しかしながら、従来の無線通信システムにおいては、無線通信環境が変化する場合に、既設の無線機器の通信品質をどのように担保するかについて考慮されていない。例えば、無線機器が防犯センサである場合、例えば無線通信環境の変化によって防犯センサと疎通確認がとれなくなると、その防犯センサが検知すべき事象の監視が行えない状態になってしまう。したがって、そのような場合、無線機器(防犯センサ)の機器異常であるとして、対処員の数に限りがある場合であっても対処員の業務を調整して、緊急に対処する必要がある。このため、無線通信環境の変化を、通信に支障をきたす前に察知できることが望まれていた。
また、対処員が現地で対処をする場合にも、定期的な疎通確認に支障が出た原因が、無線機器の故障によるものか、定常的な通信環境の変化によるものか、判断することは容易でなく、対処員の経験や勘に頼らざるを得なかった。したがって、対処員の経験が浅い場合には、原因の切り分けに大きな時間を要するという問題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、機器異常が発生したときの速報性を担保することができるとともに、機器異常の原因の切り分けをシステム化して、対処員による対処の品質を均一化することのできる警備装置および警備業務支援システムを提供することを目的とする。
本発明の警備装置は、監視区域に設置された無線送信機からの無線信号を受信する警備装置であって、前記無線送信機からの無線信号を所定時間以上受信しない場合に、当該無線送信機が機器異常であると判定する異常判定部と、前記無線送信機からの無線信号の受信電界強度が基準強度以下または前記無線送信機からの無線信号の衝突頻度が基準頻度以上である場合に、当該無線送信機が無線品質低状態であると判定する無線品質判定部と、前記異常判定部により前記機器異常であると判定されたときは、前記無線送信機が前記機器異常であることを示す機器異常信号を遠隔のセンタ装置に送信し、前記無線品質判定部により前記無線品質低状態であると判定されたときは、前記無線送信機が前記無線品質低状態であることを示す無線環境変化信号を前記センタ装置に送信するセンタ通報部と、前記異常判定部により前記機器異常であると判定された場合には、前記無線送信機が前記機器異常であることを報知出力し、前記無線品質判定部により前記無線品質低状態であると判定された場合には、前記無線送信機が前記無線品質低状態であることを報知出力しない周囲報知部と、を備えている。
この構成によれば、警備装置は、無線信号を所定時間以上受信できない無線送信機があると、機器異常であると判定してセンタ装置に機器異常信号を送信する。そして、機器異常であることを報知出力する。一方、警備装置は、無線信号を受信できるものの、受信電界強度が低いまたは衝突頻度が高いと、無線品質低状態であると判定してセンタ装置に無線環境変化信号を送信する。無線品質低状態であることは報知出力しない。
これにより、無線送信機に機器異常が発生したときには、即時にセンタへの通報および周囲への報知を行うことができ、機器異常が発生したときの速報性を担保することができる。また、無線送信機が無線品質低状態になると無線通信に支障をきたす前にセンタ装置へその旨が通報されるので、センタから対処員に無線環境の改善提案を指示することが可能になり、無線品質の低下が原因で無線送信機から無線信号を受信できなくなるのを未然に防ぐことができる。すなわち、機器異常発報を予防保全できる。
また、無線送信機に異常が発生したときに、その異常の原因が機器異常であるか無線品質低状態であるかをセンタ側で把握することができるので、センタから対処員に適切な対処指示を送ることができる。すなわち、対処員の経験や勘といった属人的な原因の切り分けスキルによらず、原因の切り分けをシステム化して、対処員による対処の品質(価値)を均一化できる。
また、本発明の警備装置では、前記周囲報知部は、前記センタ装置に前記無線環境変化信号を送信した後、所定時間が経過した場合には、前記無線送信機が前記無線品質低状態であることを報知出力してもよい。
この構成によれば、無線送信機が無線品質低状態になった場合でも、所定時間が経過すると、無線品質低状態であることを報知出力する。これにより、無線品質低状態が続いていることを警備装置の利用者であるユーザが把握することができ、ユーザが適切な無線環境の改善対策をとることで、無線品質の低下が原因で無線送信機から無線信号を受信できなくなるのを未然に防ぐことができる。すなわち、機器異常発報を予防保全できる。
