以下、本願を実施するための実施の形態に係る走行経路指示装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一符号は同一もしくは相当部分を示している。
1.実施の形態1.
実施の形態1に係る走行経路指示装置1、及び走行経路指示装置1により走行経路が管制される複数の車両20を備えた走行経路指示システムについて、図面を参照して説明する。図1は、走行経路指示システムの概略全体構成を示す図である。
走行経路指示装置1は、ネットワーク網3に接続されたサーバ2に設けられている。すなわち、サーバ2が、走行経路指示装置1のアプリケーション(プログラム)を実行することにより、走行経路指示装置1の機能が実現される。本実施の形態における走行経路指示システムでは、複数台の走行経路指示装置1が設けられており、複数の車両20の走行経路を分担して管制する。また、サーバ2は、例えば、MEC(Mobile Edge Computing)サーバとされる。MECの詳細は、例えば、文献(ETSI GS MEC 003 V2.1.1(2019-01))に記載されている。ネットワーク網3は、例えば、コアネットワークとされる。走行経路指示装置1及びサーバ2は、管制する地域の近くに設定されてもよい。
それぞれの車両20は、無線通信により、近くの基地局4に接続される。複数の基地局4が、道路網をカバーできるように、各地点に分散して設けられている。基地局4は、4G、5G等のセルラー方式の無線通信の規格を用いて、通信圏内に存在する車両に搭載された移動端末機器と無線通信を行う無線局であり、ネットワーク網3に接続されている。よって、それぞれの車両20と走行経路指示装置1とは、基地局4及びネットワーク網3を介して通信接続される。
1-1.車両の構成
図2に、それぞれの車両20に搭載されたシステムの概略構成を示す。それぞれの車両20は、車載ネットワーク21、通信装置22、ロケータ23、ナビゲーション装置24、自動運転制御装置25、動力制御装置26、ブレーキ制御装置27、自動操舵制御装置28、及びライト制御装置29等を備えている。
車載ネットワーク21は、通信装置22からライト制御装置29までの各車載装置の相互の通信を行うネットワークである。例えば、CAN(Controller Area、Network)、Ethernet、Flexray(いずれも、登録商標)等の通信規格が用いられる。
通信装置22は、アンテナ22aを用いて、通信圏内に存在する基地局4と無線通信を行い、走行経路指示装置1とデータ通信を行う通信装置である。また、通信装置22は、近くの車両と通信してもよい。
ロケータ23は、自車両の位置を認識する装置であり、GPSアンテナ、加速度センサ、方位センサ、高精度の地図データ等を有している。ロケータ23は、GPSアンテナ等から得た自車両の位置情報(緯度、経度、標高)及び周辺監視装置25aから得た情報等と、高精度の地図データとをマッチングし、自車両の高精度な位置情報を認識する。
ナビゲーション装置24は、ロケータ23から得た自車両の現在位置、目標地点、地図データ、及び道路状況に基づいて、現在位置から目標地点までの目標経路を決定する。ナビゲーション装置24は、ヒューマンインターフェイス24aを備えており、搭乗者による目標地点の設定を受け付ける。ナビゲーション装置24は、ナビゲーション情報を、スピーカー24b及びディスプレイ24cに出力し、搭乗者に提示することができる。
自動運転制御装置25は、自動運転のための認知・判断・制御を行う装置である。図3に示すように、自動運転制御装置25は、センサ情報取得部251、認知部252、通信部253、目標走行経路生成部254、管理部255、車両制御指令生成部256、及び車両概要情報生成部257等を備えている。通信部253は、車載ネットワーク21を介して他の車載装置と通信する。車両概要情報生成部257は、通信部253を介して他の車載装置から入手する、自車両の位置情報(現在位置の緯度、経度)と、車線変更要求とから成る車両概要情報を生成する。車線変更要求は、後述する目標走行経路生成部254において生成された目標走行経路が車線変更を伴う場合に、「要求あり」として設定される。この車両概要情報は、後述するように走行経路指示装置1が目標走行経路を送信させる対象車両を判定するために用いるものであり、目標走行経路と比較するとデータサイズは格段に小さい。センサ情報取得部251は、周辺監視装置25aから情報を取得する。周辺監視装置25aは、自車両の周辺を監視するカメラ及びレーダ等である。レーダには、ミリ波レーダ、レーザレーダ、超音波レーダ等が用いられる。
認知部252は、自車両の位置情報、高精度の地図データ、周辺監視装置25aから得た周辺情報に基づいて、周辺車両の走行状態及び走行道路の状態等の周辺の走行状況を認知する。周辺車両の走行状態として、周辺車両の位置、速度、走行方向、走行車線、大きさ、及び種別等が認知される。走行道路の状態として、道路の形状、車線、障害物の有無、歩行者の有無、道路標識情報、車線変更の禁止区間等の道路の交通ルール、信号情報、及び渋滞情報等が認知される。
そして、目標走行経路生成部254は、ナビゲーション装置24により設定された目標地点までの目標経路に沿って走行するために、認知した周辺の走行状況に合わせた、近距離の目標走行経路を決定する。近距離の目標走行経路は、現在から所定距離前方又は所定時間先までの目標走行経路とされる。どれだけ未来の目標走行経路が決定されるかは、任意であるが、例えば、周辺監視装置25aにより検知できる範囲に対応した範囲内の目標走行経路が決定される。
例えば、目標走行経路生成部254は、周辺監視装置25aにより自車両の前方に他車両、障害物、歩行者等が検出された場合は、他車両、障害物、歩行者等への接触を避けるような目標走行経路を決定する。また、目標走行経路生成部254は、周辺監視装置25aにより、高精度地図データとは異なる道路形状が認知された場合は、認知した道路形状に合わせた目標走行経路を決定する。また、目標走行経路生成部254は、周辺監視装置25aにより標識情報、信号情報が認知された場合は、認知した標識情報、信号情報に合わせた目標走行経路を決定する。なお、目標走行経路生成部254は、ナビゲーション装置24により設定された目標経路を変更する必要がない場合は、ナビゲーション装置24の目標経路に合わせた目標走行経路を決定する。
