JP6955645B1 - 摩擦帯電不織布、および、その製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような摩擦帯電不織布として、特開2006−218342(特許文献1)には、構成樹脂の異なる2種類以上の繊維(以降、摩擦帯電繊維と称することがある)が混在したウェブへニードルパンチ処理を行い、摩擦帯電繊維同士を擦り合せることで帯電させてなる摩擦帯電不織布が開示されている。具体的に特許文献1の実施例には、水流絡合処理を施したウェブへニードルパンチ処理を行うことで、摩擦帯電繊維同士を擦り合せ摩擦帯電不織布を調製できることが開示されている。
また、本発明者らは、摩擦帯電繊維を含むウェブへ水流絡合処理を施して調製した水流絡合ウェブを、摩擦帯電繊維同士を擦り合せ帯電させる工程へ供する摩擦帯電不織布の製造方法において、水流絡合ウェブを厚さ方向に変形させると共に、厚さ方向に変形させた後の水流絡合ウェブに対し厚さ方向と垂直を成す方向へ張力を作用させた。本工程を有する製造方法によって、ニードルパンチ処理を用いなくとも水流絡合ウェブの構成繊維同士を効率良く擦り合せることができ、はじめて、薄手であると共に強度に優れる摩擦帯電不織布を実現できることを見出した。具体的には、本発明にかかる摩擦帯電不織布の製造方法によって、「厚さが1.2mm以下であり、最大点強度が43.0N/50mmよりも高い」という物性を有する摩擦帯電不織布の実現に成功した。
である。
(1)構成樹脂の異なる2種類以上の繊維が混在したウェブを用意する工程、
(2)前記ウェブへ水流絡合処理を施して、水流絡合ウェブを調製する工程、
(3)前記水流絡合ウェブを厚さ方向に変形させると共に、前記厚さ方向に変形させた後の水流絡合ウェブに対し前記厚さ方向と垂直を成す方向へ張力を作用させることで、前記水流絡合ウェブの構成繊維同士を擦り合せる工程、
を有する、摩擦帯電不織布の製造方法
である。
これらの中でも、ポリオレフィン系繊維とアクリル系繊維との組合せであると、摩擦帯電繊維同士を擦り合せることで帯電量を多くすることができ、捕集効率に優れたエアフィルタやマスクを提供可能な摩擦帯電不織布を実現でき好ましい。
なお、摩擦帯電不織布を構成している、互いに絡み合って存在している2種類以上の摩擦帯電繊維について、効率よく摩擦帯電繊維同士を擦り合せて帯電量を多くできることから、各種摩擦帯電繊維の繊度は近い方が好ましい。具体的には、一方の種類の摩擦帯電繊維の繊度に対する、もう一方の種類の摩擦帯電繊維の繊度の百分率が、250%以下であるのが好ましく、220%以下であるのがより好ましく、130%以下であるのが更に好ましい。理想的には、各種摩擦帯電繊維の繊度が同じ(すなわち、上記百分率が100%)であるのが最も好ましい。
なお、摩擦帯電不織布が3種類以上の摩擦帯電繊維を含んでいる場合には、存在する質量割合が多い2種類の摩擦帯電繊維に対し上記の通り繊度を確認する。
なお、「繊維長」は、JIS L1015:2010、8.4.1[補正ステープルダイヤグラム法(B法)]により得られる。
なお、摩擦帯電不織布における含水率の上昇を防止して、摩擦帯電繊維同士の擦り合せによる帯電量を多くして、捕集効率に優れる摩擦帯電不織布を実現できることから、摩擦帯電不織布は構成繊維として、非親水性油剤が付与された摩擦帯電繊維を含んでいるのが好ましい。
あるいは、繊維層中の摩擦帯電繊維同士が強く擦れることから、様々な方向に繊維が配向している繊維層(例えば、ランダムウェブ由来の繊維層)を備える不織布であるのが好ましい。
なお、摩擦帯電不織布が有する繊維層における繊維の配向は、目視あるいは繊維層の表面や断面を撮影した顕微鏡写真により確認できる。また、摩擦帯電不織布の製造工程が判明している場合には、その製造工程で使用したウェブの種類から、繊維層における繊維の配向を判断できる。
本発明における「厚さ」は、基材の主面に対して、面積5cm2あたり厚さ方向へ0.98N(=100gf)を荷重して行う荷重領域における厚さの測定を、無作為に選択した5カ所で実施し、それら厚さを算術平均した値を意味する。このような厚さの測定は、例えば、高精度デジタル測長機(株式会社ミツトヨ社製、ライトマチック(登録商標))により実施できる。
