以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
〔実施形態1〕
本発明の実施の一形態について、図1の(a)・(b)および図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図1の(a)・(b)は、本実施形態にかかる発光素子の発光原理を示す図である。また、図2は、本実施形態にかかる発光素子の概略構成の一例を示す断面図である。
本実施形態にかかる発光素子は、第1電極と第2電極とで、発光層を少なくとも含む機能層を挟持してなる。上記機能層は、有機層であってもよく、無機層であってもよい。以下、本実施形態にかかる発光素子として、有機EL素子を例に挙げて説明する。
<有機EL素子の概略構成>
図2に示すように、本実施形態にかかる有機EL素子10は、基板1上に、陽極2(第1電極)、有機EL層3(有機層、機能層)、および陰極4(第2電極)が、基板1側から、この順に積層された構成を有している。
有機EL層3は、発光層33を含む有機層からなる発光ユニットである。本実施形態にかかる有機EL素子10は、白(W)色表示が可能な照明用発光デバイスであり、発光層33から発せられた光を、白色光として、基板1とは反対側から取り出すトップエミッション型の有機EL素子である。
以下に、上記各構成要素について、より詳細に説明する。
<基板1>
基板1は、絶縁性を有していれば、特に限定されるものではなく、例えば公知の絶縁基板を用いることができる。
基板1としては、例えば、ガラス、または石英等からなる無機基板、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、またはポリイミド樹脂等からなるプラスチック基板等を用いることができる。
本実施形態では、後述するように、基板1として、透光性を有する絶縁基板としてガラス基板(透明基板)を用いる場合を例に挙げて説明する。しかしながら、上述したようにトップエミッション型の有機EL素子10においては、基板1に透光性を必要としない。
このため、有機EL素子10がトップエミッション型の有機EL素子である場合、基板1として、シリコンウェハ等の半導体基板、アルミニウム(Al)または鉄(Fe)等からなる金属基板の表面に酸化シリコンまたは有機絶縁材料等からなる絶縁物をコーティングした基板、Al等からなる金属基板の表面を陽極酸化等の方法によって絶縁化処理した基板等も利用できる。
また、基板1上には、TFT等の駆動素子を含む回路が形成されてもよい。
<陽極2および陰極4>
陽極2および陰極4は、対の電極である。陽極2は、有機EL層3に正孔(h+)を注入(供給)する電極としての機能を有している。一方、陰極4は、有機EL層3に電子(e−)を注入(供給)する電極としての機能を有している。
陽極2および陰極4の形状、構造、大きさ等は、特に制限はなく、有機EL素子10の用途、目的に応じて、適宜選択することができる。
陽極2および陰極4として用いることができる電極材料としては、特に限定されるものではなく、例えば公知の電極材料を用いることができる。
陽極2としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、およびニッケル(Ni)等の金属、並びに、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)等の透明電極材料等が利用できる。
一方、陰極4としては、発光層33に電子を注入する目的で、仕事関数の小さい材料が好ましい。陰極4としては、例えば、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属、またはこれらの金属を含有するAg−Mg合金、Al−Li合金等の合金等が利用できる。
なお、陽極2および陰極4の厚みは、特に限定されるものではなく、従来と同様に設定することができる。
発光層33で発生させた光は、陽極2および陰極4のうち少なくとも一方の電極側から取り出す必要がある。一般的には、陽極2および陰極4のうち何れか一方の電極側から光が取り出される。光を取り出す側の電極には、光を透過する透光性電極材料を使用し、光を取り出さない側の電極には、光を透過しない、非透光性電極材料を使用することが好ましい。
すなわち、陽極2および陰極4としては、様々な導電性材料を用いることができるが、有機EL素子10がトップエミッション型の有機EL素子である場合、基板1側の電極(本実施形態では陽極2)を非透光性電極材料で形成し、有機EL層3を挟んで基板1とは反対側の電極(本実施形態では陰極4)を、透明の透光性電極材料(透明電極)または半透明の透光性電極材料(半透明電極)で形成することが好ましい。
陽極2および陰極4は、それぞれ、1つの電極材料からなる単層であってもよいし、複数の電極材料からなる積層構造を有していてもよい。
したがって、上述したように有機EL素子10がトップエミッション型の有機EL素子である場合、図2に示すように、陽極2を、反射電極等の、非透光性電極材料からなる非透光性電極21と、透光性電極材料からなる透光性電極22との積層構造としてもよい。
非透光性電極材料としては、例えば、タンタル(Ta)または炭素(C)等の黒色電極材料、Al、銀(Ag)、金(Au)、Al−Li合金、Al−ネオジウム(Nd)合金、またはAl−シリコン(Si)合金等の反射性金属電極材料等が挙げられる。
また、透光性電極材料としては、例えば、上述した透明電極材料等を用いてもよいし、薄膜にしたAg等の半透明の電極材料を用いてもよい。
<有機EL層3>
本実施形態にかかる有機EL層3は、図2に示すように、陽極2側から、正孔注入層31、正孔輸送層32、発光層33、電子輸送層34、電子注入層35が、この順に積層された構成を有している。
但し、発光層33以外の有機層は、有機EL層3として必須の層ではなく、要求される有機EL素子10の特性に応じて適宜形成すればよい。
(発光層33)
発光層33は、第1発光層33a(第1の発光層)、第2発光層33b(第2の発光層)、および第3発光層33c(第3の発光層)からなる3層構造を有している。
第2発光層33bは、第1発光層33aと第3発光層33cとの間に、第1発光層33aに隣接して積層される。本実施形態にかかる有機EL素子10は、第1発光層33aと第2発光層33bと第3発光層33cとの間に、発光層以外の層(中間層)が設けられていない単純構造を有している。このため、本実施形態では、第2発光層33bは、第1発光層33aと第3発光層33cとの間に、第1発光層33aおよび第3発光層33cの両方に隣接して積層されている。但し、後述する実施形態に示すように、第2発光層33bと第3発光層33cとの間には、発光体を含まず、第3発光層33cのS1準位よりも高いS1準位を有する中間層が設けられていてもよく、第2発光層33bと第3発光層33cとが互いに隣接して積層されている必要は、必ずしもない。本実施形態では、第1発光層33a、第2発光層33b、および第3発光層33cは、陽極2側から、この順に積層されている。
発光層33のうち、第1発光層33aの発光ピーク波長が最も短波長であり、第3発光層33cの発光ピーク波長が最も長波長であり、第2発光層33bは、第1発光層33aの発光ピーク波長と第3発光層33cの発光ピーク波長との間の波長の発光ピーク波長の光を発光する。
本実施形態では、発光材料として、りん光材料を使用せず、第1発光層33aおよび第2発光層33bにそれぞれ遅延蛍光材料を使用することで、少なくとも2種類の遅延蛍光材料を含む蛍光材料(蛍光発光材料、蛍光体)を使用して3色発光による白色発光を行う。
したがって、本実施形態では、第1発光層33aに、発光層33に使用される発光材料のうち発光ピーク波長が最も短波長の遅延蛍光材料を使用し、第3発光層33cに、発光層33に使用される発光材料のうち発光ピーク波長が最も長波長の蛍光材料を使用し、それらの間の発光ピーク波長の光を発光する遅延蛍光材料を、第2発光層33bに使用する。
なお、これら第1発光層33a、第2発光層33b、および第3発光層33cは、それぞれ、ホスト材料と、上記蛍光材料、すなわち、蛍光発光を示すドーパント材料(発光ドーパント、ゲスト材料)とから形成されていてもよく、ドーパント材料単体で形成されていてもよい。なお、ホスト材料とは、正孔および電子の注入が可能であり、正孔と電子とが輸送され、その分子内で再結合することで発光ドーパントを発光させる機能を有する化合物を示す。
以下、本実施形態では、第1発光層33aが青色発光層(B蛍光発光層)であり、第2発光層33bが緑色発光層(G蛍光発光層)であり、第3発光層33cが赤色発光層(R蛍光発光層)である場合を例に挙げて説明する。
青色発光層としては、例えば、380nm〜480nmの波長範囲にピーク波長を有する蛍光材料が使用される。また、緑色発光層としては、例えば510nm〜560nmの波長範囲にピーク波長を有する蛍光材料が使用される。赤色発光層としては、例えば、600nm〜680nmの波長範囲にピーク波長を有する蛍光材料が使用される。
(第1発光層33a)
本実施形態では、上述した遅延蛍光材料として、TTF(Triplet-Triplet-Fusion)材料およびTADF材料(Thermally Activated Delayed Fluorescence材料、熱活性化遅延蛍光材料)を使用する。
第1発光層33aでは、上述した遅延蛍光材料として、TTF材料を使用する。第1発光層33aは、ホスト材料(第1ホスト材料)およびTTF材料のうち、少なくともTTF材料を含む。
TTF材料は、上記ホスト材料と協働して、もしくは単独で、T1準位からS1準位へ再励起して発光可能な遅延蛍光材料であり、三重項励起子の衝突融合により、複数の三重項励起子から一重項励起子が生成するTTF現象(三重項−三重項消滅現象(TTA:Triplet-Triplet Annihilation)とも称される)を生じさせる(以下、単にTTFと称する場合もある)ことで発光する遅延蛍光材料である。このTTF現象による遅延蛍光を利用すると、蛍光型発光においても、理論上、内部量子効率を40%にまで高めることができると考えられている。
本実施形態では、上記第1発光層33aに、蛍光材料のT1準位またはホスト材料のT1準位から、蛍光材料のS1準位へのTTFによるアップコンバージョンが起こり、遅延蛍光を発するTTF材料を使用する。
なお、第1発光層33aが、ホスト材料と、蛍光材料からなるドーパント材料とを含む場合、ホスト材料の三重項エネルギーをEThとし、ドーパント材料の三重項エネルギーをETdとすると、ETh<ETdであることが好ましい。この関係を満たすことで、ホスト材料上で発生した三重項励起子は、より高い三重項エネルギーを有するドーパント材料には移動せず、ドーパント材料上で発生した三重項励起子は、速やかにホスト材料にエネルギー移動する。このため、ホスト材料の三重項励起子はドーパント材料に移動せず、TTF現象によって、効率的に、ホスト材料上で三重項励起子同士が衝突し、一重項励起子が生成される。さらに、ドーパント材料の一重項エネルギーESdは、ホスト材料の一重項エネルギーEShよりも小さいことが好ましい。この関係を満たすことで、TTF現象によって生成された一重項励起子は、ホスト材料からドーパント材料にエネルギー移動し、ドーパント材料の蛍光性発光に寄与する。
なお、ここで、三重項エネルギーとは、最低励起三重項状態(T1)、すなわち、本実施形態では、図1の(a)中、T1Bにおけるエネルギーと、基底状態(S0)におけるエネルギーとの差を示す。また、一重項エネルギー(エネルギーギャップとも言う)は、最低励起一重項状態(S1)、すなわち、本実施形態では、図1の(a)中、S1Bにおけるエネルギーと、基底状態(S0)におけるエネルギーとの差を示す。
また、本来、蛍光型素子に用いられるドーパント材料において、三重項励起状態から基底状態への遷移は禁制遷移であり、このような遷移では、三重項励起子は、発光として失活せずに、熱エネルギー等に変化して熱として失活し、発光に寄与しない。
しかしながら、ホスト材料とドーパント材料とが上述した関係を満たすことで、三重項励起子が熱的失活を起こす前に、互いの衝突により効率的に一重項励起子を生成し、発光効率が向上する。
また、ホスト材料のアフィニティ(電子親和力)をAhとし、ドーパント材料のアフィニティをAdとし、ホスト材料のイオン化ポテンシャルをIhとし、ドーパント材料のイオン化ポテンシャルをIdとすると、ドーパント材料は、Ah>Ad、Ih>Idであることが望ましい。
アフィニティ(電子親和力)は、ホスト材料の分子に電子を1つ与えたときに放出または吸収されるエネルギーを示し、放出の場合は正、吸収の場合は負と定義される。
ホスト材料またはドーパント材料のアフィニティは、それぞれの材料のイオン化ポテンシャルをIp(IhまたはId)とし、それぞれの材料の一重項エネルギーをEg(EShまたはESd)とすると、Af=Ip−Egで示される。
第1発光層33aに使用されるドーパント材料は、前述したように発光ピークが最も短波長の蛍光材料であり、具体的には、例えば、380nm〜480nmの波長範囲にピーク波長を有する蛍光を発生する青色発光蛍光体であり、エネルギーギャップは比較的大きくなる。このため、第1発光層33aに使用されるドーパント材料は、Ah>Adを満足するとき、同時にIh>Idを満足する。
ホスト材料とドーパント材料とのイオン化ポテンシャル差が大きくなると、ドーパント材料は正孔トラップ性を有するようになり、三重項励起子は、ホスト分子(ホスト材料)上だけではなく、直接ドーパント分子(ドーパント材料)上でも生成されるようになる。このとき、上述したようにETh<ETdという関係を有していれば、ドーパント分子上の三重項励起子エネルギーは、電子交換相互作用(いわゆるデクスター機構)によるデクスター型のエネルギー移動(デクスター遷移)により、ホスト分子上に移り、全ての三重項励起子がホスト分子上に集まる。その結果、効率良くTTF現象が起こる。
上記TTF現象を生じさせるホスト材料とドーパント材料(TTF材料)との組み合わせは、例えば、以下の化合物から選択できる。
上記ホスト材料としては、例えば、アントラセン誘導体、多環芳香族骨格含有化合物等が挙げられる。これらホスト材料は、単独で用いてもよく、適宜2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記ドーパント材料(TTF材料)としては、アミノピレン誘導体等のピレン誘導体、アミノアントラセン誘導体、アミノクリセン誘導体等、が挙げられる。これらドーパント材料もまた、単独で用いてもよく、適宜2種以上を組み合わせて用いてもよい。
そのなかでも、ホスト材料としてアントラセン誘導体を使用し、ドーパント材料として、アミノアントラセン誘導体、アミノクリセン誘導体、およびアミノピレン誘導体から選ばれる少なくとも1種以上のドーパント材料を使用する組合せが好ましい。また、ホスト材料としてアントラセン誘導体を使用し、ドーパント材料として、アミノクリセン誘導体およびアミノピレン誘導体から選ばれる少なくとも1種のドーパント材料を使用する組合せがより好ましい。
ホスト材料として使用される上記アントラセン誘導体としては、例えば、次式(1)
で表される化合物が好ましい。
なお、式(1)中、Ar11およびAr12は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、または環形成原子数5〜50の複素環基を示す。また、R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜50のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のシリル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシル基から選ばれる基を示す。
上記アントラセン誘導体は、適用する有機EL素子10の構成や求める特性等によって適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
本実施形態で用いられる上記アントラセン誘導体の一例としては、例えば、式(1)におけるAr11およびAr12が、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の環形成炭素数10〜50の縮合アリール基であるアントラセン誘導体が挙げられる。
このようなアントラセン誘導体は、Ar11およびAr12が、同一の置換もしくは無置換の縮合アリール基である場合と、異なる置換もしくは無置換の縮合アリール基である場合とに分けることができる。
上記Ar11およびAr12が、同一の置換もしくは無置換の縮合アリール基であるアントラセン誘導体としては、例えば、次式(2)〜(4)
で表されるアントラセン誘導体が挙げられる。
