以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の一態様は、ジベンゾキノキサリン骨格と4,4’−ビジベンゾフラン骨格又は4,4’−ビジベンゾチオフェン骨格が、アリーレン基を介して結合した有機化合物である。
上記ジベンゾキノキサリン骨格、4,4’−ビジベンゾフラン骨格、4,4’−ビジベンゾチオフェン骨格及びアリーレン基は置換基を有していても良く、当該置換基としては、例えば炭素数1乃至6のアルキル基を挙げることができる。
このような構成を有する有機化合物は、キャリア輸送性が良好であり、また、三重項励起準位も高い。さらに、耐熱性も良好である。その上、合成の工程が短いこと、及び昇華精製がしやすいことから生産性が良好でもある。
上記有機化合物は、下記一般式(G1)のように表すこともできる。
上記一般式(G1)において、Aは置換または無置換のジベンゾキノキサリン骨格を表し、Bは置換又は無置換の4,4’−ビジベンゾフラン骨格又は置換又は無置換の4,4’−ビジベンゾチオフェン骨格を表す。また、Arは炭素数6乃至13のアリーレン基を表し、nは0乃至2の整数である。なお、Arは炭素数に含まれない置換基を有していても良い。炭素数6乃至13のアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基及びフルオレンジイル基などが挙げられ、特にフェニレン基、ビフェニルジイル基及びフルオレンジイル基が三重項準位を高く保つうえで好ましい構成である。
A,B及びArが置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基を挙げることができる。炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びシクロヘキシル基等を挙げることができる。
一般式(G1)で表される有機化合物は、下記一般式(G2)で表すこともできる。
上記一般式(G2)において、Arは炭素数6乃至13のアリーレン基を表し、nは0乃至2の整数である。なお、Arは炭素数に含まれない置換基を有していても良い。炭素数6乃至13のアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基及びフルオレンジイル基などが挙げられ、特にフェニレン基、ビフェニルジイル基及びフルオレンジイル基が三重項準位を高く保つうえで好ましい構成である。
Arが置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基を挙げることができる。炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びシクロヘキシル基等を挙げることができる。
また、R1乃至R22はそれぞれ独立に水素又は炭素数1乃至6のアルキル基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びシクロヘキシル基等を挙げることができる。
なお、上記一般式(G2)で表される有機化合物において、Arはフェニル基、nが1である有機化合物は、キャリアの輸送性が向上し、発光効率の良好な発光素子を得ることが容易となるため好ましい。
すなわち、本発明の一態様の有機化合物は、下記一般式(g1)及び(g2)で表される有機化合物である。
上記一般式(g1)及び(g2)において、R1乃至R22はそれぞれ独立に水素又は炭素数1乃至6のアルキル基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びシクロヘキシル基等を挙げることができる。
また、R30乃至R34は、このうち一つが、上記一般式(g2)で表される基であり、その他はそれぞれ独立に水素又は炭素数1乃至6のアルキル基を表す。(g2)はR30乃至R34のいずれかに、*の位置で結合する。炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びシクロヘキシル基等を挙げることができる。
上記一般式(g1)及び(g2)で表される有機化合物において、(g2)で表される基は、(g1)で表される骨格におけるフェニル基にメタ位となるように結合していることが、三重項励起準位を高く保つことが可能となるため好ましい構成である。
すなわち、本発明の一態様の有機化合物は下記一般式(G3)で表される有機化合物であることが好ましい。
上記一般式(G3)において、R1乃至R22、R30乃至R32及びR34はそれぞれ独立に水素又は炭素数1乃至6のアルキル基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びシクロヘキシル基等を挙げることができる。
また、本発明の一態様の有機化合物は、下記一般式(G4)で表すこともできる。
上記一般式(G4)において、R1乃至R22はそれぞれ独立に水素又は炭素数1乃至6のアルキル基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びシクロヘキシル基等を挙げることができる。
なお、上記有機化合物において、R1乃至R22はすべて水素であることが、原材料の調達や、合成の簡便さ、キャリア輸送性の観点で好ましい形態である。
このような構成を有する有機化合物は、キャリア輸送性が良好であり、また、三重項励起準位も高い。さらに、耐熱性も良好である。その上、合成の工程が短いこと、及び昇華精製がしやすいことから生産性が良好でもある。
以上のような構成を有する有機化合物の具体例としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
上述に示したような、本発明の一態様の有機化合物の合成方法としては種々の反応を適用することができる。例えば、以下に示す合成反応を行うことによって、一般式(G2)で表される有機化合物を合成することができる。なお、本発明の一態様である有機化合物の合成方法は、以下の合成方法に限定されない。
<ステップ1:4,4’−ビジベンゾフラン誘導体または4,4’−ビジベンゾチオフェン誘導体のボロン酸、又は有機ホウ素化合物の合成方法>
まず、4,4’−ビジベンゾフラン誘導体または4,4’−ビジベンゾチオフェン誘導体のボロン酸、又は有機ホウ素化合物を合成する。4,4’−ビジベンゾフラン誘導体または4,4’−ビジベンゾチオフェン誘導体のボロン酸、又は有機ホウ素化合物(a2)は合成スキーム(A−1)のようにして合成することができる。すなわち、4,4’−ビジベンゾフラン誘導体または4,4’−ビジベンゾチオフェン誘導体(a1)をアルキルリチウム試薬とホウ素試薬を用いてボロン酸化、又は、有機ホウ素化することにより、4,4’−ビジベンゾフラン誘導体又は4,4’−ビジベンゾチオフェン誘導体の、ボロン酸又は有機ホウ素化合物(a2)を得ることが出来る。
合成スキーム(A−1)において、R10乃至R22はそれぞれ独立に水素又は炭素数1乃至6のアルキル基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。また、化合物(a2)がボロン酸の場合、R23及びR24は水素を表す。また、化合物(a2)のボロン酸は、エチレングリコール等により保護されていても良く、この場合、化合物(a2)におけるR23及びR24は炭素数1から6のアルキル基を表す。また、化合物(a2)が有機ホウ素化合物の場合、R23及びR24は同じであっても異なっていても良く、互いに結合して環を形成していても良い。
合成スキーム(A−1)において、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒を用いることができる。また、アルキルリチウム試薬は、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等が挙げられる。また、これらのアルキルリチウム試薬に配位性の添加剤を加えることで、反応性を向上させることができる。用いることができる配位性添加剤としては、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)などが挙げられる。また、ホウ素試薬としてはホウ酸トリメチルや、ホウ酸トリイソプロピルなどが挙げられる。なお、用いることが可能な溶媒、試薬などは、上述のものに限られない。
<ステップ2:一般式(G2)で表される有機化合物の合成方法>
次に、一般式(G2)で表される有機化合物は、合成スキーム(A−2)のようにして合成することができる。すなわち、ジベンゾ[f,h]キノキサリン誘導体のハロゲン化合物もしくはトリフラート基を持つ化合物(a3)と、4,4’−ビジベンゾフラン誘導体または4,4’−ビジベンゾチオフェン誘導体のボロン酸、又は有機ホウ素化合物(a2)とを、パラジウム触媒を用いた鈴木・宮浦反応によりカップリングすることで、本発明の一態様の有機化合物(G2)を得ることができる。
合成スキーム(A−2)において、R1乃至R9はそれぞれ独立に水素、又は炭素数1から6のアルキル基のいずれかを表す。また、Arは炭素数6乃至13のアリーレン基を表し、nは0乃至2の整数である。また、Aはハロゲン、又は、トリフラート基を表し、Aがハロゲンの場合は特に塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
合成スキーム(A−2)の反応では、パラジウム触媒、塩基、溶媒などを用いる。パラジウム触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。また、パラジウム触媒の配位子としては、トリ(オルト−トリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。また、塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。溶媒としては、トルエン、キシレン、エタノール等のアルコール、トルエンとエタノール等のアルコールとの混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールとの混合溶媒、トルエンと水の混合溶媒、トルエンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、キシレンと水の混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、ベンゼンと水の混合溶媒、ベンゼンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類と水の混合溶媒などが挙げられる。また、トルエンと水、又はトルエンとエタノールと水の混合溶媒がより好ましい。また、このように4,4’−ビジベンゾチオフェン誘導体のボロン酸、又は有機ホウ素化合物(a2)を用いることで、容易に分子量を増すことが出来るため、耐熱性が高い有機化合物を簡便な合成で得ることが出来る。
また、このカップリング反応においては、ジベンゾ[f,h]キノキサリン誘導体(a3)のAが有機ホウ素化合物又はボロン酸である化合物と、4,4’−ビジベンゾフラン誘導体又は4,4’−ビジベンゾチオフェン誘導体のホウ素が結合している炭素がハロゲン化されたハロゲン化合物、又はトリフラート基を有する化合物とを、鈴木・宮浦反応によりカップリングさせてもよい。
以上のように本発明の一態様の有機化合物を合成することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では実施の形態1で説明した有機化合物を用いた発光素子の詳細な構造の例について図1(A)を用いて以下に説明する。
本実施の形態における発光素子は、一対の電極間に複数の層からなるEL層を有し、当該複数の層のいずれかに実施の形態1で説明した有機化合物を含む。本実施の形態において、発光素子は、第1の電極101と、第2の電極102と、第1の電極101と第2の電極102との間に設けられたEL層103とから構成されている。なお、本形態では第1の電極101は陽極として機能し、第2の電極102は陰極として機能するものとして、以下説明をする。つまり、第1の電極101の方が第2の電極102よりも電位が高くなるように、第1の電極101と第2の電極102に電圧を印加したときに、発光が得られる構成となっている。
第1の電極101は陽極として機能するため、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いて形成することが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリング法により成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。作製方法の例としては、酸化インジウム−酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1乃至20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成する方法などがある。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5乃至5wt%、酸化亜鉛を0.1乃至1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することもできる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。グラフェンも用いることができる。なお、後述する複合材料をEL層103における第1の電極101と接する層に用いることで、仕事関数に関わらず、電極材料を選択することができるようになる。
EL層103の積層構造については、当該積層構造のいずれかに実施の形態1で説明した有機化合物が含まれていれば他は特に限定されない。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、キャリアブロック層、中間層等を適宜組み合わせて構成することができる。本実施の形態では、EL層103は、第1の電極101の上に順に積層した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115を有する構成について説明する。このうち、発光層のホスト材料として、実施の形態1で説明した有機化合物を用いる構成とするが、これに限られることはない。各層を構成する材料について以下に具体的に示す。
正孔注入層111は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス{4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層111を形成することができる。
また、正孔注入層111として、正孔輸送性の物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。なお、正孔輸送性の物質にアクセプター性物質を含有させたものを用いることにより、電極の仕事関数に依らず電極を形成する材料を選ぶことができる。つまり、第1の電極101として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料も用いることができるようになる。アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
複合材料に用いる正孔輸送性の物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。以下では、複合材料における正孔輸送性の物質として用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス{4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、他に、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14から42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
