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JP6540245B2 - 形状凍結性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

形状凍結性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プレス加工される自動車用鋼板として好適であり、適正に制御された降伏点伸びを持つ440N/mm以上の引張強度を有する形状凍結性に優れた高強度鋼板およびその製造方法に関する。
近年、自動車の燃費改善対策としての車体軽量化と、衝突時における乗員保護のニーズとが強まり、自動車用鋼板の高強度化が進められている。鋼板は、高強度化に伴って加工性が劣化する。このため、DP(Dual Phase)鋼、TRIP(Transformation Induced Plasticity)鋼などの加工性に優れる高強度鋼板の開発が進められてきた。
衝撃吸収部材では、衝突時の乗員保護の観点から、変形量を抑制しつつ衝突時の吸収エネルギーを増加させることが要求される。この要求に対応するには、非特許文献1に記載されているように、衝撃吸収部材の材料として用いる鋼板の降伏応力を増加させることが有効である。
一方、衝撃吸収部材を曲げ半径R(mm)の小さい形状に加工することで、衝撃吸収部材の衝撃吸収特性を高めることができる。このような形状を有する衝撃吸収部材を得るには、形状凍結性に優れた鋼板を用いる必要がある。
したがって、強度および降伏応力が高く、形状凍結性に優れる鋼板を用いることで、衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材が得られる。また、このような鋼板を用いることで、残留応力が低く、疲労特性の優れた部品が得られる。
しかしながら、非特許文献2に記載されているように、鋼板の降伏応力および強度と、形状凍結性とは、非常に強い逆相関があり、両立が難しい。
これまで、形状凍結性を向上させる技術としては、非特許文献3に記載されているように、鋼板の成形方法に頼るものが多かった。また、特許文献1には、形状凍結性を改善する技術として、鋼板の集合組織を制御する技術が提案されている。しかし、特許文献1に記載の技術では、集合組織を制御するため、製造方法の制約が多かった。
一方、特許文献2には、高降伏比を有する高強度鋼板として、転位を多く含む未再結晶フェライトを均一に分散させることにより、未再結晶フェライトを強化組織として活用する技術が記載されている。また、特許文献2には、再結晶フェライトと未再結晶フェライトの圧延方向の長さの比を制御することで、高い降伏応力と加工性を両立する技術が記載されている。
また、特許文献3には、硬質第2相よりも軟質である未再結晶フェライトを活用することにより、局部延性を向上させるとともに、冷延鋼板のヤング率を向上させる技術が報告されている。また、特許文献4には、未再結晶フェライトを活用してヤング率とランクフォード値(r値)を高める技術が紹介されている。
しかし、特許文献2〜特許文献4に記載の技術は、形状凍結性の改善に関わる技術ではない。
国際公開第00/006791号 特開2008−156680号公報 特開2008−106352号公報 特開2009−114523号公報
自動車技術会 春季学術講演会論文集、昭和48年 P60. プレス成型ハンドブック第3版 日刊工業新聞社(2007)P346. プレス成型ハンドブック第3版 日刊工業新聞社(2007)P342.
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、440N/mm以上の引張強度と適正な降伏点伸びを有する形状凍結性に優れた高強度鋼板およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、未再結晶フェライトに着目し、未再結晶フェライトの硬さを最大限に利用しつつ、形状凍結性を高める方策について、鋭意検討を重ねた。
その結果、金属組織に含まれる未再結晶フェライト相の面積率を20%超、35%以下にすることで、降伏点伸びを4.0%以上、10.0%以下とすることができ、局部的な曲げくびれを起こさずに形状凍結性を高めることが可能であることを見出した。
また、本発明者らは、未再結晶フェライトを適度に含有している金属組織を有する高強度鋼板を製造する方法について検討した。その結果、熱延鋼板に酸洗を行った後、15%以上の圧延率で冷間圧延を行って得られた冷延鋼板を、成分組成、熱延鋼板の結晶粒径、冷間圧延での圧延率によって決定される再結晶温度(再結晶完了温度)−30℃以下、再結晶温度−60℃以上の最高温度で焼鈍することが重要であることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1) 質量%で、
C :0.03%以上、0.35%以下、
Si:0.01%以上、2.00%以下、
Mn:0.3%以上、4.0%以下、
P :0.001%以上、0.100%以下、
S :0.0005%以上、0.050%以下、
N :0.0005%以上、0.010%以下、
Al:0.01%以上、2.00%以下
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
金属組織が20%超、35%以下の面積率で未再結晶フェライト相を含有し、
降伏点伸びが4.0%以上、10.0%以下であることを特徴とする形状凍結性に優れた高強度鋼板。
(2) 前記未再結晶フェライト相の70%以上の面積率が、長軸の長さが50μm以下である未再結晶フェライト粒からなり、
