図1は、実施の形態による車両用撮影装置の概要を説明する図である。
図1に示すように、車両1の上部前面には、車両1の窓に設けられた透明板としてのフロントガラス13が設けられている。フロントガラス13は、運転席17に座る運転者に前景を見通せるようにしている。
なお、透明板における可視光線の透過率は、例えば、70%以上である。
また、車両1の室内CI前方において、運転者が座っている運転席17及び運転席17の隣にある不図示の助手席と対向し、且つフロントガラス13の下部の領域にはダッシュボード15が設けられている。ダッシュボード15には小窓151が設けられている。小窓151は、光透過性を有する部材と、光透過性を有する部材を支持する支持部材とから構成されている。
車両1には車両用撮影装置が搭載されている。車両用撮影装置は、スリットミラーアレイ21、透明部材22及びカメラ23を備えている。
スリットミラーアレイ21及び透明部材22は、フロントガラス13の室内CI側におけるガラス面と平行になるように取り付けられている。フロントガラス13に対するスリットミラーアレイ21及び透明部材22の取り付け位置は、車両1の窓における視野の範囲VA、すなわち、フロントガラス13における視野の範囲VAを含むような位置に設定されている。なお、フロントガラス13における視野の範囲VAが運転席17に座る運転者の有効視野を含むように運転席17の位置は調整されている。
スリットミラーアレイ21は、フロントガラス13と対向してフロントガラス13に取り付けられている。透明部材22は、スリットミラーアレイ21においてフロントガラス13と対向する面に設けられている。
即ち、運転者の視野の範囲VAにおいて、室外CEから室内CIに向かって、フロントガラス13、透明部材22及びスリットミラーアレイ21の三層が重ね合わされている。上記三層のうち、透明部材22及びスリットミラーアレイ21の二層からなる内部構造は、フロントガラス13に入射した入射光ILの向きを曲げるように形成されている。
スリットミラーアレイ21は、入射光ILの一部を透過させ、入射光ILの他の一部を反射させる部材である。
図1の一例では、入射光ILの一部は、透過光TLとして運転者に到達している。一方、入射光ILの他の一部は、反射光RLとしてフロントガラス13の下方にあるダッシュボード15に設けられた小窓151に進行している。
カメラ23は、ダッシュボード15の内部に取り付けられている。カメラ23による反射光RLの受光位置は、スリットミラーアレイ21によって反射された反射光RLの進行方向に沿った位置に調整されている。なお、小窓151と、カメラ23との間の空間に導光部材が設けられていてもよい。
カメラ23は、光電変換素子を有している。光電変換素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。従って、カメラ23は、反射光RLを含む光を受光する機能を有している。このような機能により、カメラ23は、室外CEのうち、運転者の視野の範囲VAにあるものを記録する。
なお、図1においては、フロントガラス13と対向してスリットミラーアレイ21が取り付けられている一例について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、車両1のリアウインドに対向してスリットミラーアレイ21が取り付けられていてもよい。車両1のサイドウインドに対向してスリットミラーアレイ21が取り付けられていてもよい。
フロントガラス13と同様に、リアウインド及びサイドウインドのそれぞれは、車両1の窓に設けられた透明板である。リアウインドは、運転席17に座る運転者に後景を見通せるようにしている。サイドウインドは、運転席17に座る運転者に側景を見通せるようにしている。
図2〜図4は、図1のスリットミラーアレイ21の内部構造を説明する図である。
図2は、図1のスリットミラーアレイ21の一部を示す斜視図である。図2に示すように、スリットミラーアレイ21は、互いに隣接して配列された複数のスリットミラー211を有している。
ここで、以後の説明において、複数のスリットミラー211が配列される配列方向はADと称される。配列方向ADに対して垂直な向きに沿った各スリットミラー211の厚さはDと称される。なお、配列方向ADの上流側はフロントガラス13の上方になり、配列方向ADの下流側はフロントガラス13の下方になる。
