以下、図面を参照して、実施形態に係るX線高電圧装置及びX線画像診断装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
なお、X線画像診断装置とは、X線管が搭載される医用画像診断装置の総称であり、例えば、X線診断装置及びX線CT装置が含まれる。なお、以下の実施形態では、開示の技術がX線CT装置に適用される場合を説明するが、X線診断装置にも同様に適用可能である。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30とを有する。架台装置10、寝台装置20、及びコンソール装置30は、互いに通信可能に接続される。
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置20の天板23の長手方向を「Z軸方向」と定義する。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向を「X軸方向」と定義する。また、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向を「Y軸方向」と定義する。
架台装置10は、被検体P(患者)にX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出して、コンソール装置30に出力する装置である。架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、制御装置14と、ウェッジ15と、コリメータ16と、DAS(Data Acquisition System)17と、X線高電圧装置40とを有する。
X線管11は、X線高電圧装置40からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射する真空管である。X線管11は、熱電子を陽極に衝突させることにより、X線を発生させる。
ウェッジ15は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ15は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ15は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。なお、ウェッジ15は、ウェッジフィルタ(wedge filter)や、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。
コリメータ16は、ウェッジ15を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等である。コリメータ16は、複数の鉛板等を組み合わせることで、スリット状に形成される。
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS17へ出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向又はrow方向とも称される)に複数配列された構造を有する。
また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは、入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号を出力する機能を有し、例えば、光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
X線高電圧装置40は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線出力に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置40は、後述する回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。なお、固定フレームは、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
DAS(Data Acquisition System)17は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS17が生成した検出データは、コンソール装置30へと転送される。
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置14によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置40やDAS17を更に備えて支持する。DAS17が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(light emitting diode:LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分(例えば固定フレーム)に設けられたフォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置30へ転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
