JP6485692B2 - 高温強度に優れた耐熱合金およびその製造方法と耐熱合金ばね - Google Patents
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Description
インコネル718(登録商標)は、γ’’(ガンマダブルプライム)相を強化相として利用したNi基耐熱合金として知られており、ワスパロイ(登録商標)は、γ’’相よりも安定なγ’(ガンマプライム)相を強化相として25体積%程度析出させた耐熱合金として知られている。また、耐熱特性を向上させたUdimet720(登録商標)は、γ’相を45体積%程度析出させ、かつγ相の固溶強化のためにタングステンを添加したNi基耐熱合金として知られている。
従来、2〜25質量%のCr、2〜7質量%以下のAl、19.5〜55質量%のCoを基本組成として含有し、Tiを特定量添加し、γ’固溶温度の93〜100%未満で固溶体化したNi基耐熱合金が知られている(特許文献3参照)。
近年、エンジンの更なる効率アップを狙って排気バルブをエンジンにより近い位置に配置する傾向がある。すなわち、この種の耐熱合金には、更なる耐熱性の向上と機械特性の向上が要求されている。また、この種の耐熱合金からなる耐熱ばねには、今まで以上の高温耐熱へたり性が要求されている。
本発明の高温強度に優れる耐熱合金において、前記γ‘相が、組成式(Ni,Co)3(Al,Nb,Cr,Co,Ti)で示され、質量比でNi:57〜61%、Al:5〜6%、Nb:10〜13%、Ti:3〜5%、Cr:2〜3%、Co15〜17%を含む組成であることが好ましい。
本発明の高温強度に優れる耐熱合金において、板材(圧延材)ではビッカース硬さHV420以上、560未満、引張強さ1080MPa以上、1580MPa未満、線材(伸線加工材)ではビッカース硬さHV360以上、630未満、引張強さ1210MPa以上、2170MPa未満とすることができる。
本発明の高温強度に優れる耐熱合金の製造方法は、質量比でNi:34〜46%、Cr:13.5〜18%、Mo:2〜9%、Nb2.5〜3.5%、Fe:1〜2%、Al:1.5〜2.5%、Ti:0.6〜1.0%を含み、残部Co及び不可避不純物の組成を有する鋳塊を1150〜1250℃で4〜8時間均一化処理後、加工率20%以上、60%未満の冷間加工を加え、所定の形状に成形し、700〜850℃で1〜4時間の時効処理を施すことにより、γ母相と、粒径20〜50nmかつ体積率52〜65%のγ’相と、体積率10%以下のμ相を備えた組織とすることを特徴とする。
本発明の高温強度に優れる耐熱合金の製造方法は、前記γ‘相が、組成式(Ni,Co)3(Al,Nb,Cr,Co,Ti)で示され、質量比でNi:57〜61%、Al:5〜6%、Nb:10〜13%、Ti:3〜5%、Cr:2〜3%、Co15〜17%を含むことを特徴とする。
本発明の高温強度に優れる耐熱合金の製造方法は、板材ではビッカース硬さHV420以上、560未満、引張強さ1080MPa以上、1580MPa未満、線材ではビッカース硬さHV360以上、630未満、引張強さ1210MPa以上、2170MPa未満とすることが好ましい。
本発明の高温強度に優れる耐熱合金の製造方法は、所定の形状に成形した後に行う前記時効処理を800℃で2〜3時間処理することにより、700℃、96時間で550MPaの曲げ応力によるへたりを30%以下とすることが好ましい。
本発明の耐熱合金ばねは、先のいずれかの特徴を有する耐熱合金からなる。
微細なγ’相は、転位すべり止め効果を有効に作用させ、高温になってもγ’相が粒成長し難いので、高温強度に特に優れた耐熱合金を提供できる。また、μ相の割合を低く抑えることで、変形過程においてクラックの発生を抑制できるので、靭性の低下が起こり難く加工性に優れた耐熱合金を提供できる。
本発明によれば、γ’相として、NiとAlに加えてNb、Cr、Co、Tiを含むγ’相としているので、高温に長時間曝されてもγ’相の粒成長が生じ難く、高温かつ長時間の加熱に耐える耐熱合金を提供できる。
