JP6354451B2 - ボールエンドミル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、切刃を挟んで形成されるすくい面と逃げ面とが、稜線を形成することなく滑らかに連続して形成されたボールエンドミルが提案されており、ボールエンドミルを製作加工する際の研削加工が容易で、円弧状の切刃に不連続点が生じることがないので、切刃強度を高くできることが記載されている。なお、特許文献2ではエンドミルの具体的な刃径などは記載されていない。
この点、本発明のボールエンドミルにおいては、逃げ面の逃げ角を軸線側から外周側にかけて変化させることで、切刃の軸線側から外周側にかけて切削条件に適応した逃げ面を形成することができ、各々の位置で必要な刃先強度を確保することができる。
また、切刃に沿ってマージンを設けることで、逃げ面を容易に加工することができ、先に形成した切刃に影響が生じることを回避できる。また、この切刃に沿って設けられたマージンは、切刃の補強の面でも有利に働く。
したがって、工具自体の耐欠損性及び耐摩耗性を向上させることができ、結果的に被加工物の仕上げ加工精度の向上を図ることができる。
また、切刃に接続されるマージンは、被加工物の仕上げ面の面粗さに影響を与えることから、面粗さRz(最大高さ)を0.1μm以下の滑らかな面で形成することが望ましい。なお、マージンを滑らかな面で形成することで、切刃を鋭利な稜線を持って形成することができ、切削性の高い切刃を構成することができる。
一方、逃げ面の面粗さRzを、マージンの面粗さよりも大きく、かつ1μm以下の面粗さで形成しているので、被加工物の切屑との接触を小さくするとともに、切削油を保持することができる。また、逃げ面の表面積の増加により、放熱が促進されるので、工具寿命の向上を図ることができる。なお、逃げ面の面粗さを1μm以上に大きくした場合、応力集中を招き易くなり、切削条件によっては欠損が生じ易くなる。
ボールエンドミルの回転速度と送り速度との関係をみると、回転速度(角速度)が一定の場合、送り速度が速くなるほど、被加工物と逃げ面との接触を回避するために、逃げ面の逃げ角を大きく設定する必要がある。また、ボールエンドミルの軸線側と外周側とでは、軸線側よりも外周側の方が、周速が速くなっている。このため、一般的なボールエンドミルでは、最外周での被加工物の切削深さに合わせて逃げ角の大きさが設定される。
この点、エンドミルの軸線側よりも外周側の逃げ角を大きく設定すること、言い換えれば、外周側よりも軸線側の逃げ角を小さく設定することで、工具の軸線側を厚く形成することができる。したがって、耐欠損性をより一層向上させることができる。
このように、上記手順でレーザ加工を行うことにより、cBN焼結体又はダイヤモンド焼結体のような脆性材料であっても、小径化されたエンドミルを高精度に加工することができるので、被加工物の仕上げ加工精度の向上を図ることができる。
本実施形態のボールエンドミル1は、図3に示すように、軸線D回りに回転される工具先端部2を有し、その工具先端部2に、図1に示すように一対の切刃11が軸線Dを挟んで180°反対側に形成された2枚刃のボールエンドミルであり、工具先端部2の外径φが0.1mm以上6.0mm以下とされる小径のエンドミルである。
ボールエンドミル1は、図3に示すように円柱状のシャンク部3が設けられ、このシャンク部3の先端部が小径に形成され、その小径の首部4の先端に略円柱状のチップ部5が接合された構成とされる。チップ部5は、首部4に接合される超硬合金部6と、その超硬合金部6に接続され、切刃11が形成されるcBN焼結体又はダイヤモンド焼結体からなる工具先端部2とで構成される。そして、工具先端部2は、略円柱状に形成され、その先端側が略半球状の先端ボール形状に形成されている。
なお、ここでいうランドとは、切刃11から第二逃げ面16と第三逃げ面17との交線までの幅をもった部分とされる。
また、第二逃げ面16には、図4に示すように、パルスレーザにて一定の条件下で加工を行った際に生じる、パルス痕の連なりが溝形状に存在するガイド溝51が設けられ、このガイド溝51は、第二逃げ面16の傾斜方向(図4において矢印で示す方向)に沿って延びて互いに略平行に並んで形成されている。さらに、これら隣接するガイド溝51間には、ガイド溝51と交差する方向に延在する多数の微細溝が形成されており、これらガイド溝51及び微細溝によって、第二逃げ面16の表面には網目状の微細凹凸が形成され、上記の面粗さRzの表面に設けられている。