制御装置14は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置14は、コンソール装置30若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェースからの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置20の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置14は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置20及び天板23を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置14がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置14は、架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置30に設けられても構わない。
寝台装置20は、スキャン対象である被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台21と、寝台駆動装置22と、天板23と、支持フレーム24とを備えている。基台21は、支持フレーム24を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置22は、被検体Pが載置された天板23を天板23の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム24の上面に設けられた天板23は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置22は、天板23に加え、支持フレーム24を天板23の長軸方向に移動してもよい。
コンソール装置30は、操作者によるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された検出データを用いてCT画像データを再構成する装置である。コンソール装置30は、図1に示すように、メモリ31と、ディスプレイ32と、入力インターフェース33と、処理回路34とを有する。メモリ31、ディスプレイ32、入力インターフェース33、及び処理回路34は、互いに通信可能に接続される。
メモリ31は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ31は、例えば、投影データやCT画像データを記憶する。
ディスプレイ32は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ32は、処理回路34によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。
入力インターフェース33は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路34に出力する。例えば、入力インターフェース33は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像データを再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。例えば、入力インターフェース33は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。
処理回路34は、X線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路34は、システム制御機能341、前処理機能342、再構成処理機能343、及び画像処理機能344を実行する。
システム制御機能341は、入力インターフェース33を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路34の各種機能を制御する。例えば、システム制御機能341は、X線CT装置1において実行されるCTスキャンを制御する。また、システム制御機能341は、前処理機能342、再構成処理機能343、及び画像処理機能344を制御することで、コンソール装置30におけるCT画像データの生成や表示を制御する。
前処理機能342は、DAS17から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
再構成処理機能343は、前処理機能342にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データ(再構成画像データ)を生成する。
画像処理機能344は、入力インターフェース33を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、再構成処理機能343によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。
