以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1はこの発明にかかる薄膜形成装置の一実施形態を示す図である。この薄膜形成装置は、その内部が薄膜を基板Wに転写する転写処理を行う処理空間を形成する薄膜形成室11となっている処理容器1を有している。この薄膜形成室11は転写処理時に真空ポンプ2によって真空排気可能になっている。この真空ポンプ2は装置全体を制御する制御ユニット10に電気的に接続されており、制御ユニット10からの動作指令に応じて作動して薄膜形成室11内を排気減圧することができるようになっている。また、制御ユニット10は真空ポンプ2による薄膜形成室11からの排気量を調整し、薄膜形成室11内の圧力(真空度)を制御可能となっている。これにより、薄膜の乾燥状態をコントロールしながら該薄膜を基板Wに転写することができる。薄膜形成室11内の圧力としては、薄膜の種類等に応じて大気圧から数Paまでの範囲内の所定の圧力に設定される。
薄膜形成室11には、第1、第2プレート4,5が上下に対向して収容されている。第1プレート4は薄膜形成室11内に固設された上ベース部材12によって水平に固定支持されており、第2プレート5の上方に位置している。第1プレート4は基板Wが装着される試料台を構成し、第2プレート5と対向する下面4aが基板Wの装着面を形成している。第1プレート4の下面4aは円形に形成されている。ここで、薄膜形成対象となる基板Wとしては、例えば円板状に形成された半導体ウエハと、この半導体ウエハ上に電極配線をパターニングした構造を有するものがあり、基板Wのパターン形成面側に絶縁膜などの薄膜が転写される。
第1プレート4の下面4aには、平坦性を確保するために研磨された石英板(図示せず)が設けられており、この石英板に基板Wが装着される。石英は基板Wを汚染する物質を含まないこと、および加工性がよく、必要とする平坦性が容易に得られることなどから基板Wを装着する材料として優れている。第1プレート4は、内部に加熱手段として加熱ヒータ41を具備している。この加熱ヒータ41はヒータコントローラ42と電気的に接続されており、制御ユニット10からの基板温度情報に基づきヒータコントローラ42を作動させることによって、25°C〜300°Cの間で加熱制御される。
このように構成された第1プレート4に対して、複数本(この実施形態では2本)のリフタ44が昇降自在で、しかも水平方向に移動自在に支持されている。各リフタ44の下端部には爪部材45が固着されている。爪部材45はその上面が基板Wの周縁部と係合可能に仕上げられ、基板Wを爪部材45上に載置させることができる。各リフタ44にはリフタ駆動機構46が接続されており、制御ユニット10からの動作指令に応じてリフタ駆動機構46が作動することで、薄膜形成室11内に搬入された基板Wを爪部材45上に載置可能な基板搬入位置と、爪部材45上に載置された基板Wを第1プレート4の下面4aに装着する基板装着位置(図1で示す位置)とに複数のリフタ44を一体的に移動させることができる。
具体的には、リフタ駆動機構46に対して制御ユニット10から下降指令が与えられると、リフタ44は下方に移動し、爪部材45を第1プレート4の下面4aの下方側に移動させた後、さらにリフタ44を水平移動させて爪部材45を第1プレート4の下面周縁部と離間して対向させる。これにより、爪部材45が基板搬入位置に位置決めされ、爪部材45への基板Wの載置が可能となる。また、制御ユニット10からリフタ駆動機構46に上昇指令が与えられると、リフタ駆動機構46はリフタ44を上方に移動させて爪部材45上に載置された基板Wを第1プレート4の下面4aに密着させる。これにより、爪部材45が基板装着位置に位置決めされ、第1プレート4に基板Wが装着される。
第2プレート5は、移動方向Z(鉛直方向)に沿って昇降自在に設けられた昇降ユニット20に装備され、第1プレート4の下方に軸線を一致させて対向して配置されている。昇降ユニット20は薄膜形成室11内に下ベース部材13(本発明の「基台」に相当)を有し、下ベース部材13上に第2プレート5が固定支持されている。第2プレート5はシートフィルムFが装着される転写板を構成し、第1プレート4と対向する上面5aがシートフィルムFの装着面を形成している。第2プレート5の上面5aは円形に形成されている。シートフィルムFは基板Wより大きい円形に形成され、その表面(薄膜形成面)には薄膜が形成されている。また、第2プレート5の上面5aの平面サイズはシートフィルムFの平面サイズよりも小さく形成されている。このシートフィルムFは後述する上側挟持部および下側挟持部によって移動方向Zに挟み込まれることによって保持されており、第2プレート5はシートフィルムFの裏面(シートフィルムの両主面のうち薄膜形成面に対して反対の非薄膜形成面)側に配置されている。
