゴム材料との溶解度パラメータ(SP値)の差が、0.4(J/cm3)0.5以上、5.0(J/cm3)0.5以下、特には、0.4(J/cm3)0.5以上2.2(J/cm3)0.5以下にすることがより好ましい。
ドメインの体積抵抗率は、電子導電剤の種類、およびその添加量を適宜選択することによって調整することができる。ドメインの体積抵抗率を1.0×101Ωcm以上1.0×104Ωcm以下に制御するために使用する導電剤としては、分散する量によって高抵抗から低抵抗まで体積抵抗率を大きく変化させることができる電子導電剤が好ましい。
ドメインに配合される電子導電剤については、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化錫等の酸化物;Cu、Ag等の金属;酸化物または金属が表面に被覆され導電化された粒子等を例として挙げられる。また、必要に応じて、これらの導電剤の2種類以上を適宜量配合して使用しても良い。
以上の様な電子導電剤のうち、ゴムとの親和性が大きく、電子導電剤間の距離の制御が容易な、導電性のカーボンブラックを使用することが好ましい。ドメインに配合されるカーボンブラックの種類については、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。
導電性のカーボンブラック等の電子導電剤は、ドメインに含まれるゴム成分の100質量部に対して、20質量部以上150質量部以下でドメインに配合されることが好ましい。特に好ましい配合割合は、50質量部以上100質量部以下である。これらの割合での導電剤の配合は、一般的な電子写真用の導電性部材と比較して、導電剤が多量に配合されていることが好ましい。これにより、ドメインの体積抵抗率を1.0×101Ωcm以上1.0×104Ωcm以下の範囲に容易に制御することができる。
ドメインに用いる導電剤としてイオン導電剤を電子導電剤と併用しても良い。
イオン導電剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩などを使うことができる。イオン導電剤のアニオンとしては、過塩素酸アニオン、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、トリフルオロメタンスルホネートアニオン、テトラフルオロボレートアニオンなどが挙げられる。これらの少なくとも1種を用いることができる。
また、必要に応じて、ゴムの配合剤として一般に用いられている充填剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、老化防止剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、軟化剤、分散剤、着色剤等を、本発明に係る効果を阻害しない範囲でドメイン用のゴム組成物に添加してもよい。
ドメインの体積抵抗率の測定は、上記のマトリックスの体積抵抗率の測定方法に対して、測定箇所をドメインに相当する場所に変更し、電流値の測定の際の印可電圧を1Vに変更した以外は同様の方法で実施すればよい。
ここで、ドメインの体積抵抗率は、均一であることが好ましい。ドメインの体積抵抗率の均一性を向上させるためには、各ドメイン内の電子導電剤の量を均一化することが好ましい。これにより、導電性部材の外表面からの、被帯電体への放電をより安定化させることができる。
・ドメイン間の隣接壁面間距離(以降、「ドメイン間距離」ともいう)
ドメイン間距離は、0.2μm以上、2.0μm以下であることが好ましい。
構成(i)に係る体積抵抗率を有するマトリックス中に、構成(ii)に係る体積抵抗率のドメインが分散されている導電層が、前記<第二要件>を満たすようにするために、ドメイン間距離を2.0μm以下、特には、1.0μm以下とすることが好ましい。一方、ドメイン同士を絶縁領域で確実に分断することで、十分な電荷をドメインに蓄積させるためには、ドメイン間距離を、0.2μm以上、特には、0.3μm以上とすることが好ましい。
・ドメイン間距離の測定方法;
ドメイン間距離の測定方法は、次のように実施すればよい。
まず、前述のマトリックスの体積抵抗率の測定における方法と同様の方法で切片を作製する。次いで、凍結割断法、クロスポリッシャー法、収束イオンビーム法(FIB)等の手段で破断面を形成する。破断面の平滑性と、観察のための前処理を考慮すると、FIB法が好ましい。また、マトリックスドメイン構造の観察を好適に実施するために、染色処理、蒸着処理など、導電相と絶縁相とのコントラストが好適に得られる前処理を施してもよい。
破断面の形成、前処理を行った切片を、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察して、マトリックスドメイン構造の存在を確認する。これらの中でも、ドメインの面積の定量化の正確性から、SEMで1000倍~100000倍で観察を行うことが好ましい。
ドメイン間距離の測定は、マトリックス-ドメイン構造が現れている破断面の撮影画像を定量化することによって行なうことが好ましい。SEMでの観察により得られた破断面画像に対し、画像処理ソフト(例えば、「Luzex」(商品名、ニレコ社製))を使用して、8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得る。次いで、破断面内のドメインが白くなるように、画像の白黒を反転処理し、2値化を実施する。次いで、画像内のドメインサイズ群の壁面間距離を算出する。このときの壁面間距離は、近接したドメイン間の最短距離である。
円柱形状の現像部材の場合では、導電層の長手方向の長さをL、導電層の厚さをTとしたとき、導電層の長手方向の中央、及び導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、図8(b)に示されるような導電層の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々について、導電層の外表面から支持体方向への深さ0.1T~0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所に50μm四方の観察領域を置き、この全9個の観察領域の各々で観察される各ドメイン間距離を測定すればよい。切片は、電荷の移動方向である支持体から導電層外表面を含む面を観察することが必要であることから、支持体の中心軸を起点とする法線を含む断面を観察することができる方向で切り出す。
上記構成(iii)に関して、ドメイン間距離の分布は均一であることが、より好ましい。ドメイン間の距離の分布が均一であることで、導電層内で局所的にドメイン間距離が長い箇所が一部できることによって電荷の供給が周囲比べて滞る箇所が生じた場合などに、電荷の出やすさが抑制される現象を低減できる。
電荷が輸送される断面、すなわち、図8(b)に示されるような導電層の厚さ方向の断面において、導電層の外表面から支持体方向への深さ0.1T~0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所における、50μm四方の観察領域を取得した際に、当該観察領域内のドメイン間距離の算術平均値Dmおよびドメイン間距離のばらつきσmを用いてσm/Dmが0以上0.4以下であることが好ましい。
<ドメイン間距離の制御方法>
ドメイン間距離の制御法について以下に説明する。
非相溶のポリマー2種を溶融混練させた場合のドメイン間距離(1/τ)について、Taylorの式(式(5))およびWuの経験式(式(6)~(7))を基にしたTokitaの理論式(8)が提案されている。
・Taylorの式
D=[C・σ/ηm・γ]・f(ηm/ηd) (5)
・Wuの経験式
γ・D・ηm/σ=4(ηd/ηm)0.84・ηd/ηm>1 (6)
γ・D・ηm/σ=4(ηd/ηm)-0.84・ηd/ηm<1 (7)
・Tokitaの式
式(5)~(8)において、DはCMBのドメインの最大フェレ径、Cは定数、σは界面張力、ηmはマトリックスの粘度、ηdはドメインの粘度、γはせん断速度、ηは混合系の粘度、Pは衝突合体確率、φはドメイン相体積、EDKはドメイン相切断エネルギーを表す。
上記式に示す通りに、ドメイン間距離は、主に、
(A)ドメイン相の体積比、
(B)ドメインとマトリックスの粘度比、
(C)せん断速度、
(D)ドメイン相切断エネルギーの大きさ
で制御することが可能である。
具体的に、ドメイン間距離を低減するには以下の手法で制御が可能である。
・ドメインポリマーとマトリックスポリマー間の界面張力を小さくする。
・ドメインポリマーとマトリックスポリマー間の粘度差を低減する。
・混練時のせん断速度を上げる/せん断時のエネルギーを上げる。
・ドメイン相の体積比を上げる。
・衝突合体確率を下げる。
高速プロセス下でも導電パスにおける電荷の移動をより効率的に行うためには、電気抵抗の揃った導電性のドメインを三次元的に均等かつ密に導電層中に配置させることで、極めて均一でムラのない導電パスを有する構成とすることがより好ましい。
具体的には、該導電層の厚み方向の断面に現れるドメインの各々の断面積に対する該ドメインの各々が含む導電性粒子からなる部分の断面積の割合の平均値をμとし、該割合の標準偏差をσとしたとき、σ/μが、0以上、0.4以下であり、μが20%以上、40%以下であることが好ましい。これらのσ及びμの条件に加えて、導電層の任意の9箇所からサンプリングされる、合計9個の一辺が9μmの立方体形状のサンプル立方体のうち、少なくとも8個のサンプル立方体は、下記要件(B1)を満たすことが特に好ましい。
要件(B1):
「1個のサンプル立方体を、27個の、一辺が3μmの単位立方体に区分し、該単位立方体の各々に含まれる前記ドメインの体積Vdを求めたとき、Vdが2.7μm3~10.8μm3である単位立方体の数が少なくとも20個であること。」