また、本発明の警備装置は、さらに、前記監視区域の点検を対処員が開始したことを検知する対処検知部を備え、前記周囲報知部は、前記センタ装置に前記無線環境変化信号を送信した後、前記対処検知部が前記点検の開始を検知した場合には、前記無線送信機が前記無線品質低状態であることを報知出力してもよい。
この構成によれば、無線送信機が無線品質低状態になった場合でも、対処員が警備装置の点検を開始したことを検知すると、無線品質低状態であることを報知出力する。これにより、無線品質低状態が続いていることを警備装置の点検に来た対処員が把握することができ、対処員が無線環境の改善提案をすることで、無線品質の低下が原因で無線送信機から無線信号を受信できなくなるのを未然に防ぐことができる。すなわち、機器異常発報を予防保全できる。
また、本発明の警備装置は、さらに、前記基準強度より高い第2の基準強度以上の受信電界強度で前記無線送信機から前記無線信号を受信したことを条件に、当該無線送信機を通信対象機器として登録する登録部を備えてもよい。
この構成によれば、無線品質低状態の判定に用いる基準強度より高い第2の基準強度(例えば設置時の基準)以上の受信電界強度で無線送信機から無線信号を受信すると、その無線送信機が通信対象機器として登録される。これにより、無線送信機の設置時に高い電波強度での通信品質を担保して、無線品質の低下が原因で無線送信機から無線信号を受信できなくなるリスクを低減することができる。
本発明の警備業務支援システムは、監視区域に設置された無線送信機からの無線信号を受信する警備装置と、前記警備装置と通信する遠隔のセンタ装置とを備える警備業務支援システムであって、前記警備装置は、前記無線送信機との通信ログ情報を記憶する記憶部と、前記無線送信機からの無線信号を所定時間以上受信しない場合に、当該無線送信機が機器異常であると判定する異常判定部と、前記異常判定部により前記機器異常と判定された場合には、前記無線送信機が前記機器異常であることを示す機器異常信号を前記センタ装置に送信するセンタ通報部と、を備え、前記センタ装置は、前記機器異常信号を受信すると、前記無線送信機との通信ログ情報を要求する要求信号を前記警備装置に送信して、前記警備装置から前記無線送信機との通信ログ情報を取得する通信ログ取得部と、前記警備装置から取得した前記無線送信機との通信ログ情報に基づいて、前記無線送信機からの無線信号の受信電界強度が基準強度以下または前記無線送信機からの無線信号の衝突頻度が基準頻度以上である場合に、当該無線送信機が無線品質低状態であると判定する無線品質判定部と、を備えている。
この構成によれば、警備装置は、無線信号を所定時間以上受信できない無線送信機があると、機器異常であると判定してセンタ装置に機器異常信号を送信する。センタ装置は、機器異常信号を受信すると、警備装置に要求信号を送信して、その無線送信機との通信ログ情報を取得する。そして、取得した通信ログ情報に基づいて、受信電界強度が低いまたは衝突頻度が高いと、無線品質低状態であると判定する。
これにより、無線送信機に機器異常が発生したときには、即時にセンタへの通報を行うことができ、機器異常が発生したときの速報性を担保することができる。また、センタ装置では、警備装置から無線送信機との通信ログ情報を取得して、無線送信機が無線品質低状態であるか否かを判定できるので、センタから対処員に無線環境の改善提案を指示することが可能になり、無線品質の低下が原因で無線送信機から無線信号を受信できなくなることが多発するのを未然に防ぐことができる。すなわち、機器異常発報が多発することを予防保全できる。
また、無線送信機に異常が発生したときに、その異常の原因が機器異常であるか無線品質低状態であるかをセンタ側で把握することができるので、センタから対処員に適切な対処指示を送ることができる。すなわち、対処員の経験や勘といった属人的な原因の切り分けスキルによらず、原因の切り分けをシステム化して、対処員による対処の品質(価値)を均一化できる。
本発明によれば、機器異常が発生したときの速報性を担保することができるとともに、機器異常の原因の切り分けをシステム化して、対処員による対処の品質を均一化することができる。
以下、本発明の実施の形態の警備業務支援システムについて、図面を用いて説明する。本実施の形態では、施設や邸宅の警備等に用いられる警備業務支援システムの場合を例示する。
本発明の実施の形態の警備業務支援システムの構成を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の警備業務支援システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、警備業務支援システム1は、施設や邸宅などの監視区域に設置される警備装置2と、遠隔の監視センタに設置されるセンタ装置3を備えている。警備装置2は、ネットワーク4(公衆回線網やインターネット網)を介してセンタ装置3と通信する。また、監視区域で発生した異常に対処する対処員は、携帯端末5を所持している。センタ装置3は、ネットワーク4および基地局6を介して携帯端末5と無線通信する。
