JP6759139B2 - コイル含浸用樹脂組成物及び自動車モータ用コイル - Google Patents
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Description
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
[1](A)エポキシエステル樹脂、(B)ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂、(C)反応性希釈剤、及び(D)有機過酸化物を含むコイル含浸用樹脂組成物であって、前記(B)ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂に用いられるポリエチレンテレフタラートの数平均分子量が20,000〜60,000であり、前記樹脂組成物全量中に含まれるポリエチレンテレフタラート成分の質量比が0.5〜5.0%であり、前記(C)反応性希釈剤が数平均分子量250〜2,000のポリアルキレンオキサイドのジ(メタ)アクリレート誘導体であることを特徴とするコイル含浸用樹脂組成物。
[2]さらに(c−1)トリ(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする上記[1]に記載のコイル含浸用樹脂組成物。
[3]前記(c−1)トリ(メタ)アクリレート化合物の含有割合が、前記(C)反応性希釈剤100質量部に対し2〜20質量部であることを特徴とする上記[2]に記載のコイル含浸用樹脂組成物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のコイル含浸用樹脂組成物にコイル部分を含浸させてなる自動車モータ用コイル。
<コイル含浸用樹脂組成物>
本発明のコイル含浸用樹脂組成物は、(A)エポキシエステル樹脂、(B)ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂、(C)反応性希釈剤、及び(D)有機過酸化物を含むコイル含浸用樹脂組成物であって、前記(B)ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂に用いられるポリエチレンテレフタラートの数平均分子量が20,000〜60,000であり、前記樹脂組成物全量中に含まれるポリエチレンテレフタラート成分の質量比が0.5〜5.0%であり、前記(C)反応性希釈剤が数平均分子量250〜2,000のポリアルキレンオキサイドのジ(メタ)アクリレート誘導体であることを特徴とする。
〔(A)エポキシエステル樹脂〕
本発明で用いる(A)成分のエポキシエステル樹脂は、酸成分とエポキシ成分とをエステル化触媒により反応させて得られるものであり、末端に炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する。
なお、酸価の測定方法は、試料をフラスコに量りとり、キシレン・エチルベンゼン・エタノール混液を加え、溶解したものに数滴のクレゾールレッド指示薬を加え、0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液で滴定し、算出したものである。
本発明で用いる(B)成分のポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂は、ポリエステル構造の主鎖中に炭素−炭素二重結合と剛直なポリエチレンテレフタラート骨格を有するため、樹脂組成物の硬化物の耐熱性、及び耐油性を向上させる効果を奏する。
(B)成分は、ポリエチレンテレフタラートとアルコール成分との混合物をエステル交換することにより該ポリエチレンテレフタラートを変性し、そこに酸成分を反応させ、エステル化することで得ることができる。アルコール成分としては2価のアルコールが好ましく、酸成分としては2価の酸が好ましい。
アルコール成分量は、ポリエチレンテレフタラート100質量部に対し、30〜250質量部が好ましく、50〜200質量部がより好ましい。
上記酸成分は、上記アルコール成分の水酸基に対し、該酸成分のカルボキシ基のモル比(カルボキシ基/水酸基)が0.8〜1.2の範囲となるように配合することが好ましく、0.9〜1.1の範囲となるように配合することがより好ましい。上記範囲内とすることで、未反応成分が抑えられ、樹脂組成物の耐熱性及び耐油性を向上させることができる。
なお、上記酸価の測定方法は、(A)成分のエポキシエステル樹脂と同様である。
また、(B)成分の配合量は、樹脂組成物中のポリエチレンテレフタラート成分が質量比で0.5〜5.0%であることを損なわない範囲で、(A)成分100質量部に対し、5〜50質量部であることが好ましく、10〜40質量部であることがより好ましく、15〜25質量部であることが更に好ましい。5質量部以上とすることで耐熱性を向上させることができ、50質量部以下とすることで接着性を高めることができる。
本発明で用いる(C)成分の反応性希釈剤は、数平均分子量(Mn)が250〜2,000のポリアルキレンオキサイドのジ(メタ)アクリレート誘導体であり、樹脂組成物の硬化物の耐クレージング性を向上させる効果を奏する。
(C)成分の数平均分子量(Mn)が250以上であれば硬化物の柔軟性を高め、耐クレージング性を向上させることができ、2,000以下であれば樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎるのを抑制することができる。このような観点から、(C)成分の数平均分子量(Mn)は、好ましくは250〜1,000、より好ましくは300〜500である。
また、(c−1)成分の配合量としては、(C)成分100質量部に対し、好ましくは2〜20質量部、より好ましくは3〜10質量部、さらに好ましくは3〜5質量部である。2質量部以上とすることで十分な接着力が得られ、20質量部以下とすることでクレージング性を向上させることができる。
(D)成分の有機過酸化物は、(A)成分のエポキシエステル樹脂及び(B)成分のポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂を硬化させるために用いられる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、アシルパーオキサイド、クメンパーオキサイド、パーオキシケタール等が挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