バイアスを付加する方式の現像部材においては、電荷密度の異なるトナーに対して、ブレードニップ内で現像・除電を行い均一な電荷密度に現像させる事が望ましく、そのため現像ブレードの表面電位をトナーサイズで均一に保ち続ける必要がある。よって導電パスが導電性支持体から現像部材表面に亘って厚み方向ならびに面内方向に均質にかつ、高密度に形成されていることが好ましい。
上記μとσの関係が、『σ/μが、0以上、0.4以下』であると、各ドメイン中に含まれる導電剤からなる部分(例えば導電性粒子)の数・量にバラつきがなくなる。その結果、電気抵抗の揃ったドメインとなる。特に、上記μとσの関係が、『σ/μが、0以上、0.25以下』の場合にはさらに電気抵抗の揃ったドメインとなるため、より本発明における効果が高まる傾向があるため特に好ましい。
σ/μを低い値にするためには、各ドメイン中に含まれる導電性粒子からなる部分数・量を増加させることが好ましく、またドメインのサイズを揃えることも好ましい。
なお、ここでμは、20%以上、40%以下が好ましい。後述するように、μが20%未満である場合には、導電性粒子の量が必然的に少なく、ドメイン内での導電性粒子の電気的な繋がりがパーコレーション的に不安定になる場合などがある。一方、μが40%よりも多い場合には、ドメイン内の導電性粒子の量が多くなるため導電性粒子をドメイン内に閉じ込めにくくなる場合などがある。また、後述するとおり、ドメイン内の導電性粒子の充填量が増すと、本発明の効果が高まることを見出しており、より好ましくは、μは、23%以上、さらに好ましくは28%以上である。
加えて、上記の一辺が3μmの単位立方体中にドメインが10~40体積%含まれ、かつサンプル立方体が導電層全体に均質に存在するため、導電性のドメインが三次元的に均等かつ密に導電層中に配置された構成となる。なお、後述するように、ドメインの総体積を増加させた場合にも、導電層全体に均質に存在する割合が高まる傾向がある。また、ドメインの総体積が同じでも、ドメインサイズを小さくし、個数を増加させることで、ドメインが該導電層全体に均質に存在する割合が飛躍的に高まる傾向がある。
つまり、上記要件(B1)を満たす一辺が3μmの単位立方体の個数が増加すると、必然的に本発明の効果が高まる。従って、27個の単位立方体のうちの、Vdが2.7~10.8μm3である単位立方体の数が20個以上であることが好ましく、22個以上であることがより好ましく、25個以上であることがさらに好ましい。
なお、言うまでもないことであるが、導電支持体から導電層の表面まで導電パスが繋がって形成されるためには3次元的にドメインを配置する必要がある。言い換えると、ある二次元断面でのドメイン配置の制御だけでは、導電支持体から導電層の表面までの導電パスの繋がりを正確に構築することができない。なお、ここで『導電パスが繋がっている』とは、所望の印加電圧に伴い、該導電パスを形成しているドメイン間を電荷が効率よく移動(ホッピング伝導やトンネル伝導やバンド伝導性など)できる状態を指す。用いる印加電圧や導電層の厚み、さらにはドメインやマトリックスの電気抵抗によるが、3次元的な評価において、ドメインの隣接壁面間距離が2.0μm以下であることが特に好ましい。
工程(i):カーボンブラックおよび第二のゴムを含む、ドメイン形成用ゴム混合物(以降、「CMB」とも称する)を調製する工程;
工程(ii):第一のゴムを含むマトリックス形成用ゴム混合物(以降、「MRC」とも称する)を調製する工程;
工程(iii):CMBとMRCとを混練して、マトリックス-ドメイン構造を有するゴム混合物を調製する工程。
工程(iv):工程(iii)で調製したゴム混合物の層を、導電性支持体上に直接または他の層を介して形成し、該ゴム組成物の層を硬化させて、本態様に係る導電層を形成する工程。
そして、構成(i)~構成(iii)は、例えば、上記各工程に用いる材料の選択、製造条件の調整により制御することができる。以下説明する。
まず、構成(i)に関して、マトリックスの体積抵抗率は、MRCの組成によって定まる。
MRCに用いる第一のゴムとしては、導電性の低い、天然ゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴムの如きゴムの少なくとも1種を用い得る。また、MRCには、マトリックスの体積抵抗率を上記範囲内にすることができることを前提として、必要に応じて、充填剤、加工助剤、架橋剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、老化防止剤、軟化剤、分散剤、着色剤を添加してもよい。一方、MRCには、マトリックスの体積抵抗率を上記範囲内とするために、カーボンブラックの如き電子導電剤は含有させないことが好ましい。
また、構成(ii)は、CMB中の電子導電剤の量によって調整し得る。例えば、電子導電剤として、DBP吸油量が、40cm3/100g以上、170cm3/100g以下である導電性カーボンブラックを用いる場合を例に挙げると、CMBの全質量を基準として、40質量%以上、200質量%以下の導電性カーボンブラックを含むようにCMBを調製することで構成(ii)を達成し得る。
(a)CMB、及びMRCの各々の界面張力σの差
(b)CMBの粘度(ηd)、及びMRCの粘度(ηm)の比(ηm/ηd)
(c)工程(iii)における、CMBとMRCとの混練時のせん断速度(γ)、及びせん断時のエネルギー量(EDK)
(d)工程(iii)における、CMBのMRCに対する体積分率
一般的に二種の非相溶のゴムを混合した場合、相分離する。これは、異種高分子間の相互作用よりも、同一高分子間の相互作用が強いため、同一高分子同士で凝集し、自由エネルギーを低下させ安定化しようとするためである。相分離構造の界面は異種高分子と接触するため、同一分子同士の相互作用で安定化されている内部より、自由エネルギーが高くなる。その結果、界面の自由エネルギーを低減させるために、異種高分子と接触する面積を小さくしようとする界面張力が発生する。この界面張力が小さい場合、エントロピーを増大させるために異種高分子でもより均一に混合しようとする方向に向かう。均一に混合した状態とは溶解であり、溶解度の目安となるSP値(溶解度パラメーター)と界面張力は相関する傾向にある。
つまり、CMBとMRCとの界面張力差は、CMB及びMRCの界面張力は、各々が含むゴムのSP値差と相関すると考えられる。MRC中の第1のゴムと、CMB中の第2のゴムとしては、溶解度パラメーターの絶対値の差が、0.4(J/cm3)0.5以上、5.0(J/cm3)0.5以下、特には、0.4(J/cm3)0.5以上2.2(J/cm3)0.5以下となるようなゴムを選択することが好ましい。この範囲であれば安定した相分離構造を形成でき、また、CMBのドメイン径Dを小さくすることができる。
ここで、CMBに用い得る第二のゴムの具体例としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレンゴム(EPM、EPDM)、クルルプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H-NBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム(U)が挙げられる。これらの少なくとも1種を用いることができる。
導電層の厚みは、目的とする導電性部材の機能及び効果が得られるものであれば特に限定されない。導電層の厚みは、少なくとも100μm(0.1mm)以上とすることが好ましく、特には、0.3mm以上、更には、1.0mm以上とすることが好ましい。また、4.5mm以下とすることが好ましい。
SP値は、SP値が既知の材料を用いて、検量線を作成することで、精度良く算出することが可能である。この既知のSP値は、材料メーカーのカタログ値を用いることもできる。例えば、NBR及びSBRは、分子量に依存せず、アクリロニトリルおよびスチレンの含有比率でSP値がほぼ決定される。従って、マトリックスおよびドメインを構成するゴムを、熱分解ガスクロマトグラフィー(Py-GC)及び固体NMR等の分析手法を用いて、アクリロニトリルまたはスチレンの含有比率を解析することで、SP値が既知の材料から得た検量線から、SP値を算出することができる。また、イソプレンゴムは、1,2-ポリイソプレン、1,3-ポリイソプレン、3,4-ポリイソプレン、およびcis-1,4-ポリイソプレン、trans-1,4-ポリイソプレンなどの、異性体構造でSP値が決定される。従って、SBRおよびNBRと同様にPy-GC及び固体NMR等で異性体含有比率を解析し、SP値が既知の材料から、SP値を算出することができる。
(b)CMBとMRCとの粘度比
CMBとMRCとの粘度比(ηd/ηm)は、1に近い程、ドメインの最大フェレ径を小さくできる。具体的には、粘度比は1.0以上2.0以下であることが好ましい。CMBとMRCの粘度比は、CMB及びMRCに使用する原料ゴムのムーニー粘度の選択や、充填剤の種類や量の配合によって調整が可能である。また、相分離構造の形成を妨げない程度に、パラフィンオイルなどの可塑剤を添加することでも可能である。また混練時の温度を調整することで、粘度比の調整を行うことができる。なおドメイン形成用ゴム混合物やマトリックス形成用ゴム混合物の粘度は、JIS K6300-1:2013に基づきムーニー粘度ML(1+4)を混練時のゴム温度で測定することで得られる。
(c)MRCとCMBとの混練時のせん断速度、及びせん断時のエネルギー量
MRCとCMBとの混練時のせん断速度は速いほど、また、せん断時のエネルギー量は大きいほど、ドメイン間距離を小さくすることができる。
せん断速度は、混練機のブレードやスクリュウといった撹拌部材の内径を大きくし、撹拌部材の端面から混練機内壁までの間隙を小さくすることや、回転数を大きくすることで上げることができる。またせん断時のエネルギーを上げるには、撹拌部材の回転数を上げることや、CMB中の第一のゴムとMRC中の第二のゴムの粘度を上げることで達成できる。
d)MRCに対するCMBの体積分率
