本発明の凹凸不織布には繊維処理剤が付着している。本発明に係る繊維処理剤は、凹凸不織布の構成繊維(熱可塑性繊維)の表面に付着しており、構成繊維の表面の親水度を、該繊維処理剤を付着させる前に比して高めており、ポリオルガノシロキサン((A)成分)、リン酸エステル型のアニオン界面活性剤((B)成分)、及びポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステル((C)成分)を含有している。
前記(A)〜(C)の3成分を含む繊維処理剤が付着した繊維は、熱処理により該繊維内部に親水的な成分が浸透しやすい繊維となる。(C)成分は、疎水鎖を放射状に配置させやすく、親水基を取り囲みやすい構造になっているために、通常の直線状の炭化水素鎖を有する界面活性剤に比べて、親水度が高くても繊維内部へ浸透しやすい。そして、(C)成分と併用されている(A)成分は、疎水度が高く、且つ、(C)成分等の炭化水素鎖を有する界面活性剤の繊維内部への浸透を促進するため、繊維の表面の親水度が熱処理によって低い値へと変化する。これは、(A)成分のポリシロキサン鎖と、(C)成分等の炭化水素鎖を有する界面活性剤とを混在させたときに、アルキル鎖が不相溶なため、(C)成分等の炭化水素鎖を有する界面活性剤が、より馴染みやすい繊維内部へ、繊維が加熱溶融した際に浸透するために起こると考えられる。これにより、前記(A)〜(C)の3成分を含む繊維処理剤が付着した繊維は、熱処理により親水度が低下しやすい繊維となって、例えば後述する製造工程の一工程であるウエブに熱風を吹きつける工程あるいはウエブにおいて、ウエブ中の繊維が受ける熱量は、熱風吹き付け面とその反対側の面(ネット面)とにおいておのずと異なっていることにより、熱風吹き付け面の繊維とその反対側の面の繊維とでは、受ける熱量が異なり、熱風吹き付け面の繊維とその反対側の面の繊維とではその繊維の接触角の値も変わってくることになる。このことを利用して不織布を平面視したときの第1面である一方の面側からこれとは反対側の第2面である他方の面側に向けて親水度勾配を有する不織布を製造することができるのである。
尚、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の如き、繊維処理剤含有成分の含有量の基準となる「繊維処理剤」は、特に説明しない限り、「不織布に付着している繊維処理剤」であり、不織布に付着させる前の繊維処理剤ではない。繊維処理剤を凹凸不織布に付着させる場合は通常、繊維処理剤を水等の適当な溶媒で希釈したものを用いるため、繊維処理剤含有成分の含有量、例えば(A)成分の繊維処理剤中の含有量は、この希釈した繊維処理剤の全質量を基準としたものとなり得る。
また、本発明の凹凸不織布の如き、繊維処理剤が付着した不織布において、その付着した繊維処理剤を分析する場合は、次の手順に従って分析することが好ましい。先ず、分析対象の不織布を適切な溶媒で洗浄する。この洗浄用溶媒としては、例えば、エタノールとメタノールとの混合溶媒、エタノールと水との混合溶媒が挙げられる。分析対象の不織布が、生理用品又は子ども用若しくは大人用使い捨ておむつの如き、吸収性物品の表面シートである場合は、吸収性物品において表面シートと他の部材との接合に用いられている接着剤をドライヤー等の加熱手段で加熱することで溶融軟化させた後に、表面シートを剥がし、剥がした表面シートを洗浄用溶媒で洗浄する。次に、分析対象の不織布を洗浄するのに用いた溶媒(繊維処理剤を含む洗浄用溶媒)を乾燥させ、その残渣を定量することで、該不織布に付着していた繊維処理剤の総量が測定できる。また、この残渣を、その構成物に合わせて適切なカラム及び溶媒を選択した上で、それぞれの成分を高速液体クロマトグラフィーで分画し、さらに各画分についてMS測定、NMR測定、元素分析等を行うことで、各画分の構造を同定することが出来る。また、繊維処理剤が高分子化合物を含む場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの手法を併用することで、構成成分の同定を行うことがより容易になる。
〔ポリオルガノシロキサン((A)成分)〕
本発明に係る繊維処理剤の必須成分の1つであるポリオルガノシロキサンとしては、直鎖状のもの、架橋二次元又は三次元網状構造を有するもの何れも使用できるが、好ましくは実質上直鎖状のものである。
ポリオルガノシロキサンのうち本発明で好適なものの具体例は、アルキルアルコキシシランやアリールアルコキシシラン、アルキルハロシロキサンの重合物あるいは環状シロキサンであり、アルコキシ基としては、典型的にはメトキシ基である。アルキル基としては炭素数1以上18以下、好ましくは1以上8以下、特に1以上4以下の側鎖を有しても良いアルキル基が適当である。アリール基としては、フェニル基やアルキルフェニル基、アルコキシフェニル基等が例示される。アルキル基やアリール基に代えて、シクロヘキシル基やシクロペンチル基等の環状炭化水素基、ベンジル基のごときアラルキル基であっても良い。
また、本発明でいうポリオルガノシロキサンは、加熱により繊維表面の接触角をより高い目的にする観点から、親水性の高いポリオキシエチレン(POE)鎖で変性したポリオルガノシロキサンを含まない概念である。
本発明にとって好ましい最も典型的なポリオルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジプロピルシロキサン等であるが、ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
また、ポリオルガノシロキサンの分子量としては、高分子量であることが好ましく、具体的には、重量平均分子量で好ましくは10万以上、より好ましくは15万以上、さらに好ましくは20万以上であり、好ましくは100万以下、より好ましくは80万以下、さらに好ましくは60万以下である。また、ポリオルガノシロキサンとして、分子量の異なる2種類以上のポリオルガノシロキサンを用いても良い。分子量が異なる2種類以上のポリオルガノシロキサンを用いる場合、そのうちの一種類は、重量平均分子量が、好ましくは10万以上、より好ましくは15万以上、さらに好ましくは20万以上であり、また、好ましくは100万以下、より好ましくは80万以下、さらに好ましくは60万以下であり、他の一種類は、重量平均分子量が、好ましくは10万未満、より好ましくは5万以下、より好ましくは3万5千以下、さらに好ましくは2万以下であり、また、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、さらに好ましくは5000以上である。また、重量平均分子量が10万以上のポリオルガノシロキサンと重量平均分子量が10万未満のポリオルガノシロキサンとの好ましい配合比率(前者:後者)は、質量比で、好ましくは1:10〜4:1、より好ましくは1:5〜2:1である。
ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量はGPCを用いて測定される。測定条件は下記の通りである。また、換算分子量の計算はポリスチレンで行う。
分離カラム:GMHHR−H+GMHHR−H(カチオン)
溶離液:LファーミンDM20/CHCl3
溶媒流速:1.0ml/min
分離カラム温度:40℃
ポリオルガノシロキサンの繊維処理剤中の含有量は、熱処理による親水度の変化を大きくする観点から、繊維処理剤の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、不織布表面で液を吸収させやすい観点から、繊維処理剤の全質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下が更に好ましい。例えばポリオルガノシロキサンの繊維処理剤中の含有量は、繊維処理剤の全質量に対して、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
さらに、本発明の凹凸不織布を吸収性物品において表面シートとして適用した際に、頂部側(吸収性物品着用者の肌に近い側)の親水度が低下しすぎることを防止する観点、つまり、後述する液流れ距離が長くなり、排泄液が肌に付着する量が増加することを防止する観点からも、ポリオルガノシロキサンの繊維処理剤中の含有量は前記の範囲内とすることが好ましい。
ポリオルガノシロキサンとしては、市販品を用いることもできる。例えば、信越シリコーン社製の「KF−96H−100万Cs」、東レ・ダウコーニング社製の「SH200 Fluid 1000000Cs」、また2種類のポリオルガノシロキサンを含有するものとしては、信越シリコーン社製の「KM−903」や、東レ・ダウコーニング社製の「BY22−060」を用いることができる。
〔リン酸エステル型のアニオン界面活性剤((B)成分)〕
本発明に係る繊維処理剤の必須成分の1つであるリン酸エステル型のアニオン界面活性剤は、原綿のカード機通過性やウエブの均一性等の特性を改良し、これによって本発明の凹凸不織布の生産性の向上と品質低下の防止を目的として、繊維処理剤に配合されるもので、アニオン界面活性剤の一種である。具体的には、アルキルエーテルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル、アルキルリン酸エステルなどが挙げられる。その中でも、アルキルリン酸エステルが加工性機能の面から好ましい。
アルキルエーテルリン酸エステルとしては、特に制限なく種々のものを用いることができる。例えば、ステアリルエーテルリン酸エステル、ミリスチルエーテルリン酸エステル、ラウリルエーテルリン酸エステル、パルミチルエーテルリン酸エステルなどの飽和の炭素鎖を持つものや、オレイルエーテルリン酸エステル、パルミトレイルエーテルリン酸エステルなどの不飽和の炭素鎖及び、これらの炭素鎖に側鎖を有するものが挙げられる。より好ましくは、炭素鎖が16〜18のモノ又はジアルキルリン酸エステルの完全中和又は部分中和塩である。なお、アルキルエーテルリン酸エステルの塩としては、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属、アンモニア、各種アミン類などが挙げられる。アルキルリン酸エステルは、一種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アルキルリン酸エステルの具体例としては、ステアリルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、パルミチルリン酸エステル等の飽和の炭素鎖を持つものや、オレイルリン酸エステル、パルミトレイルリン酸エステル等の不飽和の炭素鎖及び、これらの炭素鎖に側鎖を有するものが挙げられる。より好ましくは、炭素鎖が16〜18のモノ又はジアルキルリン酸エステルの完全中和又は部分中和塩である。尚、アルキルリン酸エステルの塩としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属、アンモニア、各種アミン類等が挙げられる。アルキルリン酸エステルは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
リン酸エステル型のアニオン界面活性剤の繊維処理剤中の含有量は、カード機通過性やウエブの均一性等の観点から、繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、熱処理に起因するポリオルガノシロキサンによる繊維の疎水化を妨げないようにする観点から、繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
〔ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステル((C)成分)〕
本発明に係る繊維処理剤の必須成分の1つであるポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステル、即ち(C)成分は、不織布製造時における熱処理による親水度の低下をより顕著なものにすること、即ち、不織布中の所望の部分の親水性を顕著に低下させることを目的として、繊維処理剤に配合されるもので、ノニオン界面活性剤の一種である。(C)成分は、多価アルコールの水酸基を脂肪酸でエステル化した多価アルコール脂肪酸エステルの一種であり、この多価アルコール脂肪酸エステルにアルキレンオキシドを付加させた変性物である。(C)成分は、常法に従って製造することができ、例えば特開2007−91852号公報に従って製造することができる。
(C)成分(あるいは多価アルコール脂肪酸エステル)の原料の1つである多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200〜11000)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(分子量250〜4000)、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン(重合度2〜30)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、ソルビタン、ソルバイド、ショ糖、トレハロース、エルロース、ラクトシュクロース、シクロデキストリン、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、パニトール、還元水飴等が挙げられる。好ましくは、ポリエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ソルバイド、ショ糖であり、特に好ましくは、ソルビトール、ソルビタン、ソルバイドである。
(C)成分(あるいは多価アルコール脂肪酸エステル)の原料の他の1つである脂肪酸としては、例えば、炭素数6〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸、これらを主成分とする混合脂肪酸、あるいは炭素数8〜36の分岐鎖脂肪酸が挙げられる。脂肪酸は、部分的に水酸基を含んでいても良い。具体的には、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、cis−9−オクタデセン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、2−エチルヘキシル酸、イソステアリン酸等が挙げられ、天然由来の混合脂肪酸であるヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸を用いてもよい、好ましくは炭素数8〜18の脂肪酸、特に好ましくは、ドデカン酸、オクタデカン酸、cis−9−オクタデセン酸である。
(C)成分を構成する多価アルコール脂肪酸エステルは、その主成分が、疎水鎖を大きくして疎水性を高めるときに、分子の形状を直線状に大きくするのでなく、3次元的に大きくすることで、繊維中へ取り込まれやすい形状にさせる観点から、3価以上のアルコールのエステル化物で且つアルコール成分のエステル化率が90%以上であるものが好ましい。ここで、主成分は、多価アルコール脂肪酸エステルの中で最も多い成分のことであり、多価アルコール脂肪酸エステルの全質量に対して50質量%以上含まれていることが好ましい。例えば、3価のアルコールとしてはグリセリン、4価のアルコールとしてはエリスリトール、5価のアルコールとしてはキシリトール等が挙げられる。
(C)成分を構成する多価アルコール脂肪酸エステルとして特に好ましいものは、ヒマシ油(硬化ヒマシ油)である。ヒマシ油は、ドウダイグサ科の植物であるヒマの種子を給源とするグリセリン脂肪酸エステルであり、構成脂肪酸の約90%がリシノレイン酸である。つまり、(D)成分としては、グリセリンとリシノレイン酸を主体とする脂肪酸とのエステル油が好ましい。
(C)成分において、多価アルコール脂肪酸エステルに付加するアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。(C)成分として特に好ましいものは、多価アルコール脂肪酸エステルに付加するアルキレンオキシドがエチレンオキシドである、ポリオキシエチレン(POE)変性多価アルコール脂肪酸エステルであり、とりわけ好ましいものは、多価アルコール脂肪酸エステルがヒマシ油(硬化ヒマシ油)である、POE変性ヒマシ油(POE変性硬化ヒマシ油)である。
