以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態における説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、本発明の一態様には、半導体装置、撮像装置の他、表示装置、記憶装置、集積回路、RF(Radio Frequency)タグを含むあらゆる装置が、その範疇に含まれる。また、表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、電子ペーパー、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)など、集積回路を有する表示装置が、その範疇に含まれる。
なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いることがある。
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも、図又は文章に記載されているものとする。ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。又は、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とが、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
なお、図面上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の構成例について説明する。
<半導体装置の構成例>
図1に、本発明の一態様にかかる半導体装置10の構成例を示す。半導体装置10は、画素部20、駆動回路30、アナログ/デジタル変換回路40(以下、A/D変換回路40ともいう)、駆動回路50、アナログ処理回路60、制御回路70を有する。半導体装置10は撮像を行う機能を有する。そのため、半導体装置10は撮像装置10と呼ぶこともできる。
画素部20は、複数の画素21を有する回路である。ここでは、画素部20がN行×M列(N、Mは自然数)の画素21を有する構成を示す。画素21は、照射された光を電気信号に変換する機能を有する。具体的には、画素21に設けられた光電変換素子に照射された光が電気信号に変換される。従って、画素21は、撮像装置における光検出回路として用いることができる。以下、画素21に照射された光を変換して得た電気信号を、撮像データともいう。
画素部20には、赤色を呈する光を受光する画素21、緑色を呈する光を受光する画素21、青色を呈する光を受光する画素21を設け、それぞれの画素21において撮像データを生成し、これらの撮像データを合成することにより、フルカラーの画像データを生成することもできる。また、これらの画素21に代え、またはこれらの画素21に加え、シアン、マゼンタ、イエローの一つ又は複数の色を呈する光を受光する画素21を設けてもよい。これにより、生成される撮像データに基づく画像において、再現可能な色の種類を増やすことができる。例えば、画素21に、特定の色を呈する光を透過するカラーフィルタを設け、当該カラーフィルタを介して画素21に光を入射させることにより、特定の色を呈する光の強度に応じた撮像データを生成することができる。なお、画素21において検出する光は、可視光であっても不可視光であってもよい。
また、画素21には冷却手段を設けることもできる。これにより、熱によるノイズの発生を抑制することができる。
画素21に含まれる撮像素子としては、例えばフォトダイオードのように光起電力効果を利用した光電変換素子や、セレンを有する半導体(セレン系半導体)のように光導電効果を利用した光電変換素子などを用いることができる。
画素21にトランジスタが含まれる場合、当該トランジスタとして、チャネル形成領域に酸化物半導体を含むトランジスタ(以下、OSトランジスタともいう)を用いることが好ましい。酸化物半導体は、シリコンなどの他の半導体よりもバンドギャップが広く、キャリア密度が低い。そのため、OSトランジスタのオフ電流は極めて小さい。従って、画素21にOSトランジスタを用いることにより、画素21に保持された電荷を長期間にわたって保持することができ、撮像データを画素21に長期間保持することが可能となる。
なお、画素21に用いることができるトランジスタは、OSトランジスタに限定されない。例えば、チャネル形成領域が単結晶半導体を有する基板の一部に形成されるトランジスタ(以下、単結晶トランジスタともいう)を用いてもよい。単結晶半導体を有する基板としては、単結晶シリコン基板や単結晶ゲルマニウム基板などがあげられる。単結晶トランジスタは高速な動作が可能であるため、画素21に単結晶トランジスタを用いることにより、画素21における撮像などの動作の速度を向上させることができる。
また、画素21には、酸化物半導体以外の半導体を含む膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタを用いることもできる。酸化物半導体以外の半導体としては、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体などがあげられる。また、酸化物半導体以外の半導体は、非単結晶半導体であってもよい。非単結晶半導体としては、非晶質半導体、微結晶半導体、多結晶半導体などがあげられる。
本発明の一態様における画素21は、撮像データを取得する機能に加えて、あるフレーム期間における撮像データと他のフレーム期間における撮像データとの差分に対応するデータ(以下、差分データともいう)を取得し、保持する機能を有する。そのため、画素21において、基準フレームと現フレーム間の差分データを取得し、保持することができる。
ここで、動画の撮影時や連写時においては、基準フレームと現フレーム間における差分を取得することにより、撮像データの時間圧縮を行うことができる。具体的には、基準フレームと現フレームの撮像データを比較し、その差分のみを情報として用いることにより、撮像データの圧縮を行うことができる。このような時間圧縮は、フレーム間圧縮ともいう。
画素21において取得された差分データは、動画の撮影や連写によって取得した撮像データの圧縮データとして用いることができる。すなわち、フレーム間圧縮を画素部20の内部において行うことができる。差分データの取得、保持を行う機能を有する画素21の具体的な回路構成や動作の詳細は、実施の形態5で説明する。
駆動回路30は、特定の行の画素21を選択する機能を有する回路である。駆動回路30によって、撮像データの取得や出力を行う特定の行の画素21が選択される。具体的には、駆動回路30は、特定の行の画素21に接続された配線に、当該特定の行を選択するための信号(以下、選択信号ともいう)を出力する機能を有する。なお、駆動回路30は、画素21にリセット信号を供給する機能を有していてもよい。駆動回路30は、デコーダなどを用いて構成することができる。
駆動回路30によって各行の画素21を順次選択し、選択された各行の画素21において撮像データを取得することにより、撮像を行うことができる。また、駆動回路30によって各行の画素21を順次選択し、選択された各行の画素21から差分データを取得することにより、動画の撮影や連写によって得られた撮像データの圧縮を行うことができる。
A/D変換回路40は、アナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する回路である。具体的には、A/D変換回路40は、画素21から入力された撮像データや差分データをデジタルデータに変換して、駆動回路50に出力する機能を有する。従って、A/D変換回路40は、差分データをデジタル信号に変換して、動画の圧縮データとして出力するこことができる。
駆動回路50は、画素部20において得られた撮像データや差分データの、外部への出力を制御する機能を有する回路である。具体的には、駆動回路50はA/D変換回路40を介して画素21と接続されており、所定の画素21から出力され、A/D変換回路40においてデジタルデータに変換された撮像データや差分データを、信号DOUTとして外部に出力する機能を有する。従って、駆動回路50は、A/D変換回路40から入力された圧縮データの外部への出力を制御することができる。
なお、駆動回路50は、画素21と接続された配線を所定の電位にプリチャージする機能を有していてもよい。また、駆動回路50がA/D変換回路40の機能を備えた構成とし、A/D変換回路40を省略することもできる。
アナログ処理回路60は、電流加減算回路61、電流補正回路62を有する。アナログ処理回路60は、画素21から入力されたアナログデータである撮像データや差分データの処理を行う機能を有する。具体的には、アナログ処理回路60は、画素21から入力される差分データの変化の有無を判別し、その判別結果を信号AOUTとして出力する機能を有する。
電流加減算回路61は、定電流源を有し、電流加減算回路61の内部に一定の電流(基準電流)を流す機能を有する。所定のフレーム期間において画素21で取得した所定のデータが電流加減算回路61に入力された時に、電流加減算回路61に流れる電流を、基準電流に設定することができる。以下、基準電流が設定されるフレームを、基準フレームともいう。
また、電流加減算回路61には、画素21から入力された撮像データや差分データに応じた電流が流れる。ここで、基準フレームと現フレームで撮像データに変化がない(差分がゼロ)場合は、現フレームにおいて電流加減算回路61に差分データが入力されても、電流加減算回路61に流れる電流は基準電流のまま変化しない。一方、基準フレームと現フレームで撮像データに変化がある(差分が正または負)と、電流加減算回路61に流れる電流が基準電流から変動する。以下、電流加減算回路61に流れる電流と基準電流との差分を、差分電流ともいう。
電流補正回路62は、電流加減算回路61に流れる電流を補正する機能を有する。具体的には、電流加減算回路61において差分電流が発生した場合に、電流加減算回路61に流れる電流を基準電流に補正(差分電流の補正)する機能を有する。例えば、画素21から電流加減算回路61に差分データが入力され、電流加減算回路61に流れる電流が基準電流I0からI1だけ減少した場合、電流補正回路62から電流加減算回路61に電流I1が流れ、電流加減算回路61に流れる電流が基準電流I0に補正される。また、画素21から電流加減算回路61に差分データが入力され、電流加減算回路61に流れる電流が基準電流値I0からI2だけ増加した場合、電流加減算回路61から電流補正回路62に電流I2が流れ、電流加減算回路61に流れる電流が基準電流I0に補正される。
また、電流補正回路62は、差分電流を検出することにより、基準フレームと現フレームの撮像データの差分の有無を判別し、その判別結果を信号AOUTとして出力する機能を有する。そして、差分があると判別された場合は、A/D変換回路40、駆動回路50が駆動され、画素21から差分データが取得され、これが信号DOUTとして外部に送信される。この時の信号DOUTは、撮像データにフレーム間圧縮を施した圧縮データに対応する。一方、差分がない場合は、画素21からの差分データの取得は行われず、撮像データに変化がないことを示す信号が信号DOUTとして出力されればよい。すなわち、画像に変化があった時のみA/D変換回路40や駆動回路50に電力が供給されればよく、画像に変化がない期間においてはA/D変換回路40や駆動回路50への電力の供給を停止することができる。これにより、半導体装置10の消費電力を低減することができる。
図1には一例として、A/D変換回路40には高電源電位VDD1が供給され、駆動回路50には高電源電位VDD2が供給される構成を示す。電力の供給の停止は、これらの電源電位の供給を停止することにより行うことができる。電力の供給の停止は、A/D変換回路40、駆動回路50の両方に対して行ってもよいし、どちらか一方に対して行ってもよい。なお、アナログデータからデジタルデータへの変換を行うA/D変換回路40においては特に大きな電力が消費される。そのため、特にA/D変換回路40への電力の供給を停止することにより、半導体装置10における消費電力をより効果的に抑制することができる。
A/D変換回路40や駆動回路50への電力の供給の有無は、信号AOUTに基づいて行うことができる。具体的には、電流補正回路62において差分データの変化が検出され、信号AOUTとして所定の信号(例えば、ハイレベルの信号)が出力された場合は、A/D変換回路40および駆動回路50に電源電位が供給される。一方、電流補正回路62において差分データの変化が検出されず、信号AOUTとして所定の信号(例えば、ローレベルの信号)が出力された場合は、A/D変換回路40および駆動回路50への電源電位の供給を停止する。
制御回路70は、電流加減算回路61、電流補正回路62を制御するための信号を出力する機能を有する。
以上のように、本発明の一態様においては、画素21において差分データの取得を行うことにより、動画の撮影や連写によって取得した撮像データの圧縮を画素部20の内部で行うことができる。そのため、データの圧縮を行うための回路を別途設ける必要がなく、半導体装置10の面積の縮小、消費電力の低減を図ることができる。また、本発明の一態様においては、撮像データに差分がない期間において、A/D変換回路40や駆動回路50への電力の供給を停止することができる。そのため、半導体装置10における消費電力を低減することができる。
<半導体装置の動作例>
次に、本発明の一態様にかかる半導体装置10の動作例を、図2に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、第1のフレーム期間において撮像が行われ、画素21で撮像データを取得される。また、第1のフレーム期間においては、他のフレーム期間において差分データを取得する際の基準となるデータ(以下、基準データともいう)が取得される。なお、この基準データは、基準フレームと他のフレーム間において撮像データに差分がない状態に対応するデータでもある。
そして、基準データが画素21から電流加減算回路61に入力され、電流加減算回路61にはこの基準データに対応する第1の電流が流れる。この第1の電流が基準電流に相当する(ステップS1)。また、基準電流が設定された第1のフレームが基準フレームに相当する。
次に、第1のフレーム期間後の第2のフレーム期間において撮像が行われ、画素21で第1のフレームと第2のフレーム間の差分データが取得される(ステップS2)。そして、画素21から電流加減算回路61に差分データが入力され、電流加減算回路61には当該差分データに対応する第2の電流が流れる。そして、アナログ処理回路60において第1の電流(基準電流)と第2の電流が比較され、第1のフレームと第2のフレーム間における画像変化の有無が判別される(ステップS3)。
第1のフレーム(基準フレーム)と第2のフレーム間で画像変化がある場合(ステップS4でYES)、電流補正回路62から信号AOUTとして所定の信号(例えば、ハイレベルの信号)が出力され、A/D変換回路40や駆動回路50に電力が供給される(ステップS5)。そして、画素21において取得した差分データの読み出しが行われ、当該差分データが信号DOUTとして駆動回路50から外部へ出力される。
ここで、第2のフレーム期間において取得された差分データは、第1のフレームと第2のフレーム間における画像変化の情報を含むデータである。よって、当該差分データは、撮像データにフレーム間圧縮を施した圧縮データに相当する。従って、ステップS6において、信号DOUTとして圧縮データが出力される。
一方、第1のフレーム(基準フレーム)と第2のフレーム間で画像変化がない場合は(ステップS4でNO)、電流補正回路62から信号AOUTとして所定の信号(例えば、ローレベルの信号)が出力され、A/D変換回路40や駆動回路50への電力の供給が停止される(ステップS7)。これにより、動画の撮影時や連写時において、画像変化がない期間中は、A/D変換回路40や駆動回路50における消費電力を低減することができる。このとき、外部に出力される信号DOUTは、画像変化がない状態に対応する信号(例えば、ローレベルの信号)とすればよい。
その後、第2のフレーム期間が終了するか否かを判別する。第2のフレーム期間が終了しない場合(ステップS8でNO)は、次の行の画素21においてステップS2以降の動作を同様に行う。一方、第2のフレーム期間が終了する場合(ステップS8でYES)は、撮影を終了するか否かが判別され、撮影を終了する場合(ステップS9でYES)は半導体装置10の動作を終了し、撮影を継続する場合(ステップS9でNO)は、第2のフレーム期間後の第3のフレーム期間において、同様に差分データの取得を行う。
なお、第3のフレーム期間以降、適宜ステップS1の動作を挿入し、所定のフレーム数毎に、改めて基準データの取得と基準電流の設定を行ってもよい。この動作は、撮像データの変化が大きいフレームなどにおいて行うことが好ましい。
以上のように、本発明の一態様においては、画素部20の内部において撮像データの圧縮を行うことができる。また、画像に変化がない期間においては、A/D変換回路40や駆動回路50への電力の供給を停止することができる。
次に、上記の動作時における、半導体装置10に含まれる各回路の具体的な動作例を、図3に示すタイミングチャートを用いて説明する。
アナログ処理回路60は、駆動回路30によって選択された画素21の行毎に差分データを取得し、画像変化の有無を判別する。そして、任意の行で画像変化が検出されると、信号AOUTとして、画像の変化がある状態に対応する所定の信号(例えば、ハイレベルの信号)が出力される。これにより、A/D変換回路40や駆動回路50に電力が供給され、差分データが信号DOUTとして出力される。この時の動作について、以下に説明する。なお、図3において、30は駆動回路30の動作を表し、ARESはアナログ処理回路60から出力される信号AOUTをリセットするための信号を表し、50は駆動回路50の動作を表す。
まず、期間T1において、駆動回路30によってk−1行目(kは2以上N−1以下の整数)の画素21が選択され、k−1行目の画素21において差分データの取得が行われる。ここでは、基準フレームと現フレーム間で撮像データに差分がない場合を示す。この場合、信号AOUTはローレベルを維持し、高電源電位VDD1、VDD2の供給は停止される。そして、駆動回路50の動作は停止され、信号DOUTはローレベルとなる。
次に、期間T2において、駆動回路30によってk行目の画素21が選択され、k行目の画素21において差分データの取得が行われる。ここでは、基準フレームと現フレーム間で撮像データに差分がある場合を示す。撮像データの差分が検出されると、信号AOUTはハイレベルとなる。これにより、高電源電位VDD1がA/D変換回路40に供給され、高電源電位VDD2が駆動回路50に供給される。そして、A/D変換回路40および駆動回路50が作動し、画素21から差分データが読み出され、当該差分データが信号DOUTとして出力される。この差分データは、画素21の内部において撮像データにフレーム間圧縮を施したデータに対応する。その後、信号ARESがハイレベルとなり、信号AOUTがローレベルにリセットされる。
次に、期間T3において、駆動回路30によってk+1行目の画素21が選択され、k+1行目の画素21において差分データの取得が行われる。ここでは、基準フレームと現フレーム間で撮像データに差分がない場合を示す。この場合、信号AOUTはローレベルを維持し、高電源電位VDD1、VDD2の供給は停止される。そして、駆動回路50の動作は停止され、信号DOUTはローレベルとなる。
上記のような動作により、画像に変化がある期間において圧縮データを出力し、画像に変化がない期間においてA/D変換回路40や駆動回路50への電力の供給を停止することができる。
以上のように、本発明の一態様においては、画素21において差分データの取得を行うことにより、動画の撮影や連写によって取得した撮像データの圧縮を画素部20の内部で行うことができる。そのため、データの圧縮を行うための回路を別途設ける必要がなく、半導体装置10の面積の縮小、消費電力の低減を図ることができる。また、本発明の一態様においては、撮像データに差分がない期間において、A/D変換回路40や駆動回路50への電力の供給を停止することができる。そのため、半導体装置10における消費電力を低減することができる。
なお、本実施の形態においては、画素部20の内部における撮像データの圧縮と、A/D変換回路40や駆動回路50への電力の供給の停止とを、共に行う形態を示したが、必ずしもこれらを共に行う必要はない。例えば、半導体装置10は、画素部20の内部における差分データの取得(データの圧縮)が行われている期間において、A/D変換回路40や駆動回路50には常に電力が供給されている構成とすることもできる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置が有する各回路の具体的な構成例について説明する。
<アナログ処理回路の構成例>
図4に、アナログ処理回路60、アナログ処理回路60と接続された画素部20、アナログ処理回路60と接続された制御回路70の構成例を示す。画素部20は、アナログ処理回路60と接続されたM列の画素21を有する。
電流加減算回路61は、複数の定電流回路100を有する。ここでは、電流加減算回路61がM個の定電流回路100[0]乃至[M−1]を有し、画素21の列毎に定電流回路100[0]乃至[M−1]が接続されている構成を示す。
定電流回路100[0]乃至[M−1]はそれぞれ、端子PIX、端子OUTM、端子OUTPと接続されている。定電流回路100[0]乃至[M−1]は、同列の端子PIXを介して同列の画素21と接続されている。定電流回路100[0]乃至[M−1]には、画素21から入力された基準データまたは差分データに応じた電流が流れる。また、端子OUTMには、定電流回路100[0]乃至[M−1]に流れる電流が各列で設定された基準電流よりも小さい場合に、定電流回路100[0]乃至[M−1]に流れる電流を基準電流に補正するための電流I1が流れる。また、端子OUTPには、定電流回路100[0]乃至[M−1]に流れる電流が各列で設定した基準電流よりも大きい場合に、定電流回路100[0]乃至[M−1]に流れる電流を基準電流に補正するための電流I2が流れる。
定電流回路100[0]乃至[M−1]にはそれぞれ、信号ASET、信号ASW、信号AINI、信号VPOが供給される。信号ASETは、基準データや差分データの定電流回路100[0]乃至[M−1]への入力を制御するための信号であり、制御回路70から入力される。信号ASWは、差分電流の補正を制御するための信号である。信号AINIは、基準電流の設定を制御するための信号である。信号VPOは、定電流回路100[0]乃至[M−1]に供給される電源電位である。
電流補正回路62は、定電流回路100[0]乃至[M−1]に流れる電流と基準電流が異なる場合に、定電流回路100[0]乃至[M−1]に流れる電流を各列で設定した基準電流に補正するための電流I1、I2を、それぞれ端子OUTM、端子OUTPに流す機能を有する。また、電流補正回路62は、定電流回路100[0]乃至[M−1]に流れる電流が各列で設定した基準電流から変動した場合に、所定の信号を信号AOUTとして出力する機能を有する。