また、図1に示すように、監視区域の各所には、監視区域における異常を検知するための防犯センサ7が設置されている。防犯センサ7は、警備装置2に接続されている。防犯センサ7には、監視区域の建物内に設置される屋内設置のセンサと、庭などの監視区域の建物外に設置される屋外設置のセンサとが含まれる。屋内設置のセンサとしては、例えば、窓や扉が開いたことを検知するセンサや、室内の移動体を検知するセンサなどが含まれる。また、屋外設置のセンサとしては、例えば、移動体を検知するセンサなどが含まれる。防犯センサ7は、検知対象の事象となる異常を検知すると自己の識別情報を含む検知信号を警備装置2に送信する。防犯センサ7と警備装置2との間の通信は、有線または無線で行われる。警備装置2との通信を無線で行う防犯センサ7が、本発明の無線送信機に相当する。
警備装置2から監視センタのセンタ装置3へ異常発生の通報が行われると、センタ装置3にてこの情報が管制員などに対して報知される。そして、監視センタから対処員に対して当該監視区域に急行して異常に対処する旨の「対処」の指示が送られる。対処員は、監視センタとの連絡や連携をとりながら、施設や邸宅で発生した異常(不審者の侵入、火災の発生など)に対処する。
ここで、図2を参照しながら、警備装置2、センタ装置3、携帯端末5の構成について詳しく説明する。まず、警備装置2の構成について説明する。図2に示すように、警備装置2は、操作部20、通信部21、表示部22、入出力部23、記憶部24、制御部25を備えている。
操作部20は、警備装置2の動作モード(警備セットモードや警備解除モードなど。後述する)を設定するために操作される。また、操作部20は、利用者の認証情報を読み取る機能を備えている。認証情報を読み込ませて利用者を照合すると、操作入力が許容される。この操作部20は、タッチパネルなどで構成してもよい。
通信部21は、センタ装置3と通信するための機能を備えている。通信部21は、警備装置2とセンタ装置3を接続するための通信インターフェースである。上述のように、警備装置2とセンタ装置3は、ネットワーク4としての公衆回線網やインターネット網を介して接続される。
表示部22は、利用者に対して操作のガイドなどを出力する機能を備えている。表示部22は、液晶ディスプレイ、表示灯、スピーカなどにより構成することができる。表示部22は、操作部20の近傍に設置されるか、あるいは操作部20と一体的に設置される。表示部22により、操作のガイドやメニュー表示が行われる。操作のガイド等は、スピーカからの音声報知で行われても良い。
入出力部23は、防犯センサ7などの周辺機器が接続されるインタフェースとしての機能を備えている。入出力部23は、監視区域において監視すべき区域となる建物の内/外の適宜な場所に配置された扉の開閉を検出するマグネットセンサや赤外線にて人体を検出する赤外線センサなどの防犯センサ、煙感知器や熱感知器などの火災センサ、利用者に操作される非常ボタンなどと接続される。入出力部23は、各種センサから疎通信号や検知信号を受信する通信インターフェースである。各種センサにはそれぞれ固有の識別番号が付与されており、検知信号にはこの識別番号(ID番号)が含まれる。
記憶部24は、通信ログ情報を記憶している。通信ログ情報は、防犯センサ7との通信の履歴、通信に伴う環境情報などを記録した情報である。通信ログ情報には、例えば、「受信電界強度」、「無線信号衝突」などの複数の種別の情報が含まれる。また、記憶部24は、動作モードが設定されるたびに、設定時刻と設定した利用者の情報と設定された動作モードの情報を、動作モード履歴として記憶する。さらに、記憶部24は、センサ情報(各種センサのID番号毎にセンサの種類およびセンサの設置位置を対応付けた情報)と、異常履歴を記憶している。異常履歴は、警備セットモードおよび点検モードに設定されているときに防犯センサ7から検知信号を受信した履歴であり、防犯センサ7の識別情報と受信時刻の情報が含まれる。
制御部25は、警備装置2の各種制御を行う機能を有している。この場合、制御部25は、モード設定部250、異常判定部251、無線品質判定部252、センタ通報部253、周囲報知部254、対処検知部255、登録部256を備えている。
