発明の詳細な説明
本発明は、一般に高度不飽和脂肪酸(PUFA)ポリケチドシンターゼ(PKS)系に、このようなPUFA PKS系を含む遺伝子改変された生物に、生理活性分子および特に、DHA、DPA、およびEPAなどのPUFAを含む関心対象の産物を産生するためにこのような系を作製し使用する方法に関する。本明細書において使用されるPUFA PKS系は、一般的に以下を同定する性質をもつ:(1)系の天然産物としてPUFAを産生する;並びに、(2)選択されたサイクルにおけるトランス-シス異性化およびエノイル還元反応を含む、脂肪酸鎖の反復性処理と非反復性処理との両方を行う複合体を構築した数個の多機能性タンパク質を含む(実施例えば、図1を参照されたい)。PUFA PKS系についての言及では、生物においてPUFAを産生するための複合体中で作用する遺伝子およびこれらのコードされた産物の全てをひとまとめにいう。したがって、PUFA PKS系は、天然物がPUFAであるPKS系を特異的にいう。
より詳細には、第一に、本発明の基礎を形成しているPUFA PKS系は、産物として高度不飽和脂肪酸(PUFA)を産生する(すなわち、このようなPKS系を内因性に(天然に)含む生物がこの系を用いてPUFAを産生する)。本明細書で言及されるPUFAは、好ましくは少なくとも16個の炭素、およびより好ましくは少なくとも18個の炭素、およびより好ましくは少なくとも20個の炭素、およびより好ましくは22個またはそれ以上の炭素の炭素鎖長で、少なくとも3個またはそれ以上の二重結合、および好ましくは4個またはそれ以上、およびより好ましくは5個またはそれ以上、およびさらにより好ましくは6個またはそれ以上の二重結合を有し、すべての二重結合がシス配置である高度不飽和脂肪酸である。最終産物の遺伝子操作もしくは操作を介して、望ましい鎖長の望ましい二重結合数をもつ高度不飽和脂肪酸を産生するPKS系を発見または作製することが本発明の目的である。PUFAの例は、DHA(ドコサヘキサエン酸(C22:6,ω-3))、ARA(エイコサテトラエン酸またはアラキドン酸(C20:4,n-6))、DPA(ドコサペンタエン酸(C22:5,ω-6またはω-3))、およびEPA(エイコサペンタエン酸(C20:5,ω-3))を含むが、これらに限定されない。
第2に、本明細書に記載されるPUFA PKS系は、反復性および非反復性の反応の両方を組み入れており、以前に記載されたPKS系(たとえば、I型、II型、またはモジュラー)と区別している。より詳細には、本明細書に記載されるPUFA PKS系は、各サイクルの間に機能すると思われるドメイン、並びにサイクルのいくつかのみの間に機能すると思われるドメインを含む。この機能性の鍵となる局面は、細菌のFab-A酵素と相同性を示すドメインに関連している可能性がある。たとえば、大腸菌のFab-A酵素は、2つの酵素活性をもつことが示された。これは、ヒドロキシ基を含む炭素鎖から水分子(H2O)を除去して、その炭素鎖にトランス二重結合を残す脱水活性をもつ。さらに、これは、トランス二重結合がシス配置へ転換されるイソメラーゼ活性をもつ。この異性化は、二重結合位置の隣接する炭素への移動と組み合わせて完成される。PKS(およびFAS)系において、主炭素鎖は、2炭素の増分で伸長される。したがって、これらのPKS系のPUFA産物を産生するために必要とされる伸長反応の数を予測することができる。たとえば、DHA(C22:6、すべてシス)を産生することは10個の伸長反応を必要とする。最終産物において6個のみの二重結合があることから、一部の反応サイクルの間には、二重結合が維持され(シス異性体として)、かつ他では二重結合が次の伸長の前に還元される。
海洋細菌におけるPUFA PKS系の発見(米国特許第6,140,486号を参照されたい)の前には、PKS系がこの反復性および選択性の酵素反応の組み合わせを有することは知られておらず、これらは、シス配置で炭素-炭素二重結合を産生することができるものとは考えられなかった。しかし、本発明により記載されるPUFA PKS系は、シス二重結合を導入する能力、およびサイクルにおいて反応配列を変更する能力を有している。
本発明は、PUFA PKS系のこれらの性質を使用して、以前に記載された(II型、I型およびモジュラー)PKS系によって産生することができなかった生物活性分子の範囲を産生することを提案する。それらの生物活性分子は、高度不飽和脂肪酸(PUFA)、抗生物質または他の生物活性化合物を含み(しかし、限定されない)、これらの多くを下記で考察する。たとえば、本明細書に記載されるPUFA PKS遺伝子構造の知識を使用して、新規の産物が産生されるように、多数の方法のいずれかを使用してPUFA PKS遺伝子を改変するか、または他のPKS系を含む他の合成系とこれらの遺伝子の部分を結合することができる。この特定の型の系の固有な、反復性および選択性の両方の反応を行う能力により、類似した方法を他の型のPKS系に適用された場合には見いだされなかったであろう産物を、この系で生じさせることができると考えられる。
真核生物のスラウストキトリド、シゾキトリウムにおけるPUFA合成のためのPKS系の構造の多くは、米国特許第6,566,583号に詳述されている。本発明の本発明者らによるシゾキトリウムのcDNAおよびゲノムクローンの完全なシーケンシングにより、OrfA、OrfB、およびOrfCの各々の全長ゲノム配列を同定すること、並びにシュワネラに対して相同性を有するこれらのシゾキトリウム Orfの特異的なドメインを完全に同定することができた(図2および米国特許出願第10/124,800号、上記を参照されたい)。米国特許出願第10/124,800号では、本発明者らは、PUFA PKS系を有するための基準を満たすものとしてスラウストキトリウム種を同定し、次いでサザンブロット分析によって、この生物がシゾキトリウム PUFA PKS遺伝子に対して相同性を有する遺伝子を含む可能性が高いことを証明した。しかし、このような遺伝子の構造および遺伝子のドメイン組織の単離並びに決定は、米国特許出願第10/124,800号には記載されていなかった。本発明では、本発明者らは、今回このスラウストキトリウム属のスラウストキトリド(特に、スラウストキトリウム種23B(ATCC 20892))の相同的オープンリーディングフレーム(Orf)の全長ゲノム配列をクローン化して配列決定し、このスラウストキトリウム内のPUFA PKS系を含むドメインを同定した。したがって、本発明は、商用利用のために柔軟性を有するさらなるPUFA PKS系を提供して、上述の問題を解決する。スラウストキトリウムのPUFA PKS系を、以下に詳述する。
また、本発明は、シゾキトリウム、およびスラウストキトリウムなどのヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)のメンバーを含む真核生物でPUFAを産生するポリケチドシンターゼ様の系の操作により、効率的にPUFA濃縮脂質(トリアシルグリセロール(TAG)並びに膜結合リン脂質(PL))を産生するための、遺伝子改変微生物および方法を本発明者らが開発することによって、EPAなどの所望のPUFAが濃縮された商業的に有益な脂質の産生に関する上記確認した問題を解決する。特に、および例証として、本発明者らは、本明細書において、以前にPUFA、主にドコサヘキサエン酸(DHA;C22:6 n-3)およびドコサペンタエン酸(DPA;C22:5 n-6)が濃縮された油の商業産生のために最適化されており、かつ今回、DHA産生を生物の油産生の特徴を犠牲にせずにEPA(C20:5 n-3)産生(またはその他のPUFA産生)に置換するように遺伝子改変されるであろうシゾキトリウムの株を記述する。加えて、本発明者らは、本明細書において、特にPUFA PKS系の改変を介した微生物によって産生されるDPAに対するDHAの比率を変更することによって、シゾキトリウム生物によるDHA産生を改善するために、スラウストキトリウムに由来するPUFA PKS遺伝子でのシゾキトリウム遺伝子改変を記述する。本発明の概念は、以下に詳細に記載されているように、その他の産生生物およびその他の所望のPUFAに容易に適用することができるので、これらは本発明に包含される技術のほんの少数の例だけである。
一つの態様において、本発明に従ったPUFA PKS系は、少なくとも以下の生物学的に活性なドメインを含む:(a)少なくとも2つのエノイルACP-レダクターゼ(ER)ドメイン;(b)少なくとも6つのアシルキャリアータンパク質(ACP)ドメイン;(c)少なくとも2つのβ-ケトアシル-ACPシンターゼ(KS)ドメイン;(d)少なくとも1つのアシルトランスフェラーゼ(AT)ドメイン;(e)少なくとも1つのβ-ケトアシル-ACPレダクターゼ(KR)ドメイン;(f)少なくとも2つのFabA様β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ(DH)ドメイン;(g)少なくとも1つの鎖伸長因子(CLF)ドメイン;および(h)少なくとも1つのマロニル-CoA:ACPアシルトランスフェラーゼ(MAT)ドメイン。これらのドメインの機能は、一般的に、個々に、当技術分野において知られており、本発明のPUFA PKS系に関連して以下に詳細に記載される。
もう一つの態様において、PUFA PKS系は、少なくとも以下の生物学的に活性なドメインを含む:(a)少なくとも1つのエノイル-ACPレダクターゼ(ER)ドメイン;(b)複数のアシルキャリアータンパク質(ACP)ドメイン(少なくとも1〜4つ、および好ましくは少なくとも5つ、およびより好ましくは少なくとも6つ、およびさらにより好ましくは7つ、8つ、9つ、またはそれ以上);(c)少なくとも2つのβ-ケトアシル-ACPシンターゼ(KS)ドメイン;(d)少なくとも1つのアシルトランスフェラーゼ(AT)ドメイン;(e)少なくとも1つのβ-ケトレダクターゼ(KR)ドメイン;(f)少なくとも2つのFabA様β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ(DH)ドメイン;(g)少なくとも1つの鎖伸長因子(CLF)ドメイン;および(h)少なくとも1つのマロニル-CoA:ACPアシルトランスフェラーゼ(MAT)ドメイン。好ましくは、そのようなPUFA PKS系は非細菌性PUFA-PKS系である。
一つの態様において、本発明のPUFA PKS系は、非細菌性PUFA PKS系である。換言すれば、一つの態様において、本発明のPUFA PKS系は、真核生物もしくは古細菌などの細菌ではない生物から単離され、または細菌ではない生物に由来するPUFA PKS系の相同体であるか、もしくは派生している。真核生物は、その細胞の分化の程度に基づいて原核生物とは区別され、真核生物はより高度に分化した細胞を有し、原核生物はあまり分化していない細胞を有する。一般的に、原核生物は核膜を持たず、細胞分裂の間に有糸分裂を示さず、染色体を1つだけ有し、これらの細胞質は70Sリボソームを含み、これらはミトコンドリア、小胞体、葉緑体、リソソーム、またはゴルジ体を有さず、これらの鞭毛(存在する場合)は、単一の原線維からなっている。対照的に、真核生物は、核膜を有し、これらは細胞分裂の間に有糸分裂を示し、これらは多くの染色体を有し、これらの細胞質は80Sリボソームを含み、これらはミトコンドリア、小胞体、葉緑体(藻類において)、リソソーム、およびゴルジ体を含み、並びにこれらの鞭毛(存在する場合)は、多くの原線維からなる。一般的に、細菌は原核生物であり、一方、藻類、真菌類、原生生物、原生動物、および高等植物は真核生物である。
海洋細菌(たとえば、シュワネラ腫SCRC2738株およびビブリオ・マリナス)のPUFA PKS系は、本発明の基礎ではないが、本発明は、本発明の非細菌性PUFA PKS系由来のドメインと共にこれらの細菌性PUFA PKS系由来のドメインの使用を企図する。加えて、本発明は、本明細書に記載されている非細菌性PUFA PKS遺伝子を改変し、または組み合わせてハイブリッド構築物、並びに遺伝子改変微生物および植物を作製するためのPUFA PKS遺伝子の供与源として使用するために特に適していると考えられるその他の細菌(たとえば、シュワネラ・オレヤナおよびシュワネラ・ジャポニカ)から単離された一連のPUFA PKS遺伝子(およびこれによりコードされるタンパク質およびドメイン)の単離および使用を想定する。たとえば、本発明によれば、非細菌性PUFA PKSの機能性ドメインを、細菌性PUFA PKS機能性ドメイン、並びに他のPKS系(I型、II型、モジュラー)もしくはFAS系由来のPKS機能性ドメインまたはタンパク質と共に組み込んだ遺伝子改変生物を作製することができる。下記に更に詳細に論議したとおり、シュワネラの2つの種に由来するPUFA PKS遺伝子、すなわちシュワネラ・オレヤナおよびシュワネラ・ジャポニカは、本発明の遺伝子改変微生物、植物、および方法に使用される好ましい例示的な細菌遺伝子である。このような海洋細菌(たとえば、シュワネラ・オレヤナまたはシュワネラ・ジャポニカ)に由来するPUFA PKS系(これによりコードされる遺伝子およびタンパク質およびドメイン)は、新規のPUFA PKS配列として本発明に包含される。
本発明によれば、「スラウストキトリド」、「ヤブレツボカビ微生物」および「ヤブレツボカビ目微生物」という用語/句は、交換可能に使用することができ、スラウストキトリアシエ(Thraustochytriaceae)科およびラビリンチュラシエ(Labyrinthulaceae)科の両者を含む「ヤブレツボカビ目微生物」のいずれのメンバーをもいう。「ラブリンチュリド(labyrinthulid)」および「ラビリンチュラシエ」という用語は、本明細書において、ラビリンチュラシエ科のメンバーを特異的にいうために使用される。特にスラウストキトリアシエ科のメンバーであるスラウストキトリドをいうためには、本明細書において「スラウストキトリアシエ」という用語が使用される。したがって、本発明に関しては、ラブリンチュリドのメンバーは、スラウストキトリドに含まれると考えられる。
進歩により、スラウストキトリドの分類は頻繁に改正されている。分類学理論家は、一般にスラウストキトリドを藻類または藻類様原生生物と定める。しかし、分類の不確定性のため、本発明に記載された株を、以下の生物を含むスラウストキトリドとみなすことが本発明の目的にとって最善であるものと思われる:目:ヤブレツボカビ目;科:スラウストキトリアシエ(スラウストキトリウム属、シゾキトリウム属、ジャポノキトリウム(Japonochytrium)属、アプラノキトリウム(Aplanochytrium)属、もしくはエリナ(Elina)属)、またはラビリンチュラシエ(ラビリンチュラ属、ラビリンチュロイデス(Labyrinthuloides)属、もしくはラビリントミキサ(Lbyrinthomyxa)属)。また、以下の属が、スラウストキトリアシエ科およびラビリンチュラシエ科のいずれかに時に含まれ:アルトニア(Althornia)、コラロクライトリウム(Coralloclaytrium)、ジプォフィリス(Diplophyrys)、およびピロソルス(Pyrrhosorus)、本発明に関して、スラウストキトリドまたはスラウストキトリアシエ科のメンバーに言及することによって包含される。本発明時において、スラウストキトリドの分類の修正により、ラビリンチュリド属をラビリンチュラシエ科に配置していることが認識され、ストラメノパイル(Stramenopile)系統内に2つの科スラウストキトリアシエおよびラビリンチュラシエが配置することを確認する。上記のように、ラビリンチュラシエは、時にラブリンチュリドもしくはラブリンチュラ(labyrinthula)と共通に呼ばれており、またはラビリンチュロイデスおよびスラウストキトリアシエは、スラウストキトリドと共通に呼ばれているが、本発明の明瞭さのために、スラウストキトリドに関する言及では、ヤブレツボカビ目のいずれのメンバーをも包含し、および/またはスラウストキトリアシエおよびラビリンチュラシエの両方のメンバーを含むことに留意されたい。最近の分類変更を下記に要約する。
本明細書に開示される特定の単細胞生物の株は、ヤブレツボカビ目のメンバーである。スラウストキトリドは、進化する分類学的変遷をもつ海洋真核生物である。スラウストキトリドの分類学的配置についての問題は、Moss(1986)、BahnwebおよびJackle(1986)並びにChamberlainおよびMoss(1988)により概説されている。
便宜上、スラウストキトリドは、最初、分類学者により藻菌類(Phycomycetes)(藻類様真菌)における他の無色遊走子真核生物と定められた。しかし、藻菌類(Phycomycetes)という名前は、最終的に分類学的地位から落とされ、スラウストキトリドは、卵菌類(Oomycetes)(二鞭毛遊走子の真菌)に保持された。卵菌類(Oomycetes)は不等毛藻類に関連していると最初に想定され、最終的に、Barr(Barr, 1981, Biosystems 14:359-370)により概説されているが、広範囲の超微細構造および生化学的研究がこの想定を裏付けた。卵菌類(Oomycetes)は、事実上、Leedale(Leedale, 1974, Taxon 23:261-270)および他の藻類学者により不等毛藻類の群として認められた。しかし、卵菌類(Oomycetes)およびスラウストキトリドは、これらの従属栄養の性質に起因する便宜上、藻類学者(藻類を研究する科学者)よりもむしろ、菌学者(真菌を研究する科学者)により、十分に研究されてきた。
別の分類学的観点から、進化生物学者は、いかにして真核生物は進化したかについての考えの2つの一般的な学派を発展させてきた。一つの学説は、一連の内部共生を通しての膜結合型細胞小器官の外来性起源を提案している(Margulis, 1970, Origin of Eukaryotic Cells. Yale University Press, New Haven);たとえば、ミトコンドリアは細菌の内部共生に由来し、葉緑体は藍色植物に、および鞭毛はスピロヘータに由来した。他方の学説は、自生過程による、原核生物の祖先の非膜結合型系からの膜結合型細胞小器官の漸進的進化を示唆している(Cavalier-Smith, 1975, Nature(Lond.) 256:462-468)。しかし、進化生物学者の両グループは、卵菌類(Oomycetes)およびスラウストキトリドを真菌から除去し、それらを有色植物界(Chromophyta)(Cavalier-Smith, 1981, BioSystems 14:461-481)(この界は、より最近に、他の原生生物を含むように拡大され、この界のメンバーは現在、ストラメノパイルと呼ばれている)における有色植物藻類かまたはプロトクチスタ(Protoctista)界における全藻類に定めている(MargulisおよびSagen, 1985, Biosystems 18:141-147)。
電子顕微鏡の発達により、スラウストキトリドの2つの属、スラウストキトリウムおよびシゾキトリウム(Perkins, 1976, pp.279-312「Recent Advances in Aquatic Mycology」(ed. E.B.G. Jones), John Wiley & Sons, New York; Kazama, 1980, Can J. Bot. 58:2434-2446; Barr, 1981, Biosystems 14:359-370)の遊走子の超微細構造についての研究により、スラウストキトリアシエが卵菌類(Oomycetes)にわずかに遠く関連しているのみという有力な証拠が提供された。さらに、5-SリボソームRNA配列の一致分析(多変量統計学の型)を表す遺伝子データにより、ヤブレツボカビは明らかに、真菌と完全に区別される、真核生物の独自の群であり、赤色および茶色藻類、並びに卵菌類(Oomycetes)のメンバーに最も近く関連していることが示されている(Mannella et al., 1987, Mol. Evol. 24:228-235)。ほとんどの分類学者は、スラウストキトリドを卵菌類(Oomycetes)から除去することに同意した(Bartnicki-Garcia, 1987, pp. 389-403「Evolutionary Biology of the Fungi」(ed. Rayner, A.D.M., Brasier, C.M. & Moore, D.), Cambridge University Press, Cambridge)。
