以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同装置の概略説明図、図2は同装置のヘッドユニットの一例の平面説明図である。
この液体を吐出する装置である印刷装置1000は、媒体である連帳紙などの連続体10を搬入する搬入手段1と、搬入手段1から搬入された連続体10を印刷手段5に案内搬送する案内搬送手段3と、連続体10に対して液体を吐出して画像を形成する印刷を行う印刷手段5と、連続体10を乾燥する乾燥手段7と、連続体10を排出する排出手段9などを備えている。
連続体10は搬入手段1の元巻きローラ11から送り出され、搬入手段1、案内搬送手段3、乾燥手段7、排出手段9の各ローラによって案内、搬送されて、排出手段9の巻取りローラ91にて巻き取られる。
この連続体10は、印刷手段5において、搬送ガイド部材59上をヘッドユニット50及びヘッドユニット55に対向して搬送され、ヘッドユニット50から吐出される液体によって画像が形成され、ヘッドユニット55から吐出される処理液で後処理が行われる。
ここで、ヘッドユニット50には、例えば、媒体搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッドアレイ51K、51C、51M、51Y(以下、色の区別しないときは「ヘッドアレイ51」という。)が配置されている。
各ヘッドアレイ51は、液体吐出手段であり、それぞれ、搬送される連続体10に対してブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を吐出する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
ヘッドアレイ51は、例えば、図2に示すように、液体吐出ヘッド(これを、単に「ヘッド」ともいう。)100をベース部材52上に千鳥状に並べて配置したものであるが、これに限らない。
次に、液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。図3は同液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、図4は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、フロースルー型ヘッドであり、ノズル板101と、流路板102と、壁面部材としての振動板部材103とを積層接合している。そして、振動板部材103の振動領域(振動板)130を変位させる圧電アクチュエータ111と、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通液室部材120と、カバー129を備えている。なお、流路板102と振動板部材103で構成される部分を流路部材140という。
ノズル板101は、液体を吐出する複数のノズル104を有している。
流路板102は、ノズル104にノズル連通路105を介して通じる個別液室106、個別液室106に通じる供給側流体抵抗部107、供給側流体抵抗部107に通じる供給側導入部108を形成している。ノズル連通路105は、ノズル104と個別液室106にそれぞれ連なって通じる流路である。供給側導入部108は、振動板部材103に設けた供給側開口部109を介して供給側共通液室110に通じている。
振動板部材103は、流路板102の個別液室106の壁面を形成する変形可能な振動領域130を有する。ここでは、振動板部材103は2層構造(限定されない)とし、流路板102側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層で形成され、第1層で個別液室106に対応する部分に変形可能な振動領域130を形成している。
そして、この振動板部材103の個別液室106とは反対側に、振動板部材103の振動領域130を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ111を配置している。
この圧電アクチュエータ111は、ベース部材113上に接合した圧電部材をハーフカットダイシングによって溝加工して所要数の柱状の圧電素子112を所定の間隔で櫛歯状に形成している。
そして、圧電素子112を振動板部材103の振動領域130に形成した島状の厚肉部である凸部130aに接合している。また、圧電素子112にはフレキシブル配線部材115が接続されている。
共通液室部材120は、供給側共通液室110と排出側共通液室150を形成する。供給側共通液室110は供給ポート171に通じ、排出側共通液室150は排出ポート172に通じている。
なお、ここでは、共通液室部材120は、第1共通液室部材121及び第2共通液室部材122によって構成され、第1共通液室部材121を流路部材140の振動板部材103側に接合し、第1共通液室部材121に第2共通液室部材122を積層して接合している。