本発明の耐熱合金から耐熱合金ばねを形成できる。
本実施形態の耐熱合金は、質量比でNi:34〜46%、Cr:13.5〜18%、Mo:2〜9%、Nb2.5〜3.5%、Fe:1〜2%、Al:1.5〜2.5%、Ti:0.6〜1.0%を含み、残部Co及び不可避不純物からなる組成を有し、かつ、組織がγ母相と粒径20〜50nmのγ’相を主体としてなることを特徴とする。また、組織の大半を占めるγ’相は体積率で52〜65%含まれていることが好ましく、組織の一部に体積率で10%以下のμ相を含んでいてもよい。
本実施形態の耐熱合金は、前記組成において、更に、Mn:0.3〜0.6%、Si:0.15〜0.25%、Zr:0.04〜0.06%、C:0.04〜0.06%を含むことが好ましい。
なお、本願明細書において各元素の含有範囲について〜を用いて表記した場合、特に記載しない限り、上限と下限を含むものとする。このため、例えば、Ni:59〜61%と表記した場合Niを59%以上61%以下の範囲で含むことを意味する。
Crは、耐食性を確保するのに不可欠な成分であり、また、マトリクスを強化する効果があるが、13.5%未満では高温耐へたり性に対する効果が弱く、18%を越えると熱処理時に加工性・靭性に影響を及ぼすσ相が発生するため、13.5%以上18%以下とした。
Moは、マトリクスに固溶してこれを強化する効果、加工硬化能を増大させる効果、及びCrとの共存において耐食性を高める効果があるが、2%未満では所望する効果が得られず、9%を越えるとμ相が生成しやすくなることから、2%以上9%以下とした。
Coは、それ自体加工硬化能が大きく、切り欠け脆さを減じ、疲労強度を高め、高温強度を高める効果があるが、17%未満ではその効果が弱く、本案組成で41%を越えるとマトリクスが硬くなり過ぎて加工困難となると共に面心立方格子相が最密六方格子相に対して不安定になるため、17%以上41%以下とした。
Mnは脱酸、脱硫の効果、及び面心立方格子相を安定化する効果があるが、多過ぎると耐食性、耐酸化性を劣化させるため、0.3%以上0.6%以下とした。
Cは、マトリクスに固溶するほか、Cr、Mo、Nb、W等と炭化物を形成し、結晶粒の粗大化の防止効果があるが、多過ぎると靭性の低下、耐食性の劣化等が生じるため、0.04%以上0.06%以下とした。
NbはTiと同様にAlを代替して安定なγ’相の形成には有効であり、多量に添加するとσ相やδ相(Ni3Nb)が析出して靭性が低下するが、マトリクスに固溶してこれを強化し、加工硬化能を増大させる効果があるため、2.5%以上3.5%以下とした。
Alは、脱酸、及び耐酸化性を向上させる効果とともにγ’相析出に必要な元素となる。ただし多量に含有させる場合はμ相の析出が多くなり狙った効果が得られない事から1.5%以上2.5%以下とした。
Siは合金の耐酸化特性の向上に役たち、また鋳造過程において脱酸な効果がある、多量に添加すると、μ相、σ相を形成しやすくするため、0.15%以上0.25%以下とした。
本発明に係る合金の組織は、図1〜図3の組織写真に示すように白点状に見えるμ相が析出された領域があり、その他の暗色部分の組織において、粒径20〜50nm程度の粒子状のγ’相が10〜20nm程度の間隔で析出された微細領域を有し、その周囲をγ母相が覆った構造を有している。この暗色部分の詳細構造については、後述する実施例の解析結果において詳述する。
そして、このγ’相は、質量比でNi:59〜61%、Al:5〜6%、Nb:10〜13%、Ti:3〜5%、Cr:2〜3%、Co15〜17%を含む組成であることが好ましい。本実施形態の合金では、Ni3Alが生成するγ’相に対し、Nbが固溶するとともに、他の添加元素である、Cr、Co、Tiも含まれたγ’相が生成される。