要約すると、カバリエル-スミスの分類体系(Cavalier-Smith, 1981, BioSystems 14:461-481, 1983; Cavalier-Smith, 1993, Microbiol Rev. 57:953-994)を用いて、スラウストキトリドは、有色植物界(Chromophyta)(ストラメノパイル)における有色植物藻類に分類されている。この分類学的配置は、より最近では、不等毛門(Heterokonta)の18S rRNAシグナチャーを用いてスラウストキトリドが真菌ではないクロミスト(chromists)であることを実証し、カバリエル-スミス(Cavalier-Smith)らにより再確認された(Cavalier-Smith et al., 1994, Phil. Tran. Roy. Soc. London Series BioSciences 346:387-397)。これは、それらを真正真菌界にすべてが配置されている真菌とは完全に異なる界に配置している。
現在、71の真核生物(パターソン1999)の異なった群があり、これらの群の中で、4つの主要系統が、いくらかの信頼度で同定された:(1)アルベオラテス(Alveolates)、(2)ストラメノパイル、(3)陸生植物-緑藻類-紅藻類灰色植物(「植物」)クレード、および(4)オピストコント(Opisthokont)クレード(真菌および動物)。以前は、これらの4つの主要系統は、界とラベルされたであろうが、「界」概念の使用は、もはや一部の研究者には有用であると考えられない。
Armstrongによって述べられているように、ストラメノパイルは、3分割された管状の髪をいい、この系統の大部分のメンバーは、このような髪を有する鞭毛を有する。ストラメノパイルの運動細胞(単細胞生物、精子、動物気孔(zoopores))は、非対称の2つの横に挿入された鞭毛で、1つの長く、鞭毛の推力を逆転させる3分割された管状の髪を有するものと、1つの短い滑らかなものを有する。以前に、本群があまり広くなかったときは、これらの群は、黄緑藻類、黄藻類、ユースティグマトフィセテス(Eustigmatophytes)、およびケイ藻綱とともに、褐藻類(Brown Algae)または褐藻類(Phaeophytes)からなっていたので、ストラメノパイルは、界:有色植物界(Kingdom Chromista)または不等毛(=異鞭毛)藻類と呼ばれていた。その後、いくつかの有機栄養性の、真菌様の生物、水生菌類、およびラブリンチュリド(アメーバ状生活環をもつもの)が、同様の運動細胞を有することを見いだし、そして、光合成色素または藻に記載の群名は、不適当になった。現在、ストラメノパイル系統内の科のうちの2つは、ラビリンチュラシエおよびスラウストキトリアシエである。歴史的に、これらの独特の微生物のために多くの分類ストラテジーがあり、これらは、たいてい同じ目に分類されている(すなわち、ヤブレツボカビ)。これらの群のメンバーの関係は、なおも進化している。PorterおよびLeanderは、一元性にスラウストキトリド-ラビリンチュリド・クレードを示す18S小サブユニット・リボソームDNAに基づいてデータを開発した。しかし、クレードは、2つの枝分れによって支持されており;第1のものは、3つの種ストラウトキトリウムおよびウルケニア・プロフンダ(Ulkenia profunda)を含み、第2のものは、3種のラビリンチュラ、2種のラビリンチュロイデス、およびシゾキトリウム・アグレガツムを含む。
従って、本発明に使用されるスラウストキトリドの分類学的配置を以下に要約する:
界:有色植物界(Chromophyta)(ストラメノパイル)
門:不等毛門(Heterokonta)
目:ヤブレツボカビ(ヤブレツボカビ)
科:スラウストキトリアシエまたはラビリンチュラシエ
属:スラウストキトリウム、シゾキトリウム、ジャポノチトリウム、アプラノキトリウム、エリナ、ラビリンチュラ、ラビリンチュロイデス、またはラビリンチュロミクサ。
ある初期の分類学者らは、スラウストキトリウム属(アメーバ状生活環をもつもの)の数個の最初のメンバーをウルケニアと呼ばれる異なる属へと分別した。しかし、すべてではないにしても、ほとんどのスラウストキトリド(スラウストキトリウムおよびシゾキトリウムを含む)は、アメーバ状期を示すことが現在知られており、そのためウルケニアは、一部の人たちには妥当な属であるとみなされていない。本明細書において使用されるスラウストキトリウム属は、ウルケニアを含むものとする。
門および界の上級分類内での分類学的配置の不確定性にもかかわらず、スラウストキトリドは、そのメンバーが依然としてヤブレツボカビ目内に分類される示差的かつ特徴的な群に残っている。
シゾキトリウムは、DHAおよびドコサペンタエン酸(DPA;22:5 ω-6)の豊富な大量のトリアシルグリセロールを蓄積するスラウストキトリド海洋微生物である;たとえば、乾燥重量で30% DHA + DPA(Barclay et al., J. Appl. Phycol. 6, 123(1994))。伸長/脱飽和経路によって20炭素および22炭素PUFAを合成する真核生物では、18炭素、20炭素、および22炭素の中間体のプールは、比較的大きく、その結果、[14C]-酢酸塩を使用するインビボでの標識化実験により、予想された中間体についての前駆体-産物の動力学が明らかにされる(Gellerman et al., Biochim. Biophys. Acta 573:23(1979))。さらに、このような生物へ外因的に供給された放射標識された中間体は、最終PUFA産物へ変換される。本発明により、[1-14C]-酢酸塩がシゾキトリウム細胞により急速に取り込まれて脂肪酸へと組み込まれたが、最短の標識化時間(1分)で、DHAは脂肪酸内に回収された標識の31%を含んでおり、この割合(%)は、[14C]酢酸塩取り込みの10分〜15分およびその後の培養増殖の24時間の間に本質的に変化しないままであったことが示された。同様に、DPAは、実験を通じて標識の10%を示した。16炭素または18炭素脂肪酸と22炭素高度不飽和脂肪酸との間の前駆体産物の関係についての証拠はない。これらの結果は、きわめて少ない(おそらく、酵素結合型の)中間体のプールを含む[14C]酢酸塩からのDHAの急速な合成と一致する。シゾキトリウム培養物から得られた細胞を含まないホモジネートは、[1-14C]-マロニル-CoAをDHA、DPA、および飽和脂肪酸へ取り込んだ。同じ生合成活性は、100,000xg上清画分により保持されたが、膜ペレットには存在しなかった。このように、シゾキトリウムにおけるDHAおよびDPA合成は、他の真核生物について記載されているもののような(Parker-Barnes et al., 2000、前記;Shanklin et al., 1998、前記)膜結合型のデサチュラーゼまたは脂肪酸伸長酵素を必要としない。これらの分画データは、シュワネラ酵素から得られたもの(Metz et al., 2001、前記を参照されたい)とは異なり、シゾキトリウム酵素による、CoAなどの異なる(可溶性)アシルアクセプター分子の使用を示している可能性がある。
米国特許第6,566,583号では、シゾキトリウム由来のcDNAライブラリーが構築され、約8,500個のランダムクローン(EST)が配列決定された。図2に示されているシュワネラPKS遺伝子の11個のドメインのうちの8個と相同性を示した配列は、すべて、0.2%〜0.5%の頻度で同定された。米国特許第6,566,583号では、シュワネラPKS遺伝子と相同性を示す数個のcDNAクローンが配列決定され、様々なクローンが、2つの部分的オープンリーディングフレームおよび1つの完全オープンリーディングフレームを表す核酸配列に構築された。
さらに、本発明者らによるcDNAおよびゲノムクローンのシーケンシングにより、OrfA、OrfB、およびOrfCのそれぞれの完全長ゲノム配列の同定並びにシュワネラにおけるそれらと相同性をもつドメインの完全な同定が可能になった(図2を参照されたい)。これらの遺伝子は、上記米国特許出願第10/124,800号、前記に詳述され、下記にいくらか詳細に記載される。
本発明者らは、今回スラウストキトリウム属のスラウストキトリドの相同的なOrfの全長ゲノム配列(特に、スラウストキトリウム種、23B(ATCC20892))を同定し、クローン化し、および配列決定し、このスラウストキトリウムのPUFA PKS系を含むドメインを同定した。
シュワネラのPUFA PKS系のドメインを有するシゾキトリウムのPUFA PKS系のドメインの比較に基づいて、明らかに、シゾキトリウムゲノムは、EPA合成を触媒することができるシュワネラのタンパク質に非常に類似するタンパク質をコードする。シゾキトリウムのタンパク質は、DHAおよびDPA合成を触媒するPUFA PKS系を構成する。シュワネラに関して同定された反応スキームの単純な改変により、シゾキトリウムでのDHA合成が可能になるであろう。原核生物のシュワネラと真核生物のシゾキトリウム遺伝子の間の相同性は、PUFA PKSが横方向の遺伝子移入を受けたことを示唆する。
同様の比較をスラウストキトリウムに対しても行うことができる。米国特許出願第10/124,800号、前記に記載されているように、全例において、スラウストキトリウム 23B(Th.23B)PUFA PKSタンパク質またはドメインのその他の公知の配列に対する比較により、最も近いマッチ(match)は、シゾキトリウム PUFA PKSタンパク質(OrfA、B、もしくはC、またはこれらに由来するドメイン)のうちの1つであったことが明らかにされた。全例において次に最も接近したマッチは、海洋細菌由来(シュワネラSCRC-2738、シュワネラ・オネイデンシス(Shewanella oneidensis)、フォトバクター・プロファンダム(Photobacter profundum)、およびモリテラ・マリーナ)、または窒素固定シアノバクテリアに見られる関連した系由来(たとえば、ノストク・パンクチフォルメ(Nostoc punctiforme)およノストク種(Nostoc sp.)PCC 7120)のPUFA PKSタンパク質のうちの1つであった。シアノバクテリア酵素系の産物は、二重結合を欠いており、タンパク質は、シス二重結合形成に関与するDHドメインに関連したドメイン(すなわち、FabA関連DHドメイン)を欠いている。
本発明によれば、「オープンリーディングフレーム」という句は、略語「OrF」によって示される。また、オープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質は、「ORF」として全て大文字の文字に示すこともでき、オープンリーディングフレームの核酸配列は、「orf」として全て小文字の文字で示すこともできることに留意されたい。しかし、整合性のために、「Orf」のつづりは、核酸配列またはこれによりコードされるタンパク質のいずれかを記載するために優先して本明細書に使用される。タンパク質または核酸配列をいうかどうかは、本用語の使用法の前後関係から明らかであろう。
シゾキトリウムPUFA PKS
図1は、シゾキトリウムPUFA PKS系由来の3つのオープンリーディングフレームの図式表示であり、このPUFA PKS系のドメイン構造を含む。米国特許出願第10/124,800号に記載されているように、各オープンリーディングフレームのドメイン構造は以下の通りである:
オープンリーディングフレームA(OrfA):
OrfAのための完全なヌクレオチド配列は、本明細書においてSEQ ID NO:1と表される。OrfAは、本明細書にSEQ ID NO:2として表されている2910個のアミノ酸配列をコードする8730個のヌクレオチド配列(停止コドンを含まず)である。OrfA内には、12個のドメインがある:(a)1個のβ-ケトアシル-ACPシンターゼ(KS)ドメイン;(b)1個のマロニル-CoA:ACPアシルトランスフェラーゼ(MAT)ドメイン;(c)9個のアシルキャリアータンパク質(ACP)ドメイン;および(d)1個のβ-ケトアシル-ACPレダクターゼ(KR)ドメイン。OrfAのヌクレオチド配列は、アクセッション番号AF378327(アミノ酸配列アクセッション番号AAK728879)としてGenBankに寄託されている。
シゾキトリウムOrfAにおける第一のドメインは、β-ケトアシル-ACPシンターゼ(KS)ドメインであり、本明細書ではOrfA-KSとも呼ばれる。このドメインは、SEQ ID NO:1(OrfA)の約1位〜約40位の間の起点から、SEQ ID NO:1の約1428位〜約1500位の間の終点まで及ぶヌクレオチド配列内に含まれている。OrfA-KSドメインをコードする配列を含むヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:7(SEQ ID NO:1の1位〜1500位)として表されている。KSドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2の約1位〜約14位の間の起点から、SEQ ID NO:2の約476位〜約500位の間の終点まで及ぶ。OrfA-KSドメインを含むアミノ酸配列は、本明細書にSEQ ID NO:8(SEQ ID NO:2の1位〜500位)として表されている。OrfA-KSドメインが、活性部位モチーフ:DXAC*(*アシル結合部位C215)を含むことに留意されたい。
本発明によれば、β-ケトアシル-ACPシンターゼ(KS)生物活性(機能)を有するドメインまたはタンパク質は、FAS(およびPKS)伸長反応サイクルの初期段階を行う酵素として特徴付けられる。「β-ケトアシル-ACPシンターゼ」という用語は、「3-ケトアシル-ACPシンターゼ」、「β-ケトアシル-ACPシンターゼ」、および「ケト-アシルACPシンターゼ」、および同様の誘導体によって交換可能に使用される。伸長のために予定されているアシル基は、チオエステル結合によりその酵素の活性部位でのシステイン残基に連結されている。多段階反応において、アシル-酵素は、マロニル-ACPとの縮合を受けて、-ケトアシル-ACP、CO2および遊離の酵素を形成する。KSは、伸長サイクルにおいて鍵となる役割を果たし、多くの系において、反応サイクルの他の酵素より強い基質特異性をもっていることが示された。たとえば、大腸菌(E. coli)は、3つの別個のKS酵素を有する。それぞれ、その生物の生理機能においてそれ自身特定の役割をもつ(Magnuson et al., Microbiol. Rev. 57, 522(1993))。PUFA-PKS系の2つのKSドメインは、PUFA生合成反応配列において別個の役割を持つことができた。
酵素の種類として、KS類は十分に特徴付けられてきた。多くの実証されたKS遺伝子の配列が知られており、その活性部位モチーフが同定され、いくつかの結晶構造が決定された。タンパク質(またはタンパク質のドメイン)は、公知のKS配列との相同性によって酵素のKSファミリーに属するものと容易に同定することができる。
OrfAにおける第二のドメインは、マロニル-CoA:ACPアシルトランスフェラーゼ(MAT)ドメインであり、本明細書ではOrfA-MATとも呼ばれる。このドメインは、SEQ ID NO:1(OrfA)の約1723位〜約1798位の間の起点から、SEQ ID NO:1の約2805位〜約3000位の間の終点まで及ぶヌクレオチド配列内に含まれている。OrfA-MATドメインをコードする配列を含むヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:9(SEQ ID NO:1の1723位〜3000位)として表されている。MATドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2(OrfA)の約575位〜約600位の間の起点から、SEQ ID NO:2の約935位〜約1000位の間の終点まで及ぶ。OrfA-MATドメインを含むアミノ酸配列は、本明細書にSEQ ID NO:10(SEQ ID NO:2の575位〜1000位)として表されている。OrfA-MATドメインが、活性部位モチーフ:GHS*XG(*アシル結合部位S706)を含むことは注目され、本明細書にSEQ ID NO:11として表されている。
本発明によれば、マロニル-CoA:ACPアシルトランスフェラーゼ(MAT)生物活性(機能)を有するドメインまたはタンパク質は、マロニル部分をマロニル-CoAからACPへ転移するものとして特徴付けられる。「マロニル-CoA:ACPアシルトランスフェラーゼ」という用語は、「マロニル・アシルトランスフェラーゼ」および同様の誘導体と交換可能に使うことができる。活性部位モチーフ(GxSxG)に加えて、これらの酵素は、それらをMAT酵素と同定する(シゾキトリウムOrfBのATドメインと対比して)拡張モチーフ(extended motif)(重要な位置のRおよびQアミノ酸)を有する。いくつかのPKS系(しかし、PUFA PKSドメインではない)において、MATドメインは、優先的にメチル-マロネートまたはエチル-マロネートをACP群へと(対応するCoAエステルから)載せ、それにより、直鎖状炭素鎖へ分枝を導入する。MATドメインは、公知のMAT配列とのこれらの相同性およびこれらの拡張モチーフ構造により認識され得る。
OrfAのドメイン3〜11は、9個の直列型アシルキャリアータンパク質(ACP)ドメインであり、本明細書ではOrfA-ACP(その配列の第一ドメインはOrfA-ACP1、第二ドメインはOrfA-ACP2、第三ドメインはOrfA-ACP3など)とも呼ばれる。第一ACPドメイン、OrfA-ACP1は、SEQ ID NO:1(OrfA)の約3343位〜約3600位まで及ぶヌクレオチド配列内に含まれる。OrfA-ACP1ドメインをコードする配列を含むヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:12(SEQ ID NO:1の3343位〜3600位)として表されている。第一ACPドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2の約1115位〜約1200位まで及ぶ。OrfA-ACP1ドメインを含むアミノ酸配列は、本明細書にSEQ ID NO:13(SEQ ID NO:2の1115位〜1200位)として表されている。OrfA-ACP1ドメインが活性部位モチーフ:LGIDS*(*パンテテイン結合モチーフS1157)を含むことは注目され、本明細書にSEQ ID NO:14により表されている。
すべての9個のACPドメインのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、高度に保存されており、それゆえ、各ドメインについての配列は、本明細書には個々の配列識別名により表されていない。しかし、本明細書に開示されている情報に基づいて、当業者は、他の8個のACPドメインのそれぞれを含む配列を容易に決定することができる(下記の考察を参照されたい)。
