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JP7110795B2 - スパンボンド不織布 - Google Patents

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Description

本発明は、良好な力学物性と高次加工性に加え、優れた柔軟性を有するスパンボンド不織布に関するものである。
ポリオレフィンからなるスパンボンド不織布、特にポリプロピレンスパンボンド不織布は低コストで加工性に優れているため、衛生材料用途を中心に幅広く用いられている。
近年、衛生材料用途に用いられるポリプロピレンスパンボンド不織布に対して、更なる風合い、肌触り、柔軟性および生産性の向上が求められており、特に柔軟性を向上させるための様々な検討がなされている。
例えば、比較的メルトフローレートの大きいポリプロピレン系樹脂を原料として用い、ドラフト比を1500以上とすることにより、単繊維繊度を1.5デニール以下まで細径化し、柔軟性と強度を両立させる方法が提案されている(特許文献1参照。)。
また別に、不織布を構成する繊維の繊維構造に着目し、ポリオレフィン系繊維の結晶子サイズを特定の範囲とすることにより、熱安定性と柔軟性を両立させる方法が提案されている(特許文献2参照。)。
さらに、不織布の機能性制御を目的に、不織布を構成する繊維を芯鞘複合構造とし、繊維表面に配置される鞘成分の繊維構造を高次工程にて制御することにより、親水性や厚みなどの機能を付与する方法が提案されている(特許文献3参照。)。
国際公開2007/091444号 特開2012-21260号公報 特開2010-168715号公報
特許文献1に開示された方法では、比較的メルトフローレートの大きいポリプロピレン系樹脂を原料として用い、ドラフト比を1500以上とすることにより細径化しており、一定の柔軟性の向上はされるものの、繊維径を細径化するだけでは十分な柔軟性が得られるものではない。
一方、特許文献2に開示された方法では、結晶子サイズと柔軟性がトレードオフの関係にあるため、柔軟性を向上させようとした場合には結晶子サイズを小さくすることとなり、熱安定性が低下してしまう。
さらに、特許文献3に開示された方法では、異なるポリマーを組み合わせた複合繊維を用いるために製造装置の制限を受けることに加え、製品端部などのリサイクルが困難となり高コスト化するという課題が生じる。
そこで、本発明の目的は、良好な力学物性と高次加工性に加え、優れた柔軟性を有するスパンボンド不織布を提供することにある。
本発明者らが検討を進めたところ、単純に結晶子サイズを小さくした場合には、スパンボンド不織布の熱収縮率が増加し寸法安定性が損なわれる傾向にあり、高次加工性が低下するという課題が生じることが判明した。そこで、本発明者らは、鋭意検討の結果、スパンボンド不織布を構成する繊維に用いられるポリプロピレン繊維の結晶性や樹脂の熱的特性、さらにはスパンボンド不織布の流動特性を特定の範囲とすることによって、機械的特性と高次加工性、柔軟性に優れたスパンボンド不織布を得られることが判明し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、前記の課題を解決せんとするものであり、本発明のスパンボンド不織布は、ポリプロピレン系樹脂からなる繊維によって構成された不織布であって、前記ポリプロピレン系樹脂がプロピレンの単独重合体であり、該繊維の広角X線回折における(040)面の結晶子サイズが10nm以上20nm未満、示差走査熱量測定における融点が150℃以上170℃未満、かつ該融点における結晶融解熱量が85J/g以上110J/g以下であり、メルトマスフローレートが155g/10分以上850g/10分以下である、スパンボンド不織布である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記の繊維の平均単繊維径が15.0μm以下である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記の示差走査熱量測定における結晶融解ピークの半値幅が10℃以下である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記のポリプロピレン繊維の広角X線回折における(130)面の結晶子サイズが10nm以上15nm未満である。
本発明のスパンボンド不織布は、スパンボンド不織布を構成するポリプロピレン繊維の結晶子サイズが小さく、かつスパンボンド不織布のメルトマスフローレートが比較的高いことから、柔軟性が非常に優れたものであることに加え、示差走査熱量測定における融点および融解熱量を特定の範囲であることにより、良好な力学物性や高次加工性を発揮するものである。
本発明のスパンボンド不織布は、ポリプロピレン繊維からなる不織布であって、前記ポリプロピレン系樹脂がプロピレンの単独重合体であり、該ポリプロピレン繊維の広角X線回折における(040)面の結晶子サイズが10nm以上20nm未満、示差走査熱量測定における融点が150℃以上170℃未満、かつ該融点における結晶融解熱量が85J/g以上110J/g以下であり、メルトマスフローレートが155g/10分以上850g/10分以下であることを特徴とするスパンボンド不織布である。以下に、本発明のスパンボンド不織布について詳細に説明する。
[ポリプロピレン系樹脂]