ところで、近年、X線CT装置1やX線診断装置に用いられるX線高電圧装置40については、出力電力の増加と小型化が要求されている。
例えば、X線診断装置を用いて心臓など動きの速い臓器を撮影する場合、臓器の運動に起因する画像のぶれを極力低減させるために、撮影時間を短縮することが行われている。これは、一回の撮影に用いるX線をより短時間で検出することで、臓器の運動の影響を低減させるためである。また、X線CT装置1においても、同様の理由により、スキャン時間を短縮することが行われている。撮影時間やスキャン時間を短縮するためには、瞬間的に照射するX線出力を増加させる必要がある。このため、X線高電圧装置40の出力電力を増加させることが要求されている。
一般的に、X線高電圧装置40の出力電力の増加には、装置の大型化を伴う。例えば、X線高電圧装置40の出力電力の増加させるため、単相のインバータ回路及び単相の高圧トランスの搭載数を増加させた場合には、増加数に応じて装置が大型化してしまう。しかしながら、装置を設置するスペースは限られているため、装置の大型化は避けなければならない。また、規模の小さな施設への普及や患者空間の確保のためには、装置を小型化することが要求されている。
そこで、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、X線管11への出力電力を増大させつつ小型化するために、以下の構成を備える。
まず、図2を用いて、第1の実施形態に係るX線高電圧装置40の構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線高電圧装置40の構成の一例を示す回路図である。なお、図2は、X線高電圧装置40の構成のうち高電圧電源に関する構成について図示したものであり、フィラメント加熱回路、X線管11のロータ駆動回路、これらの回路の制御回路、及び外部装置とのインターフェース回路等については図示を省略する。また、図2に示すX線高電圧装置40の構成はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。
図2に示すように、X線高電圧装置40は、三相電源41と、三相全波整流・平滑回路42と、三相インバータ回路43と、高電圧発生回路44と、インバータ制御回路45とを備える。つまり、X線高電圧装置40は、三相電源41から交流電圧が入力され、X線管11に直流高電圧を出力する装置である。なお、X線管11は、陽極接地型であり、X線管11のアノード側が接地され、カソード側に負の高電圧が印加される。
三相電源41は、三相交流を発生する電源である。例えば、三相電源41は、120°ずつ位相がずれた交流電圧(対称三相交流)を三相全波整流・平滑回路42に供給する。三相全波整流・平滑回路42は、三相電源41から供給された交流電圧を直流電圧に変換し、三相インバータ回路43に供給する。
三相インバータ回路43は、三相全波整流・平滑回路42から供給された直流電圧が入力され、高周波の三相交流を出力する。三相インバータ回路43は、複数のスイッチング素子UH,UL,VH,VL,WH,WLを有する。各スイッチング素子は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)431と、逆接続されたFWD(Free Wheeling Diode)432とを有する。また、各スイッチング素子は、部分共振用コンデンサ433に接続される。部分共振用コンデンサ433は、各スイッチング素子がオフするときに各スイッチング素子に印加される電圧の上昇を緩和する。なお、6つのスイッチング素子UH,UL,VH,VL,WH,WLを区別無く総称する場合に、単に「スイッチング素子」と表記する。
6つのスイッチング素子UH,UL,VH,VL,WH,WLのうち、U相のスイッチング素子UH,UL、V相のスイッチング素子VH,VL、W相のスイッチング素子WH,WLは、それぞれペアとして動作する。すなわち、スイッチング素子UH,ULのペアは、スイッチング素子UHがオンの時にはスイッチング素子ULがオフとなり、スイッチング素子UHがオフの時にはスイッチング素子ULがオンとなる。また、スイッチング素子VH,VLのペアは、スイッチング素子VHがオンの時にはスイッチング素子VLがオフとなり、スイッチング素子VHがオフの時にはスイッチング素子VLがオンとなる。また、スイッチング素子WH,WLのペアは、スイッチング素子WHがオンの時にはスイッチング素子WLがオフとなり、スイッチング素子WHがオフの時にはスイッチング素子WLがオンとなる。また、スイッチング素子UHとスイッチング素子ULのオンの間には、スイッチング素子UHとスイッチング素子ULの両方がオフとなるデッドタイム期間がある。デッドタイム期間は、スイッチング素子VH,VLのペア、スイッチング素子WH,WLのペアについても同様に存在する。
高電圧発生回路44は、三相高圧トランス441と、複数の高圧整流・平滑回路442とを有する。三相高圧トランス441は、三相インバータ回路43から出力された高周波の三相交流を昇圧する。高圧整流・平滑回路442は、三相高圧トランス441により昇圧された三相交流に対して整流及び平滑を行い、直流高電圧をX線管11に出力する。なお、高圧整流・平滑回路442は、高圧整流回路の一例である。