すべての9個のACPドメインは合わせて、SEQ ID NO:2の約1095位〜約2096位までのアミノ酸に対応するSEQ ID NO:1の約3283位〜約6288位までのOrfAの領域に及ぶ。すべての9個のドメインを含む全ACP領域についてのヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:16として表されている。SEQ ID NO:16により表されている領域は、個々のACPドメイン間のリンカー・セグメントを含む。その9個のドメインについての繰り返し間隔は、SEQ ID NO:16のおよそ330個のヌクレオチドごとである(隣接した活性部位セリン間を測定されたアミノ酸の実際の数は104個〜116個までのアミノ酸の範囲である)。9個のACPドメインのそれぞれは、パンテテイン結合モチーフLGIDS
*(本明細書にSEQ ID NO:14により表されている)を含み、S
*はパンテテイン結合部位セリン(S)である。パンテテイン結合部位セリン(S)は、各ACPドメイン配列の中央近くに位置する。ACPドメイン領域の各末端および各ACPドメイン間では、プロリン(P)およびアラニン(A)に高度に富んだ領域であり、リンカー領域であると考えられる。たとえば、ACPドメイン1と2の間は、配列:
であり、本明細書にSEQ ID NO:15として表されている。SEQ ID NO:2のアミノ酸配列に関して、9個のACPドメインのそれぞれについての活性部位セリン残基(すなわち、パンテテイン結合部位)の位置は以下の通りである:ACP1 = S
1157; ACP2 = S
1266; ACP3 = S
1377; ACP4 = S
1488; ACP5 = S
1604; ACP6 = S
1715; ACP7 = S
1819; ACP8 = S
1930; およびACP9 = S
2034。ACPドメインの平均サイズが、リンカーを除いて約85個のアミノ酸、リンカーを含めて約110個のアミノ酸であり、活性部位セリンがほぼドメインの中央にあるとすれば、当業者は、OrfAにおける9個のACPドメインのそれぞれの位置を容易に決定することができる。
本発明によれば、アシルキャリアータンパク質(ACP)生物活性(機能)を有するドメインまたはタンパク質は、そのタンパク質の共有結合的に結合している補因子へのチオエステル結合を介して脂肪アシル鎖を伸ばすための担体として機能する小ポリペプチド(典型的には、80個〜100個のアミノ酸長)として特徴付けられる。これらは、単独のユニットとして、またはより大きなタンパク質内のドメインとして生じる。ACPは、ACPの高度に保存されたセリン残基へのCoAのホスホパンテテイニル部分の転移により、不活性のアポ型から機能するホロ型へと変換される。アシル基は、そのホスホパンテテイニル部分の遊離末端でチオエステル結合によりACPに付着される。ACPは、放射性パンテテインでの標識化および公知のACPとの配列相同性により同定することができる。また、上記で言及したモチーフ(LGIDS*)の変異の存在もACPのサインである。
OrfAにおけるドメイン12はβ-ケトアシル-ACPレダクターゼ(KR)ドメインであり、本明細書ではOrfA-KRとも呼ばれる。このドメインは、SEQ ID NO:1の約6598位の起点から、SEQ ID NO:1の約8730位の終点まで及ぶヌクレオチド配列内に含まれている。OrfA-KRドメインをコードする配列を含むヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:17(SEQ ID NO:1の6598位〜8730位)として表されている。KRドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2(OrfA)の約2200位の起点から、SEQ ID NO:2の約2910位の終点まで及ぶ。OrfA-KRドメインを含むアミノ酸配列は、本明細書にSEQ ID NO:18(SEQ ID NO:2の2200位〜2910位)として表されている。KRドメイン内には、短鎖アルデヒド-デヒドロゲナーゼ(KRはこのファミリーのメンバーである)と相同性を有するコア領域がある。このコア領域は、SEQ ID NO:1の約7198位〜約7500位まで及び、SEQ ID NO:2のアミノ酸2400位〜2500位に対応している。
本発明によれば、β-ケトアシル-ACPレダクターゼ(KR)活を有するドメインまたはタンパク質は、ACPの3-ケトアシル型のピリジン-ヌクレオチド-依存性還元を触媒するものとして特徴付けられる。「β-ケトアシル-ACPレダクターゼ」という用語は、用語「ケトレダクターゼ」、「3-ケトアシル-ACPレダクターゼ」、「ケト-アシルACPレダクターゼ」、および本用語の同様の誘導体と交換可能に使用することができる。これは、新規の脂肪酸生合成伸長サイクルおよびポリケチド生合成においてしばしば行われる反応における最初の還元段階である。有意な配列類似性は、エノイル-ACPレダクターゼ(ER)の1ファミリー、FASの他のレダクターゼ(しかし、PUFA PKS系に存在するERファミリーではない)、および短鎖アルコールデヒドロゲナーゼファミリーで観察される。上記で示されているPUFA PKS領域のPfam分析は、そのコア領域における短鎖アルコールデヒドロゲナーゼファミリーとの相同性を明らかにする。同じ領域のBlast分析では、公知のKR酵素とのコア領域における整合、並びに他の特徴付けられたPUFA PKS系由来のドメインと相同性の拡張された領域を明らかにする。
オープンリーディングフレームB(OrfB):
OrfBの完全なヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:3として表されている。OrfBは、本明細書にSEQ ID NO:4として表されている2059個のアミノ酸配列をコードする6177個のヌクレオチド配列(停止コドンを含まず)である。OrfB内には、4つのドメイン:(a)1個のβ-ケトアシル-ACPシンターゼ(KS)ドメイン;(b)1個の鎖伸長因子(CLF)ドメイン;(c)1個のアシルトランスフェラーゼ(AT)ドメイン;および(d)1個のエノイルACP-レダクターゼ(ER)ドメインがある。OrfBについてのヌクレオチド配列は、アクセッション番号AF378328(アミノ酸配列アクセッション番号AAK728880)としてGenBankに寄託されている。
OrfBにおける第一ドメインはβ-ケトアシル-ACPシンターゼ(KS)ドメインであり、本明細書ではOrfB-KSとも呼ばれる。このドメインは、SEQ ID NO:3(OrfB)の約1位〜約43位の間の起点から、SEQ ID NO:3の約1332位〜約1350位の間の終点まで及ぶヌクレオチド配列内に含まれている。OrfB-KSドメインをコードする配列を含むヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:19(SEQ ID NO:3の1位〜1350位)として表されている。KSドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:4(OrfB)の約1位〜約15位の間の起点から、SEQ ID NO:4の約444位〜約450位の間の終点まで及ぶ。OrfB-KSドメインを含むアミノ酸配列は、本明細書にSEQ ID NO:20(SEQ ID NO:4の1位〜450位)として表されている。OrfB-KSドメインが、活性部位モチーフ:DXAC*(*アシル結合部位C196)を含むことは注目される。KS生物活性およびそのような活性をもつタンパク質またはドメインを同定する方法は、上に記載されている。
OrfBにおける第二ドメインは鎖長因子CLFドメインであり、本明細書ではOrfB-CLFとも呼ばれる。このドメインは、SEQ ID NO:3(OrfB)の約1378位〜約1402位の間の起点から、SEQ ID NO:3の約2682位〜約2700位の間の終点まで及ぶヌクレオチド配列内に含まれている。OrfB-CLFドメインをコードする配列を含むヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:21(SEQ ID NO:3の1378位〜2700位)として表されている。CLFドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:4(OrfB)の約460位〜約468位の間の起点から、SEQ ID NO:4の約894位〜約900位の間の終点まで及ぶ。OrfB-CLFドメインを含むアミノ酸配列は、本明細書にSEQ ID NO:22(SEQ ID NO:4の460位〜900位)として表されている。OrfB-CLFドメインがアシル結合システインを含まないKS活性部位モチーフを含むことに留意されたい。
本発明によれば、以下の原理に基づくドメインまたはタンパク質は、鎖伸長因子(CLF)と呼ばれる。CLFは、当初は、II型(解離した酵素)PKS系の特性として記載され、伸長サイクルの数を決定し、ゆえに最終産物の鎖長を決定する際に役割を果たしているものと仮定された。CLFアミノ酸配列は、KSドメインと相同性を示し(また、KSタンパク質とヘテロ二量体を形成すると考えられた)、しかし、これらは活性部位システインが欠如している。PKS系におけるCLFの役割は、目下、議論の余地がある。新たな証拠(C. Bisang et al., Nature 401, 502(1999))より、PKS系をプライミングすること(伸長させるための最初のアシル基を供給する)における役割が示唆されている。この役割において、CLFドメインは、マロネート(マロニル-ACPのような)からカルボキシル基を除去し、このようにKS活性部位へ転移され得る酢酸基を形成すると考えられる。したがって、この酢酸は、最初の伸長(縮合)反応を受けうる「プライミング」分子として作用する。II型CLFの相同体は、いくつかのモジュラーPKS系において「ローディング」ドメインとして同定された。CLFの配列特徴をもつドメインは、現在同定されているPUFA PKS系のすべてにおいて見出され、各場合においては、多領域タンパク質の一部として見出されている。
OrfBにおける第三ドメインはATドメインであり、本明細書ではOrfB-ATとも呼ばれる。このドメインは、SEQ ID NO:3(OrfB)の約2701位〜約3598位の間の起点から、SEQ ID NO:3の約3975位〜約4200位の間の終点まで及ぶヌクレオチド配列内に含まれている。OrfB-ATドメインをコードする配列を含むヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:23(SEQ ID NO:3の2701位〜4200位)として表されている。ATドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:4(OrfB)の約901位〜約1200位の間の起点から、SEQ ID NO:4の約1325位〜約1400位の間の終点まで及ぶ。OrfB-ATドメインを含むアミノ酸配列は、本明細書にSEQ ID NO:24(SEQ ID NO:4の901位〜1400位)として表されている。OrfB-ATドメインが、アシルトランスフェラーゼ(AT)タンパク質の特性を示すGxS*xG(*アシル結合部位S1140)の活性部位モチーフを含むことに留意されたい。
「アシルトランスフェラーゼ」または「AT」は、多数の別個のアシル転移反応を行うことができる酵素の一般的クラスを指す。「アシルトランスフェラーゼ」という用語は、「アシルトランスフェラーゼ」という用語と交換可能に使用することができる。シゾキトリウムドメインは、現在調べられた他のPUFA PKS系のすべてに存在するドメインと十分な相同性を示し、その特定の機能が同定されたいくつかのアシルトランスフェラーゼ(たとえば、マロニル-CoA:ACPアシルトランスフェラーゼ、MAT)と非常に弱い相同性を示す。MATとその弱い相同性があるにもかかわらず、このATドメインは、これがそのような酵素に特有な拡張モチーフ構造をもたないことから、MATとして機能するとは考えられない(上記のMATドメインの記載を参照されたい)。この開示を目的として、PUFA PKS系におけるATドメインの機能は、以下のものを含むが限定されない:OrfA ACPドメインから水への脂肪アシル基の転移(すなわち、チオエステラーゼ-脂肪アシル基を遊離脂肪酸として放出すること)、CoAのようなアクセプターへの脂肪アシル基の転移、様々なACPドメイン中のアシル基の転移、または脂肪親和性アクセプター分子(たとえば、リゾホスファチジン酸)への脂肪アシル基の転移。
OrfBの第四ドメインは、ERドメインであり、本明細書ではOrfB-ERとも呼ばれる。このドメインは、SEQ ID NO:3(OrfB)の約4648位の起点からSEQ ID NO:3の約6177位の終点まで及ぶヌクレオチド配列内に含まれている。OrfB-ERドメインをコードする配列を含むヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:25(SEQ ID NO:3の4648位〜6177位)として表されている。ERドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:4(OrfB)の約1550位の起点からSEQ ID NO:4の約2059位の終点まで及ぶ。OrfB-ERドメインを含むアミノ酸配列は、本明細書にSEQ ID NO:26(SEQ ID NO:4の1550位〜2059位)として表されている。
本発明によれば、このドメインは、エノイル-レダクターゼ(ER)生物活性を有する。本発明によれば、「エノイル-ACPレダクターゼ」という用語は、「エノイルレダクターゼ」、「エノイルACP-レダクターゼ」、および「エノイルアシル-ACPレダクターゼ」と交換可能に使用することができる。ER酵素は、脂肪アシル-ACPにおけるトランス二重結合(DH活性により導入された)を還元し、結果として、これらの炭素を完全に飽和することになる。PUFA-PKS系におけるERドメインは、ER酵素の新しく特徴付けられたファミリーと相同性を示す(Heath et al., Nature 406, 145(2000))。HeathおよびRockは、ER酵素のこの新しいクラスを、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)由来の関心対象の遺伝子をクローニングし、その遺伝子によって発現されたタンパク質を精製し、インビトロのアッセイにおいてこれがER活性を有することを示すことによって同定した。OrfBのシゾキトリウムERドメインの配列は、S. ニューモニエERタンパク質と相同性を示す。現在調べられたPUFA PKS系のすべては、シゾキトリウムERドメインと非常に高い配列相同性をもつ少なくとも1つのドメインを含む。シゾキトリウムPUFA PKS系は、2個のERドメインを含む(1個はOrfB上に、1個はOrfC上)。
オープンリーディングフレームC(OrfC):
OrfCについての完全なヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:5として表されている。OrfCは、1503個のアミノ酸配列をコードする4509個のヌクレオチド配列(停止コドンを含まず)であり、本明細書にSEQ ID NO:6として表されている。OrfC内には、3個のドメイン:(a)2個のFabA様β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ(DH)ドメイン;および(b)1個のエノイルACP-レダクターゼ(ER)ドメインがある。OrfCについてのヌクレオチド配列は、アクセッション番号AF378329(アミノ酸配列アクセッション番号AAK728881)としてGenBankに寄託されている。
OrfCにおける第一ドメインはDHドメインであり、本明細書ではOrfC-DH1とも呼ばれる。これは、OrfCにおける2個のDHドメインのうちの1つであり、それゆえ、DH1と名付けられる。このドメインは、SEQ ID NO:5(OrfC)の約1位〜約778位の間の起点から、SEQ ID NO:5の約1233位〜約1350位の間の終点まで及ぶヌクレオチド配列内に含まれている。OrfC-DH1ドメインをコードする配列を含むヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:27(SEQ ID NO:5の1位〜1350位)として表されている。DH1ドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:6(OrfC)の約1位〜約260位の間の起点からSEQ ID NO:6の約411位〜約450位の間の終点まで及ぶ。OrfC-DH1ドメインを含むアミノ酸配列は、本明細書にSEQ ID NO:28(SEQ ID NO:6の1位〜450位)として表されている。
本発明によれば、このドメインは、FabA様β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ(DH)生物活性を有する。「FabA様β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ」という用語は、「FabA様β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ」、「β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ」、「デヒドラーゼ」、および類似する誘導体という用語と交換可能に使用することができる。PUFA PKS系における両方のDHドメイン(DH2については下記を参照されたい)の特性は、上述の節に記載されている。このクラスの酵素は、β-ケトアシル-ACPからHOHを除去し、その炭素鎖にトランス二重結合を残す。PUFA PKS系のDHドメインは、(他のPKS系のDHドメインとよりもむしろ)FAS系に関連する細菌のDH酵素と相同性を示す。細菌のDH、FabA様DHサブセットは、シス-トランスイソメラーゼ活性を有する(Heath et al., J. Biol. Chem., 271, 27795(1996))。これは、DHドメインの1つまたは両方がPUFA PKS産物におけるシス二重結合の挿入の原因であることを示すFabA様DHに対して類似性がある。
OrfCにおける第二ドメインはDHドメインであり、本明細書ではOrfC-DH2とも呼ばれる。これは、OrfCにおける2個のDHドメインのうちの二番目であり、したがって、DH2と名付けられる。このドメインは、SEQ ID NO:5(OrfC)の約1351位〜約2437位の間の起点からSEQ ID NO:5の約2607位〜約2850位の間の終点まで及ぶヌクレオチド配列内に含まれている。OrfC-DH2ドメインをコードする配列を含むヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:29(SEQ ID NO:5の1351位〜2850位)として表されている。DH2ドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:6(OrfC)の約451位〜約813位の間の起点からSEQ ID NO:6の約869位〜約950位の間の終点まで及ぶ。OrfC-DH2ドメインを含むアミノ酸配列は、本明細書にSEQ ID NO:30(SEQ ID NO:6の451位〜950位)として表されている。DH生物活性は上に記載されている。
OrfCにおける第三ドメインはERドメインであり、本明細書ではOrfC-ERとも呼ばれる。このドメインは、SEQ ID NO:5(OrfC)の約2998位の起点から、SEQ ID NO:5の約4509位の終点まで及ぶヌクレオチド配列内に含まれている。OrfC-ERドメインをコードする配列を含むヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:31(SEQ ID NO:5の2998位〜4509位)として表されている。ERドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:6(OrfC)の約1000位の起点から、SEQ ID NO:6の約1502位の終点まで及ぶ。OrfC-ERドメインを含むアミノ酸配列は、本明細書にSEQ ID NO:32(SEQ ID NO:6の1000位〜1502位)として表されている。ER生物活性は上に記載されている。