正孔注入層を形成することによって、正孔の注入性が良好となり、駆動電圧の小さい発光素子を得ることが可能となる。
正孔輸送層112は、正孔輸送性の物質を含む層である。正孔輸送性の物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、正孔輸送性が高く、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。また、上述の複合材料における正孔輸送性の物質として挙げた有機化合物も正孔輸送層112に用いることができる。また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。なお、正孔輸送性の物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
発光層113は、蛍光発光物質を含み蛍光発光を呈する層であっても、りん光発光物質を含み蛍光発光を呈する層、熱活性化遅延蛍光(TADF)を示す物質を含みTADFを呈する層であってもいずれでも構わない。また、単層であっても、異なる発光物質が含まれる複数の層からなっていても良い。
発光層113において、蛍光発光物質として用いることが可能な材料としては、例えば以下のようなものが挙げられる。また、これ以外の蛍光発光物質も用いることができる。
5,6−ビス[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−2,2’−ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6−ビス[4’−(10−フェニル−9−アントリル)ビフェニル−4−イル]−2,2’−ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’−ビス〔4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−N,N’−ジフェニル−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン、(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)などが挙げられる。特に、1,6FLPAPrnや1,6mMemFLPAPrnのようなピレンジアミン化合物に代表される縮合芳香族ジアミン化合物は、ホールトラップ性が高く、発光効率や信頼性に優れているため好ましい。
発光層113において、りん光発光物質として用いることが可能な材料としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
トリス{2−[5−(2−メチルフェニル)−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN2]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz−dmp)3])、トリス(5−メチル−3,4−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz)3])、トリス[4−(3−ビフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrptz−3b)3])のような4H−トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス[3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1−mp)3])、トリス(1−メチル−5−フェニル−3−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Prptz1−Me)3])のような1H−トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、fac−トリス[(1−2,6−ジイソプロピルフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾール]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrpmi)3])、トリス[3−(2,6−ジメチルフェニル)−7−メチルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpimpt−Me)3])のようなイミダゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CF3ppy)2(pic)])、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)のような電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属イリジウム錯体が挙げられる。これらは青色のりん光発光を示す化合物であり、440nmから520nmに発光のピークを有する化合物である。
また、トリス(4−メチル−6−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)3])、トリス(4−t−ブチル−6−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)3])、(アセチルアセトナト)ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[6−(2−ノルボルニル)−4−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[5−メチル−6−(2−メチルフェニル)−4−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpmppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)2(acac)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr−Me)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr−iPr)2(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)3])、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(ppy)2(acac)])、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bzq)2(acac)])、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(bzq)3])、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(pq)3])、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(pq)2(acac)])のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)3(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。これらは主に緑色のりん光発光を示す化合物であり、500nm乃至600nmに発光のピークを有する。なお、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも際だって優れるため、特に好ましい。
また、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6−ビス(3−メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dibm)])、ビス[4,6−ビス(3−メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dpm)])、ビス[4,6−ジ(ナフタレン−1−イル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(d1npm)2(dpm)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(acac)])、ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(dpm])])、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)2(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)3])、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)2(acac)])のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)のような白金錯体や、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(DBM)3(Phen)])、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(TTA)3(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。これらは、赤色のりん光発光を示す化合物であり、600nmから700nmに発光のピークを有する。また、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、色度の良い赤色発光が得られる。
また、以上で述べたりん光性化合物の他、様々なりん光性発光材料を選択し、用いてもよい。
TADF材料としては以下のようなものを用いることができる。
フラーレン及びその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等。またマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリン。該金属含有ポルフィリンとしては、例えば、以下の構造式に示されるプロトポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF2(Proto IX))、メソポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF2(Meso IX))、ヘマトポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF2(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル−フッ化スズ錯体(SnF2(Copro III−4Me))、オクタエチルポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF2(OEP))、エチオポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF2(Etio I))、オクタエチルポルフィリン−塩化白金錯体(PtCl2OEP)等も挙げられる。
また、以下の構造式に示される2−(ビフェニルー4−イル)−4,6−ビス(12−フェニルインドロ[2,3−a]カルバゾール−11−イル)−1,3,5−トリアジン(PIC−TRZ)等のπ電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有する複素環化合物も用いることができる。該複素環化合物は、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有するため、電子輸送性及び正孔輸送性が高く、好ましい。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足型複素芳香環のアクセプター性が共に強くなり、S1準位とT1準位のエネルギー差が小さくなるため、特に好ましい。
続いて、発光層のホスト材料として、本実施の形態の発光素子では実施の形態1で示した本発明の一態様のジベンゾキノキサリン骨格と4,4’−ビジベンゾフラン骨格又は4,4’−ビジベンゾチオフェン骨格が、アリーレン基を介して結合した有機化合物を用いることが好ましい。実施の形態1で示した本発明の一態様の有機化合物は例えば下記一般式(G1)で表すことができる。
上記一般式(G1)において、Aは置換または無置換のジベンゾキノキサリン骨格を表し、Bは置換又は無置換の4,4’−ビジベンゾフラン骨格又は置換又は無置換の4,4’−ビジベンゾチオフェン骨格を表す。また、Arは炭素数6乃至13のアリーレン基を表し、nは0乃至2の整数である。なお、Arは炭素数に含まれない置換基を有していても良い。炭素数6乃至13のアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基及びフルオレンジイル基などが挙げられ、特にフェニレン基、ビフェニルジイル基及びフルオレンジイル基が三重項準位を高く保つうえで好ましい構成である。
A,B及びArが置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基を挙げることができる。炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びシクロヘキシル基等を挙げることができる。
このような構成を有する実施の形態1に記載の有機化合物は、キャリア輸送性が良好であるため、駆動電圧が低い発光素子を得ることが容易である。
また、当該有機化合物は三重項励起準位も高いことから、特に、発光物質としてりん光発光物質やTADF材料を用いた発光素子に用いると、三重項エネルギーを有効に発光に変換することが可能となるため、より好適である。当該有機化合物は特に赤色から緑色のりん光発光素子に用いることが好ましい。
さらに、当該有機化合物は耐熱性も良好であることから、耐熱性の良好な発光素子を得ることができる。
その上、当該有機化合物は合成の工程が短いこと、及び昇華精製がしやすいことから生産性が良好でもあり、発光素子のコストダウンにも貢献する。
なお、発光層には、発光材料と実施の形態1に記載の有機化合物の他に、他の有機化合物が含まれていても良い。
