以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図9、図10は、作業車両1の一実施形態を示す側面図である。本実施形態の場合、作業車両1はトラクタである。以下、作業車両1の運転席7に着座した作業者の前側(図9、図10の矢印A1方向)を前方、作業者の後側(図9、図10の矢印A2方向)を後方、作業者の左側を左方、作業者の右側を右方として説明する。また、作業車両1の前後方向に直交する方向である水平方向を幅方向として説明する。
作業車両1は、車体2と、原動機8と、油圧ポンプ(第1油圧ポンプ)9と、変速装置10と、連結部30と、を備えている。図9、図10に示すように、車体2は、走行装置4を有していて走行可能である。走行装置4は、前輪4A及び後輪4Bを有する装置である。前輪4Aは、当該前輪4Aの向きを変えるアーム(ナックルアーム)5により接続されている。車体2は、ナックルアーム5によって前輪4Aの向きを変えることで直進走行と旋回走行が可能である。なお、車体2は、直進走行と旋回走行が可能であればよく、上記構成に代えて、或いは加えて前輪4A及び後輪4Bの一方側(左側)と他方側(右側)との回転数を変更することで直進走行及び旋回走行を行うような構成であってよい。また、前輪4A及び後輪4Bは、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。車体2には、原動機8の動力を外部に出力するPTO軸6と、作業者が着座する運転席7と、が設けられている。
原動機8は、ディーゼルエンジン、電動モータ等であって、この実施形態ではディーゼルエンジンで構成されている。変速装置10は、変速によって走行装置4の推進力を切換可能であると共に、走行装置4の前進、後進の切換が可能である。第1油圧ポンプ9は、車体2に設けられ、作動油を吐出する機器である。第1油圧ポンプ9は、例えば原動機8
と連結され、当該原動機8が出力した動力によって作動油を吐出する。
連結部30は、車体2に揺動自在に設けられ、作業装置35を連結する。具体的には、連結部30は、車体2の後部に設けられており、第1油圧ポンプ9が吐出した作動油によって駆動する第1油圧機器40により揺動可能である。連結部30の後部には、作業装置35を着脱可能である。連結部30は、作業装置35を連結部30に連結することによって、車体2によって作業装置35を牽引することができる。作業装置35は、連結部30を介して車体2と連結されている。作業装置35は、外部から入力された動力、例えばPTO軸6から入力された動力によって作動してもよく、また、第1油圧ポンプ9が吐出した作動油によって駆動する第2油圧機器41を有し、当該第2油圧機器41によって作動してもよい。作業装置35は、図9に示すような耕耘する耕耘装置35a、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、図10に示すような牧草等の成形を行う成形装置(ロールベーラ)35b等である。
以下、変速装置10について詳しく説明する。図1に示すように、変速装置10は、主軸(推進軸)10aと、主変速部10bと、副変速部10cと、シャトル部10dと、PTO動力伝達部10eと、前変速部10fと、を備えている。推進軸10aは、変速装置10のハウジングケース(ミッションケース)に回転自在に支持され、当該推進軸10aには、原動機8のクランク軸からの動力が伝達される。主変速部10bは、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。主変速部10bは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、推進軸10aから入力された回転を変更して出力する(変速する)。
副変速部10cは、主変速部10bと同様に、複数のギア及び当該複数のギアの接続を変更するシフタを有している。副変速部10cは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、主変速部10bから入力された回転を変更して出力する(変速する)。
シャトル部10dは、シャトル軸11と、前後進切換部12とを有している。シャトル軸11には、副変速部10cから出力された動力がギア等を介して伝達される。前後進切換部12は、例えば、油圧クラッチ等で構成され、油圧クラッチの入切によってシャトル軸11の回転方向、即ち、作業車両1の前進及び後進を切り換える。シャトル軸11は、後輪デフ装置17Rに接続されている。後輪デフ装置17Rは、後輪4Bが取り付けられた後車軸18Rを回転自在に支持している。
PTO動力伝達部10eは、PTO推進軸13と、PTOクラッチ14とを有している。PTO推進軸13は、回転自在に支持され、推進軸10aからの動力が伝達可能である。PTO推進軸13は、ギア等を介してPTO軸6に接続されている。PTOクラッチ14は、例えば、油圧クラッチ等で構成され、油圧クラッチの入切によって、推進軸10aの動力をPTO推進軸13に伝達する状態と、推進軸10aの動力をPTO推進軸13に伝達しない状態とに切り換わる。
前変速部10fは、第1クラッチ16Aと、第2クラッチ16Bとを有している。第1クラッチ16A及び第2クラッチ16Bは、推進軸10aからの動力が伝達可能であって、例えば、シャトル軸11の動力が、ギア及び伝動軸を介して伝達される。第1クラッチ16A及び第2クラッチ16Bからの動力は、前伝動軸19を介して前車軸18Fに伝達可能である。具体的には、前伝動軸19は、前輪デフ装置17Fに接続され、前輪デフ装置17Fは、前輪4Aが取り付けられた前車軸18Fを回転自在に支持している。
第1クラッチ16A及び第2クラッチ16Bは、油圧クラッチ等で構成されている。第1クラッチ16Aには油路が接続され、当該油路には第1油圧ポンプ9から吐出した作動油が供給される第1作動弁44aに接続されている。第1クラッチ16Aは、第1作動弁44aの開度によって接続状態と切断状態とに切り換わる。第2クラッチ16Bには油路が接続され、当該油路には第2作動弁44bに接続されている。第2クラッチ16Bは、第2作動弁44bの開度によって接続状態と切断状態とに切り換わる。第1作動弁44a及び第2作動弁44bは、例えば、電磁弁付き二位置切換弁であって、電磁弁のソレノイ
ドを励磁又は消磁することにより、接続状態又は切断状態に切り換わる。
第1クラッチ16Aが切断状態で且つ第2クラッチ16Bが接続状態である場合、第2クラッチ16Bを通じてシャトル軸11の動力が前輪4Aに伝達される。これにより、前輪4A及び後輪4Bが動力によって駆動する四輪駆動(4WD)で且つ前輪4Aと後輪4Bとの回転速度が略同じとなる(4WD等速状態)。一方、第1クラッチ16Aが接続状態で且つ第2クラッチ16Bが切断状態である場合、四輪駆動になり且つ前輪4Aの回転速度が後輪4Bの回転速度に比べて速くなる(4WD増速状態)。また、第1クラッチ16A及び第2クラッチ16Bが接続状態である場合、シャトル軸11の動力が前輪4Aされないため、後輪4Bが動力によって駆動する二輪駆動(2WD)となる。
図1、図9、図10に示すように、作業車両1は、当該作業車両1を操作する操作装置20を有している。操作装置20は、運転席7の周囲に設けられており、原動機8、変速装置10、及び走行装置4等を操作可能である。操作装置20は、例えば第1操作レバー21、第2操作レバー22、及び操舵装置23を含んでおり、第1操作レバー21及び第2操作レバー22は、作業者が把持して傾動操作可能である。第1操作レバー21は、連結部30の昇降を操作可能な装置であり、第2操作レバー22は、作業装置35の操作が可能な装置である。
操舵装置23は、作業者の操作によって車体2の操舵を行う手動操舵が可能な装置であり、車体2の直進操作及び旋回操作が可能である。図9、図10に示すように、操舵装置23は、運転席7の前方に設けられている。操舵装置23は、ステアリングハンドル(ステアリングホイール)23aと、ステアリングハンドル23aを回転可能に支持するステアリングシャフト(回転軸)23bと、を有している。また、操舵装置23は、補助機構(パワーステアリング装置)50を有している。補助機構50は、油圧等によってステアリングシャフト23bの回転を補助する。補助機構50は、第2油圧ポンプ51aと、第2油圧ポンプ51aから吐出した作動油が供給される補助制御弁51bと、補助制御弁51bにより作動するステアリングシリンダ51cとを含んでいる。補助制御弁51bは、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁であり、ステアリングシャフト23bの操舵方向(回転方向)に対応して切り換わる。ステアリングシリンダ51cは、前輪4Aの向きを変えるアーム(ナックルアーム)5に接続されている。
したがって、作業者がステアリングハンドル23aを把持して一方向又は他方向に操作すれば、当該ステアリングハンドル23aの回転方向に対応して補助制御弁51bの切換位置及び開度が切り換わり、当該補助制御弁51bの切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ51cが左又は右に伸縮することによって、前輪4Aの操舵方向を変更することができる。つまり、車体2は、ステアリングハンドル23aの手動操舵によって、進行方向を左又は右に変更することができる。
図2、図3に示すように、連結部30は、リフトアーム30a、ロアリンク30b、トップリンク30c、及びリフトロッド30dを有している。リフトアーム30aの前端部は、変速装置10を収容するケース(ミッションケース)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。
ロアリンク30bの前端部は、変速装置10の後下部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。トップリンク30cの前端部は、ロアリンク30bよりも上方において、変速装置10の後部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトロッド30dは、リフトアーム30aとロアリンク30bとを連結している。ロアリンク30bの後部及びトップリンク30cの後部には、作業装置35が連結される。
第1油圧機器40は、リフトシリンダ40aを含んでいる。リフトシリンダ40aは、油圧シリンダから構成されている。リフトシリンダ40aは、第1油圧ポンプ9が吐出した作動油によって駆動する。図3に示すように、リフトシリンダ40aが駆動(伸縮)すると、リフトアーム30aが昇降するとともに、リフトロッド30dを介してリフトアーム30aと連結されたロアリンク30bが昇降する。これにより、連結部30(作業装置35)がロアリンク30bの前部を支点として、上方又は下方に揺動(昇降)する。なお、第1油圧機器40は、第1油圧ポンプ9が吐出した作動油によって駆動し、連結部30
