JP6928929B2 - 化粧シート、及び化粧シートの製造方法 - Google Patents
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Description
また、化粧シートに対し、艶消し外観を付与することを目的として、表面保護層に、シリカ粒子等のマット剤を含有することも行われている。
そして課題を解決するために、本発明の一態様である化粧シートは、基材層の一方の面に1層又は2層以上の中間層を有し、その中間層の上に1層又は2層以上の表面保護層を有する化粧シートであって、上記各層の表面保護層の主成分は硬化型樹脂であり、上記1層又は2層以上の表面保護層のうちの少なくとも1層は、分散剤と無機ナノ粒子とを含有し、上記分散剤が、上記無機ナノ粒子を含む外膜を有するベシクルに内包されていることを特徴とする。
特に、分散剤および無機ナノ粒子がベシクル化していることから、ナノサイズの無機ナノ粒子からなる微粒子の分散性が著しく向上して、より高い透明性を担保可能となる。また無機粒子がナノサイズであるため、経時的な艶消し外観の劣化も抑制することが出来る。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、基材層6の他方の面(裏面)に、隠蔽層7、プライマー層8がこの順に形成されている。なお、隠蔽層7は、基材層6と絵柄模様層5との間に形成しても良いし、省略しても構わない。
また、本実施形態の化粧シート1は、表面保護層2と透明樹脂層3との間に、エンボス模様3aが形成されている場合を例示している。エンボス模様3aは、表面保護層2の上面に形成されていても良い。
なお、図1においては、本実施形態の化粧シート1を基材Bに貼り付けて化粧板を構成する場合を例示している。
基材層6は、紙、樹脂シート、箔などから構成される。紙としては、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙、有機もしくは無機系の不織布、合成紙等が例示出来る。樹脂シートの樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル等の合成樹脂、あるいはこれら合成樹脂の発泡体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタン等のゴムが例示出来る。箔としては、アルミニウム、鉄、金、銀等の金属箔等が例示出来る。
絵柄模様層5は、既知の印刷手法を用いて設けることが出来る。基材層6が巻取りの状態で用意できる場合には、ロールツーロールの印刷装置で絵柄模様層5の形成のための印刷を行うことができる。印刷手法は特に限定するものではないが、生産性や絵柄の品位を考慮すれば、例えばグラビア印刷法を用いることができる。
絵柄模様は、床材や壁材などの使用箇所に応じた意匠性を考慮して任意の絵柄模様を採用すればよく、木質系の絵柄であれば各種木目が好んで用いられることが多く、木目以外にもコルクを絵柄模様とすることもできる。例えば大理石などの石材の床をイメージしたものであれば大理石の石目などの絵柄模様として用いられることもある。また天然材料の絵柄模様以外にそれらをモチーフとした人工的絵柄模様や幾何学模様などの人工的絵柄模様も用いることができる。
印刷インキには、適宜、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、バインダーを添加する。顔料としては、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。なお、バインダーは、水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでもよく、硬化方法についても1液タイプ、主剤と硬化剤とからなる2液タイプ、もしくは、紫外線や電子線などによって硬化するタイプなど特に限定するものではない。中でも最も一般的な方法は、2液タイプのもので、ウレタン系の主剤と、イソシアネートからなる硬化剤を用いる方法である。この他にも、各種金属の蒸着やスパッタリングで意匠を施すようにしてもよい。
接着剤層4は、基材層6および絵柄模様層5と透明樹脂層3の接着を強固にする目的で設けられる。この接着が強固であることによって、化粧シート1に対し、曲面や直角面に追随する曲げ加工性を付与することができる。接着剤層4は透明であることが好ましい。