具体的には、三相高圧トランス441は、コア(鉄心)441Aと、3つの一次コイル441Bと、複数の二次コイル441Cとを有する。一次コイル441Bは、U相、V相、及びW相の各相について、1つずつ設置される。二次コイル441Cは、U相、V相、及びW相の各相について、n個ずつ設置される。高圧整流・平滑回路442は、二次コイル441Cの後段(出力側)に一つずつ設置される。つまり、二次コイル441C及び高圧整流・平滑回路442は、3×n個設置される。なお、本実施形態において、「U相」、「V相」、及び「W相」という名称は、各相のインバータ回路及び高圧トランスを区別するためのものに過ぎず、互いに異なる三相を「第1の相」、「第2の相」、及び「第3の相」と称することと同義である。
ここで、図3A及び図3Bを用いて、第1の実施形態に係る三相高圧トランス441の構造について説明する。図3A及び図3Bは、第1の実施形態に係る三相高圧トランス441の構造の一例を示す図である。図3Bには、三相高圧トランス441を正面から見た図を例示する。図3Aには、図3BのA-A’断面における断面図を例示する。なお、図3A及び図3Bに示す三相高圧トランス441の構造はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。
ここで、コア441Aは、3つの脚を有する。3つの脚は、図3Aにおいて三角形の頂点に位置するように、互いに等距離かつ平行に配置される。それぞれの脚は、U相、V相、及びW相の各相に対応する。各相の脚に巻線が巻かれることにより、U相、V相、及びW相の各相の一次コイル441B及び二次コイル441Cが形成される。
一次コイル441Bは、U相、V相、及びW相の各相の脚に1つずつ形成される。すなわち、各相の一次コイル441Bは、互いに等距離かつ平行に配置される。具体的には、一次コイル441Bは、各相の脚の外側に巻かれた巻線により形成される。U相、V相、及びW相の3つの一次コイル441Bは、互いにスター接続される。なお、ここでは、3つの一次コイル441Bがスター接続される場合を例示するが、これに限らず、デルタ接続されても良い。
二次コイル441Cは、U相、V相、及びW相の各相の一次コイル441Bに対して複数層に分けて形成される。具体的には、図3Bに示すように、二次コイル441Cは、各相の一次コイル441Bの外側に、1層目、2層目、3層目、・・・n層目と、n個積層される。1層目の二次コイル441Cは、接地電位側(アノード側)であり、n層目の二次コイル441Cは、負の高電圧側(カソード側)である。1層目の二次コイル441Cに印加される対接地管電圧は、負の高電圧側(カソード側)の電圧の1/nと低く、2層目、3層目、・・・、n層目とアノード側からカソード側に近づくにつれて上昇する。したがって、n個の二次コイル441Cは、一次コイル441Bとの絶縁距離を確保するため、カソード側の二次コイル441Cほど直径が大きくなるように形成される。
また、各二次コイル441Cは、高圧整流・平滑回路442が接続される(図2参照)。具体的には、各二次コイル441Cの出力側に、高圧整流・平滑回路442が1つずつ接続される。
例えば、各高圧整流・平滑回路442は、倍電圧整流回路である。つまり、各高圧整流・平滑回路442は、各二次コイル441Cの出力電圧を2倍に昇圧した直流電圧を出力する。各高圧整流・平滑回路442の出力は、互いに直列接続され、互いの直流電圧を加算することで、X線管11に高電圧を供給する。なお、ここでは、高圧整流・平滑回路442が倍電圧整流回路である場合を例示するが、これに限らず、全波整流回路であっても適用可能である。
例えば、各高圧整流・平滑回路442の出力は、互いに隣り合う高圧整流・平滑回路442間の対接地管電圧が小さくなるような順序で、互いに直列接続される。一例としては、複数の高圧整流・平滑回路442の出力は、二次コイル441Cの各層において、U相、V相、W相の順で接続された後に、隣接する層の間で接続される。具体的には、3×n個の高圧整流・平滑回路442の出力端子は、1層目U相の高圧整流・平滑回路442、1層目V相の高圧整流・平滑回路442、1層目W相の高圧整流・平滑回路442、2層目U相の高圧整流・平滑回路442、2層目V相の高圧整流・平滑回路442、2層目W相の高圧整流・平滑回路442、3層目U相の高圧整流・平滑回路442、3層目V相の高圧整流・平滑回路442、3層目W相の高圧整流・平滑回路442、・・・、n層目U相の高圧整流・平滑回路442、n層目V相の高圧整流・平滑回路442、n層目W相の高圧整流・平滑回路442の順に直列接続される。
すなわち、3×n個の高圧整流・平滑回路442は、図3Aでは時計回りとなる順序で、図3Bでは上方向に電圧が上昇するような順序で接続される結果、螺旋を描くように接続される。これにより、直列接続において互いに隣り合う高圧整流・平滑回路442間の対接地管電圧を最小に抑えられるので、装置を小型化することができる。
