以下、添付の図面を参照して本開示に係る報知装置及び報知方法の実施の形態を説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
(適用例)
本開示に係る報知装置及び報知方法が適用可能な一例について、図1を用いて説明する。図1は、本開示に係る報知装置100の適用例を説明するための図である。
本開示に係る報知装置100は、例えば車載用途に適用可能である。図1では、報知装置100が搭載された自車両2の走行状態を例示している。報知装置100は、例えば、死角検知部1を用いて走行中の自車両2の周りで移り変わる周辺環境を監視する。周辺環境は、例えば自車両2周辺に存在する建物及び電柱などの構造物、並びに歩行者及び他車両などの動体といった各種物体を含む。
図1の例では、交差点3近傍における構造物の壁31によって、自車両2から監視可能な範囲が遮られ、死角が生じている。死角は、自車両2等の移動体から、周辺環境に応じて幾何学的に直接視できない場所を示す。本例において、自車両2から死角となる領域である死角領域R1には、横道から交差点3に接近する別の車両4(以下「死角物体」という場合がある)が存在している。
図2は、本開示に係る報知装置100の他の適用例を説明するための図である。図2では、報知装置100が搭載された自車両2の後退走行状態を例示している。図2では、後退走行している自車両2近傍における構造物の壁31によって、自車両2から監視可能な範囲が遮られ、死角が生じている。死角領域R1には、自車両2の進行方向の領域に接近する人(死角物体)4が存在している。
図1及び図2に示した例のような場合、死角物体4と自車両2とが、出会い頭に衝突するような事態が懸念される。ここで、従来のカメラ或いはレーダ等を用いた周辺監視技術では、自車両2からの死角は検出されたとしても、死角領域R1の中で自車両2に接近中の死角物体4等は、検知することが困難であった。
これに対して、本開示に係る報知装置100は、レーダ等で物理的に使用する信号における波動の伝搬特性を活用して、死角物体4のように死角領域R1に内在する物体の検知を実行する。さらに、報知装置100は、死角物体4の検知結果に基づき交差点3等の危険度を判定し、危険度に応じて自車両2の運転者に対して報知を行う。これにより、出会い頭の衝突等を回避することが可能となる。
(構成例)
以下、報知装置の構成例としての実施形態を説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係る報知装置の構成および動作について、以下説明する。
1.構成
図3は、実施形態1に係る報知装置100の構成を例示するブロック図である。
報知装置100は、図3に例示するように、死角検知部1と、報知部20とを備える。本実施形態の死角検知部1は、レーダ11と、カメラ12と、制御部13とを備える。また、例えば死角検知部1は、記憶部14と、ナビゲーション機器15と、車載センサ16とを備える。報知部20は、自車両2に搭載された各種の車載機器、例えば映像表示による報知を行う表示部21及び音による報知を行うスピーカ22等を含む。
死角検知部1のレーダ11は、例えば、送信機11aと、受信機11bと、レーダ制御回路11cとを備える。レーダ11は、本実施形態における検出部の一例である。レーダ11は、例えば自車両2の走行方向における前方(図1参照)に向けて信号の送受信を行うように、自車両2のフロントグリル又はフロントガラス等に設置される。
送信機11aは、例えば可変指向性を有するアンテナ(フェイズドアレイアンテナ等)、及び当該アンテナに物理信号Saを外部送信させる送信回路などを含む。物理信号Saは、例えばミリ波、マイクロ波、ラジオ波、及びテラヘルツ波のうちの少なくとも1つを含む。
受信機11bは、例えば可変指向性を有するアンテナ、及び当該アンテナにより外部から波動信号Sbを受信する受信回路などを含む。波動信号Sbは、物理信号Saの反射波を含むように、物理信号Saと同様の波長帯に設定される。なお、送信機11aと受信機11bとは、例えば共用のアンテナを用いてもよく、一体的に構成されてもよい。
レーダ制御回路11cは、送信機11a及び受信機11bによる信号の送受信を制御する。レーダ制御回路11cは、例えば制御部13からの制御信号により、レーダ11による信号の送受信を開始したり、送信機11aから物理信号Saを放射する方向を制御したりする。また、レーダ制御回路11cは、送信機11aから周辺環境に物理信号Saを放射させ、受信機11bの受信結果において、物理信号Saの反射波を示す波動信号Sbを検出する。
レーダ11は、例えばCW(連続波)方式またはパルス方式などの変調方式に従って動作し、外部の物体の距離、方位および速度等の計測を行う。CW方式は、2波CW方式、FM-CW方式及びスペクトル拡散方式などを含む。パルス方式は、パルスドップラー方式であってもよいし、チャープ信号のパルス圧縮或いはPN系列のパルス圧縮を用いてもよい。レーダ11は、例えばコヒーレントな位相情報制御を用いる。レーダ11は、インコヒーレントな方式を用いてもよい。
カメラ12は、例えば自車両2においてレーダ11から物理信号Saを放射可能な範囲と重畳する範囲を撮像可能な位置に設置される。例えば、カメラ12は、例えば自車両2前方(図1参照)に向けて、自車両2のフロントガラス等に設置される。死角検知部1における死角は、カメラ12の設置位置を幾何学的な基準としてもよいし、レーダ11の設置位置を基準としてもよい。
カメラ12は、設置位置から外部の画像を撮像して、撮像画像を生成する。カメラ12は、撮像画像を示す画像データを制御部13に出力する。カメラ12は、例えばRGB-Dカメラ、ステレオカメラ、又は距離画像センサである。カメラ12は、本実施形態における測距部の一例である。
制御部13は、CPU、RAM及びROM等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う。制御部13は、例えば、ECU(電子制御ユニット)により構成される。制御部13は、記憶部14に格納されたプログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムをCPUにより解釈及び実行する。このように実現されるソフトウェアモジュールとして、例えば、制御部13は、死角推定部131、死角物体計測部132および危険度判定部133を実現する。各部131~133については後述する。
記憶部14は、制御部13で実行されるプログラム、及び各種のデータ等を記憶する。例えば、記憶部14は、後述する構造情報D1を記憶する。記憶部14は、例えば、ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブを含む。また、RAM及びROMは、記憶部14に含まれてもよい。
