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JP6690081B2 - 操業状況評価システム - Google Patents

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JP6690081B2 JP2016139483A JP2016139483A JP6690081B2 JP 6690081 B2 JP6690081 B2 JP 6690081B2 JP 2016139483 A JP2016139483 A JP 2016139483A JP 2016139483 A JP2016139483 A JP 2016139483A JP 6690081 B2 JP6690081 B2 JP 6690081B2
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Description

本発明は、銑鉄を製造する高炉において発生する「吹抜け」の規模や危険度などを予測し、操業オペレータに予測内容を通知する操業状況評価システムに関する。
従来から、高炉では、その上部から鉄鉱石、コークス、石灰石などの炉内装入物を層状に装入し、下部から熱風を吹込んで、鉄鉱石の還元、溶解等の一連の反応を行わせ、銑鉄を製造している。炉内装入物に関しては、高炉内で半径方向に適正なガス流速分布が得られるように装入位置や粒度を調整する。また、吹き込む熱風に関しては、高炉下部の側壁に設置された羽口からの送風条件(送風温度や送風湿分など)を適切に制御する。つまり、高炉では、かかる制御を適切に行い、鉄鉱石の還元、溶解等の一連の反応を効率よく進行させ、所望とする銑鉄の温度(出銑温度)が確保できるように操業を行っている。
ところで、高炉操業中には、「吹抜け」といわれる事象が発生する可能性がある。吹抜けとは、通気性が悪化した高炉内において、比較的通気性の良い部分にガスが偏って流通し、高温ガスが炉頂より放出される現象である。
吹抜けが生じると、固体とガスとの熱交換が十分に行われなくなるため、ガスが高温のまま直接、高炉上部へ行くこととなり、銑鉄の温度低下などが発生し、銑鉄の製造が正常に行われないことになる。それ故、吹抜けが発生する可能性などを予測することは高炉の安定操業の観点から非常に重要である。
上記の理由により、高炉操業における吹抜けに関する予測技術が既に開発されている。
例えば、特許文献1は、炉内に装入した装入物から溶銑を生成する高炉の操業中、前記高炉内の物理量を測定し、その結果に基づいて吹抜けの発生を予測する方法を開示する。この特許文献1の方法では、高炉の高さ方向へ適宜距離を隔てた2つの位置で前記物理量を経時的に測定し、得られた両物理量の差を算出し、算出された位置的差分と異なる時刻の位置的差分との差である経時的差分を求め、得られた経時的差分及び前記位置的差分を用いて吹抜けが発生するか否かを判断するものとなっている。
特開平11−140520号公報
従来より、高炉操業では、操業オペレータが自ら蓄積した経験に基づき、各種センサ情報(例えば、炉壁の温度など)から操業状態を判断した上で、高炉が安定的に稼働するように各種操業条件(送風条件や炉内装入物の投入量など)を制御することが行われている。
ところが、近年では、例えば、高炉操業における原料として、従来では使用されていない未経験の原料(例えば、鉄鉱石や焼結鉱など)が用いられるなど、操業環境の変化が発生する場合がある。このような変化に対して操業条件を適切に制御できなかった場合には、吹抜けなどの高炉トラブルが発生する可能性が大きくなる虞がある。操業オペレータが未経験の場合や、経験豊富な操業オペレータでも、適切な操業状態の判断・操業条件の制御を行うことが難しくなる可能性がある。
このような状況下で、特に「吹抜け」とよばれる突発的な炉内ガスの放出事象を予防することを考慮したとき、上記の特許文献1の技術による吹抜けの発生予測方法を採用することが考えられる。
しかしながら、特許文献1の技術を採用したとしても、実際に吹抜けを確実に予防することは難しいと思われる。理由としては、上記した特許文献1の技術により、吹抜けが発生するか否かを判断できるかもしれないが、吹抜けによりガスとともに外部に放出される熱を補償するために必要な熱量規模、すなわち「吹抜けの規模」を予測できないためである。
そこで、本発明は上記問題点を鑑み、高炉の操業を行うに際して、吹抜けが発生する危険性だけでなく、吹抜けが発生した際の規模予測を行い、その予測結果をオペレータに対して表示することで、より確実な吹抜けおよび吹抜け発生にともなう炉熱低下などのトラブルの予防が可能となる操業状況評価システムを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係る操業状況評価システムは、高炉に装着されたセンサで周期的に計測される値および計測された当該値から計算される値を時系列データとして記憶するデータ格納部と、前記データ格納部に記憶された値を用いて吹抜けに関する予測を行う予測部と、前記データ格納部に記憶された値と、前記予測部で予測された予測結果とをオペレータが確認できるよう表示する表示部と、を有し、前記予測部は、前記高炉から時系列データを取得するデータ取得部と、前記時系列データの中に存在する、高炉の周囲および高さ方向における圧力の変動と、炉壁温度とを用いて通気状態を表す指標値を求め、炉体圧、送風圧、炉頂ガス温度、及びステーブ温度を用いて炉況の悪さを示すスコアを求め、前記指標値と前記スコアを用いて吹抜けの危険度を計算する解析部と、を有し、前記解析部は、前記時系列データの中のステーブ温度を用いて吹抜けが発生した場合の熱損失度合いを表す規模指標値を有し、前記高炉の上部の温度と、前記高炉の上部における高さ方向の温度分布とが、それぞれ異常値となったときに、前記規模指標値が大きくなる構成とされていることを特徴とする。
なお、好ましくは、前記表示部は、前記吹抜けの危険度があらかじめ定められている閾値を超えた時点で警報発令を表す表示を行う手段備えており、過去期間にさかのぼって計算された指標から計算される平均値があらかじめ定められた値を上回っている間は前記吹抜けの危険度を示す警報表示を継続、前記警報が発令し、かつ炉体圧が閾値を超えた時に減風を指示すとよい。
なお、好ましくは、前記予測部は、前記炉体圧の変動と、前記ステーブ温度の周方向の偏りと、前記ステーブ温度の高さ方向の温度分布変化とのそれぞれについて、通常値から乖離すると大きな値となる指標を定めて、これら3つの指標の最小値を通気状態の悪さを表す指標値とする構成とされているとよい。
なお、好ましくは、前記予測部は、前記高炉ステーブ温度の高さ方向の分布にもとづいて、上部に熱がたまっていると推定されること、前記高炉内の融着帯の根の位置が通常の位置より上がっていると推定されること、送風圧が通常より大きくなっていること、炉頂ガス温度が通常より高くなっていること、のそれぞれを、吹抜けの発生リスクが高くなる状態として定義し、これら5つの状態の成立有無をスコアとして計算する構成とされているとよい。
お、好ましくは、前記指標値、前記スコア、及び前記規模指標値を組み合わせた指標を、吹抜けリスク指標として計算するとよい。
本発明に係る操業状況評価システムによれば、高炉の操業を行うに際して、吹抜けが発生する危険性だけでなく、吹抜けが発生した際の規模予測を行い、その予測結果をオペレータに対して表示することで、より確実な吹抜けの予防が可能となる。
第1技術例の操業状況評価システムの概念図を示したものである。 第1技術例の操業状況評価システムが設けられる高炉の断面を示した図である。 炉壁温度とその温度の発生回数との関係を示した図である。 炉壁温度と吹抜け規模予測スコアとの関係を示した図である。 減風量と吹抜け規模予測スコアとの関係を示した図である。 表示モニタに表示される画面の一例を示した図である。 第2技術例の操業状況評価システムの概念図を示したものである。 第2技術例の操業状況評価システムにおけるセンサの配置例を示した図である。 第2技術例の操業状況評価システムにおける吹抜けの危険性を判断するための処理フローを示した図である。 第2技術例の操業状況評価システムにおける炉体圧指標値を算出するための処理フローを示した図である。 第2技術例の操業状況評価システムにおける重心指標値を算出するための処理フローを示した図である。 第2技術例の操業状況評価システムにおける温度差指標値を算出するための処理フローを示した図である。 第2技術例の操業状況評価システムにおける炉上部高温化スコアを算出するための処理フローを示した図である。 第2技術例の操業状況評価システムにおける炉中部高温化スコア及び特定方向突出スコアを算出するための処理フローを示した図である。 第2技術例の操業状況評価システムにおける送風圧スコアを算出するための処理フローを示した図である。 第2技術例の操業状況評価システムにおける炉頂ガス温度スコアを算出するための処理フローを示した図である。 第2技術例の操業状況評価システムにおいて指標値の規格化のために用いる図である。 第3技術例の操業状況評価システムの概念図を示したものである。 第3技術例の操業状況評価システムにおけるセンサの配置例を示した図である。 第3技術例の操業状況評価システムにおける減風を指示するための処理フローを示した図である。 第3技術例の操業状況評価システムにおける炉体圧計算値を算出するための処理フローを示した図である。 第3技術例の操業状況評価システムにおける炉壁温度上昇による温度差低減と重心ズレの関係を示した図である。 第3技術例の操業状況評価システムにおけるスケーリングされた累積頻度分布を示した図である。 第3技術例の操業状況評価システムで用いられるスコア関数を示した図である。 第3技術例の操業状況評価システムで用いられる非定常指標を示した図である。 第4技術例操業状況評価システムにおけるステーブ温度の炉高さ方向分布パターンを示した図である。 高炉における状態遷移を模式的に示した図である。 状態遷移を考慮した第4技術例の操業状況評価システムのロジックを示した図である。 第5技術例の操業状況評価システムの処理手順を示したフローチャートである。 吹抜けスコアとアラーム発令区間との関係を示した図である。 第6技術例の操業状況評価システムにおける状態遷移系列の例を示した図である。
以下、本発明にかかる高炉の操業状況評価システムの実施形態を、図を基に説明する。
図1は、本発明の予測システム、及び予測システムが設けられた高炉設備を示した模式図である。
図1に示す如く、高炉設備は、その中核として高炉1(高炉本体)を有している。
高炉1は、外部を鋼板製の鉄皮2で覆い、内部を耐火物3(耐火煉瓦)で内張りした竪型円筒状の炉体を有している。炉体は、上部から下方にかけて下広がりになっており、上からシャフト部、直胴状のベリー部、さらにその下に、上広がりのボッシュ部、そして最下部の炉床部を有する。各部とも鉄皮2の内側面には耐火物3が貼り付けてあり、鉄皮2と耐火物3の間には、ステーブと呼ばれる水冷金物を埋設して冷却可能とされている場合がある。また、冷却板を埋設して冷却可能とされている場合もある。
炉床部の側壁には、炉内に熱風や微粉炭を吹き込む開口(羽口4)が放射状に設けられている。操業時においては、高炉1内であって羽口4の先には、羽口4からの送風によって、いわゆる「レースウェイ5」と呼ばれるコークスが著しく疎な状態で存在する空洞部分が形成されている。
さらに、炉床部の側壁には、銑鉄S(溶銑)を取り出す出銑口が設けてある。この出銑口より、銑鉄Sが取り出される。
高炉1に付帯する設備としては、高炉1の炉頂へ鉄鉱石やコークスなどの原料を運び上げるベルトコンベア、搬送された原料を一時貯蔵するホッパ、原料を炉内の径方向に適正な分布で装入するベル式またはベルレス式の装入装置、熱風を作る熱風炉などがある。
付帯設備の一つである装入装置により、鉄鉱石とコークスなどの燃料を兼ねる還元材を高炉1の頂部から層状となるように投入する。加えて、不純物除去の目的で石灰石を入れるようにしている。このように原料が供給された高炉1に対して、羽口4から熱風を吹き入れて内部のコークスを燃焼させ、鉄鉱石の還元、溶解等の一連の反応を行わせ、銑鉄Sを製造する。
上記した高炉1を操業するに際しては、鉄鉱石の還元、溶解等の一連の反応が効率よく進行し、所望とする銑鉄Sの温度(出銑温度)が確保できるように、オペレータMは操業条件を制御している。
例えば、高炉1からの銑鉄Sの取り出しは、数時間間隔(例えば30分〜2時間)で行われる故、高炉操業を行うにあたっては、次に出銑される銑鉄Sの温度を目指しつつ、鉄鉱石やコークスの量などを制御する。合わせて、羽口4から吹き込まれる熱風の温度(送風温度)、添加湿分、微粉炭の吹き込み量なども制御する。
そこで、本発明の操業状況評価システムは、高炉1の操業を行うに際して、吹抜けが発生する危険性だけでなく、吹抜けが発生した際の規模予測を行い、その予測結果をオペレータに対して表示することで、より確実な吹抜けおよびそれに起因するトラブルの予防を可能にしている。
以下、本発明の高炉1の操業状況評価システムの第1技術例を述べることにする。
本発明は、高炉1の操業実績の分析などを通じて得られた知見、すなわち「高炉1における吹抜け発生時には、炉壁の温度分布も通常とは大きく隔たった状態になっている場合が多い」という知見に基づくものとなっている。具体的には、本発明らは、「炉壁に埋設されたステーブの温度が高炉1の上下方向の高さに依らず通常よりも極めて高温になる、言い換えれば炉壁全体が高温になると、高炉1内で生じる吹抜けの規模、すなわち吹抜け時に失われる熱量が大きくなり、操業トラブルリスクが高くなる」ことを知見に基づいている。第1技術例の操業状況評価システムは、斯かる知見を反映したものとなっている。
具体的には、第1技術例の操業状況評価システムは、銑鉄を製造する高炉に設けられ、且つ高炉で発生するトラブルに関する予測を行うものであり、オペレータが確認可能な表示部と、高炉でのトラブルの1つである「吹抜け」に関する予測を行う予測部と、を有している。そして、この予測部は、現状の操業状況において「吹抜け」が発生した際の当該「吹抜け」の規模の予測を行うと共に、「吹抜け」が発生する可能性を算出する。つまり、第1技術例の表示部は、予測部で予測された「吹抜け」の規模、及び「吹抜け」が発生可能性をいずれも表示するものとなっている。