を揺動させればよく、連結部30は、上記構成に限定されず、図2に示すように、第1油圧機器40は、トップリンク30cに設けられたリンクシリンダ40bや、一方のリフトアーム30aに設けられたローリングシリンダ40cを含んでいてもよい。斯かる場合、リンクシリンダ40bは、トップリンク30cの一部として構成されている。リンクシリンダ40bを伸ばすと、トップリンク30cのトップ先端部が後方に移動して、トップリンク30cに取り付けられた作業装置35が後傾するようにピッチング量が変更される。一方、リンクシリンダ40bを縮めると、トップリンク30cのトップ先端部が前方に移動して、トップリンク30cに取り付けられた作業装置35が前傾するようにピッチング量が変更される。また、一方(右側)のリフトアーム30aの後端側と一方(右側)のロアリンク30bの前後方向中途部とは複動型油圧シリンダからなるローリングシリンダ40cによって連結され、他方(左側)のリフトアーム30aの後端側と他方(左側)のロアリンク30bの前後方向に中途部とは伸縮不能なリフトロッド30dによって連結されている。ローリングシリンダ40cを伸縮させることにより、一方のロアリンク30bが他方のロアリンク30bに対して相対的に上下揺動する。これにより、連結部30に装着された作業車両1の左右方向の傾きが調整される。
以下、第1油圧ポンプ9、第1油圧機器40、第2油圧機器41、並びに第1油圧機器40及び第2油圧機器41を制御する複数の制御弁43を含む作業車両1の油圧システムについて説明する。
第1油圧ポンプ9は、原動機8の動力によって作動油を吐出するポンプであり、例えば、HSTポンプであり、斜板形可変容量アキシャルポンプである。第1油圧ポンプ9は、パイロット圧が作用する受圧部を有しており、当該受圧部には、作動油(パイロット油)を調整可能な電磁比例弁が接続されている。即ち、電磁比例弁は、第1油圧ポンプ9の受圧部に作用するパイロット油を調整することで、当該第1油圧ポンプ9の斜板の角度を変更し、第1油圧ポンプ9の出力(作動油の吐出量)や作動油の吐出方向を変えることができる。
なお、第1油圧ポンプ9は、吐出する作動油の出力を変更することができればよく、斜板形可変容量アキシャルポンプに限定されない。例えば、第1油圧ポンプ9が定容量型の第1油圧ポンプ9である場合、原動機8から第1油圧ポンプ9に入力される動力を変更可能な変速機(例えばトルクコンバータ)が設けられているような構成であってよいし、上記構成に限定されない。
図1に示すように、第1油圧ポンプ9には、吐出油路42が接続されている。吐出油路42は、第1油圧ポンプ9から吐出された作動油を流す油路である。吐出油路42には、複数の制御弁43が接続されている。複数の制御弁43は、第1油圧機器40を制御する第1制御弁43aと、第2油圧機器41を制御する第2制御弁43bと、を含んでいる。複数の制御弁43は、例えばパイロット方式の直動スプール型の切換弁であって、切換位置を変更することで、作動油の流量及び圧力を調整することができる。これにより、複数の制御弁43は、第1油圧機器40を制御、即ち連結部30の揺動を制御し、第2油圧機器41を制御、即ち作業装置35の作動を制御する。制御弁43は、例えば電磁弁等であって、操作装置20の操作によって操作される。なお、制御弁43は、受圧部に作動油の圧力が作用することで作用してもよく、電磁弁に限定されない。
図1に示すように、作業車両1は、制御装置60と記憶部61とを備えている。制御装置60は、電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成された装置である。制御装置60は、作業車両1が有する様々な機器を制御する。具体的には、制御装置60は、第1油圧機器40の制御、作業装置35、及び第1油圧ポンプ9の出力の変更が可能である。例えば、制御装置60は、第1操作レバー21の操作が入力されると、当該操作に応じて第1制御弁43aの切換位置を変更することで第1油圧機器40を制御する。また、制御装置60は、第2操作レバー22の操作が入力されると、当該操作に応じて第2制御弁43bの切換位置を変更することで第2油圧機器41を制御する。第1油圧ポンプ9がHSTポンプであり、斜板形可変容量アキシャルポンプである場合、制御装置60は、電磁比例弁を制御して、受圧部に作用するパイロット圧を変更することで当該第1
油圧ポンプ9の斜板の角度を調整し、第1油圧ポンプ9の出力を変更する。なお、第1油圧ポンプ9が定容量型の第1油圧ポンプ9であり、変速機(トルクコンバータ)によって、当該第1油圧ポンプ9の出力を変更する場合、制御装置60は、変速機の入力側と出力側の回転差を制御することで第1油圧ポンプ9の出力を変更する。
記憶部61は、不揮発性のメモリ等であり、制御装置60の制御に関する様々な情報等を記憶している。
また、制御装置60は、設定部60aを有しており、通常モードと省エネモードとに設定可能である。設定部60aは、電気・電子回路や記憶部61に記憶されたプログラム等から構成されている。通常モードは、作業車両1の作業の効率を優先するモードであり、省エネモードは、作業車両1の作業効率よりも当該作業車両1の省エネルギー化を優先するモードである。制御装置60は、省エネモードでは第1油圧ポンプ9の出力を通常モードよりも低くすることで作業車両1の省エネルギー化を優先する。具体的には、制御装置60は、通常モードにおいて第1油圧ポンプ9の出力を第3出力に設定し、省エネモードにおいて第1油圧ポンプ9の出力を第3出力よりも低い第2出力に設定する(第2出力<第3出力)。第2出力及び第3出力のように第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報は、記憶部61に予め記憶されており、制御装置60は、記憶部61から当該情報を取得して、第1油圧ポンプ9の出力を設定する。通常モードと省エネモードとの切換は、例えば、操作装置20に含まれるモード切換スイッチ24を操作することで行う。なお、通常モードと省エネモードとの切換は、モード切換スイッチ24に限定されず、作業車両1(制御装置60)と無線又は有線で通信可能に接続された端末、例えば作業車両1に設けられた表示装置を操作することができるものでもよい。
制御装置60は、省エネモードにおいて第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定することで、第1油圧ポンプ9の出力を通常モード(第3出力)よりも低くするが、所定の条件において第1油圧ポンプ9の出力を第2出力から当該第2出力よりも高い第1出力に増加させ、作業効率の向上と省エネルギー化を両立させる。具体的には、第1出力は、第2出力よりも高く、且つ第3出力よりも低く(第2出力<第1出力<第3出力)、言い換えると、第2出力は、第1出力よりも低い。制御装置60は、省エネモードにおいて、少なくとも車体2が第1領域E1に位置している場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、車体2が第2領域E2に位置している場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。言い換えると、省エネモードは、車体2の位置に応じて第1油圧ポンプ9の第1出力及び第2出力の設定を有効にするモード(有効モード)であり、一方、通常モードは、車体2の位置に関わらず第1油圧ポンプ9の出力を第3出力に設定、即ち、第1出力及び第2出力の設定を無効にするモード(無効モード)である。
図1に示すように、制御装置60は、判断部60bを有している。判断部60bは、電気・電子回路や記憶部61に記憶されたプログラム等から構成されており、車体2が第1領域E1に位置しているのか、及び車体2が第2領域E2に位置しているのかを判断する。判断部60bは、例えば作業車両1が作業を行う圃場Fのうち作物を栽培しない領域を第1領域E1として判断し、当該圃場Fのうち作物を栽培する領域を第2領域E2として判断する。つまり、圃場Fが水田である場合、第1領域E1は枕地F1であり、第2領域E2は枕地F1の内側F2である。
図1に示すように、操舵装置23は、自動操舵機構52を有している。自動操舵機構52は、車体2の自動操舵を行う機構であって、制御装置60によって制御されることで車体2を操舵することができる。自動操舵機構52は、ステアリングモータ53とギア機構54とを備えている。ステアリングモータ53は、車体2の位置に基づいて、回転方向、回転速度、回転角度等が制御可能なモータである。ギア機構54は、ステアリングシャフト23bに設けられ且つ当該ステアリングシャフト23bと供回りするギアと、ステアリングモータ53の回転軸に設けられ且つ当該回転軸と供回りするギアとを含んでいる。ステアリングモータ53の回転軸が回転すると、ギア機構54を介して、ステアリングシャフト23bが自動的に回転(回動)し、前輪4Aの操舵方向を変更することができる。
図1に示すように、操作装置20は、操作具25を含んでいる。言い換えると、作業車
両1は、操作具25を備えている。操作具25は、押圧操作可能な押しボタンスイッチや表示装置に表示され且つ操作可能なスイッチである。操作具25は、第1油圧機器40或いは第1油圧機器40に加えて車体2が予め定められた一連の作業(作業工程プログラム)と関連付けられており、操作具25が操作されると、当該操作具25は制御装置60に操作信号を出力する。操作具25から制御装置60に操作信号を入力されると、判断部60bは、操作具25が操作された場合に車体2が第1領域E1に位置すると判断し、操作具25が操作されていない場合に車体2が第2領域E2に位置すると判断する。即ち、有効モードにおいて、制御装置60は、操作具25が操作された場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、操作具25が操作されない場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。また、制御装置60は、記憶部61から一連の作業における自動操舵機構52及び第1油圧機器40等の制御に関する情報を取得し、一連の作業を行うよう第1油圧機器40或いは第1油圧機器40に加えて車体2の制御を行う。