上記のプログラム等は、可搬性を有する記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体は、コンピュータその他装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積する媒体である。死角検知部1は、当該記憶媒体からプログラム等を取得してもよい。
ナビゲーション機器15は、例えば地図情報を格納するメモリ、及びGPS受信機を含む測距部の一例である。車載センサ16は、自車両2に搭載された各種センサであり、例えば車速センサ、加速度センサ、及びジャイロセンサなどを含む。車載センサ16は、自車両2の速度、加速度および角速度などを検出する。
以上のような構成は一例であり、死角検知部1は上記の構成に限られない。例えば、死角検知部1は、ナビゲーション機器15及び車載センサ16を備えなくてもよい。また、死角検知部1の制御部13は、上記各部131~133を別体で実行する複数のハードウェア資源で構成されてもよい。制御部13は、CPU、MPU、GPU、マイコン、DSP、FPGA、ASIC等の種々の半導体集積回路で構成されてもよい。
報知部20は、例えば、表示部21及びスピーカ22を含む。表示部21は、映像表示によって、自車両2の運転者及び同乗者等のユーザに各種情報を報知する。表示部21は、例えば自車両2に搭載された液晶パネル又は有機ELパネルなどの表示装置である。表示部21は、例えば、フロントガラスや専用のガラスパネルに映像を投影するヘッドアップディスプレイであってもよい。スピーカ22は、音声によって、自車両2の運転者及び同乗者等のユーザに各種情報を報知する音声出力装置である。報知部20は、光を発してユーザに一定の情報を報知する警告灯であってもよい。
報知装置100は、自車両2の各部を駆動制御する図示しない車両駆動部を更に備えてもよい。車両駆動部は、例えばECUで構成される。車両駆動部は、例えば自車両2のブレーキを制御し、自動ブレーキを実現する。
2.動作
以上のように構成される報知装置100の動作について、以下説明する。
本実施形態に係る報知装置100は、例えば自車両2の運転中に、周辺環境を監視するように、死角検知部1を動作させる。報知装置100の報知部20は、死角検知部1による検知結果に基づき、自車両2の運転者及び同乗者等のユーザに各種情報を報知する。
死角検知部1は、例えばカメラ12において自車両2周辺の画像を撮像して、自車両2の周辺環境を監視する。死角検知部1の死角推定部131は、例えば監視結果の各種距離を示す距離情報などに基づき、現在の周辺環境において死角が推定される領域の有無を逐次、検知する。
死角検知部1において、死角推定部131により死角が発見されると、死角物体計測部132は、レーダ11を用いて死角領域R1の内部状態を計測する。自車両2のレーダ11から放射される物理信号Saは、波動的な性質を有することから、多重の反射或いは回折等を起こして死角領域R1中の死角物体4に到り、さらに自車両2にまで戻って来るという伝搬を生じ得ると考えられる。本実施形態の検知方法は、上記のように伝搬する波を活用して、死角物体4を検知する。
危険度判定部133は、死角物体計測部132の計測結果に基づいて、死角領域R1に内在し得る死角物体4についての危険度を判定する。危険度は、例えば死角物体4と自車両2とが、衝突等を起こす可能性に関する。
例えば、警告又は注意喚起を要すると考えられる危険度があると死角検知部1において判定されると、報知装置100は、運転者等に報知部20による報知を行うことができる。報知装置100の動作の詳細を、以下説明する。
2-1.死角検知部の動作
本実施形態に係る報知装置100の動作について、図4~6を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係る報知装置100の動作を説明するためのフローチャートである。図4のフローチャートに示す各処理は、報知装置100の死角検知部1の制御部13によって実行される。本フローチャートは、例えば自車両2の運転中に、所定の周期で開始される。
まず、制御部13は、カメラ12から1又は複数フレームの撮像画像を取得する(S1)。ステップS1において、制御部13は、撮像画像として距離画像を取得してもよいし、取得した撮像画像に基づき距離画像を生成してもよい。距離画像は、周辺環境を監視するための各種距離を示す距離情報の一例である。
次に、制御部13は、取得した撮像画像に画像解析を行って(S2)、現在の自車両2の周辺環境に関する構造情報D1を生成する。構造情報D1は、周辺環境における種々の物体構造を示す情報であり、例えば、各種構造物までの距離を含む。また、制御部13は、ステップS2において死角推定部131としても動作し、取得した撮像画像において死角を検知するための画像解析も行う。図5に、ステップS2の解析対象の画像を例示する。
図5は、例えば距離画像として自車両2から撮像されており(S1)、交差点3近傍で複数の構造物による壁31,32を映している。本例では、自車両2近傍の壁31の遮蔽により、当該壁31よりも奥側に死角領域R1が存在している。また、死角領域R1よりも奥側の壁32が、自車両2に対向している。以下、壁31を「遮蔽壁」といい、壁32を「対向壁」という。遮蔽壁31と対向壁32との間には、死角領域R1と外部との境界が形成される(図1参照)。
ステップS2において、制御部13は、例えば構造情報D1として距離画像における各種壁31,32の距離値を画素毎に抽出し、記憶部14に保持する。図5の場合の距離値は、方向d1に沿って自車両2側から遮蔽壁31の分、連続的に変化しながら、遮蔽壁31の端部から対向壁32に到ると不連続に変化することとなる。制御部13は、上記のような距離値の変化を解析して、死角領域R1の存在を推定できる。
図4に戻り、死角推定部131としての制御部13は、例えば画像解析による推定結果に従って、現在の自車両2の周辺環境に、死角領域R1が検知されたか否かを判断する(S3)。制御部13は、死角領域R1が検知されなかったと判断すると(S3でNO)、例えば周期的にステップS1~S3の処理を繰り返す。
制御部13は、死角領域R1が検知されたと判断すると(S3でYES)、死角物体計測部132としての処理を実行する(S4~S6)。本実施形態では、レーダ11の波動信号Sbにおける多重反射波を活用して、死角領域R1中の死角物体4を計測する死角物体計測部132の処理例を以下、説明する。
死角物体計測部132としての制御部13は、まず、死角領域R1に向けて物理信号Saを放射するように、レーダ11を制御する(S4)。図6(a),(b)に、それぞれ死角物体4がない場合とある場合におけるステップS4の物理信号Saの伝搬経路を例示する。
ステップS4において、制御部13は、例えば図5の解析結果に基づいて、レーダ11から死角領域R1の境界近傍の対向壁32に物理信号Saを放射させる。図6(a)の例において、自車両2のレーダ11からの物理信号Saは、横道の死角領域R1を介して対向壁32と反対側の壁39との間で反射を繰り返し、多重反射波として伝搬している。図6(a)の例では、死角物体4がないことに対応して、多重反射波は自車両2に向かって来ない。