(C)成分において、多価アルコール脂肪酸エステルに対するアルキレンオキシドの付加モル数は、凹凸不織布の液吸収性能の向上(液残り量のや液流れ量の低減等)の観点から、20モル超えることが好ましく、40モル以上が特に好ましい。但し、アルキレンオキシドの付加モル数が多すぎると、凹凸不織布の親水度が高まり過ぎてしまい、例えば、該凹凸不織布を吸収性物品において表面シートとして用いた場合に、液残り量の増大に繋がるおそれがあることから、該付加モル数は、好ましくは80モル以下、さらに好ましくは60モル以下である。
(C)成分の繊維処理剤中の含有量は、凹凸不織布の親水度を高めて、凹凸不織布の製造時における熱処理による親水性の低下の効果を顕著に発現させる観点から、繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、強親水化による液残り量の増加を抑制する観点から、繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
本発明に係る繊維処理剤において、(A)成分のポリオルガノシロキサンと、(C)成分のポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルとの含有比率(前者:後者)は、質量比で、好ましくは1:2〜3:1、より好ましくは1:1〜2:1である。
また、本発明に係る繊維処理剤において、(A)成分のポリオルガノシロキサンと、(B)成分のリン酸エステル型のアニオン界面活性剤との含有比率(前者:後者)は、質量比で、好ましくは1:5〜10:1、より好ましくは1:2〜3:1である。
〔その他の成分〕
本発明に係る繊維処理剤は、前述した(A)〜(C)成分に加えて、他の成分を含有していても良い。(A)〜(C)成分以外に配合する他の成分としては、例えば、変性シリコーン等の膠着防止剤等の処理剤が挙げられる。また、他の成分として、アニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性の界面活性剤((B)成分及び(C)成分以外の他の界面活性剤)を用いることができる。
本発明に係る繊維処理剤に含有可能なアニオン界面活性剤((B)成分以外の他のアニオン界面活性剤)の例としては、アルキルエーテルホスフェートナトリウム塩、ジアルキルホスフェートナトリウム塩、ジアルキルスルホサクシネートナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホネートナトリウム塩、アルキルスルホネートナトリウム塩、アルキルサルフェートナトリウム塩、セカンダリーアルキルサルフェートナトリウム塩等が挙げられる(何れのアルキルも炭素数6以上22以下、特に8以上22以下が好ましい)。これらは、ナトリウム塩に代えてカリウム塩等の他のアルカリ金属塩を用いることもできる。ここで、(B)成分以外の他のアニオン界面活性剤としては、親水度が高く、更に熱処理によって繊維の親水度をより低下させる観点から、2鎖の嵩高な疎水基を有するジアルキルスルホコハク酸が好ましい。
本発明に係る繊維処理剤に含有可能なカチオン界面活性剤の例としては、アルキル(又はアルケニル)トリメチルアンモニウムハライド、ジアルキル(又はアルケニル)ジメチルアンモニウムハライド、アルキル(又はアルケニル)ピリジニウムハライド等が挙げられ、これらの化合物は、炭素数6以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するものが好ましい。前記ハライド化合物におけるハロゲンとしては、塩素、臭素等が挙げられる。
本発明に係る繊維処理剤に含有可能な両性界面活性剤の例としては、アルキル(炭素数1〜30)ジメチルベタイン、アルキル(炭素数1〜30)アミドアルキル(炭素数1〜4)ジメチルベタイン、アルキル(炭素数1〜30)ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)ベタイン、スルフォベタイン型両性界面活性剤等のベタイン型両性界面活性剤や、アラニン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノプロピオン酸型、アルキル(炭素数1〜30)イミノジプロピオン酸型等]両性界面活性剤、アルキルベタイン等のグリシン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノ酢酸型等]両性界面活性剤等のアミノ酸型両性界面活性剤、アルキル(炭素数1〜30)タウリン型等のアミノスルホン酸型両性界面活性剤が挙げられる。
本発明に係る繊維処理剤に含有可能なノニオン界面活性剤((C)成分以外の他のノニオン界面活性剤)の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリ(好ましくはn=2〜10)グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル(何れも好ましくは脂肪酸の炭素数8〜60)、ポリオキシアルキレン(付加モル数2〜60)アルキル(炭素数8〜22)アミド、ポリオキシアルキレン(付加モル数2〜60)アルキル(炭素数8〜22)エーテル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。ここで、(C)成分以外の他のノニオン界面活性剤としては、繊維に対して、適度な柔軟性を付与し、優れた使用感を提供する観点から、ポリオキシエチレン(POE)アルキルアミドが好ましい。また、POEアルキルアミドに加えてさらにノニオン界面活性剤として、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン(POE、POP)変性シリコーンを併用すると、繊維に対して適度な平滑性が付与され、不織布加工性がより一層確実に担保されるため、好ましい。
前記繊維処理剤が付着している本発明の凹凸不織布は、熱可塑性繊維を含んで構成され、少なくとも片面が凹凸を有している。即ち、本発明の凹凸不織布は、第1面及びそれとは反対側に位置する第2面を有し、少なくとも第1面が、第1面側に突出する複数の凸部と該凸部間に位置する凹部とからなる凹凸を有している凹凸不織布である。以下、本発明の凹凸不織布を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1〜図5には、本発明の凹凸不織布の第1実施形態が示されている。第1実施形態の不織布10Aは、熱可塑性繊維を含んで構成されており、図1及び図2に示すように、多数の凸部5が形成されて凹凸面となっている第1面1aと、平坦であるか又は該凹凸面に比して凹凸の程度が明確に小さい第2面1bとを有している。
第1実施形態の不織布10Aは、複数の層が厚み方向に積層されてなる多層構造、より具体的には図1及び図2に示すように二層構造である。不織布10Aにおいては、第1不織布2と第2不織布3とが部分的に熱融着されて接合部4が形成されており、また、第1不織布2が、該接合部4に囲まれた非接合部6において第2不織布2から離れる方向に突出して、内部が中空の凸部5を多数形成している。接合部4は、第1面1aにおいては、隣り合う2個の凸部5,5間に位置する「凹部」であり、凸部5と共に第1面1aの凹凸を構成している。
非接合部6は、不織布10Aの平面視において、接合部4に囲まれている部分であり、第1不織布2及び第2不織布3を有する。接合部4に囲まれた非接合部6は、周囲を、相互に離間した複数の接合部4によって囲まれていることが好ましい。図1に示す不織布10Aにおいては、4個の接合部4によって周囲を囲まれているが、非接合部6を囲む接合部4の数は、4個に限られず、例えば、2個、3個、5個、6個、あるいは7個以上とすることもできる。非接合部6を囲む接合部4の数は、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上であり、更に好ましくは4個以上であり、また、好ましくは12個以下、より好ましくは8個以下であり、更に好ましくは6個以下である。
尚、不織布10Aの如き多層構造の不織布において、その多層構造を構成する各層は、それらの層を構成する繊維の材料の種類、繊維の太さ、親水化処理の有無、層の形成方法等の要因によって区別される。多層構造の不織布の厚み方向断面を電子顕微鏡で拡大すると、これらの要因に起因して、厚み方向に隣接する2つの層の境界部分を観察することができる。
また、本発明の凹凸不織布が多層構造の場合、前述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する繊維処理剤は、その多層構造を構成する複数の層のうちの少なくとも1層に含まれていれば良く、複数の層の全てに含まれていても良い。第1実施形態の不織布10Aにおいては、第2不織布3のみに前記繊維処理剤が含まれている。
第1実施形態の不織布10Aにおいては、接合部4に囲まれた非接合部6における第2不織布3が、接合部4に近づくにつれて親水度が低下する親水性の勾配を有している。より具体的には、非接合部6における第2不織布3は、図2に示すように、接合部4との間の距離が2mm以上である遠位部P1から、該接合部4に隣接する近位部P3に向かって親水度が漸次低下している。
本発明で言う「親水度」は、以下に述べる方法で測定された繊維の接触角に基づきその程度が判断される。具体的には、親水度が低いことは接触角が大きいことと同義であり、親水度が高いことは接触角が小さいことと同義である。
非接合部6における第2不織布3が、近位部P3から遠位部P1に向かって親水度が漸次低下する親水度の勾配を有するか否かは、近位部P3、遠位部P1、及び近位部P3と遠位部P1との間の中位部P2から取り出した繊維の接触角を比較し、近位部P3、中位部P2及び遠位部P1の接触角が、下記条件(1)を満足し、近位部P3と遠位部P1の接触角の差が3度以上ある場合に、近位部P3から遠位部P1に向かって親水度が漸次低下する親水性の勾配を有すると判断する。
近位部P3の接触角>中位部P2の接触角>遠位部P1の接触角 …(1)
非接合部6における第2不織布4に関し、接合部4に隣接する近位部P3は、不織布10Aの平面視において、接合部4の外周縁からの距離が、0mm以上1mm未満の範囲であり、接触角を測定する繊維は、該距離が0.1mmの地点から取り出す。同様に、遠位部P1は、不織布10Aの平面視において、接合部4の外周縁からの距離が、2mm以上の範囲であり、接触角を測定する繊維は、該距離が2mmの地点から取り出す。同様に、中位部P2は、不織布10Aの平面視において、接合部4の外周縁からの距離が1mm超2mm未満の範囲であり、接触角を測定する繊維は、該距離が1.2mmの地点から取り出す。ここでいう、接合部4の外周縁からの距離は、不織布の平面視において、凸部5の中心と接合部4の中心とを通る直線上において測定する。また、接触角を測定する繊維は、不織布の、厚み方向における中央部付近から取り出すことが好ましい。
〔接触角の測定方法〕
不織布の所定の部位から繊維を取り出し、その繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角の測定には蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析や画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。録画された映像において、不織布から取り出した繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、接触角とする。不織布から取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。該繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を接触角と定義する。
また、第1実施形態の不織布10Aにおいては、接合部4における第1面1a側の部分4a(第1面1aにおける凹部の底部)に比して、第2面1bにおける該部分4aに対応する部分4bの方が親水度が高くなっている。より具体的には、接合部4においては、第1面1a側から第2面1b側に向かって親水度が漸次増加している。
第1実施形態の不織布10Aにおいては、図3に示すように、凹凸面である第1面1a側に液が供給されると、その液の一部は、経路R1に示すように、凸部5間の接合部4近傍から、非接合部6における第1不織布2内に入った後、第2不織布3が有する親水度の勾配によって、第2不織布3内又は第2不織布3上を、親水度が低い接合部4近傍から、親水度の高い中央部方向へと移動する。そのため、接合部4の形成時に繊維密度が高くなった接合部4の周縁部近傍に液が残り難く、不織布10Aの全体として、液の透過性に優れたものとなる。また、接合部4に残った液も、経路R3に示すように、接合部4の親水度が低い第1面4aから親水度の高い第2面4bへと液が以降するため、より接合部4には液が残り難く、不織布10Aの全体として、液の透過性に優れたものとなる。
第1実施形態の不織布10Aを、吸収性物品の表面シートとして用いる場合、図3に示すように、凹凸面となっている第1面1a側が着用者の肌側を向くようにして用いることが、不織布10Aの性能を充分に発揮させる観点から好ましい。図3中、符号20は、吸収性物品の吸収体である。尚、吸収性物品の表面シートとして用いた場合には、第1不織布2における凸部5を形成する部分に存する液は、第1不織布2の凸部5の頂部P4から第2不織布3の近位部P1付近へ着用者の体圧等が加わることによって、経路R2に示すように、直接的に第2不織布3へと移行する。
第1実施形態の不織布10Aを、吸収性物品の表面シートとして用いる場合、非接合部6における接合部4の周縁部近傍に液が残り難いことは、前述したような経路R1及びR3で、液を吸収体20に誘導して、着用者から排泄された尿や経血等の液体が、着用者の肌に対向配置される第1面1aに残らないようにして、べたつき等の不快感が生じないようにする観点や、経血等の色つきの液体が目立つのを防ぎ、吸液後の吸収性物品の外観を良好とする観点から好ましい。
このように、第1実施形態の不織布10Aは、液が供給される面(第1面1a)側に液が残りにくく、全体としての液の透過性に優れている。また、後述するような、簡易な製造工程で生産可能であり、生産性にも優れている。
不織布10Aの液の透過性の向上や吸収性物品の表面シートとして使用した場合の液残り量の低減の観点から、近位部P3と遠位部P1とは、近位部P3の接触角が遠位部P1の接触角よりも高いことを前提にして、繊維に対する水の接触角の差が、好ましくは3度以上、さらに好ましくは4度以上、そして、好ましくは20度以下、さらに好ましくは15度以下、より好ましくは10度以下、より具体的には、好ましくは3度以上20度以下、さらに好ましくは4度以上15度以下、より好ましくは4度以上10度以下である。
同様の観点から、近位部P3は、繊維に対する水の接触角が、好ましくは70度以上、さらに好ましくは80度以上、そして、好ましくは120度以下、さらに好ましくは100度以下、より好ましくは95度以下、より具体的には、好ましくは70度以上120度以下、さらに好ましくは80度以上100度以下、より好ましくは80度以上95度以下である。
同様の観点から、遠位部P1は、繊維に対する水の接触角が、好ましくは60度以上、さらに好ましくは70度以上、そして、好ましくは95度以下、さらに好ましくは90度以下、より具体的には、好ましくは60度以上95度以下、さらに好ましくは70度以上90度以下である。
同様の観点から、近位部P3と中位部P2とは、近位部P3の接触角が中位部P2の接触角よりも高いことを前提にして、繊維に対する水の接触角の差が、好ましくは1度以上、さらに好ましくは2度以上、そして、好ましくは15度以下、さらに好ましくは10度以下である。また、中位部P2と遠位部P1とは、中位部P2の接触角が遠位部P1の接触角よりも高いことを前提にして、繊維に対する水の接触角の差が、好ましくは1度以上、さらに好ましくは2度以上、そして、好ましくは15度以下、さらに好ましくは10度以下である。