第2プレート5の上面5aには、第1プレート4と同様に石英板(図示せず)が設けられている。また、第2プレート5には加熱手段として加熱ヒータ51が内蔵されている。この加熱ヒータ51はヒータコントローラ52と電気的に接続されており、制御ユニット10からの基板温度情報に基づきヒータコントローラ52を作動させることによって、25°C〜300°Cの間で加熱制御される。
シートフィルムFは、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)もしくはETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)などの可撓性を有し、また可塑性を有する有機材料からなるシート状のフィルムである。
昇降ユニット20は、下ベース部材13の下面中央部に一体に垂設された軸131を有している。軸131は移動方向Zに沿って昇降自在に軸支され、加重モータ14を含む加重手段200(本発明の「加重手段」に相当)によって昇降されるように構成されている。すなわち、軸131の下端には加重モータ14が接続されており、制御ユニット10からの動作指令に応じて加重モータ14が駆動されることで、昇降ユニット20を移動方向Zに沿って昇降させることができる。したがって、昇降ユニット20の昇降により、下ベース部材13上に支持された第2プレート5が移動方向Zに沿って昇降する。このように、この実施形態では、昇降ユニット20が本発明の「移動ユニット」として機能する。そして、昇降ユニット20に接続されて加重手段200が薄膜形成室11内を導通して装備される。これらの詳細な説明は後述する。
また、この実施形態ではシートフィルムFのハンドリング性を向上させるために図2に示すように一対のリングRup,Rdwを用いて一体化したリング体RFを形成し、このリング体RFの状態でシートフィルムFの搬送を実行している。以下では、図1および図2を参照しつつ、シートフィルムFのハンドリング構成について説明する。
図2はリング体およびリング体を挟持する構成を説明するための断面図である。このリング体RFは、上リングRupと下リングRdwとでシートフィルムFの周縁部を全周にわたって挟み込むことによってシートフィルムFを保持したものである。上リングRupと下リングRdwとは同一形状を有する円環状部材であり、シートフィルムFを挟んで上リングRupおよび下リングRdwを配置させることにより、シートフィルムFを磁力吸着により保持可能となっている。
また、第1、第2プレート4,5の周囲には、一対のリングRup,Rdwを上下から挟み込んでリング体RFを保持する上クランプ53および下クランプ54が設けられている。上クランプ53および下クランプ54はそれぞれ、一対のリングRup,Rdwとほぼ同じ内径を有する円環状部材であり、上クランプ53の外径が一対のリングRup,Rdwの外径よりも小さく形成される一方、下クランプ54の外径が一対のリングRup,Rdwの外径よりも大きく形成されている。
このような構成により、上クランプ53および下クランプ54によってリング体RFが上下方向(移動方向Z)に挟んで保持されると、結果的にシートフィルムFは上リングRupおよび上クランプ53からなる上側挟持部UHと、下リングRdwおよび下クランプ54からなる下側挟持部DHとにより保持(挟持)された状態となる(図2(b))。つまり、下側挟持部DHに載置されたシートフィルムFが上側挟持部UHにより上方から押圧されることによって該シートフィルムFが下側挟持部DHと上側挟持部UHとにより挟持される。以下、下側挟持部DHと上側挟持部UHとをあわせて「一対の挟持部」という。このように、この実施形態では、シートフィルムFを移動方向Zに挟んで配置された一対の挟持部、つまり上側挟持部UHおよび下側挟持部DHが「フィルム保持機構」として機能する。
一対の挟持部UH,DHに挟持されたシートフィルムFは第1プレート4と第2プレート5との間に配置される。具体的には、薄膜が形成されたシートフィルムFの表面(薄膜形成面)が第1プレート4に対向する一方、シートフィルムFの裏面(非薄膜形成面)側が第2プレート5に対向するように、シートフィルムFが一対の挟持部UH,DHにより挟持される。