つまり、予測部は0以上1以下の値を有し、且つ「吹抜け」の規模を示す「吹抜け規模予測スコア」を算出するものとされており、また表示部は予測部で算出された「吹抜け規模予測スコア」を表示する構成とされている。
また、予測部は、「吹抜け」が発生する可能性を示す「吹抜け発生予測スコア」を算出するものとされており、表示部は、予測部で算出された「吹抜け発生予測スコア」を表示するものともなっている。
上述した「吹抜け規模予測スコア」は、高炉の高さ方向に沿った複数の炉壁温度を基に算出される。具体的には、予測部は、高炉の高さ方向に沿った複数の炉壁温度の平均値、及び高炉の高さ方向に沿った複数の炉壁温度の平均値の差を基に、「吹抜け規模予測スコア」を算出する。
また、表示部は、予測部で予測された「吹抜け規模予測スコア」の時系列データと、予測部で算出された「吹抜け発生予測スコア」の時系列データと、時系列データの各時刻に対応する高炉内の状況を示す「高炉内情報」と、を表示する構成とされている。この「高炉内情報」は、時系列データの各時刻に対応する高炉内の状況が、過去の操業実績の分布においてどの位置にあるかを示した値として算出される。さらに、「高炉内情報」を算出するにあたっては、過去の操業実績として、高炉内の圧力、及び、高炉内の温度を用いることができる。
上述した第1技術例の操業状況評価システムをさらに詳細に説明する。
第1技術例の操業状況評価システムは、オペレータMが確認可能な表示部(予測モニタ11)と、高炉1でのトラブルの1つである「吹抜け」に関する予測を行う予測部13(予測モデル)と、を有している。
予測モニタ11は、液晶モニタやCRTモニタで構成され、コントロール室内に設置されている。オペレータMは常にこの予測モニタ11を視聴可能な状態となっている。
また、予測部13では、現状の操業状況において「吹抜け」が発生した際の当該「吹抜け」の規模の予測(予測モデルの計算)が行われると共に、「吹抜け」が発生する可能性の演算が行われる。
予測モデルは予測システム10に設けられたコンピュータ12乃至はプロコン内にソフトウエアの形で実現されている。
具体的には、このコンピュータ12は、内部に演算装置を備えると共に記憶装置を備えていて、当該コンピュータ12に対する指示や外部からの信号を取り込むための入力装置や演算結果を表示する出力装置を備えている。
予測モデルはプログラム化されてハードディスクで構成された記憶装置に記憶されており、この予測モデルをMPUなどで構成された演算装置により演算する。演算にあたっては、AD変換ボードなどで構成された入力装置を介して、操業中の高炉1から得られた実績値(高炉1の高さ方向に沿った複数の炉壁温度の実績値)が入力され、予測モデルの条件値として採用される。実績値は、キーボードなどの入力装置により直接入力されてもよい。
演算装置で演算された結果(予測モデルの予測値)は、記憶装置に記録されると共に、出力装置すなわち予測モニタ11に表示される。予測モニタ11には、入力装置を介して入力された高炉1の実績値も同時に表示されるようにするとよい。
第1技術例の場合、予測モデルで算出され且つ予測モニタ11に表示される予測情報としては、0以上1以下の値を以てして「吹抜け」の規模を示す「吹抜け規模予測スコア」が採用されている。この吹抜け規模予測スコアは、予測部13にて、高炉1の高さ方向に沿った複数の炉壁温度を基に算出される。詳しくは、予測モデルは、予測部13にて、高炉1の高さ方向に沿った複数の炉壁温度の平均値、及び高炉1の高さ方向に沿った複数の炉壁温度の平均値の差を基に、吹抜け規模予測スコアを算出するように構成されている。
以下、「吹抜け規模予測スコア」を求める手順を詳細に説明する。
予測モデルにおいては、吹抜け規模予測スコアは、以下のステップ1〜ステップ5を経て、計算される。
まず、ステップ1では、高炉1の炉壁温度を、高さ方向の複数の地点で測定する。具体的には、高炉1の炉壁には、ステーブと呼ばれる水冷金物が埋設してあり、このステーブの温度をもって炉壁温度としている。
図2に示すように、第1技術例の場合、高炉1の低い位置からB3,A1〜A6,スキンフローの8つの測定点が設けられており、これら8つの測定点のうち、A4〜A6のそれぞれにおいて、計測されたステーブの温度を用いる。
なお、高炉1を横断面視した場合、周方向には、等間隔に複数のステーブが存在するため、これら複数のステーブの温度の平均値を算出するようにする。
ステップ2では、算出したステーブ温度の平均値に対して、ノイズカット処理(ローパスフィルタ処理)を行う。
すなわち、各時刻について過去240分の移動平均をとるようにする。移動平均後のステーブ温度(言い換えれば、炉壁温度)は、以下の通りである。
・A6のステーブ温度平均値:StvT_A6(t)
・A5のステーブ温度平均値:StvT_A5(t)
・A4のステーブ温度平均値:StvT_A4(t)
・A6のステーブ温度平均値からA4のステーブ温度平均値を引いた値(A6-A4のステーブ温度平均値の差):StvT_Diff(t)
上記の変数におけるtは時刻である。
なお、A6-A4のステーブ温度平均値の差に加えて、A5-A4のステーブ温度平均値の差や、A6-A5のステーブ温度平均値の差を求めてもよい。
次に、ステップ3では、図3に示すように、計測されたステーブ温度の平均値を基に、それぞれ位置でのヒストグラム(度数分布)を考え、当該ヒストグラムにおける以下の点を求める。
・ヒストグラムにおけるピーク位置の値又は平均値:TOK
・累積頻度90%以上となる位置:TNG0
・累積頻度10%未満となる位置:TNG1
このヒストグラムにおいて、ステーブ温度平均値がピーク位置又は平均値の値を取るということは、高炉1が通常操業をしていることを示し、ステーブ温度平均値が累積頻度90%を超える、ないし、その値より小さい値をとる累積頻度が10%未満となる値にいたるということは、高炉1が通常状態とは大きく隔たった状態にあり、何らかのトラブルが発生するリスクが高くなっていることを意味している。
同様に、計測されたステーブ温度の平均値の差を基に、それぞれ位置でのヒストグラム(度数分布)を考え、当該ヒストグラムにおける以下の点を求める。
・ヒストグラムにおけるピーク位置の値又は平均値:DTOK
・累積頻度90%以上となる位置:DTNG0
・累積頻度10%未満となる位置:DTNG1
なお、ヒストグラムにおいて、ステーブ温度平均値の差がピーク位置の値又は平均値を取るということは、高炉1が通常操業をしていることを示し、ステーブ温度平均値の差がステーブ温度平均値が累積頻度90%を超える、ないし、その値より小さい値をとる累積頻度が10%未満となる値にいたるということは、高炉1が通常状態とは大きく隔たった状態にあり、何らかのトラブルが発生するリスクが高くなっていることを意味している。
ステップ4では、図4に示すように、ステップ3で算出されたステーブ温度平均値StvT_A6(t)、StvT_A5(t)、StvT_A4(t)、StvT_Diff(t)のそれぞれについて、式(1ー1)〜式(1ー3)、式(2)に従って、計測点ごと(高さごと)の吹抜け規模予測スコアを計算する。
Score_A4=F((StvT_A4(t)-TOK)/(TNG0 -TOK)) (1-1)
Score_A5=F((StvT_A5(t)-TOK)/(TNG0 -TOK)) (1-2)
Score_A6=F((StvT_A6(t)-TOK)/(TNG0 -TOK)) (1-3)
Score_Diff=F((StvT_Diff(t)-DTOK)/(DTNG1-DTOK)) (2)
ただし、F(X)は
X<0 ならば F(X)=0
1 ならば F(X)=X
X>1 ならば F(X)=1
という関数である。
式(1ー1)〜式(1ー3)を基に算出された吹抜け規模予測スコアにおいて、ヒストグラムにおけるピーク位置又は平均値TOKは、通常操業中の炉壁温度であるため、ステーブの温度平均値=TOKの場合の吹抜け規模予測スコアは0になる。一方、ステーブの温度平均値がTNG0以上になった場合、高炉1は明らかに通常操業ではなく、その状況を表すために予測スコアは1になる。なお、TOK、TNG0の値は、元となるデータ集合が異なるのでA4、A5、A6では異なる値となる。
また、式(2)を基に算出された吹抜け規模予測スコアにおいては、ヒストグラムにおけるピーク位置又は平均値DTOKは、通常操業中の炉壁温度の差であるため、ステーブの温度平均値の差がDTOKの場合の吹抜け規模予測スコアは0になる。一方、ステーブ温度平均値の差がDTNG1以下になった場合、高炉1は明らかに通常操業ではなく、その状況を表すために吹抜け規模予測スコアは1になる。
ステップ5では、式(1ー1)〜式(1ー3)、式(2)で得られたScore_A6、Score_A5、Score_A4、Score_Diffの4つの吹抜け規模予測スコアに関して、式(3)を用いて、その平均Score_Meanを算出する。

Score_Mean=(Score_A4+Score_A5+Score_A6+Score_Diff)/4 (3)

得られた平均Score_Meanが、予測モニタ11に表示される「吹抜け規模予測スコア」である。
以上の計算を行うことで、「吹抜け規模予測スコア」を算出することができ、算出された吹抜け規模予測スコアは、予測モニタ11に表示される。吹抜け規模予測スコアが0に近い値の場合、「吹抜け発生規模はきわめて小さい」と予測される。逆に、吹抜け規模予測スコアが1に近い値の場合、「吹抜けが発生した場合、その規模はきわめて大きい」と予測される。
予測モニタ11に表示された吹抜け規模予測スコアを見ることで、オペレータMは瞬時に吹抜けトラブルの規模の予測値を知ることができるようになる。なお、この予測モニタ11には、図5に示すような「減風量と吹抜け規模予測スコア(Score_Mean)との関係を示した図」も表示されるとよい。
図5は、減風量と吹抜け規模予測スコア(Score_Mean)との関係を示した図である。
この図は、過去に起こった吹抜け時のデータを基に作成したものであって、図中にプロットされた点は、過去に発生した吹抜けの事例である。図の横軸には、吹抜けの事例に実際に行った減風の状況(減風量)を記したものであり、縦軸は、吹抜けの事例のデータを基に計算した吹抜け規模予測スコアの値である。
図5に示すように、図中にプロットされている点は、上述した「吹抜け規模予測スコア」を求める手順に従って算出された、過去の事例の予測スコアである。例えば、図中にプロットされた□点は吹抜け40分前の予測スコアであり、◇点は吹抜け10分前の予測スコアである。
具体的には、予測スコアが0.4〜0.6にプロットされている過去の事例は、高炉1内での吹抜けが小規模であったことを示している。このとき、オペレータMは、予測スコアが表示された予測モニタ11をみて、高炉1内に送られる熱風量を少し減少させて(減風量小)、高炉1内での吹抜けを抑制した。
また、予測スコアが0.6〜0.8にプロットされている過去の事例は、高炉1内での吹抜けが中規模であったことを示している。このとき、オペレータMは、予測スコアが表示された予測モニタ11をみて、高炉1内に送られる熱風量を減少させて(減風量中)、高炉1内での吹抜けを抑制した。
また、予測スコアが0.8以上にプロットされている過去の事例は、高炉1内での吹抜けが大規模であったことを示している。このとき、オペレータMは、予測スコアが表示された予測モニタ11をみて、高炉1内に送られる熱風量を多く減少させて(減風量大)、高炉1内での吹抜けを抑制した。
なお、これら過去に発生した吹抜けの事例(□点、◇点)を線形補間して表示してもよい。図5には、吹抜け10分前の予測スコア(◇点)を線形補間したものが示されている(太破線)。
また、減風量とともに、図中の点位置にその際の熱補償量(例えばコークス比の増加量)を併記してもよい。
この図が予測モニタ11に表示されることにより、予測された吹抜け規模予測スコアと、その予測スコアで予測された吹抜けが実際に起こった場合に必要と想定される減風量とが、オペレータMに対して示されることになる。
次に、「吹抜け」が発生する可能性を数値的に示した「吹抜け発生予測スコア」を求める手順を詳細に説明する。
「吹抜け発生予測スコア」は、「吹抜け」が発生する可能性を0以上1以下の値で示したものであり、以下の手順で算出される。
まず、高炉1の周囲および高さ方向における炉内圧力の計測値、及び炉壁温度の計測値を用いて、高炉1内の圧力変動を示す「炉体圧力変動指標」(変動レベル値)を算出する。
この「炉体圧変動指標」を算出するにあたっては、例えば、B3のステーブ、A2のステーブ、A5のステーブ、A6のステーブ、それぞれのステーブでの圧力値(ステーブの周囲4方向の圧力平均値)を求める。求めた高炉1内の圧力平均値の過去一定時間(過去30分間、過去60分間、過去120分間、過去240分間など)での分散を計算する。
その後、計算された分散、すなわち高炉1内の圧力変動量を規格化し、圧力値の変動が小さい方から順に0点(変動小)〜3点(変動大)の4段階に区分けする。
その上で、規格化された圧力値の変動を高さ方向で合計する(全ステーブで合計する)ことで、0点(変動小)〜12点(変動大)の13段階の値になる。この0点〜12点の値が、「炉体圧変動指標」である。
次に、「高炉1の周方向における炉内温度分布の指標値」(高炉1の周方向におけるステーブ温度の重心位置)を算出する。
この「高炉1の周方向における炉内温度分布の指標値」を算出するにあたっては、例えば、A2のステーブ、A3のステーブ、A4のステーブ、それぞれの高炉1の周方向における炉内温度を測定し、測定した炉内温度のレーダ分布図(レーダチャート)を考える。このレーダ分布図における炉内温度データの重心位置を求め、求めた重心位置とレーダ分布図の中心位置との偏差を求める。求めた偏差が「高炉1の周方向における炉内温度分布の指標値」である。
そして、「高炉1の高さ方向における炉内温度分布の指標値」(高さ方向のステーブ温度平均値の差)を算出する。
この「高炉1の高さ方向における炉内温度分布の指標値」を算出するにあたっては、例えば、A2のステーブ、A4のステーブ、それぞれの周方向における炉内温度を測定し、周方向に沿った炉内温度の平均値をステーブごとに算出する。
その上で、異なるステーブ間の炉内温度の平均値の差を算出する。例えば、A2のステーブの炉内温度の平均値と、A4のステーブの炉内温度の平均値との差を算出する。この差の値を「高炉1の高さ方向における炉内温度分布の指標値」とする。
