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JP6849311B2 - 蓄光性蛍光体を含有するフッ素系樹脂シート、これを用いた積層物、蓄光性シート、屋外用蓄光標識 - Google Patents

蓄光性蛍光体を含有するフッ素系樹脂シート、これを用いた積層物、蓄光性シート、屋外用蓄光標識 Download PDF

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Description

本発明は、蓄光性蛍光体を含有するフッ素系樹脂シート、これを用いた積層物、蓄光性シート、屋外用蓄光標識に関する。より詳しくは、フッ素系樹脂に蓄光性蛍光体などを配合した耐候性に優れるフッ素系樹脂シート等に関する。
蓄光とは、光の照射によってそのエネルギーを吸収し、照射が停止した後に発光する現象を言い、こうした性質を有する物質は蓄光性蛍光体あるいは燐光体として知られている。前記蓄光性蛍光体としては、硫化亜鉛、硫化カルシウム、酸化亜鉛、アルミン酸塩などが知られており、また、当該蓄光性蛍光体の耐水性を向上させる手法として、リン酸塩と混合またはリン酸塩溶液中で接触させて加熱処理することが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
また、前記蓄光性蛍光体は、夜間の安全を守るための標識や非常口の位置を示すマークなどの各種標識用品にも用いられ、当該蓄光性蛍光体を樹脂に添加した配合物をシート状に成形する方法や、蓄光性蛍光体を含有する塗料をシート表面に塗工する方法なども提供されている(特許文献3、特許文献4参照)。
このような従来の蓄光性蛍光体を含むシート(以下、「蓄光シート」ともいう)を成形する樹脂成分としては、塩化ビニル樹脂やシリコーン樹脂が主として用いられている。
2011年3月の東日本大震災を契機として、特に屋外向けの夜間用非常標識、ガードレール標識などの必要性が高まり、耐候性に優れた蓄光シートが要望されている。また、2014年にJISZ9097が制定され、従来不明瞭だった蓄光シートの性能が明確に規定され、長期間の性能保持が喫緊の課題となっている。
一方、フッ素系樹脂は耐候性に優れることが知られており、特に、フッ素系樹脂は、建築物の内外装用部材に使用されるプラスチック板、金属板、及びその他の各種基材の保護、耐候性の向上などを目的として使用されている(特許文献5、特許文献6、特許文献7参照)。
また、近年ではフッ素系樹脂が耐候性に優れる特徴を活かして、太陽電池モジュール背面保護シートの表面保護層にフッ素系フィルムを用いることが提案されている(特許文献8参照)。
特許第2543825号公報 特開平10−273654号公報 特開2002−19020号公報 特許第3552763号公報 特開2006−18255号公報 特開平8−267675号公報 特開2008−7709号公報 特開2011−77081号公報
樹脂成分として塩化ビニル樹脂を用いた蓄光シートは屋外で使用された場合、塩化ビニル樹脂の変色等、有意な劣化が生じる。その結果として、蓄光シート内に含有される蓄光性蛍光体自体の劣化、分解を招き、蓄光性能を長期間保持することができなかった。これを防止する目的で表面保護層を設ける手法が採用される場合もあるが、長期間の暴露により下地層が影響を受け、屋外用途としては蓄光性能の長期間の保持が不十分であった。
一方、耐候性に優れたフッ素系樹脂を樹脂成分とした蓄光シートは現状、加工の困難性等の観点から、案出されていない。
そこで、本発明は、フッ素系樹脂を含む樹脂成分と、蓄光性蛍光体と、を含むフッ素系樹脂シートであり、特に屋外用として耐候性に優れた蓄光標識用フッ素系樹脂シートを提供することを目的とする。
本発明は、フッ素系樹脂を含む樹脂成分と、蓄光性蛍光体と、を含有するフッ素系樹脂シートを提供する。
このフッ素系樹脂シートにおいて、前記樹脂成分100質量部に対して、前記蓄光性蛍光体を1〜80質量部含有していてもよい。
また、前記フッ素系樹脂シートにおいて、前記蓄光性蛍光体の平均粒径が0.1〜5μmであってもよい。
更に、前記フッ素系樹脂シートにおいて、前記樹脂成分は、フッ素系樹脂50〜100質量%及びメタクリル酸エステル樹脂0〜50質量%からなってもいてもよい。このフッ素系樹脂シートにおいて、前記樹脂成分は、フッ素系樹脂70〜100質量%及びメタクリル酸エステル樹脂0〜30質量%からなっていてもよい。
また、前記フッ素系樹脂シートにおいて、前記フッ素系樹脂は、フッ化ビニリデン系樹脂であってもよい。
更に、本発明は、前記フッ素系樹脂シートからなるフッ素系樹脂シート層と、熱可塑性樹脂層と、を含有する積層物をも提供する。