MRCに対するCMBの体積分率は、マトリックス形成用ゴム混合物に対するドメイン形成用ゴム混合物の衝突合体確率と相関する。具体的には、マトリックス形成用ゴム混合物に対するドメイン形成用ゴム混合物の体積分率を低減させると、ドメイン形成用ゴム混合物とマトリックス形成用ゴム混合物の衝突合体確率が低下する。つまり必要な導電性を得られる範囲において、マトリックス中におけるドメインの体積分率を減らすことでドメイン間距離を小さくできる。そして、CMBのMRCに対する体積分率は、15%以上、40%以下とすることが好ましい。
ドメインの形状は、円形に近いほうが好ましい。ドメインの面積と、ドメインの最大フェレ径相当の円の面積との比が0.6以上1以下であることが好ましい。この比は1が最大値であり、1である状態は、ドメインが真円であることを示す。これら比が0.6より小さいと、ドメインの形状が異方性を有することとなり、すなわち、電界の異方性が発現する。これにより、電界集中点が形成されるため、電荷の輸送の集中が生じるため、持続性の大きい放電が起きやすい。これらの比が1に近づくほど、当該電界集中が抑制されるため、カブリ画像が発生しにくくなる。
なお、最大フェレ径とは、観察されたドメインの外周を2本の平行線で挟み、その2本の平行線間を垂線で結んだときの長さが最も長くなる時の値である。また、最大フェレ径相当の円とは、この最大フェレ径を直径とする円である。
<ドメイン面積S1、最大フェレ径相当円の面積S2の測定方法>
ドメインの形状は、上記のドメインのサイズやドメイン間距離を測定する手法と同様の手法で、破断面の作成および観察を行って得られる画像を使って定量化することが可能である。具体的には、上記ドメインサイズの測定方法と同様の方法で、破断面内の2値化を行った後に、画像処理ソフトを用いて、画像内のドメインのそれぞれに対し、ドメイン面積と最大フェレ径を算出する。次いで、実ドメイン面積S1と、最大フェレ径から得られる、最大フェレ径相当円の面積S2との比を求めればよい。
S1及びS2の測定では、現像部材を均等に、好ましくは20区画に均等に分割した領域のそれぞれから各1つずつ薄片サンプルを切り出し、上記の測定値を得た後に、合計20サンプルのS1、S2の算術平均値をS1、S2の測定値とすればよい。
円柱状の現像部材の場合では、円柱状の周方向に4分割、長手方向に5分割した領域のそれぞれから各1つずつ薄片サンプルを切り出し、上記の測定値を得た後に、合計20サンプルのS1,S2の算術平均値を、S1、S2の測定値とすればよい。
要件(B2)
ドメインの断面積に対する該ドメインが含む該導電性粒子の断面積の割合が、20%以上であること要件(B3)
ドメインの周囲長をA、該ドメインの包絡周囲長をBとしたとき、A/Bが、1.00以上、1.10以下であること。
上記要件(B2)及び要件(B3)は、ドメインの形状に係る規定ということができる。「ドメインの形状」とは、導電層の厚さ方向の断面に現れたドメインの断面形状として定義される。円柱形状の帯電部材の場合では、導電層の長手方向の長さをL、導電層の厚さをTとしたとき、導電層の長手方向の中央、及び導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、図8(b)に示されるような導電層の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々について、導電層の外表面から支持体方向への深さ0.1T~0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所に15μm四方の観察領域を置く。ドメイン形状は、この全9個の観察領域の各々で観察される各ドメインの形状で定義される。
ドメインの形状はその周面に凹凸がない形状であることが好ましい。形状に関する凹凸構造の数を低減することによって、ドメイン間の電界の不均一性を低減でき、つまり、電界集中が生じる箇所を少なくして、マトリックスで必要以上の電荷輸送が起きる現象を低減できる。本発明者は、1個のドメインに含まれる導電性粒子の量が、当該ドメインの外形形状に影響を与えているとの知見を得た。
すなわち、1個のドメインの導電性粒子の充填量が増えるにつれて、該ドメインの外形形状がより球体に近くなるとの知見を得た。球体に近いドメインの数が多いほど、ドメイン間での電子の授受の集中点を少なくすることができる。そして、本発明者らの検討によれば、その理由は明らかでないが、1つのドメインの断面の面積を基準として、当該断面において観察される導電性粒子の断面積の総和の割合が20%以上であるドメインは、より、球体に近い形状を取り得る。その結果、ドメイン間での電子の授受の集中を有意に緩和し得る外形形状を取り得るため好ましい。具体的には、ドメインの断面積に対する該ドメインが含む該導電性粒子の断面積の割合が、20%以上であることが好ましい。
ドメインの周面の凹凸がない形状に関しては、下記式(5)を満たすことが好ましいことを本発明者らは見出した。
1.00≦A/B≦1.10 (5)
(A:ドメインの周囲長、B:ドメインの包絡周囲長)
式(5)は、ドメインの周囲長Aと、ドメインの包絡周囲長Bとの比を示している。ここで、包絡周囲長とは、図7に示されるように、観察領域で観察されるドメイン71の凸包絡73の長さである。なお、凸包絡とは、ドメイン71内のすべての点を含む最小の凸集合である。
ドメインの周囲長と、ドメインの包絡周囲長との比は1が最小値であり、1である状態は、ドメインが真円或いは楕円等の断面形状に凹部がない形状であることを示す。これらの比が1.1を超えると、ドメインに大きな凸凹形状が存在することとなり、すなわち、電界の異方性が発現する。
要件(B2)で規定したように、ドメイン中に導電性粒子を高密度に充填することで、ドメインの外形形状を球体に近づけることができると共に、前記要件(B3)に規定したように凹凸が小さいものとすることができる。
要件(B2)で規定したような、導電性粒子が高密度に充填されたドメインを得るために、導電性粒子として、DBP吸油量が40cm3/100g以上80cm3/100g以下であるカーボンブラックを特に好適に用い得る。DBP吸油量(cm3/100g)とは、100gのカーボンブラックが吸着し得るジブチルフタレート(DBP)の体積であり、日本工業規格(JIS) K 6217-4:2017(ゴム用カーボンブラック-基本特性-第4部:オイル吸収量の求め方(圧縮試料を含む))に従って測定される。
一般に、カーボンブラックは、平均粒径10nm以上50nm以下の一次粒子がアグリゲートした房状の高次構造を有している。この房状の高次構造はストラクチャーと呼ばれ、その程度はDBP吸油量(cm3/100g)で定量化される。
一方、DBP吸収量が上記範囲内にある導電性カーボンブラックは、ストラクチャー構造が未発達のため、カーボンブラックの凝集が少なく、ゴムへの分散性が良好である。そのため、ドメイン中への充填量を多くでき、その結果として、ドメインの外形形状を、より球体に近いものを得られやすい。
さらに、ストラクチャーが発達したカーボンブラックは、カーボンブラック同士が凝集し易く、また、凝集体は、大きな凸凹構造を有する塊となりやすい。このような凝集体がドメインに含まれると、要件(B3)に係るドメインが得られにくい。形状にまで影響を与え凹凸構造を形成する場合がある。一方、DBP吸油量が、上記した範囲内にある導電性カーボンブラックは、凝集体を形成し難いため、要件(B3)に係るドメインを作成するうえで有効である。
まず、前述のマトリックスの体積抵抗率の測定における方法と同様の方法で切片を作製する。ただし、下記のように、導電性部材の長手方向に対して垂直な断面によって、切片を作成し、当該切片の破断面におけるドメインの形状を評価する必要がある。この理由を下記に述べる。
図8では、現像部材81を、3軸、具体的にはX、Y、Z軸の3次元としてその形状を示した図を示す。図8においてX軸は現像部材の長手方向(軸方向)と平行な方向、Y軸、Z軸は現像部材の軸方向と垂直な方向を示す。
図8(a)は、現像部材に対して、XZ平面82と平行な断面82aで現像部材を切り出すイメージ図を示す。XZ平面は現像部材の軸を中心として、360°回転することができる。現像部材が、その該表面においてトナーと接触した状態で回転し、トナーに電荷供給することを考慮すると、当該XZ平面82と平行な断面82aは、あるタイミングに同時に電荷供給が起きる面を示していることになる。一定量の断面82aに相当する面が通過することによって、トナーへの電荷供給が行われる。
したがって、現像部材内の電界集中と相関する、ドメインの形状の評価のためには、断面82aのようなある一瞬において同時に電荷供給が発生する断面の解析ではなく、一定量の断面82aを含むドメイン形状の評価ができる現像部材の軸方向と垂直な図8(b)に示すYZ平面83と平行な断面での評価が必要である。この評価に、該導電層の長手方向の長さをLとしたとき、導電層の長手方向の中央での断面83bと、及び該導電層の両端から中央に向かってL/4の2か所の断面(83a及び83c)の計3か所を選択する。
また、当該断面83a~83cの観察位置に関しては、導電層の厚さをTとしたとき、各切片のそれぞれ外表面から深さ0.1T以上0.9T以下までの厚み領域の任意の3か所で15μm四方の観察領域を置いたときの、合計9か所の観察領域で測定を行えばよい。
破断面の形成は、凍結割断法、クロスポリッシャー法、収束イオンビーム法(FIB)等の手段で破断面を形成することができる。破断面の平滑性と、観察のための前処理を考慮すると、FIB法が好ましい。また、マトリックスドメイン構造の観察を好適に実施するために、染色処理、蒸着処理など、導電相と絶縁相とのコントラストが好適に得られる前処理を施してもよい。
破断面の形成、前処理を行った切片に対して、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によってマトリックスドメイン構造を観察することができる。これらの中でも、ドメインの面積の定量化の正確性から、SEMで1000倍~100000倍で観察を行うことが好ましい。
