以下、本発明の注射針組立体及び薬剤注射装置の実施形態例について、図1〜図6を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態例
1−1.注射針組立体及び薬剤注射装置の構成例
1−2.薬剤注射装置の使用方法
2.第2の実施の形態例
<1.第1の実施の形態例>
1−1.注射針組立体及び薬剤注射装置の構成例
まず、図1〜図2を参照して本発明の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる注射針組立体及び薬剤注射装置について説明する。
図1は本例の薬剤注射装置を示す斜視図、図2は本例の注射針組立体を示す断面図である。
薬剤注射装置1は、針先を皮膚の表面に穿刺し、皮膚上層部に薬剤を注入する場合に用いる。図1に示すように、薬剤注射装置1は、注射針組立体2と、この注射針組立体2に着脱可能に装着されるシリンジ3と、押し子部材4と、シリンジ3を保持するシリンジホルダ5と、を有している。
[シリンジ]
シリンジ3は、予め薬剤が充填されているプレフィルドシリンジである。このシリンジ3は、シリンジ本体11と、シリンジ本体11の軸方向の一端部に形成された排出部と、排出部に設けられたロック機構12と、ガスケット13とを有している。
シリンジ本体11は、中空の略円筒状に形成されている。また、シリンジ本体11の筒孔内には、ガスケット13が摺動可能に配置されている。ガスケット13は、略円柱状に形成されており、シリンジ本体11の筒孔の内周面に液密に密着している。そして、ガスケット13は、シリンジ本体11の内部空間を2つに仕切っている。シリンジ本体11内におけるガスケット13よりも排出部側の空間は、薬剤が充填される液室14となる。一方、シリンジ本体11内におけるガスケット13よりも他端側の空間には、後述する押し子部材4のプランジャ本体16が挿入される。
ガスケット13の材質は、特に限定されないが、シリンジ本体11との液密性を良好にするために弾性材料で構成することが好ましい。この弾性材料としては、例えば、天然ゴム、イソブチレンゴム、シリコーンゴムなどの各種ゴム材料や、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等を挙げることができる。
シリンジ本体11の外径及び内径は、薬剤注射装置1を使用する用途や、液室14に収容する薬剤の容量に応じて適宜設定されるものである。例えば、汎用の高速充填機を用いて収容する薬剤の容量を0.5mLにする場合は、シリンジ本体11の内径を4.4〜5.0mmに設定し、シリンジ本体11の外径を6.5〜8.4mmに設定することが好ましい。また、容量を1mLにする場合は、シリンジ本体11の内径を6.1〜9.0mmに設定し、シリンジ本体11の外径を7.9〜12.5mmに設定することが好ましい。
薬剤としては、例えば、インフルエンザ等の各種の感染症を予防する各種のワクチンが挙げられるが、ワクチンに限定されるものではない。なお、ワクチン以外の薬剤としては、例えば、ブドウ糖等の糖質注射液、塩化ナトリウムや乳酸カリウム等の電解質補正用注射液、ビタミン剤、抗生物質注射液、造影剤、ステロイド剤、蛋白質分解酵素阻害剤、脂肪乳剤、抗癌剤、麻酔薬、ヘパリンカルシウム、抗体医薬等が挙げられる。
シリンジ本体11の軸方向の他端部には、フランジ部15が形成されている。フランジ部15は、後述するシリンジホルダ5に設けた係止部5aに係止される。また、シリンジ本体11の軸方向の一端部には、図に表れない排出部が連続して形成されている。
排出部は、シリンジ本体11と同軸の略円筒状に形成されている。また、排出部の筒孔は、シリンジ本体11の筒孔に連通している。排出部は、軸方向の一端部に向かうにつれて径が連続的に小さくなるテーパ状に形成されている。シリンジ3に注射針組立体2を取り付けた際に、排出部の先端部は、後述する注射針組立体2の弾性部材25の端面に液密に当接する。
排出部には、ロック機構12が設けられている。ロック機構12は、固定機構の一例を示すルアーロック部である。ロック機構12は、排出部を同軸で取り囲む筒状に形成されている。また、ロック機構12は、その内周が円形であり、外周は六角形状に形成されている。このロック機構12の内周面には、雌ねじ部が形成されている。雌ねじ部は、注射針組立体2に設けられた雄ねじ部52bと螺合可能に形成されている。
シリンジ本体11の材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられる。その中でも、成形が容易であるという点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)のような樹脂を用いることが好ましい。なお、シリンジ本体11の材質は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であることが好ましい。
なお、本例では、シリンジ3として予め薬剤が充填されたプレフィルドシリンジを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、薬剤を予めシリンジ本体内に充填しないシリンジを適用してもよい。
[シリンジホルダ]
次に、シリンジホルダ5について説明する。
シリンジホルダ5は、略円筒状に形成されている。シリンジホルダ5は、シリンジ3におけるシリンジ本体11の外周面及びロック機構12の外周面を覆う。そして、シリンジホルダ5は、シリンジ3に注射針組立体2を取り付ける際に、使用者によって把持可能に構成されている。
シリンジホルダ5における軸方向の一端部には、視認窓18が形成されている。視認窓18は、シリンジホルダ5にシリンジ3を装着した際に、シリンジ3の液室14がシリンジホルダ5の外側から視認可能な位置に設けられている。これにより、シリンジ3にシリンジホルダ5を装着しても、内部の視認性を確保することができる。
また、シリンジホルダ5の軸方向の他端には、ホルダ鍔部19が形成されている。ホルダ鍔部19は、シリンジホルダ5の外周面の一部から略垂直に突出している。ホルダ鍔部19を設けたことにより、使用者がシリンジホルダ5を把持し、薬剤を投与する際に、シリンジホルダ5を把持する指が軸方向の他端部に向けて滑ることを防止することができる。また、薬剤注射装置1を机や台等に載置した際に、薬剤注射装置1が転がることを防ぐことができる。