式(2)で表されるアントラセン誘導体は、Ar11およびAr12が、置換もしくは無置換の9−フェナントレニル基となっている。式(2)中、R1〜R8は、前記と同様である。R11は、水素原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜50のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のシリル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシル基から選ばれる基を示す。また、aは、0〜9の整数を示す。aが2以上の整数の場合、各R11は、2つの置換もしくは無置換のフェナントレニル基が同一であることを条件に、それぞれが同一でも異なっていてもよい。
式(3)で表されるアントラセン誘導体は、式(1)におけるAr11およびAr12が、置換もしくは無置換の2−ナフチル基となっている。なお、式(3)中、R1〜R8およびR11は、前記と同様である。また、bは、1〜7の整数である。bが2以上の整数の場合、各R11は、2つの置換もしくは無置換の2−ナフチル基が同一であることを条件に、それぞれが同一でも異なっていてもよい。
式(4)で表されるアントラセン誘導体は、式(1)におけるAr11およびAr12が、置換もしくは無置換の1−ナフチル基となっている。式(4)中、R1〜R8、R11およびbは、前記と同様である。また、bが2以上の整数の場合、各R11は、2つの置換もしくは無置換の1−ナフチル基が同一であることを条件に、それぞれが同一でも異なっていてもよい。
また、式(1)におけるAr11およびAr12が、異なる置換もしくは無置換の縮合アリール基であるアントラセン誘導体としては、Ar11およびAr12が、置換もしくは無置換の9−フェナントレニル基、置換もしくは無置換の1−ナフチル基、置換もしくは無置換の2−ナフチル基の何れかであるアントラセン誘導体が挙げられる。
具体的には、Ar11が1−ナフチル基であり、Ar12が2−ナフチル基であるアントラセン誘導体、Ar11が1−ナフチル基であり、Ar12が9−フェナントリル基であるアントラセン誘導体、並びに、Ar11が2−ナフチル基であり、Ar12が9−フェナントリル基であるアントラセン誘導体が挙げられる。
また、本実施形態で用いられるアントラセン誘導体は、式(1)におけるAr11およびAr12の一方が置換もしくは無置換のフェニル基であり、他方が置換もしくは無置換の環形成炭素数10〜50の縮合アリール基であるアントラセン誘導体であってもよい。
このようなアントラセン誘導体としては、例えば、次式(5)、(6)
で表されるアントラセン誘導体が挙げられる。
式(5)で表されるアントラセン誘導体は、式(1)におけるAr11が、置換もしくは無置換の1−ナフチル基であり、Ar12が、置換もしくは無置換のフェニル基となっている。式(5)中、R1〜R8、R11およびbは、前記と同様である。Ar6は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50の複素環基、9,9−ジメチルフルオレン−1−イル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジメチルフルオレン−3−イル基、9,9−ジメチルフルオレン−4−イル基、ジベンゾフラン−1−イル基、ジベンゾフラン−2−イル基、ジベンゾフラン−3−イル基、またはジベンゾフラン−4−イル基を示す。また、Ar6は、それが結合しているベンゼン環と共に、置換もしくは無置換のフルオレニル基や置換もしくは無置換のジベンゾフラニル基等の環を形成していてもよい。bが2以上の整数の場合、各R11は、それぞれが同一でも異なっていてもよい。
式(6)で表されるアントラセン誘導体は、式(1)におけるAr11が、置換もしくは無置換の2−ナフチル基であり、Ar12が、置換もしくは無置換のフェニル基となっている。式(6)中、R1〜R8、R11およびbは、前記と同様である。Ar7は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、ジベンゾフラン−1−イル基、ジベンゾフラン−2−イル基、ジベンゾフラン−3−イル基、またはジベンゾフラン−4−イル基である。また、Ar7はそれが結合しているベンゼン環と共に、置換もしくは無置換のフルオレニル基や置換もしくは無置換のジベンゾフラニル基等の環を形成していてもよい。bが2以上の整数の場合、各R11は、それぞれが同一でも異なっていてもよい。
また、本実施形態で用いられるアントラセン誘導体は、例えば、次式(7)
で表されるアントラセン誘導体であってもよい。
式(7)中、R1〜R8およびAr6は、前記と同様である。Ar5は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、または置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50の複素環基を示し、Ar5とAr6とは、それぞれ独立して選択される。
このようなアントラセン誘導体としては、例えば、次式(8)〜(10)
で表されるアントラセン誘導体が挙げられる。
式(8)〜(10)中、R1〜R8は、前記と同様である。
また、式(9)中、Ar8は、置換もしくは無置換の環形成炭素数10〜20の縮合アリール基を示す。
式(10)中、Ar5aおよびAr6aは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の環形成炭素数10〜20の縮合アリール基を示す。
なお、上述した式(1)〜(10)における、R1〜R8、R11、Ar5〜Ar7、Ar11およびAr12の置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、6−クリセニル基、1−ベンゾ[c]フェナントリル基、2−ベンゾ[c]フェナントリル基、3−ベンゾ[c]フェナントリル基、4−ベンゾ[c]フェナントリル基、5−ベンゾ[c]フェナントリル基、6−ベンゾ[c]フェナントリル基、1−ベンゾ[g]クリセニル基、2−ベンゾ[g]クリセニル基、3−ベンゾ[g]クリセニル基、4−ベンゾ[g]クリセニル基、5−ベンゾ[g]クリセニル基、6−ベンゾ[g]クリセニル基、7−ベンゾ[g]クリセニル基、8−ベンゾ[g]クリセニル基、9−ベンゾ[g]クリセニル基、10−ベンゾ[g]クリセニル基、11−ベンゾ[g]クリセニル基、12−ベンゾ[g]クリセニル基、13−ベンゾ[g]クリセニル基、14−ベンゾ[g]クリセニル基、1−トリフェニル基、2−トリフェニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基等が挙げられる。そのなかでも、無置換のフェニル基、置換フェニル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数10〜14のアリール基(例えば、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フェナントリル基)、置換もしくは無置換のフルオレニル基(2−フルオレニル基)、及び置換もしくは無置換のピレニル基(1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基)が好ましい。
また、Ar5a、Ar6a、およびAr8の置換もしくは無置換の環形成炭素数10〜20の縮合アリール基としては、例えば、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−フルオレニル基等が挙げられる。そのなかでも、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フェナントリル基、及びフルオレニル基(2−フルオレニル基)が好ましい。
また、R1〜R8、R11、Ar5〜Ar7、Ar11、およびAr12の置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50の複素環基としては、例えば、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、1−ジベンゾフラニル基、2−ジベンゾフラニル基、3−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、1−ジベンゾチオフェニル基、2−ジベンゾチオフェニル基、3−ジベンゾチオフェニル基、4−ジベンゾチオフェニル基、キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナントリジニル基、2−フェナントリジニル基、3−フェナントリジニル基、4−フェナントリジニル基、6−フェナントリジニル基、7−フェナントリジニル基、8−フェナントリジニル基、9−フェナントリジニル基、10−フェナントリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナントロリン−2−イル基、1,7−フェナントロリン−3−イル基、1,7−フェナントロリン−4−イル基、1,7−フェナントロリン−5−イル基、1,7−フェナントロリン−6−イル基、1,7−フェナントロリン−8−イル基、1,7−フェナントロリン−9−イル基、1,7−フェナントロリン−10−イル基、1,8−フェナントロリン−2−イル基、1,8−フェナントロリン−3−イル基、1,8−フェナントロリン−4−イル基、1,8−フェナントロリン−5−イル基、1,8−フェナントロリン−6−イル基、1,8−フェナントロリン−7−イル基、1,8−フェナントロリン−9−イル基、1,8−フェナントロリン−10−イル基、1,9−フェナントロリン−2−イル基、1,9−フェナントロリン−3−イル基、1,9−フェナントロリン−4−イル基、1,9−フェナントロリン−5−イル基、1,9−フェナントロリン−6−イル基、1,9−フェナントロリン−7−イル基、1,9−フェナントロリン−8−イル基、1,9−フェナントロリン−10−イル基、1,10−フェナントロリン−2−イル基、1,10−フェナントロリン−3−イル基、1,10−フェナントロリン−4−イル基、1,10−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−1−イル基、2,9−フェナントロリン−3−イル基、2,9−フェナントロリン−4−イル基、2,9−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−6−イル基、2,9−フェナントロリン−7−イル基、2,9−フェナントロリン−8−イル基、2,9−フェナントロリン−10−イル基、2,8−フェナントロリン−1−イル基、2,8−フェナントロリン−3−イル基、2,8−フェナントロリン−4−イル基、2,8−フェナントロリン−5−イル基、2,8−フェナントロリン−6−イル基、2,8−フェナントロリン−7−イル基、2,8−フェナントロリン−9−イル基、2,8−フェナントロリン−10−イル基、2,7−フェナントロリン−1−イル基、2,7−フェナントロリン−3−イル基、2,7−フェナントロリン−4−イル基、2,7−フェナントロリン−5−イル基、2,7−フェナントロリン−6−イル基、2,7−フェナントロリン−8−イル基、2,7−フェナントロリン−9−イル基、2,7−フェナントロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基等が挙げられる。そのなかでも、好ましくは、1−ジベンゾフラニル基、2−ジベンゾフラニル基、3−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、1−ジベンゾチオフェニル基、2−ジベンゾチオフェニル基、3−ジベンゾチオフェニル基、4−ジベンゾチオフェニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基である。
また、R1〜R8、R11、およびAr5〜Ar7の置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等が挙げられる。そのなかでも、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基である。
また、R1〜R8、R11、およびAr5〜Ar7の置換基の置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等が挙げられる。そのなかでも、好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
また、R1〜R8およびR11の置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基は、−OZで表される基である。上記Zは、上述したR1〜R8の置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基から選択される。
また、R1〜R8、R11およびAr5〜Ar7の置換基の置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基(アリール部分は炭素数6〜49、アルキル部分は炭素数1〜44)としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルイソプロピル基、2−フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、1−α−ナフチルエチル基、2−α−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルイソプロピル基、2−α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、1−β−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−β−ナフチルイソプロピル基、2−β−ナフチルイソプロピル基、1−ピロリルメチル基、2−(1−ピロリル)エチル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、o−メチルベンジル基、p−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、o−クロロベンジル基、p−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、o−ブロモベンジル基、p−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、o−ヨードベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、m−ヒドロキシベンジル基、o−ヒドロキシベンジル基、p−アミノベンジル基、m−アミノベンジル基、o−アミノベンジル基、p−ニトロベンジル基、m−ニトロベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−シアノベンジル基、m−シアノベンジル基、o−シアノベンジル基、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル基、1−クロロ−2−フェニルイソプロピル基等が挙げられる。
また、R1〜R8およびR11の置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基は−OYで表される基であり、アリールチオ基は、−SYで表される基である。上記Yは、前記R1〜R8の置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基から選ばれる。
また、R1〜R8およびR11の置換もしくは無置換の炭素数2〜50アルコキシカルボニル基(アルキル部分は炭素数1〜49)は、−COOZで表される基である。上記Zは、前述したように、R1〜R8の置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基から選択される。
また、R1〜R8およびR11の置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
また、R1〜R8およびR11のハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
また、ドーパントとして使用される上記アミノアントラセン誘導体の例としては、例えば、次式(11)
で表される化合物が挙げられる。
式(11)中、A1およびA2は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の環形成炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、または、窒素原子、硫黄原子、酸素原子の何れかの原子を含む、置換もしくは無置換の炭素数5〜19の複素芳香族炭化水素基を示す。また、各A3は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、または、窒素原子、硫黄原子、酸素原子の何れかの原子を含む、置換もしくは無置換の炭素数5〜19の複素芳香族炭化水素基、または水素原子を示す。
また、上記アミノクリセン誘導体としては、例えば、次式(12)