同様の観点から、接合部4における第1面1a側の部分4a(第1面1aにおける凹部の底部)と、第2面1bにおける該部分4aに対応する部分4bとは、部分4aの接触角が部分4bの接触角よりも高いことを前提にして、繊維に対する水の接触角の差が、好ましくは1度以上、さらに好ましくは2度以上、そして、好ましくは15度以下、さらに好ましくは10度以下、より具体的には、好ましくは1度以上15度以下、さらに好ましくは2度以上10度以下である。
また、第1実施形態の不織布10Aにおいては、第1面1aにおける凸部5の頂部P4に比して、第2面1bの何れかの部位の方が親水度が高くなっている。より具体的には、第1面1aを形成する第1不織布2は、凸部5の頂部P4における親水度が、第2面1bを形成する第2不織布3の遠位部P1の親水度よりも低くなっている。即ち、第1不織布2は、凸部5の頂部P4における接触角が、第2不織布3の遠位部P1における接触角よりも高くなっている。頂部P4における接触角を測定する繊維は、不織布10Aの平面視における凸部5の中心から取り出す。
第1不織布2の凸部5の頂部P4における親水度が、第2不織布3の遠位部P1における親水度より低いことにより、不織布10Aを吸収性物品の表面シートとして用いた場合には、第1不織布2における凸部5を形成する部分に存する液は、該凸部5の頂部P4から第2不織布3の近位部P1付近へ着用者の体圧等が加わることによって、経路R2に示すように(図3参照)、直接的に第2不織布3へと移行しやすくなる。
凸部5の頂部P4と遠位部P1とは、凸部5の頂部P4の接触角が遠位部P1の接触角よりも高いことを前提にして、繊維に対する水の接触角の差が、好ましくは1度以上であり、また、好ましくは20度以下、更に好ましくは15度以下である。
第1実施形態の不織布10Aにおいては、親水度に勾配を有する第2不織布3とは対照的に、第1不織布2はその親水度が、該第1不織布2の何れの部位においても同じになっている。そのような第1不織布2を形成するためには、第2不織布3を親水化させるための繊維処理剤として、前述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する繊維処理剤ではなく、例えば繊維に親水性を付与するために従来用いられてきた油剤と呼ばれる繊維処理剤を用いれば良い。そのような繊維処理剤(油剤)としては、例えば各種の界面活性剤が典型的なものとして挙げられ、この界面活性剤としては、アニオン、カチオン、両性及びノニオンの界面活性剤((B)成分及び(C)成分以外の他の界面活性剤)を用いることができる。
第1実施形態の不織布10Aにおいて、凸部5の大きさや高さ等は、その具体的な使用目的に応じて適宜に設定することができるが、吸収性物品の表面シートとして用いる場合は、凸部5はその高さH(図1参照)が、1mm以上10mm以下、特に1.5mm以上6mm以下であることが好ましい。また、製造時の搬送方向に対応するX方向に沿う凸部5の底部寸法(非接合部6の寸法)A、及び前記X方向と直交するY方向に沿う凸部5の底部寸法(非接合部6の寸法)Bは、何れも、1mm以上30mm以下、特に1.5mm以上10mm以下であることが好ましい。同様に、X方向の接合部4の長さC及びY方向の接合部4の長さDは、0.5mm以上20mm以下、特に0.8mm以上5mm以下であることが、好ましい。
また、第1実施形態の不織布10Aにおいて、凸部5の個数は、不織布10Aの単位面積(1cm2)当たり、好ましくは5個以上、さらに好ましくは20個以上、そして、好ましくは50個以下、さらに好ましくは30個以下である。
また、前述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する繊維処理剤の付着量は、繊維処理剤を除く繊維の全質量に対する割合(%)が、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上1.0質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上0.6質量%以下である。
第1実施形態の不織布10Aを構成する第1不織布2及び第2不織布3は、実質的に非伸縮性であることが好ましい。実質的に非伸縮性の不織布は、例えば伸長限界が105%以下であり、それを超える伸長では材料破壊を起こすか又は永久歪みが発生する。第1不織布2及び第2不織布3としては、例えば、吸収性物品における表面シートを構成する不織布として従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えば、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布が挙げられる。第1不織布2と第2不織布3とは、同一製法の不織布であっても良いし、異なる製法の不織布であっても良い。
また、第1不織布2及び第2不織布3は、少なくとも何れか一方、好ましくは両方が、熱可塑性繊維の1種である熱融着性繊維を含むことが好ましい。熱融着性繊維としては、例えば熱融着性芯鞘型複合繊維、非熱伸長性繊維、熱収縮繊維、立体捲縮繊維、潜在捲縮繊維、中空繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの繊維のうち、熱融着性芯鞘型複合繊維を用いることが特に好ましい。
熱融着性繊維は、繊維処理剤の付着の前後何れにおいても熱融着性を有し、且つ芯鞘型の複合構造を有している。芯鞘型の複合繊維は、同心の芯鞘型でも、偏心の芯鞘型でも、サイド・バイ・サイド型でも、異型形でも良い。特に同心の芯鞘型であることが好ましい。繊維がどのような形態をとる場合であっても、柔軟で肌触り等のよい不織布等を製造する観点からは、熱融着性繊維の繊度は1.0dtex以上10.0dtex以下が好ましく、2.0dtex以上8.0dtex以下であることがより好ましい。
熱融着性繊維の繊度は、第1不織布2と第2不織布3とで同じであっても良く、あるいは相違していても良い。各不織布2,3における熱融着性繊維の繊度が相違する場合、第1不織布2に含まれる熱融着性繊維の繊度よりも、第2不織布3に含まれる熱融着性繊維の繊度の方が小さいことが好ましい。こうすることによって、第1不織布2から第2不織布3に向けて毛管力が高まる勾配が生じ、そのことと、繊維処理剤に起因する親水度の勾配とが相まって、第1不織布2から第2不織布3に向けての液の引き込み性が向上するという有利な効果が奏される。尤も、本発明においては、繊維処理剤に起因する親水度の勾配が十分に付与されているので、第2不織布3に繊度の小さな熱融着性繊維を用いなくても、第1不織布2から第2不織布3に向けての液の引き込み性は十分なものとなる。
芯鞘型複合繊維Pの鞘部を構成するポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられる。特に、密度が0.935〜0.965g/cm3である高密度ポリエチレンであることが好ましい。芯鞘型複合繊維Pの鞘部を構成する樹脂成分は、ポリエチレン樹脂単独であることが好ましいが、他の樹脂をブレンドすることもできる。ブレンドする他の樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等が挙げられる。ただし、鞘部を構成する樹脂成分は、鞘部の樹脂成分中の50質量%以上が、特に70質量%以上100質量%以下がポリエチレン樹脂であることが好ましい。
芯鞘型複合繊維Pの鞘部は、熱融着性芯鞘型複合繊維に熱融着性を付与すると共に、熱処理時に、前述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する繊維処理剤を内部に取り込む役割を担う。他方、芯部は、熱融着性芯鞘型複合繊維に強度を付与する部分である。芯鞘型複合繊維Pの芯部を構成する樹脂成分としては、鞘部の構成樹脂であるポリエチレン樹脂より融点が高い樹脂成分を特に制限なく用いることができる。芯部を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂を除く)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂等が挙げられる。更に、ポリアミド系重合体や前述した樹脂成分の2種以上の共重合体等も使用することができる。複数種類の樹脂をブレンドして使用することもでき、その場合、芯部の融点は、融点が最も高い樹脂の融点とする。
繊維処理剤を付着させる熱融着性芯鞘型複合繊維は、芯部を構成する樹脂成分の融点と鞘部を構成する樹脂成分との融点の差(前者−後者)が、20℃以上であることが、不織布の製造が容易となることから好ましく、また150℃以下であることが好ましい。芯部を構成する樹脂成分が複数種類の樹脂のブレンドである場合の融点は、融点が最も高い樹脂の融点とする。
第1実施形態の不織布10Aを構成する繊維(熱可塑性繊維)の少なくとも一部は、加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維であっても良い。例えば、前述した熱融着性芯鞘型複合繊維は、熱伸長性複合繊維であっても良い。熱伸長性繊維としては、例えば加熱により樹脂の結晶状態が変化して自発的に伸びる繊維が挙げられる。熱伸長性繊維は、不織布中において、加熱によってその長さが伸長した状態、及び/又は、加熱によって伸長可能な状態で存在している。熱伸長性繊維は、加熱時に、表面の繊維処理剤が内部に取り込まれやすく、繊維やそれを用いて製造した不織布等に、加熱処理によって親水度の大きく異なる複数の部分を形成しやすくなる。
好ましい熱伸長性複合繊維は、芯部を構成する第1樹脂成分と、鞘部を構成する、ポリエチレン樹脂を含む第2樹脂成分とを有しており、第1樹脂成分は、第2樹脂成分より高い融点を有している。第1樹脂成分は該繊維の熱伸長性を発現する成分であり、第2樹脂成分は熱融着性を発現する成分である。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の融点は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用い、細かく裁断した繊維試料(サンプル重量2mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定し、その融解ピーク温度で定義される。第2樹脂成分の融点がこの方法で明確に測定できない場合、その樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。この場合、第2樹脂成分の分子の流動が始まる温度として、繊維の融着点強度が計測できる程度に第2樹脂成分が融着する温度を軟化点とし、これを融点の代わりに用いる。
熱伸長性複合繊維における第1樹脂成分の好ましい配向指数は、用いる樹脂により自ずと異なるが、例えばポリプロピレン樹脂の場合は、配向指数が60%以下であることが好ましく、さらに好ましくは40%以下であり、より好ましくは25%以下である。第1樹脂成分がポリエステルの場合は、配向指数が25%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20%以下であり、より好ましくは10%以下である。一方、第2樹脂成分は、その配向指数が5%以上であることが好ましく、さらに好ましくは15%以上であり、より好ましくは30%以上である。配向指数は、繊維を構成する樹脂の高分子鎖の配向の程度の指標となるものである。そして、第1樹脂成分及び第2樹脂成分の配向指数がそれぞれ前記の値であることによって、熱伸長性複合繊維は、加熱によって伸長するようになる。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の配向指数は、特開2010−168715号公報の段落〔0027〕〜〔0029〕に記載の方法によって求められる。また、熱伸長性複合繊維における各樹脂成分が前記のような配向指数を達成する方法は、特開2010−168715号公報の段落〔0033〕〜〔0036〕に記載されている。
熱伸長性複合繊維は、第1樹脂成分の融点よりも低い温度において熱によって伸長可能になっている。そして熱伸長性複合繊維は、第2樹脂成分の融点(融点を持たない樹脂の場合は軟化点)より10℃高い温度での熱伸長率が0.5%以上20%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以上20%以下、より好ましくは5.0%以上20%以下である。このような熱伸長率の繊維を含む不織布は、該繊維の伸長によって嵩高くなり、あるいは立体的な外観を呈する。繊維の熱伸長率は、特開2010−168715号公報の段落〔0031〕〜〔0032〕に記載の方法によって求められる。
熱伸長性複合繊維における第1樹脂成分と第2樹脂成分との比率(質量比、前者:後者)は10:90〜90:10、特に20:80〜80:20、とりわけ50:50〜70:30であることが好ましい。熱伸長性複合繊維の繊維長は、第1実施形態の不織布10Aの製造方法に応じて適切な長さのものが用いられる。不織布10Aを例えば後述するようにカード法で製造する場合には、繊維長を30mm以上70mm以下程度とすることが好ましい。
熱伸長性複合繊維の繊維径は、不織布10Aの具体的な用途に応じ適切に選択される。不織布10Aを吸収性物品の表面シート等の吸収性物品の構成部材として用いる場合には、繊維径が10μm以上35μm以下、特に15μm以上30μm以下の熱伸長性複合繊維を構成繊維として用いることが好ましい。尚、熱伸長性複合繊維は、伸長によってその繊維径が小さくなるところ、前記の繊維径とは、不織布を実際に使用するときの繊維径のことである。
熱伸長性複合繊維としては、前述の熱伸長性複合繊維の他に、特許第4131852号公報、特開2005−350836号公報、特開2007−303035号公報、特開2007−204899号公報、特開2007−204901号公報及び特開2007−204902号公報等に記載の繊維を用いることもできる。
第1実施形態の不織布10Aにおいては、熱融着性繊維(熱可塑性繊維)として、熱伸長性繊維と非熱伸長性繊維を混綿されたものを用いても良い。非熱伸長性繊維は、高融点成分と低融点成分とを含み、低融点成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している二成分系の複合繊維である。複合繊維(非熱伸長性繊維)の形態には芯鞘型やサイド・バイ・サイド型などの様々な形態があり、何れの形態であっても用いることができる。熱融着性の複合繊維は原料の段階で延伸処理が施されている。ここで言う延伸処理とは、延伸倍率2〜6倍程度の延伸操作のことである。熱伸長性繊維と非熱伸長性繊維との混合割合は、質量比で、前者:後者が1:9〜9:1が好ましく、より好ましくは4:6〜6:4である。これにより熱風で不織布の嵩を回復させることがより容易になり、それぞれの繊維を単独で用いるよりも、肌触りとドライ性の良好な不織布とすることができる。
また、第1実施形態の不織布10Aは酸化チタンを含んでいても良い。酸化チタンは、例えば粒径が0.1μm以上2μm以下の範囲であることが好ましく、紡糸工程で樹脂に含有させて紡糸することができる。酸化チタンを含有させた不織布は白色度が高まり、隠蔽性が高くなる。特に、酸化チタンを含有させた不織布を表面材等に使用した吸収性物品では、吸収体に吸収した経血や尿等の体液の隠蔽性が高く、使用後の外観からくる視覚的ドライ感が得られる。
酸化チタンは任意の含有量で加えることができるが、隠蔽性を高める観点から、不織布10Aに含有させる酸化チタンの量は、不織布10Aの全質量に対して、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また、生産性、繊維強伸度物性、繊維製造工程での紡糸性、不織布製造工程での加工性、後加工工程でのカット性の観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下である。