図3は図1の薄膜形成装置のA−A'横断面図である。2つのクランプのうち下クランプ54は、薄膜形成室11に立設された複数本(この実施形態では3本)の円柱体よりなるクランプ受け55上に水平姿勢で支持される。クランプ受け55は第2プレート5の上面5aの中心を通り移動方向Zに伸びる軸(以下、単に「中心軸」という)J回りに互いに等角度(120°)間隔で放射状に配置されている。下クランプ54の上面周縁部(円環部)にはリング体RFの下端部(下リングRdw)を収容可能な内部に向けて窪んだ窪部54aが形成されている(図2(a))。そして、リング体RFの下端部を窪部54aに収容させることによって、窪部54aの周囲を取り囲む周面部54bによってリング体RFの水平方向の移動を規制することができる。
また、下ベース部材13上には、複数本(この実施形態では3本)の突き上げピン15が中心軸J回りに互いに等角度(120°)間隔で放射状に、しかも円周方向に沿ってクランプ受け55の間に位置するように立設されている。一方、下クランプ54の下面には各突き上げピン15に対応して突き上げピン15の先端部を挿入させることが可能なピン挿入孔54c(図1)が形成されている。このため、昇降ユニット20が上昇駆動されると、突き上げピン15の先端部がピン挿入孔54cに挿入されるとともに、突き上げピン15の先端部と後端部との間に形成された段差面が下クランプ54の下面と当接する。これにより、突き上げピン15と下クランプ54(一対の挟持部UH,DH)とが互いに係合する。
したがって、昇降ユニット20がさらに上昇駆動されると、下クランプ54がクランプ受け55から離れ、突き上げピン15と下クランプ54とが係合した状態で一体的に上昇する。これにより、第2プレート5と一対の挟持部、つまり上側挟持部UHおよび下側挟持部DHとが一定の位置関係を保ったまま上昇する。すなわち、突き上げピン15は移動方向Zにおける第2プレート5に対する相対位置が規定されて昇降ユニット20に設けられているため、突き上げピン15と下クランプ54とが係合することで、下クランプ54(一対の挟持部UH,DH)に対する第2プレート5の相対位置が固定された状態で、第2プレート5と一対の挟持部UH,DHとが一体的に移動方向Zに沿って移動する。このように、この実施形態では、突き上げピン15が「係合部材」として機能する。
図4は突き上げピンと下クランプとが係合した状態を示した図である。突き上げピン15と下クランプ54とが係合した時点では、第2プレート5が一対の挟持部UH,DHに挟持されたシートフィルムFに接触して該シートフィルムFが上方に突き上げられる。これにより、シートフィルムFが緊張し、該シートフィルムFに張力を発生させることができる。ここで、第2プレート5の上面5aが円形に形成されるとともに、一対の挟持部UH,DHによりシートフィルムFの周縁部が全周にわたって保持(挟持)されているため、シートフィルムFに対して周方向に均一な張力を付与することができる。
また、この実施形態では、突き上げピン15が下クランプ54と係合する係合部位の第2プレート5に対する移動方向Zにおける相対距離(以下、単に「相対距離」という)Dを調整することによってシートフィルムFに発生させる張力の大きさをコントロールすることが可能となっている。具体的には、突き上げピン15の先端部と後端部との間に形成された段差面(突き上げピン15が下クランプ54と係合する係合部位)から第2プレート5の上面5aまでの距離(相対距離D)を調整することにより、シートフィルムFに発生させる張力の大きさを変更することが可能となっている。つまり、相対距離Dに応じて、第2プレート5がシートフィルムFと接触を開始してから突き上げピン15と下クランプ54とが係合するまでの間にシートフィルムFが第2プレート5によって移動方向Zに沿って突き上げられる量(以下、単に「突き上げ量」という)Qが変化する。したがって、相対距離Dが調整されることで、突き上げ量Qを変更し、シートフィルムFに発生する張力の大きさを調整することができる。
図5は突き上げピンの構造を示す図である。下ベース部材13には移動方向Zに沿って該下ベース部材13を貫通する貫通孔13aが形成されており、貫通孔13aに突き上げピン15が挿通されている。これにより、その先端側に係合部位(段差面)が設けられた突き上げピン15が下クランプ54(一対の挟持部UH,DH)に向けて突設される。突き上げピン15の後端部151にはねじ溝が刻まれる一方、貫通孔13aの内壁には突き上げピン15のねじ溝と螺合するねじ溝が刻まれている。また、下ベース部材13の上面側に2つのナットからなるダブルナット155が突き上げピン15の後端部151のねじ部に螺嵌されており、ダブルナット155により突き上げピン15が下ベース部材13に緩みなく締め付け固定される。
