以下、本発明の一実施形態にかかる回転角検出装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる回転角検出装置は、第1加速度センサが、回転軸に取り付けたクランクまたはクランクと連動して回転する部材に、回転軸から第1距離離れた位置に配置され、クランクの長手方向と平行な方向の加速度である第1加速度を検出し、第2加速度センサが、クランクまたはクランクと連動して回転する部材に、回転軸から第2距離離れた位置に配置され、クランクの長手方向と平行な方向の加速度である第2加速度を検出する。そして、出力部が、第1加速度と、第2加速度と、第1距離と、第2距離と、に基づいて、クランクの回転角に関する情報を出力する。このようにすることにより、加速度センサのクランクの長手方向(検出軸方向)の重力加速度成分を算出することができる。そして、その重力加速度成分に基づいてクランクの回転角度に関する情報(例えば、角度自体に限らず余弦値や正弦値など)を算出することで、クランクの回転角を検出することができる。したがって、磁石を用いないので、低コスト化が図れ、ごみや砂鉄などの影響を受けないことから、耐久性を向上させることができる。また、角速度センサを利用しないので、低消費電力化を図ることもできる。
また、第1の距離と前記第2の距離とは異なる距離であってもよい。このようにすることにより、片側のクランクに第1加速度センサと第2加速度センサとを配置してクランクの回転角度に関する情報を出力することができる。
また、出力部が、第2距離と第1加速度とを乗じた値と第1距離と第2加速度とを乗じた値との差分に基づいて余弦値を算出し、そして、余弦値に基づいてクランクの回転角に関する情報を出力してもよい。このようにすることにより、遠心力の加速度は回転軸の中心からの距離に比例するので、2つの加速度に基づいて加速度センサに加わる遠心力の加速度をキャンセルしてクランクの長手方向(検出軸方向)の重力加速度成分を算出することができる。
また、予め所定の回転角と余弦値との対応関係が設定されているテーブル部を有し、出力部が、算出された余弦値およびテーブル部に基づいてクランクの回転角に関する情報を出力してもよい。このようにすることにより、余弦値から角度を計算で求める必要が無くなり、三角関数などの複雑な処理を行うことなくクランクの回転角に関する情報を出力することができる。
また、クランクの1回転を鉛直方向で2等分した半回転のうちいずれの区間にクランクが位置しているかを検出するクランク位置検出部を有し、出力部は、当該クランク位置検出部の検出結果と余弦値とに基づいてクランクの回転角に関する情報を出力するようにしてもよい。このようにすることにより、余弦値が180°周期で変化する場合、0°≦θ<180°の範囲と180°≦θ<360°の範囲とを識別することができる。
また、過去に算出された余弦値を少なくとも1以上記憶する余弦値記憶部を有し、クランク位置検出部は、余弦値記憶部に記憶されている余弦値と今回算出された余弦値とに基づいて、クランクの1回転を鉛直方向で2等分した半回転のうちいずれの区間にクランクが位置しているか検出してもよい。このようにすることにより、算出された余弦値が増加傾向か減少傾向かを判定することで、0°≦θ<180°の範囲と180°≦θ<360°の範囲とを識別することができる。
また、クランクの1回転を鉛直方向で2等分した半回転のうちいずれの区間にクランクが位置しているかに応じて2値が交互に変化する情報を保持する保持部を有し、クランク位置検出部は、余弦値に基づいて、保持部に保持されている情報を変化させてもよい。このようにすることにより、保持部に保持されている情報を余弦値に応じてトグルすることができる。例えば、余弦値が “1”の場合と“−1”の場合とで保持部に保持されている情報をトグルさせることで、0°≦θ<180°の範囲と180°≦θ<360°の範囲とを識別することができる。
また、クランクの短手方向と平行な方向の加速度である第3加速度を検出する第3加速度センサを有し、クランク位置検出部は、第3加速度に基づいてクランクの1回転を鉛直方向で2等分した半回転のうちいずれの区間にクランクが位置しているかを検出してもよい。このようにすることにより、第3加速度の値によって0°≦θ<180°の範囲と180°≦θ<360°の範囲とを識別することができる。したがって、保持部や記憶部などの記憶手段等を必要としない。また、2軸の加速度センサを用いれば部品点数も増加しない。
また、第1加速度および第2加速度、または、余弦値のうちいずれか一方にフィルタ処理を施すフィルタ部と、フィルタ処理が施された後に角度補正処理を施す遅延角度補正部と、を有してもよい。このようにすることにより、振動などにより重力加速度やクランクに加わる遠心力の加速度以外の加速度成分を取り除くことができ、クランクの回転角に関する情報の精度を良くすることができる。また、遅延角度補正部によって、フィルタ処理によって発生する遅延を補正することができる。
また、本発明の一実施形態にかかる回転角検出方法は、第1加速度取得工程で、回転軸に取り付けたクランクまたはクランクと連動して回転する部材に、回転軸から第1距離離れた位置に配置された第1加速度センサから、クランクの長手方向と平行な方向の加速度である第1加速度を取得し、第2加速度取得部で、クランクまたはクランクと連動して回転する部材に、回転軸から第2距離離れた位置に配置された第2加速度センサから、クランクの長手方向と平行な方向の加速度である第2加速度を検出する。そして、出力工程で、第1加速度と、第2加速度と、第1距離と、第2距離と、に基づいて、クランクの回転角に関する情報を出力する。このようにすることにより、加速度センサのクランクの長手方向(検出軸方向)の重力加速度成分を算出することができる。そして、その重力加速度成分に基づいてクランクの回転角度に関する情報(例えば、角度自体に限らず余弦値や正弦値など)を算出することで、クランクの回転角を検出することができる。したがって、磁石を用いないので、低コスト化が図れ、ごみや砂鉄などの影響を受けないことから、耐久性を向上させることができる。また、角速度センサを利用しないので、低消費電力化を図ることもできる。
また、上述した回転角検出方法をコンピュータにより実行させる回転角検出プログラムとしてもよい。このようにすることにより、コンピュータを用いて、加速度センサのクランクの長手方向(検出軸方向)の重力加速度成分を算出することができる。そして、その重力加速度成分に基づいてクランクの回転角度に関する情報(例えば、角度自体に限らず余弦値や正弦値など)を算出することで、クランクの回転角を検出することができる。したがって、磁石を用いないので、低コスト化が図れ、ごみや砂鉄などの影響を受けないことから、耐久性を向上させることができる。また、角速度センサを利用しないので、低消費電力化を図ることもできる。
また、上述した回転角検出プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このようにすることにより、当該プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