一方、図6(b)の例では、死角物体4が存在することから、レーダ11からの物理信号Saは、各々の壁32,33に加えて死角物体4でも反射して、自車両2に向かう多重反射波Sb1となり得る。よって、レーダ11で受信される波動信号Sbには、死角物体4の情報を有する多重反射波Sb1の信号成分が含まれることとなる。
ステップS4において、レーダ11は、物理信号Saを放射すると共に波動信号Sbを受信して、物理信号Saの反射波に基づく各種計測を行う。制御部13は、レーダ11から計測結果を取得する(S5)。
制御部13は、レーダ11の計測結果に基づいて、死角物体の検知処理を行う(S6)。多重反射波Sb1(図6(b))の信号成分は、ドップラーシフト、位相及び伝搬時間により、反射元の死角物体4の速度および伝搬経路の長さに応じた情報を有している。死角物体の検知処理(S6)は、このような信号成分を解析することにより、多重反射波Sb1を反射した死角物体4の速度及び位置等を検知する。ステップS6の処理の詳細については後述する。
次に、制御部13は危険度判定部133として動作し、死角物体4の検知処理(S6)の結果に基づいて危険度の判定処理を行う(S7)。危険度の判定処理は、例えば、検知された位置及び速度等から死角物体4が自車両2に接近することの危険度に応じて、警告の要否を判定する。ステップS6において死角物体4の動き、距離、種類及び形状等の情報が検知される場合、ステップS7ではこれらの情報を用いて危険度が判定されてもよい。ステップS7の処理の詳細については後述する。
次に、制御部13は、危険度の判定結果(S7)に応じて、報知部20に報知を行わせる(S8)。
制御部13は、報知部20に報知を行わせる(S8)と、図4のフローチャートに示す処理を終了する。
以上の処理によると、報知装置100は自車両2の周辺監視を行いながら(S1~S3)、死角が発見されると(S3でYES)、死角物体4の検知を行い(S6)、報知を行うことができる(S8)。
以上の処理では、周辺監視にカメラ12を用いたが、ナビゲーション機器15を用いてもよい。本変形例を図7に示す。ナビゲーション機器15は、例えば図7に示すように、自車両2の周辺環境の地図情報D2において、自車両2までの各種距離を計算し、自車両2の現在位置を監視する。制御部13は、以上のようなナビゲーション機器15の監視結果を、図4の各種処理に用いることができる。制御部13は、ナビゲーション機器15の監視結果に基づいて、例えば地図情報D2中の構造物30に基づき、構造情報D1を取得したり、死角領域R1を検知したりすることができる(S2)。また、制御部13は、図4の処理において適宜、車載センサ16の検出結果を用いてもよい。
2-2.死角物体の検知処理
死角物体の検知処理(図4のS6)について、図8~10を用いて説明する。
図8は、死角物体の検知処理の実験を説明するための図である。図8(a)は、本実験の実験環境の構造情報D1を示す。図8(b)は、死角物体4がない場合のレーダ11の計測結果を示す。図9は、図8の実験において死角物体がある場合を例示する図である。図9(a)は、死角物体4がある場合のレーダ11の計測結果を示す。図9(b)は、死角物体4から推定される多重反射波の伝搬経路を例示する。
本実験は、図8(a)に示すように、交差点を有する通路において行われた。図8(b),図9(a)における濃淡は、淡いほどレーダ11で得られた信号強度が強いことを示している。
本実験においては、死角物体4がない状態では、図8(b)に示すように、4m付近に強いピークP1が確認された。ピークP1は、レーダ11に対向する対向壁P1からの反射波を示している。また、図8(b)では、その他各壁32,33からの反射波によるピークP2,P3がそれぞれ確認できる。
一方、死角物体4を置いた状態では、図9(a)に示すように、対向壁32よりも遠い7m付近に、強いピークP4が現れた。同ピークP4の方位は、レーダ11から対向壁32の奥側に見える。以上の距離と方位から、当該ピークP4が、対向壁32による反射を経て死角物体4から反射した成分が主となっていることが分かる(図9(b)参照)。即ち、レーダ11の計測結果におけるピークP4までの距離と方位に基づいて、死角物体4を波源とするピークP4を検知できることが確認された。
以上のような死角物体4の信号成分の解析は、周辺環境の構造情報を用いることにより、死角物体4の有無及び位置等をより精度良く検知できる。以下、本実施形態における死角物体の検知処理の一例を、図10を用いて説明する。
図10は、本実施形態における死角物体の検知処理を例示するフローチャートである。図10のフローチャートによる処理は、図4のステップS6において、死角物体計測部132として動作する制御部13によって実行される。
まず、制御部13は、図4のステップS5において取得したレーダ11の計測結果の信号から、死角物体の解析対象とする信号成分を抽出するために、周辺環境からの反射波を示す環境成分を除去する(S11)。ステップS11の処理は、例えばステップS2で取得された構造情報を用いて行われる。
例えば、図8(b)の例の各ピークP1,P2,P3は、通路の構造情報D1(図8(b))において各々対応する壁31,32,33からの反射波を示す環境成分として、予め推定可能である。制御部13は、構造情報D1を参照して各種構造物での反射波を予測して、レーダ11の計測結果(例えば図9(a))から予測結果の環境成分を差し引く(S11)。これにより、通路等の環境下の構造物による反射波の影響を低減し、死角の物体の信号成分のみを強調し易くできる。
次に、制御部13は、環境成分の除去により得られた信号成分に基づいて、死角物体4を検知するための信号解析を行う(S12)。ステップS12の信号解析は、周波数解析、時間軸上の解析、空間分布および信号強度等の各種の解析を含んでもよい。
制御部13は、信号解析の解析結果に基づいて、例えば死角の対向壁32の向こう側に波源が観測されるか否かを判断し(S13)、これによって、死角物体4の有無を検知する。例えば、図9(a)の例においてピークP4は、対向壁32よりも通路の奥側を波源としており、通路の構造から環境成分として予測されない位置にある。このことから、当該ピークP4は、死角内を波源とする波が、多重反射したことに起因すると推定できる。つまり、制御部13は、検知済みの死角の方位に、対向壁32を超える距離で反射波が観測される場合、死角物体4があると判定できる(ステップS13でYES)。