図3は、図2のスリットミラー211を示す斜視図である。スリットミラー211は、透過部材211Aと、第1の光反射膜LRF1と、第1の光吸収膜LAF1とを有している。
ここで、以後の説明において、配列方向ADに沿った各透過部材211Aの幅はWと称される。
透過部材211Aは、幅W及び厚さDを底面とする四角柱の直方体材である。この直方体材は、プラスチック、ガラス等によって形成されている。透過部材211Aは、配列方向ADの一側の端面である第1の端面211Cと、配列方向ADの他側の端面である第2の端面211Bとを有している。従って、第2の端面211Bは、第1の端面211Cに対向している。
第1の端面211Cには、第1の光反射膜LRF1が設けられている。
第1の光反射膜LRF1は、金属膜、誘電体多層膜等の蒸着コートから構成されている。金属膜は、第1の端面211Cに金属物質を蒸着して形成される。誘電体多層膜は、第1の端面211Cに誘電体物質を蒸着して形成される。
従って、第1の光反射膜LRF1は、入射光ILを反射光RLとして反射する機能を有している。
第2の端面211Bには、第1の光吸収膜LAF1が設けられている。
第1の光吸収膜LAF1は、チタン、ニッケル、クロム等の蒸着コートから構成されている。チタン、ニッケル、クロム等の蒸着コートは、光吸収物質を第2の端面211Bに蒸着して形成されている。
従って、第1の光吸収膜LAF1は、入射光ILを吸収する機能を有している。
配列方向ADに隣接する2つのスリットミラー211において、上流側のスリットミラー211に設けられた第1の光吸収膜LAF1と、下流側のスリットミラー211に設けられた第1の光反射膜LRF1とが同じ厚さDで接合されている。
即ち、複数のスリットミラー211は、配列方向ADに隣接する2つのスリットミラー211の接合面のうち、上流側が第1の光吸収膜LAF1となり、下流側が第1の光反射膜LRF1となるように配列されている。
これにより、配列方向ADの上流側から下流側において、第1の光吸収膜LAF1及び第1の光反射膜LRF1の順に接合された接合面が複数形成されている。
図4は、図1の透明部材22の断面図である。図4に示すように、透明部材22は、複数のスリットミラー211においてフロントガラス13と対向する面に設けられている。即ち、フロントガラス13と、複数のスリットミラー211との間に透明部材22が設けられている。従って、透明部材22は、複数のスリットミラー211を覆っている。
透明部材22は、界面STRを含んでいる。界面STRは、2つの異なる媒質の境界面に形成されている。界面STRは、複数の全反射面STRgrdと、複数の接続面STRverとを有している。
各全反射面STRgrdは、隣接する2つのスリットミラー211と対向している。各全反射面STRgrdは、仮想水平面Svirに対する1つの全反射面STRgrdの傾斜角度が、仮想水平面Svirに対するスリットミラーアレイ21及び透明部材22の傾斜角度よりも大きくなるように形成されている。
各接続面STRverは、フロントガラス13に対する第1の法線NLと平行に設けられている。第1の光吸収膜LAF1と第1の光反射膜LRF1とを接合する接合面もフロントガラス13に対する第1の法線NLと平行に設けられている。従って、各接続面STRverと、上記接合面とは平行に設けられている。
ここで、仮想水平面Svirは、地面と平行に設定されている。
フロントガラス13に対する第1の法線NL方向において、各接続面STRverの両端部のうちフロントガラス13に近い端部は、各全反射面STRgrdの両端のうち配列方向ADの上流側の端部とつながっている。
フロントガラス13に対する第1の法線NL方向において、各接続面STRverの両端部のうちフロントガラス13から遠い端部は、各全反射面STRgrdの両端のうち配列方向ADの下流側の端部とつながっている。
即ち、各接続面STRverは、複数の全反射面STRgrdのそれぞれを接続する。
各全反射面STRgrdは、入射光ILを全反射可能である。
各接続面STRverには、第2の光反射膜LRF2及び第2の光吸収膜LAF2が形成されている。
第2の光吸収膜LAF2は、第1の光吸収膜LAF1と同様に、チタン、ニッケル、クロム等の蒸着コートから構成されている。従って、第2の光吸収膜LAF2は、配列方向ADに間隔をおいて配置されている。
第2の光反射膜LRF2は、第1の光反射膜LRF1と同様に、金属膜、誘電体多層膜等の蒸着コートから構成されている。従って、第2の光反射膜LRF2は、第2の光吸収膜LAF2と同様に、配列方向ADに間隔をおいて配置されている。