第1共通液室部材121は、供給側導入部108に通じる供給側共通液室110の一部である下流側共通液室110Aと、排出側個別流路156に通じる排出側共通液室150とを形成している。また、第2共通液室部材122は、供給側共通液室110の残部である上流側共通液室110Bを形成している。
また、流路板102は、各個別液室6にノズル連通路105を介して連通する排出側流体抵抗部157と、排出側個別流路156と、排出側導出部158を形成している。
排出側導出部158は振動板部材103に設けた排出側開口部159を介して排出側共通液室150に通じている。
なお、本実施形態では、供給側共通液室110、供給側開口部109、供給側導入部108及び供給側流体抵抗部107で供給流路を構成し、排出側流体抵抗部157、排出側個別流路156、排出側導出部158及び排出側開口部159で排出流路を構成している。
この液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子112に与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子112が収縮し、振動板部材103の振動領域130が引かれて個別液室106の容積が膨張することで、個別液室106内に液体が流入する。
その後、圧電素子112に印加する電圧を上げて圧電素子112を積層方向に伸長させ、振動板部材103の振動領域130をノズル104に向かう方向に変形させて個別液室106の容積を収縮させることにより、個別液室106内の液体が加圧され、ノズル104から液体が吐出される。
また、ノズル104から吐出されない液体はノズル104を通過して排出側流体抵抗部157、排出側個別流路156、排出側導出部158、排出側開口部159から排出側共通液室150に排出され、排出側共通液室150から外部の循環経路を通じて供給側共通液室110に再度供給される。
また、ノズル104から液体を吐出する液体吐出動作を行っていないときにも、供給側共通液室110から供給側開口部109、供給側導入部108、供給側流体抵抗部107、個別液室106、排出側流体抵抗部157、排出側個別流路156、排出側導出部158、排出側開口部159を経て排出側共通液室150に排出され、排出側共通液室150から外部の循環経路を通じて供給側共通液室110に再度供給される。
なお、ヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
次に、本発明の第1実施形態について図5を参照して説明する。図5は同実施形態に係る液体循環装置(液体供給装置)のブロック説明図である。
液体供給装置でもある液体循環装置200は、ヘッド100から吐出する液体300を貯留する液体貯留手段であるメインタンク201と、加圧サブタンク220と、減圧サブタンク210と、第1送液ポンプ202と、第2送液ポンプ203とを備えている。
また、複数のヘッド100が通じる第1マニホールド230及び第2マニホールド240と、ヘッド100毎のヘッドタンク251及びヘッドタンク252と、液体中の溶存気体を除去する脱気手段である脱気装置260を備えている。
ここでは、減圧サブタンク210からフィルタ261、脱気装置260を含む液体経路284を介して加圧サブタンク220に第1送液ポンプ202で液体を送液する。液体経路284に脱気装置260とフィルタ261が配置されている。また、減圧サブタンク210に対してはメインタンク201からフィルタ205を含む液体経路289を介して第2送液ポンプ203で液体を送液する。
減圧サブタンク210は、気体室210aを有し、液体と気体が共存する構成である。減圧サブタンク210には、液面を検知する液面検知手段211と、内部を大気開放する大気開放機構となる電磁弁212が設けられている。
減圧サブタンク210には、減圧サブタンク210内の圧力を調整する(ここでは減圧する)圧力調整手段としての第2調整装置207が接続されている。第2調整装置207は、圧力調整機構(レギュレータ)213、減圧バッファタンク214、気体ポンプである真空ポンプ215を有している。また、レギュレータ213と減圧バッファタンク214との間には電磁弁216が設けられている。減圧バッファタンク214には電磁弁217が設けられている。
加圧サブタンク220は、気体室220aを有し、液体と気体が共存する構成である。加圧サブタンク220には、液面を検知する液面検知手段221と、内部を大気開放する大気開放機構となる電磁弁222が設けられている。
加圧サブタンク220には、加圧サブタンク220内の圧力を調整する(ここでは加圧する)圧力調整手段としての第1調整装置206が接続されている。第1調整装置206は、圧力調整機構(レギュレータ)223、加圧バッファタンク224、コンプレッサ225を有している。また、レギュレータ223と加圧バッファタンク224との間には電磁弁226が設けられている。加圧バッファタンク224には電磁弁227が設けられている。