また、本発明は、前記フッ素系樹脂シートを用いた、蓄光性シートをも提供する。
更に、本発明は、前記蓄光性シートを用いた、屋外用蓄光標識をも提供する。
尚、蓄光性蛍光体を含む組成物としては、シート状に形成されたものやフィルム状に形成されたものが存在する。ここで、「シート」とは厚さが200μm以上のものを指し、「フィルム」とは厚さが200μm未満のものを指すことが通常であるが、本発明における「シート」とは、通常認識されている「シート」だけでなく、前記「フィルム」をも含む概念である。
本発明によれば、フッ素系樹脂に蓄光性蛍光体を配合することにより、特に屋外で使用された場合、優れた耐候性により蓄光性蛍光体自体の劣化を抑制し、蓄光性能を長期間保持することができる。
なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本技術中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより発明の範囲が狭く解釈されることはない。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係るフッ素系樹脂シートについて説明する。本実施形態のフッ素系樹脂シートは、フッ素系樹脂を含む樹脂成分と、蓄光性蛍光体と、を含有する。また、本実施形態に係るフッ素系樹脂シートは、必要に応じて、前記樹脂成分及び蓄光性蛍光体以外に、酸化防止剤、分散剤などのその他の成分を含有させることもできる。以下、本実施形態のフッ素系樹脂シートの各成分について説明する。
[フッ素系樹脂]
フッ素系樹脂は、耐候性及び耐熱性に優れており、本実施形態のフッ素系樹脂シートの主成分である。当該フッ素系樹脂としては特に限定されず、フッ化ビニル(PVF)系樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)系樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)系樹脂、フッ化ビニリデン(PVDF)系樹脂、エチレン−塩化トリフルオロエチレン(ECTFE)系樹脂等を用いることができ、その中でも、耐候性に優れたポリフッ化ビニリデン系樹脂が好適である。ポリフッ化ビニリデン系樹脂を用いる場合、フッ化ビニリデン単量体単位を有するビニル化合物であれば、その構造などは特に限定されるものではなく、フッ化ビニリデンの単独重合体でもよく、フッ化ビニリデン単量体と他のビニル化合物単量体との共重合体であってもよい。
また、フッ化ビニリデン単量体と共重合するビニル化合物としては、例えばフッ化ビニル、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、六フッ化プロピレンなどのフッ素化されたビニル化合物や、スチレン、エチレン、ブタジエン及びプロピレンなどの公知のビニル単量体が挙げられる。
[メタクリル酸エステル樹脂]
本発明に係る樹脂成分は、少なくともフッ素系樹脂を含んでいればよく、必要に応じて、前記フッ素系樹脂、特にフッ化ビニリデン系樹脂に対して、メタクリル酸エステル樹脂を少量添加してもよい。
本実施形態に係るフッ素系樹脂シートにおいて、フッ素系樹脂としてフッ化ビニリデン系樹脂を用いた場合、当該フッ化ビニリデン系樹脂は他の素材との接着性に劣るところ、前記メタクリル酸エステル樹脂を適正量配合することにより、高価な接着剤を使用しなくても、基材などに接着することが可能となる。
本実施形態の樹脂シートに配合可能なメタクリル酸エステル樹脂は、メタクリル酸エステル単量体に基づくビニル重合体であれば、その構造などは特に限定するものではない。このメタクリル酸エステル単量体としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル及びメタクリル酸ヘキシルなどが挙げられるが、特に、メタクリル酸メチルが好適である。また、メタクリル酸エステル単量体におけるプロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基などのアルキル基は、直鎖であってもよく、枝分かれしてもよい。また、このメタクリル酸エステル樹脂には、メタクリル酸エステル以外の公知のビニル化合物であるアクリル酸エステル、スチレン、エチレン、ブタジエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸及びプロピレンなどに由来する単量体単位を有してもよい。
[樹脂成分の配合比]