で表される化合物が好ましい。
式(12)中、X1〜X10は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を示し、Y1およびY2は、それぞれ置換基を示す。好ましくは、X1〜X10は、水素原子である。また、好ましくは、Y1およびY2は、それぞれ独立して、置換(好ましくは炭素数1〜6のアルキル基で置換)または無置換の炭素数6〜30の芳香族環(好ましくは炭素数6〜10の芳香族環、またはフェニル基)である。
また、上記アミノピレン誘導体としては、例えば、次式(13)
で表される化合物が好ましい。
式(13)中、X1〜X10は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を示す。但し、X3およびX8、または、X2およびX7は、それぞれ−NY1Y2基であり、Y1およびY2は置換基である。好ましくは、X3およびX8が、それぞれ−NY1Y2基であるとき、X2、X4、X5、X7、X9、X10は、水素原子であり、X1、X6は、水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基である。また、好ましくは、X2およびX7が、それぞれ−NY1Y2基であるとき、X1、X3〜X6、X8〜X10は、水素原子である。また、好ましくは、Y1およびY2は、置換(例えば炭素数1〜6のアルキル基で置換)または無置換の芳香族環(例えば、フェニル基、ナフチル基)である。
第1発光層33a中におけるTTF材料の含有率(ドープ量)は、10wt%以上であることが好ましく、30wt%以上であることがさらに好ましく、50wt%以上であることが最も好ましい。
なお、ホスト材料を使用する場合、ホスト材料のT1準位は、TTF材料のT1準位よりも高いことが望ましい。これにより、ホスト材料からTTF材料に励起エネルギーが移動し易くなる。
また、本実施形態において、第1発光層33aは正孔輸送性が強く、第2発光層33bおよび第3発光層33cは電子輸送性が強いことが好ましい。このため、第1発光層33aは、正孔移動度が電子移動度よりも高い材料を含み、第2発光層33bおよび第3発光層33cは、電子移動度が正孔移動度よりも高い材料を含むことが望ましい。
このような材料を使用することで、陽極2から第1発光層33aに正孔が効率良く注入・輸送される一方、陰極4から第3発光層33cを介して第2発光層33bに電子が効率良く注入・輸送される。この結果、キャリア(電子および正孔)の再結合が、第1発光層33aと第2発光層33bとの界面近傍で起こり易くなるので、第2発光層33bから第1発光層33aにデクスター遷移が起こり易くなる。
したがって、第1発光層33aがホスト材料を含む場合、該ホスト材料としては、正孔移動度が電子移動度よりも高い材料を用いることが望ましい。
また、第1発光層33aの層厚は、5nm以下であることが好ましく、5nm未満であることがより好ましい。
本実施形態では、第2発光層33bで生成した励起子のデクスター型のエネルギー移動(デクスター遷移)を利用して第1発光層33aの発光を行う。デクスター遷移は、隣接している分子同士の間でのみ生じる。このため、第1発光層33aの層厚が厚いと、発光効率が低下するおそれがある。したがって、第1発光層33aの層厚は、5nm以下とすることが望ましい。
(第2発光層33b)
また、第2発光層33bでは、上述した遅延蛍光材料として、TADF材料を使用する。第2発光層33bは、ホスト材料(第2ホスト材料)およびTADF材料のうち、少なくともTADF材料を含む。
TADF材料は、熱活性化により三重項励起状態(T1)から逆項間交差により一重項励起状態(S1)を生成できる材料であり、S1準位とT1準位とのエネルギー差ΔESTが極めて小さい遅延蛍光材料である。ドーパント材料にこのようにS1準位とT1準位とのエネルギー差ΔESTが極めて小さい遅延蛍光材料を用いることで、熱エネルギーによるT1準位からS1準位への逆項間交差が生じる。このTADF材料による遅延蛍光を利用すると、蛍光型発光においても、理論上、内部量子効率を100%にまで高めることができると考えられている。
TADF材料としては、既知の材料を使用することができ、特に限定されるものではない。本実施形態で用いられる緑色発光のTADF材料としては、例えば、フェノキサジン−トリフェニルトリアジン(PXZ−TRZ)等が挙げられる。なお、TADF材料は、単独で用いてもよく、適宜2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記TADF材料には、第1発光層33aに含まれるホスト材料およびTTF材料のうち少なくとも一方のT1準位よりもT1準位が高い材料が選択される。これにより、上記TADF材料から第1発光層33aのホスト材料およびTTF材料のうち少なくとも一方にエネルギーが移動し易くなる。
また、ホスト材料としては、従来、EL層(本実施形態では有機EL層)等に用いられる公知のホスト材料を使用することができる。上記ホスト材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、アントラセン、テトラセン等のアセン系材料またはその誘導体等が挙げられ、これらのうち1種を単独でもしくは適宜2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ホスト材料を使用する場合、ホスト材料のT1準位は、TADF材料のS1準位およびT1準位よりも高いことが望ましい。これにより、ホスト材料からTADF材料に励起エネルギーが移動し易くなる。
また、前述したように、本実施形態において、第1発光層33aは正孔輸送性が強く、第2発光層33bおよび第3発光層33cは電子輸送性が強いことが好ましい。
このため、上記ホスト材料としては、電子移動度が正孔移動度よりも高い、電子輸送性のホスト材料を用いることが好ましい。このため、上記ホスト材料としては、例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、慣用名:バトクプロイン)等の電子輸送性材料を用いることが好ましい。
第2発光層33b中におけるTADF材料の含有率(ドープ量)は、10wt%以上であることが好ましく、30wt%以上であることがさらに好ましく、50wt%以上であることが最も好ましい。したがって、第2発光層33bがホスト材料を含む場合、第2発光層33b中にTADF材料が少なくとも10%含まれるように、ホスト材料にTADF材料がドープされる。
また、第2発光層33bに含まれる、少なくとも、混合比率が最も高い材料のHOMO準位は、第1発光層33aに含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のHOMO準位よりも高いことが望ましい。これにより、第1発光層33aよりも第2発光層33bに正孔が入り易くなる。
また、第2発光層33bに含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のHOMO準位は、第3発光層33cに含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のHOMO準位よりも高いことが望ましい。これにより、第2発光層33bから第3発光層33cに正孔が漏れ難くなる。
また、第2発光層33bに含まれる、少なくとも、混合比率が最も高い材料のLUMO準位は、第1発光層33aに含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のLUMO準位よりも低いことが望ましい。これにより、第2発光層33bから第1発光層33aに電子が漏れ難くなる。
また、第2発光層33bに含まれる、少なくとも、混合比率が最も高い材料のLUMO準位は、第3発光層33cに含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のLUMO準位よりも低いことが望ましい。これにより、第3発光層33cよりも第2発光層33bに電子が入り易くなる。
したがって、これら第1発光層33a、第2発光層33b、第3発光層33cに、上述した関係を満たす材料を使用することで、第2発光層33bでの励起子生成確率を高めることができる。この結果、第2発光層33bでの発光効率を向上させることができるとともに、第2発光層33bで生成した励起子のエネルギーの移動により、第1発光層33aおよび第3発光層33cにおいても効率良く発光させることができる。
なお、HOMO準位は、例えば、理研計器株式会社製の大気中光電子分光装置「AC−3」等を用いて紫外線を照射して放出される光電子の閾値エネルギーを測定することで求めることができる。一方、LUMO準位は、島津製作所製の紫外可視分光光度計「UV−2450」等を使用し、紫外線を照射したときの吸収スペクトルの吸収端のエネルギーでバンドギャップを求め、該バンドギャップと上記手法で測定されたHOMO準位とから、計算によって求めることができる。
HOMO準位およびLUMO準位の比較は、値そのものではなく、エネルギー差が重要であり、HOMO準位およびLUMO準位は、何れも、常用の手法により求めることができる。このため、測定方法の詳細については省略するが、同じ手法で用いたHOMO準位同士およびLUMO準位同士を比較することが望ましい。
また、第2発光層33bの層厚は、20nm以下であることが好ましく、2〜20nmの範囲内であることがより好ましく、5〜10nmの範囲内であることがさらに好ましい。
本実施形態では、第2発光層33bのTADF材料から、第3発光層33cの蛍光発光材料へのフェルスター遷移(フェルスター型のエネルギー移動)を利用して第3発光層33cを発光させる。
フェルスター遷移は、材料同士が直接接触していなくても、一定距離内であれば起こる。また、第2発光層33bは緑色発光層(緑色蛍光発光層)であり、第3発光層33cは赤色発光層(赤色蛍光発光層)であることから、第2発光層33bおよび第3発光層33cのエネルギー準位は、S1G>S1R、T1G>T1Rの関係を有している。このため、第2発光層33bから第3発光層33cにはエネルギーが移動し易い。このため、上記TADF材料の分子から第3発光層33cの蛍光材料の分子までの距離が20nm以下であれば、容易かつより確実にフェルスター遷移が起こるとともに、エネルギーの移動効率を損なうこともない。
また、第2発光層33bの層厚を20nm以下とすることで、第2発光層33b中で最も第3発光層33cの蛍光材料から遠いTADF材料の分子(すなわち、第2発光層33bにおける、第3発光層33cとは反対側の表面、つまり、第1発光層33a側の表面)に位置するTADF材料の分子までの距離が20nm以下となる。したがって、第2発光層33bの任意の位置から第3発光層33cまでの最短距離が何れも20nm以下となる。このため、第2発光層33bにおける第3発光層33cとは反対側の表面に位置するTADF材料の分子であってもフェルスター遷移が可能であり、任意の位置のTADF材料の分子から第3発光層33cの蛍光材料へのフェルスター遷移が可能となる。
また、層厚を均一にし、発光効率の低下を抑制する上で、第2発光層33bの層厚は、2nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。
(第3発光層33c)
第3発光層33cには、前述したように、発光層33に使用される発光材料のうち発光ピーク波長が最も長波長の蛍光材料が使用される。第3発光層33cは、ホスト材料(第3ホスト材料)および上記蛍光材料のうち、少なくとも上記蛍光材料を含む。
上記蛍光材料としては、既知の蛍光材料を使用することができ、第2発光層33bのTADF材料のS1準位およびT1準位よりもS1準位が低い蛍光材料であれば、特に限定されるものではない。本実施形態で用いられる赤色発光の蛍光材料としては、例えば、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(ジュロリジン−4−イル−ビニル)−4H−ピラン(DCM2)、ジインデノペリレン誘導体等のペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド等が挙げられる。
また、ホスト材料としては、従来、EL層(本実施形態では有機EL層)等に用いられる公知のホスト材料を使用することができる。上記ホスト材料としては、例えば、第2発光層33bで用いられるホスト材料と同様のホスト材料を用いることができる。具体的には、例えば、カルバゾール誘導体、アントラセン、テトラセン等のアセン系材料またはその誘導体等が挙げられ、これらのうち1種を単独でもしくは適宜2種以上を組み合わせて用いることもできる。
前述したように、本実施形態において、第2発光層33bおよび第3発光層33cは、電子輸送性が強いことが好ましいことから、第3発光層33cでも、上記ホスト材料としては、電子移動度が正孔移動度よりも高い、電子輸送性のホスト材料を用いることが好ましい。このため、上記ホスト材料としては、例えば、BCP(バトクプロイン)等の電子輸送性材料を用いることが好ましい。
第3発光層33c中における上記蛍光材料の含有率(ドープ量)は、10wt%以上であることが好ましく、30wt%以上であることがさらに好ましく、50wt%以上であることが最も好ましい。
また、第3発光層33cの層厚は、20nm以下であることが好ましく、10〜20nmの範囲内であることがより好ましい。
フェルスター半径は15nm程度である。このため、第3発光層33cの層厚を20nm以下とすることで、第3発光層33cの分子に漏れなくフェルスター遷移が起こる。また、第3発光層33cの層厚を10nm以上とすることで、第3発光層33cにおける、第2発光層33bとは反対側の層へのエネルギー漏れが発生し難い。このため、第3発光層33cの層厚を10〜20nmの範囲内とした場合、発光効率が最も高くなる。
(正孔注入層31および正孔輸送層32)
正孔注入層31は、正孔注入性材料を含み、発光層33への正孔注入効率を高める機能を有する層である。
また、正孔輸送層32は、正孔輸送性材料を含み、発光層33への正孔輸送効率を高める機能を有する層である。
なお、正孔注入層31と正孔輸送層32とは、互いに独立した層として形成されていてもよく、正孔注入層兼正孔輸送層として一体化されていてもよい。また、正孔注入層31と正孔輸送層32とが両方設けられている必要もなく、一方のみ、例えば正孔輸送層32のみが設けられていてもよい。勿論、両方とも設けられていなくても構わない。
正孔注入層31、正孔輸送層32、あるいは正孔注入層兼正孔輸送層の材料、すなわち、正孔注入性材料あるいは正孔輸送性材料として用いられる材料としては、既知の材料を用いることができる。
これらの材料としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、アザトリフェニレン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、トリフェニレン、ベンジン、スチリルアミン、トリフェニルアミン、ポルフィリン、トリアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、オキザゾール、ポリアリールアルカン、フェニレンジアミン、アリールアミン、およびこれらの誘導体、チオフェン系化合物、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、アニリン系化合物等の鎖状式あるいは複素環式共役系のモノマー、オリゴマー、またはポリマー等が挙げられる。
より具体的には、例えば、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(α−NPD)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(HAT−CN)、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(mCP)、ジ−[4−(N,N−ジトリル−アミノ)−フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、9,10−ジフェニルアントラセン−2−スルフォネート(DPAS)、N,N’−ジフェニル−N,N’−(4−(ジ(3−トリル)アミノ)フェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(DNTPD)、イリジウム(III)トリス[N,N’−ジフェニルベンズイミダゾル−2−イリデン−C2,C2’](Ir(dpbic)3)、4,4’,4”−トリス−(N−カルバゾリル)−トリフェニルアミン(TCTA)、2,2−ビス(p−トリメリットオキシフェニル)プロパン酸無水物(BTPD)、ビス[4−(p,p−ジトリルアミノ)フェニル]ジフェニルシラン(DTASi)等が用いられる。
なお、正孔注入層31、正孔輸送層32、正孔注入層兼正孔輸送層は、不純物がドープされていない真性正孔注入性材料あるいは真性正孔輸送性材料であってもよいし、導電性を高める等の理由で不純物がドープされていても構わない。
