JP6570051B2 - 表面改質カーボンブラック水分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、親水性カーボンブラックとして、従来から提案されてきた、表面に形成した酸性官能基と、酸性官能基と対になるアルカリ金属で中和処理された自己分散性カーボンブラックを使用する場合、親水性溶剤の含有割合の高いインク組成物においては、粘度や吐出性等の安定性が低下し易くなる。
このため、親水性カーボンブラックとして、表面に形成した酸性官能基と、酸性官能基と対になる第4級アンモニウム塩で中和された自己分散性カーボンブラックを使用することも考えられるが、この自己分散性カーボンブラックは、記録紙への顔料浸透度合いが高いために黒色度が低下して充分な画像濃度が得られ難い。
(1) 酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基の少なくとも一部を、水中において90〜100℃の処理温度でアンモニアで中和して対イオン化した後、精製処理し、次いで、当該対イオン化したアンモニアの一部を有機アミンで置換することにより、
酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基の少なくとも一部がアンモニアおよび有機アミンで中和された表面改質カーボンブラックを含む表面改質カーボンブラック水分散体を製造すること
を特徴とする表面改質カーボンブラック水分散体の製造方法、
(2)前記対イオン化したアンモニアの一部を有機アミンで置換する処理の処理温度が、90〜100℃である上記(1)に記載の表面改質カーボンブラック水分散体の製造方法、
(3)前記対イオン化したアンモニアの一部を有機アミンで置換する処理の処理時間が、2〜5時間である上記(1)または(2)に記載の表面改質カーボンブラック水分散体の製造方法、および
(4)前記対イオン化したアンモニアの一部を有機アミンで置換した後、さらに精製処理する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の表面改質カーボンブラック水分散体の製造方法を提供するものである。
本発明に係る表面改質カーボンブラック水分散体は、酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基の少なくとも一部がアンモニアおよび有機アミンで中和された表面改質カーボンブラックを含むことを特徴とするものである。
ファーネスブラック粒子としては一般に入手可能なグレードであれば特に制限されず、カーボンブラック粒子の窒素吸着比表面積やDBP吸収量で示されるストラクチャーの指標などから、目的に応じて適宜選択すればよい。
本発明に係る表面改質カーボンブラック水分散体において、カーボンブラック粒子のDBP吸収量が50cm3/100g以上であることにより、優れた黒色度(印字濃度)を発揮することができる。
本発明に係る表面改質カーボンブラック水分散体において、カーボンブラック粒子の窒素吸着比表面積(N2SA)が上記範囲内にあることにより、分散液の粘度を低く保つことができると共に、沈降成分の生成を抑制することができる。
上記カーボンブラック粒子の体積平均粒径が上記範囲内にあることにより、得られる表面改質カーボンブラック粒子水分散体をインクジェットプリンター用インキ等の水性黒色インキに用いたときに、優れた吐出性および黒色度(印字濃度)を発揮し易くなる。
なお、本出願書類において、カーボンブラック粒子の体積平均粒径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定された、体積積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径(平均粒径D50)を意味する。
本発明に係る表面改質カーボンブラック水分散体においては、上記カーボンブラック粒子を、単独でまたは複数種を混合して使用することができる。
上記酸化剤のうち、精製時に重金属が残留し難いことから、過酸が好適であり、過酸としては、工業的に入手し易い、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸の塩が好適である。