電流補正回路62には、信号VBIAS、信号AEN、信号ARES、信号VREFM、VREFP、信号VDDA、VSSAが供給される。信号VBIASは、電流補正回路62の動作を制御するための信号であり、制御回路70から入力される。信号AEN、ARESは、信号AOUTの出力を制御するための信号である。信号VREFM、VREFPは、差分電流の補正に用いる参照電位である。信号VDDAは、電流補正回路62の駆動に用いる高電源電位である。信号VSSAは、電流補正回路62の駆動に用いる低電源電位である。
以下、電流加減算回路61、電流補正回路62のより具体的な構成例を説明する。
<電流加減算回路の構成例>
図5に、電流加減算回路61の構成例を示す。前述の通り、電流加減算回路61はM個の定電流回路100[0]乃至[M−1]を有する。
定電流回路100は、トランジスタ101乃至106、容量素子107を有する。ここでは、トランジスタ101乃至106がnチャネル型である例について説明するが、トランジスタ101乃至106はそれぞれnチャネル型であってもpチャネル型であってもよい。なお、図5においては特に定電流回路100[0]におけるトランジスタおよび容量素子の接続関係を図示しているが、定電流回路100[1]乃至[M−1]も定電流回路100[0]と同様の構成とすることができる。
トランジスタ101のゲートは信号ASETが供給される端子と接続され、ソースまたはドレインの一方は端子PIXと接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタ102のソースまたはドレインの一方、トランジスタ103のソースまたはドレインの一方、およびトランジスタ104のソースまたはドレインの一方と接続されている。トランジスタ102のゲートはトランジスタ103のソースまたはドレインの他方、および容量素子107の一方の電極と接続され、ソースまたはドレインの他方は信号VPOが供給される端子と接続されている。トランジスタ103のゲートは信号AINIが供給される端子と接続されている。トランジスタ104のゲートは信号ASWが供給される端子と接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタ105のソースまたはドレインの一方、トランジスタ106のゲート、およびトランジスタ106のソースまたはドレインの一方と接続されている。トランジスタ105のソースまたはドレインの他方はトランジスタ105のゲート、および端子OUTMと接続されている。トランジスタ106のソースまたはドレインの他方は端子OUTPと接続されている。容量素子107の他方の電極は、信号VPOが供給される端子と接続されている。
なお、本明細書等において、トランジスタのソースとは、活性層として機能する半導体層の一部であるソース領域や、当該半導体層と接続されたソース電極などを意味する。同様に、トランジスタのドレインとは、当該半導体層の一部であるドレイン領域や、当該半導体層と接続されたドレイン電極などを意味する。また、ゲートとは、ゲート電極などを意味する。
また、トランジスタが有するソースとドレインは、トランジスタの導電型及び各端子に与えられる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がソースと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がソースと呼ばれる。本明細書では、便宜上、ソースとドレインとが固定されているものと仮定して、トランジスタの接続関係を説明する場合があるが、実際には上記電位の関係に従ってソースとドレインの呼び方が入れ替わる。
次に、定電流回路100の動作の一例を説明する。なお、以下では説明をわかりやすくするため、1列目の画素の差分を検出する定電流回路100[0]の動作について説明する。定電流回路100[1]乃至[M−1]も定電流回路100[0]と同様の動作によって撮像データの差分の有無を検出することができるが、ここでは一例として、1列目以外の画素においては、撮像データの差分がない場合について説明する。
まず、定電流回路100[0]において基準電流を設定する。基準フレーム期間において、画素21で基準データの取得を行った後、信号ASETをハイレベル、信号ASWをローレベル、信号AINIをハイレベルとする。これにより、定電流回路100[0]には、1列目の画素21から入力された基準データに応じた電流が流れる。この電流が基準電流I0となる。なお、定電流回路100[1]乃至[M−1]においても、同様に基準電流が流れる。
また、トランジスタ102のゲートおよび容量素子107の一方の電極には、トランジスタ103を介して、トランジスタ102のソースまたはドレインの一方の電位が供給される。この電位は、トランジスタ102に基準電流I0を流すための電位となる。このような動作により、定電流回路100[0]において基準電流I0が設定される。なお、トランジスタ102のゲートおよび容量素子107の一方の電極の電位は、トランジスタ103をオフ状態とすることにより保持される。
次に、基準フレームと現フレーム間で撮像データに差分がない場合の動作について説明する。基準電流を設定した後のフレーム期間において、各列の画素21で差分データの取得を行った後、信号ASET、信号ASWをハイレベル、信号AINIをローレベルとする。この時、定電流回路100[0]乃至[M−1]には各列の画素21から入力された差分データに相当する電流がトランジスタ101を介して流れる。ここで、1列目の画素21において、基準フレームと現フレーム間で撮像データに差分がない場合、現フレーム期間に定電流回路100[0]に入力された差分データは基準フレーム期間に入力された基準データから変化せず、トランジスタ102に流れる電流も基準電流I0から変化しない。定電流回路100[1]乃至[M−1]に流れる電流も同様に、基準電流から変化しない。そのため、端子OUTMからトランジスタ105を介してトランジスタ104に流れる電流、およびトランジスタ104からトランジスタ106を介して端子OUTPに流れる電流は発生しない。
次に、基準フレームと現フレーム間で撮像データに差分がある場合の動作について説明する。基準電流を設定した後のフレーム期間において、各列の画素21で差分データの取得を行った後、信号ASET、信号ASWをハイレベル、信号AINIをローレベルとする。この時、定電流回路100[0]乃至[M−1]には各列の画素21から入力された差分データに相当する電流がトランジスタ101を介して流れる。ここで、1列目の画素21において、基準フレームと現フレーム間で撮像データに差分がある場合、現フレーム期間に定電流回路100[0]に入力された差分データは基準フレーム期間に入力された基準データから変化し、トランジスタ101に流れる電流も基準電流I0から変化する。また、ここでは、定電流回路100[1]乃至[M−1]においては、基準フレームと現フレーム間で撮像データに差分がなく、トランジスタ101を流れる電流は基準電流から変化しないものとする。これにより、端子OUTMからトランジスタ105を介してトランジスタ104に流れる電流、またはトランジスタ104からトランジスタ106を介して端子OUTPに流れる電流が発生し、差分電流の補正が行われる。その結果、定電流回路100[0]のトランジスタ102を流れる電流は、基準電流I0に補正される。
具体的には、1列目の画素21から差分データが入力され、トランジスタ102に流れる電流がI0−I1に減少すると、端子OUTMからトランジスタ105を介してトランジスタ104に電流I1が流れ、トランジスタ102に流れる電流が基準電流I0に補正される。一方、1列目の画素21から差分データが入力され、トランジスタ102に流れる電流がI0+I2に増加すると、トランジスタ104からトランジスタ106を介して端子OUTPに電流I2が流れ、トランジスタ102を流れる電流が基準電流I0に補正される。
定電流回路100[0]乃至[M−1]の動作の停止する際は、信号ASETをローレベル、信号ASWをローレベル、信号AINIをローレベルとする。これにより、トランジスタ102に流れる電流を止め、定電流回路100[0]乃至[M−1]の機能を停止させることができる。
定電流回路100[0]乃至[M−1]の動作を再開する場合は、再度基準電流を設定する動作を行ってもよい。または、基準電流を流すために必要な電位が容量素子107に保持されている場合は、信号ASETをハイレベル、信号ASWをハイレベル、信号AINIローレベルとして、基準データからの変化の検出を再開してもよい。
以上の動作により、定電流回路100を流れる電流の補正を行うことができる。
<電流補正回路の構成例>
図6に、電流補正回路62の構成例を示す。電流補正回路62は、コンパレータ201、202、トランジスタ203乃至209、ラッチ回路210を有する。ここでは、トランジスタ203乃至209がnチャネル型である例について説明するが、トランジスタ203乃至209はそれぞれnチャネル型であってもpチャネル型であってもよい。
コンパレータ201の非反転入力端子は端子OUTMと接続され、反転入力端子は信号VREFMが入力される端子と接続され、出力端子はトランジスタ203のゲート、およびトランジスタ205のゲートと接続されている。コンパレータ202の非反転入力端子は端子OUTPと接続され、反転入力端子は信号VREFPが入力される端子と接続され、出力端子はトランジスタ204のゲート、およびトランジスタ206のゲートと接続されている。トランジスタ203のソースまたはドレインの一方は端子OUTMと接続され、ソースまたはドレインの他方は信号VDDAが入力される端子と接続されている。トランジスタ204のソースまたはドレインの一方は端子OUTPと接続され、ソースまたはドレインの他方は信号VSSAが入力される端子と接続されている。トランジスタ205のソースまたはドレインの一方はラッチ回路210の第1の端子(セット端子)と接続され、ソースまたはドレインの他方は信号VDDAが入力される端子と接続されている。トランジスタ206のソースまたはドレインの一方はトランジスタ207のゲート、トランジスタ208のゲート、およびトランジスタ207のソースまたはドレインの一方と接続され、ソースまたはドレインの他方は信号VSSAが入力される端子と接続されている。トランジスタ207のソースまたはドレインの他方は信号VDDAが入力される端子と接続されている。トランジスタ208のソースまたはドレインの一方はラッチ回路210の第1の端子と接続され、ソースまたはドレインの他方は信号VDDAが入力される端子と接続されている。トランジスタ209のゲートは信号AENが入力される端子と接続され、ソースまたはドレインの一方は信号VSSAが入力される端子と接続され、ソースまたはドレインの他方はラッチ回路210の第1の端子と接続されている。ラッチ回路210の第2の端子(リセット端子)は信号ARESが入力される端子と接続され、出力端子には信号AOUTが出力される。また、コンパレータ201、202には、バイアス電圧として信号VBIASが入力される。
トランジスタ207とトランジスタ208は、カレントミラー回路を形成している。トランジスタ207及びトランジスタ208に電流が流れることにより、ラッチ回路210に信号VDDAが供給され、信号AOUTがハイレベルとなる。また、ラッチ回路210は、信号ARESとしてハイレベルの信号が供給されることによりリセットされる。
次に、電流補正回路62の動作の一例について説明する。
基準フレームと現フレーム間で撮像データに差分がある場合、端子OUTMまたは端子OUTPには、定電流回路100[0]乃至[M−1]を流れる電流を補正するために所定の電流が流れる。なお、電流補正回路62が動作する期間においては、信号VBIASが供給され、コンパレータ201、202が動作する。
まず、撮像データの差分が負であり、端子OUTMに差分電流が流れる場合について説明する。
基準フレームの撮像データに対する、現フレームの撮像データの差分が負であり、トランジスタ102に流れる電流がI0からI0−I1に減少すると、コンパレータ201とトランジスタ203はこの減少分の電流I1を補うように動作し、端子OUTMには電流I1が流れる。端子OUTMに流れる電流がI1より少ない場合は、コンパレータ201の非反転入力端子の電位が低下し、コンパレータ201の出力も低下する。これにより、トランジスタ203のゲートの電位が低下し、端子OUTMに流れる電流が増加するため、端子OUTMに電流I1を流すことができる。一方、端子OUTMに流れる電流がI1より多い場合は、コンパレータ201の非反転入力端子の電位が上昇し、コンパレータ201の出力も上昇する。これにより、トランジスタ203のゲートの電位が上昇し、端子OUTMに流れる電流が減少するため、端子OUTMに電流I1を流すことができる。
また、コンパレータ201の出力は、トランジスタ205のゲートにも供給される。端子OUTMに電流I1が流れる際、トランジスタ205のゲートの電位が低下し、信号VDDAがトランジスタ205を介してラッチ回路210の第1の端子に供給される。これにより、ラッチ回路210の出力信号はハイレベルとなり、信号AOUTとして外部に出力される。
次に、撮像データの差分が正であり、端子OUTPに差分電流が流れる場合について説明する。
基準フレームの撮像データに対する、現フレームの撮像データの差分が正であり、トランジスタ102に流れる電流がI0からI0+I2に増加すると、コンパレータ202とトランジスタ204はこの増加分の電流I2を減らすように動作し、端子OUTPには電流I2が流れる。端子OUTPに流れる電流がI2より少ない場合は、コンパレータ202の非反転入力端子の電位が上昇し、コンパレータ202の出力も上昇する。これにより、トランジスタ204のゲートの電位が上昇し、端子OUTPに流れる電流が増加するため、端子OUTPに電流I2を流すことができる。一方、端子OUTPに流れる電流がI2より多い場合は、コンパレータ202の非反転入力端子の電位が低下し、コンパレータ202の出力も低下する。これにより、トランジスタ204のゲートの電位が低下し、端子OUTPに流れる電流が減少するため、端子OUTPに電流I2を流すことができる。
また、コンパレータ202の出力は、トランジスタ206のゲートにも供給される。端子OUTPに電流I2が流れる際、トランジスタ206のゲートの電位が上昇し、トランジスタ206はオン状態となる。そして、トランジスタ208がオン状態となり、信号VDDAがトランジスタ208を介してラッチ回路210の第1の端子に供給される。これにより、ラッチ回路210の出力信号はハイレベルとなり、信号AOUTとして外部に出力される。
上記の動作により、画素21の行毎に差分データの比較を行うことができる。
電流補正回路62の動作を停止させる場合は、信号VBIASの供給を停止することにより、コンパレータ201、202の動作を停止させればよい。
コンパレータ201、202は、例えば図7(A)に示すような回路によって構成することができる。図7(A)に示すコンパレータは、トランジスタ221乃至227を有する。なお、端子INPはコンパレータの非反転入力端子に対応し、端子INMはコンパレータの反転入力端子に対応する。
ラッチ回路210は、例えば図7(B)に示すような回路によって構成することができる。図7(B)に示すラッチ回路は、インバータ231、NAND232乃至234を有する。
<アナログ処理回路の動作例>
次に、アナログ処理回路60の具体的な動作例を、図8に示すタイミングチャートを用いて説明する。図8における期間T11は基準電流の取得を行う基準フレームに対応し、期間T12は撮像データに変化がないフレームに対応し、期間T13は撮像データに変化があるフレームに対応する。信号SEは、特定の行の画素21を選択する選択信号であり、信号SE[0]乃至[N−1]はそれぞれ1行目乃至N行目の画素21に供給される選択信号に相当する。なお、図8においては信号SE[1]乃至[N−2]の表示を省略している。
まず、期間T11において、画素21で撮像データおよび基準データを取得する。また、信号ARESをハイレベルとしてラッチ回路210のリセットを行い、信号AENをハイレベルとしてラッチ回路210にローレベルの信号を入力する。この時、信号AOUTはローレベルとなる。そして、信号ASET、信号AINIをハイレベルとし、信号SE[0]乃至[N−1]を順次ハイレベルとすることにより、画素21から定電流回路100[0]乃至[M−1]に基準データが入力され、定電流回路100[0]乃至[M−1]において基準電流の取得が行われる。その後、信号ARES、信号ASET、信号AINIをローレベルとし、基準フレーム期間が終了する。
次に、期間T12において撮像データの比較を行う。まず、信号SE[0]をハイレベル、信号ASETをハイレベルとして、1行目の画素21の差分データを定電流回路100[0]乃至[M−1]に入力する。その後、信号ASWをハイレベルとし、定電流回路100[0]乃至[M−1]に流れる電流を補正するための動作を行う。そして、信号AENをローレベルとして、電流の補正の有無を信号AOUTとして出力する。ここで、1行目の画素21には撮像データが変化する画素21が含まれないため、画素21から定電流回路100[0]乃至[M−1]に差分データが入力されても差分電流は発生せず、信号AOUTはローレベルに維持される。その後、信号ARESをハイレベルとし、ラッチ回路210をリセットする。
上記と同様の動作を、2行目乃至N行目の画素21においても行い、全ての行の画素21において撮像データの比較を行う。なお、期間T12は撮像データの変化がないフレームであるため、2行目乃至N行目の画素21から定電流回路100[0]乃至[M−1]に差分データが入力されても差分電流は発生せず、信号AOUTはローレベルに維持される。
次に、期間T13において、期間T12と同様に撮像データの比較を行う。ここで、ある行において撮像データの変化が検出されると(図中、「sensing」と記載)、定電流回路100に入力される差分データが変化し、定電流回路100に流れる電流が基準電流から変動する。ここでは一例として、定電流回路100[0]に差分データが入力され、定電流回路100[0]に流れる電流が基準電流I0からI0−I1に減少した場合について説明する。
基準フレーム期間の撮像データに対する、現フレーム期間の撮像データの差分が負であり、定電流回路100[0]に流れる電流がI0−I1となると、端子OUTMの電位は低下し、トランジスタ203のゲートの電位が低下する。これにより、端子OUTMに差分電流に相当するI1が供給され、定電流回路100[0]に流れる電流がI0−I1から基準電流I0に補正される。また、この差分電流の補正が行われると、信号VDDAがトランジスタ205を介してラッチ回路210の第1の端子に供給され、ラッチ回路210の出力信号がハイレベルとなる。この出力信号が信号AOUTに対応する。そして、ハイレベルの信号AOUTが出力されると、駆動回路30やA/D変換回路40に電力が供給され、画素21から差分データが読み出される。当該差分データは圧縮データに相当し、信号DOUTとして外部に出力される。
以上のような動作により、基準データからの変化の検出を行うことができる。
本発明の一態様においては、上記のようなアナログ処理回路を用いることにより、差分電流の検出や補正を行うことができる。これにより、撮像データの変動の有無に基づいてA/D変換回路40や駆動回路50への電力の供給を制御することができ、半導体装置10における消費電力の低減を図ることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、アナログ処理回路60の他の構成例について説明する。
図9に、アナログ処理回路60、アナログ処理回路60と接続された画素部20、アナログ処理回路60と接続された制御回路70の構成例を示す。なお、以下に説明する以外の構成については図4と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図9に示すアナログ処理回路60は、電流加減算回路61に信号AVREFが供給されている点、回路構成が図4に示す定電流回路100とは異なる、定電流回路300を有する点において、図4と異なる。なお、信号AVREFは、電流加減算回路61に供給される参照電位である。
図10に、定電流回路300の構成例を示す。定電流回路300には、図5におけるトランジスタ102、103、容量素子107の代わりに、トランジスタ301が設けられている。また、トランジスタ301のゲートは信号AVREFが供給される端子と接続され、ソースまたはドレインの一方はトランジスタ101のソースまたはドレインの一方と接続され、ソースまたはドレインの他方は信号VPOが供給される端子と接続されている。このような構成とすることにより、トランジスタおよび容量素子の数を削減することができる。なお、定電流回路300のその他の構成については、図5およびその説明を参照すればよい。
次に、定電流回路300において基準電流を設定する場合の動作を説明する。信号ASETをハイレベル、信号ASWをローレベル、信号AVREFを所定の電位とする。この時、定電流回路300に流れる電流は、信号AVREFに応じた値となる。
トランジスタ301を流れる電流は、トランジスタ101を流れる電流に等しい。ここで、トランジスタ301に供給される信号AVREFは、基準電流を流すために必要なトランジスタ301のゲートの電位に相当する電位に設定される。信号AVREFは、電流加減算回路61と電流補正回路62の間で電流が流れないような電位に設定されることが好ましい。その他の動作については、図5における定電流回路100と同様のため、詳細な説明は省略する。
以上のように、定電流回路300は、基準電流を流すための電位を内部で保持する代わりに、外部から供給される構成を有する。これにより、定電流回路300の回路構成を簡略化することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、A/D変換回路40や駆動回路50などの回路への電力の供給を制御するための構成について説明する。
<パワースイッチの構成例>
図11、12に、電力の供給を制御するためのスイッチ(パワースイッチ)が設けられた回路の構成例を示す。
図11(A)において、回路400は、電力の供給を制御するパワースイッチと接続されている。ここでは、パワースイッチとしてトランジスタ401を用いている。
回路400は、高電源電位VDDおよび低電源電位VSSを利用して駆動する回路であり、構成や機能は特に限定されない。例えば、回路400は、演算回路や記憶回路であってもよい。回路400を演算回路として用いる場合、例えば、インバータ、AND、NAND、OR、NORなどの組み合わせ回路によって構成された回路を用いることができる。また、回路400は、フリップフロップ、ラッチなどの順序回路によって構成された回路であってもよい。
回路400は、低電源電位VSSが供給される配線、およびトランジスタ401のソースまたはドレインの一方と接続されている。トランジスタ401のソースまたはドレインの他方は、高電源電位VDDが供給される配線と接続されている。トランジスタ401のゲートは、信号ENが供給される配線と接続されている。なお、信号ENは、回路400への電力の供給を制御するための信号である。