接着剤層4は、その接着方法としては任意の材料選定が可能で、熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネート等による積層方法があり、接着剤はアクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系などから適宜選択できる。通常はその凝集力から2液硬化タイプのものとして、特にイソシアネートを用いたポリオールとの反応で得られるウレタン系の材料を用いることが望ましい。なお、接着剤層4は、透明樹脂層3と絵柄模様層5との接着強度が十分に得られる場合には、省略してもよい。
透明樹脂層3は、透明な熱可塑性樹脂から構成され、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂、またポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。なかでも環境適合性や加工性、価格の点でポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができる。透明樹脂層3によって、化粧シート1は意匠的に厚みや深みが出る効果を有するほか、化粧シート1の耐候性、耐磨耗性能を向上させることができる。
透明ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどの他に、αオレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなど)を単独重合あるいは2種類以上共重合させたものや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などのように、エチレンまたはαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる。
このとき、結晶性ポリプロピレン樹脂に対して、ベシクルで内包された造核剤(造核剤ベシクル)を添加されていることが好ましい。単層膜の外膜を具備するベシクルに造核剤が内包されている造核剤ベシクルを添加することにより、透明性、耐擦傷性および耐後加工性においてより優れた透明樹脂層3を得ることができる。造核剤ベシクルは、超臨界逆相蒸発法により調製することができる。なお、本実施形態において、透明樹脂層3を構成する樹脂中の造核剤は、当該造核剤の一部を露出させた状態で、ベシクルに内包されていてもよい。
なお、上記造核剤は、透明樹脂層3を形成する結晶性ポリプロピレン樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部の範囲内で含有されていることが好ましい。造核剤の含有量が上記範囲内であれば、透明樹脂層3の透明性、耐擦傷性、耐後加工性がさらに高まる。
透明樹脂層3の積層方法にも特に規制はないが、熱圧を応用した方法、押出ラミネート法及びドライラミネート法等が一般的である。またエンボス模様を施す場合には、一旦各種方法でラミネートしたシートに、後から熱圧によりエンボスを入れる方法、冷却ロールに凹凸模様を設け、押出ラミネートと同時にエンボスを施す方法がある。エンボス加工方法は特に限定されない。エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機が用いられる。凹凸形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
また、押出しと同時にエンボスを施した透明樹脂層3と基材層6を熱あるいはドライラミネートで貼り合わせる方法等がある。絵柄模様層5及び接着剤層4を施す位置は、通常通り基材層6側でもよいし、透明樹脂層3側でもよい。
表面保護層2は単層でも良く、また複数の層を重ねて表面保護層2としても良い。本実施形態の化粧シート1では、図1で示すように、表面保護層2が単層の場合を例示している。
表面保護層2は、表面の保護や艶の調整、清掃性などに関してその優劣を左右する重要な役割をもつ。表面保護層2は、硬化型樹脂を主成分とする。すなわち樹脂成分が実質的に硬化型樹脂から構成されることが好ましい。実質的とは、例えば樹脂全体を100質量部とした場合に80質量部以上を指す。そして、硬化型樹脂の種類に応じて、既知のコーティング装置および熱乾燥装置および紫外線照射装置を用いて塗布および塗膜の硬化を行うことができる。
ここで、表面保護層2に、所与の意匠性を付与するために凹凸が形成されていてもよい。通常はエンボス加工によって凹凸模様(エンボス模様)を形成する。