ドメインの周囲長、包絡周囲長、及びドメイン個数の測定は、上記で撮影画像を定量化することによって行なうことができる。SEMでの観察により得られた破断面画像に対し、「ImageProPlus」(商品名、Media Cybernetics社製)のような画像処理を使用して、それぞれの観察位置で得られる9枚の画像から、それぞれ15μm四方の解析領域抽出し、8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得る。次いで、破断面内のドメインが白くなるように、画像の白黒を反転処理し、2値化して解析用の2値化画像を得ることができる。
ドメイン内の電子導電剤の断面積割合の測定は、上記の2値化画像を定量化することによって行なうことができる。2値化画像に対し、画像処理ソフト「ImageProPlus」内のカウント機能により、ドメインの断面積Sおよび、それぞれのドメイン内の導電剤からなる部分の断面積の総和Scを算出する。そして、Sc/Sの算術平均値μ(%)を算出すればよい。
円柱形状の現像部材の場合では、導電層の長手方向の長さをL、導電層の厚さをTとしたとき、導電層の長手方向の中央、及び導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、図8(b)に示されるような導電層の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々について、導電層の外表面から支持体方向への深さ0.1T~0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所の15μm四方の領域において、上記の測定を行い、合計9点の領域からの測定値の算術平均から算出すればよい。
ドメインの周囲長、包絡周囲長、及びドメイン個数の測定は、上記の2値化画像を定量することで行うことができる。2値化画像に対し、画像処理ソフト「ImageProPlus」内のカウント機能を用いて、画像内のドメインサイズ群のそれぞれのドメインの周囲長A、ドメインの包絡周囲長B、を算出し、ドメインの周囲長比A/Bの算術平均値を算出すればよい。
円柱形状の現像部材の場合では、導電層の長手方向の長さをL、導電層の厚さをTとしたとき、導電層の長手方向の中央、及び導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、図8(b)に示されるような導電層の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々について、導電層の外表面から支持体方向への深さ0.1T~0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所の15μm四方の領域において、上記の測定を行い、合計9点の領域からの測定値の算術平均から算出すればよい。
本態様に係るドメインは、先に挙げた構成(iv)および構成(v)を満たしているドメインの各々に含まれるドメインの最大フェレ径(以降、単に「ドメイン径」ともいう)Lの平均を0.1μm以上、5.0μm以下とすることが好ましい。
ドメイン径ドメイン径Lの平均値を、0.1μm以上とすることで、導電層において、電荷の移動する経路を目的とする経路により効果的に限定することができる。また、ドメイン径Lの平均値を5.0μm以下にすることで、ドメインの全体積に対する表面積の割合、すなわち、比表面積を指数関数的に大きくすることができ、ドメインからの電荷の放出効率を飛躍的に向上させ得る。ドメイン径Lの平均値は、上記の理由から、2.0μm以下、更には、1.0μm以下とすることが好ましい。
なお、ドメイン間での電界集中のより一層の軽減を図る上では、ドメインの外形形状をより球体に近づけることが好ましい。そのためには、ドメイン径を、前記した範囲内でより小さくすることが好ましい。その方法としては、例えば、工程(iv)において、MRCとCMBとを混練して、MRCとCMBとを相分離させて、MRCのマトリックス中にCMBのドメインを形成されたゴム混合物を調製する工程において、CMBのドメイン径を小さくするように制御する方法が挙げられる。CMBのドメイン径を小さくすることでCMBの比表面積が増大し、マトリックスとの界面が増加するため、CMBのドメインの界面には張力を小さくしようとする張力が作用する。その結果、CMBのドメインは、その外形形状が、より球体に近づく。
ドメインサイズは均一であるほど、つまり、粒度分布が狭い方が好ましい。導電層内の電荷が通るドメインのサイズの分布を均一とすることで、マトリックスドメイン構造内での電荷の集中を抑制し、現像部材の全面にわたって電荷の出やすさを効果的に増大することができる。電荷が輸送される断面、すなわち、導電層の厚さ方向の断面において、導電層の外表面から支持体方向への深さ0.1T~0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所における、50μm四方の観察領域を取得した際に、ドメインサイズの標準偏差σdおよびドメインサイズの平均値Dの比σd/Dが0以上0.4以下であることが好ましい。
導電層中のマトリックスドメイン構造の存在は、導電層から薄片を作製して、薄片に形成した破断面の詳細観察により確認することができる。
薄片化する手段としては、例えば、鋭利なカミソリや、ミクロトーム、FIBなどがあげられる。また、マトリックスドメイン構造のより正確な観察を実施するために、染色処理、蒸着処理など、導電相としてのドメインと絶縁相としてのマトリックスとのコントラストが好適に得られる前処理を観察用の薄片に施してもよい。
破断面の形成、及び必要に応じて前処理を行った薄片に対して、レーザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によって破断面を観察してマトリックスドメイン構造の存在を確認することができる。簡易的、かつ正確に海島構造を確認できる手法として、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することが好ましい。
上記のような手法で導電層の薄片を取得し、当該薄片の表面を1000倍~10000倍で観察して得られる画像を取得した後、「ImageProPlus」(商品名:Media Cybernetics社製)の如き画像処理ソフトウェアを使用して、8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得る。次いで、破断面内のドメインが白くなるように、画像の白黒を反転処理し、2値化をして解析画像を取得する。ドメインおよびマトリックスを2値化によって区別する状態に画像処理した当該解析画像によって、マトリックスドメイン構造の有無を判断すればよい。
当該解析画像に、図6のように、複数のドメインがマトリックス中に孤立した状態で存在する構造が含まれている場合に、導電層中でのマトリックスドメイン構造の存在を確認することができる。ドメインの孤立状態は、各ドメインが他のドメインと連結していない状態で配置され、かつ、マトリックスは画像内で連通し、ドメインがマトリックスによって分断されている状態であればよい。具体的には、当該解析画像内の50μm四方内を解析領域としたとき、当該解析領域の枠線と接点を持たないドメイン群の総数に対して、上記のように孤立状態で存在するドメインの個数が、80個数パーセント以上存在する状態を、海島構造を有する状態とする。
上記のような確認を、現像部材の導電層を長手方向に均等に5等分し、周方向に均等に4等分し、それぞれの領域から任意に1点ずつ、合計20点から当該切片を作製して上記測定を行えばよい。
現像部材が現像ブレードの場合は、表面粗さは十点平均粗さ(Rz)で0.0~6.0μmの範囲にあることが好ましく、0.0~1.5μmの範囲にあることが特に好ましい。
表面粗さがこの範囲にあると、トナーとの均一な接触と、適正なトナー搬送量が両立され、トナーへの電荷供給を均一にしやすくすることができる。
現像部材の表面粗さの形成方法としては、研磨、型転写、レーザー処理が挙げられる。
現像部材がローラ形状である場合は、導電層の成形方法としては、液状ゴム材料を型成形する方法や、混練ゴム材料を押出し成形する方法が挙げられる。
また、現像部材がブレード形状である場合は、その成形方法として、型成形、射出成型、押出し成形、遠心成形する方法が挙げられる。
本発明に係る現像部材は、電子写真用画像形成装置としての電子写真装置における現像ローラ、トナー供給ローラ、現像スリーブ、および現像ブレードとして好適に用いることができる。現像部材は、磁性一成分トナーや非磁性一成分トナーを用いた非接触型現像装置および接触型現像装置、ならびに二成分トナーを用いた現像装置のいずれの現像装置にも適用することができる。
図10は、本発明に係る現像部材を、一成分トナーを用いた接触型現像装置の現像ローラとして搭載した電子写真装置の一例を示す概略断面図である。現像装置22は、一成分トナーとしてトナー15を収容したトナー容器20と、現像ローラ16と、現像ローラ16へトナーを供給するトナー供給ローラ19と、現像ローラ16上のトナー層の厚さを規制する現像ブレード21とを含む。現像ローラ16は、トナー容器20内の長手方向に延在する開口部に位置し、感光体18に対して接触設置されている。なお、感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、帯電ローラ24は、電子写真装置本体に配備されていてもよい。現像装置22は、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色トナーに用意されており、カラー印刷を可能としている。
