以下、図面を参照しながら、X線CT装置及びX線管装置の実施形態について詳細に説明する。
なお、X線CT装置によるデータ収集方式には、X線管とX線検出器とが1体として被検体の周囲を回転する回転/回転(R-R:Rotate/Rotate)方式や、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転(S-R:Stationary/Rotate)方式等の様々な方式がある。いずれの方式でも本発明を適用可能である。以下、実施形態に係るX線CT装置では、現在、主流を占めている第3世代の回転/回転方式を採用する場合を例にとって説明する。
図1は、実施形態に係るX線CT装置の構成を示す概略図である。
図1は、実施形態に係るX線CT装置1を示す。X線CT装置1は、架台装置10、寝台装置30、及びコンソール装置40を備える。架台装置10及び寝台装置30は、検査室に設置される。架台装置10は、寝台装置30に載置された被検体(例えば、患者)Pに関するX線の検出データ(「純生データ」とも呼ばれる)を収集する。図1において、説明の便宜上、架台装置10を左側の上下に複数描画しているが、実際の構成としては、架台装置10は1つである。
コンソール装置40は、検査室に隣接する制御室に設置される。コンソール装置40は、複数ビュー分の検出データに対して前処理を施すことで生データを生成し、生データに対して再構成処理を施すことでCT画像を再構成して表示する。
架台装置10は、X線管(「X線管装置」と同義)11、X線検出器12、第1の回転部(例えば、第1の回転フレーム)13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)18、及び固定部(固定フレーム)19を備える。なお、架台装置10は、架台部の一例である。
X線管11は、第1の回転フレーム13に備えられる。X線管11は、カソード(陰極)11aと、円環状のアノード(陽極)11b(図1のグレーの部分)とを備えた真空管である。アノード11bは、銅塊の表面にターゲット(Target)を貼り付けた構造を備える。以下、アノード及びターゲットには同一符号11bを付して説明する。X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、カソード11aからターゲット11bに向けて熱電子を照射することで、ターゲット11bはX線を発生する。なお、X線管11の詳細構成については、図3~図7を用いて後述する。
なお、実施形態においては、一管球型のX線CT装置にも、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置にも適用可能である。なお、X線管11は、X線照射部の一例である。
X線検出器12は、X線管11に対向するように第1の回転フレーム13に備えられる。具体的には、X線検出器12は、X線管11の陰極によって発生されたX線が照射される位置に設けられる。X線検出器12は、X線管11から照射されたX線を検出し、当該X線量に対応した検出データを電気信号としてDAS18に出力する。X線検出器12は、例えば、X線管の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)等の光センサを有する。
なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。また、X線検出器12は、X線検出部の一例である。
第1の回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12を対向支持する。第1の回転フレーム13は、後述する制御装置15による制御の下、X線管11及びX線検出器12を一体として回転させる円環状のフレームである。なお、第1の回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に備えて支持する場合もある。また、第1の回転フレーム13は、第1の回転部の一例である。
このように、X線CT装置1は、X線管11とX線検出器12とを対向させて支持する第1の回転フレーム13を患者Pの周りに回転させることで、複数ビュー、即ち、患者Pの360°分の検出データを収集する。なお、CT画像の再構成方式は、360°分の検出データを用いるフルスキャン再構成方式には限定されない。例えば、X線CT装置1は、半周(180°)+ファン角度分の検出データに基づいてCT画像を再構成するハーフ再構成方式を採ってもよい。
X線高電圧装置14は、第1の回転フレーム13、又は、第1の回転フレーム13を回転可能に保持する非回転部分である固定フレーム19に備えられる。X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有する。X線高電圧装置14は、後述する制御装置15による制御の下、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置(図示省略)と、後述する制御装置15による制御の下、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置(図示省略)を有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、図1において、説明の便宜上、X線高電圧装置14が、X線管11に対してx軸の正方向の位置に配置されているが、X線管11に対してx軸の負方向の位置に配置されてもよい。