表面保護層2の材料としては、ポリウレタン系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系などから適宜選択して用いることができる。材料の形態は、水性、エマルジョン、溶剤系など特に限定されるものではない。硬化法についても1液タイプ、2液タイプ、紫外線硬化法など適宜選択して行うことができる。
ここで、表面保護層2が複数の層で構成される場合、その複数の層の少なくとも一層に分散剤と無機ナノ粒子が添加されている。この場合、分散剤と無機ナノ粒子は、最表層の表面保護層に添加することが好ましい。
また、分散剤および無機ナノ粒子は、分散剤が無機ナノ粒子を含む外膜を有するベシクルに内包されることで、ベシクル化されている。例えば、分散剤が、無機ナノ粒子を含むリン脂質からなる外膜(単層膜)を具備するリポソームに内包されてベシクル化の状態になっている。分散剤は、水酸基またはアミノ基を有することが好ましい。また、分散剤は、不飽和二重結合を有することが好ましい。
無機ナノ粒子としては、ナノ化できる無機の粒子であればよく、例えば、α−アルミナ、シリカ、ベーマイト、酸化鉄、ダイヤモンド等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はない。無機ナノ粒子の粒子径としては、1次粒子径が1〜1000nmとされているものが好ましく、10〜50nmのものがさらに好ましい。1次粒子径が1000nmより大きい場合においては、無機ナノ粒子に起因する光の散乱によって透明性の悪化が懸念される。用いる無機ナノ粒子の1次粒子径は1種類である必要はなく、異なる1次粒子径の無機ナノ粒子を混合して用いることが可能である。
また、その場合のベシクルの配合量は、樹脂組成物100質量部に対して、0.00535〜21.4質量部となる。
ここで、無機粒子のナノ化は、ゾルゲル法、逆ミセル法またはホットソープ法などのナノ化方法によって得ることができる。
ゾルゲル法とは、アルコキシド系の前駆体を加熱等によってゾル状態としたのち、加水分解や重縮合などの化学反応を行ってナノ粒子を作る方法である。逆ミセル法とは、有機溶媒中に1あるいは2種類の反応性原料水溶液を界面活性剤とともに注入することによって逆ミセルを作製し、そのミセルの中で、熱分解等の化学反応を行ってナノ粒子を作る方法である。ホットソープ法とは、界面活性剤そのものを溶媒とし、金属水溶液を注入・激しく攪拌することで微小水滴ミセルを形成させ、熱分解あるいは、2種類の反応性原料間の反応を行って、ナノ粒子を合成する方法である。作製したナノ粒子は、周囲を界面活性剤で被覆保護されている。
分散剤は、無機ナノ粒子を樹脂中に均一に分散させるために使用される。
分散剤としては、不飽和結合を有する分散剤、水酸基を有する分散剤、またはアミノ基を有する分散剤が好ましい。それぞれの分散剤で処理した無機ナノ粒子を2種類以上混合して、使用することも可能である。
水酸基を有する分散剤としては、例えば12−ヒドロキシステアリン酸やリシノール酸などとリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムなどが結合したもの、ソルビタン脂肪酸エステル、アルコール変性シリコーンオイル、アルコール変性ワックス、酸化ワックス、カルナバワックスが挙げられる。
アミノ基を有する分散剤としては、例えばポリカルボン酸アルキルアミン、アルキルポリアミン、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、n−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、n−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、bis(4-aminobenzoato-O)(isooctadecanoato-O)(propan-2-olato)titanium、bis[2-[(2-aminoethyl)amino]ethanolato][2-[(2-aminoethyl)amino]ethanolato-O](propan-2-olato)titanate、アミノ変性シリコーンオイルが挙げられる。
分散剤および無機ナノ粒子のベシクル化は、例えばBangham法、エクストルージョン法、水和法、界面活性剤透析法、逆相蒸発法、凍結融解法、超臨界逆相蒸発法などによって行われる。そのベシクルの形態は、分散剤が無機ナノ粒子を有するベシクルで内包されたカプセル状の形態となっている。但し、表面保護層2を構成する樹脂中において、ベシクルを構成する膜が破れて分散剤が樹脂と接触している場合もある。より詳しくは、本実施形態において、表面保護層2を構成する樹脂中の分散剤は、当該分散剤の一部を露出させた状態で、ベシクルに内包されていてもよい。また、表面保護層2を構成する樹脂中の分散剤は、当該分散剤の一部を露出させた状態で、後述する、リン脂質からなる外膜を具備するリポソームに内包されていてもよい。