本発明の第1の実施例にかかる回転角検出装置を有するサイクルコンピュータ201を備えた自転車1を図1乃至図11を参照して説明する。自転車1は図1に示すように、フレーム3と、フロント車輪5と、リア車輪7と、ハンドル9と、サドル11と、フロントフォーク13と、駆動機構101と、を有している。
フレーム3は、2つのトラス構造から構成されている。フレーム3は、後方の先端部分において、リア車輪7と回転自在に接続されている。また、フレーム3の前方において、フロントフォーク13が回転自在に接続されている。
フロントフォーク13は、ハンドル9と接続されている。フロントフォーク13の下方向の先端位置において、フロントフォーク13とフロント車輪5とは回転自在に接続されている。
フロント車輪5は、ハブ部、スポーク部及びタイヤ部を有している。ハブ部はフロントフォーク13と回転自在に接続されている。そして、このハブ部とタイヤ部はスポーク部によって接続されている。
リア車輪7は、ハブ部、スポーク部及びタイヤ部を有している。ハブ部はフレーム3と回転自在に接続されている。そして、このハブ部とタイヤ部はスポーク部によって接続されている。リア車輪7のハブ部は、後述するスプロケット113と接続されている。
自転車1は、ユーザ(運転者)の足による踏み込み力(踏力)を自転車1の駆動力に変換する駆動機構101を有している。駆動機構101は、ペダル103、クランク機構104、チェーンリング109、チェーン111、スプロケット113と、を有している。
ペダル103は、ユーザが踏み込むための足と接する部分である。ペダル103は、クランク機構104のペダルクランク軸115によって回転自在となるように支持されている。
クランク機構104は、クランク105とクランク軸107及びペダルクランク軸115(図2、図4および図8参照)から構成されている。
クランク軸107はフレーム3を左右方向に(自転車側面の一方から他方に)貫通している。クランク軸107は、フレーム3によって回転自在に支持されている。即ち、クランク105の回転軸となる。
クランク105は、クランク軸107と直角に設けられている。クランク105は、一端部において、クランク軸107と接続されている。
ペダルクランク軸115は、クランク105と直角に設けられている。ペダルクランク軸115の軸方向は、クランク軸107と同一方向となっている。ペダルクランク軸115は、クランク105の他端部においてクランク105と接続されている。
クランク機構104は、このような構造を自転車1の側面の反対側にも有している。つまり、クランク機構104は、2個のクランク105及び、2個のペダルクランク軸115を有している。したがって、ペダル103も自転車1の両側面にそれぞれ有している。
これらが自転車1の右側にあるか左側にあるかを区別する場合には、それぞれ右側クランク105R、左側クランク105L、右側ペダルクランク軸115R、左側ペダルクランク軸115L、右側ペダル103R、左側ペダル103Lと記載する。
また右側クランク105Rと左側クランク105Lは、クランク軸107を中心として反対方向に延びるように接続されている。右側ペダルクランク軸115R、クランク軸107および左側ペダルクランク軸115Lは、平行かつ同一平面に形成されている。右側クランク105R及び左側クランク105Lは、平行かつ同一平面上に形成されている。
チェーンリング109は、クランク軸107に接続されている。チェーンリング109は、ギア比を変化させることができる可変ギアで構成されると好適である。また、チェーンリング109にはチェーン111が係合されている。
チェーン111はチェーンリング109及びスプロケット113に係合している。スプロケット113は、リア車輪7と接続されている。スプロケット113は、可変ギアで構成されると好適である。
自転車1は、このような駆動機構101によってユーザの踏み込み力をリア車輪の回転力に変換している。
自転車1は、サイクルコンピュータ201と、測定モジュール301と、ケイデンスセンサ501と、を有している(図2も参照)。
サイクルコンピュータ201は、ハンドル9に配置されている。サイクルコンピュータ201は、図2に示すように、各種情報を表示するサイクルコンピュータ表示部203およびユーザの操作を受けるサイクルコンピュータ操作部205を有している。
サイクルコンピュータ表示部203に表示される各種情報とは、自転車1の速度、位置情報、目的地までの距離、目的地までの予測到達時間、出発してからの移動距離、出発してからの経過時間、クランク105の角度ごとの推進力や損失力、効率等である。
ここで、推進力とはクランク105の回転方向に加わる力の大きさである。一方、損失力とは、クランク105の回転方向とは別の方向に加わる力の大きさである。この回転方向とは別の方向に加わる力は、何ら自転車1の駆動に寄与しない無駄な力である。したがって、ユーザは、推進力をできるだけ増加させ、損失力をできるだけ減少させることによって、より効率的に自転車1を駆動させることが可能となる。即ち、これらの力は、クランク105の回転時に当該クランク105に加えられる負荷である。
サイクルコンピュータ操作部205は、図2では押しボタンで示されているが、それに限らず、タッチパネルなど各種入力手段や複数の入力手段を組み合わせて用いることができる。
また、サイクルコンピュータ201は、サイクルコンピュータケイデンス無線受信部207及びサイクルコンピュータ無線受信部209を有している。サイクルコンピュータケイデンス無線受信部207及びサイクルコンピュータ無線受信部209は、配線を介してサイクルコンピュータ201の本体部分と接続されている。なお、サイクルコンピュータケイデンス無線受信部207及びサイクルコンピュータ無線受信部209は、受信のみの機能を有する必要はない。例えば、送信部としての機能を有していても良い。以下、送信部又は受信部と記載した装置も、受信機能及び送信機能の両方を有していても良い。
ケイデンスセンサ501は、クランク105に設けられた磁石503の接近を検出する磁気センサ505を有している(図3参照)。磁気センサ505は、接近する磁石503によってONになることで、磁石503の位置を検出する。つまり、磁気センサ505がONになるということは、磁気センサ505が存在する位置にクランク105も存在することとなる。このケイデンスセンサ501から、サイクルコンピュータ201は、ケイデンス[rpm]を得ることができる。
測定モジュール301は、例えばクランク105の内面に設けられ、複数のひずみゲージ素子から構成されるひずみゲージ369(図3及び図8参照)を用いて、ペダル103にユーザが加えている人力(踏力)を検出する。具体的には、クランク105の回転力であって自転車1の駆動力となる推進力と、回転方向とは別の方向に加わる力である損失力を算出する。また、測定モジュール301は、後述する加速度センサ371を用いて、クランク105の回転角も検出する。
図3は、サイクルコンピュータ201、測定モジュール301及びケイデンスセンサ501のブロック図である。
まず、ケイデンスセンサ501のブロック構成を説明する。ケイデンスセンサ501は、磁気センサ505、ケイデンスセンサ無線送信部507、ケイデンスセンサ制御部551を有している。
磁気センサ505は、磁石503が接近することによってON/OFFが切り替わる。そして、磁気センサ505がONとなると、磁気センサ505はその旨の情報信号をケイデンスセンサ制御部551に出力する。