前記未再結晶フェライト粒の連結率が0.50以下であることを特徴とする(1)に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板。
(3) さらに、質量%で、
Cr:0.05%以上、3.0%以下、
Mo:0.05%以上、1.0%以下、
Ni:0.05%以上、3.0%以下、
Cu:0.05%以上、3.0%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板。
(4) さらに、質量%で、
Nb:0.005%以上、0.30%以下、
Ti:0.005%以上、0.30%以下、
V :0.01%以上、0.50%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板。
(5) さらに、質量%で、
B:0.0001%以上、0.100%以下を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板。
(6) さらに、鋼中に質量%で、
Ca:0.0005%以上、0.010%以下、
Mg:0.0005%以上、0.010%以下、
Zr:0.0005%以上、0.010%以下、
REM:0.0005%以上、0.010%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板。
(7) さらに、表面に溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板。
(8) (1)〜(7)のいずれかに記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板の製造方法であって、(1)(3)〜(6)のいずれかに記載の成分組成からなる鋳造スラブを1100℃以上に加熱し、熱間圧延を実施し、酸洗を行った後、15%以上の圧延率で冷間圧延を行い、得られた冷延鋼板を再結晶温度−30℃以下、再結晶温度−60℃以上の最高温度にて焼鈍する焼鈍工程を行った後、1℃/秒以上、200℃/秒以下の平均冷却速度で480℃以下まで冷却する冷却工程を行うことを特徴とする形状凍結性に優れた高強度鋼板の製造方法。
(9) 前記焼鈍工程において、前記最高温度以下、最高温度−30℃以上の温度範囲で15秒以上、250秒以下保持することを特徴とする(8)に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板の製造方法。
(10) 前記冷却工程の後に、溶融亜鉛めっきを施し、合金化処理を行うことを特徴とする(8)または(9)に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板の製造方法。
本発明によれば、未再結晶フェライト相を適正に制御された面積率で含むことにより、適正な降伏点伸びを有し、高強度でありながら優れた形状凍結性を有する高強度鋼板を提供できる。本発明の高強度鋼板は、例えば、衝突吸収特性が要求される衝撃吸収部材の材料として好適である。また、本発明の高強度鋼板を用いることで、残留応力が低く、優れた疲労特性を有する部品が得られる。また、本発明の高強度鋼板を、例えば、衝撃吸収部材など自動車用部材の材料として用いることで、車体の軽量化による燃費の向上、形状凍結性向上による製造コストの低減を図ることができる。したがって、本発明は、工業的価値が大なるものである。
未再結晶フェライト相の面積率と降伏点伸びとの関係を示したグラフである。 降伏応力と伸びとの関係を示したグラフである。
以下、本発明の高強度鋼板およびその製造方法について詳細に説明する。
未再結晶フェライトは、古くから硬質なフェライトとして認識されていた。このため、未再結晶フェライトは、低コストで鋼板の強度を高める手段として利用されてきた。
本発明者らは、未再結晶フェライトの硬さを最大限に利用しつつ、形状凍結性を高める方策について、鋭意検討を重ねた。
その結果、特定の成分組成を有している場合、金属組織に含まれる未再結晶フェライト相の面積率が、降伏点伸びと相関関係を有していることが分かった。このため、未再結晶フェライト相の面積率を制御することにより、降伏点伸びを変化させることが可能であることが分かった。
未再結晶フェライト相は硬質相であるため、これを含む鋼板の降伏応力は高くなりやすい。加えて、未再結晶フェライト相は、再結晶フェライト相に比べて粒内の転位密度が高いことから、鋼板の降伏点伸びを向上させる不動化した転位を多く含む。特に、炭素含有量が0.30%以下である低炭素鋼の未再結晶フェライト相には、不動化した転位が多く存在する。これらのことから、未再結晶フェライト相の面積率を制御することにより、不動化した転位が適度に存在する鋼板とすることができ、降伏点伸びを適正な範囲に制御できる。
本発明者らは、優れた形状凍結性が得られ、しかも、降伏点伸びが大きすぎることによる加工時の局部的な曲げくびれが生じにくい4.0%以上、10.0%以下の降伏点伸びの得られる未再結晶フェライト相の面積率の範囲について検討した。その結果、未再結晶フェライト相の面積率が20%超、35%以下である場合に、4.0%以上、10.0%以下の適正な降伏点伸びが得られることを見出した。