本発明のスパンボンド不織布は、ポリプロピレン系樹脂からなる繊維(以下、ポリプロピレン繊維と記載する)によって構成される。ポリプロピレン系樹脂とは、主たる繰り返し単位としてプロピレン単位を有する樹脂を意味する。ポリプロピレン系樹脂を用いることにより、低コストであり、かつ柔軟性に優れたスパンボンド不織布とすることができる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、もしくはプロピレンと各種α-オレフィンとの共重合体などが挙げられる。ポリプロピレン系樹脂として、プロピレンと各種α-オレフィンとの共重合体を用いる場合、各種α-オレフィンの共重合比率は、高強度化の観点から10mol%以下が好ましく、より好ましくは5mol%以下であり、さらに好ましくは3mol%以下である。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、他成分樹脂をブレンドさせることができる。他成分樹脂としては、融点がポリプロピレンに近いポリエチレンやポリ-4-メチル-1-ペンテンなどのポリオレフィン系樹脂の他、低融点ポリエステル樹脂および低融点ポリアミド樹脂が挙げられ、製糸安定性の観点から低結晶性のポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。低結晶性のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体や、低立体規則性ポリプロピレンなどが好適に用いられる。他成分樹脂の質量比率は、ポリプロピレン系樹脂の特性を十分に発現させるため、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは12質量%以下である。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、着色のための顔料、酸化防止剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、および耐熱安定剤等を添加することができる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂には、用いる樹脂に対し、例えば、過酸化物、特に、ジアルキル化酸化物等の遊離ラジカル剤などの、該樹脂を分解して分子量を低下させるような添加剤を添加しないことが好ましい。ポリプロピレン系樹脂に上記の添加剤を添加した場合、部分的な粘度斑に起因する繊維径の不均一化が生じ、十分に繊維径を細くすることが困難となる他、粘度斑や分解ガスによる気泡で紡糸性が悪化する場合もある。したがって、ポリプロピレン系樹脂に上記の添加剤を添加しないことにより、繊維径の均一性が向上し、さらに繊維径も細くすることができる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量は、10万以上20以下であることが好ましい。重量平均分子量を好ましくは10万以上、より好ましくは11万以上とすることにより、繊維径の均一性に優れたポリプロピレン繊維となりスパンボンド不織布の高次加工性が向上する。また、重量平均分子量を好ましくは20万以下、より好ましくは18万以下とすることにより、ポリプロピレン系樹脂の流動性が高くなるため、紡糸性が向上する。本発明における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン、ジベンジル換算で算出した値を指す。
また、ポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレートは、155g/10分以上850g/10分以下が好ましい。ポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレートを155g/10分以上、好ましくは160g/10分以上、より好ましくは180g/10分以上とすることにより、ポリプロピレン系樹脂の柔軟性が向上し、スパンボンド不織布を構成するポリプロピレン繊維の柔軟性が向上するため、優れた柔軟性を有するスパンボンド不織布となる。また、メルトマスフローレートを850g/10分以下、好ましくは700g/10分以下、より好ましくは500g/10分以下とすることにより、優れた力学物性を有するスパンボンド不織布となる。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレートは、JIS K7210-1:2014の「8章 A法:質量測定法」により、荷重が2160gで、温度が230℃の条件で測定された値を指すこととする。
なお、ポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレートは、ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量により制御することができる。ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量が高いほど、メルトマスフローレートの値は小さくなる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂は、メルトマスフローレートの異なる2種類以上の樹脂を任意の割合でブレンドして、メルトマスフローレートを調整することもできる。この場合、主となるポリプロピレン系樹脂に対してブレンドする樹脂のメルトマスフローレートは、10g/分以上1000g/10分以下であることが好ましい。ブレンドする樹脂のメルトマスフローレートを好ましくは10g/10分以上、より好ましくは20g/10分以上、さらに好ましくは30g/10分以上とすることにより、ブレンドしたポリプロピレン系樹脂に部分的な粘度斑が生じることに起因する繊維径の不均一化や紡糸性悪化を抑制することができる。また、ブレンドする樹脂のメルトマスフローレートを好ましくは1000g/10分以下、より好ましくは800g/10分以下、さらに好ましくは600g/10分以下とすることにより、優れた力学物性を有したスパンボンド不織布となる。 [ポリプロピレン繊維]