なお、図3A及び図3Bに図示した内容はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、図3Aでは、各高圧整流・平滑回路442の出力が、U相、V相、W相の順(時計回りの順)で接続される場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、各高圧整流・平滑回路442の出力は、W相、V相、U相の順(反時計回りの順)で接続されても良い。
図2の説明に戻る。インバータ制御回路45は、X線出力に基づいて、複数のスイッチング素子の動作位相を制御する。例えば、インバータ制御回路45は、X線撮影に要求されるX線出力に応じて、三相インバータ回路43に含まれるU相、V相、及びW相のスイッチング素子の位相シフト制御(ソフトスイッチング)を行う。具体的には、インバータ制御回路45は、U相、V相、及びW相のスイッチング素子のスイッチング周期の位相差を変化させることで、X線管11に印加される直流高電圧を調節する。直流高電圧の印加により、X線管11は、X線を発生させる。なお、6つのスイッチング素子のスイッチング周期に対するオン時間の比率(デューティ比)は、一定である。
ここで、図4A、図4B、図5A、及び図5Bを用いて、インバータ制御回路45による三相インバータ回路43の動作制御について説明する。図4A及び図4Bは、第1の実施形態に係る三相インバータ回路43の動作の一例を示すタイミングチャートである。具体的には、図4Aには、最大出力時のタイミングチャートを示し、図4Bには、出力を絞った時のタイミングチャートを示す。図5A及び図5Bは、第1の実施形態に係る三相インバータ回路43の動作位相の一例を示すベクトル図である。具体的には、図5Aには、最大出力時のベクトル図を示し、図5Bには、出力を絞った時のベクトル図を示す。
図4A及び図4Bにおいて、ΔP1は、U相のスイッチング周期と、V相のスイッチング周期との間の位相差を示す。また、ΔP2は、V相のスイッチング周期と、W相のスイッチング周期との間の位相差を示す。また、ΔP3は、W相のスイッチング周期と、U相のスイッチング周期との間の位相差を示す。なお、図4A及び図4Bでは、デッドタイム期間は微小であるので図示を省略する。
最大出力時には、図4A及び図5Aに示すように、各位相差ΔP1,ΔP2,ΔP3は、120°である。つまり、U相、V相、W相の各相の動作位相は、互いに120°ずつずれている。
一方、出力を絞った時には、図4B及び図5Bに示すように、各位相差ΔP1,ΔP2は、最大出力時より小さくなり、位相差ΔP3は、最大出力時より大きくなる。つまり、U相とV相との間の動作位相及びV相とW相との間の動作位相は、120°より小さくなる。また、W相とU相との間の動作位相は、120°より大きくなる。
このように、インバータ制御回路45は、U相、V相、及びW相のスイッチング素子のスイッチング周期の位相差を変化させることで、高電圧発生回路44から出力される直流高電圧を調節する。
また、インバータ制御回路45は、位相シフト制御によりスイッチング損失を低減することができる。図2に示したように、各スイッチング素子には、部分共振用コンデンサ433が接続されている。各部分共振用コンデンサ433は、各スイッチング素子がオフするときに各スイッチング素子に印加される電圧の上昇を緩和するので、位相シフト制御におけるスイッチング損失を低減することができる。
上述してきたように、X線高電圧装置40は、三相インバータ回路43と、三相高圧トランス441と、インバータ制御回路45とを備える。三相インバータ回路43は、複数のスイッチング素子を有する。三相高圧トランス441は、三相インバータ回路43に接続され、三相インバータ回路43からの三相交流を昇圧する。インバータ制御回路45は、X線出力に基づいて、複数のスイッチング素子の動作位相を制御する。このような構成により、X線高電圧装置40は、単相インバータ回路及び単相高圧トランスを用いた場合と比較して出力電力を増大させることができる。具体的には、同一電圧及び同一電流の入力に対して、三相インバータ回路43は√3倍、三相高圧トランス441も√3倍の出力電力を得ることができる。すなわち、同一出力電力を得るためには、X線高電圧装置40は、小型化することが可能となる。これにより、X線高電圧装置40を搭載するX線CT装置1やX線診断装置は、撮影時間やスキャン時間の短縮や設置スペースの縮小が可能となる。
ここで、図6を用いて、第1の実施形態に係るX線高電圧装置40が適用されない場合の動作制御について説明する。図6は、第1の実施形態に係るX線高電圧装置40が適用されない場合の動作の一例を示すタイミングチャートである。図6には、パルス幅変調により出力を絞った時のタイミングチャートを示す。
パルス幅変調では、U相、V相、W相の位相角を一定(例えば120°)にした状態で、インバータ回路の出力を上げる時には、U相、V相、W相のスイッチング周期のパルス幅を広げ、インバータ回路の出力を下げる時には、U相、V相、W相のスイッチング周期のパルス幅を狭める。例えば、図4Aに示した動作状態において、出力を下げる場合には、インバータ制御回路45は、U相、V相、W相のスイッチング周期のパルス幅を狭める(図6参照)。このような制御は、ハードスイッチングとも呼ばれ、各スイッチング素子がオフするときのスイッチング損失が大きくなってしまう。