第2の光吸収膜LAF2は、第2の光反射膜LRF2の両面のうちフロントガラス13の上方を向いた面に設けられている。
従って、第2の光吸収膜LAF2は、フロントガラス13の上方から入射した入射光ILのうち、界面STRにおいて臨界角θcと同じ角度で入射した入射光ILを吸収する機能を有している。これにより、入射光ILが界面STRにおいて入射する角度によって、第2の光吸収膜LAF2は、入射光ILを吸収することが可能となる。
一方、第2の光反射膜LRF2は、入射光ILを反射光RLとして反射する機能を有している。従って、第1の光反射膜LRF1と、第2の光反射膜LRF2と、カメラ23との位置関係によって、第2の光反射膜LRF2は、入射光ILの一部を小窓151に向かって反射する。
即ち、接続面STRverにおいて、配列方向ADの下流側には、入射光ILの一部を反射する第2の光反射膜LRF2が形成されている。接続面STRverにおいて、配列方向ADの上流側には、入射光ILのうち、複数の全反射面STRgrdのそれぞれにおいて臨界角θcと同じ角度で入射した入射光ILを吸収する第2の光吸収膜LAF2が形成されている。
ここで、以後の説明において、フロントガラス13に対する第1の法線NL、即ち、透明部材22に対する第1の法線NLと、仮想水平面Svirとの角度はθと称される。運転者の視野の範囲VA内の入射光ILの透過率はTと称される。運転者の視野の範囲VA内の入射光ILの反射率はRと称される。視野角はψと称される。運転者の視野の範囲VAの角度は仮想水平面Svirを基準として±ψとする。
図4の一例では、a’’、b’’及びc’’の方向は、視野角±ψの範囲外のうち、フロントガラス13の上方から入射光ILが入射する方向になる。全反射面STRgrdは、a’’、b’’及びc’’の方向から入射する入射光ILを遮断する。これにより、全反射面STRgrdは、a、b及びcの方向から入射してa’、b’及びc’の方向へ反射される反射光RLと、a’’、b’’及びc’’の方向から入射する入射光ILとを混ぜないようにしている。
具体的には、全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsと全反射面STRgrdにおける入射光ILとのなす角度が臨界角θcよりも大きい場合、全反射面STRgrdにおいて全反射が生じる。
図5は、図4の全反射面STRgrdにおいて入射光ILが臨界角θcで入射する一例を示す図である。
透明部材22は、第1透明部材22Aと、第2透明部材22Bとを有している。第1透明部材22Aと、第2透明部材22Bとの間には、エアーギャップAGが形成されている。エアーギャップAGには、屈折率が1の空気が充填されている。なお、エアーギャップAGは、真空状態であってもよい。
界面STRは、第1透明部材22Aと、エアーギャップAGとの間に形成されている。
図5の一例では、c’’の方向から第1透明部材22Aに入射した入射光ILは、第1透明部材22Aにおいて屈折している。
ここで、第1透明部材22Aは、フロントガラス13と平行に設けられているため、第1の法線NLは、第1透明部材22Aの法線となる。従って、第1透明部材22Aの第1の法線NLと、c’’の方向から入射する入射光ILとのなす角度を(θ−χ)とする。また、第1透明部材22Aへの入射により屈折した入射光ILと第1の法線NLとのなす角度を(θ−χ)’とする。
従って、c’’の方向から(θ−χ)の角度で第1透明部材22Aに入射して(θ−χ)’の角度で屈折した入射光ILと、透明部材22に対する第1の法線NLとは、(θ−χ)’の角度をなす。また、透明部材22に対する第1の法線NLと、スリットミラーアレイ21に対する第1の法線NLとが同じである。従って、φは、スリットミラーアレイ21に対する第1の法線NLと、全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsとのなす角度である。
これにより、第1透明部材22Aへの入射により屈折した入射光ILと全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsとのなす角度は、(θ−χ)’とφとの和となる。図5の一例では、全反射面STRgrdに入射した入射光ILは、全反射面STRgrdに沿って進行している。従って、第1透明部材22Aへの入射により屈折した入射光ILと全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsとのなす角度は、臨界角θcとなる。