この製造方法に用いられるレーザ加工装置100は、図5に示すように、cBN焼結体又はダイヤモンド焼結体からなる円柱状素材20にレーザビームLを照射して工具先端部2全体を三次元加工する装置である。このレーザ加工装置100は、レーザビームLをパルス発振して円柱状素材20に一定の繰り返し周波数で照射しながら走査するレーザ光照射機構22と、円柱状素材20を保持した状態で回転、旋回及びxyz軸方向にそれぞれ移動可能な素材保持機構24と、これらを制御する制御部25とを備えている。
レーザ光源26は、190nm〜550nmの短波長のレーザ光を照射できる光源を使用することができ、例えば本実施形態では、UV‐YAGレーザ(3倍波:波長355nm、加工位置出力:5W、60kHz)のレーザ光を発振して出射できるものを用いている。また、ガルバノスキャナ27は、素材保持機構24の真上に配置されており、レーザビームLは鉛直方向(z軸方向)から照射されるようになっている。
まず、円柱状素材20にギャッシュ及びすくい面14を形成するギャッシュ加工工程を実行する。ギャッシュ加工工程は、図6(a)に示すように、円柱状素材20を移動しながらレーザビームLを走査して行う。
この際、円柱状素材20を軸線D回りに回転させた状態で、レーザビームLを照射することとしているので、回転する円柱状素材20の外周面には、レーザビームLがランダムに照射されることとなる。したがって、円柱状素材20の外周面の面粗さRz(最大高さ)を0.1μm以下の滑らかな面で形成することができ、切刃11を鋭利な稜線を持って形成することができるので、切削性の高い切刃を構成することができる。
このように、マージン15は、切刃加工工程において加工された円柱状素材20の外周面の一部が、そのまま残されて形成されたものであるから、面粗さRzが0.1μm以下の滑らかな面とされる。一方、第二逃げ面16は、ガイド溝51及び微細溝によって網目状の微細凹凸が形成され、マージン15の面粗さRzの大きさを超えて1μm以下の面粗さに設けられる。
形成される第二逃げ面16は、図2に示すように、3°〜20°で傾斜した逃げ角θとされており、レーザビームLは、図6(c)に二点鎖線で示すように、形成される第二逃げ面16の形状に沿って軸線D側から外周側に向かって円柱状素材20の表面上を走査される。ところが、レーザビームLの径方向の断面の光強度分布は、図7にハッチングで示したように、ビーム中心L0で大きく、外周部で小さいガウシアン分布となっている。このため、切削面がレーザビームLの照射方向に対してわずかに傾斜して形成される。そこで、レーザビームLは、ガウシアン分布を考慮して、第二逃げ面16に対してビーム中心L0をわずかに傾斜させた状態で、円柱状素材20上に照射されるようになっている。具体的には、レーザビームLの照射角度は、円柱状素材20の軸線D回りの回動角度(回転機構33の回動角度)と旋回機構32の旋回角度とが組み合わされて調整され、その照射角度とレーザビームLの切削角度(レーザビームLの光強度)との組み合わせを調整することにより、第二逃げ面16の傾斜角度を任意に調整することができる。
この点、本実施形態のボールエンドミルの製造方法によれば、円柱状素材20の向きとレーザビームLの照射角度とを変更することにより、第二逃げ面16の逃げ角θを軸線D側から外周側にかけて小さく変化させることも可能であり、切刃11の軸線D側から外周側にかけて、ボールエンドミルの直径(刃径φ)、被加工物の種類、回転速度及び送り速度等の切削条件に適応した逃げ面を形成することができる。したがって、各々の位置で必要な刃先強度を確保することができる。
このように、上記手順でレーザ加工を行うことにより、cBN焼結体又はダイヤモンド焼結体のような脆性材料であっても、小径化されたエンドミルを高精度に加工することができるので、被加工物の仕上げ加工精度の向上を図ることができる。
また、本発明のボールエンドミル1においては、第二逃げ面16の逃げ角θを軸線D側から外周側にかけて変化させることで、切刃11の軸線D側から外周側にかけて切削条件に適応した第二逃げ面16を形成することができ、各々の位置で必要な刃先強度を確保することができる。
この点、上記実施形態のボールエンドミル1では、エンドミルの軸線D側よりも外周側の逃げ角θを大きく設定すること、言い換えれば、外周側よりも軸線D側の逃げ角θを小さく設定することで、工具の軸線D側を厚く形成できる。したがって、耐欠損性を向上させることができる。
したがって、工具自体の耐欠損性及び耐摩耗性を向上させることができ、結果的に被加工物の仕上げ加工精度の向上を図ることができる。