本発明のスパンボンド不織布を構成するポリプロピレン繊維の広角X線回折における(040)面の結晶子サイズは、10nm以上20nm未満であることが重要である。(040)面の結晶子サイズを10nm以上、好ましくは13nm以上とすることにより、良好な力学物性を有したポリプロピレン繊維となる。また、(040)面の結晶子サイズとスパンボンド不織布の柔軟性に相関があり、(040)面の結晶子サイズを20nm未満、好ましくは19nm未満とすることにより優れた柔軟性を有するスパンボンド不織布となる。
なお、(040)面の結晶子サイズは、メルトマスフローレートや紡糸条件などにより制御することができる。メルトマスフローレートの値が大きいほど、(040)面の結晶子サイズは小さくなる。
本発明のスパンボンド不織布を構成するポリプロピレン繊維の広角X線回折における(130)面の結晶子サイズは、10nm以上15nm未満であることが好ましい。(130)面の結晶子サイズを好ましくは10nm以上、より好ましくは11nm以上とすることにより、良好な力学物性が得られる。また、(130)面の結晶子サイズを好ましくは15nm未満、より好ましくは14nm未満とすることにより、優れた柔軟性を有するスパンボンド不織布となる。(130)面の結晶子サイズは、実施例に記載の方法により測定された値を指す。(130)面の結晶子サイズは、スパンボンド不織布のメルトマスフローレートなどにより制御することができる。
本発明において、広角X線回折における(040)面、(130)面の結晶子サイズは、それぞれ以下の方法で測定、算出された値を指すこととする。
(1)スパンボンド不織布から切出したポリプロピレン繊維20本を、繊維軸が同一方向になるようにまとめる。
(2)(1)でまとめた試料について、X線回折装置を用いて広角X線回折測定を実施する。
(3)(040)面、(130)面に対応するピークの赤道線方向のX線回折プロファイルを得る。
(4)結晶子サイズを、ピークの半値幅β(°)より下式(Scherrerの式)を用いて算出する。
・結晶子サイズL(nm)=0.9λ/((β -β 0.5×cosθ)
(式中、λは入射X線波長、βは半値幅の補正値、θはピークトップのブラッグ角(°)を表す。)
本発明のスパンボンド不織布を構成するポリプロピレン繊維の平均単繊維径は、15.0μm以下であることが好ましい。平均単繊維径を好ましくは15.0μm以下、より好ましくは13.0μm以下にすることにより、スパンボンド不織布の表面に触れたときの触感が滑らかとなる。加えて、平均単繊維径が細いことによる断面2次モーメントの低下も発現することにより、スパンボンド不織布の柔軟性が向上する。また、平均単繊維径の下限は、製糸性や後加工時の加工性が低下の観点から、6μm以上である。
なお、本発明におけるポリプロピレン繊維の平均単繊維径(μm)とは、スパンボンド不織布から少量切り出し、エンボス接着部以外の部分において、スパンボンド不織布を構成するポリプロピレン繊維の側面の顕微鏡観察からポリプロピレン繊維の直径を求め、1水準につき10回測定を行い、その算術平均値を指すこととする。
本発明のスパンボンド不織布を構成するポリプロピレン繊維の密度は、0.88g/cm以上0.93g/cm以下であることが好ましい。密度を好ましくは0.88g/cm以上、より好ましくは0.88g/cm以上とすることにより、結晶化度が高く優れた力学物性を有するポリプロピレン繊維となる。また、密度を好ましくは0.93g/cm以下、より好ましくは0.92g/cm以下とすることにより、熱接着性が向上し、エンボスやカレンダー加工時の加工性が向上する。
本発明における密度とは、以下の方法により測定した値を指す。
(1)15℃に温調された室内にて、水とエタノールを混合する。なお、エタノールの質量分率は40%~70%とし、1%の間隔で濃度の異なる31水準のエタノール水溶液を作製する。
(2)超音波洗浄を施して不純物を取り除いたスパンボンド不織布を少量切り出し、切り出したスパンボンド不織布に気泡がつかないようエタノール水溶液に浸漬させ、6時間以上放置する。
(3)スパンボンド不織布が底まで沈まなかったエタノール水溶液の内、最もエタノール質量分率が低いエタノール水溶液の質量分率Xより、下式を用いて密度を算出する。
・ポリプロピレン繊維の密度(g/cm)=-0.000005×X -0.0017×X+1.0153
本発明のスパンボンド不織布を構成するポリプロピレン繊維の断面形状は、丸断面であることが好ましい。丸断面とすることにより、紡糸時の糸切れが少なくなり不織布の欠点が減少する。さらに、扁平断面や異形断面では、同一断面積の断面2次モーメントが丸断面よりも大きくなる曲げ方向があることから、スパンボンド不織布とした際に高剛性となり、柔軟性を損なう可能性がある。
[スパンボンド不織布]
本発明のスパンボンド不織布の融点は、150℃以上170℃未満であることが重要である。融点を150℃以上、好ましくは155℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性が得られ、かつスパンボンド不織布の寸法安定性が向上するため高次加工性に優れたスパンボンド不織布となる。また、融点を170℃未満とすることにより、エンボスやカレンダー加工時の熱接着性が良好となり、良好な力学物性を有するスパンボンド不織布となる。
なお、融点は、ポリプロピレン系樹脂の各種α-オレフィンの共重合比率などにより制御することができる。各種α-オレフィンの共重合比率が小さいほど、融点は高くなる。
本発明のスパンボンド不織布の融点における結晶融解ピークの半値幅は、10℃以下であることが好ましい。結晶融解ピークの半値幅を好ましくは10℃以下、より好ましくは7℃以下、さらに好ましくは5℃以下とすることにより、寸法安定性が良好となり高次加工性に優れた不織布となる。なお、本発明で達しえる結晶融解ピークの半値幅の下限は1℃程度である。