制御部13は、死角の対向壁32の向こう側に波源が観測されると判断した場合(S13でYES)、多重反射による屈曲が推定される伝搬経路に応じて、死角物体4までの距離および速度といった各種の状態変数を計測する(S14)。例えば、制御部13は、構造情報D1において死角部分の道幅(死角領域R1の幅)を示す情報を用いることによって、例えば図9(b)に示すように、信号成分から分かる死角物体4までの経路長を折り返すように補正して、より実際の位置に近い死角物体4の位置を算出することができる。
制御部13は、死角物体4の測量を行うと(S14)、図4のステップS6の処理を終了する。その後、制御部13は、検知された死角物体4についての危険度の判定処理(図4のS7)を実行する。
また、制御部13は、死角の対向壁32の向こう側に波源が観測されないと判断した場合(S13でNO)、特に測量を行わずに、本処理を終了する。この場合、制御部13は、図4のステップS7以降の処理を省略してもよい。
以上の処理によると、レーダ11の物理信号Saにおける多重反射の性質に基づき死角領域R1内部で生じた信号成分を利用して、死角物体4を検知することができる。
ここで、死角物体4の情報を有する信号成分は微弱であり、死角外の見えている物体からの反射波も存在する中で検出することとなるため、検出及び推定が難しいと考えられる。また、死角物体4までの実際の距離と信号の伝搬経路の長さが異なるため、実際の距離を推定し難いとも考えられる。これに対して、周辺環境の構造情報D1を用いることにより、受信波を解析する前提条件を絞り込んだり(S11)、推定精度を高めたりすることができる(S14)。
例えば、ステップS11において、制御部13は、構造情報D1における死角近傍の交差点までの距離を参照して、交差点との直線距離に対する信号の往復伝搬時間以下で得られる受信波の信号成分を除去する。このような受信波は直接反射波(即ち反射1回の波)であり、死角物体4の情報を含まないことから、解析対象から除外することができる。また、制御部13は、自車両2から見た死角の方位角に基づいて、死角から到来する反射波と他の角度から到来する反射波とを分離することもできる。
ステップS11の処理は、必ずしも周辺環境の構造情報D1を用いなくてもよい。例えば、制御部13は、時間軸に沿って得た信号から、自車両2の位置変化を差し引いて、解析対象を動体に制限してもよい。本処理は、ステップS12の信号解析において行われてもよい。
以上のステップS12において、制御部13は、解析対象の信号成分において、動体に反射したことによるドップラーシフト、或いは人間や自転車など特有の所作の揺らぎといった、特定の物体の所作により現れる特徴があるか否かを解析してもよい。また、制御部13は、空間的に広がりを持った面計測の信号分布が、自動車、自転車、人間などの特有の分布を持っているか、或いは反射強度により自動車大の金属体による反射が含まれるか等を解析してもよい。以上のような解析は、適宜組み合わせて行われてもよいし、個々を明示的に解析する代わりに、機械学習を用いて多次元の特徴量として解析されてもよい。
2-3.危険度の判定処理
危険度の判定処理(図4のS7)について、図11~12を用いて説明する。
図11は、危険度の判定処理を例示するフローチャートである。図12は、危険度の判定処理を説明するための図である。図11のフローチャートによる処理は、図4のステップS7において、危険度判定部133として動作する制御部13によって実行される。
まず、制御部13は、ステップS6における死角物体4の検知結果に基づいて、危険度指数Dを算出する(S21)。危険度指数Dは、検知された死角物体4と自車両2との間の衝突に関する危険度を判定するための指標を示す。例えば図12に示すように、死角物体4が自車両2に近付く速度v1が、危険度指数Dに設定できる。
次に、制御部13は、例えば予め設定されたしきい値Vaを用いて、算出した危険度指数Dが、しきい値Vaを超えるか否かを判断する(S22)。しきい値Vaは、例えば死角物体4に関する警告が必要となる危険度指数Dの大きさを考慮して設定される。例えば、D=v1の場合に危険度指数Dがしきい値Vaを上回ると、制御部13は、ステップS22で「YES」に進む。
制御部13は、危険度指数Dがしきい値Vaを超えると判断したとき(S22でYES)、危険度の判定結果として、例えば警告フラグを「ON」に設定する(S23)。警告フラグは、死角物体4に関する警告の有無を「ON/OFF」で管理するフラグであり、記憶部14に記憶される。
一方、制御部13は、危険度指数Dがしきい値Vaを超えないと判断したとき(S22でNO)、警告フラグを「OFF」に設定する(S24)。
制御部13は、以上のように警告フラグを設定すると(S23,S24)、危険度の判定処理(図4のS7)を終了して、ステップS8の処理に進む。
以上の処理によると、死角物体4が自車両2或いは交差点3に近付く危険度が、対応する危険度指数Dに応じて判定される。例えば、警告フラグに応じた2値判定が行われる。
なお、危険度の判定処理は2値判定に限らず、例えば警告の不要時に注意喚起の有無を判定する3値判定が行われてもよい。例えば、注意喚起用のしきい値Vb(<Va)を用いて、制御部13が、ステップS22で「NO」に進んだときにD>Vbか否かを判断してもよい。
以上の処理において、危険度指数Dは速度v1に限らず、死角物体4に関する種々の状態変数により設定可能であり、例えば速度v1の代わりに加速度dv1/dtに設定されてもよい。
また、危険度指数Dは、自車両2と死角物体4との間の距離Lに設定されてもよい。距離Lは、小さいほど自車両2と死角物体4間の衝突に関する危険度が高いと考えられる。そこで、例えばステップS22において、制御部13は、危険度指数D(=L)がしきい値Vaを下回るときに「YES」に進み、下回らないときには「NO」に進んでもよい。
また、危険度指数Dは、各種の状態変数の組み合わせによって設定されてもよい。このような一例の危険度指数Dを次式(1)に示す。
D=|(L1-v1Δt)+(L0-v0Δt)| …(1)
上式(1)において、L1は、基準位置P0から死角物体4までの距離である(図12)。基準位置P0は、例えば交差点の中心など、死角物体4と自車両2との衝突が想定される位置に設定される。Δtは、所定の時間幅であり、例えば自車両2が基準位置P0に到達するまでにかかることが予測される時間幅の近傍に設定される。L0は、基準位置P0から自車両2までの距離である。v0は、自車両2の速度であり、車載センサ16等から取得可能である。
上式(1)の危険度指数Dは、時間幅Δtの経過後に推定される、死角物体4と基準位置P0間の距離と、基準位置P0と自車両2間の距離との総和である(図12)。上式(1)によると、危険度指数Dが所定値よりも小さくなると、自車両2と死角物体4とが同時に基準位置P0に到達する可能性が充分に高いといった推定が行える。このような推定に対応する危険度の判定として、上式(1)の場合、制御部13はD=Lの場合と同様に、危険度指数Dがしきい値Vaを下回るときステップS22で「YES」に進み、下回らないとき「NO」に進んでもよい。