他の有機化合物としては、特に制限はないが、正孔輸送性を有する物質を用いると発光層の輸送性を調整することが容易となるため好ましい構成である。正孔輸送性を有する物質としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9−H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4、4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、9,9−ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−フルオレン−2−アミン(略称:PCBAF)、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBASF)などの芳香族アミン骨格を有する化合物や、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)−9−フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、3,3’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCCP)などのカルバゾール骨格を有する化合物や、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)、2,8−ジフェニル−4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−III)、4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−6−フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−IV)などのチオフェン骨格を有する化合物や、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P−II)、4−{3−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi−II)などのフラン骨格を有する化合物が挙げられる。上述した中でも、芳香族アミン骨格を有する化合物やカルバゾール骨格を有する化合物は、信頼性が良好であり、また、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい。
また、以上で述べた正孔輸送材料の他、様々な物質の中から正孔輸送材料を用いても良い。なお、ホスト材料は上述のように複数種の物質を混合した材料であっても良く、混合したホスト材料を用いる場合は、電子輸送性を有する材料と、正孔輸送性を有する材料とを混合することが好ましい。電子輸送性を有する材料と、正孔輸送性を有する材料を混合することによって、発光層113の輸送性を容易に調整することができ、再結合領域の制御も簡便に行うことができる。正孔輸送性を有する材料と電子輸送性を有する材料の含有量の比は、正孔輸送性を有する材料:電子輸送性を有する材料=1:9乃至9:1とすればよい。また、これら混合された材料同士で励起錯体を形成しても良い。当該励起錯体はりん光発光物質又はTADF材料の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光が得られるため好ましい。また、駆動電圧も低下するため好ましい。
なお、発光層に実施の形態1に記載の有機化合物を用いない場合は、その代わりに、様々なキャリア輸送材料を用いることができる。当該キャリア輸送材料としては、上述の正孔輸送性を有する材料の他、電子輸送性を有する材料も用いることができる。
電子輸送性を有する材料としては、例えば、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体や、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)などのポリアゾール骨格を有する複素環化合物や、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、2−[3’−(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、4,6−ビス[3−(フェナントレン−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6−ビス〔3−(4−ジベンゾチエニル)フェニル〕ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm−II)などのジアジン骨格を有する複素環化合物や、3,5−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5−トリ[3−(3−ピリジル)−フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)などのピリジン骨格を有する複素環化合物が挙げられる。上述した中でも、ジアジン骨格を有する複素環化合物やピリジン骨格を有する複素環化合物は、信頼性が良好であり好ましい。特に、ジアジン(ピリミジンやピラジン)骨格を有する複素環化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。
以上のような構成を有する発光層113は、真空蒸着法での共蒸着や、混合溶液としてインクジェット法やスピンコート法やディップコート法などを用いて作製することができる。
電子輸送層114は、電子輸送性を有する物質を含む層である。電子輸送性を有する物質としては、上記ホスト材料に用いることが可能な電子輸送性を有する物質として挙げたものを用いることができる。
また、電子輸送層と発光層との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けても良い。これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層であって、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
また、電子輸送層114と第2の電極102との間に、第2の電極102に接して電子注入層115を設けてもよい。電子注入層115としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたものを用いることができる。また、電子注入層115にエレクトライドを用いてもよい。該エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物(12CaO・7Al2O3 (C12A7))に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。なお、電子注入層115として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、第2の電極102からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい。
第2の電極102を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、リチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等の元素周期表の第1族または第2族に属する元素、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極102と電子輸送層との間に、電子注入層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を第2の電極102として用いることができる。これら導電性材料は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することが可能である。
また、EL層103の形成方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いることができる。例えば、真空蒸着法、インクジェット法またはスピンコート法など用いても構わない。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
電極についても、ゾル−ゲル法を用いて湿式法で形成しても良いし、金属材料のペーストを用いて湿式法で形成してもよい。また、スパッタリング法や真空蒸着法などの乾式法を用いて形成しても良い。
以上のような構成を有する発光素子は、第1の電極101と第2の電極102との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である発光層113において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり発光層113に発光領域が形成されるような構成となっている。
発光は、第1の電極101または第2の電極102のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極101または第2の電極102のいずれか一方または両方は、透光性を有する電極で成る。第1の電極101のみが透光性を有する電極である場合、発光は第1の電極101を通って取り出される。また、第2の電極102のみが透光性を有する電極である場合、発光は第2の電極102を通って取り出される。第1の電極101および第2の電極102がいずれも透光性を有する電極である場合、発光は第1の電極101および第2の電極102を通って、両方から取り出される。
なお、第1の電極101と第2の電極102との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。しかし、発光領域と電極やキャリア注入層に用いられる金属とが近接することによって生じる消光が抑制されるように、第1の電極101および第2の電極102から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成が好ましい。
また、発光層113に接する正孔輸送層や電子輸送層、特に発光層113における発光領域に近い方に接するキャリア輸送層は、発光層で生成した励起子からのエネルギー移動を抑制するため、そのバンドギャップが発光層を構成する発光物質もしくは、発光層に含まれる発光中心物質が有するバンドギャップより大きいバンドギャップを有する物質で構成することが好ましい。
本実施の形態における発光素子は、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に作製すればよい。基板上に作製する順番としては、第1の電極101側から順に積層しても、第2の電極102側から順に積層しても良い。発光装置は一基板上に一つの発光素子を形成したものでも良いが、複数の発光素子を形成しても良い。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、素子分割された照明装置やパッシブマトリクス型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えトランジスタ(FET)を形成し、FETと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。これにより、FETによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、FETの構造は、特に限定されない。また、FETに用いる半導体の種類及び結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用いてもよい。また、FET基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のFETからなるものでもよいし、若しくはN型のFETまたはP型のFETのいずれか一方からのみなるものであってもよい。
FETに用いる半導体としては、例えば、IV族(シリコン等)半導体、III族(ガリウム等)半導体、化合物半導体、酸化物半導体、有機半導体材料を用いることができるが、特に、酸化物半導体を用いると好ましい。該酸化物半導体としては、例えば、In−Ga酸化物、In−M−Zn酸化物(Mは、Al、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)等が挙げられる。なお、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、さらに好ましくは3eV以上の酸化物半導体材料を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができるため、好ましい構成である。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
続いて、複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子ともいう)の態様について、図1(B)を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。一つの発光ユニットは、図1(A)で示したEL層103と同様な構成を有する。つまり、図1(A)で示した発光素子は、1つの発光ユニットを有する発光素子であり、本実施の形態では、複数の発光ユニットを有する発光素子ということができる。
図1(B)において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されており、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512との間には電荷発生層513が設けられている。第1の電極501と第2の電極502はそれぞれ図1(A)における第1の電極101と第2の電極102に相当し、図1(A)の説明で述べたものと同じものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよい。
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、図1(A)で示した正孔注入層111に用いることができる複合材料を用いることができる。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール化合物、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔移動度が1×10−6cm2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。ただし、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。なお、発光ユニットの陽極側の面が電荷発生層に接している場合は、電荷発生層が発光ユニットの正孔輸送層の役割も担うことができるため、発光ユニットは正孔輸送層を設けなくとも良い。
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と他の材料により構成される層を組み合わせた積層構造として形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
また、電荷発生層513と当該電荷発生層の陽極側の発光ユニットとの間には、電子注入バッファ層を設けても良い。電子注入バッファ層は、アルカリ金属の極薄い膜と、電子輸送性の物質を含む電子リレー層との積層からなっている。アルカリ金属の極薄い膜は、電子注入層115に相当し、電子の注入障壁を低減させる機能を有する。電子リレー層はアルカリ金属の膜と電荷発生層との相互作用を防ぎ、電子をスムーズに受け渡す機能を有する。電子リレー層に含まれる電子輸送性の物質のLUMO準位は、電荷発生層513におけるアクセプター性物質のLUMO準位と、上記陽極側の発光ユニットにおける電子注入バッファ層と接する層に含まれる物質のLUMO準位との間となるようにする。具体的なエネルギー準位の数値としては、電子リレー領域における電子輸送性の物質のLUMO準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。なお、電子注入バッファ領域における電子輸送性の物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。この場合、電子注入バッファ層のアルカリ金属の膜が陽極側の発光ユニットにおける電子注入層の役割を担うため、当該発光ユニットには重ねて電子注入層を形成する必要はない。