なお、後述するように、走行経路指示装置1により、走行優先度の低い車両の走行経路が変更されるため、目標走行経路生成部254は、必ずしも、周辺の他車両の走行状況を考慮して、目標走行経路を決定する必要はない。
目標走行経路は、将来の各時刻における車両の位置、車両の進行方向、車両の速度、走行車線、及び車線変更を行う位置等の時系列の走行計画である。管理部255は、決定した目標走行経路を、通信装置22を介して走行経路指示装置1に送信する。例えば、管理部255は、目標走行経路のデータとして、各時刻の車両の位置(緯度、経度、標高)、車両の速度、及び車両の向き等の時系列データを送信する。図4に、目標走行経路の時系列データの例を示す。図4の例では、時刻、緯度、経度、車速、及び車両の向き(例えば、車両の前後方向の方位)からなる時系列データである。
なお、送信する目標走行経路のデータには、車両の基本情報が含まれる。基本情報には、車両の種別(例えば、救急車、パトカー、路線バス、貨物車、タクシー、一般乗用車、二輪バイク)、車両の輪郭形状、車両の情報(例えば、車両の性能、車両の状態、搭乗者人数)、及び車両の緊急性の情報がある。
また、管理部255は、他車両に走行経路を譲ってもよい旨の委譲の許可が設定されている場合は、目標走行経路のデータに併せて、委譲許可情報を走行経路指示装置1に送信する。委譲の許可は、ヒューマンインターフェイス24a等を介して搭乗者により設定されたり、車両にデフォルトで設定されたりする。
また、管理部255は、後述する走行経路指示装置1の判定遅延部45が目標走行経路の受信を待機する待ち時間を、目標走行経路のデータに併せて走行経路指示装置1に送信してもよい。例えば、管理部255が送信する待ち時間は、その目標走行経路を走行する予定の最も未来の時刻と現在の時刻との差に設定される。
後述するように、走行経路指示装置1は、受信した各車両の目標走行経路に基づいて、各車両の走行経路を判定し、各車両に走行経路指令を送信する。自動運転制御装置25は、走行経路指示装置1から受信した走行経路指令に従って、車両の自動運転を行う。管理部255は、走行経路指示装置1から受信した走行経路指令が、送信した目標走行経路からの変更である場合は、走行経路指令に基づいて設定した走行経路を車両制御指令生成部256に伝達する。例えば、管理部255は、受信した走行経路指令が、現在の走行車線を維持する車線維持指令である場合は、現在の走行車線を維持する走行経路を決定し、車両制御指令生成部256に伝達する。また、管理部255は、受信した走行経路指令が、回避走行経路である場合は、回避走行経路を車両制御指令生成部256に伝達する。
一方、管理部255は、走行経路指示装置1から受信した走行経路指令が、送信した目標走行経路を維持する指令である場合は、目標走行経路生成部254が生成した目標走行経路を車両制御指令生成部256に伝達する。
管理部255は、走行経路指示装置1から目標走行経路を変更することとなった変更事由を受信した場合は、通信部253及びナビゲーション装置24を介して、スピーカー24b及びディスプレイ24cの一方又は双方により、変更事由を搭乗者に報知する。
車両制御指令生成部256は、管理部255から伝達された走行経路の指令に従って走行するように、目標速度、目標操舵角、方向指示器の操作指令等を決定し、目標速度を動力制御装置26及びブレーキ制御装置27に指令し、目標操舵角を自動操舵制御装置28に指令し、方向指示器29aの操作指令をライト制御装置29に指令する。
動力制御装置26は、自車両の速度が目標速度に追従するように、内燃機関、モータ等の動力機26aの出力を制御する。ブレーキ制御装置27は、自車両の速度が目標速度に追従するように、電動ブレーキ装置27aのブレーキ動作を制御する。自動操舵制御装置28は、操舵角が目標操舵角に追従するように、電動操舵装置28aを制御する。ライト制御装置29は、方向指示器29aの操作指令に従って、方向指示器29aを制御する。
なお、自動運転制御装置25は、周辺監視装置25a等から得た周辺の走行状況により、他車両、障害物、歩行者への衝突防止等の、緊急の回避運転が必要な場合は、自律的に回避の自動運転を行う。
なお、自動運転機能を有する車両の構成は、車両製造メーカによって異なるため、本願で説明した構成から異なってもよいが、少なくとも、走行経路指示装置1に目標走行経路を伝達し、走行経路指示装置1から伝達された走行経路指令に従って自動運転を行う機能を有する車両であれば、本願の走行経路指示システムを構成することができる。
<自動運転制御装置25のハードウェア構成例>
自動運転制御装置25の各機能は、自動運転制御装置25が備えた処理回路により実現される。自動運転制御装置25は、図23に示すように、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置80(コンピュータ)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク(HDD)等の記憶装置81、データ通信を行う通信装置82等を備えている。本実施の形態では、通信装置82は、車載ネットワーク21、周辺監視装置25a等に接続され、データ通信を行う。
自動運転制御装置25のハードディスク等の記憶装置81には、各機能のためのプログラム等が記憶されている。自動運転制御装置25の各処理は、演算処理装置80が、記憶装置81に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行し、記憶装置81、通信装置82等の他のハードウェアと協働することにより実現される。
<自動運転制御装置25のフローチャート>
次に、自動運転制御装置25の処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。図5のフローチャートの処理は、例えば一定の演算周期毎に、繰り返し実行される。
ステップS01で、通信部253は、車載ネットワーク21を介してナビゲーション装置24及びロケータ23等の他の車載装置と通信し、目標地点までの目標経路、自車両の位置情報、高精度の地図データ等の情報を取得する。なお、通信部253は、適時、必要に応じて通信する。
ステップS02で、センサ情報取得部251は、周辺監視装置25aから情報を取得する。ステップS03で、認知部252は、自車両の位置情報、高精度の地図データ、及び周辺監視装置25aから得た周辺情報に基づいて、周辺車両の走行状態及び走行道路の状態等の周辺の走行状況を認知する。