一連の作業は、圃場F内で繰り返し操作する作業工程を予め設定したものであり、自動操舵機構52及び第1油圧機器40等の制御に関する情報や第1油圧ポンプ9の出力(第1出力)に関する設定情報と、操作具25と、関連付けられて記憶部61に予め記憶されている。第1出力は、一連の作業ごとに関連付けて記憶されており、少なくとも第2出力よりも高く、且つ第3出力よりも低ければよく、一連の作業ごとに異なる高さであってもよい。一連の作業は、例えば、枕地作業(枕地旋回)である。このため、判断部60bは、操作具25が操作されると、車体2が枕地旋回を行う領域に位置する、即ち枕地F1(第1領域E1)に位置すると判断し、操作具25が操作されないと、車体2が枕地F1の内側F2(第2領域E2)に位置すると判断する。枕地旋回において、制御装置60は、第1油圧機器40を制御して、連結部30を上方へ揺動させ、自動操舵機構52を制御して、ステアリングシャフト23bを回転させ、車体2の旋回を行う。
図4Bに示すように、一連の作業が枕地旋回である場合を例に説明すると、例えば車体2が枕地F1の近傍に位置している場合において(S1)、制御装置60が無効モードであり、且つ作業者が操作具25を操作すると、制御装置60は、第1出力及び第2出力の設定を無効にして第1油圧ポンプ9の出力を第1出力及び第2出力よりも高い第3出力に設定する。制御装置60は、記憶部61から枕地旋回における自動操舵機構52及び第1油圧機器40等の制御に関する情報を取得し、当該情報に基づいて第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を収縮させて、連結部30を上昇させる。また、制御装置60は、上記情報に基づいて自動操舵機構52を制御して前輪4Aの操舵方向を変更し、変速装置10を制御して車体2の車速を変更する(S2)。車体2が旋回すると、制御装置60は、第1制御弁43aを制御して第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を伸長させて、連結部30を下降させる。これによって、操作具25が操作された場合に、制御装置60は、第1油圧機器40或いは第1油圧機器40に加えて車体2が一連の作業を行うよう制御する。
一方、制御装置60が有効モードであり、車体2が枕地F1の内側F2に位置している場合、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力の設定情報を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。また、制御装置60が有効モードであり、且つ図4Bに示すように、車体2が枕地F1の近傍に位置している場合において(S1)、作業者が操作具25を操作すると、制御装置60は、記憶部61から枕地旋回における自動操舵機構52、第1油圧ポンプ9の出力の設定情報、及び第1油圧機器40等の制御に関する情報を取得し、且つ一連の作業の開始から終了までの間に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定する。制御装置60は、取得した情報に基づいて第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を収縮させて、連結部30を上昇させる。また、制御装置60は、上記情報に基づいて自動操舵機構52を制御して前輪4Aの操舵方向を変更し、変速装置10を制御して車体2の車速を変更する(S2)。車体2が旋回すると、制御装置60は、第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を伸長させて、連結部30を下降させる。枕地旋回が終了すると、制御装置60は、第1油圧ポンプ9の出力を低下させて変更前の出力、つまり第2出力に戻す。こ
れによって、制御装置60が有効モードであり、且つ操作具25が操作された場合に、制御装置60は、第1油圧機器40或いは第1油圧機器40に加えて車体2が一連の作業を行うよう制御し、当該一連の作業の開始から終了までの間に第1油圧ポンプ9の出力を高くする。
なお、上述した実施形態において操作具25は、単一のスイッチであるが、表示装置に複数の操作具25が表示されている場合など、操作具25は複数設けられており、一連の作業は複数種類あってもよい。また、記憶部61に記憶されている一連の作業(作業工程プログラム)は、予め定められていてもよいし、作業車両1と無線又は有線で通信可能に接続された端末、例えば作業車両1に設けられた表示装置を操作することで、変更、追加、及び削除等、任意に設定できるものでもよい。
また、上述した実施形態において、操舵装置23は自動操舵機構52を有し、一連の作業は、原動機8、自動操舵機構52、及び第1油圧機器40等の操作を含む作業であり、一連の作業において車体2の旋回制御が可能であるが、一連の作業が第1油圧機器40の操作のみである場合には、操舵装置23は、自動操舵機構52を有している必要はない。
上述した作業車両1では、判断部60bは、操作具25が操作された場合に、車体2が第1領域E1に位置すると判断し、有効モードである場合に制御装置60が第1油圧ポンプ9の出力を第2出力から当該第2出力よりも高い第1出力に設定するが、判断部60bは、上記条件に代えて、或いは加えて別の条件に基づいて、車体2が第1領域E1又は第2領域E2に位置することを判断してもよい。例えば、判断部60bは、作業車両1が旋回走行を終了し、直進走行を行った距離X1に基づいて、車体2が第1領域E1(枕地F1)に位置するか否かを判断する。
図1に示すように、制御装置60は、操作取得部60cと、距離算出部60dと、を有している。操作取得部60c及び距離算出部60dは、制御装置60に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。
操作取得部60cは、操舵装置23の操作情報を取得する。例えば、操作取得部60cは、ステアリングシャフト23bに設けられた舵角センサから当該操作信号(操作情報)を取得する。舵角センサは、ステアリングシャフト23bの回転角度を検出し、ステアリングの回転操作を操作情報として操作取得部60cに出力する。これによって、操作取得部60cは、車体2の直進操作と旋回操作との操作情報を取得する。
距離算出部60dは、操作取得部60cが取得した操舵装置23の操作情報に基づいて、車体2が旋回走行を終了し直進走行を開始してから移動した距離X1を算出する。具体的には、距離算出部60dは、操作取得部60cが取得した操作情報からステアリングシャフト23bの回転角度を検出し、ステアリングシャフト23bの回転角度が所定以上である場合、車体2が旋回していると判断し、ステアリングシャフト23bの回転角度が所定未満である場合、車体2が旋回していないと判断する。つまり、距離算出部60dは、ステアリングシャフト23bの回転角度が所定以上から所定未満に減少した場合に、車体2が旋回走行を終了し直進走行を開始したと判断する。また、距離算出部60dは、作業車両1に設けられ且つ制御装置60に接続された車速センサで検出された車速速度に基づいて走行距離X1を算出する。これにより、距離算出部60dは、車体2が旋回走行を終了してから移動した距離X1を算出する。
判断部60bは、距離算出部60dが算出した距離X1が第1閾値M1以上である場合に車体2が第1領域E1に位置すると判断し、距離算出部60dが算出した距離X1が第1閾値M1未満である場合に車体2が第2領域E2に位置すると判断する。即ち、有効モードにおいて、制御装置60は、距離算出部60dが算出した距離X1が第1閾値M1以上である場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、距離算出部60dが算出した距離X1が第1閾値M1未満である場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。第1閾値M1は、記憶部61に予め記憶された値であり、圃場Fの一方側の枕地F1から他方側の枕地F1までの長さである。
図4Cに示すように、作業車両1が圃場Fの一方側の枕地F1から他方側の枕地F1に移動する場合を例に説明すると、制御装置60が無効モードである場合、制御装置60は
、車体2の位置に関わらず第1出力及び第2出力の設定を無効にし、第1油圧ポンプ9の出力を第1出力及び第2出力よりも高い第3出力に設定する。
一方、制御装置60が有効モードであり、且つ車体2が一方側の枕地F1から他方側の枕地F1に移動、即ち車体2が旋回走行を終了し直進走行を行っている場合(S3)、距離算出部60dが算出した距離X1が第1閾値M1未満であるとき、判断部60bは、車体2が第2領域E2に位置すると判断する。判断部60bが車体2は第2領域E2に位置していると判断すると、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第2出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。作業者は、枕地F1の内側F2で作業装置35での作業を行うため、操作装置20を操作して連結部30を下降させる。操作装置20から操作情報を入力された制御装置60は、第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を伸長させて、連結部30を下降させる。
また、図4Cに示すように、車体2が直進走行を行い、距離算出部60dが算出した距離X1が第1閾値M1以上になると(S4)、つまり車体2が他方側の枕地近傍に達すると、判断部60bは、車体2が第1領域E1に位置すると判断する。このため、制御装置60は、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力から第1出力に設定することで当該第1油圧ポンプ9の出力を増加させる。作業者は、車体2を枕地F1で旋回(枕地旋回)させ、作業装置35での作業を中断するため、操作装置20を操作して連結部30を上昇させる。操作装置20から操作情報を入力された制御装置60は、第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を収縮させて、連結部30を上昇させる。
図4Cに示すように、車体2が枕地旋回を終了、即ち作業者が操舵装置23を操作して車体2を旋回走行から直進走行に移行させると、距離算出部60dが算出した距離X1が第1閾値M1未満であるため、判断部60bは、車体2が第2領域E2に位置すると判断する。これにより、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第1出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第1出力から第2出力に設定して、当該出力を低下させる。
なお、距離算出部60dは、車体2が旋回走行を終了してから移動した距離X1を算出できればよく、作業車両1が当該作業車両1の位置を検出可能な位置検出装置62を備えている場合は、位置検出装置62が検出した位置情報に基づいて、車体2が旋回走行を終了してから移動した距離X1を算出してもよい。また、上述した実施形態において、操作取得部60cは、舵角センサから操作装置20の操作信号を取得するが、操作取得部60cは、操舵装置23の操作情報を取得することができればよく、例えば操舵装置23が当該操舵装置23の操作信号を制御装置60に入力し、制御装置60が車体2の旋回制御を行う場合、操作取得部60cは、操舵装置23から操作信号(操作情報)を取得する。