また、a’’及びb’’の方向から透明部材22に入射する入射光ILは、c’’の方向から透明部材22に入射する入射光ILよりも第1の法線NLに対して入射する角度が大きい。従って、c’’の方向から入射する入射光ILが全反射面STRgrdにおいて臨界角θcで入射する場合、a’’及びb’’の方向から入射する入射光ILは全反射面STRgrdにおいて臨界角θcよりも大きい角度で入射する。これにより、a’’及びb’’の方向から入射する入射光ILは、全反射面STRgrdにおいて全反射される。
即ち、第1の法線NLに対して全反射面STRgrdをφだけ傾けることにより、(θ−χ)’とφとの合計が臨界角θcになるように設定されている。
従って、φの角度によって、全反射させる入射光ILが決定される。上記の一例では、c’’の方向から入射した入射光ILが全反射面STRgrdにおいて臨界角θcで入射するようにφの角度が設定されている。これにより、a’’及びb’’の方向から入射した入射光ILが全反射面STRgrdにおいて全反射されるように設定されている。
図6〜図10は、スリットミラーアレイ21及び透明部材22による入射光ILの軌跡を説明する図である。
図6は、図4のスリットミラーアレイ21及び透明部材22による反射光RL及び透過光TLの軌跡の一例を示す図である。
なお、図6の一例では、第1の光反射膜LRF1及び第2の光反射膜LRF2のそれぞれにおいて、入射光ILが反射されている。ここで、透明部材22に対して入射光ILが入射する角度がθ+ψとなったとき、視野の範囲VAの透過率Tは最低となる。
具体的には、入射光ILは、室外CEからフロントガラス13を介して透明部材22に入射したときに屈折する。
ここで、以後の説明において、透明部材22及び透過部材211Aの屈折率はnと称される。
入射光ILがスリットミラーアレイ21に入射する角度(θ+ψ)’は、次の式(1)のように表される。
(θ+ψ)’=arcsin(sin(θ+ψ)/n) (1)
式(1)のとき、透過部材211Aにおいて幅Wの間に入射する入射光ILのうち、厚さDの第1の光反射膜LRF1で反射される入射光ILは、次の式(2)のように表される。
D×tan(θ+ψ)’ (2)
従って、Tは、次の式(3)のように表される。
T=1−(D/W)×tan(θ+ψ)’ (3)
ここで、θ、ψ及びnが、θ=65°、ψ=10°及びn=1.5であるとき、(θ+ψ)’は、以下のようになる。
(θ+ψ)’=40°
さらに、W/Dが、W=2.8であるとき、視野角が±ψにおける透過率Tは、次の式(4)のように表される。
T=0.7〜0.77 (4)
式(4)によって、反射率Rは、次の式(5)のように表される。
R=1−T=0.23〜0.3 (5)
従って、透過率T及び反射率Rは、透過部材211Aにおける幅Wと厚さDとの比率と、入射光ILがスリットミラーアレイ21に入射する角度(θ+ψ)’とに基づいて、決定される。
図7〜図10は、フロントガラス13の上方から入射する入射光ILを防ぐための透明部材22の内部構造について説明する図である。
図7は、図4の界面STRを透過する透過光TLの軌跡の一例を示す図である。
入射光ILがスリットミラーアレイ21に入射する角度(θ−ψ)’は、次の式(6)のように表される。
(θ−ψ)’=arcsin(sin(θ−ψ)/n) (6)
式(6)が適用されるとき、スリットミラーアレイ21に対する第1の法線NLと全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsとのなす角度をφとし、全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsと入射光ILとのなす角度をθaとする。すると、θaは次の式(7)のように表される。ただし、θaは臨界角θc未満である。
なお、以後の説明において、スリットミラーアレイ21に対する第1の法線NLと全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsとのなす角度はφと称する。また、入射光ILがスリットミラーアレイ21に角度(θ−ψ)’で入射したとき、全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsと入射光ILとのなす角度は、θaと称する。