この系の合金において、高温でも粒成長しない組成式Ni3(Al,Nb)で示されるL12構造のγ’相、より詳細には組成式(Ni,Co)3(Al,Nb,Cr,Co,Ti)で示されるγ'相が析出したことは、今回初めて得た知見であり本願発明合金の特異性を示している。また、同時に前記γ’相を有するこの系の合金が鈴木効果を発現したことも今回初めて得た知見であり、本願発明合金の特異性を示している。
また、一例として、ねじり応力392MPaで700℃、96時間での荷重損失率が35%以下のように優れたばね材としての特性が得られる。
本実施形態の耐熱合金において、μ相(Moリッチ)の平均粒径は90〜380μmであり、体積率で10%以下、例えば9%未満であることが好ましい。μ相は本実施形態の合金組織の中では脆い相であり、μ相が多く析出すると靭性が低下し加工性が劣化する。
鈴木効果とは、転位と溶質原子の相互作用の一つである。fcc(面心立方格子)合金およびhcp(最密六方格子)合金の転位は多くの場合拡張転位になっており、周囲とはある程度異なったエネルギー状態にあり、拡張転位部分には溶質原子が偏析する。この部分に転位が動くと、熱的に非平衡な偏析部分が残ると同時に偏析の無い部分が生じる。この双方は新たにエネルギーの大きな部分を作るので、転位の運動への抵抗となる。その固着力は弾性的相互作用と同等程度であるが、転位の拡張部分が大きいので固着から抜け出す事はより困難となる。この転位と溶質原子の相互作用を一般的に化学的効果(chemical interaction)又は鈴木効果(Suzuki effect)という。鈴木効果が発現すると合金の硬さや引張強さなどの機械的特性が向上する。
本実施形態の合金では、冷間加工により転位が導入され、多数の積層欠陥が導入された後に時効されているので、鈴木効果を発現し、前述の微細なγ’相の存在による効果と相俟って上述の優れた機械特性が得られ、ばね材とした場合の優れた耐へたり性が得られる。
前記組成の本実施形態に係る合金を製造するには、前記組成比となるように配合した材料を高周波真空誘導溶解炉等を用いて真空溶解などの溶解法により溶解し、炉冷して鋳塊(インゴット)を作製し、得られた鋳塊に固溶化のための熱処理を施す。この鋳塊に、冷間塑性加工を施して目的の形状に加工し、その後、時効処理を施して得ることができる。あるいは、前記の工程において冷間塑性加工の前に必要に応じて熱間塑性加工を施しても良い。
固溶化のための熱処理(均一化処理)は、1150〜1250℃に4〜8時間程度均一加熱する処理を示す。熱間圧延の温度も上述の範囲、例えば、1200℃で行うことが好ましい。
あるいは、時効処理後に不均一析出物の消去を目的として均質化のための熱処理を1200℃程度の温度で施しても良い。
得られた耐熱合金は、γ母相を体積率で25〜48%、γ’相を52〜65%、μ相を10%以下含む組織を有する。μ相は析出していない組織であっても良い。
また、本実施形態の耐熱合金は、エンジンやタービンなどの耐熱部材用として、その他の耐熱部材として広く適用することができるのは勿論である。
図5は、本実施形態に係る耐熱合金を用いて形成されるコイルばねの第2の例を示すもので、このコイルばね3は、前述の耐熱合金を伸線加工により線材化してコイル状に加工し、コイル端部3a、3bを部分的に直線状に維持したまま前述の条件の時効処理を施して得ることができる。
耐熱合金試料として、Ni:35%、Cr:17.5%、Mo:4.0%、Nb:3.0%、Fe:1.6%、Al:2%、Ti:0.8%、Mn:0.5%、Si:0.2%、Zr:0.05%、C:0.05%、残部Co及び不可避不純物で示される組成となるように材料を配合し高周波真空誘導溶解炉により鋳塊を得た後、以下の手順により合金試料Aを製造した。
耐熱合金試料として、Co−35Ni−17.5Cr−8Mo−3Nb−2Al−1.6Fe−0.8Ti−0.5Mn−0.2Si−0.05Zr−0.05Cなる組成となるように材料を配合後、高周波真空誘導溶解炉により鋳塊を得た後、以下の手順により耐熱合金試料Bを製造した。