更に、本発明者らは、検討を重ね、未再結晶フェライト相に含まれる未再結晶フェライト粒の長軸の長さおよび連結率を制御して、金属組織における局所変形部位の均一性を高めることで、形状凍結性がさらに向上することを見出した。そして、未再結晶フェライト相の70%以上の面積率が、長軸の長さが50μm以下である未再結晶フェライト粒からなり、未再結晶フェライト粒の連結率が0.50以下である場合、伸びの劣化を抑えつつ、降伏応力を高めることができ、降伏点伸びが同じで未再結晶フェライト粒の長軸の長さおよび連結率が上記範囲でない鋼板と比較して、より形状凍結性が向上することを確認した。
未再結晶フェライト粒の長軸の長さおよび連結率を上記範囲とすることによって、上記効果が得られる理由は明らかではないが、未再結晶フェライト粒内の比較的多量の不動化した転位が鋼板中に均一に分散されていることにより、降伏点伸びによる形状凍結性への寄与が顕著になったためと推定される。
本発明の高強度鋼板は、未再結晶フェライト相の面積率と、未再結晶フェライト粒の長軸の長さおよび連結率とを制御することにより、形状凍結性を向上させたものである。
本発明の高強度鋼板の製造方法では、冷間圧延の圧延率を制御するとともに、焼鈍工程における最高温度を、成分組成、熱延鋼板の結晶粒径、冷間圧延での圧延率により決まる再結晶温度に準じて厳密に制御する。
本発明の高強度鋼板およびその製造方法を用いて得られる高強度鋼板の厚みは、特に限定されないが、0.1〜11.0mmの薄鋼板であることが好ましい。厚みが上記範囲である高強度薄鋼板は、例えば、衝撃吸収部材などプレス加工して製造される自動車用部材の材料として好ましく使用できる。また、厚みが上記範囲である高強度薄鋼板は、薄板製造ラインを用いて容易に製造できる。
本発明の高強度鋼板は、引張強度が440N/mm以上であることが好ましい。引張強度が上記範囲内の高強度鋼板は、特に、衝撃吸収部材などの自動車用部材の材料として好適である。
以下、本発明の各構成要件について、詳細に説明する。
まず、鋼板材質の限定理由について述べる。
本発明の高強度鋼板は、4.0%以上、10.0%以下の降伏点伸びを有する。降伏点伸びを上記範囲とすることによって形状凍結性が改善する理由は明確ではないが、降伏点現象はひずみの局所化を促進するため、降伏点伸びが十分に大きいと板厚全面で降伏現象が起こるためであると推定される。
鋼板の降伏点伸びが大きいほど、R/t(R:曲げ半径、t板厚)の小さい条件でも形状凍結性の向上効果が発揮される。自動車用鋼板において十分な形状凍結性を得るためには、降伏点伸びを4.0%以上とする必要がある。一方で、降伏点伸びが大きすぎると、降伏点伸びの後に加工硬化が起こり難くなる。このため、加工時に、曲げ割れの原因となる局部的な曲げくびれが発生しやすくなる。したがって、降伏点伸びの上限は10.0%とする。特に、強度の高い鋼板においては、曲げくびれの発生を防止するために、降伏点伸びを8.0%以下とすることが望ましい。
また、本発明の高強度鋼板が、衝撃吸収部材の材料として用いられる鋼板である場合、YR(降伏応力/引張強度)が0.75以上であることが好ましい。YRが高い鋼板であるほど、同一引張強度での低ひずみ域の応力が高くなり、例えば、これを用いて衝撃吸収部材を形成した場合に優れた衝撃吸収特性が得られる。
次に、本発明の成分組成の限定理由について述べる。以下、特に断らない限り、%は質量%を意味する。
Cは、鋼の強化に寄与する。C含有量は、強度を確保するために0.03%以上必要であり、0.04%以上であることが好ましい。一方で、鋼の加工性に影響を及ぼす元素であり、C含有量が多くなると、加工性が劣化する。C含有量が0.35%を超えると、第2相としてベイナイトやパーライト、マルテンサイトが多量に発生し、これらが未再結晶フェライトと相互に影響して伸びが低下する。また、C含有量が0.35%を超えると、有害な炭化物(セメンタイト)の生成により穴広げ性が著しく低下する。このため、C含有量は0.35%以下とする。但し、特に高い穴拡げ性が要求される場合、C含有量を0.10%以下とすることが望ましい。
Siは、固溶強化により鋼の強度を高めるうえ、延性の低下が少ない。したがって、Siは、鋼の強度を高めるために有効な元素である。また、Siは、有害な炭化物の生成を抑え、加工性の改善にも効果がある。炭化物の生成を抑える作用は、Alによって代替えも可能である。以上から、Siは0.01%以上添加する。特に0.10%以上のAlを添加しない場合は、0.30%以上のSiを添加することが望ましい。ただし、Si含有量が多すぎると、化成処理性が低下するほか、点溶接性も劣化する。このため、Si含有量は2.00%を上限とする。
Alは、前述のSiと同様、有害な炭化物の生成を抑え、伸びを向上するために有効な元素である。従来、Alは脱酸に必要な元素であり、0.01〜0.07%程度添加してきた。本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、低Si系においてAlを多量に添加することにより、延性を劣化させることなく、化成処理性を改善できることを見出した。しかし、Al含有量が多すぎると、延性向上の効果が飽和してしまうばかりか、化成処理性も点溶接性も劣化する。このため、Al含有量は2.00%を上限とし、特に化成処理の厳しい条件では1.00%を上限とすることが望ましい。十分な脱酸のためには、Alを0.01%以上添加する必要がある。
Mnは、強度確保に必要な元素である。また、Mnは、再結晶を遅らせて未再結晶フェライトの生成に寄与する。この効果を得るためには、Mn含有量を0.3%以上とする必要がある。しかし、Mnを多量に添加すると、ミクロ偏析、マクロ偏析が起こりやすくなり、伸びを劣化させる。これより、Mn含有量は4.0%を上限とする。