以上のようにして求めた「炉体圧変動指標」、「高炉1の周方向における炉内温度分布の指標値」、「高炉1の高さ方向における炉内温度分布の指標値」の値をそれぞれ0以上1以下の数値に正規化し、正規化した「炉体圧変動指標」、「高炉1の周方向における炉内温度分布の指標値」、「高炉1の高さ方向における炉内温度分布の指標値」の値の最大値を選択したり、各指標の平均値などを求めることで、「吹抜け発生予測スコア」を算出する。
この吹抜け発生予測スコアが0に近い値の場合、「吹抜けが発生する可能性が小さい」と予測され、逆に、吹抜け発生予測スコアが1に近い値の場合、「吹抜けが発生する可能性が高い」と予測される。算出された吹抜け発生予測スコアは、予測モニタ11に表示される。
図6に示すように、予測モニタ11(表示器)は、予測部13で予測された「吹抜け」の規模、及び「吹抜け」が発生する可能性を表示するものであり、この予測モニタ11には、予測部13で予測された「吹抜け規模予測スコア」の時系列データと、予測部13で算出された「吹抜け発生予測スコア」の時系列データと、時系列データの各時刻に対応する高炉1内の状況を示す「高炉内情報」と、が表示されている。
また、本実施形態の予測モニタ11には、高炉1内に送風される熱風の流量の情報も表示されている。
吹抜け発生予測スコアは、上記したように、「吹抜け」の発生の可能性を0以上1以下の値で示したものであり、このスコアが0.4未満の場合、「吹抜けが発生する可能性が小さい」と予測され、スコアが0.4以上0.8未満の場合、「吹抜けが発生する可能性がある」と予測され、このスコアが0.8以上1に近い値の場合、「吹抜けが発生する可能性が高い」と推定される。
この吹抜け発生予測スコアの時間変化(時系列データ)を、図6の右側上段のグラフに示す。
図6の右側上段に示すように、「吹抜け発生予測スコア」の時系列データは、高炉操業中の各時間において、吹抜け発生予測スコアの数値変化を示したものであり、操業中の操業条件や操業環境の変化によって大きく変化することを示したものである。
図6の右側上段の「吹抜け発生予測スコア」の時系列データにおいては、例えば、9時頃〜17時30分頃の間、スコアの数値が0から0.4の間を上昇したり下降したりしている。つまり、9時頃〜17時30分頃の間は、通常の高炉操業であることが確認できる。
ところが、17時30分頃〜翌3時頃の間、スコアの数値が0.4から0.8の範囲内に存在することが多くなっている(図6中の薄いグレーで囲んだ範囲)。つまり、17時30分頃〜翌3時頃の間は、吹抜けが発生する可能性があることが確認できる。
また、翌1時頃〜3時頃の間、スコアの数値が0.8から1の範囲内に存在することが多くなっている(図6中の濃いグレーで囲んだ範囲)。つまり、翌1時頃〜3時頃の間は、吹抜けが発生した可能性が濃厚である。
吹抜け規模予測スコアは、上記したように「吹抜け」の規模を0以上1以下の値で示したものであり、このスコアが0.6未満の場合、「吹抜けが発生したとしてもその規模がきわめて小さい」と予測され、スコアが0.6以上0.8未満の場合、「吹抜けが発生した場合、その規模は中程度である」と予測され、このスコアが0.8以上1に近い値の場合、「吹抜けが発生した場合、その規模はきわめて大きい」と予測される。
この吹抜け規模予測スコアの時間変化(時系列データ)を、図6の右側中段にグラフの形で示す。
図6の右側中段に示すように、「吹抜け規模予測スコア」の時系列データは、高炉操業中の各時間において、吹抜け規模予測スコアの数値変化を示したものであり、操業中の操業条件や操業環境の変化によって大きく変化することを示したものである。
図6の「吹抜け規模予測スコア」の時系列データにおいては、例えば、9時頃〜17時30分頃の間、スコアの数値が0から0.6の間を上昇したり下降したりしている。つまり、9時頃〜17時30分頃の間は、通常の高炉操業であることが確認できる。
ところが、17時30分頃〜翌1時頃の間、スコアの数値が0.6から0.8の範囲内に存在することが多くなっている(図6中の薄いグレーで囲んだ範囲)。つまり、17時30分頃〜翌1時頃の間は、吹抜けが発生した場合、その規模は中程度であることが確認できる。
また、本技術例の表示モニタには、熱風流量情報も表示されるようになっている。
図6の右側下段に示すように、熱風流量情報は、高炉1内に送風される熱風の流量の時間変化を示したものであり、「吹抜け規模予測スコア」や「吹抜け発生予測スコア」から吹抜けが発生する可能性があるとされると、吹抜けを未然防止するために熱風の流量が調整されて、その調整結果(現状の送風流量)の情報が表示される。
さらに、本技術例の表示モニタには、高炉内情報も表示されるようになっている。高炉内情報は、表示モニタ上の左側に表示される。図6左側に示す「高炉内情報」は、着目している時点における操業実績値(生データ)ではなく、着目している時点における操業実績値が、過去の操業実績の分布においてどの位置に存在するかを示したものである。過去の操業実績として、高炉1内の圧力、及び、高炉1内の温度を用いている。
図6に示すように、本技術例の「高炉内情報」は、高炉1内の圧力状況がどれだけ過去実績と異なっているかを示す「炉内圧力情報」と、ステーブ単位ごとの炉内温度の周囲方向の分布の重心がどれだけ過去実績と異なっているかを示す「ステーブ温度の偏り度合い情報」と、ステーブ単位ごとの炉内平均温度がどれだけ過去実績と異なっているかを示す「ステーブの平均温度情報」と、を有している。
炉内圧力情報は、過去の高炉1内圧力の時間変化(例えば、過去3ヶ月分)に対して、現在の高炉1内の圧力がどのような状況となっているかを数値化して表示したものである。
炉内圧力情報を算出するにあたっては、例えば、高炉1内圧力の過去実績の分布を示す度数分布を作成し、その度数分布上のどの位置に、現在の高炉1内圧力の状況を示す値が位置しているかを割り出し、割り出した位置が、予め設定している設定値(例えば、度数分布の中央値乃至は平均値)からどれだけ離れているかを算出する。
算出された炉内圧力情報が設定値より大きく離れていると、高炉1内の圧力変化が大きいことを示しているので、高炉1内で炉内状況が不安定化している可能性がある。
図6の左上側に示している「炉内圧力情報(炉体圧力スコア)」おいては、炉内圧力情報を0〜4と数値化し、炉内圧力情報が0〜2までの場合は高炉1内の圧力の変動が小さいことを示し、通常状態であるとされている。
一方、炉内圧力情報が2〜3までの場合は、高炉1内の圧力の変動がやや大きいことを示し、高炉1内で通常状態から逸脱しつつある可能性があるとされ、炉内圧力情報が3〜4までの場合は、炉内の圧力の変動がきわめて大きいことを示し、高炉1内が不安定状態にある可能性があるとされている。
例えば、図6の左側上段に示すように、B3,A1,A2のステーブにおける炉内圧力情報は、それぞれスコア4を示しており、高炉1内の圧力の変動がきわめて大きいことを示している。一方、A5のステーブにおける炉内圧力情報は、スコア1を示しており、高炉1内の圧力の変動が小さいことを示している。
つまり、現在の「炉体圧力スコア」は、高炉1の下部からA2のステーブ近傍までの高さにおいて通常状態から逸脱した状態にあることを示しているので、このまま操業を続けると吹抜け発生可能性がある。
例えば、吹抜け発生予測スコアや吹抜け規模予測スコアの値が低いものであったとしても、図6の左側上段に示すように、現在の「炉体圧力スコア」の値が大きい場合、高炉トラブルに十分な注意を払う必要があることがわかる。
このように、高炉内情報は、吹抜け発生予測スコア、吹抜け規模予測スコアなどの情報を補正、補完するといった重要な役割を担っている。
さて、図6の左側中段には、高炉内情報の1つであるステーブ温度の偏り度合い情報が示されている。ステーブ温度の偏り度合い情報は、ステーブ単位ごとの炉内温度がどれだけ過去実績と異なっているかを示すものである。
ステーブ温度の偏り度合い情報を算出するにあたっては、例えば、A2のステーブ、A3のステーブ、A4のステーブ、それぞれの高炉1の周方向における炉内温度を測定し、測定した炉内温度のレーダ分布図を考える。このレーダ分布図における炉内温度データの重心位置を求め、求めた重心位置とレーダ分布図の中心位置との偏差(温度偏差)を求める。
その上で、温度偏差の過去実績の度数分布を作成し、その度数分布上のどの位置に、現在の温度偏差の値が位置しているかを割り出し、割り出した位置が、予め設定している設定値(例えば、度数分布の中央値乃至は平均値)からどれだけ離れているかを算出する。
算出された温度偏差が設定値より大きく離れていると、高炉1内の周方向での温度偏差が大きく、例えば、周方向の一方向が高温となっている等の異常が発生している可能性がある。
一般に、高温ガスは炉内の中心部を上昇するが、炉内状況が不安定化すると周辺部を流れる「偏流」が生じ、その影響で周囲特定方向の壁温度が高温化する場合がある。ステーブ温度の偏りが大きい場合には、そのようなガス流れの乱れ、不安定化が生じている可能性がある。
図6の左側中段に示している「ステーブ温度の偏り度合い情報(ステーブ温度偏り度合いスコア)」おいては、ステーブ温度の偏り度合い情報を0〜4と数値化し、ステーブ温度の偏り度合い情報が0〜2までの場合はステーブ温度の偏りが小さいことを示し、通常操業が行われているとされている。
一方、ステーブ温度の偏り度合い情報が2〜3までの場合は、ステーブ温度の偏りがやや大きいことを示し、高炉1内で異常が発生しつつある可能性があるとされ、ステーブ温度の偏り度合い情報が3〜4までの場合は、ステーブ温度の偏りがきわめて大きく、例えば、高炉1の周方向の一方向だけが高温になっていることを示し、高炉1内でガスの流れが乱れている可能性があるとされている。
例えば、図6の左側中段に示すように、A2のステーブにおける温度の偏り度合いは、およそ1.8を示しており、現段階でのステーブ温度の偏りが小さいが、通常状態から逸脱傾向にあることを示している。
また、A3のステーブ及びA4のステーブにおける温度の偏り度合いは、ともにおよそ1未満であるので、ステーブ温度の偏りが小さく、炉内は通常操業の範囲内であることを示している。
このような状況下で、仮に、吹抜け発生予測スコアや吹抜け規模予測スコアの値が低いものであったとしても、図6の左側上段に示すように、A2のステーブにおける温度の偏り度合いが若干大きく、注意を必要とする状況であることがわかる。つまり、高炉内情報は、吹抜け発生予測スコア、吹抜け規模予測スコアなどの情報を補正、補完するといった重要な役割を持っている。
また、高炉内情報の1つであるステーブの平均温度情報は、ステーブ単位ごとの炉内平均温度がどれだけ過去実績と異なっているかを示すものである。
ステーブの平均温度情報を算出するにあたっては、まず、ステーブ単位ごとの炉内平均温度を算出する。合わせて、ステーブ単位ごとの炉内平均温度の過去実績の度数分布を作成し、その度数分布上のどの位置に、現在のステーブの炉内平均温度が位置しているかを割り出し、割り出した位置が、予め設定している設定値(例えば、度数分布の中央値乃至は平均値)からどれだけ離れているかを算出する。
算出された炉内圧力情報が設定値より大きく離れていると、ステーブの炉内平均温度の変化が大きいことを示しているので、高炉1内で異常が発生している可能性がある。
図6の左側下段に示している「ステーブの平均温度情報(ステーブ平均温度スコア)」おいては、現在のステーブの平均温度を0〜4と数値化し、ステーブの平均温度情報が0〜2までの場合はステーブの平均温度と設定値との差が小さいことを示し、通常操業が行われているとされている。
一方、ステーブの平均温度情報が2〜3までの場合は、ステーブの平均温度と設定値との差がやや大きいことを示し、高炉1内で通常状態からの逸脱が発生しつつある可能性があるとされ、ステーブの平均温度情報が3〜4までの場合は、ステーブの平均温度と設定値との差がきわめて大きいことを示し、高炉1内で通常状態からの逸脱していることを示している。
例えば、図6の左側下段に示すように、A2のステーブにおける炉内平均温度の情報は、およそ1.4を示しており、ステーブの平均温度と設定値との差が小さく、炉内は通常操業の範囲内であることを示している。
一方、A3のステーブ及びA4のステーブにおける平均温度の情報は、ともにおよそ1.8を示しており、ステーブの平均温度と設定値との差がやや大きく、このまま操業を続けると、ステーブにおける平均温度と設定値との差が大きくなることを示している。
つまり、現在の「ステーブの平均温度情報」は、高炉1内は通常操業の範囲内ではあるが、注意を要する状態であることを示しているので、例え、吹抜け発生予測スコアや吹抜け規模予測スコアが小さな値を示していたとしても、吹抜けに備え、各種操業条件等を変更する用意をしておくとよい。
以上より、予測モニタ11に表示された炉内圧力情報と、ステーブ温度の偏り度合い情報と、ステーブの平均温度情報からなる「高炉内情報」より、吹抜けが発生する可能性示す情報を得ることができる。この情報を基に、高炉1が安定的に稼働することができるように各種操業条件を制御することができる。
なお、本技術例の予測モニタ11に表示された各時系列データ及び高炉内情報は、予測システム10に設けられたコンピュータ12などに記憶されており、図6の下側に表示される矢印のアイコンを操作し所望の時刻に合わせることで、その時刻の各時系列データ及び高炉内情報を抽出することができるようになっていてもよい。
以上述べたように、「吹抜け規模予測スコア」の時系列データと、「吹抜け発生予測スコア」の時系列データと、「高炉内情報」とが予測モニタ11に表示されることにより、高炉1の操業を行うに際しての、吹抜けが発生する可能性、及びその吹抜け規模の予測が信頼性の高い指標として示されることになる。
それ故、オペレータMは、本技術例の予測モニタ11を視認することで、吹抜けなどの高炉トラブルの予兆を早期に察知し、適切に操業条件を変更することができ、確実に吹抜けを防止することが可能となる。
「第2技術例」
次に、第2技術例の操業状況評価システムを説明する。
第2技術例の操業状況評価システムは、第1技術例と同様に高炉が定常的でない状態(非定常状態)にあるかどうかを表示する、言い換えれば吹抜けが発生する危険度や発生した場合の規模を表示するもの(以降、非定常モニタという場合がある)となっている。
つまり、高炉の炉況が悪いときは、羽口から吹き込まれた熱風が高炉の端部を通る偏流化という現象が起きる。このような偏流化が生じると高炉の内部で熱交換があまりなされずに、高炉の中部、上部、炉頂部まで熱風が通ってしまい、中部ステーブ温度、上部ステーブ温度、炉頂ガス温度が上昇する。特に、コークス中心装入をしている高炉では、吹き込まれた熱風がコークス割合が少なく通気性が悪い高炉の端部を通るため、圧損も大きくなる。本発明の発明者らは、深刻な吹抜けの発生前には、上述した偏流化に至る一連の流れが起きていることを解析を通じて明らかにした。