本実施形態の樹脂シートにおける樹脂成分は、前述したフッ素系樹脂を含む、または、フッ素系樹脂及びメタクリル酸エステル樹脂からなる。実成分として、前記樹脂成分をフッ化ビニリデン系樹脂及びメタクリル酸エステル樹脂からなる組成とした場合、その配合比は、質量比で、フッ化ビニリデン系樹脂:メタクリル酸エステル樹脂=50:50〜100:0であることが望ましく、より好ましくは、フッ化ビニリデン系樹脂:メタクリル酸エステル樹脂=60:40〜90:10であり、更に好ましくはフッ化ビニリデン系樹脂:メタクリル酸エステル樹脂=70:30〜80:20である。
ここで、メタクリル酸エステル樹脂の配合量が少なく、樹脂成分全質量あたりのフッ化ビニリデン系樹脂の配合量が95質量%を超えると、成形加工時に樹脂が熱分解し、黄色や褐色などに樹脂が変色してしまい、前記蓄光性蛍光体の劣化を招いてしまう。
一方、メタクリル酸エステル樹脂の配合量が多く、樹脂成分全質量あたりのフッ化ビニリデン系樹脂量が70質量%未満になると、耐候性が低下し、屋外において20年以上にわたって長期に使用した場合、耐変色性が確保できないことがある。
尚、前記「成形加工時」とは、複数の原料を混合し、押出機内で溶融加熱混練して、ペレット状にする「コンパウンド工程」と、フィルム押出機により、この樹脂ペレットを溶融加熱し、ダイスを使用してフィルム化した後、冷却して巻き取る「フィルム製膜工程」を示し、以下の説明においても同様である。
[蓄光性蛍光体]
本実施形態の樹脂シートには、蓄光性蛍光体が配合される。本発明に適用可能な蓄光性蛍光体としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、硫化亜鉛、硫化カルシウム、酸化亜鉛、一般式M1−XAl4−Xで表されるアルミン酸塩などがある。ここで、一般式中のMはカルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素からなる化合物を母結晶にしたものを用い、更に、Xが−0.33≦X≦0.60の範囲にあり、賦活剤としてユウロピウムを、Mで表す金属元素に対するモル%で0.001%以上10%以下添加し、共賦活剤としてネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルピウム、ルテチウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素を、Mで表す金属元素に対するモル%で0.001%以上10%以下添加する。
ここで、前記アルミン酸塩はリン酸塩と混合またはリン酸塩溶液中で接触させることでアルミン酸塩の表面を水に対して不溶性または難溶性にすることにより、耐水性を向上させることができる。
また、前記蓄光性蛍光体の平均粒径は粒子群にレーザ光を照射し、そこから発せられる回折・散乱光の強度分布パターンから計算によって粒度分布を求める方法で、0.1〜5μmであり、好ましくは0.3〜3μmであり、より好ましくは0.5〜2μmである。前記蓄光性蛍光体の粒径が5μmよりも大きい場合、粒状の蓄光性蛍光体の径縁に照射された光が分散されて蓄光の弊害になり得、また当該蓄光性蛍光体の粒径に起因してフッ素系樹脂シートの厚さが厚く成形せざるを得なくなってしまう。その一方で、前記蓄光性蛍光体の粒径が0.1μmよりも小さい場合には、目標となる蓄光性能を具備させることができないため好ましくない。
蓄光性蛍光体は、シート成形可能な範囲でフッ素系樹脂に配合することができるが、その配合量は、例えば、樹脂成分全質量に対して、60重量部以下であり、好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40重量部以下である。ここで、前記蓄光性蛍光体の配合量は多いほど高い残光輝度を示すが、配合量が多すぎると混練物の粘度が上昇し、流動性が著しく低下し、シート成形が不可能となる。
[その他の成分]
本発明に係るフッ素系樹脂シートは、必要に応じて、前記樹脂成分及び蓄光性蛍光体以外の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、無機フィラーを配合することができる。当該無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、シリカ及びジルコニアなどを配合することができる。無機フィラーを配合することにより、フッ素系樹脂シートに対する耐熱性の具備、剛性(機械的強度)の向上、任意の色を着色することができる。かかる場合、無機フィラーの分散性を向上させる目的で、フッ素系樹脂との相溶性に優れるポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及び/又はその誘導体を配合することが好ましい。