また、危険度指数Dは、以下の式(2)又は式(2’)のように設定されてもよい。
D=L1-v1Δt …(2)
D=|L1-v1Δt| …(2’)
上記の各式(2),(2’)では、例えばΔt=L0/v0に設定される。時間幅Δtは、自車両2の速度v0の変動或いは基準位置P0の見積誤差などを考慮した許容範囲内で設定されてもよい。
式(2)の危険度指数Dが所定値よりも小さいとき(負値を含む)、自車両2が基準位置P0に到達する前に死角物体4が自車両2前方を横切る可能性が充分に高いと推定できる。また、式(2’)の危険度指数D(式(2)の場合の絶対値)が所定値よりも小さいとき、自車両2と死角物体4とが同時に基準位置P0に存在する可能性が充分に高いと推定できる。以上のような推定に対応して、制御部13は、式(2)又は式(2’)の危険度指数Dを用いて、式(1)の場合と同様に危険度の判定を行うことができる。
以上のような危険度の判定処理において、しきい値Vaは、自車両2及び死角物体4の状態に応じて、動的に変更されてもよい。例えば、上述したL0が小さかったり、dv0/dt又はdv1/dtが大きかったり、或いは死角物体4が人間と推定される場合、危険度の判定をより厳格に行うべきと考えられる。そこで、このような場合が検知されると、制御部13は、例えば上式(1)の危険度指数Dに対して、しきい値Vaを大きくしてもよい。
2-4.報知処理
死角の危険度を判定するステップS7(図4)を終えると、次に、報知ステップS8に進む。
図13は、危険度に応じた報知を行うステップS8(図4)の詳細な流れを示すフローチャートである。まず、制御部13は、ステップS7で設定された警告フラグが「ON」であるか否かを判断する(S31)。「ON」であると判断した場合(S31でYES)、警告の態様を決定するステップS32に進む。次に、決定された態様に従って警告報知を行う(S33)。ステップS31において、警告フラグが「ON」でない(すなわち「OFF」である)と判断した場合(S31でNO)、制御部13は、警告報知を行わない。すなわち、制御部13は、通常の映像表示や音声出力等の通常動作を継続する。
前述の警告の不要時に注意喚起の有無を判定する3値判定を行う場合は、制御部13は、ステップS31において、警告フラグが「ON」でない(すなわち「OFF」である)と判断した場合(S31でNO)、ステップS7で設定された注意喚起フラグが「ON」であるか否かを判断し、YESである場合は注意喚起報知を行ってもよい。
以下、ステップS32において決定される警告の態様について説明する。ステップS32では、制御部13は、報知部20(図3)に備えられた機器のうちの何れを用いて警告報知を行うかを決定する。例えば、表示部21を用いた警告表示を行うか、スピーカ22を用いた音声による警告報知を行うか、または、表示と音声の両方による警告報知を行うか等を決定する。また、制御部13は、警告表示を行う場合、警告表示の位置、色、形、点滅表示の有無等を決定する。制御部13は、例えばステップS2で取得された構造情報D1に基づいて、予め記憶部14に記憶された表示パターンの中から、警告表示の位置、色、形等を選択する。
図14aは、警告表示内容の一例を示す図である。例えば、液晶ディスプレイ等の表示部21には、ステップS1(図4)においてカメラ12を用いて取得した撮像画像が表示されている。カメラ12は、例えば自車両2の後部に後ろ向きに搭載され、自車両2の後方を撮像する。制御部13は、例えば、ステップS2(図4)の画像解析の結果を用いて、表示部21中の遮蔽壁31を示す画像に、死角物体4の存在を示す警告画像35を重畳表示する。
図14bは、警告表示内容の他の例を示す図である。制御部13は、警告画像35を点滅させて表示してもよい。これにより、運転者が警告画像35を認識しやすくなり、効果的に危険を報知することができる。
前述のように、危険度に応じて警告表示または注意喚起表示を選択して行う3値判定を行う場合、注意喚起表示を行うときは図14aのように警告画像35を点滅させずに表示し、警告表示を行うときは図14bのような点滅表示を行ってもよい。
図14cは、警告表示内容の他の例を示す図である。制御部13は、図14a、図14bのように死角物体4を示す画像ではなく、文字による警告画像35を表示部21に表示させてもよい。文字による警告画像35は、例えば、「右側から物体が近づいています」、「衝突注意」といった文章を含む。
図14dは、警告表示内容の他の例を示す図である。図14dに示すように、警告画像35は、表示部21中の遮蔽壁31を示す画像に重畳表示された、死角物体4の移動方向を示す矢印であってもよい。
図14eは、警告表示内容の他の例を示す図である。図14eに示すように、通常時には表示部21に自車両2を示す画像を含む周辺の俯瞰図を表示する場合において、制御部13は、死角物体4の存在や移動方向を示す警告画像35を俯瞰図に重畳表示してもよい。表示部21中には、例えばステップS2で取得された構造情報D1に基づいて、構造物を示す画像が表示されてもよい。
図14fは、警告表示内容の他の例を示す図である。図14fに示すように、通常時には表示部21に地図情報を表示する場合において、制御部13は、死角物体4の存在や移動方向を示す警告画像35を地図情報に重畳表示してもよい。表示部21中には、例えばステップS2で取得された構造情報D1に基づいて、構造物を示す画像が表示されてもよい。
図15は、表示部21の例を示す図である。言い換えれば、図15は、警告画像35が表示される場所の例を示す図である。図14a~14fに示したような警告画像35を含む画像は、図15に示すように、例えばルームミラー40、ドアミラー44等の後写境、ヘッドアップディスプレイ41、メータパネル42及びフロントガラス43等に表示される。また、警告画像35を含む画像は、ナビゲーション機器15(図3)のディスプレイに表示されてもよい。
図16は、自車両2のルームミラー40に表示された警告画像35を例示する図である。警告画像35は、運転者又は乗員が見ることができるような態様で、ルームミラー40に表示される。例えば、ルームミラー40は、全体が表示部21として構成される。あるいは、ルームミラー40の内部に表示部21が備えられてもよい。また、ガラス等に画像を投影するプロジェクタ等の表示部21を用いて、ルームミラー40に警告画像35が投影されてもよい。ルームミラー40には、例えば図16に示すように、自車両2と死角物体4が衝突する危険を有することを示す警告画像35が表示される。
図17は、自車両2のメータパネル42に表示された警告画像35を例示する図である。メータパネル42がスピードメータを示す画像等を表示する液晶ディスプレイ等の表示部21で構成されている場合、制御部13は、その一部に警告画像35を表示する。スピードメータ等が機械で構成されている場合、メータパネル42の周辺に表示部21を設け、表示部21に警告画像35を表示してもよい。