そして、本実施形態では、例えば、超臨界状態または臨界点以上の温度条件もしくは圧力条件下の二酸化炭素にベシクルの外膜を構成する無機ナノ粒子を含む物質を均一に溶解させた混合物中に、封入物質としての分散剤を含む水相を加えて、一層の膜で封入物質としての分散剤を包含したカプセル状のベシクルを形成する。内包される分散剤はナノ化していることが好ましい。
なお、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度条件もしくは圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度だけ、あるいは臨界圧力だけが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味するものである。この方法により、直径50〜800nmの単層ラメラベシクルを得ることができる。なお、超臨界逆相蒸発法のより詳しい内容については、本発明者等が提案している特表2002/032564号公報、特開2003−119120号公報、特開2005−298407号公報および特開2008−063274号公報(以下、「超臨界逆相蒸発法公報類」と称する)に開示されている。
隠蔽層7は、隠蔽性を保たせることを目的として、例えば、絵柄模様層5と同様に印刷によって形成される。インキに含ませる顔料としては不透明な顔料、酸化チタン、酸化鉄等を使用することが好ましい。また隠蔽性を上げるために金、銀、銅、アルミ等の金属を添加することも可能である。一般的にはフレーク状のアルミを添加することが多い。なお、隠蔽層7は、基材層6が不透明で隠蔽性を有している場合には、省略することができる。
プライマー層8は、基材Bとの密着性を向上させるために形成する。
プライマー層8は、基材Bが木質系基材Bの場合には、例えば、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は単独ないし混合して接着組成物とし、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて形成することができる。この場合、プライマー層8を構成する樹脂としては、ウレタン−アクリレート系樹脂が好ましい、すなわち、アクリル系樹脂とウレタン系樹脂との共重合体とイソシアネートとからなる樹脂で形成するのが特に好ましい。
(1)化粧シート1は、基材層の一方の面に1層又は2層以上の中間層を有し、その中間層の上に1層又は2層以上の表面保護層を有する化粧シートであって、上記各層の表面保護層の主成分は硬化型樹脂であり、上記1層又は2層以上の表面保護層のうちの少なくとも1層は、分散剤と無機ナノ粒子とを含有し、分散剤が、無機ナノ粒子を含む外膜を有するベシクルに内包されている。なお、分散剤は、当該分散剤の一部を露出させた状態で、無機ナノ粒子を含むベシクルに内包されていてもよい。
この構成によれば、表面保護層2に無機粒子を添加することで耐傷性を向上することが出来る。
更に、分散剤および無機ナノ粒子がベシクル化の状態になっていることから、ナノサイズの無機ナノ粒子からなる微粒子の分散性が著しく向上して、表面保護層2を構成する樹脂中において無機ナノ粒子の二次凝集を抑制して均一に分散させることができる結果、より高い透明性を担保可能となる。
以上のように、分散剤と無機ナノ粒子とを、表面保護層2に添加することで、無機ナノ粒子の2次凝集を抑制するとともに、表面保護層2における分散性を著しく向上させることが可能となる。これにより、表面保護層2の透明性を損なうことなく、耐傷性の優れた表面保護層2を得られる。
この構成によれば、分散剤の水酸基またはアミノ基が、熱硬化型樹脂と強固に結合するため、表面保護層2の無機ナノ粒子が表面保護層2に固定化されることにより、無機ナノ粒子の欠落による耐傷性の低下を改善させることが可能となる。
(3)分散剤が、不飽和二重結合を有すると良い。
この構成によれば、分散剤の不飽和二重結合が、光硬化型樹脂と強固に結合するため、表面保護層2の無機ナノ粒子が表面保護層2に固定化されることにより、無機ナノ粒子の欠落による耐傷性の低下を改善させることが可能となる。