このように、ボールエンドミル1の回転時の切刃11が下向き削りとなる場合を考慮した場合には、第二逃げ面16の一部を切刃11としても使用可能なように、軸線D側の逃げ角θを大きく、外周側の逃げ角θを小さくすることが望ましい。この点においても、本実施形態のボールエンドミルの製造方法によれば、円柱状素材20の向きとレーザビームLの照射角度とを変更することにより、第二逃げ面16の逃げ角θを軸線D側から外周側にかけて小さく形成することが可能である。
一方、第二逃げ面16の面粗さRzは、マージン15の面粗さよりも大きく、かつ1μm以下の面粗さで形成しているので、被加工物の切屑との接触を小さくするとともに、切削油を保持することができる。また、第二逃げ面16の表面積の増加により、放熱が促進されるので、工具寿命の向上を図ることができる。なお、第二逃げ面16の面粗さRzを1μm以上に大きくした場合、応力集中を招き易くなり、切削条件によっては欠損が生じ易くなる。
ボールエンドミルの各試料の形状は、表1に示す条件により形成した。具体的には、実施例1及び比較例1は工具先端部(外周刃)の外径φを0.4mm、実施例2及び比較例2は外径φを2mmとして作製したものである。また、実施例1及び実施例2は、マージンに接続される第二逃げ面の逃げ角θを、軸線側で10°、外周側で20°とし、軸線側から外周側にかけて10°〜20°の範囲で連続的に変化させて形成したものである。一方、比較例1及び比較例2は、第二逃げ面の逃げ角θを実施例1及び実施例2の逃げ角θの最大角度(20°)とし、軸線側から外周側にかけて変化させることなく一定角度で形成したものである。なお、表1の外径φ、曲率半径Rは、図1に示すとおり、切刃に関する部位の寸法値である。そして、各試料は、それぞれ10個ずつ(N=10)製作した。
また、実施例1及び実施例2は、上記実施形態で説明したように、レーザ加工により作製し、比較例1及び比較例2は、研削加工により作製した。
そして、この表1の各試料の結果に示されるように、逃げ角θを軸線側から外周側にかけて変化させることで、欠損が生じるまでの切削長を長くすることができ、ボールエンドミルの耐欠損性を向上させることができる。
2 工具先端部
3 シャンク部
4 首部
5 チップ部
6 超硬合金部
11 切刃
12 外周刃
13 底刃
14 すくい面
15 マージン
16 第二逃げ面
17 第三逃げ面
18 第四逃げ面
20 円柱状素材
22 レーザ光照射機構
24 素材保持機構
25 制御部
26 レーザ光源
27 ガルバノスキャナ
31x x軸ステージ部
31y y軸ステージ部
31z z軸ステージ部
32 旋回機構
33 回転機構
51 ガイド溝
100 レーザ加工装置
Claims (3)
- cBN焼結体又はダイヤモンド焼結体からなり軸線回りに回転される直径が0.1mm以上6.0mm以下の工具先端部に、該工具先端部の外周に配置される外周刃と、該工具先端部の先端に配置される円弧状の底刃とからなる少なくとも一対の切刃を備え、
前記切刃に該切刃を前記軸線回りに回転させた面形状を有し、ランド上で前記切刃に連なり逃げ角の付いていない部分であるマージンが接続され、前記マージンに逃げ面が接続されており、
前記逃げ面の逃げ角が、前記軸線側から外周側にかけて連続的に変化して設けられ、
前記マージンの面粗さRzが0.1μm以下とされ、前記逃げ面の面粗さRzが前記マージンの面粗さの大きさを超えて1μm以下に設けられていることを特徴とするボールエンドミル。 - 前記逃げ角は、前記軸線側から外周側にかけて大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載のボールエンドミル。
- cBN焼結体又はダイヤモンド焼結体からなる円柱状素材にレーザビームを照射して上記ボールエンドミルを製造する方法であって、
前記円柱状素材にギャッシュ及びすくい面を形成するギャッシュ加工工程と、
前記ギャッシュ加工工程後の前記円柱状素材に先端ボール状の外周面を形成して外周刃及び底刃からなる切刃を形成する切刃加工工程と、
前記切刃と間隔をあけてマージンを残して逃げ面を形成する逃げ面加工工程とを備え、
前記切刃加工工程は、前記円柱状素材を前記軸線回りに回転させた状態で、前記レーザビームの照射位置を前記切刃となる切刃形状に沿って円弧状に移動させて行うことを特徴とするボールエンドミルの製造方法。
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