以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.センサーモジュールの構成例
図1に本実施形態のセンサーモジュール10の第1構成例を示す。センサーモジュール10は複数のセンサーデバイスにより構成される物理量検出モジュールであり、このセンサーモジュール10によりセンサーシステムやセンサーユニットが実現される。図1のセンサーモジュール10は、X軸角速度センサーデバイス30Xと、Y軸角速度センサーデバイス30Yと、Z軸角速度センサーデバイス30Zと、加速度センサーデバイス40と、マイクロコントローラー80と、第1デジタルインターフェースバスBS1と、第2デジタルインターフェースバスBS2を含む。図1の構成のセンサーモジュール10により6軸の慣性計測装置(IMU)を実現できる。この慣性計測装置を用いることで、移動体としての自動車やロボットなどの運動体についての姿勢や、慣性運動量である挙動を、検出可能になる。
X軸角速度センサーデバイス30Xは、X軸回りの角速度を検出し、デジタルのX軸角速度データを出力する。X軸角速度データはX軸回りの角速度を表すデジタルデータである。X軸角速度センサーデバイス30Xは、X軸回りの角速度を検出するセンサー素子を有している。センサー素子は、例えば水晶振動子などの圧電型の振動子により構成されるジャイロセンサー素子である。但しセンサー素子は、これには限定されず、シリコン基板などから形成された静電容量検出方式のSi-MEMSのジャイロセンサー素子などであってもよい。例えばセンサー素子は、複数のSi-MEMSのジャイロセンサー素子がマルチ接続されたものであってもよい。またX軸角速度センサーデバイス30Xは、センサー素子からの検出信号を増幅する増幅回路や、検出信号に対する同期検波を行う同期検波回路などを有するアナログ回路を含む。またX軸角速度センサーデバイス30Xは、アナログ回路からのアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換回路を含む。このA/D変換回路の出力データ、或いは当該出力データに対して温度補正、オフセット補正又は感度補正等の補正処理を行ったデータが、X軸角速度データになる。
Y軸角速度センサーデバイス30Yは、Y軸回りの角速度を検出し、デジタルのY軸角速度データを出力する。Y軸角速度データはY軸回りの角速度を表すデジタルデータである。Y軸角速度センサーデバイス30Yは、Y軸回りの角速度を検出するセンサー素子を有している。センサー素子としては上述のように種々のタイプのものを用いることができる。またY軸角速度センサーデバイス30Yは、センサー素子からの検出信号を増幅する増幅回路や、同期検波回路などを有するアナログ回路と、アナログ回路からのアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換回路を含む。このA/D変換回路の出力データ、或いは当該出力データに対して補正処理を行ったデータが、Y軸角速度データになる。
Z軸角速度センサーデバイス30Zは、Z軸回りの角速度を検出し、デジタルのZ軸角速度データを出力する。Z軸角速度データはZ軸回りの角速度を表すデジタルデータである。Z軸角速度センサーデバイス30Zは、Z軸回りの角速度を検出するセンサー素子を有している。センサー素子としては上述のように種々のタイプのものを用いることができる。またZ軸角速度センサーデバイス30Zは、センサー素子からの検出信号を増幅する増幅回路や、同期検波回路などを有するアナログ回路と、アナログ回路からのアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換回路を含む。このA/D変換回路の出力データ、或いは当該出力データに対して補正処理を行ったデータが、Z軸角速度データになる。
加速度センサーデバイス40は、X軸方向での加速度、Y軸方向での加速度及びZ軸方向での加速度を検出してデジタルのX軸加速度データ、Y軸加速度データ及びZ軸加速度データを出力する。X軸加速度データはX軸方向での加速度を表すデジタルデータである。同様にY軸加速度データ、Z軸加速度データは、各々、Y軸方向、Z軸方向での加速度を表すデジタルデータである。加速度センサーデバイス40は、例えば1つのデバイスで、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の加速度を検出可能な静電容量方式のSi-MEMSのセンサーデバイスである。但し本実施形態はこれには限定されず。加速度センサーデバイス40は、周波数変化型の水晶加速度センサー、ピエゾ抵抗型加速度センサー、或いは熱検知型加速度センサーであってもよい。加速度センサーデバイス40は、X軸加速度検出用のセンサー素子、Y軸加速度検出用のセンサー素子及びZ軸加速度検出用のセンサー素子を含む。なお、各軸の加速度検出用のセンサー素子として複数のセンサー素子を設けてもよい。また加速度センサーデバイス40は、これらの各軸の加速度検出用のセンサー素子からの検出信号を増幅する増幅回路等を有するアナログ回路と、アナログ回路からのアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換回路を含む。A/D変換回路は、例えばX軸加速度のアナログ信号と、Y軸加速度のアナログ信号と、Z軸加速度のアナログ信号を時分割にデジタルデータにA/D変換する。このA/D変換回路の出力データ、或いは当該出力データに対して温度補正等の補正処理を行ったデータが、X軸加速度データ、Y軸加速度データ、Z軸加速度データになる。
なお、ここでのX軸、Y軸、Z軸は、センサーモジュール10の検出軸としてのX軸、Y軸、Z軸である。Z軸は、例えばセンサーモジュール10が装着される計測対象物の装着面に直交する方向の軸である。装着面は、センサーモジュール10が搭載される搭載面(実装面)と言うこともできる。また後述する図22のセンサーモジュール10の厚さ方向をZ軸の方向と言うこともできる。X軸とY軸は互いに直交し、且つ、Z軸に直交する軸である。X軸、Y軸の方向は任意であるが、図22では、センサーモジュール10の平面視における四角形状の第1辺に沿った軸をX軸とし、四角形状の第1の辺に直交する第2辺に沿った軸をY軸とすることができる。
マイクロコントローラー80は、X軸角速度センサーデバイス30X、Y軸角速度センサーデバイス30Y、Z軸角速度センサーデバイス30Z及び加速度センサーデバイス40に対してマスターとなるコントローラーである。マイクロコントローラー80は、集積回路装置であり、例えばMPU、CPUなどのプロセッサーにより実現できる。或いはマイクロコントローラー80を、ゲートアレイなどの自動配置配線によるASICにより実現してもよい。そしてマイクロコントローラー80は、第1デジタルインターフェース83と第2デジタルインターフェース84を含む。第1デジタルインターフェース83、第2デジタルインターフェース84は、デジタルのインターフェース処理を行う回路であり、例えばシリアルデータの送信や受信を行う。第1デジタルインターフェース83、第2デジタルインターフェース84は、SPI又はI2Cの通信規格のインターフェース処理を行う。或いはSPI又はI2Cを発展した通信規格や、SPI又はI2Cの規格の一部を改良又は改変した通信規格のインターフェース処理を行ってもよい。
第1デジタルインターフェースバスBS1は、X軸角速度センサーデバイス30X、Y軸角速度センサーデバイス30Y及びZ軸角速度センサーデバイス30Zと、マイクロコントローラー80の第1デジタルインターフェース83とを、電気的に接続するバスである。そしてマイクロコントローラー80には、この第1デジタルインターフェースバスBS1を介して、X軸角速度センサーデバイス30XからのX軸角速度データ、Y軸角速度センサーデバイス30YからのY軸角速度データ及びZ軸角速度センサーデバイス30ZからのZ軸角速度データが、入力される。第2デジタルインターフェースバスBS2は、加速度センサーデバイス40と、マイクロコントローラー80の第2デジタルインターフェース84とを、電気的に接続するバスである。そしてマイクロコントローラー80には、この第2デジタルインターフェースバスBS2を介して、加速度センサーデバイス40からのX軸加速度データ、Y軸加速度データ及びZ軸加速度データが入力される。第1デジタルインターフェースバスBS1は、第1デジタルインターフェース83が行うインターフェース処理の通信規格に準拠したバスである。第2デジタルインターフェースバスBS2は、第2デジタルインターフェース84が行うインターフェース処理の通信規格に準拠したバスである。第1デジタルインターフェースバスBS1、第2デジタルインターフェースバスBS2は、データ信号線、クロック信号線を含む。またチップセレクト信号を含んでもよい。第1デジタルインターフェースバスBS1、第2デジタルインターフェースバスBS2は、図22に示すセンサーモジュール10の回路基板100に配線される。
なお電気的に接続とは電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。また本実施形態では、X軸角速度センサーデバイス30X、Y軸角速度センサーデバイス30Y及びZ軸角速度センサーデバイス30Zを、適宜、角速度センサーデバイスと総称し、角速度センサーデバイス及び加速度センサーデバイスを、適宜、センサーデバイスと総称する。また第1デジタルインターフェースバスBS1、第2デジタルインターフェースバスBS2を、適宜、デジタルインターフェースバスと総称する。
以上のように本実施形態のセンサーモジュール10では、X軸角速度センサーデバイス30X、Y軸角速度センサーデバイス30Y、Z軸角速度センサーデバイス30Z及び加速度センサーデバイス40として、デジタル方式のセンサーデバイスを用いている。即ち、これらのセンサーデバイスはA/D変換回路を内蔵し、デジタルの角速度データ、加速度データである検出データを出力する。このようにデジタル方式のセンサーデバイスを用いることで、ノイズが原因となってセンサーモジュール10の検出精度が低下してしまう事態を防止できるようになる。また本実施形態のセンサーモジュール10では、マイクロコントローラー80に第1デジタルインターフェース83及び第2デジタルインターフェース84が設けられると共に、角速度センサーデバイス用の第1デジタルインターフェースバスBS1と、加速度センサーデバイス用の第2デジタルインターフェースバスBS2が用意される。このように、本実施形態では角速度センサーデバイス用と加速度センサーデバイス用とで別々のバスを用意することで、検出データの種類に応じてコマンド体系や通信方式が異なる場合にも、これに対応できるようになる。
例えばアナログ方式の複数のセンサーデバイスを回路基板に搭載する従来のアナログ方式のセンサーモジュールでは、回路基板において、センサーデバイスからのアナログの検出信号の信号線が引き回される配線が行われてしまう。例えばアナログ方式の角速度センサーデバイスは、検出された角速度に応じて電圧レベルが変化する検出電圧を、検出信号として出力する。また加速度センサーデバイスは、検出された加速度に応じて電圧レベルが変化する検出電圧を、検出信号として出力する。従って、この検出電圧の信号線が引き回される配線が行われると、検出電圧にノイズが重畳して、検出電圧の電圧レベルがノイズにより変動してしまう。このように検出電圧の電圧レベルが変動してしまうと、センサーモジュールにより検出される角速度や加速度の検出精度が低下してしまう。
即ち、従来のアナログ方式のセンサーモジュールでは、センサーデバイスにA/D変換回路は内蔵されず、センサーデバイスの外部に、A/D変換を行う集積回路装置であるA/D変換ICが設けられる。そして、センサーデバイスとA/D変換ICとの間に、検出電圧の信号線が配線され、A/D変換ICは、この信号線を介してセンサーデバイスから入力された検出電圧を、デジタルの検出データに変換する。しかしながら、この信号線では、アナログの検出電圧が伝送されるため、周囲のノイズの影響で、検出電圧が変動してしまい、上記のような検出精度の低下の問題を招く。特に、このような信号線を引き回す配線が行われ、信号線の長さが長くなったり、他の信号線とのカップリングが生じると、より多くのノイズが検出電圧に重畳してしまい、検出精度が更に低下してしまう。なお、ディスクリートのA/D変換ICを設ける代わりに、マイクロコントローラーにA/D変換回路を内蔵させる手法も考えられる。しかしながら、この手法によっても、センサーデバイスとマイクロコントローラーとの間は、アナログの信号線の配線となるため、上記のノイズの悪影響の問題は解決しない。また6軸の慣性計測装置を実現するために、例えば4個以上の複数のセンサーデバイスをセンサーモジュールに設けると、これらの複数のセンサーデバイスの個数分の本数の信号線を、複数のセンサーデバイスとA/D変換ICとの間で配線する必要がある。このように多数の本数の信号線を配線すると、実装面積やコストの増加の問題を招く。またA/D変換ICは、複数の信号線からの検出電圧を、時分割でA/D変換する必要があるため、高速のA/D変換ICが必要になり、A/D変換ICの大規模化や高コスト化の問題を招く。
これに対して本実施形態では、X軸角速度センサーデバイス30X、Y軸角速度センサーデバイス30Y、Z軸角速度センサーデバイス30Z及び加速度センサーデバイス40の全てのセンサーデバイスが、デジタル方式のセンサーデバイスとなっており、A/D変換回路を内蔵している。従って、センサーデバイスの外部にA/D変換ICを設ける必要がないため、上述したようなアナログの信号線の配線の引き回しやノイズの重畳を原因とする検出精度の低下の問題を防止できる。即ち、第1デジタルインターフェースバスBS1、第2デジタルインターフェースバスBS2では、デジタルデータの信号が伝送されるため、ノイズの重畳を原因とする検出精度の低下の問題が殆ど生じない。即ち、アナログの信号線ではノイズの影響で検出電圧の電圧レベルが変動して検出精度が低下してしまうが、デジタルデータの信号にノイズが重畳しても、検出データが誤ったデータになってしまう事態は殆ど生じない。また本実施形態のセンサーモジュール10では、各センサーデバイスがA/D変換回路を内蔵しており、センサーデバイスの外部に、別個にA/D変換ICを設ける必要がない。従って高速のA/D変換ICが不要であり、多数のアナログの信号線の配線の引き回しも行われないため、実装面積やコストの増加の問題も解決できる。
一方、デジタルインターフェースバスを用いてデジタル方式で信号を伝送する場合、検出データの種類に応じて、コマンド体系や通信方式が異なるという課題がある。例えば角速度センサーデバイスと加速度センサーデバイスとでは、動作設定パラメーターや補正処理用パラメーターが異なるため、コマンドの種類やコマンドのパラメーターが異なったものとなる。このため、角速度データと加速度データを、同じコマンド体系のデジタル転送方式で転送することは困難である。また後述の図4~図7で詳細に説明するように、角速度データと加速度データとでは、転送態様である通信方式も異なってしまう。