さらに、シリンジホルダ5における軸方向の中途部には、係止部5aが設けられている。係止部5aは、シリンジホルダ5の外壁を貫通する開口部である。この係止部5aには、シリンジ3のフランジ部15が係止される。
シリンジホルダ5をシリンジ3に装着することで、薬剤注射装置1の径を太くでき、薬剤注射装置1を把持し易くなる。これにより、押し子部材4を操作する際の操作性が向上する。
[押し子部材]
押し子部材4は、プランジャ本体16と、プランジャ本体16を操作する操作部17と、後述する注射針組立体2の保持維持部42を押圧する押圧部材20を有している。プランジャ本体16は、棒状に形成されている。プランジャ本体16は、シリンジ本体11の軸方向の他端部に形成された開口部からシリンジ本体11の筒孔内に挿入される。そして、プランジャ本体16の軸方向の一端部は、ガスケット13に当接する。
操作部17は、プランジャ本体16の軸方向の他端部に形成されている。操作部17は、略円盤状に形成されている。薬剤注射装置1を使用する際に、操作部17は、使用者によって押圧される。これにより、プランジャ本体16の軸方向の一端部がガスケット13に当接し、ガスケット13を排出部に向けて摺動させる。
押圧部材20は、棒状に形成されている。押圧部材20は、図に表れない接続部を介してプランジャ本体16の軸方向の他端部に接続されている。押圧部材20は、その軸方向がプランジャ本体16の軸方向と略平行に延在する。なお、接続の方法としては、プランジャ本体16にはそれに一体成形された突起やフランジ状のものを設け、それに押圧部材20の接続部を接続する方法や、プランジャ本体16を挿通する孔を有し、かかる突起やフランジ状のものによる操作部17方向への移動が規制される円盤状のものに押圧部材20の接続部を接続する方法などがあげられる。
押圧部材20は、シリンジホルダ5におけるシリンジホルダ5の筒孔と、シリンジ3のシリンジ本体11との間に形成された隙間に配置される。そして、押圧部材20の軸方向の一端部は、シリンジホルダ5の軸方向の一端から突出し、後述する注射針組立体2に設けた保持維持部42と対向する。使用者によって操作部17が押圧されると、押圧部材20は、プランジャ本体16と共に軸方向に沿って移動する。
また、押し子部材4の材質としては、シリンジ本体11の材質として挙げた各種樹脂を適用することができる。
[注射針組立体]
次に、注射針組立体2について説明する。
図1及び図2に示すように、注射針組立体2は、中空の針管21と、針管21を保持する針ハブ22とを備えている。
[針管]
図2に示すように、針管21は、ISOの医療用針管の基準(ISO9626:1991/Amd.1:2001(E))で26〜33ゲージのサイズ(外径0.2〜0.45mm)のものを使用し、好ましくは30〜33ゲージのものを使用する。なお、33ゲージより細い針を使用してもよい。
針管21の一端には、刃面を有する針先21aが設けられている。以下、針先21aとは反対側である針管21の他端を「基端」という。刃面における針管21の軸方向の長さ(以下、「ベベル長」という)は、後述する皮膚上層部の最薄の厚さである1.4mm(成人)以下であればよく、且つ、33ゲージの針管に短ベベルを形成したときのベベル長である約0.5mm以上であればよい。つまり、ベベル長は、0.5〜1.4mmの範囲に設定されるのが好ましい。
さらに、ベベル長は、皮膚上層部の最薄の厚さが0.9mm(小児)以下、すなわち、ベベル長が0.5〜0.9mmの範囲であればなおよい。なお、短ベベルとは、注射用針に一般的に用いられる、針の長手方向に対して18〜25°をなす刃面を指す。
針管21の材料としては、例えば、ステンレス鋼を挙げることができるが、これに限定されるものではなく、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金その他の金属を用いることができる。また、針管21は、ストレート針だけでなく、少なくとも一部がテーパ状となっているテーパ針を用いることができる。テーパ針としては、針先端部に比べて基端部が大きい径を有しており、その中間部分をテーパ構造とすればよい。また、針管21の断面形状は、円形だけでなく、三角形等の多角形であってもよい。
[針ハブ]
針ハブ22は、針管21を保持する第1部材23と、シリンジ3の排出部が嵌入される第2部材24と、弾性部材25と、プロテクタ26と、付勢部材27と、保持部材41と、保持維持部42とを備えている。第1部材23と第2部材24は、別部材として形成されている。これら第1部材23及び第2部材24の材質としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂を挙げることができる。
第1部材23は、ベース部31と、調整部32と、安定部33と、ガイド部34と、支持部37とを備えて構成されている。ベース部31は、略円柱状に形成されている。ベース部31には、収容凹部36が形成されている。収容凹部36は、ベース部31の軸方向の一端から他端に向けて略円柱状に凹んで形成されている。そして、ベース部31における軸方向の一端は、全面が開口している。収容凹部36には、支持部37が設けられている。
支持部37は、収容凹部36の底面36aの中央部に設けられており、収容凹部36の底面36aからベース部31の軸方向の一側に向けて突出している。支持部37は、略円柱状に形成されている。
また、支持部37の軸方向の一端面には、調整部32が連続して設けられている、調整部32は、支持部37の軸方向に突出する円柱状の凸部からなっている。この調整部32の軸心は、ベース部31及び支持部37の軸心に一致している。
さらに、ベース部31の側壁には、互いに対向する2つの第1開口部38、38が形成されている。2つの第1開口部38、38は、ベース部31の側壁を、収容凹部36まで貫通している。この2つの第1開口部38、38には、後述する保持維持部42がベース部31の軸方向に沿って摺動可能に挿入される。