次に、第1実施形態の不織布10Aの製造方法の一実施態様について、図4及び図5を参照して説明する。本実施態様の不織布10Aの製造方法に関し、特に説明しない点については、特許文献1に記載の方法(特に段落〔0021〕〜〔0025〕に記載の方法)と同様にして実施することができる。
本実施態様の不織布10Aの製造方法は、図4及び図5に示すように、周面が凹凸形状となっている第1のロール201と、第1のロールの凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第2のロール202との噛み合わせ部に、第1不織布2を噛み込ませて凹凸賦形した後、第2不織布3を、第1のロール201における凸部201a上に位置する第1不織布2と、ヒートロール203によって接合する工程を具備する。
本実施態様の不織布10Aの製造方法において重要であることは、第1不織布2と第2不織布3とを接合する前に、第1不織布2及び第2不織布3の少なくとも一方に前述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する繊維処理剤を含ませておくことである。これにより、第1不織布2と第2不織布3とが、第1のロール201における凸部201aとヒートロール203との間で、加熱及び加圧されて接合部4(第1面1aにおける凹部)が形成される際に、繊維処理剤を含む第1不織布2及び/又は第2不織布3に、接合部4に近ければ近いほど多くの熱量を受けて親水度が低下し、それによって、繊維処理剤を含む第1不織布2及び/又は第2不織布3に、前述した、接合部4に近づくにつれて親水度が低下する親水度の勾配が生じる。
本実施態様の不織布10Aは、このような製造方法において、第2不織布3のみに、前述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する繊維処理剤を含ませておき、それを、第1のロール201における凸部201aとヒートロール203との間で、加熱及び加圧して接合部4を形成したものである。
不織布10Aの製造方法において、第1不織布2と第2不織布3とを接合する前の不織布に繊維処理剤を含ませる方法としては、原料繊維を、ウエブや不織布とする前の繊維の段階で、該繊維に繊維処理剤を塗布する方法や、原料繊維を各種公知の手法でウエブや不織布とした後に繊維処理剤を塗布する方法、あるいは、これらを併用する方法等が挙げられる。
例えば、第1又は第2不織布として、カード機により得たウエブを、ニードルによる繊維交絡、水流交絡、レジン等による融着により不織布化する不織布を用いる場合は、ウエブとする前の原料繊維の段階で、該繊維に繊維処理剤を塗布しても良いし、ウエブの段階又は不織布化後に繊維処理剤を塗布しても良い。
また、第1又は第2不織布として、カード機により得たウエブを、エアスルー方式の熱風処理による繊維の交点の融着により不織布化する不織布を用いる場合は、油剤塗付のムラ防止の観点から、不織布化する前に繊維処理剤を塗布することが望ましい。
また、第1又は第2不織布として、スパンボンド不織布を用いる場合は、その製法上、不織布化した後に繊維処理剤を塗布することが好ましい。
前述した不織布毎の繊維処理剤の塗布方法は、あくまでも例示である。原料繊維に繊維処理剤を練り込む方法を単独で又は他の方法と組み合わせて採用しても良い。また、原料繊維や、繊維ウエブ、不織布等に繊維処理剤を塗布する方法としては、スプレーによる塗布、スロットコーターによる塗布、ロール転写による塗布、繊維処理剤への浸漬等の任意の塗布方法を採用できる。
本実施態様の不織布10Aの製造方法においては、吸引によって第1のロール201の周面に、凹凸賦形された第1不織布2を保持しつつ、ヒートロール203による第1不織布2と第2不織布3との接合を行うことが好ましい。これにより、接合部4の形成時又はその直前若しくは直後に、接合部4から非接合部6に向かう空気の流れが生じ、それによって、接合部4から離れた場所の親水度も低下させ易くなり、第2不織布に、前述したような親水度に勾配を付けやすくなる。吸引の方法としては、第1のロール201の凹凸の凹部に吸引孔(図示せず)を設けて吸引する方法が挙げられる。
図6〜図11には、本発明の凹凸不織布の第2実施形態、図12〜図15には、本発明の凹凸不織布の第3実施形態が示されている。これらの実施形態に関し、特に説明しない構成部分は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。
第2実施形態の不織布10Bは、熱可塑性繊維を含んで構成されており、図6及び図7に示すように、第1面1a及びこれと反対側に位置する第2面1bを有している。不織布10Bは、例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の表面シートに適用することが好ましく、その場合、第1面1a側を着用者の肌側に向けて用い、第2面1b側を吸収性物品内部の吸収体側に配置して用いることが好ましい。以下、図面に示した不織布10Bの第1面1a側を着用者の肌側に向けて用いる実施形態を考慮して説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
不織布10Bは、後述する好ましい方法で該不織布10Bを製造する場合には、該不織布10Bとしてエアスルー不織布を用いる。不織布10Bは、単層構造であるか、又は複数の層が積層されてなる多層構造である。エアスルー不織布とは、50℃以上の流体、例えば気体や水蒸気を、ウエブ又は不織布に吹き付ける工程(好ましくは貫通させる工程)を経て製造された不織布を言い、本工程のみで製造される不織布のみならず、他の方法で作製された不織布に本工程を付加して製造した不織布、あるいは本工程の前や本工程の後に何らかの工程を行って製造した不織布をも含む意味である。
図6及び図7に示すように、不織布10Bは、シート状の不織布を平面視した側の第1面1a側に突出している複数の第1凸部11を有している。第1凸部11は、第2面1b側が開放された内部空間11Kを有している。また不織布10Bは、第1面1a側とは反対側の第2面1b側に突出している複数の第2凸部12を有している。第2凸部12は、第1面1a側が開放された内部空間12Kを有している。これらの第1及び第2凸部11,12は、不織布10Bの例えば全面にわたって、平面視して互いに交差する異なる2方向のそれぞれに沿って交互に連続して配されている。異なる2方向とは、具体的一例として、異なる方向の一方向であるX方向と、このX方向と異なる他の一方向であるY方向である。図6及び図7に示す形態では、第1面1a側から見た凸部が第1凸部11であり、凹部が第2凸部12となる。逆に、第2面1b側から見た凸部が第2凸部12であり、凹部が第1凸部11となる。従って、第1凸部11と第2凸部12とは一部が共有されている。
第1及び第2凸部11,12はそれぞれ頂部11T,12Tを有している。また第1及び第2凸部11,12はそれぞれ頂部11T,12Tと、内部空間の開口部11H,12Hとの間に環状構造の壁部13,14を有している。頂部11T,12Tは、丸みを持った円錐台形状ないし半球状に形成されている。
第1及び第2凸部11,12をより詳細に見れば、第1凸部11の突出形状はどちらかと言うと半球状であり、他方、第2凸部12の突出形状は頂部に丸みのある円錐ないし円錐台形状になっている。尚、第2実施形態において第1及び第2凸部11,12は前記形状に限定されず、どのような突出形態でも良い。例えば、様々な錐体形状(本明細書において錐体形状とは、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等を広く含む意味である。)であることが実際的である。第2実施形態において第1及び第2凸部11,12はその外径と相似する頂部に丸みのある円錐台形状若しくは半球状の内部空間11K,12Kを保持している。
第1凸部11の頂部(以下、第1凸部頂部とも言う。)11Tとその開口部11Hとの間に位置する壁部13は、第1凸部11において環状構造をなしている。また第2凸部12の頂部(以下、第2凸部頂部とも言う。)12Tとその開口部12Hとの間に位置する壁部14は、第2凸部12において環状構造をなしている。そして、この壁部14は、前記の壁部13の一部分と部位を共有している。「環状」とは、不織布10Bの平面視において無端の一連の形状をなしていれば特に限定されず、不織布10Bの平面視において円形、楕円形、矩形、多角形等、どのような形状であっても良い。不織布10Bの連続状態を好適に維持する観点からは、円形又は楕円形が好ましい。更に、「環状」を立体形状として言えば、円柱状、斜円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭斜円錐状、切頭楕円錐状、切頭四角錐状、切頭斜四角錐状等、任意の環構造が挙げられ、連続したシート状態を実現する観点からは、円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭楕円錐状が好ましい。
前述のように設けられた第1及び第2凸部11,12を有する不織布10Bは、屈曲部を有さず、全体が連続した曲面で構成されている。このように不織布10Bは、面方向に連続した構造を有していることが好ましい。「連続」とは、断続した部分や小孔がないことを意味する。但し、繊維間の隙間のような微細孔は小孔に含めない。小孔とは、例えば、その孔径が円相当の直径で1.0mm以上のものと定義することができる。
第2実施形態の不織布10Bにおいては、その厚み方向に関して、構成繊維の繊維密度が相違している。詳細には、第1凸部頂部11Tから、第2突出頂部12Tに向けて繊維密度が高くなっている。繊維密度とは、不織布10Bの単位体積当たりの繊維の質量のことである。繊維密度が高いとは、不織布10Bの単位体積当たりに存在する繊維の量が多く、繊維間距離が小さいことを意味する。繊維密度が低いとは、不織布10Bの単位体積当たりに存在する繊維の量が少なく、繊維間距離が大きいことを意味する。従って、繊維密度が高い部位は毛管力が高く、繊維密度が低い部位は毛管力が低くなっている。
不織布10Bの厚み方向に沿って繊維密度を見た場合、第1凸部頂部11Tの繊維密度が最も低く、第2凸部頂部12Tの繊維密度が最も高くなっている。第1凸部頂部11Tと第2凸部頂部12Tとの間に位置する壁部13,14の繊維密度は、第1凸部頂部11Tの繊維密度と、第2凸部頂部12Tの繊維密度との中間の値になっている。このように、不織布10Bにおいては、第1凸部頂部11T<壁部13,14<第2凸部頂部12Tの順で繊維密度が高くなっている。従って、毛管力に関しても、第1凸部頂部11T<壁部13,14<第2凸部頂部12Tの順で毛管力が高くなっている。この場合、繊維密度及び毛管力は、第1凸部頂部11T<壁部13,14<第2凸部頂部12Tの順で連続的に漸次増加していても良く、あるいはステップ状に段階的に増加していても良い。不織布10Bにこのような繊維密度の勾配を付与するには、後述する製造方法に従い不織布10Bを製造すれば良い。
不織布10Bの繊維密度の具体的な値は、第1凸部11に関しては、30本/mm2以上、特に50本/mm2以上であることが好ましく、130本/mm2以下、特に120本/mm2以下であることが好ましい。例えば第1凸部11の繊維密度は、30本/mm2以上130本/mm2以下であることが好ましく、50本/mm2以上120本/mm2以下であることが更に好ましい。一方、第2凸部12に関しては、250本/mm2以上、特に270本/mm2以上であることが好ましく、500本/mm2以下、特に480本/mm2以下であることが好ましい。例えば第2凸部12の繊維密度は、250本/mm2以上500本/mm2以下であることが好ましく、270本/mm2以上480本/mm2以下であることが更に好ましい。第1凸部11の繊維密度は、第1凸部11における層厚みTL1の中央付近の位置で測定される。第2凸部12の繊維密度は、第2凸部12における層厚みTL2の中央付近の位置で測定される。繊維密度の測定方法は以下のとおりである。
〔繊維密度の測定方法〕
不織布部分の切断面を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維断面が30〜60本程度計測できる倍率に調整;150〜500倍)し、一定面積当たり(0.5mm2程度)の前記切断面によって切断されている繊維の断面数を数えた。次に1mm2当たりの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度とした。測定は3箇所行い、平均してそのサンプルの繊維密度とした。走査電子顕微鏡としては、例えば、日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)を用いることができる。
第2実施形態の不織布10Bにおける寸法諸元について説明すると、不織布10Bの厚みについては、不織布10Bを側面視したときの全体の厚み(見掛け厚み)をシート厚みTSとし、その凹凸に湾曲した不織布10Bの局部的な厚み(実質厚み)を層厚みTLとする(図7参照)。シート厚みTSは、用途によって適宜調節すれば良いが、不織布10Bをおむつや生理用品等の吸収性物品の表面シートとして用いる場合、1mm以上7mm以下が好ましく、1.5mm以上5mm以下がより好ましい。シート厚みTSをこの範囲とすることにより、使用時の体液吸収速度が速く、吸収体からの液戻りを抑え、更に、適度なクッション性を実現することができる。
層厚みTLは、不織布10B内の各部位において異なっていても良く、用途によって適宜調節すれば良い。不織布10Bをおむつや生理用品等の吸収性物品の表面シートとして用いる場合、第1凸部頂部11Tの層厚みTL1は0.1mm以上3mm以下であることが好ましく、0.4mm以上2mm以下がより好ましい。第2凸部頂部12Tの層厚みTL2及び壁部13,14の層厚みTL3の好ましい範囲は、第1凸部頂部11Tの層厚みと同様である。各層厚みTL1、TL2、TL3の関係は、TL1>TL3>TL2であることが好ましい。これにより、第1凸部11において、特に肌面側では、繊維密度が低く、良好な肌当たりを実現することができる。一方、第2凸部12は繊維密度が高くなり、潰れにくく、型崩れせずに良好なクッション性と液体の吸収速度に優れた不織布とすることができる。
シート厚みTS及び層厚みTLは以下の方法で測定される。
シート厚みTSの測定方法は、測定対象の不織布に0.05kPaの荷重を加えた状態で、厚み測定器を用いて測定した。厚み測定器にはオムロン社製のレーザー変位計を用いた。厚み測定は、10点測定し、それらの平均値を算出して厚みとした。
層厚みTLの測定法はシートの断面をキーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−900により約20倍程度で拡大することで、各層の厚みを測定できる。
不織布10Bを平面視したときに最も近い位置にある第1凸部11と第2凸部12との間隔は、用途によって適宜調節すれば良く、不織布10Bをおむつや生理用品等の吸収性物品の表面シートとして用いる場合、1mm以上15mm以下が好ましく、3mm以上10mm以下がさらに好ましい。また不織布10Bの坪量は、不織布10Bの具体的な用途にもよるが、不織布10B全体の平均値で15g/m2以上50g/m2以下が好ましく、20g/m2以上40g/m2以下がさらに好ましい。
第2実施形態の不織布10Bは、その厚み方向に関して、第1凸部頂部11Tから、第2凸頂部12Tに向けて繊維密度が高くなっていることに加えて、厚み方向に関して、第1凸部頂部11Tから、第2凸頂部12Tに向けて親水度が高くなっている。