また、高効率の発光を得るためには、励起エネルギーを発光層33内に閉じ込めることが望ましい。このため、上記正孔注入性材料および正孔輸送性材料としては、発光層33における蛍光材料(ドーパント材料)のS1準位およびT1準位よりも励起準位の高いS1準位およびT1準位を有する材料を使用することが望ましい。このため、上記正孔注入性材料および正孔輸送性材料としては、励起準位が高く、かつ、高い正孔移動度を有する材料を選択することがより好ましい。
(電子輸送層34および電子注入層35)
電子注入層35は、電子注入性材料を含み、発光層33への電子注入効率を高める機能を有する層である。
また、電子輸送層34は、電子輸送性材料を含み、発光層33への電子輸送効率を高める機能を有する層である。
なお、電子注入層35と電子輸送層34とは、互いに独立した層として形成されていてもよく、電子注入層兼電子輸送層として一体化されていてもよい。また、電子注入層35と電子輸送層34とが両方設けられている必要もなく、一方のみ、例えば電子輸送層34のみが設けられていてもよい。勿論、両方とも設けられていなくても構わない。
電子注入層35、電子輸送層34、あるいは電子注入層兼電子輸送層の材料、すなわち、電子注入性材料あるいは電子輸送性材料として用いられる材料としては、既知の材料を用いることができる。
これらの材料としては、例えば、キノリン、ペリレン、フェナントロリン、ビススチリル、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、フルオレノン、およびこれらの誘導体や金属錯体、フッ化リチウム(LiF)等が挙げられる。
より具体的には、例えば、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)、3,3’−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル(mCBP)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾル−2−イル)ベンゼン(TPBI)、3−フェニル−4(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、1,10−フェナントロリン、Alq(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)、LiF等が挙げられる。
なお、電子注入層35、電子輸送層34、電子注入層兼電子輸送層は、不純物がドープされていない真性電子注入性材料あるいは真性電子輸送性材料であってもよいし、導電性を高める等の理由で不純物がドープされていても構わない。
また、高効率の発光を得るためには、励起エネルギーを発光層33内に閉じ込めることが望ましい。このため、上記電子注入性材料および電子輸送性材料としては、隣接する発光層33におけるドーパント材料のS1準位およびT1準位よりも励起準位の高いS1準位およびT1準位を有する材料を使用することが望ましい。このため、上記電子注入性材料および電子輸送性材料としては、励起準位が高く、かつ、高い電子移動度を有する材料を選択することがより好ましい。
必要に応じて形成される、発光層33以外の、これらの層の厚みは、各層のキャリア(正孔、電子)の移動度やそのバランス、各層を構成する材料の種類等に応じて、第2発光層33bで励起子が生成されるように適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。なお、これらの層の厚みは、例えば、従来と同様に設定することが可能である。
<発光原理>
次に、本実施形態にかかる有機EL素子10の発光原理について、図1の(a)・(b)を参照して以下に説明する。
本実施形態にかかる有機EL素子10は、(1)発光ピーク波長が異なる発光層を積層した場合、発光ピーク波長が短波長側の発光層から発光ピーク波長が長波長側の発光層に励起エネルギーの移動が起こり易く、(2)TADF材料は、S1準位およびT1準位間で励起子が自由に移動できることから、TADF材料のS1準位およびT1準位に均等に励起子が発生し、(3)TTF材料は、T1準位からS1準位へと再励起して発光が可能であることを利用して発光を行うものである。
有機EL素子10は、一対の電極(陽極2および陰極4)間に、発光層33中、発光ピークが最も短波長である第1発光層33a(青色発光層)と、第2発光層33b(緑色発光層)と、発光層33中、発光ピークが最も長波長である第3発光層33c(赤色発光層)とが、この順に積層された構成を有している。第1発光層33aは、ホスト材料およびTTF材料のうち少なくともTTF材料を含み、第2発光層33bは、ホスト材料およびTADF材料のうち少なくともTADFを含み、第3発光層33cは、ホスト材料および蛍光材料のうち少なくとも蛍光材料を含む。また、第1発光層33aに含まれるホスト材料およびTTF材料のうち少なくとも一方のT1準位は、第2発光層33bに含まれるTADF材料のT1準位よりも低い。
前述したように、通常の蛍光材料で励起子が生成されても、25%の一重項励起子しか発光に利用できない。
しかしながら、TADF材料は、図1の(a)に示すようにS1準位とT1準位とのエネルギー差ΔESTが極めて小さく、熱活性化により三重項励起状態(T1)から逆項間交差により一重項励起状態(S1)を生成できる遅延蛍光材料である。このため、三重項励起子を一重項励起子に戻して発光させることが可能である。前述したように、TADF材料による遅延蛍光を利用すると、蛍光型発光においても、理論上、内部量子効率を100%にまで高めることができると考えられている。
そして、TADF材料は、上記(2)に示したように、S1準位およびT1準位間で励起子が自由に移動できることから、熱活性化遅延蛍光材料のS1準位およびT1準位に均等に励起子が発生する。
そして、発光材料のエネルギー準位は、発光ピーク波長が短波長であるほど高い。第2発光層33bは緑色発光層であり、第3発光層33cは赤色発光層であることから、図1の(a)に示すように、第2発光層33bおよび第3発光層33cのエネルギー準位は、S1G>S1R、T1G>T1Rの関係を有している。このため、上記(1)に示したように、緑色発光層である第2発光層33bから赤色発光層である第3発光層33cにはエネルギーが移動し易い。
このため、本実施形態によれば、図1の(a)・(b)に示すように、第2発光層33bのTADF材料から、該TADF材料よりもS1準位が低い第3発光層33cの蛍光材料にフェルスター型のエネルギー移動(フェルスター遷移)が生じる。このため、本実施形態によれば、第2発光層33bだけでなく第3発光層33cでも効率良く発光させることが可能となる。
一方で、上記有機EL素子10では、第1発光層33aに含まれるホスト材料およびTTF材料のうち少なくとも一方のT1準位(例えば図1の(a)に示すように、TTF材料のT1準位)が、第2発光層33bに含まれるTADF材料のT1準位よりも低いことから、第2発光層33bのTADF材料から、第1発光層33aに含まれるホスト材料またはTTF材料に励起エネルギーが移動し易い。
このとき、第2発光層33bは、第1発光層33aに隣接して積層されている(つまり、接触している)ことから、図1の(a)・(b)に示すように、第2発光層33bのTADF材料から、第1発光層33aのホスト材料またはTTF材料にデクスター型のエネルギー移動が生じる。その後、上記(3)に示すように、TTF現象により、第1発光層33aで、ホスト材料のT1準位またはTTF材料のT1準位から、TTF材料のS1準位に再励起する。このため、本実施形態によれば、第1発光層33aでも効率良く発光させることが可能となる。
したがって、本実施形態によれば、上述したように、発光層33に、少なくとも2種類の遅延蛍光材料を含む蛍光材料を使用することで、効率良く3色発光させることができる。
また、上述したように、上記有機EL素子10では、遅延蛍光材料を含む蛍光材料を使用して発光を行い、りん光材料を使用しないことから、低コスト化が可能である。したがって、本実施形態によれば、低コストかつ高効率の3色発光型の白色発光デバイスを実現することができる。
なお、第2発光層33bのTADF材料のT1準位から、直接、第1発光層33aのTTF材料のT1準位にデクスター型のエネルギー移動が起こることで、第1発光層33aで、より効率良く発光させることが可能となる。また、第2発光層33bのTADF材料のT1準位から、直接、第3発光層33cの蛍光材料のT1準位にフェルスター型のエネルギー移動が起こることで、第3発光層33cで、より効率良く発光させることが可能となる。
また、本実施形態のように第1発光層33a側の電極が陽極2であり、第3発光層33c側の電極が陰極4である場合、第1発光層33aが正孔輸送性が強く、第2発光層33bおよび第3発光層33cは電子輸送性が強いことで、陽極2から第1発光層33aに正孔が効率良く注入・輸送される一方、陰極4から第3発光層33cを介して第2発光層33bに電子が効率良く注入・輸送される。この結果、図1の(b)に示すように、キャリアの再結合が、第1発光層33aと第2発光層33bとの界面近傍で起こり易くなり、第2発光層33bで励起子が生成する確率が高くなるとともに、第2発光層33bから第1発光層33aにデクスター遷移が起こり易くなる。上述したように、デクスター遷移は、材料同士(分子同士)の直接接触により起こる一方で、TADF材料のS1準位から蛍光材料のS1準位へのフェルスター遷移は、材料同士が直接接触していなくても、一定距離内であれば起こる。このため、上記の構成とすることで、より効率良く3色発光させることが可能となる。
<有機EL素子10の製造方法>
有機EL素子10の製造方法は、一対の電極(陽極2および陰極4)のうち一方の電極を第1電極とし、他方の電極を第2電極とすると、第1電極を形成する第1電極形成工程と、有機EL層3を形成する有機EL層形成工程(機能層形成工程)と、第2電極を形成する第2電極形成工程と、を備えている。
上記有機EL素子10の製造工程では、第1電極形成工程と第2電極形成工程との間に有機EL層形成工程を行うことで、第1電極と第2電極との間に有機EL層3を形成する。そして、このように、第1電極と第2電極との間に有機EL層3を形成する有機EL層形成工程は、少なくとも、第1発光層33aを形成する第1発光層形成工程(第1の発光層形成工程)と、第2発光層33bを形成する第2発光層形成工程(第2の発光層形成工程)と、第3発光層33cを形成する第3発光層形成工程(第3の発光層形成工程)と、を備えている。
そして、上記第1発光層形成工程と上記第2発光層形成工程とは、第2発光層33bが、第1発光層33aと第3発光層33cとの間に積層されるとともに、第1発光層33aと第2発光層33bとが隣接するように連続して行われる。
なお、本実施形態では、上記第1電極が陽極2であり、有機EL層形成工程は、上記陽極2上に正孔注入層31を形成する正孔注入層形成工程と、正孔注入層31上に正孔輸送層32を形成する正孔輸送層形成工程と、正孔注入層31上に第1発光層33aを形成する第1発光層形成工程と、第1発光層33a上に第2発光層33bを形成する第2発光層形成工程と、第2発光層33b上に第3発光層33cを形成する第3発光層形成工程と、第3発光層33c上に電子輸送層34を形成する電子輸送層形成工程と、電子輸送層34上に電子注入層35を形成する電子注入層形成工程と、を備え、電子注入層35上に、第2電極として陰極4が形成される。
第1電極は、例えば、基板1上に、導電膜(電極膜)を成膜し、該導電膜上にフォトレジストを塗布して、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングを行った後、上記導電膜をエッチングし、フォトレジストを剥離することにより形成することができる。
上記導電膜の積層には、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、プラズマCVD法、印刷法等を用いることができる。
本実施形態では、図2に示したように、陽極2として、非透光性電極21および透光性電極22を形成する。
また、有機EL層3を構成する、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1発光層33a、第2発光層33b、第3発光層33c、電子輸送層34、電子注入層35等の機能層は、各種の手法によって形成できる。
例えば、各層の材料を溶剤に溶解して分散させた有機EL層形成用塗液を用いて、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、またはマイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウェットプロセスによって、上記各層を形成することができる。
また、上記の材料を用いて、抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、または有機気相蒸着(OVPD)法等の公知のドライプロセスによって、上記各層を形成することもできる。なお、ドーパント材料は、ドーパント材料とホスト材料とを共蒸着することによって、ホスト材料中にドープすることができる。
あるいは、上記の材料を用いて、レーザー転写法等によって、上記各層を形成することもできる。
なお、ウェットプロセスによって有機EL層3を形成する場合には、有機EL層形成用塗液は、レベリング剤または粘度調整剤等の塗液の物性を調整するための添加剤等を含んでいてもよい。
第2電極の成膜には、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、プラズマCVD法、印刷法等を用いることができる。また、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングを行ってもよい。
次に、本実施形態について、実施例を挙げてさらに詳しく説明する。なお、以下の実施例では、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明する。しかしながら、本実施形態は、これらの具体的な寸法および材料にのみ限定されるものではない。すなわち、本実施形態は、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、図2に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1発光層33a、第2発光層33b、第3発光層33c、電子輸送層34、電子注入層35、陰極4を、基板1側からこの順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(陽極2、反射電極):Ag(100nm)
透光性電極22(陽極2):ITO(65nm)
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
第1発光層33a(青色発光層、発光層33):BH1(ホスト材料、90%)/BD1(TTF材料、10%)(5nm)
第2発光層33b(緑色発光層、発光層33):BCP(ホスト材料、50%)/PXZ−DPS(TADF材料、50%)(10nm)
第3発光層33c(赤色発光層、発光層33):BCP(ホスト材料、90%)/DCM(蛍光材料、10%)(20nm)
電子輸送層34:Bphen(30nm)
電子注入層35:LiF(1nm)
陰極4(半透明電極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
なお、第1発光層33aには、TTF現象を生じさせるドーパント材料(TTF材料)およびホスト材料として、ホスト材料であるBH1のT1準位からドーパント材料(TTF材料)であるBD1のS1準位へのTTFが起こる遅延蛍光材料の組み合わせを用いた。具体的には、前述した、TTF現象を生じさせる、ドーパント材料とホスト材料との組み合わせのなかから、キャリア輸送性(正孔輸送性および電子輸送性)やエネルギー準位(HOMO準位、LUMO準位、T1準位、S1準位)について、前述した条件を満たすホスト材料を選択し、ドーパント材料には、ホスト材料との組み合わせが好適なものを選択した。
上記BH1のT1準位は、第2発光層33bのドーパント材料(TADF材料)であるPXZ−DPSのT1準位よりも低い。また、上記BD1のS1準位は、BH1のT1準位よりも高い。
本実施例によれば、BH1のT1準位が上記TADF材料のT1準位よりも低いため、上記TADF材料からBH1およびBD1の少なくとも一方にデクスター型のエネルギー移動が生じ、TTFにより、BH1のT1準位またはBD1のT1準位から、BD1のS1準位にアップコンバージョンする。本実施形態では、上述したように、TTF現象による遅延蛍光を利用することで、第2発光層33bのドーパント材料(TADF材料)のS1準位よりも高いS1準位を有するBD1を発光させる。