Pは、鋼板の強度を上げる元素であり、Cuと同時添加することにより耐腐食性を向上する元素である。しかし、P含有量が高いと、溶接性、加工性、靭性の劣化を引き起こす。これより、P含有量は0.100%以下とする。特に、耐食性が問題とならない場合には、加工性を重視して、P含有量を0.030%以下とすることが望ましい。しかし、P含有量を低減させるには、コストがかかるため、脱Pコストの観点から下限を0.001%とする。
Sは、MnS等の硫化物を形成し、割れの起点となり、加工性のうち穴拡げ性を低減させる。したがって、S含有量は0.050%以下とする必要がある。但し、S含有量を0.0005%未満にするためには、脱硫コストが高くなる。このため、S含有量を0.0005%以上とする。
Nは、加工性を劣化させる。また、NとともにTiおよび/またはNbが添加された場合には、TiN、NbNの生成によりTi、Nbの有効量が低減する上、生成した窒化物が、降伏点伸びおよび穴拡げ性を低下させる。このため、N含有量は、少ない方が良い。上記の制約から、N含有量は0.010%以下とする。脱Nコストの観点から、N含有量の下限を0.0005%とする。
本発明の高強度鋼板は、さらに、必要に応じて以下の元素を含有してもよい。
Ti、Nb、Vは、いずれも炭化物を形成し、強度の増加に有効である。この効果を有効に発揮させるためには、Ti、Nb、Vの1種または2種以上を添加する必要がある。また、Ti、Nb、Vは、再結晶を遅らせ、未再結晶フェライトの形成に寄与する。これらの効果を得るためには、Tiは0.005%以上、Nbは0.005%以上、Vは0.01%以上の添加が必要である。しかし、Ti、Nb、Vの添加が過度になると、析出強化により降伏点伸びが劣化する。このため、Tiの含有量は0.30%以下、Nbの含有量は0.30%以下、Vの含有量は0.50%以下とする。
Ca、Mg、Zr、REMは、硫化物系の介在物の形状を制御し、加工性の向上に有効である。この効果を有効に発揮させるためには、Ca、Mg、Zr、REMの1種または2種以上を添加する必要がある。このとき、各々の元素は0.0005%以上添加する必要がある。一方、多量の添加は、逆に鋼の清浄度を悪化させるため、伸びの低下につながる。これより、Ca、Mg、Zr、REMの1種または2種以上を含有する場合、各々の添加量の上限を0.010%とする。
Cuは、Pとの複合添加により、耐腐食性を向上する元素である。この効果を得るためには、Cuを0.05%以上添加することが望ましい。但し、多量のCuの添加は、焼き入れ性を増加させ、延性が低下する。このため、Cu含有量の上限を3.0%とする。
Niは、Cuを添加したときの熱間割れを抑制する元素である。この効果を得るためには、Niを0.05%以上添加することが望ましい。但し、多量のNiの添加は、Cu同様に焼き入れ性を増加させ、延性が低下する。このため、Ni含有量の上限を3.0%とする。
Moは、セメンタイトの生成を抑制し、強度に寄与するほか、穴拡げ性を向上させるのに有効な元素である。この効果を得るためには、Moを0.05%以上添加する必要がある。但し、Moも焼き入れ性を高める元素であるため、Moを過剰に添加すると延性が低下する。このため、Mo含有量の上限を1.0%とする。
CrもVと同様に炭化物を形成し、強度確保に寄与する元素である。この効果を得るためには、Crを0.05%以上添加する必要がある。但し、Crは、焼き入れ性を高める元素であるため、多量に添加すると伸びが低減する。そこで、Cr含有量の上限を3.0%とする。
Bは、Mnと同様に強度に寄与する元素である。この効果を得るためには、B含有量を0.0001%以上とする必要がある。但し、Bも焼き入れ性を高める元素であるため、多量に添加すると延性が低下する。このため、B含有量の上限を0.100%とする。
次に、本発明の高強度鋼板の金属組織について説明する。
本発明において、最も重要な特徴のひとつが未再結晶フェライト相の面積率である。降伏点伸びを増加させるには、未再結晶フェライト相を多く含有するとよい。しかし、未再結晶フェライト相が多すぎると、降伏点伸びが大きくなりすぎて加工時に局部的な曲げくびれが発生しやすくなる。このため、未再結晶フェライト相の面積率は20%超、35%以下とする必要がある。特に、鋼板が加工の厳しい条件で用いられるものである場合には、未再結晶フェライト相の面積率を30%以下とすることが望ましい。
「未再結晶フェライト相の面積率の算出方法」
本発明の高強度鋼板に含まれる未再結晶フェライト相の面積率は、以下に示す方法により求める。
圧延方向に平行な板厚断面を観察面として試料を採取し、観察面を研磨、ナイタールエッチ、必要に応じてレペラーエッチを行ってから光学顕微鏡で観察し、写真を撮影する。得られた顕微鏡写真を画像解析することによって、フェライト相と、フェライト相以外とを区別して、フェライト相の面積率を算出する。なお、フェライト相の面積率は、顕微鏡写真の1つの視野を縦200μm横200μm以上の面積とし、視野の異なる10以上の顕微鏡写真をそれぞれ画像解析してフェライト相の面積率を算出し、これを平均することにより求める。
また、鋼板を機械研磨等によって所定の板厚まで減厚し、電解研磨等によって歪みを除去すると同時に、板厚1/4面が測定面となるように試料を作製する。作成した試料の測定面について、電子後方散乱解析像(Electron back scattering pattern、EBSPという。)における結晶方位測定データを得る。EBSPは、試料の各結晶粒内で5点以上測定する。EBSPの各測定結果から得られた結晶方位測定データは、ピクセルとして出力される。