制御装置15は、処理回路及びメモリと、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路及びメモリの構成については、後述するコンソール装置40の処理回路44及びメモリ41と同等であるので説明を省略する。
制御装置15は、コンソール装置40又は架台装置10に取り付けられた、後述する入力インターフェース(図示省略)からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて第1の回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御や、寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に第1の回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。なお、制御装置15は、制御部の一例である。
また、制御装置15は、コンソール装置40や架台装置10に取り付けられた、後述する入力インターフェースから入力された撮像条件に基づいて、X線管11の回転角度や、後述するウェッジ16及びコリメータ17の動作を制御する。
ウェッジ16は、X線管11のX線出射側に配置されるように第1の回転フレーム13に備えられる。ウェッジ16は、制御装置15による制御の下、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から患者Pに照射されるX線が予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰させるフィルタである。例えば、ウェッジ16(ウェッジフィルタ(Wedge Filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
コリメータ17は、X線絞り又はスリットとも呼ばれ、X線管11のX線出射側に配置されるように第1の回転フレーム13に備えられる。コリメータ17は、制御装置15による制御の下、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組合せによってX線の照射開口を形成する。
DAS18は、第1の回転フレーム13に備えられる。DAS18は、制御装置15による制御の下、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、制御装置15による制御の下、電気信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog to Digital)変換器とを有し、増幅及びデジタル変換後の検出データを生成する。DAS18によって生成された、複数ビュー分の検出データは、コンソール装置40に転送される。
ここで、DAS18によって生成された検出データは、第1の回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の固定フレーム19に設けられたフォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40に転送される。なお、第1の回転フレーム13から架台装置10の固定フレーム19への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。また、第1の回転フレーム13は、回転部の一例である。
固定フレーム19は、径方向の内側に、患者Pを配置するためのボアWを形成する。固定フレーム19は、第1の回転フレーム13を回転可能に支持する。
寝台装置30は、基台31、寝台駆動装置32、天板33及び支持フレーム34を備える。寝台装置30は、スキャン対象の患者Pを載置し、制御装置15による制御の下、患者Pを移動させる装置である。
基台31は、支持フレーム34を鉛直方向(y軸方向)に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、患者Pが載置された天板33を天板33の長軸方向(z軸方向)に移動するモータ又はアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、患者Pを載置可能な形状を有する板である。
なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向(z軸方向)に移動させてもよい。また、寝台駆動装置32は、寝台装置30の基台31ごと移動させてもよい。本発明を立位CTに応用する場合、天板33に相当する患者移動機構を移動する方式であってもよい。また、ヘリカルスキャンや位置決め等のためのスキャノ撮影等、架台装置10の撮像系と天板33の位置関係の相対的な変更を伴う撮影を実行する場合は、当該位置関係の相対的な変更は天板33の駆動によって行われてもよいし、架台装置10の固定フレーム19の走行によって行われてもよく、またそれらの複合によって行われてもよい。
なお、実施形態では、非チルト状態での第1の回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をz軸方向、z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をx軸方向、z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をy軸方向とそれぞれ定義するものとする。