突き上げピン15の先端部152は下クランプ54のピン挿入孔54cに挿入可能とされている。そして、突き上げピン15の先端部152がピン挿入孔54cに挿入されることで、突き上げピン15の後端部151と先端部152とを結合する段差面153(係合部位)が下クランプ54の下面54dに当接する。段差面153と下クランプ54の下面54dとは平行に形成され、面接触状態で当接する。
このような構成によれば、ダブルナット155を緩めて突き上げピン15の頭部154を回転させていくことで、下ベース部材13の上面から段差面153までの移動方向Zにおける長さLが調整される。すなわち、突き上げピン15と下クランプ54とが互いに係合している状態では、下ベース部材13と下クランプ54(一対の挟持部UH,DH)との間の間隙が調整される。そして、下ベース部材13の上面から段差面153までの移動方向Zにおける長さLを所定の長さに調整した後、ダブルナット155を締めることによって突き上げピン15を下ベース部材13に固定する。このように、下ベース部材13の上面から段差面153までの移動方向Zにおける長さLが調整されることで、相対距離Dが調整される。これにより、突き上げ量Qを変更し、シートフィルムFに発生する張力の大きさを自在に、しかも簡素な構成により調整することができる。したがって、使用するシートフィルムFの種類や膜厚に応じて最適な張力をシートフィルムFに与えることができる。
図1に戻って説明を続ける。下クランプ54の下面周縁部には下クランプ54の水平方向における位置を固定するために、複数本の位置決めピン541が下方に延びるように取り付けられている。これら位置決めピン541は下ベース部材13に移動方向Zに沿って形成された貫通孔13bを貫通している。位置決めピン541と貫通孔13bの内壁との間にはボールスプライン機構等が介在しており、位置決めピン541はボールスプライン機構等を介して移動方向Zに沿ってのみ可動(昇降)自在に支持される。つまり、下クランプ54は移動方向Zに直交する方向(水平方向)に移動するのを規制されながら下ベース部材13に対して移動方向Zに沿って昇降自在に支持される。このような構成によれば、昇降ユニット20(第2プレート5)を移動方向Zに沿って移動させたとしても、水平方向において第2プレート5と下クランプ54(一対の挟持部UH,DH)との間の相対位置関係を確実に固定することができる。このため、第2プレート5と一対の挟持部UH,DHとが互いに水平方向にずれるのを防止することができる。
また、もう一方のクランプ、つまり上クランプ53は昇降自在に支持された複数本のロッド56の下端に固着されている。この実施形態では、3本のロッド56が中心軸J回りに互いに等角度(120°)間隔で放射状に、上クランプ53から上方に伸びるように設けられている。複数本のロッド56の各々には、上クランプ53を移動方向Zに沿って昇降駆動させるためのエアシリンダ57が連結されている。そして、制御ユニット10からの動作指令に応じてエアシリンダ57を作動させることで、上クランプ53を移動方向Zに沿って昇降させることができる。具体的には、上クランプ53を上昇させて第2プレート5に対するリング体RFの搬入出を可能とする一方、上クランプ53を下降させて下クランプ54とでリング体RFを挟持して固定することができる。
このエアシリンダ57は処理容器1の外部に配設されており、エアシリンダ57から発生するパーティクル等の汚染物質が薄膜形成室11内に混入するのを防止することができる。なお、上クランプ53を昇降駆動させる駆動機構としては、エアシリンダに限らず、エアシリンダ以外の他の昇降駆動用アクチュエータを用いるようにしてもよい。
また、エアシリンダ57と、該エアシリンダ57に圧縮空気を供給するための圧縮空気供給源との間には調圧弁58が介装されている。そして、制御ユニット10からの動作指令に応じて調圧弁58の開度を調整することにより、ロッド56の推力を一定に保つことが可能となっている。この実施形態では、軸131が移動方向Zにおいて受ける加重圧力を検出する加重センサ16が設けられており、後述するようにして加重センサ16によって検出された加重圧力に基づいて制御ユニット10が調圧弁58の開度を調整し、ロッド56の推力を一定に保つようにフィードバック制御する。これにより、下クランプ54に載置されたリング体RFを上クランプ53により一定の押圧力で押圧することができる。すなわち、下側挟持部DH上に配置されたシートフィルムFを上側挟持部UHにより上方から一定の押圧力で押圧することが可能となっている。