なお、結晶融解ピークの半値幅は、紡糸速度などにより制御することができる。紡糸速度が速いほど結晶融解ピークの半値幅は小さくなる。
本発明のスパンボンド不織布の結晶融解熱量は、85J/g以上110J/g以下であることが重要である。スパンボンド不織布の結晶融解熱量を85J/g以上、好ましくは90J/g以上とすることにより、良好な力学物性に加え、寸法安定性が高く高次加工性に優れたスパンボンド不織布となる。また、結晶融解熱量を110J/gとすることにより、熱接着性が向上し、良好な力学物性を有したスパンボンド不織布となる。
なお、結晶融解熱量は、ポリプロピレン系樹脂の各種α-オレフィンの共重合比率や他成分樹脂の質量比率、紡糸速度などにより制御することができる。各種α-オレフィンの共重合比率や他成分樹脂の質量比率が小さいほど結晶融解熱量は大きくなる。
本発明において、スパンボンド不織布の融点(℃)、結晶融解ピークの半値幅(℃)、結晶融解熱量(J/g)とは、示差走査熱量計に約2mgのスパンボンド不織布をセットし、窒素下、昇温速度16℃/分の条件で示差走査熱量測定を3回行った際の値のことを指し、吸熱ピークの温度の算術平均値が融点、この吸熱ピークの半値幅が結晶融解ピークの半値幅、この吸熱ピークの面積から求められる吸熱量を結晶融解熱量とする。
本発明のスパンボンド不織布のメルトマスフローレートは、155g/10分以上850g/10分以下であることが重要である。スパンボンド不織布のメルトマスフローレートを155g/10分以上、好ましくは160g/10分以上、より好ましくは180g/10分以上とすることにより、ポリプロピレン系樹脂の柔軟性が向上し、スパンボンド不織布を構成するポリプロピレン繊維の柔軟性が向上するため、優れた柔軟性を有するスパンボンド不織布となる。また、メルトマスフローレートを850g/10分以下、好ましくは700g/10分以下、より好ましくは500g/10分以下とすることにより、優れた力学物性を有するスパンボンド不織布となる。
本発明におけるスパンボンド不織布のメルトマスフローレートは、ポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレートと同様、JIS K7210-1:2014 8章 A法:質量測定法により、荷重が2160gで、温度が230℃の条件で測定された値を指すこととする。
なお、スパンボンド不織布のメルトマスフローレートは、ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量により制御することができる。ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量が高いほど、メルトマスフローレートの値は小さくなる。
本発明のスパンボンド不織布の目付は、5g/m以上50g/m以下とすることが好ましい。スパンボンド不織布の目付を好ましくは5g/m以上、より好ましくは10g/m以上とすることにより、目付斑の少ないスパンボンド不織布となる。また、目付を好ましくは50g/m以下、より好ましくは30g/m以下とすることにより、不織布の柔軟性を好適に発現させることができる。
本発明におけるスパンボンド不織布の目付は、JIS L1913:2010 6.2 単位面積当たりの質量に基づき、20cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表した値を指すこととする。
本発明のスパンボンド不織布の目付あたりの5%伸長時応力(以下、目付あたりの5%モジュラスと記載することがある。)は、0.06(N/25mm)/(g/m)以上0.33(N/25mm)/(g/m)以下であることが好ましい。目付あたりの5%モジュラスを好ましくは0.06(N/25mm)/(g/m)以上、より好ましくは0.13(N/25mm)/(g/m)以上、さらに好ましくは0.20(N/25mm)/(g/m)以上とすることにより、実用に供しうる強度を有したスパンボンド不織布となる。また、目付あたりの5%モジュラスを好ましくは0.33(N/25mm)/(g/m)以下、より好ましくは0.30(N/25mm)/(g/m)以下、さらに好ましくは0.27(N/25mm)/(g/m)以下とすることにより、優れた柔軟性を有するスパンボンド不織布となる。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の目付あたりの5%モジュラスは、JIS L1913:2010の「6.3 引張強さ及び伸び率(ISO法)」に準じ、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1)25mm×300mmの試験片を、不織布の縦方向(不織布の長手方向)と横方向(不織布の幅方向)それぞれについて幅1m当たり3枚採取する。
(2)試験片をつかみ間隔200mmで引張試験機にセットする。
(3)引張速度100mm/分で引張試験を実施し、5%伸長時の応力(5%モジュラス)を測定する。
(4)各試験片で測定した縦方向と横方向の5%モジュラスの平均値を求め、次の式に基づいて目付あたりの5%モジュラスを算出し、小数点以下第三位を四捨五入する。
・目付あたりの5%モジュラス((N/25mm)/(g/m))=[5%モジュラスの平均値(N/25mm)]/目付(g/m)。