コンソール装置40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43、及び処理回路44を備える。なお、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。また、以下の説明では、コンソール装置40が単一のコンソールで全ての機能を実行するものとするが、これらの機能は、複数のコンソールが実行してもよい。なお、コンソール装置40は、医用画像処理装置の一例である。
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって構成される。メモリ41は、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)等の可搬型メディアによって構成されてもよい。メモリ41は、処理回路44において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、OSに、操作者に対するディスプレイ42への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力インターフェース43によって行うことができるGUI(Graphic User Interface)を含めることもできる。
メモリ41は、例えば、前処理前の検出データや、前処理後かつ再構成前の生データや、再構成後のCT画像を記憶する。前処理は、検出データに対する、対数変換処理、オフセット補正処理、チャンネル間の感度補正処理、ビームハードニング処理等のうち少なくとも1つを意味する。また、インターネット等の通信ネットワークを介してX線CT装置1と接続可能なクラウドサーバがX線CT装置1からの保存要求を受けて検出データや、生データや、CT画像を記憶するように構成されてもよい。なお、メモリ41は、記憶部の一例である。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成されたCT画像や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等である。また、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしてもよい。なお、ディスプレイ42は、表示部の一例である。
入力インターフェース43は、技師等の操作者によって操作が可能な入力デバイスと、入力デバイスからの信号を入力する入力回路とを含む。入力デバイスは、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等によって実現される。入力デバイスが操作者から入力操作を受け付けると、入力回路は当該入力操作に応じた電気信号を生成して処理回路44に出力する。また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されてもよい。なお、入力インターフェース43は、入力部の一例である。
処理回路44は、X線CT装置1の全体の動作を制御する。処理回路44は、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)の他、ASIC、及び、プログラマブル論理デバイス等を意味する。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。
また、処理回路44は、単一の回路によって構成されてもよいし、複数の独立した処理回路要素の組み合わせによって構成されてもよい。後者の場合、メモリは処理回路要素ごとに個別に設けられてもよいし、単一のメモリが複数の処理回路要素の機能に対応するプログラムを記憶するものであってもよい。
処理回路44は、メモリ41に記憶されたプログラムを実行することで、システム制御機能441、前処理機能442、及び再構成処理機能443を実現する。なお、機能441~443の全部又は一部は、コンソール装置40のプログラムの実行により実現される場合に限定されるものではなく、コンソール装置40にASIC等の回路として備えられる場合であってもよい。また、機能441~443の全部又は一部は、コンソール装置40のみならず、制御装置15に備えられる場合もある。
システム制御機能441は、予め設定されたスキャン条件に従って制御装置15を介してX線管11、X線検出器12、及び第1の回転フレーム13等の動作を制御することでCTスキャンを実行させ、制御装置15から複数ビュー分の検出データを収集する機能を含む。例えば、スキャン条件は、照射X線に関する、管電流mA、管電圧kV、X線強度制御条件(モジュレーション条件)、X線管11(又は、第1の回転フレーム13)の回転速度等を含む。なお、システム制御機能441は、システム制御部の一例である。
前処理機能442は、システム制御機能441によって収集された複数ビュー分の検出データに対して前処理を施すことで複数ビュー分の生データを生成する機能を含む。なお、前処理機能442は、前処理部の一例である。
再構成処理機能443は、前処理機能442によって前処理後の複数ビュー分の生データに基づいて、画像再構成処理によりCT画像データを生成する機能を含む。また、再構成処理機能443は、CT画像データをメモリ41に記憶させる機能や、CT画像データをCT画像としてディスプレイ42に表示させる機能や、CT画像データをネットワークインターフェース(図示省略)を介して外部装置に送信する機能を含む場合もある。なお、再構成処理機能443は、再構成処理部の一例である。
