JP6708201B2 - 粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体及び積層体 - Google Patents
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Description
また、心材(基材)と表皮とを接合する合成樹脂製発泡体層が設けられた積層体において、当該発泡体層で発生するガスを排出するガス抜き孔が上記心材に設けられている積層体が検討された(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2に記載の積層体においても、上記表皮と上記合成樹脂製発泡体層とが接触しているため、上記化学反応による表皮材の変色を長期間防止できず、表皮材の耐熱老化性は低下する。
ところで、特定のトリメリテート類可塑剤が配合された粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が自動車内装材に用いられる表皮材の原料として検討された(例えば、特許文献4参照)。上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形することにより得られる表皮材の耐熱老化性を向上させるためには、上記可塑剤の配合量を増加させなければならないため、上記可塑剤に由来するベタつき感が発生する問題があった。
また平均重合度が1500以上の塩化ビニル系樹脂からなる塩化ビニル系樹脂粒子100質量部と、特定のトリメリテート系可塑剤110質量部以上150質量部以下とを含有する、粉体成形用塩化ビニル系樹脂組成物が検討された(例えば、特許文献5参照)。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、低温での柔軟性に優れる成形体を与える粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の提供である。本発明が解決しようとする別の課題は、上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる、低温での柔軟性に優れる塩化ビニル樹脂成形体、及び、上記塩化ビニル樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体とを有する積層体の提供である。
なお、本発明において、「樹脂粒子」とは、粒子径が30μm以上の粒子を指し、「樹脂微粒子」とは、粒子径が30μm未満の粒子を指す。そして(a)塩化ビニル樹脂粒子および(b)塩化ビニル樹脂微粒子の「粒子径」及び「平均粒子径」とは、JIS Z8825に準拠し、レーザー回折法によって測定することができる。
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、(a)塩化ビニル樹脂粒子と、(b)塩化ビニル樹脂微粒子と、(c)エポキシ樹脂と、(d)可塑剤とを含み、任意に添加剤を更に含有する。
(a)塩化ビニル樹脂粒子は、塩化ビニル樹脂からなる樹脂粒子である。(a)塩化ビニル樹脂粒子は、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物において、通常、マトリックス樹脂として機能する。
そして、(a)塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体の他、塩化ビニル単位を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する共重合体(塩化ビニル共重合体)が挙げられる。
塩化ビニル共重合体における、塩化ビニルと共重合可能な単量体(共単量体)の具体例は、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;塩化アリル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化塩化エチレンなどのハロゲン化オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリル−3−クロロ−2−オキシプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル類;アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルまたはその酸無水物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類;アリルアミン安息香酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのアリルアミンおよびその誘導体類;などである。以上に例示される単量体は、共単量体の一部に過ぎず、共単量体としては、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社(1988年)第75〜104頁に例示されている各種単量体が使用され得る。これらの単量体の1種又は2種以上が使用され得る。上記(a)塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレンなどの樹脂に、(1)塩化ビニルまたは(2)塩化ビニルと前記共単量体とがグラフト重合された樹脂も含む。
ここで、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
(b)塩化ビニル樹脂微粒子は、塩化ビニル樹脂からなる樹脂微粒子である。(b)塩化ビニル樹脂微粒子は、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物において、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を向上させるダスティング剤(粉体流動性改良剤)として機能する。
ここで、(b)塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂としては、上述した(a)塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂と同じものを使用することができる。