ただ、従来の方法では、このような偏流化に至る一連の流れを評価することが困難であった。例えば、特開2006−111904号公報に示す従来の高炉操業方法では、銅製のステーブクーラを高炉に設けておき、このステーブクーラで計測された炉体温度が一定値を超える頻度を求め、その頻度が管理値を超える場合に、吹抜けの危険が大きいと判断している。
上述した偏流化が生じた場合には、周囲特定方向の温度が他方向に比べて突出して大きくなるため、温度のみでなく、バランスに変化が生じる。例えば、炉体の温度が全体的に上がっているが、安定して風が中心を流れているようなときは、偏流化が生じているとはいえず、それに伴う吹抜けの危険性は高くない。しかし、上述した従来の高炉操業方法では、このような定常的な状態でも吹抜けの危険が大きいと判断してしまう可能性がある。すなわち、この従来の高炉操業方法では吹抜けの一連の流れを確実に捉えることができず、吹抜けを精度良く予測することは困難である。
また、特開平5−271728号公報には、高炉のシャフト部の円周方向に均等に複数の圧力センサを配置すると共に、これらの圧力センサを高さ方向に複数段に亘って配設し、これら複数のセンサで圧力を計測することで吹抜け防止を行う方法が開示されている。この方法では、同じ高さに配置された複数のセンサで計測された計測値のうち、最大値と最小値の差を求め、求められた差が同じ高さのセンサの平均圧力値に対して所定の割合を超えたときに、吹抜けの危険があるとして減風を行うものとなっている。
しかし、上述した特開平5−271728号公報の技術は、炉体圧で表した偏流化という断片情報のみを用いて吹抜けを予測するものとなっているが、本発明者らの知見によれば、炉体圧バランスは定常状態であっても変動する場合も多く、吹抜け発生リスクが高いという程度にまで偏流化していない場合、上述した技術では、吹抜けの危険性が大きいと誤った判断をしてしまう可能性は考えられる。
そこで、上述した従来の技術の問題点に鑑みて、第2技術例の操業状況評価システムでは、炉体圧及びステーブ温度だけでなく、送風圧や炉頂ガス温度といった複数の指標を総合的に組み合わせて、吹抜けの危険性を漏れが起こらないように判断している。
すなわち、図7〜図17に示すように、第2技術例の操業状況評価システムは、高炉からデータを取得するステップと、データの中の炉体圧とステーブ温度を用いて通気状態の悪さを表す指標値を求めるステップと、炉体圧とステーブ温度に加え送風圧と炉頂ガス温度を用いて吹抜け前に起こる一連の流れが発生したかどうかを表すスコアを求めるステップと、指標値とスコアを用いて2つの値が通常時とは異なる値のときに吹抜けの危険度を判断するステップとを設けている。
第2技術例の操業状況評価システムがこのような構成を採用するのは、吹抜け前には、炉体圧、ステーブ温度、送風圧、炉頂ガス温度が一連の流れに沿って変化することが経験的に知られているためである。つまり、第2技術例の操業状況評価システムは、この一連の変化を全て捉えることで、従来と比べて誤った判断がなく、従って精度も良い吹抜け予測を達成し、生産量を下げず吹抜けも発生しにくい安定した操業を可能としている。
次に、第2技術例の操業状況評価システムにおいて吹抜けの判断で用いられる指標値、スコア、さらにはこれらを用いた吹抜けの判断について説明する。
上述した指標値は、高炉の通気状態の悪さを表す数値であり、それぞれ異なる高炉の状態を評価する炉体圧指標値、重心指標値、及び温度差指標値を組み合わせたものとなっている。つまり、第2技術例の操業状況評価システムでは、第1のステップで、複数の高さでの炉体圧の長期間に亘る変動と、短期間に亘る変動とを、炉体圧指標値として求める。この炉体圧指標値は、炉体圧に表れる高炉の通気状態の悪さを数値として示したものである。このように第1のステップで炉体圧指標値が求められたら、ステーブ温度が周囲方向へどの程度偏っているかを、重心指標値として第2のステップで求める。この重心指標値は、水平方向に沿ったステーブ温度の温度分布に表れる高炉の通気状態の悪さを数値として示したものである。さらに、第2のステップで重心指標値が求められたら、高炉の上部と中部の温度の差を、温度差指標値として第3のステップで求める。この温度差指標値は、高炉の上下方向に沿ったステーブ温度の温度差に表れる高炉の通気状態の悪さを数値として示したものである。このようにして第1〜第3のステップで3つの指標値(炉体圧指標値、重心指標値、及び温度差指標値)が求められたら、これら3つの指標値の最小値(3つの指標値のうち最も小さいもの)を通気状態の悪さを表す指標値(吹抜予測指標値)として採用する。最後に、採用された吹抜予測指標値が、予め定められた設定値以上となっているかどうかを判断し、この判断の結果を吹抜けの危険性があるかどうかの判断に用いる。
上述した第2技術例の操業状況評価システムを用いれば、ほとんどの吹抜けを検知して、吹抜けによる設備破壊を予防したり溶鋼の生産性を確保したりすることができる。すなわち、一般に吹抜けが起こる場合には、その直前では、炉体圧が長い時間スパンで見ても短い時間スパンで見ても変動しているような状態、およびステーブ温度の周囲方向の分布に偏りがある状態、さらには高炉の上部の温度が上昇し、温度差がない状態にいたっている場合が多い。逆に、それらの一つの状態のみであれば、不安定状況ではあっても吹抜けにまでいたらない場合も多い。見逃しなく、かつ、過剰になることなく吹抜け予測するために、3つの状態をそれぞれ表す3つの指標値を求め、これらの指標値の中でも最も小さいものでも設定値以上となる、言い換えればすべての指標値が設定値以上となった場合に、通気状態が悪化し吹抜けの危険性があると判断する。
上述したスコアは、一連の異常な状態、特に吹抜け前に発生することがわかっている一連の異常な状態が実際に発生しているかどうかを表すものである。このスコアは、組み合わせたもの、言い換えれば炉上部高温化スコア、炉中部高温化スコア、特定方向突出スコア、送風圧スコア、及び炉頂ガス温度スコアの5つのスコアを組み合わせたものとなっている。吹抜けにいたる過程はさまざまであり、特定の一つのスコアのみに依存した判断では、見逃しや過剰判断が低減できない。そのため、上記のような複数のスコアを用い、その組合せで吹抜け発生を予測する。
これら5つの中間スコアのうち、炉上部高温化スコアは、高炉の上部の温度が基準値を超えたときに、異常値となるようなスコアである。また、炉中部高温化スコアは、高炉の中部のステーブが基準値を超えたとき異常値となるようなスコアである。吹抜け前には通常時よりも、高炉上部や高炉中部が高温になることが多いため、炉上部高温化スコアや炉中部高温化スコアはこれらの異常な状態をスコアとして求めるものとなっている。
上述した特定方向突出スコアは、高炉が偏流化しているときに、異常値となるようなスコアである。また、送風圧スコアは、圧損が基準値を超えるときに、異常値となるようなスコアである。つまり、吹抜け前には通常時よりも、高炉の内部における熱風の流れが偏流化したり、圧損が大きくなったりするため、特定方向突出スコアや送風圧スコアはこれらの異常な状態をスコアとして求めるものとなっている。
最後に、炉頂ガス温度は、炉頂ガス温度が基準値を超えるとき異常値と判断されるものである。つまり、炉頂ガス温度スコアは、吹抜け前には通常時よりも、炉頂ガスの温度が高くなるため、炉頂ガス温度スコアは炉頂ガスの高温化という異常な状態をスコアとして求めるものとなっている。
このようにして求められた5つのスコアについては、5つのスコアのうち所定の数のスコアが異常値をとるときのみ、吹抜け前に発生する異常な状態(前駆的状態)が有意的に発生していると判断し、吹抜けの危険があると判定している。この吹抜けの危険があると判断するスコアの数は、1個でも良いし、2個以上でも良い。また、5つのスコアのうち、特定のスコアのみを優先的に取り上げて、判断を行っても良い。
例えば、図9のフローチャートの場合であれば、炉上部高温化スコアが異常値を示す場合であって、さらに残り4つのスコアの内、2以上のスコアが異常値となった場合に、「吹抜け」の危険性があると判断し、表示部で表示する。
このような吹抜け前に発生することがわかっている一連の異常な状態をスコアとして評価することで、吹抜けの危険性を正確に予測することが可能となる。例えば、定常的な操業で増風を行った場合、ステーブ温度や炉体圧のみでは吹抜けが起こるとの誤判断が下される場合がある。しかし、第2の技術例のように、複数のスコアが同時に悪くなっているかどうかで吹抜けを判断すれば、増風時であろうとも複数のスコアが同時に異常値となることは稀なので、吹抜けの過検出回数を減らして、吹抜け予防のためのアクション(減風のアクション)による生産量の低下を防ぐことができる。
図9に示すように、上述した指標値及びスコアが得られたら、指標値とスコアを用いて2つの値が通常時とは異なる値のときに吹抜けの危険度を判断する。この判断は、上述した予測部で行われ、吹抜けの危険度があるときは表示部で表示を行う。
次に、予測部で行われる吹抜けの危険度の判断手順を、図9〜図17を用いて説明する。
なお、図9は第2の技術例における吹抜け予測の全体的な処理フローを示したものであり、図10〜図12は3つの指標値をそれぞれ計算する際の処理フローを詳細に示したものであり、図13〜図16は5つのスコアをそれぞれ計算する際の処理フローを詳細に示したものである。さらに、図11は3つの指標値の大小を比較する際に用いられる規格化処理を説明するためのグラフである。
図9に示すように、まず高炉の周方向及び高さ方向に複数設けられたセンサで高炉の炉体圧及びステーブ温度などの操業データを取得する(S9-1)。取得された操業データを解析部(予測部)に送信する(S9-2)。予測部では、フィルタリングなどを用いて取得した操業データの異常値を取り除くといったデータ整形や、操業データが取得されていない期間を直前の操業データ値で代用して補間するといったデータ整形が行われる(S9-3)。このデータ整形の処理は後述する処理をしやすくするためのものであるため、操業データに欠損がない場合や異常値がない場合には行わなくてもよい。このような整形の処理を行った後の操業データから3つの指標値(中間指標値、すなわち炉体圧指標値、重心指標値、及び温度差指標値)を計算し(S9-4)、計算された指標値から吹抜予測指標値を計算する(S9-5)。また、整形の処理を行った後の操業データから、吹抜け前に大きくなる傾向のある5つのスコア(炉上部高温化スコア、炉中部高温化スコア、特定方向突出スコア、送風圧スコア、及び炉頂ガス温度スコア)を計算する(S9-6)。
なお、上述した3つの指標値を計算するための処理(S9-4)の詳細については、図10〜図12を用いて説明する。つまり、図10は3つの指標値のうち炉体圧指標値を計算するフローを、図11は重心指標値を計算するフローを、さらに図12は温度差指標値を計算するフローを示したものである。
図10に示すように、炉体圧指標値を計算するに際しては、まず高炉の高さ方向及び周囲方向(周方向)に複数設けられたセンサで炉体圧の操業データを取得する(S10-1)。この炉体圧の操業データについては、各同一の高さに位置するセンサ間で周囲方向の操業データの平均値を計算する。このような周方向の操業データの平均値を高炉の各高さについて求める(S10-2)。また、上述した操業データの平均値を、その過去一定期間の分散値(例えば120分間の分散値)を計算する(S10-3)。さらにこの分散値の複数の時間平均値(例えば過去5分,60分,120分,240分の4つ平均値)をそれぞれ計算する(S10-4)。以上で計算した時間平均値が設定値以上か否かで2値の点数(例えば0点か1点)を算出する(S10-5)。各高さでこの点数を用いて高さ別に炉体圧の変動度合いを表す点数を計算する(S10-6)。例えば2値の点数が0か1であったとして、以下の式(1)で計算する。
上述した式(1)で示される2値の点数を、すべての高さの水準に対して求め、それらを合計して(S10-7)、その合計値を規格化した(S10-8)ものが炉体圧指標値である。
なお、3つの指標値を算出する際に用いられる「規格化」とは、図17のように、ある値(今回の場合なら合計値)に対し二つの値(図のPminとPmax)を設定しその間でのみ線形に上昇する0から1の値に対応させることである(以後、本明細書で同じとする)。この規格化は、3つの指標値間で大小を相対比較する目的で行われるものであり、その目的が達成できるなら他の規格化方法を用いても問題はない。
図11に示すように、重心指標値を計算するに際しては、まず高炉上部の複数の高さ・周囲方向でのステーブ温度を取得する(S11-1)。このようにして求められたステーブ温度の計測値は円形グラフとして二次元平面上にプロットされる。つまり、高炉の中心を原点とする径方向の距離を「温度」の軸としてステーブ温度の計測値をプロットする(S11-2)。このようにすればステーブ温度が高くなるほど、温度分だけ原点から離れた位置に計測値を示す点がプロットされた円形グラフを得ることができる。このようにして同じ高さに位置する複数の計測値のプロットがされたら、複数の計測値を示す点の重心と、高炉の中心(円形グラフの原点)との距離を算出する(S11-3)。算出された重心との距離は以下の式(2)で計算される。
なお、式(2)中の「n」は当該高さで取得した温度の数(高炉のある高さに位置するセンサの数)であり、「i」は当該高さのセンサのインデックスとする(i=1,2…n)である。また、「Ti」はi番目のセンサが取得した温度であり、「ei」はi番目のセンサの方向に向きを持つ長さ1のベクトルを表している。この距離を規格化して(S11-4)、この値の全高さの最大値(S11-5)が重心指標値である。
図12に示すように、同様に上部の複数の高さ・周囲方向でのステーブ温度を取得する(S12-1)。この温度について過去一定期間(例えば120分間)時間平均をとった後(S12-2)、高さごとに周囲方向の平均値を計算する(S12-3)。ここで得た平均値に対応する高さのうち、最下部の値と最上部の値との差(多くの場合負の値となる)を計算し(S12-4)、この値を規格化した(S12-5)ものが温度差指標値である。