続いて、図2を用いて、比較例に係るX線管のターゲットの構成について説明する。また、図3~図7を用いて、実施形態に係るX線管11のターゲット11bの構成及び動作について説明する。
図2は、比較例に係るリングターゲット11b´の構成を正面から見た概略図である。
図2は、第1の回転フレーム13と、第1の回転フレーム13に固定されるX線管11´とを示す。X線管11´は、カソード11a´と、リングターゲット11b´とを備える。図2において、第1の回転フレーム13の回転中心軸を「C」と定義し、リングターゲット11b´の回転中心軸を「D´」と定義する。
カソード11a´、リングターゲット11b´、及びX線検出器12は、第1の回転フレーム13と共に回転中心軸C周りに回転する。リングターゲット11b´は、第1の回転フレーム13に対してさらに回転中心軸D´周りに回転する。つまり、リングターゲット11b´を回転中心軸D´周りに回転させることで、X線管11´は、リングターゲット11b´のカソード11a側の面(以下、「焦点面」という)U´上で焦点位置F´をずらしながらX線を発生させる。
リングターゲット11b´で発生されたX線は、ボアWに配置された患者を透過し、第1の回転フレーム13に保持されるX線検出器12で検出される。このように、回転中心軸C周りに回転される第1の回転フレーム13上で、さらに回転中心軸D´周りに回転されるリングターゲット11b´が焦点面U´の各焦点位置F´でX線を発生することで、複数ビューのデータを収集するCTスキャンが実行される。
X線管11´において、小さい焦点で高出力を得ようとすると、リングターゲット11b´の焦点面U´の面積が小さいため、リングターゲット11b´の焦点面U´が高温になる。さらに、リングターゲット11b´の回転中心軸D´の位置を維持したままの構造で高温化を克服しようとリングターゲット11b´の焦点面U´の面積を拡張する手法を採ることも考えられる。しかし、その手法を採ることは、リングターゲット11b´の設置スペースや、第1の回転フレームの回転の遠心力の影響により困難である。
そこで、リングターゲット11b´の回転中心軸D´の位置を回転中心軸C付近までシフトさせつつ、ターゲット11b´の焦点面U´の面積を拡げることを考える。一方で、CT画像のアキシャル断面は、x-y面と平行となる場合が好適であり、また、第3世代のX線検出器12を流用するためにX線検出器12のサイズを変更しないことが好適である。そこで、CT画像のアキシャル断面がx-y面と平行となり、かつ、X線検出器12のサイズを変更させないことを前提として、回転中心軸D´の位置を回転中心軸C付近までシフトさせつつターゲット11b´の焦点面U´の面積を拡げることを考える。
CT画像のアキシャル断面がx-y面と平行となり、かつ、X線検出器12のサイズを変更させないことを前提とし、回転中心軸D´の位置を回転中心軸C付近までシフトさせる場合、ターゲット11b´の回転中心軸D´が、回転中心軸Cから所定の傾斜角度をもつ構成を採ることで、焦点面U´の面積を拡げることができる。又は、ターゲット11b´の径が、X線検出器12の回転径より大きくなるように設けられる構成を採ることで、焦点面U´の面積を拡げるができる。つまり、ターゲット11b´の回転軌道が、X線検出器12の回転軌道より外側になるように設けられる。前者の場合、X線検出器12の回転軌道の外側にターゲット11bを設ける必要がないので、架台装置10の小型化という点で有利である。以下、前者の第1の構成例について、図3~図5を用いて説明し、後者の第2の構成例について、図6及び図7を用いて説明する。
(ターゲット11bの第1の構成例)
図3は、ターゲット11bの第1の構成例を正面から見た概略図である。図4は、図3に示すターゲット11bの第1の構成例と、その周辺部材の構成とを示す側面図である。
図3及び図4に示すターゲット11bの第1の構成例は、回転中心軸がそれぞれ異なるように配置された、第1の回転フレーム13とターゲット11b(図3及び図4のグレー部分)とを備える。なお、図4において、第1の回転フレーム13の回転中心軸を「C」と定義し、第1の回転フレーム13に対するターゲット11bの回転中心軸を「D」と定義する。また、図3及び図4において、回転中心軸Cと回転中心軸Dとの交点を、撮像中心、つまり、回転中心Iと定義する。
図3を用いてターゲット11bについて説明する。ターゲット11bは、回転中心Iを含む回転中心軸Dの周囲に亘るように円環状に設けられる。
カソード11a、ターゲット11b、及びX線検出器12は、第1の回転フレーム13と共に回転中心Iを含む回転中心軸C周りに回転する。ターゲット11bは、第1の回転フレーム13に対してさらに撮像中心Iを含む回転中心軸D周りに回転する。つまり、ターゲット11bを、第1の回転フレーム13に対してさらに回転させることで、X線管11は、ターゲット11bの焦点面U上で焦点位置FをずらしながらX線を発生させる。
ターゲット11bで発生され、ウェッジ16及びコリメータ17(図1に図示)を通過したX線は、ボアWに配置された患者を透過し、第1の回転フレーム13に保持されるX線検出器12で検出される。このように、回転中心軸C周りに回転される第1の回転フレーム13上で、さらに回転中心軸D周りに回転されるターゲット11bが焦点面Uの各焦点位置FでX線を発生することで、複数ビューのデータを収集するCTスキャンが実行される。