なお、このとき、BD1のT1準位が、BH1のT1準位よりも高いことで、BH1の三重項励起子はBD1に移動せず、BD1で発生した三重項励起子は、BH1にエネルギー移動することで、TTF現象によって、効率的に、BH1上で三重項励起子同士が衝突し、一重項励起子が生成される。TTF現象によって生成された一重項励起子は、BH1から、発光を担うBD1にエネルギー移動し、BD1の蛍光性発光に寄与する。
また、上述したように、本実施例にかかる有機EL素子10は、第1発光層33aが青色発光層、第2発光層33bが緑色発光層、第3発光層33cが赤色発光層であり、第1発光層33aが、発光層33に用いられる蛍光材料のなかでも最も短波長の遅延蛍光材料を含み、第3発光層33cが、発光層33に用いられる蛍光材料のなかでも最も長波長の蛍光材料を含んでいる。また、第2発光層33bがTADF材料を含み、第2発光層33bのTADF材料の混合比が多く、第2発光層33bの膜厚が薄い。
本実施例で第1発光層33aに含まれるホスト材料(BH1)は、正孔移動度が電子移動度よりも高く、第2発光層33bに含まれるホスト材料および第3発光層33cに含まれるホスト材料(BCP)は、電子移動度が正孔移動度よりも高い。このため、ホスト材料の輸送性は、第1発光層33aは正孔輸送性が強く、第2発光層33bおよび第3発光層33cは電子輸送性が強い。
本実施形態において、第1発光層33aは、陽極2側に位置している。このため、第1発光層33aは、陽極2から注入された正孔を、正孔注入層31を介して正孔輸送層32から受け取り、第2発光層33bに伝搬する。
一方、第3発光層33cは、陰極4側に位置している。このため、第3発光層33cは、陰極4から注入された電子を、電子注入層35を介して電子輸送層34から受け取り、第2発光層33bに伝搬する。
第1発光層33aと第3発光層33cとの間に位置する第2発光層33bでは、第1発光層33aから伝搬された正孔と第3発光層33cから伝搬された電子とが再結合することによって、蛍光発光する。
また、第2発光層33bにおける、励起されたTADF材料と第1発光層33aのホスト材料およびTTF材料とは直接接触するため、第2発光層33bから第1発光層33aにデクスター遷移が起こる。その後、第1発光層33a内で、ホスト材料の三重項励起子とドーパント材料の三重項励起子との間でTTFが起こり、ドーパントの一重項励起子にエネルギーが移動することで、ドーパントが再励起し、ドーパントの一重項励起子から蛍光発光する。
また、第2発光層33bの膜厚が薄いため、第1発光層33aから第3発光層33cにフェルスター型のエネルギー移動(共鳴エネルギー移動、フェルスター遷移)が起こる。そのため、第3発光層33cのドーパントも蛍光発光する。
また、BH1のHOMO準位およびBD1のHOMO準位は、第2発光層33bのホスト材料のHOMO準位およびドーパント材料のHOMO準位よりも低く、BH1のLUMO準位およびBD1のLUMO準位は、第2発光層33bのホスト材料のLUMO準位およびドーパント材料のLUMO準位よりも高い。このため、第1発光層33aよりも第2発光層33bに正孔が入り易く、第2発光層33bから第1発光層33aに電子が漏れ難い。
また、第2発光層33bのホスト材料のLUMO準位およびドーパント材料のLUMO準位は、第3発光層33cのホスト材料のLUMO準位およびドーパント材料のLUMO準位よりも低く、第2発光層33bのホスト材料のHOMO準位およびドーパント材料のHOMO準位は、第3発光層33cのホスト材料のHOMO準位およびドーパント材料のHOMO準位よりも高い。このため、第3発光層33cよりも第2発光層33bに電子が入り易く、第2発光層33bから第3発光層33cに正孔が漏れ難い。
このように、本実施例では、青色発光するTTF材料、緑色発光するTADF材料、赤色発光する蛍光材料をこの順に積層することで、緑色発光するTADF材料のT1準位→青色発光するTTF材料のT1準位→青色発光するTTF材料のS1準位のようにエネルギー移動することで、緑色発光だけでなく、青色発光も可能となる。また、緑色発光するTADF材料S1準位から赤色発光する蛍光材料のS1準位へもエネルギー移動できるため、赤色発光も可能となる。
このため、本実施例によれば、低コストで高効率の白色デバイスを実現することができる。
なお、本実施例では、上述したように3色発光型の白色発光の有機EL素子10を形成する場合を例に挙げて説明したが、陽極2の層厚、より具体的には、上記透光性電極22(ITO)の厚みを、増強したい光の波長に合致するようにを変更することで、他の色表示も可能である。
(実施例2)
実施例1では、第1発光層33a、第2発光層33b、および第3発光層33cが、ホスト材料に、ドーパント材料として蛍光材料をドープすることによって形成される場合を例に挙げて示している。
しかしながら、前述したように、第1発光層33a、第2発光層33b、第3発光層33cは、それぞれ、ホスト材料と、ドーパント材料(蛍光材料)とから形成されていてもよく、ドーパント材料単体で形成されていてもよい。
そこで、本実施例では、第2発光層33bを、遅延蛍光材料であるTADF材料単体で形成した。
具体的には、以下に示す構成を有する有機EL素子10を形成した。なお、本実施例でも、実施例1同様、図2に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1発光層33a、第2発光層33b、第3発光層33c、電子輸送層34、電子注入層35、陰極4を、基板1側からこの順に積層した。
また、基板1にはガラス基板を使用した。基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(陽極2、反射電極):Ag(100nm)
透光性電極22(陽極2):ITO(65nm)
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
第1発光層33a(青色発光層、発光層33):BH1(ホスト材料、90%)/BD1(TTF材料、10%)(5nm)
第2発光層33b(緑色発光層、発光層33):PXZ−DPS(TADF材料、10nm)
第3発光層33c(赤色発光層、発光層33):BCP(ホスト材料、90%)/DCM(蛍光材料、10%)(20nm)
電子輸送層34:Bphen(30nm)
電子注入層35:LiF(1nm)
陰極4:Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
すなわち、本実施例にかかる有機EL素子10は、第2発光層33bを、ドーパント材料であるTADF材料の単膜としたことを除けば、実施例1にかかる有機EL素子10と同じである。
したがって、本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができることに加え、上述したように第2発光層33bを、100%、あるいはほぼ100%、TADF材料の単膜とすることで、励起子がホスト材料で励起され、失活することによる発光効率の低下を防止することができる。
〔実施形態2〕
本発明の実施の他の形態について、図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態では、実施形態1との相違点について説明するものとし、実施形態1で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。なお、本実施形態でも、実施形態1と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。
図3は、本実施形態にかかる発光素子の概略構成の一例を示す断面図である。なお、本実施形態でも、本実施形態にかかる発光素子として、有機EL素子10を例に挙げて説明する。
図3に示すように、本実施形態にかかる有機EL素子10は、実施形態1にかかる有機EL素子10同様、基板1上に、陽極2(第1電極)、有機EL層3、および陰極4(第2電極)が、この順番に積層されている。
本実施形態にかかる有機EL素子10は、有機EL層3の発光層33から発せられた光を、白色光として、基板1側から取り出すボトムエミッション型の有機EL素子である。
このように有機EL素子10がボトムエミッション型である場合、基板1には、透明基板あるいは透光性基板と称される、ガラス基板、プラスチック基板等の透光性を有する絶縁基板が用いられる。
また、有機EL素子10がボトムエミッション型である場合、陽極2を、透光性電極材料からなる透光性電極22で形成し、陰極4を、反射性金属電極材料等の非透光性電極材料で形成することが好ましい。
これら透光性電極材料、非透光性電極材料としては、例えば、実施形態1に例示の材料を使用することができる。
本実施形態にかかる有機EL素子10は、ボトムエミッション型の有機EL素子であり、陽極2を透光性電極22とし、陰極4を非透光性電極材料で形成したことを除けば、実施形態1にかかる有機EL素子10と同じである。
以下に、本実施形態にかかる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例3)
本実施例では、図3に示すように、基板1上に、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1発光層33a、第2発光層33b、第3発光層33c、電子輸送層34、電子注入層35、陰極4を、基板1側からこの順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。なお、基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
透光性電極22(陽極2):ITO(100nm)
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
第1発光層33a(青色発光層、発光層33):BH1(ホスト材料、90%)/BD1(TTF材料、10%)(5nm)
第2発光層33b(緑色発光層、発光層33):BCP(ホスト材料、50%)/PXZ−DPS(TADF材料、50%)(10nm)
第3発光層33c(赤色発光層、発光層33):BCP(ホスト材料、90%)/DCM(蛍光材料、10%)(20nm)
電子輸送層34:Bphen(30nm)
電子注入層35:LiF(1nm)
陰極4(反射電極):Al(100nm)
本実施例にかかる有機EL素子10は、陽極2および陰極4の材料および厚みが異なることを除けば、実施例1にかかる有機EL素子10と同じである。
したがって、本実施例によれば、実施例1では、発光層33から発せられた光を、白色光として、直接、もしくは反射電極からなる非透光性電極21で反射させて、陰極4側から取り出していたのに対し、本実施例では、発光層33から発せられた光を、白色光として、直接、もしくは反射電極からなる陰極4で反射させて、基板1側(すなわち、陽極2側)から取り出すことを除けば、実施例1と同様の効果を得ることができる。
以上のように、本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果を有する、ボトムエミッション型の有機EL素子10を提供することができる。
〔実施形態3〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図4および図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態では、実施形態1との相違点について説明するものとし、実施形態1で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。なお、本実施形態でも、実施形態1と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。
図4および図5は、それぞれ、本実施形態にかかる発光素子および該発光素子を備えた電子機器の要部の概略構成の一例を示す断面図である。
本発明にかかる発光素子は、ディスプレイ用途に展開することも可能である。以下では、本発明にかかる発光素子を備えた電子機器として、図4および図5に示すように、有機EL素子10を備えた有機EL表示装置100を例に挙げて説明する。
図5に示すように、有機EL素子10を備えた有機EL表示装置100では、基板1上に、各画素100R・100G・100Bに対応して、信号線11およびTFT12が設けられている。
さらに、基板1上には、平坦化膜として、層間絶縁膜13が、信号線11およびTFT12を覆うように、基板1の全領域に渡って積層されている。
信号線11は、例えば、画素を選択する複数のゲート線、データを書き込む複数のソース線、有機EL素子10に電力を供給する複数の電源線等から構成されている。
信号線11は、図示しない外部回路と接続されており、上記外部回路から信号線11に電気信号を入力することで、有機EL素子10を駆動(発光)させることができる。
有機EL表示装置100がアクティブマトリクス型の表示装置の場合には、各画素100R・100G・100Bには、それぞれ、少なくとも1つのTFT12が配置されている。また、各画素100R・100G・100Bには、書き込まれた電圧を保持するキャパシタや、TFT12の特性のばらつきを補償するための補償回路等が形成されていてもよい。
層間絶縁膜13としては、既知の感光性樹脂を用いることができる。上記感光性樹脂としては、例えばアクリル樹脂やポリイミド樹脂を用いることができる。
層間絶縁膜13には、有機EL素子10における陽極2をTFT12に電気的に接続するためのコンタクトホール13aが設けられている。
陽極2の端部はエッジカバー15で覆われている。エッジカバー15は絶縁膜であり、例えば感光性樹脂で構成されている。エッジカバー15は、陽極2の端部で、電極集中や有機EL層3が薄くなって陰極4と短絡することを防止する。また、エッジカバー15は、隣接する画素100R・100G・100Bに電流が漏れないように、画素分離膜としても機能している。
エッジカバー15には、画素100R・100G・100B毎に開口15aが設けられている。この開口15aによる陽極2の露出部が各画素100R・100G・100Bの発光領域30となっている。
有機EL層3には、前述したように、正孔注入層31、正孔輸送層32、発光層33、電子輸送層34、および電子注入層35が設けられている。
図4および図5に示す有機EL表示装置100は、発光素子として、白色発光する有機EL素子10を備えており、複数の画素100R・100G・100Bに連続して(すなわち、画素部全体に)、発光層33を含む有機EL層3が設けられている。
また、有機EL表示装置100は、図5に示すように、基板1に対向するように貼り合わされた封止体5(封止部材)を備えている。封止体5には、例えば、ガラス基板やプラスチック基板等の絶縁基板からなる封止基板等が用いられる。
また、基板1と封止体5との間には、表示領域を囲むようにして図示しないシール材が設けられている。基板1と、封止体5と、シール材とで囲まれた領域には、例えば充填材6が充填されている。
封止体5の表面には、例えば、赤色を表示する画素100Rに対応して、赤色の光を透過させるCFとしてCF51Rが設けられており、緑色を表示する画素100Gに対応して、緑色の光を透過させるCFとしてCF51Gが設けられている。また、青色を表示する画素100Bに対応して、青色の光を透過させるCFとしてCF51Bが設けられている。各CF51R・51G・51Bの間には、BM(ブラックマトリクス)52が設けられており、外部から各CF51R・51G・51B間への光の侵入、および、各CF51R・51G・51B間からの光漏れを防止している。
このように、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色のCF51R・51G・51Bを用いることによって、白色光を画素100R・100G・100B毎に、赤、緑、または青の色に変調して射出することができる。このため、各画素100R・100G・100Bの有機EL素子10が白色に発光する場合でも、カラー表示が可能となる。
なお、単色発光で問題ない場合や、各画素100R・100G・100Bの有機EL素子10が、赤、緑、青等の所望の色に発色する場合には、CFを省くことができるが、所望の色に発色する有機EL素子10と、CFとを組み合わせることで、各色の色純度の向上や視野角が変化した時の色味シフトの抑制を図ることができる。
また、本実施形態は、封止体5が例えば封止基板である場合を例に挙げて説明したが、本実施形態は、これに限定されるものではなく、封止体5は、有機絶縁層や無機絶縁層等からなる封止層であってもよい。
上述したように、有機EL素子10をディスプレイ用途に展開する場合、白色発光の有機EL素子10とCF(カラーフィルタ)層とを組み合わせて各画素における発光色を選択することで、フルカラーの画像表示を実現することができる。
また、実施形態1で説明したように、有機EL素子10は、例えば陽極2の膜厚を変更することで、白色以外の色表示も可能である。各画素100R・100G・100Bに、マイクロキャビティ効果を発現するマイクロキャビティ構造(光学的微小共振器構造)を導入することで、フルカラーの画像表示を実現することもできる。