θa=φ+(θ−ψ)’ (7)
θaが臨界角θc未満であるので、入射光ILは、角度(θ−ψ)’でスリットミラーアレイ21に入射し、透過部材211Aを透過光TLとして透過する。
図8は、図4の界面STRで反射する入射光ILの軌跡の第1の例を示す図である。
入射光ILがスリットミラーアレイ21に入射する角度(θ−ξ)’は、次の式(8)のように表される。
(θ−ξ)’=arcsin(sin(θ−ξ)/n) (8)
式(8)が適用されるとき、全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsと入射光ILとのなす角度をθbとすると、θbは次の式(9)のように表される。ただし、θbは臨界角θc未満である。なお、以後の説明において、入射光ILがスリットミラーアレイ21に角度(θ−ξ)’で入射したとき、全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsと入射光ILとのなす角度は、θbと称する。
θb=φ+(θ−ξ)’ (9)
上記の説明から角度(θ−ξ)’は、次の式(10)で表される範囲となる。
(θ−φ)’<(θ−ξ)’<θc (10)
角度(θ−ξ)’が式(10)の条件を満たすとき、次の少なくとも1つの事象が生じる。第1の事象においては、入射光ILは、第1の光吸収膜LAF1で吸収される。第2の事象においては、入射光ILは、第1の光反射膜LRF1で反射される。第3の事象においては、入射光ILは、透過部材211Aを透過光TLとして透過する。
図8の一例では、入射光ILは、全反射面STRgrdに入射したときに屈折する。屈折した入射光ILは、エアーギャップAGを通過して第2透明部材22Bに入射したときに全反射面STRgrdに入射したときと逆方向へ屈折する。逆方向へ屈折した入射光ILは、透過部材211Aを透過する。この結果、入射光ILの入射方向と、透過光TLの透過方向とが同じになる。
図9は、図4の界面STRで反射する入射光ILの軌跡の第2の例を示す図である。図9の一例では、全反射面STRgrdに入射する入射光ILは、全反射面STRgrdにおいて屈折している。即ち、図5を用いて説明したように、全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsと入射光ILとのなす角度は臨界角θcとなっている。
入射光ILがスリットミラーアレイ21に入射する角度(θ−χ)’は、次の式(11)のように表される。
(θ−χ)’=arcsin(sin(θ−χ)/n) (11)
式(11)が適用されるとき、臨界角θcは次の式(12)のように表される。
θc=φ+(θ−χ)’ (12)
入射光ILがスリットミラーアレイ21に入射する角度(θ−χ)’の大きさに応じて、入射光ILは屈折している。屈折した入射光ILは、全反射面STRgrdに沿って第2の光吸収膜LAF2に向かっている。従って、屈折した入射光ILは第2の光吸収膜LAF2によって吸収される。
図10は、図4の界面STRで反射する入射光ILの軌跡の第3の例を示す図である。
全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsと入射光ILとのなす角度をθdとすると、θdは次の式(13)のように表される。
θd=φ+(θ−ρ)’ (13)
なお、以後の説明において、入射光ILがスリットミラーアレイ21に角度(θ−ρ)’で入射したとき、全反射面STRgrdに対する第2の法線NLsと入射光ILとのなす角度は、θdと称する。
図10の一例では、全反射面STRgrdに入射した入射光ILは、全反射面STRgrdにおいて全反射している。即ち、θdは臨界角θcよりも大きくなっている。
入射光ILがスリットミラーアレイ21に入射する角度(θ−ρ)’は、次の式(14)のように表される。
(θ−ρ)’=arcsin(sin(θ−ρ)/n) (14)
ここで、臨界角θcと、入射光ILがスリットミラーアレイ21に入射する角度(θ−ρ)’と、φとの関係は、式(13)を利用して、次の式(15)のように表される。
θc<φ+(θ−ρ)’ (15)
式(15)から次の式(16)が導出される。
φ>θc−(θ−ρ)’ (16)
ここで、θ、ρ及びnが、θ=65°、ρ=10°、n=1.5であるとき、θc及び(θ−ρ)’は、以下のようになる。
θc=42°
(θ−ρ)’=33°
従って、φは、以下のようになる。
φ>9°