不織布10Bにおいては、第1面1aにおける第1凸部頂部11Tに比して、第2面1bの何れかの部位の方が親水度が高くなっている。より具体的には、不織布10Bの厚み方向に沿って親水度を見た場合、第1凸部頂部11Tの親水度が最も低く、第2凸部頂部12Tの親水度が最も高くなっている。第1凸部頂部11Tと第2凸部頂部12Tとの間に位置する壁部13,14の親水度は、第1凸部頂部11Tの親水度と、第2凸部頂部12Tの親水度との中間の値になっている。このように、不織布10Bにおいては、第1凸部頂部11T<壁部13,14<第2凸部頂部12Tの順で親水度が高くなっている。この場合、親水度は、第1凸部頂部11T<壁部13,14<第2凸部頂部12Tの順で連続的に漸次増加していても良く、あるいはステップ状に段階的に増加していても良い。不織布10Bにこのような親水度の勾配を付与するには、後述する製造方法に従い不織布10Bを製造すれば良い。尚、親水度については、前述した通りであり、親水度が低いことは接触角が大きいことと同義であり、親水度が高いことは接触角が小さいことと同義である。
また、不織布10Bにおいては、第2凸部12、即ち、第1面1aにおける凹部において、第1面1aにおける該凹部の底部12aに比して、第2面1bにおける該底部12aに対応する部分である第2凸部頂部12Tの方が親水度が高くなっている。この場合、親水度は、凹部の底部12a<第2凸部頂部12Tの順で連続的に漸次増加していても良く、あるいはステップ状に段階的に増加していても良い。
このように、不織布10Bの厚み方向に、繊維密度の勾配及び親水度の勾配が設けられていることに起因して、不織布10Bは、第1面1a側に液が供給されると、その液は素早く不織布10B中を透過するようになる。従って、第1面1a側の表面において、液が該表面を伝って流れにくくなる。その結果、液が供給された面である第1面1a側の表面に液が残留しにくくなる。しかも、不織布10Bを一旦透過した液は、逆戻りしづらくなる。これらの顕著な効果は、不織布10Bを、その第1面1aを肌対向面とした、吸収性物品の表面シートとして用いた場合に特に顕著なものとなる。
特に、第1凸部頂部11Tにおいては、その第1面1a側よりも、第2面1b側の方が親水度が高くなっていることが好ましい。こうすることで、第1凸部頂部11Tにおける液の引き込み性が一層高くなり、不織布10Bの第1面1a側に液が供給されたときに、その液は素早く不織布10B中を一層透過するようになる。この観点から、第1凸部頂部11Tにおける第1面1a側に存在する繊維に対する水の接触角が65度以上、特に70度以上であることが好ましく、85度以下、特に80度以下であることが好ましい。例えば接触角は65度以上85度以下であることが好ましく、70度以上80度以下であることが更に好ましい。一方、第1凸部頂部11Tにおける第2面1b側に存在する繊維に対する水の接触角は、第1凸部頂部11Tにおける第1面1a側に存在する繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、65度以上、特に70度以上であることが好ましく、85度以下、特に80度以下であることが好ましい。例えば接触角は65度以上85度以下であることが好ましく、70度以上80度以下であることが更に好ましい。
第1凸部頂部11Tにおける前述の効果を一層顕著にする観点から、第1面1a側に存在する繊維に対する水の接触角と、第2面1b側に存在する繊維に対する水の接触角との差(前者−後者)が1度以上、であることが好ましく、20度以下、特に10度以下、更には4度以下であることが好ましい。例えば接触角の差は1度以上20度以下であることが好ましく、1度以上10度以下であることが更に好ましく、1度以上4度以下であることが一層好ましい。
以上の説明は、第1凸部頂部11Tに関する説明であったところ、壁部13,14及び第2凸部12の接触角については以下のとおりであることが好ましい。壁部13,14に存在する繊維に対する水の接触角は、第1凸部頂部11Tの第2面1b側に存在する繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、60度以上、特に65度以上であることが好ましく、80度以下、特に75度以下であることが好ましい。例えば接触角は60度以上80度以下であることが好ましく、65度以上75度以下であることが好ましい。壁部13,14に存在する繊維に対する水の接触角を測定する場合、繊維の採取部位は、不織布10Bの厚み方向において、第1凸部頂部11Tと第2凸部頂部12Tとの中間の位置とする。
第2凸部12に存在する繊維に対する水の接触角は、壁部13,14に存在する繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、60度以上、特に65度以上であることが好ましく、80度以下、特に75度以下であることが好ましい。例えば接触角は60度以上80度以下であることが好ましく、65度以上75度以下であることが更に好ましい。第2凸部12に存在する繊維に対する水の接触角を測定する場合、繊維の採取部位は、第2凸部頂部12Tの第2面1b側の部位とする。
不織布10Bにおける液の透過性や、一旦透過した液の逆戻り防止性を一層顕著なものとする観点から、第1凸部頂部11Tにおける第2面1b側に存在する繊維に対する水の接触角と、壁部13,14に存在する繊維に対する水の接触角との差(前者−後者)は1度以上、特に2度以上であることが好ましく、20度以下、特に10度以下、更には4度以下であることが好ましい。例えば接触角の差は1度以上20度以下であることが好ましく、2度以上10度以下であることが更に好ましく、1度以上4度以下であることが一層好ましい。
同様の観点から、壁部13,14に存在する繊維に対する水の接触角と、第2凸部12に存在する繊維に対する水の接触角との差(前者−後者)は1度以上が好ましく、20度以下、特に7度以下、更には4度以下であることが好ましい。例えば接触角の差は1度以上20度以下であることが好ましく、1度以上7度以下であることが更に好ましく、1度以上4度以下であることが一層好ましい。
同様の観点から、第1凸部頂部11Tにおける第1面1a側に存在する繊維に対する水の接触角と、第2凸部12に存在する繊維に対する水の接触角との差(前者−後者)は2度以上、特に4度以上が好ましく、20度以下、特に10度以下であることが好ましい。例えば接触角の差は2度以上20度以下であることが好ましく、4度以上10度以下であることが更に好ましい。
同様の観点から、第1面1aにおける凹部の底部12aと第2凸部頂部12T(第2面1bにおける該部分12aに対応する部分)とは、凹部の底部12aの接触角が第2凸部頂部12Tの接触角よりも高いことを前提にして、繊維に対する水の接触角の差が、好ましくは1度以上、さらに好ましくは2度以上、そして、好ましくは20度以下、さらに好ましくは10度以下、より具体的には、好ましくは1度以上20度以下、さらに好ましくは2度以上10度以下である。
また、不織布10Bにおいて、前述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する繊維処理剤の付着量は、繊維処理剤を除く繊維の全質量に対する割合が、繊維の親水度を高める観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上1.0質量%以下である。
第2実施形態の不織布10Bは、前述したように、単層構造のエアスルー不織布であるところ、その構成繊維としては、第1実施形態の不織布10Aにおいて使用可能なものを特に制限無く用いることができる。即ち、不織布10Bは、熱可塑性繊維の1種である熱融着性繊維を含むことが好ましく、熱融着性芯鞘型複合繊維を含むことが特に好ましい。また、不織布10Bを構成する繊維(熱可塑性繊維)の少なくとも一部は、加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維であっても良く、熱融着性芯鞘型複合繊維として熱伸長性複合繊維を用いることもできる。
次に、第2実施形態の不織布10Bの製造方法の一実施態様について、図8〜図11を参照して説明する。図8には、不織布10Bを製造するために好適に用いられる製造装置100が示されている。製造装置100は、エアスルー不織布の製造に好適に用いられるものである。
製造装置100は、図8に示すように、熱融着性繊維を含有するウエブ105を搬送する支持体110を有する。ウエブ105は送給部121としての送給コンベアによって支持体110の表面に供給される。ウエブ105は、支持体110によって賦形され、賦形されたウエブ105は支持体110から離れ、案内部122としての案内ローラよって所定の方向に送り出される。支持体110は、ドラム形状をなしている。また支持体110は、回転軸110Cを中心に回転可能になっている。回転軸110Cには、図示しない駆動装置が接続されている。支持体110の詳細については後述する。
支持体110の外面側には、ウエブ105の供給方向に沿って順に、第1の熱風W1を吹き付ける第1ノズル111と、第2の熱風W2を吹き付ける第2ノズル112とが設けられている。第1ノズル111は、ヒータ113を備えている。ヒータ113で加熱された第1の熱風W1は、通気性を有する通気コンベア123を通して支持体10の表面に対して、例えばほぼ垂直に吹き付けられる。
第1ノズル111にはその先端に吹き付け孔(図示せず)が設けられている。吹き付け孔は、好ましくは、ウエブ105の機械方向(MD)における長さが1mm以上20mm以下で、ウエブ105の幅方向(CD)における長さはウエブ105の幅以上、又は賦形加工を行う幅である。吹き付け孔は、一列又は多列のスリット形状、一列又は多列に丸孔、長孔、角孔が千鳥や並列に配置した形状を有している。好ましくは、2mm以上20mm以下の一列のスリット形状を有している。第1ノズル111の吹き付け孔がこのように形成されていることから、第1の熱風W1がウエブ105の表面の幅方向に均一な風速で吹き付けられる。この第1の熱風W1には、ヒータ113によって所定温度に加熱された空気、窒素又は水蒸気を用いることができる。好ましくは、コストがかからない空気を用いる。
第1ノズル111から吹き付けられる第1の熱風W1は、ウエブ105の繊維どうしを凹凸形状が保持される状態に仮融着させる温度にヒータ113によって制御されている。例えば、ウエブ105の構成繊維が、低融点成分とこの低融点成分より融点の高い高融点成分を有する芯鞘型複合繊維である場合、第1の熱風W1は、ウエブ105の繊維の低融点成分の融点より60℃低い温度以上で、且つこの低融点成分の融点より15℃高い温度以下の熱風に制御されている。好ましくは低融点成分の融点より50℃低い温度以上で、且つこの低融点成分の融点より10℃高い温度以下に制御されている。例えば低融点成分として融点132℃のポリエチレンを用いた場合には、好ましい温度範囲は82℃以上142℃以下、より好ましくは132℃以上142℃以下となる。
第1の熱風W1の風速は適宜に調節される。好ましくは、10m/sec以上120m/sec以下の風速に制御されている。第1ノズル111から吹き付ける第1の熱風W1の風速が遅すぎると繊維が十分に支持体110に沿いにくくなり、また繊維の融着が弱くなることから賦形を行いにくくなる。一方、風速が速すぎても、ウエブ105に賦形を行いにくい。よって、第1の熱風W1の風速は前記の範囲とするのが好ましい。またより好ましくは、20m/sec以上80m/sec以下とし、特に好ましくは40m/sec以上60m/sec以下とする。
通気コンベア123は、支持体110との間でウエブ105を挟みつつ、支持体110の表面に沿ってウエブ105を送り側に供給する。具体的には、通気性を有するベルト124とこのベルト124を支持する複数のローラ125と、ベルト124を例えばローラ125を介して駆動する駆動装置(図示せず)とを備える。この複数のローラ125のうちの少なくとも二つのローラ125A、125Bは、支持体110の表面上にウエブ5を介してベルト124が沿うように配されている。この通気コンベア123によって第1ノズル111の第1の熱風W1によるウエブ105の乱れ、飛散が防止できる。
第2ノズル112は、ヒータ114を備えている。ヒータ114で加熱された第2の熱風W2は、支持体10の表面に対して、例えばほぼ垂直に吹き付ける。第2ノズル112にはその先端に吹き付け孔(図示せず)が設けられている。吹き付け孔は、幅方向、流れ方向に規則的に開孔しているパンチングメタルを使用することが望ましい。開孔率は、好ましくは10%以上40%以下とし、より好ましくは20%以上30%以下である。このように、第2ノズル112の吹き付け孔が形成されていることから、第2の熱風W2がウエブ105の表面の幅方向に均一な風速で吹き付けられる。この第2の熱風W2には、ヒータ114によって加熱された空気、窒素又は水蒸気を用いることができる。好ましくは、コストがかからない空気を用いる。
第2の熱風W2は、ヒータ114によって、第1の熱風W1で形成されたウエブ105の凹凸形状を保持した状態でウエブ105の繊維どうしを融着させてその凹凸形状を固定する温度に制御されている。例えば、ウエブ105の構成繊維が低融点成分とこの低融点成分より融点の高い高融点成分を有する芯鞘型複合繊維である場合、第2の熱風W2は、ウエブ105の繊維の低融点成分の融点以上で、且つウエブ105の繊維の高融点成分の融点未満、好ましくは低融点成分の融点より40℃高い温度以下の温度に制御されている。より好ましくは低融点成分の融点以上で、且つこの融点より20℃高い温度以下、特に好ましい温度として低融点成分の融点以上で、且つこの融点より15℃高い温度以下に制御されている。例えば低融点成分として融点132℃のポリエチレンを用いた場合には、より好ましい温度範囲は132℃以上152℃以下、特に好ましくは132℃以上147℃以下となる。
第2ノズル112から吹き付けられる第2の熱風W2の風速は、その目的を考慮して適宜に定められる。好ましくは、1m/sec以上10m/sec以下の風速に制御される。第2ノズル112から吹き付ける第2の熱風W2の風速が遅すぎると繊維への熱伝達が十分とならない場合があり、繊維が融着しにくくなり凹凸形状の固定が不十分になる場合がある。一方、風速が速すぎると、繊維へ熱が当たりすぎるため、風合いが悪くなる傾向となる。よって、第2の熱風W2の風速は前記の範囲とするのが好ましい。またより好ましくは、1m/sec以上8m/sec以下とし、特に好ましくは2m/sec以上4m/sec以下とする。
第1ノズル111の吹き出し方向には、通気コンベア123、ウエブ105、支持体110を通過してきた第1の熱風W1を吸引する吸引部115が配されている。吸引部115には、吸引された第1の熱風W1を排気する排気装置117が接続されている。また、第2ノズル112の吹き出し方向には、ウエブ105、支持体110を通過してきた第2の熱風W2を吸引する吸引部116が配されている。吸引部116には、吸引された第2の熱風W2を排気する排気装置118が接続されている。何れの吸引部もCD方向の長さが適宜調整可能な構造とすることができる。このような吸引部115,116を配することにより、吹き付けるエアの跳ね返り等に起因してウエブが乱れることが防止され、所望の形状に安定して賦形することができる。また、ドラム周りが高温になりすぎることが防止され、これと接するウエブ105が過度に融着して硬くなることが防止される。更に、ウエブ105を支持体110に保持させやすくなり、搬送が容易になる。尚、熱風温度の安定化、ユーティリティーのランニングコストを考えると熱風は循環して使用することが望ましい。
図9は、図8に示す製造装置100における支持体110の要部拡大図である。尚、図9に示す支持体110は、図8においてドラムの周面の形状をしている支持体110を平坦な板状にした状態に相当する。支持体110は板状体からなる基部110Bを有している。基部110Bには、多数の貫通孔が形成されており、その貫通孔が、凹部である通気部110Hとなっている。また、支持体110は、基部110Bの一面から起立する複数の突起状部110Tを有している。突起状部110Tは、隣り合う通気部110Hの間に位置している。突起状部110Tと通気部110Hとは、支持体110の平面内の一方向であるA方向に沿って交互に配置されている。また、突起状部110Tと通気部110Hとは、支持体110の平面内の別の一方向であるB方向に沿って交互に配置されている。A方向とB方向とは直交している。A方向に沿って見たときに、隣り合う突起状部110Tと通気部110Hとの間の距離dAと、B方向に沿って見たときに、隣り合う突起状部110Tと通気部110Hとの間の距離dBとは同じでも良く、あるいは異なっていても良い。A方向は、支持体110の回転方向に一致し、B方向は、支持体110の幅方向に一致する。このように支持体110は、基部110Bの一面において凹凸構造を有している。