そこで本実施形態では、図1に示すように、角速度センサーデバイス用の第1デジタルインターフェースバスBS1と、加速度センサーデバイス用の第2デジタルインターフェースバスBS2とを別々に用意する。このようにすれば、角速度データと加速度データとで、コマンド体系や通信方式が異なっていても、角速度データについては、第1デジタルインターフェースバスBS1を用いて、第1コマンド体系や第1通信方式でデジタル転送できるようになる。また加速度データについては、第2デジタルインターフェースバスBS2を用いて、第2コマンド体系や第2通信方式でデジタル転送できるようになる。従って、検出精度の低下を防止しながら、検出データの種類に応じてコマンド体系や通信方式が異なるという問題にも対応できるようになり、コンパクトで低コストのセンサーモジュール10の実現が可能になる。
図2に本実施形態のセンサーモジュール10の第2構成例を示す。図2のセンサーモジュール10は、図1の加速度センサーデバイス40である第1加速度センサーデバイス40Aに加えて、第2加速度センサーデバイス40Bが設けられている。そして第1加速度センサーデバイス40A、第2加速度センサーデバイス40Bは、第2デジタルインターフェースバスBS2を介して、マイクロコントローラー80の第2デジタルインターフェース84に電気的に接続されている。
ここで第2加速度センサーデバイス40Bの構成は、図1の加速度センサーデバイス40である第1加速度センサーデバイス40Aと同様の構成になっている。即ち第2加速度センサーデバイス40Bは、X軸方向での加速度、Y軸方向での加速度及びZ軸方向での加速度を検出してデジタルのX軸加速度データ、Y軸加速度データ及びZ軸加速度データを出力する。第2加速度センサーデバイス40Bは、例えば1つのデバイスで、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の加速度を検出可能な静電容量方式のSi-MEMSのセンサーデバイスである。但し第2加速度センサーデバイス40Bは他の方式の加速度センサーであってもよい。また第2加速度センサーデバイス40Bは、X軸加速度検出用のセンサー素子、Y軸加速度検出用のセンサー素子及びZ軸加速度検出用のセンサー素子を含む。また第2加速度センサーデバイス40Bは、これらの各軸の加速度検出用のセンサー素子からの検出信号を増幅する増幅回路等を有するアナログ回路と、アナログ回路からのアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換回路を含む。
図2のように複数の加速度センサーデバイスを設ける構成によれば、これらの複数の加速度センサーデバイスからの加速度データの統計値である平均値等を、マイクロコントローラー80が演算することで、加速度データの高精度化を実現できる。例えばマイクロコントローラー80は、第1加速度センサーデバイス40AからのX軸加速度データと第2加速度センサーデバイス40BからのX軸加速度データの平均値を求め、求めた平均値を最終的なX軸加速度データとしてホストデバイス210等に出力する。また第1加速度センサーデバイス40AからのY軸加速度データと第2加速度センサーデバイス40BからのY軸加速度データの平均値を求め、求めた平均値を最終的なY軸加速度データとして出力する。また第1加速度センサーデバイス40AからのZ軸加速度データと第2加速度センサーデバイス40BからのZ軸加速度データの平均値を求め、求めた平均値を最終的なZ軸加速度データとして出力する。これにより加速度データの検出精度の高精度化を図れ、例えばセンサーモジュール10からの加速度データ等を用いて、計測対象物の位置情報等の情報を求める場合に、求められる位置情報の高精度化も図れるようになる。
また図2ではマイクロコントローラー80は、ホストデバイス210と接続される第3デジタルインターフェースであるホストインターフェース96を含む。ホストインターフェース96は、デジタルのインターフェース処理を行う回路であり、例えばシリアルデータの送信や受信を行う。ホストインターフェース96は例えばSPIやUARTなどにより実現できる。このようにすれば、センサーデバイスとの間のみならず、ホストデバイス210との間も、デジタルのインターフェース処理でデータを転送できるようになる。これにより複数のセンサーデバイスから取得した検出データを、ホストデバイス210に対して効率的に転送することが可能になる。
また図2では、センサーモジュール10に温度センサー150が設けられている。そしてマイクロコントローラー80は、温度センサー150の検出結果に基づく温度補正処理を行う。例えばマイクロコントローラー80は、温度が変動した場合にも、角速度データ又は加速度データである検出データの値が一定になるようにする温度補償処理を、温度補正処理として行う。例えばマイクロコントローラー80は、温度補正用のテーブルデータをメモリー等に記憶しておき、このテーブルデータを用いて温度補正処理を行う。例えば角速度センサーデバイスや加速度センサーデバイスにも温度センサーは内蔵されるが、温度センサー150は、内蔵の温度センサーに比べて、高い分解能のセンサーとなっている。例えばセンサーデバイスに内蔵される温度センサーによる温度検出データの分解能を表すビット数をm1とし、温度センサー150による温度検出データの分解能を表すビット数をm2とした場合に、m2>m1となる。マイクロコントローラー80が、このような高分解能の温度センサー150を用いて温度補正処理を行うことで、より高精度に温度補償された検出データを、ホストデバイス210に出力できるようになる。
図3に本実施形態のセンサーモジュール10の第3構成例を示す。図3では、センサーモジュール10が、第2のX軸角速度センサーデバイス30XB、第2のY軸角速度センサーデバイス30YB、第2のZ軸角速度センサーデバイス30ZBを更に含んでいる。そして第2のX軸角速度センサーデバイス30XB、第2のY軸角速度センサーデバイス30YB、第2のZ軸角速度センサーデバイス30ZBは、第1デジタルインターフェースバスBS1を介して、マイクロコントローラー80の第1デジタルインターフェース83に電気的に接続されている。ここで本実施形態のセンサーモジュール10は、第2のX軸角速度センサーデバイス30XB、第2のY軸角速度センサーデバイス30YB及び第2のZ軸角速度センサーデバイス30ZBのうちの少なくとも1つセンサーデバイスを含めばよい。この場合には、この少なくとも1つのセンサーデバイスが、第1デジタルインターフェースバスBS1を介して、マイクロコントローラー80の第1デジタルインターフェース83に電気的に接続される。
例えば上記の少なくとも1つのセンサーデバイスとして、第2のZ軸角速度センサーデバイス30ZBが設けられたとする。この場合にはマイクロコントローラー80は、Z軸角速度センサーデバイス30ZからのZ軸角速度データと、第2のZ軸角速度センサーデバイス30ZBからのZ軸角速度データの平均値を求め、求めた平均値を最終的なZ軸角速度データとしてホストデバイス210に出力する。これによりZ軸角速度データの高精度化を図れる。同様にX軸角速度センサーデバイス30Xに加えて、第2のX軸角速度センサーデバイス30XBをセンサーモジュール10に設けて、これらの角速度センサーデバイスからのX軸角速度データの平均値を求めることで、X軸角速度データの高精度化を図れる。またY軸角速度センサーデバイス30Yに加えて、第2のY軸角速度センサーデバイス30YBをセンサーモジュール10に設けて、これらの角速度センサーデバイスからのY軸角速度データの平均値を求めることで、Y軸角速度データの高精度化を図れる。
なお自動車等の移動体においては、Z軸回りの回転運動に対応するヨーイングの回転運動の検出が重要となる。従ってヨー角速度やヨー角の検出に必要なZ軸角速度の高精度化を図る必要があり、この意味では第2のZ軸角速度センサーデバイス30ZBを設けて、複数の角速度センサーデバイスからのZ軸角速度データの平均値を求めることが望ましい。また図3では、X軸用、Y軸用、Z軸用の角速度センサーデバイスを、2個設けた場合の例を示しているが、本実施形態はこれに限定されず、X軸用、Y軸用又はZ軸用に3個以上の角速度センサーデバイスを設けてもよい。また図2と図3を組み合わせた構成も可能である。例えばX軸用、Y軸用、Z軸用の少なくとも1つの軸用について2個以上の角速度センサーデバイスを設けると共に複数の加速度センサーデバイスを設ける。好ましい実施形態は複数のZ軸用の角速度センサーデバイスを設けると共に複数の加速度センサーデバイスを設ける構成である。
図4は第1デジタルインターフェースバスBS1での信号波形例を示す図である。第1デジタルインターフェースバスBS1は、チップセレクト信号XCS、クロック信号SCLK、データ入力信号SDI、データ出力信号SDOの信号線を含む。まず、負論理のチップセレクト信号XCSがLレベルになる。これによりチップセレクト信号XCSの信号線が共通接続されているX軸角速度センサーデバイス30X、Y軸角速度センサーデバイス30Y及びZ軸角速度センサーデバイス30Zの全てがチップセレクトされる。データ入力信号SDIの最初の1ビットのR/Wはリード/ライトを指示するビットである。R/W=1の場合にはリードが指示され、R/W=0の場合にはライトが指示される。R/Wの次の2ビットのA[1:0]はアドレスを指定するものである。共通アドレスを指定する場合にはA[1:0]=00となる。X軸角速度センサーデバイス30X、Y軸角速度センサーデバイス30Y、Z軸角速度センサーデバイス30Zの個別アドレスを指定する場合には、各々、A[1:0]=01、10、11となる。A[1:0]の次の4ビットのC[4:0]は、コマンド内容及びレジスターアドレスを指示するものである。
図4では、F1に示すようにR/W=1となっており、リードが指示されており、マイクロコントローラー80がリードコマンドを発行している。またF2に示すようにA[1:0]=00となっており、共通アドレスが指定されている。またF3によってコマンド内容やレジスターアドレスが指示されている。これにより、期間T1では、X軸角速度センサーデバイス30XがX軸角速度データを出力し、次の期間T2では、Y軸角速度センサーデバイス30YがY軸角速度データを出力し、次の期間T3では、Z軸角速度センサーデバイス30ZがZ軸角速度データを出力する。このように図4の第1デジタルインターフェースバスBS1では、X軸角速度センサーデバイス30X、Y軸角速度センサーデバイス30Y、Z軸角速度センサーデバイス30Zからの角速度データの連続読み出しが可能になっている。これはそれぞれの角速度センサーデバイスが、自身の送信順番と、角速度センサーデバイスの接続個数と、送信データのビット数を記憶することで実現される。
図5は第2デジタルインターフェースバスBS2での信号波形例を示す図である。第2デジタルインターフェースバスBS2も、チップセレクト信号XCS、クロック信号SCLK、データ入力信号SDI、データ出力信号SDOの信号線を含む。図5ではチップセレクト信号XCSがLレベルになって、加速度センサーデバイス40がチップセレクトされる。その後、F4に示すように加速度センサーデバイス40のアドレスを指定するアドレス設定が、マイクロコントローラー80によりデータ入力信号SDIを用いて行われる。そして加速度センサーデバイス40は、期間T1においてX軸加速度データを出力し、次の期間T2においてY軸加速度データを出力し、次の期間T3においてZ軸加速度データを出力する。このように第2デジタルインターフェースバスBS2では、F4に示すアドレス設定で指定された1つの加速度センサーデバイス40が、X軸加速度データ、Y軸加速度データ、Z軸加速度データを順次に出力する。
図6は第1デジタルインターフェースバスBS1における連続読み出しの継続を説明する信号波形例である。図6では、期間T3でZ軸角速度センサーデバイス30ZがZ軸角速度データを出力した後、次の期間T4において、X軸角速度センサーデバイス30XがX軸角速度データを出力する。そして次の期間T5では、Y軸角速度センサーデバイス30YがY軸角速度データを出力し、次の期間T6では、Z軸角速度センサーデバイス30ZがZ軸角速度データを出力する。
図7は、図2に示すように第1加速度センサーデバイス40A及び第2加速度センサーデバイス40Bが接続された時の第2デジタルインターフェースバスBS2の信号波形例を示す図である。第2デジタルインターフェースバスBS2では、第1デジタルインターフェースバスBS1のような連続読み出しを行うことができない。このためF5のアドレス設定で、マイクロコントローラー80が第1加速度センサーデバイス40Aのアドレスを指定する。これにより第1加速度センサーデバイス40Aが、期間TA1においてX軸加速度データを出力し、次の期間TA2においてY軸加速度データを出力し、次の期間TA3においてZ軸加速度データを出力する。次にF6のアドレス設定で、マイクロコントローラー80が第2加速度センサーデバイス40Bのアドレスを指定する。これにより第2加速度センサーデバイス40Bが、期間TB1においてX軸加速度データを出力し、次の期間TB2においてY軸加速度データを出力し、次の期間TB3においてZ軸加速度データを出力する。
上述したように、角速度データと加速度データとでは、コマンド体系や通信方式を異ならせる必要があるという課題がある。このため本実施形態では、角速度センサーデバイス用の第1デジタルインターフェースバスBS1と、加速度センサーデバイス用の第2デジタルインターフェースバスBS2とを別々に用意する。そして角速度データについては、第1デジタルインターフェースバスBS1を用いて、第1コマンド体系や第1通信方式でデジタル転送する。一方、加速度データについては、第2デジタルインターフェースバスBS2を用いて、第2コマンド体系や第2通信方式でデジタル転送する。例えば図4の第1デジタルインターフェースバスBS1では、第1通信方式でデジタル転送を行う。即ち第1通信方式では、各軸用の角速度センサーデバイスが各軸の角速度データを出力する。即ちX軸角速度センサーデバイス30XがX軸角速度データを出力し、Y軸角速度センサーデバイス30YがY軸角速度データを出力し、Z軸角速度センサーデバイス30ZがZ軸角速度データを出力する。これに対して、図5の第2デジタルインターフェースバスBS2では、第2通信方式でデジタル転送を行う。即ち第2通信方式では、1つの加速度センサーデバイスが、複数の軸の加速度データを出力する。即ち1つの加速度センサーデバイス40が、X軸加速度データ、Y軸加速度データ、Z軸加速度データを出力する。このように本実施形態では、第1デジタルインターフェースバスBS1では第1通信方式でデータ転送を行い、第2デジタルインターフェースバスBS2では、第1通信方式とは異なる第2通信方式でデータ転送を行っている。