ステップS04で、目標走行経路生成部254は、ナビゲーション装置24により設定された目標地点までの目標経路に沿って走行するために、認知した周辺の走行状況に合わせた、近距離の目標走行経路を決定する。
ステップS05で、車両概要情報生成部257は、自車両の位置情報(現在位置の緯度、経度)と車線変更要求から車両概要情報を生成し、通信部253及び通信装置22を介して走行経路指示装置1に送信する。なお、自車両の位置情報と走行車速は通信部253を介してロケータ23等の車載装置から取得し、車線変更要求は、ステップS04での目標走行経路が車線変更を伴う場合に、「要求あり」として設定される。
ステップS06で、予め定めた待機時間内に走行経路指示装置1からの目標走行経路の送信要求を受信したかどうかを確認する。受信した場合はステップS08に進む。受信していない場合は、ステップS07に進む。
ステップS07で、管理部255は、走行経路指示装置1からの目標走行経路の送信要求の受信がタイムアウトしたので、走行経路指示装置1への目標走行経路の送信を行わずに、目標走行経路を車両制御指令生成部256に伝達し、ステップS15に進む。
ステップS08で、管理部255は、目標走行経路生成部254が決定した目標走行経路を、通信部253及び通信装置22を介して走行経路指示装置1に送信する。また、管理部255は、委譲の許可が設定されている場合は、目標走行経路のデータに併せて、委譲許可情報を走行経路指示装置1に送信する。
ステップS09で、管理部255は、目標走行経路の送信後、予め設定された待機時間が経過するまで、走行経路指示装置1から走行経路指令の受信を待機し、受信した場合は、受信した時点でステップS11に進み、待機時間が経過しても受信していない場合は、ステップS10に進む。
ステップS10で、管理部255は、走行経路指示装置1からの受信がタイムアウトしたので、目標走行経路を車両制御指令生成部256に伝達し、ステップS15に進む。
ステップS11で、管理部255は、走行経路指示装置1から受信した走行経路指令が、送信した目標走行経路からの変更であるか否かを判定し、目標走行経路からの変更である場合は、ステップS13に進み、目標走行経路の維持である場合は、ステップS12に進む。ステップS13で、管理部255は、走行経路指令に基づいて設定した走行経路を車両制御指令生成部256に伝達する。また、ステップS14で、管理部255は、走行経路指示装置1から目標走行経路を変更することとなった変更事由を受信した場合は、通信部253及びナビゲーション装置24を介して、スピーカー24b及びディスプレイ24cの一方又は双方により、変更事由を搭乗者に報知する。一方、ステップS12で、管理部255は、目標走行経路を車両制御指令生成部256に伝達し、ステップS15に進む。
ステップS15で、車両制御指令生成部256は、管理部255から伝達された走行経路の指令に従って走行するように、目標速度、目標操舵角、方向指示器の操作指令等を決定して、動力制御装置26、ブレーキ制御装置27、自動操舵制御装置28、ライト制御装置29に指令する。そして、各制御装置は、指令値に従って、各装置の制御を行う。
1-2.走行経路指示装置1の構成
図6に、走行経路指示装置1の概略構成図を示す。走行経路指示装置1は、通信部40、目標経路受信部41、経路重複判定部42、優先度判定部43、経路指令部44、判定遅延部45、変更事由送信部46、委譲情報受信部47、通信リソース空き状況取得部51、車両概要情報受信部52、車両選択部53、目標走行経路送信要求送信部54等を備えている。
通信部40は、複数の車両と通信する。本実施の形態では、上述したように、通信部40は、ネットワーク網3に接続されており、ネットワーク網3及び基地局4を介して、管制対象の車両と通信する。管制対象の車両は、例えば、走行経路指示装置1が管制している地域に位置している車両とされる。
通信リソース空き状況取得部51は、走行経路指示装置1が管制している地域の通信リソース空き状況を取得する。地域ごとの通信リソース空き状況を取得する技術は公知であり、例えば、国際公開第2019/087464号「サーバ装置及びその制御方法、並びにプログラム」などに記載されている。
車両概要情報受信部52は、複数の車両から送信される車両概要情報を受信する。本実施の形態での車両概要情報は、上述したように、車両の位置情報(現在位置の緯度、経度)と車線変更要求とから成るものである。
車両選択部53は、通信リソース空き状況と車両概要情報を基に、複数の車両の中から目標走行経路を送信させる対象車両を選択する。選択する方法については後述する。
目標走行経路送信要求送信部54は、車両選択部53で選択された対象車両へ、目標走行経路の送信要求を送信する。
目標経路受信部41は、目標走行経路の送信要求を受けた車両から、目標走行経路を受信する。本実施の形態では、目標走行経路は、上述したように、各時刻の車両の位置、車両の速度、及び車両の向き等の時系列データである。また、上述したように、目標走行経路のデータには、車両の種別、車両の輪郭形状、車両の情報、及び車両の緊急性等の車両の基本情報が含まれる。委譲情報受信部47は、各車両から、他車両に走行経路を譲ってもよい旨の委譲許可情報を受信する。
判定遅延部45は、各車両から目標走行経路を受信するまで、後述する経路重複判定部42の判定を遅らせる。この構成によれば、各車両の目標走行経路が揃った状態で、経路重複判定部42の判定を行わせることができ、経路重複判定部42の判定精度を向上させることができる。なお、判定遅延部45は、互いに近接している複数の車両毎に、目標走行経路の受信を管理していてもよい。判定遅延部45は、予め設定された待ち時間が経過しても、各車両の目標走行経路が揃わない場合は、経路重複判定部42の判定を開始させてもよい。なお、各車両の待ち時間は、上述したように、各車両から目標走行経路と併せて送信された待ち時間に設定されてもよい。
変更事由送信部46は、後述する経路指令部44により目標走行経路を変更することとなった低優先重複車両に対して、目標走行経路を変更することとなった変更事由を送信する。そして、変更事由を受け取った車両は、上述したように、スピーカー24b又はディスプレイ24cにより、変更事由を搭乗者に報知する。変更事由は、例えば、「緊急車両に進路を譲るため車線変更を行います」、「右側車両に進路を譲るため、車線変更を行います」、「右側車両に進路を譲るため、減速します」、「周辺の走行状況を考慮して、走行経路を変更します」等とされる。この構成によれば、低優先重複車両の搭乗者が、自車両の走行状態を知ることができ、搭乗者の利便性を高めることができる。