また、第1閾値M1は、予め設定された値であり、作業車両1と無線又は有線で通信可能に接続された端末、例えば作業車両1に設けられた表示装置を操作することで、変更、追加、及び削除等、任意に設定できるものでもよく、記憶部61が枕地F1を含む圃場Fの情報を記憶している場合は、当該圃場Fの情報に基づいて制御装置60が圃場F内の一方側の枕地F1から他方側の枕地F1までの長さを算出することで設定されてもよい。また、作業者が表示装置等を操作し、車体2が第1領域E1に到達するまでの時間を任意に設定することで、第1閾値M1を補正するようなものであってもよい。
さらに、判断部60bは上記条件に代えて、或いは加えて作業装置35の状態に基づいて、車体2が第1領域E1又は第2領域E2に位置することを判断してもよい。例えば、判断部60bは、作業装置35の作業進度に基づいて、車体2が第1領域E1又は第2領域E2に位置することを判断し、制御装置60は、判断部60bの判断に応じて第1油圧ポンプ9の出力を設定する。以下、作業装置35がロールベーラ(成形装置)35bである場合を例示して説明する。図10に示すように、ロールベーラ35bは、本体35b1と、収集機構(ピックアップ)35b2と、成形機構35b3と、ゲート35b4と、第2油圧機器(油圧シリンダ)41と、を有している。収集機構35b2は、本体35b1の前側下部に設けられ、圃場Fの牧草を収集する。成形機構35b3は、本体35b1に
設けられ、PTO軸6から入力された動力によって駆動し、収集機構35b2が収集した牧草を牧草ロールに成形する。ゲート35b4は、成形機構35b3が成形した牧草ロールを外部に排出する本体35b1後部の開口を覆うカバーであり、第2油圧機器41によって開閉操作される。第2油圧機器41は、油圧シリンダであり、制御装置60が制御する第2制御弁43bによって操作される。
図1に示すように、制御装置60は、作業情報取得部60eと、進度算出部60fと、を有している。作業情報取得部60e及び進度算出部60fは、制御装置60に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。
作業情報取得部60eは、作業装置35の情報を取得する。具体的には、作業情報取得部60eは、作業装置35の作業の進捗状況に関する情報を取得する。作業装置35がロールベーラ35bである場合、作業情報取得部60eは、ロールベーラ35bに設けられ、且つロールベーラ35bが収集した牧草の量を検出するセンサである検出センサから出力された信号を取得する。また、作業装置35が耕耘する耕耘装置35aである場合、作業情報取得部60eは、操作装置20の操作情報、詳しくは連結部30の昇降動作を取得する。
進度算出部60fは、作業情報取得部60eが取得した作業装置35の情報に基づいて作業装置35の作業進度を算出する。作業装置35がロールベーラ35bである場合、進度算出部60fは、ロールベーラ35bが収集した牧草の量と、ロールベーラ35bが牧草ロールを成形するのに必要な牧草の量と、を比較することで作業進度を算出する。また、作業装置35が耕耘する耕耘装置35aである場合、制御装置60は、距離算出部60dを有し、当該距離算出部60dが算出した連結部30を下降してから移動した距離と、圃場Fの一方側の枕地F1から他方側の枕地F1までの距離とを比較することで作業進度を算出する。なお、進度算出部60fが作業進度を算出するのに必要な情報、例えばロールベーラ35bが牧草ロールを成形するのに必要な牧草の量や圃場Fの一方側の枕地F1から他方側の枕地F1までの距離の情報は、予め記憶部61に記憶されており、作業車両1と無線又は有線で通信可能に接続された端末、例えば作業車両1に設けられた表示装置を操作することで、変更、追加、及び削除等、任意に設定できるものでもよい。
判断部60bは、進度算出部60fが算出した作業進度が第2閾値M2以上である場合に車体2が第1領域E1に位置すると判断し、進度算出部60fが算出した作業進度が第2閾値M2未満である場合に車体2が第2領域E2に位置すると判断する。即ち、有効モードにおいて、制御装置60は、進度算出部60fが算出した作業進度が第2閾値M2以上である場合に、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、進度算出部60fが算出した作業進度が第2閾値M2未満である場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。第2閾値M2は、記憶部61に予め記憶された値であり、作業装置35の作業進度の割合である。第2閾値M2は、作業車両1が行う作業内容毎、即ち連結部30に連結された作業装置35毎に設定されている。
作業装置35がロールベーラ35bである場合を例に説明すると、制御装置60が無効モードである場合、制御装置60は、作業装置35の作業進度に関わらず第1出力及び第2出力の設定を無効にし、第1油圧ポンプ9の出力を第1出力及び第2出力よりも高い第3出力に設定する。
一方、制御装置60が有効モードである場合、進度算出部60fは、作業情報取得部60eが取得した作業装置35の情報に基づいて作業装置35の作業進度を算出する。詳しくは、作業情報取得部60eは、検出センサから信号を受信することで、当該検出センサが検出したロールベーラ35bの収集した牧草の量の情報を取得する。進度算出部60fは、記憶部61からロールベーラ35bが牧草ロールを成形するのに必要な牧草の量の情報を取得し、当該情報と、作業情報取得部60eが取得した情報と、に基づいて、ロールベーラ35bが収集した牧草の量とロールベーラ35bが牧草ロールを成形するのに必要な牧草の量とを比較することで作業進度を算出する。
図4Dに示すように、判断部60bは、進度算出部60fが算出した作業進度を取得し
、作業進度が第2閾値M2未満であるとき(S5)、車体2が第2領域E2に位置すると判断する。これにより、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第2出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。作業者は、ロールベーラ35bを操作して、牧草を収集する作業を行うため、操作装置20を操作して第2油圧機器(油圧シリンダ)41を伸長させてゲート35b4を閉鎖させる。
また、図4Dに示すように、ロールベーラ35bが牧草を収集し、作業進度が第2閾値M2以上になると、つまりロールベーラ35bが収集した牧草の量が、牧草ロールを成形するのに必要な量に達すると(S6)、判断部60bは、車体2が第1領域E1に位置すると判断する。このため、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第1出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力から第1出力に設定することで当該第1油圧ポンプ9の出力を増加させる。作業者は、成形機構35b3が成形した牧草ロールを排出する作業を行うため、操作装置20を操作して第2油圧機器(油圧シリンダ)41を収縮させてゲート35b4を開放させる。これによって、成形機構35b3が成形した牧草ロールは、本体35b1から外部に排出される。
ロールベーラ35bが牧草ロールの排出を終了すると、進度算出部60fが算出した作業進度が第2閾値M2未満になるため、判断部60bは、車体2が第2領域E2に位置すると判断し、制御装置60は、第1油圧ポンプ9の出力を第1出力から第2出力に設定、即ち当該出力を低下する。
なお、第2閾値M2は、予め設定された値であり、作業車両1と無線又は有線で通信可能に接続された端末、例えば作業車両1に設けられた表示装置を操作することで、変更、追加、及び削除等、任意に設定できるものでもよい。
また、上述した実施形態では、判断部60bは、作業装置35の作業進度に基づいて、車体2が第1領域E1又は第2領域E2に位置することを判断するが、作業装置35の作業進度の条件に代えて、或いは加えて作業装置35に生じている負担に基づいて、車体2が第1領域E1又は第2領域E2に位置することを判断してもよい。例えば、判断部60bは、作業装置35の作動速度に基づいて、車体2が第1領域E1又は第2領域E2に位置することを判断し、制御装置60は、判断部60bの判断に応じて第1油圧ポンプ9の出力を設定する。
図1に示すように、作業車両1は、速度検知部30a1を備えている。速度検知部30a1は、第1油圧機器40の作動速度を検知する部分である。例えば、速度検知部30a1は、リフトアーム30aに取り付けられ、当該リフトアーム30aの角度を検出して、第1油圧機器40の作動速度を検知するリフトアームセンサ30a1である。リフトアームセンサ30a1は、例えば、ポテンショメータ等の回転変位形の可変抵抗器である。リフトアームセンサ30a1は、検出した角度の信号(角度信号)を制御装置60に入力する。なお、速度検知部30a1は、第1油圧機器40の作動速度を検知することができればよく、これに限定されない。
判断部60bは、速度検知部30a1が検知した第1油圧機器40の作動速度が第3閾値M3未満である場合に車体2が第1領域E1に位置すると判断し、速度検知部30a1が検知した第1油圧機器40の作動速度が第3閾値M3未満である場合に車体2が第2領域E2に位置すると判断する。即ち、有効モードにおいて、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報を取得し、速度検知部30a1が検知した第1油圧機器40の作動速度が第3閾値M3未満である場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、速度検知部30a1が検知した第1油圧機器40の作動速度が第3閾値M3以上である場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。第3閾値M3は、操作装置20の操作量と関連付けられ、記憶部61に予め記憶されており、第1油圧機器40の作動速度を示す値である。第3閾値M3は、操作装置20の操作量に比例して記憶されている。
作業車両1が圃場Fの枕地F1において旋回走行する場合を例に説明すると、制御装置60が無効モードである場合、制御装置60は、第1油圧機器40の作動速度に関わらず第1出力及び第2出力の設定を無効にし、第1油圧ポンプ9の出力を第1出力及び第2出
力よりも高い第3出力に設定する。