図6は加重手段200の側面横断面図である。処理容器1の下面を構成する下板110には、薄膜形成室11と連通する開口112に薄膜形成室11と外部空間に渡って昇降ユニット20が設けられている。この昇降ユニット20の軸131の他方端は、処理容器1の下板110の略中央に穿設された開口112を通して処理容器1内の薄膜形成室11にまで入り込んでおり、その上端には下ベース部材13が取り付けられている。また、軸131の下端部は拡径されて円形のフランジ21となっており、フランジ21の上面と下板110の下面との間には上下方向(Z方向)に伸縮自在の伸縮部材としてのベローズ22が設けられ、開口112が塞がれている。ベローズ22は、気密性を有する筒状の内部空間が空洞となる伸縮部材である。フランジ21に下面には、その中央に円柱状の軸端部211が突設される。
加重手段200は、加重モータ14がボールねじ機構23を備え、そのボールねじ機構23にリフタ24が昇降自在に装備される。リフタ24の一端はボールねじ機構23に連結され、他端は延設され軸131の下端の軸端部211に連結される。軸131に連結されるリフタ24は、フランジ21との間に荷重センサ16を有する圧力測定部25を有し、圧力測定部25で測定された測定圧力に基づいて加重モータ14による第2プレート5の変位を制御している。
圧力測定部25は、軸131の下方に組み込まれて移動方向Zにおいて加重される圧力を測定することができる。圧力測定部25の荷重センサ16には例えば歪センサが用いられ、歪センサに軸端部211によって加えられた圧力に応じて発生する電圧に応じた信号(圧力信号)を制御ユニット10に送出する。制御ユニット10は圧力測定部25により測定された圧力(以下「測定圧力」という)と所定の設定圧力とを比較する。
ここで、設定圧力とは予め設定され転写処理に適した圧力をいう。そして、両者に差異がある場合には、圧力測定部25での測定圧力が設定圧力に等しくなるように加重モータ14を制御する。具体的には、圧力測定部25で測定された測定圧力が設定圧力よりも小さい場合には、制御ユニット10は加重モータ14でリフタ24を上昇させるように電圧発生部に電圧制御指令を与える。一方、圧力測定部25で測定された測定圧力が設定圧力よりも大きい場合には、制御ユニット10は加重モータ14でリフタ24を下降させるように電圧発生部に電圧制御指令を与える。
図7は、圧力測定部25の全体斜視図である。荷重センサ16は、図7に示すように四隅に固定部161a、161b、161c、161dを有する基板162と、各固定部161a乃至161dの近傍に配設された歪センサ163a、163b、163c、163dとを有している。各歪センサ163a乃至163dは基板162上に印刷等の手段によって形成された抵抗体で構成され、対角方向に帯状に形成されている。そして、固定部161a乃至161dが四角形の中空ブロックである基台164上に固定され、基板162上の或る一点Pに押圧力が加えられると各歪センサ163a乃至163dは点Pの位置及び押圧力に応じた歪を発生し、歪の変化は電気的な抵抗値の変化として現れ、これを図示しない演算回路によって、基板162に加えられた総荷重量を求める。
歪センサ163aと163cとが一方の対角関係にあり、歪センサ163bと163dとが他方の対角関係にある。歪センサ163a乃至163dは、その形状は長方形状をなしてその長手の幅方向の両側に沿って電極が設けられる。そして、固定部161a乃至161dが基台164上に固定され、基板162の一点Pに押圧力が加えられると各歪センサ163a乃至163dは点Pの位置及び押圧力に応じて歪を発生し、歪の変化は電気的な値の変化として現れ、これを演算手段170によって演算して点Pの位置(加圧中心位置)を特定し、また、点Pにおける総荷重を求めるようにしている。
図8は各歪センサ歪センサ163a乃至163dから出力される歪みを演算するためのブロック構成を示し、演算手段170には回路手段171が備えられている。回路手段171によって総荷重を求める。点Pに加えられる荷重の総和(総荷重)は回路手段171によって歪みの総和で求められる。
また、ここで、加重モータ14と同時にエアシリンダ57を制御するようにしてもよい。圧力測定部25で測定された測定圧力が設定圧力よりも小さい場合には、制御ユニット10はエアシリンダ57のロッド56を下降させるように電圧発生部に電圧制御指令を与える。一方、圧力測定部25で測定された測定圧力が設定圧力よりも大きい場合には、制御ユニット10はエアシリンダ57のロッド56を上昇させるように電圧発生部に電圧制御指令を与える。このように、圧力測定部25と演算手段170が本発明の「荷重検知手段」に相当する。