信号ENとしてローレベルの信号が入力されると、トランジスタ401がオン状態となり、回路400に高電源電位VDDが供給され、回路400が動作する。一方、信号ENとしてハイレベルの信号が入力されると、トランジスタ401がオフ状態となり、回路400への高電源電位VDDの供給が停止される。
回路400として、図1に示すA/D変換回路40や駆動回路50を用いることができる。これにより、A/D変換回路40や駆動回路50への電力の供給を制御することができる。この場合、図11における高電源電位VDDは、図1における高電源電位VDD1、VDD2などに対応する。また、回路400としてA/D変換回路40を用いる場合、入力端子inは画素21と接続された端子などに対応し、出力端子outは、駆動回路50と接続された端子などに対応する。また、回路400として駆動回路50を用いる場合、入力端子inはA/D変換回路40と接続された端子などに対応し、出力端子outは、信号DOUTが出力される端子などに対応する。
また、信号ENは、図1等に示す信号AOUTに基づいて制御することができる。そのため、画素21で取得した撮像データに差分があり、信号AOUTが出力された際に、信号ENとしてハイレベルまたはローレベルを出力し、A/D変換回路40や駆動回路50に電力を供給することができる。
また、図11(B)に示すように、回路400と低電源電位VSSが供給される配線との間にスイッチを設けてもよい。ここでは、スイッチとしてトランジスタ402を用いている。信号ENとしてハイレベルの信号が入力されると、トランジスタ402がオン状態となり、回路400に低電源電位VSSが供給され、回路400が動作する。一方、信号ENとしてローレベルの信号が入力されると、トランジスタ402がオフ状態となり、回路400への低電源電位VSSの供給が停止される。
また、図11(C)に示すように、回路400と高電源電位VDDが供給される配線の間、および回路400と低電源電位VSSが供給される配線の間にスイッチを設けてもよい。ここで、信号ENBは、信号ENの反転信号である。信号ENとしてハイレベルの信号が入力されると、回路400に高電源電位VDDおよび低電源電位VSSが供給される。
また、図12(A)に示すように、図11(A)においてさらにトランジスタ403を設けた構成とすることもできる。トランジスタ403のゲートは信号ENが供給される配線と接続され、ソースまたはドレインの一方は出力端子outと接続され、ソースまたはドレインの他方は低電源電位VSSが供給される配線と接続されている。
トランジスタ403は、信号ENとしてハイレベルの信号が入力されている期間においてオン状態となる。これにより、回路400への電力の供給が停止された期間において、出力端子outの電位をローレベルに維持することができる。よって、回路400の出力が不定値になることを防止することができる。
また、図12(B)に示すように、図11(B)にトランジスタ404を設けた構成とすることもできる。トランジスタ404のゲートは信号ENが供給される配線と接続され、ソースまたはドレインの一方は出力端子outと接続され、ソースまたはドレインの他方は高電源電位VDDが供給される配線と接続されている。
トランジスタ404は、信号ENとしてローレベルの信号が入力されている期間においてオン状態となる。これにより、回路400への電力の供給が停止された期間において、出力端子outの電位をハイレベルに維持することができる。よって、回路400の出力が不定値になることを防止することができる。
なお、図12(A)におけるトランジスタ403の代わりに、論理回路を設けてもよい。図12(C)に、トランジスタ403の代わりにインバータ405、AND406を設けた構成を示す。また、図12(D)に、トランジスタ403の代わりにインバータ405、NAND407およびインバータ408を設けた構成を示す。
また、図12(B)におけるトランジスタ404の代わりに、論理回路を設けてもよい。図12(E)に、トランジスタ404の代わりにAND409を設けた構成を示す。また、図12(F)に、トランジスタ404の代わりにNAND410およびインバータ411を設けた構成を示す。
図12(C)乃至(F)においては、回路400への電力の供給が停止された期間に、出力端子outの電位をローレベルに維持することができる。よって、回路400の出力が不定値になることを防止することができる。
また、図11、12において、高電源電位VDDを低電源電位VSSに切り替えることにより、電力の供給を停止してもよい。このとき、低電源電位VSSが供給される2本の配線の間に回路400が接続され、回路400に電流が流れない状態となる。同様に、図11、12において、低電源電位VSSを高電源電位VDDに切り替えることにより、電力の供給を停止してもよい。
図11、12におけるトランジスタ(トランジスタ401乃至404や、インバータ、AND、NANDを構成するトランジスタなど)の材料は特に限定されず、例えばOSトランジスタを用いることができる。特に、トランジスタ401、402としてOSトランジスタを用いると、トランジスタ401、402がオフとなり電力の供給が停止された期間において、消費電力を極めて小さく抑えることができる。
また、OSトランジスタは、他のトランジスタ上に積層することができる。そのため、図11、12におけるトランジスタを、回路400に含まれるトランジスタ上に積層することができ、パワースイッチを設けることによる面積の増加を抑えることができる。
なお、図11、12におけるトランジスタは、OSトランジスタに限定されず、単結晶トランジスタや、酸化物半導体以外の半導体を含む膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタなど(実施の形態1を参照)を用いることもできる。
<回路400の構成例>
図13、14に、回路400の具体的な構成例を示す。
図13(A)に、図11(A)における回路400がインバータである場合の構成を示す。回路400は、トランジスタ421、422を有する。
トランジスタ421のゲートは入力端子inと接続され、ソースまたはドレインの一方はトランジスタ401のソースまたはドレインの一方と接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタ422のソースまたはドレインの一方と接続されている。トランジスタ422のゲートは入力端子inと接続され、ソースまたはドレインの他方は低電源電位VSSが供給される配線と接続されている。なお、ここでは図11(A)における回路400をインバータとした構成を示したが、図11(B)、(C)、図12における回路400をインバータとすることもできる。
図13(B)に、図11(A)における回路400がNANDである場合の構成を示す。回路400は、トランジスタ423乃至426を有する。
トランジスタ423のゲートは入力端子in1と接続され、ソースまたはドレインの一方はトランジスタ424のソースまたはドレインの一方およびトランジスタ401のソースまたはドレインの一方と接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタ424のソースまたはドレインの他方およびトランジスタ425のソースまたはドレインの一方と接続されている。トランジスタ424のゲートは入力端子in2と接続されている。トランジスタ425のゲートは入力端子in2と接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタ426のソースまたはドレインの一方と接続されている。トランジスタ426のゲートは入力端子in1と接続され、ソースまたはドレインの他方は低電源電位VSSが供給される配線と接続されている。なお、ここでは図11(A)における回路400をNANDとした構成を示したが、図11(B)、(C)、図12における回路400をNANDとすることもできる。また、図13(A)のインバータと図13(B)のNANDを組み合わせてANDを構成することもできる。
図13に示す回路400は、A/D変換回路40や駆動回路50に用いることができる。そのため、A/D変換回路40や駆動回路50に含まれる論理素子毎に電力の供給を制御することができる。
また、図11、12における回路400は、複数の論理素子によって構成することもできる。図14に、図11(A)における回路400が、複数の論理回路430を有する構成を示す。
図14(A)における回路400は、i個の論理回路430(論理回路430_1乃至430_i)を有する(iは2以上の整数)。複数の論理回路430はそれぞれ、トランジスタ401を介して、高電源電位VDDが供給される配線と接続されている。また、複数の論理回路430はそれぞれ、低電源電位VSSが供給される配線と接続されている。信号ENとしてローレベルの信号を供給することにより、論理回路430_1乃至430_iに高電源電位VDDが供給される。これにより、論理回路430_1乃至430_iへの電力の供給の制御を一括で行うことができる。
論理回路430は、インバータ、AND、NAND、OR、NORなどの組み合わせ回路や、フリップフロップ、ラッチなどの順序回路によって構成された回路であってもよい。
また、図14(B)に示すように、論理回路430ごとにトランジスタ401を設けてもよい。この場合、論理回路430ごとに電力の供給の制御を行うことができる。
なお、図14の回路400において、ある論理回路430の出力端子は、他の論理回路430の入力端子と接続されていてもよい。これにより、論理回路430を組み合わせた論理回路を構成することができる。
また、図14における回路400は、図11(B)、(C)、図12における回路400に適用することもできる。
図14に示す回路400は、A/D変換回路40や駆動回路50に用いることができる。これにより、複数の論理素子を有するA/D変換回路40や駆動回路50への電力の供給を制御することができる。また、当該複数の論理素子への電力の供給の制御は、複数の論理素子に対して一括で行うこともでき、論理素子毎に行うこともできる。
なお、図13、14における信号ENは、図1等に示す信号AOUTに基づいて制御することができる。そのため、画素21で取得した撮像データに差分があり、信号AOUTが出力された際に、信号ENとしてハイレベルまたはローレベルを出力し、A/D変換回路40や駆動回路50に電力を供給することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した、撮像データ、基準データおよび差分データを取得し、保持することが可能な画素21の具体的な構成例について説明する。
<画素の構成例>
画素21の構成例を、図15(A)に示す。図15(A)に示す画素21は、トランジスタ511乃至515と、容量素子521、522と、光電変換素子523と、を有する。ここでは、光電変換素子523としてフォトダイオードを用いている。また、画素21には、配線VPD、配線VPR、配線VC、配線VFR、配線VOから電位が供給され、配線TX、配線PR、配線FR、配線SELから制御信号が供給され、配線OUTに画素21において取得した撮像データまたは差分データが出力される。また、ノードFD1には撮像データまたは差分データに対応する電荷が蓄積される。ここで、容量素子521の容量値は、容量素子522の容量値とトランジスタ514のゲート容量の容量値との和よりも大きくすることが好ましい。
トランジスタ511のゲートは配線TXと接続され、ソースまたはドレインの一方は光電変換素子523の一方の端子と接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタ512のソースまたはドレインの一方と接続されている。トランジスタ512のゲートは配線PRと接続され、ソースまたはドレインの他方は配線VPRと接続されている。トランジスタ513のゲートは配線FRと接続され、ソースまたはドレインの一方は容量素子522の一方の電極と接続され、ソースまたはドレインの他方は配線VFRと接続されている。トランジスタ514のゲートは容量素子522の一方の電極と接続され、ソースまたはドレインの一方は配線VOと接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタ515のソースまたはドレインの一方と接続されている。トランジスタ515のゲートは配線SELと接続され、ソースまたはドレインの他方は配線OUTと接続されている。容量素子521の一方の電極はトランジスタ511のソースまたはドレインの他方、およびトランジスタ512のソースまたはドレインの一方と接続され、他方の電極は容量素子522の一方の電極、およびトランジスタ513のソースまたはドレインの一方と接続されている。容量素子522の他方の電極は配線VCと接続されている。光電変換素子523の他方の端子は配線VPDと接続されている。
なお、ここではトランジスタ511乃至515をnチャネル型としているが、トランジスタ511乃至515はそれぞれpチャネル型であってもよい。
<画素の動作例>
図15(A)に示す画素21の動作例を、図15(B)、図16を用いて説明する。ここでは、配線VPDの電位がローレベル、配線VPRの電位がハイレベル、配線VCの電位がローレベル、配線VFRの電位がハイレベル、配線VOの電位がハイレベルである場合について説明する。
[撮像データの取得]
まず、画素21において撮像データを取得する際の動作について、図15(B)を用いて説明する。
まず、期間T21において、配線PR、配線FR、配線TXの電位をハイレベルとする。この時、ノードFD1の電位は配線VFRの電位(V1)となり、ノードFD2の電位は配線VPRの電位(V2)となる。
次に、期間T22において、配線PR、配線FRの電位をローレベルとする。この時、光電変換素子523に照射された光の強度に応じて、ノードFD2の電位は低下する。ここで、ノードFD2の電位低下をΔV2とすると、ノードFD2の電位はV2−ΔV2となる。また、容量素子521(容量値C1)と、容量素子522(容量値C2)とトランジスタ514のゲート容量(容量値Cg)との合成容量と、の容量結合により、ノードFD1の電位も低下する。ここで、ノードFD1の電位の低下をΔV1とすると、ΔV1=ΔV2・C1/(C1+C2+Cg)=ΔV2・αであり、ノードの電位はV1−ΔV1となる。光電変換素子523に照射される光が強いほど、ノードFD2の電位の低下は大きくなり、ノードFD1の電位の低下も同様に大きくなる。
次に、期間T23において、配線TXの電位をローレベルとする。これにより、光電変換素子523とノードFD2が非導通状態となり、ノードFD2の電位の低下は止まる。
次に、期間T24において、配線SELの電位をハイレベルとする。この時、ノードFD1の電位に応じて、配線OUTに撮像データに対応する電位が出力される。なお、ノードFD1の電位が低いほど、配線OUTの電位は低くなる。すなわち、光電変換素子523に照射された光が強いほど、配線OUTの電位は低くなる。
次に、期間T25において、配線SELの電位をローレベルとする。これにより、配線OUTへの撮像データに対応する電位の出力が停止する。
以降、期間T26乃至T30において、期間T21乃至T25と同様の動作を行う。なお、図15(B)には、期間T27において光電変換素子523に照射された光の強度が、期間T22よりも弱く、期間T29において配線OUTに出力される電位が期間T24よりも大きい場合を示している。
[基準データ・差分データの取得]
次に、画素21において基準データおよび差分データを取得する際の動作について、図16を用いて説明する。
まず、基準データを取得する第1のフレーム期間(期間T31乃至T35)の動作を説明する。
期間T31において、配線PR、配線FR、配線TXの電位をハイレベルとする。この時、ノードFD1の電位は配線VFRの電位(V1)に設定され、ノードFD2の電位は配線VPRの電位(V2)に設定される。
次に、期間T32において、配線PRの電位をローレベルとする。この時、光電変換素子523に照射された光の強度に応じて、ノードFD2の電位は低下する。ここで、ノードFD2の電位低下をΔV2とすると、ノードFD2の電位はV2−ΔV2となる。なお、光電変換素子523に照射された光が強いほど、ノードFD2の電位は低下する。なお、期間T32において、ノードFD1の電位はV1から変化しない。
次に、期間T33において、配線TXの電位をローレベルとする。これにより、光電変換素子523とノードFD2が非導通状態となり、ノードFD2の電位の低下は止まる。
次に、期間T34において、配線FRの電位をローレベルとする。これにより、トランジスタ513はオフ状態となり、ノードFD1は浮遊状態となる。
次に、期間T35において、配線SELの電位をハイレベルとする。この時、ノードFD1の電位に応じて、配線OUTに基準データに対応する電位が出力される。ここでは、ノードFD1の電位(V1)に応じた電位が、配線OUTに出力される。
期間T35における配線OUTの電位は、基準フレーム期間において取得された基準データに相当する。そして、当該基準データが図1等におけるアナログ処理回路60に出力され、アナログ処理回路60において基準電流が設定される。
次に、差分データを取得する第2のフレーム期間(期間T41乃至T44)の動作を説明する。ここでは、第1のフレームと第2のフレーム間の撮像データの差分がゼロである場合について説明する。
期間T41において、配線PRの電位をハイレベル、配線FRの電位をローレベル、配線TXの電位をハイレベルとする。この時、ノードFD2の電位は配線VPRの電位(V2)に設定される。すなわち、期間T32における電圧降下分(ΔV2)、電位が上昇する。また、容量素子521と、容量素子522とトランジスタ514のゲート容量との合成容量と、の容量結合により、ノードFD1の電位も上昇する。ここで、ノードFD1の電位の上昇をΔV1とすると、ΔV1=ΔV2・αであり、ノードFD1の電位はV1+ΔV1となる。
次に、期間T42において、配線PRの電位をローレベルとする。この時、光電変換素子523に照射された光の強度に応じて、ノードFD2の電位は低下する。また、容量素子521と、容量素子522とトランジスタ514のゲート容量との合成容量と、の容量結合により、ノードFD1の電位も低下する。なお、光電変換素子523に照射された光が強いほど、ノードFD2の電位の低下は大きくなり、ノードFD1の電位の低下も同様に大きくなる。
ここで、期間T42と期間T32の長さを共にTとし、期間T42において期間T32と同強度の光が光電変換素子523に照射しているものとすると、期間T42でのノードFD2の電圧降下分は、期間T32での降下分ΔV2に等しい。また、容量素子521と、容量素子522とトランジスタ514のゲート容量との合成容量と、の容量結合により、ノードFD1の電位も低下する。ここで、ノードFD1の電位の低下はΔV1=ΔV2・αであり、ノードFD1の電位はV1まで低下する。
次に、期間T43において、配線TXの電位をローレベルとする。これにより、光電変換素子523とノードFD2が非導通状態となり、ノードFD2の電位の低下は止まる。
次に、期間T44において、配線SELの電位をハイレベルとする。この時、ノードFD1の電位に対応する電位が、配線OUTに出力される。この配線OUTに出力される電位が、差分データに対応する。なお、ノードFD1の電位が低いほど、配線OUTの電位は低くなる。すなわち、光電変換素子523に照射された光が強いほど、配線OUTの電位は低くなる。
ここで、期間T44において配線OUTに出力される電位は、期間T35における配線OUTの電位と等しい。この場合、期間T35と期間T44で画素21から定電流回路100に入力される電位は等しくなり、定電流回路100に流れる電流は基準電流から変化しない。これは、第1のフレームと第2のフレーム間の撮像データ差分がゼロであることを示す。
次に、差分データを取得する第3のフレーム期間(期間T51乃至T54)の動作を説明する。ここでは、第1のフレームと第3のフレーム間の撮像データの差分が負である場合について説明する。
期間T51において、配線PRの電位をハイレベル、配線FRの電位をローレベル、配線TXの電位をハイレベルとする。この時、ノードFD2の電位は配線VPRの電位(V2)に設定される。すなわち、期間T42における電圧降下分(ΔV2)、電位が上昇する。また、容量素子521と、容量素子522とトランジスタ514のゲート容量との合成容量と、の容量結合により、ノードFD1の電位も上昇する。ここで、ノードFD1の電位の上昇をΔV1とすると、ΔV1=ΔV2・αであり、ノードFD1の電位はV1+ΔV1となる。
次に、期間T52において、配線PRの電位をローレベルとする。この時、光電変換素子523に照射された光の強度に応じて、ノードFD2の電位は低下する。また、容量素子521と、容量素子522とトランジスタ514のゲート容量との合成容量と、の容量結合により、ノードFD1の電位も低下する。なお、期間T52において光電変換素子523に照射された光の強度は、期間T42よりも強いとする。
ここで、期間T52と期間T42の長さを共にTとすると、期間T52でのノードFD2の電圧降下分(ΔV2’)は期間T42での降下分(ΔV2)より大きい(ΔV2’>ΔV2)。また、期間T52でのノードFD1の電圧降下分(ΔV1’=ΔV2’・α)も期間T42での降下分(ΔV1)より大きい(ΔV1’>ΔV1)。したがって、ノードFD1の電位(V1+ΔV1−ΔV1’)は、配線VFRの電位(V1)より低いことになる。
次に、期間T53において、配線TXの電位をローレベルとする。これにより、光電変換素子523とノードFD2が非導通状態となり、ノードFD2の電位の低下は止まる。
次に、期間T54において、配線SELの電位をハイレベルとする。この時、ノードFD1の電位に対応する電位が、配線OUTに出力される。この配線OUTに出力される電位が、差分データに対応する。ここで、期間T54において配線OUTに出力される電位は、期間T44における配線OUTの電位よりも低い。この場合、期間T35、T44と期間T54で画素21から定電流回路100に入力される電位は異なり、定電流回路100に流れる電流は基準電流から変化する。これは、第1のフレームと第3のフレーム間の撮像データの差分が負であることを示す。
次に、差分データを取得する第4のフレーム期間(期間T61乃至T64)の動作を説明する。ここでは、第1のフレームと第3のフレーム間の撮像データの差分が正である場合について説明する。
期間T61において、配線PRの電位をハイレベル、配線FRの電位をローレベル、配線TXの電位をハイレベルとする。この時、ノードFD2の電位は配線VPRの電位(V2)に設定される。すなわち、期間T52における電圧降下分(ΔV2’)、電位が上昇する。また、容量素子521と、容量素子522とトランジスタ514のゲート容量との合成容量と、の容量結合により、期間T52における電圧降下分(ΔV1’)、ノードFD1の電位も上昇する。これにより、期間T61におけるノードFD1の電位は、V1+ΔV1となる。