図2に示すリングターゲット11b´と比較して、図3に示すターゲット11bの第1の構成例では、焦点面U´の面積を焦点面Uまで拡げることができるので、小さい焦点で高出力を得ることができるという効果がある。また、ターゲット11bでは、その焦点面Uの高温化を抑制することができる。さらに、ターゲット11bでは、回転フレーム13の回転によるターゲット11bの耐遠心力が向上するという効果がある。
図4を用いて、図3に示すターゲット11bとその周辺部材とについて説明する。図4の左側は、X線管11のカソード11aが、上側に位置する場合のX線管11等の構成を示す。一方で、図4の右側は、X線管11のカソード11aが、下側に位置する場合のX線管11等の構成を示す。即ち、図4の右側は、第1の回転フレーム13の回転角度が左側とは180度異なる場合のX線管11等の構成を示す。
第1の回転フレーム13は、真空容器V及びX線検出器12を保持する。第1の回転フレーム13が回転中心軸C周りに回転することで、真空容器V及びX線検出器12は、第1の回転フレーム13と一体として回転中心軸C周りに回転する。
また、真空容器Vは、その内部に、支持部Bと、第2の回転部(例えば、第2の回転フレーム)Rと、X線管11とを備える。支持部Bは、真空容器Vの内壁に固定され、真空容器Vと共に回転する。第2の回転フレームRは、支持部Bの周方向に配置された複数のボールベアリングLを介して、支持部Bに対して周方向に回転可能なように支持部Bに保持される。X線管11のターゲット11bは、第2の回転フレームRに固定され、第2の回転フレームRと共に回転する。また、支持部Bと、第2の回転フレームRと、X線管11のターゲット11bとは、回転中心軸Dを中心とする円周に沿って配置される。一方で、X線管11のカソード11aは、真空容器Vの内壁に固定され、真空容器Vと共に回転する。
第1の回転フレーム13は、第2の回転フレームRを回転駆動させるための駆動手段を支持する。駆動手段としては、例えば、ターゲット11bの円環状の沿って設けられる直接駆動型のモータ(図示省略)、即ち、DDモータが用いられる。DDモータの動作により、第2の回転フレームRが複数のボールベアリングLを介して支持部Bに対して回転中心軸D周りに回転することで、第2の回転フレームRに固定されるターゲット11bは、回転中心軸D周りに回転する。つまり、真空容器V及びX線検出器12は、第1の回転フレーム13と共に回転可能であり、真空容器V内部のターゲット11bは、第2の回転フレームRと共に、回転する真空容器Vの内部でさらに回転可能である。
ここで、ターゲット11bは、その回転中心軸Dが回転中心Iにおいて回転中心軸Cと重なるように配置される。また、ターゲット11bは、焦点位置FとX線検出器12の検出面の中心位置とを結ぶ直線が鉛直(y軸と平行)となるように配置される。さらに、ターゲット11bは、焦点位置FとX線検出器12の検出面の中心位置とを結ぶ直線方向を中心としてX線が照射されるようにそのターゲットアングルが成形される。それにより、得られるCT画像のアキシャル断面がx-y面と平行となる。また、第2の回転フレームRの回転中心軸Dは、第1の回転フレーム13の回転中心軸Cに対して、y-z面内で所定の傾斜角度αを有する。傾斜角度αは、X線検出器12の検出素子の列数(z軸の平行方向における数)に応じて適切に決められる。それにより、X線検出器12のサイズを変更する必要がない。
なお、図2に示す比較例と比較して、図4では、ターゲット11b等が一定の傾斜角度αをもって配置されるため、架台装置10がz軸方向に大型化するようにも思われる。しかし、X線管11では、比較例に係る従来型ターゲット11b´(図2に図示)の回転を行うための機構(ロータ及びステータ等)をZ軸方向に構成する必要がなくなり、真空管の表積が大きくなることにより大型の冷却装置の設置が不要となるため、架台装置10の大型化を最小限に抑制することができる。
続いて、図5を用いて、第1の回転フレーム13及びターゲット11bの回転速度及び回転方向について説明する。図5は、図3に示すターゲット11bの動作を正面から見た概略図である。ターゲット11bは、第1の回転フレーム13に対して「0」を超える速さで回転するように構成される。つまり、ターゲット11bは、第1の回転フレーム13の回転方向と同一方向に、第1の回転フレーム13に対して「0」を超える速度で回転するように構成されるか、又は、第1の回転フレーム13の回転方向とは反対方向に、第1の回転フレーム13に対して「0」を超える速度で回転するように構成される。
図5に示すように、第1の回転フレーム13の回転によりカソード11aが時計周りに速度V1で回転する。一方で、ターゲット11bは、第2の回転フレームRの回転により、時計周りに、第1の回転フレーム13に対して相対速度V2で回転する。相対速度V2は、「0」ではない。相対速度V2が「0」である場合は、第1の回転フレーム13の回転によりカソード11aとターゲット11bとが同一方向に同一速度で回転することになり、ターゲット11bにおける熱電子の照射位置が分散しないためである。
なお、第1の回転フレーム13等の回転方向(速度V1での回転方向)と、第1の回転フレーム13に対するターゲット11b等の回転方向(速度V2での回転方向)とは同一方向の場合の場合に限定されるものではない。第1の回転フレーム13等の回転方向と、第1の回転フレーム13に対するターゲット11b等の回転方向とは、反対方向であっても同等の効果が得られる。