ベース部31、支持部37及び調整部32の軸心には、針管21が貫通する貫通孔39が設けられている。ベース部31には、貫通孔39に接着材を注入するための注入用孔44が設けられている。この注入用孔44は、ベース部31における収容凹部36よりも軸方向の他側の外周面に開口されており、貫通孔39に連通している。すなわち、注入用孔44から貫通孔39へ注入された接着材により、針管21がベース部31及び支持部に固着される。
針管21の基端側は、ベース部31の軸方向の他側の端面31aから突出する。ベース部31は、端面31aから第2部材24内に挿入され、針管21の基端側が弾性部材25の挿通孔に挿通される。そして、ベース部31の端面31aは、弾性部材25の端面と対向する。
また、ベース部31の外周面には、接続片35が設けられている。接続片35は、ベース部31の軸方向の一端側において、ベース部31の半径方向の外側に向けて突出するリング状のフランジ部として形成されている。接続片35は、ベース部31の軸方向に対向する平面35a、35bを有している。接続片35の平面35bには、第2部材24が接続される。また、接続片35の先端部は、ガイド部34となっている。このガイド部34については、後で詳しく説明する。
調整部32の端面は、針管21の針先21a側が突出する針突出面32aになっている。針突出面32aは、針管21の軸方向に直交する平面として形成されている。この針突出面32aは、針管21を皮膚上層部に穿刺するときに、皮膚の表面に接触して針管21を穿刺する深さを規定する。つまり、針管21が皮膚上層部に穿刺される深さは、針突出面32aから突出する針管21の長さ(以下、「突出長L」という。)によって決定される(図3参照)。
皮膚上層部の厚みは、皮膚の表面から真皮層までの深さに相当し、概ね、0.5〜3.0mmの範囲内にある。そのため、針管21の突出長Lは、0.5〜3.0mmの範囲に設定することができる。
ところで、インフルエンザワクチンの投与部位は、一般的に三角筋である。そこで、小児19人と大人31人について、三角筋の皮膚上層部の厚みを測定した。この測定は、超音波測定装置(NP60R−UBM 小動物用高解像度用エコー、ネッパジーン(株))を用いて、超音波反射率の高い皮膚上層部を造影することで行った。なお、測定値が対数正規分布となっていたため、幾何平均によってMEAN±2SDの範囲を求めた。
その結果、小児の三角筋における皮膚上層部の厚みは、0.9〜1.6mmであった。また、成人の三角筋における皮膚上層部の厚みは、遠位部で1.4〜2.6mm、中央部で1.4〜2.5mm、近位部で1.5〜2.5mmであった。以上のことから、三角筋における皮膚上層部の厚みは、小児の場合で0.9mm以上、成人の場合で1.4mm以上であることが確認された。したがって、三角筋の皮膚上層部における注射において、針管21の突出長Lは、0.9〜1.4mmの範囲に設定することが好ましい。
突出長Lをこのように設定することで、針先21aの刃面を皮膚上層部に位置させることが可能となる。その結果、刃面に開口する針孔(薬剤排出口)は、刃面内のいかなる位置にあっても、皮膚上層部に位置する。なお、薬剤排出口が皮膚上層部に位置しても、針先21aが皮膚上層部よりも深く刺されば、針先21a端部の側面と切開された皮膚との間から薬剤が皮下組織に流れてしまうため、刃面が確実に皮膚上層部にあることが重要である。
なお、皮膚上層部への投与に用いる場合、26ゲージよりも太い針管では、ベベル長を1.0mm以下にすることは難しい。したがって、針管21の突出長Lを好ましい範囲(0.9〜1.4mm)に設定するには、26ゲージよりも細い針管を使用することが好ましい。
調整部32の針突出面32aは、周縁から針管21の外周面までの距離Sが1.4mm以下となるように形成し、好ましくは0.3〜1.4mmの範囲で形成する。この針突出面32aの周縁から針管21の周面までの距離Sは、皮膚上層部へ薬剤を投与することで形成される水疱に圧力が加わることを考慮して設定している。つまり、針突出面32aは、皮膚上層部に形成される水疱よりも十分に小さく、水疱の形成を妨げない大きさに設定している。その結果、針突出面32aが針管21の周囲の皮膚を押圧しても、投与された薬剤が漏れることを防止することができる。
安定部33は、接続片35の平面35aから突出する筒状に形成されている。安定部33の筒孔には、針管21、調整部32及び後述するプロテクタ26が配置されている。つまり、安定部33は、針管21が貫通する調整部32及びプロテクタ26の周囲を覆う筒状に形成されており、針管21の針先21aから半径方向に離間して設けられている。
安定部33の端面33aは、調整部32の針突出面32aよりも針管21の基端側に位置している。針管21の針先21aを生体に穿刺すると、まず、針突出面32aが皮膚の表面に接触し、その後、安定部33の端面33aが皮膚の表面に接触する。このとき、安定部33の端面33aが皮膚に接触することで薬剤注射装置1が安定し、針管21を皮膚に対して略垂直な姿勢に保つことができる。
なお、安定部33の端面33aは、針突出面32aと同一平面上に位置させたり、また、針突出面32aよりも針管21の針先21a側に位置させたりしても、針管21を皮膚に対して略垂直な姿勢に保つことができる。安定部33を皮膚に押し付けた際の皮膚の盛り上がりを考慮すると、安定部33の端面33aと針突出面32aにおける軸方向の距離は、1.3mm以下に設定することが好ましい。
また、安定部33の内径dは、皮膚に形成される水疱の直径と同等であるか、それよりも大きい値に設定されている。具体的には、安定部33の内壁面から針突出面32aの周縁までの距離Tが4mm〜15mmの範囲となるように設定されている。これにより、安定部33の内壁面から水疱に圧力が加わることが無く、水疱形成が阻害されることを防止することができる。
安定部33の内壁面から針突出面32aまでの距離Tは、4mm以上であれば、特に上限はない。しかしながら、距離Tを大きくすると、安定部33の外径が大きくなるため、小児のように細い腕に針管21を穿刺する場合に、安定部33の端面33a全体を皮膚に接触させることが難しくなる。そのため、距離Tは、小児の腕の細さを考慮して15mmを最大と規定することが好ましい。