最後に、上述した手順で得られた各指標値、つまり炉体圧指標値、重心指標値、及び温度差指標値の中から、最小の値を選び出す。これらの炉体圧指標値、重心指標値、及び温度差指標値は、すべて規格化されて0〜1の数値となっているため、大小を比較することができる。このようにして選び出された最小の指標値が、吹抜予測指標値となる(S9-5)。
上述した吹抜予測指標値(通気性の悪さを示す指標値)の算出と共に、炉況の悪さを示すスコアも計算する(S9-6)。これら5つのスコアは、いずれも予め定められた設定値以上であれば異常値と判断するものとなっている。
次に、それぞれのスコアについての計算手順を説明する。
図13に示すように、炉上部高温化スコアを計算するに際しては、まず高炉の上部について高さ方向及び周囲方向に複数のステーブ温度を取得する(S13-1)。この各センサで計測されるステーブ温度について過去一定期間(例えば120分間)の時間平均をそれぞれ算出する(S13-2)。高炉の高さが同じセンサの時間平均について、周囲方向の平均値を計算する(S13-3)。高炉の各高さについて、平均値を求め、0から1に規格化する(S13-4)。この規格化値とS4-35で求めた温度差指標値との平均値(S13-5)が炉上部高温化スコアである。
図14に示すように、炉中部高温化スコアと特定方向突出スコアを計算するに際しては、まずステーブ温度を複数の高さ、周囲方向で取得し(S14-1)、これを下記の式(3)で正規化する(S14-2)。
高炉の中部の高さにあるセンサで計測されたステーブ温度から計算された正規化値のうち、最大値が炉中部高温化スコアである(S14-3)。また、各周囲方向で正規化値の最大値と最小値の差を計算し(S14-4)、その最大値が特定方向突出スコアである(S14-5)。
図15に示すように、送風圧スコアは、送風圧を取得したとき(S15-1)、過去一定期間(例えば120分間)の最大値として計算される(S13-2)。
図16に示すように、炉頂ガス温度スコアは、炉頂ガス温度を複数の周囲方向で取得したとき(S16-1)、その全方向の過去一定期間(例えば60分間)の最大値として計算される(S16-2)。
上述した手順で求められた吹抜予測指標値と5つのスコアを用いて吹抜けの危険度合いの判定を行う(S9-7〜S9-11)。
具体的には、図9に示すように、(S9-5)で求められた吹抜予測指標値が設定値以上か判定する(S9-7)。設定値以上なら(S9-8)に進んで、炉況の悪さに基づく吹抜けの危険性の判断を行う。設定値未満なら、(S9-11)に進んで、吹抜けの危険性はないと判断し、表示部での表示は行わない。
次に、炉上部高温化スコアが異常値かどうかを判定する(S9-8)。求められた吹抜予測指標値が設定値以上なら、(S9-9)に進む。しかし、設定値未満なら、(S9-11)に進んで、吹抜けの危険性はないと判断し、表示部での表示は行わない。
最後に、(S9-6)で求めた残りの4つのスコア(炉中部高温化スコア、特定方向突出スコア、送風圧スコア、及び炉頂ガス温度スコア)のうち、異常値のものが3つ以上あるかを判定する(S9-9)。3つ以上ある場合は、(S9-10)に進んで、吹抜けの危険性があると判断し、表示部での表示を行う。しかし、2つ以下なら、(S9-11)に進んで、吹抜けの危険性はないと判断し、表示部での表示は行わない。
なお、S11-3で、重心位置を計算するのは各高さのステーブ温度の偏りを調べるためであり、例えば周囲方向ステーブ温度の最大値と最小値の差を用いるなど温度の偏りを示す他の計算方法に置き換えても良い。
また、S14-2で行われる正規化は、測定しているステーブの条件(材質など)が異なる場合に、それぞれの値を比較するための処理であり、比較すべきステーブが全て同条件である、もしくは比較するのに問題ない程度であるなら正規化をしなくてもよい。
さらに、上述した送風圧スコア及び炉頂ガス温度スコアは、それぞれのデータ値が高くなっている(大きくなっている)ことを示すスコアなので、増加傾向を示すことができれば過去一定期間の最大値ではなくてもよいし、過去一定期間の平均値や中央値でもよい。
なお、表示部で表示される表示内容は、吹抜けの危険性があるか否かの2値情報だけでなく、計算過程の値を提示しても良い。例えば処理C9-5〜C9-7の判定手順を行わずに、算出された吹抜け予測指標値や5つのスコアを直接表示部に表示しても良い。
また、判断の結果や計算結果を表示部に表示しなくてもよい。その場合、自動で操業条件を変更することや後の解析や議論に使う資料として判断の結果や計算結果のデータを利用する。例えば、吹抜けの危険性があるか否かのデータを長期間に亘って取得しておけば、過去に遡って高炉の状態が不安定だった期間を簡単に抽出することができ、操業条件との関係を解析するのに役立てることができる。
「第3技術例」
次に、第3技術例の操業状況評価システムを説明する。
図18に示すように、第3技術例の操業状況評価システムは、第2の技術例と同様に、操業データから解析を行って吹抜けの危険性を評価するものであるが、吹抜けの危険性を判断するだけでなく、吹抜けを回避するためのアクションを実施するタイミングを操業オペレータに指示する構成となっている。言い換えれば、第3技術例の操業状況評価システムは、吹抜けを回避するアクションの実施タイミングを決定するシステムとなっている。
例えば、特開2006−28576号公報には、高炉シャフト部に設けた複数の圧力センサで炉内圧力を測定して、圧力とその時間変化率に基づいて炉内圧力の変動を予知する数値を求め、この数値が閾値を超えると警報を表示する炉内圧力変動予知方法および装置が開示されている。
この炉内圧力変動予知に関する技術では、操業オペレータに警報を表示して、炉内圧力に異常な変動が起こっていることを報知することができる。しかし、高炉における操業は経験的なものが多く、操業オペレータにも個人差があることから、警報を受けた操業オペレータが適切なアクションを取るとは限らず、吹抜けを防止するためのアクションに属人的な誤りが発生する可能性はある。つまり、仮に圧力変動の発生を吹抜けの前に精度よく予測できたとしても、警報を表示するだけではどのタイミングでアクションを行うかは操業オペレータやスタッフに依存してしまい、吹抜けを防止するための適切な行動を十分に行われない恐れがある。
また、上述した特開平5−271728号公報に開示された吹抜け防止方法のように、炉体圧で表した偏流化という断片情報のみを用いて吹抜けを予測する場合は、吹抜けが起こるほど炉況が悪くない定常的な高炉状態に対しても、誤って吹抜けの危険性が大きいと判断してしまう可能性があり、吹抜けの危険性の予測精度に大きな問題がある。
そこで、上述した従来の技術の問題点に鑑みて、第3技術例の操業状況評価システムは、減風などのアクションを実施するタイミングを表示することで、最終的なアクション実施の可否を操業オペレータに提示することを可能としている。
また、第3技術例の操業状況評価システムは、炉体圧、ステーブ温度、送風圧、炉頂ガス温度などを総合的に用いて吹抜けの危険性を予測することで、吹抜けの危険性の予測精度を大きく向上させることができるものとなっている。
つまり、第3技術例の操業状況評価システムは、第2技術例で説明した手順で判断される「吹抜けの危険度」と、この第3技術例で新たに導入する「炉体圧の瞬時値」とを組み合わせることで、吹抜けの危険性を過検出なく予測できるようにして、減風などのアクションのタイミングを適正に決定することができるものとなっている。
具体的には、第3技術例の操業状況評価システムは、高炉からデータを取得するステップと、データの中の炉体圧とステーブ温度を用いて通気状態の悪さを表す指標値を求めるステップと、炉体圧とステーブ温度に加え送風圧と炉頂ガス温度を用いて吹抜け前に起こる一連の流れが発生したか表すスコアを求めるステップと、指標値とスコアを用いて2つの値が通常時とは異なる値のときに高くなるよう吹抜けの危険度を計算するステップと、を備えている。なお、これらのステップは、前述した第2技術例と同じである。
第3技術例が第2技術例と異なっているのは、データの中の炉体圧瞬時値から吹抜け前に大きくなる炉体圧計算値を求めるステップと、危険度と炉体圧から計算された値の双方がそれぞれ定めた設定値を上回ったときを減風タイミングと決定するステップと、を有することである。
このような第3技術例の操業状況評価システムであれば、属人性がなく、生産量を極力下げずに、吹抜けの起きない操業を行うことができる。つまり、炉況が悪いことを表示などで示すだけであれば、操業オペレータによる判断には属人性が残るため、表示を受けた後のアクションのタイミングに人によるばらつきがでて、場合によっては適切な操作が行われず、ミス(誤操作)が発生する可能性もある。
しかしながら、上述した第3技術例の操業状況評価システムであれば、より精度の良い吹抜け予測が行われ、予測結果によって減風などのアクションを行うタイミングも適正に決定されるため、高炉の生産量を低下せしめることなく、吹抜けの発生を確実に防止することが可能となる。
以降では、第3技術例の操業状況評価システムの特徴である「炉体圧計算値を求めるステップ」及び「減風タイミングを決定するステップ」について説明する。
炉体圧計算値は、高炉の中部(上部と下部の中間高さ)に設けられた複数のセンサで計測される炉体圧の計測値と、炉頂に設けられたセンサで計測される炉頂圧との圧力差(圧損)のうち、最大のものである。つまり、第3技術例の操業状況評価システムが設けられる高炉は、炉頂の下に「上部」、「中部」、「下部」が設けられた構造となっている。この高炉の上部、中部、下部には、同じ高さに、複数のセンサが周方向に並んで設けられている。これら複数のセンサのうち、高さ方向の中部に存在するセンサのそれぞれで計測される炉体圧の計測値が炉体圧瞬時値である。
一方、高炉の炉頂にも、周方向に複数のセンサが設けられており、炉頂圧力が計測されている。この炉頂のセンサで計測される炉頂圧力と、上述した炉体圧瞬時値との圧力差が、炉体圧計算値である。この炉体圧計算値は、周方向に複数設けられたセンサで計測されたすべての炉体圧瞬時値に対して求めることができる。
なお、炉頂圧が一定となるよう制御されている高炉の場合は、炉体圧瞬時値そのものを炉体圧計算値として用いても良い。また、炉頂圧と炉体圧瞬時値を計測する位置が周方向で異なる場合は、最大炉頂圧を代表値として計算に用いて炉体圧計算値を算出してもよい。
この炉体圧計算値は、吹抜けの発生に密接に関係している高炉の圧損を評価可能なものであり、第2技術例で説明した吹抜けの危険性の評価結果と組み合わせることで、吹抜けの過検出を抑制することが可能となる。
上述した炉体圧計算値が計算されたら、計算された炉体圧計算値と、上述した第2技術例で得られる吹抜けの危険性とを用いて、吹抜けの危険性または後述する危険度の表示と、減風を行うタイミングの表示を行う。
すなわち、求められた吹抜けの危険度が設定値以上の場合は、操業オペレータに危険度の表示を行い、さらに上述した炉体圧計算値が設定値以上の場合に、減風を行うタイミングを表示部に表示する。
次に、予測部で行われる減風などのアクションタイミングの決定手順を、図20及び図21を用いて説明する。
なお、図20は第3の技術例における減風などのアクションタイミングの決定手順を示したものであり、図21は炉体圧計算値を計算する際の処理フローを詳細に示したものである。
図20に示すように、まず高炉の高さ方向及び周方向に複数設けられたセンサで高炉の操業データとして温度・圧力データを炉頂から高炉の下部まで全て取得する(S20-1)。このようにして求められた操業データは予測部(解析部)に送信される(S20-2)。解析部では取得された操業データから異常値(ノイズなど)を取り除いたり、データが欠落した期間を直前のデータ値で代用・補間したりするといったデータの整形が行なわれる(S20-3)。このデータの整形は、操業データに一部欠損した部分がある場合に以降の処理をしやすくするためのものであり、欠損がない場合や、異常値やノイズがあっても問題とはならない場合には、このデータの整形は行わなくてもよい。このようなデータの整形を行った後、整形後のデータから吹抜けの危険度(S20-4)と、炉体圧計算値(S20-5)と、を計算する。
なお、吹抜けの危険度については、上述した技術例2に従って計算されるため、ここでは詳細な説明を割愛する。
図21に示すように、炉体圧計算値を計算する際には、高炉の高さ方向から、任意の高さを選び出す。そして、選ばれた高さでの炉体圧瞬時値を周囲方向に複数設けられたセンサで取得する(S21-1)。このとき選択する炉体圧の高さは、上部であれば予測タイミングが遅くなってしまい、下部であれば外乱の影響が大きく精度が悪くなることから、高炉の中部から選択したほうがよい。
次に、炉頂圧と炉体圧の差(圧損)を周囲方向の各位置(各方向)で計算する(S21-2)。このようにして求められた炉頂圧と炉体圧の差が、炉体圧瞬時値である。このようにして周囲方向の各位置での炉体圧瞬時値が計算されたら、計算された炉体圧瞬時値の中から最大値を選択し、それを炉体圧計算値とする(S21-3)。
なお、炉頂圧が一定となるよう制御されている高炉であれば、炉体圧瞬時値そのものを圧損の代わりに使用してもよい。また、炉頂圧と炉体圧の位置が周囲方向で異なる場合は、代表値として最大炉頂圧(炉頂圧の最大値)を炉体圧計算値の計算に用いてもよい。
図20に示すように、求められた危険度が設定値以上かどうか確かめ、設定値以上ならば表示部を通して操業オペレータに「炉況が危険である」ことを表示(提示)する。先に「炉況が危険である」と提示すれば、操業オペレータの注意を喚起することができる。
次に、炉体圧計算値が設定値以上かどうかを判断し、計算された炉体圧計算値が設定値以上となれば減風などのアクションのタイミングを操業オペレータに表示するか、実際に減風を自動で行う。アクションのタイミングや減風量については、事前に定めた値でもよいし、計算された炉体圧計算値が設定値からどの程度離脱しているかの度合いで変化させてもよい。
また、危険度と炉体圧計算値を異常性(非定常性)を判断する設定値は、過去に起こった吹抜けの事例と照らし合わせて最終結果のアクションタイミングがトラブルを防ぐことができる適切なタイミングになるよう調整された値を用いるとよい。
上述した危険度に替えて、第1技術例で得られる「吹抜け発生予測スコア」を用いても良い。この「吹抜け発生予測スコア」を用いる場合には、吹抜けの危険は少ないものの、炉況が悪いときにも、「吹抜け発生予測スコア」の値は高くなる。それゆえ、より確実に吹抜けの発生を防止可能となり、さらに安全な高炉の操業を行うことができる。