耐熱合金試料として、Co−45Ni−17.5Cr−4Mo−3Nb−2Al−1.6Fe−0.8Ti−0.5Mn−0.2Si−0.05Zr−0.05Cなる組成となるように材料を配合後、高周波真空誘導溶解炉により鋳塊を得た後、以下の手順により耐熱合金試料Cを製造した。
耐熱合金試料として、Co−45Ni−14Cr−4Mo−3Nb−2Al−1.6Fe−0.8Ti−0.5Mn−0.2Si−0.05Zr−0.05Cなる組成となるように材料を配合後、高周波真空誘導溶解炉により鋳塊を得た後、以下の手順により耐熱合金試料Eを製造した。
比較用の耐熱合金試料として、Co:13.2%、Ni:58.8%、Cr:19.5%、Mo:4.2%、Ti:3%、Al:1.3なる組成となるように材料を配合後、高周波真空誘導溶解炉により鋳塊を得た後、以下の手順により比較例試料Fを製造した。この比較例試料Fはワスパロイ(登録商標)として知られている合金の組成である。
比較例試料Fは、長さ70mm直径20mmのロッドと長さ80mm直径20mmのロッドと長さ100mm直径20mmのロッドを用意し、各ロッドを1200℃で均質化後、300tプレスで厚さ10mmの板状に熱間鍛造し、それぞれの試験に供した。
引張試験片は、図6に示すように、全長10mm、幅3mm、厚さ0.38mm、長さ方向中央部に幅1.8mm、長さ4.8mmの帯状部が形成された標準試験片である。その他の部分の寸法は、図6に示す通りである。この試験片を用いて引張強さ、ヤング率を測定した。
へたり試験片は、板厚0.22mm、板幅3mm、長さ20mmであり、へたり試験は、700℃、高さスペーサー1.3mm、曲げ応力約550MPa、曲げスパン13mmの条件とし、24時間、48時間、96時間経過後のへたりを測定した。へたり率(%)は、(H1/H0)×100%の計算式に従い算出した。ここで、H0は所定の曲げ応力を負荷した時のばね高さ、H1は除荷後のばね高さを示し、この値が小さいほどへたりが少ないことを表す。
硬さ試験、引張試験、へたり試験の結果を以下の表1に示す。
なお、加工率が上昇すると加工エネルギーによりμ相が析出し易くなり、40%加工においてμ相は約9体積%、60%加工においてμ相は約18体積%の割合となる。この系の合金においてμ相が析出すると、母相のMoがμ相に食われてしまい、耐へたり性が低下したと思われる。このため、μ相の析出を体積率で10%以下とすることが好ましく、9%以下とすることがより好ましい(後述の図34参照)。
図7は、Co−35Ni−17.5Cr−8Mo−3Nb−2Al合金についてThermo-Calc(Thermo-Calc Software社製:ver.5.0,database:TCW, N17)を用いた計算状態図である。図7に示すように、Alの含有量が0〜3.5質量%の範囲でγ’相を析出できる領域と判断できる。このため、この組成系の合金について十分な量のγ’相を得るためにAlの添加量を1.5〜2.5%の範囲とすることが好ましいと判断できる。
図10はCo−45Ni−(10〜25)Cr−4Mo−3Nb−2Al合金について同Thermo-Calcを用いた計算状態図、図11はCo−45Ni−(10〜25)Cr−8Mo−3Nb−2Al合金について同Thermo-Calcを用いた計算状態図である。
これらの状態図と表1に示す結果から、本願合金において、γ母相とγ’相を有する合金組織を得て上述の優れた耐へたり性と優れた機械特性を得るためには、Cr含有量を13.5〜18質量%の範囲とすることが好ましいと判断できる。
図12に示すように500℃で鈴木効果によると思われるひずみカーブを示した。このため本実施例の合金は、鈴木効果により転位の移動を積層欠陥が抑制する結果、優れた機械特性を発現していると思われる。