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。例えば、図1(B)において、第1の電極の電位の方が第2の電極の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電荷発生層513は、第1の発光ユニット511に電子を注入し、第2の発光ユニット512に正孔を注入するものであればよい。
図1(B)では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度発光を可能とし、さらに長寿命な素子を実現できる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光素子において、第1の発光ユニットで赤と緑の発光色、第2の発光ユニットで青の発光色を得ることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。
なお、上記構成は、他の実施の形態や本実施の形態中の他の構成と適宜組み合わせることが可能である。
以上のような構成を有する本実施の形態における発光素子は、耐熱性の良好な発光素子とすることができる。また、発光効率の良好な発光素子とすることができる。また、コストパフォーマンスに優れた発光素子とすることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を用いた発光装置について説明する。
本実施の形態では、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を用いて作製された発光装置について図2を用いて説明する。なお、図2(A)は、発光装置を示す上面図、図2(B)は図2(A)をA−BおよびC−Dで切断した断面図である。この発光装置は、発光素子の発光を制御するものとして、点線で示された駆動回路部(ソース線駆動回路)601、画素部602、駆動回路部(ゲート線駆動回路)603を含んでいる。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
なお、引き回し配線608はソース線駆動回路601及びゲート線駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図2(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース線駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース線駆動回路601はnチャネル型FET623とpチャネル型FET624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用FET611と、電流制御用FET612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成されているが、これに限定されず、3つ以上のFETと、容量素子とを組み合わせた画素部としてもよい。
なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成することができる。
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm乃至3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、ネガ型の感光性樹脂、或いはポジ型の感光性樹脂のいずれも使用することができる。
第1の電極613上には、EL層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、またはケイ素を含有したインジウム錫酸化物膜、2乃至20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。EL層616は、実施の形態2で説明したような構成を含んでいる。また、EL層616を構成する他の材料としては、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
さらに、EL層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物(MgAg、MgIn、AlLi等)等)を用いることが好ましい。なお、EL層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2乃至20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、ケイ素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
なお、第1の電極613、EL層616、第2の電極617でもって、発光素子が形成されている。当該発光素子は実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子である。なお、画素部は複数の発光素子が形成されてなっているが、本実施の形態における発光装置では、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子と、それ以外の構成を有する発光素子の両方が含まれていても良い。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。封止基板には凹部を形成し、そこに乾燥材625を設けると水分の影響による劣化を抑制することができ、好ましい構成である。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を用いて作製された発光装置を得ることができる。
図3には白色発光を呈する発光素子を形成し、着色層(カラーフィルタ)等を設けることによってフルカラー化した発光装置の例を示す。図3(A)には基板1001、下地絶縁膜1002、ゲート絶縁膜1003、ゲート電極1006、1007、1008、第1の層間絶縁膜1020、第2の層間絶縁膜1021、周辺部1042、画素部1040、駆動回路部1041、発光素子の第1の電極1024W、1024R、1024G、1024B、隔壁1025、EL層1028、発光素子の第2の電極1029、封止基板1031、シール材1032などが図示されている。
また、図3(A)では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)は透明な基材1033に設けている。また、黒色層(ブラックマトリックス)1035をさらに設けても良い。着色層及び黒色層が設けられた透明な基材1033は、位置合わせし、基板1001に固定する。なお、着色層、及び黒色層は、オーバーコート層1036で覆われている。また、図3(A)においては、光が着色層を透過せずに外部へと出る発光層と、各色の着色層を透過して外部に光が出る発光層とがあり、着色層を透過しない光は白、着色層を透過する光は赤、青、緑となることから、4色の画素で映像を表現することができる。
図3(B)では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)をゲート絶縁膜1003と第1の層間絶縁膜1020との間に形成する例を示した。このように、着色層は基板1001と封止基板1031の間に設けられていても良い。
また、以上に説明した発光装置では、FETが形成されている基板1001側に光を取り出す構造(ボトムエミッション型)の発光装置としたが、封止基板1031側に発光を取り出す構造(トップエミッション型)の発光装置としても良い。トップエミッション型の発光装置の断面図を図4に示す。この場合、基板1001は光を通さない基板を用いることができる。FETと発光素子の陽極とを接続する接続電極を作製するまでは、ボトムエミッション型の発光装置と同様に形成する。その後、第3の層間絶縁膜1037を電極1022を覆って形成する。この絶縁膜は平坦化の役割を担っていても良い。第3の層間絶縁膜1037は第2の層間絶縁膜と同様の材料の他、他の様々な材料を用いて形成することができる。
発光素子の第1の電極1024W、1024R、1024G、1024Bはここでは陽極とするが、陰極であっても構わない。また、図4のようなトップエミッション型の発光装置である場合、第1の電極を反射電極とすることが好ましい。EL層1028の構成は、実施の形態2においてEL層103として説明したような構成とし、且つ、白色の発光が得られるような素子構造とする。
図4のようなトップエミッションの構造では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)を設けた封止基板1031で封止を行うことができる。封止基板1031には画素と画素との間に位置するように黒色層(ブラックマトリックス)1035を設けても良い。着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)や黒色層(ブラックマトリックス)はオーバーコート層によって覆われていても良い。なお封止基板1031は透光性を有する基板を用いることとする。
また、ここでは赤、緑、青、白の4色でフルカラー表示を行う例を示したが特に限定されず、赤、緑、青の3色でフルカラー表示を行ってもよい。
本実施の形態における発光装置は、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を用いているため、良好な特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子は耐熱性の良好な発光素子であるため、耐熱性の良好な発光装置とすることができる。また、量産しやすい発光素子であり、安価な発光装置を提供することができる。
ここまでは、アクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、以下からはパッシブマトリクス型の発光装置について説明する。図5には本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置を示す。なお、図5(A)は、発光装置を示す斜視図、図5(B)は図5(A)をX−Yで切断した断面図である。図5において、基板951上には、電極952と電極956との間にはEL層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブマトリクス型の発光装置においても、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を用いており、耐熱性の良好な発光装置とすることができる。
以上、説明した発光装置は、マトリクス状に配置された多数の微小な発光素子をそれぞれ制御することが可能であるため、画像の表現を行う表示装置として好適に利用できる発光装置である。
また、本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を照明装置として用いる例を図6を参照しながら説明する。図6(B)は照明装置の上面図、図6(A)は図6(B)におけるe−f断面図である。
本実施の形態における照明装置は、支持体である透光性を有する基板400上に、第1の電極401が形成されている。第1の電極401は実施の形態1における第1の電極101に相当する。第1の電極401側から発光を取り出す場合、第1の電極401は透光性を有する材料により形成する。
第2の電極404に電圧を供給するためのパッド412が基板400上に形成される。
第1の電極401上にはEL層403が形成されている。EL層403は実施の形態1におけるEL層103の構成、又は発光ユニット511、512及び電荷発生層513を合わせた構成などに相当する。なお、これらの構成については当該記載を参照されたい。
EL層403を覆って第2の電極404を形成する。第2の電極404は実施の形態1における第2の電極102に相当する。発光を第1の電極401側から取り出す場合、第2の電極404は反射率の高い材料によって形成される。第2の電極404はパッド412と接続することによって、電圧が供給される。
以上、第1の電極401、EL層403、及び第2の電極404を有する発光素子を本実施の形態で示す照明装置は有している。当該発光素子は発光効率の高い発光素子であるため、本実施の形態における照明装置は消費電力の小さい照明装置とすることができる。
以上の構成を有する発光素子を、シール材405、406を用いて封止基板407を固着し、封止することによって照明装置が完成する。シール材405、406はどちらか一方でもかまわない。また、内側のシール材406(図6(B)では図示せず)には乾燥剤を混ぜることもでき、これにより、水分を吸着することができ、信頼性の向上につながる。
また、パッド412と第1の電極401の一部をシール材405、406の外に伸張して設けることによって、外部入力端子とすることができる。また、その上にコンバーターなどを搭載したICチップ420などを設けても良い。
以上、本実施の形態に記載の照明装置は、EL素子に実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を用いており、耐熱性の良好な照明装置とすることができる
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子をその一部に含む電子機器の例について説明する。実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子は、耐熱性の良好な発光素子である。その結果、本実施の形態に記載の電子機器は、信頼性の良好な発光部を有する電子機器とすることが可能である。
上記発光素子を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を以下に示す。
図7(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、表示部7103は、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。
テレビジョン装置の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図7(B1)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、このコンピュータは、実施の形態2で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して表示部7203に用いることにより作製される。図7(B1)のコンピュータは、図7(B2)のような形態であっても良い。図7(B2)のコンピュータは、キーボード7204、ポインティングデバイス7206の代わりに第2の表示部7210が設けられている。第2の表示部7210はタッチパネル式となっており、第2の表示部7210に表示された入力用の表示を指や専用のペンで操作することによって入力を行うことができる。また、第2の表示部7210は入力用表示だけでなく、その他の画像を表示することも可能である。また表示部7203もタッチパネルであっても良い。二つの画面がヒンジで接続されていることによって、収納や運搬をする際に画面を傷つける、破損するなどのトラブルの発生も防止することができる。
図7(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子をマトリクス状に配列して作製された表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図7(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、または一方に実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子をマトリクス状に配列して作製された表示部を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図7(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図7(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