また、危険度がよく変動する場合には、瞬時値でなく、過去一定期間の最大値を危険度として判定に利用してもよい。
吹抜けを予防するためのアクションには、減風以外のアクションを用いても良い。例えば、コークス比の増量を行えば、即時性や速効性には欠けるものの、減風のように炉内が乱れてしまう恐れがなく、確実に炉況を改善することができる。
「第4技術例」
次に、第4技術例の操業状況評価システムを説明する。
上述した第1技術例〜第3技術例は、通気状態を表す指標値を求めるステップと、吹抜けの前駆的な状態の発生をスコアで評価するステップとを備えたものとなっていた。これに対して、第4技術例の操業状況評価システムは、通気状態を表す指標値を求めるステップに関するものとなっている。
すなわち、上述した「吹抜け」は、高炉内部でのガス流れが乱れ、通気性が悪化することが誘因と考えられる。このような通気性の悪化などを吹抜けの兆候として事前に検知し、減風やコークス比の増加(吹抜けが発生した場合の熱損失などの悪影響を低減するために行われる操作)などの操業アクションを判断する目安となる情報を提示するのが、第1技術例〜第3技術例の「非定常モニター」の構成である。
以降では、第1技術例〜第3技術例の「非定常モニター」において、現在採取されている操業データを活用して、吹抜け発生の危険度を数値表現する操業状況評価システムについて述べる。なお、以降の明細書では、この第4技術例の操業状況評価システムに備えられる危険度を数値表現する手段を、「吹抜けアラーム」という場合がある。
第4技術例の操業状況評価システムに設けられる「吹抜けアラーム」は、高炉の通気性の悪化に相関のあるような現象(状態)、すなわち「炉体圧の変動度が大きくなる」、「高炉の上部(上部炉壁)で高さ方向のステーブ温度の差が小さくなる」、「高炉の周囲方向で計測されるステーブ温度の偏りが大きくなる」といった現象に着目して、吹抜け発生の危険度を数値として表現するものとなっている。
すなわち、上述した現象の中でも、炉体圧の変動を考えた場合、炉体圧の変動自身は、さまざまな要因で発生する。また、炉体圧の変動の大きさ(レベル)は高炉の操業における重要な管理項目であり、実際に炉体圧の変動が大きくなった際には、日誌などの操業記録にも記録される。そして、吹抜けが発生する場合には、実際に大きな炉体圧の変動が確認される。
しかし、炉体圧の変動自体は吹抜け発生時以外にも頻繁に発生し、炉体圧の変動が必ずしも吹抜けにつながるとは限らない。つまり、炉体圧の変動の度合いを定量指標化すること自体は、操業管理上有意義ではあっても、炉体圧の変動の度合いのみに着目して「吹抜けアラーム」を発令するならば、発令はしたものの吹抜けは起きないという過剰発令をいたずらに増加させることになる。
つまり、炉体圧の変動は高炉の通気状態の乱れを表しているものではあるが、炉体圧の乱れが高炉内部のガス流れの変動につながり、ついには吹抜けの発生に至るといった吹抜けの発生過程を捉えるために、炉体圧の変動のみでなく、炉体上部の炉壁温度、例えば図2の「A4」〜「A6」に設けられた温度センサの値にも着目する必要がある。
この炉体上部の炉壁温度(「A4」〜「A6」の温度データ)は、高炉が定常状態にある場合には、一定の温度範囲にあり、「A4」〜「A6」の間には一定の温度差があることが多い。また、「A4」〜「A6」では、周方向に複数設けられた各温度センサで計測される温度(ステーブ温度)はほぼ同じである。
しかし、高炉の内部のガス流れが乱れ、高温ガスが高炉の内壁に沿って急上昇するような現象、言い換えれば吹抜けの前駆的現象が発生した場合には、図22の左側に示すように「高炉の高さ方向の温度差が小さくなる」といった現象が発生するようになる。また、上述した吹抜けの前駆的現象が発生した場合には、図22の右側に示すように「周囲方向では、ガスが流れた部位の温度が他よりも高くなる」といった現象が見られる。
そこで、第4技術例の「吹抜け予測アラーム」では、上記した3つの現象が起こっているかどうかの視点をとりいれて、吹抜け発生の危険度を数値として表現する。
具体的には、3つの現象が起こっているかどうかを、上述した3つの指標値として表現する。この指標値は、温度差などの絶対値そのものではなく、定常状態の値からの隔たり具合を0から1の実数に規格化して表現したものとなっている。例えば、過去一定期間での値の頻度分布を求め、求められた頻度分布における低頻度側、例えば頻度分布における上位10%に含まれる値であるかどうかを定常状態からのズレの閾値とすることで、プロセスの操業実態にあった閾値設定が可能になる。
以下、3つの指標値の具体的な算出手順を説明する。
まず、炉体圧変動指標値について説明する。この炉体圧変動指標値は、第2技術例の炉体圧指標値に相当するものである。炉体圧変動指標値は、高炉に設けられた設置高さが異なる4つの炉体圧センサで計測された炉体圧から求められる。つまり、それぞれの設置高さには周方向に複数のセンサがあるため、これらのセンサで計測された値の平均値を求める。
次に、求められた平均値に対して、過去30分、60分、120分、240分間に亘るそれぞれの区間(時間)での分散を計算し、各位置で変動の大小を4段階の点数で表現する。この点数は、「変動が小さい」ことを示す0点から、「変動が大きい」ことを示す3点までの4段階であり、さらに、高さ方向の四つの位置での点数を合算する。このようにすれば、合計した点数が0点から12点までのレベルで炉体圧変動を表現することができる。なお、この炉体圧変動指標値を他の指標値と区別するために「V」の文字で示す。
重心指標値は、炉壁の温度(ステーブ温度)の重心、つまり周方向での偏りを数値化したものである。具体的には、図2の「A4」〜「A6」のそれぞれで、周囲方向のステーブ温度の計測値をもとに、周方向の計測値の重心位置を計算し、高炉の中心位置から計算された重心位置までの偏差(度)を計算する。なお、この重心指標値を他の指標値と区別するために「C1」、「C2」、「C3」の文字で示す。
温度差指標値は、高炉の中部におけるステーブ温度の温度差を表現したものである。つまり、上述したように図2の「A4」、「A6」のそれぞれで、周方向の平均温度を計測し、計測された平均温度の高さ方向の差を計算する。このようにして求められた「A4」と「A6」の温度差が温度差指標値である。なお、この温度差指標値を他の指標値と区別するために「T」の文字で示す。
上述した吹抜けに繋がるような前駆的な状態においては、炉体圧変動指標値が増大し、温度差指標値が低減し、重心指標値が大きくなる。それゆえ、炉体圧変動指標値、温度差指標値、重心指標値の全てがあるレベルを超えた場合に、吹抜けの危険性があるとしてアラームを発令する。
なお、具体的に「吹抜け予測アラーム」を発令するかどうかは、アラームを発令する際の目安となる炉体圧変動指標値、温度差指標値、及び重心指標値の閾値をどのように決定するかを、操業記録データを用いて次のように決定する。
まず、上述した炉体圧変動指標値、温度差指標値、及び重心指標値の閾値を決定する際には、以下の3つのステップが必要となる。なお、以降では、説明を簡単にするために、温度差指標の結果のみを例に挙げる。
上述した炉体圧変動指標値、温度差指標値、及び重心指標値は、互いに変動する範囲が異なっており、スケールの差があるので、比較できない。そのため、まずそれぞれの指標値を正規化し、指標値同士での比較を可能とする。
例えば、直近1年の期間で取得された操業データについて、温度差指標値の平均値と標準偏差とを求める。そして、求められた平均値と標準偏差を用いて、温度差指標値の各データをスケーリング(正規化)する。このようなスケーリングを行った指標値は、図23に示すような累積頻度分布を示す。なお、図23は、S4〜S6の各高さにおいて周方向で最大となるステーブ温度、及び周方向のステーブ温度の重心を示したものであり、温度差指標値そのものを示すものではない。しかし、上述した温度差指標値も、これらの値と同様な変化傾向を備えているので、ここではこれらの値の累積頻度分布を代わりに挙げる。このようにしてスケーリング後の温度差指標値の累積頻度分布を求めるステップが、第1のステップである。
上述した第1ステップで温度差指標値の累積頻度分布が求められたら、累積頻度が90%のところで立ち上がり、99%のところで1になるように「スコア関数」を定義する。具体的には、図24に示すように、このスコア関数は、実際に計測された温度差指標値の累積頻度が90%のときにスコアが「0」、累積頻度が99%のときにスコアが「1」となるような関数となっている。
つまり、実際の温度差指標値のデータでは、累積頻度分布は単調増加ではあっても「デコボコ」があり、90%、99%に対応する値が決めにくい場合もある。そこで、ここでは、便宜上、累積頻度曲線を、例えば指数曲線で近似したうえで、XL、XUを(同定された式に従って)決めている。上述したスコア関数を決定するステップが、第2ステップである。
上述した第2ステップで炉体圧変動指標値、温度差指標値、及び重心指標値についてそれぞれ決定されたスコア関数を、S(V)、S(C1)、S(C2)、S(C3)、S(T)とする。
このようにして各指標値のスコア関数が求められたら、求められたスコア関数を用いて式(4)のようにして統合スコアを算出する。
上述した式(4)で求められる統合スコアSは、炉体圧変動指標値、温度差指標値(ステーブ温度差指標値)、及び重心指標値に共通する閾値を定めたものであり、これらの指標値がいずれもある閾値以上になった場合にアラームを発令するものとなっている。この統合スコアSは、0〜1の実数で与えられる。
なお、重心指標値については、S4、S5、S6の最大値としている。これらのうち、いずれかで周方向の温度分布のズレが大きくなればよいからである。
上述した統合スコアSが0.8を超えるような区間を大別すると「単発的な区間(単発的なスコアのピーク)」と「群発的な区間」があり、「群発的な区間」で吹抜けが発生する場合が多くなっている。
また、炉内のガス流れが乱れると高炉の周囲方向の温度にムラが生じたり、高炉の高さ方向の温度乱れが大きくなって、スコアが増大していると考えられる。さらに、高炉の減風や増風時には炉体圧変動も大きくなり、上記したような急激な温度変化が伴うとスコアも大きくなる。
吹抜けにいたる高炉の状態遷移パターン(シナリオ)としては、例えば、通気性が悪く減風した場合、溶銑温度は低下しがちであるが、減風後の対応として定常状態に戻すために増風した場合、急激な溶銑温度上昇、風圧増加となり、(スコアも上昇し)吹抜けにいたる場合があると考えられる。
以上のことから、第4技術例の操業状況評価システムを用いることで、吹抜けの危険性(リスク)を高い精度で判断できると考えられる。つまり、上述した炉体圧変動指標値、温度差指標値、及び重心指標値は、炉体圧変動や温度変動が定常状態からどの程度ズレているかを表しており、これらのズレが大きい場合は吹抜けのリスクも高いと考えられる。それゆえ、実際の高炉操業で吹抜けの危険性を判断するにあたっては、個別の指標値ではなく、複数の指標値を組み合わせて、各指標値の動き(単発/群発)や周辺状況(装入ピッチや増風/減風の発生など)をあわせて「定常状態からのズレ具合」を表示することで、高精度な吹抜けの予測が可能になると考えられる。
「第5技術例」
次に、第5技術例の操業状況評価システムを説明する。
上述した第4技術例は、「通常ではきわめて稀な状態(起こり得ない状態)」を検出し、操業オペレータに通知する「吹抜け予測アラーム」に関するものであった。つまり、第4技術例の「吹抜け予測アラーム」は、「高炉の中部、上部、及び炉頂での炉体圧時間変動」、「上部ステーブ(S4〜S6)温度(1分間隔)の周囲方向偏差(重心偏り)」、「高炉の高さ方向での温度分布(S6−S4間の温度差)」を監視して、「通気性悪化時の炉体圧力変動の増大」あるいは「高炉の周囲方向のステーブ温度分布の不均一性」を用いて吹抜けの危険性を判断するものとなっている。
しかしながら、吹抜けにいたる原因や経緯は様々であり、そのような現象の違いによって、これまでに述べた指標や値の時間推移や値は異なる。第4技術例の方法では、「過剰発令」や「見逃し」を最小化するために、複数の指標やスコアを様々な条件で組合せ、現象の多様性に対応できるような工夫をしている。しかしながら、見逃しや過剰発令が一定割合発生するのは必然的である。例えば、「過剰発令」は、吹抜けアラームが発令しても(第4技術例の総合スコアS(吹抜け予測スコア)がある閾値を超えても)、実際には吹抜けが発生しないというものであり、例えば、休風立上げ時や送風流量変更時に発生しやすい。
また、「見逃し」は、出銑トラブルによる残銑量急上昇による突発的吹抜けなど、吹抜予測スコアが所定の閾値に達していないにもかかわらず、実際には吹抜けが発生するというものである。
これらの「過剰発令」や「見逃し」は、吹抜けアラームの閾値の設定によって発生したり発生しなかったりするものであり、一方を抑えたらもう一方が増えるというトレードオフ関係にある。例えば、「過剰発令」の発生を減らすために、アラーム発令条件(吹抜けアラームの閾値)を厳格化すると、「見逃し」の発生が増える。判定に関するパラメータをチューニングするなどして「過剰発令」や「見逃し」を抑えることもできるが根本的な改善とはならない。
そこで、第5技術例の操業状況評価システムでは、高炉が吹抜け状態に至るまでの推移情報をデータから抽出し、操業者、ありは操業管理者に提示できるようにすることにより、現象の差異の把握を容易にすることを狙っている。このような推移情報を明示的に表現できるようになれば、例えば、吹抜け予測アラームが発令されたとしても、それにいたった現象の違いを区別できるようになり、それに応じた処置対応が可能になる。例えば、吹抜け予測スコアが同じ1.0(発生リスク高い)であっても、その経緯情報を参照し、過去の同様の経緯をたどった事例を想起することで、過剰の可能性を判断したり、逆に、小さめのスコアであっても、過去の同様の経緯をたどった事例を想起すれば吹抜け発生リスクは無視できないといった判断をすることが可能になる。
すなわち、第5技術例の操業状況評価システムは、第4技術例のようにある時点で計算された指標値で吹抜けのリスクを評価するのではなく、吹抜けに至るまでの経緯(高炉の状況変化)を考慮することで、得られた指標値が一時的な定常操業の「ゆらぎ」に相当するものか、非定常的な吹抜け状態への移行傾向(トレンド)に相当するものかを区別することを意図している。