更に、本発明に係るフッ素系樹脂シートには、酸化防止剤、分散剤、カップリング剤、熱安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、防曇剤及び紫外線吸収剤などを添加することができる。
本実施形態に係るフッ素系樹脂シートは、前記樹脂成分、蓄光性蛍光体、必要に応じて前記他の成分を混練し、シート状に成形されることで完成する。
このフッ素系樹脂シートの厚さは、特に限定されるものではなく、当該シートの使用環境に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜0.02mmの範囲であり、好ましくは5〜0.05mmであり、より好ましくは3〜0.1mmである。
[フッ素系樹脂シートの製造方法]
次に、本実施形態のフッ素系樹脂シートの製造方法について説明する。本実施形態のフッ素系樹脂シートを製造する際は、まず、フッ素系樹脂を含む樹脂成分、または、フッ素系樹脂及びメタクリル酸エステル樹脂からなる樹脂成分に、蓄光性蛍光体、及び必要に応じてポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及び/又はその誘導体などの分散剤、アルミナ、シリカ及びジルコニアなどの無機フィラーを、所定量配合して混練する。各成分を混練する方法としては特に限定されず、公知の密閉混合機や押出機などの溶融混練機を用いた溶融混練法を適用することができる。前記混練機としては、例えば神戸製鋼所製のFCM型混練機などが挙げられる。
また、例えば、混練に使用するフッ化ビニリデン系樹脂、及び必要により添加するメタクリル酸エステル樹脂の一部若しくは全部を粉末状のものにしたり、高混練タイプの二軸押出機を使用して混練したり、予め高速回転型ミキサ−を用いて高温下でプレミキシングした後、単軸押出機により溶融混練したりすることもできる。これにより、蓄光性蛍光体の分散性を更に向上することができる。
次に、得られた成形原料(樹脂組成物)を、溶融押出成形してシート化する。本実施形態のフッ素系樹脂シートは、単層でも積層でもよく、その溶融押出成形法としては、例えば積層構造のシートの場合は、共押出成形法を適用することができる。複数の押出成形機を使用して、樹脂を溶融状態で接着して多層化するT−ダイ使用の共押出成形法としては、複数の樹脂層をシ−ト状に成形した後、各層を接触させて接着するマルチマニホールドダイ法と、合流装置を用いて複数の樹脂を合流接着した後、シ−ト状に成形するフィードブロック法とがあるが、本実施形態のフッ素系樹脂シートの製造方法においては、いずれの方法を適用してもよい。
[フッ素系樹脂シートの使用方法]
本発明に係るフッ素系樹脂シートは、蓄光性能を備え、且つ、高い耐候性を備えているため、屋外向け夜間標識や非常口の位置を示すマークなどの各種標識用品として好適に使用できる。あるいは、例えば、非常口の位置を示すマークなどが示された透明のフィルムを基材にして積層し、各種標識用品を構成するように使用できる。
また、高い耐候性を備えていることから、例えばプラスチック、ゴム、金属板、ガラス、木板、スレート、その他の基材表面に貼り合わせる表面保護フィルムとしても使用可能であり、基材の保護、装飾、意匠性を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態に係るフッ素系樹脂シートにおいては、フッ素系樹脂を含有する樹脂成分に蓄光性蛍光体が配合されているため、特に屋外で使用された場合、耐候性に優れ、樹脂成分自体の劣化が抑制され、もって当該樹脂成分と混練される蓄光性蛍光体自体の劣化を抑制し、蓄光性能を長期間保持することができる。
[フッ素系樹脂シートを含む積層物]
本発明は、前記フッ素系樹脂シートを含む積層物をも提供する。本発明に係る積層物は、前記フッ素系樹脂シートからなるフッ素系樹脂シート層と、当該フッ素系樹脂シート層が積層される熱可塑性樹脂層と、を積層し、張り合わせることにより得られる。以下に、各層について説明する。
[フッ素系樹脂シート層]
前記フッ素系樹脂シート層は、本発明に係るフッ素系樹脂シートから成形され、その組成及び製造方法は、第一実施形態に係るフッ素系樹脂シートと組成、製造方法は同一である。このため、フッ素系樹脂シート層に関してはその説明は割愛する。
[熱可塑性樹脂層]