次に、得られた結晶方位測定データをKernel Average Misorientation(KAM)法で解析し、フェライト相に含まれる未再結晶フェライトを判別し、フェライト相中の未再結晶フェライトの面積率を算出する。KAM法では、隣接したピクセル(測定点)との結晶方位差を定量的に示すことができる。本発明では、隣接する測定点との平均結晶方位差が1°以上である粒を未再結晶フェライトと定義する。
次に、高強度鋼板の金属組織中のフェライト相の面積率と、フェライト相中に含まれる未再結晶フェライトの面積率とを用いて、金属組織中の未再結晶フェライトの面積率を算出する。
また、未再結晶フェライト相の分散状態を示す未再結晶フェライト粒の長軸の長さおよび連結率は、形状凍結性に影響を与える。形状凍結性に寄与するためには、未再結晶フェライト相の70%以上の面積率を、長軸の長さが50μm以下である未再結晶フェライト粒からなるものとし、未再結晶フェライト粒の連結率を0.50以下とすることが好ましい。鋼板の形状凍結性をより一層向上させるためには、未再結晶フェライト相のうち、長軸の長さが50μm以下である未再結晶フェライト粒の面積率は、80%以上であることがより好ましく、未再結晶フェライト粒の連結率は、0.40以下であることがより好ましい。
なお、未再結晶フェライト相の70%以上の面積率が、長軸の長さが50μm以下である未再結晶フェライト粒であるとは、2箇所以上の未再結晶フェライト相のそれぞれについて、以下に示す方法により100個程度の未再結晶フェライト粒の長軸の長さを測定し、測定数に対する長軸の長さが50μm以下の未再結晶フェライト粒の割合{(50μm以下の未再結晶フェライト粒の数/測定した未再結晶フェライト粒の数)×100}を算出し、その平均値が70%以上であることを意味する。
「未再結晶フェライト粒の長軸の長さの測定方法」
未再結晶フェライト粒の長軸の長さは、2次元の光学顕微鏡またはEBSPにおける結晶方位解析から得られる未再結晶フェライト粒の観察結果を用いて測定する。ただし、2つ以上の未再結晶フェライト粒が接して存在していて、以下に示す条件を満たす場合、2つ以上の未再結晶フェライト粒の塊の一部または全部を1つの未再結晶フェライト粒として取り扱う。すなわち、互いに接して存在している未再結晶フェライト粒のうち界面の長さが短い方の界面の長さに対して、未再結晶フェライト粒同士の界面の長さが1/5以上である場合である。この場合の未再結晶フェライト粒の長軸の長さは、未再結晶フェライト粒の塊の長軸の長さと定義する。
「未再結晶フェライト粒の連結率の算出方法」
未再結晶フェライト粒の連結率とは、未再結晶フェライト粒と隣り合う結晶粒の総数Aのうち、未再結晶フェライト粒と隣り合う結晶粒が他の未再結晶フェライト粒である数Bの割合(B/A)である。未再結晶フェライト粒の連結率は、2箇所以上の未再結晶フェライト相のそれぞれについて、100個程度の未再結晶フェライト粒の連結率を算出し、それを平均することにより算出した。
未再結晶フェライト粒と隣り合う結晶粒の総数A、および隣り合う結晶粒が他の未再結晶フェライト粒である数Bは、2次元の光学顕微鏡またはEBSPにおける結晶方位解析から得られる未再結晶フェライト粒の観察結果を用いて測定する。ただし、2つ以上の未再結晶フェライト粒が接して存在していて、以下に示す条件を満たす場合、2つ以上の未再結晶フェライト粒の塊の一部または全部を1つの未再結晶フェライト粒として取り扱う。すなわち、互いに接して存在している未再結晶フェライト粒のうち界面の長さが短い方の界面の長さに対して、未再結晶フェライト粒同士の界面の長さが1/5以上である場合である。
なお、本発明は、未再結晶フェライト相を最大限に活用する発明であり、本発明の高強度鋼板の金属組織において、未再結晶フェライト相以外の相については、特に制約を設けるものではない。
本発明の高強度鋼板は、表面に溶融亜鉛めっき層を有していてもよい。表面に亜鉛めっき層を付与することで、耐食性が向上する。溶融亜鉛めっき層は、ZnとAlとを含み、Fe含有量を13%未満に制限したものであることが好ましい。溶融亜鉛めっき層中のFe含有量が13%未満であると、めっき密着性、成形性、穴拡げ性に優れる。Fe含有量が13%以上であると、溶融亜鉛めっき層自体の密着性が損なわれる。このため、鋼板を加工する際に溶融亜鉛めっき層が破壊・脱落し、金型に付着することで、疵の原因となる。
溶融亜鉛めっき層は、合金化されていてもよい。合金化された溶融亜鉛めっき層では、合金化処理によって溶融亜鉛めっき層中にFeが取り込まれているため、優れたスポット溶接性および塗装性が得られる。合金化された溶融亜鉛めっき層では、Fe含有量は7%以上であることが好ましい。Fe含有量が7%未満では、合金化処理を行うことによるスポット溶接性の向上効果が不十分となる場合がある。
なお、合金化されていない溶融亜鉛めっき層では、Fe含有量が13%未満であれば、7%未満であっても溶融亜鉛めっき層を有することによる効果に影響はなく、0%であってもよい。
めっき付着量については、特に制約は設けないが、耐食性の観点から片面付着量で5g/m以上であることが望ましい。
本発明の高強度鋼板では、溶融亜鉛めっき層上に、塗装性、溶接性を改善する目的で上層めっきを施してもよい。また、本発明の高強度鋼板では、溶融亜鉛めっき層上に、各種の処理、例えば、クロメート処理、りん酸塩処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理等を施してもよい。
次に、本発明の高強度鋼板の製造方法について説明する。
本発明の高強度鋼板を製造するには、まず、上記のいずれかの成分組成からなる鋳造スラブを用意する。次いで、鋳造スラブを直接または一旦冷却した後、1100℃以上に加熱し、熱間圧延を実施する。