突起状部110Tは、先端に向かうに従って先細りになる形状を有し、その先端部には丸みが形成されている。突起状部110Tは、例えば板状や紡錘形状等をなしている。突起状部110Tの高さは不織布10Bの用途、規格等に応じて適宜設定可能である。突起状部110Tの高さH(図9参照)、即ち基部110Bの上面を基準とした高さは好ましくは3mm以上30mm以下、更に好ましくは3mm以上10mm以下である。突起状部110TのピッチはA方向においては好ましくは6mm以上15mm以下、更に好ましくは6mm以上10mm以下であり、B方向においては好ましくは4mm以上8mm以下、更に好ましくは4mm以上6mm以下である。
支持体110の通気部110Hは、支持体110に形成された複数の開口部からなり、その開口率が支持体110の表面積に対して好ましくは20%以上45%以下、更に好ましくは25%以上40%以下、一層好ましくは30%以上35%以下に設定されている。開口率をこの範囲内に設定することで、ウエブ105に十分な凹凸形状を賦形することでき、また賦形形状の悪化や毛羽の形成が効果的に防止される。通気部110Hの形状は平面視して例えば円形とすることができる。しかし、通気部110Hの形状はこれに限られず、他の形状、例えば楕円形、多角形又はそれらの組み合わせ等を採用することもできる。
図10には、支持体110を用いてウエブ105を賦形する状態が模式的に示されている。尚、図10においては、通気コンベア123の図示は省略されている。支持体110にウエブ105が載置された状態において、該ウエブ105に対して、その外面から第1の熱風W1が吹き付けられる。吹き付けられた第1の熱風W1は、ウエブ105を通過し、更に支持体110の通気部110Hを通過して、吸引部115(図8参照)によって吸引される。このように、ウエブ105に対してエアスルー方式で第1の熱風W1が吹き付けられる。
ウエブ105のうち、隣り合う2以上の突起状部110Tによって架け渡された部位は、第1の熱風W1の吹き付けによって圧力を受けて下方へ向けて変形する。この変形によって突出部11Aが形成される。突出部11Aは、目的とする不織布10Bにおける第1凸部11に対応する部位である。突出部11Aにおいては、その最底部に近づくほど、第1の熱風W1の吹き付けによる圧力に起因して変形の程度が大きくなり、その結果、繊維間距離が、第2突出部12よりも大きくなる。換言すれば、繊維密度が小さくなる。
一方、ウエブ105のうち、突起状部110Tによって支持された部位は、第1の熱風W1の吹き付けによる圧力を受けても、突起状部110Tによる規制で下方へ向けての変形が抑制される。これによって突起状部110Tによって支持された部位は、下方へ向けて裾野が延びた凸状形状となる。この凸状形状の部位は、目的とする不織布10Bにおける第2凸部12に対応する部位である。凸状形状の部位の最も高い位置においては、繊維間距離が小さくなる。換言すれば、繊維密度が大きくなる。一方、凸状形状の部位の裾野の位置においては、ウエブ105の変形が生じているので、繊維間距離が、第1凸部11よりも大きくなる。換言すれば、繊維密度が小さくなる。しかし、上述した突出部11A(図10参照)の繊維密度ほどは小さくならない。
以上のとおり、第1の熱風W1の吹き付けによって、賦形されたウエブ105の厚み方向に沿って繊維密度に勾配が生じる。この勾配は、第1の熱風W1の吹き付け面からその反対側の面に向けて繊維密度が低くなる勾配である。尚、図10中、2点鎖線で示すのは、賦形後の繊維ウエブ105である。
本製造方法においては、賦形されたウエブ105の厚み方向に沿って繊維密度に勾配が生じるのと同時に、賦形されたウエブ105の厚み方向に沿って親水度にも勾配が生じる。その理由は次のとおりである。第1の熱風W1の吹き付けによれば、ウエブ105のうち、第1の熱風W1の吹き付けによる圧力を受けて変形した部位である突出部11Aが、第1の熱風W1の通過量が最も大きくなる。換言すれば、最も大きな熱量を受ける。このことに起因して、突出部11Aでは、繊維処理剤の繊維内部への浸透の程度が大きくなり、その結果、親水度が、第1の熱風W1の吹き付け前に比べて低下する。一方、支持体110の突起状部110Tによって支持された部位は、第1の熱風W1の吹き付けによる変形の度合いが突出部11Aよりも相対的に小さいので、その分だけ第1の熱風W1の通過量が相対的に少なくなる。このことに起因して、突起状部110Tによって支持された部位では、繊維処理剤の繊維内部への浸透の程度が相対的に小さくなり、その結果、第1の熱風W1の吹き付け前に比べた親水度の低下の程度が小さくなる。
以上のとおり、第1の熱風W1の吹き付けによって、ウエブ105においては基部110Bに近づくほど、親水度の低下の度合いが大きく、逆に突起状部110Tによって支持された部位に近づくほど、親水度の低下の度合いが小さくなるという親水度の勾配が発現する。
図11は、賦形されたウエブ105に第2の熱風W2を吹き付けて、構成繊維の交点を融着させることで目的とする不織布10Bを得る状態を示している。第2の熱風W2の吹き付けはエアスルー方式で行う。
第3実施形態の不織布10Cは、熱可塑性繊維を含んで構成されており、図12及び図13に示すように、第1部21と第1部21に比して厚みが薄い第2部22とを交互に有し、第1面1aに、第1部21が凸部としての凸条部23を形成し、第2部22が凹部としての溝部24を形成している。不織布10Cにおいて、第1面1aは、凸条部23及び溝部24が形成されて凹凸面となっているのに対し、第2面1bは、平坦であるか又は該凹凸面に比して凹凸の程度が明確に小さい。不織布10Cは、単層構造の不織布である。
第1部21及び第2部22は、それぞれ、不織布10Cの一方向Yに延びて形成され、互いに平行に形成されている。また、第1部21及び第2部22は、それぞれ、複数本形成され、前記一方向Yに直交する方向Xに交互に形成されている。凸条部23及び溝部24も、同様に、それぞれ不織布10Cの一方向Yに延びて形成され、互いに平行に形成されており、また、それぞれ複数本形成され、前記一方向Yに直交する方向Xに交互に形成されている。凸条部23は、前記一方向Yにおいて高さが一定であり、溝部24は、前記一方向Yにおいて深さが一定である。また、凸条部23は、断面が半円形である。
第3実施形態の不織布10Cは、第2部22の繊維密度が、第1部21の繊維密度よりも低くなっている。また、第2部22の親水度が、第1部21の凸条部23の頂部Q1の親水度よりも低くなっている。尚、親水度については、前述した通りであり、親水度が低いことは接触角が大きいことと同義であり、親水度が高いことは接触角が小さいことと同義である。
不織布10Cにおいては、第1面1a側に液が供給されると、その液の一部は溝部24(凹部)へと移行するが、前述した通り、その溝部24を形成する第2部22の繊維密度が凸条部23(凸部)を形成する第1部21の繊維密度より低いことによって、溝部24に移行した液は、第2部22における繊維の隙間を通過して、第2面1b側へと素早く透過する。しかも、第2部22の親水度が、第1部21の親水度、特に凸条部23の頂部Q1の親水度よりも低いことによって、第2面1b側に移行した液が、繊維密度の低い第2部22を介して、第1面1a側へと移行することも防止される。これにより、不織布10Cは、凸条部23及び溝部24を有する第1面1aの表面に、液が残りにくいものとなっている。これらの効果は、不織布10Cを、第1面1a側が着用者の肌側を向くように、吸収性物品の表面シートとして用いた場合に一層顕著なものとなる。吸収性物品の表面シートとして用いた場合に、液が第2部22を介して第2面1b側に移行しやすい上に、第1面1a側に戻りにくいことは、着用者の肌に液が接触することを低減して、べたつき等の不快感が生じないようにする観点や、経血等の色つきの液体が目立つのを防ぎ、吸液後の吸収性物品の外観を良好とする観点から好ましい。
液が第2部22を介して第2面1b側に移行しやすくする観点から、第2部22の繊維密度(d2)は、第1部21の繊維密度(d1)に対する割合(%)が、好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下であり、また、好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上であり、また、好ましくは5%以上80%以下であり、更に好ましくは10%以上70%以下である。
同様の観点から、第1部21の繊維密度(d1)は、好ましくは0.10g/cm3以下、更に好ましくは0.07g/cm3以下であり、また、好ましくは0.01g/cm3以上、更に好ましくは0.02g/cm3以上であり、また、好ましくは0.01g/cm3以上0.10g/cm3以下、更に好ましくは0.02g/cm3以上0.07g/cm3以下である。
〔第1部及び第2部の繊維密度の測定方法〕
先ず、測定対象の不織布から、繊維密度の測定対象部分を切り取って測定サンプルとする。測定サンプルは、溝部(凹部)の長さ方向が50mm、該長さ方向と直交する幅方向も50mmとする。測定サンプルの幅が狭い場合は、不織布の複数個所をカッター等で切り取り合計50mmとなるようにする。その合計重量から測定サンプルの単位面積当たりの重量を測定する。次に、測定サンプルを液体窒素中で冷凍した後、それをカッターで、図1のX方向に切断する。次に、その切断面をマイクロスコープで撮影した写真(倍率20倍)から測定したい部分の断面の厚さ(mm)を測定する。測定サンプルの単位面積当たりの重量を該測定サンプルの断面の厚さで除した値を繊維密度とする。
液が第2部22を介して第2面1b側に移行しやすくすると共に、移行した液が第1面1a側に戻りにくくする観点から、第2部22は、繊維に対する水の接触角が、好ましくは60度以上、更に好ましくは65度以上であり、また、好ましくは80度以下、更に好ましくは75度以下であり、また、好ましくは60度以上80度以下、更に好ましくは65度以上75度以下である。同様の観点から、第2部22と第1部21の凸条部23の頂部Q1とは、第2部22の接触角が頂部Q1の接触角よりも高いことを前提にして、繊維に対する水の接触角の差が、好ましくは1度以上であり、また、好ましくは10度以下、更に好ましくは5度以下であり、また、好ましくは1度以上10度以下、更に好ましくは1度以上5度以下である。
尚、第2部22について、繊維に対する水の接触角を測定するための繊維は、第2部22の厚み方向における、第2面1bとは反対側に位置する表面部位Q4から採取する。また、第1部21について、繊維に対する水の接触角を測定するための繊維は、頂部Q1については、頂部Q1から採取し、底部Q3については、不織布10Cの第2面1b上における該頂部Q1と重なる部位から採取し、中間部位Q2について、第1部21における、頂部Q1と底部Q3との間を2等分する部位から採取する。
また、第3実施形態の不織布10Cは、前述したように、第1部21が、凸条部24の頂部Q1から、該凸条部23が突出する第1面1a側とは反対側の第2面1b上の底部Q3に向けて親水度に勾配を有している。つまり、不織布10Cにおける第1部21は、凸条部23の頂部Q1、第2面1b上の底部Q3(頂部Q1に対応する部分)、及び中間部位Q2の親水度を比較したときに、底部Q3の親水度が最も高く、中間部位Q2の親水度が次に高く、頂部Q1の親水度が最も低くなっている。即ち、不織布10Cにおいては、第1面1aにおける凸条部23(凸部)の頂部Q1に比して、第2面1bの何れかの部位の方が親水度が高くなっている。
また、第3実施形態の不織布10Cにおいては、第1面1aにおける溝部24(凹部)の底部Q4に比して、第2面1bにおける溝部24の底部Q4に対応する部分Q4’の方が親水度が高くなっている。より具体的には、第2部22においては、第1面1a側から第2面1b側に向かって親水度が漸次増加している。
不織布10Cにおいては、第1面1a側に液が供給されると、前述した通り、その液の一部は溝部24(凹部)へと移行するが、第1部21の厚み方向にも、親水度に、このような勾配が設けられていることに起因して、供給された液の他の一部は、凸条部23(凸部)の表面から凸条部23に取り込まれると共に、親水度の勾配によって、取り込まれた液が、凸条部23の頂部Q1から底部Q3に向かって誘導される。そのため、凸条部23の表面から吸収した液を、不織布10C内の頂部Q1から離れた位置にスムーズに誘導でき、凸条部23の頂部Q1付近や中間部位Q2付近に液が残留しにくくなる。これらの効果は、不織布10Cを、第1面1a側が着用者の肌側を向くように、吸収性物品の表面シートとして用いた場合に一層顕著なものとなる。吸収性物品の表面シートとして用いた場合に、液が、凸条部23の頂部Q1付近や中間部位Q2付近に液が残留しにくくなることは、着用者の肌の表面から液を迅速に隔離して、べたつき等の不快感が生じないようにする観点や、経血等の色つきの液体が目立つのを防ぎ、吸液後の吸収性物品の外観を良好とする観点から好ましい。
凸条部23の表面から取り込まれた液を底部Q3にスムーズに移行させる観点から、第1部21は、頂部Q1の接触角が底部Q3の接触角よりも大きいことを前提として、頂部Q1と底部Q3とは、繊維に対する水の接触角の差が、好ましくは1度以上、更に好ましくは4度以上であり、また、好ましくは15度以下、更に好ましくは10度以下であり、また、好ましくは1度以上15度以下、更に好ましくは4度以上10度以下である。
また、頂部Q1の接触角が中間部位Q2の接触角よりも大きいことを前提として、頂部Q1と中間部位Q2とは、繊維に対する水の接触角の差が、好ましくは1度以上、更に好ましくは2度以上であり、好ましくは1度以上10度以下、更に好ましくは2度以上5度以下である。
また、中間部位Q2の接触角より底部Q3の接触角が大きいことを前提として、中間部位Q2と底部Q3とは、繊維に対する水の接触角の差が、好ましくは1度以上、更に好ましくは2度以上であり、また、好ましくは1度以上10度以下、更に好ましくは2度以上5度以下である。
同様の観点から、第1面1aにおける溝部24(凹部)の底部Q4と、第2面1bにおける溝部24の底部Q4に対応する部分Q4’とは、溝部24の底部Q4の接触角が部分Q4’の接触角よりも高いことを前提にして、繊維に対する水の接触角の差が、好ましくは1度以上、さらに好ましくは2度以上、そして、好ましくは20度以下、さらに好ましくは10度以下、より具体的には、好ましくは1度以上20度以下、さらに好ましくは2度以上10度以下である。
親水度が漸次高くなっているか、それともステップ状に高くなっているかを問わず、第1部21においては、凸条部23の頂部Q1に存在する繊維に対する水の接触角が60度以上、特に65度以上であることが好ましく、また80度以下、特に75度以下であることが好ましく、また、60度以上80度以下であることが好ましく、65度以上75度以下であることが更に好ましい。また、第1部21の底部Q3に存在する繊維に対する水の接触角は50度以上、特に55度以上であることが好ましく、また75度以下、特に70度以下であることが好ましく、また、50度以上75度以下であることが好ましく、55度以上70度以下であることが好ましい。
前述した一又は二以上の効果が一層確実に奏されるようにする観点や、不織布10Cの性能の一層の向上の観点から、第2部22の親水度が、第1部21の底部Q3の親水度より低いことが好ましく、第2部22と第1部21の底部Q3とで、繊維に対する水の接触角との差が、好ましくは1度以上、更に好ましくは5度以上であり、また、15度以下であることが好ましく、10度以下であることが更に好ましく、また、好ましくは1度以上15度以下、更に好ましくは5度以上10度以下である。