昇降ユニット20は、フランジ21の上面と下板110の下面との間にベローズ22が設けられている。このため、加重モータ14が回転すると、ベローズ22の伸縮範囲内でボールねじ機構23、リフタ24、フランジ21および圧力測定部25が一体的に上下動する。このとき第一ベローズ22が伸縮することによって処理容器1の気密性が維持されている。
次に、上記した薄膜形成装置の動作について図9ないし図12を参照しつつ説明する。図9ないし図11は図1の薄膜形成装置の動作を説明するための模式図、図12は動作中の圧力測定部25による検出値を示す表で、グラフXは薄膜形成室11内の圧力を10kPaにしグラフYは薄膜形成室11内の圧力を10Paにした場合である。本実施形態においては、薄膜形成室11内への基板WおよびシートフィルムFの搬入に先立って、各突き上げピン15において、下ベース部材13の上面から段差面153までの移動方向Zにおける長さLが使用されるシートフィルムFの種類や膜厚等に応じて予め調整されているものとする。
最初に第1プレート4側に基板Wが搬入される。すなわち、制御ユニット10はリフタ駆動機構46に下降指令を与え、図9(a)に示すように、爪部材45を基板搬入位置に位置決めする。それに続いて、薄膜を形成すべき基板Wが薄膜形成室11内に搬入され、爪部材45の上に載置される。その後、制御ユニット10はリフタ駆動機構46に対して上昇指令を与え、爪部材45を基板装着位置に移動させて基板Wの上面(非パターン形成面)を第1プレート4の下面4aに密着させた状態で基板Wを位置決めする(図9(b))。これにより、第1プレート4に基板Wが装着される(基板装着工程)。
一方、第2プレート5側では、シートフィルムFがリング体RFにより挟持された状態で薄膜形成室11内に搬入される。ここで、リング体RFを構成する一対のリングRup,Rdwに挟まれたシートフィルムFの表面(薄膜形成面)には予め薄膜が形成されており、薄膜形成面を上方に向けてシートフィルムFが搬入される。このとき、上クランプ53はリング体RFの搬入を妨げることのないように上方に退避している。また、第2プレート5の上面5aは下クランプ54(リング体RFが載置される載置面)の下方に位置している。このため、シートフィルムFが搬入される際に、シートフィルムFと第2プレート5とが接触するのを回避することができる。その結果、シートフィルムFに張力が発生していない状態で薄膜が部分的に乾燥して薄膜の均一な乾燥が阻害されてしまうのを防止することができる。
そして、リング体RFが下クランプ54上に載置された後、上クランプ53が下降して下クランプ54に載置されたリング体RFが上クランプ53によって押圧される(図9(c))。これによって、シートフィルムFの周縁部が全周にわたって所定の押圧力で均一に押圧され、シートフィルムFにしわや折り曲げが発生するのを防止しながら、シートフィルムFが一対の挟持部、つまり上側挟持部UHおよび下側挟持部DHにより挟持された状態となる(フィルム保持工程)。
こうして、基板WおよびシートフィルムFの搬入が完了すると、制御ユニット10は装置各部を制御し、以下に示すように薄膜を基板Wに転写する転写工程を実行する。先ず、真空ポンプ2による薄膜形成室11の排気減圧を開始する。また、ヒータコントローラ42によって加熱ヒータ41に通電して第1プレート4を加熱して基板Wを所望の温度に加熱するとともに、ヒータコントローラ52によって加熱ヒータ51に通電して第2プレート5を加熱してシートフィルムFを所望の温度に加熱する。
薄膜形成室11が減圧されると圧力測定部25で検出される荷重値はX1とY1を示す。薄膜形成室11内の設定圧力が異なると、昇降ユニット20のフランジ21が引っ張られることで荷重センサ16の点Pが異なる力で引っ張られることとなり、荷重センサ16の検出値としては異なる低い値を示すこととなる。
そして、薄膜形成室11が所望の圧力まで減圧されると、制御ユニット10より加重モータ14に信号が送られ、昇降ユニット20(第2プレート5)の上昇駆動を開始する。加重モータ14の作動により第2プレート5が上昇すると、一対の挟持部UH,DHに挟持されたシートフィルムFの裏面(非薄膜形成面)と第2プレート5の上面5aとが接触して第2プレート5にシートフィルムFが装着される。このとき、第2プレート5の上面5aの平面サイズはシートフィルムFの平面サイズよりも小さく形成されているため、第2プレート5の上面5aの全面がシートフィルムFにより覆われる。そして、第2プレート5の上面5aがシートフィルムFに接触した状態で第2プレート5がさらに上昇すると、シートフィルムFが緊張し、該シートフィルムFに張力が発生する。つまり、一対の挟持部UH,DHに挟持されたシートフィルムFに第2プレート5が突き当てられてシートフィルムFに張力が発生する。その結果、シートフィルムFが加熱ヒータ51によって加熱され、熱膨張により伸張して弛んでいても、その弛みが取り除かれる。