例えば、濃度調整した酸化剤水性溶液中にカーボンブラック粒子を適宜な量比で添加、混合して、室温〜90℃程度、好ましくは60〜90℃の温度条件下で1〜20時間、好ましくは3〜10時間攪拌してスラリー化することにより行うことができる。
酸化剤として過硫酸ナトリウムを用いる場合は、40〜90℃で3〜10時間攪拌して酸化処理することが好ましい。酸化処理温度が40℃未満では酸化剤による活性化が不十分で表面修飾が進行し難く、90℃を超えると一気に反応が進行してしまい温度制御し難くなる。
脱塩精製処理は、遠心分離法や膜処理法等により行うことができるが、限外濾過膜、逆浸透膜、電気透析膜などを使用して行うことが好ましく、所要処理時間の関係から、限外濾過膜を使用して行うことがより好ましい。限外濾過膜の分画分子量としては、カーボンブラック粒子が通過せず、水および水の溶解したイオンが通過する分画分子量であれば制限無く使用することができる。
上記脱塩精製処理は、精製の度合いが、カーボンブラック濃度4質量%の状態で200μS/cm以下の電動度になるまで行うことが好ましい。
上記脱塩精製処理によって酸化処理時に生じた酸性残塩を除去することにより、カーボンブラック粒子の分散性を向上させることができ、かつカーボンブラック粒子の再凝集を抑制することができる。
すなわち、2、2′−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル(DPPH)を四塩化炭素中に溶解して、5×10−4mol/l溶液を作製する。該溶液に酸化カーボンブラック粒子を0.1〜0.6g添加し、60℃の恒温槽中にて6時間攪拌した後、濾別し、濾液を紫外線吸光光度計で測定して吸光度からヒドロキシル基量を求め、得られたヒドロキシル基量をカーボンブラック粒子の質量で除すことにより、カーボンブラックの単位重量あたりのヒドロキシル基量(μmol/g)を算出する。
すなわち、濃度0.976Nの炭酸水素ナトリウム水溶液に酸化カーボンブラック粒子を約2〜5g添加して6時間程振とうした後、濾別し、濾液に0.05N塩酸水溶液を加えたのち、pHが7.0になるまで0.05N水酸化ナトリウム水溶液にて中和滴定試験を行ってカルボキシル基量を求め、得られたカルボキシル基量をカーボンブラック粒子の質量で除すことにより、カーボンブラックの単位重量あたりのカルボキシル基量(μmol/g)を算出する。
本発明の表面改質酸化カーボンブラック水分散体において、酸化カーボンブラック粒子の酸性官能基量(全酸性官能基量)は、カーボンブラック粒子の表面に形成される各酸性官能基量の和から求めることができる。
また、芳香族一級アミンとしてはアニリン等が挙げられる。
この他、上記有機アミンとしては、環状アミンとして、モルホリン、ピリジン、ピペラジン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基の中和量が上記範囲内にあることにより、カーボンブラック粒子同士の静電反発を好適に維持して、充分な分散性を容易に得ることができる。
すなわち、キャピラリー電気泳動装置として、アジレント・テクノロジー社製キャピラリー電気泳動システム「Agilent Technologies CEシステム」、キャリラリーにはフュームドシリカ(104cm)、泳動液にはイミダゾール系溶液をpH4.5にて使用し、また、印加電圧は正にて、検出方法は間接吸光吸光度法にて定量した値を意味する。
表面改質カーボンブラックが、酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基の一部がアンモニアで中和されたものであることにより、酸化カーボンブラック粒子の分散性を向上させることができ、また、酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基の一部が有機アミンで中和されたものであることにより、酸化カーボンブラック粒子の分散性を向上させるとともに、水性インク組成物を調製したときに、水溶媒とともに添加する有機溶媒との相溶性を向上させることができる。