図3~図5を用いて、第1の回転フレーム13に対して回転するターゲット11bの場合について説明したが、固定フレーム19に対して固定された円環状のターゲットを採用する構成を採ることも考えられる。しかし、その場合、全周分、又は、ハーフ分のチャンネルを備えたX線検出器の設置が必要になる。第1の回転フレーム13に対して回転する図3~図5に示すターゲット11bによれば、第3世代のX線CT装置に備えられるX線検出器や、データ処理手法、X線高電圧装置、高電圧ケーブルを流用することができる。
以上のように、図3~図5に示すターゲット11bの第1の構成例によれば、架台装置10の大型化を抑えつつ、小さな焦点サイズで従来よりも高出力のX線を得ることができる。また、ターゲット11bの第1の構成例によれば、焦点面Uの高温化を抑制することができるので冷却装置の設置を不要とすると共に、回転フレーム13の回転によるターゲット11bの耐遠心力が格段に向上するという効果がある。
(ターゲット11bの第2の構成例)
図6及び図7に示す第2の構成例は、図3及び図4に示す第1の構成例と同様に、CT画像のアキシャル断面がx-y面と平行となり、かつ、X線検出器12のサイズを変更させないことを前提としている。一方で、図6及び図7に示す第2の構成例は、図3及び図4に示す第1の構成例とは異なり、ターゲット11b´の回転軌道が、X線検出器12の回転軌道より外側になるようにターゲット11b(図6及び図7のグレー部分)を配置する。
図6は、ターゲット11bの第2の構成例を正面から見た概略図である。図7は、図6に示すターゲット11bの第2の構成例と、その周辺部材の構成とを示す側面図である。
図6を用いてターゲット11bについて説明する。ターゲット11bは、回転中心Iを含む回転中心軸Cの周囲に亘るように円環状に設けられる。また、ターゲット11bは、その回転軌道が、X線検出器12の回転軌道の外側となるように配置される。X線検出器12の位置及びサイズは、図3に示すものと同一である。
カソード11a、ターゲット11b、及びX線検出器12は、第1の回転フレーム13と共に回転中心軸C周りに回転する。ターゲット11bは、第1の回転フレーム13に対してさらに回転中心軸C周りに回転する。つまり、ターゲット11bを、第1の回転フレーム13に対してさらに回転させることで、X線管11は、ターゲット11bの焦点面U上で焦点位置FをずらしながらX線を発生させる。
ターゲット11bで発生され、ウェッジ16及びコリメータ17(図1に図示)を通過したX線は、ボアWに配置された患者を透過し、第1の回転フレーム13に保持されるX線検出器12で検出される。このように、回転中心軸C周りに回転される第1の回転フレーム13上で、さらに回転中心軸C周りに回転するターゲット11bが焦点面Uの各焦点位置FでX線を発生することで、複数ビューのデータを収集するCTスキャンが実行される。
図2に示すリングターゲット11b´と比較して、図6に示すターゲット11bの第2の構成例では、焦点面U´の面積を焦点面Uまで拡げることができるので、図3を用いて説明した効果と同様の効果がある。
図7を用いて、図6に示すターゲット11bとその周辺部材とについて説明する。図7の左側は、図4の左側と同様に、X線管11のカソード11aが、上側に位置する場合のX線管11等の構成を示す。一方で、図7の右側は、図4の右側と同様に、X線管11のカソード11aが、下側に位置する場合のX線管11等の構成を示す。なお、図7において、図4と重複する部分の説明については説明を省略する。
支持部Bと、第2の回転フレームRと、X線管11のターゲット11bとは、回転中心軸Cを中心とする円周に沿って配置され、かつ、ターゲット11bの回転軌道がX線検出器12の回転軌道の外側となるように配置される。一方で、X線管11のカソード11aは、真空容器Vの内壁に固定され、真空容器Vと共に回転する。
ここで、ターゲット11bは、焦点位置FとX線検出器12の検出面の中心位置とを結ぶ直線方向を中心としてX線が照射されるようにそのターゲットアングルが成形される。それにより、得られるCT画像のアキシャル断面がx-y面と平行となる。また、ターゲット11bは、その回転軌道が、X線検出器12の回転軌道の外側になるように配置される。それにより、X線検出器12のサイズを変更する必要がない。
なお、ターゲット11b及び第2の回転フレームRの回転速度及び回転方向については、図5を用いて説明したものと同等であるので説明を省略する。
また、図6及び図7に示すターゲット11bを採用する場合、図3及び図4に示すターゲット11bを採用する場合と比較して、X線検出器12の配置及びサイズは同一である一方で、X線検出器12の焦点位置Fからの距離が変化している。つまり、図6及び図7に示すターゲット11bを採用する場合、図3及び図4に示すターゲット11bを採用する場合と比較して、X線検出器12の各X線検出素子に入射されるX線の角度が変化する。そこで、図6及び図7に示すターゲット11bを採用する場合、図3及び図4に示すターゲット11bを採用する場合とは異なるグリッドをX線検出器12の前面に配置させることが好適である。グリッドを構成する各X線遮蔽板は、焦点位置に応じた傾斜角度をもつようにグリッドに備えられる。
以上のように、図6及び図7に示すターゲット11bの第2の構成例によれば、図3~図5に示すターゲット11bの第1の構成例と同等の効果が得られる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、小さな焦点サイズで従来よりも高出力のX線を得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。