また、昇降ユニット20の上昇によって突き上げピン15がクランプ受け55上に載置された下クランプ54と係合する(図10(a))。これによって、移動方向Zにおける下クランプ54(一対の挟持部UH,DH)に対する第2プレート5の相対位置が固定される。その結果、シートフィルムFに発生する張力の大きさが決定されるとともに固定される。また、第2プレート5の上昇により、下クランプ54(一対の挟持部UH,DH)がクランプ受け55から突き上げピン15に受け渡される。
そして、第2プレート5の上昇とともに一対の挟持部UH,DHがシートフィルムFを挟持しながら移動方向Zに沿って変位する。このとき、上クランプ53に連結されたロッド56がエアシリンダ57内に後退してストロークが短くなると、エアシリンダ57内の圧力が上昇してロッド56の推力が増大する。その結果、シートフィルムFに対する押圧力が増大し、荷重センサ16によって検出される荷重値が上昇する。
そこで、制御ユニット10は荷重センサ16によって検出される加重圧力が一定となるように調圧弁58の開度を調整し、ロッド56の推力を一定に保つようにフィードバック制御する。つまり、シートフィルムFに対する押圧力が一定になるように、第2プレート5がシートフィルムFに接触する前にシートフィルムFに与えられた押圧力に等しくなるように、制御ユニット10からの動作指令に応じて調圧弁58が制御される。そして、制御ユニット10は昇降ユニット20を上昇させるとともに、シートフィルムFへの押圧力が一定となるように調圧弁58を制御しながらロッド56をエアシリンダ57内に後退させてストロークを短くしていく。これにより、第2プレート5の上昇を阻害することなく、かつ一対の挟持部UH,DHによりシートフィルムFが良好かつ確実に保持される。
また、下クランプ54(一対の挟持部)と突き上げピン15とが互いに係合した状態で一対の挟持部UH,DHと第2プレート5とが一体的に移動方向Zに沿って移動することで、決定された張力をシートフィルムFに付与した状態を維持したままシートフィルムFが上昇する。つまり、第2プレート5と一対の挟持部UH,DHとが一定の位置関係を保ったまま上昇するので、シートフィルムFに与えられた張力の大きさが変化するのを防止することができる。このため、シートフィルムFに張力を安定して与えながらシートフィルムFを基板Wに近接させていくことができる。
また、下クランプ54と突き上げピン15とは、突き上げピン15の先端部152が下クランプ54のピン挿入孔54cに挿入されることで係合している。このため、下クランプ54と突き上げピン15とが係合した状態で移動方向Zに沿って移動する際に、互いの位置関係がずれるのを防止することができる。
第2プレート5が上昇すると荷重値はX2からX3に、Y2からY3に高くなる。フランジ21が引っ張られるのに反して荷重センサ16の点Pにおいて軸端部211との当接により加えられた圧力に応じて荷重値は上昇することとなる。
そして、第2プレート5がさらに上昇すると、シートフィルムF上の薄膜が基板Wに密着し、基板Wへの薄膜の転写が開始される(図10(b))。荷重値は薄膜が基板Wに密着した時のX3からX4まで荷重値は変動せず、第2プレート5の押し付けが始まる時にX4からX5に上昇する。同様に荷重値Y4もY5に上昇する。
また、薄膜形成室11を排気減圧したまま、基板WとシートフィルムFとが所定の加重で一定時間互いに押し付けられる。その間も基板WとシートフィルムFは所定の温度となるように加熱されている。薄膜が基板Wに押し付けられている間もシートフィルムFは一対の挟持部UH,DHにより挟持されながら、一定の張力、つまり下クランプ54と突き上げピン15とが係合することによって決定された張力が付与された状態となっている。このため、シートフィルムFにしわや折り曲げが発生するのを防止して、平坦で均一な膜厚の薄膜を基板Wに形成することができる。
転写中の荷重値はX5からX6に変動せず、同様に荷重値Y5もY6まで変動しない。ここで、荷重値X5とY5に差分dが発生している。これは、薄膜形成室11内の圧力が10kPaと10Paで異なることに起因した差分である。グラフXとグラフYでは薄膜形成室11内の設定圧以外は同じとして、動作した結果を示すものである。即ち、加重モータ14によりリフタ24の駆動を同じにして差分dが発生すると、圧力測定部25にて測定された測定圧力に基づいて加重モータ14による第2プレート5の変位を制御するとグラフXによる荷重値X5が転写処理に適した圧力の場合、グラフYの場合にY5がX5の荷重値となるまで加重モータ14が制御されることとなる。