また第1デジタルインターフェースバスBS1での第1通信方式では、複数の角速度センサーデバイスからの角速度データの連続読み出しが可能になっている。これに対して第2デジタルインターフェースバスBS2での第2通信方式では、複数の加速度センサーデバイスからの加速度データの連続読み出しができないようになっている。即ち図7に示すように、まず第1加速度センサーデバイス40Aのアドレスを指定して、X軸、Y軸、Z軸の加速度データを読み出し、次に第2加速度センサーデバイス40Bのアドレスを指定して、X軸、Y軸、Z軸の加速度データを読み出す。この点においても、第1デジタルインターフェースバスBS1での第1通信方式と、第2デジタルインターフェースバスBS2での第2通信方式は異なっている。なお第2デジタルインターフェースバスBS2での第2通信方式においても、複数の加速度センサーデバイスからの連続読み出しを可能にする変形実施も可能である。
2.センサーデバイスの配置構成例
次にセンサーモジュール10でのセンサーデバイスの配置構成例について説明する。図8、図9はセンサーデバイスの第1配置構成例である。センサーモジュール10は回路基板100を含む。回路基板100は、互いに表裏の関係にある第1面SF1及び第2面SF2と、第1側面SE1、第2側面SE2、第3側面SE3及び第4側面SE4を有する。図8は第1面SF1を示す平面図であり、図9は第2面SF2を示す平面図である。回路基板100は、複数のスルーホールが形成された多層基板であり、本実施形態では回路基板100としてガラスエポキシ基板を用いている。なお回路基板100は、ガラスエポキシ基板に限定するものではなく、複数のセンサーデバイスや電子部品やコネクターなどを実装可能なリジットな基板であればよい。例えば回路基板100としてコンポジット基板やセラミック基板を用いてもよい。回路基板100には取り付け用の穴部102、103、104が形成されている。
回路基板100の第1面SF1と第2面SF2は、互いに表裏の関係にある主面である。例えば第1面SF1を表側の面とすると、第2面SF2は裏側の面になる。回路基板100の第1側面SE1~第4側面SE4は、第1面SF1と第2面SF2を結ぶ面であり、第1面SF1及び第2面SF2に直交する面である。第1側面SE1と第3側面SE3は、回路基板100の対向する位置にあり、法線方向が互いに逆方向となる面である。第2側面SE2と第4側面SE4は、回路基板100の対向する位置にあり、法線方向が互いに逆方向となる面である。第1側面SE1と第3側面SE3は互いに平行な面であり、第2側面SE2と第4側面SE4は互いに平行な面である。そして第1側面SE1及び第3側面SE3と、第2側面SE2及び第4側面SE4とは法線方向が直交する関係にある。
なおセンサーモジュール10の検出軸であるZ軸は、回路基板100に直交する方向の軸になっている。センサーモジュール10の検出軸であるX軸、Y軸は、互いに直交する軸であり、Z軸に直交する方向の軸になっている。そしてX軸は、第1側面SE1の法線方向の軸になっており、Y軸は、第2側面SE2の法線方向の軸になっている。
X軸角速度センサーデバイス30Xは、回路基板100の第1側面SE1に実装されている。具体的には、実装面がX軸に直交するように第1側面SE1に実装されている。例えばX軸角速度センサーデバイス30Xは、実装面である底面が第1側面SE1に接触するように取り付けられている。このような取り付け状態において、X軸角速度センサーデバイス30Xの第1面SF1側に位置する図8のH1に示す端子は、第1面SF1に形成された信号線や電源線に接続される。また当該取り付け状態において、X軸角速度センサーデバイス30Xの第2面SF2側に位置する図9のH2に示す端子は、第2面SF2に形成された信号線や電源線に接続される。なお信号線、電源線はスルーホールに形成された信号線、電源線を含むものとする。
Y軸角速度センサーデバイス30Yは、回路基板100の第2側面SE2に実装されている。具体的には、実装面がY軸に直交するように第2側面SE2に実装されている。例えばY軸角速度センサーデバイス30Yは、実装面である底面が第2側面SE2に接触するように取り付けられている。このような取り付け状態において、Y軸角速度センサーデバイス30Yの第1面SF1側に位置するH3に示す端子は、第1面SF1に形成された信号線や電源線に接続される。また当該取り付け状態において、Y軸角速度センサーデバイス30Yの第2面SF2側に位置するH4に示す端子は、第2面SF2に形成された信号線や電源線に接続される。
Z軸角速度センサーデバイス30Zは、回路基板100の第1面SF1に実装されている。具体的には、Z軸角速度センサーデバイス30Zは、実装面がZ軸に直交するように第1面SF1に実装されており、実装面である底面が第1面SF1に接触するように取り付けられている。そしてZ軸角速度センサーデバイス30Zの端子は、第1面SF1に形成された信号線や電源線に接続される。
加速度センサーデバイス40は、回路基板100の第1面SF1に実装されている。具体的には、加速度センサーデバイス40は、実装面がZ軸に直交するように第1面SF1に実装されており、実装面である底面が第1面SF1に接触するように取り付けられている。そして加速度センサーデバイス40の端子は、第1面SF1に形成された信号線や電源線に接続される。同様に温度センサー150も第1面SF1に実装され、その端子が第1面SF1に形成された信号線や電源線に接続される。
また回路基板100の第1面SF1には、プラグ型のコネクター110が実装されている。このコネクター110は、Y軸方向に等ピッチで配置された2列の接続端子を備えている。また図9に示すように回路基板100の第2面SF2にはマイクロコントローラー80が実装されている。マイクロコントローラー80は、PGAなどのグリッドアレイ型のパッケージとなっており、図9の平面視において、マイクロコントローラー80の下方側の面に複数の端子が格子状に配列されている。
また図8、図9では、X軸角速度センサーデバイス30Xは、検出軸A1回りの角速度を検出する。検出軸A1は後述する図23のz軸に対応する。そしてX軸角速度センサーデバイス30Xは、検出軸A1の方向がX軸の方向になるように配置されている。従って、X軸角速度センサーデバイス30Xにより、X軸周りの角速度を検出できるようになる。またY軸角速度センサーデバイス30Yは、検出軸A2回りの角速度を検出する。検出軸A2は図23のz軸に対応する。そしてY軸角速度センサーデバイス30Yは、検出軸A2の方向がY軸の方向になるように配置されている。従って、Y軸角速度センサーデバイス30Yにより、Y軸周りの角速度を検出できるようになる。またZ軸角速度センサーデバイス30Zは、検出軸A3回りの角速度を検出する。検出軸A3は図23のz軸に対応する。そしてZ軸角速度センサーデバイス30Zは、検出軸A3の方向がZ軸の方向になるように配置されている。従って、Z軸角速度センサーデバイス30Zにより、Z軸周りの角速度を検出できるようになる。一方、加速度センサーデバイス40は、第1検出軸x、第2検出軸y、第3検出軸zの方向が、各々、X軸、Y軸、Z軸の方向になるように配置されている。従って、加速度センサーデバイス40により、X軸、Y軸、Z軸の方向での加速度を検出できるようになる。
そして図8に示すように本実施形態では、回路基板100の第1面SF1の第1領域RG1及び第2領域RG2のうちの第1領域RG1に、X軸角速度センサーデバイス30X、Y軸角速度センサーデバイス30Y、Z軸角速度センサーデバイス30Z及び加速度センサーデバイス40が配置される。一方、回路基板100の第2面SF2における第2領域RG2に対応する領域に、マイクロコントローラー80が配置されている。例えば第1領域RG1側にX軸角速度センサーデバイス30X、Y軸角速度センサーデバイス30Y、Z軸角速度センサーデバイス30Z及び加速度センサーデバイス40が配置され、第2領域RG2側に、マイクロコントローラー80が配置されている。ここで第1領域RG1は、図8の線LCで区画される領域のうちの第1側面SE1側の領域であり、第2領域RG2は、線LCで区画される領域のうちの第3側面SE3側の領域である。線LCは、図8の平面視において、第1側面SE1と第3側面SE3の間の線であり、例えば中央線である。例えば線LCは、平面視において第1側面SE1、第3側面SE3に平行な線である。第2面SF2における第2領域RG2に対応する領域は、第2領域RG2の例えば裏側の領域である。但し第1面SF1側の領域とすることも可能である。
このような配置構成にすれば、回路基板100の第1領域RG1側に、X軸角速度センサーデバイス30X、Y軸角速度センサーデバイス30Y、Z軸角速度センサーデバイス30Z及び加速度センサーデバイス40からなるセンサーデバイス群を、集中して配置できる。一方、マイクロコントローラー80は、第1領域RG1とは異なる第2領域RG2側に配置されている。そしてマイクロコントローラー80は高速なクロック信号により動作する大規模なデジタル回路(CPUコア等)を有しているため、動作時に高い温度の熱を発生する熱源になる。本実施形態の配置構成によれば、このような熱源となるマイクロコントローラー80が第2領域RG2側に配置され、センサーデバイス群が、第1領域RG1側に配置される。従って、熱源となるマイクロコントローラー80と、角速度や加速度を高精度に検出するセンサーデバイス群との間の距離を、十分に離すことが可能になり、マイクロコントローラー80の発熱による熱が、センサーデバイス群の検出精度に及ぼす悪影響を低減できる。
例えば従来のアナログ方式のセンサーモジュールでは、センサーデバイス群とマイクロコントローラーとの間の距離を離して配置すると、アナログの検出信号の信号線が長くなってしまい、検出精度が低下してしまうという問題がある。特にマイクロコントローラーが内蔵するA/D変換回路を用いて、センサーデバイス群からの検出電圧をA/D変換する手法では、センサーデバイス群とマイクロコントローラーとの間の距離を離すと、検出電圧の信号線が非常に長くなってしまう。このため、検出電圧に対して多くのノイズが重畳され、検出電圧が大きく変動して、検出精度が非常に低下してしまう。このため、マイクロコントローラーをセンサーデバイス群の近傍に配置せざるを得なかった。そしてマイクロコントローラーをセンサーデバイス群の近傍に配置すると、今度はマイクロコントローラーの発熱による熱が、センサーデバイス群に伝達して、検出精度を低下させてしまう。
この点、本実施形態の手法によれば、センサーデバイス群とマイクロコントローラー80との間は、デジタルインターフェースバスにより接続されて、デジタル方式で検出データが転送される。従って、センサーデバイス群とマイクロコントローラー80との間の距離を離しても、アナログ方式の場合のようなノイズの悪影響による検出精度の低下の問題は生じない。そして図8、図9に示すように、センサーデバイス群を第1領域RG1側に配置し、マイクロコントローラー80を第2領域RG2側に配置することで、両者の距離を離すことが可能になり、マイクロコントローラー80の発熱による検出精度の低下も抑制できる。従って、従来のアナログ方式に比べて、センサーモジュール10の検出精度を格段に向上できるという利点がある。
なお本実施形態では図22のインナーケース120への回路基板100の実装の際に、インナーケース120の凹部121に充填部材を充填することで性能の向上を図っている。この意味においてセンサーデバイス群を第1領域RG1に集中的に配置して、充填部材に覆われるようにすることが望ましい。但しセンサーデバイス群の一部のセンサーデバイスを第1領域RG1とは異なる領域に配置する変形実施も可能である。
また本実施形態では、図8に示すように、回路基板100の第1領域RG1に、温度センサー150が配置される。そして図2で説明したように、マイクロコントローラー80は、温度センサー150の検出結果に基づく温度補正処理を行う。このようにすれば、温度センサー150を、センサーデバイス群が配置される第1領域RG1に配置できるようになる。例えば図8では、Z軸角速度センサーデバイス30Zと加速度センサーデバイス40の間に温度センサー150が配置される。このようにすることで、センサーデバイス群に近い位置での温度を、温度センサー150により検出できる。そして、このようにセンサーデバイス群に近い位置に配置された高精度の温度センサー150により温度検出を行って、その検出結果に基づいてセンサーデバイス群の検出データに対する温度補正処理を実行できるようになる。このようにすれば、センサーデバイス群の実際の温度に近い温度を検出して、検出データの温度依存性を低減する温度補正処理を行うことが可能になるため、センサーモジュール10の検出精度の更なる高精度化を実現できる。
図10、図11はセンサーデバイスの第2配置構成例である。図10、図11は、図3の第3構成例に対応するセンサーデバイスの配置構成例であり、各々、第1面SF1、第2面SF2を示す平面図である。図8、図9では、各軸用に1つの角速度センサーデバイスが設けられていたが、図10、図11では、各軸用に2つの角速度センサーデバイスが設けられている。即ち、X軸角速度センサーデバイス30Xに加えて、第2のX軸角速度センサーデバイス30XBが設けられ、Y軸角速度センサーデバイス30Yに加えて、第2のY軸角速度センサーデバイス30YBが設けられている。またZ軸角速度センサーデバイス30Zに加えて、図11に示すように第2のZ軸角速度センサーデバイス30ZBが設けられている。
具体的には、X軸角速度センサーデバイス30X及び第2のX軸角速度センサーデバイス30XBは、第1側面SE1に実装される。例えば、それぞれの検出軸A1A、A1BがX軸方向に沿うように、X軸角速度センサーデバイス30X及び第2のX軸角速度センサーデバイス30XBが実装される。これにより、前述したように、これらのX軸角速度センサーデバイスからの2つのX軸角速度データの平均値を求めて、最終的なX軸角速度データ求めることができるため、より高精度なX軸角速度データを得ることができる。またY軸角速度センサーデバイス30Y及び第2のY軸角速度センサーデバイス30YBは、それぞれの検出軸A2A、A2BがY軸方向に沿うように、第2側面SE2に実装される。これにより、前述したように、これらのY軸角速度センサーデバイスからの2つのY軸角速度データの平均値を求めて、最終的なY軸角速度データ求めることができるため、より高精度なY軸角速度データを得ることができる。
また図10に示すようにZ軸角速度センサーデバイス30Zは回路基板100の第1面SF1に実装され、図11に示すように第2のZ軸角速度センサーデバイス30ZBは回路基板100の第2面SF2に実装される。これによりZ軸角速度センサーデバイス30Zの検出軸A3Aは、Z軸の正方向を向くように設定され、第2のZ軸角速度センサーデバイス30ZBの検出軸A3Bは、Z軸の負方向を向くように設定される。従って、Z軸角速度センサーデバイス30ZのZ軸角速度データと第2のZ軸角速度センサーデバイス30ZBのZ軸角速度データの正負の方向を合わせてから、Z軸角速度データの平均値を求めて、最終的なZ軸角速度データを求めることができるため、より高精度なZ軸角速度データを得ることができる。