一方、制御装置60が有効モードであり、且つ作業者が枕地F1で車体2を旋回(枕地旋回)させ、操作装置20を操作して連結部30を上昇させた場合、操作装置20から操作情報を入力された制御装置60は、第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を収縮させて、連結部30を上昇させる。操作装置20から制御装置60に操作情報を入力されると、判断部60bは、当該操作情報に基づいて操作情報に対応する第3閾値M3を取得する。速度検知部30a1は、第1油圧機器40の作動速度を検知し、判断部60bは、速度検知部30a1が検知した作動速度が第3閾値M3未満であるか否かの判断を行う。速度検知部30a1が検知した作動速度が第3閾値M3以上であるとき、判断部60bは、操作装置20の操作に対して第1油圧機器40が十分に作動している、つまり第1油圧ポンプ9の出力が十分であり、車体2が第2領域E2に位置すると判断する。これにより、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第2出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。
また、速度検知部30a1が検知した作動速度が第3閾値M3未満であるとき、判断部60bは、操作装置20の操作に対して第1油圧機器40が十分に作動していない、つまり第1油圧ポンプ9の出力が不十分であり、車体2が第1領域E1に位置すると判断する。このため、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第2出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力から第1出力に設定することで当該第1油圧ポンプ9の出力を増加させる。これによって、第1油圧ポンプ9の出力が増加することで、第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)は、十分に作動し、当該第1油圧機器40によって連結部30が上昇される。
なお、速度検知部30a1は、第1油圧機器40の作動速度を算出できればよく、その算出方法は、上記構成に限定されない。また、第3閾値M3は、予め設定された値であり、作業車両1と無線又は有線で通信可能に接続された端末、例えば作業車両1に設けられた表示装置を操作することで、変更、追加、及び削除等、任意に設定できるものでもよい。
上述した作業車両1は、車体2と、車体2に設けられ、作動油を吐出する第1油圧ポンプ9と、車体2に揺動自在に設けられ且つ作業装置35を連結する連結部30と、第1油圧ポンプ9が吐出した作動油によって連結部30を揺動させる第1油圧機器40と、車体2が第1領域E1に位置するか、及び車体2が第1領域E1とは異なる第2領域E2に位置するかを判断する判断部60bを有し、第1油圧機器40を制御可能な制御装置60と、を備え、制御装置60は、判断部60bが少なくとも車体2は第1領域E1に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、判断部60bが車体2は第2領域E2に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力よりも低い第2出力に設定する。上記構成によれば、車体2が第2領域E2に位置している場合には、第1領域E1に位置している場合よりも低くでき、作業車両1は、第1領域E1において第1油圧ポンプ9の出力増加させることで、連結部30をより確実に揺動させることができるため、省エネルギー化と作業効率を両立させることができる。
また、制御装置60は、第1出力及び第2出力の設定を有効にする有効モードと、第1出力及び第2出力の設定を無効にする無効モードと、を設定する設定部60aを有している。上記構成によれば、作業車両1は、車体2の位置に応じて第1油圧ポンプ9の出力を変更する設定有効モードと、車体2の位置に関わらず第1油圧ポンプ9の出力を第1出力又は第2出力とへ別の圧力に設定できる無効モードと、に設定できる。このため、有効モードと無効モードとを使い分けることで省エネルギー化と作業効率を一層両立させることができる。
また、制御装置60は、設定部60aが無効モードを設定した場合、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力よりも高い第3出力に設定する。上記構成によれば、制御装置60が有効モードであり、且つ車体2が第2領域E2に位置している場合は、制御装置60が無効モードである場合に比べて、第1油圧ポンプ9の出力を低く設定できる。このため、上記場合には、第1油圧ポンプ9を駆動させる動力を小さくできる。一方、制御装置60が有
効モードであり、且つ車体2が第1領域E1に位置している場合には、第1油圧ポンプ9を駆動させる動力を大きくでき、車体2が第2領域E2に位置している場合に比べて大きな力で第1油圧機器40を駆動させることができる。
また、判断部60bは、圃場Fのうち作物を栽培しない領域を第1領域E1として判断し、圃場Fのうち作物を栽培する領域を第2領域E2として判断し、制御装置60は、判断部60bが少なくとも車体2は圃場Fのうち作物を栽培しない第1領域E1に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、判断部60bが車体2は圃場Fのうち作物を栽培する第2領域E2に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。上記構成によれば、車体2が圃場Fのうち作物を栽培する領域に位置している場合、つまり連結部30(作業装置35)を下方に揺動させ、第1油圧機器40に供給する作動油が少なくてよい場合には、第1油圧ポンプ9の出力を低くできる。一方、車体2が圃場Fのうち作物を栽培しない領域に位置している場合、つまり作業装置35を上方に揺動させる場合には、第1油圧ポンプ9の出力を高くでき、より確実に連結部30を揺動させることができる。
また、作業車両1は、操作可能な操作具25を備え、判断部60bは、操作具25が操作された場合に車体2が第1領域E1に位置すると判断し、操作具25が操作されていない場合に車体2が第2領域E2に位置すると判断し、制御装置60は、判断部60bが少なくとも車体2は第1領域E1に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、操作具25の操作に応じて第1油圧機器40を制御して、連結部30を上方に揺動し且つ車体2を旋回させ、判断部60bが車体2は第2領域E2に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。上記構成によれば、作業車両1は、第1領域E1において第1油圧ポンプ9の出力増加させるため、連結部30をより確実に上昇させることができ、省エネルギー化と作業効率を両立させることができる。
また、作業車両1は、車体2の直進操作及び旋回操作が可能な操舵装置23を備え、制御装置60は、操舵装置23の操作情報に基づいて、車体2が旋回走行を終了し直進走行を開始してから移動した距離を算出する距離算出部60dを有し、判断部60bは、距離算出部60dが算出した距離が第1閾値M1以上である場合に、車体2が第1領域E1に位置すると判断し、距離算出部60dが算出した距離が第1閾値M1未満である場合に、車体2が第2領域E2に位置すると判断し、制御装置60は、判断部60bが少なくとも距離算出部60dの算出した距離が第1閾値M1以上であって、車体2は第1領域E1に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、判断部60bが距離算出部60dの算出した距離が第1閾値M1未満であって、車体2は第2領域E2に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。上記構成によれば、車体2が直進動作をしている場合、つまり作業装置35を下方に揺動させ、第1油圧機器40に供給する作動油が少なくてよい場合には、第1油圧ポンプ9の出力を低くできる。一方、車体2が旋回動作している場合、つまり作業装置35を上方に揺動させる場合には、第1油圧ポンプ9の出力を高くでき、車体2の旋回時により確実に連結部30を揺動させることができる。
また、作業車両1は、作業装置35の作業進度を算出する進度算出部60fを備え、判断部60bは、進度算出部60fが算出した作業進度が第2閾値M2以上である場合に、車体2が第1領域E1に位置すると判断し、進度算出部60fが算出した作業進度が第2閾値M2未満である場合に、車体2が第2領域E2に位置すると判断し、制御装置60は、判断部60bが少なくとも進度算出部60fの算出した作業進度が第2閾値M2以上であって、車体2は第1領域E1に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、判断部60bが進度算出部60fの算出した作業進度が第2閾値M2未満であって、車体2は第2領域E2に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。上記構成によれば、作業進度に応じて第1油圧ポンプ9の出力を変更することで、第1油圧機器40を動作させるために作動油が必要な場合には第1油圧ポンプ9の出力を増加させることで、応答性を向上させることができる。
また、作業車両1は、第1油圧ポンプ9が吐出した作動油によって作業装置35を作動させる第2油圧機器41を備えている。上記構成によれば、連結部30の揺動に加えて、車体2が第2領域E2に位置している場合には、第1領域E1に位置している場合よりも低くでき、作業車両1は、第1領域E1において第1油圧ポンプ9の出力増加させることで、連結部30に加えて作業装置35をより確実に作動できるため、省エネルギー化と作業効率を両立させることができる。
また、作業車両1は、第1油圧機器40の作動速度を検知する速度検知部30a1を備え、判断部60bは、速度検知部30a1が算出した作動速度が第3閾値M3未満である場合に、車体2が第1領域E1に位置すると判断し、速度検知部30a1が算出した作動速度が第3閾値M3以上である場合に、車体2が第2領域E2に位置すると判断し、制御装置60は、判断部60bが少なくとも速度検知部30a1の算出した作動速度が第3閾値M3未満であって、車体2は第1領域E1に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、判断部60bが速度検知部30a1の算出した作動速度が第3閾値M3以上であって、車体2は第2領域E2に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。上記構成によれば、第1油圧機器40の作動速度に応じて、第1油圧ポンプ9の出力を設定することができるため、省エネルギー化と作業効率を一層両立させることができる。