<車両間の走行経路の調整の必要性>
同一車線内における前後の車両においても、後方の車両が前方の車両よりも高い速度で走行している場合には、後方からの衝突を避けるために走行経路の調整が必要となる。また、複数車線の場合には車線変更あるいは合流において、車両間の走行経路が相互に重なる場合がある。
図7の例を用いて、走行経路の重なりを説明する。図7は、第1車両100及び第2車両200から受信した目標走行経路を、道路形状に重ねて可視化している。第1車両100が、現在時刻Tから300ms後(T+300ms)に車線変更を開始しており、第2車両200が、現在時刻Tから300ms後(T+300ms)に車線変更を開始している。そして、現在時刻Tから500ms後(T+500ms)及び600ms後(T+600ms)において、第1車両100の車両位置と第2車両200の車両位置とが相互に重なっている。
この場合でも、各車両は自律的な自動運転により、車両同士の接触を回避することができるが、急な走行操作が必要になる。そこで、事前に走行経路の重なりを予測し、事前に走行経路の重なりを回避し、円滑な走行操作を行うことが望まれる。
<走行車線の重複の回避>
そこで、経路重複判定部42は、各車両の目標走行経路が相互に重なるか否かを判定する。優先度判定部43は、車両間の走行経路重複回避に係る走行優先度を判定する。経路指令部44は、各車両に走行経路指令を送信する。経路指令部44は、目標走行経路の相互重複が生じると判定された場合は、目標走行経路が相互に重なると判定された重複車両の内、走行優先度が最も高い車両である最高優先重複車両には目標走行経路を維持する指令を送信する。また、経路指令部44は、重複車両の内、最高優先重複車両以外の車両である低優先重複車両には、最高優先重複車両の目標走行経路との重複を避ける回避走行の指令を送信する。一方、経路指令部44は、目標走行経路の相互重複が生じないと判定された場合は、各車両に対して目標走行経路を維持する指令を送信する。
この構成によれば、受信した複数の車両の目標走行経路に基づいて、事前に走行経路の重なりを予測することができる。そして、車両間の走行優先度が判定され、最も走行優先度が高い最高優先重複車両には、目標走行経路を維持させ、低優先重複車両には、最高優先重複車両の目標走行経路との重複を避ける回避走行を行わせることができる。よって、事前に走行経路の重なりを回避し、各車両に円滑な走行操作を行わせることができる。また、走行優先度の高い車両の走行経路を優先させるので、走行優先度に応じて交通システムの車両の流れを円滑化させることができる。また、相互重複が生じない場合は、各車両に目標走行経路を維持させるので、各車両の自律的な走行を阻害することはなく、交通システムの車両の流れを円滑化させることができる。以下で、各構成について詳細に説明する。
<経路重複判定部42>
上述したように、経路重複判定部42は、受信した各車両の目標走行経路が相互に重なるか否かを判定する。本実施の形態では、経路重複判定部42は、各時刻において、車両の位置が、他の各車両の位置と判定距離よりも近接しているか否かを判定する。
経路重複判定部42は、各車両の輪郭形状及び各車両の向きも考慮して、車両間の近接を判定する。並走する2台の車両が、近接していると判定されないように、車両の左右方向の判定距離は、車両の前後方向の判定距離よりも短く設定される。経路重複判定部42は、車両間の輪郭が、各車両の左右方向において、左右方向の判定距離よりも近接しているか否かを判定し、車両間の輪郭が、各車両の前後方向において、前後方向の判定距離よりも近接しているか否かを判定する。
例えば、図7の例では、時刻T+500msからT+600msにおいて、第1車両100と第2車両200とが相互に重なると判定される。
<優先度判定部43>
上述したように、優先度判定部43は、車両間の走行経路重複回避に係る走行優先度を判定する。車両間の走行優先度は、車両間の優先順位とも表現できる。なお、優先度判定部43は、相互に重なると判定された車両の間で走行優先度を判定してもよいし、相互に重なると判定された車両及び重複車両の周辺の車両の間で走行優先度を判定してもよい。後者の場合は、重複車両の走行経路の変更により、重複車両の周辺の車両の走行経路に影響を与える場合も対応できる。
本実施の形態では、優先度判定部43は、複数のルールを組み合わせて、車両間の走行優先度を判定する。例えば、各ルールには評価点が設定されており、より走行優先度の高いルールにはより高い評価点が設定されている。優先度判定部43は、各車両について、各ルールが満たされるか否かを判定し、満たされたルールの評価点を合計し、合計値を各車両の評価点とする。そして、優先度判定部43は、評価点がより高い車両を、より走行優先度が高い車両であると判定する。優先度判定部43は、評価点が同じ複数の車両がある場合は、ランダムに決定した車両を優先させる。
例えば、複数のルールには、以下のようなルールがある。なお、以下のルールは例示であり、これ以外の任意のルール、評価点を用いることができる。また、各ルールの判定に必要な情報は、各車両、高精度地図データ等からも取得することができる。
ルール1:現在の走行車線の前方に、障害物、歩行者、車線の減少、工事現場等の車両の走行の障害になる事由がある車両であるか。評価点10。
ルール2:救急車、パトカーなどの緊急車両であるか。評価点8。
ルール3:現在の走行道路から、別の道路に移動する予定の車両であるか。評価点7。
ルール4:現在の走行車線の後方を、緊急車両が走行している車両であるか。評価点5。
ルール5:路線バス等の公共交通機関の車両であるか。評価点4。
ルール6:走行優先度の判定対象となった他車両よりも前に位置する車両であるか。評価点4。
ルール7:走行優先度の判定対象となった他車両よりも走行速度が高い車両であるか。走行速度としてACC(Adaptive Cruise Control)の設定速度が用いられてもよい。評価点4。
ルール8:車体が長い車両、もしくは長い車両群であるか。評価点4。
ルール9:追い越し車線又は高速側の車線を走行中の車両であるか。評価点4。
ルール10:走行優先度の判定対象となった他車両よりも車線変更禁止区間に近い車両であるか。評価点4。
ルール11:走行優先度の判定対象となった他車両よりも搭乗人数が多い車両であるか。評価点4。
ルール12:最近車線を譲った車両であるか。評価点4。