このように図10、図11の配置構成例によれば、各軸用に各々2つずつで、合計で6個の角速度センサーデバイスを、回路基板100の限られた配置エリアを利用して、効率良く実装できる。従って、センサーモジュール10の小型化を維持しながら、角速度データの平均値を求めることによる高精度化も実現することが可能になる。
図12、図13はセンサーデバイスの第3配置構成例である。図12、図13は、図2の第2構成例に対応するセンサーデバイスの配置構成例であり、各々、第1面SF1、第2面SF2を示す平面図である。例えば図8、図9では、1つの加速度センサーデバイスが設けられていたが、図12、図13では、2つの加速度センサーデバイスが設けられている。具体的には図12に示すように第1加速度センサーデバイス40Aが回路基板100の第1面SF1に実装され、図13に示すように第2加速度センサーデバイス40Bが回路基板100の第2面SF2に実装される。これにより、第1加速度センサーデバイス40Aからの第1のX軸加速度データと第2加速度センサーデバイス40Bからの第2のX軸加速度データの平均値を求め、求めた平均値を最終的なX軸加速度データとすることができる。同様に第1加速度センサーデバイス40Aからの第1のY軸加速度データ及び第1のZ軸加速度データの各々と、第2加速度センサーデバイス40Bからの第2のY軸加速度データ及び第2のZ軸加速度データの各々との平均値を求め、求めた平均値を最終的なY軸加速度データ、Z軸加速度データとすることができる。そして図12、図13では、第1加速度センサーデバイス40Aを回路基板100の第1面SF1に配置し、第2加速度センサーデバイス40Bを回路基板100の第2面SF2の空き領域に配置している。従って、2個の加速度センサーデバイスを、回路基板100の限られた配置エリアを利用して、効率良く実装できるため、センサーモジュール10の小型化を維持しながら、加速度データの平均値を求めることによる高精度化も実現することが可能になる。
以上の図12、図13の第3配置構成例のように、本実施形態のセンサーモジュール10は、X軸角速度センサーデバイス30Xと、Y軸角速度センサーデバイス30Yと、Z軸角速度センサーデバイス30Zと、第1加速度センサーデバイス40Aと、第2加速度センサーデバイス40Bと、マイクロコントローラー80と、回路基板100を含む。マイクロコントローラー80には、X軸角速度センサーデバイス30XからのX軸角速度データ、Y軸角速度センサーデバイス30YからのY軸角速度データ、Z軸角速度センサーデバイス30ZからのZ軸角速度データが入力される。またマイクロコントローラー80には、第1加速度センサーデバイス40Aからの第1のX軸加速度データ、第1のY軸加速度データ及び第1のZ軸加速度データと、第2加速度センサーデバイス40Bからの第2のX軸加速度データ、第2のY軸加速度データ及び第2のZ軸加速度データが入力される。そして第1加速度センサーデバイス40Aは回路基板100の第1面SF1に配置され、第2加速度センサーデバイス40Bは回路基板100の第2面SF2に配置される。なお図13の回路基板100の第2面SF2に第2のZ軸角速度センサーデバイス30ZBを更に設けて、ヨー角速度やヨー角度の検出の高精度化を実現してもよい。
更に具体的には本実施形態では、第1加速度センサーデバイス40A及び第2加速度センサーデバイス40Bの一方の加速度センサーデバイスである第1加速度センサーデバイス40Aは、第1検出軸x1、第2検出軸y1、第3検出軸z1の方向が、各々、X軸、Y軸、Z軸の方向に沿うように配置される。また図13に示すように、一方とは異なる他方の加速度センサーデバイスである第2加速度センサーデバイス40Bは、第1検出軸x2、第2検出軸y2、第3検出軸z2の方向が、各々、Y軸、X軸、Z軸の方向に沿うように配置されている。具体的には図13では、第1検出軸x2の正方向が、Y軸の正方向になり、第2検出軸y2の正方向が、X軸の負方向になり、第3検出軸z2の正方向が、Z軸の負方向になっている。第2検出軸y2とX軸は、正負の方向は逆であるが、第2検出軸y2の方向は、X軸の方向に沿う方向になっている。なお図12、図13では、一方の加速度センサーデバイスが第1加速度センサーデバイス40Aであり、他方の加速度センサーデバイスが第2加速度センサーデバイス40Bである場合の例であるが、これには限定されない。一方の加速度センサーデバイスが第2加速度センサーデバイス40Bであり、他方の加速度センサーデバイスが第1加速度センサーデバイス40Aであってもよい。図12、図13のように2つの加速度センサーデバイスを配置することで、加速度センサーデバイスの温度ヒステリシス特性を利用した温度補償が可能になる。
図14、図15は第1加速度センサーデバイス40A、第2加速度センサーデバイス40Bの種々の配置構成例を示す図である。図14では、回路基板100の第1面SF1に第1加速度センサーデバイス40Aが配置され、第2面SF2に第2加速度センサーデバイス40Bが配置される。これにより第1加速度センサーデバイス40Aの第3検出軸z1と、第2加速度センサーデバイス40Bの第3検出軸z2は、沿う方向は同じであるが正負の方向が逆になる。従って、後述する温度ヒステリシス特性を利用した温度補償処理の際には、z1での加速度値とz2での加速度値の正負の方向を合わせてから加算平均処理を行えばよい。そして図14のB1とB2では、x1とy2が、沿う方向は同じであり正負の方向が逆となり、y1とx2も、沿う方向は同じであり正負の方向が逆になっている。このB1、B2は図12、図13の配置構成に対応する。後述する温度ヒステリシス特性を利用した温度補償処理の際には、x1での加速度値とy2での加速度値の正負の方向を合わせてから加算平均処理を行い、y1での加速度値とx2での加速度値の正負の方向を合わせてから加算平均処理を行えばよい。これにより、異なる軸同士の加速度値を用いた温度補償処理が可能になり、温度ヒステリシス特性を利用した、より適切な温度補償の実現が期待できる。なおB1とB3、B1とB4、B1とB5のそれぞれの組合わせにより正負の方向を合わせてから加算平均処理をして、温度補償処理を行うことも可能である。
図15では、回路基板100の第1面SF1に第1加速度センサーデバイス40A及び第2加速度センサーデバイス40Bが配置される。このように本実施形態では、第1面SF1及び第2面SF2の一方の面に、第1加速度センサーデバイス40A及び第2加速度センサーデバイス40Bの両方を配置してもよい。そして図14と同様にB6、B7、B8、B9のそれぞれの組合わせにより正負の方向を合わせてから加算平均処理をして、温度補償処理を行うことも可能である。
図16は加速度センサーデバイスの温度ヒステリシス特性を利用した温度補償処理の説明図である。例えばG1は、第1面SF1に実装された第1加速度センサーデバイス40Aの温度ヒステリシス特性の例であり、G2は、第2面SF2に実装された第2加速度センサーデバイス40Bの温度ヒステリシス特性の例である。G1の温度ヒステリシス特性では、温度上昇の際にはG3に示すような温度特性となり、温度下降の際にはG4に示すような温度特性となる。一方、G2の温度ヒステリシス特性では、温度上昇の際にはG5に示すような温度特性となり、温度下降の際にはG6に示すような温度特性となる。従って、温度上昇の際には、例えばG3の温度特性での加速度値とG5の温度特性での加速度値との加算処理を行うことで、加速度値の温度変動を相殺できる。これにより例えばG7の温度ヒステリシス特性のG8に示すように、温度上昇に対する加速度値の変動を小さくでき、良好な温度特性を実現できる。また温度下降の際には、例えばG4の温度特性での加速度値とG6の温度特性での加速度値との加算処理を行うことで、加速度値の温度変動を相殺できる。これにより例えばG7の温度ヒステリシス特性のG9に示すように、温度下降に対する加速度値の変動を小さくでき、良好な温度特性を実現できる。
例えば図14では第1加速度センサーデバイス40Aを第1面SF1に配置し、第2加速度センサーデバイス40Bを第2面SF2に配置する。これにより、z1での加速度値がG1の温度ヒステリシス特性となり、z2での加速度値がG2の温度ヒステリシス特性となることで、温度補償処理を実現できる。また図14のB1、B2では、x1での加速度値がG1の温度ヒステリシス特性となり、y2での加速度値がG2の温度ヒステリシス特性となることで、温度補償処理を実現できる。またy1での加速度値がG1の温度ヒステリシス特性となり、x2での加速度値がG2の温度ヒステリシス特性となることで、温度補償処理を実現できる。なお温度ヒステリシス特性を利用した温度補償処理はマイクロコントローラー80が行う。
3.同期信号の入力
図17にセンサーモジュール10の第4構成例を示す。図17のセンサーモジュール10は同期信号SYCを伝送する同期信号線LSYを含む。同期信号線LSYは、X軸角速度センサーデバイス30X、Y軸角速度センサーデバイス30Y、Z軸角速度センサーデバイス30Z及び加速度センサーデバイス40に電気的に接続されている。これにより、これらのセンサーデバイスに対して、外部同期信号EXSYCが同期信号SYCとして入力されるようになる。例えばこれらの各センサーデバイスには同期端子が設けられており、この同期端子に対して同期信号線LSYが接続される。そして同期端子及び同期信号線LSYを介して、外部同期信号EXSYCが同期信号SYCとして入力される。このように図17では、第1デジタルインターフェースバスBS1、第2デジタルインターフェースバスBS2に加えて、同期信号SYCを伝送する同期信号線LSYが設けられている。具体的にはセンサーモジュール10の回路基板100に、同期信号SYCの同期信号線LSYが配線される。なお図2の第2構成例、図3の第3構成例、或いはこれらの組合わせの構成例においても各センサーデバイスに対して同期信号線LSYを電気的に接続して同期信号SYCを入力してもよい。例えば図2では第2加速度センサーデバイス40Bにも同期信号線LSYを接続して同期信号SYCを入力する。図3では第2のX軸角速度センサーデバイス30XB、第2のY軸角速度センサーデバイス30YB、第2のZ軸角速度センサーデバイス30ZBにも同期信号線LSYを接続して同期信号SYCを入力する。
図18は、複数のセンサーデバイスの各センサーデバイスに同期信号線が接続されるセンサーモジュール10の説明図である。第1センサーデバイス20Xは、角速度センサーデバイス、加速度センサーデバイスのいずれかのセンサーデバイスであり、第2センサーデバイス20Yも、角速度センサーデバイス、加速度センサーデバイスのいずれかのセンサーデバイスである。図18では説明の簡素化のためにセンサーデバイスの個数が2個の場合の例を示しているが、センサーデバイスの個数は3個以上とすることができ、センサーモジュール10は第1センサーデバイス~第nセンサーデバイス(nは2以上の整数)を含むことができる。
第1センサーデバイス20Xは、第1センサー素子50Xと、第1センサー素子50Xからの信号が入力されて検出処理を行う第1検出回路60Xと、第1検出回路60Xからの第1検出データSD1を出力する第1インターフェース70Xを含む。第1センサーデバイス20Xは、第1センサー素子50Xと、第1検出回路60X及び第1インターフェース70Xを含む集積回路装置とが、パッケージに収容されたデバイスである。集積回路装置は半導体により実現されるICチップである。第2センサーデバイス20Yは、第2センサー素子50Yと、第2センサー素子50Yからの信号が入力されて検出処理を行う第2検出回路60Yと、第2検出回路60Yからの第2検出データSD2を出力する第2インターフェース70Yを含む。第2センサーデバイス20Yは、第2センサー素子50Yと、第2検出回路60Y及び第2インターフェース70Yを含む集積回路装置とが、パッケージに収容されたデバイスである。なおセンサーデバイスの個数を3個以上とし、第nセンサーデバイスを設ける場合には、第nセンサーデバイスは、第nセンサー素子と、第nセンサー素子からの信号が入力されて検出処理を行う第n検出回路と、第n検出回路からの第n検出データを出力する第nインターフェースを含むことができる。
第1センサー素子50X、第2センサー素子50Yは、物理量を検出するセンサー素子であり、物理量トランスデューサーとも言うことができる。第1センサー素子50X、第2センサー素子50Yは、例えば角速度センサー素子、加速度センサー素子のいずれかである。第1検出回路60X、第2検出回路60Yは、アナログ回路と、アナログ回路からのアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換回路を含むことができる。アナログ回路は、センサー素子からの信号を増幅する増幅回路や、同期検波回路などの検波回路や、ゲイン調整回路や、或いはオフセット調整回路などを含むことができる。A/D変換回路は、デジタルの検出データをインターフェースに出力する。A/D変換回路のA/D変換方式としては、逐次比較型、デルタシグマ型、フラッシュ型、パイプライン型又は二重積分型等を採用できる。第1インターフェース70X、第2インターフェース70Yは、例えばデジタルのインターフェース処理を行う回路であり、例えばシリアルデータの送信や受信を行う。第1インターフェース70X、第2インターフェース70Yは、マイクロコントローラー80のデジタルインターフェース82や第1デジタルインターフェース83、第2デジタルインターフェース84と同様に、SPI又はI2Cの通信規格、又はこれを発展させたり一部を改良又は改変した通信規格のインターフェース処理を行う。なおデジタルインターフェース82は第1デジタルインターフェース83や第2デジタルインターフェース84に対応する。
マイクロコントローラー80は、第1センサーデバイス20Xからの第1検出データSD1及び第2センサーデバイス20Yからの第2検出データSD2が入力される。センサーモジュール10は、第1センサーデバイス20X及び第2センサーデバイス20Yとマイクロコントローラー80とを電気的に接続するデジタルインターフェースバスBSを含む。このデジタルインターフェースバスBSは、前述した第1デジタルインターフェースバスBS1や第2デジタルインターフェースバスBS2に対応する。
そして本実施形態では、第1センサーデバイス20Xが、同期信号線LSYを介して同期信号SYCが入力される第1同期端子TS1を有する。そして第1インターフェース70Xは、第1同期端子TS1に入力された同期信号SYCに基づいて、第1検出データSD1をマイクロコントローラー80に出力する。また第2センサーデバイス20Yは、同期信号線LSYを介して同期信号SYCが入力される第2同期端子TS2を含む。そして第2インターフェース70Yは、第2同期端子TS2に入力された同期信号SYCに基づいて、第2検出データSD2をマイクロコントローラー80に出力する。