このようなコイル含浸用樹脂組成物は、自動車、車両、または産業、民生用機器等の電気機器等、耐熱性や耐侯性を必要とする分野に利用可能である。特に、本発明のコイル含浸用樹脂組成物は、例えば、200℃近い高温環境下や各種オイルにばく露する可能性のある、ハイブリッドカーを含む電気自動車の駆動モータ用の巻線の絶縁樹脂組成物として好適に用いることができる。
本発明の自動車モータ用コイルは、上述のコイル含浸用樹脂組成物にコイル部分を含浸させてなる。このようなコイルは、従来公知の方法により製造することができる。例えば、ステータコイルは、従来のコイル含浸用樹脂組成物と同様、未含浸コイルにコイル含浸用樹脂組成物を含浸させ、乾燥、硬化させることにより得ることができる。含浸方法としては、特に限定されるものではなく、従来の含浸方法、例えば滴下含浸法などを適用することができる。以下、含浸方法について、一例を挙げて説明する。
(ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(1)の合成)
ポリエチレンテレフタラート(PET)(Mn=40,000)13g、ジエチレングリコール15g、及びテトラn−ブチルチタネート0.01gを加え、窒素ガスを流入しながら210〜230℃でエステル交換反応させた。その後、無水マレイン酸14g、メトキノン0.02gを加え、220℃で反応させ、酸価25のPET変性不飽和ポリエステル樹脂を得た。この反応物に、反応性希釈剤(1)としてポリエチレングリコールジメタクリレート〔日油(株)製、ブレンマーPDE−200、Mn=362〕を60g、硬化促進剤としてオクチル酸マンガンを0.02g加え、均一になるまで撹拌混合し、ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(1)を得た。
(ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(2)の合成)
合成例1において、数平均分子量(Mn)=40,000のPETの代わりに、数平均分子量(Mn)=20,000のPETを用いた以外は、合成例1と同様にしてポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(2)を得た。
(ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(3)の合成)
合成例1において、数平均分子量(Mn)=40,000のPETの代わりに、数平均分子量(Mn)=5,000のPETを用いた以外は、合成例1と同様にしてポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(3)を得た。
(ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(4)の合成)
合成例1において、反応性希釈剤(1)の代わりにジエチレングリコールジメタクリレート〔新中村化学工業(株)製、2G、Mn=242〕を用いた以外は、合成例1と同様にしてポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(4)を得た。
(ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(5)の合成)
合成例1において、反応性希釈剤(1)の代わりにメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA)60gを用いた以外は、合成例1と同様にしてポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(5)を得た。
[合成例6]
(エポキシエステル樹脂(1)の合成)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井化学(株)製、商品名:R140P、エポキシ当量:188g/当量)20g、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、商品名:jER1001、エポキシ当量:400〜500g/当量)12g、メトキノン0.01g、メタクリル酸8g、及びトリフェニルホスフィン0.1gを加えて90℃で反応させ、酸価6の反応物を得た。この反応物に、無水テトラヒドロフタル酸5gを加えて90℃で反応させ、酸価15のエポキシエステル樹脂(1)を得た。
(エポキシエステル樹脂(2)の合成)
合成例6において、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂の代わりに液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、商品名:jER807、エポキシ当量:160〜175g/当量)20gを用いた以外は、合成例6と同様にしてエポキシエステル樹脂(2)を得た。
(A)成分としてエポキシエステル樹脂(1)43gに、重合禁止剤としてp−t−ブチルカテコール0.01g、(C)成分として反応性希釈剤(1)50g、(c−1)成分としてトリメチロールプロパントリメタクリレート〔サートマー・ジャパン(株)製、商品名 SR350〕2g、ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(1)9g、硬化促進剤としてオクチル酸マンガン0.2gを加え、均一になるまで撹拌混合し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物100gに対し、(D)成分として1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン〔化薬アクゾ(株)製、トリゴノックス22−70E〕1.0gを加え均一になるまで撹拌混合し、コイル含浸用樹脂組成物を得た。このコイル含浸用樹脂組成物中のポリエチレンテレフタラート成分は質量比で約1.1%であった。
実施例1において、表1に記載の種類及び配合量の各成分に変更した以外は、実施例1と同様にしてコイル含浸用樹脂組成物を得た。なお、表1中、空欄は配合なしを表す。