この構成によれば、表面保護層2を構成する樹脂組成物の架橋によって高い耐擦傷性と、後加工に最適な柔軟性を備えた表面保護層2を備える化粧シート1を提供することができる。
(5)透明樹脂層3にナノ化処理を施した造核剤を添加すると良い。例えば、造核剤を、透明樹脂層3を形成する結晶性ポリプロピレン樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部の範囲内で添加すると良い。
この構成によれば、ナノ化処理された造核剤を樹脂組成物としての結晶性ポリプロピレン樹脂に対して添加することによって、当該結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部における球晶の平均粒径を最適なサイズに調整し、透明樹脂層3における優れた透明性、耐擦傷性および耐後加工性を実現可能となる。
この構成によれば、超臨界逆相蒸発法を用いてベシクル化処理を行うことによって、表面保護層2に含まれる無機ナノ粒子の分散性、および、透明樹脂層3に含まれる造核剤の分散性が著しく向上することで、透明性を維持したまま、耐傷性能を向上させることができる。
尚、以下に説明する化粧シート1の層構成は上記説明した実施形態と同様な層構成とする。
<実施例1>
実施例1においては、造核剤リポソームを添加していない透明樹脂層3の表面に対して、Bangham法によりナノ化処理した無機ナノ粒子からなるカプセルに、反応基をもたない分散剤が内包されたベシクルを、表面保護層2を構成する熱硬化型樹脂100質量部に対し0.05質量部添加して表面保護層2を形成し、実施例1の化粧シートとした。
しかる後、基材層6の一方の面側に、接着剤層4としてのドライラミネート用接着剤(タケラックA540;三井化学(株)製;塗布量2g/m2)を介して、上記製膜した透明樹脂シートをドライラミネート法にて貼り合わせた。そして、透明樹脂シートの表面にエンボス模様3aを施した後、2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス社製)100質量部に対して、前述の分散剤と無機ナノ粒子を含むリポソーム0.01質量部を配合してなるインキを塗布厚15g/m2にて塗布して表面保護層2を形成して、実施例1の化粧シート1とした。この化粧シート1の総厚は200μmである。
実施例2においては、造核剤リポソームを添加していない透明樹脂層3の表面に対して、Bangham法によりナノ化処理した無機ナノ粒子からなるカプセルに、アミノ基をもつ分散剤が内包されたベシクルを、表面保護層2を構成する熱硬化型樹脂100質量部に対し0.05質量部添加して表面保護層2を形成し、実施例2の化粧シートとした。
その他は、実施例1と同様に製造して、実施例2の化粧シート1を得た。
実施例3においては、造核剤リポソームを添加していない透明樹脂層3の表面に対して、Bangham法によりナノ化処理した無機ナノ粒子からなるカプセルに、不飽和二重結合をもつ分散剤が内包されたベシクルを、表面保護層2を構成する硬化型樹脂100質量部に対し0.05質量部添加して表面保護層2を形成し、実施例3の化粧シートとした。硬化型樹脂として、熱硬化型樹脂および光硬化型樹脂の混合樹脂を採用した。
具体的には、実施例1において、熱硬化型樹脂である2液硬化型ウレタントップコート(W184、DICグラフィックス社製)60質量部および光硬化型樹脂である光硬化型ウレタンアクリレート(ユニディック17−824−9、DICグラフィックス社製)40質量部を混合した混合樹脂に対して、前述の分散剤と無機ナノ粒子を含むリポソーム0.01質量部を配合してなるインキを用いて、表面保護層2を形成した。
その他は、実施例1と同様に製造して、実施例3の化粧シート1を得た。
実施例4においては、造核剤リポソームを添加した透明樹脂層3の表面に対して、Bangham法によりナノ化処理した無機ナノ粒子からなるカプセルに、アミノ基をもつ分散剤が内包されたベシクルを、表面保護層2を構成する熱硬化型樹脂100質量部に対し0.05質量部添加して表面保護層2を形成し、実施例4の化粧シートとした。
具体的には、下記の透明樹脂層3を形成する樹脂組成物を、押出機を用いて溶融押し出して、厚さ100μmの透明な高結晶性ポリプロピレンシートとしての透明樹脂シートを製膜する。続いて、透明樹脂シートの両面にコロナ処理を施し、透明樹脂シート表面の濡れ張力を40dyn/cm以上とした。その他は、実施例2と同様にして実施例4の化粧シート1を得た。
ここで、透明樹脂層3に添加される造核剤のベシクル化について説明する。