本発明のスパンボンド不織布は、スパンボンド不織布を構成するポリプロピレン繊維の広角X線回折における(040)面の結晶子サイズが10nm以上20nm未満であることが重要であり、(040)面の結晶子サイズを上記の範囲とすることで優れた力学物性と柔軟性を両立したスパンボンド不織布となる。しかしながら、単純に結晶子サイズを20nm未満とした場合、前述の通り、スパンボンド不織布の熱収縮率が増加し寸法安定性が損なわれる傾向にあり、高次加工性が低下するという課題が生じる。そこで、本発明者らは、鋭意検討の結果、スパンボンド不織布の示差走査熱量測定における融点を150℃以上170℃未満、かつ該融点における結晶融解熱量を85J/g以上110J/g以下とすることで、優れた高次加工性が得られることを見出したのである。これは、融点やその融解熱量に関与する結晶高次構造の発達により寸法安定性が向上したことが要因と推定される。
さらに、本発明のスパンボンド不織布のメルトマスフローレートを155g/10分以上850g/10分以下とすることが、優れた力学物性と柔軟性を有するスパンボンド不織布を得る上で重要である。本発明者らは、スパンボンド不織布のメルトマスフローレートが高くなるほど、柔軟性が向上する傾向にあることを見出した。これは、メルトマスフローレートが高くなるにつれ細いポリプロピレン繊維を安定して製造することが可能となることに加え、(040)面および(130)面の結晶子サイズが小さくなる傾向にあることが要因と推定される。
上記の技術を適用することにより、良好な力学物性や高次加工性に加え、これまでにない優れた柔軟性を有するスパンボンド不織布となるのである。
[スパンボンド不織布の製造方法]
次に、本発明のスパンボンド不織布の製造方法について、具体例に説明する。 本発明で用いられる原料は、ポリプロピレン系樹脂であり、プロピレン以外の共重合体の種類、重量平均分子量等は、前記したとおりである。
ポリプロピレン系樹脂は、特に乾燥等を行うことなく、溶融紡糸に供される。
溶融紡糸では、単軸や2軸エクストルーダー型などの押出機を用いた溶融紡糸手法を適用することができる。押し出されたポリプロピレン系樹脂は、配管を経由し、ギアーポンプなどの計量装置により計量され、異物除去のフィルターを通過した後、紡糸口金へと導かれる。このとき、樹脂配管から紡糸口金までの温度(紡糸温度)は、流動性を高めるため180℃以上280℃以下とすることが好ましい。
吐出に使用される紡糸口金は、口金孔の孔径Dを0.1mm以上0.6mm以下とすることが好ましく、また、口金孔のランド長L(口金孔の孔径と同一の直管部の長さ)を孔径で除した商で定義されるL/Dは、1以上10以下であることが好ましい態様である。
口金孔から吐出されたポリプロピレン繊維は、冷却風(空気)を吹き付けることにより冷却固化される。冷却風の温度は、冷却効率の観点から冷却風速とのバランスで決定することができるが、30℃以下であることが好ましい。冷却風の温度を好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、さらに好ましくは15℃以下とすることにより、ポリプロピレン繊維の冷却効率が高くなり、柔軟性に関与する(040)面の結晶子サイズが小さくなる傾向にある。また、冷却風の温度の下限は、空気の冷却コストの観点から0℃以上が好ましい。
冷却風は、口金から吐出されたポリプロピレン繊維にほぼ垂直方向に流すことが好ましい。その際、冷却風の速度は、冷却効率および繊度の均一性の観点から、10m/分以上であることが好ましく、製糸安定性の点から100m/分以下であることが好ましい。また、紡糸口金から0mm以上300mm以内で冷却を開始することが好ましい。紡糸口金から冷却開始までの距離を好ましくは0mm以上、より好ましくは5mmとすることにより、口金表面温度の低下を引き起こさずに吐出が安定する。また、紡糸口金から冷却開始までの距離を好ましくは300mm以内、より好ましくは100mm以内とすることにより、細化挙動が安定し、紡糸性が向上する。
口金孔から吐出されたポリプロピレン繊維は、冷却固化後に加速した空気流により牽引される。加速空気流は、冷却風を吹かせる領域を密閉とし、紡糸線下流に向かうにしたがって、徐々に密閉領域の断面積を小さくすることにより空気流速を加速させるようにすることができるが、高い冷却効率や空気流速を得るためには、冷却風を吹かせる領域を密閉せず、エジェクターを用いることが好ましい態様である。
紡糸口金からエジェクター入口までの距離は400mm以上3000mm以内が好ましい。400mm未満の場合、ポリプロピレン繊維が冷却固化する前にエジェクターに入るため製糸性が悪化し、3000mmを超える場合には、紡糸長が長くなることにより紡糸応力が増加するため糸切れが生じやすくなる。
エジェクターに入ったポリプロピレン繊維は加速空気流によって加速され、ポリプロピレン繊維の走行速度である紡糸速度も空気流速と近い速度に到達する。
紡糸速度は3.0km/分以上であることが好ましい。紡糸速度を好ましくは3.0km/分以上、より好ましくは4.0km/分以上とすることにより、ポリプロピレン繊維が細径化するとともに、(040)面の結晶子サイズが小さくなる傾向にあるため、スパンボンド不織布の柔軟性が向上する。さらに、紡糸中に分子配向が高配向化することによって配向誘起結晶化が進むため、良好な力学物性および高次加工性を有したスパンボンド不織布となる。また、紡糸速度の上限は、8.0km/分程度である。
なお、紡糸速度は、次の式により算出する値を指す。
・紡糸速度(km/分)=Q×1000/((W/2)×π×ρ)
(式中、Qは単孔吐出量(g/分)を表し、Wは平均単繊維径(μm)を表し、ρは密度(g/cm)を表す。)
空気牽引されたポリプロピレン繊維は、周囲の空気流速を減じるような開繊部を通過することにより開繊され、その後、裏面から空気吸引されるネットコンベアーに着地し、繊維ウェブとして捕集される。捕集された繊維ウェブは、10m/分以上1200m/分以下の速度でコンベアー搬送され、接着加工を行うことによりスパンボンド不織布が得られる。
上記の繊維ウェブの接着加工は、加熱ロールや熱風による熱接着、超音波による接着、水流交絡などにより行うことができ、これにより表裏一体化され不織布と成る。生産性の観点から加熱ロールを用いることが好ましい。