ケイデンスセンサ無線送信部507は、ケイデンスセンサ制御部が算出したケイデンス情報を、サイクルコンピュータケイデンス無線受信部207に送信している。このケイデンスセンサ無線送信部507による送信は、例えば図示しないタイマ等によって所定の間隔ごとに行われている。
ケイデンスセンサ制御部551は、ケイデンスセンサ501を包括的に制御している。ケイデンスセンサ制御部551は、磁気センサ505がONとなった旨の情報信号の出力を受けると、以下の動作を行う。ケイデンスセンサ制御部551は、自身の持つカウンタの値を参照する。そして、そのカウンタ値からケイデンスを算出する。具体的には、カウンタのカウント数(C)と1度のカウント間隔(T)を掛け合わせることによって、磁気センサ505がONとなる時間(周期)[秒]を算出する。そして、60をこの周期で割ることによって、ケイデンス[rpm]を算出する。なお、カウンタは外部にタイマ等として持っていてもよい。
さらに、ケイデンスセンサ制御部551は、このケイデンス情報を図示しないメモリに記憶させる。そして、ケイデンス情報を送信するタイミングで、メモリに記憶したケイデンス情報を読み出してケイデンスセンサ無線送信部507に送信させる。
次に、測定モジュール301のブロック構成を説明する。測定モジュール301は、図3に示したように、測定モジュール無線送信部309、測定モジュール制御部351、測定モジュール記憶部353、パワーセンサ368及び加速度センサ371を有している。
測定モジュール無線送信部309は、測定モジュール制御部351がひずみ情報から算出した推進力及び損失力情報や、加速度センサ371の出力情報から算出したクランク105の回転角情報等を、サイクルコンピュータ無線受信部209に送信している。
測定モジュール制御部351は、測定モジュール301を包括的に制御している。測定モジュール制御部351は、推進力演算部351aと、回転角推定部351bと、クランク前後判定部351cと、送信データ作成部351dと、を有している。
推進力演算部351aは、パワーセンサ368が出力するひずみ情報から推進力及び損失力を算出する。推進力及び損失力の算出方法は後述する。
回転角推定部351bは、加速度センサ371の出力情報から算出したクランク105の回転角を算出(推定)し、ひずみ情報を取得するタイミング等を制御している。クランク105の回転角の算出方法は後述する。
クランク前後判定部351cは、クランク105の位置がクランク105の回転方向の前側(例えば0°≦θ<180°)か後側(例えば180°≦θ<360°)かを判定する。判定方法は後述する。本実施例では、クランク105の先端が真上を向いたときを基準角度0°(360°)とし、クランク105の先端が真下を向いたときを180°とする。即ち、クランク前後判定部351cは、クランク105の1回転を鉛直方向で2等分した半回転のうちいずれの区間にクランク105が位置しているかを検出するクランク位置検出部として機能する。また、回転方向が右回りに角度が増加するようにするか、左回りに角度が増加するようにするかは、適宜定めればよい。要するにクランク105の位置が一意に定まればよい。
送信データ作成部351dは、推進力演算部351aで算出された推進力及び損失力や回転角推定部351bで算出されたクランク105の回転角から送信データを作成して、測定モジュール無線送信部309に出力する。
測定モジュール記憶部353には、各種情報が記憶される。各種情報とは、例えば、測定モジュール制御部351の制御プログラム、及び、測定モジュール制御部351が制御を行う際に必要とされる一時的な情報である。測定モジュール記憶部353は、前記した情報の他に、余弦値保管部355及び余弦テーブル部357も記憶されている。
余弦値保管部355は、例えばRAM(Random Access Memory)で構成され、クランク前後判定部351cでクランク105の位置を判定する際に用いる過去の算出された余弦値を保管する。即ち、余弦値保管部355は、過去に算出された余弦値を少なくとも1以上記憶する余弦値記憶部として機能する。
余弦テーブル部357は、例えばROM(Read Only Memory)で構成され、回転角と余弦値cosθとの対応テーブルが記憶される。即ち、余弦テーブル部357が、予め所定の回転角における余弦値との対応関係が設定されているテーブル部として機能する。
加速度センサ371は、クランク105に接着されて、一体化される。加速度センサ371は、静電容量型やピエゾ抵抗型等周知の方式を適宜選択すればよい。加速度センサ371は、第1加速度センサ371a、第2加速度センサ371bから構成されている。
図4に、本実施例における加速度センサ371のクランク105への配置の例を示す。加速度センサ371は、クランク105の内面119に接着されている。クランク105の内面とは、クランク軸107が突設されている(接続されている)面であり、クランク105の回転運動により定義される円を含む平面と平行な面(側面)である。また、図4には図示しないが、クランク105の外面120は、内面119と対向しペダルクランク軸115が突設されている(接続されている)面である。つまり、ペダル103が回転自在に設けられている面である。クランク105の上面117は、内面119および外面120と同じ方向に長手方向が延在し、かつ内面119および外面120と直交する面の一方である。クランク105の下面118は、上面117と対向する面である。なお、本実施例では、加速度センサ371はクランク105の内面119に接着した例で説明するが、外面120や上面117あるいは下面118に接着してあってもよいし、クランク105内部に設けられていてもよい。
第1加速度センサ371aと第2加速度センサ371bは、クランク105の長手方向に対して検出方向が平行、つまり、内面119の中心軸C1に対して平行かつ、クランク軸107の中心から異なる距離に設けられている。図4の例では、第1加速度センサ371aの方が第2加速度センサ371bよりもクランク軸107の中心に近い位置に設けられている。また、第1加速度センサ371aと第2加速度センサ371bは、クランク105の長手方向に対して平行な方向が検出方向となっている。即ち、第1加速度センサ371aが検出する加速度が第1加速度、第2加速度センサ371bが検出する加速度が第2加速度となる。また、第1加速度センサ371aと第2加速度センサ371bは、図4に示したように一直線上に設けられていなくてもよい。
加速度センサ371の検出結果は、測定モジュール制御部351に出力される。この際に、図示しないA/Dコンバータによって、アナログ情報からデジタル情報に変換してもよい。
ここで、図4に示したように設けられた加速度センサ371を用いて、回転角推定部351bでクランク105の回転角を検出する方法について、図5乃至図7を参照して説明する。図5は、クランク105が静止しているときの加速度センサ371が検出する加速度についての説明図である。図5の長手方向とは、クランク105の長手方向であり、矢印の先端に向かう方向がクランク軸107からペダルクランク軸115に向かう方向を示している。また、図5の場合、鉛直方向からずれた位置に静止している状態である。