ここで同期信号SYCは、外部同期信号EXSYC又は外部同期信号EXSYCに基づく信号である。外部同期信号EXSYCは、ホストデバイス210などの外部デバイスから、センサーモジュール10に入力される信号であり、同期タイミング毎にアクティブになる信号である。例えば外部同期信号EXSYCは一定期間毎にアクティブになる信号である。アクティブとは、正論理の場合にはHレベル(ハイレベル)であり、負論理の場合にはLレベル(ローレベル)である。第1センサーデバイス20X、第2センサーデバイス20Yに入力される同期信号SYCは、外部同期信号EXSYCそのものであってもよいし、外部同期信号EXSYCに基づく信号であってもよい。外部同期信号EXSYCに基づく信号とは、外部同期信号EXSYCを用いて生成された信号である。例えば外部同期信号EXSYCに基づく信号は、例えばマイクロコントローラー80などの他の回路が、外部同期信号EXSYCをクロック信号でサンプリングすることなどにより生成される信号である。第1同期端子TS1、第2同期端子TS2は、例えば第1センサーデバイス20X、第2センサーデバイス20Yのパッケージに設けられる端子であり、外部接続用の端子である。
以上のように本実施形態のセンサーモジュール10では、第1センサーデバイス20Xが第1同期端子TS1を含み、第2センサーデバイス20Yが第2同期端子TS2を含むというように、各々のセンサーデバイスが専用の同期端子を有している。そして第1センサーデバイス20Xは、第1同期端子TS1に入力された同期信号SYCに基づいて第1検出データSD1をマイクロコントローラー80に出力し、第2センサーデバイス20Yは、第2同期端子TS2に入力された同期信号SYCに基づいて第2検出データSD2をマイクロコントローラー80に出力する。従って、第1センサーデバイス20X、第2センサーデバイス20Yの各々のセンサーデバイスは、同期端子に入力された同期信号SYCを用いて、適切なタイミングでの検出データを取得し、マイクロコントローラー80に出力できるようになる。これにより、センサーモジュール10を用いて計測される情報の高精度化等を図れるようになる。
例えば第1センサーデバイス20X、第2センサーデバイス20Y等からの検出データに基づいて、計測対象物の姿勢情報、移動距離情報又は慣性情報等の情報を適正に計測するためには、各検出データの同期がとれているか、或いは各検出データを取得した時間が明確になっていることが望まれる。
この点、本実施形態の第1の比較例の手法として、各センサーデバイスが、検出データの出力期間の直前に取得された検出データを、マイクロコントローラー80に出力する手法が考えられる。例えば第1センサーデバイス20Xが第1出力期間で第1検出データSD1を出力し、第2センサーデバイス20Yが第1出力期間の次の第2出力期間で第2検出データSD2を出力するとする。この場合に第1の比較例の手法では、第1センサーデバイス20Xは、第1出力期間の直前の第1タイミングにおいて第1検出回路60Xから取得された第1検出データSD1をマイクロコントローラー80に出力する。第2センサーデバイス20Yは、第2出力期間の直前の第2タイミングにおいて第2検出回路60Yから取得された第2検出データSD2をマイクロコントローラー80に出力する。
しかしながら、上述の第1タイミングと第2タイミングは時間的にずれたタイミングであるため、第1検出データSD1の取得タイミングと第2検出データSD2の取得タイミングが時間的にずれてしまい、検出データの取得タイミングが同期しなくなってしまう。第1センサーデバイス20X、第2センサーデバイス20Yが、各々、X軸角速度センサーデバイス、Y軸角速度センサーデバイスである場合を例にとると、X軸角速度データの取得タイミングと、Y軸角速度データの取得タイミングが時間的にずれてしまう。従って、これらのX軸角速度データとY軸角速度データにより、移動体などの計測対象物の姿勢情報を計測する場合に、正確な姿勢情報を計測できなくなってしまう。
この点、本実施形態によれば、第1センサーデバイス20X、第2センサーデバイス20Yは、共通の同期信号SYCを用いて第1検出回路60X、第2検出回路60Yから取得された第1検出データSD1、第2検出データSD2を、マイクロコントローラー80に出力できる。即ち、第1検出データSD1と第2検出データSD2の取得タイミングを同期化できる。角速度センサーデバイスを例にとれば、共通の同期タイミングで取得されたX軸角速度データとY軸角速度データをマイクロコントローラー80に出力できる。従って、これらのX軸角速度データとY軸角速度データにより、計測対象物の姿勢情報を計測する場合に、より正確で高精度に姿勢情報を計測することが可能になる。
また本実施形態の第2の比較例の手法として、マイクロコントローラー80が複数のセンサーデバイスを共通宛先とするコマンドを発行した場合に、そのコマンド発行により特定される共通の取り込みタイミングで、各検出回路からの検出データを取得し、マイクロコントローラー80に出力する手法も考えられる。例えばコマンドの解釈の結果、複数のセンサーデバイスを共通宛先とするコマンドであると判断したタイミングで、各検出回路からの検出データを取得し、マイクロコントローラー80に出力する。
しかしながら、マイクロコントローラー80のコマンドの発行は、一定期間毎に行われるものではなく、発行タイミングに時間的なゆらぎがある。このため検出データの取得タイミングにもゆらぎが生じ、このゆらぎが原因となって、センサーモジュール10を用いて取得される計測対象物の姿勢情報等の情報が、不正確で不適切なものになってしまう。マイクロコントローラー80は、センサーデバイスへのコマンド発行処理のみならず、他の様々な処理を行っている。このため優先度が高い割り込み要求があった場合には、その割り込み処理が優先されて実行され、センサーデバイスへのコマンド発行処理がウェイトされてしまう。従って、他の割り込み要求が原因となって、センサーデバイスへのコマンド発行のタイミングにも時間的なゆらぎが生じ、検出データの取得タイミングにも時間的なゆらぎが生じてしまう。
この点、本実施形態によれば、マイクロコントローラー80で行われている処理には依存せずに、同期信号SYCを用いて検出回路から検出データを取得して、マイクロコントローラー80に出力できる。例えばマイクロコントローラー80が、割り込みの優先度が高い処理を行っていても、それとは無関係に、同期信号SYCの同期タイミングで検出データを取得できる。従って、上記のような検出データの取得タイミングに時間的なゆらぎが発生する問題を防止できるようになる。
例えば本実施形態では、第1インターフェース70Xは、同期信号SYCの同期タイミングで第1検出回路60Xから取り込まれた第1検出データSD1をマイクロコントローラー80に出力する。第2インターフェース70Yは、同期信号SYCの同期タイミングで第2検出回路60Yから取り込まれた第2検出データSD2をマイクロコントローラー80に出力する。
このようにすれば、第1インターフェース70Xは、同期タイミングで取り込まれた第1検出データSD1をレジスター等に保持しておくことができる。そしてマイクロコントローラー80が検出データの読み出しコマンドを発行した場合に、保持された第1検出データSD1をマイクロコントローラー80に出力できる。従って、マイクロコントローラー80のコマンド発行タイミングには依存しない同期信号SYCの同期タイミングにおいて、第1検出回路60Xから第1検出データSD1を取得して、コマンドが発行された際にマイクロコントローラー80に出力できる。同様に、第2インターフェース70Yは、同期タイミングで取り込まれた第2検出データSD2をレジスター等に保持しておくことができる。そしてマイクロコントローラー80が検出データの読み出しコマンドを発行した場合に、保持された第2検出データSD2をマイクロコントローラー80に出力できるようになる。従って、コマンド発行タイミングには依存しない同期タイミングにおいて、第2検出回路60Yから第2検出データSD2を取得して、コマンドが発行された際にマイクロコントローラー80に出力できるようになる。従って第2の比較例の手法において問題となっていた検出データの取得タイミングの時間的なゆらぎの問題を防止できる。
また図18に示すようにマイクロコントローラー80は、デジタルインターフェース82、処理回路90、信号処理回路92、割り込みコントローラー94、ホストインターフェース96を含む。デジタルインターフェース82は、センサーデバイスとのインターフェース処理を行う回路である。即ち、第1インターフェース70X、第2インターフェース70Yとの間でマスターとしてのインターフェース処理を行う。デジタルインターフェース82は、端子TMを介してデジタルインターフェースバスBSに接続される。デジタルインターフェース82は、第1インターフェース70X、第2インターフェース70Yと同様に、SPI又はI2Cの通信規格、又はこれを発展させたり一部を改良又は改変した通信規格のインターフェース処理を行う。
処理回路90は、マイクロコントローラー80のコアCPUに対応する回路であり、各種の演算処理や制御処理を実行する。処理回路90は、各種のレジスターを有するレジスター部91を含む。信号処理回路92は、フィルター処理や補正処理などのデジタル信号処理を行う回路であり、DSPなどにより実現できる。具体的には信号処理回路92は、検出データに対して最新のJ個の検出データの移動平均を計算した後、1/Kのレート(J、Kは2以上の整数)にダウンサンプリングする処理を行う。また信号処理回路92は、フィルター処理後の検出データに対する温度補正等の補正処理を行う。そして処理回路90は、補正処理後の検出データを、レジスター部91に格納する処理を行う。そして処理回路90は、検出データの準備完了信号である信号DRDYを生成して、端子TRを介して、ホストデバイス210に信号DRDYを出力する。この信号DRDYは、信号処理回路92でのデジタル信号処理が完了したことを知らせる信号である。
レジスター部91は、外部よりアクセス可能な複数のレジスターを有する。例えばホストデバイス210は、ホストインターフェース96を介してレジスター部91のデータレジスターにアクセスして、検出データを読み出すことができる。なお処理回路90は、検出データのデータレジスターの更新回数のカウント処理を行う。そしてカウントされた更新回数を、レジスター部91の更新回数レジスターに書き込む。これによりホストデバイス210は、マイクロコントローラー80から読み出した検出データが、何番目のデータであるのかを特定できる。
割り込みコントローラー94は各種の割り込み要求を受け付ける。そして優先順位と割り込みレベルに従って、処理回路90に対して、割り込み要求、割り込みレベル、ベクター番号を知らせる信号を出力する。割り込みコントローラー94には、割り込み要求信号の1つとして同期端子TSを介して外部同期信号EXSYCが入力される。処理回路90は、外部同期信号EXSYCによる割り込み要求が受け付けられると、対応する割り込み処理を実行する。なお割り込み要求としては、ホストインターフェース96のSPIやUARTによる割り込み要求、各種タイマーによる割り込み要求、I2Cによる割り込み要求などがある。ホストインターフェース96は、ホストデバイス210とのデジタルのインターフェース処理を行う回路である。例えばホストインターフェース96は、SPIやUARTなどのシリアルデータ通信を、ホストインターフェース処理として行う。
図19はセンサーモジュール10の動作を説明する信号波形図である。図19に示すように外部同期信号EXSYCが同期タイミング毎にアクティブになる。即ち所定の時間間隔毎にアクティブになる。そして外部同期信号EXSYCは、同期信号SYCとして第1センサーデバイス20X、第2センサーデバイス20Yの第1同期端子TS1、第2同期端子TS2に入力される。すると外部同期信号EXSYCである同期信号SYCがアクティブ(Hレベル)になる同期タイミングt1において、図19のE2に示すように第1検出回路60Xの第1検出データSSD1、第2検出回路60Yの第2検出データSSD2が取り込まれる。具体的には後述の図20のレジスター67に取り込まれる。なお図19では第n検出回路の第nの検出データSSDnについても示されている。
本実施形態では第1センサーデバイス20Xと第2センサーデバイス20Yは、別個のクロック信号に基づいて動作している。例えば各センサーデバイスが内蔵する発振回路からのクロック信号や、各センサーデバイスが有する水晶振動子などの振動子を用いて生成されたクロック信号に基づいて、各センサーデバイスが動作する。このため図19のE2に示すように、各センサーデバイスの検出回路からは、お互いに非同期で検出データが出力される。本実施形態では、これらの検出データを、同じ同期タイミングの同期信号SYCでラッチして取り込む。そしてE3に示すように、取り込まれた検出データは、第1検出データSD1、第2検出データSD2として、第1センサーデバイス20X、第2センサーデバイス20Yからマイクロコントローラー80に出力される。なお、実際には後述するようにマイクロコントローラー80が読み出しコマンドを発行し、この読み出しコマンドに基づいて、第1検出データSD1、第2検出データSD2が出力される。
一方、本実施形態では、外部同期信号EXSYCは同期端子TSを介してマイクロコントローラー80にも入力されている。そして図19のE1で外部同期信号EXSYCがアクティブになると、割り込みコントローラー94がこれを受け付け、E4に示すように信号SYCINTによる割り込み処理が開始する。そしてE3で出力された検出データが、E5に示すように、検出データSDATとしてデジタルインターフェース82を介してマイクロコントローラー80に取り込まれる。次にE6に示すように信号処理回路92によるデジタル信号処理が開始する。例えば移動平均などのフィルター処理が実行され、その後に温度補正などの補正処理が実行され、E7に示すように補正処理後の検出データSDATCが生成される。するとデジタル信号処理が完了し、データの準備完了を知らせる信号DRDYが、端子TRを介してホストデバイス210に出力される。そしてホストデバイス210がホストインターフェース96を介してレジスター部91にアクセスすることで、E9に示すように検出データSDATQがホストデバイス210に出力される。
同様に、次の同期タイミングt2でE11に示すように外部同期信号EXSYCがアクティブになると、E12に示すように各センサーデバイスの検出回路からの検出データが取り込まれ、E13に示すように各センサーデバイスから各検出データが出力される。そしてE14、E15、E16、E17に示すように、マイクロコントローラー80では割り込み処理やデジタル信号処理が行われ、E18、E19に示すように信号DRDYが出力されて、検出データSDATQが出力される。また次の同期タイミングt3でE21に示すように外部同期信号EXSYCがアクティブになると、E22、E23に示すように各センサーデバイスでの検出データの取り込みと出力が行われ、E24に示すようにマイクロコントローラー80での各処理が行われる。図19のE25、E26、E27、E28においても同様の処理が行われる。