マイクロキャビティ効果とは、発光した光が陽極2と陰極4との間で多重反射し、共振することで発光スペクトルが急峻になり、また、ピーク波長の発光強度が増幅される現象である。
マイクロキャビティ効果は、例えば、発光層33を含む機能層を挟持する一対の電極(すなわち、陽極2および陰極4)を構成する反射電極と、透光性電極として用いられる半透明電極との間の厚みを、増強したい光の波長に合致するように、設定することで得ることができる。これにより、発光層33で発光した光のうち、波長のずれた光成分が、反射電極と半透明電極との間で多重反射を繰り返し、共振することで、所望の波長に増強されて出力する。そこで、発光色毎に、各画素100R・100G・100Bにマイクロキャビティ構造を導入して、各画素100R・100G・100Bにおける有機EL素子10の光路長を変更することで、フルカラーの画像表示を実現することができる。
有機EL素子10がマイクロキャビティ構造を有している場合、非マイクロキャビティ構造である場合よりも、有機EL素子10からの発光強度および色純度が向上するため、発光効率を向上させることができる。
また、各画素100R・100G・100Bにマイクロキャビティ構造を導入する場合、CFを併用することで、有機EL素子10から射出した光のスペクトルをCFによって調整することができる。
発光色毎に各画素100R・100G・100Bにおける有機EL素子10の光路長を変える方法としては、反射電極と半透明電極との間に、発光層33を含む有機EL層3と透明電極とを積層する方法が挙げられる。例えば、トップエミッション型の有機EL素子10の場合、図4に示すように、陽極2を、反射電極からなる非透光性電極21と、透明電極からなる透光性電極22との積層構造とし、画素毎に、陽極2における、非透光性電極21上の透光性電極22の膜厚を変更する方法が挙げられる。
トップエミッション型の有機EL素子10の場合、このように陽極2を、反射電極からなる非透光性電極21と、透明電極からなる透光性電極22との積層構造とし、透光性電極22を、各画素100R・100G・100Bに対してパターニングして、マイクロキャビティ効果により各色のスペクトルが増強される膜厚に設定し、陰極4に、半透明電極として、例えば薄膜にした半透明の銀等を用いることで、有機EL素子10にマイクロキャビティ構造を導入することができる。
以下に、一例として、各画素100R・100G・100Bにマイクロキャビティ構造を導入するとともに、CFを併用することでフルカラーの画像表示を実現する場合を例に挙げて、本実施形態にかかる有機EL表示装置100に用いられる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例4)
本実施例では、図4に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1発光層33a、第2発光層33b、第3発光層33c、電子輸送層34、電子注入層35、陰極4を、基板1側からこの順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(陽極2、反射電極):Ag(100nm)
透光性電極22(陽極2):ITO(画素100Rでは30nm、画素100Gでは120nm、画素100Bでは80nm)
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
第1発光層33a(青色発光層、発光層33):BH1(ホスト材料、90%)/BD1(TTF材料、10%)(5nm)
第2発光層33b(緑色発光層、発光層33):BCP(ホスト材料、50%)/PXZ−DPS(TADF材料、50%)(10nm)
第3発光層33c(赤色発光層、発光層33):BCP(ホスト材料、90%)/DCM(蛍光材料、10%)(20nm)
電子輸送層34:Bphen(30nm)
電子注入層35:LiF(1nm)
陰極4(半透明電極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
本実施例にかかる有機EL素子10は、各画素100R・100G・100Bで陽極2における透光性電極22の厚みが異なることを除けば、実施例1にかかる有機EL素子10と同じである。
したがって、本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができるとともに、各画素100R・100G・100Bに、マイクロキャビティ構造を導入することができる。
〔実施形態4〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態では、実施形態1〜3との相違点について説明するものとし、実施形態1で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図6は、本実施形態にかかる発光素子の概略構成の一例を示す断面図である。なお、本実施形態でも、本実施形態にかかる発光素子として、有機EL素子10を例に挙げて説明する。
本実施形態にかかる有機EL素子10は、第1電極と第2電極との間に、第1発光層33a(第1の発光層)、第2発光層33b(第2の発光層)、第3発光層33c(第3の発光層)が、第1電極側からこの順に積層されているとすると、実施形態1〜3では第1電極が陽極2であるのに対し、本実施形態では、第1電極が陰極4である点で、実施形態1〜3にかかる有機EL素子10とは異なっている。
以下、本実施形態にかかる有機EL素子10の一例として、図6に示す有機EL素子10を例に挙げてより詳細に説明する。
図6に示すように、本実施形態にかかる有機EL素子10は、陽極2(第2電極)と陰極4(第1電極)との間に、陰極4側から、第1発光層33a、第2発光層33b、および第3発光層33cを、この順に含む有機EL層3(有機層、機能層)が設けられた構成を有している。
なお、本実施形態でも、発光層33以外の有機EL層3として、陽極2と発光層33との間に、例えば正孔注入層31および正孔輸送層32が設けられていてもよく、陰極4と発光層33との間に、例えば電子輸送層34および電子注入層35が設けられていてもよい。
このため、本実施形態にかかる有機EL素子10は、例えば、基板1上に、陽極2、正孔注入層31、正孔輸送層32、第3発光層33c、第2発光層33b、第1発光層33a、電子輸送層34、電子注入層35、陰極4が、この順に積層された構成を有している。
このように、有機EL素子10は、最も短波長の遅延蛍光材料を含む第1発光層33aが陰極4側にあり、最も長波長の蛍光材料を含む第3発光層33cが陽極2側にあってもよい。
このように第1発光層33a、第2発光層33b、第3発光層33cの積層順を逆転させるメリットとしては、例えば、第3発光層33cのホスト材料が、第1発光層33aから発せられた光を吸収してしまう場合、積層順の工夫により、発光効率の低下を回避できることが挙げられる。
また、最適なホスト材料の選択によっては、必ずしも移動度が条件に合致しない可能性もあり、積層順を逆転させることにより解決することも考えられる。
本実施形態では、第1発光層33aは電子輸送性が強く、第2発光層33bおよび第3発光層33cは正孔輸送性が強いことが好ましい。
このため、第1発光層33aは、電子輸送性が強い材料(すなわち、電子移動度が正孔移動度よりも高い材料)を含み、第2発光層33bおよび第3発光層33cは、正孔輸送性が強い材料(すなわち、正孔移動度が電子移動度よりも高い材料)を含むことが好ましい。
したがって、第1発光層33aがホスト材料を含む場合、該ホスト材料としては、電子移動度が正孔移動度よりも高い材料を用いることが望ましい。
また、第2発光層33bおよび第3発光層33cにおけるホスト材料としては、正孔移動度が電子移動度よりも高い、正孔輸送性のホスト材料を用いることが好ましい。このため、上記ホスト材料としては、例えば、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(mCP)等の正孔輸送性材料を用いることが好ましい。
これにより、陰極4から第1発光層33aに電子が効率良く注入・輸送される一方、陽極2から第3発光層33cを介して第2発光層33bに正孔が効率良く注入・輸送される。この結果、キャリアの再結合が、第1発光層33aと第2発光層33bとの界面近傍で起こり易くなるので、第2発光層33bのTADF材料から第1発光層33aのTTF材料にデクスター遷移が起こり易くなる。デクスター遷移は直接接触により起こる一方で、TADF材料のS1準位から蛍光材料のS1準位へのフェルスター遷移は、材料同士が直接接触していなくても、一定距離内であれば起こる。このため、上記構成とすることで、より効率良く3色発光させることが可能となる。
以下に、本実施形態にかかる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例5)
本実施例では、図6に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、第3発光層33c、第2発光層33b、第1発光層33a、電子輸送層34、電子注入層35、陰極4を、基板1側からこの順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(陽極2、反射電極):Ag(100nm)
透光性電極22(陽極2):ITO(65nm)
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
第3発光層33c(赤色発光層、発光層33):mCP(ホスト材料、90%)/DCM(蛍光材料、10%)(20nm)
第2発光層33b(緑色発光層、発光層33):mCP(ホスト材料、50%)/PXZ−DPS(TADF材料、50%)(10nm)
第1発光層33a(青色発光層、発光層33):BH2(ホスト材料、90%)/BD2(TTF材料、10%)(5nm)
電子輸送層34:Bphen(30nm)
電子注入層35:LiF(1nm)
陰極4(半透明電極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
本実施例にかかる有機EL素子10は、第1発光層33a、第2発光層33b、第3発光層33cの材料および積層順が異なることを除けば、実施例1にかかる有機EL素子10と同じである。
なお、第1発光層33aには、TTF材料およびホスト材料として、ホスト材料であるBH2のT1準位からドーパント材料(TTF材料)であるBD2のS1準位へのTTFが起こる遅延蛍光材料の組み合わせを用いた。このとき、ホスト材料およびドーパント材料としては、前述した、TTF現象を生じさせる、ドーパント材料とホスト材料との組み合わせのなかから、キャリア輸送性やエネルギー準位について、前述した条件を満たすホストを選択し、ドーパント材料には、ホスト材料との組み合わせが好適なものを選択した。
上記BH2のT1準位は、第2発光層33bのドーパント材料(TADF材料)であるPXZ−DPSのT1準位よりも低い。また、上記BD2のS1準位は、BH2のT1準位よりも高い。
本実施例によれば、BH2のT1準位が上記TADF材料のT1準位よりも低いため、上記TADF材料からBH2およびBD2の少なくとも一方にデクスター型のエネルギー移動が生じ、TTFにより、BH2のT1準位またはBD2のT1準位から、BD2のS1準位にアップコンバージョンする。本実施形態では、上述したように、TTF現象による遅延蛍光を利用することで、第2発光層33bのドーパント材料(TADF材料)のS1準位よりも高いS1準位を有するBD2を発光させる。
なお、このとき、BD2のT1準位が、BH2のT1準位よりも高いことで、BH2の三重項励起子はBD2に移動せず、BD2で発生した三重項励起子は、BH2にエネルギー移動することで、TTF現象によって、効率的に、BH2上で三重項励起子同士が衝突し、一重項励起子が生成される。TTF現象によって生成された一重項励起子は、BH2から、発光を担うBD2にエネルギー移動し、BD2の蛍光性発光に寄与する。
本実施例で第1発光層33aに含まれるホスト材料(BH2)は、電子移動度が正孔移動度よりも高く、第2発光層33bに含まれるホスト材料および第3発光層33cに含まれるホスト材料(mCP)は、正孔移動度が電子移動度よりも高い。このため、ホスト材料の輸送性は、第1発光層33aは電子輸送性が強く、第2発光層33bおよび第3発光層33cは正孔輸送性が強い。
また、BH2のLUMO準位およびBD2のLUMO準位は、第2発光層33bのホスト材料のLUMO準位およびドーパント材料のLUMO準位よりも高く、BH2のHOMO準位およびBD2のHOMO準位は、第2発光層33bのホスト材料のHOMO準位およびドーパント材料のHOMO準位よりも低い。このため、第1発光層33aよりも第2発光層33bに電子が入り易く、第2発光層33bから第1発光層33aに電子が漏れ難い。
また、第2発光層33bのホスト材料のHOMO準位およびドーパント材料のHOMO準位は、第3発光層33cのホスト材料のHOMO準位およびドーパント材料のHOMO準位よりも高く、第2発光層33bのホスト材料のLUMO準位およびドーパント材料のLUMO準位は、第3発光層33cのホスト材料のLUMO準位およびドーパント材料のLUMO準位よりも低い。このため、第3発光層33cよりも第2発光層33bに正孔が入り易く、第2発光層33bから第3発光層33cに正孔が漏れ難い。
このため、本実施例でも、実施例1同様、発光層33における各層を、効率良く発光させることができる。
〔実施形態5〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図7および図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態では、実施形態1との相異点を例に挙げて実施形態1〜4との相違点について説明する。但し、本実施形態において、実施形態1〜4と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。本実施形態では、実施形態1〜4で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図7は、本実施形態にかかる発光素子の概略構成の一例を示す断面図である。また、図8は、本実施形態にかかる発光素子における、第1の発光層(第1発光層33a)を挟む各層のエネルギーダイアグラムを示す図である。なお、本実施形態でも、本実施形態にかかる発光素子として、有機EL素子10を例に挙げて説明する。
前述したように、デクスター遷移は、隣接している分子同士の間でのみ生じる。このため、第1発光層33aの層厚が厚いと、発光効率が低下することから、第1発光層33aの層厚は、5nm以下であることが好ましく、5nm未満であることがより望ましい。
また、第1発光層33aを、TTF材料の含有比率が高い極薄の層とすることで、第2発光層33bのTADF材料のT1準位から、直接、第1発光層33aのTTF材料のT1準位にデクスター遷移が生じ易くなり、第1発光層33aで、より効率良く発光させることが可能となる。
そこで、第1発光層33a中のTTF材料の含有比率は、50%よりも大きいことが望ましく、ドーパント材料単体で形成されていることがより望ましい。
第1発光層33aに用いられるTTF材料が、単体でTTF現象を生じさせることができる遅延蛍光材料であれば、第1発光層33aを、図7に示すように極薄のドーパント膜とすることで、第2発光層33bのTADF材料から、第1発光層33aのTTF材料(ドーパント材料)に、直接、デクスター遷移により励起エネルギーを移動させることができる。また、このように第1発光層33aをドーパント材料単体で形成することで、ホスト材料とドーパント材料との組み合わせを考慮する必要が無くなるとともに、ホスト材料とドーパント材料との間で励起エネルギーを授受する際のロスを低減することができる。
しかしながら、第1発光層33aの膜厚が非常に薄く、均一に膜形成しないレベル(例えば1nm程度)であった場合、局所的に、第1発光層33aが存在せず、第1発光層33aを挟んで第2発光層33bとは反対側に積層された機能層と第2発光層33bとが直結する可能性がある。
例えば、第1発光層33aを、例えば平均膜厚が0.5nm程度の極薄ドーパント膜とした場合、単分子の分子サイズが目的とする膜厚よりも大きい膜が成膜(例えば蒸着による成膜の場合、極短時間の蒸着で成膜、あるいは、塗布による成膜の場合、極低濃度溶液を用いて成膜)されると、TTF材料の各分子が島状に分布する。この結果、図8に示すように、第1発光層33aが、自ずと島状に形成される。
このため、このように第1発光層33aが極薄で島状に形成されている場合、キャリアが、第1発光層33a、あるいは第1発光層33aを挟んで第2発光層33bとは反対側に積層された機能層側に漏れてしまわないように、第2発光層33bと第1発光層33aとの界面、あるいは、第2発光層33bと、第1発光層33aを挟んで第2発光層33bとは反対側に積層された機能層のうち、第1発光層33aに隣接して積層された機能層との界面でキャリアがトラップされる必要がある。