加圧サブタンク220は、液体経路281を通じて第1マニホールド230に接続されている。
第1マニホールド230は、ヘッド100の供給ポート171(供給口)側に供給経路231を介して通じている。供給経路231は、ヘッドタンク251を介してヘッド100の供給ポート171に接続されている。供給経路231にはヘッドタンク251より上流側に経路を開閉する電磁弁232が設けられている。また、第1マニホールド230には圧力センサ233が設けられている。
減圧サブタンク210は、液体経路282を介して第2マニホールド240に接続されている。
第2マニホールド240は、ヘッド100の排出ポート172(排出口)に排出経路241介して通じている。排出経路241は、ヘッドタンク252を介してヘッド100の排出ポート172に接続されている。排出経路241にはヘッドタンク252より下流側に経路を開閉する電磁弁242が設けられている。また、第2マニホールド240には圧力センサ243が設けられている。
ここで、減圧サブタンク210、液体経路284、脱気装置260、加圧サブタンク220、液体経路281、第1マニホールド230、ヘッド100、第2マニホールド240、減圧サブタンク210を経て加圧サブタンク220に戻る経路で循環経路301が構成される。循環液量が所定量より減少すると、メインタンク201から減圧サブタンク210に液体が補充される。
また、加圧サブタンク220と減圧サブタンク210、第1送液ポンプ202によって循環経路301を液体300が循環する圧力を生じさせる手段を構成している。
そして、本実施形態において、第1マニホールド230は、第2マニホールド240よりも高い位置に配置している。
また、加圧サブタンク220は、ヘッド100の供給口である供給ポート171が配置される位置よりも高い位置に配置している。具体的には、加圧サブタンク220の内底面がヘッド100の供給ポート171よりも高い位置になるように配置している。
一方、減圧サブタンク210は、ヘッド100の排出口である排出ポート172が配置される位置よりも低い位置に配置している。具体的には、減圧サブタンク210に収容される液体の液面がヘッド100の排出ポート172よりも低い位置になるように配置している。
次に、この第1実施形態の液体循環装置200における液体循環方法について説明する。
(1)メインタンク201−減圧サブタンク210への液体フロー
液面検知手段211で減圧サブタンク210の液体不足を検知すると、第2送液ポンプ203を駆動して、メインタンク201から液体経路289を介して、液面検知手段211の検知結果で液面が満タンとなるまで減圧サブタンク210に液体供給を行う。
(2)減圧サブタンク210−加圧サブタンク220への液体フロー
第1送液ポンプ202を駆動して、減圧サブタンク210から液体経路284を介して加圧サブタンク220に液体を送液することができる。
(3)加圧サブタンク220-循環可能なヘッド100-減圧サブタンク210の液体フロー
第1調整装置206によって加圧サブタンク220を目標圧力(例えば、加圧となる圧力)とする。一方、第2調整装置207によって減圧サブタンク210を目標圧力(例えば負圧となる圧力)とする。
これにより、加圧サブタンク220と減圧サブタンク210との間に差圧が発生する。この差圧に応じて、加圧サブタンク220から、液体経路281を介して、第1マニホールド230、複数の供給経路231、複数のヘッドタンク251、複数のヘッド100、複数のヘッドタンク252、複数の排出経路241、第2マニホールド240、液体経路282を介して、減圧サブタンク210まで液体が循環可能となる。
なお、液面検知手段211、221には、フロート式による液体の検知、少なくとも2本以上の電極ピンを用いて検出した電圧の出力に応じて液体の有無を検知する方式、その他レーザーによる液面検知方式などを使用することができる。
また、電磁弁222、212を駆動することで加圧サブタンク220、減圧サブタンク210の内部を大気と連通させることもできる。
次に、ノズルメニスカスの負圧形成(加圧サブタンク220と減圧サブタンク210の圧力設定)について説明する。
一般的に、ヘッドから吐出を行う場合、ノズルメニスカスにかかる圧力は負圧に制御する。これは、ノズルから液体が溢れることを防止するためである。また、高速で吐出を行う場合に、吐出開始と終了時には、流体の慣性が作用し、ノズルメニスカスに圧力の脈動が発生する場合がある。このとき、正圧側の圧力が一時的に発生するので、このような場合でも、ノズルから液体が溢れることを防止するためである。