図5の場合、クランク105は静止しているので、遠心力は加わらず、加速度センサ371には重力加速度のみが検出される(図5(a))。但し、加速度センサ371は、検出方向がクランク105の長手方向と平行な方向であるので、実際には、重力加速度の長手方向の成分が検出される(図5(b))。重力加速度の長手方向の成分は以下の(1)式により表される。なお、第1加速度センサ371aと第2加速度センサ371bとは同じ値が検出される。
次に、クランク105が回転すると図6に示したようになる。ここで、第1加速度センサ371aはクランク軸107の中心からr1の距離(第1距離)、第2加速度センサ371bはクランク軸107の中心からr2の距離(第2距離)にそれぞれ設けられているとする。また、r1<r2とする。
クランク105が回転すると、重力加速度とともにクランク105の長手方向(クランク軸107からペダルクランク軸115に向かう方向、即ち、クランク105の回転の法線方向)に遠心力が発生するため、遠心力の加速度も加わる。遠心力の加速度は、回転中心(クランク軸107の中心)から離れるにしたがって大きくなる。また、第1加速度センサ371aには、重力加速度と遠心力の加速度とを加算した加速度(瞬間加速度)が加わり、第2加速度センサ371bには、重力加速度と遠心力の加速度とを加算した加速度(瞬間加速度)が加わる。加速度センサ371は、上述したように、検出方向がクランク105の長手方向と平行な方向であるので、実際には、瞬間加速度の長手方向の成分が検出される。
図6の場合において、回転時の角速度をωとすると、第1加速度センサ371aの遠心力の加速度は以下の(2)式、第2加速度センサ371bの遠心力の加速度は以下の(3)式によりそれぞれ表される。
そして、第1加速度センサ371aの瞬間加速度は以下の(4)式、第2加速度センサ371bの瞬間加速度は以下の(5)式によりそれぞれ表される。
したがって、第1加速度センサ371aの出力値(第1加速度センサ371aで検出された第1加速度)は以下の(6)式、第2加速度センサ371bの出力値(第2加速度センサ371bで検出された第2加速度)は以下の(7)式によりそれぞれ表される。
ここで、r2×a1−r1×a2とすると、遠心力の加速度成分がキャンセルできる。即ち、(1)式および(4)式〜(7)式により以下の(8)式が導かれる。
(8)式を変形すると、クランク105が回転している際の長手方向の重力加速度が以下の(9)式により表される。
(1)式と(9)式から余弦値cosθは以下の(10)式により表される。
したがって、(10)式によりクランク105の回転角を求めることができる。即ち、−cosθが、本実施例における第2距離(r2)と第1加速度(a1)とを乗じた値と第1距離(r1)と第2加速度(a1)とを乗じた値との差分に基づいて算出される余弦値となる。
本実施例では、角度θを直接算出することは行わず、例えば30°毎など所定角度の余弦値cosθを余弦テーブル部357として測定モジュール記憶部353に予め持っておき、(10)式により算出された結果と比較することで、所定角度を検出する。例えば、0°の場合は−cosθは−1、30°の場合−cosθは0.866、60°の場合は−cosθは−0.5となるので、(10)式の演算結果がこれらの値となった(あるいは近い値となった)場合は、その値が示す角度が検出されたこととなる。即ち、本実施例では、回転角推定部351bが出力部として機能し、−cosθ(余弦値)および余弦テーブル部357(テーブル部)に基づいてクランクの回転角に関する情報として角度が出力される。なお、クランクの回転角に関する情報としては、角度ではなく、算出された−cosθをそのまま、あるいは正負を反転した値(cosθ)等を出力し、出力先で角度(θ)に変換するようにしてもよい。
ここで、余弦値cosθの場合、0°≦θ<180°と180°≦θ<360°とでは同じ値をとる角度(θ)が存在する。そのため、クランク前後判定部351cで0°≦θ<180°と180°〜360°のいずれの範囲にあるかを判定する。具体的には、−cosθは図7に示したように、0°≦θ<180°の範囲は増加し、180°≦θ<360°の範囲は減少する。そこで、例えば(10)式の算出結果(−cosθ)を連続する過去数回分を測定モジュール記憶部353の余弦値保管部355に保管(記憶)しておき、今回の算出結果と過去の算出結果を比較して増加傾向か減少傾向かを判断することで、0°≦θ<180°と180°≦θ<360°のいずれの範囲にあるかを判定する。そして、回転角推定部351bは、クランク前後判定部351cの判定結果に基づいて算出された−cosθの示す角度を特定する。
即ち、クランク前後判定部351c(クランク位置検出部)は、余弦値保管部355(余弦値記憶部)に記憶されている余弦値と今回回転角推定部351bで算出された余弦値とに基づいて、クランク105の1回転を鉛直方向で2等分した半回転のうちいずれの区間にクランク105が位置しているか検出している。
なお、保管するのは、前回のみなど1回分であってもよいし、連続しない過去の算出結果(例えば2回前など)であってもよい。要するに、増加傾向か減少傾向かを判断できればよい。
また、(10)式の分母は定数となるので、定数Kとして、−cosθ×Kの値をテーブル等として持っていてもよい。この場合、除算が不要となり、演算処理の負荷を軽減することができる。この−cosθ×Kも、特許請求の範囲における余弦値に含むものとする。即ち、本発明における余弦値は、cosθで表される値であれば、正負の符号や係数等が含まれていてもよい。
以上の説明から明らかなように、測定モジュール制御部351(回転角推定部351b、クランク前後判定部351c、送信データ作成部351d)と、測定モジュール記憶部353(余弦値保管部355、余弦テーブル部357)と、加速度センサ371(第1加速度センサ371a、第2加速度センサ371b)と、で本実施例にかかる回転角検出装置310を構成している。
パワーセンサ368は、ひずみゲージ369と、測定モジュールひずみ検出回路365と、を有している。ひずみゲージ369は、クランク105に接着されて、一体化される。ひずみゲージ369は、第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369b、第3ひずみゲージ369c、第4ひずみゲージ369dから構成されている(図8等参照)。そして、ひずみゲージ369のそれぞれの端子は、測定モジュールひずみ検出回路365に接続されている。
図8に、本実施例におけるひずみゲージ369のクランク105への配置の例を示す。ひずみゲージ369は、クランク105の内面119に接着されている。
第1ひずみゲージ369aと第2ひずみゲージ369bは、クランク105の長手方向に対して検出方向が平行、つまり、内面119の中心軸C1に対して平行かつ、内面119の中心軸C1に対して対称になるように設けられている。第3ひずみゲージ369cは、中心軸C1上に設けられ、検出方向が中心軸C1に対して平行かつ、第1ひずみゲージ369aと第2ひずみゲージ369bに挟まれるように設けられている。第4ひずみゲージ369dは、クランク105の長手方向に対して検出方向が垂直、つまり、内面119の中心軸C1に対して垂直かつ、中心軸C1上に設けられている。