本発明に係る熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂は、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等であり、好ましくは、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂であり、特に好ましくは、ポリ塩化ビニル樹脂、又はポリメタクリル樹脂である。
前記フッ素系樹脂シート層に対して熱可塑性樹脂層を積層させる方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、前記フッ素系樹脂シート層に対して熱可塑性樹脂層を貼り合わせる方法や、熱を加えて融着させる熱ラミネート法、接着剤をコーティングした後、当該接着剤が乾かないうちに積層させるウェットラミネート方法、接着剤をコーティングした後、当該接着剤を乾かしてから積層するドライラミネート方法、共押出成形等の二種類の樹脂を溶融押し出しして積層させる方法などが挙げられる。
本発明に係る積層物は、少なくとも、前記フッ素系樹脂シート層と、熱可塑性樹脂層と、を含んでいればよく、例えば、前記フッ素系樹脂シート層と、熱可塑性樹脂層と、からなる二重積層物であってもよい。また、複数のフッ素系樹脂シート層と、複数の熱可塑性樹脂層と、を組み合わせてなる多重積層物であってもよい。
ここで、前記蓄光性蛍光体は水に弱いことが広く知られている。このため、二重積層物を構成する場合には、前記フッ素系樹脂シート層が外部雰囲気に接しない面を構成するほうがよい。多重積層物を構成する場合には、前記フッ素系樹脂シート層が一対の熱可塑性樹脂層に挟まれた構成とし、当該フッ素系樹脂シート層が外部雰囲気に接しないように構成するほうがよい。
以上説明したような本発明に係る積層物であっても、フッ素系樹脂を含有する樹脂成分に蓄光性蛍光体が配合されているため、特に屋外で使用された場合、耐候性に優れ、樹脂成分自体の劣化が抑制され、もって当該樹脂成分と混練される蓄光性蛍光体自体の劣化を抑制し、蓄光性能を長期間保持することができる。更に、前記フッ素系樹脂シート層が外部雰囲気に接しないように構成した場合には、上記効果が顕著に発揮される。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
[実施例1]
実施例1としては、下記表1に示すように、樹脂成分としてのフッ化ビニリデン系樹脂100質量%と、蓄光性蛍光体10質量部と、をタンブラーにてブレンドした。その後、直径45mmの二軸押出機によって混練し、コンパウンド(樹脂組成物)を得た。次に、直径40mmの単軸押出機に、スリット1.5mm、幅400mmのコートハンガーダイを取り付けたシート製膜機を使用して、厚さ300μmのフッ素系樹脂シートを得た。
尚、前記フッ化ビニリデン系樹脂は、アルケマ社製カイナーK720を使用した。また、蓄光性蛍光体としては、根本特殊化学社製 N夜光G−300Mを使用した。
Figure 0006849311
[実施例2]
実施例2としては、表1に示すように、前記蓄光性蛍光体を20質量%配合させた以外は、実施例1と同様の製造方法を用いて、厚さ300μmのフッ素系樹脂シートを得た。
[実施例3]
実施例3としては、表1に示すように、前記蓄光性蛍光体を45質量%配合させた以外は、実施例1と同様の製造方法を用いて、厚さ300μmのフッ素系樹脂シートを得た。
[実施例4]
実施例4としては、表1に示すように、フッ化ビニリデン系樹脂90質量%、及びメタクリル酸エステル樹脂10質量%からなる樹脂成分100質量部に対して、蓄光性蛍光体30質量部をブレンドし、その後、実施例1と同様の製造方法を用いて、厚さ300μmのフッ素系樹脂シートを得た。
尚、前記メタクリル酸エステル樹脂には、三菱レイヨン社製 ハイペットHBS000を使用した。
[実施例5]
実施例5としては、表1に示すように、樹脂成分において、フッ化ビニリデン系樹脂を75質量%、メタクリル酸エステル樹脂を25質量%に変更した以外は、実施例4と同様の方法を用いて、厚さ300μmのフッ素系樹脂シートを得た。
[実施例6]
実施例6としては、表1に示すように、樹脂成分において、フッ化ビニリデン系樹脂を50質量%、メタクリル酸エステル樹脂を50質量%に変更した以外は、実施例4と同様の方法を用いて、厚さ300μmのフッ素系樹脂シートを得た。
[実施例7]
実施例7としては、表1に示すように、樹脂成分において、フッ化ビニリデン系樹脂を40質量%、メタクリル酸エステル樹脂を60質量%に変更した以外は、実施例4と同様の方法を用いて、厚さ300μmのフッ素系樹脂シートを得た。
[実施例8]
実施例8としては、表1に示すように、樹脂成分において、フッ化ビニリデン系樹脂を20質量%、メタクリル酸エステル樹脂を80質量%に変更した以外は、実施例4と同様の方法を用いて、厚さ300μmのフッ素系樹脂シートを得た。