具体的には、第5技術例の操業状況評価システムは、高炉における通気性悪化など炉況の不安定化を検知し、吹抜け発生の危険性(リスク)を評価し、危険性が大きいと判断されれば操業者に、アラーム(注意警報)を発令するシステムとなっている。このアラーム発令の要否を判定するためには上述したスコアが用いられ、このスコアがあらかじめ設定した閾値を超えた場合にアラームが発令される。このアラームは、画面などの表示部において表示(通知)を行うものであり、第1技術例〜第4技術例の表示部と同様なものである。
上述した第5技術例の操業状況評価システムが第4技術例と異なるのは、上述した表示部でのアラームの通知が、スコアにかかる判断だけでなく、「状態遷移」にかかる判断も合わせて行われる点である。
つまり、この第5技術例の操業状況評価システムは、各時点で炉内の状態を複数のカテゴリに分類し、分類されたカテゴリの炉内の状態が継続される時間を記憶するようになっている。このようなカテゴリ化された炉内の状態の遷移が、上述した「状態遷移」である。
そして、アラーム発令の要否を判定するためのスコアが閾値を超えた時点で、その時点の直前における状態遷移を選び出し、選び出された状態遷移を予め記憶された条件(満足すべき条件)と照合する。照合の結果、条件に合致していればアラーム発令し、合致していなければ「必要でない(過剰なアラームである)」として発令しないという判定を行う。つまり、第5技術例の操業状況評価システムは、上述した記憶する手段に記憶された直前の「状態」及び継続時間とその推移、言い換えれば直前の「状態遷移(状態推移)」が、予め記憶された条件を満たしているかどうかで、アラームの発令を行う構成となっている。例えば、その閾値を吹抜け予測アラームの閾値より低く設定し、状態推移が所定条件を満足した場合にはアラームを発令するようにすることにより見逃しを低減できる。また、予測アラームの閾値を越えたとしても、状態推移が所定条件を満足しない場合はアラームを発令しないようにすることで過剰発令を低減できる。
また、上述した「カテゴリ」は状態推移にかかる状態を識別するためのものであり、本技術例では高炉の高さ方向に沿ったステーブ温度の分布形状と、圧力変動と、が用いられる。
例えば、高炉の高さ方向のステーブ温度分布を用いて炉内の状態をカテゴリに分類する際には、高炉の各高さ方向にあるステーブ温度について、周方向の平均と分散を計算する。そして、計算された平均値を「0」、分散を「1」として規格化する(正規化する)。次に、規格化された値に基づいて計算されるステーブ温度の周方向の平均温度(規格化された平均温度)、規格化された値に基づいて計算されるステーブ温度の最大ばらつき幅(最大値と最小値の差)に計算する。また、ステーブ温度の分布形状について1次関数で近似(直線近似)した場合の1次の項の係数、さらに2次関数で曲線近似した際の2次の項の係数を計算する。そして、これらの平均温度、温度幅、1次係数、2次係数を用いて、炉内の状態を「温度域」、「温度幅」、「形状」により分類する。つまり、「温度域」が高、平均、低のいずれであるか、「温度幅大」であるか否か、「形状」が下部温度突出、上部温度突出、中央部温度突出、上下温度突出(中央部温度陥没)であるかどうかなどに分類する。そして、各時点において、これらのカテゴリへの適合度(所属度)を0から1までの実数で計算する。
また、上述した圧力変動を用いて炉内の状態をカテゴリに分類する際には、たとえば、高炉の高さ方向に配置された各圧力計において、直近30分の炉体圧の圧力変動を平均0、分散1に規格化する。そして、規格化された炉体圧の30分に亘る変動値の最大値から、「変動大」のカテゴリへの適合度(所属度)を0から1までの実数で計算する。
そして、第5技術例の操業状況評価システムでは、上述した高さ方向のステーブ温度分布及び圧力変動から計算される適合度をもとに、「定常状態」「高温変動状態」など、複数カテゴリを組み合わせた上位カテゴリ(複合的なカテゴリ)と、それらの下位カテゴリへの適合度をもとに、上位カテゴリへの適合度も計算している。
以降では、まず第5技術例の操業状況評価システムにおいてアラーム発令の要否判断に用いられる「状態遷移」について、説明する。
まず、 高炉の高さ方向のステーブ温度分布の推移について説明する。高炉中部(ベリー部)から高炉上部に位置するB3〜A6までで計測されるステーブ温度に対し、各々の高さにおける、周方向の温度の平均値μ、標準偏差σ を計算し、計算された平均値及び分散値を式(5)で示される度数を用いて、平均0、分散(標準偏差)1の値に正規化する。
このように正規化されたステーブ温度を周方向に平均して、得られた周方向の平均温度を、正規化を行った値の目盛りを横軸として図26に示した。この図26の値(正規化された値)は、「0」が平均温度を、「n」が平均温度からn×σより高いもしくは低い温度であることを示している。 なお、図26の縦軸は、B3〜A6の各高さ位置を示している。このようにして各高さの規格化された周方向の平均温度を高さ毎にプロットすると、高炉の炉内の状態を折れ線として表現することができ、高炉の高さ方向の「ステーブ温度プロフィール」を表現することができる。
例えば、高炉の状態が定常状態の場合には、全ての高炉の高さでステーブ温度は平均温度近辺であることから、折れ線グラフは、横軸が「0」の値の上に縦一直線に伸びるような折れ線の形状となる。
また、この「ステーブ温度プロフィール」は、炉内の状態が非定常状態になると、時間とともに、この折れ線の形状も変化する。一般に、高炉の下部(図2においてステーブ高さがB3〜A1の領域)、高炉の中部(図2においてステーブ高さがA2〜A4の領域)、高炉の上部(図2においてステーブ高さがA5〜A6の領域)のいずれかが著しく高温側(図の右側)に突出する(偏っている)ような場合は、高炉の炉内は非定常状態にあると考えることができる。
このような炉内が非定常的な状態であることを示す折れ線の形状は、図26に示すようなものが代表的である。つまり、炉内が非定常的な状態になると、上述した定常状態(横軸の値が「0」の位置に、立て一直線で分布する形状)を基準として、高炉の下部、高炉の中部、高炉の上部、および高炉の上部と下部の双方が高温側に突出すると、折れ線の形状も変化する。つまり、高炉の内部が 高温化すると、「折れ線グラフ(ステーブ温度プロフィール)」は高温側、つまり図26の右側に遷移し、温度が高くなりすぎれば図の右側にレンジアウトする。なお、吹抜けが発生した過去の操業事例では、高炉の中部が突出するか、高炉の高さ方向のいずれかがレンジアウトしたような分布(右側に突出したような分布)になる場合が多い。
例えば、実際の高炉の操業において、ステーブ温度プロフィールを計測したものが、図27である。なお、図27中に存在するグラフは、1分間隔で現時点から過去8点まで遡ったステーブ温度の折れ線グラフを重ねて示したものである。
図27の左側を見ると、定常状態を示す左上のグラフを始点として、左下のグラフ→右上のグラフ→右下のグラフと状態遷移していることがわかる。そして、状態遷移に伴って、高炉の下部→中部→上部とステーブ温度が高温側に突出していく、つまり高温の部分が高炉の下側から上側に伝播し、最終的にアウトレンジして吹抜けに至るというパターン(シナリオ)があることがわかる。なお、現実の操業では、高炉の下部のステーブ温度が突出するような折れ線の状態に至ったものの、ほどなく定常状態に復旧するという事例も過去には多数見られている。
また、過去の操業データを見る限りでは、上部の温度が突出した時点で吹抜けアラームを発令した際には、実際に吹抜けが発生する頻度が高い。また、休風の後の立上げ時には、炉内が定常状態に落ち着く前の4時間〜8時間の時間に、炉内の温度が高温で変動する状態にいたる場合があり、この際には吹抜けのアラームが過剰に発令されやすい傾向がある。
上述した「状態遷移」における「状態」は、表2に示すような状態区分で定義される。この「状態区分」は、連続的な計測値を、どのような範囲(粒度)でグループ化(クラス化、クラスタリング)するかを表すものであり、「ステーブ温度の高さ方向の平均値」、「ステーブ温度幅」、「炉体圧変動」の場合に合わせてそれぞれ異なる内容(仕分け条件)で区分するものとなっている。
また、上述したステーブ温度の形状の状態区分は、以下の表3に示すようなものとなる。
なお、表3の左側に記載された「上部突出/下部突出」は、ステーブ温度プロフィールを1次関数で近似した場合に、近似直線が有する傾き(1次の係数)を示すものである。また、表3の右側に記載された「凸/凹」は、ステーブ温度プロフィールを2次関数で近似した場合に、近似曲線が有する2次の係数を示すものである。なお、2次関数で近似した場合の2次の係数は、符号が逆(マイナス)になるが、上述した適合度の評価は2次の係数の絶対値で行うとよい。
上述した適合度の算出方法は、高炉の高さ方向におけるステーブ温度の平均値に関するものであったが、ステーブ温度差(高炉の高さ方向におけるステーブ温度の温度差)や炉体圧変動(高炉の炉体圧の30分間に亘る時間平均値の変動)についても、同様な手順で適合度を算出することができる。
このようにして適合度が算出されたら、算出された適合度を用いて、以下の表4に示すような「上位状態」を定義する。
例えば、表4に定義される「上位状態」で、実際の操業データの状態を評価すると、表5のようになる。
例えば、上述した表5において、「データ区間」が0.9の時に、「圧力変動大」の値が99.6となる結果から、「圧力変動大」という状態の適合度が0.9以下である区間が全体の99.6%に及ぶことがわかる。
つまり、表5から、実際の操業データにおいては、「圧力変動大」「ステーブ温度変動幅小」などの状態への適合度が「データ区間」に示す値が判断できる。例えば、上述した「圧力変動大」が0.9以下の場合であれば、その頻度は99.6%となる。
すなわち、実際の操業においては、高炉の状態は大部分が定常状態であると判断され、「高温変動」や「下部突出」が顕著な区間は、全体の 0.5%程度に過ぎないということがわかる。
次に、「高温変動」あるいは「下部突出」区間を、非定常状態として抽出することを考える。具体的には、この非定常状態の抽出は、「通気性悪化や吹抜けの危険性を、ステーブ温度の高温化と変動増大を手がかりに判断できないか」、あるいは「残銑増加などといった高炉の下部で生じる要因で炉況が悪化する場合は、温度分布が下部突出型であることを手がかりに危険性を判断できないか」という考え方に基づいて、表6のような手順で行われる。
ただし、表6における定常状態のレベル、高温変動のレベルは、いずれも30分平均のものである。また、下部突出のレベルは5分平均を用いることとする。これは、閾値近辺での微妙な変動による状態細分化をできるだけ防ぐ意図である。
一般に、各時点において、複数の状態に「グレード」を持って属する。ある時点を「定常」と見るか、「高温変動」とみるかは、そのグレードに応じて「柔軟に」判断する必要がある。ここでは、データ整理の観点より、ある閾値をきめて、離散的な状態設定を行なう。上記処理は、そのような離散的状態判定に関わる措置である。
このような状態を用いることにより、例えば、
・ある吹抜け事例では、アラーム発令に先立って下部温度突出から高温変動または圧力変動への状態遷移がみられた。
・ある事例では、下部温度突出は顕著であったが、高温変動ないし圧力変動にいたらずに吹抜けが起こった事例である。
・ある事例では温度は変動状態にあったが、圧力変動が見られず、吹抜けアラームも発令されなかった。
・ある事例では高温変動状態となったが、吹抜けは生じなかった。
上述した実際の高炉操業データから、図28に示すような吹抜け予測のロジックがまとめられる。
すなわち、図28に示すように、「定常状態」と判定されると吹抜け予測のロジックは初期状態に戻るものとする。また、状態が「ELSE」の場合は、遷移を行わないものとする。さらに、「下部温度突出」、「高温変動」、「圧力変動」のいずれかへの遷移をアラーム発令の前提とする。そして、高温変動状態が一定時間以上継続するときは、吹抜けスコアの値に関わらず、吹抜けアラームを発令する。
上述した吹抜け予測のロジックを実際に適用することで、過剰発令の低減が確認された。
「作用効果」
以上のことから、上述した状態遷移を吹抜けアラームの発令条件に加えることで、吹抜けの「過剰発令」と「見逃し」を抑えて、不必要な減風による高炉の生産性低減を防止できる。
「第6技術例」
次に、第6技術例の操業状況評価システムを説明する。
上述した第1技術例の「吹抜け予測スコア」は、高炉の操業過程での各時点での算出値であり、常に変動する。当然、このように変動が大きい「吹抜け予測スコア」を用いて吹抜けの予測を行うと、吹抜けの誤判定も増加する可能性がある。つまり、得られた「吹抜け予測スコア」が一時的な変動によるものか、吹抜けに至る一連の流れ(トレンド)によるものかを区別することが、正確な吹抜けの予測には必要である。
例えば、このような吹抜け予測スコアの判定(値が一過性であるかどうかの判定)には、移動平均、過去トレンドに対する差分による変化検知などの方法が適用される。例えば、過去のデータを線形回帰し、回帰直線などから予測される吹抜け予測スコアの予測値と、実際に算出される吹抜け予測スコアの計測値との差分を算出し、算出された差分の大小をもって(予想以上に差分が大きいかどうかという観点でもって)、単なる一時的変動か変化かを判定するといった方法が適用される。
ただ、上述した移動平均を行う場合であっても、移動平均計算のための遡及時間は高炉の操業状況に対応して変動し、どこまで過去のデータを用いて変動時間(平均を計算する時間区間)を決定するか自身が変化する。
そこで、第6技術例の操業状況評価システムでは、指標値の挙動にあわせて、移動平均計算のための遡及時間を決定するようにしている。つまり、第6技術例の操業状況評価システムは、吹抜け予測スコアを判定する際の遡及時間を動的に決定する方法に関するものである。
具体的には、この第6技術例の操業状況評価システムは、遡及時間を変化させる時間範囲として遡及期間を決定し、この範囲内で遡及時間を変化させて遡及時間に亘る吹抜け予測スコアの移動平均値を求めた際に、求められた吹抜け予測スコアの平均値(移動平均値)が、吹抜け予測のアラームを発令させる閾値以上になるかを判断するものとなっている。そして、予め定めた遡及期間の吹抜け予測スコアがアラーム発令閾値を超えていれば、アラームの発令または継続を行い、閾値以下であれば、アラーム発令の見送りないしは解除を行う。