図7(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子をマトリクス状に配列して作製された表示部7402を有している。
図7(D)に示す携帯電話機は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる構成とすることもできる。この場合、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
また、携帯電話機内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態4に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
以上の様に実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を備えた発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を用いることにより、耐熱性の良い電子機器を得ることができる。
図8は、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子をバックライトに適用した液晶表示装置の一例である。図8に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライトユニット903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライトユニット903には、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を液晶表示装置のバックライトに適用したことにより、消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、実施の形態2に記載の発光素子を用いることで、面発光の照明装置が作製でき、また大面積化も可能である。これにより、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、実施の形態2に記載の発光素子を適用した発光装置は従来と比較し厚みを小さくできるため、表示装置の薄型化も可能となる。
図9は、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を、照明装置である電気スタンドに用いた例である。図9に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、実施の形態4に記載の照明装置が用いられている。
図10は、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を、室内の照明装置3001として用いた例である。実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子は耐熱性の高い発光素子であるため、耐熱性の良い照明装置とすることができる。また、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子は大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子は、薄型であるため、薄型化した照明装置として用いることが可能となる。
実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子は、自動車のフロントガラスやダッシュボードにも搭載することができる。図11に実施の形態2に記載の発光素子を自動車のフロントガラスやダッシュボードに用いる一態様を示す。表示領域5000乃至表示領域5005は実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を用いて設けられた表示である。
表示領域5000と表示領域5001は自動車のフロントガラスに設けられた実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を搭載した表示装置である。実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子は、第1の電極と第2の電極を透光性を有する電極で作製することによって、反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態の表示装置とすることができる。シースルー状態の表示であれば、自動車のフロントガラスに設置したとしても、視界の妨げになることなく設置することができる。なお、駆動のためのトランジスタなどを設ける場合には、有機半導体材料による有機トランジスタや、酸化物半導体を用いたトランジスタなど、透光性を有するトランジスタを用いると良い。
表示領域5002はピラー部分に設けられた実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を搭載した表示装置である。表示領域5002には、車体に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、ピラーで遮られた視界を補完することができる。また、同様に、ダッシュボード部分に設けられた表示領域5003は車体によって遮られた視界を、自動車の外側に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高めることができる。見えない部分を補完するように映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。
表示領域5004や表示領域5005はナビゲーション情報、スピードメーターやタコメーター、走行距離、給油量、ギア状態、エアコンの設定など、その他様々な情報を提供することができる。表示は使用者の好みに合わせて適宜その表示項目やレイアウトを変更することができる。なお、これら情報は表示領域5000乃至表示領域5003にも設けることができる。また、表示領域5000乃至表示領域5005は照明装置として用いることも可能である。
実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子は耐熱性の高い発光素子とすることができる。このことから、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子は真夏など、非常に高温の環境におかれる可能性の高い車載用の発光装置又は照明装置として好適に用いることができる。
図12(A)及び図12(B)は2つ折り可能なタブレット型端末の一例である。図12(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。なお、当該タブレット端末は、実施の形態1に記載の有機化合物を含む発光素子を備えた発光装置を表示部9631a、表示部9631bの一方又は両方に用いることにより作製される。
表示部9631aは、一部をタッチパネル領域9632aとすることができ、表示された操作キー9637にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネル領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタンを表示することができる。
また、タッチパネル領域9632aとタッチパネル領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図12(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図12(B)は、閉じた状態であり、本実施の形態におけるタブレット型端末では、筐体9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を備える例を示す。なお、図12(B)では充放電制御回路9634の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成について示している。
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
また、この他にも図12(A)及び図12(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の一面または二面に設けられていると効率的なバッテリー9635の充電を行う構成とすることができるため好適である。
また、図12(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図12(C)にブロック図を示し説明する。図12(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3が、図12(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633で充電された電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9638で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
なお、太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、発電手段は特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によってバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよく、発電手段を有さなくとも良い。
また、上記表示部9631を具備していれば、図12に示した形状のタブレット型端末に限定されない。
本実施例では、実施の形態1で説明した本発明の一態様の有機化合物である2−{3−[6−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ジベンゾチオフェン−4−イル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2m(DBt2)PDBq)の合成方法について詳細に説明する。
<ステップ1:4,4’−ビジベンゾチオフェンの合成>
500mL三口フラスコに4.7g(15mmol)の4−ヨードジベンゾチオフェンと、3.6g(16mmol)のジベンゾチオフェン−4−ボロン酸と、91mg(0.30mmol)のトリス(2−メチルフェニル)ホスフィンを入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、50mLのトルエンと、25mLのエタノールと、15mLの炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に34mg(0.15mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、窒素気流下、80℃で3時間攪拌したところ、固体が析出した。析出した固体を吸引濾過により回収した。得られたろ液の水層をトルエンで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た固体と、吸引濾過により回収した固体を約100mLのトルエンに溶解し、この溶液をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855、以下同じ)、アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135、以下同じ)を通して吸引ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た固体をトルエン/ヘキサンにより再結晶したところ、目的物の白色固体を4.9g、収率90%で得た。ステップ1の合成スキーム(a−1)を以下に示す。
<ステップ2:4,4’−ビジベンゾチオフェン−6−ボロン酸の合成方法>
500mLの三口フラスコに5.0g(13mmol)の4,4’−ビジベンゾチオフェンを入れ、フラスコ内を窒素置換した。このフラスコに100mLのテトラヒドロフラン(THF)を加えて、この溶液を−80℃に冷却した。この溶液に8.7mL(14mmol)のn−ブチルリチウム(1.6mol/Lヘキサン溶液)を、シリンジにより滴下して加えた。滴下終了後、この溶液を室温に戻しながら2時間攪拌した。攪拌後、この溶液を再び−80℃に冷却した。この溶液へ1.9mL(17mmol)のホウ酸トリメチルを加え、室温に戻しながら18時間攪拌した。攪拌後、この溶液に約50mLの希塩酸(1.0mol/L)を加えて、1時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層を酢酸エチルで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、乾燥後、この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮したところ、白色固体を得た。この固体を100mLの熱したトルエンで洗浄したところ、目的物の白色粉末を2.6g、収率50%で得た。ステップ2の合成スキーム(a−2)を以下に示す。
また、得られた化合物を液体クロマトグラフ質量分析(Liquid Chromatography Mass Spectrometry,略称:LC/MS分析)によって分析した。LC/MS分析は、ウォーターズ社製Acquity UPLCおよびウォーターズ社製Xevo G2 Tof MSを用いて行った。
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ionization、略称:ESI)によるイオン化を行った。この時のキャピラリー電圧は3.0kV、サンプルコーン電圧は30Vとし、検出はポジティブモードで行った。さらに、以上の条件でイオン化された成分を衝突室(コリジョンセル)内でアルゴンガスと衝突させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンを衝突させる際のエネルギー(コリジョンエネルギー)は6.0eVとした。なお、測定する質量範囲はm/z=100乃至1200とした。
測定結果を図13に示す。図13の結果から、4,4’−ビジベンゾチオフェン−6−ボロン酸は、主としてm/z=410付近、m/z=367付近にプロダクトイオンが検出されることがわかった。なお、m/z=367付近はビジベンゾチオフェン環のカチオンのプロダクトイオンと推察できる。
<ステップ3:2−{3−[6−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ジベンゾチオフェン−4−イル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2m(DBt2)PDBq)の合成方法>