スラウストキトリウム23B PUFA PKS
Th. 23Bオープンリーディングフレーム(OrfA)
Th. 23B OrfAは、本明細書にSEQ ID NO:38として表されている。SEQ ID NO:38は、以下のTh. 23B OrfAのドメインをコードする:(a)1個のβ-ケトアシル-ACPシンターゼ(KS)ドメイン;(b)1個のマロニル-CoA:ACPアシルトランスフェラーゼ(MAT)ドメイン;(c)8個のアシルキャリアータンパク質(ACP)ドメイン;および(d)1個のβ-ケトアシル-ACPレダクターゼ(KR)ドメイン。このドメインの組織は、Th. 23B OrfAが8個の隣接したACPドメインを有するが、シゾキトリウム Orf Aは、9個の隣接したACPドメインを有することを除き、シゾキトリウムOrf A(SEQ ID NO:1)に存在するもの同じである。Th. 23B OrfAは、本明細書にSEQ ID NO:39として表されている2811個のアミノ酸配列をコードする8433個のヌクレオチド配列(停止コドンを含まず)である。Th. 23B OrfAアミノ酸配列(SEQ ID NO:39)は、標準BLAST検索(BLASTパラメーター:Blastp、低複雑度フィルターOff、プログラム-BLOSUM62、Gap cost-Existence:11、伸張1;(BLASTは、Altschul, S.F., Madden, T.L., Schaaffer, A.A., Zhang, J., Zhang, Z., Miller, W. & Lipman, D.J. (1997)”Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs”Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載されており、参照として完全に本明細書に組み入れられている)において公知の配列と比較した。アミノ酸レベルにおいて、Th. 23B OrfAに対して最高度の相同性を有する配列は、シゾキトリウム Orf A(gb AAK72879.1)(SEQ ID NO:2)であった。整列は、全てのクエリーにわたって延びるが、2つの部分に分断されている(ACP繰り返しの数の違いによる)。SEQ ID NO:39は、最初にSEQ ID NO:2と共に6〜1985位(8つのACPドメインを含む)で整列させると、SEQ ID NO:2に対して2017個のアミノ酸にわたって54%の配列同一性を示す。また、SEQ ID NO:39をSEQ ID NO:2と共に980〜2811位で整列させると、SEQ ID NO:2に対して1861個のアミノ酸にわたって43%の配列同一性を示す。この第2の整列では、保存されたパンテテイン付着部位モチーフの領域のTh. 23B 8X ACPに対して、マッチは明らかであるが、第1シゾキトリウム ACPドメインを通じて非常に乏しい(すなわち、Th. 23Bのクエリー配列にACPドメインはないが、これらの条件下でのBlastp出力では、いずれにしてもこれらを整列させることを試みる)。SEQ ID NO:39は、シュワネラ ・オネイデンシス(アクセッション番号NP_717214)およびフォトバクター・プロファンダム(アクセッション番号AAL01060)に由来する配列と次に最も近い同一性を示す。
Th. 23B OrfAの第一のドメインはKSドメインであり、本明細書ではTh.23B OrfA-KSとも呼ばれる。KSドメインの機能は、上で詳述した。このドメインは、SEQ ID NO:38の約1位〜約1500位に及ぶヌクレオチド配列内に含まれており、本明細書にSEQ ID NO:40として表されている。Th.23B KSドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:39の約1位〜約500位に及ぶSEQ ID NO:39の領域であり、本明細書にSEQ ID NO:41として表されている。SEQ ID NO:39のこの領域は、SEQ ID NO:39の約1位〜約450位(また、SEQ ID NO:41の約1〜約450位)に及ぶFabB(β-ケトアシル-ACPシンターゼ)に対してPfamマッチを有する。Th. 23B OrfA-KSドメインは、活性部位モチーフ:DXAC*(*アシル結合部位C207)を含むことに留意されたい。また、Th.23B KS領域の終わりの特徴的モチーフGFGGは、SEQ ID NO:39の453〜456位(また、SEQ ID NO:41の453〜456位)に存在する。SEQ ID NO:39の1〜500位に及ぶアミノ酸配列は、496アミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfA(SEQ ID NO:2)と約79%同一である。SEQ ID NO:39の1〜450位に及ぶアミノ酸配列は、446アミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfA(SEQ ID NO:2)と約81%同一である。
Th. 23B OrfAの第二のドメインは、MATドメインであり、本明細書ではTh.23B OrfA-MATとも呼ばれる。MATドメインの機能は、上で詳述した。このドメインは、SEQ ID NO:38の約1503位〜約3000位の間に及ぶヌクレオチド配列内に含まれており、本明細書にSEQ ID NO:42として表されている。Th.23B MATドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:39の約501位〜約1000位に及ぶSEQ ID NO:39の領域であり、本明細書にSEQ ID NO:43として表されている。SEQ ID NO:39のこの領域は、SEQ ID NO:39の約580位〜約900位(また、SEQ ID NO:43の約80〜約400位)に及ぶFabD(マロニルCoA:ACPアシルトランスフェラーゼ)に対してPfamマッチを有する。Th. 23B OrfA-MATドメインは、活性部位モチーフ:SEQ ID NO:39の695〜699位によって表されるGHS*XG(*アシル結合部位S697)を含むことに留意されたい。SEQ ID NO:39の501〜1000位に及ぶアミノ酸配列は、481アミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfA(SEQ ID NO:2)と約46%同一である。SEQ ID NO:39の580〜900位に及ぶアミノ酸配列は、333個のアミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfA(SEQ ID NO:2)と約50%同一である。
Th. 23B OrfAのドメイン3〜10は、8つの直列型のACPドメインであり、本明細書ではTh.23B OrfA-ACP(配列の第一ドメインはOrfA-ACP1、第二ドメインはOrfA-ACP2、第三ドメインはOrfA-ACP3など)とも呼ばれる。ACPドメインの機能は、上で詳述した。第一Th.23B ACPドメイン、Th. 23B OrfA-ACP1は、SEQ ID NO:38(OrfA)の約3205位〜約3555位に及ぶヌクレオチド配列内に含まれており、本明細書にSEQ ID NO:44として表されている。第一Th. 23B ACPドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:39の約1069位〜約1185位に及ぶSEQ ID NO:39の領域であり、本明細書にSEQ ID NO:45として表されている。SEQ ID NO:39の約1069位〜約1185位に及ぶ領域は、85個のアミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfA(SEQ ID NO:2)と約65%同一である。Th. 23B OrfA-ACP1は、シゾキトリウム OrfAの9つのACPドメインのいずれのものとも同様の同一性を有する。
Th. 23B OrfAの8つのACPドメインは、互いに隣接しており、ホスホパンテテイン結合部位モチーフLGXDS*(SEQ ID NO:46によって表される)の存在によって同定することができ、S*は、ホスホパンテテイン結合部位である。SEQ ID NO:39に関して、8つのS*部位のそれぞれのアミノ酸は、1128(ACP1)、1244(ACP2)、1360(ACP3)、1476(ACP4)、1592(ACP5)、1708(ACP6)、1824(ACP7)、および1940(ACP8)である。全ての8個のTh.23B ACPドメインのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、高度に保存されており、それゆえ、各ドメインについての配列は、本明細書には個々の配列識別名により表されていない。しかし、本明細書に開示されている情報に基づいて、当業者は、SEQ ID NO:38およびSEQ ID NO:39のその他の7つのACPドメインのそれぞれを含む配列を容易に決定することができる。
すべての8つのTh. 23B ACPドメインは合わせて、SEQ ID NO:38の約3205位〜約5994位までのTh. 23B OrfAの領域に及び、SEQ ID NO:39の約1069位〜約1998位までのアミノ酸に対応している。すべての8つのドメインを含む全ACP領域についてのヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:47として表されている。SEQ ID NO:47は、本明細書にSEQ ID NO:48により表されているアミノ酸をコードする。SEQ ID NO:48は、個々のACPドメイン間のリンカー・セグメントを含む。8つのドメインについての繰り返し間隔は、SEQ ID NO:48のおよそ116個のヌクレオチドごとであり、それぞれのドメインは、活性部位のモチーフ(上記した)の中央の約116個のアミノ酸からなると考えることができる。シゾキトリウムのOrfAの9つの隣接したACPドメイン間のリンカー領域は、プロリンおよびアラニン残基が高度に濃縮されているが、その一方で、スラウストキトリウムのOrfAの8つの隣接したACPドメイン間のリンカー領域では、セリン残基(およびプロリンまたはアラニン残基)が高度に濃縮されている点に留意されたい。
Th.23B OrfAの最後のドメインは、KRドメインであり、本明細書ではTh.23B OrfA-KRとも呼ばれる。KRドメインの機能は、上で詳述した。このドメインは、SEQ ID NO:38の約6001位〜約8433位に及ぶヌクレオチド配列内に含まれており、本明細書にSEQ ID NO:49によって表されている。Th. 23B KRドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:39のの約2001位〜約2811位に及ぶSEQ ID NO:39の領域であり、本明細書にSEQ ID NO:50により表されている。SEQ ID NO:39のこの領域は、SEQ ID NO:39の約2300〜約2550位に及ぶFabG(β-ケトアシル-ACPレダクターゼ)に対してPfamマッチを有する(SEQ ID NO:50の300〜550位)。SEQ ID NO:39の2001〜2811位に及ぶアミノ酸配列は、831個のアミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfA(SEQ ID NO:2)と約40%同一である。SEQ ID NO:39の2300〜2550位に及ぶアミノ酸配列は、235個のアミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfA(SEQ ID NO:2)と約51%同一である。
Th. 23BオープンリーディングフレームB(OrfB):
Th. 23B OrfBについての完全なヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:51として表されている。SEQ ID NO:51は、 Th. 23B OrfB内に以下のドメインをコードする:(a)1個のβ-ケトアシル-ACPシンターゼ(KS)ドメイン;(b)1個の鎖伸長因子(CLF)ドメイン;(c)1個のアシルトランスフェラーゼ(AT)ドメイン;および(d)1個のエノイルACP-レダクターゼ(ER)ドメイン。このドメイン組織は、シゾキトリウムタンパク質のATとERドメインの間のリンカー領域が約50〜60個のアミノ酸だけTh. 23Bのものよりも長いことを除いて、シゾキトリウム Orf B(SEQ ID NO:3)のものと同じである。また、シゾキトリウムのこのリンカー領域は、セリン残基が高度に濃縮された特異的な領域を有する(これは、領域内のその他のセリンに加えて、15個の隣接したセリン残基を含む)が、その一方で、Th.23B OrfBの対応するリンカー領域は、セリン残基が濃縮されていない。AT/ERリンカー領域のこの違いは、この領域が開始するシゾキトリウムOrfBとTh. 23B OrfBとの間の整列の破壊の原因となる可能性が高い。
Th. 23B OrfBは、1935個のアミノ酸配列をコードする5805個のヌクレオチド配列(停止コドンを含まず)であり、本明細書にSEQ ID NO:52として表されている。Th. 23B OrfBアミノ酸配列(SEQ ID NO:52)を標準的なBLAST検索で公知の配列と比較した(BLASTパラメータ:Blastp、低複雑度フィルターOff、プログラム-BLOSUM62、Gap cost-Existence:11,伸張1;(Altschul, S.F., Madden, T.L., Schaaffer, A.A., Zhang, J., Zhang, Z., Miller, W. & Lipman, D.J. (1997)”Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs.” Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載されたBLAST:参照として完全に本明細書に組み入れられている)において公知の配列と比較した。アミノ酸レベルにおいて、Th. 23B OrfBに対して最高度の相同性を有する配列は、OrfBの大部分にわたって、シゾキトリウム Orf B(gb AAK72880.1)(SEQ ID NO:4)であり、最後のドメインにわたってシゾキトリウム OrfC(gb AAK728881.1)(SEQ ID NO:6)であった(上記したように、整列は、2つの部分に分解される)。SEQ ID NO:52は、最初に10〜約1479位(KS、CLF、およびATドメインを含む)でSEQ ID NO:4と整列され、1483アミノ酸にわたってSEQ ID NO:4に対して52%の配列同一性を示す。SEQ ID NO:52も、1491〜1935位(ERドメインを含む)でSEQ ID NO:6と整列され、448アミノ酸にわたってSEQ ID NO:4に対して64%の配列同一性を示す。
Th. 23B OrfBにおける第一ドメインは、KSドメインであり、本明細書ではTh. 23B OrfB-KSとも呼ばれる。KSドメインの機能は、上で詳述した。このドメインは、SEQ ID NO:51(Th. 23B OrfB)の約1位〜約1500位の間に及ぶヌクレオチド配列内に含まれており、本明細書にSEQ ID NO:53として表されている。Th. 23B KSドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:52の約1位〜約500位の間に及ぶ領域であり、本明細書にSEQ ID NO:54として表されている。SEQ ID NO:52のこの領域は、約1位〜約450位(SEQ ID NO:54の1〜450位)に及ぶFabB(β-ケトアシル-ACPレダクターゼ)に対してPfamマッチを有する。Th. 23B OrfB-KSドメインは、活性部位モチーフ:DXAC*(C*は、アシル基付着の部位であり、C*は、SEQ ID NO:52の201位である)を含むことに留意されたい。また、KS領域の終わりの特徴的モチーフGFGGは、SEQ ID NO:52の434〜437位に存在する。SEQ ID NO:52の1〜500位に及ぶアミノ酸配列は、500アミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfB(SEQ ID NO:4)と約64%同一である。SEQ ID NO:52の1〜450位に及ぶアミノ酸配列は、442アミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfB(SEQ ID NO:4)と約67%同一である。
Th. 23B OrfBにおける第二ドメインはCLFドメインであり、本明細書では、Th. 23B OrfB-CLFとも呼ばれる。CLFドメインの機能は、上で詳述した。このドメインは、SEQ ID NO:51(OrfB)の約1501位から約3000位の間に及ぶヌクレオチド配列内に含まれており、本明細書にSEQ ID NO:55として表されている。CLFドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:52の約501〜約1000位の間に及ぶSEQ ID NO:52の領域であり、本明細書にSEQ ID NO:56として表されている。SEQ ID NO:52のこの領域は、約550位〜約910位(SEQ ID NO:56の50〜410位)に及ぶFabB(β-ケトアシル-ACPレダクターゼ)に対してPfamマッチを有する。CLFは、KSタンパク質に対して相同性を有するが、これは、アシル基がKSタンパク質において付着される活性部位のシステインを欠いている。SEQ ID NO:52の501〜1000位に及ぶアミノ酸配列は、517アミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfB(SEQ ID NO:4)と約49%同一である。SEQ ID NO:52の550〜910位に及ぶアミノ酸配列は、360アミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfB(SEQ ID NO:4)と約54%同一である。
Th. 23B OrfBの第三ドメインは、ATドメインであり、本明細書では、Th. 23B OrfB-ATとも呼ばれる。ATドメインの機能は、上で詳述した。このドメインは、SEQ ID NO:51(Th. 23B OrfB)の約3001位〜4500位の間に及ぶヌクレオチド配列内に含まれており、本明細書にSEQ ID NO:58として表されている。Th. 23B ATドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:52の約1001位〜約1500位に及ぶSEQ ID NO:52の領域であり、本明細書にSEQ ID NO:58として表されている。SEQ ID NO:52のこの領域は、約1100位〜約1375位(SEQ ID NO:58の100〜375位)に及ぶFabD(マロニル-CoA:ACPアシルトランスフェラーゼ)に対してPfamマッチを有する。PUFAシンターゼのこのATドメインは、MATタンパク質に対して相同性を有するが、これは、MAT(重要なアルギニンおよびグルタミン残基)の延長されたモチーフを欠いていおり、これはマロニル-CoA転移に関与するとは考えられない。アシルトランスフェラーゼのGXS*XGのモチーフが存在し、S*は、アシル付着部位であり、SEQ ID NO:52に関して1123位に位置する。SEQ ID NO:52の1001〜1500位に及ぶアミノ酸配列は、459アミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfB(SEQ ID NO:4)と約44%同一である。SEQ ID NO:52の1100〜1375位に及ぶアミノ酸配列は、283アミノ酸にわたってシゾキトリウム OrfB(SEQ ID NO:4)と約45%同一である。