フロースルー型ヘッドを使用する場合には、ヘッド100の供給側に正圧を、ヘッド100の排出側に負圧を与えるように、加圧サブタンク220内に正圧を設定し、減圧サブタンク210内に負圧を設定する方法が一般的である。
サブタンクに設定する圧力は、加圧サブタンク220からヘッド100、ヘッド100から減圧サブタンク210までの循環経路301の流体抵抗値の圧力損失に依存する。ヘッド100の安定吐出の観点では、ヘッド100直前の供給側、ヘッド100直後の排出側の圧力を安定的に保持することが重要となる。
ヘッド100直前からヘッド100のノズル104までの流体抵抗Rinと、ノズル104からヘッド100直後までの流体抵抗Routを、計算か測定により求めておき、それに応じて、ヘッド100直前の圧力をPin、ヘッド100直後の圧力をPoutとしたとき、直列抵抗の分圧と同様に、流体抵抗RinとRoutの比と、圧力PinとPoutの値に応じて、ノズルメニスカスに目標とする圧力Pmを発生させることができる。
つまり、循環する流量をIとすると、
Pin-Pm=I×Rin
Pm−Pout=I×Rout
ここで、両辺からIを削除して、変形させると、(1)式が得られる。
この(1)式において、仮に、Rin=Routの場合は、Pm=(Pout+Pin)/2となる。
したがって、設定する圧力と流体抵抗比に応じて、メニスカスの圧力が決まることが分かる。これより、加圧サブタンク220、減圧サブタンク210に設定すべき圧力は、加圧サブタンク220からノズル104、ノズル104から減圧サブタンク210までのそれぞれの流体抵抗値に応じて上述した計算式に従って設定する。
ここで、等価回路としてモデル化した場合の模式図を図6に示している。
この模式図は、ラインヘッドを想定しており、モジュールAがヘッド100とその供給経路231と循環経路(排出経路)241が連通した状態を意味している。これが並列に所要数(Bの枠内)並ぶ構成である。
また、加圧サブタンク220、減圧サブタンク210、ノズルメニスカスは電圧が溜まるコンデンサ成分としてモデル化できる。液体の経路は電圧降下を生じる抵抗成分としてモデル化できる。
したがって、液体経路281(R1)、第1マニホールド230の一部(R3)、供給経路231(R4)、ヘッド100の供給口(供給ポート171)からノズル104まで(R5)によって、Rinを表すことができる。
一方、ヘッド100のノズル104から排出口(排出ポート172)まで(R6)、排出経路241(R7)、第2マニホールド240の一部(R8)、液体経路282(R2)によって、Routを表すことができる。
また、加圧サブタンク220に図示しない電圧源(手段としてエアポンプなど)や電流源(手段として液体ポンプなど)を用いて発生させる電圧をPinと表すことができる。
一方、減圧サブタンク210に図示しない電圧源(手段としてエアポンプなど)や電流源(手段として液体ポンプなど)を用いて発生させる電圧をPoutと表すことができる。
また、通常、第1マニホールド230の一部(R3・・・R3+6n)や第2マニホールド240の一部(R8・・・R8+6n)の抵抗成分は、各ヘッド100のノズルメニスカスの圧力を計算するために、取り付けられた位置応じて適宜考慮しないといけない。ただ、他の経路に比べて、抵抗の値が十分小さいために、計算上、無視して考えることもできる。
また、実際の配管の仕方や液体吐出ヘッド内の構造によっては、上記の式とまったく同じにはならないが、基本的には、上記の考えで対応することができる。
なお、上記の説明では、加圧サブタンク220を正圧にする例で説明しているが、加圧サブタンク220を負圧としつつ、減圧サブタンク210は加圧サブタンク220よりも負圧が大きくするように制御することで、差圧を発生させて液体を循環させる構成とすることもできる。
この構成の有利な点は、加圧サブタンク220も負圧であるので、前述した構成に比べて、液体が垂れるおそれを低減したまま、液体循環させることができる点である。ただし、ヘッド内の流体抵抗が大きい場合は、ノズルメニスカスの初期負圧が負圧側に大きくなるので、吐出可能な圧力変動幅が狭くなる。
ここで、(1)式において、流体抵抗Routと流体抵抗Rinの比Rout/RinをRr(Rr=Rout/Rin)とし、変形すると、次の(2)式が得られる。
ノズルメニスカス圧力Pmを一定の値とすれば、Poutは、(1+Rr)×Pnを切片として、−Rrが傾きとなる、Pinの1次関数で表すことができる。
この関係を満たすように、PinとPoutを設定すれば、ノズルメニスカスの圧力を一定のまま、液体を循環させる圧力である差圧(Pin―Pout)を大きくすることもできるし、小さくすることもできる。
一方、この関係式((2)式)を外れて、正の方向に大きくなると、ノズルから液体が溢れやすくなる。逆に、負の方向に大きくすると、ノズルから気泡を巻き込んでノズルダウンしやすくなる。
したがって、目標とするノズルメニスカス圧力を保ったまま、差圧を変更することが重要である。