以下、電子写真装置のプリント動作を説明する。感光体18は矢印方向に回転し、感光体18を帯電処理するための帯電ローラ24によって一様に帯電される。次いで、露光手段であるレーザー光23により、感光体18の表面に静電潜像が形成される。該静電潜像は、現像装置22によって、感光体18に対して接触配置される現像ローラ16からトナー15が付与されることにより、トナー像として可視化される(現像)。現像は露光部にトナー像を形成する、いわゆる反転現像である。
感光体18上に形成されたトナー像は、転写部材である転写ローラ29によってエンドレスベルト状の中間転写体32に転写される。
記録媒体である紙34は、給紙ローラ35および二次転写ローラ36により装置内に給紙され、トナー画像を有する中間転写体32とともに、二次転写ローラ36と従動ローラ33とのニップ部に搬送され、紙34にトナー画像が転写される。中間転写体32は、従動ローラ33、駆動ローラ39、テンションローラ38により稼働している。中間転写体32上に残るトナーはクリーニング装置37によりクリーニングされる。
現像ローラ16、現像ブレード21、転写ローラ29および二次転写ローラ36には、バイアス電源30から電圧が印加されている。トナー像が転写された紙34は、定着装置27により定着処理され、装置外に排紙されて、プリント動作が終了する。一方、転写されずに感光体18上に残存した転写残トナーは、感光体表面をクリーニングするためのクリーニング部材であるクリーニングブレード26により掻き取られ、廃トナー収容容器25に収納される。クリーニングされた感光体18は、以上のプリント動作を繰り返し行う。
本発明に係る、上記現像部材は、プロセスカートリッジにおける現像ローラ、トナー供給ローラ、現像スリーブ、および現像ブレードとして好適に用いることができる。図9は、本発明の一態様に係るプロセスカートリッジの一例の概略断面図である。図9において、上記現像部材は、現像ローラ16として搭載されている。プロセスカートリッジ17は、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている。プロセスカートリッジ17は、現像ローラ16と現像ブレード21とを備える現像装置22、感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、および帯電ローラ24が一体化されたものである。現像装置22は、さらにトナー容器20を含み、トナー容器20内には、トナー15が充填されている。トナー容器20内のトナー15は、トナー供給ローラ19によって現像ローラ16の表面に供給され、現像ブレード21によって、現像ローラ16の表面に所定の厚みのトナー15の層が形成される。
<現像ローラの作製>
[実施例1]
1.未加硫ドメインゴム組成物の製造
[1-1] 未加硫ドメイン組成物の調製
表1に示す量の各材料を加圧式ニーダーで混合し未加硫ドメイン組成物を得た。混合機は、6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6-15MDX、トーシン社製)を用いた。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
表2に示す量の各材料を加圧式ニーダーで混合し未加硫マトリックスゴム組成物を得た。混合機は、6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6-15MDX、トーシン社製)を用いた。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
表3に示す量の各材料を加圧式ニーダーで混合して未加硫ゴム組成物を得た。混合機は、6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6-15MDX、トーシン社製)を用いた。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
表4に示す量の各材料をオープンロールにて混合し、現像部材成形用のゴム組成物を調製した。混合機は、ロール径12インチ(0.30m)のオープンロールを用いた。混合条件は、前ロール回転数10rpm、後ロール回転数8rpmで、ロール間隙2mmとして合計20回左右の切り返しを行った後、ロール間隙を0.5mmとして10回薄通しを行った。
支持体として、快削鋼の表面に無電解ニッケルメッキ処理を施した外径6mmの芯金を用意した。本芯金を導電性の軸芯体である支持体として使用した。
次に、導電性の支持体の供給機構、及び未加硫ゴムローラの排出機構を有するクロスヘッド押出機の先端に内径16.0mmのダイスを取付け、押出機とクロスヘッドの温度を80℃に、導電性の支持体の搬送速度を60mm/secに調整した。この条件で、押出機より未加硫ゴム組成物を供給して、クロスヘッド内にて導電性の支持体の外周部を未加硫ゴム組成物で被覆し、未加硫ゴムローラを得た。
次に、170℃の熱風加硫炉中に前記未加硫ゴムローラを投入し、60分間加熱することで未加硫ゴム組成物を加硫し、導電性の支持体の外周部に導電性樹脂層が形成されたローラを得た。その後、導電性樹脂層の両端部を切除し、導電性樹脂層の表面を回転砥石で研磨した。これによって、中央部から両端部側へ各90mmの位置における各直径が12.0mm、中央部直径が12.2mmであるクラウン形状の現像ローラA1を得た。
[3-1]マトリックスドメイン構造の確認
本発明に係るマトリックスドメイン構造が好適に形成できるかを確認するため、以下の確認を行った。
カミソリを用いて導電層の周方向と垂直な断面が観察できるように切片を切り出した。次いで、白金蒸着を行い、走査型電子顕微鏡(SEM)(商品名:S-4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて1,000倍で撮影し、断面画像を得た。
本発明に係るマトリックスドメイン構造は、この断面画像内において、図6のように、ドメイン成分6bは複数の個数がマトリックス6a中に分散されて、導電パスが分断された状態であり、一方で、マトリックスは画像内で連通している状態である。
現像ローラA1(長手方向の長さ:230mm)を長手方向に5等分し、周方向に4等分し、それぞれの領域内から任意に1点ずつ、合計20点から当該切片を作製して上記測定を行った。マトリックスドメイン構造を確認できた場合を「有」、できなかった場合は「無」と表7-1に「海島構造の有無」として示した。
[3-2]1×106Hz~1×107Hzにおける傾き、および1×10-2Hz~1×100Hzにおけるインピーダンスの測定
インピーダンスの測定は、次のようにして行った。
まず、前処理として、現像部材A1に対し、回転しながら真空白金蒸着をすることよって、測定電極を作成した。この時、マスキングテープを使用して、幅1.5cm、周方向に均一な電極を作成した。当該電極を形成することで、導電性部材の表面粗さによって、測定電極と導電性部材の接触面積の寄与を極力低減することができる。
次に、当該電極に、アルミシートを隙間なく巻きつけ、当該アルミシートから、インピーダンス測定装置(商品名:ソーラトロン1260、およびソーラトロン1296;ソーラトロン社製)の測定電極に接続した。
図11に現像ローラに測定電極を形成した状態の概要図を示す。図11の中で、41が導電性の支持体、42がマトリックスドメイン構造を有する導電層、44が白金蒸着層、43がアルミシートである。
図12に導電性部材に測定電極を形成した状態の断面図を示す。121が導電性の支持体、122がマトリックスドメイン構造を有する導電層、123が白金蒸着層、124がアルミシートである。図12のように、導電性の支持体と、測定電極によってマトリックスドメイン構造を有する導電層を挟む状態にすることが重要である。
そして、当該アルミシートを、インピーダンス測定装置(ソーラトロン1260、およびソーラトロン1296 ソーラトロン社製)側の測定電極に接続した。図13に、本測定系の概要図を示す。導電性の支持体と、アルミシートを測定のための2つの電極にすることで、インピーダンス測定を行なった。
インピーダンスの測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境において、振動電圧1Vpp、直流10V、周波数1×10-2Hz~107Hz測定(周波数が1桁変化する際に、5点ずつ測定)し、インピーダンスの絶対値を得た。次いで、測定結果をエクセル(登録商標)などの表計算ソフトを用いて、当該インピーダンスの絶対値と、角周波数(測定周波数×2×π(円周率))を両対数プロットし、1×106Hz~1×107Hzにおける傾きを算出した。
現像ローラA1(長手方向の長さ:230mm)を長手方向に5個の領域に5等分し、それぞれの領域内から任意に1点ずつ、合計5点に測定電極を形成し、上記測定を行った。その平均値を、インピーダンスの傾きとした。
表7-1の「傾き」と「インピーダンス」の項に導電層において得られた結果を示した。
導電性支持体のインピーダンスを現像ローラから導電層を剥離した以外は上記と同様の方法で測定した。得られた結果を「導電性支持体」の「インピーダンス」として表7-1に示した。
マトリックスの体積抵抗率は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)(商品名:Q-Scope250、Quesant Instrument Corporation社製)を用い、コンタクトモードで測定した。
まず、現像ローラの導電層から、ミクロトーム(商品名:Leica EM FCS、ライカマイクロシステムズ社製)を用いて、切削温度-100℃にて、2μm程度の厚みの超薄切片として切り出した。
次に、温度23℃、相対湿度50%の環境において、当該超薄切片を金属プレート上に設置し、金属プレートに直接接触している箇所の中を選び、マトリックスに該当する箇所をSPMのカンチレバーを接触させ、次いで、カンチレバーに50Vの電圧を印加し、電流値を測定した。