冷間圧延では、熱間鍛造により厚み10mmの板材を作製した後、グラインダーで表面のスケールを除去し、板厚を9.5mmとした後、この板材を切断機で大凡3等分(長さ方向3等分)し、約40mm×45mm、板厚9.5mmのサンプル板3枚を板厚7.6mm(加工率20%)、板厚5.7mm(加工率40%)、板厚3.8mm(加工率60%)までそれぞれの加工率で冷間圧延したものである。さらに、それぞれのサンプル板を半分の大きさに切断し(長さ方向2等分)、750℃×2時間と800℃×2時間の時効処理を施した。
スウェージング加工では、φ13.0mmの丸棒をそれぞれの加工率で加工した。加工後の外径は、加工率20%試料でφ11.63mm、加工率40%試料でφ10.07mm、加工率66%試料でφ7.58mmとした。板材の冷間圧延の場合、加工率(%)は、(1−加工後の板厚/元板厚)×100の計算式により算出している。
図14に示すいずれの加工率の試料合金であっても耐熱合金として優れた値を示した。
SPRON510(登録商標)は耐熱合金として優れた降伏応力を示す合金であるが、実施例合金はいずれの加工率であってもSPRON510(登録商標)よりも高い降伏応力を示した。また、前記組成の実施例合金は時効による強化機構も優れており、時効後に降伏強度を著しく向上できることがわかる。
図17〜図19に示すいずれの加工率の合金であっても、加熱前の粒径20〜30nmのγ’相が、96時間、276時間、380時間加熱後であっても、粒径30〜40nmの大きさに留まっていた。この試験結果から本実施例合金は長時間加熱を受けてもγ’相がほとんど粒成長しないため、極めて優れた耐熱性を得ることができると想定できる。
NiとAlとNbの測定結果を図20(a)〜(d)に示す。各図に示すようにγ’相の存在する位置にNiとAlとNbが濃縮していることがわかった。
図21(a)〜(c)にAl−6%等濃度面とNi−50%等濃度面とNb−5%等濃度面を示す。
図21(a)に示すAl−6%等濃度面の測定位置に対応するようにNbとNiとCoとMoとAlとFeとTiとCrの位置毎の濃度を測定した結果を図22に示す。
図22に示すようにγ’相の生成位置に合わせて、Ni、Co、Cr、Al、Nb、Tiが存在しているので、本実施例合金のγ’相は、組成式(Ni,Co)3(Al,Nb,Cr,Co,Ti)で示されるγ’相であると判断できる。また、この元素分析結果から、質量比でNi:57〜61%、Co15〜17%、Al:5〜6%、Nb:10〜13%、Ti:3〜5%、Cr:2〜3%を含むγ’相であると推定できる。
組成式(Ni,Co)3(Al,Nb,Cr,Co,Ti)で示されるγ’相が粒径約20nmであり、かつ、他のγ’相との距離10nmで分離していることから、本願合金の優れた機械特性が発揮されていると推定される。即ち、鈴木効果の発現には、転位の移動を抑制するための微細粒子が所定の間隔で整列している微細領域の存在が必要であり、それら微細粒子配列に積層欠陥の配置が関連している必要がある。
上述のγ’相の配列と金属組織中に存在する積層欠陥の存在から、本実施例の合金は、高温でも粒成長し難い微細なγ’相の存在による優れた機械的特性に加え、鈴木効果の発現により上述のSPRON510(登録商標)を遙かに超える優れた機械特性を得ていると推定できる。
いずれの加工率の試料についても時効処理を行うことで硬度が向上している。また、加工率が高くなるにつれて硬度も向上した。
図25は、試料Bの合金に対し加工率20%でスウェージング加工を施し、800℃で3時間時効処理した後、700℃に100時間あるいは240時間加熱した後のマイクロビッカース硬さ(おもり1000gr)の測定結果を示す。また、比較のために、試料Fの合金に対し加工率で20%の圧延加工を施し、800℃で3時間時効処理した後、700℃に100時間あるいは240時間加熱した後のマイクロビッカース硬さの測定結果を示す。
試料Fの合金は市場に流通しているばね材として著名な合金であり、これに対し試料Bの合金は長時間高温に加熱した後においてもより高い硬度を示した。