本実施形態では、熱間圧延を行う前に、鋳造スラブの均質化および炭窒化物の溶解のために1100℃以上に加熱する熱処理を行う。鋳造スラブの熱処理は、鋳造スラブを鋳造した後の高温のままの鋳造スラブに直接行ってもよいし、鋳造後に一旦冷却した鋳造スラブを再加熱して行ってもよい。
鋳造スラブの熱処理温度が1100℃未満では、鋳造スラブの均質化および炭窒化物の溶解が不十分となり、強度の低下や加工性の低下を起こす。一方、鋳造スラブの熱処理温度が1300℃を超えると、製造コストが増加するとともに、生産性が低下する。また、熱処理温度が1300℃を超えると、初期のオーステナイト粒径が大きくなることで最終的に混粒になりやすくなり、延性が低下する恐れがある。そこで、鋳造スラブの熱処理温度は、1100℃以上とする必要があり、1300℃未満が望ましい。
熱間圧延は、Ar点以上の温度で仕上げ圧延を行うことが望ましい。熱間圧延の仕上げ温度がAr点を下回ると、冷間圧延での割れを誘発し、材質の低下が懸念される。
Ar変態温度は、質量%で表したC、Si、P、Al、Mn、Mo、Cu、Cr、Niの含有量、それぞれ(%C)(%Si)(%P)(%Al)(%Mn)(%Mo)(%Cu)(%Cr)(%Ni)を用いて、以下の式により計算すれば良い。また、選択的に添加される元素であるMo、Cu、Cr、Niは、含有量が不純物程度である場合は、0として計算する。
Ar=901−325×(%C)+33×(%Si)+287×(%P)
+40×(%Al)−92×(%Mn+%Mo+%Cu)−46×(%Cr+%Ni)
熱間圧延後に得られた熱延鋼板は、酸洗にてスケール層を除去した後、冷間圧延を行う。冷間圧延は15%以上の圧延率で行う。冷間圧延での圧延率が15%未満であると、再結晶核の形成が起こりにくく、回復粒の粗大化によって粒成長が始まる。このため、再結晶が不十分となり、未再結晶フェライトの面積率が35%以下である金属組織を得ることが困難となる。冷間圧延での圧延率は、未再結晶フェライトの面積率を小さくして、降伏点伸びが大きすぎることによる加工時の鋼板の曲げ割れを防止するために、25%以上とすることが好ましい。また、冷間圧延での圧延率は、圧延荷重が高いことによる鋼板形状の劣化を防止するため、80%以下であることが好ましい。
次に、得られた冷延鋼板を再結晶温度−30℃以下、再結晶温度−60℃以上の最高温度にて焼鈍する焼鈍工程を行う。
焼鈍工程は、本発明の高強度鋼板の金属組織を作りこむうえで、最も重要な工程である。焼鈍工程における最大到達温度(最高温度)は、再結晶温度に対して管理される。すなわち、最大到達温度を、再結晶温度−30℃以下、再結晶温度−60℃以上とする必要がある。最大到達温度が、再結晶温度−30℃を超えると、十分に未再結晶フェライト相を残存させることが困難となる。最大到達温度は、未再結晶フェライトの面積率を確保しやすくするために、再結晶温度の−35℃以下であることが好ましい。また、最大到達温度が、再結晶温度−60℃未満であると、未再結晶フェライト相が残存しすぎて、降伏点伸びが大きすぎるものとなる。最大到達温度は、再結晶温度の−55℃以上であることが好ましい。
再結晶温度は、再結晶温度を変化させる主な因子である、成分組成、熱延鋼板の結晶粒径、冷間圧延での圧延率によって、以下に示す方法により、予め決定される。
「再結晶温度の算出方法」
所定の成分組成、熱延鋼板の結晶粒径、冷間圧延での圧延率で作成した冷延鋼板(冷延まま材)を、ディラトメータにて10℃/sの昇温速度で加熱し、種々の到達温度に達したところで冷却を行って試験体とする。本実施形態では、到達温度を10℃以下のピッチで変化させて、到達温度の異なる複数の試験体を作成する。得られた各試験体の未再結晶フェライト相の面積率を、上述した「未再結晶フェライト相の面積率の算出方法」を用いて調べる。そして、再結晶フェライト相の面積率が98%以上であった試験体の到達温度の最高温度を、再結晶温度とする。
なお、再結晶温度を決定する際には、精度が確認されていて、鋼板の未再結晶フェライト相の面積率と対応している物理モデルを用いて、上記の複数の試験体のうちの一部または全部の未再結晶フェライト相の面積率を算出してもよいし、再結晶温度を算出してもよい。
また、複数の試験体の未再結晶フェライト相の面積率に基づいて、成分組成、熱延鋼板の結晶粒径、冷間圧延での圧延率のいずれかの条件(例えば、成分組成)と再結晶温度との関係を示すマップを作成し、これを用いて再結晶温度を決定してもよいし、上記のいずれか1以上の条件と再結晶温度との経験式を作成し、これを用いて再結晶温度を決定してもよい。
本実施形態では、焼鈍工程において、最高温度以下、最高温度−30℃以上の温度範囲で15秒以上、250秒以下保持することが好ましい。最高温度以下、最高温度−30℃以上の温度範囲で15秒以上保持することにより、未再結晶フェライト粒の長軸の長さが低減するとともに、連結率が低減する。一方、最高温度以下、最高温度−30℃以上の温度範囲での保持時間が、250秒を超えても、未再結晶フェライト粒の長軸の長さおよび連結率の低減効果が飽和する上、生産性が低下して製造コストが増大するため、好ましくない。
本実施形態では、焼鈍工程を行った後、1℃/秒以上、200℃/秒以下の平均冷却速度で480℃以下まで冷却する冷却工程を行う。
冷却工程では、冷却中の組織変化による材質劣化を抑制するため、1℃/秒以上の平均速度で冷却する必要がある。また、200℃/秒を超える平均冷却速度としても、高強度鋼板の特性が大きく変わることはなく、冷却停止温度の精度の低下および冷却コストの増大を生み出す。このため、平均冷却速度の上限を200℃/秒とする。