このように、優先度判定部43は、少なくとも、走行経路重複回避の必要性に係る複数のルールを組み合わせて、車両間の走行優先度を判定する。なお、上記の例では、ルール1、ルール3、ルール4、ルール10等が、走行経路重複回避の必要性に係るルールに該当する。
優先度判定部43は、委譲許可情報を受け取った車両の走行優先度を、委譲許可情報を受け取っていない車両の走行優先度よりも低くする。例えば、優先度判定部43は、評価点が同じ複数の車両がある場合は、委譲許可情報を受け取った車両の走行優先度を低くする。また、優先度判定部43は、委譲許可情報を受け取った車両の評価点を減算してもよい。
例えば、図7の例では、第1車両100が、第2車両200よりも前に位置しているため、ルール6が満たされ、第1車両100の評価点が4加算される。一方、第2車両200が、追い越し車線を走行中であるため、ルール9が満たされ、第2車両200の評価点が4加算される。また、第2車両200の走行速度が、第1車両100の走行速度よりも高いため、ルール7が満たされ、第2車両200の評価点が4加算される。よって、第1車両100の合計の評価点が4になり、第2車両200の合計の評価点が8になるため、第2車両200の走行優先度が、第1車両100の走行優先度よりも高くなる。
<経路指令部44>
上述したように、経路指令部44は、目標走行経路の相互重複が生じると判定された場合は、目標走行経路が相互に重なると判定された重複車両の内、走行優先度が最も高い車両である最高優先重複車両には目標走行経路を維持する指令を送信する。また、経路指令部44は、重複車両の内、最高優先重複車両以外の車両である低優先重複車両には、最高優先重複車両の目標走行経路との重複を避ける回避走行の指令を送信する。以下で、回避走行の指令について複数の例を説明する。
<回避走行の指令の第1ケース>
本実施の形態では、経路指令部44は、低優先重複車両の車線変更に伴って目標走行経路の相互重複が生じる場合は、低優先重複車両に、回避走行の指令として、現在の走行車線を維持する車線維持指令を送信する。
この構成によれば、低優先重複車両に車線変更の予定を中止させ、現在の走行車線を維持させる簡単な走行経路を指示することで、最高優先重複車両の走行を優先させることができる。
例えば、図7の例では、上述したように、第2車両200の走行優先度が、第1車両100の走行優先度よりも高くなっているので、第2車両200が、最高優先重複車両に判定され、第1車両100が、低優先重複車両に判定される。そして、経路指令部44は、第1車両100に対して、現在の走行車線を維持する車線維持指令を送信し、第2車両200に対して、目標走行経路を維持する指令を送信する。その結果、図8に示すように、第1車両100(管理部255)が、現在の走行車線を維持する走行経路を設定し、現在の走行車線の走行を維持する。よって、走行優先度の高い第2車両200の車線変更が優先され、事前に走行経路の重なりが回避され、各車両に円滑な走行操作を行わせることができる。
<回避走行の指令の第2ケース>
経路指令部44は、目標走行経路の相互重複が生じると判定された場合は、最高優先重複車両の目標走行経路を避ける低優先重複車両の回避走行経路を決定し、低優先重複車両に回避走行経路の指令を送信する。
この構成によれば、低優先重複車両に、最高優先重複車両の目標走行経路を避ける回避走行経路を走行させることができる。
経路指令部44は、低優先重複車両の回避走行経路を決定する際に、低優先重複車両の周辺の走行状況を考慮する。この構成によれば、周辺の走行状況を考慮した適切な回避走行経路を決定することができる。
ここで、周辺の走行状況には、低優先重複車両の周辺車両の走行状態及び低優先重複車両の周辺の走行道路の状態等が含まれる。目標走行経路が受信された車両である場合は、周辺車両の走行状態として、車両の目標走行経路が用いられる。目標走行経路が受信されていない車両である場合は、周辺車両の走行状態として、道路監視システム又は他車両から得られた現在の車両の走行状態(例えば、速度及び車両の向き)が用いられる。また、周辺の走行道路の状態として、高精度の地図データから得た道路の形状、車線、標識情報等が用いられる。また、周辺の走行道路の状態として、道路監視システム又は他車両から得た障害物、歩行者、信号情報、渋滞情報等が用いられる。道路監視システムは、各種の情報に基づいて、道路の状態、信号機の状態、走行車両の状態等を監視するシステムである。
例えば、図9及び図10を用いて、第2ケースの場合を説明する。図9は、受信した第1車両100及び第2車両200の目標走行経路を示しており、図10は、経路指令部44の判定後の走行経路を示している。図9において、第2車両200の目標走行経路は、現在時刻Tから300ms後(T+300ms)に車線変更を開始しており、第1車両100の目標走行経路は、現在の走行車線を維持している。そして、現在時刻Tから400ms後(T+400ms)から600ms後(T+600ms)において、第2車両200の車線変更に伴って、第1車両100の車両位置と第2車両200の車両位置とが相互に重なっている。
図9の例では、図7の場合と同様に、第1車両100の合計の評価点が4になり、第2車両200の合計の評価点が8になるため、第2車両200の走行優先度が、第1車両100の走行優先度よりも高くなる。よって、第2車両200が、最高優先重複車両に判定され、第1車両100が、低優先重複車両に判定される。
図10の例に示すように、経路指令部44は、最高優先重複車両である第2車両200の目標走行経路を避けるために、低優先重複車両である第1車両100が左側の車線に車線変更を行う回避走行経路を決定する。この際、経路指令部44は、周辺の走行状況として、第1車両100の現在の走行車線の左側に車線が存在すること、その左側の車線に他車両、障害物等が存在しないことを考慮する。その結果、走行優先度の低い第1車両100が、走行優先度の高い第2車両200の車線変更を避けて、左側車線に車線変更され、走行優先度の高い第2車両200を、目標走行経路通りに車線変更させることができている。
<回避走行の指令の第3ケース>
経路指令部44は、低優先重複車両の車線変更に伴って目標走行経路の相互重複が生じる場合は、最高優先重複車両の目標走行経路を避けつつ車線変更を行う低優先重複車両の回避走行経路を決定し、低優先重複車両に回避走行経路の指令を送信する。