また、前述した一又は二以上の効果が一層確実に奏されるようにする観点や、不織布10Cの性能の一層の向上の観点から、第2部22の厚みt2は、第1部21の厚みt1に対する割合(%)が、好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下であり、また、好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上である。また、第2部22の厚みt2は、好ましくは1.2mm以下、更に好ましくは0.8mm以下であり、また、好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.4mm以上である。
同様の観点から、第1部21の厚みt1と第2部22の厚みt2との差t3、換言すれば、凸条部23の高さ又は溝部24の深さは、第1部21の厚みt1に対して、好ましくは10%以上、更に好ましくは20%以上であり、また、好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下であり、また、好ましくは10%以上80%以下であり、更に好ましくは20%以上70%以下である。
同様の観点から、第1部21の厚みt1と第2部22の厚みt2との差t3は、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.2mm以上であり、また、好ましくは1.0mm以下、更に好ましくは0.8mm以下であり、また、好ましくは0.1mm以上1.0mm以下、更に好ましくは0.2mm以上0.8mm以下である。
〔第1部の厚み及び第2部の厚みの測定方法〕
第1部21及び第2部22の厚みを測定するには、測定対象の不織布を液体窒素中で冷凍した後、それをカッターで、図12のX方向に切断する。次にその断面をマイクロスコープで撮影した写真から厚みを測定する。この写真の倍率は20倍以上とする。
また、不織布10Cは、凸条部23(凸部)の幅W1が、好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは0.8mm以上であり、また、好ましくは10.0mm以下、更に好ましくは6.0mm以下であり、また、好ましくは0.5mm以上10.0mm以下、更に好ましくは0.8mm以上6.0mm以下である。
また、不織布10Cは、溝部24(凹部)の幅W2が、好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.4mm以上であり、また、好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは2.0mm以下であり、また、好ましくは0.2mm以上3.0mm以下、更に好ましくは0.4mm以上2.0mm以下である。
不織布10Cの構成繊維(熱可塑性繊維)は、繊維の交点においてエアスルー方式で融着している。付加的に、不織布10Cの構成繊維は、エアスルー方式の融着以外の手段で結合していても良い。例えば熱エンボス加工による融着、高圧ジェット流による絡合、接着剤による接着などの手段で付加的に結合していても良い。
また、不織布10Cにおいて、前述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する繊維処理剤の付着量は、繊維処理剤を除く繊維の全質量に対する割合が、繊維の親水度を高める観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上1.0質量%以下である。
繊維処理剤を熱融着性繊維の表面に付着させる方法としては、各種公知の方法を特に制限なく採用することができる。例えば、スプレーによる塗布、スロットコーターによる塗布、ロール転写による塗布、繊維処理剤への浸漬等が挙げられる。これらの処理は、ウエブ化する前の繊維に対して行っても良いし、繊維を各種の方法でウエブ化した後に行っても良い。但し、後述するエアスルー処理よりも前に処理を行う必要がある。繊維処理剤が表面に付着した繊維は、例えば、熱風送風式の乾燥機により、ポリエチレン樹脂の融点より十分に低い温度(例えば120℃以下)で乾燥される。
第3実施形態の不織布10Cは、前述したように、単層構造のエアスルー不織布であるところ、その構成繊維としては、第1実施形態の不織布10Aにおいて使用可能なものを特に制限無く用いることができる。即ち、不織布10Cは、熱可塑性繊維の1種である熱融着性繊維を含むことが好ましく、熱融着性芯鞘型複合繊維を含むことが特に好ましい。また、不織布10Cを構成する繊維(熱可塑性繊維)の少なくとも一部は、加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維であっても良く、熱融着性芯鞘型複合繊維として熱伸長性複合繊維を用いることもできる。
第3実施形態の不織布10Cは、例えば、ウエブの形成工程、凹凸形成工程、熱風処理工程を具備する不織布の製造方法により容易に製造することができる。 ウエブの形成工程においては、繊維処理剤が表面に付着した熱融着性繊維を構成繊維として含む繊維ウエブを形成する。繊維ウエブの形成方法としては、カード法、エアレイド法、スパンボンド法等の各種公知の方法を用いることができる。繊維ウエブは、典型的には厚みが均一なものである。繊維処理剤は、繊維の段階で付着させておくことが、厚み方向及び平面方向に繊維処理剤を分布させ得るので好ましいが、繊維ウエブの形成後に適宜の方法により付着させても良い。特に好ましい方法は、繊維処理剤が表面に付着した熱融着性繊維を、カード機にかけて繊維ウエブとする方法である。カード機を用いるカード法により形成した繊維ウエブは、凹凸形成工程において、繊維の再配置による凹凸の形成が容易である。
凹凸形成工程においては、ウエブの形成工程で得られた繊維ウエブに対して、噴射ノズルから空気等の流体を噴射し、その圧力によって、繊維ウエブの表面の繊維を移動させ、該繊維ウエブの片面に凸条部と溝部とを有する凹凸面を形成する。ウエブの形成工程において帯状の繊維ウエブを形成し、凹凸形成工程においては、その繊維ウエブをその長手方向に搬送しながら、その搬送方向に直交する方向に間欠に配置した複数の噴射ノズルから流体を噴射し、繊維ウエブの搬送方向に沿って連続して延びる凸条部23(凸部)及び溝部24(凹部)を形成することが好ましい。繊維ウエブに対して噴射する流体は、空気、窒素等の気体であることが好ましい。あるいは水蒸気等の液体の蒸気を含むものが例示できる。また気体の中に固体または液体の微粒子を含ませることもできる。繊維ウエブに対して吹き付ける気体は、温度が、繊維ウエブを構成する熱融着性繊維が融解しない温度であることが好ましく、繊維を構成する樹脂融点プラス50度未満であることが溝部形成途中で繊維が融着し溝部の形成を妨げる事を防ぐ点から好ましい。また溝部(凹凸)等の成形性を良好にするには、繊維集合体を構成する少なくとも熱可塑性繊維の軟化点以上であることが、繊維を柔らかくし凹凸を形成する上で望ましい。
熱風処理工程においては、図14に示すように、凹凸形成後の繊維ウエブ10C’を、凹凸面を上方に向けて、耐熱性のネット300等からなる通気性の搬送手段に載せて搬送しつつ、該繊維ウエブ10C’に対して上方から熱風301を吹き付ける。熱風の吹き付けは、熱風を貫通させるエアスルー方式の熱風処理装置を用いることが好ましい。
本製造方法においては、前述した凹凸形成工程において、繊維の再配置により凹凸を形成しており、凹部を有する第2部相当部分22’の繊維密度が低下しているため、第2部相当部分22’に凸条部を有する第1部相当部分21’に比して多量の熱風が流通する。これにより、得られた不織布10Cは、第2部22の親水度が、第1部21の頂部Q1等の親水度よりも低いものとなる。また、繊維ウエブ10C’の第1部相当部分21’は、熱風を吹き付ける吹き付け面から反対側のネット面側にむかって、受ける熱量が低下するため、親水度が低下する程度が最も大きいのが頂部Q1、最も小さいが底部Q3となる。そのため、得られた不織布10Cの第1部21は、底部Q3の親水度が最も高く、中間部位Q2の親水度が次に高く、頂部Q1の親水度が最も低いものとなっている。このようにして得られた第3実施形態の不織布10Cには、その後、二次加工を施しても良い。二次加工としては、例えば公知の立体賦形加工やエンボス加工、カレンダー加工、開口加工が挙げられる。
図15には、第3実施形態の不織布10Cの変形例である不織布10C1が示されている。不織布10C1は、エアスルー不織布であり、且つ第1層10及び第2層20を含む多層構造を有する。第1層10と第2層20とは隣接して直接に接しており、両層間に他の層は介在していない。不織布10C1は、前述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する繊維処理剤が付着した熱融着性繊維(熱可塑性繊維)を、第1層10及び第2層20の両層に含んでいるが、第1層10及び第2層20の何れか一方のみに含んでいても良い。
熱融着性繊維の繊度は、第1層10と第2層20とで同じであっても良く、あるいは相違していても良い。各層10,20における熱融着性繊維の繊度が相違する場合、第1層10に含まれる熱融着性繊維の繊度よりも、第2層20に含まれる熱融着性繊維の繊度の方が大きいことが好ましい。
第1層10と第2層20とを含む多層構造の不織布10C1は、ウエブの形成工程において、第1ウエブ及び第2ウエブを重ねた積層ウエブを製造し、凹凸形成工程において、第1ウエブ側から気体等の流体を噴射する以外は、前述した不織布10Cの製造方法と同様にして製造することができるが、その流体を吹き付ける際に、第1層側の第1ウエブの繊度を小さくしておくと、流体の圧力で、溝部となる部分から、繊維が細く密である第1ウエブの繊維が移動し易い一方、繊維が太く疎である第2ウエブの繊維は移動しにくいため、溝部24を形成する第2部22における繊維間距離が一層拡大する。これにより、第2部22を介した液の透過性に一層優れた不織布が得られる。
第2層20の繊度は、液の透過性の観点から、好ましくは1dtex以上、更に好ましくは2dtex以上であり、透過した液の液戻り防止の観点から、好ましく7dtex以下、更に好ましく6dtex以下である。また、第2層20の繊度と、第1層10の繊度との差は、好ましくは1dtex以上、更に好ましくは2dtex以上であり、また、好ましくは5dtex以下、更に好ましく4dtex以下である。
図15に示す不織布10C1も、図12に示す不織布10Cと同様に、第2部22の繊維密度が、第1部21の繊維密度よりも低くなっており、また、第2部22の親水度が、第1部21の凸条部23の頂部Q1の親水度よりも低くなっている。また、不織布10C1における第1部21も、凸条部23の頂部Q1、第2面1b上の底部Q3、及び中間部位Q2の親水度を比較したときに、底部Q3の親水度が最も高く、中間部位Q2の親水度が次に高く、頂部Q1の親水度が最も低くなっている。そのため、不織布10C1も、前述したように、第2部22の繊維密度が、第1部21の繊維密度よりも低くなっている。また、第2部22の親水度が、第1部21の凸条部23の頂部Q1の親水度よりも低くなっている。そのため、不織布10C1によっても、不織布10Cと同様の作用効果が奏される。
本発明の凹凸不織布(不織布10A、10B及び10C)は、その凹凸形状に沿った親水度の勾配を活かして、種々の分野に適用できる。例えば生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ、失禁パッド等の身体から排出される液の吸収に用いられる吸収性物品における表面シート、セカンドシート(表面シートと吸収体との間に配されるシート)、裏面シート、防漏シート、あるいは対人用清拭シート、スキンケア用シート、更に対物用のワイパー等として好適に用いられる。本発明の凹凸不織布を吸収性物品の表面シートやセカンドシートとして用いる場合には、凹凸面(第1面)が着用者の肌に対向するように配置されることが好ましい。
身体から排出される液の吸収に用いられる吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。本発明の凹凸不織布を表面シートとして用いた場合の吸収体及び裏面シートとしては、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限なく用いることができる。例えば吸収体としては、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体又はこれに吸収性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパーや不織布等の被覆シートで被覆してなるものを用いることができる。裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液不透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していても良い。吸収性物品はさらに、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していても良い。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シートの肌対向面の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。前述した一の実施形態のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。前述した実施形態に関し、本発明は更に以下の形態を開示する。
<1>
熱可塑性繊維を含んで構成され、第1面及びそれとは反対側に位置する第2面を有し、少なくとも第1面が、第1面側に突出する複数の凸部と該凸部間に位置する凹部とからなる凹凸を有している凹凸不織布であって、
繊維処理剤が付着しており、
前記繊維処理剤が、下記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する凹凸不織布。
(A)ポリオルガノシロキサン
(B)リン酸エステル型のアニオン界面活性剤
(C)ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステル
<2>
前記ポリオルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン及びポリジプロピルシロキサンからなる群から選択される1種以上である前記<1>に記載の凹凸不織布。
<3>
前記ポリオルガノシロキサンの前記繊維処理剤中の含有量は、該繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、より具体的には、好ましくは1質量%以上30質量%以下、より好ましくは5質量%以上20質量%以下である前記<1>又は<2>に記載の凹凸不織布。
<4>
前記リン酸エステル型のアニオン界面活性剤は、炭素鎖が16〜18のモノ又はジアルキルリン酸エステルの完全中和又は部分中和塩である前記<1>〜<3>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<5>
前記リン酸エステル型のアニオン界面活性剤の前記繊維処理剤中の含有量は、該繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である前記<1>〜<4>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<6>
前記ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルは、多価アルコール脂肪酸エステルに付加するアルキレンオキシドがエチレンオキシドである、ポリオキシエチレン(POE)変性多価アルコール脂肪酸エステル、又は、多価アルコール脂肪酸エステルがヒマシ油(硬化ヒマシ油)である、POE変性ヒマシ油(POE変性硬化ヒマシ油)である前記<1>〜<5>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<7>
前記ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルの前記繊維処理剤中の含有量は、該繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である前記<1>〜<6>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<8>