そして、(b)塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂としては、特に、乳化重合法により製造された塩化ビニル樹脂が好ましい。
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、(c)エポキシ樹脂を含有する。
ここで、本発明では、(c)エポキシ樹脂には、(d)可塑剤として用いられているエポキシ化大豆油などのエポキシ化植物油は含まれない。すなわち、(c)エポキシ樹脂は、エポキシ化植物油を除くものである。
また、(c)エポキシ樹脂は、上記条件以外は特に限定されず、芳香族系エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、及び脂肪族系エポキシ樹脂のいずれをも使用できる。好ましい(c)エポキシ樹脂としては、芳香族系エポキシ樹脂である。芳香族系エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンをアルカリの存在下で反応させて得られる、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとをアルカリの存在下で反応させて得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、これらの樹脂の臭素化樹脂、これらの樹脂のウレタン変性樹脂、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物等が挙げられる。上述した中でも、より好ましい(c)エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である。これらの(c)エポキシ樹脂は、1種のみを用いても良く、2種以上を用いても良い。
なお、エポキシ樹脂が「液状」であるとは、温度25℃、圧力1atmの常温常圧下においてエポキシ樹脂が液状であることを指す。
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、(d)可塑剤を含有する。ここで、好ましい(d)可塑剤としては、トリメリット酸エステル可塑剤が挙げられる。そして、本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、トリメリット酸エステル可塑剤以外の可塑剤(以下、「その他の可塑剤」ともいう。)を含有し得る。
トリメリット酸エステル可塑剤としては、トリメリット酸と一価アルコールとのエステル化合物が挙げられる。ここで、トリメリット酸とエステル化合物を形成しうる一価アルコールの具体例としては、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール等が挙げられる。
これらの中でも、トリメリット酸トリ−n−オクチル、トリメリット酸トリ−(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリ−n−ノニル、トリメリット酸トリ−n−デシル、トリメリット酸トリ−n−アルキルエステル(炭素数が異なるアルキル基〔但し、炭素数は8〜10である。〕を分子内に2種以上有するエステル)、及びこれらの混合物がより好ましい。
その他の可塑剤の具体例としては、例えば、以下の一次可塑剤及び二次可塑剤などが挙げられる。
ピロメリット酸テトラ−n−ヘキシル、ピロメリット酸テトラ−n−ヘプチル、ピロメリット酸テトラ−n−オクチル、ピロメリット酸テトラ−(2−エチルヘキシル)、ピロメリット酸テトラ−n−ノニル、ピロメリット酸テトラ−n−デシル、ピロメリット酸テトライソデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ウンデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ドデシル、ピロメリット酸テトラ−n−アルキルエステル(炭素数が異なるアルキル基〔但し、炭素数は6〜12である。〕を分子内に2種以上有するエステル)のピロメリット酸エステル可塑剤;
ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のフタル酸誘導体;
ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体;
ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレート等のテトラヒドロフタル酸誘導体;
ジ−n−ブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸誘導体;
ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレート等のアゼライン酸誘導体;
ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソデシルセバケート、ジ−(2−ブチルオクチル)セバケート等のセバシン酸誘導体;
ジ−n−ブチルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエート等のマレイン酸誘導体;
ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート等のフマル酸誘導体;
トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレート等のクエン酸誘導体;
モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネート等のイタコン酸誘導体;
ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエート等のオレイン酸誘導体;
メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;
n−ブチルステアレート、ジエチレングリコールジステアレート等のステアリン酸誘導体;
ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等のその他の脂肪酸誘導体;
トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等のリン酸誘導体;
ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレート等のグリコール誘導体;
グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート等のグリセリン誘導体;
エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシル等のエポキシ誘導体;
アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステル等のポリエステル系可塑剤;
等が挙げられる。上述した一次可塑剤は、1種又は2種以上を使用してもよい。
粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が、(a)塩化ビニル樹脂粒子、(b)塩化ビニル樹脂微粒子、(c)エポキシ樹脂、及び(d)可塑剤に加えて更に含み得る添加剤としては、特に制限されることなく、例えば、過塩素酸処理ハイドロタルサイト、ゼオライト、脂肪酸金属塩、(b)塩化ビニル樹脂微粒子以外のダスティング剤、その他の添加剤を更に含むことができる。
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、過塩素酸処理ハイドロタルサイトを含有していてもよい。過塩素酸処理ハイドロタルサイトは、例えば、ハイドロタルサイトを過塩素酸の希薄水溶液中に加えて撹拌し、その後必要に応じて、ろ過、脱水または乾燥することによって、ハイドロタルサイト中の炭酸アニオン(CO3 2-)の少なくとも一部を過塩素酸アニオン(ClO4 -)で置換(炭酸アニオン1モルにつき過塩素酸アニオン2モルが置換する)して、容易に製造することができる。上記ハイドロタルサイトと上記過塩素酸とのモル比は任意に設定できるが、一般には、ハイドロタルサイト1モルに対し、過塩素酸0.1モル以上2モル以下とする。
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、ゼオライトを安定剤として含有し得る。ゼオライトは、一般式:Mx/n・[(AlO2)x・(SiO2)y]・zH2O(上記一般式中、Mは原子価nの金属イオン、x+yは単位格子当たりの四面体数、zは水のモル数である)で表されるものであって、当該一般式中のMの種類としてはNa、Li、Ca、Mg、Znなどの一価又は二価の金属及びこれらの混合型が挙げられる。
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、脂肪酸金属塩を含有していてもよい。好ましい脂肪酸金属塩は、一価脂肪酸金属塩であり、より好ましい脂肪酸金属塩は、炭素数12以上24以下の一価脂肪酸金属塩であり、更に好ましい脂肪酸金属塩は、炭素数15以上21以下の一価脂肪酸金属塩である。脂肪酸金属塩の具体例は、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸バリウム、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛等である。脂肪酸金属塩を構成する金属としては、多価陽イオンを生成しうる金属が好ましく、2価陽イオンを生成しうる金属がより好ましく、周期表第3周期〜第6周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が更に好ましく、周期表第4周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が特に好ましい。最も好ましい脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛である。
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、(b)塩化ビニル樹脂微粒子以外のダスティング剤(以下、「その他のダスティング剤」ということがある。)を含有し得る。その他のダスティング剤の具体例としては、炭酸カルシウム、タルク、酸化アルミニウムなどの無機微粒子;ポリアクリロニトリル樹脂微粒子、ポリ(メタ)アクリレート樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子、ポリエチレン樹脂微粒子、ポリプロピレン樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子、ポリアミド樹脂微粒子などの有機微粒子;等が挙げられる。中でも、平均粒子径が10nm以上100nm以下の無機微粒子が好ましい。
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、着色剤、耐衝撃性改良剤、過塩素酸処理ハイドロタルサイト以外の過塩素酸化合物(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等)、酸化防止剤、防カビ剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、光安定剤、発泡剤、β−ジケトン等の、その他の添加剤を更に含有し得る。
ペリレン系顔料は、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸無水物と芳香族第一級アミンとの縮合反応により得られ、赤から赤紫、茶色の色相を示す。ペリレン系顔料の具体例は、ペリレンレッド、ペリレンオレンジ、ペリレンマルーン、ペリレンバーミリオン、ペリレンボルドーである。
ポリアゾ縮合顔料は、アゾ色素が溶剤中で縮合されて高分子量化されて得られ、黄、赤系顔料の色相を示す。ポリアゾ縮合顔料の具体例は、ポリアゾレッド、ポリアゾイエロー、クロモフタルオレンジ、クロモフタルレッド、クロモフタルスカーレットである。
イソインドリノン系顔料は、4,5,6,7−テトラクロロイソインドリノンと芳香族第一級ジアミンの縮合反応により得られ、緑みの黄色から、赤、褐色の色相を示す。イソインドリノン系顔料の具体例は、イソインドリノンイエローである。銅フタロシアニン系顔料は、フタロシアニン類に銅を配位した顔料で、黄みの緑から鮮やかな青の色相を示す。
銅フタロシアニン系顔料の具体例は、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーである。