以上の説明から、透明部材22をθ−χよりも大きな角度で入射した入射光ILは、全反射面STRgrdにおいて臨界角θcよりも大きい角度で入射する。これにより、入射光ILは、全反射面STRgrdにおいて反射光RLとして全反射する。
また、第2の光反射膜LRF2及び第2の光吸収膜LAF2は、第1の光反射膜LRF1及び第1の光吸収膜LAF1と同様の機能を有している。
また、上記で説明した式(1)及び式(6)に基づいて、仮想水平面Svirに対する視野角±ψの範囲内において、入射光ILがスリットミラーアレイ21に入射する角度(θ±ψ)’は、次の式(17)のように表される。
(θ±ψ)’=arcsin(sin(θ±ψ)/n) (17)
従って、第1の光反射膜LRF1及び第2の光反射膜LRF2によって反射される入射光ILの反射率Rは、次の式(18)のように表される。
R=1−T=(D/W)×tan(θ±ψ)’ (18)
また、入射光ILのうち、透明部材22及びスリットミラーアレイ21を透過し、室内CIに入射する透過光TLの透過率Tは、次の式(19)のように表される。
T=1−(D/W)×tan(θ±ψ)’ (19)
従って、式(19)に示す透過率Tで透過した透過光TLが運転者に視認される。
また、フロントガラス13の上方からスリットミラーアレイ21に入射した入射光ILのうち、全反射面STRgrdにおいて臨界角θcよりも小さい角度で入射した入射光ILは、第1の光吸収膜LAF1に吸収される。従って、このような入射光ILは、運転者に到達しない。これにより、このような入射光ILは、運転者に視認されない。
また、フロントガラス13の上方からスリットミラーアレイ21に入射した入射光ILのうち、全反射面STRgrdにおいて臨界角θcと同じ角度で入射した入射光ILは、全反射面STRgrdに沿って進行する。従って、このような入射光ILは、第2の光吸収膜LAF2に吸収される。これにより、このような入射光ILは、運転者に視認されない。
また、フロントガラス13の上方からスリットミラーアレイ21に入射した入射光ILのうち、全反射面STRgrdにおいて臨界角θcよりも大きい角度で入射した入射光ILは、全反射面STRgrdにおいて全反射される。従って、このような入射光ILは、運転者に視認されない。
以上の説明から、車両用撮影装置は、カメラ23と、スリットミラーアレイ21と、を備えている。
スリットミラーアレイ21は、車両1の窓に設けられた透明板に沿って設けられており、且つ互いに隣接して配列されている複数のスリットミラー211を有している。
複数のスリットミラー211のそれぞれは、透過部材211Aと、第1の光反射膜LRF1とを有している。
透過部材211Aは、車両1の窓を通して車両1に入射した入射光ILを透過する。第1の光反射膜LRF1は、透過部材211Aに設けられている。第1の光反射膜LRF1は、入射光ILを反射する。
従って、車両1の窓における運転者の視野の範囲VA内には複数のスリットミラー211が設けられている。これにより、車両1の窓には運転者の視野を妨げる部材が存在しない。
カメラ23は、車両1に設けられる。カメラ23は、第1の光反射膜LRF1によって反射された反射光RLを含む光を受光する。これにより、カメラ23は、室外CEを記録する。
即ち、第1の光反射膜LRF1は、運転者の視野を妨げることなく車両1の室外CEから室内CIに入射した入射光ILを反射光RLとしてカメラ23により記録させることができる。
従って、車両1の窓における視野が妨げられることを抑制することができる。また、車両1の窓における視野の外から車外を監視することができる。
また、各透過部材211Aは、第1の端面211Cと、第2の端面211Bとを有している。第1の端面211Cは、複数のスリットミラー211の配列方向ADの端面である。第2の端面211Bは、第1の端面211Cに対向している。隣り合う2つの透過部材211Aでは、第1の端面211Cと第2の端面211Bとが隣り合っている。各第1の光反射膜LRF1は、第1の端面211Cに設けられている。
従って、一定間隔で各第1の光反射膜LRF1が設けられている。これにより、一定間隔によって決定される反射率Rに基づいて第1の光反射膜LRF1によって入射光ILを反射させることができる。
また、各透過部材211Aの第2の端面211Bには、入射光ILを吸収する第1の光吸収膜LAF1が設けられている。