次に、期間T62において、配線PRの電位をローレベルとする。この時、光電変換素子523に照射された光の強度に応じて、ノードFD2の電位は低下し、また、容量素子521と、容量素子522とトランジスタ514のゲート容量との合成容量と、の容量結合により、ノードFD1の電位も低下する。なお、期間T62において光電変換素子523に照射された光の強度は、期間T42よりも弱いとする。
ここで、期間T62と期間T42の長さを共にTとすると、期間T62でのノードFD2の電圧降下分(ΔV2’’)は、期間T42での降下分(ΔV2)より小さい(ΔV2’’<ΔV2)。また、期間T62でのノードFD1の電圧降下分(ΔV1’’=ΔV2’’・α)も、期間T42での降下分(ΔV1)より小さい(ΔV1’’<ΔV1)。したがって、ノードFD1の電位(V1+ΔV1−ΔV1’’)は、配線VFRの電位(V1)より高いことになる。
次に、期間T63において、配線TXの電位をローレベルとする。これにより、光電変換素子523とノードFD2が非導通状態となり、ノードFD2の電位の低下は止まる。
次に、期間T64において、配線SELの電位をハイレベルとする。この時、ノードFD1の電位に対応する電位が、配線OUTに出力される。この配線OUTに出力される電位が、差分データに対応する。ここで、期間T64において配線OUTに出力される電位は、期間T44において配線OUTの電位よりも高い。この場合、期間T35、T44と期間T64で画素21から定電流回路100に入力される電位は異なり、定電流回路100に流れる電流は基準電流から変化する。これは、第1のフレームと第4のフレーム間の撮像データ差分が正であることを示す。
以上のように画素21を図15(A)に示す構成とすることにより、差分データの取得、保持を行うことができる。
<画素の変形例>
画素21は、図15(A)と異なる構成とすることもできる。以下、画素21の変形例について説明する。
[変形例1]
画素21において、トランジスタ511および光電変換素子523が複数設けられていてもよい。例えば、図17(A)に示すように、画素21には、光電変換素子523A、523B、トランジスタ511A、511Bを設けてもよい。トランジスタ511Aのゲートは配線TXAと接続され、トランジスタ511Bのゲートは配線TXBと接続されている。
また、例えば、図17(B)に示すように、画素21には、光電変換素子523A乃至523C、トランジスタ511A乃至511Cを設けてもよい。トランジスタ511Aのゲートは配線TXAと接続され、トランジスタ511Bのゲートは配線TXBと接続され、トランジスタ511Cのゲートは配線TXCと接続されている。
なお、図17(A)、(B)のようにフォトダイオードを複数配置する場合、フォトダイオードの受光面の大きさを異ならせてもよい。例えば、図18(A)に示すように、異なる大きさの受光面を有する光電変換素子523Aと光電変換素子523Bとを設けてもよい。光電変換素子523Aは配線VPD_Aと接続され、光電変換素子523Bは配線VPD_Bと接続されている。配線VPD_Aの電位と配線VPD_Bの電位は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、例えば、図18(B)に示すように、1つのトランジスタ511に異なる大きさの受光面を有する光電変換素子523Aと光電変換素子523Bとを接続した構成としてもよい。図18(A)または図18(B)に示すような構成とすることで、分光感度の異なるフォトダイオードを用いて撮像を行うことができ、撮像場所の明暗に応じた撮像を行うことができる。なお、フォトダイオードの分光感度を異ならせるためには、フォトダイオードの受光面の大きさを異ならせる手段の他、異なる種類の半導体材料を受光面に設ける等の手段を用いてもよい。
なお、図15(A)では、トランジスタ514を流れる電流が配線VOから配線OUTの向きに流れる場合の動作を説明したが、電流の流れる方向は逆方向でもよい。すなわち、画素21は、トランジスタ514を流れる電流が、配線OUTから配線VOの向きに流れるような構成としてもよい。この場合、例えば、画素21を図19に示すような構成とすればよい。なお、図19に示す画素21においては、配線VOには低電位を供給し、配線OUTには高電位を供給する構成とすればよい。
なお、図15(A)においては、同じ電位を供給する配線であっても異なる配線として図示したが、これらの配線は同一の配線であってもよい。
[変形例2]
図20(A)に、図15(A)におけるトランジスタにOSトランジスタを用いた画素21の構成例を示す。図20(A)に示す画素21では、トランジスタ511乃至515としてOSトランジスタを用いている。なお、図中、「OS」の記号を付したトランジスタは、OSトランジスタである。
OSトランジスタは、オフ電流が極めて低いという特性を有する。そのため、画素21にOSトランジスタを用いることにより、撮像のダイナミックレンジを拡大することができる。図20(A)に示す画素21においては、光電変換素子523に照射された光の強度が大きいときに、ノードFD1の電位が低下する。ここで、OSトランジスタのオフ電流は極めて低いため、トランジスタ514のゲートの電位が極めて小さい場合においても、当該電位に応じた電流を正確に出力することができる。したがって、検出することのできる照度のレンジ、すなわちダイナミックレンジを広げることができる。
また、OSトランジスタのオフ電流は極めて低いため、ノードFD1に電荷を保持する期間を極めて長くすることができる。これにより、回路構成や動作方法を複雑にすることなくグローバルシャッタ方式を適用することができる。したがって、動体であっても歪みの小さい画像を容易に得ることができる。また、同様の理由により露光時間(電荷の蓄積動作を行う期間)を長くすることもできるため、低照度環境における撮像にも適している。
また、OSトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを含むトランジスタ(以下、Siトランジスタともいう)などの他のトランジスタよりも、温度の変化による電気特性の変動が小さい。そのため、画素21は極めて広い温度範囲で動作させることができる。したがって、OSトランジスタを有する半導体装置や撮像装置は、自動車、航空機、宇宙機などへの搭載にも適している。
図20(A)に示す画素21は、シリコンを用いて形成したフォトダイオードと、OSトランジスタによって構成することができる。このような構成とすることで、画素にSiトランジスタを形成する必要が無いため、フォトダイオードの有効面積を増大することが容易になる。したがって、撮像感度を向上させることができる。
また、画素21に加えて、図1に示す駆動回路30、A/D変換回路40、駆動回路50、アナログ処理回路60、制御回路70などの周辺回路も、OSトランジスタによって構成することができる。周辺回路をOSトランジスタのみで形成する構成は、Siトランジスタの形成工程が不要となるため、半導体装置の低価格化に有効である。また、周辺回路をnチャネル型のOSトランジスタとpチャネル型のSiトランジスタによって構成してもよい。この場合、nチャネル型のSiトランジスタを形成する必要がなく、工程の削減が可能となる。これにより、半導体装置の低価格化を図ることができる。さらに、周辺回路をCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路とすることができ、周辺回路の低消費電力化に有効である。
[変形例3]
図20(B)に、図20(A)をさらに変形した画素21の構成例を示す。図20(B)に示す画素21では、トランジスタ514、515をSiトランジスタによって構成している。図中、「Si」の記号を付したトランジスタは、Siトランジスタである。トランジスタ514、515は、単結晶トランジスタとすることが好ましい。
Siトランジスタは、OSトランジスタに比べて優れた電界効果移動度を有する。そのため、増幅トランジスタとして機能するトランジスタ514に流れる電流値を増やすことができる。例えば、図20(B)において、ノードFD1に蓄積された電荷に応じて、トランジスタ514、515に流れる電流値を増やすことができる。
[変形例4]
図21に、図15(A)における光電変換素子523を、センサSISとした画素21の構成を示す。
センサSISとしては、与えられた物理量を電流値Isに変換できる素子であることが好ましい。あるいは、与えられた物理量を、一度別の物理量に変換した上で、電流値に変換できる素子であることが好ましい。
センサSISにはさまざまなセンサを用いることができる。例えば、センサSISとして、温度センサ、光センサ、ガスセンサ、炎センサ、煙センサ、湿度センサ、圧力センサ、流量センサ、振動センサ、音声センサ、磁気センサ、放射線センサ、匂いセンサ、花粉センサ、加速度センサ、傾斜角センサ、ジャイロセンサ、方位センサ、電力センサなどを用いることができる。
例えば、センサSISとして光センサを用いる場合は、上述したフォトダイオードや、フォトトランジスタを用いることが可能である。
また、センサSISとしてガスセンサを用いる場合は、酸化スズなどの金属酸化物半導体にガスが吸着することによる抵抗の変化を検出する半導体式ガスセンサ、接触燃焼式ガスセンサ、固体電解質式ガスセンサなどを用いることが可能である。
[変形例4]
図22(A)に、図15(A)における光電変換素子523、または図21におけるセンサSISを、セレン系半導体SSe有するセンサとした画素21の構成を示す。
セレン系半導体SSeとしては、電圧を印加することで1個の入射光子から複数の電子を取り出すことのできる、アバランシェ増倍という現象を利用して光電変換が可能な素子である。従って、セレン系半導体SSeを有する画素21では、入射される光量に対して多量の電子を取り出すことができ、画素21における撮像の感度を上げることができる。
セレン系半導体SSeとしては、非晶質性を有するセレン系半導体、または結晶性を有するセレン系半導体を用いることができる。結晶性を有するセレン系半導体は、例えば、非晶質性を有するセレン系半導体を成膜後、熱処理することで得ることができる。なお、結晶性を有するセレン系半導体の結晶粒径を画素ピッチより小さくすることで、画素ごとの特性ばらつきが低減し、得られる画像の画質が均一になるため好ましい。
セレン系半導体SSeの中でも結晶性を有するセレン系半導体は、光吸収係数を広い波長帯域にわたって有するといった特性を有する。そのため、可視光や紫外光に加えて、X線やガンマ線といった幅広い波長帯域の撮像に利用することができ、X線やガンマ線といった短い波長帯域の光を直接電荷に変換できる、所謂直接変換型の素子として用いることができる。
図22(B)は、図22(A)に示す画素21の一部の断面構造を表す模式図である。図22(B)には、トランジスタ511、トランジスタ511に接続されている電極EPIX、セレン系半導体SSe、電極EVPD、基板Subを図示している。
電極EVPD、及び基板Subが設けられる側より、セレン系半導体SSeに向けて光が入射する。そのため、電極EVPD、及び基板Subは透光性を有することが好ましい。電極EVPDとしては、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)などを用い、基板Subとしては、ガラス基板などを用いることができる。
セレン系半導体SSe、およびセレン系半導体SSeに積層して設ける電極EVPDは、画素毎に形状を加工することなく用いることができる。そのため、形状を加工するための工程を削減することができ、作製コストの低減、および作製歩留まりの向上を図ることができる。
なお、セレン系半導体SSeは、一例として、カルコパイライト系半導体を挙げることができる。具体例としては、CuIn1−xGaxSe2(0≦x≦1)(CIGSと略記)を挙げることができる。CIGSは、蒸着法、スパッタリング法等を用いて形成することができる。
カルコパイライト系半導体であるセレン系半導体SSeは、5乃至20V程度の電圧を印加することで、アバランシェ増倍を発現できる。そのため、セレン系半導体SSeにこのような電圧を印加することにより、光感度を高くできる。なお、セレン系半導体SSeの膜厚を1μm以下と薄くすることにより、セレン系半導体SSeに印加する電圧を小さくすることができる。
なお、セレン系半導体SSeの膜厚が薄い場合、電圧印加時に暗電流が流れることがあるが、上述したカルコパイライト系半導体であるCIGSに暗電流が流れることを防ぐための層(正孔注入障壁層)を設けることで、暗電流を抑制できる。正孔注入障壁層としては酸化物半導体を用いればよく、一例としては酸化ガリウムを用いることができる。正孔注入障壁層の膜厚は、セレン系半導体SSeの膜厚より小さいことが好ましい。
図22(C)は、図22(B)と異なる断面構造の模式図である。図22(C)に示す画素21は、トランジスタ511、トランジスタ511に接続される電極EPIX、セレン系半導体SSe、電極EVPD、基板Subに加えて、正孔注入障壁層EOSを有している。
以上のように、センサとしてセレン系半導体SSeを用いることにより、作製コストの低減、作製歩留まりの向上、または画素ごとの特性ばらつき低減を図ることができ、高感度のセンサを構成することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置を用いた撮像システムについて説明する。
図23に、撮像システム600の構成例を示す。撮像システム600は、光検出部610、データ処理部620を有する。
光検出部610は、画素部20、駆動回路30、A/D変換回路40、駆動回路50、アナログ処理回路60、制御回路70を有する。光検出部610は、図1に示す半導体装置10と同様の構成を有する。画素部20において取得された画像データは、駆動回路50を介して、信号Imageとしてデータ処理部620に出力される。
撮像システム600においては、画素部20において取得した差分データを、フレーム間圧縮を施した撮像データとして用いる。そのため、光検出部610とデータ処理部620間で送受信される撮像データのデータ量を低減し、送受信の高速化を図ることができる。さらに、光検出部610は、画素部20の内部で撮像データの圧縮を行うことができるため、駆動回路50から出力される画像データに圧縮処理を施す回路を省略することができる。そのため、撮像システム600の面積の縮小や消費電力の低減を図ることができる。
データ処理部620は、プロセッサ621、デコーダ622、記憶回路623を有する。プロセッサ621は、デコーダ622、記憶回路623を制御する機能を有する。具体的には、プロセッサ621は、デコーダ622による圧縮データの伸張や、記憶回路623によるデータの読み書きを制御する機能を有する。プロセッサ621としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などを用いることができる。
デコーダ622は、光検出部610から入力された差分データに基づいて、画像データを生成する機能を有する。具体的には、デコーダ622は、圧縮データに相当する信号Imageの伸張を行う機能を有する。
記憶回路623は、光検出部610から入力された差分データや、プロセッサ621、またはデコーダ622における処理によって得られたデータを記憶する機能を有する。なお、記憶回路623に含まれるメモリセルには、オフ電流が極めて小さいOSトランジスタを用いることが好ましい。これにより、記憶回路623への電力の供給が停止された期間においても、メモリセルに長期間データを保持することができる。画素部20と記憶回路623が共にOSトランジスタを有する場合、これらのトランジスタは同一の工程で作成することができる。
なお、画素部20には、画像を表示する機能を有する回路を設けてもよい。これにより、撮像システム600にタッチパネルの機能を付加することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の構造例について説明する。なお、以下に説明する半導体装置は、撮像装置として用いることができる。
図24(A)は、本発明の一態様の半導体装置の断面図の一例であり、図15(A)に示す画素21における光電変換素子523、トランジスタ511およびトランジスタ512の具体的な接続形態の一例を示している。図24(A)に示す半導体装置は、トランジスタ511乃至トランジスタ515が設けられる層1100、および光電変換素子523が設けられる層1200を有する。
なお、本実施の形態で説明する断面図において、各配線、各電極および各導電体881を個別の要素として図示しているが、それらが電気的に接続している場合においては、同一の要素として設けられる場合もある。また、トランジスタのゲート電極、ソース電極、またはドレイン電極が導電体881を介して各配線と接続される形態は一例であり、トランジスタのゲート電極、ソース電極、またはドレイン電極のそれぞれが配線としての機能を有する場合もある。
また、各要素上には保護膜、層間絶縁膜または平坦化膜としての機能を有する絶縁層882および絶縁層883等が設けられる。例えば、絶縁層882および絶縁層883等は、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。または、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜などを用いてもよい。絶縁層882および絶縁層883等の上面は、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
なお、図面に示される配線等の一部が設けられない場合や、図面に示されない配線等やトランジスタ等が各層に含まれる場合もある。また、図面に示されない層が含まれる場合もある。また、図面に示される層の一部が含まれない場合もある。
トランジスタ511およびトランジスタ512には、OSトランジスタを用いることが特に好ましい。
OSトランジスタは極めて低いオフ電流特性を有するため、撮像のダイナミックレンジを拡大することができる。画素21の構成では、光電変換素子523に入射される光の強度が小さいときに電荷蓄積部(ノードFD2)の電位が小さくなる。酸化物半導体を用いたトランジスタは極めてオフ電流が低いため、ゲート電位が極めて小さい場合においても当該ゲート電位に応じた電流を正確に出力することができる。したがって、検出することのできる照度のレンジ、すなわちダイナミックレンジを広げることができる。
また、トランジスタ511およびトランジスタ512の低いオフ電流特性によって電荷蓄積部(ノードFD1)および電荷蓄積部(ノードFD2)で電荷を保持できる期間を極めて長くすることができる。そのため、回路構成や動作方法を複雑にすることなく、全画素で同時に電荷の蓄積動作を行うグローバルシャッタ方式を適用することができる。
一般的に、画素がマトリクス状に配置された撮像装置では、図25(A)に示す、行毎に撮像動作811、データ保持動作812、読み出し動作813を行う駆動方法であるローリングシャッタ方式が用いられる。ローリングシャッタ方式を用いる場合には、撮像の同時性が失われるため、被写体が移動した場合には、画像に歪が生じてしまう場合がある。
したがって、本発明の一態様は、図25(B)に示す、全行で同時に撮像動作811を行い、行毎に順次読み出し動作813を行うことができるグローバルシャッタ方式を用いることが好ましい。グローバルシャッタ方式を用いることで、撮像装置の各画素における撮像の同時性を確保することができ、被写体が移動する場合であっても歪の小さい画像を容易に得ることができる。また、グローバルシャッタ方式により露光時間(電荷の蓄積動作を行う期間)を長くすることもできることから、低照度環境における撮像にも適する。
また、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも電気特性変動の温度依存性が小さいため、極めて広い温度範囲で使用することができる。また、OSトランジスタは、Siトランジスタよりもドレイン耐圧の高い特性を有する。セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子では、アバランシェ現象が起こりやすいように比較的高い電圧(例えば、10V以上)を印加することが好ましい。したがって、OSトランジスタと、セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子とを組み合わせることで、信頼性の高い撮像装置とすることができる。
なお、図24(A)において、各トランジスタはバックゲートを有する形態を例示しているが、図24(B)に示すように、バックゲートを有さない形態であってもよい。また、図24(C)に示すように一部のトランジスタ、例えばトランジスタ511のみにバックゲートを有するような形態であってもよい。当該バックゲートは、対向して設けられるトランジスタのフロントゲートと電気的に接続する場合がある。または、当該バックゲートにフロントゲートとは異なる固定電位が供給される場合がある。なお、当該バックゲート有無に関する形態は、本実施の形態で説明する他の撮像装置の形態にも適用することができる。
層1200に設けられる光電変換素子523は、様々な形態の素子を用いることができる。図24(A)では、セレン系材料を光電変換層861に用いた形態を図示している。セレン系材料を用いた光電変換素子523は、可視光に対する外部量子効率が高い特性を有する。当該光電変換素子では、アバランシェ現象により入射される光量に対する電子の増幅が大きい高感度のセンサとすることができる。また、セレン系材料は光吸収係数が高いため、光電変換層861を薄くしやすい利点を有する。
セレン系材料としては、非晶質セレンまたは結晶セレンを用いることができる。結晶セレンは、一例として、非晶質セレンを成膜後、熱処理することで得ることができる。なお、結晶セレンの結晶粒径を画素ピッチより小さくすることで、画素ごとの特性ばらつきを低減させることができる。また、結晶セレンは、非晶質セレンよりも可視光に対する分光感度や光吸収係数が高い特性を有する。
また、光電変換層861は、銅、インジウム、セレンの化合物(CIS)を含む層であってもよい。または、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物(CIGS)を含む層であってもよい。CISおよびCIGSでは、セレンの単層と同様にアバランシェ現象が利用できる光電変換素子を形成することができる。
セレン系材料を用いた光電変換素子523は、例えば、金属材料などで形成された電極866と透光性導電層862との間に光電変換層861を有する構成とすることができる。また、CISおよびCIGSはp型半導体であり、接合を形成するためにn型半導体の硫化カドミウムや硫化亜鉛等を接して設けてもよい。
アバランシェ現象を発生させるためには、光電変換素子に比較的高い電圧(例えば、10V以上)を印加することが好ましい。OSトランジスタは、Siトランジスタよりもドレイン耐圧の高い特性を有するため、光電変換素子に比較的高い電圧を印加することが容易である。したがって、ドレイン耐圧の高いOSトランジスタと、セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子とを組み合わせることで、高感度、かつ信頼性の高い撮像装置とすることができる。