コイル含浸用樹脂組成物の調製に使用した表1に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
〔(A)成分〕
・エポキシエステル樹脂(1):合成例6で製造したエポキシエステル樹脂
・エポキシエステル樹脂(2):合成例7で製造したエポキシエステル樹脂
〔(B)成分及び(C)成分の混合物〕
・ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(1):合成例1で製造したポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物
・ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(2):合成例2で製造したポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物
・ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(3):合成例3で製造したポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物
〔(B)成分及びその他の反応性希釈剤の混合物〕
・ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(4):合成例4で製造したポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物
・ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物(5):合成例5で製造したポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物
・ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂及び反応性希釈剤の混合物
〔(C)成分〕
・反応性希釈剤(1):ポリエチレングリコールジメタクリレート、日油(株)製、ブレンマーPDE−200、Mn=362
・反応性希釈剤(2):ポリエチレングリコールジメタクリレート、日油(株)製、ブレンマーPDE−400、Mn=550
〔(c−1)成分〕
・トリメチロールプロパントリメタクリレート:サートマー・ジャパン(株)製、商品名 SR350、Mn=338
・ジエチレングリコールジメタクリレート:新中村化学工業(株)製、2G、Mn=242
・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA):三菱ガス化学(株)製、商品名 メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
〔(D)成分〕
・1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン:化薬アクゾ(株)製、商品名 トリゴノックス22−70E
・重合禁止剤:p−t−ブチルカテコール、和光純薬工業(株)製、商品名 4−t−ブチルピロカテコール
・硬化促進剤:オクチル酸マンガン、日本化学産業(株)製、商品名 ニッカオクチックスマンガン8%(T)
(1)クレージング性
3%、5%、10%伸長したマグネットワイヤーを、コイル含浸用樹脂組成物中に5分浸漬した後、取り出して120℃で1時間硬化させた。得られた硬化物について、拡大顕微鏡((株)キーエンス製、商品名 VHZ−100)でクレージングの有無を確認した。なお、クレージングのないものをG、クレージングのあったものをFと評価した。
(2−1)初期のストラッカー接着力
JIS C2103のストラッカー接着力試験に準じて試験を行った。線材には、直径1.3mm、長さ50mmのポリエステル線を使用した。JIS C2103に規定された処理法により、該ポリエステル線をコイル含浸用樹脂組成物に含浸させ、硬化温度120℃、処理時間1時間の条件で、硬化させたものを試験片とし、25℃でのストラッカー接着力を測定した。これを5回行い、その平均値を初期のストラッカー接着力とした。なお、290N/25℃以上を合格とする。
恒温恒湿槽を用い、(2−1)で得られた試験片を温度85度、湿度85%環境下に168時間放置した後、25℃でのストラッカー接着力を測定した。これを5回行い、その平均値を耐湿試験後のストラッカー接着力とした。なお、280N/25℃以上を合格とする。
ATFオイルに0.2wt%の水を添加したものを試験液として、(2−1)で得られた試験片を該試験液に浸漬し、150℃で1000時間放置した後、25℃でのストラッカー接着力を測定した。これを5回行い、その平均値をオイル浸漬試験後のストラッカー接着力とした。なお、270N/25℃以上を合格とする。
Claims (4)
- (A)エポキシエステル樹脂、(B)ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂、(C)反応性希釈剤、及び(D)有機過酸化物を含むコイル含浸用樹脂組成物であって、
前記(B)ポリエチレンテレフタラート変性不飽和ポリエステル樹脂に用いられるポリエチレンテレフタラートの数平均分子量が20,000〜60,000であり、前記樹脂組成物全量中に含まれるポリエチレンテレフタラート成分の質量比が0.5〜5.0%であり、前記(C)反応性希釈剤が数平均分子量250〜2,000のポリアルキレンオキサイドのジ(メタ)アクリレート誘導体であることを特徴とするコイル含浸用樹脂組成物。 - さらに(c−1)トリ(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載のコイル含浸用樹脂組成物。
- 前記(c−1)トリ(メタ)アクリレート化合物の含有割合が、前記(C)反応性希釈剤100質量部に対し2〜20質量部であることを特徴とする請求項2に記載のコイル含浸用樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のコイル含浸用樹脂組成物にコイル部分を含浸させてなる自動車モータ用コイル。
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