針突出面32aから針管21の外周面までの距離Sが0.3mm以上であれば、調整部32が皮膚に進入することはない。したがって、安定部33の内壁面から針突出面32aの周縁までの距離T(4mm以上)及び、針突出面32aの直径(約0.3mm)を考慮すると、安定部33の内径dは9mm以上に設定することができる。
なお、安定部33の形状は、円筒状に限定されるものではなく、例えば、中心に筒孔を有する四角柱や六角柱等の角筒状に形成してもよい。
ガイド部34は、接続片35における安定部33よりも第1部材23の半径方向の外側に位置する先端側の部分である。ガイド部34は、皮膚と接触する接触面34aを有している。接触面34aは、接続片35における平面35aの一部であり、安定部33の端面33aと略平行をなす平面である。このガイド部34の接触面34aが皮膚に接触するまで安定部33を押し付けることにより、安定部33及び針管21が皮膚を押圧する力を常に所定値以上に確保することができる。これにより、針管21の針突出面32aから突出している部分(突出長Lに相当)が確実に皮膚内に穿刺される。
ガイド部34の接触面34aから安定部33の端面33aまでの距離(以下、「ガイド部高さ」という。)Yは、針管21及び安定部33が適正な押圧力で皮膚を押圧し穿刺することができるようにその長さが設定されている。なお、針管21及び安定部33の適正な押圧力は、例えば、3〜20Nである。これにより、針管21及び安定部33による皮膚への押圧力をガイド部34が案内し、針管21の針先21aを皮膚上層部に確実に位置させることができると共に、使用者に安心感を与えることができる。
ガイド部高さYは、安定部33の内径dと、ガイド部34の先端面から安定部33の外周面までの長さ(以下、「ガイド部長さ」という。)Xに基づいて適宜決定される。例えば、安定部33の内径dが12mmであり、ガイド部長さXが3.0mmのとき、ガイド部高さYは、2.3〜6.6mmの範囲に設定される。
次に、プロテクタ26について説明する。図1及び図2に示すように、針管21を皮膚に穿刺する前の状態では、プロテクタ26は、針管21が貫通する調整部32の周囲を覆っている。また、プロテクタ26の軸方向の一端の先端面26aから針管21の針先21a側が突出し、針管21の針先21aが露出している。このときのプロテクタ26の位置を第1の位置とする。
また、プロテクタ26は、円筒状に形成されている。プロテクタ26は、支持部37及び抜け止め部材43に、これらの軸方向(針管21の軸方向)に移動可能に支持されている。そして、プロテクタ26における軸方向の他側の一部は、収容凹部36と支持部37の間に形成された空間40に挿入されている。針管21を皮膚に穿刺した後の状態では、プロテクタ26は、調整部32及び針管21の針先21aの周囲を覆う(図3参照)。このときのプロテクタ26の位置を第2の位置とする。
プロテクタ26における針管21の針先21aと反対側、すなわち軸方向の他端部には、当接片29が設けられている。当接片29は、プロテクタ26の外周面から半径方向の外側に向けて突出するリング状のフランジ部として形成されている。また、当接片29の半径方向の外側の外縁には、傾斜面29aが設けられている。傾斜面29aは、当接片29の外縁における針管21の針先21a側の角部に設けられている。傾斜面29aは、軸方向の他側から一側に向かうにつれて径が連続的に小さくなるテーパ状に形成されている。
また、プロテクタ26における軸方向の他側には、保持部材41が配置されている。
プロテクタ26の形状は、円筒状に限定されるものではなく、例えば、中心に筒孔を有する四角柱や六角柱等の角筒状に形成してもよい。さらに、当接片29をリング状のフランジ部として形成した例を説明したが、これに限定されるものではなく、たとえはプロテクタ26の外周面から半径方向の外側に向けて突出する複数の突起として形成してもよい。
付勢部材27は、収容凹部36内に形成された空間40に配置され、プロテクタ26の軸方向の他端面と収容凹部36の底面36aの間に介在されている。そして、付勢部材27は、支持部37の外周面の周囲を覆うように配置されている。この付勢部材27は、圧縮コイルばねであり、プロテクタ26を第1の位置から第2の位置、すなわち針管21の針先21a側に向けて付勢している。
付勢部材27の付勢力は、針管21を皮膚に穿刺する際の適正な押圧力よりも小さく設定されており、例えば、3N以下に設定されている。これにより、針管21を皮膚に穿刺する際に、付勢部材27の付勢力が針管21の針先21aを皮膚上層部に位置させることを阻害する原因とならないため、確実に、針管21の針先21aを皮膚上層部に位置させることができる。
なお、本例では、付勢部材27として圧縮コイルばねを適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。付勢部材としては、所定の押圧力が加わると弾性変形する弾性部材であればよく、例えば、板ばね等のその他各種のばね部材や、スポンジ、ゲル、ゴム部材を適用することができる。
次に、保持部材41について説明する。保持部材41は、略円筒状に形成された円筒部45と、複数の保持部46とを有している。保持部材41は、収容凹部36内に配置されている。そして、円筒部45は、収容凹部36の底面36aに固定されている。そして、保持部材41は、支持部37の軸方向の他側の周囲を覆うように配置される。円筒部45の軸方向の一側には、複数の保持部46が連続して形成されている。
複数の保持部46は、円筒部45の軸方向の一端面に、その周方向に沿って所定の間隔を開けて設けられている。複数の保持部46は、円筒部45の軸方向の一端面から、略平板状に突出している。また、複数の保持部46は、舌片状に形成されており、弾性が付与されている。
保持部46の先端部は、円筒部45側の基端部よりも半径方向の内側、すなわち支持部37に接近するように、針管21の軸方向に対して傾斜している。複数の保持部46の先端部における半径方向の内側の面には、係止片46aが設けられている。係止片46aは、保持部46の内側の面から半径方向の内側に略垂直に突出している。