[比較例1]
比較例1としては、下記表2に示すように、樹脂成分としてのポリエチレンテレフタレート樹脂100質量%に対して、蓄光性蛍光体30質量部をタンブラーにてブレンドした。その後、直径45mmの二軸押出機によって混練し、コンパウンド(樹脂組成物)を得た。次に、直径40mmの単軸押出機に、スリット1.5mm、幅400mmのコートハンガーダイを取り付けたシート製膜機を使用して、厚さ300μmの蓄光シートを得た。
尚、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂は、ユニチカ株式会社製MA−2101を使用した。また、前記蓄光性蛍光体は、根本特殊化学社製 N夜光G−300Mを使用した。
Figure 0006849311
[比較例2]
比較例2としては、樹脂成分としてポリ塩化ビニル樹脂を用いた以外は、比較例1と同様の方法を用いて、厚さ300μmの蓄光シートを得た。
尚、前記ポリ塩化ビニル樹脂は、大洋塩ビ株式会社製TE―650を使用した。
[比較例3]
比較例3としては、樹脂成分としてポリカーボネート樹脂を用いた以外は、比較例1と同様の方法を用いて、厚さ300μmの蓄光シートを得た。
尚、前記ポリカーボネート樹脂は、帝人化成社製パンライトL1250を使用した。
[比較例4]
比較例4としては、樹脂成分としてメタクリル酸エステル樹脂を用いた以外は、比較例1と同様の方法を用いて、厚さ300μmの蓄光シートを得た。
尚、前記メタクリル酸エステル樹脂には、三菱レイヨン社製 ハイペットHBS000を使用した。
次に、各実施例及び各比較例の蓄光シートについて、以下の方法により、残光輝度と耐候性を評価した。
<残光輝度>
各蓄光シートから直径20mmの円形の試験片を切り出し、この試験片の表面層側(単層シートの場合はどちらか一方向側)に、D65光源を用いて200ルックスの照度となるように、光を試料に対して垂直に20分間照射した。照射後、直ちに試験片を暗箱内に移し、所定時間経過毎に試験片の残光輝度を測定した。
照度計はコニカミノルタ社製OL−500A、輝度計はトプコン社製BM−100を用いた。試験片を3個用い、その平均値を採用した。
測定結果を下記表3にまとめて示す。
Figure 0006849311
<耐候性>
各蓄光シートから40mm×100mmの試験片を切り出し、この試験片を、岩崎電気社製ウェザーメータにセットし、JIS K7350−2法に準拠して促進試験を行った。所定時間経過後取り出し(最長4000時間まで実施)、前述の方法により、残光輝度を測定した。
ウェザーメータ曝露後に取り出した試験片の20分経過後の残光輝度を、下記表4にまとめて示す。
Figure 0006849311
表4に示すように、本発明に係る蓄光シート(フッ素系樹脂シート)は耐候性試験後(ウェザーメータ曝露後)も残光輝度がほとんど保持されており、比較例1〜4に比べて耐候性が著しく優れることが確認された。
本発明による蓄光性蛍光体を含有するフッ素系樹脂シートは、耐候性が著しく優れており、屋外向け蓄光標識用蓄光シート、すなわち、屋外向け夜間標識や非常口の位置を示すマークなどの各種標識用品として好適である。

Claims (5)

  1. フッ素系樹脂を含む樹脂成分と、蓄光性蛍光体と、を含有し、
    前記フッ素系樹脂は、フッ化ビニリデン系樹脂である、フッ素系樹脂シート(ただし、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物を含むフッ素系樹脂シート、及び、フッ化ビニリデン樹脂100質量部とSrAl1425:E,Dy40質量部とからなるフッ素系樹脂シートを除く)からなるフッ素系樹脂シート層と、
    熱可塑性樹脂層と、
    を含有する積層物
  2. 前記樹脂成分100質量部に対して、前記蓄光性蛍光体を1〜80質量部含有する、請求項1記載の積層物
  3. 前記蓄光性蛍光体の粒径が0.1〜5μmである、請求項1又は2に記載の積層物
  4. 前記樹脂成分は、フッ素系樹脂50〜100質量%及びメタクリル酸エステル樹脂0〜50質量%からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層物
  5. 前記樹脂成分は、フッ素系樹脂70〜100質量%及びメタクリル酸エステル樹脂0〜30質量%からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層物
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