例えば、過去10分間や20分間、30分間などの遡及期間を決め、遡及時間をこの遡及期間の範囲内で拡大しながら吹抜け予測スコアの平均値を計算し、それがアラーム発令閾値を超えている場合、既にアラーム発令中ならばアラーム発令の継続(吹抜け予測スコアの現在値は閾値以下である可能性もある)をおこなう。また、まだアラームを発令していなければアラーム発令を行なう。
逆に、遡及期間内のどの遡及時間でも吹抜けスコア予測値が閾値以下ならば、既にアラーム発令中ならばアラーム発令の解除し、まだアラームを発令していなければアラーム未発令状態の継続する。
実際には、図29のフローチャートに従うように、既に吹抜けアラームを発令するフラグが立っているかどうかで、フローを分岐して異なる処理を行う。吹抜けアラームを発令するフラグが立っていない時には、言い換えれば吹抜けのアラームを新規に発令する際には、吹抜け予測スコアの瞬時値がアラーム発令のための閾値を超えた段階で、即座にアラームを発令する。
既に、吹抜けアラームを発令するフラグが立っている時には、吹抜け予測スコアがアラーム発令のための閾値以上であれば、即時値が閾値以下でもアラームの発令を継続し、より慎重な解除判断を行う。
なお、本実施形態の操業状況評価システムは、アラームの発令に関し、アラームが発令されていない状態から発令に至る場合は、遡及時間を0とする。すなわち、吹抜け予測スコアの瞬時値がアラーム発令のための閾値を超えた段階で、即座にアラームが発令される。
図30に示すように、アラームの発令を行っている際にも、遡及期間が経過するまでは1分間隔で移動平均を行っているため、吹抜け予測スコアが閾値を下回ってからも、移動平均した結果が閾値を下回るまでは、アラームの発令が解除されることはない。例えば、遡及時間を最大10分間とした場合、10分遅れでアラームの発令が解除される。一方、解除時は最大60分間の発令状維持となるが、実際は指標値の急峻な低下により20から30分の発令状態維持となっている。これにより、経過時間65分あたりの一時的な低下に対しアラーム発令の維持ができている。
「第7技術例」
次に、第7技術例の操業状況評価システムを説明する。
第7技術例の操業状況評価システムは、複数センサの時系列情報から、非定常状態への遷移パターン情報を抽出し、状態診断や危険予知に活用すると同時に、遷移パターンを指定して、そのパターンに従った時系列区間の検索・抽出を可能にするものである。
具体的には、第7技術例の操業状況評価システムは、下記(1)〜(3)の機能を備えている。
(1)状態遷移系列抽出機能
状態遷移系列抽出機能は、温度、圧力などのセンサ計測項目と時系列で取得される値に対し、「通常より高い」「通常より変動が大きい」など、予め定義された非定常状態(以下単に「状態」と呼ぶ)との適合度を計算する機能とその状態の成立可否を判定する閾値を記憶する機能と、各時点の計測値から、成立と判定される状態集合、すなわち成立状態集合の時系列情報を求め、記憶する機能と、各時点で、先行する時点における状態集合と今回時点の状態集合の差異、すなわち新たに成立した状態、非成立となった状態の集合を求め、差異がある場合、すなわち、新規成立ないし非成立となった状態集合が空集合でない時点を「状態変化点」として選択的に記憶する機能と、過去全時点に対し、状態変化点と変化後の状態集合のみを抽出した状態遷移系列を抽出する機能と、を備えている。
(2)単調増大系列抽出機能
単調増大系列抽出機能は、上記状態遷移系列において、状態集合が単調増加、すなわち後続状態集合は、直前の状態集合の全てを含みさらにそれに新規状態を追加した集合であるような部分系列を抽出するものである。
(3)状態遷移パターン抽出機能
状態遷移パターン抽出機能は、上述の単調増大系列に対し、状態遷移系列の関心事項情報として
・全状態遷移系列における抽出された系列の出現回数
・状態集合に含まれる状態数、
・特定状態の含有有無
・状態系列の開始時刻および終了時刻(最初および最後の状態変化時点)
と対応させて記憶し、上記項目に対する条件を設定した場合、それに合致する状態遷移系列を関心対象として選択し、その状態遷移発生期間を抽出する機能を備えている。
ここで「状態(非定常状態)」は、各計測項目における通常値範囲から逸脱、ないし異常状態が発生している状態に対応する。プロセスの安定の観点からは、このような状態が成立しない状況が好ましい。逆に、状態の成立は操業者に対するアラーム(注意、警戒報)の発令が望ましい場合もある。
本発明より、異常の伝播に関するシナリオとその頻度が抽出される。このようなシナリオの抽出は下記二点において有用である。
・異常の伝播ないし広がり方のパターンをもとに、原因や現象の分類や頻度が可能になる。一般に非定常状態は多種多様な要因、現象を含むことが多く(「通常以外すべて」が非定常状態)、このような分類は原因特定、対策立案に有用である。
・現在、何らかの非定常状態にある場合、経緯も含めた類似シナリオの検索が可能になり、過去事例にもとづいた将来予測や過去の対応事例を検索することが可能となり、技能継承上有用である。
例えば、特許第5048625号公報の「異常検知方法及びシステム」では、時系列情報の統計的性質の変化から異常事象の検知を行なう変化検知方法が示されている。ただし、多次元データは、時刻でそろえられており、高炉のように各データ項目間での影響や干渉程度の差異や時間遅れ程度などが状況に依存するプロセス問題には利用が難しい。(機械系、あまり時間遅れや外乱変動を考慮しなくてもよいようなプロセスには適用可能と考えられる)
また、特許第5199152号公報の「行動予測方法および行動予測システム」では、人間にGPSセンサのような位置、行動計測センサを装着し、その計測値から、通勤中、散歩中などの「シーン」を特定し、その遷移で行動モデルを構築する方法が示されている。本発明では、各データ項目に定義された個別の状態の組合せ、すなわち状態集合を一つの「プロセスの状態」と捉え、その変化を追っている。すなわち個別状態の組合せ方自身がプロセス状態の定義要素である。
それに対しこの「行動予測方法および行動予測システム」では、特定のセンサの値をもとに状態を定義しており、どのデータ項目が状態に寄与するか明確でないような場合には適用できない。
つまり、第7技術例の操業状況評価システムは、物理現象や状態定義が明確ないし意図的である場合に適用可能という効果を備えている。
次に、具体的な例を挙げて、第7技術例の操業状況評価システムを説明する。
現時点で計測される計測項目を{P1,P2,…}とする。これらは、たとえば、温度、圧力、温度分布形状を特徴づけるパラメータ値などである。センサの計測値を用いて計算される指標値であってもよいが、以下では「計測値」と記述する。
次に、各計測値に対し非定常状態を定義する。たとえば、P1の計測値の長期平均(たとえば直近1ヶ月の平均)をμ、標準偏差をσとして、計測値がμ+3σを超えた場合「P1の値上昇」という状態S1が成立するとする。あるいは、P2の計測値に対し、(直近30分の分散)を(直近120分の分散)で除した数値を計算し、この数値がある値Nを超えた場合「P2の変動」という状態S2が成立するとする。現時点の状態集合をS={S1,S2,...}とすれば、各時刻において状態の成否が計測値から決定される。成立している状態の集合をA1、A2、・・・であらわし、|A1|などはその要素数、すなわち成立している状態の数とする。
状態遷移系列の例として、(空集合、時刻t0)⇒(状態集合A1、時刻t1)⇒(状態集合A2、時刻t2)⇒(状態集合A3、時刻t3)⇒(状態集合A4、時刻t4)⇒(状態集合A5、時刻t5)⇒(状態集合A6、時刻t6)⇒(空集合、時刻t0)とする。
また、集合の要素数を|空集合|=0、|A1|=1、|A2|=3、|A3|=4、|A4|=3、|A5|=4、|A6|=1とする。
なお、状態集合に変化があった時刻のみ取り出している。たとえば、時刻t1以降t2までは、A1に含まれる状態成立が継続している。
ここで、状態数が減少しない部分列はA1⇒A2、A1⇒A2⇒A3、A2⇒A3、A4⇒A5となっている。
頻度計算では、これらの並び(長さ2が3個、3が1個)が全状態系列中何回現れるかを計算する。
ここでは状態継続時刻(例t2-t1など)は無視されているが、各状態の継続時間の最小値がαをこえるもののみを「有効系列」として用いるなど、時間条件を付加してもよい。
・操業オペレータが、状態系列(たとえば、「A1⇒*⇒A3」(なんらかの状態を経てA1からA3にいたる状態遷移系列パターン)を指定し、それにあたる時間区間を得る。たとえば、A1は「部位Xでの温度上昇」でA3が「装置Xの緊急停止」であるとすれば、そのような経緯を経た期間が抽出され、その期間での状況やアクションを調べることで、緊急停止という非定常状態にいたるリスク低減のための有用な情報が得られる。
あるいは、現在「部位Xでの温度上昇」が成立している場合、「装置Xの緊急停止」に至るリスクシナリオを検索し、それを防ぐ方法を検討することができる。
このような類似シナリオ検索は、技能継承、あるいは経験の共有化において有用である。
例えば、
・規模大 S4〜S6のステーブ温度が高温化
・融着帯挙動 ステーブ温度から融着帯根位置の上昇が推定される
・偏流大 周囲特定方向のステーブ温度が高温化(周辺流化している)
・送風圧大 送風圧が通常より高い
・炉頂大 炉頂ガス温度が通常より高い
・アラーム赤 吹抜け予測指標が0.8以上
と状態を定義した場合に、実事例から抽出された単調状態遷移系列を図31に図示する。吹抜けが発生した前後の状態を見ると、「炉頂大」は吹抜けの影響と考えられる。次第に状態が積み重なり(非定常化が顕著になり)吹抜けに至る様子がわかる。また、成立している状態の個数が非定常化の目やすとして有効であることもわかる。
また、状態遷移モデルが得られれば、状態遷移にもとづく時系列区間検索も可能になる。
たとえば、検索条件:{規模大}→*→{送風圧大、*}({規模大}という単一状態から、「規模大」を含む途中状態を経て、送風圧大が状態に加わるまでの時系列区間)という条件を与えると、図31より二つの区間が得られる。ただしこの場合、単調増加系列のみならず「規模大」、さらに「送風圧大」が加わるまでの一連の時系列を抽出している。
ここでは、周辺流化という過程を経ている。そこで、{規模大、*}→{偏流大、*}→{送風圧大、*}と抽出条件を設定すれば同様に異なる二つの区間が得られる。
このように、状態遷移系列上のパターン(系列が満足すべき条件)を「シナリオ」と呼ぶことにすれば、シナリオを指定して事例を抽出することができる。以上、一連のシステム構成を図32に示す。
以上述べたように、第1技術例〜第7技術例を用いることで、高炉の操業を行うに際して、吹抜けが発生する危険性だけでなく、吹抜けが発生した際の規模予測を行い、その予測結果をオペレータに対して表示することで、より確実な吹抜けの予防が可能となり、安定した高炉操業を行うことが可能となる。
以上、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、オペレータMに各種情報を提示する表示器として、視覚に訴える予測モニタ11を例示したが、オペレータMに対し音声で情報を伝える機器を表示器として採用してもよい。
1 高炉
2 鉄皮
3 耐火物
4 羽口
5 レースウェイ
10 予測システム
11 予測モニタ(表示器)
12 コンピュータ
13 予測部
M オペレータ
S 銑鉄

Claims (5)

  1. 高炉に装着されたセンサで周期的に計測される値および計測された当該値から計算される値を時系列データとして記憶するデータ格納部と、
    前記データ格納部に記憶された値を用いて吹抜けに関する予測を行う予測部と、
    前記データ格納部に記憶された値と、前記予測部で予測された予測結果とをオペレータが確認できるよう表示する表示部と、
    を有し、
    前記予測部は、
    前記高炉から時系列データを取得するデータ取得部と、
    前記時系列データの中に存在する、高炉の周囲および高さ方向における圧力の変動と、炉壁温度とを用いて通気状態を表す指標値を求め、炉体圧、送風圧、炉頂ガス温度、及びステーブ温度を用いて炉況の悪さを示すスコアを求め、前記指標値と前記スコアを用いて吹抜けの危険度を計算する解析部と、
    を有し、
    前記解析部は、前記時系列データの中のステーブ温度を用いて吹抜けが発生した場合の熱損失度合いを表す規模指標値を有し、
    前記高炉の上部の温度と、前記高炉の上部における高さ方向の温度分布とが、それぞれ異常値となったときに、前記規模指標値が大きくなる構成とされている
    ことを特徴とする操業状況評価システム。
  2. 前記表示部は、
    前記吹抜けの危険度があらかじめ定められている閾値を超えた時点で警報発令を表す表示を行う手段を備えており、
    過去期間にさかのぼって計算された吹抜けの危険度を示す指標から計算される平均値があらかじめ定められた値を上回っている間は、前記吹抜けの危険度を示す警報表示を継続し、
    前記警報が発令し、かつ炉体圧が閾値を超えた時に減風を指示する
    ことを特徴とする請求項1に記載の操業状況評価システム。
  3. 前記予測部は、
    前記炉体圧の変動と、前記ステーブ温度の周方向の偏りと、前記ステーブ温度の高さ方向の温度分布変化とのそれぞれについて、通常値から乖離すると大きな値となる指標を定めて、これら3つの指標の最小値を通気状態の悪さを表す指標値とする構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の操業状況評価システム。
  4. 前記予測部は、
    前記高炉上部に熱がたまっていること、前記高炉内の融着帯の根の位置が通常の位置より上がっていること、高炉の特定高さのセンサで通常よりも高い温度が確認されること、送風圧が通常より大きくなっていること、炉頂温度が通常より高くなっていること、のそれぞれを、吹抜けの前兆状態として定義し、これら5つの前兆状態の成立有無をスコアとして計算する構成とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の操業状況評価システム。
  5. 前記指標値、前記スコア、及び前記規模指標値を組み合わせた指標を、吹抜けリスク指標として計算することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の操業状況評価システム。
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