下限値は適宜調整することができるが、強度に富むことで圧力損失の低下が生じ難いエアフィルタやマスクを実現できることから、0g/cm3より高い値であって、0.04g/cm3以上であるのが好ましい。なお、摩擦帯電不織布の見掛け密度(g/cm3)は、摩擦帯電不織布の目付(g/m2)を厚さ(mm)で割り算出できる。
測定対象物から機械方向(製造時の搬送方向)と長辺方向が一致するようにして、試験片(形状:長方形、長辺:後述する定速伸長型引張試験機により測定可能な長さであって100mmより長い、短辺:50mm)を採取した。そして、採取した試験片を、定速伸長型引張試験機(オリエンテック社製、テンシロン、初期つかみ間隔:100mm、引張速度:300mm/分)へ供し、試験片が破断するまで試験片の長辺方向へ引っ張った。試験片が破断するまでに測定された測定強度のうち最大値を、測定対象物の最大点強度(単位:N/50mm)とした。
(1)構成樹脂の異なる2種類以上の繊維が混在したウェブを用意する工程を有している。
なお、本工程において、ウェブの一方の主面のみへ水流絡合処理を施しても、ウェブの両主面へ水流絡合処理を施してもよい。また水流絡合処理の回数は、一回であっても複数回であってもよい。
・水流絡合ウェブの厚さよりも薄いクリアランスを有するように調整した、二本のローラ間へ水流絡合ウェブを供する態様、
・水流絡合ウェブの厚さと当該水流絡合ウェブを搬送する部材(例えば、搬送コンベア)の厚さを足した厚さよりも、薄いクリアランスを有するように調整した二本のローラ間へ、当該部材ごと水流絡合ウェブを供する態様、
・水流絡合ウェブの厚さよりも薄いクリアランスを有するように調整した、板や棒、搬送コンベアなどの部材と一本のローラなどが成すクリアランスへ水流絡合ウェブを供する態様、
・水流絡合ウェブの厚さと当該水流絡合ウェブを搬送する部材(例えば、搬送コンベア)の厚さを足した厚さよりも、薄いクリアランスを有するように調整した、板や棒、搬送コンベアなどの部材と一本のローラなどが成すクリアランスへ水流絡合ウェブを供する態様、
などを挙げることができる。
・ローラの表面に水流絡合ウェブを接触させると共に、ローラに接触する前の水流絡合ウェブの搬送方向と、ローラに接触した後の水流絡合ウェブの搬送方向を変化させることで、当該接触している部分において水流絡合ウェブの厚さ方向へ力が作用するようにする態様、などを挙げることができる。
なお、効率よく摩擦帯電不織布を製造できるよう本工程において、ローラの表面に接触している水流絡合ウェブにおけるローラ側と反対側の主面に対し、別のローラや搬送コンベアなどを用いて圧力を作用させてもよい。また、当該ローラが水流絡合ウェブを搬送する速度と、当該別のローラや当該搬送コンベアが水流絡合ウェブを搬送する速度との間に、速度差を設けてもよい。
・加圧部材と接触している時点での水流絡合ウェブの搬送速度よりも、高速で搬送可能な速度で回転する別のローラや搬送コンベアにより、加圧部材に接触した後の水流絡合ウェブを搬送あるいは巻取る方法、
・加圧部材に接触した後の水流絡合ウェブへ、水流絡合ウェブの厚さ方向と垂直を成す方向へ張力を作用させた状態のまま、水流絡合ウェブを打ち抜くなど次の工程へ供する方法、
などを採用できる。
表1中に記載した構成を有するポリプロピレン繊維70質量%とアクリル系繊維30質量%とを均一に混ぜ合わせ、カード機へ供することで一方向ウェブとクロスレイウェブを調製した。そして、一方向ウェブとクロスレイウェブを積層してクリスクロスレイウェブを調製した。
クリスクロスレイウェブの一方の主面側(A)からもう一方の主面側(B)へ向け水流絡合処理(水圧:3MPa、工程搬送速度:5m/min)を施した。その後、同条件で再度、クリスクロスレイウェブのもう一方の主面側(B)から一方の主面側(A)へ向け水流絡合処理(水圧:3MPa、工程搬送速度:5m/min)を施した。そして、水流絡合処理を施したクリスクロスレイウェブをオーブンドライヤー(加熱温度:80℃)へ供することで、クリスクロスレイウェブ中に含まれている水を除去した。
このようにして水流絡合ウェブを調製した。なお、調製した水流絡合ウェブは、一方向へ繊維が配向している繊維層Aと、上記一方向と異なる方向へ繊維が配向している繊維層Bとが積層してなるウェブであった。
参考例で調製した水流絡合ウェブに対し、一方の主面側(A)からもう一方の主面側(B)へ向け、針密度50本/cm2の条件下でニードルパンチ処理を施し、摩擦帯電した。