なお、図24(A)では、光電変換層861および透光性導電層862を回路間で分離しない構成としているが、図26(A)に示すように回路間で分離する構成としてもよい。また、画素間において、電極866を有さない領域には、絶縁体で隔壁867を設け、光電変換層861および透光性導電層862に亀裂が入らないようにすることが好ましいが、図26(B)に示すように隔壁867を設けない構成としてもよい。また、図24(A)では、透光性導電層862と配線872との間に配線888および導電体881を介する構成を図示しているが、図26(C)、(D)に示すように透光性導電層862と配線872が直接接する形態としてもよい。
また、電極866および配線872等は多層としてもよい。例えば、図27(A)に示すように、電極866を導電層866aおよび導電層866bの二層とし、配線872を導電層872aおよび導電層872bの二層とすることができる。図27(A)の構成においては、例えば、導電層866aおよび導電層872aを低抵抗の金属等を選択して形成し、導電層866bおよび導電層872bを光電変換層861とコンタクト特性の良い金属等を選択して形成するとよい。このような構成とすることで、光電変換素子の電気特性を向上させることができる。また、一部の金属は透光性導電層862と接触することにより電蝕を起こすことがある。そのような金属を導電層872aに用いた場合でも導電層872bを介することによって電蝕を防止することができる。
導電層866bおよび導電層872bには、例えば、モリブデンやタングステンなどを用いることができる。また、導電層866aおよび導電層872aには、例えば、アルミニウム、チタン、またはアルミニウムをチタンで挟むような積層を用いることができる。
また、絶縁層882等が多層である構成であってもよい。例えば、図27(B)に示すように、絶縁層882が絶縁層882aおよび絶縁層882bを有し、かつ絶縁層882aと絶縁層882bとのエッチングレート等が異なる場合は、導電体881は段差を有するようになる。層間絶縁膜や平坦化膜に用いられるその他の絶縁層が多層である場合も同様に導電体881は段差を有するようになる。なお、ここでは絶縁層882が2層である例を示したが、絶縁層882およびその他の絶縁層は3層以上の構成であってもよい。
また、図24(A)、図26(A)乃至図26(D)および図27(B)に示す電極866、ならびに図27(A)に示す導電層866bは、光電変換層861の被覆性不良などに起因する透光性導電層862との短絡を防止するため、平坦性が高いことが好ましい。なお、上述した電極866および導電層866bの平坦性を向上させると光電変換層861との密着性が向上することもある。
平坦性が高い導電膜としては、例えば、シリコンが1乃至20%添加された酸化インジウム錫膜などが挙げられる。シリコンが添加された酸化インジウム錫膜の平坦性が高いことは、原子間力顕微鏡を用いた測定によって確かめられている。350℃で1時間熱処理した酸化インジウム錫膜と同処理を施したシリコン10%が添加された酸化インジウム錫膜のそれぞれについて、2μm×2μmの領域を原子間力顕微鏡で測定した結果、前者の最大高低差(P−V)は23.3nmであったが、後者は7.9nmであった。
酸化インジウム錫膜は、成膜時に非晶質であっても比較的低温で結晶化するため、結晶粒成長による表面荒れが生じやすい。一方、シリコンが添加された酸化インジウム錫膜は、400℃超の熱処理を行ってもX線回折分析によるピークの出現は認められない。つまり、シリコンが添加された酸化インジウム錫膜は、比較的高温の熱処理を行っても非晶質状態を維持する。したがって、シリコンが添加された酸化インジウム錫膜は表面荒れが生じにくい。
なお、隔壁867は、無機絶縁体や絶縁有機樹脂などを用いて形成することができる。また、隔壁867は、トランジスタ等に対する遮光のため、および/または1画素あたりの受光部の面積を確定するために黒色等に着色されていてもよい。
また、光電変換素子523には、非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜などを用いたpin型ダイオード素子などを用いてもよい。
例えば、図28は光電変換素子523にpin型の薄膜フォトダイオードを用いた例である。当該フォトダイオードは、p型の半導体層865、i型の半導体層864、およびn型の半導体層863が順に積層された構成を有している。i型の半導体層864には非晶質シリコンを用いることが好ましい。また、n型の半導体層863およびp型の半導体層865には、それぞれの導電型を付与するドーパントを含む非晶質シリコンまたは微結晶シリコンなどを用いることができる。非晶質シリコンを光電変換層とするフォトダイオードは可視光の波長領域における感度が高く、微弱な可視光を検知しやすい。
図28に示す光電変換素子523では、p型の半導体層865がトランジスタ511と電気的な接続を有する電極866と電気的な接続を有する。また、n型の半導体層863が導電体881を介して配線872と電気的な接続を有する。
また、pin型の薄膜フォトダイオードの形態を有する光電変換素子523の構成、ならびに光電変換素子523および配線の接続形態は、図29(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す例であってもよい。なお、光電変換素子523の構成、光電変換素子523と配線の接続形態はこれらに限定されず、他の形態であってもよい。
図29(A)は、光電変換素子523のp型の半導体層863と接する透光性導電層862を設けた構成である。透光性導電層862は電極として作用し、光電変換素子523の出力電流を高めることができる。
透光性導電層862には、例えば、インジウム錫酸化物、シリコンを含むインジウム錫酸化物、亜鉛を含む酸化インジウム、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、アルミニウムを含む酸化亜鉛、酸化錫、フッ素を含む酸化錫、アンチモンを含む酸化錫、またはグラフェン等を用いることができる。また、透光性導電層862は単層に限らず、異なる膜の積層であっても良い。
図29(B)は、光電変換素子523のn型の半導体層863と配線888が電気的な接続を直接有する構成である。
図29(C)は、光電変換素子523のn型の半導体層863と接する透光性導電層862が設けられ、配線888と透光性導電層862が電気的な接続を有する構成である。
図29(D)は、光電変換素子523を覆う絶縁層にn型の半導体層863が露出する開口部が設けられ、当該開口部を覆う透光性導電層862と配線888が電気的な接続を有する構成である。
図29(E)は、光電変換素子523を貫通する導電体881が設けられた構成である。当該構成では、配線872は導電体881を介してn型の半導体層863と電気的に接続される。なお、図面上では、配線872と電極866とは、p型の半導体層865を介して見かけ上導通してしまう形態を示している。しかしながら、p型の半導体層865の横方向の抵抗が高いため、配線872と電極866との間に適切な間隔を設ければ、両者間は極めて高抵抗となる。したがって、光電変換素子523は、アノードとカソードが短絡することなく、ダイオード特性を有することができる。なお、n型の半導体層863と電気的に接続される導電体881は複数であってもよい。
図29(F)は、図29(E)の光電変換素子523に対して、n型の半導体層863と接する透光性導電層862を設けた構成である。
なお、図29(D)、図29(E)、および図29(F)に示す光電変換素子523では、受光領域と配線等が重ならないため、広い受光面積を確保できる利点を有する。
また、光電変換素子523には、図30に示すように、シリコン基板830を光電変換層としたフォトダイオードを用いることもできる。
上述したセレン系材料や非晶質シリコンなどを用いて形成した光電変換素子523は、成膜工程、リソグラフィ工程、エッチング工程などの一般的な半導体作製工程を用いて作製するこができる。また、セレン系材料は高抵抗であり、図24(A)に示すように、光電変換層861を回路間で分離しない構成とすることもできる。したがって、本発明の一態様の撮像装置は、歩留りが高く、低コストで作製することができる。一方で、シリコン基板830を光電変換層としたフォトダイオードを形成する場合は、研磨工程や貼り合わせ工程などの難度の高い工程が必要となる。
また、本発明の一態様の撮像装置は、回路が形成されたシリコン基板830が積層された構成としてもよい。例えば、図31(A)に示すようにシリコン基板830に活性領域を有するトランジスタ831およびトランジスタ832を有する層1400が画素と重なる構成とすることができる。なお、図31(B)はトランジスタのチャネル幅方向の断面図に相当する。
ここで、図31(A)、(B)において、Siトランジスタはフィン型の構成を例示しているが、図32(A)に示すようにプレーナー型であってもよい。または、図32(B)に示すように、シリコン薄膜の活性層835を有するトランジスタであってもよい。また、活性層835は、多結晶シリコンやSOI(Silicon on Insulator)の単結晶シリコンとすることができる。
シリコン基板830に形成された回路は、画素回路が出力する信号を読み出す機能や当該信号を変換する処理などを行う機能を有することができ、例えば、図32(C)に示す回路図のようなCMOSインバータを含む構成とすることができる。トランジスタ831(nチャネル型)およびトランジスタ832(pチャネル型)のゲートは電気的に接続される。また、一方のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、他方のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。また、両方のトランジスタのソースまたはドレインの他方はそれぞれ別の配線に電気的に接続される。
また、シリコン基板830はバルクのシリコン基板に限らず、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体を材料とする基板を用いることもできる。
ここで、図30および図31(A)に示すように、酸化物半導体を有するトランジスタが形成される領域と、Siデバイス(SiトランジスタまたはSiフォトダイオード)が形成される領域との間には絶縁層880が設けられる。
トランジスタ831およびトランジスタ832の活性領域近傍に設けられる絶縁層中の水素はシリコンのダングリングボンドを終端する。したがって、当該水素はトランジスタ831およびトランジスタ832の信頼性を向上させる効果がある。一方、トランジスタ511等の活性層である酸化物半導体層の近傍に設けられる絶縁層中の水素は、酸化物半導体層中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、当該水素はトランジスタ511等の信頼性を低下させる要因となる場合がある。したがって、シリコン系半導体材料を用いたトランジスタを有する一方の層と、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する他方の層を積層する場合、これらの間に水素の拡散を防止する機能を有する絶縁層880を設けることが好ましい。絶縁層880により、一方の層に水素を閉じ込めることでトランジスタ831およびトランジスタ832の信頼性が向上することができる。また、一方の層から他方の層への水素の拡散が抑制されることでトランジスタ511等の信頼性も向上させることができる。
絶縁層880としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
なお、図31(A)に示すような構成では、シリコン基板830に形成される回路(例えば、駆動回路)と、トランジスタ511等と、光電変換素子523とを重なるように形成することができるため、画素の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解像度を高めることができる。例えば、画素数が4k2k、8k4kまたは16k8kなどの撮像装置に用いることが適する。なお、画素21が有するトランジスタ514およびトランジスタ515等をSiトランジスタで形成し、トランジスタ511等および光電変換素子523と、重なる領域を有する構成とすることもできる。
また、図31(A)に示す撮像装置は、シリコン基板830には光電変換素子を設けない構成である。したがって、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光電変換素子523に対する光路を確保することができ、高開口率の画素を形成することができる。
また、本発明の一態様の半導体装置は、図33に示す構成とすることができる。
図33に示す撮像装置は、図31(A)に示す半導体装置の変形例であり、OSトランジスタおよびSiトランジスタでCMOSインバータを構成する例を図示している。
ここで、層1400に設けるSiトランジスタであるトランジスタ832はpチャネル型とし、層1100に設けるOSトランジスタであるトランジスタ831はnチャネル型とする。pチャネル型トランジスタのみをシリコン基板830に設けることで、ウェル形成やn型不純物層形成など工程を省くことができる。
なお、図33に示す半導体装置は、光電変換素子523にセレン等を用いた例を示したが、図28と同様にpin型の薄膜フォトダイオードを用いた構成としてもよい。
図33に示す半導体装置において、トランジスタ831は、層1100に形成するトランジスタ511およびトランジスタ512と同一の工程で作製することができる。したがって、撮像装置の製造工程を簡略化することができる。
また、本発明の一態様の半導体装置は、図34に示すように、シリコン基板836に形成されたフォトダイオードおよびその上に形成されたOSトランジスタで構成された画素を有する構成と、回路が形成されたシリコン基板830とを貼り合わせた構成としてもよい。このような構成とすることで、シリコン基板836に形成するフォトダイオードの実効的な面積を向上することが容易になる。また、シリコン基板830に形成する回路を微細化したSiトランジスタで高集積化することで高性能な半導体装置を提供することができる。
また、図34の変形例として、図35および図36に示すように、OSトランジスタおよびSiトランジスタで回路を構成する形態であってもよい。このような構成とすることで、シリコン基板836に形成するフォトダイオードの実効的な面積を向上することが容易になる。また、シリコン基板830に形成する回路を微細化したSiトランジスタで高集積化することで高性能な半導体装置を提供することができる。
図35の構成は、シリコン基板830の上のOSトランジスタおよびSiトランジスタで構成した不揮発性メモリを形成することができ、画像処理回路などを形成する場合に有効である。また、図35の構成の場合、シリコン基板830の上のOSトランジスタおよびSiトランジスタでCMOS回路を構成することができる。OSトランジスタは極めてオフ電流が低いため、静的なリーク電流が極めて少ないCMOS回路を構成することができる。
図36の構成は、シリコン基板836の上のOSトランジスタおよびシリコン基板830の上のSiトランジスタで構成した不揮発性メモリを形成することができ、画像処理回路などを形成する場合に有効である。また、図36の構成の場合、シリコン基板836の上のOSトランジスタおよびシリコン基板830の上のSiトランジスタでCMOS回路を構成することができる。
なお、本実施の形態における半導体装置が有するトランジスタおよび光電変換素子の構成は一例である。したがって、例えば、トランジスタ511乃至トランジスタ515のいずれか、または一つ以上を活性領域または活性層にシリコン等を有するトランジスタで構成することもできる。また、トランジスタ831およびトランジスタ832の両方また一方を活性層に酸化物半導体層を有するトランジスタで構成することもできる。
図37(A)は、半導体装置にカラーフィルタ等を付加した形態の一例の断面図である。当該断面図は、3画素分の画素回路を有する領域の一部を示している。光電変換素子523が形成される層1200上には、絶縁層2500が形成される。絶縁層2500は可視光に対して透光性の高い酸化シリコン膜などを用いることができる。また、パッシベーション膜として窒化シリコン膜を積層する構成としてもよい。また、反射防止膜として、酸化ハフニウムなどの誘電体膜を積層する構成としてもよい。
絶縁層2500上には、遮光層2510が形成されてもよい。遮光層2510は、上部のカラーフィルタを通る光の混色を防止する機能を有する。遮光層2510には、アルミニウム、タングステンなどの金属層や当該金属層と反射防止膜としての機能を有する誘電体膜を積層する構成とすることができる。
絶縁層2500および遮光層2510上には平坦化膜として有機樹脂層2520を設ける構成とすることができる。また、画素別にカラーフィルタ2530(カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530b、カラーフィルタ2530c)が形成される。例えば、カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530bおよびカラーフィルタ2530cに、R(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、C(シアン)、M(マゼンタ)などの色を割り当てることにより、カラー画像を得ることができる。
カラーフィルタ2530上には、透光性を有する絶縁層2560などを設けることができる。
また、図37(B)に示すように、カラーフィルタ2530の代わりに光学変換層2550を用いてもよい。このような構成とすることで、様々な波長領域における画像が得られる撮像装置とすることができる。
例えば、光学変換層2550に可視光線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層2550に近赤外線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば遠赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層2550に可視光線の波長以上の光を遮るフィルタを用いれば紫外線撮像装置とすることができる。
また、光学変換層2550にシンチレータを用いれば、X線撮像装置などに用いる、放射線の強弱を可視化した画像を得る撮像装置とすることができる。被写体を透過したX線等の放射線がシンチレータに入射されると、フォトルミネッセンスと呼ばれる現象により可視光線や紫外光線などの光(蛍光)に変換される。そして、当該光を光電変換素子523で検知することにより画像データを取得する。また、放射線検出器などに当該構成の撮像装置を用いてもよい。
シンチレータは、X線やガンマ線などの放射線が照射されると、そのエネルギーを吸収して可視光や紫外光を発する物質、または当該物質を含む材料からなる。例えば、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr、Gd2O2S:Eu、BaFCl:Eu、NaI、CsI、CaF2、BaF2、CeF3、LiF、LiI、ZnOなどの材料や、それらを樹脂やセラミクスに分散させたものが知られている。
なお、セレン系材料を用いた光電変換素子523においては、X線等の放射線を電荷に直接変換することができるため、シンチレータを不要とする構成とすることもできる。
カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530bおよびカラーフィルタ2530c上には、マイクロレンズアレイ2540を設けてもよい。マイクロレンズアレイ2540が有する個々のレンズを通る光が直下のカラーフィルタを通り、光電変換素子523に照射されるようになる。なお、図37(A)、(B)、(C)に示す層1200以外の領域を層1600とする。
図37(C)に示す撮像装置の具体的な構成は、図24(A)に示す半導体装置を例にすると、図38に示すようになる。また、図30に示す半導体装置を例にすると、図39に示すようになる。
また、本発明の一態様の半導体装置は、図40および図41に示すように回折格子1500と組み合わせてもよい。回折格子1500を介した被写体の像(回折画像)を画素に取り込み、画素における撮像画像から演算処理により入力画像(被写体の像)を構成することができる。また、レンズの替わりに回折格子1500を用いることで半導体装置のコストを下げることができる。
回折格子1500は、透光性を有する材料で形成することができる。例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。または、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜などを用いてもよい。または、上記無機絶縁膜と有機絶縁膜との積層であってもよい。
また、回折格子1500は、感光性樹脂などを用いたリソグラフィ工程で形成することができる。また、リソグラフィ工程とエッチング工程とを用いて形成することもできる。また、ナノインプリントリソグラフィやレーザスクライブなどを用いて形成することもできる。
なお、回折格子1500とマイクロレンズアレイ2540との間に間隔Xを設けてもよい。間隔Xは、1mm以下、好ましくは100μm以下とすることができる。なお、当該間隔は空間でもよいし、透光性を有する材料を封止層または接着層として設けてもよい。例えば、窒素や希ガスなどの不活性ガスを当該間隔に封じ込めることができる。または、アクリル樹脂、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂などを当該間隔に設けてもよい。またはシリコーンオイルなどの液体を設けてもよい。なお、マイクロレンズアレイ2540を設けない場合においても、カラーフィルタ2530と回折格子1500との間に間隔Xを設けてもよい。
また、半導体装置は、図42(A1)および図42(B1)に示すように湾曲させてもよい。図42(A1)は、半導体装置を同図中の二点鎖線X1−X2の方向に湾曲させた状態を示している。図42(A2)は、図42(A1)中の二点鎖線X1−X2で示した部位の断面図である。図42(A3)は、図42(A1)中の二点鎖線Y1−Y2で示した部位の断面図である。
図42(B1)は、半導体装置を同図中の二点鎖線X3−X4の方向に湾曲させ、かつ、同図中の二点鎖線Y3−Y4の方向に湾曲させた状態を示している。図42(B2)は、図42(B1)中の二点鎖線X3−X4で示した部位の断面図である。図42(B3)は、図42(B1)中の二点鎖線Y3−Y4で示した部位の断面図である。
半導体装置を湾曲させることで、像面湾曲や非点収差を低減することができる。よって、半導体装置と組み合わせて用いるレンズなどの光学設計を容易とすることができる。例えば、収差補正のためのレンズ枚数を低減できるため、半導体装置の小型化や軽量化を容易とすることができる。また、撮像された画像の品質を向上させる事ができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできるOSトランジスタについて図面を用いて説明する。なお、本実施の形態における図面では、明瞭化のために一部の要素を拡大、縮小、または省略して図示している。