図18は、自車両2のドアミラー44に表示された警告画像35及び警告灯45を例示する図である。警告画像35は、運転者又は乗員が見ることができるような態様で、ドアミラー44に表示される。例えばドアミラー44は、全体が表示部21として構成される。あるいは、ドアミラー44の内部に表示部21が備えられてもよい。
また、ガラス等に画像を投影するプロジェクタ等の表示部21を用いて、ドアミラー44に警告画像35が投影されてもよい。ドアミラー44付近に、警告灯45が設けられてもよい。警告灯45は、非常点滅表示灯や方向指示器と同様に、電球の点灯を利用するものである。例えば、制御部13は、ステップS7(図4、図11)で設定された警告フラグが「ON」であると判断した場合(図13のS31でYES)、警告灯45を点灯させる。
以上、警告報知の態様について例示した。警告報知は、運転者又は乗員に危険を認識させるものであればよく、警告報知の態様は例示したものに限定されない。例えば、警告報知は、スピーカ22から発せられる音声によってなされてもよい。前述のように、危険度に応じて警告報知または注意喚起報知を選択して行う3値判定を行う場合、例えば、警告を行う音声による報知は、注意喚起を行う報知よりも大音量でなされる。また、警告報知は、前述の表示部21による警告画像35と、音声による報知とが組み合わされたものであってもよい。
3.まとめ
以上のように、本実施形態に係る報知装置100は、移動体の一例である自車両2の周辺環境に存在する死角物体4の検知結果に基づいて報知を行う。報知装置100は、検出部としてのレーダ11と、測距部としてのカメラ12と、制御部13と、報知部20とを備える。レーダ11は、自車両2から周辺環境に、波の特性を有する物理信号Saを放射して、放射した物理信号Saの反射波を示す波動信号Sbを検出する。カメラ12は、自車両2の周辺環境の距離画像を取得する。制御部13は、レーダ11の検出結果を解析する。制御部13は、距離画像に基づいて、周辺環境における死角を示す死角領域R1を検知し(S2,S3)、レーダ11の検出結果において、検知した死角領域R1から到達する多重反射波Rb1の成分を含んだ波動信号に基づいて、死角領域R1の中の死角物体4を検知する(S6)。報知部20は、制御部13の検知結果に応じた報知を行う。
以上の報知装置100によると、レーダ11からの物理信号Saにおける波の特性を活用して、自車両2から周辺環境における死角の中に存在する物体を検知することができる。活用する波は多重反射波に限らず、回折波或いは透過波を含んでもよい。
また、報知装置100は、制御部13の検知結果に応じた報知を行うことにより、運転者又は乗員に衝突等の危険を事前に知らせることができ、自車両2と死角物体4との衝突の危険を低減させることができる。
本実施形態の報知装置100において、制御部13は、周辺環境において死角領域R1を検知したとき、検知した死角領域R1に向けて物理信号Saを放射するように、レーダ11を制御する(S4)。これにより、死角領域R1近傍に物理信号Saを集中させ、死角領域R1の中の死角物体4から多重反射波Sb1等を得やすくすることができる。なお、レーダ11からの物理信号Saは必ずしも死角領域Raに集中させなくてもよく、例えば、レーダ11が検出可能な範囲に適時、物理信号Saを放射してもよい。
本実施形態の報知装置100において、制御部13は、死角物体4の検知結果(S6)に基づいて、死角領域R1に関する危険度を判定する(S7)。危険度の判定により、例えば自車両2と死角物体4との出会い頭の衝突等を回避し易くすることができる。
また、制御部13は、報知部20によって、危険度に応じた報知を行う(S8)。死角物体4が交差点3或いは自車両2に近づく方向に移動しており、そのため衝突の危険度が高い場合、制御部13は運転者又は乗員に対して報知を行う。これにより、運転者又は乗員は、自車両2と死角物体4との出会い頭の衝突等を回避することができる。一方、死角物体4が交差点3或いは自車両2から遠ざかる方向に移動しており、そのため衝突の危険度が低い場合、制御部13は報知を行わない。このように無用の報知を行わないことにより、運転者又は乗員に報知による混乱や焦燥を生じさせることが防止される。
本実施形態に係る報知方法は、自車両2の周辺環境に存在する死角物体4の検知結果に基づいて報知を行う報知方法である。本方法は、カメラ12が、自車両2の周辺環境の距離画像を取得するステップS1と、制御部13が、距離画像に基づいて、周辺環境における死角を示す死角領域R1を検知するステップS2,S3とを含む。本方法は、レーダ11が、自車両2から周辺環境に物理信号Saを放射して、放射した物理信号Saの反射波を示す波動信号Sbを検出するステップS5を含む。本方法は、制御部13が、レーダ11の検出結果において、検知した死角領域R1から到達する波の成分Sb1を含んだ波動信号Sbに基づいて、死角領域R1中の死角物体4を検知するステップS6を含む。本方法は、報知部20が、制御部13の検知結果に応じた報知を行うステップS8を含む。
本実施形態において、以上の報知方法を制御部13に実行させるためのプログラムが提供される。本実施形態の報知方法によると、自車両2等の移動体から周辺環境における死角の中に存在する物体を検知し、検知結果に応じた報知を行うことができる。
(実施形態2)
図19は、実施形態2に係る報知装置200の構成を例示するブロック図である。報知装置200の制御部13は、実施形態1の危険度判定部133の代わりに、危険度判定部233を備える。
図20は、実施形態2に係る報知装置200の動作を説明するためのフローチャートである。実施の形態2に係る報知装置200の動作は、危険度の判定処理(S207)及び危険度に応じた報知(S208)の内容が実施形態1と異なる。
図21及び図22を参照して、実施形態2に係る危険度の判定処理を行うステップS207について説明する。図21は、危険度の判定処理を行うステップS207の詳細な流れを示すフローチャートである。図22は、危険度の判定処理を説明するための図である。図21のフローチャートによる処理は、図20のステップS207において、危険度判定部233として動作する制御部13によって実行される。
まず、制御部13は、ステップS6における死角物体4の検知結果に基づいて、死角物体4に関する第1危険度指数Dを算出する(S221)。第1危険度指数Dは、検知された死角物体4と自車両2との間の衝突に関する第1危険度を判定するための指標であり、死角領域に関する危険の程度を示す。例えば図22に示すように、死角物体4が自車両2に近付く速度v1が、第1危険度指数Dに設定できる。
次に、制御部13は、ステップS2における画像解析結果に基づいて、死角領域以外の領域に存在する物体に関する危険の程度を示す第2危険度指数Eを算出する(S222)。第2危険度指数Eは、例えば図22に示した壁230のような死角領域以外の領域に存在する物体と、自車両2と、の間の衝突に関する第2危険度を判定するための指標を示す。例えば図22に示すように、自車両2に壁230に近付く速度v0が、第2危険度指数Eに設定できる。