造核剤のベシクル化は、超臨界逆相蒸発法により、まず、メタノール100質量部、造核剤としてのリン酸エステル金属塩系造核剤(アデカスタブNA−11、ADEKA社製)82質量部、ベシクルの外膜を構成する物質としてのホスファチジルコリン5質量部を60℃に保たれた高圧ステンレス容器に入れて密閉し、圧力が20MPaとなるように二酸化炭素を注入して超臨界状態とした後、激しく攪拌混合しながらイオン交換水を100質量部注入する。容器内の温度および圧力を超臨界状態に保持した状態で15分間攪拌後、二酸化炭素を排出して大気圧に戻すことによってリン脂質からなる単層膜の外膜を具備するベシクルに造核剤を内包した、ベシクル化した造核剤(造核剤リポソーム)を得た。
以下に、上記の造核剤リポソームを添加した透明樹脂層3を形成する樹脂組成物の詳しい調製方法と透明樹脂シートの製膜方法を説明する。
透明樹脂層3を形成する樹脂組成物は、ペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3の高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:BASF社製)500PPMと、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:BASF社製)2000PPMと、ヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944:BASF社製)2000PPMと、上記造核剤リポソーム1000PPMと、を添加したものを用いる。そして、当該樹脂組成物を、溶融押出機を用いて溶融・押出し、透明樹脂層3として使用する厚さ100μmの透明樹脂シートとして製膜した。
実施例5においては、造核剤リポソームを添加した透明樹脂層3の表面に対して、超臨界逆相蒸発法によりナノ化処理した無機ナノ粒子からなるカプセルに、アミノ基をもつ分散剤が内包されたベシクルを、表面保護層2を構成する熱硬化型樹脂100質量部に対し0.05質量部添加して表面保護層2を形成し、実施例5の化粧シートとした。
ここで、ナノ化処理した無機ナノ粒子からなるカプセルに、上述の各分散剤が内包されたベシクルの作製は次のように実施した。
ここで、ベシクルの外膜の厚みは数ナノメートル程度しか無い。このため、無機ナノ粒子の大きさによっては無機ナノ粒子を完全に外膜に取り込ませる(完全に内部に含ませる)ことが出来ないが、上記の調製によれば、無機ナノ粒子の大きさが外膜よりも大きくても、無機ナノ粒子が外膜に食い込んだり付着しているような状態で無機ナノ粒子を外膜に含ませることが可能となる。
ベシクル化を施していない、反応基をもたない分散剤と無機ナノ粒子を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例1の化粧シートを作製した。
<比較例2>
無機ナノ粒子からなるカプセルと、カプセルに内包されていない反応基をもたない分散剤を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例2の化粧シートを作製した。
<比較例3>
ベシクルの単層膜に用いる無機粒子として、4.5μmのシリカ粒子(OK412:エボニック社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例3の化粧シートを作製した。
無機ナノ粒子からなるカプセルに、アミノ基をもつ分散剤が内包されたベシクルを0.002質量部添加した以外は、実施例1と同様にして比較例4の化粧シートを作製した。
<比較例5>
無機ナノ粒子からなるカプセルに、アミノ基をもつ分散剤が内包されたベシクルを50質量部添加した以外は、実施例1と同様にして比較例5の化粧シートを作製した。
各評価試験の試験方法を簡単に説明する。
ホフマンスクラッチ試験は、ホフマンスクラッチハードネステスター(BYK−Gardner社製)を用いて、1200gの荷重にて、木質系基材Bに貼り合せた各化粧シート1の表面を一定の速度で引っ掻き、化粧シート1の表面の傷つきの有無を目視にて判定した。
スチールウールラビング試験は、木質系基材Bに貼り合せた各化粧シート1の表面に対し、スチールウールを当接させた状態で治具を用いて固定し、当該治具に500gの荷重をかけたまま一定の速度で、距離50mm、50往復の条件にて擦らせて、化粧シート1の表面の傷つきの有無を目視にて判定した。スチールウールは、ボンスター#0(日本スチールウール(株)製)を丸めて使用した。