チタンホワイトは、二酸化チタンからなる白色顔料で、隠蔽力が大きく、アナタース型とルチル型がある。カーボンブラックは、炭素を主成分とし、酸素、水素、窒素を含む黒色顔料である。
カーボンブラックの具体例は、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、ボーンブラックである。
防カビ剤の具体例は、脂肪族エステル系防カビ剤、炭化水素系防カビ剤、有機窒素系防カビ剤、有機窒素硫黄系防カビ剤等である。
なお、β−ジケトンの含有量は特定の範囲に限定されない。β−ジケトンの含有量は、(a)塩化ビニル樹脂粒子と(b)塩化ビニル樹脂微粒子との合計100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、5質量部以下が好ましい。
ここで、(a)塩化ビニル樹脂粒子、(b)塩化ビニル樹脂微粒子、(c)エポキシ樹脂、(d)可塑剤、及び必要に応じて添加される添加剤の混合方法は限定されない。好ましい混合方法は、ダスティング剤((b)塩化ビニル樹脂微粒子と、必要に応じて添加されるその他のダスティング剤とを含む)を除く成分を一旦ドライブレンドにより混合し、その後、未添加のダスティング剤を添加、混合する方法である。ドライブレンドには、ヘンシェルミキサーの使用が好ましい。また、ドライブレンド時の温度は、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、100℃以下が好ましい。
本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形、好ましくはパウダースラッシュ成形して得られる。そして、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、自動車内装材、例えば、自動車インスツルメントパネル、ドアトリム等の表皮として好適に用いられる。
ここで、パウダースラッシュ成形時の金型温度は、好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下である。
また、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、上記温度範囲の金型に粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を振りかけて5秒以上30秒以下の間放置した後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とし、さらに、任意の温度下、30秒以上3分以下の間放置する。その後、金型を10℃以上60℃以下に冷却し、得られた塩化ビニル樹脂成形体を金型から脱型することにより、好適に得られる。
本発明の積層体は、上述した塩化ビニル樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体を積層して得ることができる。積層方法は、(1)塩化ビニル樹脂成形体と、発泡ポリウレタン成形体とを別途製造した後に、熱融着、熱接着、又は公知の接着剤などを用いることにより貼り合わせる方法;(2)塩化ビニル樹脂成形体上で、発泡ポリウレタン成形体の原料となるイソシアネート類とポリオール類などとを反応させて重合を行うと共に、公知の方法によりポリウレタンの発泡を行い、塩化ビニル樹脂成形体上に発泡ポリウレタン成形体を直接形成する方法;などが挙げられる。後者の方法(2)の方が、工程が簡素であり、かつ、種々の形状の積層体を得る場合においても、塩化ビニル樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体との接着を確実に行うことができるのでより好適である。
(a)塩化ビニル樹脂粒子及び(b)塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度は、JIS K6720−2に準拠して、(a)塩化ビニル樹脂粒子及び(b)塩化ビニル樹脂微粒子のそれぞれを、シクロヘキサノンに溶解させて粘度を測定することにより、算出した。
(a)塩化ビニル樹脂粒子及び(b)塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径は、体積平均粒子径として、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子それぞれを水槽内に分散させ、以下に示す装置を用いて、光の回折・散乱強度分布を測定・解析し、粒子径及び体積基準の粒子径分布を測定することにより、算出した。
装置:レーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所製、型番「SALD−2300」)
測定方式:レーザー回折及び散乱
測定範囲:0.017μm〜2500μm
光源:半導体レーザー(波長680nm、出力3mW)
得られた塩化ビニル樹脂成形体としての塩化ビニル樹脂成形シートを試料とし、当該試料をJIS K 6251に記載の1号ダンベルで打ち抜いた。そして、JIS K 7113に準拠して、引張速度200mm/分で、−35℃の低温下における、引張応力(MPa)及び引張伸び(%)を測定した。−35℃の低温下での引張伸びが大きいほど、塩化ビニル樹脂成形体が、低温での柔軟性に優れていることを示す。結果を表1に示す。
得られた、発泡ポリウレタン成形体が裏打ちされた積層体を試料とし、当該試料をオーブンに入れ、温度130℃の環境下で100時間、当該試料を加熱した。その後、発泡ポリウレタン層を当該試料から剥離し、上記低温引張試験(初期)と同様の条件で、−35℃の低温下における、引張応力(MPa)及び引張伸び(%)を測定した。−35℃での引張伸びが大きいほど、塩化ビニル樹脂成形体が、耐熱性(加熱後の低温での柔軟性)に優れていることを示す。結果を表1に示す。
<塩化ビニル樹脂組成物の調製>
表1に示す配合成分のうち、可塑剤としてのエポキシ化大豆油と、ダスティング剤としての塩化ビニル樹脂微粒子とを除く成分をヘンシェルミキサーに入れて混合した。そして、混合物の温度が80℃に上昇した時点で可塑剤としてのエポキシ化大豆油を添加して混合物を得、当該混合物を更に昇温することにより、ドライアップ(可塑剤が、塩化ビニル樹脂粒子に吸収されて、上記混合物がさらさらになった状態をいう。)させた。その後、ドライアップさせた混合物が90℃以下に冷却された時点で、ダスティング剤としての塩化ビニル樹脂微粒子を添加し、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