冷却工程では、冷却停止温度を480℃以下とする。冷却停止温度が480℃を超えるとパーライトの形成により、高強度鋼板の降伏点伸びが著しく劣化する。
本実施形態では、冷却工程の後に、溶融亜鉛めっきを施してもよい。このことにより、表面に溶融亜鉛めっき層を有する高強度鋼板が得られる。
さらに、本実施形態では、溶融亜鉛めっきを施した後に、合金化処理を行ってもよい。合金化処理を行う場合には、600℃以下の温度で行うことが好ましい。合金化処理の温度を600℃以下とした場合、冷却工程後の鋼板の金属組織が、合金化処理を行うことによって変化することを抑制でき、好ましい。
次に、本発明を実施例に基づいて説明する。
表1に示す成分組成の鋼を溶製し、常法に従い連続鋳造法により鋳造スラブとした。
表1において、符号A〜Lの鋼は、成分組成が本発明を満たしている。符号aの鋼はCとCaの含有量、bの鋼はMnとPの含有量、cの鋼はNbの含有量、dの鋼はCの含有量、eの鋼はSiとSの含有量、fの鋼はNとTiの含有量が、それぞれ本発明の範囲外である。
表2および表3における鋼の符号は、アルファベットが表1に示す鋼の種類を表し、数字が実施例の番号を表す。例えば「A1」とあるのは、表1の鋼Aを用いた1番目の実施例であることを意味する。
表1〜3においては、本発明範囲から外れる数値にアンダーラインを付している。
Figure 0006540245
Figure 0006540245
Figure 0006540245
表1に示す成分組成の鋳造スラブを、加熱し、熱間圧延、酸洗、冷間圧延し、焼鈍工程、冷却工程を行って、板厚1.4mmの鋼板を得た。
表2に、鋳造スラブ加熱温度、Ar、熱間圧延の仕上温度、冷間圧延の圧延率、焼鈍工程の再結晶温度−最高到達温度(最高温度)、最高温度での保持時間、冷却工程での平均冷却速度、冷却停止温度を示す。
得られた鋼板の一部については、常法に従って溶融亜鉛めっきを施し、溶融亜鉛めっきを施したものの一部には溶融亜鉛めっきに浸漬した後に600℃以下の温度で合金化処理を行って、供試体とした。
また、溶融亜鉛めっきを施さなかった鋼板については、そのまま供試体として用いた。
表2に、溶融亜鉛めっき層の有無、合金化処理の有無を示す。
各供試体について、JIS Z2241に準拠して機械特性(降伏応力、引張強度、伸び、降伏点伸び)を評価した。その結果を表3に示す。
また、供試体について、上述した方法を用いて、未再結晶フェライト相の面積率、未再結晶フェライト相中の長軸の長さが50μm以下である未再結晶フェライト粒の面積率、未再結晶フェライト粒の連結率を調べた。その結果を表3に示す。
各供試体について、以下に示す方法により、形状凍結性を評価した。
薄鋼板成形技術研究会編の「プレス成型難易ハンドブック 第3版」(日刊工業新聞社)の131〜133ページに記載のU曲げ試験法に準拠して90度曲げ試験を行った。
そして、開口角度から90度を引いた値(スプリングバック量)が、特許文献1に一般鋼のスプリングバック量と記載しているスプリングバック量(<3.66×TS(引張強度)+3.25)を満たすものを「○」とし、これを上回るものを「×」とした。
また、形状凍結性の評価に用いる試験体を作製する際の加工時に、曲げくびれが発生したものを「※」とし、強度不足により形状凍結性の評価ができなかったものを「−」とした。
その結果を表3に示す。
図1は、未再結晶フェライト相の面積率と降伏点伸びとの関係を示したグラフであり、表3に示す発明鋼1および発明鋼2の結果と、比較鋼のうち成分組成が本発明を満たすものの結果とを示したものである。
図1に示すように、成分組成が本発明を満たす場合、未再結晶フェライト相の面積率と降伏点伸びとは、相関関係がある。
また、図1に示すように、未再結晶フェライト相の面積率が20%超、35%以下である本発明の請求項1を満たす発明鋼の供試体(表3の備考における発明鋼1および発明鋼2)は、降伏点伸びが4.0%以上、10.0%以下であった。また、表3に示すように、これら発明鋼の供試体は、スプリングバック量が少なく、形状凍結性の評価が○であった。また、成分組成が本発明を満たし、未再結晶フェライト相の面積率が本発明の範囲外である比較鋼の供試体(表3の備考における比較鋼の一部)は、降伏点伸びが本発明の範囲外であり、表3に示すように、スプリングバック量が多く、形状凍結性の評価が×であった。
図2は、降伏応力と伸びとの関係を示したグラフであり、表3に示す鋼の降伏応力と伸びの測定結果を示したものである。
図2に示すように、本発明の請求項1および請求項2を満たす発明鋼の供試体(図2および表3の備考における発明鋼1)は、本発明の請求項1を満たし、請求項2を満たさない発明鋼の供試体(図2および表3の備考における発明鋼2)と比較して、降伏応力が同等である供試体では高い伸びが得られることが確認できた。
また、表3に示すように、本発明の請求項1を満たす供試体(表3の備考における発明鋼1および発明鋼2)は、形状凍結性の評価が全て○であり、しかも十分な強度を有していた。
これに対し、本発明の請求項1を満たさない供試体(表3の備考における比較鋼)のうち、鋼d1以外の供試体は、形状凍結性の評価が×または※であった。また、鋼d1は強度が不足であった。
鋼A1は、冷間圧延の圧延率が低いため、未再結晶フェライト相の面積率が大きくなった。その結果、降伏点伸びが大きくなりすぎて、曲げくびれが発生した。
鋼B1は、冷却工程での平均冷却速度が遅いため、冷却中に金属組織が変化して、未再結晶フェライト相の面積率が小さくなった。その結果、降伏点伸びが不足して、形状凍結性の評価が×になった。