V溝曲げ加工適性試験においては、基材としての中質繊維板(MDF)の一方の面に対して、上記の方法によって得られた各化粧シートをウレタン系の接着剤を用いて貼り付け、基材の他方の面に対して、反対側の化粧シートにキズが付かないようにV型の溝を基材と化粧シートとを貼り合わせている境界まで入れる。次に、化粧シートの面が山折りとなるように基材Bを当該V型の溝に沿って90度まで曲げ、化粧シートの表面の折れ曲がった部分に白化や亀裂などが生じていないかを光学顕微鏡を用いて観察し、耐後加工性の優劣の評価を行う。
○:良好な透明性、耐擦傷性または耐後加工性を有する
×:透明性、耐擦傷性または耐後加工性に劣る
これは、実施例1〜5の化粧シート1については、無機ナノ粒子からなるカプセルに分散剤を内包するベシクルを表面保護層2に添加することで、無機ナノ粒子を均一に分散させることができるので、良好な透明性と、化粧シート1に要求される後加工性とを維持しながら、無機ナノ粒子に起因して表面硬度が向上したためであると考えられる。
2 表面保護層
3 透明樹脂層
4 接着剤層
5 絵柄模様層
6 基材層
7 隠蔽層
8 プライマー層
B 基材
Claims (6)
- 基材層の一方の面に1層又は2層以上の中間層を有し、その中間層の上に1層又は2層以上の表面保護層を有する化粧シートであって、
上記表面保護層の主成分は硬化型樹脂であり、
上記1層又は2層以上の表面保護層のうちの少なくとも1層は、分散剤と無機ナノ粒子とを含有し、
上記分散剤が、上記無機ナノ粒子を含む外膜を有するベシクルに内包されており、
上記ベシクル外膜は、リン脂質により形成されており、
上記表面保護層の上記硬化型樹脂は、熱硬化型樹脂、または光硬化型樹脂であり、
上記分散剤は、水酸基またはアミノ基を有する分散剤、あるいは不飽和二重結合を有する分散剤であり、
上記表面保護層の上記硬化型樹脂が上記熱硬化型樹脂である場合に、上記水酸基またはアミノ基を有する分散剤を用い、
上記表面保護層の上記硬化型樹脂が上記光硬化型樹脂である場合に、上記不飽和二重結合を有する分散剤を用いたことを特徴とする化粧シート。 - 基材層の一方の面に1層又は2層以上の中間層を有し、その中間層の上に1層又は2層以上の表面保護層を有する化粧シートであって、
上記表面保護層の主成分は硬化型樹脂であり、
上記1層又は2層以上の表面保護層のうちの少なくとも1層を、上記硬化型樹脂に分散剤と無機ナノ粒子とを添加して形成し、
上記分散剤が上記無機ナノ粒子を含む外膜を有するベシクルに内包されており、
上記ベシクル外膜は、リン脂質により形成されており、
上記表面保護層の上記硬化型樹脂は、熱硬化型樹脂、または光硬化型樹脂であり、
上記分散剤は、水酸基またはアミノ基を有する分散剤、あるいは不飽和二重結合を有する分散剤であり、
上記表面保護層の上記硬化型樹脂が上記熱硬化型樹脂である場合に、上記水酸基またはアミノ基を有する分散剤を用い、
上記表面保護層の上記硬化型樹脂が上記光硬化型樹脂である場合に、上記不飽和二重結合を有する分散剤を用いたことを特徴とする化粧シート。 - 上記中間層を構成する層として、結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分とする透明樹脂層を有し、
上記透明樹脂層は、ベシクルに内包された造核剤を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した化粧シート。 - 上記中間層を構成する層として、結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分とする透明樹脂層を有し、
上記透明樹脂層を、上記結晶性ポリプロピレン樹脂にベシクルに内包された造核剤を添加して形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した化粧シート。 - 上記造核剤は、上記透明樹脂層を形成する結晶性ポリプロピレン樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部の範囲内で含有されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載した化粧シート。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した化粧シートの製造方法であって、
超臨界逆相蒸発法によって、分散剤を、無機ナノ粒子を含む外膜を有するベシクルに内包させることを特徴とする化粧シートの製造方法。
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