図26(a)に示す試料Fの合金の金属組織は、1080℃で4時間加熱処理後に850℃で2時間時効し、760℃に10時間加熱した後の合金について透過型電子顕微鏡により暗視野像を撮影した金属組織である。図26(a)に示す金属組織は、大きな粒径の初晶γ’相(粒径195nm)と微細な粒径のγ’相(23.9nm)との混相組織となっている。図26(a)に示す金属組織は、加熱を受けてγ’相が周囲のγ’相を吸収して粒成長してしまい、粗大な初晶γ’相になっていると推定できる。
これに対し図26(b)に示す試料Bの合金の金属組織は、1200℃で均一加熱処理し、800℃で3時間時効処理後、700℃に96時間加熱した後の合金について電界放出形走査電子顕微鏡で撮影した金属組織である。図26(a)に示すように試料Bの合金は、粒径20〜30nmの均一なγ’相が析出した金属組織となっている。
金属組織の対比からみて試料Bの合金は微細なγ’相とその周囲に存在するγ母相の集合体であり、粒径が粗大化した初晶γ’相が存在しないため、より耐熱性に優れた構造になっていると思われる。
各図にDSAと表示した動的ひずみ時効によるフローが認められた。このことから、スプロン510(登録商標)と同様の機構で鈴木効果が発現していると想定できる。
なお、圧縮ばねの線径d:1.4〜1.8mm、中心径D:18.6mm、総巻数:5.8、有効巻数:3.8の圧縮ばねを試作した。圧縮ばねの全長は52mmである。
従来材である試料Fの合金を用いた比較材F(ワスパロイ:登録商標)は、優れた耐へたり性を有する合金として市販されているが、本発明に係る試料で20%、40%加工率の試料はいずれにおいても比較材Fよりも優れた耐へたり性を有していることがわかる。しかし、加工率が60%になると比較材Fよりも耐へたり性は悪くなる。
このねじりばね試験体に対し、図33に示すように一方のばね端部3aを固定し、他方のばね端部3bを締付け角度53〜66°に設定して試験した。実締付け応力は500〜620MPaとなった。トルク測定は締付け温度700℃の場合、実角度44゜で測定したへたり率を算出した。650℃締付けの場合の測定点は、実締付け角度のへたり率を測定した。また、比較のために、試料Fの合金にて同等サイズのねじりばね試験体を試作し、同等条件のへたり試験に供した。試料Fの合金において上述の試験体の合金と同様にばね成形後800℃、4時間の時効処理を施している。
650℃、96時間の締付け時のトルク損失率は、締付け応力500MPa時No.13とNo.15の比較で試料Bの合金の方が2.7%良好な結果となり、620MPa時のNo.14とNo.16の比較でも試料Bの方が2.6%良好となった。
図34(a)に示す組織写真について、白黒2値化処理による画像判定を行い、白点状のμ相の体積率を試料Bの40%伸線加工材に対し算出したところ、8.0%と算出できた。また、同一組成の他の試料に対し同様の2値化処理を行ない、白点状のμ相の体積率を8.7%と算出できた。
図34(b)に示す組織写真について、白黒2値化処理による画像判定を行い、白点状のμ相の体積率を試料Bの60%伸線加工材に対し算出したところ、14.5%と算出できた。また、同一組成の他の試料に対し同様の2値化処理を行ったところ、白点状のμ相の面積率を18.4%と算出できた。これらの2値化処理からの換算は、2値化処理から求めた面積率を3/2乗で換算して体積率とした。なお、同一合金において、均一化熱処理後に伸線加工なしで時効処理のみ施したものや20%伸線加工し、800℃で2時間時効処理したものでは、μ相は検出されなかった。
Claims (11)
- 質量比でNi:34〜46%、Cr:13.5〜18%、Mo:2〜9%、Nb2.5〜3.5%、Fe:1〜2%、Al:1.5〜2.5%、Ti:0.6〜1.0%を含み、残部Co及び不可避不純物の組成を有し、かつ、組織が、γ母相と、粒径20〜50nmかつ体積率52〜65%のγ’相と、体積率10%以下のμ相を備えたことを特徴とする高温強度に優れた耐熱合金。