200mL三口フラスコに2.3g(6.0mmol)の2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f,h]キノキサリンと、2.7g(6.5mmol)の4,4’−ビジベンゾチオフェン−6−ボロン酸と、0.18g(0.60mmol)のトリス(2−メチルフェニル)ホスフィンを入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、22mLのトルエンと、8.0mLのエタノールと、6.0mLの炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に67mg(0.30mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、窒素気流下、80℃で6時間攪拌したところ、固体が析出した。析出した固体を吸引濾過により回収した。回収した固体を約1.5Lの熱したトルエンに溶解し、この溶液をセライト、アルミナ、フロリジールを通して吸引ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た固体をHPLCにより精製して、白色固体を得た。得られた固体を熱したトルエンで洗浄したところ、目的物の白色粉末を1.4g、収率35%で得た。ステップ3の合成スキーム(a−3)を以下に示す。
得られた白色粉末1.4gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力10Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、330℃で2m(DBt2)PDBqを加熱した。昇華精製後、2m(DBt2)PDBqの淡黄色ガラス状固体を1.2g、回収率81%で得た。
得られた物質の1H NMRを測定した。以下に測定データを示す。
1H NMR(CDCl3,500MHz):δ=7.39−7.74(m,2H),7.48(t,J1=7.5Hz,1H),7.55(t,J1=7.5Hz,1H),7.62−7.69(m,5H),7.71−7.81(m,6H),8.10−8.13(m,2H),8.29−8.33(m,3H),8.58(d,J1=8.0Hz,1H),8.61(d,J1=8.0Hz,1H),8.67(t,J1=1.5Hz,1H),8.18(dd,J1=8.0Hz,J2=1.5Hz,1H),9.30(d,J1=8.0Hz,1H),9.36(s,1H)
また、1H−NMRチャートを図14に示す。なお、図14(B)は、図14(A)における7.00ppm乃至9.50ppmの範囲を拡大して表したチャートである。これにより、上述の構造式(100)で表される本発明の一態様の複素環化合物である2m(DBt2)PDBqが得られたことがわかった。
また、2m(DBt2)PDBqを上記と同様にLC/MS分析した。本分析ではアルゴンを衝突させる際のエネルギー(コリジョンエネルギー)は70eVとした。
分析結果を図15に示す。図15の結果から、構造式(100)で表される本発明の一態様である有機化合物、2m(DBt2)PDBqは、主としてm/z=671付近、m/z=442付近、m/z=229付近にプロダクトイオンが検出されることがわかった。
なお、ジベンゾ[f,h]キノキサリンとフェニレン基のC−C結合が切れ、ジベンゾ[f,h]キノキサリン側に電荷が残るため、m/z=229付近は、構造式(100)の化合物のジベンゾ[f,h]キノキサリンとフェニレン基のC−C結合が切れた状態の情報が得られていると推測されるため、有用である。また、m/z=442付近はビジベンゾチオフェン環とベンゼン環を一つ含んだプロダクトイオンと推察でき、本発明の一態様である有機化合物、2m(DBt2)PDBqが、ビジベンゾチオフェン環とベンゼン環を含んでいることを示唆するものである。
また、2m(DBt2)PDBqの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG−DTA2410SA)を用いた。常圧、昇温速度10℃/min、窒素気流下(流速:200mL/min)条件で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)から、2m(DBt2)PDBqの5%重量減少温度は500℃以上であった。このことから、2m(DBt2)PDBqの耐熱性が良好であることが示された。
次に、2m(DBt2)PDBqのトルエン溶液および固体薄膜の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)、発光スペクトルを測定した。固体薄膜は石英基板上に真空蒸着法にて作成した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用いた。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用いた。2m(DBt2)PDBqのトルエン溶液および固体薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図16(A)および(B)に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。
図16(A)より、2m(DBt2)PDBqのトルエン溶液は281nm、362nm、及び375nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは386nm、及び406nmである。
また、図16(B)より2m(DBt2)PDBqの薄膜は252nm、262nm、295nm、340nm、369nm、及び384nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは423nm(励起波長368nm)であった。
また、薄膜状態の2m(DBt2)PDBqのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算した結果、2m(DBt2)PDBqのHOMO準位は−6.37eVであった。図16(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTaucプロットから求めた2m(DBt2)PDBqの吸収端は3.09eVであった。従って、2m(DBt2)PDBqの固体状態の光学的エネルギーギャップは3.09eVと見積もられ、先に得たHOMO準位と、このエネルギーギャップの値から、2m(DBt2)PDBqのLUMO準位が−3.28eVと見積もることができる。このように、2m(DBt2)PDBqは固体状態において3.09eVの広いエネルギーギャップを有していることがわかった。
以上のように、本発明の一態様の有機化合物である2m(DBt2)PDBqは、高い耐熱性を有し、また、広いエネルギーギャップを有する有機化合物であることが分かった。また、上記のように3ステップで合成することができ、簡便に合成することができる有機化合物であることもわかる。
本実施例では、実施の形態1で説明した本発明の一態様の有機化合物である2−[6−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ジベンゾチオフェン−4−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2DBtDBq−02)の合成方法について詳細に説明する。
<ステップ1:4,4’−ビジベンゾチオフェンの合成>
実施例1のステップ1と同様に合成した。
<ステップ2:4,4’−ビジベンゾチオフェン−6−ボロン酸の合成方法>
実施例1のステップ2と同様に合成した。
<ステップ3:2−[6−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ジベンゾチオフェン−4−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2DBtDBq−02)の合成方法>
200mL三口フラスコに1.6g(6.1mmol)の2−クロロジベンゾ[f,h]キノキサリンと、2.5g(6.1mmol)の4,4’−ビジベンゾチオフェン−6−ボロン酸と、0.19g(0.62mmol)のトリス(2−メチルフェニル)ホスフィンを入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、20mLのトルエンと、10mLのエタノールと、6.0mLの炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に70mg(0.31mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、窒素気流下、80℃で6時間攪拌したところ、固体が析出した。析出した固体を吸引濾過により回収した。回収した固体を約6.0Lの熱したトルエンに溶解し、この溶液をセライト、アルミナ、フロリジールを通して吸引ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た固体をHPLCにより精製して、白色固体を得た。得られた固体を熱したトルエンで洗浄したところ、目的物の白色粉末を1.5g、収率41%で得た。ステップ3の合成スキーム(b−3)を以下に示す。
得られた白色粉末1.5gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力10Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、340℃で2DBtDBq−02を加熱した。昇華精製後、2DBtDBq−02の黄色固体を1.3g、回収率87%で得た。
得られた物質の1H NMRを測定した。以下に測定データを示す。
1H NMR(DMSO−d6,500MHz):δ=7.11(t,J1=7.5Hz,1H),7.50(t,J1=7.5Hz,1H),7.58(t,J1=7.5Hz,1H),7.73(t,J1=7.5Hz,1H),7.77−7.87(m,6H),7.90−7.93(m,2H),8.50(d,J1=8.0Hz,1H),8.60(dd,J1=8.0Hz,J2=1.5Hz,2H),8.70(d,J1=6.5Hz,1H),8.73−8.78(m,3H),9.07(d,J1=8.0Hz,1H),9.16(d,J1=8.0Hz,1H),9.92(s,1H)
また、1H−NMRチャートを図17に示す。なお、図17(B)は、図17(A)における7.00ppm乃至10.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。これにより、上述の構造式(118)で表される本発明の一態様の複素環化合物である2DBtDBq−02が得られたことがわかった。
また、2DBtDBq−02を液体クロマトグラフ質量分析(Liquid Chromatography Mass Spectrometry,略称:LC/MS分析)によって分析した。LC/MS分析は、ウォーターズ社製Acquity UPLCおよびウォーターズ社製Xevo G2 Tof MSを用いて行った。
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ionization、略称:ESI)によるイオン化を行った。この時のキャピラリー電圧は3.0kV、サンプルコーン電圧は30Vとし、検出はポジティブモードで行った。さらに、以上の条件でイオン化された成分を衝突室(コリジョンセル)内でアルゴンガスと衝突させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンを衝突させる際のエネルギー(コリジョンエネルギー)は50eVとした。なお、測定する質量範囲はm/z=100乃至1200とした。
測定結果を図18に示す。図18の結果から、構造式(118)で表される本発明の一態様である複素環化合物、2DBtDBq−02は、主としてm/z=595付近、m/z=366付近、m/z=229付近にプロダクトイオンが検出されることがわかった。なお、図18に示す結果は、2DBtDBq−02に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる2DBtDBq−02を同定する上での重要なデータであるといえる。
なお、ジベンゾ[f,h]キノキサリンと4,4’−ビジベンゾチオフェンのC−C結合が切れ、ジベンゾ[f,h]キノキサリン側に電荷が残るため、m/z=229付近は、構造式(118)の化合物のジベンゾ[f,h]キノキサリンとビジベンゾチオフェンのC−C結合が切れた状態の情報が得られていると推測されるため、有用である。また、m/z=366付近はビジベンゾチオフェン環のプロダクトイオンと推察でき、本発明の一態様である複素環化合物、2DBtDBq−02が、ビジベンゾチオフェン環を含んでいることを示唆するものである。
また、2DBtDBq−02の熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG−DTA2410SA)を用いた。常圧、昇温速度10℃/min、窒素気流下(流速:200mL/min)条件で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)から、2DBtDBq−02の5%重量減少温度は488℃、融点は380℃であった。このことから、2DBtDBq−02の耐熱性が良好であることが示された。
次に、2DBtDBq−02のトルエン溶液および固体薄膜の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)、発光スペクトルを測定した。固体薄膜は石英基板上に真空蒸着法にて作成した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用いた。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用いた。得られたトルエン溶液および固体薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図19(A)および(B)に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。
図19(A)より、2DBtDBq−02のトルエン溶液は280nm、307nm、376nm、及び393nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは424nmである。
また、図19(B)より2DBtDBq−02の薄膜は214nm、243nm、258nm、315nm、336nm、386nm、及び403nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは458nm(励起波長358nm)であった。
また、薄膜状態の2DBtDBq−02のイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算した結果、2DBtDBq−02のHOMO準位は−6.05eVであった。図19(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTaucプロットから求めた2DBtDBq−02の吸収端は2.94eVであった。従って、2DBtDBq−02の固体状態の光学的エネルギーギャップは2.94eVと見積もられ、先に得たHOMO準位と、このエネルギーギャップの値から、2DBtDBq−02のLUMO準位が−3.11eVと見積もることができる。このように、2DBtDBq−02は固体状態において2.94eVの広いエネルギーギャップを有していることがわかった。
以上のように、本発明の一態様の有機化合物である2DBtDBq−02は、高い耐熱性を有し、また、広いエネルギーギャップを有する有機化合物であることが分かった。また、上記のように3ステップで合成することができ、簡便に合成することができる有機化合物であることもわかる。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子(発光素子1)及び比較発光素子(比較発光素子1)について説明する。発光素子1及び比較発光素子1において用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