図2に示す状態では、複数の保持部46は、プロテクタ26の当接片29に係止される。そして、保持部46は、付勢部材27の付勢力に抗してプロテクタ26を第1の位置で着脱可能に保持している。
また、複数の保持部46が弾性変形せずに自然状態のときの複数の保持部46で形成される空間の径(以下、「保持径」という)は、プロテクタ26の当接片29の外径よりも若干大きく設定されている。そして、この保持部材41には、保持維持部42が着脱可能に取り付けられている。
保持維持部42は、略平板状に形成されている。保持維持部42には、規制孔47が形成されている。規制孔47は、保持維持部42の略中央部に形成されている。規制孔47の開口径は、プロテクタ26の当接片29の外径よりも大きく設定されている。
規制孔47には、プロテクタ26の筒部及び支持部37が挿入されている。さらに、図2に示す状態では、規制孔47には、複数の保持部46の先端部が挿脱可能に挿入される。そして、規制孔47は、複数の保持部46を半径方向の内側に付勢している。そのため、複数の保持部46は、円筒部45側の基端部を支点にして回動するように弾性変形する。その結果、複数の保持部46の保持径は、規制孔47によって縮径される。
また、保持維持部42における規制孔47を間に挟んだ両端部は、ベース部31に設けた第1開口部38及び後述する第2部材に設けた第2開口部55に挿入されている。そして、保持維持部42は、ベース部31及び第2部材で針管21の軸方向に沿って移動可能に支持される。このとき、保持維持部42における規制孔47が設けられた面は、針管21の軸方向と交差する。
上述した保持部材41及び保持維持部42により、保持及び解除機構が構成される。
また、第1部材23は、抜け止め部材43を有している。抜け止め部材43は、略円盤状に形成されている。抜け止め部材43は、収容凹部36における軸方向の一側の開口を塞ぐようにしてベース部31に固定されている。抜け止め部材43の中央部には、支持孔43aが開口している。支持孔43aには、調整部32、支持部37及びプロテクタ26が挿通している。そして、抜け止め部材43は、プロテクタ26を支持部37の軸方向に沿って移動可能に支持している。
また、針管21を皮膚に穿刺する前の状態において、抜け止め部材43における軸方向の他端面には、プロテクタ26の当接片29が当接する。これにより、付勢部材27によって付勢されたプロテクタ26が第1部材23から抜け落ちることを防ぐことができる。
[第2部材]
次に、第2部材24について説明する。第2部材24は、筒状に形成されている。この第2部材24の軸方向の一端部は、第1部材23のベース部31を挿入する挿入部51になっており、他端部は、シリンジ3の排出部が嵌入する嵌入部52になっている。挿入部51の筒孔51aは、第1部材23のベース部31に対応した大きさに設定されている。
挿入部51における第2部材24の軸方向の一端部の外周面には、固定片54が設けられている。固定片54は、挿入部51の先端に連続して半径方向の外側に向けて突出するリング状のフランジとして形成されている。固定片54には、第1部材23に設けた接続片35の平面35bが当接し、固着される。固定片54と接続片35の固着方法としては、例えば、接着剤、超音波溶着、レーザ溶着、固定ねじ等を挙げることができる。
挿入部51の側壁には、互いに対向する第2開口部55、55が形成されている。第2開口部55は、挿入部51にベース部31を挿入した際に、ベース部31に形成した第1開口部38を臨む位置に形成されている。第2開口部55は、挿入部51の側壁を筒孔51aまで貫通している。この第2開口部55には、保持維持部42が挿入部51の軸方向に沿って移動可能に挿入されている。
嵌入部52の外径は、挿入部51の外径よりも小さく設定されている。さらに、嵌入部52の筒孔52aは、シリンジ3の排出部に対応した大きさに設定されており、挿入部51側に向かうにつれて連続的に径が小さくなっている。また、嵌入部52の外周面には、シリンジ3のロック機構12と螺合させるための雄ねじ部52bが設けられている(図1参照)。また、挿入部51の筒孔51aと嵌入部52の筒孔52aの間には、弾性部材25が配置されている。
[弾性部材]
次に、弾性部材25について説明する、弾性部材25は、弾性変形可能な部材からなっている。この弾性部材25の材質としては、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、イソブチレンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、或いはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
弾性部材25は、第2部材24内に配置され、第1部材23とシリンジ3の間に介在される。そして、第1部材23から突出した針管21の基端側の外周面と第2部材24の間に生じる間隙を埋める。そして、シリンジ3の排出部を第2部材24に嵌入した際に、弾性部材25は、弾性変形することで、針管21の外周面に液密に密着する。これにより、シリンジ3内に充填された薬剤が針管21と弾性部材25との間に浸透して、第1部材23側へ漏れ出ることを防止することができる。
1−2.薬剤注射装置の使用方法
次に、図1〜図3を参照して上述した構成を有する薬剤注射装置1の使用方法について説明する。
図2は、穿刺中の薬剤注射装置1の要部を示す断面図、図3は、穿刺後の薬剤注射装置1の要部を示す断面図である。
まず、図1及び図2に示すように、予め注射針組立体2にシリンジ3を装着する。具体的にはシリンジ3の排出部を第2部材24の嵌入部52に挿入し、ロック機構12を雄ねじ部52bに螺合させる。これにより、シリンジ3に対する注射針組立体2の装着が完了する。
このとき、保持維持部42は、第1開口部38及び第2開口部55における針管21の軸方向の基端側に配置されている。保持維持部42の規制孔47には、複数の保持部46が挿入されている。そして、複数の保持部46は、規制孔47によって付勢され、保持径が縮径している。