このため、本発明に係る表面改質カーボンブラック水分散体を用いて水性インク組成物を調製したときに、表面改質カーボンブラックを水および有機溶媒に高度に分散させることができ、上記水性インク組成物中の水の含有割合が低く、インクの液滴が紙等の印刷基材に着弾したときに水が揮散してインク中の有機溶媒濃度が高くなった場合においても、黒色顔料であるカーボンブラック粒子の分散性が維持されるため、黒色度を高く保ち、優れた画像濃度を発揮することができると考えられる。
従って、本発明に係る表面改質カーボンブラック水分散体は、インクジェットインク組成物等の水性インク組成物に使用されたときに、水分含有量を低減させて印刷時のカール現象を抑制しつつ、優れた画像濃度および分散安定性を示すことができる。
上記固形分濃度が1質量%未満である場合には、所望濃度のカーボンブラックを含有する水性インク組成物を調製し難くなる。
上記固形分濃度が25質量%を超える場合には、表面改質カーボンブラックが凝集体を形成し易くなることから、水性インク組成物の分散性(分散安定性)を長期に亘って維持し難くなる。
本発明に係る表面改質カーボンブラック水分散体の製造方法は、本発明の表面改質カーボンブラック水分散体を製造する方法であって、酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基の少なくとも一部を、水中においてアンモニアで中和して対イオン化した後、当該対イオン化したアンモニアの一部を有機アミンで置換することを特徴とするものである。
中和処理時の処理温度は、90〜100℃が好ましく、95〜100℃がより好ましく、97〜100℃がより好ましく、中和処理時の処理時間は2〜5時間が好ましい。
中和処理が完了したことは、加温を続けてもそれ以上pHが変動しなくなったことにより確認することができる。
CB−O−:NH4+
(式中、CBはカーボンブラック粒子を示す。)
の形態に中和される(アンモニアにより対イオン化される)。
また、酸化カーボンブラック粒子表面に付与された酸性官能基がカルボキシル基(−COOH)である場合には、アンモニアで処理することにより、酸化カーボンブラック粒子が、
CB−COO−:NH4+
(式中、CBはカーボンブラック粒子を示す。)
の形態に中和される(アンモニアにより対イオン化される)。
余剰のアンモニアの除去は、所要処理時間等の関係から、限外濾過膜を使用して行うことが好ましく、限外濾過膜の分画分子量としては、カーボンブラック粒子が通過せず、水及び水の溶解したイオンが通過する分画分子量であれば特に制限されない。
この際、上記余剰のアンモニアの除去は、精製の度合いが、カーボンブラック濃度4質量%の状態で200μS/cm以下の電動度になるまで行うことが好ましい。
酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基の中和量が上記範囲内にあることにより、カーボンブラック粒子同士の静電反発を好適に維持して、充分な分散性を容易に発揮することができる。
本発明に係る表面改質カーボンブラック水分散体の製造方法において、表面改質カーボンブラックは、酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基の陰イオンモル数を100%とした場合に、その10〜40%が(酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基を構成する全陰イオンの10〜40モル%が)有機アミンで中和されることが好ましく、その15〜40%が(酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基を構成する全陰イオンの15〜40モル%が)有機アミンで中和されることがより好ましく、その20〜40%が(酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基を構成する全陰イオンの20〜40モル%が)有機アミンで中和されることがさらに好ましい。
置換処理時の処理温度は、90〜100℃が好ましく、置換処理時の処理時間は2〜5時間が好ましい。
置換処理が完了したことは、加温を続けてもそれ以上pHが変動しなくなったことにより確認することができる。
酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基を、先ず有機アミンで中和し、次いで対イオン化した有機アミンの一部をアンモニアで置換しようとした場合には、酸化カーボンブラック粒子が十分に分散していない状態でアンモニアと反応させることになることから、目的とする表面改質カーボンブラック水分散体の製造が困難になる。
余剰の有機アミンの除去は、所要処理時間等の関係から、限外濾過膜を使用して行うことが好ましく、限外濾過膜の分画分子量としては、カーボンブラック粒子が通過せず、水及び水の溶解したイオンが通過する分画分子量であれば特に制限されない。
この際、上記余剰の有機アミンの除去は、精製の度合いが、カーボンブラック濃度4質量%の状態で200μS/cm以下の電動度になるまで行うことが好ましい。
有機アミンによる置換処理(または余剰の有機アミンの除去処理)して得られるカーボンブラック分散液中の未分散塊や粗大粒子を除去することは、インクジェットプリンターのノズル閉塞を防止するために重要であり、遠心分離や濾過などの方法により分級除去することができる。
分級処理を遠心分離により行う場合、横型デカンター、ローター式高速遠心分離機、分離板式分離機、シャープレス型縦型遠心分離機等を使用することにより分級処理する方法が挙げられる。
分級処理を濾過により行う場合、デプスフィルター、プリーツフィルター、メンブレンフィルター等を使用したり、更にそれらの多段使用等により効果的に分級処理することができる。
濃度調整を行う方法は特に制限されないが、例えば、限外濾過膜を用いて水を除去したり、逆に水を添加することにより行うことができる。
濃縮処理は、固形分として、上記表面改質カーボンブラックが、1〜25質量%になるように行うことが好ましく、5〜20質量%になるように行うことがより好ましく、10〜20質量%になるように行うことがさらに好ましい。
水性インク組成物としては、例えば水性インクジェットインク組成物を挙げることができる。
本発明に係る表面改質カーボンブラック水分散体または本発明に係る製造方法で得られた表面改質カーボンブラック水分散体は、水溶媒や、水溶媒とともに添加される各種有機溶剤に対し高い相溶性を発揮し得ることから、水分含有割合が低減された水性インク組成物中においても高い分散性を発揮することができ、このために、印刷時のカール現象を効果的に抑制することができる。
また、インク組成物が浸透剤を含有することにより、特に被印刷物が紙のような浸透性のある材料である場合に、被印刷物へのインク組成物の浸透を速め、見掛けの乾燥性を促進することができる。
浸透剤の含有割合が、1.0質量%以下である場合には所望の効果を発揮し難く、5質量%よりも多い場合には、印刷物の滲み、紙抜け(プリントスルー)等を生じ易くなる。
インク組成物が防燻剤を含むことにより、インク組成物中への黴の発生を抑制することができる。
水性インクジェットインク組成物中の防黴剤の含有割合は、0.05〜1.0質量%であることが好ましく、0.05〜0.5質量%であることがより好ましく、0.05〜0.2質量%であることがさらに好ましい。
インク組成物がキレート剤を含むことにより、ノズル部での金属の析出やインク組成物中での不溶解性物の析出などを抑制することができる。
水性インクジェットインク組成物中のキレート剤の含有割合は、0.005〜0.5質量%であることが好ましく、0.005〜0.25質量%であることがより好ましく、0.005〜0.1質量%であることがさらに好ましい。
(1)酸化カーボンブラックの調製
ステンレス鋼で出来た反応槽にイオン交換水50kgを入れ、そこに三菱ガス化学(株)製過硫酸ナトリウムを5kg加えた後、撹拌機(ステンレス鋼)にて完全に溶解するまで撹拌した。溶け残りが無いことを確認して、東海カーボン(株)製カラー用カーボンブラック「トーカブラック#7550F(比表面積135m2/g)」を2.5kg加え、顔料が水に濡れ、均一になるまで撹拌を継続した。
反応槽を60℃まで加熱して5時間保持し、自然放冷させた後、サンプルを取り出し、旭化成ケミカルズ(株)製限外濾過膜「AHV−3010」を用いて水を加えながら酸性残塩の除去を行ない、カーボンブラック濃度4質量%の状態で200μS/cm以下まで脱塩精製処理を行なうことにより、酸化カーボンブラック粒子含有液を調製した。