繊維ウェブを加熱ロールにより一体化する方法としては、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど、各種のロールにより熱接着する方法が挙げられる。
熱接着時のエンボス接着面積率は、5%以上30%以下であることが好ましい。接着面積を好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上とすることにより、スパンボンド不織布として実用に供し得る強度を得ることができる。また、接着面積を30%以下が好ましく、より好ましくは20%以下とすることにより、優れた柔軟性を有するスパンボンド不織布となる。
本発明における接着面積とは、一対の凹凸を有するロールにより熱接着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって繊維ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合のことを言う。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱接着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が繊維ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合のことを言う。
熱エンボスロールに施される彫刻の形状としては、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形、および正八角形などを用いることができる。
熱接着時の熱エンボスロールの表面温度は、100℃以上145℃以下が好ましい。く、より好ましくは110℃以上140℃以下である。熱エンボスロールの表面温度を好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上とすることにより、適度に熱融着させ不織布形態を保持することができる。また、熱エンボスロールの表面温度を好ましくは145℃以下、より好ましくは140℃以下とすることにより、過度な熱融着を抑制し、十分な柔軟性を得ることができる。
熱接着時の熱エンボスロールの線圧は、5kgf/cm以上50kgf/cm以下であることが好ましい。前記の線圧を5kgf/cm以上、より好ましくは10kgf/cm以上、さらに好ましくは15kgf/cm以上とすることにより、十分に熱接着させることができ、良好な力学物性を有したスパンボンド不織布となる。また、前記の線圧を50kgf/cm以下、より好ましくは40kgf/cm以下、さらに好ましくは30kgf/cm以下とすることにより、過度な熱接着を防止することができ、柔軟性が損なわれにくくなる。
本発明のスパンボンド不織布の製造におけるプロセス上の重要なポイントは、特定のポリプロピレン系樹脂を用い、口金孔から吐出されたポリプロピレン繊維の冷却固化および紡糸速度を制御することにある。紡糸性に影響を与えない範囲でポリプロピレン繊維の冷却固化を促進させることや紡糸速度を高速化することにより、得られたスパンボンド不織布を構成するポリプロピレン繊維の広角X線回折における(040)面の結晶子サイズを適度に小さくすることが可能となる。さらに、紡糸速度の高速化は、配向誘起結晶化を促進するため、得られたスパンボンド不織布は優れた力学物性や高次加工性を有するものとなる。
このようにして得られたスパンボンド不織布は、良好な力学物性および高次加工性に加え、優れた柔軟性を有する。
次に、実施例により本発明のスパンボンド不織布について、より具体的に説明する。実施例中の各特性値は、次の方法で求めた。なお、特段の記載がない事項については、前記の方法に従って測定を実施したものである。なお、以降「実施例5」と記載されている箇所は、表2の中も含め、それぞれ「参考例1」と読み替えることとする。
A.ポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレート:
ポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレートは、前記の方法に従って、株式会社東洋精機製作所製メルトインデックサF-F01を使用して測定した。
B.ポリプロピレン繊維の平均単繊維径および紡糸速度:
測定に供したポリプロピレン繊維はスパンボンド不織布から少量切り出し、エンボス接着部以外の部分で顕微鏡観察を実施した。測定には、オリンパス株式会社製光学顕微鏡BH2を使用した。また、得られた平均単繊維径から、紡糸速度(km/分)を求めた。
C.ポリプロピレン繊維の(040)面および(130)面の結晶子サイズ:
ポリプロピレン繊維の(040)面および(130)面の結晶子サイズは、以下の装置、条件で測定・算出した。
装置:Rigaku社製SmartLab(封入管式)
X線源:CuKα線(Niフィルター使用)
入射X線波長:0.15418nm
ピークの半値幅の補正値(β):0.46°
出力:40kV 50mA
検出器:D/teX 一次元検出器
入射スリット:2mmh×2.2mmw
受光スリット:15mm‐20mm。
D.スパンボンド不織布の融点、結晶融解ピーク半値幅、結晶融解熱量:
示差走査熱量計(TA Instruments社製DSCQ2000)に約2mgのスパンボンド不織布をセットし、窒素下、昇温速度16℃/分の条件で示差走査熱量測定を行い、吸熱ピークの温度を融点(℃)とし、結晶融解ピークの半値幅(℃)および結晶融解熱量(J/g)を求めた。
E.スパンボンド不織布のメルトマスフローレート:
スパンボンド不織布のメルトマスフローレートは、前記の方法に従って、株式会社東洋精機製作所製メルトインデックサF-F01を使用して測定した。
F.スパンボンド不織布の単位目付当たりの引張強度:
JIS L1913:2010 6.3.1に準じ、サンプルサイズ5cm×30cm、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/分の条件でMDとCD方向の各3点の引張試験を行い、サンプルが破断した時の強度を引張強度(N/5cm)とし、平均値について小数点以下第二位を四捨五入して算出した。続いて、算出した引張強度(N/5cm)を、スパンボンド不織布の目付(g/m)から、次の式より小数点以下第二位を四捨五入して単位目付当たりの引張強度を算出した。
・単位目付当たりの引張強度=引張強度(N/5cm)/目付(g/m)。
G.スパンボンド不織布の高次加工性:
スパンボンド不織布を、ゴム製のニップローラーを用いて20m/分で5分間走行させた。このときのロール付着物と、スパンボンド不織布の状態を観察し、次の基準で点数付けを行い加工性(点)とした。3点以上のものを高次加工性に優れるスパンボンド不織布と判断した。
5点:ロールに繊維付着物がなく、不織布の毛羽、破れも見られない。
4点:ロールに繊維付着物があるが、不織布の毛羽、破れは見られない。
3点:ロールに繊維付着物があり、不織布の毛羽もあるが、破れは見られない。
2点:ロールに繊維付着物があり、不織布の毛羽もあり、破れがある。
1点:シートの破れによりロールに不織布が巻きつく。
H.スパンボンド不織布の柔軟性:
スパンボンド不織布の触感の官能評価を行い、柔軟性に優れるものを5点、劣るものを1点として以下の基準で絶対評価で点数をつけた。
5点:スパンボンド不織布を掴んだ際のコシが無く、かつスパンボンド不織布の表面が滑らかであり、柔軟性に優れている。
4点:スパンボンド不織布を掴んだ際に若干のコシがあるが、スパンボンド不織布の表面が滑らかである。
3点:スパンボンド不織布を掴んだ際に若干のコシがあり、スパンボンド不織布同士をこすり合わせた際に抵抗を感じる。
2点: スパンボンド不織布を掴んだ際に明らかなコシがあり、スパンボンド不織布同士をこすり合わせた際に抵抗を感じる。
1点:スパンボンド不織布を掴んだ際に明らかなコシがあり、かつスパンボンド不織布同士をこすり合わせた際に明らかな凹凸があるため、柔軟性に劣る。
これを10名で行い平均点を柔軟性(点)とした。平均点が3.5点以上であるものを柔軟性に優れるスパンボンド不織布と判断した。
〔実施例1〕
プロピレン単独重合体であり、メルトマスフローレートが200g/10分であるポリプロピレン系樹脂を、単軸エクストルーダーによって溶融押出しし、ギアーポンプで計量しつつ紡糸口金にポリプロピレン系樹脂を供給した。紡糸温度(口金温度)は230℃とし、孔径Dが0.3mmで、ランド長Lが0.6mmの口金孔から、単孔吐出量0.36g/分の条件でポリプロピレン系樹脂を吐出させた。口金孔の直情に位置する導入孔はストレート孔とし、導入孔と口金孔の接続部分はテーパーとした紡糸口金を用いた。吐出された繊維状樹脂に外側から温度10℃、速度60m/分の冷却風を当てて冷却固化した後、矩形エジェクターによって4.4km/分の速さで牽引し、移動するネット上に捕集してポリプロピレン繊維からなる繊維ウェブを得た。
引き続き、上記のようにして得られたポリプロピレン繊維からなる繊維ウェブを、上ロールに金属製で水玉柄の彫刻がなされた接着面積率16%のエンボスロールを用い、下ロールに金属製フラットロールで構成される上下一対の熱エンボスロールを用いて、130℃の温度で熱接着し、目付が18g/mのスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を、表1に示す。表1から、得られたスパンボンド不織布の平均単繊維径は10.7μm、(040)面の結晶子サイズは17.6nm、(130)面の結晶子サイズは12.6nm、融点は160℃、結晶融解ピークの半値幅は3.3℃、結晶融解熱量は96J/g、メルトマスフローレートは200g/10分、単位目付当たりの引張強度は2.5(N/5cm)/(g/m)であり、得られた不織布は高次加工性および柔軟性に優れていることが分かる。
〔実施例2〕
エジェクターの流入エア圧力を変更して、紡糸速度を2.2km/分に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法でスパンボンド不織布を得た。
評価結果を、表1に示す。表1から、得られたスパンボンド不織布の平均単繊維径は15.3μm、(040)面の結晶子サイズは18.4nm、(130)面の結晶子サイズは12.1nm、融点は160℃、結晶融解ピークの半値幅は6.8℃、結晶融解熱量は96J/g、メルトマスフローレートは200g/10分、単位目付当たりの引張強度は2.0(N/5cm)/(g/m)であり、得られた不織布は高次加工性および柔軟性に優れていることが分かる。
〔実施例3、4、比較例1〕
使用するポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレートを、実施例3では170g/10分とし、実施例4では450g/10分とし、比較例1では60g/10分としたこと以外は、実施例1と同じ方法でスパンボンド不織布を得た。エジェクターの流入エア圧力は変更していないものの、メルトマスフローレートの違いにより、紡糸速度は実施例3では4.2km/分、実施例4では4.7km/分、比較例1では3.6km/分であった。