次に、ヘッドと第1マニホールドと第2マニホールドの高さ関係について図7も参照して説明する。図7は同説明に供するマニホールドの位置関係、ヘッド前後の圧力とマニホールドの圧力の関係の要部模式的説明図である。
ヘッド100の上方(高い位置)に第1マニホールド230と第2マニホールド240を配置し、第1マニホールド230は第2マニホールド240よりも高い位置に配置している。第1マニホールド230と第2マニホールド240をヘッド100の上方に配置することで、ヘッド100から下方に向けて液体を吐出できる。したがって、ヘッド100の下方を搬送される媒体に液体を吐出する配置とすることができる。
ノズルメニスカス圧力を適切に設定するために、ヘッド100の前後に印加する圧力Pin、Poutに対し、第1マニホールド230、第2マニホールド240がヘッド100の上方に配置されることで、第1マニホールド230、第2マニホールド240に印加すべき圧力は、それぞれ、次のようになる。
第1マニホールド230:Pin−Hin×α
第2マニホールド240:Pout−Hout×α
ここで、Hin、Houtは、図7に示すように、それぞれヘッド100から第1マニホールド230、第2マニホールド240までの高さ、αは液体の比重、高さや圧力の単位によって決まる係数である。
例えば、圧力の単位がPa,高さの単位がmm、比重が1の場合、高さが100mm変われば圧力値としては100mmAqの差となる。100mmAqは約980Paであり、係数αは約9.8となる。
仮に、Pin=5000Pa、Pout=−5000Paとしたとき、Hin=204mm、Hout=102mm、比重1の液体とすると、第1マニホールド230に印加すべき圧力は約3000Pa、第2マニホールド240に印加すべき圧力は約−6000Paとなる。
第1マニホールド230はヘッド100よりも高ければ高いほど印加すべき圧力が下がる。一方、第2マニホールド240は高くするほど印加すべき負圧が大きくなってしまうが、なるべくヘッド100に近くすることで、その負圧の上がりを小さくできる。
したがって、第1マニホールド230を第2マニホールド240よりも高い位置に配置することで、例えば、Hin>Houtとすることで、第1マニホールド230にかかる正圧を低くしてノズルから液体が漏れるおそれを低減しつつ、第2マニホールド240にかかる負圧を低くしてノズルから気泡を巻き込むおそれを低減することができる。
さらに、本実施形態では、加圧サブタンク220を第1マニホールド230よりも高い位置に配置している。これにより、加圧サブタンク220とヘッド100との水頭差分だけ第1マニホールド230に印加すべき圧力を下げることができる。
したがって、第1マニホールド230にかかる正圧を低くしてノズルから液体が漏れるおそれをより低減しつつ、第2マニホールド240にかかる負圧を低くしてノズルから気泡を巻き込むおそれを低減することができる。
また、減圧サブタンク210を第2マニホールド240よりも低い位置に配置している。これにより、減圧サブタンク210とヘッド100との水頭差分だけ第2マニホールド240に印加すべき負圧の上がりを小さくすることができる。
したがって、第1マニホールド230にかかる正圧を低くしてノズルから液体が漏れるおそれを低減しつつ、第2マニホールド240にかかる負圧を低くしてノズルから気泡を巻き込むおそれをより低減することができる。
次に、本発明の第2実施形態について図8を参照して説明する。図8は同実施形態に係る液体循環装置のブロック説明図である。
液体循環装置200は、ヘッド100から吐出する液体300を貯留する液体貯留手段であるメインタンク201と、加圧サブタンク220と、減圧サブタンク210と、中間サブタンク290と、第1送液ポンプ202と、第2送液ポンプ203と、第3送液ポンプ209を備えている。
また、複数のヘッド100が通じる第1マニホールド230及び第2マニホールド240と、各ヘッド100毎のヘッドタンク251及びヘッドタンク252と、液体中の溶存気体を除去する脱気手段である脱気装置260を備えている。
ここで、加圧サブタンク220と減圧サブタンク210との間に中間サブタンク290が配置され、メインタンク201からフィルタ205を含む液体経路289を介して第3送液ポンプ209によって中間サブタンク290に送液(供給)する。
中間サブタンク290には、液面検知手段291と、内部を大気開放する大気開放機構を構成する電磁弁292を備えている。
中間サブタンク290と減圧サブタンク210とは液体経路283を通じて接続し、液体経路283には第2送液ポンプ203を設けている。
減圧サブタンク210は、気体室210aを有し、液体と気体が共存する構成である。減圧サブタンク210には、液面を検知する液面検知手段211と、内部を大気開放する大気開放機構となる電磁弁212が設けられている。