以上のように本実施形態では、E2、E12、E22、E26に示すように、複数のセンサーデバイスの各センサーデバイスが、外部同期信号EXSYCによる同一の同期タイミングで、検出回路からの検出データを取り込む。従って複数のセンサーデバイスからの検出データが、同じ同期タイミングで取得された検出データであることが保証される。3軸の角速度センサーデバイスを例にとれば、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データが、同じ同期タイミングで取得された検出データであることが保証される。従って、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データにより、計測対象物の姿勢情報等を求める場合に、より適切で正確な姿勢情報等を計測できるようになる。
図20はセンサーデバイス20の構成例である。センサーデバイス20(20X、20Y)は、センサー素子50(50X、50Y)、検出回路60(60X、60Y)、処理回路66、インターフェース70(70X、70Y)を含む。検出回路60は、センサー素子50からの信号を増幅する増幅回路63を有するアナログ回路62と、アナログ回路62からのアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換回路64を含む。処理回路66はレジスター67を含む。インターフェース70は、パラレル/シリアル変換回路72、シリアル/パラレル変換回路74、インターフェースの制御処理を行う制御回路76を含む。なおマイクロコントローラー80のデジタルインターフェース82(83、84)、ホストインターフェース96の構成もインターフェース70と同様の構成になる。
A/D変換回路64は、周波数f1のクロック信号ADCKに基づき、アナログ回路62からのアナログの検出信号をサンプリングして、A/D変換を行う。そして周波数f1に対応する出力サンプリングレートで、検出データADQを出力する。するとレジスター67は、周波数f2の同期信号SYCに基づいて、A/D変換回路64からの検出データADQを取り込む。具体的には図19のE2、E12、E22、E26に示すように、レジスター67は同期信号SYCの同期タイミングで検出データADQをラッチして保持する。A/D変換回路64のA/D変換の分解能がkビットである場合に、検出データADQは例えばkビットのパラレルデータである。そして、レジスター67に保持された検出データADQは、インターフェース70のパラレル/シリアル変換回路72によりシリアルデータに変換されて、データ出力信号SDOとしてマイクロコントローラー80に出力される。なおマイクロコントローラー80からのデータ入力信号SDIのシリアルデータは、シリアル/パラレル変換回路74によりパラレルデータに変換される。
ここで同期信号SYCの周波数f2は、例えば1KHz以下であり、一例としては100Hz程度であるため、A/D変換回路64のクロック信号ADCKの周波数f1に比べて十分に低い。従って、周波数f1の出力サンプリングレートでA/D変換回路64から時系列に次々に出力される検出データの中から、同期信号SYCに基づく適正な同期タイミングでの検出データを、レジスター67にラッチして保持しておくことができる。これにより、他の割り込み処理が原因となって、マイクロコントローラー80のコマンド発行のタイミングに時間的なゆらぎが発生したとしても、適切な同期タイミングでレジスター67にラッチされた検出データを、コマンド発行時にデータ出力信号SDOとして出力できるようになる。
以上のように本実施形態では、図18に示すように、同期信号線LSYがマイクロコントローラー80に電気的に接続される。具体的には同期信号線LSYがマイクロコントローラー80の同期端子TSに電気的に接続される。このように同期信号線LSYが接続される同期端子TSを設けることで、同期信号SYCである外部同期信号EXSYCを、センサーデバイス20のみならずマイクロコントローラー80にも入力できる。これによりマイクロコントローラー80は、外部同期信号EXSYCをトリガーとして、センサーデバイス20へのコマンドの発行処理を実行したり、センサーデバイス20からの検出データの読み出し処理を実行できるようになる。
また本実施形態ではマイクロコントローラー80は、割り込みコントローラー94を含み、割り込みコントローラー94に対して外部同期信号EXSYCが入力される。このようにすればマイクロコントローラー80は、外部同期信号EXSYCを割り込み要因として外部同期信号EXSYCに対応する割り込み処理を実行できる。即ち外部同期信号EXSYCを割り込み要求信号としてセンサーデバイス20へのコマンドの発行処理を実行したり、センサーデバイス20からの検出データの読み出し処理を実行できるようになる。
またマイクロコントローラー80は、処理回路90を含み、処理回路90は外部同期信号EXSYCを割り込み要因として、第1センサーデバイス20Xからの第1検出データSD1、及び、第2センサーデバイス20Yからの第2検出データSD2を取得するコマンドの発行処理を行う。即ち第1検出データSD1、第2検出データSD2を読み出すコマンドの発行処理を実行する。このようにすれば処理回路90は、優先順位が高い他の割り込み要求がないかを判断し、このような割り込み要求がない場合に外部同期信号EXSYCによる割り込み処理であるコマンド発行処理を実行できるようになる。一方、優先順位が高い他の割り込み要求がある場合には、その割り込み要求の処理を実行した後に、第1検出データSD1、第2検出データSD2を読み出すコマンドの発行処理を実行できる。そしてこのように優先順位が高い割り込み要求の処理を行うことで、コマンドの発行タイミングに時間的なゆらぎが生じても、検出データについては同期タイミングで取り込まれているため、当該時間的なゆらぎに起因する問題は生じないようになる。
また本実施形態では、マイクロコントローラー80は、第1センサーデバイス20Xからの第1検出データSD1及び第2センサーデバイス20Yからの第2検出データSD2に対してデジタル信号処理を行う信号処理回路92を含む。そして信号処理回路92は、外部同期信号EXSYCの同期タイミング毎にデジタル信号処理を行う。例えばフィルター処理や補正処理などのデジタル信号処理を実行する。例えば図19のE1に示すように外部同期信号EXSYCがアクティブになると、E6に示すように信号処理回路92がデジタル信号処理を実行する。次にE11に示すように外部同期信号EXSYCがアクティブになると、E16に示すように信号処理回路92がデジタル信号処理を実行する。即ち、E1、E11に示す外部同期信号EXSYCの同期タイミング毎に、信号処理回路92がデジタル信号処理を実行する。このようにすれば、E1の同期タイミングにおいて、検出回路60から取得された検出データに対して、E1の同期タイミングに対応するE6のタイミングにおいて、信号処理回路92がデジタル信号処理を実行できる。同様に、E11の同期タイミングにおいて、検出回路60から取得された検出データに対して、E11の同期タイミングに対応するE16のタイミングにおいて、信号処理回路92がデジタル信号処理を実行できる。従って適切な同期タイミングで取得された検出データに対して、その同期タイミングに対応するタイミングでデジタル信号処理を実行できるようになる。
また本実施形態では、図2に示すように複数の加速度センサーデバイスを設けた場合に、複数の加速度センサーデバイスに対して、共通の同期信号SYCを入力する。例えば上述した第1の比較例の手法では、加速度データの平均値の算出に使用する複数の加速度データの取り込みタイミングが、異なったタイミングになってしまうため、適正な平均値を求めることができないという問題がある。この点、本実施形態によれば、同じ座標軸についての加速度データを複数の加速度センサーデバイスを用いて検出して、その平均値を求める場合に、同期信号SYCによる同じ同期タイミングで取り込まれた複数の加速度データを用いて、平均値を求めることができるため、適正な平均値を求めることができる。
また本実施形態では、図3のように、同じ座標軸用に複数の角速度センサーデバイスを設けた場合に、複数の角速度センサーデバイスに対して、共通の同期信号SYCを入力する。このようにすれば、同じ座標軸についての角速度データを複数の角速度センサーデバイスを用いて検出し、その平均値を求める場合に、同期信号SYCによる同じ同期タイミングで取り込まれた角速度データに基づいて平均値を求めることができるため、適正な平均値を求めることが可能になる。
例えば前述した図4に示すX軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データは、同期信号SYCによる共通の同期タイミングにおいて各角速度センサーデバイスの検出回路から取り込まれた角速度データである。また図5のX軸加速度データ、Y軸加速度データ、Z軸加速度データは、同期信号SYCによる共通の同期タイミングにおいて加速度センサーデバイス40の検出回路から取り込まれた加速度データである。また図7において、期間TA1で第1加速度センサーデバイス40Aが出力するX軸加速度データと、期間TB1で第2加速度センサーデバイス40Bが出力するX軸加速度データは、共通の同期タイミングにおいて各加速度センサーデバイスの検出回路から取り込まれた加速度データである。期間TA2でのY軸加速度データと期間TB2でのY軸加速度データも、共通の同期タイミングで取り込まれた加速度データであり、期間TA3でのZ軸加速度データと期間TB3でのZ軸加速度データも、共通の同期タイミングで取り込まれた加速度データである。この共通の同期タイミングでの加速度データの取り込みは、第1加速度センサーデバイス40A、第2加速度センサーデバイス40Bに対して共通の同期信号SYCを入力することで実現される。このようにすることで、期間TA1のX軸加速度データと期間TB1のX軸加速度データの平均値を求める場合に、当該平均値の精度の向上を図れる。同様に期間TA2のY軸加速度データと期間TB2のY軸加速度データの平均値や、期間TA3のZ軸加速度データと期間TB3の軸加速度データの平均値を求める場合に、当該平均値の精度の向上を図れる。
4.計測システム
図21に本実施形態の計測システム200の構成例を示す。計測システム200はセンサーモジュール10と、センサーモジュール10に電気的に接続されているホストデバイス210を含む。またGPS受信部220、GPS受信用のアンテナ222、発振器230を含むことができる。図21ではセンサーモジュール10は6軸の慣性計測装置(IMU)として用いられている。ホストデバイス210はMPU等の各種のプロセッサーにより実現できる。なおホストデバイス210をASICの集積回路装置により実現してもよい。ホストデバイス210は、デジタル信号処理を実行するDSP212(デジタルシグナルプロセッサー)と、クロック信号を生成するクロック信号生成回路213を含む。
GPS受信部220は、アンテナ222を介してGPS衛星からの信号を受信する。即ち位置情報が重畳された衛星信号をGPS搬送波として受信する。GPS受信部220は、GPS受信機であり、GPSの受信回路を含む集積回路装置により実現できる。ホストデバイス210は、GPS受信部220が受信した信号に基づいて、移動体等の計測対象物の位置、速度、方位を表すGPS測位データを検出する。計測対象物の位置は緯度、経度又は高度などである。このGPS測位データには、受信状態や受信時刻等を示すステータスデータも含まれている。またホストデバイス210は、センサーモジュール10からの加速度データ及び角速度データを受け、これらのデータに対して慣性航法演算処理を行い、慣性航法測位データを求める。慣性航法測位データは、計測対象物の加速度データ及び姿勢データを含む。そしてホストデバイス210は、求められた慣性航法測位データとGPS測位データに基づいて、計測対象物の位置等を算出する。計測対象物が自動車等の移動体である場合には、移動体が地面のどの位置を走行しているかを算出する。なお、このような計測対象物の位置や姿勢の演算処理は、DSP212を用いたカルマンフィルター処理により実現できる。
発振器230は、水晶振動子などの振動子を用いて発振クロック信号を生成する。発振器230は、例えば温度補償型発振器(TCXO)である。或いは発振器230として恒温槽を備える恒温槽型発振器(OCXO)などを用いてもよい。クロック信号生成回路213は、発振器230からの発振クロック信号に基づき、ホストデバイス210で用いられる各種のクロック信号を生成する。この場合にクロック信号生成回路213は、GPS等の衛星測位システムから取得された信号である時刻基準信号に基づいて、クロック信号を生成する。例えばクロック信号の1つとして外部同期信号EXSYCを生成する。
ホストデバイス210は、GPS受信部220が受信した衛星信号に含まれる時刻情報に基づいて、正確な絶対時刻情報を取得できる。時刻情報は年、月、日、時、分、秒等の情報である。そしてGPS受信部220は、時刻基準信号として1秒ごとにパルスが発生するPPS信号を出力する。クロック信号生成回路213は、発振器230からの発振クロック信号により動作するPLL回路により構成され、PLL回路には、PPS信号がクロック同期用の基準信号として入力される。そしてPLL回路は、時刻基準信号であるPPS信号に同期したクロック信号を生成する。ホストデバイス210は、このようにして時刻基準信号に同期した外部同期信号EXSYCをセンサーモジュール10に出力する。
以上のように本実施形態では、外部同期信号EXSYCは、時刻基準信号に基づき生成された信号になっている。これにより、時刻基準信号に基づき生成された外部同期信号EXSYCを用いて、センサーデバイスでの検出データを取得できるようになる。即ち、時刻基準信号に基づき生成された外部同期信号EXSYCを用いることで、正確な時刻に同期したタイミングで、センサーデバイスの検出回路からの検出データを取得できるようになる。従って、正確な時刻に同期した適切なタイミングで取得された検出データを、マイクロコントローラー80に出力することができ、センサーモジュール10を用いて計測される情報の高精度化を図れる。