この構成によれば、最高優先重複車両の目標走行経路を避けつつ、低優先重複車両に予定通り車線変更を行わせることができる。
なお、経路指令部44は、低優先重複車両の回避走行経路を決定する際に、回避走行の指令の第2ケースと同様に、低優先重複車両の周辺の走行状況を考慮する。
例えば、図11、図12、及び図13を用いて、第3ケースの場合を説明する。図11は、受信した第1車両100及び第2車両200の目標走行経路を示しており、図12及び図13は、経路指令部44の判定後の走行経路の2つの例を示している。図11において、第1車両100の目標走行経路は、現在時刻Tから300ms後(T+300ms)に右側車線への車線変更を開始しており、第2車両200の目標走行経路は、現在の走行車線を維持している。そして、現在時刻Tから400ms後(T+400ms)付近において、第1車両100の車線変更に伴って、第1車両100の車両位置と第2車両200の車両位置とが相互に重なっている。
図11の例では、図7の場合と同様に、第1車両100の合計の評価点が4になり、第2車両200の合計の評価点が8になるため、第2車両200の走行優先度が、第1車両100の走行優先度よりも高くなる。よって、第2車両200が、最高優先重複車両に判定され、第1車両100が、低優先重複車両に判定される。
図12の例に示すように、経路指令部44は、最高優先重複車両の目標走行経路を避けつつ、低優先重複車両に車線変更を行わせるために、車線変更のタイミングを遅らせて、最高優先重複車両が通過した後に低優先重複車両に車線変更を行わせる回避走行経路を決定している。その結果、走行優先度の低い第1車両100が、走行優先度の高い第2車両200の走行経路を避けて、右側車線に車線変更され、走行優先度の高い第2車両200を、目標走行経路通りに走行させることができている。
或いは、図13の例に示すように、経路指令部44は、最高優先重複車両の目標走行経路を避けつつ、低優先重複車両に車線変更を行わせるために、低優先重複車両に減速を行わせて、最高優先重複車両の通過タイミングを早め、最高優先重複車両が通過した後に低優先重複車両に車線変更を行わせる回避走行経路を決定している。このように、経路指令部44は、車両の減速(又は加速)を伴った回避走行経路を決定することもできる。
<回避走行の指令の第4ケース>
経路指令部44は、低優先重複車両が複数台ある場合は、最高優先重複車両の目標走行経路を避けつつ、走行優先度のより低い低優先重複車両の走行経路が、走行優先度のより高い低優先重複車両の走行経路を避けるように、走行優先度のより高い低優先重複車両から回避走行経路を決定し、低優先重複車両のそれぞれに回避走行経路の指令を送信する。
この構成によれば、低優先重複車両が複数台ある場合でも、走行優先度がより高い車両の走行経路を優先させるので、走行優先度に応じて交通システムの車両の流れを円滑化させることができる。
なお、経路指令部44は、複数の低優先重複車両の回避走行経路を決定する際に、回避走行の指令の第2ケースと同様に、各低優先重複車両の周辺の走行状況を考慮する。
例えば、図14及び図15を用いて、第4ケースの場合を説明する。図14は、受信した第1車両100、第2車両200、及び第3車両300の目標走行経路を示しており、図15は、経路指令部44の判定後の走行経路の2つの例を示している。図14において、第1車両100の目標走行経路は、現在時刻Tから300ms後(T+300ms)に右側車線への車線変更を開始しており、第2車両200の目標走行経路は、現在の走行車線を維持しており、第3車両300の目標走行経路は、現在時刻Tから300ms後(T+300ms)に左側車線への車線変更を開始している。そして、現在時刻Tから400ms後(T+400ms)において、第1車両100及び第3車両300の車線変更に伴って、第1車両100、第2車両200、及び第3車両300の車両位置が相互に重なっている。
図14の例では、第2車両200が、緊急車両であるため、ルール2が満たされ、他の重複車両よりも評価点が高くなるため、最高優先重複車両に判定され、第1車両100及び第3車両300が低優先重複車両に判定される。そして、第1車両100が、第3車両300よりも前に位置しているため、ルール6が満たされ、第1車両100の評価点が4加算される。また、第3車両300の走行速度が、第1車両100の走行速度よりも高いため、ルール7が満たされ、第3車両300の評価点が4加算される。一方、第3車両300が、追い越し車線を走行中であるため、ルール9が満たされ、第3車両300の評価点が4加算される。よって、第3車両300の合計の評価点が8になり、第1車両100の合計の評価点が4になるため、第3車両300の走行優先度が、第1車両100の走行優先度よりも高くなる。
図15の例に示すように、経路指令部44は、最高優先重複車両である第2車両200に目標走行経路を維持する指令を送信する。そして、経路指令部44は、低優先重複車両の中で、第1車両100よりも走行優先度の高い第3車両300に、第2車両200の目標走行経路を避けつつ、車線変更を行わせるために、車線変更のタイミングを遅らせて、最高優先重複車両が通過した後に第3車両300に車線変更を行わせる回避走行経路を決定している。そして、経路指令部44は、第3車両300よりも走行優先度の低い第1車両100に、第2車両200及び第3車両300を避けつつ、車線変更を行わせるために、第1車両100に減速を行わせて、第2車両200及び第3車両300が通過した後に第1車両100に車線変更を行わせる回避走行経路を決定している。その結果、複数の低優先重複車両について、最も走行優先度の高い第2車両200の目標走行経路を回避しつつ、走行優先度のより低い第1車両100の走行経路が走行優先度のより高い第3車両300の走行経路をさけるような回避走行経路が決定されており、走行優先度が高い車両順に走行経路を決定し、各車両に円滑な走行を行わせることができる。
<回避走行の指令の第5ケース(車線変更を伴わない目標走行経路の例)>
回避走行の指令の第1ケースから回避走行の指令の第4ケースでは、いずれも車線変更を伴う目標走行経路の例を示したが、図16に示すように同一車線内における前後の車両においても、後方の車両が前方の車両よりも高い速度で走行している場合には、後方からの衝突を避けるために走行経路の調整が必要となる。図16及び図17を用いて、第5ケースの場合を説明する。図16は、受信した第1車両100及び第2車両200の目標走行経路を示しており、図17は、経路指令部44の判定後の走行経路を示している。図16において、第1車両100と第2車両200は同一車線を走行しているが、第2車両200が第1車両100よりも高い速度で走行しているため。現在時刻Tから600ms後(T+600ms)に、第1車両100及び第2車両200の車両位置が相互に重なっている。