即ち、クランク105の長手方向に延在する軸である中心軸C1と平行な方向(図8の縦方向)、つまり、クランク105の長手方向と平行な方向が、第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369b、第3ひずみゲージ369cの検出方向となり、中心軸C1と垂直な方向(図8の横方向)、つまり、クランク105の長手方向と垂直な方向が、第4ひずみゲージ369dの検出方向となる。したがって、第1ひずみゲージ369a乃至第3ひずみゲージ369cと第4ひずみゲージ369dは検出方向が互いに直交している。
なお、第1ひずみゲージ369a乃至第4ひずみゲージ369dの配置は図8に限らない。つまり、中心軸C1と平行または垂直の関係が維持されていれば他の配置でもよい。但し、第1ひずみゲージ369a及び第2ひずみゲージ369bは、中心軸C1を挟んで対称に配置し、第3ひずみゲージ369c及び第4ひずみゲージ369dは、中心軸C1上に配置する方が、後述する各変形を精度良く検出できるので好ましい。
また、図8では、クランク105を単純な直方体として説明しているが、デザイン等により、角が丸められていたり、一部の面が曲面で構成されていてもよい。そのような場合でも、上述した配置を極力維持するようにひずみゲージ369を配置することで、後述する各変形を検出することができる。但し、上記した中心軸C1との関係(平行または垂直)がずれるにしたがって検出精度が低下する。
測定モジュールひずみ検出回路365は、第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369b、第3ひずみゲージ369c、第4ひずみゲージ369dが接続されて、ひずみゲージ369のひずみ量が電圧として出力される。測定モジュールひずみ検出回路365の出力は、図示しないA/Dコンバータによって、アナログ情報からデジタル情報であるひずみ情報信号に変換される。そして、ひずみ情報信号は測定モジュール制御部351の推進力演算部351aに出力される。
測定モジュールひずみ検出回路365の例を図9に示す。測定モジュールひずみ検出回路365は、2つのブリッジ回路である第1検出回路373aと第2検出回路373bとで構成されている。第1検出回路373aの第1系統側では、電源Vccから順に、第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369bの順に接続されている。即ち、第1ひずみゲージ369aおよび第2ひずみゲージ369bが電源Vccに対して直列に接続されている。第2系統側では、電源Vccから順に、固定抵抗R、固定抵抗Rの順に接続されている。第2検出回路373bの第1系統側では、電源Vccから順に、第3ひずみゲージ369c、第4ひずみゲージ369dの順に接続されている。即ち、第3ひずみゲージ369cおよび第4ひずみゲージ369dが電源Vccに対して直列に接続されている。第2系統側では、電源Vccから順に、固定抵抗R、固定抵抗Rの順に接続されている。
即ち、2つの固定抵抗Rは、第1検出回路373aと第2検出回路373bとで共有している。ここで、2つの固定抵抗Rは同一の抵抗値を有している。また、2つの固定抵抗Rは、ひずみゲージ369の圧縮又は伸長が生ずる前の抵抗値と同一の抵抗値を有する。なお、第1ひずみゲージ369a乃至第4ひずみゲージ369dは同じ抵抗値を有している。
ひずみゲージ369の抵抗値は、公知のように圧縮されている場合には抵抗値が下がり、伸長されている場合には抵抗値が上がる。この抵抗値の変化は、変化量がわずかな場合には比例している。また、ひずみゲージ369の検出方向は、配線が伸びている方向であり、上述したように第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369b、第3ひずみゲージ369cが、中心軸C1と平行な方向、第4ひずみゲージ369dが、中心軸C1と垂直な方向となる。この検出方向以外において圧縮又は伸長が生じた場合には、ひずみゲージ369に抵抗値の変化は生じない。
このような特性を持つひずみゲージ369を使用した第1検出回路373aは、第1ひずみゲージ369aと第2ひずみゲージ369bの検出方向で圧縮または伸長されていない場合は、第1ひずみゲージ369aと第2ひずみゲージ369bとの間の電位Vabと、2つの固定抵抗Rの間の電位Vrとの電位差はほぼゼロとなる。
第1ひずみゲージ369aが圧縮され、第2ひずみゲージ369bが伸張された場合は、第1ひずみゲージ369aの抵抗値が減少して第2ひずみゲージ369bの抵抗値が増加するために、電位Vabが高くなり、電位Vrは変化しない。つまり、電位Vabと電位Vrとの間に電位差が発生する。第1ひずみゲージ369aが伸張され、第2ひずみゲージ369bが圧縮された場合は、第1ひずみゲージ369aの抵抗値が増加して第2ひずみゲージ369bの抵抗値が減少するために、電位Vabが低くなり、電位Vrは変化しない。つまり、電位Vabと電位Vrとの間に電位差が発生する。
第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369bともに圧縮された場合は、第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369bともに抵抗値が減少するために、電位Vabと、電位Vrとの電位差はほぼゼロとなる。第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369bともに伸張された場合は、第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369bともに抵抗値が増加するために、電位Vabと、電位Vrとの電位差はほぼゼロとなる。
第2検出回路373bも第1検出回路373aと同様の動作となる。つまり、第3ひずみゲージ369cが圧縮され、第4ひずみゲージ369dが伸張された場合は、電位Vcdが高くなり、電位Vrは低くなり、電位Vcdと電位Vrとの間に電位差が発生する。第3ひずみゲージ369cが伸張され、第4ひずみゲージ369dが圧縮された場合は、電位Vcdが低くなり、電位Vrは高くなり、電位Vcdと電位Vrとの間に電位差が発生する。第3ひずみゲージ369c、第4ひずみゲージ369dともに圧縮された場合と、第3ひずみゲージ369c、第4ひずみゲージ369dともに伸張された場合は、電位Vcdと、電位Vrとの電位差はほぼゼロとなる。
そこで、第1検出回路373aの電位Vabが測定できる第1ひずみゲージ369aと第2ひずみゲージ369bとの接続点と、電位Vrが測定できる2つの固定抵抗Rの接続点と、を第1検出回路373aの出力(以降A出力)とする。第2検出回路373bの電位Vcdが測定できる第3ひずみゲージ369cと第4ひずみゲージ369dとの接続点と、電位Vrが測定できる2つの固定抵抗Rの接続点と、を第2検出回路373bの出力(以降B出力)とする。このA出力とB出力がひずみ情報となる。
図10は、ユーザにより力(踏力)が加えられた際の右側クランク105Rの変形状態を示している。(a)は右クランク105Rの上面117から見た平面図、(b)は右側クランク105Rの内面119から見た平面図、(c)は右側クランク105Rのクランク軸107側の端部から見た平面図である。なお、以降の説明では右側クランク105Rで説明するが、左側クランク105Lでも同様である。