例えばホストデバイス210は、GPS受信部220が受信した衛星信号を用いることで、正確な絶対時刻情報を取得できる。従って、外部同期信号EXSYCの各同期タイミングの絶対時刻についても特定できる。そしてセンサーモジュール10からは、外部同期信号EXSYCの同期タイミングで取得された検出データが出力される。またセンサーデバイスでの検出データの取得タイミングから、当該検出データがホストデバイス210に入力されるタイミングまでの遅延時間は、デジタル処理による遅延時間であるため、ホストデバイス210は、その遅延時間の長さであるクロック数を特定できる。従って、ホストデバイス210は、センサーモジュール10から入力された加速度データや角速度データなどの検出データが、どの時刻で取得された検出データなのかを特定できる。そして、前述したようにホストデバイス210は、衛星信号に基づき求められたGPS測位データと、センサーモジュール10からの検出データに基づき求められた慣性航法測位データとに基づいて、計測対象物の位置等を算出している。従って、加速度データや角速度データなどの検出データの取得タイミングの絶対時刻を特定できることで、計測対象物の位置等を正確に算出できるようになる。
また本実施形態では、時刻基準信号は、例えば衛星測位システムから取得された信号である。例えば時刻基準信号は、衛星測位システムから取得されたPPS信号などである。このようにすれば、衛星測位システムを有効活用にして時刻基準信号を取得し、取得された時刻基準信号に基づき生成された外部同期信号EXSYCを用いて、センサーデバイスでの検出データを取得することが可能になる。
なお以上では、衛星測位システムがGPS(Global Positioning System)である場合を例にとり説明したが、衛星測位システムとして、他の全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用してもよい。例えばEGNOS(European Geostationary Navigation Overlay Service)、QZSS(Quasi Zenith Satellite System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、GALILEO、BeiDou(BeiDou Navigation Satellite System)などの衛星測位システムのうちの1又は2以上を利用してもよい。また、衛星測位システムの少なくとも1つにWAAS(Wide Area Augmentation System)、EGNOS(European Geostationary Satellite Navigation Overlay Service)などの静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS:Satellite Based Augmentation System)を利用してもよい。また時刻基準信号は、衛星測位システムから取得された信号には限定されない。例えば原子発振器などの高精度な発振器を用いて時刻基準信号を生成したり、ネットワークを用いて絶対時刻を取得することで時刻基準信号を生成してもよい。
5.センサーモジュールの具体例
図22はセンサーモジュール10の具体例を示す分解斜視図である。図22のセンサーモジュール10は、回路基板100、インナーケース120、環状の緩衝材130、アウターケース140を含み、これによりセンサーユニットが構成されている。センサーモジュール10は、アウターケース140の内部に、環状の緩衝材130を介在させて、回路基板100を搭載した構成となっている。回路基板100には角速度センサーデバイス、加速度センサーデバイスなどのセンサーデバイスが搭載されている。
センサーモジュール10は、平面形状が四角形状の直方体であり、四角形の対角方向に位置する2箇所の頂点近傍に、固定部としてのネジ穴142、144が形成されている。これらのネジ穴142、144に2本のネジを通して、自動車などの計測対象物の装着面に対して、センサーモジュール10を固定した状態で使用する。センサーモジュール10の上面視における表面には、開口部122が形成されている。開口部122の内部には、プラグ型のコネクター110が配置される。コネクター110は、複数のピンが並んで配置されている。このコネクター110には、ソケット型のコネクターが接続されて、センサーモジュール10への電源供給や、センサーモジュール10が検出した検出データの出力などの電気信号の送受信が行われる。アウターケース140は、例えばアルミニウムを箱状に削り出した台座である。アウターケース140の外形は、前述したセンサーモジュール10の全体形状と同様に、平面形状が四角形状の直方体である。但しアウターケース140の外形の平面形状は、例えば6角形や8角形などの多角形であってもよいし、その多角形の頂点部分の角部が面取りされていたり、各辺が曲線状であったり、外形が円形状であってもよい。
なお図22において、インナーケース120の底面側には凹部121が設けられている。そして回路基板100の厚み方向からみた平面視(Z軸の負方向での平面視)において、凹部121と重なる領域に、角速度センサーデバイスや加速度センサーデバイスを含むセンサーデバイス群が配置されている。そして回路基板100と凹部121により形成される空間に充填部材が充填されて固化される。これにより回路基板100及びセンサーデバイス群の一部分又は全部が充填部材に覆われるようになり、共振周波数を外部からのノイズ振動の帯域から外すようにシフトさせることなどが可能になる。
6.角速度センサーデバイス
図23に角速度センサーデバイス30の詳細な構成例を示す。角速度センサーデバイス30は、振動子56、駆動回路58、検出回路60、処理回路66、インターフェース70を含む。駆動回路58は、振動子56からのフィードバック信号DGが入力されて信号増幅を行う増幅回路や、自動ゲイン制御を行うAGC回路や、駆動信号DSを振動子56に出力する出力回路などを含むことができる。例えばAGC回路は、振動子56からのフィードバック信号DGの振幅が一定になるように、ゲインを可変に自動調整する。出力回路は、例えば矩形波の駆動信号DSを振動子56に出力する。検出回路60は増幅回路、同期検波回路、A/D変換回路等を含むことができる。増幅回路は、振動子56からの検出信号S1、S2が入力されて、差動信号である検出信号S1、S2の電荷-電圧変換や信号増幅を行う。同期検波回路は、駆動回路58からの同期信号を用いて、所望波を抽出するための同期検波を行う。A/D変換回路は、同期検波後のアナログの検出信号をデジタルの検出データに変換して、処理回路66に出力する。処理回路66は、検出データに対するゼロ点補正、感度調整、フィルター処理、温度補正等の各種の処理を行い、処理後の検出データをインターフェース70に出力する。
図23では、振動子56としてダブルT型構造の振動子を用いている。なお振動子56として音叉型又はH型等の振動子を用いてもよい。振動子56は、駆動アーム38A、38B、38C、38Dと、検出アーム39A、39Bと、基部31と、連結アーム32A、32Bを有する。矩形状の基部31に対して+y軸方向、-y軸方向に検出アーム39A、39Bが延出している。また基部31に対して+x軸方向、-x軸方向に連結アーム32A、32Bが延出している。そして連結アーム32Aに対して、その先端部から+y軸方向、-y軸方向に駆動アーム38A、38Bが延出しており、連結アーム32Bに対して、その先端部から+y軸方向、-y軸方向に駆動アーム38C、38Dが延出している。駆動アーム38A、38B、38C、38D、検出アーム39A、39Bの先端側には周波数調整用の錘部が設けられている。z軸を振動子56の厚さ方向とすると、振動子56は、z軸回りでの角速度を検出する。
駆動アーム38A、38Bの上面及び下面には、駆動電極33が形成され、駆動アーム38A、38Bの右側面及び左側面には、駆動電極34が形成される。駆動アーム38C、38Dの上面及び下面には、駆動電極34が形成され、駆動アーム38C、38Dの右側面及び左側面には駆動電極33が形成される。そして駆動回路58からの駆動信号DSは駆動電極33に供給され、駆動電極34からのフィードバック信号DGが駆動回路58に入力される。検出アーム39Aの上面及び下面には、検出電極35が形成され、検出アーム39Aの右側面及び左側面には、接地電極37が形成される。検出アーム39Bの上面及び下面には、検出電極36が形成され、検出アーム39Bの右側面及び左側面には、接地電極37が形成される。そして検出電極35、36からの検出信号S1、S2は検出回路60に入力される。
次に角速度センサーデバイス30の動作を説明する。駆動回路58により駆動電極33に対して駆動信号DSが印加されると、駆動アーム38A、38B、38C、38Dは、逆圧電効果により図23の矢印C1に示すような屈曲振動を行う。例えば実線の矢印で示す振動姿態と点線の矢印で示す振動姿態を所定の周波数で繰り返す。即ち、駆動アーム38A、38Cの先端が互いに接近と離間を繰り返し、駆動アーム38B、38Dの先端も互いに接近と離間を繰り返す屈曲振動を行う。このとき駆動アーム38A及び38Bと駆動アーム38C及び38Dとが、基部31の重心位置を通るx軸に対して線対称の振動を行っているので、基部31、連結アーム32A、32B、検出アーム39A、39Bはほとんど振動しない。
この状態で、振動子56に対してz軸を回転軸とした角速度が加わると、コリオリ力により駆動アーム38A、38B、38C、38Dは矢印C2に示すように振動する。即ち、矢印C1の方向とz軸の方向とに直交する矢印C2の方向のコリオリ力が、駆動アーム38A、38B、38C、38Dに作用することで、矢印C2の方向の振動成分が発生する。この矢印C2の振動が連結アーム32A、32Bを介して基部31に伝わり、これにより検出アーム39A、39Bが矢印C3の方向で屈曲振動を行う。この検出アーム39A、39Bの屈曲振動による圧電効果で発生した電荷信号が、検出信号S1、S2として検出回路60に入力されて、z軸回りでの角速度が検出されるようになる。
7.加速度センサーデバイス
図24に加速度センサーデバイス40に設けられる加速度センサー素子600の構成例を示す。加速度センサー素子600は、センサーモジュール10の検出軸方向であるX軸方向又はY軸方向の加速度の検出に用いられるセンサー素子である。図24では加速度センサー素子600は、その検出軸方向であるx軸方向の加速度Axを検出できる。加速度センサー素子600は、基部602と、基部602に設けられ、加速度Axを検出する素子部603を有している。素子部603は、基部602に取り付けられている固定電極部640と、基部602に対して、加速度センサー素子600の検出軸方向であるx軸方向(第1方向)に変位可能な可動部652と、可動部652に設けられている可動電極部660と、を有している。また、固定電極部640は、y軸方向(第2方向)に沿って並んで配置されている第1固定電極部641及び第2固定電極部642を有している。第1固定電極部641は、第1幹部643と、第1幹部643のy軸方向の両側に設けられ、長手方向がy軸方向に沿っている複数の第1固定電極指644と、を有している。第2固定電極部642は、第2幹部645と、第2幹部645からy軸方向の両側に設けられ、長手方向がy軸方向に沿っている複数の第2固定電極指646と、を有している。また、可動電極部660は、y軸方向に沿って並んで配置されている第1可動電極部661及び第2可動電極部662を有している。第1可動電極部661の少なくとも一部は、第1幹部643のy軸方向の両側に位置され、長手方向がy軸方向に沿って、第1固定電極指644とx軸方向に対向している複数の第1可動電極指664を有している。また、第2可動電極部662の少なくとも一部は、第2幹部645のy軸方向の両側に位置され、長手方向がy軸方向に沿って、第2固定電極指646とx軸方向に対向している複数の第2可動電極指666を有している。このような構成とすることで、第1可動電極指664と第1固定電極指644の間の静電容量、第2可動電極指666と第2固定電極指646の間の静電容量を十分に大きく保ちつつ、第1、第2固定電極指644、646及び第1、第2可動電極指664、666をそれぞれ短くすることができる。そのため、第1、第2固定電極指644、646、第1、第2可動電極指664、666が破損し難く、優れた耐衝撃性を有する加速度センサー素子600となる。
なお加速度センサー素子600は図24の線LAに対して線対称の構造となっている。また第1幹部643の方向は線LA1の方向に沿っており、第2幹部645の方向は線LA2の方向に沿っている。また第1固定電極部641、第2固定電極部642は、各々、配線671、672を介してパッド674、675に電気的に接続される。可動電極部660は、可動部支持部651及び配線673を介してパッド676に電気的に接続される。また加速度センサーデバイス40では、図24の加速度センサー素子600が、X軸加速度検出用のセンサー素子として、x軸方向がX軸方向となるように配置される。また加速度センサーデバイス40には、加速度センサー素子600が、Y軸加速度検出用のセンサー素子として、x軸方向がY軸方向になるように配置される。
図25に、加速度センサーデバイス40に設けられるZ軸加速度検出用の加速度センサー素子700の構成例を示す。加速度センサー素子700は、その検出軸である図25のz軸方向での加速度を検出できる。加速度センサー素子700は、支持部730により支持される可動体720を含む。可動体720は、平面視において支持軸Qの一方側(-x軸方方向側)に位置する第1可動部720aと、平面視において支持軸Qの他方側(+x軸方向側)に位置する第2可動部720bを含む。
可動体720に、重力加速度等の鉛直方向の加速度が加わった場合、第1可動部720aと第2可動部720bの各々に回転モーメントが生じる。ここで、第1可動部720aの回転モーメント(例えば反時計回りの回転モーメント)と、第2可動部720bの回転モーメント(例えば時計回りの回転モーメント)とが均衡した場合には、可動体720の傾きに変化が生じず、加速度を検出することができない。従って、鉛直方向の加速度が加わったときに、第1可動部720aの回転モーメントと、第2可動部720bの回転モーメントとが均衡せず、可動体720に所定の傾きが生じるように、可動体720が構成される。この加速度センサー素子700では、支持軸Qを、可動体720の重心から外れた位置に配置することによって、第1可動部720a、第2可動部720bが互いに異なる質量を有するようになっている。即ち、可動体720は、支持軸Qを境にして、第1可動部720a側と第2可動部720b側とで質量が異なる。図示の例では、支持軸Qから第1可動部720aの端面723までの距離は、支持軸Qから第2可動部720bの端面724までの距離よりも大きい。また第1可動部720aの厚さと、第2可動部720bの厚さは等しい。従って第1可動部720aの質量は第2可動部720bの質量よりも大きい。このように第1可動部720a、第2可動部720bが互いに異なる質量を有することにより、鉛直方向の加速度が加わったときに、第1可動部720aの回転モーメントと、第2可動部720bの回転モーメントと、を均衡させないことができる。従って、鉛直方向の加速度が加わったときに、可動体720に所定の傾きを生じさせることができる。