以下に、本実施例の発光素子1及び比較例発光素子1の作製方法を示す。
(発光素子1の作製方法)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。ここで、第1の電極101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
次に、基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、第1の電極101が形成された面が下方となるように、第1の電極101が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により上記構造式(i)で表される4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)、と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層111を形成した。その膜厚は、20nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層111上に、上記構造式(ii)で表される、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層112を形成した。
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(iii)で表される2−{3−[6−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ジベンゾチオフェン−4−イル]フェニル}ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2m(DBt2)PDBq)と上記構造式(iv)で表されるN−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)と、上記構造式(v)で表される(アセチルアセトナト)ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)2(acac)])とを、重量比0.7:0.3:0.05(=2m(DBt2)PDBq:PCBBiF:[Ir(dppm)2(acac)])となるように20nm共蒸着した後、重量比0.8:0.2:0.05(=2m(DBt2)PDBq:PCBBiF:[Ir(dppm)2(acac)])となるように20nm共蒸着して発光層113を形成した。
その後、発光層113上に2m(DBt2)PDBqを膜厚20nmとなるように成膜し、さらに、上記構造式(vi)で表されるバソフェナントロリン(略称:Bphen)を10nmとなるように成膜して電子輸送層114を形成した。
電子輸送層114を形成したら、その後、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように蒸着し、電子注入層115を形成し、最後に、陰極として機能する第2の電極102として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子1を作製した。
(比較発光素子1の作製方法)
比較発光素子1は発光素子1で用いた2m(DBt2)PDBqを上記構造式(x)で表される2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)に換えた他は発光素子1と同様に作製した。
発光素子1及び比較発光素子1を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(具体的に、素子の周囲へのシール材塗布、UV処理、及び80℃にて1時間の熱処理)を行った後、これら発光素子の信頼性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子1及び比較発光素子1の輝度−電流効率特性を図20に、電圧−輝度特性を図21に、電圧−電流特性を図22に、輝度−パワー効率特性を図23に、輝度−外部量子効率特性を図24に、発光スペクトルを図25に示す。
また、初期輝度5000cd/m2とし、電流密度一定の条件における駆動時間に対する輝度の変化を表すグラフを図26に示す。
以上の結果より、発光素子1及び比較発光素子1は共に非常に良好な特性を示すことが分かった。また、発光素子1は、特にキャリア輸送性に優れるため駆動電圧が小さく、結果として非常に良好なパワー効率を示すことが分かった。すなわち本発明の一態様である発光素子1は、従来に比べて、電流効率(外部量子効率)や信頼性を保ちつつ、駆動電圧をさらに低減できる素子であると言える。
また、発光素子1は実施の形態1に示した有機化合物である2m(DBt2)PDBqを用いていることから、耐熱性の良好な発光素子である。
また、2m(DBt2)PDBqは合成ステップが少なく、容易に合成することが可能であることから、発光素子1は比較的安価に製造可能で、生産性に優れることも特徴である。
このように、2m(DBt2)PDBqを用いた本発明の一態様である発光素子1は、良好な特性(特に低駆動電圧、高いパワー効率)を有しつつ、耐熱性や生産性に有利な、非常に優れた発光素子であることがわかった。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子(発光素子2)について説明する。本実施例において用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
以下に、本実施例の発光素子2の作製方法を示す。
(発光素子2の作製方法)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。ここで、第1の電極101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
次に、基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、第1の電極101が形成された面が下方となるように、第1の電極101が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により上記構造式(i)で表される4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)、と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層111を形成した。その膜厚は、20nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層111上に、上記構造式(ii)で表される、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層112を形成した。
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(iii)で表される2−{3−[6−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ジベンゾチオフェン−4−イル]フェニル}ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2m(DBt2)PDBq)と上記構造式(iv)で表されるN−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)と、上記構造式(vii)で表される(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)2(acac)])とを、重量比0.7:0.3:0.05(=2m(DBt2)PDBq:PCBBiF:[Ir(tBuppm)2(acac)])となるように20nm共蒸着した後、重量比0.8:0.2:0.05(=2m(DBt2)PDBq:PCBBiF:[Ir(tBuppm)2(acac)])となるように20nm共蒸着して発光層113を形成した。
その後、発光層113上に2m(DBt2)PDBqを膜厚20nmとなるように成膜し、さらに、上記構造式(viii)で表される2,9−ジ(2−ナフチル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略称:NBphen)を10nmとなるように成膜して電子輸送層114を形成した。
電子輸送層114を形成したら、その後、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように蒸着し、電子注入層115を形成し、最後に、陰極として機能する第2の電極102として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子2を作製した。
発光素子2を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(具体的に、素子の周囲へのシール材塗布、UV処理、及び80℃にて1時間の熱処理)を行った後、これら発光素子の信頼性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子2の輝度−電流効率特性を図27に、電圧−輝度特性を図28に、電圧−電流特性を図29に、輝度−パワー効率特性を図30に、輝度−外部量子効率特性を図31に、発光スペクトルを図32に示す。
以上の結果より、発光素子2は非常に良好な特性を示すことが分かった。
また、発光素子2は実施の形態1に示した有機化合物である2m(DBt2)PDBqを用いていることから、耐熱性の良好な発光素子である。
また、合成ステップが少なく、容易に合成することが可能であることから、比較的安価に製造可能であることも特徴である。
このように、2m(DBt2)PDBqを用いた本発明の一態様である発光素子2は、良好な特性(特に低駆動電圧、高いパワー効率)を有しつつ、耐熱性や生産性に有利な、非常に優れた発光素子であることがわかった。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子(発光素子3)について説明する。本実施例において用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
以下に、本実施例の発光素子3の作製方法を示す。
(発光素子3の作製方法)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。ここで、第1の電極101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
次に、基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、第1の電極101が形成された面が下方となるように、第1の電極101が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により上記構造式(i)で表される4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)、と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層111を形成した。その膜厚は、20nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層111上に、上記構造式(ii)で表される、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層112を形成した。
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(ix)で表される2−[6−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ジベンゾチオフェン−4−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2DBtDBq−02)と上記構造式(iv)で表されるN−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)と、上記構造式(v)で表される(アセチルアセトナト)ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)2(acac)])とを、重量比0.7:0.3:0.05(=2DBtDBq−02:PCBBiF:[Ir(dppm)2(acac)])となるように20nm共蒸着した後、重量比0.8:0.2:0.05(=2DBtDBq−02:PCBBiF:[Ir(dppm)2(acac)])となるように20nm共蒸着して発光層113を形成した。
その後、発光層113上に2DBtDBq−02を膜厚20nmとなるように成膜し、さらに、上記構造式(vi)で表されるバソフェナントロリン(略称:Bphen)を10nmとなるように成膜して電子輸送層114を形成した。
電子輸送層114を形成したら、その後、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように蒸着し、電子注入層115を形成し、最後に、陰極として機能する第2の電極102として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子3を作製した。
発光素子3を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(具体的に、素子の周囲へのシール材塗布、UV処理、及び80℃にて1時間の熱処理)を行った後、これら発光素子の信頼性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子3の輝度−電流効率特性を図33に、電圧−輝度特性を図34に、電圧−電流特性を図35に、輝度−パワー効率特性を図36に、輝度−外部量子効率特性を図37に、発光スペクトルを図38に示す。
以上の結果より、発光素子3は非常に良好な特性を示すことが分かった。
また、発光素子3は実施の形態1に示した有機化合物である2DBtDBq−02を用いていることから、耐熱性の良好な発光素子である。
また、合成ステップが少なく、容易に合成することが可能であることから、比較的安価に製造可能であることも特徴である。
このように、2DBtDBq−02を用いた本発明の一態様である発光素子3は、良好な特性(特に低駆動電圧、高いパワー効率)を有しつつ、耐熱性や生産性に有利な、非常に優れた発光素子であることがわかった。
本実施例では、実施の形態1で説明した本発明の一態様の有機化合物である2−{3−[6−(ジベンゾフラン−4−イル)ジベンゾフラン−4−イル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2m(DBf2)PDBq)の合成方法について詳細に説明する。
<ステップ1:4,4’−ビジベンゾフランの合成>