また、プロテクタ26の当接片29は、複数の保持部46の係止片46aに係止されている。そして、プロテクタ26は、針管21の針先21aを露出させる第1の位置において保持部材41に保持されている。さらに、付勢部材27は、プロテクタ26の軸方向の他端部と収容凹部36の底面36aの間で弾性変形して圧縮されている。
次に、安定部33の端面33aを皮膚に対向させる。これにより、針管21の針先21aが穿刺する皮膚に対向される。次に、薬剤注射装置1を皮膚に対して略垂直に移動させ、針先21aを皮膚に穿刺すると共に安定部33の端面33aを皮膚に押し付ける。このとき、針突出面32aが皮膚に接触して皮膚を平らに変形させることができ、針管21の針先21a側を突出長Lだけ皮膚に穿刺することができる。
次に、ガイド部34の接触面34aが皮膚に接触するまで安定部33の端面33aを押し付ける。ここで、ガイド部高さY(図2参照)は、針管21及び安定部33が適正な押圧力で皮膚に穿刺することができるようにその長さが設定されている。そのため、安定部33によって皮膚を押圧する力が所定の値になる。
その結果、安定部33の適正な押圧力を使用者に認識させることができ、針管21の針先21a及び刃面を確実に皮膚上層部に位置させることができる。このように、ガイド部34が安定部33の適正な押圧力を認識させる目印となることで、使用者が安心して薬剤注射装置1を使用することができる。
また、安定部33が皮膚に当接することで、薬剤注射装置1の姿勢が安定し、針管21を皮膚に対して真っ直ぐに穿刺することができる。また、穿刺後に針管21に生じるブレを防止することができ、薬剤の安定した投与を行うことができる。
更に、例えば0.5mm程度のごく短い突出長の針管では、針先を皮膚に当接させても皮膚に刺さらない場合がある。しかし、安定部33に押し付けられた皮膚が垂直方向に押
し下げられることにより、安定部33の内側の皮膚が引っ張られて皮膚に張力が加わった状態となる。そのため、針管21の針先21aに対して皮膚が逃げ難くなる。したがって、安定部33を設けることにより、皮膚に針先21aをより刺さり易くするという効果を得ることもできる。
針管21の針先21a側を皮膚に穿刺した後、押し子部材4(図1参照)を押してガスケット13を排出部側に移動させる。これにより、シリンジ3の液室14に充填された薬剤は、排出部から押し出され、針管21の針孔を通って針先21aから皮膚上層部に注入される。このとき、排出部の先端と針管21の基端との間に空間が形成されていないため、薬剤の残存量を少なくすることができる。
また、押圧部材20もプランジャ本体16と共に、針管21の針先21a側へ移動する。そして、図3に示すように、保持維持部42は、押圧部材20により押圧されて、針管21の針先21a側へ向けて移動する。そのため、保持維持部42の規制孔47から複数の保持部46が抜け出る。規制孔47から抜け出ると、複数の保持部46は、自身の弾性により元の形状(自然状態)に復元し、保持径が拡径される。これにより、保持部材41によるプロテクタ26の保持が解除され、付勢部材27に対する押圧も解除される。
すなわち、複数の保持部46の保持径は、プロテクタ26の当接片29を保持する保持状態と、プロテクタ26の当接片29が通過可能な通過除状態に変形可能に構成される。
次に、薬剤注射装置1を皮膚から離反させ、安定部33の端面33a、針突出面32a及びプロテクタ26の先端面26aを皮膚から離す。そして、プロテクタ26は、付勢部材27の復元力(付勢力)により、針管21の針先21a側に向けて付勢される。そのため、プロテクタ26は、支持部37の外周面及び抜け止め部材43の支持孔43aに支持されて、支持部37の軸方向の他側から一側、すなわち第1の位置から第2の位置に向けて移動する。
ここで、複数の保持部46の自然状態における保持径の大きさは、プロテクタ26の当接片29の外径よりも大きく設定されている。そのため、プロテクタ26の当接片29が複数の保持部46の係止片46aを通過する際に、当接片29が係止片46aに引っ掛かることなく、プロテクタ26をスムーズに移動させることができる。
そして、当接片29は、抜け止め部材43に当接することで、プロテクタ26における軸方向の一側への移動が規制される。これにより、プロテクタ26が第1部材23の支持部37から抜け落ちることを防ぐことができる。
プロテクタ26が針管21の針先21aの周囲を覆い、針管21は、プロテクタ26内に収容される。すなわちプロテクタ26は、第1の位置から第2の位置に移動する。これにより、プロテクタ26を穿刺動作に合わせて自動的に移動させることができ、容易に針管21の針先21aの周囲を覆うことができる。その結果、使用後の針管21の針先21aを安全な状態に保つことができ、使用者の意図に反して使用後の針管21の針先21aが穿刺されることを防止することができる。
さらに、使用後の針管21の針先21aは、プロテクタ26によって覆われるため、針先21aに付着した血液の飛散を防ぐことができ、血液による感染を防ぐこともできる。
なお、プロテクタ26が第2の位置に移動した際に、プロテクタ26と係止し、プロテクタ26の第1の位置への移動を規制する戻り規制部を支持部37の設けてもよい。これより、穿刺後の針管21の針先21aが、再びプロテクタ26の先端面26aから突出することを防ぐことができる。
また、複数の保持部46の保持径を当接片29の外径よりも若干小さくなるように設定してもよい。この場合、当接片29が複数の保持部46を通過する際、当接片29に設けた傾斜面29aが複数の保持部46の係止片46aに当接する。
傾斜面29aは、軸方向の他側から一側に向かうにつれて径が連続的に小さくなるテーパ状に形成されている。そのため、複数の保持部46は、半径方向の外側に向けて押圧されて、複数の保持部46の保持径が、拡径される。これにより、当接片29が複数の保持部46に引っ掛かることなく、複数の保持部46の間を通過させることができる。また、当接片29を通過すると、複数の保持部46に対する押圧力が解除されて、複数の保持部46は、自身の弾性により元の形状(自然状態)に復元する。