ここで、一般的に、X線CT装置では、何十~何百kWという程の大電力をX線照射に用いる一方で、検出器側ではピコアンペア程度の微小な信号を検出する。このため、ハードスイッチングにより大電力のオンオフを繰り返し行う場合には、ノイズの発生が懸念される。これに対し、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、ソフトスイッチングにより三相インバータ回路43を制御するので、ハードスイッチングと比較してノイズ発生を低減することができる。
また、スイッチング損失が生じた場合、損失分のエネルギーは熱になる。このため、通常、X線CT装置は、発熱を抑えるための冷却機構を備える。これに対し、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、ソフトスイッチングによりスイッチング損失を低減することができるので、ハードスイッチングと比較して発熱量を低減することができる。したがって、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、通常のX線CT装置と比較して小規模の冷却機構を搭載することができるので、装置を小型化することができる。
(第1の実施形態の変形例1)
上述した第1の実施形態では、各高圧整流・平滑回路442の出力が、時計回り又は反時計回りの順で接続される場合を説明したが(図3A)、これに限定されるものではない。例えば、複数の高圧整流・平滑回路442の出力は、二次コイル441Cの連続する二層を一組として、U相、V相、W相、W相、V相、U相の順で接続された後に、隣接する組の間で接続されても良い。
この場合、例えば、図3Bにおいて、1層目及び2層目が1組目となり、3層目及び4層目が2組目となり、・・・、n-1層目及びn層目がm組目となる。そして、各高圧整流・平滑回路442の出力端子は、1組目の1層目U相の高圧整流・平滑回路442、1組目の1層目V相の高圧整流・平滑回路442、1組目の1層目W相の高圧整流・平滑回路442、1組目の2層目W相の高圧整流・平滑回路442、1組目の2層目V相の高圧整流・平滑回路442、1組目の2層目U相の高圧整流・平滑回路442、2組目の3層目U相の高圧整流・平滑回路442、2組目の3層目V相の高圧整流・平滑回路442、2組目の3層目W相の高圧整流・平滑回路442、・・・、m組目のn層目W相の高圧整流・平滑回路442、m組目のn層目V相の高圧整流・平滑回路442、m組目のn層目U相の高圧整流・平滑回路442の順に直列接続される。
すなわち、3×n個の高圧整流・平滑回路442は、二次コイル441Cの層ごとに、時計回りと反時計回りの接続順序が入れ替わるように接続される。これにより、互いに隣り合う高圧整流・平滑回路442間の対接地管電圧を最小に抑えることができる。
なお、上記の説明では、複数の高圧整流・平滑回路442の出力が、U相、V相、W相、W相、V相、U相の順で接続される場合を説明したが、これに限らず、W相、V相、U相、U相、V相、W相の順で接続される場合であっても良い。
(第1の実施形態の変形例2)
また、上述した第1の実施形態では、各相の一次コイル441Bが互いに等距離かつ平行に配置される場合を説明したが(図3A及び図3B)、これに限定されるものではない。各相の一次コイル441Bは、互いに平行、かつ、U相とW相との中間にV相が位置するように配置されても良い。この場合、複数の高圧整流・平滑回路442の出力は、二次コイル441Cの連続する二層を一組として、U相、V相、W相、W相、V相、U相の順、又は、W相、V相、U相、U相、V相、W相の順で接続された後に、隣接する組の間で接続されるのが好適である。
図7A及び図7Bを用いて、第1の実施形態の変形例2に係る三相高圧トランス441の構造について説明する。図7A及び図7Bは、第1の実施形態の変形例2に係る三相高圧トランス441の構造の一例を示す図である。図7Bには、三相高圧トランス441を正面から見た図を例示する。図7Aには、図7BのA-A’断面における断面図を例示する。
図7A及び図7Bに示すように、三相高圧トランス441は、図3A及び図3Bに示した三相高圧トランス441と同様に、3つの一次コイル441Bと、複数の二次コイル441Cとを有するが、コア441Aに代えてコア441Dを有する点が相違する。
ここで、コア441Dは、U相、V相、及びW相の三相を形成する3つの脚を有する。3つの脚は、互いに平行、かつ、U相とW相との中間にV相が位置するように配置される。この結果、各相の一次コイル441Bは、互いに平行、かつ、U相とW相との中間にV相が位置するように配置される。また、二次コイル441Cは、U相、V相、及びW相の各相の一次コイル441Bに対してn層に分けて形成される。また、各二次コイル441Cの出力側に、高圧整流・平滑回路442が1つずつ接続される。