[第2実施形態]
図5は、作業車両1の別の実施形態(第2実施形態)を示す。
以下、第2実施形態の作業車両1について、上述した実施形態(第1実施形態)と異なる構成を中心に説明し、第1実施形態と共通する構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。第2実施形態の作業車両1は、車体2の自動操舵を制御する自動操舵制御部60gを備えており、判断部60bは、車体2の自動操舵の切換に基づいて、車体2が第1領域E1に位置するか、及び車体2が第2領域E2に位置するかを判断する。
位置検出装置62は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、位置検出装置62は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、作業車両1の位置(例えば、緯度、経度)を検出する。本実施形態において、例えば、位置検出装置62は、作業車両1の運転席7を覆うキャビン3の上部(ルーフ)に設けられている。位置検出装置62が検出した作業車両1の位置情報は、車両通信部を介して携帯端末に送信される。なお、位置検出装置62は、作業車両1の位置を検出することができればよく、その取り付け位置や構成は、上記構成に限定されない。
図5に示すように、制御装置60は、自動操舵制御部60gを有している。自動操舵制御部60gは、制御装置60に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。自動操舵制御部60gは、制御装置60から出力された制御信号に基づいて車体2が走行予定ルートL2に沿って走行するように自動操舵機構52のステアリングモータ53を制御する。
図6Aに示すように、車体2の位置と走行予定ルートL2との偏差が所定未満である場合、自動操舵制御部60gは、ステアリングモータ53の回転軸の回転角を維持する。車体2の位置と走行予定ルートL2との偏差が所定以上であって、作業車両1が走行予定ルートL2に対して左側に位置している場合は、自動操舵制御部60gは、作業車両1の操舵方向が右方向となるようにステアリングモータ53の回転軸を回転する。車体2の位置と走行予定ルートL2との偏差が所定以上であって、作業車両1が走行予定ルートL2に対して右側に位置している場合は、自動操舵制御部60gは、作業車両1の操舵方向が左方向となるようにステアリングモータ53の回転軸を回転する。なお、上述した実施形態では、車体2の位置と走行予定ルートL2との偏差に基づいて操舵装置23の操舵角を変更していたが、走行予定ルートL2の方位と作業車両1(車体2)の進行方向(走行方向)の方位(車体2の方位)とが異なる場合、即ち、走行予定ルートL2に対する車体2の方位の角度θgが所定以上である場合、自動操舵制御部60gは、角度θgが零(車体2
の方位が走行予定ルートL2の方位に一致)するように操舵角を設定してもよい。また、自動操舵制御部60gは、偏差(位置偏差)に基づいて求めた操舵角と、方位(方位偏差)に基づいて求めた操舵角とに基づいて、自動操舵における最終の操舵角を設定してもよい。上述した実施形態における自動操舵における操舵角の設定は一例であり、限定されない。
次に、自動操舵について説明する。作業車両1は、圃場Fにおける枕地F1の内側F2において自動操舵が可能である。図6Bに示すように、自動操舵を行うに際しては、まず、自動操舵を行う前に走行基準ラインL1を設定する。走行基準ラインL1の設定後に、当該走行基準ラインL1に平行な走行予定ルートL2の設定を行うことによって自動操舵を行うことができる。自動操舵では、位置検出装置62によって測定された車体2の位置と走行予定ルートL2をとが一致するように、作業車両1(車体2)の進行方向の操舵を自動的に行う。
具体的には、図5に示すように、操作装置20は、操舵切換スイッチ26を含んでおり、操舵切換スイッチ26は、走行基準ラインL1の始点P1と終点P2の設定、及び自動操舵と手動操舵との切換を操作するスイッチである。操舵切換スイッチ26の操作信号は、制御装置60に入力される。即ち、図6Bに示すように、作業者は、自動操舵を行う前に作業車両1(車体2)を圃場F内の所定位置に移動させ、当該所定位置にて作業者が作業車両1に設けられた操舵切換スイッチ26の操作を行うと、位置検出装置62によって測定された車体2の位置が走行基準ラインL1の始点P1に設定される。また、作業車両1を走行基準ラインL1の始点P1から移動させ、所定の位置で作業者が操舵切換スイッチ26の操作を行うと、位置検出装置62によって測定された車体2の位置が走行基準ラインL1の終点P2に設定される。したがって、始点P1と終点P2とを結ぶ直線が走行基準ラインL1として設定される。
走行基準ラインL1の設定後、例えば、図6Bに示すように走行基準ラインL1が設定された場所とは異なる場所P3に作業車両1を移動させ、作業者が操舵切換スイッチ26の操作を行うと、走行基準ラインL1に平行な直線である走行予定ルートL2が設定される。走行予定ルートL2の設定後、自動操舵が開始され、作業車両1の進行方向が走行予定ルートL2に沿うように変更される。例えば、現在の車体2の位置が走行予定ルートL2に対して左側にある場合には、前輪4Aが右に操舵され、現在の車体2の位置が走行予定ルートL2に対して右側にある場合には、前輪4Aが左に操舵される。なお、自動操舵中において、作業車両1の走行速度(車速)は、作業者が手動で当該作業車両1に設けられたアクセル部材(アクセルペダル、アクセルレバー)の操作量を変更、変速装置10の変速段を変更することにより変更することができる。
また、自動操舵の開始後、作業者が任意の箇所で操舵切換スイッチ26の操作を行うと、自動操舵を終了することができる。即ち、走行予定ルートL2の終点、つまり枕地F1の近傍は、操舵切換スイッチ26の操作による自動操舵の終了によって設定することができる。このため、走行予定ルートL2の始点(圃場Fにおける一方側の枕地F1)から終点(圃場Fにおける他方側の枕地F1)までの長さは、走行基準ラインL1よりも長く設定、又は短く設定することができる。
判断部60bは、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行わない場合、車体2が第1領域E1に位置すると判断し、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行う場合、車体2が第2領域E2に位置すると判断する。判断部60bは、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行うか、否かの判断を制御装置60に入力された操舵切換スイッチ26の操作信号に基づいて判断する。即ち、本実施形態では、有効モードにおいて、制御装置60は、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行わない位置に車体2が位置している場合、つまり車体2が枕地F1を含む領域に位置している場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定する。一方、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行う位置に車体2が位置している場合、つまり車体2が圃場Fにおける枕地の内側の領域E2に位置している場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。
作業車両1が圃場Fの一方側の枕地F1から他方側の枕地F1に移動し、一方側の枕地F1と他方側の枕地F1との間で自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行う場合を例に説明すると、制御装置60が無効モードである場合、制御装置60は、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行うか、行わないかに関わらず第1出力及び第2出力の設定を無効にし、第1油圧ポンプ9の出力を第1出力及び第2出力よりも高い第3出力に設定する。
一方、制御装置60が有効モードであり、且つ走行基準ラインL1の設定後、例えば、図6Cに示すように作業車両1を圃場Fの一方側の枕地F1に移動させ、作業者が操舵切換スイッチ26の操作を行うと(S7)、判断部60bは、操舵切換スイッチ26の操作信号に基づいて、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行う、つまり車体2が第2領域E2に位置すると判断する。これにより、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第2出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。また、操舵切換スイッチ26の操作されることで、走行基準ラインL1に平行な直線である走行予定ルートL2が設定される。走行予定ルートL2の設定後、自動操舵が開始され、作業車両1の進行方向が走行予定ルートL2に沿うように変更される。作業者は、作業車両1を自動操舵させ、枕地F1の内側F2で作業装置35での作業を行うため、操作装置20を操作して連結部30を下降させる。操作装置20から操作情報を入力された制御装置60は、第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を伸長させて、連結部30を下降させる。
自動操舵の開始後、作業者が任意の箇所、つまり圃場Fの他方側の枕地近傍で操舵切換スイッチ26の操作を行うと(S8)、判断部60bは、操舵切換スイッチ26の操作信号に基づいて、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行わない、つまり車体2が第1領域E1に位置すると判断する。これにより、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第1出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力から第1出力に設定することで当該第1油圧ポンプ9の出力を増加させる。また、操舵切換スイッチ26の操作されることで、自動操舵制御部60gは、車体2の自動操舵を終了する。作業者は、車体2を枕地F1で旋回(枕地旋回)させ、作業装置35での作業を中断するため、操作装置20を操作して連結部30を上昇させる。操作装置20から操作情報を入力された制御装置60は、第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を収縮させて、連結部30を上昇させる。