第2危険度指数Eは、ステップS2における画像解析結果に基づいて算出される。したがって、第2危険度指数Eを算出するステップS222は、危険度の判定処理を行うステップS207内の処理として行われる必要はなく、例えば図20に示したステップS2の直後に行われてもよい。
次に、制御部13は、死角領域以外の領域に存在する物体に関する第2危険度が、死角物体4と自車両2との間の衝突に関する第1危険度を超えるか否かを判断する(S223)。例えば、速度を第1危険度指数D及び第2危険度指数Eに設定した前述の例の場合、第2危険度指数Eが第1危険度指数Dを超えるか否かを判断する。
制御部13は、第2危険度指数Eが第1危険度指数Dを超えると判断した場合(S223でYES)、危険度の判定結果として、死角物体4に関する第1警告フラグを「OFF」に設定する(S224)。第1警告フラグは、死角物体4に関する警告の有無を「ON/OFF」で管理するフラグであり、記憶部14に記憶される。
次に、制御部13は、例えば予め設定されたしきい値Vaを用いて、第2危険度指数Eがしきい値Vaを超えるか否かを判断する(S225)。
制御部13は、第2危険度指数Eがしきい値Vaを超えると判断した場合(S225でYES)、危険度の判定結果として、例えば死角領域以外の領域に存在する物体に関する第2警告フラグを「ON」に設定する(S226)。一方、制御部13は、第2危険度指数Eがしきい値Vaを超えないと判断した場合(S225でNO)、第2警告フラグを「OFF」に設定する(S227)。
ステップS223において、第2危険度指数Eが第1危険度指数Dを超えないと判断した場合(S223でNO)、制御部13は、危険度の判定結果として、第2警告フラグを「OFF」に設定する(S228)。
次に、制御部13は、第1危険度指数Dがしきい値Vaを超えるか否かを判断する(S229)。超えると判断した場合(S229でYES)、制御部13は、危険度の判定結果として、第1警告フラグを「ON」に設定する(S230)。一方、制御部13は、第1危険度指数Dがしきい値Vaを超えないと判断した場合(S229でNO)、第1警告フラグを「OFF」に設定する(S231)。
制御部13は、以上のように第1及び第2警告フラグを設定すると、危険度の判定処理(図20のS207)を終了して、ステップS208の処理に進む。
以上の処理によると、死角物体4が自車両2或いは交差点3に近付く第1危険度が、対応する第1危険度指数Dに応じて判定され、自車両2が壁230に衝突する第2危険度が、対応する第2危険度指数Eに応じて判定される。これらの判定では、例えば、第1及び第2警告フラグに応じた2値判定が行われる。
なお、実施形態1と同様に、危険度の判定処理は2値判定に限らず、例えば警告の不要時に注意喚起の有無を判定する3値判定が行われてもよい。また、実施形態1と同様に、第1危険度指数D及び第2危険度指数Eは速度に限らず、死角物体4及び自車両2に関する種々の状態変数により設定可能である。
図23は、危険度に応じた報知を行うステップS208(図20)の詳細な流れを示すフローチャートである。まず、制御部13は、ステップS207で設定された第1警告フラグが「ON」であるか否かを判断する(S240)。「ON」であると判断した場合(S240でYES)、警告の態様を決定するステップS241に進む。次に、決定された態様に従って警告報知を行う(S242)。
警告の態様を決定するステップS241では、死角物体4に関する危険を運転者又は乗員に警告するように、警告の態様が決定される。警告表示内容は、例えば、実施形態1で説明した図14a~14fと同様の内容である。警告表示は、例えば、実施形態1で説明した図15~18で説明したような場所に警告画像35を表示することによって行われる。
ステップS240において、第1警告フラグが「ON」でない(すなわち「OFF」である)と判断した場合(S240でNO)、制御部13は、第2警告フラグが「ON」であるか否かを判断する(S243)。「ON」であると判断した場合(S240でYES)、警告の態様を決定するステップS244に進む。次に、決定された態様に従って警告報知を行う(S245)。
警告の態様を決定するステップS244では、死角領域以外の領域に存在する物体に関する危険を運転者又は乗員に警告するように、警告の態様が決定される。例えば、表示部21(図19)に、壁230(図22)と衝突する危険がある旨が画像又は文字によって表示される。あるいは、警告報知は、スピーカ22から発せられる音声や、警告灯の灯火若しくは点滅等によってなされてもよい。
ステップS243において、第2警告フラグが「ON」でない(すなわち「OFF」である)と判断した場合(S243でNO)、制御部13は、警告報知を行わない。すなわち、制御部13は、通常の映像表示や音声出力等の通常動作を継続する。
以上のように、実施形態2に係る報知装置200は、死角領域以外の領域に存在する物体に関する第2危険度と、死角物体4と自車両2との間の衝突に関する第1危険度とを比較し、大きい方の危険について運転者又は乗員に報知する。これにより、運転者又は乗員は、より程度の高い方の危険を避けるように行動することができる。また、第1危険度と第2危険度の両方を報知すると、運転者又は乗員に混乱や焦燥を生じさせ、判断や運転操作を誤らせたりするおそれがあるところ、実施形態2に係る報知装置は、大きい方の危険のみを運転者又は乗員に報知することにより、運転者又は乗員に混乱や焦燥を生じさせない。
(他の実施形態)
上記の実施形態1では、死角物体4の検知に多重反射波を活用したが、多重反射波に限らず、例えば回折波が活用されてもよい。本変形例について、図24を用いて説明する。
図24では、レーダ11からの物理信号Saが遮蔽壁31において回折し、死角物体4に到達している。また、死角物体4における反射波は、遮蔽壁31において回折し、回折波Sb2として自車両2に戻って来ている。例えば、本実施形態の制御部13は、図4のステップS4において、遮蔽壁31で回り込みを生じるように、レーダ11からの放射する物理信号Saの波長および方位を制御する。
例えば可視光よりも波長が大きい物理信号Saを用いることによって、直進性の高い可視光等では各種の遮蔽物の存在により幾何学的に到達し得ない領域にも、信号を到達させることができる。また、死角物体4となり得る車両や人間などは通常丸みを帯びた形状をしていること等から、当該信号は完全反射的な経路だけではなく、放射された自車両2が存在する方向へも反射する。このような反射波が遮蔽壁31に対して回折現象を起こして伝搬することにより、解析対象の信号成分として回折波Sb2をレーダ11に受信させることができる。