得られた酸化カーボンブラック粒子において、酸性官能基の含有量は、水酸基量が100μmol/g、カルボキシル基量が450μmol/gであった。
上記酸化カーボンブラック粒子含有液に対し、アンモニア水を加えてpHを9.0に調整し、97℃で3時間撹拌して加熱することにより中和処理を行った。
自然放冷後、旭化成ケミカルズ(株)製限外濾過膜「AHV−3010」を用いて水を加えながら塩基性残塩の除去を行なった。
(アンモニアの中和量(μmol/g)/酸化カーボンブラック粒子の表面に形成された水酸基量とカルボキシル基量の和(μmol/g))×100
上記式により算出される、酸化カーボンブラック粒子の表面に形成された全酸性官能基量(水酸基量とカルボキシル基量の和)に対するアンモニアの中和量の割合(モル%)、すなわち、アンモニウムイオンによる対イオン化割合は、81.8モル%であった。
次いで、トリエチルアミン200gを水に溶解させた状態でゆっくりと加え、同様に97℃で3時間撹拌して熱処理を行なった。
再度自然放冷後、日立工機(株)製ローター式高速遠心分離機「CR22GII」を用いて、回転数10,000rpmにて定速で分級処理を行ない、上記と同じ限外濾過膜を用いてカーボンブラック濃度4質量%の状態で200μS/cm以下まで塩基性残塩並びにカーボンブラック表面に定着していないトリエチルアミンを除去した。
その後、20質量%まで濃縮した後、PALL社製カートリッジフィルター「ProfileII」を用いて濾過を行なうことにより、表面改質カーボンブラックを20質量%含むカーボンブラック分散液1を得た。
(有機アミンの中和量(μmol/g)/酸化カーボンブラック粒子の表面に形成された水酸基量とカルボキシル基量の和(μmol/g))×100
上記式により算出される、酸化カーボンブラック粒子の表面に形成された全酸性官能基量(水酸基量とカルボキシル基量の和)に対する有機アミンの中和量の割合(モル%)、すなわち、有機アミンによる対イオン化割合は、28.4モル%であった。
このため、得られた表面改質カーボンブラックにおいて、アンモニウムイオンによる酸性官能基の対イオン化割合は、53.4モル%であり、有機アミンによる対イオン化割合は、28.4モル%であった。
実施例1において、トリエチルアミンに代えてジエチルアミンを用いた以外は、同様の方法で処理することにより、表面改質カーボンブラックを20質量%含むカーボンブラック分散液2を得た。
このとき、(1)酸化カーボンブラックの調製工程で得られた酸化カーボンブラック粒子において、酸性官能基の含有量は、水酸基量が100μmol/g、カルボキシル基量が450μmol/gであった。
また、(2)アンモニアによる中和処理工程による中和処理によって、酸化カーボンブラック粒子表面の酸性官能基がアンモニウムイオンにより中和され、対イオン化された割合(アンモニウムイオンによる対イオン化割合)は、81.8モル%であった。
(3)有機アミンによる置換処理工程で得られた表面改質カーボンブラックにおいて、アンモニウムイオンによる酸性官能基の対イオン化割合は、46.4モル%であり、有機アミンによる対イオン化割合(酸化カーボンブラック粒子の表面に形成された全酸性官能基量(水酸基量とカルボキシル基量の和)に対する有機アミンの中和量の割合)は、35.4モル%であった。
実施例1において、トリエチルアミンに代えて2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールを用いた以外は、同様の方法で処理することにより、表面改質カーボンブラックを20質量%含むカーボンブラック分散液3を得た。
このとき、(1)酸化カーボンブラックの調製工程で得られた酸化カーボンブラック粒子において、酸性官能基の含有量は、水酸基量が100μmol/g、カルボキシル基量が450μmol/gであった。
また、(2)アンモニアによる中和処理工程による中和処理によって、酸化カーボンブラック粒子表面の酸性官能基がアンモニウムイオンにより中和され、対イオン化された割合(アンモニウムイオンによる対イオン化割合)は、81.8モル%であった。