図43(A)、(B)は、本発明の一態様のトランジスタ901の上面図および断面図である。図43(A)は上面図であり、図43(A)に示す一点鎖線B1−B2方向の断面が図43(B)に相当する。また、図43(A)に示す一点鎖線B3−B4方向の断面が図45(A)に相当する。また、一点鎖線B1−B2方向をチャネル長方向、一点鎖線B3−B4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ901は、基板915と接する絶縁層920と、絶縁層920と接する酸化物半導体層930と、酸化物半導体層930と電気的に接続する導電層940および導電層950と、酸化物半導体層930、導電層940および導電層950と接する絶縁層960と、絶縁層960と接する導電層970と、導電層940、導電層950、絶縁層960および導電層970と接する絶縁層975と、絶縁層975と接する絶縁層980と、を有する。また、必要に応じて絶縁層980に平坦化膜としての機能を付加してもよい。
ここで、導電層940はソース電極層、導電層950はドレイン電極層、絶縁層960はゲート絶縁膜、導電層970はゲート電極層としてそれぞれ機能することができる。
また、図43(B)に示す領域991はソース領域、領域992はドレイン領域、領域993はチャネル形成領域として機能することができる。領域991および領域992は導電層940および導電層950とそれぞれ接しており、例えば導電層940および導電層950として酸素と結合しやすい導電材料を用いれば領域991および領域992を低抵抗化することができる。
具体的には、酸化物半導体層930と導電層940および導電層950とが接することで酸化物半導体層930内に酸素欠損が生じ、当該酸素欠損と酸化物半導体層930内に残留または外部から拡散する水素との相互作用により、領域991および領域992は低抵抗のn型となる。
また、導電層970は、導電層971および導電層972の二層で形成される例を図示しているが、一層または三層以上の積層であってもよい。当該構成は本実施の形態で説明する他のトランジスタにも適用できる。
また、導電層940および導電層950は単層で形成される例を図示しているが、二層以上の積層であってもよい。当該構成は本実施の形態で説明する他のトランジスタにも適用できる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図43(C)、(D)に示す構成であってもよい。図43(C)はトランジスタ902の上面図であり、図43(C)に示す一点鎖線C1−C2方向の断面が図43(D)に相当する。また、図43(C)に示す一点鎖線C3−C4方向の断面は、図45(B)に相当する。また、一点鎖線C1−C2方向をチャネル長方向、一点鎖線C3−C4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ902は、ゲート絶縁膜として作用する絶縁層960の端部とゲート電極層として作用する導電層970の端部とを一致させない点を除き、トランジスタ901と同様の構成を有する。トランジスタ902の構造は、導電層940および導電層950が絶縁層960で広く覆われているため、導電層940および導電層950と導電層970との間の抵抗が高く、ゲートリーク電流の少ない特徴を有している。
トランジスタ901およびトランジスタ902は、導電層970と導電層940および導電層950が重なる領域を有するトップゲート構造である。当該領域のチャネル長方向の幅は、寄生容量を小さくするために3nm以上300nm未満とすることが好ましい。当該構成では、酸化物半導体層930にオフセット領域が形成されないため、オン電流の高いトランジスタを形成しやすい。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図43(E)、(F)に示す構成であってもよい。図43(E)はトランジスタ903の上面図であり、図43(E)に示す一点鎖線D1−D2方向の断面が図43(F)に相当する。また、図43(E)に示す一点鎖線D3−D4方向の断面は、図45(A)に相当する。また、一点鎖線D1−D2方向をチャネル長方向、一点鎖線D3−D4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ903は、基板915と接する絶縁層920と、絶縁層920と接する酸化物半導体層930と、酸化物半導体層930と接する絶縁層960と、絶縁層960と接する導電層970と、酸化物半導体層930、絶縁層960および導電層970を覆う絶縁層975と、絶縁層975と接する絶縁層980と、絶縁層975および絶縁層980に設けられた開口部を通じて酸化物半導体層930と電気的に接続する導電層940および導電層950を有する。また、必要に応じて絶縁層980、導電層940および導電層950に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
ここで、導電層940はソース電極層、導電層950はドレイン電極層、絶縁層960はゲート絶縁膜、導電層970はゲート電極層としてそれぞれ機能することができる。
また、図43(F)に示す領域991はソース領域、領域992はドレイン領域、領域993はチャネル形成領域として機能することができる。領域991および領域992は絶縁層975と接しており、例えば絶縁層975として水素を含む絶縁材料を用いれば領域991および領域992を低抵抗化することができる。
具体的には、絶縁層975を形成するまでの工程により領域991および領域992に生じる酸素欠損と、絶縁層975から領域991および領域992に拡散する水素との相互作用により、領域991および領域992は低抵抗のn型となる。なお、水素を含む絶縁材料としては、例えば窒化シリコンや窒化アルミニウムなどを用いることができる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図44(A)、(B)に示す構成であってもよい。図44(A)はトランジスタ904の上面図であり、図44(A)に示す一点鎖線E1−E2方向の断面が図44(B)に相当する。また、図44(A)に示す一点鎖線E3−E4方向の断面は、図45(A)に相当する。また、一点鎖線E1−E2方向をチャネル長方向、一点鎖線E3−E4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ904は、導電層940および導電層950が酸化物半導体層930の端部を覆うように接している点を除き、トランジスタ903と同様の構成を有する。
また、図44(B)に示す領域994および領域997はソース領域、領域995および領域998はドレイン領域、領域996はチャネル形成領域として機能することができる。
領域994および領域995は、トランジスタ901における領域991および領域992と同様に低抵抗化することができる。
また、領域997および領域998は、トランジスタ903における領域991および領域992と同様に低抵抗化することができる。なお、チャネル長方向における領域997および領域998の長さが100nm以下、好ましくは50nm以下の場合には、ゲート電界の寄与によりオン電流は大きく低下しない。したがって、領域997および領域998の低抵抗化を行わない場合もある。
トランジスタ903およびトランジスタ904は、導電層970と導電層940および導電層950が重なる領域を有さないセルフアライン構造である。セルフアライン構造のトランジスタはゲート電極層とソース電極層およびドレイン電極層間の寄生容量が極めて小さいため、高速動作用途に適している。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図44(C)、(D)に示す構成であってもよい。図44(C)はトランジスタ905の上面図であり、図44(C)に示す一点鎖線F1−F2方向の断面が図44(D)に相当する。また、図44(C)に示す一点鎖線F3−F4方向の断面は、図45(A)に相当する。また、一点鎖線F1−F2方向をチャネル長方向、一点鎖線F3−F4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ905は、基板915と接する絶縁層920と、絶縁層920と接する酸化物半導体層930と、酸化物半導体層930と電気的に接続する導電層941および導電層951と、酸化物半導体層930、導電層941、導電層951と接する絶縁層960と、絶縁層960と接する導電層970と、酸化物半導体層930、導電層941、導電層951、絶縁層960および導電層970と接する絶縁層975と、絶縁層975と接する絶縁層980と、絶縁層975および絶縁層980に設けられた開口部を通じて導電層941および導電層951とそれぞれ電気的に接続する導電層942および導電層952を有する。また、必要に応じて絶縁層980、導電層942および導電層952に接する絶縁層などを有していてもよい。
ここで、導電層941および導電層951は、酸化物半導体層930の上面と接し、側面には接しない構成となっている。
トランジスタ905は、導電層941および導電層951を有する点、絶縁層975および絶縁層980に設けられた開口部を有する点、ならびに当該開口部を通じて導電層941および導電層951とそれぞれ電気的に接続する導電層942および導電層952を有する点を除き、トランジスタ901と同様の構成を有する。導電層940(導電層941および導電層942)はソース電極層として作用させることができ、導電層950(導電層951および導電層952)はドレイン電極層として作用させることができる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図44(E)、(F)に示す構成であってもよい。図44(E)はトランジスタ906の上面図であり、図44(E)に示す一点鎖線G1−G2方向の断面が図44(F)に相当する。また、図44(A)に示す一点鎖線G3−G4方向の断面は、図45(A)に相当する。また、一点鎖線G1−G2方向をチャネル長方向、一点鎖線G3−G4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ906は、基板915と接する絶縁層920と、絶縁層920と接する酸化物半導体層930と、酸化物半導体層930と電気的に接続する導電層941および導電層951と、酸化物半導体層930と接する絶縁層960と、絶縁層960と接する導電層970と、絶縁層920、酸化物半導体層930、導電層941、導電層951、絶縁層960、導電層970と接する絶縁層975と、絶縁層975と接する絶縁層980と、絶縁層975および絶縁層980に設けられた開口部を通じて導電層941および導電層951とそれぞれ電気的に接続する導電層942および導電層952を有する。また、必要に応じて絶縁層980、導電層942および導電層952に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
ここで、導電層941および導電層951は、酸化物半導体層930の上面と接し、側面には接しない構成となっている。
トランジスタ906は、導電層941および導電層951を有する点を除き、トランジスタ903と同様の構成を有する。導電層940(導電層941および導電層942)はソース電極層として作用させることができ、導電層950(導電層951および導電層952)はドレイン電極層として作用させることができる。
トランジスタ905およびトランジスタ906の構成では、導電層940および導電層950が絶縁層920と接しない構成であるため、絶縁層920中の酸素が導電層940および導電層950に奪われにくくなり、絶縁層920から酸化物半導体層930中への酸素の供給を容易とすることができる。
なお、トランジスタ903における領域991および領域992、トランジスタ904およびトランジスタ906における領域997および領域998には、酸素欠損を形成し導電率を高めるための不純物を添加してもよい。酸化物半導体層に酸素欠損を形成する不純物としては、例えば、リン、砒素、アンチモン、ホウ素、アルミニウム、シリコン、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、インジウム、フッ素、塩素、チタン、亜鉛、および炭素のいずれかから選択される一つ以上を用いることができる。当該不純物の添加方法としては、プラズマ処理法、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。
不純物元素として、上記元素が酸化物半導体層に添加されると、酸化物半導体層中の金属元素および酸素の結合が切断され、酸素欠損が形成される。酸化物半導体層に含まれる酸素欠損と酸化物半導体層中に残存または後から添加される水素の相互作用により、酸化物半導体層の導電率を高くすることができる。
なお、不純物元素の添加により酸素欠損が形成された酸化物半導体に水素を添加すると、酸素欠損サイトに水素が入り伝導帯近傍にドナー準位が形成される。その結果、酸化物導電体を形成することができる。ここでは、導電体化された酸化物半導体を酸化物導電体という。なお、酸化物導電体は酸化物半導体と同様に透光性を有する。
酸化物導電体は、縮退半導体であり、伝導帯端とフェルミ準位とが一致または略一致していると推定される。このため、酸化物導電体層とソース電極層およびドレイン電極層として機能する導電層との接触はオーミック接触であり、酸化物導電体層とソース電極層およびドレイン電極層として機能する導電層との接触抵抗を低減することができる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図46(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示すチャネル長方向の断面図、ならびに図45(C)、(D)に示すチャネル幅方向の断面図のように、酸化物半導体層930と基板915との間に導電層973を備えていてもよい。当該導電層を第2のゲート電極層(バックゲート)として用いることで、オン電流の増加や、しきい値電圧の制御を行うことができる。なお、図46(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す断面図において、導電層973の幅を酸化物半導体層930よりも短くしてもよい。さらに、導電層973の幅を導電層970の幅よりも短くしてもよい。
オン電流を増加させるには、例えば、導電層970と導電層973を同電位とし、ダブルゲートトランジスタとして駆動させればよい。また、しきい値電圧の制御を行うには、導電層970とは異なる定電位を導電層973に供給すればよい。導電層970と導電層973を同電位とするには、例えば、図45(D)に示すように、導電層970と導電層973とをコンタクトホールを介して電気的に接続すればよい。
また、図43および図44におけるトランジスタ901乃至トランジスタ906では、酸化物半導体層930が単層である例を図示したが、酸化物半導体層930は積層であってもよい。トランジスタ901乃至トランジスタ906の酸化物半導体層930は、図47(B)、(C)または図47(D)、(E)に示す酸化物半導体層930と入れ替えることができる。
図47(A)は酸化物半導体層930の上面図であり、図47(B)、(C)は、二層構造である酸化物半導体層930の断面図である。また、図47(D)、(E)は、三層構造である酸化物半導体層930の断面図である。
酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、酸化物半導体層930cには、それぞれ組成の異なる酸化物半導体層などを用いることができる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図48(A)、(B)に示す構成であってもよい。図48(A)はトランジスタ907の上面図であり、図48(A)に示す一点鎖線H1−H2方向の断面が図48(B)に相当する。また、図48(A)に示す一点鎖線H3−H4方向の断面が図50(A)に相当する。また、一点鎖線H1−H2方向をチャネル長方向、一点鎖線H3−H4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ907は、基板915と接する絶縁層920と、絶縁層920と接する酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930bからなる積層と、当該積層と電気的に接続する導電層940および導電層950と、当該積層、導電層940および導電層950と接する酸化物半導体層930cと、酸化物半導体層930cと接する絶縁層960と、絶縁層960と接する導電層970と、導電層940、導電層950、酸化物半導体層930c、絶縁層960および導電層970と接する絶縁層975と、絶縁層975と接する絶縁層980と、を有する。また、必要に応じて絶縁層980に平坦化膜としての機能を付加してもよい。
トランジスタ907は、領域991および領域992において酸化物半導体層930が二層(酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b)である点、領域993において酸化物半導体層930が三層(酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、酸化物半導体層930c)である点、および導電層940および導電層950と絶縁層960との間に酸化物半導体層の一部(酸化物半導体層930c)が介在している点を除き、トランジスタ901と同様の構成を有する。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図48(C)、(D)に示す構成であってもよい。図48(C)はトランジスタ908の上面図であり、図48(C)に示す一点鎖線I1−I2方向の断面が図48(D)に相当する。また、図48(C)に示す一点鎖線I3−I4方向の断面が図50(B)に相当する。また、一点鎖線I1−I2方向をチャネル長方向、一点鎖線I3−I4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ908は、絶縁層960および酸化物半導体層930cの端部が導電層970の端部と一致しない点がトランジスタ907と異なる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図48(E)、(F)に示す構成であってもよい。図48(E)はトランジスタ909の上面図であり、図48(E)に示す一点鎖線J1−J2方向の断面が図48(F)に相当する。また、図48(E)に示す一点鎖線J3−J4方向の断面が図50(A)に相当する。また、一点鎖線J1−J2方向をチャネル長方向、一点鎖線J3−J4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ909は、基板915と接する絶縁層920と、絶縁層920と接する酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930bからなる積層と、当該積層と接する酸化物半導体層930cと、酸化物半導体層930cと接する絶縁層960と、絶縁層960と接する導電層970と、当該積層、酸化物半導体層930c、絶縁層960および導電層970を覆う絶縁層975と、絶縁層975と接する絶縁層980と、絶縁層975および絶縁層980に設けられた開口部を通じて当該積層と電気的に接続する導電層940および導電層950を有する。また、必要に応じて絶縁層980、導電層940および導電層950に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
トランジスタ909は、領域991および領域992において酸化物半導体層930が二層(酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b)である点、領域993において酸化物半導体層930が三層(酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、酸化物半導体層930c)である点を除き、トランジスタ903と同様の構成を有する。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図49(A)、(B)に示す構成であってもよい。図49(A)はトランジスタ910の上面図であり、図49(A)に示す一点鎖線K1−K2方向の断面が図49(B)に相当する。また、図49(A)に示す一点鎖線K3−K4方向の断面が図50(A)に相当する。また、一点鎖線K1−K2方向をチャネル長方向、一点鎖線K3−K4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ910は、領域994および領域995において酸化物半導体層930が二層(酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b)である点、領域996において酸化物半導体層930が三層(酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、酸化物半導体層930c)である点を除き、トランジスタ904と同様の構成を有する。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図49(C)、(D)に示す構成であってもよい。図49(C)はトランジスタ911の上面図であり、図49(C)に示す一点鎖線K1−K2方向の断面が図49(D)に相当する。また、図49(C)に示す一点鎖線K3−K4方向の断面が図50(A)に相当する。また、一点鎖線K1−K2方向をチャネル長方向、一点鎖線K3−K4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ911は、基板915と接する絶縁層920と、絶縁層920と接する酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930bからなる積層と、当該積層と電気的に接続する導電層941および導電層951と、当該積層、導電層941および導電層951と接する酸化物半導体層930cと、酸化物半導体層930cと接する絶縁層960と、絶縁層960と接する導電層970と、当該積層、導電層941、導電層951、酸化物半導体層930c、絶縁層960および導電層970と接する絶縁層975と、絶縁層975と接する絶縁層980と、絶縁層975および絶縁層980に設けられた開口部を通じて導電層941および導電層951とそれぞれ電気的に接続する導電層942および導電層952を有する。また、必要に応じて絶縁層980、導電層942および導電層952に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