ここで、図7Bにおいて、1層目及び2層目が1組目となり、3層目及び4層目が2組目となり、・・・、n-1層目及びn層目がm組目となる。そして、各高圧整流・平滑回路442の出力端子は、1組目の1層目U相の高圧整流・平滑回路442、1組目の1層目V相の高圧整流・平滑回路442、1組目の1層目W相の高圧整流・平滑回路442、1組目の2層目W相の高圧整流・平滑回路442、1組目の2層目V相の高圧整流・平滑回路442、1組目の2層目U相の高圧整流・平滑回路442、2組目の3層目U相の高圧整流・平滑回路442、2組目の3層目V相の高圧整流・平滑回路442、2組目の3層目W相の高圧整流・平滑回路442、・・・、m組目のn層目W相の高圧整流・平滑回路442、m組目のn層目V相の高圧整流・平滑回路442、m組目のn層目U相の高圧整流・平滑回路442の順に直列接続される。これにより、互いに隣り合う高圧整流・平滑回路442間の対接地管電圧を最小に抑えることができる。
なお、上記の説明では、複数の高圧整流・平滑回路442の出力が、U相、V相、W相、W相、V相、U相の順で接続される場合を説明したが、これに限らず、W相、V相、U相、U相、V相、W相の順で接続される場合であっても良い。
(第2の実施形態)
また、例えば、第1の実施形態では、高圧整流・平滑回路442が全波整流回路又は倍電圧整流回路である場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、高圧整流・平滑回路442は、コッククロフト・ウォルトン回路であっても良い。
図8、図9A、及び図9Bを用いて、第2の実施形態に係るX線高電圧装置40の構成について説明する。図8は、第2の実施形態に係るX線高電圧装置40の構成の一例を示す回路図である。図9A及び図9Bは、第2の実施形態に係るコッククロフト・ウォルトン回路により出力される直流高電圧の波形の一例を示す図である。なお、図8に示すX線高電圧装置40は、図2に示したX線高電圧装置40と比較して、三相電源41、三相全波整流・平滑回路42、三相インバータ回路43、及びインバータ制御回路45を備える点は同様であるが、高電圧発生回路44に代えて高電圧発生回路50を備える点が相違する。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、図2と同一の符号を付し、説明を省略する。
高電圧発生回路50は、三相高圧トランス51と、複数のコッククロフト・ウォルトン回路とを有する。三相高圧トランス51は、コア441Aと、3つの一次コイル441Bと、複数の二次コイル441Cとを有する。また、コッククロフト・ウォルトン回路は、二次コイル441Cの後段(出力側)に一つずつ設置される。なお、図8では、説明の都合上、複数のコッククロフト・ウォルトン回路のうちコッククロフト・ウォルトン回路52,53に対して符号を付して説明するが、高電圧発生回路50に設置されるコッククロフト・ウォルトン回路の数は、二次コイル441Cの数と同数である。
このように、第2の実施形態に係るX線高電圧装置40は、複数のコッククロフト・ウォルトン回路を備える。コッククロフト・ウォルトン回路は、二次コイル441Cの電圧を1/2に減少させることができる。このため、第2の実施形態に係るX線高電圧装置40は、二次コイル441Cの巻数を減らし、その結果、巻線間の分布容量を低減することにより、三相インバータ回路43及び三相高圧トランス441の動作周波数を上昇させ、三相高圧トランス441を小型化することができる。
また、コッククロフト・ウォルトン回路は、入力電圧の極性に応じた波形の直流高電圧を発生するため、極性の偏りに応じて管電圧リプルが増加してしまう性質を有する。そこで、図8において、複数の二次コイル441Cは、減極性と加極性とが所定の層数ごとに交互に並ぶように配置される。例えば、1層目の二次コイル441Cは減極性であり、2層目の二次コイル441Cは加極性であり、3層目の二次コイル441Cは減極性であり、・・・、n層目の二次コイル441Cは加極性である。ここで、コッククロフト・ウォルトン回路52は、減極性の二次コイル441Cに接続され、コッククロフト・ウォルトン回路53は、加極性の二次コイル441Cに接続される。このため、例えば、コッククロフト・ウォルトン回路52は、図9Aに示す波形の直流高電圧を発生させ、コッククロフト・ウォルトン回路53は、図9Bに示す波形の直流高電圧を発生させる。すなわち、コッククロフト・ウォルトン回路52及びコッククロフト・ウォルトン回路53は、互いに逆位相の直流高電圧を発生させる。これにより、第2の実施形態に係るX線高電圧装置40は、極性の偏りを解消することができ、管電圧リプルを低減させることができる。
なお、図8では、1層ごとに減極性と加極性とが交互に並ぶように配置される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数の二次コイル441Cは、2層ごと、3層ごとなど、任意の層数の単位で減極性と加極性と交互に並ぶように配置可能である。
また、管電圧リプルを低減させるためには、減極性の二次コイル441Cの層数と、加極性の二次コイル441Cの層数とが同数であるのが好適である。この場合、二次コイル441Cの層数nは偶数である。しかしながら、これに限定されるものではなく、減極性の二次コイル441Cの層数と、加極性の二次コイル441Cの層数との間には、操作者が許容可能な範囲で偏りが生じていてもよい。
(第3の実施形態)
また、例えば、上述した実施形態では、X線高電圧装置40が三相インバータ回路43及び三相高圧トランス441を1つずつ備える場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線高電圧装置40は、三相インバータ回路43及び三相高圧トランス441を複数備えていても良い。