中間サブタンク290と加圧サブタンク220とは液体経路284を通じて接続し、液体経路284には第1送液ポンプ202を設けている。液体経路284には脱気装置260とフィルタ261が配置されている。
加圧サブタンク220は、気体室220aを有し、液体と気体が共存する構成である。加圧サブタンク220には、液面を検知する液面検知手段221と、内部を大気開放する大気開放機構となる電磁弁222が設けられている。
加圧サブタンク220は、液体経路281を通じて第1マニホールド230に接続されている。
第1マニホールド230は、ヘッド100の供給ポート171(供給口)側に供給経路231を介して通じている。供給経路231は、ヘッドタンク251を介してヘッド100の供給ポート171に接続されている。供給経路231にはヘッドタンク251より上流側に経路を開閉する電磁弁232が設けられている。また、第1マニホールド230には圧力センサ233が設けられている。
減圧サブタンク210は、液体経路282を介して第2マニホールド240に接続されている。
第2マニホールド240は、ヘッド100の排出ポート172(排出口)側に排出経路241介して通じている。排出経路241は、ヘッドタンク252を介してヘッド100の排出ポート172に接続されている。排出経路241にはヘッドタンク252より下流側に経路を開閉する電磁弁242が設けられている。また、第2マニホールド240には圧力センサ243が設けられている。
ここで、中間サブタンク290から、液体経路284、加圧サブタンク220、液体経路281、脱気装置260、第1マニホールド230、ヘッド100、第2マニホールド240、減圧サブタンク210を経て中間サブタンク290に戻る経路で循環経路301が構成される。
また、加圧サブタンク220と減圧サブタンク210、第1送液ポンプ202、第2送液ポンプ203によって、循環経路を液体が循環する圧力を生じさせる手段を構成している。
次に、この第2実施形態の液体循環装置200における液体循環方法について説明する。
(1)メインタンク201−中間サブタンク290への液体フロー
液面検知手段291で中間サブタンク290の液体不足を検知すると、第3送液ポンプ209を駆動して、メインタンク201から液体経路289を介して、液面検知手段291の検知結果で液面が満タンとなるまで中間サブタンク290に液体供給を行う。
(2)中間サブタンク290−加圧サブタンク220への液体フロー
第1送液ポンプ202を駆動して、中間サブタンク290から液体経路284を介して加圧サブタンク220に液体を送液することができる。
(3)減圧サブタンク210−中間サブタンク290への液体フロー
第2送液ポンプ203を駆動して、減圧サブタンク210から液体経路283を介して中間サブタンク290にエネルギー液体を送液することができる。
(4)加圧サブタンク220-循環可能なヘッド100-減圧サブタンク210の液体フロー
圧力センサ233による検知圧力が目標圧力(例えば、加圧となる圧力)となるまで第1送液ポンプ202を駆動して加圧サブタンク220に液体を供給する。また、圧力センサ243の検知圧力が目標圧力(例えば負圧となる圧力)となるまで第2送液ポンプ203を駆動して中間サブタンク290に液体を送液する。
これにより、加圧サブタンク220と減圧サブタンク210との間に差圧が発生する。この差圧に応じて、加圧サブタンク220から、液体経路281を介し、フィルタ261、脱気装置260、第1マニホールド230、複数の供給経路231、複数のヘッドタンク251、複数のヘッド100、複数の排出経路241、複数のヘッドタンク252、第2マニホールド240、液体経路282を介して、減圧サブタンク210まで液体が循環可能となる。
本実施形態においても、第1マニホールド230を第2マニホールド240よりも高い位置に配置することで、第1マニホールド230にかかる正圧を低くして液体が漏れるおそれを低減しつつ、第2マニホールド240にかかる負圧を低くして泡を巻き込むおそれを低減することができる。
また、加圧サブタンク220を第1マニホールド230よりも高い位置に配置している。これにより、加圧サブタンク220とヘッド100との水頭差分だけ第1マニホールド230に印加すべき圧力を下げることができる。
したがって、第1マニホールド230にかかる正圧を低くしてノズルから液体が漏れるおそれをより低減しつつ、第2マニホールド240にかかる負圧を低くしてノズルから気泡を巻き込むおそれを低減することができる。
さらに、減圧サブタンク210を第2マニホールド240よりも低い位置に配置している。これにより、減圧サブタンク210とヘッド100との水頭差分だけ第2マニホールド240に印加すべき負圧の上がりを小さくすることができる。
したがって、第1マニホールド230にかかる正圧を低くしてノズルから液体が漏れるおそれを低減しつつ、第2マニホールド240にかかる負圧を低くしてノズルから気泡を巻き込むおそれをより低減することができる。