このため、本実施形態では、第1発光層33aに含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のHOMO準位やLUMO準位と、第2発光層33bに含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のHOMO準位やLUMO準位との関係のみならず、第2発光層33bに含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のHOMO準位やLUMO準位と、第1発光層33aを挟んで第2発光層33bとは反対側に積層された機能層のうち、第1発光層33aに隣接して積層された機能層に含まれる材料のHOMO準位やLUMO準位との関係も重要になる。
したがって、例えば図7および図8に示す例での場合、正孔輸送層32側にキャリアが漏れてしまわないように、正孔輸送層32の材料のHOMO準位やLUMO準位と、第2発光層33bにおける例えばホスト材料のHOMO準位やLUMO準位との関係も重要になる。
上述したように第1発光層33aを、例えば平均膜厚が0.5nm程度の極薄ドーパント膜とした場合、第1発光層33aに含まれる、混合比率が最も高い材料は、TTF材料である。
したがって、本実施形態では、第1発光層33aのTTF材料のHOMO準位は、第2発光層33bにおける、少なくとも混合比率が最も高い材料(例えば第2発光層33bがホスト材料を含む場合、ホスト材料、または、ホスト材料およびドーパント材料であり、第2発光層33bがドーパント材料単体で形成されている場合、TADF材料)のHOMO準位よりも低いことが望ましく、第1発光層33aのTTF材料のLUMO準位は、第2発光層33bにおける、少なくとも混合比率が最も高い材料のLUMO準位よりも高いことが望ましい。
第1発光層33aのTTF材料のHOMO準位が、第2発光層33bにおける、少なくとも混合比率が最も高い材料のHOMO準位よりも低いことで、第1発光層33aと第2発光層33bとが隣接している領域において、第1発光層33a側に正孔が漏れ難くなり、第1発光層33aと第2発光層33bとの界面でキャリアをトラップすることができる。
また、第1発光層33aのTTF材料のLUMO準位が、第2発光層33bにおける、少なくとも混合比率が最も高い材料のLUMO準位よりも高いことで、第1発光層33aと第2発光層33bとが隣接している領域において、第1発光層33a側に電子が漏れ難くなり、第1発光層33aと第2発光層33bとの界面でキャリアをトラップすることができる。
また、本実施形態では、図8に示すように、第1発光層33aを挟んで第2発光層33bとは反対側に積層された層のうち、第1発光層33aに隣接して積層された層(例えば正孔輸送層32)に含まれる材料のHOMO準位は、第2発光層33bにおける、少なくとも混合比率が最も高い材料のHOMO準位よりも低いことが望ましい。
これにより、上記第1発光層33aを挟んで第2発光層33bとは反対側に積層された層のうち、第1発光層33aに隣接して積層された層が例えば正孔輸送層32であるとすると、第1発光層33aが島状となり、第2発光層33bと正孔輸送層32とが直結する領域において、第2発光層33bから正孔輸送層32に正孔が漏れ難くなり、第2発光層33bと正孔輸送層32との界面にキャリアをトラップすることができる。
また、図8に示すように、第1発光層33aを挟んで第2発光層33bとは反対側に積層された層のうち、第1発光層33aに隣接して積層された層(例えば正孔輸送層32)に含まれる材料のLUMO準位は、第2発光層33bにおける、少なくとも混合比率が最も高い材料のLUMO準位よりも高いことが望ましい。
これにより、上記第1発光層33aを挟んで第2発光層33bとは反対側に積層された層のうち、第1発光層33aに隣接して積層された層が例えば正孔輸送層32であるとすると、第1発光層33aが島状となり、第2発光層33bと正孔輸送層32とが直結する領域において、第2発光層33bから正孔輸送層32に電子が漏れ難くなり、第2発光層33bと正孔輸送層32との界面にキャリアをトラップすることができる。
以下に、本実施形態にかかる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例6)
本実施例では、図7に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、第3発光層33c、第2発光層33b、第1発光層33a、電子輸送層34、電子注入層35、陰極4を、基板1側からこの順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(陽極2、反射電極):Ag(100nm)
透光性電極22(陽極2):ITO(65nm)
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
第1発光層33a(青色発光層、発光層33):BD3(TTF材料、0.5nm)
第2発光層33b(緑色発光層、発光層33):BCP(ホスト材料、50%)/PXZ−DPS(TADF材料、50%)(10nm)
第3発光層33c(赤色発光層、発光層33):BCP(ホスト材料、90%)/DCM(蛍光材料、10%)(20nm)
電子輸送層34:Bphen(30nm)
電子注入層35:LiF(1nm)
陰極4(半透明電極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
BD3は、BCPよりもHOMO準位が低いとともにBCPよりもLUMO準位が高く、ホスト材料を使用せずにドーパント材料単体でTTF現象を生じさせることができるTTF材料である。
本実施例にかかる有機EL素子10は、第1発光層33aを、上記BD3単体からなる極薄ドーパント膜としたことを除けば、実施例1にかかる有機EL素子10と同じである。
このため、本実施形態によれば、実施例1と同様の効果を得ることができることに加え、第2発光層33bのTADF材料から、第1発光層33aのTTF材料に、直接、デクスター遷移により励起エネルギーを移動させることができるので、ホスト材料とドーパント材料との間で励起エネルギーを授受する際のロスを低減することができる。
上記BD3のT1準位は、第2発光層33bのドーパント材料(TADF材料)であるPXZ−DPSのT1準位よりも低い。このため、第2発光層33bのドーパント材料(TADF材料)からBD3にデクスター型のエネルギー移動が生じ、TTFにより、BD3のT1準位から、BD3のS1準位にアップコンバージョンする。本実施形態では、上述したように、TTF現象による遅延蛍光を利用することで、第2発光層33bのドーパント材料(TADF材料)のS1準位よりも高いS1準位を有するBD3を発光させる。
なお、本実施例では、第2発光層33bおよび第3発光層33cのホスト材料に、実施例1と同じホスト材料を用いている。
また、BD3のHOMO準位は、第2発光層33bのホスト材料のHOMO準位およびドーパント材料のHOMO準位よりも低く、BD3のLUMO準位は、第2発光層33bのホスト材料のLUMO準位およびドーパント材料のLUMO準位よりも高い。このため、第1発光層33aよりも第2発光層33bに正孔が入り易く、第2発光層33bから第1発光層33aに電子が漏れ難い。
また、第2発光層33bのホスト材料のLUMO準位およびドーパント材料のLUMO準位は、第3発光層33cのホスト材料のLUMO準位およびドーパント材料のLUMO準位よりも低く、第2発光層33bのホスト材料のHOMO準位およびドーパント材料のHOMO準位は、第3発光層33cのホスト材料のHOMO準位およびドーパント材料のHOMO準位よりも高い。このため、第3発光層33cよりも第2発光層33bに電子が入り易く、第2発光層33bから第3発光層33cに正孔が漏れ難い。
また、第1発光層33aに隣接する正孔輸送層32(α−NPD)のHOMO準位は、第2発光層33bのホスト材料であるBCPのHOMO準位よりも低く、上記α−NPDのLUMO準位は、上記BCPのLUMO準位よりも高い。このため、第2発光層33bから正孔輸送層32へのキャリア漏れを防止もしくは抑制することができる。
〔実施形態6〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態では、実施形態1との相異点を例に挙げて実施形態1〜5との相違点について説明する。但し、本実施形態において、実施形態1〜5と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。本実施形態では、実施形態1〜5で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図9は、本実施形態にかかる発光素子の概略構成の一例を示す断面図である。なお、本実施形態でも、本実施形態にかかる発光素子として、有機EL素子10を例に挙げて説明する。
図9に示すように、本実施形態にかかる有機EL素子10は、第2発光層33bと第3発光層33cとの間に、蛍光材料を含まないバッファ層36(中間層)が設けられている構成を有している。
前述したように、第2発光層33bと第3発光層33cとの間の励起エネルギーの移動は、直接接触が不要なフェルスター型のエネルギー移動によるものである。このため、第2発光層33bと第3発光層33cとの間には、上述したように、蛍光材料を含まないバッファ層36が設けられていてもよい。
バッファ層36の材料を工夫すれば、キャリア(正孔、電子)の移動度の差や障壁の大小により、キャリアバランスを制御することができる。
したがって、上述したように第2発光層33bと第3発光層33cとの間にバッファ層36を設けることで、第2発光層33bと第3発光層33cとの間で、キャリア(正孔、電子)の移動度の差や障壁の大小を変更することができ、キャリアバランスを制御することが可能となる。
このため、本実施形態によれば、励起子を第2発光層33bで確実に生成することが可能となる。励起子を第2発光層33bで確実に生成することができれば、前述したように、デクスター遷移およびTTFにより、第1発光層33aで蛍光発光させることができるとともに、フェルスター遷移により、第3発光層33cで蛍光発光させることができる。このため、本実施形態によれば、発光層33における各層(すなわち、第1発光層33a、第2発光層33b、第3発光層33c)で効率良く発光させることが可能であり、発光層33における各層での発光効率を向上させることが可能となる。
なお、このように第2発光層33bと第3発光層33cとの間にバッファ層36が設けられている場合、第2発光層33bとバッファ層36との合計の層厚を20nm以下とすることが望ましい。
前述したように第2発光層33bに含まれるTADF材料のS1準位から第3発光層33cに含まれる蛍光材料のS1準位へのフェルスター遷移は、材料同士が直接接触していなくても、一定距離内であれば起こる。また、発光ピーク波長が異なる発光層を積層した場合、発光ピーク波長が短波長側の発光層から発光ピーク波長が長波長側の発光層に励起エネルギーの移動が起こり易い。このため、第2発光層33bに含まれるTADF材料の分子から、第3発光層33cに含まれる蛍光材料の分子までの距離が20nm以下であれば、容易かつより確実にフェルスター遷移が起こるとともに、エネルギーの移動効率を損なうこともない。
以下に、本実施形態にかかる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例7)
本実施例では、図9に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1発光層33a、第2発光層33b、バッファ層36、第3発光層33c、電子輸送層34、電子注入層35、陰極4を、基板1側からこの順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(陽極2、反射電極):Ag(100nm)
透光性電極22(陽極2):ITO(65nm)
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
第1発光層33a(青色発光層、発光層33):BH1(ホスト材料、90%)/BD1(TTF材料、10%)(5nm)
第2発光層33b(緑色発光層、発光層33):BCP(ホスト材料、50%)/PXZ−DPS(TADF材料、50%)(10nm)
バッファ層36:BCP(5nm)
第3発光層33c(赤色発光層、発光層33):BCP(ホスト材料、90%)/DCM(蛍光材料、10%)(20nm)
電子輸送層34:Bphen(30nm)
電子注入層35:LiF(1nm)
陰極4(半透明電極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
上述したように、本実施例にかかる有機EL素子10は、第2発光層33bと第3発光層33cとの間にバッファ層36が設けられていることを除けば、実施例1にかかる有機EL素子10と同じである。
したがって、本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができることに加え、第2発光層33bと第3発光層33cとの間でキャリアバランスを制御することが可能となるので、励起子を、第2発光層33bでより確実に生成することができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1にかかる発光素子(有機EL素子10)は、第1電極(陽極2および陰極4のうち一方の電極)と第2電極(陽極2および陰極4のうち他方の電極)とで、第1の発光層(第1発光層33a)と第2の発光層(第2発光層33b)と第3の発光層(第3発光層33c)とを少なくとも含む機能層(有機EL層3)を挟持する発光素子であって、上記第1の発光層は、上記発光層中、発光ピーク波長が最も短波長であり、(I)ホスト材料と、(II)該ホスト材料と協働して、もしくは単独で、TTF現象を生じさせる遅延蛍光材料であるTTF材料と、のうち少なくとも上記TTF材料を含み、上記第2の発光層は、上記第1の発光層と上記第3の発光層との間に、上記第1の発光層に隣接して積層されており、少なくとも熱活性化遅延蛍光材料を含み、上記第3の発光層は、上記発光層中、発光ピーク波長が最も長波長であり、少なくとも蛍光材料を含み、上記第1の発光層に含まれる上記ホスト材料およびTTF材料のうち少なくとも一方の励起三重項準位が、上記第2の発光層に含まれる上記熱活性化遅延蛍光材料の励起三重項準位よりも低い。
発光材料のエネルギー準位は、発光ピーク波長が短波長であるほど高い。このため、発光ピーク波長が異なる発光層を積層した場合、発光ピーク波長が短波長側の発光層から発光ピーク波長が長波長側の発光層に励起エネルギーの移動が起こり易い。そして、熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料)は、S1準位およびT1準位間で励起子が自由に移動できることから、熱活性化遅延蛍光材料のS1準位およびT1準位に均等に励起子が発生する。このため、上記の構成によれば、上記第2の発光層の熱活性化遅延蛍光材料から、上記第3の発光層の蛍光発光材料にフェルスター型のエネルギー移動(フェルスター遷移)が生じる。
一方で、上記第1の発光層に含まれる上記ホスト材料およびTTF材料のうち少なくとも一方のT1準位が、上記第2の発光層に含まれる熱活性化遅延蛍光材料のT1準位よりも低いことから、上記第2の発光層の熱活性化遅延蛍光材料から、上記第1の発光層に含まれる上記ホスト材料またはTTF材料に励起エネルギーが移動し易い。このとき、上記第2の発光層は、上記第1の発光層に隣接して積層されている(つまり、接触している)ことから、上記第2の発光層の熱活性化遅延蛍光材料から上記第1の発光層のホスト材料またはTTF材料にデクスター型のエネルギー移動が生じる。その後、TTF現象により、上記第1の発光層でホスト材料のT1準位またはTTF材料のT1準位から、TTF材料のS1準位に再励起する。
このため、上記の構成によれば、上記第1の発光層、上記第2の発光層、上記第3の発光層で、それぞれ効率良く発光させることが可能となる。また、上記発光素子は、遅延蛍光材料を含む蛍光材料を使用して発光を行い、りん光材料を使用しないことから、低コスト化が可能である。
本発明の態様2にかかる発光素子は、上記態様1において、上記第2の発光層で生成した励起子のエネルギーが、デクスター型のエネルギー移動により上記第1の発光層に移動し、上記第2の発光層で生成した励起子のエネルギーが、フェルスター型のエネルギー移動により上記第3の発光層に移動して、上記第1の発光層、上記第2の発光層、上記第3の発光層がそれぞれ発光してもよい。
上記の構成によれば、上述したように、上記第1の発光層、上記第2の発光層、上記第3の発光層で、それぞれ効率良く発光させることが可能となる。