Th. 23B OrfBの第四ドメインは、ERドメインであり、本明細書では、Th. 23B OrfB-ERとも呼ばれる。ERドメインの機能は、上に詳述した。このドメインは、SEQ ID NO:51(OrfB)の約4501位〜約5805位の間に及ぶヌクレオチド配列内に含まれており、本明細書にSEQ ID NO:59として表されている。Th. 23B ERドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:52の約1501〜約1935位に及ぶSEQ ID NO:52の領域であり、本明細書にSEQ ID NO:60として表されている。SEQ ID NO:52のこの領域は、約1501位〜約1810位(SEQ ID NO:60の1〜310位)に及ぶ2-ニトロプロパンジオキシゲナーゼに関連したジオキシゲナーゼのファミリーに対してPfamマッチを有する。このドメインがERとして機能することは、新しく特徴づけられた肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneunoniae)由来のER酵素に対して相同性があることからも、さらに予測することができる。SEQ ID NO:52の1501〜1935位に及ぶアミノ酸配列は、433アミノ酸にわたってシゾキトリウムOrfB(SEQ ID NO:4)と約66%同一である。SEQ ID NO:52の1501〜1810位に及ぶアミノ酸配列は、305アミノ酸にわたってシゾキトリウムOrfB(SEQ ID NO:4)と約70%同一である。
Th. 23BオープンリーディングフレームC(OrfC):
Th. 23B OrfCについての完全なヌクレオチド配列は、本明細書にSEQ ID NO:61として表されている。SEQ ID NO:61は、Th. 23B OrfCの以下のドメインをコードする:(a)2個のFabA様β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ(DH)ドメインであって、両方ともFabAタンパク質(トランス-2-デカノイル-ACPの合成およびこの産物のシス-3-デカノイル-ACPへの可逆的異性化を触媒する酵素)に対して相同性を有するドメイン;並びに(b)シゾキトリウムOrfBのERドメインに対して高い相同性を有する1つのエノイル-ACPレダクターゼ(ER)ドメイン。このドメイン組織は、シゾキトリウムOrf C(SEQ ID NO:5)に記載のものと同じである。
Th. 23B OrfCは、1470個のアミノ酸配列をコードする4410個のヌクレオチド配列(停止コドンを含まず)であり、本明細書にSEQ ID NO:62として表されている。Th. 23B OrfCアミノ酸配列(SEQ ID NO:62)は、標準BLAST検索(BLASTパラメーター:Blastp、低複雑度フィルターOff、プログラム-BLOSUM62、Gap cost-Existence:11,伸張1;(Altschul, S.F., Madden, T.L., Schaaffer, A.A., Zhang, J., Zhang, Z., Miller, W. & Lipman, D.J. (1997)"Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs." Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載されたBLAST:参照として完全に本明細書に組み入れられている)において公知の配列と比較した。アミノ酸レベルにおいて、Th. 23B OrfCに対して最高度の相同性を有する配列は、シゾキトリウム OrfC(gb AAK728881.1)(SEQ ID NO:6)であった。SEQ ID NO:62は、シゾキトリウム OrfC(SEQ ID NO:6)と66%同一である。
Th. 23B OrfCの第一のドメインは、DHドメインであり、本明細書ではTh. 23B OrfC-DH1とも呼ばれる。DHドメインの機能は、上で詳述した。このドメインは、SEQ ID NO:61(OrfC)の約1位〜約1500位の間に及ぶヌクレオチド配列内に含まれており、本明細書にSEQ ID NO:63として表されている。Th. 23B DH1ドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:62の約1位〜約500位に及ぶSEQ ID NO:62の領域であり、本明細書にSEQ ID NO:64として表されている。SEQ ID NO:62のこの領域は、上記したように、約275位〜約400位(SEQ ID NO:64の275〜400位)に及ぶFabAに対してPfamマッチを有する。SEQ ID NO:62の1〜500位に及ぶアミノ酸配列は、526アミノ酸にわたってシゾキトリウムOrfC(SEQ ID NO:6)と約66%同一である。SEQ ID NO:62の275〜400位に及ぶアミノ酸配列は、126のアミノ酸にわたってシゾキトリウムOrfC(SEQ ID NO:6)と約81%同一である。
Th. 23B OrfCの第二のドメインは、DHドメインであり、本明細書ではTh. 23B OrfC-DH2とも呼ばれる。これは、OrfCの2つのDHドメインで第2のものであり、従ってDH2と呼ばれる。このドメインは、SEQ ID NO:61(OrfC)の約1501位〜約3000位の間に及ぶヌクレオチド配列内に含まれ、本明細書にSEQ ID NO:65として表されている。Th. 23B DH2ドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:62の約501位〜約1000位に及ぶSEQ ID NO:62の領域であり、本明細書にSEQ ID NO:66として表されている。SEQ ID NO:62のこの領域は、上記したように、約800位〜約925位(SEQ ID NO:66の300〜425位)に及ぶFabAに対してPfamマッチを有する。SEQ ID NO:62の501〜1000位に及ぶアミノ酸配列は、518アミノ酸にわたってシゾキトリウムOrfC(SEQ ID NO:6)と約56%同一である。SEQ ID NO:62の800〜925位に及ぶアミノ酸配列は、124アミノ酸にわたってシゾキトリウムOrfC(SEQ ID NO:6)と約58%同一である。
Th. 23B OrfCの第三のドメインは、ERドメインであり、本明細書では、Th. 23B OrfC-ERとも呼ばれる。ERドメインの機能は、上で詳述した。このドメインは、SEQ ID NO:61(OrfC)の約3001位〜約4410位の間に及ぶヌクレオチド配列内に含まれ、本明細書にSEQ ID NO:67として表されている。Th. 23B ERドメインを含むアミノ酸配列は、SEQ ID NO:62の約1001位〜約1470位に及ぶSEQ ID NO:62の領域であり、本明細書にSEQ ID NO:68として表されている。SEQ ID NO:62のこの領域は、上記したように、約1025位〜約1320位(SEQ ID NO:68の25〜320位)に及ぶ2-ニトロプロパンジオキシゲナーゼに関連したジオキシゲナーゼに対してPfamマッチを有する。このドメインがERとして機能することは、新しく特徴づけられた肺炎連鎖球菌由来のER酵素に対して相同性があることからも、さらに予測することができる。SEQ ID NO:62の1001-1470位に及ぶアミノ酸配列は、474アミノ酸にわたってシゾキトリウムOrfB(SEQ ID NO:4)と約75%同一である。SEQ ID NO:62の1025〜1320位に及ぶアミノ酸配列は、296アミノ酸にわたってシゾキトリウムOrfB(SEQ ID NO:4)と約81%同一である。
本発明の一つの態様は、非細菌性PUFA PKS系由来の単離されたタンパク質またはドメイン、これらの相同体、および/またはこれらの断片に関する。また、本明細書に記載されている任意のタンパク質、ドメイン、またはペプチドをコードする単離された核酸分子も本発明に含まれる(以下に詳細に論議した)。本発明によれば、PUFA PKS系由来のタンパク質またはペプチドなどの単離されたタンパク質またはペプチドは、その天然の環境から除去された(すなわち、ヒト操作を受けた)タンパク質またはこれらの断片(ポリペプチドまたはペプチドを含む)であり、たとえば、精製されたタンパク質、部分的に精製されたタンパク質、組換えで産生されたタンパク質、および合成で作製されたタンパク質を含むことができる。したがって、「単離された」タンパク質は、精製された範囲を反映していない。好ましくは、本発明の単離されたタンパク質は、組換えで産生される。単離されたペプチドは、合成で(たとえば、ペプチド合成などによって化学的に)または組換えで産生することができる。加えて、および例として、「スラウストキトリウムPUFA PKSタンパク質」は、スラウストキトリウム微生物に由来するPUFA PKSタンパク質(一般に、天然に存在するPUFA PKSタンパク質の相同体を含む)を、またはスラウストキトリウムに由来する天然に存在するPUFA PKSタンパク質の構造(たとえば、配列)、およびおそらく機能についての知識から他の方法で作製されたPUFA PKSタンパク質をいう。言い換えると、スラウストキトリウムPUFA PKSタンパク質に対する一般的な言及では、実質的に同様の、スラウストキトリウムに由来する天然に存在するPUFA PKSタンパク質の構造および機能を有するか、または本明細書に詳細に記載したように、スラウストキトリウムに由来する天然に存在するPUFA PKSタンパク質の生物学的に活性な(すなわち、生物活性を有する)相同体である、任意のPUFA PKSタンパク質を含む。したがって、スラウストキトリウム PUFA PKSタンパク質は、精製された、部分的に精製された、組換え、突然変異/改変された、および合成のタンパク質を含むことができる。同じ記述が、本明細書に記載されている、シゾキトリウム由来もしくはその他の微生物由来のPUFA PKSタンパク質およびドメインなどのその他のタンパク質またはペプチドについての言及にも適用される。
本発明によれば、「改変」および「突然変異」という用語は、特に本明細書に記載されているタンパク質またはペプチド(または核酸配列)の一次アミノ酸配列に対する改変/突然変異に関して、交換可能に使用することができる。また、「改変」という用語は、メチル化、ファルネシル化、カルボキシメチル化、ゲラニルゲラニル化、グリコシル化、リン酸化、アセチル化、ミリストイル化、プレニル化、パルミタート化(palmitation)、および/またはアミド化を含むが、これらに限定されないタンパク質またはペプチドに対する翻訳後改変を記述するために使用することができる。また、改変は、たとえば、もう一つの化合物と共にタンパク質またはペプチドを合成することを含むことができる。このような改変は、たとえば、改変が天然の野生型タンパク質またはペプチドにおいて生じる修翻訳後飾とは異なる場合は、突然変異であると考えることができる。
本明細書で使用される「相同体」という用語は、天然に存在するタンパク質またはペプチドに対する1つもしくは複数の軽微な改変または突然変異によって、天然に存在するタンパク質またはペプチドと異なるが、天然に存在する形態の全体の基礎的なタンパク質および側鎖構造を維持するタンパク質またはペプチド(すなわち、「原型」または「野生型」タンパク質)をいうために使用される(すなわち、その結果、相同体は、野生型タンパク質に関連するものとして定義可能である)。このような変化は、以下を含むが、限定されない:1つまたは少数のアミノ酸側鎖の変化;欠失(たとえば、タンパク質またはペプチドの切断されたバージョン)挿入、および/または置換を含む1つもしくは少数のアミノ酸の変化;1または少数の原子の立体化学の変化;および/またはメチル化、ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化、グリコシル化、カルボキシメチル化、リン酸化、アセチル化、ミリストイル化、プレニル化、パルミタート化(palmitation)、および/またはアミド化を含むが限定されない軽微な誘導体化。相同体は、天然に存在するタンパク質またはペプチドと比較して増強されたか、減少されたか、または実質的に同様か、いずれの性質を有することもできる。好ましいPUFA PKSタンパク質またはドメインの相同体を、以下に詳述する。相同体は、合成で産生された相同体、所与のタンパク質もしくはドメインの天然に存在する対立遺伝子変異体、または参照配列が由来する生物以外の生物に由来する相同配列を含むことができる点に留意されたい。
保存的置換は、典型的には以下の群内の置換を含む:グリシンおよびアラニン;バリン、イソロイシンおよびロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミン;セリンおよびスレオニン;リジンおよびアルギニン;並びにフェニルアラニンおよびチロシン。また、置換は、保存された疎水性または親水性に基づいて(Kyte and Doolittle, J. Mol. Biol. (1982) 157: 105-132)、または同様のポリペプチド二次構造を構築する能力に基づいて(Chou and Fasman, Adv. Enzymol. (1978) 47: 45-148, 1978)行ってもよい。
相同体は、天然の対立形質のバリエーションまたは自然的突然変異の結果であることができる。タンパク質をコードする核酸の天然に存在する対立遺伝子変異体は、このようなタンパク質をコードするが、たとえば突然変異または組換えによって引き起こされた天然の変異のために、類似するが、同一の配列を有さない遺伝子と本質的に同じゲノムの場所(または座位)で生じる遺伝子である。対立遺伝子変異体は、典型的にはこれらが比較される遺伝子によってコードされるタンパク質のものと同様の活性を有するタンパク質をコードする。対立遺伝子変異体の1つのクラスは、同じタンパク質をコードすることができるが、遺伝暗号の縮重によって異なる核酸配列を有する。また、対立遺伝子変異体は、遺伝子の5'または3'非翻訳領域に(たとえば、制御調節領域に)変化を含むことができる。対立遺伝子変異体は、当業者に周知である。
相同体は、単離された天然に存在するタンパク質に対する直接の改変、直接のタンパク質合成、またはたとえばランダムもしくは標的化された突然変異誘発を行うための古典的または組換えDNA技術を使用した、タンパク質をコードする核酸配列に対する改変を含むが、限定されないタンパク質の産生のための技術分野において公知の技術を使用して産生することができる。
タンパク質相同体の改変または突然変異は、野生型タンパク質と比較して、天然に存在する(野生型)タンパク質と比較した相同体の基本的生物活性を増加するか、減少するか、または実質的に変化しない。一般に、タンパク質の生物活性または生物作用は、インビボで(すなわち、タンパク質の天然の生理的環境において)もしくはインビトロで(すなわち、実験室条件下で)測定され、または観察されるタンパク質の天然に存在する形態のものとされるタンパク質によって示され、または行われる任意の機能をいう。PUFA PKS系およびPUFA PKS系を作製する個々のタンパク質/ドメインの生物活性は、本明細書において他で詳述した。相同体または擬態(下記で論議した)などにおけるタンパク質の改変は、天然に存在するタンパク質と同じ生物活性を有するタンパク質、または天然に存在するタンパク質と比較して、減少もしくは増大された生物活性を有するタンパク質を生じるであろう。タンパク質発現の減少またはタンパク質の活性の減少を生じる改変は、不活性化(完全もしくは部分的)、ダウンレギュレーション、またはタンパク質作用(または活性)の減少をいうことができる。同様に、タンパク質発現の増加またはタンパク質の活性の増加を生じる改変は、増幅、過剰産生、活性化、増強、アップレギュレーション、またはタンパク質作用(または活性)の増大と称する。野生型タンパク質の生物活性を有する相同体に対する一般的な言及では、特に生物活性のレベルに関して、必ずしも相同体が野生型タンパク質と同一の生物活性を有することを意味するというわけではない点に留意されたい。むしろ、相同体は、野生型タンパク質と同じであるが、野生型タンパク質と比較して減少しまたは増大されたレベルの活性で、生物活性を遂行することができる。PUFA PKS系の機能的なドメインは、生物学的機能を遂行することができる(すなわち、生物活性を有する)ドメインである(すなわち、ドメインは一部のタンパク質であることができる)。
PUFA PKSタンパク質もしくはドメインの生物活性を検出し、および測定する方法は、PUFA PKSタンパク質もしくはドメインの転写の測定、PUFA PKSタンパク質もしくはドメインの翻訳の測定、PUFA PKSタンパク質もしくはドメインの翻訳後改変の測定、PUFA PKSタンパク質もしくはドメインの酵素活性の測定、および/またはPUFA PKS系の1つもしくは複数の産物の産生の測定(たとえば、PUFA産生)を含むが限定されない。本発明(相同体を含む)の単離されたタンパク質は、必ずしも野生型タンパク質の生物活性を有することが必要とされるというわけではない点に留意されたい。たとえば、PUFA PKSタンパク質またはドメインは、たとえば切断されたか、突然変異されたか、または不活性なタンパク質であることができる。このようなタンパク質は、スクリーニングアッセイ法に、またはたとえば抗体産生などのその他の目的のために有用である。好ましい態様において、本発明の単離されたタンパク質は、野生型タンパク質のものと同様の生物活性を有する(上記のように、必ずしも同等物であるというわけではない)。
タンパク質発現レベルを測定する方法は、一般に以下を含むが、これらに限定されない:ウエスタンブロット、免疫ブロット、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、免疫沈降、表面プラスモン共鳴、化学発光、蛍光分極化、リン光、免疫組織化学的な解析、飛行時間型マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI-TOF)質量分析法、ミクロ細胞数測定、マイクロアレイ、顕微鏡観察、蛍光標示式細胞分取(FACS)、およびフローサイトメトリー、並びに酵素活性またはその他のタンパク質パートナーとの相互作用を含むが、これらに限定されないタンパク質の性質に基づいたアッセイ法。また、結合アッセイ法は、当該技術分野において周知である。たとえば、BIAcore機器は、2つのタンパク質間の複合体の結合定数を決定するために使用することができる。複合体の解離定数は、緩衝液がチップ上を通過する時間に関して屈折率の変化をモニタリングすることによって決定することができる(O’Shannessy et al. Anal.Biochem. 212:457-468 (1993); Schuster et al., Nature 365:343-347 (1993))。1つのタンパク質のもう一つに対する結合を測定するために適したその他のアッセイ法は、たとえば、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)および放射免疫アッセイ法(RIA)などの免疫アッセイ法;または蛍光、UV吸収、環状のジクロシム(dichrosim)、または核磁気共鳴(NMR)を介してタンパク質の分光学的または光学的な性質の変化をモニタリングすることによる結合の決定を含む。