トランジスタ911は、領域991および領域992において酸化物半導体層930が二層(酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b)である点、領域993において酸化物半導体層930が三層(酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、酸化物半導体層930c)である点、ならびに導電層941および導電層951と絶縁層960との間に酸化物半導体層の一部(酸化物半導体層930c)が介在している点を除き、トランジスタ905と同様の構成を有する。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図49(E)、(F)に示す構成であってもよい。図49(E)はトランジスタ912の上面図であり、図49(E)に示す一点鎖線M1−M2方向の断面が図49(F)に相当する。また、図49(E)に示す一点鎖線M3−M4方向の断面が図50(A)に相当する。また、一点鎖線M1−M2方向をチャネル長方向、一点鎖線M3−M4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ912は、領域994、領域995、領域997および領域998において酸化物半導体層930が二層(酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b)である点、領域996において酸化物半導体層930が三層(酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、酸化物半導体層930c)である点を除き、トランジスタ906と同様の構成を有する。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図51(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示すチャネル長方向の断面図、ならびに図50(C)、(D)に示すチャネル幅方向の断面図のように、酸化物半導体層930と基板915との間に導電層973を備えていてもよい。当該導電層を第2のゲート電極層(バックゲート)として用いることで、更なるオン電流の増加や、しきい値電圧の制御を行うことができる。なお、図51(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す断面図において、導電層973の幅を酸化物半導体層930よりも短くしてもよい。さらに、導電層973の幅を導電層970の幅よりも短くしてもよい。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図52(A)および図52(B)に示す構成とすることもできる。図52(A)は上面図であり、図52(B)は、図52(A)に示す一点鎖線N1−N2、および一点鎖線N3−N4に対応する断面図である。なお、図52(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
図52(A)および図52(B)に示すトランジスタ913は、基板915と、基板915上の絶縁層920と、絶縁層920上の酸化物半導体層930(酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、酸化物半導体層930c)と、酸化物半導体層930に接し、間隔を開けて配置された導電層940および導電層950と、酸化物半導体層930cと接する絶縁層960と、絶縁層960と接する導電層970を有する。なお、酸化物半導体層930c、絶縁層960および導電層970は、トランジスタ913上の絶縁層990に設けられた酸化物半導体層930bに達する開口部に設けられている。
トランジスタ913の構成は、前述したその他のトランジスタの構成と比較して、ソース電極またはドレイン電極となる導電体とゲート電極となる導電体の重なる領域が少ないため、寄生容量を小さくすることができる。したがって、トランジスタ913は、高速動作を必要とする回路の要素として適している。なお、トランジスタ913の上面は、図52(B)に示すようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等を用いて平坦化することが好ましいが、平坦化しない構成とすることもできる。
また、本発明の一態様のトランジスタにおける導電層940(ソース電極層)および導電層950(ドレイン電極層)は、図53(A)、(B)に示す上面図(酸化物半導体層930、導電層940および導電層950のみを図示)のように酸化物半導体層の幅(WOS)よりも導電層940および導電層950の幅(WSD)が長く形成されていてもよいし、短く形成されていてもよい。WOS≧WSD(WSDはWOS以下)とすることで、ゲート電界が酸化物半導体層930全体にかかりやすくなり、トランジスタの電気特性を向上させることができる。また、図53(C)に示すように、導電層940および導電層950が酸化物半導体層930と重なる領域のみに形成されていてもよい。
本発明の一態様のトランジスタ(トランジスタ901乃至トランジスタ913)では、いずれの構成においても、ゲート電極層である導電層970は、ゲート絶縁膜である絶縁層960を介して酸化物半導体層930のチャネル幅方向を電気的に取り囲み、オン電流が高められる。このようなトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。
また、酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930bを有するトランジスタ、ならびに酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930bおよび酸化物半導体層930cを有するトランジスタにおいては、酸化物半導体層930を構成する二層または三層の材料を適切に選択することで酸化物半導体層930bに電流を流すことができる。酸化物半導体層930bに電流が流れることで、界面散乱の影響を受けにくく、高いオン電流を得ることができる。したがって、酸化物半導体層930bを厚くすることでオン電流が向上する場合がある。
以上の構成のトランジスタを用いることにより、半導体装置に良好な電気特性を付与することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、実施の形態8に示したトランジスタの構成要素について詳細を説明する。
基板915には、ガラス基板、石英基板、半導体基板、セラミックス基板、表面が絶縁処理された金属基板などを用いることができる。または、トランジスタが形成されたシリコン基板、および当該シリコン基板上に絶縁層、配線、コンタクトプラグとして機能を有する導電体等が形成されたものを用いることができる。なお、シリコン基板にpチャネル型のトランジスタのみを形成する場合は、n−型の導電型を有するシリコン基板を用いることが好ましい。または、n−型またはi型のシリコン層を有するSOI基板であってもよい。また、当該シリコン基板におけるトランジスタを形成する面の面方位は、(110)面であることが好ましい。(110)面にpチャネル型トランジスタを形成することで、移動度を高くすることができる。
絶縁層920は、基板915に含まれる要素からの不純物の拡散を防止する役割を有するほか、酸化物半導体層930に酸素を供給する役割を担うことができる。したがって、絶縁層920は酸素を含む絶縁膜であることが好ましく、化学量論組成よりも多い酸素を含む絶縁膜であることがより好ましい。例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS(Thermal Desorption Spectroscopy))にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上である膜とする。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。また、基板915が他のデバイスが形成された基板である場合、絶縁層920は、層間絶縁膜としての機能も有する。その場合は、表面が平坦になるようにCMP法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
例えば、絶縁層920には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁膜、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜、またはこれらの混合材料を用いることができる。また、上記材料の積層であってもよい。
なお、本実施の形態では、トランジスタが有する酸化物半導体層930が酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930bおよび酸化物半導体層930cを絶縁層920側から順に積んだ三層構造である場合を主として詳細を説明する。
なお、酸化物半導体層930が単層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層930bに相当する層を用いればよい。
また、酸化物半導体層930が二層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層930aに相当する層および酸化物半導体層930bに相当する層を絶縁層920側から順に積んだ積層を用いればよい。この構成の場合、酸化物半導体層930aと酸化物半導体層930bとを入れ替えることもできる。
また、酸化物半導体層930が四層以上である場合は、例えば、本実施の形態で説明する三層構造の酸化物半導体層930に対して他の酸化物半導体層を付加する構成とすることができる。
一例としては、酸化物半導体層930bには、酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930cよりも電子親和力(真空準位から伝導帯下端までのエネルギー)が大きい酸化物半導体を用いる。電子親和力は、真空準位と価電子帯上端とのエネルギー差(イオン化ポテンシャル)から、伝導帯下端と価電子帯上端とのエネルギー差(エネルギーギャップ)を差し引いた値として求めることができる。
酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930cは、酸化物半導体層930bを構成する金属元素を一種以上含み、例えば、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体層930bよりも、0.05eV、0.07eV、0.1eV、0.15eVのいずれか以上であって、2eV、1eV、0.5eV、0.4eVのいずれか以下の範囲で真空準位に近い酸化物半導体で形成することが好ましい。
このような構造において、導電層970に電界を印加すると、酸化物半導体層930のうち、伝導帯下端のエネルギーが最も小さい酸化物半導体層930bにチャネルが形成される。
また、酸化物半導体層930aは、酸化物半導体層930bを構成する金属元素を一種以上含んで構成されるため、酸化物半導体層930bと絶縁層920が接した場合の界面と比較して、酸化物半導体層930bと酸化物半導体層930aとの界面には界面準位が形成されにくくなる。該界面準位はチャネルを形成することがあるため、トランジスタのしきい値電圧が変動することがある。したがって、酸化物半導体層930aを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。また、当該トランジスタの信頼性を向上させることができる。
また、酸化物半導体層930cは、酸化物半導体層930bを構成する金属元素を一種以上含んで構成されるため、酸化物半導体層930bとゲート絶縁膜(絶縁層960)が接した場合の界面と比較して、酸化物半導体層930bと酸化物半導体層930cとの界面ではキャリアの散乱が起こりにくくなる。したがって、酸化物半導体層930cを設けることにより、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930cには、例えば、Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHfを酸化物半導体層930bよりも高い原子数比で含む材料を用いることができる。具体的には、当該原子数比を1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。前述の元素は酸素と強く結合するため、酸素欠損が酸化物半導体層に生じることを抑制する機能を有する。すなわち、酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930cは、酸化物半導体層930bよりも酸素欠損が生じにくいということができる。
また、酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、および酸化物半導体層930cとして用いることのできる酸化物半導体は、少なくともInもしくはZnを含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
スタビライザーとしては、Ga、Sn、Hf、Al、またはZr等がある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等がある。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化亜鉛、In−Zn酸化物、Sn−Zn酸化物、Al−Zn酸化物、Zn−Mg酸化物、Sn−Mg酸化物、In−Mg酸化物、In−Ga酸化物、In−Ga−Zn酸化物、In−Al−Zn酸化物、In−Sn−Zn酸化物、Sn−Ga−Zn酸化物、Al−Ga−Zn酸化物、Sn−Al−Zn酸化物、In−Hf−Zn酸化物、In−La−Zn酸化物、In−Ce−Zn酸化物、In−Pr−Zn酸化物、In−Nd−Zn酸化物、In−Sm−Zn酸化物、In−Eu−Zn酸化物、In−Gd−Zn酸化物、In−Tb−Zn酸化物、In−Dy−Zn酸化物、In−Ho−Zn酸化物、In−Er−Zn酸化物、In−Tm−Zn酸化物、In−Yb−Zn酸化物、In−Lu−Zn酸化物、In−Sn−Ga−Zn酸化物、In−Hf−Ga−Zn酸化物、In−Al−Ga−Zn酸化物、In−Sn−Al−Zn酸化物、In−Sn−Hf−Zn酸化物、In−Hf−Al−Zn酸化物を用いることができる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味である。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。また、本明細書においては、In−Ga−Zn酸化物で構成した膜をIGZO膜とも呼ぶ。
また、InMO3(ZnO)m(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNdから選ばれた一つの金属元素または複数の金属元素を示す。また、In2SnO5(ZnO)n(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
なお、酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、酸化物半導体層930cが、少なくともインジウム、亜鉛およびM(Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)を含むIn−M−Zn酸化物であるとき、酸化物半導体層930aをIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、酸化物半導体層930bをIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]、酸化物半導体層930cをIn:M:Zn=x3:y3:z3[原子数比]とすると、y1/x1およびy3/x3がy2/x2よりも大きくなることが好ましい。y1/x1およびy3/x3はy2/x2よりも1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。このとき、酸化物半導体層930bにおいて、y2がx2以上であるとトランジスタの電気特性を安定させることができる。ただし、y2がx2の3倍以上になると、トランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、y2はx2の3倍未満であることが好ましい。
酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930cにおけるZnおよびOを除いた場合において、InおよびMの原子数比率は、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高くする。また、酸化物半導体層930bのZnおよびOを除いてのInおよびMの原子数比率は、好ましくはInが25atomic%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より高く、Mが66atomic%未満とする。
また、酸化物半導体層930bは、酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930cよりもインジウムの含有量を多くするとよい。酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、InがMよりも多い組成となる酸化物はInがMと同等または少ない組成となる酸化物と比較して移動度が高くなる。そのため、酸化物半導体層930bにインジウムの含有量が多い酸化物を用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。
酸化物半導体層930aの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、さらに好ましくは5nm以上25nm以下とする。また、酸化物半導体層930bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは5nm以上150nm以下、さらに好ましくは10nm以上100nm以下とする。また、酸化物半導体層930cの厚さは、1nm以上50nm以下、好ましくは2nm以上30nm以下、さらに好ましくは3nm以上15nm以下とする。また、酸化物半導体層930bは、酸化物半導体層930cより厚い方が好ましい。
なお、酸化物半導体層をチャネルとするトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体層中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体層を真性または実質的に真性にすることが有効である。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体層のキャリア密度が、1×1015/cm3未満、または1×1013/cm3未満、または8×1011/cm3未満、または1×108/cm3未満であり、かつ、1×10−9/cm3以上であることとする。
また、酸化物半導体層において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度を増大させてしまう。また、シリコンは酸化物半導体層中で不純物準位の形成に寄与する。当該不純物準位はトラップとなり、トランジスタの電気特性を劣化させることがある。したがって、酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930bおよび酸化物半導体層930cの層中や、それぞれの界面において不純物濃度を低減させることが好ましい。
酸化物半導体層を真性または実質的に真性とするためには、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析で見積もられるシリコン濃度が1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満となる領域を有するように制御する。また、水素濃度が、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下になる領域を有するように制御する。また、窒素濃度は、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、シリコンや炭素が高濃度で含まれると、酸化物半導体層の結晶性を低下させることがある。酸化物半導体層の結晶性を低下させないためには、例えばシリコン濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満になる領域を有するように制御する。また、炭素濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満になる領域を有するように制御する。
また、上述のように高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタのオフ電流は極めて小さい。例えば、ソースとドレインとの間の電圧を0.1V、5V、または、10V程度とした場合に、トランジスタのチャネル幅あたりのオフ電流を数yA/μm乃至数zA/μmにまで低減することが可能となる。
なお、トランジスタのゲート絶縁膜としては、シリコンを含む絶縁膜が多く用いられるため、上記理由により酸化物半導体層のチャネルとなる領域は、本発明の一態様のトランジスタのようにゲート絶縁膜と接しない構造が好ましいということができる。また、ゲート絶縁膜と酸化物半導体層との界面にチャネルが形成される場合、該界面でキャリアの散乱が起こり、トランジスタの電界効果移動度が低くなることがある。このような観点からも、酸化物半導体層のチャネルとなる領域はゲート絶縁膜から離すことが好ましいといえる。
したがって、酸化物半導体層930を酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、酸化物半導体層930cの積層構造とすることで、酸化物半導体層930bにチャネルを形成することができ、高い電界効果移動度および安定した電気特性を有したトランジスタを形成することができる。
酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、酸化物半導体層930cのバンド構造においては、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。これは、酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、酸化物半導体層930cの組成が近似することにより、酸素が相互に拡散しやすい点からも理解される。したがって、酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、酸化物半導体層930cは組成が異なる層の積層体ではあるが、物性的に連続であるということもでき、図面において、当該積層体のそれぞれの界面は点線で表している。