ユーザの足からペダル103を介して踏力が加えられると、その踏力はクランク105の回転力となる、クランク105の回転の接線方向の力である推進力Ftと、クランク105の回転の法線方向の力である損失力Frとに分けられる。このとき、右側クランク105Rには、曲げ変形x、曲げ変形y、引張変形z、ねじれ変形rzの各変形状態が生じる。
曲げ変形xは、図10(a)に示したように、右側クランク105Rが上面117から下面118に向かって、或いは下面118から上面117に向かって曲がるように変形することであり、推進力Ftによって生じる変形である。即ち、クランク105の回転方向に発生する変形によるひずみ(クランク105の回転方向に生じているひずみ)を検出することとなり、曲げ変形xの検出によってクランク105に生じている回転方向ひずみが検出できる。曲げ変形yは、図10(b)に示したように、右側クランク105Rが外面120から内面119に向かって、或いは内面119から外面120に向かって曲がるように変形することであり、損失力Frによって生じる変形である。即ち、クランク105の外面120から内面119、または内面119から外面120に向かって発生する変形によるひずみ(右側クランク105Rの回転運動により定義される円を含む平面と垂直な方向に生じているひずみ)を検出することとなり、曲げ変形yの検出によってクランク105に生じている内外方向ひずみが検出できる。
引張変形zは、右側クランク105Rが長手方向に伸張または圧縮されるように変形することであり、損失力Frによって生じる変形である。即ち、クランク105が長手方向に引っ張られるまたは押される方向に発生する変形によるひずみ(長手方向と平行な方向に生じているひずみ)を検出することとなり、引張変形zの検出によってクランク105に生じている引張方向ひずみが検出できる。ねじれ変形rzは、右側クランク105Rが、ねじれるように変形することであり、推進力Ftによって生じる変形である。即ち、クランク105がねじれる方向に発生する変形によるひずみを検出することとなり、ねじれ変形rzの検出によってクランク105に生じているねじり方向ひずみが検出できる。なお、図10は、曲げ変形x、曲げ変形y、引張変形z、ねじれ変形rzの変形方向を矢印で示したが、上述したように、この矢印と逆方向に各変形が発生する場合もある。
したがって、推進力Ftを測定するためには、曲げ変形xまたはねじれ変形rzのいずれか、損失力Frを測定するためには、曲げ変形yまたは引張変形zのいずれかを定量的に検出すればよい。
ここで、図8のように配置され、図9のように第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369b、第3ひずみゲージ369c、第4ひずみゲージ369dが接続された測定モジュールひずみ検出回路365によって、曲げ変形x、曲げ変形y、引張変形z、ねじれ変形rzを検出(測定)する方法を説明する。
まず、第1検出回路373aのA出力において、各変形がどのように検出(測定)されるかを説明する。曲げ変形xは、右側クランク105Rが上面117から下面118に向かって、或いはその逆方向に変形する。右側クランク105Rが上面117から下面118に向かって変形する場合、第1ひずみゲージ369aは圧縮されるので抵抗値が減少し、第2ひずみゲージ369bは伸張されるので抵抗値が増加する。そのため、第1検出回路373aのA出力は正出力(電位Vabが高く電位Vrが低い)となる。また、右側クランク105Rが下面118から上面117に向かって変形する場合、第1ひずみゲージ369aは伸張されるので抵抗値が増加し、第2ひずみゲージ369bは圧縮されるので抵抗値が減少する。そのため、第1検出回路373aのA出力は負出力(電位Vabが低く電位Vrが高い)となる。
曲げ変形yは、右側クランク105Rが外面120から内面119に向かって、或いはその逆方向に変形する。右側クランク105Rが外面120から内面119に向かって変形する場合、第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369bともに圧縮されるので、どちらも抵抗値が減少する。そのため、第1検出回路373aのA出力はゼロ(電位Vabと電位Vrに電位差が無い)となる。また、右側クランク105Rが内面119から外面120に向かって変形する場合、第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369bともに伸張されるので、どちらも抵抗値が増加する。そのため、第1検出回路373aのA出力はゼロとなる。
引張変形zは、右側クランク105Rが長手方向に伸張または圧縮されるように変形する。右側クランク105Rが伸張する場合、第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369bともに伸張されるので、どちらも抵抗値が増加する。そのため、第1検出回路373aのA出力はゼロとなる。また、右側クランク105Rが圧縮する場合、第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369bともに圧縮されるので、どちらも抵抗値が減少する。そのため、第1検出回路373aのA出力はゼロとなる。
ねじれ変形rzは、右側クランク105Rが、ねじれるように変形する。右側クランク105Rが図10(b)の矢印の方向にねじれる場合、第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369bともに伸張されるので、どちらも抵抗値が増加する。そのため、第1検出回路373aのA出力はゼロとなる。また、右側クランク105Rが図10(b)の矢印と逆方向にねじれる場合、第1ひずみゲージ369a、第2ひずみゲージ369bともに伸張されるので、どちらも抵抗値が増加する。そのため、第1検出回路373aのA出力はゼロとなる。
以上のように、A出力からは、曲げ変形xのみが検出される。即ち、第1検出回路373aは、第1ひずみゲージ369aおよび第2ひずみゲージ369bが接続され、クランク105に生じている回転方向ひずみを検出する。
次に、第2検出回路373bのB出力において、各変形がどのように検出(測定)されるかを説明する。曲げ変形xは、右側クランク105Rが上面117から下面118に向かって、或いはその逆方向に変形する。右側クランク105Rが上面117から下面118に向かって変形する場合、第3ひずみゲージ369c、第4ひずみゲージ369dは曲がるだけのため、検出方向に圧縮も伸張もされないので抵抗値は変化しない。そのため、第2検出回路373bのB出力はゼロとなる。また、右側クランク105Rが下面118から上面117に向かって変形する場合、第3ひずみゲージ369c、第4ひずみゲージ369dは曲がるだけのため、検出方向に圧縮も伸張もされないので抵抗値は変化しない。そのため、第2検出回路373bのB出力はゼロとなる。