- 前記組成において、更に、Mn:0.3〜0.6%、Si:0.15〜0.25%、Zr:0.04〜0.06%、C:0.04〜0.06%の1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の高温強度に優れた耐熱合金。
- 前記γ‘相が、組成式(Ni,Co)3(Al,Nb,Cr,Co,Ti)で示され、質量比でNi:57〜61%、Al:5〜6%、Nb:10〜13%、Ti:3〜5%、Cr:2〜3%、Co15〜17%を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高温強度に優れた耐熱合金。
- 板材ではビッカース硬さHV420以上、560未満、引張強さ1080MPa以上、1580MPa未満、線材ではビッカース硬さHV360以上、630未満、引張強さ1210MPa以上、2170MPa未満であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の高温強度に優れた耐熱合金。
- 質量比でNi:34〜46%、Cr:13.5〜18%、Mo:2〜9%、Nb2.5〜3.5%、Fe:1〜2%、Al:1.5〜2.5%、Ti:0.6〜1.0%を含み、残部Co及び不可避不純物の組成を有する鋳塊を1150〜1250℃で4〜8時間均一化処理後、700〜850℃で2〜4時間の時効処理を施した後、所定の形状に成形し、さらに700〜850℃で2〜4時間の時効処理を施すことにより、γ母相と、粒径20〜50nmかつ体積率52〜65%のγ’相と、体積率10%以下のμ相を備えた組織とすることを特徴とする高温強度に優れた耐熱合金の製造方法。
- 質量比でNi:34〜46%、Cr:13.5〜18%、Mo:2〜9%、Nb2.5〜3.5%、Fe:1〜2%、Al:1.5〜2.5%、Ti:0.6〜1.0%を含み、残部Co及び不可避不純物の組成を有する鋳塊を1150〜1250℃で4〜8時間均一化処理後、加工率20%以上、60%未満の冷間加工を加え、所定の形状に成形し、700〜850℃で1〜4時間の時効処理を施すことにより、γ母相と、粒径20〜50nmかつ体積率52〜65%のγ’相と、体積率10%以下のμ相を備えた組織とすることを特徴とする高温強度に優れた耐熱合金の製造方法。
- 前記組成において、更に、Mn:0.3〜0.6%、Si:0.15〜0.25%、Zr:0.04〜0.06%、C:0.04〜0.06%の1種または2種以上を含む組成を有する鋳塊を用いることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の高温強度に優れた耐熱合金の製造方法。
- 前記γ‘相が、組成式(Ni,Co)3(Al,Nb,Cr,Co,Ti)で示され、質量比でNi:57〜61%、Al:5〜6%、Nb:10〜13%、Ti:3〜5%、Cr:2〜3%、Co15〜17%を含むことを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の高温強度に優れた耐熱合金の製造方法。
- 請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の製造方法により、板材ではビッカース硬さHV420以上、560未満、引張強さ1080MPa以上、1580MPa未満、線材ではビッカース硬さHV360以上、630未満、引張強さ1210MPa以上、2170MPa未満とすることを特徴とする高温強度に優れた耐熱合金の製造方法。
- 所定の形状に成形した後に行う前記時効処理を800℃で2〜3時間処理することにより、700℃、96時間で550MPaの曲げ応力によるへたりを35%以下とすることを特徴とする請求項5〜請求項9のいずれか一項に記載の高温強度に優れた耐熱合金の製造方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の耐熱合金により形成された耐熱合金ばね。
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