次に、本発明の第3実施形態について図9を参照して説明する。図9は同実施形態における液体循環装置の要部模式的説明図である。
本実施形態では、ヘッド100は、斜め下方に向けて液体を吐出し、媒体は斜め方向に搬送される。
そして、第1マニホールド230はヘッド100より高い位置に配置し、第2マニホールド240はヘッド100よりも低い位置に配置している。これにより、第1マニホールド230の正圧をヘッド100の手前の圧力Pinよりも低く、第2マニホールド240の負圧をヘッド100の直後の負圧Poutよりも小さくすることができ、ノズルからの液体漏れや気泡巻き込みのおそれを低減することができる。
なお、本実施形態では斜めに配置した例で示しているが、水平方向に液体を吐出するようにヘッドを配置する構成でも、第1マニホールド230、第2マニホールド240につて同様の配置を行うことができる。
次に、本発明の第4実施形態について図10を参照して説明する。図10は同実施形態における液体循環装置の要部模式的説明図である。
本実施形態では、前記第3実施形態において、前記第1実施形態と同様に、加圧サブタンク220は第1マニホールド230よりも上方(高い位置)に配置し、減圧サブタンク210は第2マニホールド240よりも下方(低い位置)に配置している。
このように構成することで、加圧サブタンク220の正圧はより低く、減圧サブタンク210の負圧はより小さくできるため、ノズルからの液体漏れや気泡巻き込みのおそれをより低減することができる。
次に、本発明の第5実施形態について図11を参照して説明する。図11は同実施形態における液体循環装置のブロック説明図である。
本実施形態では、前記第1実施形態において、加圧サブタンク220を第1マニホールド230よりも高い位置に配置したまま、減圧サブタンク210を第2マニホールド240よりも高い位置に配置している。ここでは、減圧サブタンク210を加圧サブタンク220と同じ高さに配置しているが、これに限るものではない。
このように構成した場合、減圧サブタンク210を第2マニホールド240よりも低い位置に配置することによる効果は得られないが、加圧サブタンク220を第1マニホールド230よりも高い位置に配置することによる効果は得ることができる。
次に、本発明の第6実施形態について図12を参照して説明する。図12は同実施形態における液体循環装置のブロック説明図である。
本実施形態では、前記第2実施形態において、加圧サブタンク220を第1マニホールド230よりも高い位置に配置したまま、減圧サブタンク210を第2マニホールド240よりも高い位置に配置している。ここでは、減圧サブタンク210を加圧サブタンク220と同じ高さに配置しているが、これに限るものではない。
このように構成した場合、減圧サブタンク210を第2マニホールド240よりも低い位置に配置することによる効果は得られないが、加圧サブタンク220を第1マニホールド230よりも高い位置に配置することによる効果は得ることができる。
次に、本発明の第7実施形態について図13を参照して説明する。図13は同実施形態における液体循環装置のブロック説明図である。
本実施形態では、前記第1実施形態において、減圧サブタンク210を第2マニホールド240よりも低い位置に配置したまま、加圧サブタンク220を第1マニホールド230よりも低い位置に配置している。ここでは、加圧サブタンク220を減圧サブタンク210と同じ高さに配置しているが、これに限るものではない。
このように構成した場合、加圧サブタンク220を第1マニホールド230よりも高い位置に配置することによる効果は得られないが、減圧サブタンク210を第2マニホールド240よりも低い位置に配置することによる効果は得ることができる。
次に、本発明の第8実施形態について図14を参照して説明する。図14は同実施形態における液体循環装置のブロック説明図である。
本実施形態では、前記第2実施形態において、減圧サブタンク210を第2マニホールド240よりも低い位置に配置したまま、加圧サブタンク220を第1マニホールド230よりも低い位置に配置している。ここでは、加圧サブタンク220を減圧サブタンク210と同じ高さに配置しているが、これに限るものではない。
このように構成した場合、加圧サブタンク220を第1マニホールド230よりも高い位置に配置することによる効果は得られないが、減圧サブタンク210を第2マニホールド240よりも低い位置に配置することによる効果は得ることができる。
本願において、吐出される「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
「液体吐出ヘッド」には、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。