曲げ変形yは、右側クランク105Rが外面120から内面119に向かって、或いはその逆方向に変形する。右側クランク105Rが外面120から内面119に向かって変形する場合、第3ひずみゲージ369cは圧縮されるので抵抗値が減少し、第4ひずみゲージ369dは伸張されるので抵抗値が増加する。そのため、第2検出回路373bのB出力は正出力(電位Vcdが高く電位Vrが低い)となる。また、右側クランク105Rが内面119から外面120に向かって変形する場合、第3ひずみゲージ369cは伸張されるので抵抗値が増加し、第4ひずみゲージ369dは圧縮されるので抵抗値が減少する。そのため、第2検出回路373bのB出力は負出力(電位Vcdが低く電位Vrが高い)となる。
引張変形zは、右側クランク105Rが長手方向に伸張または圧縮されるように変形する。右側クランク105Rが伸張する場合、第3ひずみゲージ369cは伸張されるので抵抗値が増加し、第4ひずみゲージ369dは圧縮されるので抵抗値が減少する。そのため、第2検出回路373bのB出力は負出力となる。また、右側クランク105Rが圧縮する場合、第3ひずみゲージ369cは圧縮されるので抵抗値が減少し、第4ひずみゲージ369dは伸張されるので抵抗値が増加する。そのため、第2検出回路373bのB出力は正出力となる。
ねじれ変形rzは、右側クランク105Rが、ねじれるように変形する。右側クランク105Rが図10(b)の矢印の方向にねじれる場合、第3ひずみゲージ369cは伸張されるので抵抗値が増加し、第4ひずみゲージ369dは検出方向に変形しないので抵抗値は変化しない。そのため、第2検出回路373bのB出力は負出力となる。また、右側クランク105Rが図10(b)の矢印と逆方向にねじれる場合、第3ひずみゲージ369cは伸張されるので抵抗値が増加し、第4ひずみゲージ369dは検出方向に変形しないので抵抗値は変化しない。そのため、第2検出回路373bのB出力は負出力となる。
以上のように、B出力からは、曲げ変形y、引張変形z、ねじれ変形rzが検出される。即ち、第2検出回路373bは、第3ひずみゲージ369cおよび第4ひずみゲージ369dが接続され、クランク105に生じている内外方向ひずみまたは引張方向ひずみを検出する。
そして、第1検出回路373aのA出力と、第2検出回路373bのB出力から、推進力演算部351aが、推進力Ftは次の(11)式により、損失力Frは次の(12)式によりそれぞれ算出する。なお、引張変形zは曲げ変形yと比較すると非常に小さいので無視することができる。即ち、(11)式及び(12)式で算出される値が、クランク105の回転時に当該クランク105に加えられる負荷に関する値となる。
ここで、Aは推進力Ft(あるいは損失力Fr)を算出する時点におけるA出力値、A0は無負荷時のA出力値、Bは推進力Ft(あるいは損失力Fr)を算出する時点におけるB出力値、B0は無負荷時のB出力値、p、q、s、uは係数であり、次の(13)〜(16)式からなる連立方程式により算出される値である。
ここで、Amはクランク105の角度が水平前向き(クランク105で水平かつフロント車輪5方向に延在している状態)でペダル103にm[kg]を載せたときのA出力値である。Beはクランク105の角度が水平前向きでペダル103にm[kg]を載せたときのB出力値である。Aeはクランク105の角度が垂直下向き(クランク105で鉛直かつ地面方向に延在している状態)でペダル103にm[kg]を載せたときのA出力値である。Bmはクランク105の角度が垂直下向きでペダル103にm[kg]を載せたときのB出力値である。
係数p、q、s、uおよびA0、B0は予め算出又は測定可能な値であるので、AおよびBを(11)式に代入することで推進力Ftが算出できる。
また、(11)式ではB出力を用いてA出力の補正をしている。(12)式ではA出力を用いてB出力の補正をしている。これにより、第1検出回路373aや第2検出回路373bに含まれる検出対象以外のひずみの影響を排除することができる。なお、第1ひずみゲージ369aと第2ひずみゲージ369bがクランク方向(中心軸C1と平行な方向)にずれが無い場合、Ae=A0となりB出力による補正の必要がなくなる。
なお、ひずみゲージ369の配置やブリッジ回路の構成は図8や図9に示した構成に限らない。例えばひずみゲージ369は4つに限らないし、ブリッジ回路も1つに限らない。要するに、推進力Ftや損失力Frが算出できる構成であればよい。
次に、サイクルコンピュータ201のブロック構成を説明する。サイクルコンピュータ201は、図3に示したように、サイクルコンピュータ表示部203、サイクルコンピュータ操作部205、サイクルコンピュータケイデンス無線受信部207、サイクルコンピュータ無線受信部209、サイクルコンピュータ記憶部253及びサイクルコンピュータ制御部251を有している。
サイクルコンピュータ表示部203は、ユーザの指示等に基づいて、各種の情報を表示する。本実施例においては、推進力Ftと損失力Frを視覚化して表示する。なお、視覚化の方法はどのような方法であっても良いが、測定モジュール301から送信されたクランク105の回転角に基づいて、例えばクランク105の回転角が30°毎の推進力Ftと損失力Frをベクトル表示することができる。また、他の方法としては、例えば、グラフ表示、色分け表示、記号の表示、3次元表示等どのような方法であってもよい。また、それらの組み合わせ等であってよい。
サイクルコンピュータ操作部205は、ユーザの指示(入力)を受ける。例えば、サイクルコンピュータ操作部205は、ユーザから、サイクルコンピュータ表示部203に表示内容の指示を受ける。
サイクルコンピュータケイデンス無線受信部207は、ケイデンスセンサ501から送信されるケイデンス情報を受信する。
サイクルコンピュータ無線受信部209は、測定モジュール301から送信される送信データ(推進力Ft及び損失力Frとクランク105の回転角)を受信する。
サイクルコンピュータ記憶部253には、各種情報が記憶される。各種情報とは、例えば、サイクルコンピュータ制御部251の制御プログラム、及び、サイクルコンピュータ制御部251が制御を行う際に必要とされる一時的な情報である。なお、サイクルコンピュータ記憶部253は、RAM及びROMを有している。ROMには制御プログラム、及び、推進力Ftおよび損失力Frをサイクルコンピュータ表示部203に視覚的に表示するデータに変換するための各種のパラメータ、定数、等が記憶されている。
サイクルコンピュータ制御部251は、サイクルコンピュータ201を包括的に制御している。さらに、ケイデンスセンサ501及び測定モジュール301をも包括的に制御していても良い。サイクルコンピュータ制御部251は、推進力Ftおよび損失力Frをサイクルコンピュータ表示部203に視覚的に表示するデータに変換する。
次に、測定モジュール301及びサイクルコンピュータ201の処理を図11を参照して説明する。図11の処理は測定モジュール制御部351やサイクルコンピュータ制御部制御部251が内蔵するCPUで動作するソフトウェア(コンピュータプログラム)により実行されてもよいし、ハードウェアで実行されてもよい。まず、測定モジュール301の処理を図11(a)に示す。ステップST11において、第1加速度センサ371a、第2加速度センサ371bで検出された値を取得する。そして、上述した(10)式により−cosθ(或いは−cosθ×K)を算出し、算出値と余弦値保管部355に保管されている直近の複数回分の−cosθから0°≦θ<180°の範囲か180°≦θ<360°の範囲かを特定して、回転角を検出する。なお、本ステップで、算出された−cosθの値は余弦値保管部355に記憶するとともに、記憶数が上限の場合は最も古い−cosθの値を削除する。即ち、ステップST11が、第1加速度検出工程、第2加速度検出工程、出力工程として機能する。