当該SPMで当該測定切片の表面形状を観察して、得られる高さプロファイルから測定箇所の厚さを算出した。さらに、表面形状観察結果から、カンチレバーの接触部の凹部面積を算出した。当該厚さと当該凹部面積とから体積抵抗率を算出し、マトリックスの体積抵抗率とした。
現像ローラA1(長手方向の長さ:230mm)を長手方向に5等分し、周方向に4等分し、それぞれの領域内から任意に1点ずつ、合計20点から当該切片を作製して上記測定を行った。その平均値を、マトリックスの体積抵抗率とした。
得られた結果を、「マトリックス」の「体積抵抗率」として表7-1に示した。
ドメインの体積抵抗率は、上記マトリックスの体積抵抗率の測定において、測定箇所をドメインに該当する箇所で実施する以外は、同様の方法で行った。
得られた結果を、「ドメイン」の「体積抵抗率」として表7-1に示した。
[3-5]マトリックスの体積抵抗率とドメインの体積抵抗率の比
上記マトリックスの体積抵抗率R1の常用対数と、ドメインの体積抵抗率R2の常用対数を叙することで、マトリックスとドメインの体積抵抗率の比(log(R1/R2))を算出した。
得られた結果を、「マトリックスドメイン」の「抵抗比」として表7-1に示した。
ドメインのサイズを評価するために、次の測定を行った。
下記の手法に従って、走査型電子顕微鏡(SEM)で得られる観察画像を、画像処理で定量化することにより算出した。
上記マトリックスの体積抵抗率の測定において得られた切片に対し、白金を蒸着させ蒸着切片を得た。次いで当該蒸着切片の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)(商品名:S-4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて1,000倍で撮影し、表面画像を得た。
次いで、当該表面画像を画像処理ソフト「Image-pro plus」(製品名、Media Cybernetics社製)を使用して、マトリックスが白、ドメインが黒くなるように画像処理(2値化)し、カウント機能によって、観察画像内の任意の50個のドメインに対して下記の項目の算術平均値を算出した。
なお、要件(B2)、および要件(B3)で規定したような導電層を得るために、本態様に係るドメインは、導電層の厚みをTとしたとき、該導電性の厚み方向の断面における該導電層の外表面から深さ0.1T~0.9Tまでの厚み領域の任意の位置に15μm四方の観察領域をおいたときに、該観察領域内にドメインが20~300個存在することがより好ましい。
・周囲長:A
・包絡周囲長:B
・AとBの比:A/B
・要件(B3)を満たすドメイン個数
これを、現像部材A1の長手方向を5等分、周方向に4等分し、当該20領域に対して上記の各項目の測定結果の算術平均値をドメインの評価用とした。
要件3にかかる「A」は、図7に示すように、観察領域で観察されるドメイン71の周囲長であり、「B」は、当該ドメインの凸包絡73の長さ(包絡周囲長)である。
ドメイン周囲長A及び包絡周囲長Bの値も上記の方法による算術平均値とした。
得られた結果を、表8-1に「周囲長A」、「包絡周囲長B」、「A/B(平均値)」、「要件(B3)を満たすドメイン個数」としてそれぞれ示した。
[3-7]ドメイン間距離の測定
ドメイン間の距離は、走査型電子顕微鏡(SEM)で得られる画像を観察してえられる観察画像を、画像処理することにより得た。
具体的には、上記ドメインの形状の測定法に対して、画像処理の方法を、ドメインの壁面間距離をカウントする機能を使用した以外は、同様にして、ドメイン間距離の算出を行った。
これを、現像ローラA1の長手方向を5等分、周方向に4等分し、当該20領域に対して上記の測定結果の算術平均をドメイン間距離(Dm)とした。
得られた結果を、表7-1の「マトリックス」の「距離」及び表8-1の「ドメイン間距離Dm」として示した。
ドメインの体積はFIB-SEMを用いた3次元での導電層の計測により求めることが出来る。
FIB-SEMとはFIB(Focused Ion Beam:集束イオンビーム)装置で試料の加工、露出した断面のSEM(scanning electron microscope;走査型電子顕微鏡)を観察する手法である。立体的な構造を調べるためには、連続した加工・観察を繰り返して数多くの写真を取得した後、そのSEM画像をコンピュータソフトウェアで3D再構築処理を施して、試料構造を3次元的な立体像として構築することで行うことが可能となる。
ドメイン体積の具体的な測定方法としては、FIB-SEM(エフイー・アイ社製)を使用して、3次元の立体画像を取得し、その画像から上記構成を確認した。つまり、当該導電層サンプリングは任意の9箇所からサンプリングされるが、ローラ形状の場合には、長手方向の長さをLとした時、端部から(1/4)L、(2/4)L、(3/4)L付近の三か所ずつローラの周方向に120度毎に、それぞれから各1つずつサンプルを切り出す。
その後、FIB-SEMを用いた3次元測定を行い、60nm間隔で一辺が9μmの立方体形状の画像を測定する。ここでは、該(1/4)L、(2/4)L、(3/4)Lの各断面における導電層断面をローラの周方向に90度毎、芯金位置から表面の中心部での測定を行う。
なお、ドメイン構造の観察を好適に実施するために、ドメインとマトリックスとのコントラストが好適に得られる前処理を施すことも好ましい。ここでは、染色処理が好適に用いることができる。
その後得られた画像を、3D可視化・解析ソフトウェア Avizo(エフ・イー・アイ社製)を利用して、該一辺が9μmの立方体形状1個のサンプル中に含まれる27個の、一辺が3μmの該単位立方体におけるドメインの体積を算出する。
なお、ドメインの隣接壁面間距離の測定も3D可視化・解析ソフトウェア Avizoを利用して同様に行うことができ、上記の測定値を得た後に、該合計27サンプルの算術平均により算出することができる。
得られた結果を、「ドメイン体積分率」として表7-1に示す。
導電層におけるドメインの均一分散性は、FIB-SEMを用いた3次元での導電層の計測により求めることが出来る。
FIB-SEMとはFIB(Focused Ion Beam:集束イオンビーム)装置で試料の加工、露出した断面のSEM(scanning electron microscope;走査型電子顕微鏡)を観察する手法である。立体的な構造を調べるためには、連続した加工・観察を繰り返して数多くの写真を取得した後、そのSEM画像をコンピュータソフトウェアで3D再構築処理を施して、試料構造を3次元的な立体像として構築することで行うことが可能となる。
具体的な測定方法としては、FIB-SEM(エフイー・アイ社製)を使用して(詳細上述)3次元の立体画像を取得し、その画像から上記構成を確認した。
なお、ドメイン構造の観察を好適に実施するために、ドメインとマトリックスとのコントラストが好適に得られる前処理を施すことも好ましい。ここでは、染色処理が好適に用いることができる。
その後得られた画像を、3D可視化・解析ソフトウェア「 Avizo」(商品名、エフ・イー・アイ社製)を利用して、単位立方体形状のサンプル中に含まれるドメインの体積を算出する。
なお、ドメインの隣接壁面間距離の測定も、上記3D可視化・解析ソフトウェア「 Avizo」を利用して同様に行うことができ、上記の測定値を得た後に、当該サンプルの算術平均により算出することができる。
導電性のドメインが三次元的に均等かつ密に導電層中に配置された構成であることは、上記の手法で検証した。ここでは、上述したように、FIB-SEMを用いた3次元測定を行い、一辺が9μmの立方体形状のサンプル(サンプル立方体)のうち、少なくとも8個のサンプルが、以下の条件を満たすかを評価する。
要件(B1):
「1個の立方体サンプルを、27個の、一辺が3μmの単位立方体に区分し、該単位立方体の各々に含まれる前記ドメインの体積Vdを求めたとき、Vdが2.7~10.8μm3である単位立方体の数が少なくとも20個であること。」
先に述べたように、要件(B-1)を満たすサンプル立方体中の単位立方体の個数が増加すると、必然的に本発明の効果が高まる。
得られた結果を「要件(B1)を満たす立方体数」として表8-1に示す。
上記「ドメインの形状の測定」で観察した、SEM画像を用いて算出することができる。前記手法で得られた切片に対し、白金を蒸着させ蒸着切片を得た。次いで当該蒸着切片の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)(製品名:S-4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて1000倍~100000倍で撮影し、表面画像を得た。次に画像に対し、画像解析装置(製品名:LUZEX-AP、ニレコ社製)を使用して、8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得る。次いで、破断面内のドメインが白くなるように、画像の白黒を反転処理し、2値化を実施する。
さらに、上記のSEM像からドメイン1個が少なくとも収まる大きさの観察領域を抽出し、ドメインの断面積Sd、ドメインが含む電子導電剤(カーボンブラック)の断面積Scを算出する。
得られた、電子導電剤(カーボンブラック)の断面積Sc、ドメインの断面積Sdより、μ=Sc/Sdを求めることで、ドメインの断面積に対するドメインが含む該電子導電剤の断面積の割合が得られる。
得られた結果を「μ」(電子導電剤の断面積の割合の平均値)、「σ」(電子導電剤の断面積の割合の標準偏差)、「μ/σ」、「要件(B2)断面積割合(平均)」、「要件(B2)を満たすドメイン個数%」として表8-1に示す。
導電性支持体・ドメインゴム・マトリックスゴムの原材料・加硫剤、加硫助剤等を表5-1~表6-5に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2~実施例34の現像ローラを製造し、評価した。評価結果を表7-1、表7-2、表8-1及び表8-2に示す。
[実施例35]