さらに、当接片29における傾斜面29aと反対側の角部は、略直角に設定されている。そのため、プロテクタ26を支持部37の軸方向の一側から他側に向けて押圧した場合、当接片29が、保持部材41の複数の保持部46に当接し、保持径が拡径されることがない。そのため、このような構成であっても穿刺後のプロテクタ26における、軸方向の一側から他側への移動、すなわち第2の位置から第1の位置へ戻ることを規制することができる。これにより、穿刺後の針管21の針先21aが、再びプロテクタ26の先端面26aから突出することを防ぐことができる。
2.第2の実施の形態例
次に、図4〜図6を参照して第2の実施の形態例にかかる薬剤注射装置について説明する。
図4は、穿刺前の状態を示す断面図である。
この第2の実施の形態例にかかる薬剤注射装置が、第1の実施の形態例にかかる薬剤注射装置1と異なるところは、注射針組立体における保持部及び保持解除部の構成である。そのため、ここでは、主に保持部及び保持解除部について説明し、第1の実施の形態例にかかる注射針組立体2と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図4に示すように、注射針組立体60は、中空の針管21と、針管21を保持する針ハブ62とを備えている。針ハブ62は、第1部材63と、シリンジ3の排出部が嵌入される第2部材64と、弾性部材25と、プロテクタ66と、付勢部材67と、保持及び解除機構79とを備えている。
第1部材63は、ベース部71と、調整部72と、安定部73と、ガイド部74と、支持部77とを備えて構成されている。ベース部71は、略円柱状に形成されている。ベース部71には、収容凹部76が形成されている。ベース部71における軸方向の一端は、全面が開口している。収容凹部76は、ベース部71の軸方向の一端から他端に向けて略円柱状に凹んで形成されている。収容凹部76には、支持部77が形成されている。
また、ベース部71には、互いに対向する2つの第1開口部78,78が形成されている。2つの第1開口部78は、ベース部71の側壁を、収容凹部76まで貫通している。この2つの第1開口部78には、後述する保持及び解除機構79の保持部材81が、ベース部71の軸方向と直交する方向に沿って摺動可能に挿入される。
プロテクタ66は、第1の実施の形態例にかかるプロテクタ26と同様に、筒状に形成されており、軸方向の他端部には当接片69を有している。プロテクタ66の軸方向の他端部と収容凹部76の底面76aの間には、付勢部材67が配置されている。
また、第1部材63は、抜け止め部材86を有している。抜け止め部材86は、略円盤状に形成されており、その中央部には、支持孔86aが開口している。支持孔86aには、調整部72、支持部77及びプロテクタ66が挿通している。そして、抜け止め部材86は、プロテクタ66を支持部77の軸方向に沿って移動可能に支持している。
第2部材64は、ベース部71が挿入される挿入部91と、シリンジ3の排出部が嵌入する嵌入部92とを有している。挿入部91の側壁には、互いに対向する2つの第2開口部95,95が形成されている。第2開口部95は、挿入部91にベース部71を挿入した際に、ベース部71に形成した第1開口部78を臨む位置に形成されている。第2開口部95は、挿入部91の側壁を筒孔91aまで貫通している。この第2開口部95には、後述する保持及び解除機構79の保持部材81が、挿入部91の軸方向と直交する方向に沿って摺動可能に挿入される。
次に、保持部及び保持解除部を示す保持及び解除機構79について説明する。保持及び解除機構79は、保持部材81と、付勢部87と、操作板88とを有している。保持部材81は、略平板状に形成されている。保持部材81は、ベース部71の第1開口部78と挿入部91の第2開口部95に挿入される。そして、保持部材81は、第1開口部78及び第2開口部95によって針管21の軸方向と直交する方向に沿って摺動可能に支持される。また、保持部材81の略中央部には、プロテクタ66が挿入可能な開口孔82が設けられている。
図5は、保持部材81を示す平面図である。
図5に示すように、開口孔82は、小径開口部82aと、大径開口部82bとを有している。大径開口部82bは、小径開口部82aの外縁から連続して形成されている。大径開口部82bは、開口孔82における保持部材81の長手方向の一側に形成され、小径開口部82aは、開口孔82における保持部材81の長手方向の他側に形成されている。
小径開口部82aの開口径は、プロテクタ66の筒部の径よりも大きく、かつプロテクタ66の当接片69の外径よりも小さく設定されている。大径開口部82bの開口径は、当接片69の外径よりも大きく設定されている。そして、大径開口部82bは、当接片69を通過可能としている。
なお、保持部材81は、上述したものに限定されるものではなく、開口孔82は図5における大径開口部82bのみで、大径開口部の中心点とプロテクタ66の中心軸がずれる、すなわち同軸上に配置されないことにより、当接片69が開口孔82の縁の一部に当接するものであってもよい。
図4に示す穿刺前の状態において、小径開口部82aには、プロテクタ66の筒部及び支持部77が挿入されている。また、小径開口部82aの外縁部には、プロテクタ66の当接片69が当接している。そして、保持部材81は、プロテクタ66を第1の位置で保持している。
図4に示すように、保持部材81の一端部には、針管21の軸方向の他側に向けて略垂直に連続する押圧部83が設けられている。押圧部83は、開口孔82における大径開口部82b側に形成されている。押圧部83における針管21の軸方向の他側の角部には、テーパ面83aが形成されている。テーパ面83aは、針管21の軸方向の他側から一側に向かうにつれて保持部材81の中心から離れる方向に傾斜している。
押圧部83と第2部材64の挿入部91の間には、付勢部87が配置されている。保持部材81を第1開口部78及び第2開口部95に挿入した際、押圧部83は、第2部材64の挿入部91の外周面と対向する。また、押圧部83における挿入部91と対向する面と、挿入部91の外周面の間には、付勢部87が配置されている。
付勢部87は、例えば、圧縮コイルばねにより構成される。付勢部87は、保持部材81を針管21の軸方向と直交する方向に沿って、押圧部83が挿入部91から離反する向きに付勢している。