次に、ステップST13において、ステップST11で検出された回転角が30°ごとの角度か否かを判断し、30°ごとの角度である場合(YESの場合)はステップST15に進み、そうでない場合はステップST11に戻る。回転角が30°ごとの角度か否かは、上述したように、算出された−cosθ等を余弦テーブル部357の値と比較して、テーブルの値となった場合は、そのテーブルが示す角度が検出されたこととなるので、それによって判断することができる。なお、本実施例では30°ごととしているが、勿論45°ごとなど他の角度ごとであってもよい。
次に、ステップST15において、測定モジュールひずみ検出回路365を駆動する。つまり、図9に示したようなブリッジ回路に電源電圧を印加してひずみゲージ369による測定が可能な状態とする。
次に、ステップST17において、測定モジュールひずみ検出回路365からの出力(A出力、B出力)に基づいて推進力Ft及び損失力Frを算出する。
次に、ステップST19において、送信データ作成部351dは、測定モジュール無線送信部309を介して、算出された推進力Ft及び損失力Frと回転角とを送信データとして送信する。送信された推進力Ft及び損失力Frと回転角とは、サイクルコンピュータ201のサイクルコンピュータ無線受信部209によって受信される。
また、サイクルコンピュータ201のサイクルコンピュータ制御部251は、図12(b)の処理を行う。ステップST71において、サイクルコンピュータ制御部251は、推進力Ft、損失力Fr、回転角またはケイデンス情報を受信すると割り込みが行われる。つまり、サイクルコンピュータ無線受信部209が推進力Ft、損失力Fr、回転角またはケイデンス情報を受信したことをサイクルコンピュータ制御部251が検出した時には、サイクルコンピュータ制御部251は、それまでの処理を中断(割り込み)し、ステップST73以下の処理を開始する。
次に、ステップST73において、サイクルコンピュータ制御部251は、サイクルコンピュータ表示部203に回転角ごとの推進力Ftと損失力Frやケイデンスを表示させる。サイクルコンピュータ表示部203は、推進力Ftと損失力Frをクランク105の回転角ごとにベクトル表示したり、ケイデンス値を数値として表示したりする。
例えば、クランク105の所定の回転角(30°)毎に推進力Ftと損失力Frの大きさを矢印等で表示することなどが挙げられる。
次に、ステップST75において、サイクルコンピュータ制御部251は、推進力Ftと損失力Fr及びケイデンス情報をサイクルコンピュータ記憶部253のサイクルコンピュータ記憶部253に記憶する。その後、サイクルコンピュータ制御部251は、再びステップST51の割り込みが行われるまで他の処理を行う。
本実施例によれば、第1加速度センサ371aが、クランク軸107に取り付けたクランク105に、クランク軸107の中心からr1離れた位置に配置され、クランク105の長手方向と平行な方向の加速度であるa1を検出し、第2加速度センサ371bが、クランク軸107に取り付けたクランク105に、r1とは異なるr2クランク軸107から離れた位置に配置され、クランク105の長手方向と平行な方向の加速度であるa2を検出する。そして、測定モジュール制御部351(回転角推定部351b)が、a1と、a2と、r1と、r2と、に基づいて、クランク105の回転角に関する情報(−cosθや−cosθ×K等)を算出する。このようにすることにより、加速度センサのクランク105の長手方向(検出軸方向)の重力加速度成分を算出することができる。そして、その重力加速度成分に基づいてクランク105の回転角度に関する情報を算出することで、クランク105の回転角を検出することができる。したがって、角度の検出自体に磁石を用いないので、低コスト化が図れ、ごみや砂鉄などの影響を受けないことから、耐久性を向上させることができる。
また、角速度センサを利用しないので、低消費電力化を図ることもできる。角速度センサ、例えばジャイロセンサは、振動子などを常時振動させなければならないので加速度センサに比べて一般的に消費電力が大きい。したがって、本実施例のように、加速度センサ371のみで回転角を検出することで、消費電力を低減させて、バッテリ等の駆動時間を延ばすことができる。
また、検出した回転角が30°ごとの角度の場合に、パワーセンサ368を動作させているので、パワーセンサ368の動作期間を制限することができ、消費電力をさらに削減することができる。
また、測定モジュール制御部351部が、r2×a1−r1×a2の算出値に基づいてクランクの回転角に関する情報を出力している。このようにすることにより、遠心力の加速度は回転軸の中心からの距離に比例するので、2つの加速度a1、a2から加速度センサに加わる遠心力の加速度をキャンセルしてクランク105の長手方向(検出軸方向)の重力加速度成分を算出することができる。
また、予め30°ごとの−cosθや−cosθ×Kの値を余弦テーブル部357として測定モジュール記憶部353に格納され、測定モジュール制御部351部(回転角推定部351b)が、余弦テーブル部357と余弦値に基づいてクランク105の回転角を出力しているので、余弦値から角度を計算で求める必要が無くなり、例えば三角関数などの複雑な処理を行うことなくクランク105の回転を出力することができる。
また、余弦値保管部355に過去に算出された−cosθや−cosθ×Kを少なくとも1以上記憶し、測定モジュール制御部351部(クランク前後判定部351c)が、余弦値保管部355に記憶されている−cosθや−cosθ×Kと今回算出された−cosθや−cosθ×Kとを比較して、クランク105の1回転を鉛直方向で2等分した半回転のうちいずれの区間にクランクが位置しているか検出する。そして、測定モジュール制御部351部(回転角推定部351b)は、前記した検出結果と今回算出された−cosθや−cosθ×Kとに基づいてクランク105の回転角に関する情報を出力している。このようにすることにより、−cosθや−cosθ×Kが増加傾向か減少傾向かを判定することで、0°≦θ<180°の範囲と180°≦θ<360°の範とを識別することができる。
なお、上述した実施例では、算出した−cosθや−cosθ×Kからテーブルを用いてクランク105の回転角を求めていたが、余弦テーブル部357を用いずに計算によって回転角を求めてもよい。
また、上述した実施例では片側のクランク105に第1加速度センサ371aと第2加速度センサ371bとが配置されていたが、両側のクランク105、つまり、クランク105Rとクランク105Lとに1つずつ加速度センサが配置されていてもよい。この場合、各加速度センサのクランク軸107からの距離の絶対値は同じであってもよい。そして、クランク軸107からの距離は、一方のクランクにおける距離を正数で表し、他方のクランクにおける距離を負数で表せばよい。また、距離を負数で表した側の加速度センサの測定値a(a1やa2)は負数(−1)を掛けて表せばよい。