実施例1と同じ、快削鋼の表面に無電解ニッケルメッキ処理を施した外径6mmの芯金を用意した。次にロールコーターを用いて、前記芯金の両端部15mmずつを除く範囲の全周にわたって、接着剤として「メタロックU-20」(商品名、(株)東洋化学研究所製)を塗布した。実施例35においては、前記接着剤を塗布した芯金を導電性の軸芯体として使用した。以降、導電性支持体・ドメインゴム・マトリックスゴムの原材料・加硫剤、加硫助剤等を表5-3、及び表6-2~表6-5に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例35の現像ローラを得た。
[実施例36]
導電性熱可塑樹脂(商品名:トレカTLP1060;東レ社製)を用い、射出成型により、外径8mmの丸棒を成形した。次に丸棒を研磨し、実施例1で用いた快削鋼製のものと同じ形状の、外径6mmの導電性樹脂芯金を用意した。
実施例36においては、本導電性樹脂芯金を導電性の軸芯体として使用した。以降、導電性支持体・ドメインゴム・マトリックスゴムの原材料・加硫剤、加硫助剤等を表5-3及び表6-2~表6-5に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例36の現像ローラを得た。
[実施例37]
実施例36で用いた導電性樹脂芯金を用意した。次にロールコーターを用いて、前記芯金の両端部15mmずつを除く範囲の全周にわたって、接着剤としてメタロックU-20(商品名、(株)東洋化学研究所製)を塗布した。実施例37においては、前記接着剤を塗布した導電性樹脂芯金を導電性の軸芯体として使用した。
以降、導電性支持体・ドメインゴム・マトリックスゴムの原材料・加硫剤、加硫助剤等を表5-3及び表6-2~表6-5に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例37の現像ローラを得た。
[実施例38]
PPS樹脂(商品名:トレリナA503-X05;東レ社製)を用い、射出成型により、外径8mmの丸棒を成形した。次に丸棒を研磨し、実施例1で用いた快削鋼製のものと同じ形状の、外径6mmのPPS樹脂芯金を用意した。得られたPPS樹脂芯金の外表面の全面に白金蒸着を施し、軸芯体とした。次に実施例37と同様にして、軸芯体に接着剤を塗布した。
以降、導電性支持体・ドメインゴム・マトリックスゴムの原材料・加硫剤、加硫助剤等を表5-3及び表6-2~表6-5に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例38の現像ローラを得た。
得られた実施例1~38に係る現像ローラについて、以下の評価を行った。
[4-1] 画像(カブリ)評価(「かぶり画像」)
各実施例および比較例に係る現像ローラを、図10に示す構成を有するレーザープリンタ(商品名:HP Color Laserjet Enterprise CP4515dn、HP社製)用のマゼンタトナーカートリッジに装填して、かぶり画像の評価を行った。高速プロセスにおける評価とするために、当該レーザープリンタを、単位時間当たりの出力枚数が、オリジナルの出力枚数よりも多い、A4サイズの用紙で、50枚/分となるように改造した。
各現像ローラを装填したマゼンタトナーカートリッジを、上記レーザープリンタに装填し、気温32℃、相対湿度85%RHの高温高湿環境中に設置した後、6時間放置した。
次いで、サイズが4ポイントのアルファベットの「E」の文字が、A4サイズの紙の面積に対し被覆率が1%となるように印字されるような画像(以下、「E文字画像」ともいう)を所定枚数のコピー用紙に対して連続出力した。その後、新しいコピー用紙に白ベタ画像を出力し、白ベタ画像の出力中にプリンターを停止した。この時、感光体上に付着したトナーをテープ(商品名:CT18、ニチバン社製)ではがし取り、反射濃度計(商品名:TC-6DS/A、東京電飾社製)にて反射率を測定した。テープの反射率を基準としたときの反射率の低下量(%)を測定し、これをかぶり値とした。これらのカブリ値に基づき、以下の基準で評価した。
・ランクA:カブリ値が1.5%未満である。
・ランクB:カブリ値が1.5%以上3.0%未満である。
・ランクC:カブリ値が3.0%以上5.0%未満である。
・ランクD:カブリ値が5.0%以上である。
[4-2] トナー帯電量
トナーに対する現像ローラの帯電付与性を評価するために、帯電量を測定した。
上記かぶり画像評価の際に、現像ローラの、トナー規制ブレードと感光体当接位置に挟まれた部分のうち範囲が狭い部分に担持されたトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集した。その際、金属円筒管を通じてコンデンサに蓄えられた電荷量と、吸引されたトナーの質量を測定した。なお、電荷量の測定は、エーディーシー社製の測定機(商品名:8252)を用いて行った。そして、これらの値から、単位質量あたりの電荷量(μC/g)を算出した。負帯電性のトナーを用いる場合、単位質量あたりの電荷量の符号が負であり、絶対値が大きいほど、現像ローラの帯電付与性が高いといえる。測定により得られた値をトナー帯電量とした。
[4-3]トナー帯電量分布
トナーの帯電量の広がりを評価するために、帯電量分布を測定した。
帯電量分布は、E-spart Analyzer Model EST-III(ホソカワミクロン社製)を用いて測定した。それ以外は、トナーの帯電量測定と同様にして、帯電量分布を測定した。なお、測定粒子個数は3000個程度とした。得られた帯電量分布から、標準偏差を算出し、得られた値をトナーの初期帯電量分布とした。
評価結果を表8-1、表8-2に示す。
表9に示す量の各材料を加圧式ニーダーで混合しマスターバッチを得た。混合機は、6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6-15MDX、トーシン社製)を用いた。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
本材料を現像ローラ成形用ゴム組成物とし、以降は実施例1と同様にして、比較例1の現像ローラを得た。
現像ローラ成形用ゴム組成物を表10に示すものに変更した以外は比較例1と同様にして、比較例2の現像ローラを得た。
表11に示す量の各材料を加圧式ニーダーで混合し未加硫ドメイン組成物を得た。混合機は、6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6-15MDX、トーシン社製)を用いた。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
[比較例4~比較例8、比較例12]
導電性支持体・ドメインゴム・マトリックスゴムの原材料・加硫剤、加硫助剤を表16、表17に示すものに変更した以外は比較例3と同様に比較例4~比較例8、および比較例12の現像ローラを得た。
[比較例9]
現像ローラ成形用ゴム組成物を表16、表17に示すものに変更した以外は比較例1と同様にして、ヒドリンゴムからなる弾性層を形成した。
次いで、表15の材料をメタノール:1-ブタノール=3:1に加え、固形分が10質量%となるように調整した。
次いで、450mLのガラス瓶に上記混合溶液210gと、メディアとして平均粒径0.8mmのガラスビーズ200gとを混合し、ペイントシェーカー分散機を用いて24時間前分散を行い、導電性樹脂層形成用の塗料を得た。
前記ヒドリンゴムからなる弾性層を、その長手方向を鉛直方向にして、前記導電性樹脂層形成用の塗料中に浸漬してディッピング法で塗工した。ディッピング塗布の浸漬時間は9秒間、引き上げ速度は、初期速度が20mm/sec、最終速度が2mm/sec、その間は時間に対して直線的に速度を変化させた。得られた塗工物を常温で30分間風乾し、次いで90℃に設定した熱風循環乾燥機中において1時間乾燥し、更に160℃に設定した熱風循環乾燥機中において1時間乾燥し、比較例9の現像ローラを得た。
現像ローラ成形用ゴム組成物を表16、表17に示すものに変更した以外は比較例1と同様にして、比較例10の現像ローラを得た。
[比較例11]
導電性支持体・マトリックスゴムの原材料・加硫剤、加硫助剤を表16、表17に示すものに変更し、ドメインゴム材料を単独で加熱加硫した後に、凍結粉砕したゴム粒子に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例11の現像ローラを得た。本比較例においては、凍結粉砕によって形成した、サイズが大きく、異方性のある導電ゴム粒子を分散しているために、導電部材内での導電パスが不均一に形成されるため、ドメインの厚みが大きい状態と同義になる。その結果、インピーダンスの高周波数における傾きが-1となっている。
比較例1~12において得られた現像ローラを実施例1と同様にして評価した結果を表18、表19に示す。
<1.現像ブレードの作製>
[実施例39]
実施例2で得た未加硫ゴム組成物を使用した。ここでは、未加硫ゴム組成物を幅250mm、長さ150mm、厚さ0.7mmの金型に加圧プレス機で加圧しながら、160℃で10分処理することで、対応する厚さ0.7mmのゴムシート1を得た。
ゴムシート1を幅215mm、長さ12mmに切断し、予め所定のカートリッジに取り付けられるように加工した板金(後述の電子写真用プロセスカートリッジの現像ブレードに用いられている板金と同形状)に接着剤を用いて接着し、実施例39の現像ブレードを得た。この時、現像ブレードは長さ12mmのうち板金と重なる部分を4.5mmとし、残りの7.5mmを板金からはみ出るように接着した。なお、接着剤は、導電性のホットメルトタイプのものを使用した。
2.特性評価
[2-1] インピーダンスの傾きの測定
本発明に係るインピーダンスの測定は、次のようにして行った。
まず、前処理として、現像ブレードに対し、銀ペーストを塗布することよって、測定電極を作成した。この時、マスキングテープを使用して、現像ブレードの板金を接着しない面の、先端1mmから6mmの部位に、長さ213mmmの長方形の電極を作成した。次に、当該電極に銀ペーストを用いて導線を貼り付け、アルミシートから、インピーダンス測定装置(ソーラトロン1260、および1296 東洋テクニカ社製)の測定電極に接続した。