図16の例では、第2車両200が、緊急車両であるため、ルール2が満たされ、第1車両100よりも評価点が高くなるため、最高優先重複車両に判定され、第1車両100が低優先重複車両に判定される。図17の例に示すように、経路指令部44は、最高優先重複車両である第2車両200に目標走行経路を維持する指令を送信する。そして、経路指令部44は、最高優先重複車両である第2車両200の目標走行経路を避けるために、低優先重複車両である第1車両100が左側の車線に車線変更を行う回避走行経路を決定する。この際、経路指令部44は、周辺の走行状況として、第1車両100の現在の走行車線の左側に車線が存在すること、その左側の車線に他車両、障害物等が存在しないことを考慮する。その結果、両車の衝突を避けた円滑な走行を行わせることができる。
<回避走行の指令の第6ケース(車線変更を伴わない合流地点での目標走行経路の例)>
図18に示すような車線変更を伴わない合流地点においても、衝突を避けるために走行経路の調整が必要となる。図18及び図19を用いて、第6ケースの場合を説明する。図18は、受信した第1車両100及び第2車両200の目標走行経路を示しており、図19は、経路指令部44の判定後の走行経路を示している。図18において、第1車両100と第2車両200はそれぞれの別の車線を走行しているが、その2つの車線が合流して1つの車線になっている。両車がそれぞれの道路に沿って走行した結果、現在時刻Tから400ms後(T+400ms)に、両車の車両位置が相互に重なっている。
図18の例では、第2車両200が、緊急車両であるため、ルール2が満たされ、第1車両100よりも評価点が高くなるため、最高優先重複車両に判定され、第1車両100が低優先重複車両に判定される。図19の例に示すように、経路指令部44は、最高優先重複車両である第2車両200に目標走行経路を維持する指令を送信する。そして、経路指令部44は、最高優先重複車両である第2車両200の目標走行経路を避けつつ、低優先重複車両の第1車両100を合流地点に進入させるために、低優先重複車両に減速を行わせて、最高優先重複車両が合流地点を通過した後に低優先重複車両に合流地点に進入する回避走行経路を決定している。その結果、両車の衝突を避けた円滑な走行を行わせることができる。
<走行経路指示装置1のハードウェア構成例>
走行経路指示装置1の各機能は、走行経路指示装置1が備えた処理回路により実現される。走行経路指示装置1は、図24に示すように、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置70(コンピュータ)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク(HDD)等の記憶装置71、データ通信を行う通信装置72等を備えている。通信装置72は、ネットワーク網3に接続され、有線データ通信を行う。
走行経路指示装置1のハードディスク等の記憶装置71には、各機能のためのプログラム、及び高精度の地図データ等が記憶されている。走行経路指示装置1の各処理は、演算処理装置70が、記憶装置71に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行し、記憶装置71、通信装置72等の他のハードウェアと協働することにより実現される。
<走行経路指示装置1のフローチャート>
次に、走行経路指示装置1の処理について、図20のフローチャートを用いて説明する。図20のフローチャートの処理は、例えば一定の演算周期毎に、繰り返し実行される。
ステップS21で、通信リソース空き状況取得部51は、走行経路指示装置1が管制している地域の通信リソース空き状況を取得する。また、ステップS22で車両概要情報受信部52は、複数の車両から送信される車両概要情報を受信する。
ステップS23で、車両選択部53は、通信リソース空き状況と車両概要情報を基に、目標走行経路を送信させる対象車両を選択する。この動作について詳しく説明する。本実施の形態における走行経路指示装置1が管制している地域の車両走行状況の一例を図21に示す。ここでは第1車両100から第5車両500までの5台が走行中であり、車両概要情報受信部52は5台全てから車両概要情報を受信している。そして、第1車両100の車両概要情報に含まれる車線変更要求が「要求あり」、他の車両の車線変更要求は「要求無し」である。ここでまず車両選択部53は、対象車両を選択するために車両の通信優先度を決定する。例えば、通信優先度を決定するためのルールとして、「1.車線変更要求が「要求あり」の車両を優先する。」「2.車線変更要求が「要求あり」の車両からの距離が近い車両を優先する。」としており、そのルールに基づいて、図22のようにそれぞれの車両を通信優先度の順に並べる。
一方で、車両選択部53は、通信リソース空き状況取得部51が取得した通信リソース空き状況から、目標走行経路を送信させる車両の台数を決定する。目標走行経路は上述した図4のような予め定めたデータフォーマットに従っているため、1台の車両から送信される目標走行経路のデータサイズは既知である。そのため、通信リソース空き状況から、目標走行経路を送信させる車両の台数を決定することが可能である。ここで例えば、台数を3台と決定した場合、図22の通信優先度に従って、第1車両100、第3車両300、第4車両400が目標走行経路を送信させる対象車両として選択される。
ステップS24で、目標走行経路送信要求送信部54は、車両選択部53で選択された対象車両へ、目標走行経路の送信要求を送信する。