可動体720は、基板710と離間して設けられている。可動体720は、凹部711の上方に設けられている。可動体720と基板710との間には、間隙が設けられている。これにより、可動体720は、揺動することができる。可動体720は、支持軸Qを境にして設けられた第1可動電極721及び第2可動電極722を有している。第1可動電極721は、第1可動部720aに設けられ、第2可動電極722は、第2可動部720bに設けられている。第1可動電極721は、可動体720のうち、平面視において第1固定電極750と重なる部分である。第1可動電極721は、第1固定電極750との間に静電容量CB1を形成する。第2可動電極722は、可動体720のうち、平面視において第2固定電極752と重なる部分である。第2可動電極722は、第2固定電極752との間に静電容量CB2を形成する。この加速度センサー素子700では、可動体720が、不純物がドープされたシリコンなどの導電性材料で構成されることによって、第1、第2可動電極721、722が設けられている。即ち、第1可動部720aが第1可動電極721として機能し、第2可動部720bが第2可動電極722として機能している。
静電容量CB1および静電容量CB2は、例えば、可動体720が水平な状態で、互いに等しくなるように構成されている。第1、第2可動電極721、722は、可動体720の動きに応じて位置が変化する。この第1、第2可動電極721、722の位置に応じて、静電容量CB1、CB2が変化する。可動体720には、支持部730を介して、所定の電位が与えられる。また可動体720には、可動体720を貫通する貫通孔725が形成されている。これにより、可動体720が揺動する際の空気の影響を低減できる。また可動体720には、可動体720を貫通する開口部726が設けられている。支持部730は、基板710上に設けられている。支持部730は、開口部726に位置し、可動体720を支持する。第1固定電極750、第2固定電極752は、各々、配線771、772を介してパッド774、775に電気的に接続される。可動体720は、配線773を介してパッド776に電気的に接続される。
8.電子機器
図26は本実施形態の電子機器300の構成例を示すブロック図である。電子機器300は、本実施形態のセンサーモジュール10と、センサーモジュール10の出力信号に基づいて処理を行う処理部320を含む。また電子機器300は、通信部310、操作部330、表示部340、記憶部350、アンテナ312を含むことができる。
通信部310は、例えば無線回路であり、アンテナ312を介して外部からデータを受信したり、外部にデータを送信する処理を行う。処理部320は、電子機器300の制御処理や、通信部310を介して送受信されるデータの種々のデジタル処理などを行う。また処理部320は、センサーモジュール10の出力信号に基づいて処理を行う。具体的には処理部320は、センサーモジュール10の検出データ等の出力信号(出力データ)に対して補正処理やフィルター処理などの信号処理を行ったり、或いは当該出力信号に基づいて、電子機器300についての各種の制御処理を行う。この処理部320の機能は、例えばMPU、CPUなどのプロセッサーにより実現できる。操作部330はユーザーが入力操作を行うためのものであり、操作ボタンやタッチパネルディスプレイをなどにより実現できる。表示部340は各種の情報を表示するものであり、液晶や有機ELなどのディスプレイにより実現できる。記憶部350はデータを記憶するものであり、その機能はRAMやROMなどの半導体メモリーなどにより実現できる。
なお本実施形態の電子機器300は、例えばデジタルスチールカメラ又はビデオカメラ等の映像関連機器、車載機器、頭部装着型表示装置や時計関連機器などのウェアラブル機器、インクジェット式吐出装置、ロボット、パーソナルコンピューター、携帯情報端末、印刷装置、或いは投影装置等に適用できる。車載機器はカーナビゲーション装置や自動運転用の機器等である。時計関連機器は時計やスマートウォッチなどである。インクジェット式吐出装置としてはインクジェットプリンターなどがある。携帯情報端末は、スマートフォン、携帯電話機、携帯型ゲーム装置、ノートPC又はタブレット端末などである。また本実施形態の電子機器300は、電子手帳、電子辞書、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器、魚群探知機、測定機器、移動体端末基地局用機器、計器類、フライトシミュレーター、或いはネットワークサーバー等にも適用できる。医療機器は、電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡などである。計器類は車両、航空機、船舶などの計器類である。
図27は、携帯型電子機器である腕時計型の活動計400を示す平面図であり、図28は活動計400の構成例を示すブロック図である。活動計400は、バンド401によってユーザーの手首等の部位に装着される。アクティブトラッカーである活動計400は、デジタル表示の表示部402を備えると共に、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などによる無線通信が可能である。
図27、図28に示すように活動計400は、本実施形態のセンサーモジュール10が収容されたケース403と、ケース403に収容され、センサーモジュール10からの出力信号に基づいて処理を行う処理部410と、ケース403に収容されている表示部402と、ケース403の開口部を塞いでいる透光性カバー404を含む。また透光性カバー404の外側にはベゼル405が設けられ、ケース403の側面には複数の操作ボタン406、407が設けられている。センサーモジュール10には、3軸の加速度を検出する加速度センサー414と、3軸の角速度を検出する角速度センサー415が、センサーデバイスとして設けられている。なおセンサーモジュール10に、地磁気センサー412、圧力センサー413、脈拍センサー416又は温度センサー417などをセンサーデバイスとして設けてもよい。
表示部402には、種々の検出モードに応じて、GPSセンサー411や地磁気センサー412を用いて求められた位置情報や移動量、加速度センサー414や角速度センサー415を用いて求められた運動量などの運動情報、脈拍センサー416を用いて求められた脈拍数などの生体情報、現在時刻などの時刻情報が表示される。また温度センサー417を用いて求められた環境温度を表示することもできる。通信部422は、ユーザー端末などの情報端末との通信を行う。プロセッサーである処理部410はMPU、DSP、ASICなどにより実現される。処理部410は、記憶部420に記憶されるプログラムと、操作ボタン406、407などの操作部418により入力された情報とに基づき、各種の処理を実行する。処理部410が行う処理としては、GPSセンサー411、地磁気センサー412、圧力センサー413、加速度センサー414、角速度センサー415、脈拍センサー416、温度センサー417、計時部419の出力信号に基づく処理がある。また処理部410は、表示部402に画像を表示させる表示処理、音出力部421に音を出力させる音出力処理、通信部422を介して情報端末と通信を行う通信処理、バッテリー423からの電力を各部へ供給する電力制御処理なども行うことができる。
以上のような構成の本実施形態の活動計400によれば、前述したセンサーモジュール10の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。また活動計400は、GPSセンサー411を含み、ユーザーの移動距離や移動軌跡を計測することができるため、利便性の高い活動計400が得られる。なお活動計400は、ランニングウォッチ、ランナーズウォッチ、アウトドアウォッチ、或いはGPSを搭載したGPSウォッチなどに広く適用できる。
9.移動体
図29に本実施形態のセンサーモジュール10が用いられる移動体500の一例を示す。図30は移動体500の構成例を示すブロック図である。図29に示すように移動体500は、車体502や車輪504を有している。また移動体500には測位装置510が装着されており、車両制御などを行う制御装置570が内部に設けられている。また図30に示すように移動体500は、エンジンやモーター等の駆動機構580と、ディスクブレーキやドラムブレーキ等の制動機構582と、ハンドルやステアリングギアボックス等で実現される操舵機構584を有する。このように移動体500は、駆動機構580や制動機構582や操舵機構584を備えて、地上や空や海上を移動する機器・装置である。なお移動体500としては、四輪自動車やオートバイなどの自動車、自転車、電車、飛行機又は船などがあるが、本実施形態では四輪自動車を例にとり説明する。
測位装置510は、移動体500に装着されて、移動体500の測位を行う装置である。測位装置510は、センサーモジュール10と、GPS受信部520と、GPS受信用のアンテナ522と、ホストデバイス530を含む。ホストデバイス530は、位置情報取得部532と、位置合成部534と、演算処理部536と、処理部538を含む。IMUであるセンサーモジュール10は、3軸の加速度センサーと3軸の角速度センサーを有している。演算処理部536は、加速度センサー、角速度センサーからの加速度データ、角速度データを受け、これらデータに対して慣性航法演算処理を行い、慣性航法測位データを出力する。慣性航法測位データは移動体500の加速度や姿勢を表すデータである。
GPS受信部520は、アンテナ522を介してGPS衛星からの信号を受信する。位置情報取得部532は、GPS受信部520が受信した信号に基づいて、測位装置510が装着された移動体500の位置、速度、方位を表すGPS測位データを出力する。位置合成部534は、演算処理部536から出力された慣性航法測位データと、位置情報取得部532から出力されたGPS測位データとに基づいて、移動体500が地面のどの位置を走行しているかを算出する。例えばGPS測位データに含まれている移動体500の位置が同じであっても、図29に示すように地面の傾斜(θ)などの影響によって移動体500の姿勢が異なっていれば、地面の異なる位置を移動体500が走行していることになる。そのため、GPS測位データだけでは移動体500の正確な位置を算出できない。そこで位置合成部534は、慣性航法測位データのうちの特に移動体500の姿勢に関するデータを用いて、移動体500が地面のどの位置を走行しているのかを算出する。位置合成部534から出力された位置データは、処理部538によって所定の処理が行われ、測位結果として、表示部550に表示される。また位置データは通信部560によって外部装置に送信されるようになっていてもよい。
制御装置570は、移動体500の駆動機構580、制動機構582、操舵機構584の制御を行う。制御装置570は、車両制御用のコントローラーであり、例えば複数のコントロールユニットにより実現できる。制御装置570は、車両制御を行うコントロールユニットである車両制御部572と、自動運転制御を行うコントロールユニットである自動運転制御部574と、半導体メモリーなどにより実現される記憶部576を有する。監視装置578は、移動体500の周辺の障害物等の物体を監視する装置であり、周辺監視カメラ、ミリ波レーダー又はソナーなどにより実現される。
そして本実施形態の移動体500は、図30に示すように、センサーモジュール10と、制御装置570を含む。そして制御装置570は、センサーモジュール10の出力信号に基づく処理により求められた移動体500の姿勢の情報に基づいて、移動体500の姿勢の制御を行う。例えばホストデバイス530は、センサーモジュール10からの検出データを含む出力信号に基づいて、上述したような各種の処理を行って、移動体500の位置や姿勢の情報を求める。例えば移動体500の位置の情報は、上述しようにGPS測位データと慣性航法測位データとに基づき求めることができる。また移動体500の姿勢の情報は、例えば慣性航法測位データに含まれる角速度データなどに基づいて求めることができる。移動体500の姿勢の情報は、例えばローリング、ピッチング、ヨーイングの回転運動についての情報であり、ロー角、ピッチ角、ヨー角などにより表すことができる。そして制御装置570は、例えばホストデバイス530の処理により求められた移動体500の姿勢の情報に基づいて、移動体500の姿勢の制御を行う。この制御は例えば車両制御部572により行われる。この姿勢の制御は、例えば制御装置570が操舵機構584を制御することで実現できる。或いは、スリップ制御などの移動体500の姿勢を安定化させる制御においては、制御装置570が駆動機構580を制御したり、制動機構582を制御してもよい。本実施形態によれば、センサーモジュール10の出力信号により求められる姿勢の情報を、高精度に求めることができるため、移動体500の適切な姿勢制御を実現できる。
また本実施形態では、制御装置570は、センサーモジュール10の出力信号に基づく処理により求められた移動体500の位置及び姿勢の情報に基づいて、移動体500の加速、制動及び操舵の少なくとも1つを制御する。例えば制御装置570は、移動体500の位置及び姿勢の情報に基づいて、駆動機構580、制動機構582及び操舵機構584の少なくとも1つを制御する。これにより、例えば自動運転制御部574による移動体500の自動運転制御を実現できる。この自動運転制御では、移動体500の位置及び姿勢の情報に加えて、監視装置578による周囲の物体の監視結果や、記憶部576に記憶される地図情報や走行ルート情報などが用いられる。そして制御装置570は、移動体500の自動運転の実施又は不実施を、センサーモジュール10の出力信号の監視結果に基づいて切り替える。例えばホストデバイス530が、センサーモジュール10からの検出データなどの出力信号を監視する。そして例えば監視結果に基づいて、センサーモジュール10の検出精度の低下やセンシング異常が検出された場合に、制御装置570は、自動運転の実施から、自動運転の不実施に切り替える。例えば自動運転では、移動体500の加速、制動及び操舵の少なくとも1つが自動で制御される。一方、自動運転の不実施では、このような加速、制動、操舵の自動制御が実施されない。このようにすることで、自動運転を行う移動体500の走行について、より信頼性の高い支援が可能になる。なお、センサーモジュール10の出力信号の監視結果に基づいて、自動運転の自動化レベルを切り替えてもよい。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。またセンサーモジュール、センサーデバイス、角速度センサーデバイス、加速度センサーデバイス、マイクロコントローラー、計測システム、電子機器、移動体の構成、動作等も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。