一つの態様において、本発明は、以下からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質に関する:(a)SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:62、およびそれらの生物活性断片からなる群より選択されるアミノ酸配列;(b)SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:64、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:68およびそれらの生物活性断片からなる群より選択されるアミノ酸配列;(c)アミノ酸配列が、高度不飽和脂肪酸(PUFA)ポリケチドシンターゼ(PKS)系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有する、(a)のアミノ酸配列の少なくとも500個の連続したアミノ酸と少なくとも約60%同一であるアミノ酸配列;および/または、(d)アミノ酸配列が、高度不飽和脂肪酸(PUFA)ポリケチドシンターゼ(PKS)系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有する、(b)のアミノ酸配列と少なくとも約60%同一であるアミノ酸配列。さらなる態様において、活性部位ドメインまたはいくつかのPUFA PKSドメインについて上記したその他の機能的なモチーフを含むアミノ酸配列は、本発明によって包含される。一つの態様において、上記したアミノ酸配列は、以下のいずれのアミノ酸配列も含まない:SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32。
本発明の一つの局面において、本明細書に記載した特定のPUFA PKSタンパク質またはドメインの相同体を含む、本発明によって包含されるPUFA PKSタンパク質またはドメインは、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:52、またはSEQ ID NO:62から選択されるアミノ酸配列の少なくとも500個の連続したアミノ酸と少なくとも約60%同一であるアミノ酸配列であって、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる局面において、タンパク質の配列は、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:52、もしくはSEQ ID NO:62のいずれかの少なくとも約600個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約700個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約800個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約900個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1000個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1100個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1200個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1300個の連続したアミノ酸、およびより好ましくは少なくとも約1400個の連続したアミノ酸と、または全長SEQ ID NO:62と少なくとも約60%同一である。さらなる局面において、タンパク質のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:39もしくはSEQ ID NO:52のいずれかの少なくとも約1500個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1600個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1700個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1800個の連続したアミノ酸、およびより好ましくは少なくとも約1900個の連続したアミノ酸と、または全長SEQ ID NO:52と少なくとも約60%同一である。さらなる局面において、タンパク質のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:39の少なくとも約2000個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2100個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2200個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2300個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2400個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2500個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2600個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2700個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2800個の連続したアミノ酸、およびさらにより好ましくは全長と少なくとも約60%同一である。一つの態様において、上記したアミノ酸配列は、以下のいずれのアミノ酸配列も含まない:SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32。
もう一つの局面において、本発明によって包含される上記した相同体を含むPUFA PKSタンパク質またはドメインは、上記パラグラフに記載されている任意の連続したアミノ酸の全長にわたって、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:52、またはSEQ ID NO:62から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約65%同一、より好ましくは少なくとも約70%同一、より好ましくは少なくとも約75%同一、より好ましくは少なくとも約80%同一、より好ましくは少なくとも約85%同一、より好ましくは少なくとも約90%同一、より好ましくは少なくとも約95%同一、より好ましくは少なくとも約96%同一、より好ましくは少なくとも約97%同一、より好ましくは少なくとも約98%同一、およびより好ましくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列であって、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列を含む。一つの態様において、上記したアミノ酸配列は、以下のいずれのアミノ酸配列も含まない:SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32。
本発明の一つの局面において、本発明によって包含される上記した相同体を含むPUFA PKSタンパク質またはドメインは:SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:64、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:68から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約60%同一であるアミノ酸配列であって、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる局面において、タンパク質のアミノ酸配列は:SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:64、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:68から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約65%同一、より好ましくは少なくとも約70%同一、より好ましくは少なくとも約75%同一、より好ましくは少なくとも約80%同一、より好ましくは少なくとも約85%同一、より好ましくは少なくとも約90%同一、より好ましくは少なくとも約95%同一、より好ましくは少なくとも約96%同一、より好ましくは少なくとも約97%同一、より好ましくは少なくとも約98%同一、およびより好ましくは少なくとも約99%同一であり、アミノ酸配列は、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有する。一つの態様において、上記したアミノ酸配列は、以下のいずれのアミノ酸配列も含まない:SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32。
もう一つの局面において、本発明によって包含される上記した相同体を含むPUFA PKSタンパク質またはドメインは、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:52、およびSEQ ID NO:58から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約50%同一であって、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列を含む。もう一つの局面において、タンパク質のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:56、およびSEQ ID NO:58から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約55%同一、およびより好ましくは少なくとも約60%同一であり、アミノ酸配列は、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有する。さらなる局面において、タンパク質のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:56、およびSEQ ID NO:58から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約65%同一であり、アミノ酸配列は、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有する。もう一つの局面において、タンパク質のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:62、およびSEQ ID NO:64から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一、およびより好ましくは少なくとも約75%同一であり、アミノ酸配列は、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有する。もう一つの局面において、タンパク質のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:64、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:68から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約80%同一、より好ましくは少なくとも約85%同一、より好ましくは少なくとも約90%同一、より好ましくは少なくとも約95%同一、より好ましくは少なくとも約96%同一、より好ましくは少なくとも約97%同一、より好ましくは少なくとも約98%同一、およびより好ましくは少なくとも約99%同一であり、アミノ酸配列は、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有する。一つの態様において、上記したアミノ酸配列は、以下のいずれのアミノ酸配列も含まない:SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32。
好ましい態様において、本発明の単離されたタンパク質またはドメインは:SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:64、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:68、もしくはPUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有する任意の断片を含むこれらの任意の生物活性断片から選択されるアミノ酸配列から本質的になるか、またはこれらからなる。
本発明の一つの局面において、以下のシゾキトリウムタンパク質およびドメインは本発明の1つまたは複数の態様に有用であり、その全ては、前記米国特許出願第10/124,800号に以前に詳細に述べられている。本発明の一つの局面において、本発明に有用なPUFA PKSタンパク質またはドメインは:SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、およびSEQ ID NO:6から選択されるアミノ酸配列のうちの少なくとも500個の連続したアミノ酸と少なくと少なくとも約60%同一であるアミノ酸配列であって、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる局面において、タンパク質のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4およびSEQ ID NO:6のいずれかの少なくとも約600個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約700個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約800個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約900個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1000個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1100個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1200個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1300個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1400個の連続したアミノ酸、およびより好ましくは少なくとも約1500個の連続したアミノ酸と、またはSEQ ID NO:6の全長と、少なくとも約60%同一である。さらなる局面において、タンパク質のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2もしくはSEQ ID NO:4のいずれかの少なくとも約1600個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1700個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1800個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約1900個の連続したアミノ酸、およびより好ましくは少なくとも約2000個の連続したアミノ酸と、またはSEQ ID NO:4の全長と、少なくとも約60%同一である。さらなる局面において、タンパク質のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2の少なくとも約2100個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2200個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2300個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2400個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2500個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2600個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2700個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも約2800個の連続したアミノ酸、およびさらにより好ましくは全長と少なくとも約60%同一である。
もう一つの局面において、本発明の1つもしくは複数の態様に有用なPUFA PKSタンパク質またはドメインは、上記パラグラフに記載されている任意の連続したアミノ酸の全長にわたって、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、またはSEQ ID NO:6から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約65%同一、より好ましくは少なくとも約70%同一、より好ましくは少なくとも約75%同一、より好ましくは少なくとも約80%同一、より好ましくは少なくとも約85%同一、より好ましくは少なくとも約90%同一、より好ましくは少なくとも約95%同一、より好ましくは少なくとも約96%同一、より好ましくは少なくとも約97%同一、より好ましくは少なくとも約98%同一、およびより好ましくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列であって、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列を含む。
本発明のもう一つの局面において、本発明の1つもしくは複数の態様に有用なPUFA PKSタンパク質またはドメインは、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、またはSEQ ID NO:32から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約60%同一であるアミノ酸配列であって、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる局面において、タンパク質のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約65%同一、より好ましくは少なくとも約70%同一、より好ましくは少なくとも約75%同一、より好ましくは少なくとも約80%同一、より好ましくは少なくとも約85%同一、より好ましくは少なくとも約90%同一、より好ましくは少なくとも約95%同一、より好ましくは少なくとも約96%同一、より好ましくは少なくとも約97%同一、より好ましくは少なくとも約98%同一、およびより好ましくは少なくとも約99%同一であり、アミノ酸配列は、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有する。