ここで、例えば、図6に示す走行経路指示装置1が、通信リソース空き状況取得部51、車両概要情報受信部52、車両選択部53及び目標走行経路送信要求送信部54を備えておらず、図20に示すステップS21からステップS24の処理が行われなかった場合、走行経路指示装置1は図21に示された第1車両100から第5車両500までの全ての車両から目標走行経路の情報を受信することになる。目標走行経路のデータサイズは大きいため、周辺に存在するすべての車両から目標走行経路を受信する場合、車両の台数が多いときは目標走行経路を受信するための通信リソースが不足し、安定した走行経路指示ができなくなる。具体的には、第1車両100から第5車両500までの全ての車両の目標走行経路の受信が完了するまでに多大な時間を要し、目標走行経路の相互重複を判定できる周期が伸びてしまう、あるいは、第1車両100から第5車両500までの全ての車両の目標走行経路の受信完了を待たずして、やむなく、受信完了している目標走行経路のみを用いて相互重複を判定することになる。本実施の形態による走行経路指示装置1では、通信リソース空き状況取得部51、車両概要情報受信部52、車両選択部53及び目標走行経路送信要求送信部54を備え、図20に示すステップS21からステップS24の処理を行うので、車両の台数が多い場合でも通信リソースが不足することがなく安定した走行経路指示を行うことができる。
ステップS25で、目標経路受信部41は、通信部40を介して、各車両から目標走行経路を受信する。また、ステップS26で、委譲情報受信部47は、各車両から委譲許可情報を受信する。ステップS27で、判定遅延部45は、各車両から目標走行経路を受信するまで、経路重複判定部42の判定を遅らせる。
ステップS28で、経路重複判定部42は、受信した各車両の目標走行経路が車線変更に伴って相互に重なるか否かを判定し、重なると判定した場合は、ステップS30に進み、重ならないと判定した場合は、ステップS29に進む。ステップS29で、経路指令部44は、通信部40を介して、各車両に対して目標走行経路を維持する指令を送信する。
一方、ステップS30で、優先度判定部43は、車両間の走行優先度を判定する。そして、ステップS31で、経路指令部44は、目標走行経路が相互に重なると判定された重複車両の内、最高優先重複車両には、通信部40を介して目標走行経路を維持する指令を送信する。
ステップS32で、経路指令部44は、低優先重複車両には、通信部40を介して、最高優先重複車両の目標走行経路との重複を避ける回避走行の指令を送信する。例えば、経路指令部44は、上述した第1ケースから第6ケースのような処理を行う。
ステップS33で、変更事由送信部46は、目標走行経路を変更することとなった低優先重複車両に対して、通信部40を介して、目標走行経路を変更することとなった変更事由を送信する。
以上のように、実施の形態1による走行経路指示装置は、複数の車両と通信する通信部と、車両から車両概要情報を受信する車両概要情報受信部と、車両概要情報を基に車両の中から目標走行経路を送信させる対象車両を選択する車両選択部と、対象車両へ目標走行経路の送信要求を送信する目標走行経路送信要求送信部と、対象車両から目標走行経路を受信する目標経路受信部と、対象車両の目標走行経路が相互に重なるか否かを判定する経路重複判定部と、対象車両の走行経路重複回避に係る走行優先度を判定する優先度判定部と、対象車両に走行経路指令を送信する経路指令部とを備え、経路指令部は、目標走行経路の相互重複が生じると判定された場合は、目標走行経路が相互に重なると判定された重複車両の内、走行優先度が最も高い車両である最高優先重複車両には目標走行経路を維持する指令を送信し、重複車両の内、最高優先重複車両以外の車両である低優先重複車両には、最高優先重複車両の目標走行経路との重複を避ける回避走行の指令を送信するので、巨視的に走行経路の重なりを回避し、各車両に円滑な走行操作を行わせることができるとともに、車両の台数が多い場合でも通信リソースが不足することがなく、安定した走行経路指示を行うことができる。
なお、本実施の形態においては、車両概要情報を車両の位置情報(現在位置の緯度、経度)と車線変更要求とから成るものとし、車両選択部53での通信優先度を決定するためのルールを「1.車線変更要求が「要求あり」の車両を優先する。」「2.車線変更要求が「要求あり」の車両からの距離が近い車両を優先する。」としたが、これに限るものではなく、車両概要情報を車両の位置情報(現在位置の緯度、経度)のみとしてもよい。この場合、車両選択部53では、位置情報が予め定められた場所に近いかどうかを判定し、予め定められた場所に近いほど優先して選択してもよい。予め定められた場所は、例えば、高速道路などの合流・分岐地点、車線変更が必須な箇所、工事あるいは事故処理によって車線状況が通常時と異なる箇所などの目標走行経路の重複判定が必要となる可能性が高い場所、あるいは、急なカーブなどの特に正確な走行経路指示が必要な場所などにすればよい。また、車両選択部53では、周辺車両との距離が近いほど優先して選択してもよい。
また、車両概要情報に車両の走行速度を加えることにより、車両の位置情報と走行速度から車両前後間の車間時間を算出してもよい。この場合、車両選択部53において、周辺車両との車間時間が小さいほど優先して選択してもよい。あるいは、車両選択部53において、車線変更要求が「要求あり」の車両を優先して選択し、さらに、車線変更要求が「要求あり」の車両からの車間時間が小さい車両ほど優先して選択してもよい。
また、車両概要情報に、緊急車両か否か、乗車人数などの情報を加えることにより、車両選択部53において、緊急車両および乗車人数が多い車両を優先して選択してもよい。乗車人数については、例えば、乗車人数があらかじめ定められた人数よりも多い車両を優先して選択してもよく、乗車人数が多い車両ほどより優先して選択するとしてもよい。
また、本実施の形態においては、一定の演算周期毎に、通信リソース空き状況取得部51において通信リソース空き状況を確認するとしたが、目標走行経路を送信させる対象車両の台数が通信仕様上で予め保証されている場合は、一定の演算周期毎に通信リソース空き状況を確認する必要はなく、図22のように車両を通信優先度順に並べた上で、予め保証されている台数分だけ、最高優先度から順に車両を選択すれば良い。
また、本実施の形態においては、走行経路指示装置1から目標走行経路の送信要求を受けなかった車両は、走行経路指示装置1に目標走行経路を送信することなく、目標走行経路に従って走行するようにしたが、目標走行経路が車線変更を伴う場合は、車両は車線変更を待機し、現在の走行車線を維持して走行しつつ、走行経路指示装置1から目標走行経路の送信要求を受けることを待つようにしても良い。
本願は、例示的な実施の形態が記載されているが、実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
したがって、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。