図10、図11、及び図12を用いて、第3の実施形態に係るX線高電圧装置40の構成について説明する。図10は、第3の実施形態に係るX線高電圧装置40の構成の一例を示す回路図である。図11は、第3の実施形態に係る三相インバータ回路43A,43Bの動作位相の一例を示すベクトル図である。図12は、第3の実施形態に係る高電圧発生回路44A,44Bにより出力される直流高電圧の波形の一例を示す図である。なお、図10に示すX線高電圧装置40は、図2に示したX線高電圧装置40と比較して、三相電源41と、三相全波整流・平滑回路42と、インバータ制御回路45とを備える点は同様であるが、2つの三相インバータ回路43A,43Bと、2つの高電圧発生回路44A,44Bとを備える点が相違する。そこで、第3の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、図2と同一の符号を付し、説明を省略する。
図10に示すように、2つの三相インバータ回路43A,43Bは、三相全波整流・平滑回路42に対して並列に接続される。なお、各三相インバータ回路43A,43Bは、図2に示した三相インバータ回路43と同様の構成を備える。
2つの高電圧発生回路44A,44Bは、それぞれ2つの三相インバータ回路43A,43Bの後段に接続される。各高電圧発生回路44A,44Bは、三相高圧トランス441及び高圧整流・平滑回路442を備える。各高電圧発生回路44A,44Bの三相高圧トランス441は、図2に示した三相高圧トランス441と同様の構成を備える。
ここで、2つの高電圧発生回路44A,44Bは、中性点接地型のX線管11に高電圧を供給する。つまり、高電圧発生回路44Aは、プラス側の高電圧を供給し、高電圧発生回路44Bは、マイナス側の高電圧を供給する。このため、高電圧発生回路44Aの高圧整流・平滑回路442は、図2に示した高圧整流・平滑回路442と同様の構成であり、プラスの高電圧を発生させる。また、高電圧発生回路44Bの高圧整流・平滑回路442は、図2に示した高圧整流・平滑回路442とは異なり、マイナスの高電圧を発生させる。
インバータ制御回路45は、2つの三相インバータ回路43A,43Bの動作を個別に制御することで、プラス側の高電圧発生回路44Aとマイナス側の高電圧発生回路44Bとを個別に駆動させる。なお、図示は省略するが、インバータ制御回路45は、三相インバータ回路43Bと接続されるだけでなく、三相インバータ回路43Aとも接続されている。
ここで、インバータ制御回路45は、それぞれの三相インバータ回路43A,43Bの位相角が互いに異なるように、動作位相の制御を行う。例えば、インバータ制御回路45は、図4Aに示したように、出力が大きく、U-V相間の位相角(ΔP1に相当)、及び、V-W相間の位相角(ΔP2に相当)が大きいときは、2つの三相インバータ回路43A,43BをU-V相間の位相角、V-W相間の位相角の1/4ずつずらして動作させる。また、インバータ制御回路45は、出力を絞って、U-V相間の位相角、及び、V-W相間の位相角が小さくなるときは、2つの三相インバータ回路43A,43BをU-V相間の位相角、V-W相間の位相角の1/4に90°加えるか又は、90°減じた角度で動作させる。インバータ制御回路45は、U-V相間の位相角、及び、V-W相間の位相角が大きいときと小さいときの制御の変更は、36°(180°/5)の位相角を目安に切り替える。
例えば、図11に示すように、インバータ制御回路45は、出力を絞った時の三相インバータ回路43Aの位相角と、出力を絞った時の三相インバータ回路43Bの位相角とを90°ずらして動作させる。これにより、図12に示すように、インバータ制御回路45は、高電圧発生回路44A及び高電圧発生回路44Bが互いに異なるタイミングで高電圧を出力するように制御する。
このように、インバータ制御回路45は、プラス側の高電圧発生回路44A及びマイナス側の高電圧発生回路44Bを個別に駆動させる2つの三相インバータ回路43A,43Bの動作位相をずらすことで、管電圧リプルを低減させることができる。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
例えば、上述した実施形態では、単一の処理回路34にて、上述した各処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路34を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
また、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ31に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ31にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、X線管への出力電力を増大させつつ小型化することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。