その結果、グラフYの荷重値Y5は差分dの荷重値が加わった荷重値で転写が行われることとなり、転写処理に適した圧力をオーバーすることとなる。そこで、本発明では、制御ユニット10において、圧力測定部25で測定された測定圧力に対して、予め実験で得た差分dを記憶し、転写動作開始である荷重値Y4の段階で、Y4に対して差分dが加算されるゼロ点調整が行われる。これによって、設定圧が10kPaの時のX5が転写処理に適した圧力の場合、設定圧が10Paが選択されると、自動的に制御ユニット10によって処理工程がグラフYの転写開始点であるY4になると、Y4に差分dが加算される補正が行われ、この補正検出値を測定圧力として設定圧力であるX5となるよう加重モータ14による転写動作が制御ユニット10によって行われる。
そして、一連の加重操作が終了して転写処理が完了すると、ヒータコントローラ42,52により加熱ヒータ41,51の作動を停止させて第1,第2プレート4,5の加熱を停止すると同時に、爪部材45を側方に退避させて爪部材45による基板保持を解除する(図11(c))。
続いて、加重の状態が零となるように制御ユニット10から加重モータ14に信号を送り、昇降ユニット20および一対の挟持部UH,DH(上クランプ53、リング体RF、下クランプ54)を一体的に下降させる(図11(a))。すなわち、制御ユニット10はシートフィルムFに対する押圧力が一定となるように調圧弁58を制御しながらロッド56をエアシリンダ57内から進出させてストロークを長くしていく。その後、昇降ユニット20が下降し、上クランプ53により上方から押圧された状態で下クランプ54およびリング体RFがクランプ受け55上に受け渡される(図11(b))。さらに、昇降ユニット20が下降し、昇降ユニット20(第2プレート5)が転写前の初期位置に復帰すると、突き上げピン15が下クランプ54から離れる。また、上クランプ53によるリング体RFへの押圧が解除される(図11(c))。これにより、下クランプ54およびリング体RFがクランプ受け55上に支持された状態となる。
グラフXの荷重値X6は転写処理が終わり押圧が解除されると一旦、X7に低下する。その後に薄膜形成室11内の減圧が解除され大気圧となるに伴ってX7からX8に上昇することとなる。同様に、グラフYの荷重値Y6もY7を経由してY8に上昇する。ここで、薄膜形成室11が大気圧になることで、X8とY8は同じ測定値となる。なお、制御ユニット10によるゼロ点調整によるX4とY4時点での測定値の補正が行われる場合、グラフXとグラフYはX5とY5の時点でグラフYがグラフXと重なることとなる。即ち、圧力測定部25による検出値が同じ値となるように制御される。
こうして、第2プレート5が転写前の初期位置に戻った後、真空ポンプ2を停止させる。なお、上記のようにして薄膜の密着が完了すると、基板Wは薄膜を挟んでシートフィルムFと一体となっており、この一体化状態のままリング体RFを薄膜形成室11から取り出し、シートフィルムFを剥離する剥離装置(図示せず)に搬送する。
以上のように、この実施形態によれば、薄膜形成室11の設定圧が異なっても、圧力測定部25による測定値には薄膜形成室11内の減圧状態の影響が相殺されるように、転写処理時の荷重センサ16の検出値が同じ値となるよう補正される。こうして、加重モータ14によりかかる圧力が同じとなるので、加重モータ14によるリフタ24の動作が安定する。したがって、シートフィルムFに付与する張力を一定値(決定された張力)に保ったまま該シートフィルムF上の薄膜を基板Wに転写することができ、基板W上に薄膜を良好に形成することができる。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、第2プレート5を第1プレート4の下方に配置し、第2プレート5の上面5aを第1プレート4に対向させているが、第2プレート5を第1プレート4の上方に配置し、第2プレート5の下面を第1プレート4に対向させてもよい。
また、上記実施形態では、第1プレート4を固定配置した状態で第2プレート5を移動させることで転写処理を実行しているが、第1および第2プレート4,5をともに移動させることで転写処理を実行するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、半導体基板に薄膜を転写する場合に限らず、電子部品材料関係であればマルチチップモジュール等の実装関係の基板や液晶関係の基板に薄膜を転写する場合にも適用できる。また、薄膜についても絶縁膜に限らず、金属系の薄膜を基板に転写してもよい。