なお、判断部60bは、操舵切換スイッチ26の操作信号に基づいて、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行わない場合、車体2が第1領域E1に位置すると判断し、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行う場合、車体2が第2領域E2に位置すると判断するが、その判断方法は、上記方法に限定されない。例えば、作業車両1が上記構成に加えて、操作具25を備えている場合について説明すると、判断部60bは、操作具25が操作された場合、車体2が第1領域E1に位置すると判断し、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行う場合、車体2が第2領域E2に位置すると判断する。
上述した作業車両1は、操作可能な操舵切換スイッチ26と、車体2の位置を検出する位置検出装置62と、を備え、制御装置60は、操舵切換スイッチ26が操作されると、位置検出装置62が検出した車体2の位置と走行予定ルートL2とに基づいて車体2の自動操舵の制御を行う自動操舵制御部60gを有し、判断部60bは、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行わない場合、車体2が第1領域E1に位置すると判断し、自動操舵制御部60gが車体2の自動操舵の制御を行う場合、車体2が第2領域E2に位置すると判断し、制御装置60は、判断部60bが自動操舵制御部60gは車体2の自動操舵の制御を行わず、少なくとも車体2は第1領域E1に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、判断部60bが自動操舵制御部60gは車体2の自動操舵の制御を行い、車体2は第2領域E2に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。上記構成によれば、作業車両1が自動操舵可能な場合に、走行予定ルートL2及び位置検出装置62が検出した位置に応じて第1油圧ポン
プ9の出力を変更することができる。このため、第1油圧ポンプ9の出力を高く設定する必要がある領域と、第1油圧ポンプ9の出力を低くしてもよい領域と、を走行予定ルートL2と関連付けることができるため、車体2の位置に応じて省エネルギー化と作業効率を両立させることができる。
[第3実施形態]
図7は、作業車両1の別の実施形態(第3実施形態)を示す。
以下、第3実施形態の作業車両1について、上述した実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)と異なる構成を中心に説明し、第1実施形態又は第2実施形態と共通する構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。第3実施形態の作業車両1は、車体2の位置を検出する位置検出装置62を備えており、判断部60bは、位置検出装置62が検出した車体2の位置と所定の走行予定ルートL2とに基づいて、車体2が第1領域E1に位置するか、及び車体2が第2領域E2に位置するかを判断する。
図7に示すように、制御装置60は、作業車両1の自動走行を制御する自動走行制御部60hを有している。自動走行制御部60hは、制御装置60に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。自動走行制御部60hは、自動走行を開始すると、走行車両が走行予定ルートL2に沿って走行するように自動操舵機構52のステアリングモータ53を制御する。また、自動走行制御部60hは、自動走行を開始すると、変速装置10の変速段、原動機8の回転数等を自動的に変更することによって、作業車両1の車速(走行速度)を制御する。図8Aは、作業車両1の走行予定ルートL2の一例を示しており、走行予定ルートL2には、作業車両1を直進させる直進部L2aと、作業車両1を旋回させる旋回部L2bとが含まれている。作業車両1は、圃場Fにおける枕地F1の内側F2で直進し、枕地F1で旋回を行うため、言い換えると、直進部L2aは、作業車両1が圃場Fにおける枕地F1の内側F2で走行する領域(第2領域E2)であり、旋回部L2bは、作業車両1が圃場Fにおける枕地F1で旋回する領域(第1領域E1)である。つまり走行予定ルートL2は、第1領域E1と第2領域E2の位置情報を含んでいる。
自動走行制御部60hは、自動走行を開始すると、直進部L2aと旋回部L2bとでそれぞれ異なる走行速度を制御する。例えば、直進部L2aでは、自動走行制御部60hは、走行速度を速度αに設定する。一方、旋回部L2bでは、自動走行制御部60hは、走行速度を速度αよりも遅い速度β(β>α)に設定する。なお、自動走行制御部60hは、直進部L2aを複数の区間に分けて、当該区間ごとに異なる走行速度に設定してもよく、走行速度の制御は上記構成に限定されない。
図6Aに示すように、作業車両1が自動走行を行っている状況下において、車体2の位置と走行予定ルートL2との偏差が所定未満である場合、自動走行制御部60hは、ステアリングモータ53の回転軸の回転角を維持する。車体2の位置と走行予定ルートL2との偏差が所定以上であって、作業車両1が走行予定ルートL2に対して左側に位置している場合は、自動走行制御部60hは、作業車両1の操舵方向が右方向となるようにステアリングモータ53の回転軸を回転する。車体2の位置と走行予定ルートL2との偏差が所定以上であって、作業車両1が走行予定ルートL2に対して右側に位置している場合は、自動走行制御部60hは、作業車両1の操舵方向が左方向となるようにステアリングモータ53の回転軸を回転する。なお、上述した実施形態では、車体2の位置と走行予定ルートL2との偏差に基づいて操舵装置23の操舵角を変更していたが、走行予定ルートL2の方位と作業車両1(車体2)の進行方向(走行方向)の方位(車体2の方位)とが異なる場合、即ち、走行予定ルートL2に対する車体2の方位の角度θgが所定以上である場合、自動走行制御部60hは、角度θgが零(車体2の方位が走行予定ルートL2の方位に一致)するように操舵角を設定してもよい。また、自動走行制御部60hは、偏差(位置偏差)に基づいて求めた操舵角と、方位(方位偏差)に基づいて求めた操舵角とに基づいて、自動走行における最終の操舵角を設定してもよい。上述した実施形態における自動走行における操舵角の設定は一例であり、限定されない。以上のように、制御装置60によって、作業車両1を自動走行させることができる。
判断部60bは、走行予定ルートL2及び位置検出装置62が検出した車体2の位置に基づいて、車体2が第1領域E1に位置するか、及び車体2が第2領域E2に位置するかを判断する。具体的には、判断部60bは、位置検出装置62が検出した車体2の位置、並びに走行予定ルートL2に含まれる直進部L2a(第2領域E2)の位置情報、及び旋回部L2b(第1領域E1)の位置情報に基づいて、車体2が第1領域E1に位置するか、及び車体2が第2領域E2に位置するかを判断する。
図8Aに示すように、作業車両1が圃場Fの一方側の枕地F1から他方側の枕地F1に移動し、一方側の枕地F1と他方側の枕地F1との間で自動走行制御部60hが車体2の自動走行の制御を行う場合を例に説明すると、制御装置60が無効モードである場合、制御装置60は、車体2が第1領域E1に位置するか、及び車体2が第2領域E2に位置するかに関わらず第1出力及び第2出力の設定を無効にし、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第3出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第1出力及び第2出力よりも高い第3出力に設定する。
一方、制御装置60が有効モードであり、且つ自動走行制御部60hが車体2の自動走行の制御を行い、当該車体2が図8Aに示すように走行予定ルートL2の直進部L2aに位置している場合(S9)、つまり判断部60bが車体2は第2領域E2に位置していると判断した場合、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第2出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。作業者は、作業車両1を自動走行させ、枕地F1の内側で作業装置35での作業を行うため、操作装置20を操作して連結部30を下降させる。操作装置20から操作情報を入力された制御装置60は、第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を伸長させて、連結部30を下降させる。
図8Aに示すように、作業車両1が自動走行を継続し、車体2の位置が旋回部L2b(枕地F1)に達すると(S10)、判断部60bが車体2は第1領域E1に位置していると判断し、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第1出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力から第1出力に設定することで当該第1油圧ポンプ9の出力を増加させる。作業者は、車体2を枕地F1で旋回(枕地旋回)させ、作業装置35での作業を中断するため、操作装置20を操作して連結部30を上昇させる。操作装置20から操作情報を入力された制御装置60は、第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を収縮させて、連結部30を上昇させる。
なお、上述した実施形態において、作業者が操作装置20を操作して第1油圧機器40を操作しているが、走行予定ルートL2に、第1油圧機器40の制御が含まれており、制御装置60が車体2の位置に応じて第1油圧機器40の制御を行ってもよい。斯かる場合、車体2の位置が旋回部L2bに達すると、判断部60bが車体2は第1領域E1に位置していると判断し、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第1出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力から第1出力に設定し、第1油圧機器40を制御して、連結部30を上昇させるとともに車体2を旋回させる。また、車体2の位置が直進部L2aに達すると、判断部60bが車体2は第2領域E2に位置していると判断し、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第2出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第1出力から第2出力に設定し、第1油圧機器40を制御して、連結部30を下降させるとともに車体2を直進させる。