鋼E1は、最高温度が高すぎるため、未再結晶フェライト相の面積率が小さくなって降伏点伸びが不足し、形状凍結性の評価が×になった。
鋼E5は、最高温度が低すぎるため、未再結晶フェライト相の面積率が大きくなって降伏点伸びが大きくなりすぎ、曲げくびれが発生した。
鋼G1は、冷却停止温度が高すぎるため、未再結晶フェライト相の面積率が小さくなって降伏点伸びが不足し、形状凍結性の評価が×になった。
鋼L2は、鋳造スラブ加熱温度が低すぎるため、伸びが低く、降伏点伸びが不足したため、加工硬化が起こらず曲げくびれが発生した。
鋼a1は、CおよびCaの含有量が過剰であるため、伸びが低く、降伏点伸びが不足したため、加工硬化が起こらず曲げくびれが発生した。
鋼b1は、MnおよびPの含有量が過剰であるため、伸びが低く、加工硬化が起こらず曲げくびれが発生した。
鋼c1は、Nbの含有量が過剰であるため、未再結晶フェライト相の面積率と降伏点伸びとの相関関係が得られず、未再結晶フェライト相の面積率が大きく、降伏点伸び(YP−El)に比較して、伸びが不足して降伏点伸びが不足し、形状凍結性の評価ができなかった。
鋼d1は、Cの含有量が不足しているため、降伏応力および引張強度が不足した。
鋼e1は、SiおよびSの含有量が過剰であるため、降伏点伸びが不足し、形状凍結性の評価が×になった。
鋼f1は、NおよびTiの含有量が過剰であるため、未再結晶フェライト相の面積率と降伏点伸びとの相関関係が得られず、未再結晶フェライト相の面積率が大きく、降伏点伸びが不足し、形状凍結性の評価が×になった。

Claims (10)

  1. 質量%で、
    C :0.03%以上、0.35%以下、
    Si:0.01%以上、2.00%以下、
    Mn:0.3%以上、4.0%以下、
    P :0.001%以上、0.100%以下、
    S :0.0005%以上、0.050%以下、
    N :0.0005%以上、0.010%以下、
    Al:0.01%以上、2.00%以下
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    金属組織が20%超、35%以下の面積率で未再結晶フェライト相を含有し、
    降伏点伸びが4.0%以上、10.0%以下であることを特徴とする形状凍結性に優れた高強度鋼板。
  2. 前記未再結晶フェライト相の70%以上の面積率が、長軸の長さが50μm以下である未再結晶フェライト粒からなり、
    前記未再結晶フェライト粒の連結率が0.50以下であることを特徴とする請求項1に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板。
  3. さらに、質量%で、
    Cr:0.05%以上、3.0%以下、
    Mo:0.05%以上、1.0%以下、
    Ni:0.05%以上、3.0%以下、
    Cu:0.05%以上、3.0%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板。
  4. さらに、質量%で、
    Nb:0.005%以上、0.30%以下、
    Ti:0.005%以上、0.30%以下、
    V :0.01%以上、0.50%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板。
  5. さらに、質量%で、
    B:0.0001%以上、0.100%以下を含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板。
  6. さらに、鋼中に質量%で、
    Ca:0.0005%以上、0.010%以下、
    Mg:0.0005%以上、0.010%以下、
    Zr:0.0005%以上、0.010%以下、
    REM:0.0005%以上、0.010%以下
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板。
  7. さらに、表面に溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板の製造方法であって、請求項1、請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載の成分組成からなる鋳造スラブを1100℃以上に加熱し、熱間圧延を実施し、酸洗を行った後、15%以上の圧延率で冷間圧延を行い、得られた冷延鋼板を再結晶温度−30℃以下、再結晶温度−60℃以上の最高温度にて焼鈍する焼鈍工程を行った後、1℃/秒以上、200℃/秒以下の平均冷却速度で480℃以下まで冷却する冷却工程を行うことを特徴とする形状凍結性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  9. 前記焼鈍工程において、前記最高温度以下、最高温度−30℃以上の温度範囲で15秒以上、250秒以下保持することを特徴とする請求項8に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  10. 前記冷却工程の後に、溶融亜鉛めっきを施し、合金化処理を行うことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の形状凍結性に優れた高強度鋼板の製造方法。
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