モード設定部250は、利用者の操作により、警備装置2の動作モードを設定する。警備装置2の動作モードとしては、少なくとも、警備セットモードと、警備解除モードと、点検モードとの3つが設定可能である。利用者は、警備セットモードと警備解除モードを設定できる。点検モードは、対処員によって設定される。警備セットモードとは、防犯センサ7から検知信号が入力されると、監視区域の異常検出と判定して、センタ装置3に異常通報するモードである。また、警備解除モードとは、防犯センサ7から検知信号が入力されても、監視区域の異常検出とせず、異常通報しないモードをいう。なお、火災センサ、非常ボタンによる検知信号は常時監視されており、警備セットモードと警備解除モードの何れのモードであっても異常通報される。利用者は、例えば監視区域から出るときに操作部20を操作して警備セットモードを設定し、監視区域に入るときに操作部20を操作して警備解除モードを設定する。
さらに、点検モードとは、警備対象に異常が発生したとき、あるいは警備対象に点検の必要性が生じたときなどに対処員が点検中であることを示すモードである。点検モードに設定されると、警備装置2は防犯センサ7から検知信号が入力されるとこれを異常履歴として記憶部24に記憶する。点検モード中は、対処員が防犯センサ7に接近することもあるため防犯センサ7から検知信号が入力されてもセンタ装置3に異常通報はしない。なお、異常としてではなく、点検モード時のセンサ検知情報としてセンタ装置3に通知するようにしてもよい。また、防犯センサ7から検知信号が入力されたことを対処員が所持する携帯端末5に通知してもよい。
異常判定部251は、防犯センサ7からの無線信号を所定の基準時間以上受信しない場合に、その防犯センサ7が機器異常であると判定する。基準時間は、防犯センサ7の定期的な疎通信号の送信間隔より長い時間となる機器異常の判定を行うための閾値であり、通信環境に応じて適宜設定することができる。
また、異常判定部251は、監視区域における他の異常(火災発生や不審者侵入など)を検知する機能を備えてもよい。例えば、異常検知部251は、防犯センサ7から検知信号を受信すると、現在の動作モード及び記憶部24のセンサ情報に基づいて異常の有無を判定する。異常検知部251は、警備セットモードに設定されているときに、各種センサの何れかから検知信号を受信すると異常と判定し、警備解除モードに設定されているときには、火災センサ、非常ボタンの何れかから検知信号を受信すると異常と判定する。
無線品質判定部252は、防犯センサ7から疎通信号や検知信号として受信する無線信号の受信電界強度が所定の基準強度以下である場合に、その防犯センサ7が無線品質低状態である(無線環境変化あり)と判定する。基準強度は、無線品質の判定を行うための閾値であり、防犯センサ7の設置時の基準強度(通信対象機器として登録するための基準となる受信強度)より低い値に設定される。この基準強度は、通信環境に応じて適宜設定することができる。
また、無線品質判定部252は、防犯センサ7からの無線信号の衝突頻度が所定の基準頻度以上である場合に、その防犯センサ7が無線品質低状態である(無線環境変化あり)と判定する。防犯センサ7から送信される無線信号には、送信の度にインクリメントされる識別ID(例えば7ビットのコード)が付与される。無線品質判定部252は、防犯センサ7から受信した無線信号の識別IDを当該同じ防犯センサ7から直前回に受信した無線信号の識別IDと比較して、識別IDの抜けがあると、当該防犯センサ7からの無線信号に衝突があったと判定し、その頻度(衝突頻度)と基準頻度とを比較して、無線品質低状態であるか否かを判定する。基準頻度も、無線品質の判定を行うための閾値であり、通信環境に応じて適宜設定することができる。
センタ通報部253は、異常判定部251により機器異常であると判定された場合に、防犯センサ7が機器異常であることを示す機器異常信号を通信部21から遠隔のセンタ装置3に送信する。また、センタ通報部253は、無線品質判定部252により無線品質低状態であると判定された場合に、防犯センサ7が無線品質低状態であることを示す無線環境変化信号を通信部21からセンタ装置3に送信する。
周囲報知部254は、異常判定部251により機器異常であると判定された場合に、センタ通報部253による通報が行われたときに防犯センサ7が機器異常であることを周囲に報知出力する。報知出力の方法としては、表示部22などを点灯させる光による報知方法や、スピーカ(図示せず)を用いた音による報知方法などが含まれる。