このようにして、摩擦帯電不織布を調製した。
使用するクリスクロスレイウェブの目付を増量したこと以外は、参考例と同様にして水流絡合ウェブを調製した。このようにして調製した水流絡合ウェブを使用したこと以外は比較例1と同様にして、摩擦帯電不織布を調製した。
参考例で調製した水流絡合ウェブを、表面がポリウレタン素材からなり変形容易な搬送コンベア上に乗せた状態で、水流絡合ウェブを構成する繊維層Aの繊維配向と搬送方向が平行をなすようにして、搬送速度25.0m/minで搬送した。そして、水流絡合ウェブを当該搬送コンベアとのクリアランスを0mmに調整した金属ローラ(ローラの回転方向:水流絡合ウェブを搬送方向下流側へ搬送可能となる回転方向)と接触させることで、水流絡合ウェブを厚さ方向に変形させ摩擦帯電した。このとき、水流絡合ウェブと接する搬送コンベアと金属ローラ間に速度差(搬送コンベアによる水流絡合ウェブの搬送速度:25.0m/min、金属ローラ表面における移動速度:24.5m/min)を設けることで、摩擦帯電繊維同士の摩擦をより促進した。
次いで、金属ローラに接触した後の水流絡合ウェブを、水流絡合ウェブの搬送方向における下流側に向けて搬送速度25.5m/minで搬送した。このようにして、水流絡合ウェブに対し厚さ方向と垂直を成す方向へ張力を作用させることで、水流絡合ウェブの構成繊維同士を擦り合せ、更に摩擦帯電した。
このようにして、摩擦帯電不織布を調製した。
使用するウェブの目付を増量したこと以外は、参考例と同様にして水流絡合ウェブを調製した。このようにして調製した水流絡合ウェブを使用したこと以外は実施例1と同様にして、摩擦帯電不織布を調製した。
また、通気抵抗(単位:Pa)と捕集効率(単位:%)は、参考例の水流絡合ウェブと各摩擦帯電不織布を以下の測定方法へ供することで求めた。更に、求められた通気抵抗(単位:Pa)と捕集効率(単位:%)の値から、フィルタ性能を評価可能なQF値を算出した。
参考例の水流絡合ウェブと各摩擦帯電不織布の各々から、試験片を採取した。そして、採取した試験片を柴田科学株式会社製の測定装置「AP−9000」に装着して、捕集効率および通気抵抗を測定した。なお、測定に際し、試験片におけるウェブの一方の主面側(A)由来の主面側が、測定装置の上流側に面するようにして試験片を装着した。
まず、試験片の有効ろ過面積124cm2あたり毎分40リットルとなるよう試験流量を調整(例えば、有効ろ過面積が12.4cm2の試験片へ供給する試験流量は毎分4リットル)し、試験片における上流と下流との差圧を測定し、測定された差圧から試験片の通気抵抗(単位:Pa)を求めた。
上述のようにして算出された通気抵抗(単位:Pa)と捕集効率(単位:%)の値を次式へ代入することで、QF値(単位なし)を算出した。なお、QF値が高いほど、通気抵抗値の低さと捕集効率の高さのバランスに優れ、フィルタ性能に優れることを意味する。QF値=−Ln(1−A/100)/B
Ln:自然対数
A:捕集効率(単位:%)
B:通気抵抗(単位:Pa)
なお、このような強度が弱い摩擦帯電不織布(例えば、最大点強度が43.0N/50mm以下の摩擦帯電不織布)では、例えば、張力を作用させた状態で打ち抜く、プリーツなど立体形状を有するように加工するなどエアフィルタやマスクへ加工する際に破断や亀裂が発生して、調製したエアフィルタやマスクの濾過性能を低下させる原因となる恐れがある。
表2中に記載した構成を有するアクリル系繊維を採用したこと以外は、参考例と同様にして、水流絡合ウェブを調製した。このようにして調製した水流絡合ウェブを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、摩擦帯電不織布を調製した。
表2中に記載した構成を有するポリプロピレン繊維を採用したこと以外は、参考例と同様にして、水流絡合ウェブを調製した。このようにして調製した水流絡合ウェブを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、摩擦帯電不織布を調製した。
上述のようにして製造した、各摩擦帯電不織布の諸物性を表2に示す。なお、表2では理解し易いよう、実施例1の結果も併せて記載した。