得られた粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を、温度250℃に加熱したシボ付き金型に振りかけ、塩化ビニル樹脂成形シートの厚みが1mmになるよう、8秒〜20秒程度の任意の時間放置して溶融させた後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とした。その後、塩化ビニル樹脂組成物を振りかけたシボ付き金型を、温度200℃に設定したオーブン内に静置させ、静置から60秒経過した時点で、シボ付き金型を冷却水により冷却した。金型温度が40℃まで冷却された時点で、塩化ビニル樹脂成形体として、150mm×200mm×1mmの塩化ビニル樹脂成形シートを金型から脱型した。
そして、得られた塩化ビニル樹脂成形シートについて、上述の方法に従って、低温引張試験(初期)を実施した。結果を表1に示す。
得られた塩化ビニル樹脂成形シート2枚を、200mm×300mm×10mmの金型中に、シボ付き面を下にして重ならないように敷いた。
別途、プロピレングリコールのプロピレンオキサイド・エチレンオキサイド(PO・EO)ブロック付加物(水酸基価28、末端EO単位の含有量=10%、内部EO単位の含有量4%)50質量部、グリセリンのPO・EOブロック付加物(水酸基価21、末端EO単位の含有量=14%)50質量部、水2.5質量部、トリエチレンジアミンのエチレングリコ−ル溶液(東ソー(株)製、商品名「TEDA−L33」)0.2質量部、トリエタノールアミン1.2質量部、トリエチルアミン0.5質量部及び整泡剤(信越化学工業(株)製、商品名:「F−122」)0.5質量部からなるポリオール混合物を用意した。そして、用意したポリオール混合物と、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)とを、インデックスが98になる比率で混合して混合液を調製した。そして、調製した混合液を、上述の通り金型中に敷かれた塩化ビニル樹脂成形シート2枚の上にそれぞれ注いだ。その後、金型に348mm×255mm×10mmのアルミニウム板で金型に蓋をすることで金型を密閉した。金型を密閉してから5分後、1mm厚の塩化ビニル樹脂成形シートからなる表皮に、9mm厚、密度0.18g/cm3の発泡ポリウレタン成形体が裏打ちされた積層体を金型から取り出した。
そして、得られた積層体について、上述の方法に従って、低温引張試験(加熱後)を実施した。結果を表1に示す。
2)花王(株)製、トリメックスN−08
3)(株)ADEKA製、アデカサイザーO−130S
4)DIC(株)製、EPICLON 850(エポキシ当量:183g/eq以上193g/eq以下)
5)DIC(株)製、EPICLON 830(エポキシ当量:165g/eq以上177g/eq以下)
6)DIC(株)製、EPICLON 1050(エポキシ当量:450g/eq以上500g/eq以下)
7)協和化学工業(株)製、アルカマイザー5
8)水澤化学工業(株)製、MIZUKALIZER DS
9)堺化学工業(株)、SAKAI SZ2000
10)(株)ADEKA製、アデカスタブ 522A
11)(株)ADEKA製、アデカスタブ LS−12
12)新第一塩ビ(株)製、ZEST PQLTX(乳化重合で得られた塩化ビニル樹脂微粒子、平均重合度:800、平均粒子径:2μm)
13)大日精化工業(株)製、DA PX−1720 ブラック(A)
また、(c)エポキシ樹脂を含まない比較例1の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物をパウダースラッシュ成形して得られた塩化ビニル樹脂成形体は、低温下における加熱後の引張応力及び加熱後の引張伸びの値が低く、加熱後の塩化ビニル樹脂成形体は低温での柔軟性に劣っていた。
Claims (10)
- (a)塩化ビニル樹脂粒子、(b)塩化ビニル樹脂微粒子、(c)エポキシ樹脂、及び(d)可塑剤を含み、
前記(a)塩化ビニル樹脂粒子は粒子径が30μm以上であり、前記(b)塩化ビニル樹脂微粒子は粒子径が30μm未満であり、そして、
前記(c)エポキシ樹脂はビスフェノールF型エポキシ樹脂である、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物。 - 前記(c)エポキシ樹脂の含有量が、前記(a)塩化ビニル樹脂粒子と前記(b)塩化ビニル樹脂微粒子との合計100質量部に対して0.2質量部以上20質量部以下である、請求項1に記載の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物。
- 前記(a)塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が50μm以上500μm以下である、請求項1又は2に記載の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物。
- 前記(b)塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が0.1μm以上10μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物。
- パウダースラッシュ成形に用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる、塩化ビニル樹脂成形体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物をパウダースラッシュ成形してなる、塩化ビニル樹脂成形体。
- 自動車インスツルメントパネル表皮用である、請求項6又は7に記載の塩化ビニル樹脂成形体。
- 発泡ポリウレタン成形体と、請求項6〜8のいずれか1項に記載の塩化ビニル樹脂成形体とを有する、積層体。
- 自動車インスツルメントパネル用である、請求項9に記載の積層体。
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