従って、窓の上方からスリットミラーアレイ21に入射した入射光ILは、第1の光吸収膜LAF1により吸収される。これにより、窓の上方からスリットミラーアレイ21に入射した入射光ILは、運転者に到達しない。この結果、窓の上方からスリットミラーアレイ21に入射した入射光ILが運転者に視認されないため、運転に不要な光を遮蔽することができる。
また、車両用撮影装置は、透明板とスリットミラーアレイ21との間に設けられる透明部材22をさらに備えている。透明部材22は、入射光ILを全反射可能な複数の全反射面STRgrdを含んでいる。複数の全反射面STRgrdのそれぞれは、窓の上方から入射した入射光ILのうち、臨界角θcよりも大きい角度で入射した入射光ILを全反射させる。
従って、窓の上方から透明部材22に入射した入射光ILのうち、全反射面STRgrdにおいて臨界角θcよりも大きい角度で入射した入射光ILは、全反射面STRgrdにより反射される。これにより、窓の上方から透明部材22に入射した入射光ILの一部は、カメラ23に到達しない。この結果、カメラ23によって記録されるデータの品質を向上させることができる。
また、透明部材22は、接続面STRverを含んでいる。接続面STRverは、複数の全反射面STRgrdのそれぞれを接続する。さらに、接続面STRverにおいて、配列方向ADの下流側には、入射光ILの一部を反射する第2の光反射膜LRF2が形成されている。接続面STRverにおいて、配列方向ADの上流側には、入射光ILのうち、複数の全反射面STRgrdのそれぞれにおいて臨界角θcと同じ角度で入射した入射光ILを吸収する第2の光吸収膜LAF2が形成されている。
従って、窓に入射した入射光ILのうち、一部の入射光ILは、第2の光反射膜LRF2によっても反射される。また、窓に入射した入射光ILのうち、全反射面STRgrdにおいて臨界角θcと同じ角度で入射した入射光ILは、第2の光吸収膜LAF2によって吸収される。
これにより、窓の上方から透明部材22に入射した入射光ILのうち、全反射面STRgrdにおいて臨界角θcと同じ角度で入射した入射光ILは、カメラ23に到達しない。この結果、カメラ23によって記録されるデータの品質を向上させることができる。
なお、上記で説明したように、カメラ23によって記録されるデータの品質は向上する。また、カメラ23は、室外CEを撮影する。従って、例えば、車両1に搭載された不図示のECU(Engine Control Unit)によって、カメラ23によって記録されたデータが解析されることにより、車両1の周辺に存在するものが検知されてもよい。
具体的には、車両1以外の他の車両、歩行者、自転車、二輪車等の少なくとも1つが検知されたときには、その旨が運転者に報知されてもよい。
また、カメラ23により検知されたものと車両1との距離が予め設定された閾値距離以内であると上記ECUにより判定された場合には、警告を運転者に報知してもよい。
また、カメラ23により検知されたものと車両1との距離が予め設定された閾値距離以内であると上記ECUにより判定され、且つ車両1が自動運転中である場合には、上記警告に加え、自動運転の制御が実施されてもよい。
例えば、上記ECUは、ステアリングの操作量、操舵角度、車速等に基づいて算出された目標旋回モーメントと、実際の旋回モーメントと、に基づいて、車速、操舵角度、ブレーキ圧等を制御する。これにより、車両1の自動運転の制御が実現される。
以上、実施の形態においては、車両用撮影装置が1台のスリットミラーアレイ21により反射された反射光RLを含む光を受光するカメラ23を備えている一例について説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、車両用撮影装置は、スリットミラーアレイ21が有する複数のスリットミラー211と直交するように互いに向かい合わせて配置された複数の他のスリットミラーを有する他のスリットミラーアレイをさらに備えてもよい。このような構成により、他のスリットミラーアレイによりスリットミラーアレイ21の反射光RLの向きをさらに変えることができるので、カメラ23の配置場所を柔軟に変更することができる。
フロントガラス13とスリットミラーアレイ21との間に配置された透明部材22は、省略してもよい。また、フロントガラス13だけでなく車両1の窓に設けられた他の透明板、例えば、リアウインド及びサイドウインドの少なくともいずれかにスリットミラーアレイ21が取り付けられていてもよい。このような構成により、カメラ23は、車両1の周辺を記録することができる。