なお、付勢部87として圧縮コイルばねを適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。付勢部としては、所定の押圧力が加わると弾性変形する弾性部材であればよく、例えば、板ばね等のその他各種のばね部材や、スポンジ、ゲル、ゴム部材を適用することができる。
操作板88は、略平板状に形成されている。操作板88は、保持部材81よりも針管21の軸方向の他側に配置されている。操作板88には、操作孔89が形成されている。操作孔89には、挿入部91が挿入される。そして、操作板88は、挿入部91に針管21の軸方向に移動可能に支持され、押し子部材4の押圧部材20に対向する。
また、操作孔89における保持部材81の押圧部83側の端部には、操作側テーパ面89aが形成されている。操作側テーパ面89aは、針管21の軸方向の他側から一側に向かうにつれて操作孔89の中心から離れる方向に傾斜している。そして、操作側テーパ面89aは、押圧部83のテーパ面83aに当接する。
次に、上述した構成を有する第2の実施の形態例にかかる注射針組立体60のプロテクタ66の動作について図4及び図6を参照して説明する。図6は、穿刺後の注射針組立体60の状態を示す断面図である
図5に示すように、穿刺前の状態では、プロテクタ66の筒部は、保持部材81の小径開口部82aを貫通し、当接片69が小径開口部82aの外縁部に当接している。そのため、プロテクタ66は、針管21の針先21aを先端面66aから突出させた第1の位置で、保持部材81に保持されている。
次に、押し子部材4を操作し、押圧部材20をプランジャ本体16(図1参照)と共に軸方向の一側に向けて移動させると、押圧部材20は、操作板88を押圧する。押圧部材20に押圧されて、操作板88は、挿入部91の外周面を摺動し、針管21の軸方向の一側に向けて移動する。
操作板88が針管21の軸方向の一側に向けて移動すると、操作板88の操作孔89内に保持部材81の押圧部83が挿入される。そして、操作孔89の操作側テーパ面89aと押圧部83のテーパ面83aが当接する。
さらに、操作板88が針管21の軸方向の一側に向けて移動すると、押圧部83は、操作孔89の操作側テーパ面89aにより、挿入部91の外周面に接近する方向に押圧される。そして、図6に示すように、保持部材81は、付勢部87の付勢力に抗して、針管21の軸方向と直交する方向の一側から他側に向けて移動する。すなわち、この操作板88と、押圧部83により、解除操作部を構成している。
保持部材81が針管21の軸方向と直交する方向の一側から他側に向けて移動することにより、開口孔82の大径開口部82bにプロテクタ66の当接片69が臨む。そして、大径開口部82bの開口径は、当接片69の外径よりも大きく設定されている。これにより、保持部材81におけるプロテクタ66の保持が解除される。すなわち、保持部材81は、当接片69を保持する保持状態から、当接片69を通過可能な通過状態に変更される。
そして、プロテクタ66は、付勢部材67の復元力(付勢力)により、針管21の針先21a側、すなわち第1の位置から第2の位置に向けて付勢される。その結果、プロテクタ66が針管21の針先21aの周囲を覆い、針管21は、プロテクタ66内に収容される。
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる注射針組立体2と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する注射針組立体60によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる注射針組立体2と同様の作用効果を得ることができる。
以上、本発明の薬剤注射装置及び注射針組立体の実施の形態例について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の薬剤注射装置及び注射針組立体は、上述の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
上述した実施の形態例では、ロック機構12としてルアーロック部を設けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、排出部に雄ねじ部を設け、注射針組立体2の第2部材24の筒孔に雌ねじ部を設けて螺合するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態例では、押し子部材に押圧部材を設けて、穿刺動作の際にプロテクタの保持を解除する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、押圧部材を設けずに、使用者の手によって保持維持部42を操作したり、保持部材81の押圧部83を押圧したりしてもよい。
さらに、プロテクタの当接片に弾性を付与し、当接片をベース部の第1開口部及び挿入部の第2開口部と着脱可能に係合させて、プロテクタをベース部及び挿入部で保持するように構成してもよい。そして、当接片と、第1開口部及び第2開口部との係合を解除することで、プロテクタの保持を解除するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態例では、付勢部材を収容凹部の底面とプロテクタの軸方向の後端部の間に配置した例を説明したが、付勢部材を配置する箇所は、これに限定されるものではない。例えば、付勢部材を保持維持部42や保持部材81よりも針管21の針先21a側に配置するように構成してもよい。これにより、付勢部材と保持部や保持解除部が干渉することを防ぐことができ、プロテクタの移動動作をスムーズに行うことができる。
また、第2の実施の形態例の保持部材81を2枚用意し、この2枚の保持部材81の開口孔82の中心点が同軸上にならないように重ね合わせる。なお、この状態では当接片69が双方の開口孔82の縁の一部に当接している。そして、2枚の保持部材81を互いに逆方向へ移動させ、2つの開口孔によって形成される開口が大きくなることで、当接片69の当接が解除されるものであってもよい。