(3)有機アミンによる置換処理工程で得られた表面改質カーボンブラックにおいて、アンモニウムイオンによる酸性官能基の対イオン化割合は、55.1モル%であり、有機アミンによる対イオン化割合(酸化カーボンブラック粒子の表面に形成された全酸性官能基量(水酸基量とカルボキシル基量の和)に対する有機アミンの中和量の割合)は、26.7モル%であった。
実施例1において、トリエチルアミンに代えてトリエチルアミンとジエチルアミンの均等混合物(体積割合が50:50であるもの)を用いた以外は、同様の方法で処理することにより、表面改質カーボンブラックを20質量%含むカーボンブラック分散液4を得た。
このとき、(1)酸化カーボンブラックの調製工程で得られた酸化カーボンブラック粒子において、酸性官能基の含有量は、水酸基量が100μmol/g、カルボキシル基量が450μmol/gであった。
また、(2)アンモニアによる中和処理工程による中和処理によって、酸化カーボンブラック粒子表面の酸性官能基がアンモニウムイオンにより中和され、対イオン化された割合(アンモニウムイオンによる対イオン化割合)は、81.8モル%であった。
(3)有機アミンによる置換処理工程で得られた表面改質カーボンブラックにおいて、アンモニウムイオンによる酸性官能基の対イオン化割合は、52.5モル%であり、有機アミンによる対イオン化割合(酸化カーボンブラック粒子の表面に形成された全酸性官能基量(水酸基量とカルボキシル基量の和)に対する有機アミンの中和量の割合)は、29.3モル%であった。
(1)酸化カーボンブラックの調製
ステンレス鋼で出来た反応槽にイオン交換水50kgを入れ、そこに三菱ガス化学(株)製過硫酸ナトリウムを5kg加えた後、撹拌機(ステンレス鋼)にて完全に溶解するまで撹拌した。溶け残りが無いことを確認して、東海カーボン(株)製カラー用カーボンブラック「トーカブラック#7550F(比表面積135m2/g)」を2.5kg加え、顔料が水に濡れ、均一になるまで撹拌を継続した。
反応槽を60℃まで加熱して5時間保持し、自然放冷させた後、サンプルを取り出し、旭化成ケミカルズ(株)製限外濾過膜「AHV−3010」を用いて水を加えながら酸性残塩の除去を行ない、カーボンブラック濃度4質量%の状態で200μS/cm以下まで脱塩精製処理を行なうことにより、酸化カーボンブラック粒子含有液を調製した。
得られた酸化カーボンブラック粒子において、酸性官能基の含有量は、水酸基量が100μmol/g、カルボキシル基量が450μmol/gであった。
上記酸化カーボンブラック粒子含有液に対し、アンモニア水を加えてpHを9.0に調整し、97℃で3時間撹拌して加熱することにより中和処理を行った。
自然放冷後、日立工機(株)製ローター式高速遠心分離機「CR22G II」を用いて、回転数10,000rpmにて定速で分級処理を行ない、上記と同じ限外濾過膜を用いてカーボンブラック濃度4質量%の状態で200μS/cm以下まで塩基性残塩並びにカーボンブラック表面に定着していないアンモニアを除去した。
その後、20質量%まで濃縮した後、PALL社製カートリッジフィルター「Profile II」を用いて濾過を行なうことにより、表面改質カーボンブラックを20質量%含む比較カーボンブラック分散液1を得た。
(アンモニアの中和量(μmol/g)/酸化カーボンブラック粒子の表面に形成された水酸基量とカルボキシル基量の和(μmol/g))×100
上記式により算出される、酸化カーボンブラック粒子の表面に形成された全酸性官能基量(水酸基量とカルボキシル基量の和)に対するアンモニアの中和量の割合(モル%)、すなわち、アンモニウムイオンによる対イオン化割合は、81.8モル%であった(有機アミンによる対イオン化割合(酸化カーボンブラック粒子の表面に形成された全酸性官能基量(水酸基量とカルボキシル基量の和)に対する有機アミンの中和量の割合)は、0モル%であった)。
比較例1において、アンモニア水に代えて水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外は、同様の方法で処理することにより、表面改質カーボンブラックを20質量%含む比較カーボンブラック分散液2を得た。
このとき、(1)酸化カーボンブラックの調製工程で得られた酸化カーボンブラック粒子において、酸性官能基の含有量は、水酸基量が100μmol/g、カルボキシル基量が450μmol/gであった。