評価結果を、表1に示す。表1から、実施例3で得られたスパンボンド不織布の平均単繊維径は11.0μm、(040)面の結晶子サイズは17.4nm、(130)面の結晶子サイズは13.1nm、融点は160℃、結晶融解ピークの半値幅は4.2℃、結晶融解熱量は95J/g、メルトマスフローレートは170g/10分、単位目付当たりの引張強度は2.4(N/5cm)/(g/m)であり、また実施例4で得られたスパンボンド不織布の平均単繊維径は10.4μm、(040)面の結晶子サイズは17.0nm、(130)面の結晶子サイズは11.8nm、融点は160℃、結晶融解ピークの半値幅は4.8℃、結晶融解熱量は96J/g、メルトマスフローレートは450g/10分、単位目付当たりの引張強度は2.3(N/5cm)/(g/m)であり、いずれも得られた不織布は高次加工性および柔軟性に優れていることが分かる。
一方、比較例1で得られたスパンボンド不織布の平均単繊維径は11.8μm、(040)面の結晶子サイズは19.0nm、(130)面の結晶子サイズは14.4nm、融点は160℃、結晶融解ピークの半値幅は3.0℃、結晶融解熱量は97J/g、メルトマスフローレートは60g/10分、単位目付当たりの引張強度は2.4(N/5cm)/(g/m)であり、得られたスパンボンド不織布は高次加工性に優れているものの、メルトマスフローレートが高いために柔軟性に劣っていることが分かる。
〔比較例2〕
使用するポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレートを、35g/10分とし、エジェクターの流入エア圧力を変更して、紡糸速度を2.6km/分に変更した以外は実施例1と同じ方法でスパンボンド不織布を得た。
評価結果を、表1に示す。表1から、比較例2で得られたスパンボンド不織布の平均単繊維径は13.8μm、(040)面の結晶子サイズは21.8nm、(130)面の結晶子サイズは15.4nm、融点は160℃、結晶融解ピークの半値幅は2.4℃、結晶融解熱量は95J/g、メルトマスフローレートは35g/10分、単位目付当たりの引張強度は2.0(N/5cm)/(g/m)であり、得られたスパンボンド不織布は高次加工性に優れているものの、メルトマスフローレートが高く、(040)面の結晶子サイズも大きいために柔軟性に劣っていることが分かる。
Figure 0007110795000001
〔実施例5、比較例3〕
樹脂Aにメルトマスフローレートが200g/10分のプロピレン単独重合体を用い、樹脂Bにメルトマスフローレートが20g/10分のエチレン‐プロピレン共重合体(Exxonmobil社製Vistamaxx6202)を用い、実施例5では樹脂Aの質量比率を88%、樹脂Bの質量比率を12%として混練した樹脂、比較例3では樹脂Aの質量比率を80%、樹脂Bの質量比率を20%として混練した樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法でスパンボンド不織布を得た。
結果を表2に示す。表2から、実施例5で得られたスパンボンド不織布の平均単繊維径は10.4μm、(040)面の結晶子サイズは18.4nm、(130)面の結晶子サイズは13.2nm、融点は157℃、結晶融解ピークの半値幅は9.5℃、結晶融解熱量は87J/g、メルトマスフローレートは180g/10分、単位目付当たりの引張強度は2.5(N/5cm)/(g/m)であり、得られた不織布は高次加工性および柔軟性に優れていることが分かる。
一方、比較例3で得られたスパンボンド不織布の平均単繊維径は10.5μm、(040)面の結晶子サイズは18.6nm、(130)面の結晶子サイズは13.4nm、融点は155℃、結晶融解ピークの半値幅は10.8℃、結晶融解熱量は81J/g、メルトマスフローレートは160g/10分、単位目付当たりの引張強度は2.6で(N/5cm)/(g/m)あり、得られたスパンボンド不織布は柔軟性に優れるものの、結晶融解熱量が小さいため高次加工性に劣っていることが分かる。
Figure 0007110795000002
実施例1~5は、スパンボンド不織布を構成するポリプロピレン繊維の(040)面の結晶子サイズが適度に小さく、スパンボンド不織布のメルトマスフローレートが高いことにより優れた柔軟性を有しており、かつスパンボンド不織布の融点が高く、結晶融解熱量が大きいため優れた高次加工性を有している。
一方、比較例1および2で示すように、スパンボンド不織布のメルトマスフローレートが高い場合や、ポリプロピレン繊維の(040)面の結晶子サイズが大きい場合は、スパンボンド不織布の柔軟性に劣る。また、比較例3で示すように、スパンボンド不織布の結晶融解熱量が小さい場合は、スパンボンド不織布の寸法安定性が低下するため高次加工性に劣る。
本発明のスパンボンド不織布は、医療衛生材料、生活資材、および工業資材等に幅広く用いることができるが、良好な力学物性や高次加工性に加え、これまでにない優れた柔軟性を有することから、特に衛生材料に好適に用いることができる。具体的には、使い捨ておむつ、生理用品および湿布材の基布等である。

Claims (4)

  1. ポリプロピレン系樹脂からなる繊維によって構成された不織布であって、前記ポリプロピレン系樹脂がプロピレンの単独重合体であり、該繊維の広角X線回折における(040)面の結晶子サイズが10nm以上20nm未満、示差走査熱量測定における融点が150℃以上170℃未満、かつ該融点における結晶融解熱量が85J/g以上110J/g以下であり、メルトマスフローレートが155g/10分以上850g/10分以下である、スパンボンド不織布。
  2. 前記繊維の平均単繊維径が15.0μm以下である、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
  3. 前記示差走査熱量測定における結晶融解ピークの半値幅が10℃以下である、請求項1または2に記載のスパンボンド不織布。
  4. 前記繊維の広角X線回折における(130)面の結晶子サイズが10nm以上15nm未満である、請求項1~3のいずれかに記載のスパンボンド不織布。
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