回折波Sb2の信号成分は死角物体4までの伝搬経路の情報と移動速度に応じたドップラー情報を有している。よって、同信号成分を信号解析することにより、実施形態1と同様に、信号成分の伝搬時間、位相及び周波数の情報から死角物体4の位置及び速度を計測可能である。この際、回折波Sb2の伝搬経路も、遮蔽壁31までの距離或いは各種の構造情報D1により、推定可能である。また、多重反射と回折が組み合わされた伝搬経路も適宜、推定でき、このような波の信号成分が解析されてもよい。
上記の各実施形態では、レーダ11とカメラ12等とにより検出部及び測距部が別体で構成される例を説明したが、検出部及び測距部は、一体的に構成されてもよい。本変形例について、図25を用いて説明する。
図25は、報知装置100の変形例を説明するためのフローチャートである。実施形態1の報知装置100は、カメラ12により周辺監視を行った(図4のS1~S3)。本変形例の報知装置100は、レーダ11によって、図4のS1~S3と同様の周辺監視を行う(S1A~S3A)。本変形例のレーダ11は、一体的な測距部及び検出部の一例である。
また、本変形例において死角が発見されると(S3AでYES)、制御部13は、例えばレーダ11の帯域を切替え制御し、死角で回り込みし易い帯域を用いる(S4A)。この場合、ステップS6では回折波を活用した信号解析が行われる。一方、ステップS1A~S3Aでは、直線性が高い帯域を用いて、レーダ11の周辺監視における解像度を良くすることができる。
また、上記の各実施形態では、検出部の一例をしてレーダ11を説明した。本実施形態の検出部はレーダ11に限らず、例えばLIDARであってもよい。検出部から放射する物理信号Saは、例えば赤外線であってもよい。また、検出部は、ソナーであってもよく、物理信号Saとして超音波を放射してもよい。これらの場合、検出部が受信する波動信号Sbは、対応する物理信号Saと同様に設定される。
また、上記の各実施形態では、レーダ11及びカメラ12が自車両2前方に向けて設置される例を説明したが、レーダ11等の設置位置は特に限定されない。例えば、レーダ11等は、自車両2後方に向けて配置されてもよく、例えば報知装置100は駐車支援に用いられてもよい。
また、上記の各実施形態では、移動体の一例として自動車を例示した。報知装置100が搭載される移動体は、特に自動車に限定されず、例えばAGVであってもよい。例えば、報知装置100は、AGVの自動走行時に周辺監視を行い、死角中の物体を検知してもよい。
上記の実施形態2では、死角領域以外の領域に存在する物体に関する第2危険度と、死角物体4と自車両2との間の衝突に関する第1危険度とを比較し、大きい方の危険について運転者又は乗員に報知する報知装置200について説明した。しかしながら、本開示に係る報知装置は、いずれか一方の危険のみを報知するものに限定されない。例えば、第1危険度と第2危険度とを比較し、第1危険度の方が大きい場合、制御部13は、第1危険度について警告報知を行い、第2危険度について注意喚起報知を行ってもよい。これにより、第1危険度と第2危険度の両方について運転者又は乗員に報知を行いつつ、より大きい第1危険度に関する報知を際立たせることができる。第2危険度が第1危険度より大きい場合についても同様である。
(付記)
以上のように、本開示の各種実施形態について説明したが、本開示は上記の内容に限定されるものではなく、技術的思想が実質的に同一の範囲内で種々の変更を行うことができる。以下、本開示に係る各種態様を付記する。
本開示に係る第1の態様は、移動体(2)の周辺環境に存在する物体の検知結果に基づいて報知を行う報知装置(100)である。前記報知装置は、検出部(11)と、測距部(12)と、制御部(13)と、報知部(20)とを備える。前記検出部は、前記移動体から前記周辺環境に、波の特性を有する物理信号(Sa)を放射して、放射した物理信号の反射波を示す波動信号(Sb)を検出する。前記測距部は、前記移動体から前記周辺環境までの距離を示す距離情報を検出する。前記制御部は、前記検出部の検出結果を解析する。前記制御部は、前記距離情報に基づいて、前記周辺環境における死角を示す死角領域(R1)を検知し(S2,S3)、前記検出部の検出結果において、検知した死角領域から到達する波の成分を含んだ波動信号に基づいて、前記死角領域の中の物体(4)を検知する(S6)。前記制御部は、前記周辺環境において前記死角領域を検知したとき、検知した死角領域に向けて前記物理信号を放射するように、前記検出部を制御する(S4)。前記制御部は、前記検知結果に基づいて、前記死角領域に関する危険の程度を示す第1危険度を判定する(S7)。前記制御部は、前記距離情報に基づいて、前記死角領域以外の領域に関する危険の程度を示す第2危険度を判定する(S207)。前記報知部は、前記制御部の検知結果に応じた報知を行う(S8)。前記報知部は、前記第1危険度及び前記第2危険度に応じた報知を行う(S208)。
第2の態様では、第1の態様の報知装置において、前記報知部は、前記第1危険度と前記第2危険度とを比較し(S223)、高い方の危険度に応じた報知を行う。
第3の態様では、第1又は第2の態様の報知装置において、前記報知部は、音による報知を行うスピーカ(22)、映像表示による報知を行う表示装置(21)及び光による報知を行う光源のうちの少なくとも一つを含む。
第4の態様では、第1~第3のいずれかの態様の報知装置において、前記測距部は、カメラ、レーダ、LIDAR、及びナビゲーション機器のうちの少なくとも一つを含む。
第5の態様では、第1~第4のいずれかの態様の報知装置において、前記物理信号は、赤外線、テラヘルツ波、ミリ波、マイクロ波、ラジオ波、及び超音波のうちの少なくとも1つを含む。
第6の態様は、移動体(2)の周辺環境に存在する物体の検知結果に基づいて報知を行う報知方法である。本方法は、測距部(12)が、前記移動体から前記周辺環境までの距離を示す距離情報を取得するステップ(S1)と、制御部(13)が、前記距離情報に基づいて、前記周辺環境における死角を示す死角領域(R1)を検知するステップ(S2,S3)とを含む。本方法は、検出部(11)が、前記移動体から前記周辺環境又は前記死角領域に、波の特性を有する物理信号(Sa)を放射して、放射した物理信号の反射波を示す波動信号(Sb)を検出するステップ(S5)を含む。本方法は、前記制御部が、前記検出部の検出結果において、検知した死角領域から到達する波の成分を含んだ波動信号に基づいて、前記死角領域中の物体(4)を検知するステップ(S6)を含む。本方法は、前記制御部が、前記検知結果に基づいて、前記死角領域に関する危険の程度を示す第1危険度を判定するステップ(S7)を含む。本方法は、前記制御部が、前記距離情報に基づいて、前記死角領域以外の領域に関する危険の程度を示す第2危険度を判定するステップ(S207)を含む。本方法は、報知部(20)が、前記第1危険度及び前記第2危険度に応じた報知を行うステップ(S208)を含む。
第7の態様は、第6の態様の報知方法を制御部に実行させるためのプログラムである。