周囲報知部254は、無線品質判定部252により無線品質低状態であると判定された場合には、防犯センサ7が無線品質低状態であることを周囲に報知出力しない。ただし、センタ装置3に無線環境変化信号を送信した後、所定時間が経過した場合には、防犯センサ7が無線品質低状態であることを周囲に報知出力してもよい。この所定時間は、警備装置2の定期的な点検サイクル(例えば3か月)であってよく、また、次回の定期的な点検日になったときに報知出力してもよい。
対処検知部255は、監視区域の点検を対処員が開始したことを検知する。例えば、センタ装置3から対処員の現状態情報を受信して、当該警備装置2が設置された監視区域に対処員が到着したことを検知する。また、対処検知部255は、モード設定部250が点検モードに設定されたときに、対処員が点検を開始したことを検知してもよい。周囲報知部254は、センタ装置3に無線環境変化信号を送信した後、対処検知部255が点検の開始を検知した場合には、防犯センサ7が無線品質低状態であることを周囲に報知出力してもよい。
登録部256は、防犯センサ7を新規に設置または交換設置して記憶部27のセンサ情報に通信対象の防犯センサ7として登録する際に機能する。登録部256は、防犯センサ7の登録を行う場合に、所定の第2の基準強度以上の受信電界強度で防犯センサ7から無線信号を受信したことを条件に、その防犯センサ7を通信対象機器として登録する。第2の基準強度は、通信対象機器として登録するための基準となる受信強度であり、無線品質の判定を行うため基準強度より高い値に設定される。この第2の基準強度も、通信環境に応じて適宜設定することができる。
また、図2に示すように、センタ装置3は、通信部30、表示部31、操作部32、制御部33、記憶部34を備えている。例えば、センタ装置3は、サーバ装置やパーソナルコンピュータなどで構成され、管制員によって操作される。また、携帯端末5は、通信部50、タッチパネル51を備えている。例えば、携帯端末5は、スマートフォンなどで構成され、対処員によって操作される。
以上のように構成された警備業務支援システム1について、図3のフロー図を参照してその動作を説明する。
まず、警備装置2が防犯センサ7からの無線信号を受信したか否かの判定が行われる(S1)。防犯センサ7から無線信号を受信していない場合には、無線信号を所定時間(定期的な疎通間隔(1時間)以上の時間、例えば2時間)以上受信していない防犯センサ7があるか否かを判定する(S2)。無線信号を所定時間以上受信していない防犯センサ7がある場合には、その防犯センサ7が機器異常であると判定し(S3)、機器異常信号をセンタ装置3に送信するとともに(S4)、その旨を周囲に報知出力する(S5)。
一方、防犯センサ7から疎通信号や検知信号として無線信号を受信した場合には、無線信号の受信電界強度と衝突頻度を確認し(S6)、所定の基準(通信対象として登録するための第2の基準強度より低い閾値となる基準強度、および、信号衝突を判定する基準頻度)と比較して許容範囲内であるか否かを判定する(S7)。この場合、受信電界強度が所定の基準強度以下または衝突頻度が所定の基準頻度以上であると、許容範囲内でないと判定される。許容範囲内でない場合には、その防犯センサ7が無線品質低状態である(無線環境変化あり)と判定し(S8)、無線環境変化信号をセンタ装置3に送信するとともに(S9)、その防犯センサ7についての無線環境変化フラグをオンにする(S10)。無線環境変化フラグは、無線環境変化の有無を示すフラグであり、記憶部24に記憶されている。周囲報知部254は、無線環境変化フラグがオンになっている防犯センサ7について、所定時間の経過などの条件によって周囲に報知出力を行う。
防犯センサ7から受信した無線信号の受信電界強度が所定の基準強度より大きくかつ衝突頻度が所定の基準頻度より小さければ、許容範囲内であると判定される(S7)。その場合、その防犯センサ7についての無線環境変化フラグがオンにされていれば、その無線環境変化フラグをオフにする(S11)。
このような本実施の形態の警備業務支援システム1によれば、警備装置2は、無線信号を所定時間以上受信できない防犯センサ7があると、機器異常であると判定してセンタ装置3に機器異常信号を送信する。そして、機器異常であることを周囲に報知出力する。一方、警備装置2は、無線信号を受信できるものの、受信電界強度が低いまたは衝突頻度が高いと、無線品質低状態であると判定してセンタ装置3に無線環境変化信号を送信する。無線品質低状態であることは周囲に報知出力しない。