インピーダンスの測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境において、振動電圧1Vpp、直流10V、周波数10-2~107Hzで測定(周波数が1桁変化する際に、5点ずつ測定)し、インピーダンスの絶対値を得た。次いで、測定結果をエクセルなどの表計算ソフトを用いて、当該インピーダンスの絶対値と、角周波数(測定周波数×2×π(円周率))を両対数プロットし、1.0×106Hz~1.0×107Hzにおける傾きを算出した。また、上記インピーダンスの傾きの測定において、1.0×10-2~1.0×100Hzにおけるインピーダンスを算出した。
インピーダンス以外の評価は、現像ローラと同様に測定を行った。
[実施例40~実施例44]
導電性支持体・ドメインゴム・マトリックスゴムの原材料・加硫剤、加硫助剤を表20、表21に示すものに変更した以外は実施例39と同様に実施例40~実施例44の現像ブレードを製造した。なお、表20における「Zeospan」は、日本ゼオン社製のポリエーテル系合成ゴムの商品名である。
[比較例13~比較例17]
導電性支持体・ドメインゴム・マトリックスゴムの原材料・加硫剤、加硫助剤を表22、表23に示すものに変更した以外は実施例39と同様にして、比較例13~比較例17の現像ブレードを製造した。
[3-1] 画像(カブリ)評価
現像ブレードの高速プロセスにおける、持続性のある帯電付与性確認のため、以下の評価を実施した。
まず、現像ブレードを測定環境にならす目的で、温度23℃、相対湿度50%の環境に48時間放置した。次に、電子写真装置として、電子写真方式のレーザープリンタ(商品名:Laserjet M608dn、HP社製)を用意した。そして、本電子写真装置に搭載可能なプロセスカートリッジを用意し、当該プロセスカートリッジの現像部材として、実施例39~44、比較例13~17の各現像ブレードを個々に組み込んだ。
高速プロセスにおける評価とするために、当該レーザープリンタを、単位時間当たりの出力枚数が、オリジナルの出力枚数よりも多い、A4サイズの用紙で、75枚/分となるように改造した。その際、記録メディアの出力スピードは370mm/秒、画像解像度は1,200dpiとした。また、温度23℃、相対湿度50%の環境に48時間放置した。
上記電子写真装置において、現像ブレードへの電圧印加電極へ外部電源によって電圧印加可能にする改造を施し、現像スリーブの金属部と現像ブレードの板金を電気的に接続した。
温度30℃、相対湿度95%の環境下に上記プロセスカートリッジを4時間放置後、同環境下にて印字率0%のベタ白画像を記録用紙に出力し、印字途中でカラーレーザープリンタの電源を落とす。この時の感光体と現像スリーブのニップ通過前の現像スリーブ上のトナーの帯電量Q/M(μC/g)を測定する。具体的なトナーの帯電量の測定は、現像ローラの評価と同様である。1本の現像スリーブに対して、上記操作を3回繰り返しトナーの帯電量を3回測定し、それらの相加平均値を求め、本発明の現像ブレードを使用した際のトナー帯電量とする。
さらに、ベタ白画像を出力中にプリンターを停止した際に、転写される前の感光体上に付着した現像剤をテープではがし取り、反射濃度計(商品名:TC-6DS/A;東京電色社製)にてテープの反射率R1を測定し、未使用のテープの反射率R0基準に対する反射率の低下量「R0-R1」(%)を算出し、これカブリ値とする。これらのカブリ値に基づき、以下の基準で評価した。
・ランクA:カブリ値が1.5%未満である。
・ランクB:カブリ値が1.5%以上3.0%未満である。
・ランクC:カブリ値が3.0%以上5.0%未満である。
・ランクD:カブリ値が5.0%以上である。
[3-2] トナー帯電量
トナーに対する現像ブレードの帯電付与性を評価するために、帯電量を測定した。
上記かぶり画像評価の際に、現像スリーブの、現像ブレードと感光体当接位置に挟まれた部分のうち範囲が狭い部分に担持されたトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集した。その際、金属円筒管を通じてコンデンサに蓄えられた電荷量と、吸引されたトナーの質量を測定した。なお、電荷量の測定は、エーディーシー社製の測定機(商品名:8252)を用いて行った。そして、これらの値から、単位質量あたりの電荷量(μC/g)を算出した。負帯電性のトナーを用いる場合、単位質量あたりの電荷量の符号が負であり、絶対値が大きいほど、現像ブレードの帯電付与性が高いといえる。測定により得られた値を帯電量とした。
[3-3]トナー帯電量分布
トナーの帯電量の広がりを評価するために、帯電量分布を測定した。
帯電量分布は、E-spart Analyzer Model EST-III(ホソカワミクロン社製)を用いて測定した。それ以外は、トナー帯電量測定と同様にして、帯電量分布を測定した。なお、測定粒子個数は3000個程度とした。得られた帯電量分布から、標準偏差を算出し、得られた値をトナーの初期帯電量分布とした。
評価結果を表24~表27に示す。
それに対し、比較例13~17に係る現像ブレードでは、トナー帯電量分布が大きく、画像品質が良好でなかった。
1B 電子写真用ブレード
2 支持体
3 導電層
6a ドメイン
6b マトリックス
Claims (10)
- 導電性の外表面を有する支持体と、該支持体の外表面上に設けられた導電層を有する電子写真用の現像部材であって、
該導電層は、第一のゴムを含むマトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインとを有し、
該ドメインは、第二のゴムおよび電子導電剤を含み、該現像部材の外表面に金属膜を設け、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、該支持体の該外表面と該金属膜との間に振幅が1Vの交流電圧を、周波数1.0×10-2Hz~1.0×107Hzの間で変化させながら印加することによってインピーダンスを測定し、周波数を横軸、インピーダンスを縦軸に両対数プロットしたときの、周波数1.0×106Hz~1.0×107Hzにおける傾きが、-0.8以上、-0.3以下であり、かつ、周波数が1.0×10-2Hz~1.0×100Hzにおけるインピーダンスが、1.0×104~1.0×1011Ωであることを特徴とする現像部材。 - 前記導電層が、前記支持体の外表面上に直接設けられている請求項1に記載の現像部材。
- 前記導電層と、前記支持体の外表面との間に導電性の樹脂層をさらに有し、該樹脂層の外表面に金属膜を設け、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、該支持体の外表面と該金属膜との間に振幅が1Vの交流電圧を、周波数1.0×10-2Hz~1.0×107Hzの間で変化させながら印加することによってインピーダンスを測定し、周波数を横軸、インピーダンスを縦軸に両対数プロットしたときの、周波数が1.0×10-2Hz~1.0×100Hzにおけるインピーダンスが、1.0×10-5~1.0×101Ωである請求項1に記載の現像部材。
- 前記マトリックスの体積抵抗率が1.0×1012Ωcmより大きく、1.0×1017Ωcm以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の現像部材。
- 前記ドメイン間距離の算術平均値Dmが0.2μm以上、2.0μm以下である請求項1~4のいずれか一項に記載の現像部材。
- 前記支持体が円柱状の支持体であり、該円柱状の支持体の外表面に前記導電層を有する請求項1~5のいずれか一項に記載の現像部材。
- 前記導電層の厚さ(T)が100μm以上であり、該導電層の長手方向の長さをLとしたとき、該導電層の長手方向の中央、及び該導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、該導電層の厚さ方向の断面の各々について、該導電層の外表面から深さ0.1T~0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所に15μm四方の観察領域を置いたときに、全9個の該観察領域の各々で観察されるドメインのうちの80個数%以上が、下記要件(1)及び要件(2)を満たす請求項1~6のいずれか一項に記載の現像部材:
(1)ドメインの断面積に対する該ドメインが含む該電子導電剤の断面積の割合が、20%以上であること;
(2)ドメインの周囲長をA、該ドメインの包絡周囲長をBとしたとき、A/Bが、1.00以上、1.10以下であること。 - 前記導電層の厚み方向の断面に現れるドメインの各々の断面積に対する該ドメインの各々が含む前記電子導電剤の断面積の割合の平均値をμとし、該割合の標準偏差をσとしたとき、σ/μが、0以上、0.4以下であり、該μが、20%以上、40%以下であり、かつ、該導電層の任意の9箇所からサンプリングされる、一辺が9μmの立方体形状のサンプル立方体のうち、少なくとも8個のサンプル立方体は、下記要件(3)を満たす請求項1~7のいずれか一項に記載の現像部材:
(3)1個のサンプル立方体を、27個の、一辺が3μmの単位立方体に区分し、該単位立方体の各々に含まれる前記ドメインの体積Vdを求めたとき、Vdが2.7μm3~10.8μm3である単位立方体の数が少なくとも20個であること。 - 請求項1から8のいずれか一項に記載の現像部材を有することを特徴とする電子写真用のプロセスカートリッジ。
- 請求項9に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする電子写真用の画像形成装置。
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