表3中に記載した構成を有するポリプロピレン繊維とアクリル系繊維を採用したこと以外は、参考例と同様にして水流絡合ウェブを調製した。
そして水流絡合ウェブを、水流絡合ウェブを構成する繊維層Aの繊維配向と搬送方向が平行をなすようにして、表面が金属素材からなるカレンダーロール(回転方向:水流絡合ウェブを搬送方向下流側へ搬送可能となる回転方向、線圧100kg/cmの条件で水流絡合ウェブを加圧)へ供し、厚さ方向に変形させ摩擦帯電した。そして、カレンダーロールを通過した直後から、水流絡合ウェブを搬送方向に張力(1.7N/50mm)を掛けることで、摩擦帯電繊維同士の摩擦をより促進した。
このようにして、水流絡合ウェブに対し厚さ方向と垂直を成す方向へ張力を作用させることで、水流絡合ウェブの構成繊維同士を擦り合せ、更に摩擦帯電した。このようにして、摩擦帯電不織布を調製した。
線圧60kg/cmの条件で水流絡合ウェブを加圧したこと以外は、実施例5と同様にして摩擦帯電不織布を調製した。
表3中に記載した構成を有するポリプロピレン繊維70質量%とアクリル系繊維30質量%とを均一に混ぜ合わせ、カード機へ供することで一方向ウェブを調製した。
一方向ウェブの一方の主面側(A)からもう一方の主面側(B)へ向け水流絡合処理(水圧:3MPa、工程搬送速度:5m/min)を施した。その後、同条件で再度、一方向ウェブのもう一方の主面側(B)から一方の主面側(A)へ向け水流絡合処理(水圧:3MPa、工程搬送速度:5m/min)を施した。そして、水流絡合処理を施した一方向ウェブをオーブンドライヤー(加熱温度:80℃)へ供することで、一方向ウェブ中に含まれている水を除去した。
このようにして水流絡合ウェブを調製した。なお、調製した水流絡合ウェブは、一方向へ繊維が配向している繊維層Aのみからなるウェブであった。
このようにして調製した水流絡合ウェブを使用したこと以外は、実施例5と同様にして摩擦帯電不織布を調製した。
表3中に記載した構成を有するポリプロピレン繊維とアクリル系繊維を採用したこと以外は、参考例と同様にして、水流絡合ウェブを調製した。このようにして調製した水流絡合ウェブを使用したこと以外は、実施例5と同様にして、摩擦帯電不織布を調製した。
上述のようにして製造した、各摩擦帯電不織布の諸物性を表3に示す。
・実施例5と実施例6を比較した結果から、見掛け密度が0.15g/cm3未満(より好ましくは0.12g/cm3以下)であることによって、通気抵抗が低い摩擦帯電不織布を提供できることが判明した。
・実施例5と実施例7を比較した結果から、一方向へ繊維が配向している繊維層Aと、上記一方向と異なる方向へ繊維が配向している繊維層Bとが積層してなる構造を有することによって、捕集効率に富む摩擦帯電不織布を提供できることが判明した。
・実施例5と実施例8を比較した結果から、摩擦帯電不織布を構成している摩擦帯電繊維が非親水性油剤を含んでいることによって、捕集効率に富む摩擦帯電不織布を提供できることが判明した。
なお、以上のようにして調製した実施例7以外の各摩擦帯電不織布は、一方向へ繊維が配向している繊維層Aと、上記一方向と異なる方向へ繊維が配向している繊維層Bとが積層してなる構造を有していた。また、ニードルパンチ処理を施すことなく製造されるため、各実施例で調製した摩擦帯電不織布は、ニードルパンチ処理による貫通孔などのニードル処理由来の穴を有していないものであった。
また、本発明にかかる摩擦帯電不織布の製造方法によって、上述した摩擦帯電不織布を製造できる。
Claims (2)
- 構成樹脂が異なる2種類以上の繊維が混在した摩擦帯電不織布であって、
厚さが1.2mm以下であり、最大点強度が43.0N/50mmよりも高い、
摩擦帯電不織布。 - 構成樹脂が異なる2種類以上の繊維が混在した摩擦帯電不織布の製造方法であって、
(1)構成樹脂の異なる2種類以上の繊維が混在したウェブを用意する工程、
(2)前記ウェブへ水流絡合処理を施して、水流絡合ウェブを調製する工程、
(3)前記水流絡合ウェブを厚さ方向に変形させると共に、前記厚さ方向に変形させた後の水流絡合ウェブに対し前記厚さ方向と垂直を成す方向へ張力を作用させることで、前記水流絡合ウェブの構成繊維同士を擦り合せる工程、
を有する、摩擦帯電不織布の製造方法。
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