これにより、防犯センサ7に機器異常が発生したときには、即時にセンタへの通報および周囲への報知を行うことができ、機器異常が発生したときの速報性を担保することができる。また、防犯センサ7が無線品質低状態になると無線通信に支障をきたす前にセンタ装置3へその旨が通報されるので、センタから対処員に無線環境の改善提案を指示することが可能になり、無線品質の低下が原因で防犯センサ7から無線信号を受信できなくなるのを未然に防ぐことができる。すなわち、機器異常発報を予防保全できる。
また、防犯センサ7に異常が発生したときに、その異常の原因が無線品質低状態を経ない突然の機器異常であるか無線品質低状態を経た後の機器異常であるかをセンタ側で把握することができるので、センタから対処員に適切な対処指示を送ることができる。前者であれば、機器の故障といった原因可能性が把握でき、後者の場合には、監視区域の無線通信環境の変化といった原因可能性が把握できる。すなわち、対処員の経験や勘といった属人的な原因の切り分けスキルによらず、原因の切り分けをシステム化して、対処員による対処の品質(価値)を均一化できる。
また、本実施の形態では、防犯センサ7が無線品質低状態になった場合でも、所定時間が経過すると、無線品質低状態であることを周囲に報知出力する。これにより、無線品質低状態が続いていることを監視区域にいる警備装置2の利用者であるユーザが把握することができ、ユーザが適切な無線環境の改善対策をとることで、無線品質の低下が原因で防犯センサ7から無線信号を受信できなくなるのを未然に防ぐことができる。すなわち、機器異常発報を予防保全できる。
また、本実施の形態では、防犯センサ7が無線品質低状態になった場合でも、対処員が警備装置2の点検を開始したことを検知すると、無線品質低状態であることを周囲に報知出力する。これにより、無線品質低状態が続いていることを警備装置2の点検に来た対処員が把握することができ、対処員が無線環境の改善提案をすることで、無線品質の低下が原因で防犯センサ7から無線信号を受信できなくなるのを未然に防ぐことができる。すなわち、機器異常発報を予防保全できる。
また、本実施の形態では、無線品質低状態の判定に用いる基準強度より高い第2の基準強度(例えば設置時の基準)以上の受信電界強度で防犯センサ7から無線信号を受信すると、その防犯センサ7が通信対象機器として登録される。これにより、防犯センサ7の設置時に高い電波強度での通信品質を担保して、無線品質の低下が原因で防犯センサ7から無線信号を受信できなくなるリスクを低減することができる。
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
例えば、図4に示すように、センタ装置3に、無線品質判定部330が設けられてもよい。この場合、図5のシーケンス図に示すように、警備装置2は、無線信号を定期的な疎通間隔以上となる所定時間以上受信できない防犯センサ7があると、機器異常であると判定して(S20)、センタ装置3に機器異常信号を送信するとともに(S21)、機器異常であることを周囲に報知出力する(S22)。センタ装置3は、機器異常信号を受信すると、警備装置2に要求信号を送信して(S23)、その防犯センサ7との通信ログ情報を取得する(S24)。そして、取得した通信ログ情報に基づいて、受信電界強度が基準強度より低いまたは衝突頻度が基準頻度より高いと、無線品質低状態である(無線環境変化あり)と判定する(S25)。
これにより、防犯センサ7に機器異常が発生したときには、即時にセンタへの通報および周囲への報知を行うことができ、機器異常が発生したときの速報性を担保することができる。また、センタ装置3では、警備装置2から防犯センサ7との通信ログ情報を取得して、防犯センサ7が無線品質低状態であるか否かを判定できるので、センタから対処員に無線環境の改善提案を指示することが可能になり、無線品質の低下が原因で防犯センサ7から無線信号を受信できなくなることが多発するのを未然に防ぐことができる。すなわち、機器異常発報が多発することを予防保全できる。
また、防犯センサ7に異常が発生したときに、その異常の原因が機器異常であるか無線品質低状態であるかをセンタ側で把握することができるので、センタから対処員に適切な対処指示を送ることができる。すなわち、対処員の経験や勘といった属人的な原因の切り分けスキルによらず、原因の切り分けをシステム化して、対処員による対処の品質(価値)を均一化できる。
なお、以上の例では、無線送信機(防犯センサ7)が無線品質低状態であるか否かの判定基準として、受信電界強度と衝突頻度の両方を用いる場合について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されない。すなわち、無線送信機(防犯センサ7)が無線品質低状態であるか否かの判定基準として、受信電界強度と衝突頻度のいずれか一方を用いてもよい。