500mL三口フラスコに6.0g(35mmol)のジベンゾフランを入れ、フラスコ内を窒素置換した。このフラスコに100mLのテトラヒドロフラン(略称:THF)を加えて、この溶液を−80℃に冷却した。この溶液に22mL(35mmol)のn−ブチルリチウム(1.6mol/Lヘキサン溶液)を、シリンジにより滴下して加えた。滴下終了後、溶液を室温まで昇温しながら2時間攪拌した。攪拌後、この溶液を再び−80℃に冷却し、4.8g(36mmol)の塩化銅(II)を加え、室温に戻しながら15時間攪拌した。攪拌後、この溶液に約500mLの水を加えて、1時間攪拌したところ、固体が析出した。析出した固体を吸引濾過により回収した。回収した固体を約200mLの熱したトルエンに加えて攪拌し、この混合物をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855 以下、本実施例中同じ)、アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135 以下、本実施例中同じ)を通して吸引濾過した。得られたろ液を濃縮して得た固体をトルエン/ヘキサンで再結晶したところ、目的物の白色粉末を3.5g、収率60%で得た。ステップ1の合成スキームを(c−1)に示す。
<ステップ2:4−ヨード−6,6’−ビジベンゾフランの合成>
200mLの三口フラスコに3.0g(9.0mmol)の4,4’−ビジベンゾフランを入れ、フラスコ内を窒素置換した。このフラスコに45mLのTHFを加えて、4,4’−ビジベンゾフランを溶解し、−80℃に冷却した。この溶液に5.6mL(9.0mmol)のn−ブチルリチウム(1.6mol/Lヘキサン溶液)を、シリンジにより滴下して加えた。滴下終了後、溶液を室温まで昇温しながら2時間攪拌した。攪拌後、この溶液を再び−80℃に冷却し、この溶液へ20mLのTHFに溶解した2.5g(10mmol)のヨウ素を、滴下ロートを用いて滴下しながら加え、室温に戻しながら18時間攪拌した。攪拌後、この溶液に約10mLの希塩酸(1.0mol/L)を加えて、2時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層を酢酸エチルで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、自然ろ過した。得られたろ液を濃縮したところ、淡褐色固体を得た。得られた固体をHPLCにより精製し、トルエンで洗浄したところ、目的物の白色粉末を2.2g、収率53%で得た。ステップ2の合成スキームを(c−2)に示す。
<ステップ3:2−{3−[6−(ジベンゾフラン−4−イル)ジベンゾフラン−4−イル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2m(DBf2)PDBq)の合成>
200mL三口フラスコに1.4g(3.2mmol)の2−[3−(ジベンゾ[f,h]キノキサリン−2−イル)フェニル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランと、2.2g(4.8mmol)の4−ヨード−6,6’−ビジベンゾフランと、3.0mLの炭酸ナトリウム水溶液(2.0mol/L)を入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、16mLのエチレングリコールジメチルエーテル(略称:DME)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に37mg(0.032mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、窒素気流下、80℃で42時間攪拌したところ、固体が析出した。析出した固体を吸引濾過により回収した。回収した固体を約700mLの熱したトルエンに溶解し、この溶液をセライト、アルミナ、フロリジールを通して吸引ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た油状物を約10mLのトルエンに溶解し、50mLのメタノールを加えて超音波を照射したところ、固体が析出した。得られた固体を吸引濾過により回収したところ、目的物の白色粉末を1.2g、収率61%で得た。ステップ3の合成スキームを(c−3)に示す。
得られた白色粉末1.2gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力10Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、330℃で2m(DBf2)PDBqを加熱した。昇華精製後、2m(DBf2)PDBqの淡黄色ガラス状固体を0.46g、回収率37%で得た。
得られた物質の1H NMRを測定した。以下に測定データを示す。
1H NMR(CDCl3,500MHz):δ=7.12(t,J1=2.5Hz,1H),7.29−7.33(m,2H),7.42(ddd,J1=8.0Hz,J2=8.0Hz,J3=1.0Hz,1H),7.50(d,J1=8.0Hz,1H),7.56−7.67(m,5H),7.78−7.86(m,4H),7.93(dd,J1=7.5Hz,J2=1.0Hz,1H),8.01(dd,J1=7.5Hz,J2=1.0Hz,1H),8.07−8.13(m,3H),8.20(d,J1=8.0Hz,1H),8.58(d,J1=8.0Hz,1H),8.66(d,J1=8.0Hz,1H),8.95(st,J1=1.5Hz,1H),9.22(dd,J1=8.0Hz,J2=1.0Hz,1H),9.25−9.27(m,2H)
また、1H−NMRチャートを図39に示す。なお、図39(B)は、図39(A)における7.00ppm乃至9.50ppmの範囲を拡大して表したチャートである。これにより、上述の構造式(120)で表される本発明の一態様の複素環化合物である2m(DBf2)PDBqが得られたことがわかった。
また、2m(DBf2)PDBqを液体クロマトグラフ質量分析(Liquid Chromatography Mass Spectrometry,略称:LC/MS分析)によって分析した。
LC/MS分析は、ウォーターズ社製Acquity UPLCおよびウォーターズ社製Xevo G2 Tof MSを用いて行った。
MS分析におけるイオン化は、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ionization、略称:ESI)により行った。この時のキャピラリー電圧は3.0kV、サンプルコーン電圧は30Vとし、検出はポジティブモードで行った。さらに、以上の条件でイオン化された成分を衝突室(コリジョンセル)内でアルゴンガスと衝突させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンを衝突させる際のエネルギー(コリジョンエネルギー)は70eVとした。なお、測定する質量範囲はm/z=100乃至1200とした。
測定結果を図40に示す。図40の結果から、構造式(120)で表される本発明の一態様である複素環化合物、2m(DBf2)PDBqは、主としてm/z=639付近、m/z=410付近、m/z=229付近にプロダクトイオンが検出されることがわかった。なお、図40に示す結果は、2m(DBf2)PDBqに由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる2m(DBf2)PDBqを同定する上での重要なデータであるといえる。
なお、ジベンゾ[f,h]キノキサリンとフェニレン基のC−C結合が切れ、ジベンゾ[f,h]キノキサリン側に電荷が残るため、m/z=229付近は、構造式(120)の化合物のジベンゾ[f,h]キノキサリンとフェニレン基のC−C結合が切れた状態の情報が得られていると推測されるため、有用である。また、m/z=410付近はビジベンゾフラン環とベンゼン環を一つ含んだプロダクトイオンと推察でき、本発明の一態様である複素環化合物、2m(DBf2)PDBqが、ビジベンゾフラン環とベンゼン環を含んでいることを示唆するものである。
また、2m(DBf2)PDBqの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG−DTA2410SA)を用いた。常圧、昇温速度10℃/min、窒素気流下(流速:200mL/min)条件で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)から、2m(DBf2)PDBqの5%重量減少温度は480℃であった。このことから、2m(DBf2)PDBqの耐熱性が良好であることが示された。
次に、2m(DBf2)PDBqのトルエン溶液および固体薄膜の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)、発光スペクトルを測定した。固体薄膜は石英基板上に真空蒸着法にて作成した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用いた。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用いた。得られたトルエン溶液および固体薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図41(A)および(B)に示す。
図41(A)より、2m(DBf2)PDBqのトルエン溶液は282nm、362nm、及び375nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは386nm、及び405nmである。
また、図41(B)より2m(DBf2)PDBqの薄膜は208nm、253nm、273nm、303nm、330nm、368nm、及び383nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは386nm(励起波長374nm)であった。
また、薄膜状態の2m(DBf2)PDBqのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算した結果、2m(DBf2)PDBqのHOMO準位は−6.30eVであった。図41(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTaucプロットから求めた2m(DBf2)PDBqの吸収端は3.11eVであった。従って、2m(DBf2)PDBqの固体状態の光学的エネルギーギャップは3.11eVと見積もられ、先に得たHOMO準位と、このエネルギーギャップの値から、2m(DBf2)PDBqのLUMO準位が−3.19eVと見積もることができる。このように、2m(DBf2)PDBqは固体状態において3.09eVの広いエネルギーギャップを有していることがわかった。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子(発光素子4及び発光素子5)について説明する。発光素子4及び発光素子5において用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
以下に、本実施例の発光素子4及び発光素子5の作製方法を示す。
(発光素子4の作製方法)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。ここで、第1の電極101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
次に、基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、第1の電極101が形成された面が下方となるように、第1の電極101が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により上記構造式(i)で表される4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)、と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層111を形成した。その膜厚は、20nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層111上に、上記構造式(ii)で表される、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層112を形成した。
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(xi)で表される2−{3−[6−(ジベンゾフラン−4−イル)ジベンゾフラン−4−イル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2m(DBf2)PDBq)と上記構造式(iv)で表されるN−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)と、上記構造式(v)で表される(アセチルアセトナト)ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)2(acac)])とを、重量比0.7:0.3:0.05(=2m(DBf2)PDBq:PCBBiF:[Ir(dppm)2(acac)])となるように20nm共蒸着した後、重量比0.8:0.2:0.05(=2m(DBf2)PDBq:PCBBiF:[Ir(dppm)2(acac)])となるように20nm共蒸着して発光層113を形成した。
その後、発光層113上に2m(DBf2)PDBqを膜厚20nmとなるように成膜し、さらに、上記構造式(vi)で表されるバソフェナントロリン(略称:Bphen)を10nmとなるように成膜して電子輸送層114を形成した。
電子輸送層114を形成したら、その後、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように蒸着し、電子注入層115を形成し、最後に、陰極として機能する第2の電極102として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子4を作製した。
(発光素子5の作製方法)
発光素子5は発光素子4で用いた[Ir(dppm)2(acac)]を上記構造式(vii)で表される(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)2(acac)])に替えた他は発光素子4と同様に作製した。
発光素子4及び発光素子5が大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(具体的には、素子の周囲へのシール材塗布、UV処理、及び80℃にて1時間の熱処理)を、窒素雰囲気のグローブボックス内において行った後、これら発光素子の信頼性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子4及び発光素子5の輝度−電流効率特性を図42に、電圧−輝度特性を図43に、電圧−電流特性を図44に、輝度−パワー効率特性を図45に、輝度−外部量子効率特性を図46に、発光スペクトルを図47に示す。
以上の結果より、発光素子4及び発光素子5は共に非常に良好な特性を示すことが分かった。すなわち本発明の一態様である発光素子4及び発光素子5は、従来に比べて、効率(電流効率や外部量子効率)、信頼性を保ちつつ、駆動電圧をさらに低減できる素子であると言える。
また、発光素子4及び発光素子5は実施の形態1に示した有機化合物である2m(DBf2)PDBqを用いていることから、耐熱性の良好な発光素子である。
また、2m(DBf2)PDBqは合成ステップが少なく、容易に合成することが可能であることから、発光素子4及び発光素子5は比較的安価に製造可能で、生産性に優れることも特徴である。
このように、2m(DBf2)PDBqを用いた本発明の一態様である発光素子4及び発光素子5は、良好な特性(特に低駆動電圧、高いパワー効率)を有しつつ、耐熱性や生産性に有利な、非常に優れた発光素子であることがわかった。