主成分を共通として積層された酸化物半導体層930は、各層を単に積層するのではなく連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の井戸構造(U Shape Well))が形成されるように作製する。すなわち、各層の界面にトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないように積層構造を形成する。仮に、積層された酸化物半導体層の層間に不純物が混在していると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップあるいは再結合により消滅してしまう。
例えば、酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930cにはIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:3、1:3:4、1:3:6、1:4:5、1:6:4または1:9:6(原子数比)などのIn−Ga−Zn酸化物などを用いることができる。また、酸化物半導体層930bにはIn:Ga:Zn=1:1:1、2:1:3、5:5:6、または3:1:2(原子数比)などのIn−Ga−Zn酸化物などを用いることができる。なお、酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930b、および酸化物半導体層930cの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
酸化物半導体層930における酸化物半導体層930bはウェル(井戸)となり、チャネルは酸化物半導体層930bに形成される。なお、酸化物半導体層930は伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化しているため、U字型井戸とも呼ぶことができる。また、このような構成で形成されたチャネルを埋め込みチャネルということもできる。
また、酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930cと、酸化シリコン膜などの絶縁層との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得る。酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930cがあることにより、酸化物半導体層930bと当該トラップ準位とを遠ざけることができる。
ただし、酸化物半導体層930aおよび酸化物半導体層930cの伝導帯下端のエネルギーと、酸化物半導体層930bの伝導帯下端のエネルギーとの差が小さい場合、酸化物半導体層930bの電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。電子がトラップ準位に捕獲されることで、絶縁層界面にマイナスの電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
酸化物半導体層930a、酸化物半導体層930bおよび酸化物半導体層930cには、結晶部が含まれることが好ましい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。また、c軸に配向した結晶は歪曲に強く、フレキシブル基板を用いた半導体装置の信頼性を向上させることができる。
ソース電極層として作用する導電層940およびドレイン電極層として作用する導電層950には、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Mn、Nd、Sc、および当該金属材料の合金から選ばれた材料の単層、または積層を用いることができる。代表的には、特に酸素と結合しやすいTiや、後のプロセス温度が比較的高くできることなどから、融点の高いWを用いることがより好ましい。また、低抵抗のCuやCu−Mnなどの合金と上記材料との積層を用いてもよい。なお、トランジスタ905、トランジスタ906、トランジスタ911、トランジスタ912においては、例えば、導電層941および導電層951にW、導電層942および導電層952にTiとAlとの積層膜などを用いることができる。
上記材料は酸化物半導体膜から酸素を引き抜く性質を有する。そのため、上記材料と接した酸化物半導体膜の一部の領域では酸化物半導体層中の酸素が脱離し、酸素欠損が形成される。膜中に僅かに含まれる水素と当該酸素欠損が結合することにより当該領域は顕著にn型化する。したがって、n型化した当該領域はトランジスタのソースまたはドレインとして作用させることができる。
また、導電層940および導電層950にWを用いる場合には、窒素をドーピングしてもよい。窒素をドーピングすることで酸素を引き抜く性質を適度に弱めることができ、n型化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことができる。また、導電層940および導電層950をn型の半導体層との積層とし、n型の半導体層と酸化物半導体層を接触させることによってもn型化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことができる。n型の半導体層としては、窒素が添加されたIn−Ga−Zn酸化物、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズなどを用いることができる。
ゲート絶縁膜として作用する絶縁層960には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁層960は上記材料の積層であってもよい。なお、絶縁層960に、La、N、Zrなどを、不純物として含んでいてもよい。
また、絶縁層960の積層構造の一例について説明する。絶縁層960は、例えば、酸素、窒素、シリコン、ハフニウムなどを有する。具体的には、酸化ハフニウム、および酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。
酸化ハフニウムおよび酸化アルミニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁層860の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。即ち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
また、酸化物半導体層930と接する絶縁層920および絶縁層960は、窒素酸化物の放出量の少ない膜を用いることが好ましい。窒素酸化物の放出量の多い絶縁層と酸化物半導体が接した場合、窒素酸化物に起因する準位密度が高くなることがある。当該窒素酸化物に起因する準位密度は酸化物半導体のエネルギーギャップ内に形成されうる場合がある。絶縁層920および絶縁層960には、例えば、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜または酸化窒化アルミニウム膜等の酸化物絶縁層を用いることができる。
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、TDS法において、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018個/cm3以上5×1019個/cm3以下である。なお、アンモニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
絶縁層920および絶縁層960として、上記酸化物絶縁層を用いることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
ゲート電極層として作用する導電層970には、例えば、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ru、Ag、Mn、Nd、Sc、TaおよびWなどの導電膜を用いることができる。また、上記材料の合金や上記材料の導電性窒化物を用いてもよい。また、上記材料、上記材料の合金、および上記材料の導電性窒化物から選ばれた複数の材料の積層であってもよい。代表的には、タングステン、タングステンと窒化チタンの積層、タングステンと窒化タンタルの積層などを用いることができる。また、低抵抗のCuまたはCu−Mnなどの合金や上記材料とCuまたはCu−Mnなどの合金との積層を用いてもよい。本実施の形態では、導電層971に窒化タンタル、導電層972にタングステンを用いて導電層970を形成する。
絶縁層975には、水素を含む窒化シリコン膜または窒化アルミニウム膜などを用いることができる。実施の形態2に示したトランジスタ903、トランジスタ904、トランジスタ906、トランジスタ909、トランジスタ910、およびトランジスタ912では、絶縁層975として水素を含む絶縁膜を用いることで酸化物半導体層の一部をn型化することができる。また、窒化絶縁膜は水分などのブロッキング膜としての作用も有し、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
また、絶縁層975としては酸化アルミニウム膜を用いることもできる。特に、実施の形態2に示したトランジスタ901、トランジスタ902、トランジスタ905、トランジスタ907、トランジスタ908、およびトランジスタ911では絶縁層975に酸化アルミニウム膜を用いることが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウム膜は、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物の酸化物半導体層930への混入防止、酸素の酸化物半導体層からの放出防止、絶縁層920からの酸素の不必要な放出防止の効果を有する保護膜として用いることに適している。また、酸化アルミニウム膜に含まれる酸素を酸化物半導体層中に拡散させることもできる。
また、絶縁層975上には絶縁層980が形成されていることが好ましい。当該絶縁層には、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、当該絶縁層は上記材料の積層であってもよい。
ここで、絶縁層980は絶縁層920と同様に化学量論組成よりも多くの酸素を有することが好ましい。絶縁層980から放出される酸素は絶縁層960を経由して酸化物半導体層930のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域に形成された酸素欠損に酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジスタの電気特性を得ることができる。
半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トランジスタの微細化によりトランジスタの電気特性が悪化することが知られており、特にチャネル幅が縮小するとオン電流が低下する。
本発明の一態様のトランジスタ907乃至トランジスタ912では、チャネルが形成される酸化物半導体層930bを覆うように酸化物半導体層930cが形成されており、チャネル形成層とゲート絶縁膜が接しない構成となっている。そのため、チャネル形成層とゲート絶縁膜との界面で生じるキャリアの散乱を抑えることができ、トランジスタのオン電流を大きくすることができる。
また、本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように酸化物半導体層930のチャネル幅方向を電気的に取り囲むようにゲート電極層(導電層970)が形成されているため、酸化物半導体層930に対しては垂直方向からのゲート電界に加えて、側面方向からのゲート電界が印加される。すなわち、チャネル形成層に対して全体的にゲート電界が印加されることになり実効チャネル幅が拡大するため、さらにオン電流を高められる。
また、本発明の一態様における酸化物半導体層930が二層または三層のトランジスタでは、チャネルが形成される酸化物半導体層930bを酸化物半導体層930a上に形成することで界面準位を形成しにくくする効果を有する。また、本発明の一態様における酸化物半導体層930が三層のトランジスタでは、酸化物半導体層930bを三層構造の中間に位置する層とすることで上下からの不純物混入の影響を排除できる効果などを併せて有する。そのため、上述したトランジスタのオン電流の向上に加えて、しきい値電圧の安定化や、S値(サブスレッショルド値)の低減をはかることができる。したがって、ゲート電圧VGが0V時の電流を下げることができ、消費電力を低減させることができる。また、トランジスタのしきい値電圧が安定化することから、半導体装置の長期信頼性を向上させることができる。また、本発明の一態様のトランジスタは、微細化にともなう電気特性の劣化が抑えられることから、集積度の高い半導体装置の形成に適しているといえる。
なお、本実施の形態で説明した金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜は、代表的にはスパッタ法やプラズマCVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD法により形成してもよい。熱CVD法の例としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法などがある。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
また、熱CVD法では、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスをチャンバーに導入・反応させ、これを繰り返すことで成膜を行う。原料ガスと一緒に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)をキャリアガスとして導入しても良い。例えば2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給してもよい。その際、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスの反応後、不活性ガスを導入し、第2の原料ガスを導入する。あるいは、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着・反応して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスが吸着・反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入の繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFETを作製する場合に適している。
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム(In(CH3)3)、トリメチルガリウム(Ga(CH3)3)、およびジメチル亜鉛(Zn(CH3)2)を用いることができる。これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH、Hf[N(CH3)2]4)やテトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA、Al(CH3)3)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。他の材料としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、酸化性ガス(O2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスを順次導入してタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを順次導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを順次導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。これらのガスを用いてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。
なお、酸化物半導体層の成膜には、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いることもできる。当該対向ターゲット式スパッタリング装置を用いた成膜法を、VDSP(vapor deposition SP)と呼ぶこともできる。
対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて酸化物半導体層を成膜することによって、酸化物半導体層の成膜時におけるプラズマ損傷を低減することができる。そのため、膜中の酸素欠損を低減することができる。また、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いることで低圧での成膜が可能となるため、成膜された酸化物半導体層中の不純物濃度(例えば水素、希ガス(アルゴンなど)、水など)を低減させることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態10)
以下では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体膜の構造について説明する。
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。
まずは、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と概略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、試料面と概略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、円周状に分布したスポットが観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
次に、非晶質酸化物半導体膜について説明する。
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが観測される。
なお、酸化物半導体膜は、nc−OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。
a−like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a−like OS膜は、TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見られる場合がある。一方、良質なnc−OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な電子照射による結晶化はほとんど見られない。
なお、a−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能TEM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnO4の結晶は層状構造を有し、In−O層の間に、Ga−Zn−O層を2層有する。InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、a−like OS膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態11)
本発明の一態様に係る半導体装置は、カメラモジュールに用いられ、様々な電子機器に搭載することができる。本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置を適用したカメラモジュールの一例、及び電子機器の一例について説明する。
図54に示すカメラモジュール2000は、レンズユニット2001、オートフォーカスユニット2002、リッドガラス2003、センサカバー2004、半導体装置2005、基板2006、FPC2007を有する。
本発明の一態様に係る半導体装置、撮像装置、撮像システム、カメラモジュールは、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図55に示す。
図55(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体3001、筐体3002、表示部3003、表示部3004、マイク3005、スピーカー3006、操作キー3007、スタイラス3008、カメラ3009等を有する。なお、図55(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部3003と表示部3004とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。カメラ3009には本発明の一態様の半導体装置を用いることができる。
図55(B)は携帯データ端末であり、第1筐体3011、表示部3012、カメラ3019等を有する。表示部3012が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができる。カメラ3019には本発明の一態様の半導体装置を用いることができる。
図55(C)は腕時計型の情報端末であり、筐体3031、表示部3032、リストバンド3033、カメラ3039等を有する。表示部3032はタッチパネルとなっていてもよい。カメラ3039には本発明の一態様の半導体装置を用いることができる。
図55(D)は監視カメラであり、筐体3051、レンズ3052、支持部3053等を有する。レンズ3052の焦点となる位置には本発明の一態様の半導体装置を備えることができる。
図55(E)はデジタルカメラであり、筐体3061、シャッターボタン3062、マイク3063、発光部3067、レンズ3065等を有する。レンズ3065の焦点となる位置には本発明の一態様の半導体装置を備えることができる。
図55(F)はビデオカメラであり、第1筐体3071、第2筐体3072、表示部3073、操作キー3074、レンズ3075、接続部3076等を有する。操作キー3074およびレンズ3075は第1筐体3071に設けられており、表示部3073は第2筐体3072に設けられている。そして、第1筐体3071と第2筐体3072とは、接続部3076により接続されており、第1筐体3071と第2筐体3072の間の角度は、接続部3076により変更が可能である。表示部3073における映像を、接続部3076における第1筐体3071と第2筐体3072との間の角度に従って切り替える構成としても良い。レンズ3075の焦点となる位置には本発明の一態様の半導体装置を備えることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。