上述した実施形態において、制御装置60は、判断部60bが少なくとも車体2は第1領域E1に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、判断部60bが車体2は第2領域E2に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定するが、制御装置60は、作業車両1(作業装置35)の走行軌跡が隣接する場合に、第1油圧ポンプ9の出力を第1出力及び第2出力とは異なる出力に設定してもよい。例えば、判断部60bは、位置検出装置62が検出した車体2の位置と走行予定ルートL2とに基づいて、車体2の位置が複数の直進部L2aのうち、隣接する直進部L
2aとの距離が第4閾値M4未満の位置にある場合に、車体2が第3領域E3に位置すると判断し、制御装置60は、判断部60bが車体2は第3領域E3に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力未満である第4出力に設定する(第4出力<第2出力<第1出力<第3出力)。第4出力の設定に関する情報は、記憶部61に予め記憶されており、制御装置60は、記憶部61から当該情報を取得して、第1油圧ポンプ9の出力を設定する。
図8Bに示すように、走行予定ルートL2は、少なくとも複数の直進部L2aを含んでおり、複数の直進部L2aは、間隔をあけて平行に並んでいる。第3領域E3は、車体2の位置が複数の直進部L2aのうち、隣接する直進部L2a、言い換えると車体2が走行する直進部L2aとは別の直進部L2aからの最短距離が第4閾値M4の領域である。例えば閾値M4は、作業装置35の幅方向の長さX2以下である。つまり、作業車両1(車体2)が第3領域E3を走行する場合、作業装置35の作業範囲は隣接又は重複する。第4閾値M4は、記憶部61に予め記憶された値であり、作業装置35の幅方向の長さX2以下であるが、作業装置35が作業を行う範囲(作業範囲)の幅方向の長さ以下でもよい。
以下、作業車両1が圃場Fの枕地F1の内側において隣接耕耘を行う場合を例に説明する。制御装置60が無効モードである場合、制御装置60は、車体2が第1領域E1、第2領域E2、及び第3領域E3のいずれの領域に位置するかに関わらず第1出力、第2出力、及び第4出力の設定を無効にし、第1油圧ポンプ9の出力を第1出力、第2出力、及び第4出力よりも高い第3出力に設定する。
一方、制御装置60が有効モードであり、自動走行制御部60hが車体2の自動走行の制御を行っている場合であって、当該車体2が走行予定ルートL2の直進部L2aに位置し、且つ作業車両1が走行する直進部L2aに隣接する直進部L2aと、作業車両1との距離が第4閾値M4以上である際、つまり判断部60bが車体2は第2領域E2に位置していると判断した際に、制御装置60は、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。作業者は、作業車両1を自動走行させ、枕地F1の内側で作業装置35での作業を行うため、操作装置20を操作して連結部30を下降させる。操作装置20から操作情報を入力された制御装置60は、第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を伸長させて、連結部30を下降させる。
また、車体2が走行予定ルートL2の直進部L2aに位置し、且つ作業車両1が走行する直進部L2aに隣接する直進部L2aと、作業車両1との距離が第4閾値M4未満である場合、つまり判断部60bが車体2は第3領域E3に位置していると判断した場合、制御装置60は、記憶部61から第1油圧ポンプ9の出力に関する設定情報(第4出力)を取得し、第1油圧ポンプ9の出力を第1出力又は第2出力から第4出力に設定することで、当該第1油圧ポンプ9の出力を低減する。作業者は、作業車両1を自動走行させ、枕地F1の内側で作業装置35での作業を行うため、操作装置20を操作して連結部30を下降させる。操作装置20から操作情報を入力された制御装置60は、第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を伸長させて、連結部30を下降させる。
作業車両1が自動走行を継続し、車体2の位置が旋回部L2b(枕地F1)に達すると、判断部60bが車体2は第1領域E1に位置していると判断し、制御装置60は、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力又は第3出力から第1出力に設定することで当該第1油圧ポンプ9の出力を増加させる。作業者は、車体2を枕地F1で旋回(枕地旋回)させ、作業装置35での作業を中断するため、操作装置20を操作して連結部30を上昇させる。操作装置20から操作情報を入力された制御装置60は、第1制御弁43aを制御し第1油圧機器40(リフトシリンダ40a)を収縮させて、連結部30を上昇させる。
なお、上述した実施形態において、第1領域E1は、走行予定ルートL2のうちの旋回部L2bであり、第2領域E2は、走行予定ルートL2のうちの直進部L2aであるが、作業車両1と無線又は有線で通信可能に接続された端末、例えば作業車両1に設けられた表示装置を操作することで、第1領域E1及び第2領域E2の定義を変更、追加、及び削
除等、任意に設定できるものでもよい。例えば、作業者は、表示装置を操作して、旋回部L2bに車体2が到着するまでの時間や、距離に基づいて、第1領域E1及び第2領域E2の定義、つまり第1領域E1及び第2領域E2の範囲を補正できてもよい。斯かる場合、例えば第1領域E1を直進部L2aの終点近傍と当該終点から延びる旋回部L2bとを含む領域に設定し、第2領域E2を直進部L2aのうち、当該終点近傍を含まない領域に設定することができる。言い換えると、作業者は、第1領域E1の範囲が旋回部L2bと当該旋回部L2bの手前の領域とを含むよう補正することができ、第2領域E2の範囲が直進部L2aのうち当該旋回部L2bの手前の領域(直進部L2aの一部)を含まないよう補正できる。
また、第1領域E1及び第2領域E2の範囲を補正は、旋回部L2bに車体2が到着するまでの時間や、距離に限定されず、圃場Fの土壌や傾斜の状態や、過去の作業結果、連結部30に連結された作業装置35に応じて設定されてもよい。例えば、圃場Fの土壌の状態に応じて、第1領域E1及び第2領域E2の範囲の補正を行う場合、雨水等によって土壌がぬかるんでいる箇所を第1領域E1として追加する補正を行う。圃場Fの傾斜の状態に応じて、第1領域E1及び第2領域E2の範囲の補正を行う場合、傾斜角度が所定以上の箇所を第1領域E1として追加する補正を行う。過去の作業結果に応じて、第1領域E1及び第2領域E2の範囲の補正を行う場合には、圃場Fのうち土壌が柔らかい箇所を第1領域E1と定義し、圃場Fのうち土壌が固い箇所を第2領域E2とする補正を行ったり、旋回部L2bでの作業車両1の動作が遅い場合に、以降の作業において第1領域E1の範囲を旋回部L2bと、当該旋回部L2bの手前の領域(直進部L2aの一部)を含むよう補正を行ったりする。また、連結部30に連結された作業装置35に応じて、第1領域E1及び第2領域E2の範囲の補正を行う場合、第1領域E1及び第2領域E2の定義は、連結部30に連結された作業装置35毎に関連付けられており、作業装置35が駆動に比較的多量の作動油を要する際には、第1領域E1の範囲を旋回部L2bと、当該旋回部L2bの手前の領域を含むよう補正し、且つ当該手前の領域を比較的広く設定する。
また、第4閾値M4は、予め設定された値であり、作業車両1と無線又は有線で通信可能に接続された端末、例えば作業車両1に設けられた表示装置を操作することで、変更、追加、及び削除等、任意に設定できるものでもよく、連結部30に連結された作業装置35毎に関連付けられていてもよい。記憶部61が枕地F1を含む圃場Fの情報を記憶している場合は、当該圃場Fの情報に基づいて制御装置60が圃場F内の一方側の枕地F1から他方側の枕地F1までの長さを算出することで設定されてもよい。
上述した作業車両1は、車体2の位置を検出する位置検出装置62を備え、制御装置60は、位置検出装置62が検出した車体2の位置と走行予定ルートL2とに基づいて車体2の自動操舵の制御を行い、且つ走行予定ルートL2に対応する車体2の走行速度の制御を行う自動走行制御部60hを有し、走行予定ルートL2は、第1領域E1と第2領域E2の位置情報を含んでおり、判断部60bは、走行予定ルートL2及び位置検出装置62が検出した車体2の位置に基づいて、車体2が第1領域E1に位置するか、及び車体2が第2領域E2に位置するかを判断し、制御装置60は、判断部60bが少なくとも車体2は第1領域E1に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、判断部60bが車体2は第2領域E2に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定する。上記構成によれば、作業車両1が自動操舵可能な場合に、走行予定ルートL2及び位置検出装置62が検出した位置に応じて第1油圧ポンプ9の出力を変更することができる。このため、第1油圧ポンプ9の出力を高く設定する必要がある領域と、第1油圧ポンプ9の出力を低くしてもよい領域と、を走行予定ルートL2と関連付けることができるため、省エネルギー化と作業効率を両立させることができる。
また、走行予定ルートL2は、車体2が直進する複数の直進部L2aと、車体2が旋回する旋回部L2bと、を含んでおり、複数の直進部L2aは、間隔をあけて平行に並んでおり、判断部60bは、位置検出装置62が検出した車体2の位置と走行予定ルートL2とに基づいて、車体2の位置が複数の直進部L2aのうち、隣接する直進部L2aとの距離が第4閾値M4未満の位置にある場合に、車体2が第3領域E3に位置すると判断し、
制御装置60は、判断部60bが少なくとも車体2は第1領域E1に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第1出力に設定し、判断部60bが車体2は第2領域E2に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力に設定し、判断部60bが車体2は第3領域E3に位置すると判断した場合に第1油圧ポンプ9の出力を第2出力未満である第4出力に設定する。上記構成によれば、車体2が第3領域E3と重複、即ち作業装置35の作業が重複しており、当該作業が不要又は当該作業に必要な作動油が少ない場合に、第1油圧ポンプ9の出力を第2出力よりも小さく設定することができる。このため、作業車両1の省エネルギー化を図る事が出来る。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての設定が含まれることが意図される。