前記繊維処理剤において、前記ポリオルガノシロキサンと前記(C)ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルとの含有比率は、質量比で、好ましくは前者:後者=1:2〜3:1、より好ましくは前者:後者=1:1〜2:1である前記<1>〜<7>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<9>
前記繊維処理剤において、前記ポリオルガノシロキサンと前記リン酸エステル型のアニオン界面活性剤との含有比率は、質量比で、好ましくは前者:後者=1:5〜10:1、より好ましくは前者:後者=1:2〜3:1である前記<1>〜<8>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<10>
第1面における前記凸部の頂部に比して、第2面の何れかの部位の方が親水度が高い前記<1>〜<9>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<11>
第1面における前記凹部の底部に比して、第2面における該底部に対応する部分の方が親水度が高い前記<1>〜<10>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<12>
前記熱可塑性繊維の少なくとも一部が熱伸長性繊維である前記<1>〜<11>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<13>
吸収体と該吸収体の肌対向面側に配された表面シートとを備えた吸収性物品において、該表面シートとして前記<1>〜<12>の何れか1項に記載の凹凸不織布を用い、且つ該凹凸不織布の第1面が着用者の肌に対向するように配置された吸収性物品。
<14>
複数の層が厚み方向に積層されてなる多層構造を有し、
前記多層構造においては、第1面を形成する第1不織布と第2面を形成する第2不織布とが部分的に熱融着されて、第1面における凹部としての接合部が多数形成されていると共に、該第1不織布が、該接合部に囲まれた非接合部において該第2不織布から離れる方向に突出して、中空の凸部を多数形成している前記<1>〜<12>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<15>
前記第2不織布のみに前記繊維処理剤が含まれている前記<14>に記載の凹凸不織布。
<16>
前記接合部における第1面側の部分(第1面における凹部の底部)に比して、第2面における該部分に対応する部分の方が親水度が高い前記<14>又は<15>に記載の凹凸不織布。
<17>
前記第1不織布は、前記凸部の頂部における親水度が、前記第2不織布における、前記接合部との間の距離が2mm以上である遠位部の親水度よりも低い前記<14>〜<16>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<18>
前記第2不織布が前記繊維処理剤を含んでおり、前記非接合部における該第2不織布が、前記接合部に近づくにつれて親水度が低下する親水性の勾配を有している前記<14>〜<17>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<19>
前記非接合部における前記第2不織布は、前記接合部との間の距離が2mm以上である遠位部から、該接合部に隣接する近位部に向かって親水度が漸次低下している前記<18>に記載の凹凸不織布。
<20>
第1面側に突出し且つ第2面側が開放された内部空間を有する複数の第1凸部と、第2面側に突出し且つ第1面側が開放された内部空間を有する複数の第2凸部とを有し、
第1面における凸部が前記第1凸部、第2面における凹部が前記第2凸部、第2面における凸部が前記第2凸部、第2面における凹部が前記第1凸部であり、
前記第1凸部及び前記第2凸部は、第1面及び第2面それぞれの全域にわたって、平面視して互いに交差する異なる2方向のそれぞれに沿って交互に連続して配されている前記<1>〜<12>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<21>
前記凹凸不織布の厚み方向に沿って親水度を評価した場合、前記第1凸部の頂部、前記第1凸部の頂部と前記第2凸部の頂部との間に位置する壁部、前記第2凸部の頂部の順で親水度が高くなっている前記<20>に記載の凹凸不織布。
<22>
第1面における凹部としての前記第2凸部において、該凹部の底部に比して、第2面における該底部に対応する部分である該第2凸部の頂部の方が親水度が高くなっている前記<20>又は<21>に記載の凹凸不織布。
<23>
前記第1凸部の頂部においては、第1面側よりも第2面側の方が親水度が高くなっている前記<20>〜<22>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<24>
熱可塑性繊維を含む単層構造の不織布を含んで構成されており、第1部と、該第1部に比して厚みが薄い第2部とを一方向に交互に有し、第1面に、該第1部が凸部としての凸条部を形成し、前記第2部が凹部としての溝部を形成しており、
第1面は、前記凸条部及び前記溝部が形成されて凹凸面となっているのに対し、第2面1bは、平坦であるか又は該凹凸面に比して凹凸の程度が明確に小さい前記<1>〜<12>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<25>
前記第1部は、前記凸条部の頂部Q1、該頂部Q1に対応する部分である第2面上の底部Q3、該頂部Q1と該底部Q3との中間部位Q2の親水度を比較した場合に、該頂部Q1、該中間部位Q2、該底部Q3の順で親水度が高くなっている前記<24>に記載の凹凸不織布。
<26>
第1面における前記溝部(凹部)の底部に比して、第2面における該溝部の底部に対応する部分の方が親水度が高くなっている前記<24>又は<25>に記載の凹凸不織布。
<27>
前記第2部の親水度が、前記第1部の前記凸条部の頂部Q1の親水度よりも低い前記<24>〜<26>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
<28>
前記第2部の親水度が、前記第1部の頂部Q1に対応する部分である第2面上の底部Q3の親水度よりも低い前記<24>〜<27>の何れか1項に記載の凹凸不織布。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〜3(第1実施形態)〕
図4に示す製造装置を用いて図1及び図2に示す第1実施形態の凹凸不織布10Aを製造した。第1不織布2及び第2不織布3としては、以下のものを用いた。第1不織布2と第2不織布3とは、不織布としては同じ物である。また、第1不織布2と第2不織布3との接合は、ヒートロール203の周面温度を135℃、第1ロール201の凸部の温度を常温、第2ロール202の温度常温に設定して行った。実施例1の凹凸不織布10Aの製造には、第2不織布3として、カード機によりウエブ化する前の原料繊維の段階で、下記表1に示す繊維処理剤を塗布したものを用い、第1不織布2としては、カード機によりウエブ化する前の原料繊維の段階で、下記表1に示す(A)成分を含まない繊維処理剤を塗布したものを用いた。
・第1不織布2及び第2不織布3:構成繊維として、芯がポリエチレンテレフタレート、鞘がポリエチレンである同心タイプの芯鞘型複合繊維を用い、エアスルー法により構成繊維を融着させることによって製造した。用いた芯鞘型複合繊維は非熱伸長性繊維であり、芯と鞘との質量比は芯:鞘=50:50、繊度は2.2dtex、繊維長は51mmであった。
〔比較例1(第1実施形態)〕
比較例1の凹凸不織布の製造には、第2不織布3として、カード機によりウエブ化する前の原料繊維の段階で、下記表1に示す(A)成分を含まない繊維処理剤を塗布したものを用い、第1不織布2としても、カード機によりウエブ化する前の原料繊維の段階で、下記表1に示す(A)成分を含まない繊維処理剤を塗布したものを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、図1及び図2に示す第1実施形態の凹凸不織布10Aを製造した。
〔実施例4〜8(第2実施形態)〕
図8及び図9に示す製造装置100を用いて、図6及び図7に示す第2実施形態の凹凸不織布10B(単層構造のエアスルー不織布)を製造した。製造装置100に供給するウエブ105の繊維を下記表2に示す。下記表2には、繊維に対して施した繊維処理剤の組成、及び製造装置100における条件も記載されている。下記表2に示す非熱伸長性芯鞘型複合繊維(熱融着性繊維)は、芯がポリエチレンテレフタレート、鞘がポリエチレンである同心タイプの芯鞘型複合繊維であり、芯と鞘との質量比は芯:鞘=50:50、繊度は3.3dtex、繊維長は51mmであった。また、下記表2に示す熱伸長性芯鞘型複合繊維は、芯がポリエチレンテレフタレート、鞘がポリエチレンである同心タイプの芯鞘型複合繊維であり、芯と鞘との質量比は芯:鞘=50:50、繊度は3.3dtexで、繊維長は51mmであった。
〔比較例2(第2実施形態)〕
下記表2に示す(A)成分を含まない繊維処理剤を用いた以外は、実施例2と同様にして、図6及び図7に示す第2実施形態の凹凸不織布10Bを製造した。
〔実施例9及び10(第3実施形態)〕
繊維処理剤を付着させた熱融着性繊維を原料としてカード機により繊維ウエブに製造した後、その繊維ウエブに対して、複数の噴射ノズルから空気を噴射し、表面の繊維を移動させて凹凸を有する繊維ウエブを形成した。その繊維ウエブに対して、図14に示すように、エアスルー方式の熱風処理を施し、図12及び図13に示す第3実施形態の凹凸不織布10C(単層構造のエアスルー不織布)を製造した。ウエブの原料繊維を下記表3に示す。下記表3には、各原料繊維に対して施した繊維処理剤の組成も記載されている。熱風処理の熱風の温度は136℃、風速は0.5m/secに設定した。また、円形(直径1mm)の噴射ノズルから噴射させた圧搾空気の温度は20から30℃の常温で、風量は10L/分・孔であった。下記表3に示す非熱伸長性芯鞘型複合繊維(熱融着性繊維)及び熱伸長性芯鞘型複合繊維は、それぞれ、下記表2に示すものと同じである。
〔比較例3(第3実施形態)〕
下記表3に示す(A)成分を含まない繊維処理剤を用いた以外は、実施例4と同様にして、図12及び図13に示す第3実施形態の凹凸不織布10Cを製造した。
下記表1〜表3に示す繊維処理剤の各成分の詳細は下記の通り。
・(A)成分 ポリジメチルシロキサン:信越シリコーン製のシリコーン「KM−903」。KM−903の組成は次の通り。重量平均分子量が約50万のポリジメチルシロキサン18質量%、重量平均分子量が約2万のポリジメチルシロキサン42質量%、分散剤5質量%、水35質量%。
・(B)成分 アルキルリン酸エステル:花王株式会社製「グリッパー4131」の水酸化カリウム中和物。
・(C)成分 POE(付加モル数25)変性多価アルコール脂肪酸エステル:POE変性硬化ヒマシ油、花王株式会社製「エマノーンCH25」。
・POE、POP変性シリコーン;信越化学工業株式会社製「X−22−4515」。
・POEアルキルアミド;川研ファインケミカルズ株式会社製「アミゾールSDE」。
・ステアリルベタイン;花王株式会社製のアルキルベタイン「アンヒトール86B」。
下記表1〜表3中、(A)成分の配合量は、前記の「KM−903」の組成のうち、シリコーンのみの配合量のことであり、「KM−903」全体の配合量ではない。即ち、下記表1〜表3に示す繊維処理剤の各成分の配合割合は、KM−903中の分散剤及び水を除外して算出した値である。
下記表1〜表3中、繊維処理剤付着量は、迅速残脂抽出機を用いて次のように測定した。測定対象の繊維2gを測り、下部に小さな孔のあいた所定の容器に入れた。その後、フタで繊維を押さえることで、繊維を容器の下部に押し込み、そこへ10ccのエタノール/メタノール(1:1)混合の溶液を投入し、10分間静置した後にもう一度フタをのせて、強く押し付けることで繊維に含まれているエタノール/メタノール成分を絞り、秤量皿に液を入れた。秤量皿を熱することで溶媒を飛ばし、秤量皿の元の重さから、加熱後の重量を測ることで繊維処理剤の付着量を測定した。N=3測定し、その平均を繊維処理剤付着量とした。
〔評価〕
実施例及び比較例の凹凸不織布について、以下に示す方法で、液戻り量、液吸収時間及び液残り量を測定した。
<液戻り量及び液吸収時間>
測定は、吸収性物品の一例として乳幼児用おむつ(花王株式会社製:メリーズさらさらエアスルー(登録商標)Mサイズ)から表面シートを取り除き、その代わりに不織布の試験体(以下、不織布試験体という)を用い、その周囲を固定して得た評価用の乳幼児用おむつを用いた。おむつを平面状に拡げ、表面シート上に、円筒状の注入部の付いたアクリル板をのせ、更にそのアクリル板上に錘をのせ、吸収体部分に対して2kPaの荷重を加えた。アクリル板に設けられた注入部は、内径36mmの円筒(高さ53mm)状をなし、アクリル板には、長手方向の1/3の部分、幅方向の中心軸に、該円筒状注入部の中心軸線が一致し、該円筒状注入部の内部とアクリル板の表面シート対向面との間を連通する内径36mmの貫通孔が形成されている。おむつの吸収性コアを覆っているコアラップシートの長手方向の腹側部分の先端から155mmの位置にアクリル板の円筒状注入部の中心軸が来るように配置し、人工尿40gを注入して吸収させ、10分間放置し、更に人工尿40gを注入して吸収させた。斯かる人工尿の注入操作を4回繰り返し、合計160gの人工尿をおむつに吸収させた。注入完了から10分静置した後に、前述の円筒および圧力を取り除いた。次いで、おむつにおける人工尿の注入点を中心としてアドバンテック社製のろ紙No.5C(100mm×100mm,質量測定W1)を16枚、更にその上に3.5kPaの圧力がかかるように荷重をかけた。2分経過後荷重を取り除き、人工尿を吸収したろ紙の質量(W2)を測定し、次式のようにして、液戻り量を算出した。
液戻り量(g)=加圧後のろ紙の質量(W2)−最初のろ紙の質量(W1)
また、この液戻り量の測定において、各注入回の人工尿の注入時間(注入開始から全量がおむつに吸収されるまでの時間)を液吸収時間とした。
液戻り量が少ないほど、液戻りが生じ難く高評価となり、また液吸収時間が短いほど、排泄液の透水性に優れ高評価となる。
人工尿の組成は次の通りである
尿素1.94質量%、塩化ナトリウム0.7954質量%、硫酸マグネシウム(七水和物)0.11058質量%、塩化カルシウム(二水和物)0.06208質量%、硫酸カリウム0.19788質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル0.0035質量%及びイオン交換水(残量)。
〔液残り量〕
測定は、吸収性物品の一例として乳幼児用おむつ(花王株式会社製:メリーズさらさらエアスルー(登録商標)Mサイズ)から表面シートを取り除き、その代わりに不織布の試験体(以下、不織布試験体という)を用い、その周囲を固定して得た評価用の乳幼児用おむつを用いた。おむつを平面状に拡げ、おむつの吸収性コアを覆っているコアラップシートの長手方向の腹側部分の先端から155mmの位置に、注入ポンプを用いて5g/秒の速度で人口尿を40g注入して吸収させ、10分間放置し、更に人工尿40gを注入して吸収させた。斯かる人工尿の注入操作を4回繰り返し、合計160gの人工尿をおむつに吸収させた。注入完了から10分静置した後に、注入点を中心に10cm×10cmの表面シートを剥がし、その重量(W4)を測定する。その後、乾燥機を用いて、その表面シートを105℃で、1時間乾燥させて、その重量(W3)を測定し、次式のようにして、液残り量を算出した。
液残り量(g)=160g注入後の表面材の質量(W4)−乾燥させた表面材の質量(W3)
表1、表2及び表3それぞれにおける各実施例と比較例との結果の比較から、本発明の凹凸不織布を、表面シートとして用いた吸収性物品は、液の透過性に優れ、液の戻り難さも向上していることが判る。