本発明の態様3にかかる発光素子は、上記態様2において、上記第2の発光層の上記熱活性化遅延蛍光材料の励起三重項準位から上記第1の発光層の上記TTF材料の励起三重項準位に上記デクスター型のエネルギー移動が起こり、上記TTF材料の励起三重項準位から上記TTF材料の励起一重項準位に再励起が起こり、上記第2の発光層の上記熱活性化遅延蛍光材料の励起一重項準位から上記第3の発光層の蛍光材料の励起一重項準位に上記フェルスター型のエネルギー移動が起こる構成であってもよい。
上記の構成によれば、上記第2の発光層の上記熱活性化遅延蛍光材料の励起三重項準位から、直接上記第1の発光層の上記TTF材料の励起三重項準位に上記デクスター型のエネルギー移動が起こることで、上記第1の発光層で、より効率良く発光させることが可能となる。また、上記第2の発光層の上記熱活性化遅延蛍光材料の励起一重項準位から、直接上記第3の発光層の蛍光材料の励起一重項準位に上記フェルスター型のエネルギー移動が起こることで、上記第3の発光層で、より効率良く発光させることが可能となる。
本発明の態様4にかかる発光素子は、上記態様1〜3の何れかにおいて、上記第2の発光層の層厚が20nm以下であってもよい。
上記第2の発光層に含まれる熱活性化遅延蛍光材料のS1準位から上記第3の発光層に含まれる蛍光材料のS1準位へのフェルスター遷移は、材料同士が直接接触していなくても、一定距離内であれば起こる。また、発光ピーク波長が異なる発光層を積層した場合、発光ピーク波長が短波長側の発光層から発光ピーク波長が長波長側の発光層に励起エネルギーの移動が起こり易い。このため、上記熱活性化遅延蛍光材料の分子から上記蛍光材料の分子までの距離が20nm以下であれば、容易かつより確実にフェルスター遷移が起こるとともに、エネルギーの移動効率を損なうこともない。
本発明の態様5にかかる発光素子は、上記態様1〜4の何れかにおいて、上記第1電極が陽極であり、上記第1の発光層、上記第2の発光層、上記第3の発光層は、上記第1電極側からこの順に積層されており、上記第1の発光層は、正孔移動度が電子移動度よりも高い材料を含み、上記第2の発光層および上記第3の発光層は、電子移動度が正孔移動度よりも高い材料を含んでいてもよい。
上記の構成によれば、上記第1電極から上記第1の発光層に正孔が効率良く注入・輸送される一方、上記第2電極から上記第3の発光層を介して上記第2の発光層に電子が効率良く注入・輸送される。この結果、キャリアの再結合が、上記第1の発光層と上記第2の発光層との界面近傍で起こり易くなるので、上記第2の発光層で励起子が生成する確率が高くなるとともに、上記第2の発光層の熱活性化遅延蛍光材料から上記第1の発光層のTTF材料にデクスター遷移が起こり易くなる。デクスター遷移は直接接触により起こる一方で、熱活性化遅延蛍光材料のS1準位から蛍光材料のS1準位へのフェルスター遷移は、材料同士が直接接触していなくても、一定距離内であれば起こることから、上記構成とすることで、より効率良く3色発光させることが可能となる。
本発明の態様6にかかる発光素子は、上記態様1〜4の何れかにおいて、上記第1電極が陰極であり、上記第1の発光層、上記第2の発光層、上記第3の発光層は、上記第1電極側からこの順に積層されており、上記第1の発光層は、電子移動度が正孔移動度よりも高い材料を含み、上記第2の発光層および上記第3の発光層は、正孔移動度が電子移動度よりも高い材料を含んでいてもよい。
上記の構成によれば、上記第1電極から上記第1の発光層に電子が効率良く注入・輸送される一方、上記第2電極から上記第3の発光層を介して上記第2の発光層に正孔が効率良く注入・輸送される。この結果、キャリアの再結合が、上記第1の発光層と上記第2の発光層との界面近傍で起こり易くなるので、上記第2の発光層の熱活性化遅延蛍光材料から上記第1の発光層のTTF材料にデクスター遷移が起こり易くなる。デクスター遷移は直接接触により起こる一方で、熱活性化遅延蛍光材料のS1準位から蛍光材料のS1準位へのフェルスター遷移は、材料同士が直接接触していなくても、一定距離内であれば起こることから、上記構成とすることで、より効率良く3色発光させることが可能となる。
本発明の態様7にかかる発光素子は、上記態様1〜6の何れかにおいて、上記第2の発光層に含まれる、少なくとも、混合比率が最も高い材料のHOMO準位が、上記第1の発光層に含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のHOMO準位よりも高くてもよい。
上記の構成によれば、上記第1電極または上記第2電極として、上記第1の発光層側に陽極が設けられている場合、上記第1の発光層よりも上記第2の発光層に正孔が入り易くなる。また、上記第1電極または上記第2電極として、上記第1の発光層側に陰極が設けられている場合、上記第2の発光層から上記第1の発光層に正孔が漏れ難くなる。このため、上記の構成によれば、上記第2の発光層での励起子生成確率を高めることができる。このため、上記第2の発光層での発光効率を向上させることができるとともに、第2の発光層で生成した励起子のエネルギーの移動により、第1の発光層および第3の発光層においても効率良く発光させることができる。
本発明の態様8にかかる発光素子は、上記態様1〜7の何れかにおいて、上記第2の発光層に含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のHOMO準位が、上記第3の発光層に含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のHOMO準位よりも高くてもよい。
上記の構成によれば、上記第1電極または上記第2電極として、上記第3の発光層側に陽極が設けられている場合、上記第3の発光層よりも上記第2の発光層に正孔が入り易くなる。また、上記第1電極または上記第2電極として、上記第3の発光層側に陰極が設けられている場合、上記第2の発光層から上記第3の発光層に正孔が漏れ難くなる。このため、上記の構成によれば、上記第2の発光層での励起子生成確率を高めることができる。このため、上記第2の発光層での発光効率を向上させることができるとともに、第2の発光層で生成した励起子のエネルギーの移動により、第1の発光層および第3の発光層においても効率良く発光させることができる。
本発明の態様9にかかる発光素子は、上記態様1〜8の何れかにおいて、上記第2の発光層に含まれる、少なくとも、混合比率が最も高い材料のLUMO準位が、上記第1の発光層に含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のLUMO準位よりも低くてもよい。
上記の構成によれば、上記第1電極または上記第2電極として、上記第1の発光層側に陰極が設けられている場合、上記第1の発光層よりも上記第2の発光層に電子が入り易くなる。また、上記第1電極または上記第2電極として、上記第1の発光層側に陽極が設けられている場合、上記第2の発光層から上記第1の発光層に電子が漏れ難くなる。このため、上記の構成によれば、上記第2の発光層での励起子生成確率を高めることができる。このため、上記第2の発光層での発光効率を向上させることができるとともに、第2の発光層で生成した励起子のエネルギーの移動により、第1の発光層および第3の発光層においても効率良く発光させることができる。
本発明の態様10にかかる発光素子は、上記態様1〜9の何れかにおいて、上記第2の発光層に含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のLUMO準位が、上記第3の発光層に含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のLUMO準位よりも低くてもよい。
上記の構成によれば、上記第1電極または上記第2電極として、上記第3の発光層側に陰極が設けられている場合、上記第3の発光層よりも上記第2の発光層に電子が入り易くなる。また、上記第1電極または上記第2電極として、上記第3の発光層側に陽極が設けられている場合、上記第2の発光層から上記第3の発光層に電子が漏れ難くなる。このため、上記の構成によれば、上記第2の発光層での励起子生成確率を高めることができる。このため、上記第2の発光層での発光効率を向上させることができるとともに、第2の発光層で生成した励起子のエネルギーの移動により、第1の発光層および第3の発光層においても効率良く発光させることができる。
本発明の態様11にかかる発光素子は、上記態様1〜10の何れかにおいて、上記第1の発光層の層厚が5nmより薄く、上記第1の発光層中の上記TTF材料の含有比率が50%よりも大きくてもよい。
上記の構成によれば、上記第1の発光層を、TTF材料の含有比率が高い極薄の層とすることで、上記第2の発光層の上記熱活性化遅延蛍光材料の励起三重項準位から、直接上記第1の発光層の上記TTF材料の励起三重項準位に上記デクスター型のエネルギー移動が起こり易くなる。このため、上記第1の発光層で、より効率良く発光させることが可能となる。
本発明の態様12にかかる発光素子は、上記態様11において、上記機能層は、上記第1の発光層を挟んで上記第2の発光層とは反対側に積層された層を少なくとも一層備え、
上記第1の発光層を挟んで上記第2の発光層とは反対側に積層された層のうち、上記第1の発光層に隣接して積層された層に含まれる材料のHOMO準位が、上記第2の発光層に含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のHOMO準位よりも低くてもよい。
上記第1の発光層の層厚が薄い場合、上記第1の発光層が島状となり、上記第2の発光層と、上記第1の発光層を挟んで上記第2の発光層とは反対側に積層された層とが直結する可能性がある。しかしながら、上記の構成とすることで、上記第2の発光層から、上記第1の発光層を挟んで上記第2の発光層とは反対側に積層された層に正孔が漏れ難くなり、上記第2の発光層と、上記第1の発光層を挟んで上記第2の発光層とは反対側に積層された層との界面にキャリアをトラップすることができる。
本発明の態様13にかかる発光素子は、上記態様11において、上記機能層は、上記第1の発光層を挟んで上記第2の発光層とは反対側に積層された層を少なくとも一層備え、上記第1の発光層を挟んで上記第2の発光層とは反対側に積層された層のうち、上記第1の発光層に隣接して積層された層に含まれる材料のLUMO準位が、上記第2の発光層に含まれる、少なくとも混合比率が最も高い材料のLUMO準位よりも高くてもよい。
上記第1の発光層の層厚が薄い場合、上記第1の発光層が島状となり、上記第2の発光層と、上記第1の発光層を挟んで上記第2の発光層とは反対側に積層された層とが直結する可能性がある。しかしながら、上記の構成とすることで、上記第2の発光層から、上記第1の発光層を挟んで上記第2の発光層とは反対側に積層された層に電子が漏れ難くなり、上記第2の発光層と、上記第1の発光層を挟んで上記第2の発光層とは反対側に積層された層との界面にキャリアをトラップすることができる。
本発明の態様14にかかる発光素子は、上記態様1〜13の何れかにおいて、上記第2の発光層と上記第3の発光層との間に、蛍光材料を含まないバッファ層が設けられていてもよい。
上記第2の発光層と上記第3の発光層との間の励起エネルギーの移動は、直接接触が不要なフェルスター型のエネルギー移動によるものであるため、第2の発光層と上記第3の発光層との間には、上述したように、蛍光材料を含まないバッファ層が設けられていてもよい。
上記バッファ層を設けることで、上記第2の発光層と上記第3の発光層との間で、キャリア(正孔、電子)の移動度の差や障壁の大小を変更することができ、キャリアバランスを制御することが可能となる。このため、上記の構成によれば、励起子を上記第2の発光層で確実に生成することが可能となる。したがって、各層での発光効率を向上させることが可能となる。
本発明の態様15にかかる発光素子は、上記態様14において、上記第2の発光層と、上記バッファ層との合計の層厚が20nm以下であってもよい。
上記第2の発光層に含まれる熱活性化遅延蛍光材料のS1準位から上記第3の発光層に含まれる蛍光材料のS1準位へのフェルスター遷移は、材料同士が直接接触していなくても、一定距離内であれば起こる。また、発光ピーク波長が異なる発光層を積層した場合、発光ピーク波長が短波長側の発光層から発光ピーク波長が長波長側の発光層に励起エネルギーの移動が起こり易い。このため、上記熱活性化遅延蛍光材料の分子から上記蛍光材料の分子までの距離が20nm以下であれば、容易かつより確実にフェルスター遷移が起こるとともに、エネルギーの移動効率を損なうこともない。したがって、上記第2の発光層と上記第3の発光層との間に上記バッファ層が設けられている場合、上記第2の発光層と、上記バッファ層との合計の層厚を20nm以下とすることが好ましい。
本発明の態様16にかかる発光素子は、上記態様1〜15の何れかにおいて、上記第1の発光層が青色発光層であり、上記第2の発光層が緑色発光層であり、上記第3の発光層が赤色発光層であってもよい。
上記の構成によれば、青色発光層、緑色発光層、赤色発光層の各発光層を効率良く発光させることができるので、発光効率が高い、例えば白色発光の発光素子を提供することができる。
本発明の態様17にかかる発光素子は、上記態様1〜16の何れかにおいて、有機EL素子であってもよい。
上記の構成によれば、発光効率が高い有機EL素子を提供することができる。
本発明の態様18にかかる電子機器(有機EL表示装置100)は、上記態様1〜17の何れかにかかる発光素子(有機EL素子10)を備えていてもよい。
上記の構成によれば、発光効率が高い発光素子を備えた電子機器を提供することができる。
本発明の態様19にかかる電子機器は、上記態様18において、照明装置であってもよい。
上記の構成によれば、発光効率が高い照明装置を提供することができる。
本発明の態様20にかかる電子機器は、上記態様1〜7の何れかにおいて、表示装置であってもよい。
上記の構成によれば、発光効率が高い表示装置を提供することができる。
本発明の態様21にかかる発光素子(有機EL素子10)の製造方法は、第1電極(陽極2および陰極4のうち一方の電極)と第2電極(陽極2および陰極4のうち他方の電極)との間に、少なくとも発光層(発光層33)を含む機能層(有機EL層3)を形成する機能層形成工程を含み、上記機能層形成工程は、上記発光層中、発光ピーク波長が最も短波長であり、(I)ホスト材料と、(II)該ホスト材料と協働して、もしくは単独で、TTF現象を生じさせる蛍光遅延発光材料であるTTF材料と、のうち少なくとも上記TTF材料を含む第1の発光層(第1発光層33a)を形成する第1の発光層形成工程と、少なくとも熱活性化遅延蛍光材料を含み、該熱活性化遅延蛍光材料の励起三重項準位が、上記第1の発光層に含まれる上記ホスト材料およびTTF材料のうち少なくとも一方の励起三重項準位よりも高い第2の発光層(第2発光層33b)を形成する第2の発光層形成工程と、上記発光層中、発光ピーク波長が最も長波長であり、少なくとも蛍光材料を含む第3の発光層(第3発光層33c)を形成する第3の発光層形成工程と、を含み、上記第1の発光層形成工程と上記第2の発光層形成工程とは、上記第2の発光層が、上記第1の発光層と上記第3の発光層との間に積層されるとともに、上記第1の発光層と上記第2の発光層とが隣接するように連続して行われる。
上記の方法によれば、態様1と同様の効果を得ることができる。
本発明の態様22にかかる発光方法は、少なくとも熱活性化遅延蛍光材料を含む第2の発光層(第2発光層33b)で生成した励起子のエネルギーを、上記第2の発光層に隣接して積層された、発光ピーク波長が上記第2の発光層よりも短波長であり、(I)ホスト材料と、(II)該ホスト材料と協働して、もしくは単独で、TTF現象を生じさせる遅延蛍光材料であるTTF材料と、のうち少なくとも上記TTF材料を含み、上記ホスト材料およびTTF材料のうち少なくとも一方の励起三重項準位が、上記熱活性化遅延蛍光材料の励起三重項準位よりも低い第1の発光層(第1発光層33a)に、デクスター型のエネルギー移動により移動させるとともに、上記第2の発光層で生成した励起子のエネルギーを、上記第2の発光層を介して上記第1の発光層とは反対側に積層された、発光ピーク波長が上記第2の発光層よりも長波長であり、ホスト材料および蛍光材料のうち少なくとも蛍光材料を含む第3の発光層(第3発光層33c)に、フェルスター型のエネルギー移動により移動させて、上記第1の発光層、上記第2の発光層、上記第3の発光層をそれぞれ発光させる方法である。
上記の方法によれば、態様2と同様の効果を得ることができる。
本発明の態様23にかかる発光方法は、上記態様22において、上記第2の発光層の上記熱活性化遅延蛍光材料の励起三重項準位から上記第1の発光層の上記TTF材料の励起三重項準位に上記デクスター型のエネルギー移動が起こり、上記TTF材料の励起三重項準位から上記TTF材料の励起一重項準位に再励起が起こり、上記第2の発光層の上記熱活性化遅延蛍光材料の励起一重項準位から上記第3の発光層の蛍光材料の励起一重項準位に上記フェルスター型のエネルギー移動が起こることで、上記第1の発光層、上記第2の発光層、上記第3の発光層をそれぞれ発光させる方法であってもよい。
上記の方法によれば、態様3と同様の効果を得ることができる。