また、(2)水酸化ナトリウム水溶液による中和処理工程による中和処理によって、酸化カーボンブラック粒子表面の酸性官能基がナトリウムイオンにより中和され、対イオン化された割合(ナトリウムイオンによる対イオン化割合)は、81.8モル%であった。
比較例1において、アンモニア水に代えて水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いた以外は、同様の方法で処理することにより、表面改質カーボンブラックを20質量%含む比較カーボンブラック分散液3を得た。
このとき、(1)酸化カーボンブラックの調製工程で得られた酸化カーボンブラック粒子において、酸性官能基の含有量は、水酸基量が100μmol/g、カルボキシル基量が450μmol/gであった。
また、(2)アンモニアによる中和処理工程による中和処理によって、酸化カーボンブラック粒子表面の酸性官能基が水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液により中和され、対イオン化された割合(テトラメチルアンモニウムイオンによる対イオン化割合)は、81.8モル%であった。
また、各分散液において、粒子径、粘度(常温および70℃で4週間加温後のもの)および画像濃度を以下の方法で測定した。結果を表2に示す。
粒子径は、常温下において、日機装(株)の「UPA150EX」を用いた動的光散乱法により測定した。
常温下の粘度を、東機産業(株)製E型粘度計「TVE−22」にて測定した。
各分散液を純水でカーボンブラック濃度4質量%まで希釈し、常温下において、富士ゼロックス(株)製中性プリンター用紙「P」(坪量64g/m2)に、バーコーターNo.6(膜厚13.7μm)を使って塗工し、自然乾燥させた後、エックスライト社製反射型光学濃度計「504」を用いて画像濃度を測定した。
また、表4より、実施例1〜実施例4で得られたカーボンブラック分散液1〜カーボンブラック分散液4を用いて各々調製されたインク組成物1〜インク組成物3は、水分含有量を低減させても粘度の上昇を抑制して優れた分散安定性を発揮し得るものであることが分かり、また、水分量を低減しても水性インク組成物として実用に供し得ることから印刷時のカール現象の発生を抑制できるものであることが分かる。
また、表4より、比較例1および比較例2で得られた比較カーボンブラック分散液1および比較カーボンブラック分散液2も、酸化カーボンブラック粒子として、表面に付与された酸性官能基が、アンモニアおよび有機アミンの両者で中和されていないものを使用していることから、これ等の分散液を用いて各々調製されたインク組成物1〜インク組成物3も、水分含有量の低減とともに粘度が上昇して分散性が不安定化し、インク組成物として水分量を低減することができず印刷時のカール現象を抑制できないものであることが分かる。
Claims (4)
- 酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基の少なくとも一部を、水中において90〜100℃の処理温度でアンモニアで中和して対イオン化した後、精製処理し、次いで、当該対イオン化したアンモニアの一部を有機アミンで置換することにより、
酸化カーボンブラック粒子の表面に付与された酸性官能基の少なくとも一部がアンモニアおよび有機アミンで中和された表面改質カーボンブラックを含む表面改質カーボンブラック水分散体を製造すること
を特徴とする表面改質カーボンブラック水分散体の製造方法。 - 前記対イオン化したアンモニアの一部を有機アミンで置換する処理の処理温度が、90〜100℃である請求項1に記載の表面改質カーボンブラック水分散体の製造方法。
- 前記対イオン化したアンモニアの一部を有機アミンで置換する処理の処理時間が、2〜5時間である請求項1または請求項2に記載の表面改質カーボンブラック水分散体の製造方法。
- 前記対イオン化したアンモニアの一部を有機アミンで置換した後、さらに精製処理する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表面改質カーボンブラック水分散体の製造方法。
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