本発明のさらにもう一つの局面において、本発明の1つもしくは複数の態様に有用なPUFA PKSタンパク質またはドメインは、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32もしくはPUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有する任意の断片を含むこれらの任意の生物活性断片から選択されるアミノ酸配列から本質的になるか、またはこれらからなる。
本発明によれば、「隣接する」または「連続した」という用語は、本明細書に記載されている核酸またはアミノ酸配列に関して、間断のない配列として連結されていることを意味する。たとえば、第一配列が第二配列の30個の隣接した(または連続した)アミノ酸を含むとは、第一配列が第二配列における30個のアミノ酸残基の間断のない配列と100%同一である30個のアミノ酸残基の間断のない配列を含むことを意味する。同様に、第一配列が第二配列と「100%の同一性」をもつとは、第一配列がヌクレオチドまたはアミノ酸間にギャップを含まずに第二配列と正確にマッチしていることを意味する。
他に明記されない限り、本明細書において使用される同一性パーセント(%)についての言及は、以下のものを用いて行われる相同性の評価を指す:(1)アミノ酸検索についてはblastp、核酸検索についてはblastn、並びにすべての6個のオープンリーディングフレームにおける核酸検索および翻訳されたアミノ酸の検索についてはblastXをすべて標準デフォルトパラメーターで用いるBLAST2.0ベーシック(Basic)BLAST相同性検索、クエリー配列はデフォルトにより低複雑度領域についてフィルタリングされる(Altschul, S. F., Madden, T. L., Schaaffer, A. A., Zhang, J., Zhang, Z., Miller, W. & Lipman, D.J. (1997)”Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs”Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載されており、参照として本明細書に完全に組み入れられる);(2)BLAST2アラインメント(下記のパラメーターを用いる);(3)および/または標準デフォルトパラメーターでのPSI-BLAST(位置特異的反復BLAST)。BLAST2.0ベーシック(Basic)BLASTとBLAST2の間の標準パラメーターにおけるいくらかの相違のために、2つの特定の配列がBLAST2プログラムを用いて有意な相同性を有するものと認識されたとしても、クエリー配列として配列のうちの1つを用いるBLAST2.0ベーシック(Basic)BLASTにおいて行われた検索では、二番目の配列をトップ・マッチに同定しない場合があることを留意されたい。さらに、PSI-BLASTは、「プロフィール」検索の自動化した使いやすいバージョンを提供しており、配列相同体を捜すための感度の高い方法である。プログラムは、まず、ギャップド(gapped)BLASTデータベース検索を行う。PSI-BLASTプログラムは、位置特異的スコアマトリックスを構成するために戻されたいずれの有意なアラインメントからの情報も使用し、データベース検索の次のラウンドのためにクエリー配列を取り替える。したがって、これらのプログラムのいずれか1つを使用することにより同一性パーセントが決定することができることは理解されるべきである。
2つの特定の配列は、TatusovaおよびMadden, (1999)「Blast 2 sequences-a new tool for comparing protein and nucleotide sequences」, FEMS Microbiol Lett. 174, 247(参照として完全に本明細書に組み入れられる)に記載されているように、BLAST2を使用して互いにアラインすることができる。BLAST2配列アラインメントは、BLAST2.0アルゴリズムを用いるblastpまたはblastnにおいて行われ、2つの配列間で生じるアラインメントにギャップを導入(欠失および挿入)するギャップドBLAST検索(BLAST2.0)を行う。本明細書での明瞭さを目的として、BLAST2配列アラインメントは、以下の標準デフォルトパラメーターを用いて行われる。
0 BLOSUM62マトリックスを使用するblastnについて:
マッチに対するリワード(reword) = 1
ミスマッチ(mismatch)に対するペナルティ = -2
オープンギャップ(5)および伸長ギャップ(2)ペナルティ
ギャップx_ドロップオフ(50)期待(10)ワードサイズ(11)フィルター(オン)
0 BLOSUM62マトリックスを使用するblastpについて:
オープンギャップ(11)および伸長ギャップ(1)ペナルティ
ギャップx_ドロップオフ(50)期待(10)ワードサイズ(3)フィルター(オン)
本発明によれば、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列は、以前にシゾキトリウム PUFA PKS系によって例示されたように、または加えて、スラウストキトリウムPUFA PKS系によって本明細書において例示されたように、本明細書に詳細に記載されているPUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列である。シゾキトリウムまたはスラウストキトリウム PUFA PKS系内の種々のドメインの生物活性は、上で詳述した。したがって、本発明に有用な単離されたタンパク質は、任意のPUFA PKSオープンリーディングフレームの翻訳産物、任意のPUFA PKSドメイン、それらの生物活性断片、または天然に存在するPUFA PKSオープンリーディングフレーム産物の任意の生物活性を有する相同体またはドメインを含むことができる。
本発明のもう一つの態様において、本発明のPUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列は、アミノ酸配列をコードする核酸配列が天然に存在するPUFA PKSタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸分子(すなわち、天然に存在するPUFA PKSタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸鎖の相補体)に対して(すなわち、と共に)中程度、高度、または超高度なストリンジェンシーの条件(下に記載されている)下でハイブリダイズする能力があるように天然に存在するPUFA PKSタンパク質またはポリペプチドと十分に類似しているアミノ酸配列を含む。好ましくは、本発明のPUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列は、PUFA PKSタンパク質またはドメインについて上記したアミノ酸配列のいずれかコードする核酸配列の相補体へ中程度、高度または超高度なストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされる。相補的配列を推定するための方法は、当業者に公知である。アミノ酸シーケンシングおよび核酸シーケンシングの技術は、完全に誤りが無いわけではないため、本明細書に提出される配列は、せいぜい本発明のPUFA PKSドメインおよびタンパク質の見かけの配列を表していることを留意するべきである。
本明細書において使用されるハイブリダイゼーション条件は、核酸分子が類似した核酸分子を同定するために用いられる標準的なハイブリダイゼーション条件を指す。そのような標準条件は、たとえば、Sambrook et al., 「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」, Cold Spring Harbor Labs Press, 1989に開示されている。Sambrook et al., (同書)は、参照として本明細書にその全体が組み入れられる(特に、ページ9.31-9.62を参照されたい)。さらに、ヌクレオチドのミスマッチの程度を変えることを可能にするハイブリダイゼーションを達成するための適切なハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を計算する式が、たとえば、Meinkoth et al., 1984, Anal. Biochem. 138, 267-284に開示されている;Meinkoth et al., (同書)は、参照として本明細書に完全に組み入れられる。
より詳細には、中程度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、本明細書で言及される場合、そのハイブリダイゼーション反応において探索するために使用される核酸分子と少なくとも約70%核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にする条件(すなわち、ヌクレオチドの約30%またはそれ未満のミスマッチを許容する条件)をいう。高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、本明細書で言及される場合、そのハイブリダイゼーション反応において探索するために使用される核酸分子と少なくとも約80%核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にする条件(すなわち、ヌクレオチドの約20%またはそれ未満のミスマッチを許容する条件)をいう。超高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、本明細書で言及される場合、そのハイブリダイゼーション反応において探索するために使用される核酸分子と少なくとも約90%核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にする条件(すなわち、ヌクレオチドの約10%またはそれ未満のミスマッチを許容する条件)を指す。上記で考察されているように、当業者は、これらのヌクレオチドミスマッチの特定のレベルを達成するための適切なハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を計算するためのMeinkoth et Al., (同書)における式を使用することができる。このような条件は、DNA:RNAまたはDNA:DNAのハイブリッドのいずれが形成されることになっているのかに依存して、異なるものである。DNA:DNAハイブリッドについての計算された融解温度は、DNA:RNAハイブリッドについてよりも10℃低い。特定の態様において、DNA:DNAハイブリッドについてのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、約20℃〜約35℃の間の温度(低度のストリンジェント)、より好ましくは約28℃〜約40℃の間の温度(よりストリンジェント)、およびさらにより好ましくは約35℃〜約45℃の間の温度(さらによりストリンジェント)で、6×SSC(0.9 M Na+)のイオン強度でのハイブリダイゼーションを適切な洗浄条件とともに含む。特定の態様において、DNA:RNAハイブリッドについてのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、約30℃〜約45℃の間の温度、より好ましくは約38℃〜約50℃の間の温度、およびさらにより好ましくは約45℃〜約55℃の間の温度で、6×SSC(0.9 M Na+)のイオン強度でのハイブリダイゼーションを同様にストリンジェントな洗浄条件とともに含む。これらの値は、約100ヌクレオチドより大きい分子、0%ホルムアミドおよび約40%のG+C含有量についての融解温度の計算に基づいている。または、Tmは、Sambrook et al., 前記、ページ9.31〜9.62に示されているように、経験的に計算することができる。一般的に、洗浄条件は、可能な限りストリンジェントであるべきであり、選択されたハイブリダイゼーション条件に対して適切であるべきである。たとえば、ハイブリダイゼーション条件は、特定のハイブリッドの計算されたTmより約20℃〜約25℃低い、塩および温度条件の組み合わせを含んでもよく、かつ洗浄条件は、典型的には、特定のハイブリッドの計算されたTmより約12℃〜約20℃低い、塩および温度条件の組み合わせを含む。DNA:DNAハイブリッドでの使用に適しているハイブリダイゼーション条件の一つの例は、約42℃で6×SSC(50%ホルムアミド)中での2時間〜24時間のハイブリダイゼーション、続いて、室温で約2×SSC中での1回またはそれ以上の洗浄を含む洗浄段階、続いて、より高い温度およびより低いイオン強度での追加の洗浄(たとえば、約37℃で約0.1×〜0.5×SSC中での少なくとも1回の洗浄、続いて、約68℃で約0.1×〜0.5×SSC中での少なくとも1回の洗浄)を含む。
また、本発明は、1つまたは複数の融合セグメントに付着された任意のPUFA PKSタンパク質もしくはドメイン、またはこれらの任意の相同体もしくは断片を含む融合タンパク質を含む。本発明用で使用するための適切な融合セグメントは、タンパク質の安定性を増強する;その他の望ましい生物活性を提供する;および/またはタンパク質の精製を補助する(たとえば、アフィニティークロマトグラフィによって)ことができるセグメントを含むが、これらに限定されない。適切な融合セグメントは、所望の機能を有する(たとえば、安定性、溶解度、生物活性の増大を与える;および/またはタンパク質の精製を単純化する)任意のサイズのドメインであることができる。融合セグメントは、タンパク質のアミノ末端および/またはカルボキシ末端に連結することができ、所望のタンパク質を直接回収することができるように切断に感受性にすることができる。融合タンパク質は、好ましくは、上記したとおりの本発明のタンパク質のカルボキシル末端および/またはアミノ末端のいずれかに付着された融合セグメントを含むタンパク質をコードする融合核酸分子をトランスフェクトした組換え細胞を培養することによって産生される。
本発明の一つの態様において、上記の任意のPUFA PKSアミノ酸配列、並びにこのような配列の相同体は、少なくとも1〜約20までの、所与のアミノ酸配列の各々のC末端および/またはN末端の末端に隣接するさらなる異種アミノ酸と共に産生することができる。生じるタンパク質またはポリペプチドは、所与のアミノ酸配列から「から本質的になる」と称することができる。本発明によれば、異種アミノ酸は、所与のアミノ酸配列に隣接することを本来見出されない(すなわち、インビボで天然において見出されない)、または天然に存在する配列内のこのようなヌクレオチドが、所与のアミノ酸配列が由来する生物のための標準的なコドン選択性を使用して翻訳された場合は、遺伝子に存在している所与のアミノ酸配列をコードする天然に存在する核酸配列に隣接しているヌクレオチドによりコードされないであろうアミノ酸の配列である。同様に、核酸配列に関連して本明細書において使用される「から本質的になる」という用語は、所与のアミノ酸配列をコードする核酸配列の各々の5'末端および/または3'末端に少なくとも1〜約60までの付加的な異種ヌクレオチドに隣接され得る所与のアミノ酸配列をコードする核酸配列をいう。異種ヌクレオチドは、天然の遺伝子に存在している所与のアミノ酸配列をコードする核酸配列に隣接していることが天然には見出されない(すなわち、インビボで天然に見出されない)。
本発明のタンパク質もしくはドメインおよび/またはこれらの相同体もしくは断片の最小サイズは、一つの局面において、必要な生物活性を有するために十分か、または抗体の産生のための抗原として、もしくはインビトロでのアッセイ法の標的として役立つのに十分なサイズである。一つの態様において、本発明のタンパク質は、8アミノ酸〜本発明のタンパク質もしくはドメインの全長間までの任意の長さで、または全ての整数の任意の長さで(たとえば、8、9、10,...25、26、...500、501、...1234、1235、...)、少なくとも約8アミノ酸の長さ(たとえば、抗体エピトープのために、またはアッセイ法の検出可能なペプチドとして適している)、または少なくとも約25アミノ酸の長さの、または少なくとも約50アミノ酸の長さ、または少なくとも約100アミノ酸の長さ、または少なくとも約150アミノ酸での長さ、または少なくとも約200アミノ酸の長さ、または少なくとも約250アミノ酸の長さ、または少なくとも約300アミノ酸の長さ、または少なくとも約350アミノ酸の長さ、または少なくとも約400アミノ酸の長さ、または少なくとも約450アミノ酸の長さ、または少なくとも約500アミノ酸の長さ、または少なくとも約750アミノ酸、およびその他である。タンパク質は、一部のPUFA PKSタンパク質、ドメイン、またはこれらの生物学的に活性もしくは有用な断片、または全長PUFA PKSタンパク質もしくはドメイン、プラス必要に応じてさらなる配列(たとえば、融合タンパク質配列)を含むことができるという点で、本発明の核酸分子の最大サイズについて、実際的な制限以外に、制限はない。
本発明のさらなる態様は、単離された核酸分子であって、上で確認したタンパク質またはドメイン(これらの相同体または断片を含む)のいずれかをコードする核酸配列、並びにこれらに対して完全に相補的である核酸配列から本質的になるか、またはからなる。本発明によれば、単離された核酸分子はその天然の環境から除去された(すなわち、ヒト操作を受けた)核酸分子であり、その天然の環境は、核酸分子が天然に見出されるゲノムまたは染色体である。したがって、「単離された」とは、必ずしも、その核酸分子が精製されたという程度までを反映しているとは限らず、核酸分子が本来見出されるゲノム全体または染色体全体を分子が含んでいないことを示す。単離された核酸分子は、遺伝子を含むことができる。遺伝子を含む単離された核酸分子は、そのような遺伝子を含む染色体の断片ではなく、むしろ遺伝子に関連するコード領域および制御領域を含み、同じ染色体上に天然に見出される付加的な遺伝子を含まない。単離された核酸分子はまた、本来その特定の核酸配列に通常では隣接していないさらなる核酸(すなわち、異種性配列)に隣接した(すなわち、配列の5'末端および/または3'末端で)特定の核酸配列を含む。単離された核酸分子は、DNA、RNA(たとえば、mRNA)、またはDNAもしくはRNAのいずれかの誘導体(たとえば、cDNA)を含むことができる。「核酸分子」という用語は、本来、物質的な核酸分子をいい、かつ「核酸配列」という用語は、本来、核酸分子についてのヌクレオチドの配列をいうが、2つの用語は、交換可能に使用することができ、特に核酸分子、または核酸配列に関しては、タンパク質もしくはタンパク質のドメインをコードすることができる。
好ましくは、本発明の単離された核酸分子は、組み換えDNA技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、クローニング)または化学的合成を使用して作製される。単離された核酸分子は、天然の対立遺伝子の変異体およびこのような改変が本明細書に記載されるようなPUFA PKS系生物活性に望ましい効果を与えるような様式でヌクレオチドが挿入、欠失、置換、および/または反転された改変核酸分子を含む天然の核酸分子、並びにこれらの相同体を含むが、これらに限定されない。タンパク質相同体(たとえば、核酸相同体によりコードされたタンパク質)が上で詳細に考察されている。
核酸分子相同体は、当業者に公知の多数の方法を使用して作製することができる(たとえば、Sambrook et al., MolecularCloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Labs Press, 1989を参照されたい)。たとえば、核酸分子は、古典的な突然変異誘発技術、および部位特異的突然変異誘発、突然変異を誘発するための核酸分子の化学的処理、核酸断片の制限酵素切断、核酸断片のライゲーション、核酸配列の選択された領域のPCR増幅および/または突然変異誘発、オリゴヌクレオチド混合物の合成および核酸分子の混合物を構築するための混合群のライゲーション、並びにこれらの組み合わせのような組換えDNA技術を含むが、これらに限定されない様々な技術を使用して改変することができる。核酸分子相同体は、核酸によってコードされたタンパク質の機能についてスクリーニングすること、および/または野生型遺伝子とのハイブリダイゼーションによって、改変された核酸の混合物から選択することができる。
本発明の核酸分子の最小サイズは、本発明に有用な、または本発明に従ったPUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列をコードするのに十分なサイズの核酸分子相補的配列と安定的なハイブリッドを形成する(たとえば、中程度、高度なまたは超高度なストリンジェンシーの条件下において)能力があるプローブもしくはオリゴヌクレオチド・プライマーを形成するのに十分なサイズである。したがって、このようなタンパク質をコードする核酸分子のサイズは、核酸組成およびその核酸分子と相補的配列間の相同性%または同一性%に加えて、それ自体でのハイブリダイゼーション条件(たとえば、温度、塩濃度およびホルムアミド濃度)に依存し得る。オリゴヌクレオチド・プライマーまたはプローブとして使用される核酸分子の最小サイズは、典型的には、核酸分子がGCに富む場合には少なくとも約12ヌクレオチド長〜約15ヌクレオチド長であり、これらがATに富む場合には少なくとも約15塩基長〜約18塩基長である。核酸分子がPUFA PKS系のドメインの生物活性を有する断片、PUFA PKS系の全ドメイン、PUFA PKS系のオープンリーディングフレーム(Orf)内の数個のドメイン、PUFA PKS系の全Orf、またはPUFA PKS系の1つより多いOrfをコードするのに十分な配列を含み得る点で、本発明の核酸分子の最大サイズについて、実際的な制限以外に制限はない。
本発明の一つの態様において、単離された核酸分子は、本明細書に記載されているシゾキトリウムまたはスラウストキトリウムに由来する任意のアミノ酸配列またはこれらの相同体を含む上記の任意のアミノ酸配列をコードする核酸配列から本質的になるか、またはからなる。一つの局面において、核酸配列は、
またはこれらの相同体(このような配列と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む)もしくは断片、またはこれらの任意の相補配列からなる群より選択される。
本発明のもう一つの態様は、本明細書に記載されたPUFA PKS系の少なくとも1つのドメイン(またはこれらの相同体もしくは断片)の生物活性を有するタンパク質またはペプチドをコードする核酸配列を含む組換えベクターおよび核酸分子を含む組換え核酸分子を含む。このような核酸配列は、上で詳細に記載されている。本発明によれば、組換えベクターは、選択の核酸配列を操作し、およびそのような核酸配列を宿主細胞へ導入するためのツールとして使用される操作された(すなわち、人工的に作製された)核酸分子である。したがって、組換えベクターは、組換え細胞を形成するために選択の核酸配列を宿主細胞内に発現および/または送達することなどにより、選択の核酸配列をクローニング、シーケンシング、および/またはその他の方法で操作する際に使用するために適している。このようなベクターは、典型的には、天然にはクローニングまたは送達される核酸配列に隣接して見出されない核酸配列である異種核酸配列を含むが、ベクターはまた、天然に本発明の核酸分子に隣接して見出される、または本発明の核酸分子の発現のために有用である制御核酸配列(たとえば、プロモーター、非翻訳領域)を含むことができる(下記で詳細に考察されている)。ベクターは、RNAまたはDNAのいずれか、原核生物または真核生物のいずれかであってもよく、および典型的にはプラスミドである。ベクターは、染色体外要素(たとえば、プラスミド)として維持することができ、またはこれは、組換え生物(たとえば、微生物または植物)の染色体に組み込まれることができる。ベクター全体が、宿主細胞内のしかるべき所へとどまることができ、またはある特定の条件下で、プラスミドDNAが除去して、その後に本発明の核酸分子残すことができる。組み込まれた核酸分子は、染色体のプロモーター制御下、天然のもしくはプラスミドのプロモーター制御下、またはいくつかのプロモーターの組み合わせの制御下にあることができる。核酸分子の1つまたは複数のコピーが染色体に組み込まれ得る。本発明の組換えベクターは、少なくとも1つの選択マーカーを含むことができる。
一つの態様において、本発明の組換え核酸分子に使用される組換えベクターは、発現ベクターである。本明細書で使用される「発現ベクター」という用語は、コード化された産物(たとえば、関心対象のタンパク質)の産生に適しているベクターをいうために使用される。この態様において、産生される産物(たとえば、PUFA PKSドメイン)をコードする核酸配列が、組換え核酸分子を産生するために組換えベクターへ挿入される。産生されるタンパク質をコードする核酸配列は、核酸配列を組換え宿主細胞内で核酸配列の転写および翻訳を可能にするベクター内の制御配列に動作可能に連結する様式でベクターに挿入される。
もう一つの態様において、本発明の組換え核酸分子に使用される組換えベクターは、ターゲティングベクターである。本明細書で使用される「ターゲティングベクター」という用語は、宿主細胞または微生物内で内因性遺伝子を除去または不活化するために使用される(すなわち、標的化された遺伝子の破壊またはノックアウト技術のために使用される)特定の核酸分子を組換え宿主細胞へ送達するために使用されるベクターをいうために使用される。また、このようなベクターは、「ノックアウト」ベクターとして当技術分野において公知である。この態様の一つの局面において、ベクターの一部、しかしより典型的には、ベクターに挿入された核酸分子(すなわち、挿入断片)は、宿主細胞における標的遺伝子(すなわち、標的化されて除去または不活化される遺伝子)の核酸配列と相同性がある核酸配列を有する。ベクター挿入断片の核酸配列は、標的遺伝子に結合して標的遺伝子および挿入断片が相同組換えを受けるように設計され、これにより内因性標的遺伝子は除去され、不活化され、または減弱される(すなわち、内因性標的遺伝子の少なくとも一部が変異または除去されることによる)。内因性シゾキトリウム遺伝子を組換え遺伝子と置き換えるためのこのタイプの組換えベクターの使用は、実施例の節に記載してあり、スラウストキトリドの形質転換のための一般的な技術は、米国特許出願10/124,807号に記載されており、2003年9月4日に公開された米国特許出願公開第20030166207号として公開されている。
典型的には、組換え核酸分子は、1つまたは複数の転写制御配列に対して動作可能に連結された本発明の少なくとも1つの核酸分子を含む。本発明で使用される「組換え分子」または「組換え核酸分子」という用語は、本来、転写制御配列に機能的に連結された核酸分子または核酸配列をいうが、このような核酸分子が本明細書で考察されるような組換え分子である場合、「核酸分子」という用語と交換可能に用いることができる。本発明によれば、「動作可能に連結された」という用語は、分子が宿主細胞へトランスフェクトされた(すなわち、形質転換され、形質導入され、トランスフェクションされ、結合され、または導かれた)ときに、発現することができるような様式で核酸分子を転写制御配列に連結することをいう。転写制御配列は、転写の開始、伸長、または終結を制御する配列である。特に重要な転写制御配列は、プロモーター、エンハンサー、オペレーター、およびリプレッサー配列などの転写開始を制御するものである。適切な転写制御配列は、組換え核酸分子が導入される宿主細胞または生物において機能することができるいずれの転写制御配列も含む。
また、本発明の組換え核酸分子は、翻訳制御配列、複製開始点などのさらなる制御配列、およびその組換え細胞に適合性のある他の制御配列も含むことができる。一つの態様において、宿主細胞染色体に組み込まれるものを含む本発明の組換え分子は、また、発現されるタンパク質がタンパク質を産生する細胞から分泌させるための分泌シグナル(すなわち、シグナルセグメント核酸配列)も含む。適切なシグナルセグメントは、発現されるタンパク質と天然に関連しているシグナルセグメント、または本発明に従ってタンパク質の分泌を方向づける能力があるいずれの異種シグナルセグメントを含む。もう一つの態様において、本発明の組換え分子は、発現されるタンパク質を宿主細胞の膜に送達して挿入することができるリーダー配列を含む。適切なリーダー配列は、タンパク質と天然に関連しているリーダー配列、またはそのタンパク質の細胞膜への送達および挿入を方向づける能力があるいずれの異種リーダー配列も含む。
本発明者らは、シゾキトリウムPUFA PKS OrfAおよびOrfBがゲノムにおいて接近して連結されていることを見出し、Orf間の領域をシーケンシスした。Orfは、反対方向に向いており、4244塩基対が開始(ATG)コドンを分離している(すなわち、これらは次のように配置されている:3'OrfA5'-4244bp-5'OrfB3')。4244 bpの遺伝子間領域の調査では、いずれの明らかなOrfも示されなかった(BlastX検索において有意なマッチは見出されなかった)。OrfAおよびOrfBの両方は、少なくとも油産生時の間にシゾキトリウムにおいて高レベルで発現されており、この遺伝子間の領域に活性のあるプロモーターエレメントが埋め込まれていることを暗示している。これらの遺伝子エレメントは、遺伝子組換えの適用のために、二方向性のプロモーター配列としての有用性をもつと考えられている。たとえば、好ましい態様において、この領域をクローニングし、各末端に関心対象の任意の遺伝子を置き、構築物をシゾキトリウム(またはそのプロモーターが機能することを示すことができるいくつかの他の宿主)へ導入することができるかもしれない。制御エレメントは、適当な条件下で、2つの導入された遺伝子の高レベルの協調された発現を提供するであろうと予想される。シゾキトリウムPUFA PKS制御エレメント(たとえば、プロモーター)を含む制御領域の完全なヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:36として本明細書に表されている。
同様の様式で、OrfCは、油産生時の間にシゾキトリウムにおいて高レベルで発現されており、制御エレメントが開始コドンの上流の領域に存在することが予想される。OrfCの上流のゲノムDNA領域をクローニングして、配列決定し、本明細書にSEQ ID NO:37として表す。この配列は、OrfC開始コドンのすぐ上流に3886 ntを含む。この領域の調査では、いずれの明らかなOrfも示されなかった(すなわち、BlastX検索において有意なマッチは見出されなかった)。この領域に含まれる制御エレメントは、適当な条件下で、これらの後に配置された遺伝子の高レベルの発現をもたらすであろうと考えられる。さらに、適当な条件下で、発現のレベルは、A〜B遺伝子間の領域(SEQ ID NO:36)の制御下の遺伝子と共に協調されるであろう。
したがって、一つの態様において、本発明に有用な組換え核酸分子は、本明細書に開示されているように、SEQ ID NO:36および/またはSEQ ID NO:37内に含まれるPUFA PKS制御領域を含むことができる。このような制御領域は、少なくとも基礎的なPUFA PKS転写活性をもつSEQ ID NO:36および/またはSEQ ID NO:37のいずれの部分(断片)も含むことができる。
本発明の1つまたは複数の組換え分子は、本発明のコード化された産物(たとえば、PUFA PKSドメイン、タンパク質、または系)を産生するために使用することができる。一つの態様において、コード化された産物は、タンパク質を産生するために有効な条件下で本明細書に記載されるような核酸分子を発現することによって産生される。コード化されたタンパク質を産生するための好ましい方法は、組換え細胞を形成するために1つまたは複数の組換え分子で宿主細胞をトランスフェクトすることによる。トランスフェクトするために適した宿主細胞は、トランスフェクションされうるいずれの細菌、真菌(たとえば、酵母)、昆虫、植物または動物の細胞も含むが、これらに限定されない。宿主細胞は、非トランスフェクト細胞またはすでに少なくとも1つの他の組換え核酸分子でトランスフェクトされた細胞のいずれでもあることもできる。
本発明によれば、「トランスフェクション」という用語は、外来性の核酸分子(すなわち、組換え核酸分子)を細胞に挿入することができる任意の方法を指すために使用される。「形質転換」という用語は、藻類、細菌および酵母などの微生物細胞に核酸分子を導入することをいうために使用されるときは、「トランスフェクション」という用語と交換可能に使用することができる。微生物系では、「形質転換」という用語は、微生物の外来性の核酸を獲得することによって遺伝される変化を記載するために使用され、「トランスフェクション」という用語と本質的に同義である。しかし、動物細胞において、形質転換は、第二の意味を有しており、たとえば、癌になった後の細胞の増殖特性の変化をいうことができる。したがって、混乱を避けるために、「トランスフェクション」という用語は、好ましくは、動物細胞に外来性の核酸を導入することに関して使用され、「トランスフェクション」という用語は、本明細書において、一般的に本用語が外来性の核酸を細胞に導入することに関係する範囲まで、動物細胞、微生物細胞または植物細胞の形質転換を含むように使用されるものとする。したがって、トランスフェクション技術は、形質転換、微粒子銃、拡散、能動輸送、浴槽超音波処理、電気穿孔法、微量注入、リポフェクション、吸着、感染、およびプロトプラスト融合を含むが、これらに限定されない。
組換えDNA技術の使用により、たとえば宿主細胞内の核酸分子のコピー数、これらの核酸分子が転写される効率、その結果として生じる転写物が翻訳される効率、および翻訳後の改変の効率を操作することによってトランスフェクションされた核酸分子の発現の制御を向上することができることは、当業者に認識されているものと思われる。さらに、プロモーター配列は、天然のプロモーターと比較して発現レベルを向上させるように遺伝子操作することも可能であろう。核酸分子の発現を制御するために有用な組換え技術は、1つまたは複数の宿主細胞染色体への核酸分子の組み込み、プラスミドへのベクター安定性配列の付加、転写制御シグナル(たとえば、プロモーター、オペレーター、エンハンサー)の置換または改変、翻訳制御シグナル(たとえば、リボソーム結合部位、シャイン-ダルガノ配列)の置換または改変、宿主細胞のコドン使用に対応させるための核酸分子の改変、および転写物を不安定化させる配列の除去を含むが、これらに限定されない。
組換え核酸分子および宿主細胞のトランスフェクションに関しての上記の一般的な考察は、PUFA PKSからの少なくとも1つのドメインの生物活性を有する任意のアミノ酸配列をコードするもの、他のPKS系からのアミノ酸配列をコードするもの、および他のタンパク質またはドメインをコードするものを含む、本明細書で考察されているいずれの組換え核酸分子にも適用される。
高度不飽和脂肪酸(PUFA)は、高等真核生物における必須の膜成分および多くの脂質由来シグナル伝達分子の前駆体である。本発明のPUFA PKS系は、飽和脂肪酸の伸長および不飽和化を必要としないPUFA合成のための経路を使用する。本経路は、構造および機構の両方において以前に認識されていたPKSとは性質が異なるPUFA PKSによって触媒された。シス二重結合の形成は、位置特異的イソメラーゼを含むことが示唆される;これらの酵素は、新規のファミリーの抗生物質の産生において有用であると考えられる。
一つ又は複数の所望の高度不飽和脂肪酸またはその他の生物活性分子を有意な高収量で得るために、生物、好ましくは微生物または植物、および最も好ましくはスラウストキトリド微生物を遺伝子改変して、微生物または植物におけるPUFA PKS系の活性、および特に最終産物を変更するようにすることができる。
従って、本発明の一つの態様は、遺伝子改変微生物であって、高度不飽和脂肪酸(PUFA)ポリケチドシンターゼ(PKS)系の少なくとも1つの生物学的に活性なドメインを含むPKS系を発現する微生物に関する。PUFA PKS系のドメインは、上記の通りのPUFA PKS系のための(たとえば、シゾキトリウムおよびスラウストキトリウムのための任意のドメイン(これらの相同体を含む)含むことができ、また任意のスラウストキトリド微生物を含む任意の真核微生物を含む任意のその他の非細菌の微生物に由来するPUFA PKS系の任意のドメイン、または上記米国特許出願第10/124,800号に記載されたとおりのスクリーニング法によって同定される微生物に由来するPUFA PKS系の任意のドメインを含むことができる。遺伝子改変は、生物のPKS系の活性に影響を及ぼす。米国特許出願第10/124,800号に記載されたスクリーニング法は:(a)少なくとも1種のPUFAを産生する微生物を選択する段階;および(b)発酵培地において、約5%の飽和度より大きい、より好ましくは約10%、より好ましくは約15%、およびより好ましくは約20%の飽和度より大きい溶存酸素条件下でのその微生物によるPUFAの産生と比較して、発酵培地において約5%の飽和度未満の溶存酸素条件下で増加したPUFAを産生する能力をもつ(a)由来の微生物を同定する段階を含む。
一つの局面において、このような生物は、PUFA PKS系を内因性に含みかつ発現することができ、かつ、遺伝子改変は、内因性PUFA PKS系の一つ又は複数の機能的ドメインの遺伝子改変であってもよく、それにより、改変は、PUFA PKS系の活性に対してある程度の効果を有する。別の局面において、このような生物は、PUFA PKS系を内因性に含みかつ発現することができ、かつ、遺伝子改変は、少なくとも1つの外来性核酸配列(たとえば、組換え核酸分子)の導入であってもよく、外来性核酸配列が、第二のPKS系由来の少なくとも1つの生物活性を有するドメインもしくはタンパク質および/またはPUFA PKS系の活性に影響を及ぼすタンパク質(たとえば、ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ(PPTase)、下記で考察されている)をコードする。さらにもう一つの局面において、生物は、必ずしも内因性に(天然に)PUFA PKS系を含むとは限らないが、PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列をコードする少なくとも1つの組換え核酸分子を導入するように遺伝子改変されている。この局面において、PUFA PKS活性は、その生物にPUFA PKS活性を導入するまたは増加させることにより影響を受ける。これらの局面のそれぞれに関連する様々な態様は、下記で詳細に考察されている。
PUFA PKS系またはPUFA PKS系を含む生物の遺伝子改変は、PUFA PKS系(一部のドメインを含む)の少なくとも1つのドメイン、PUFA PKS系の1つまたはいくつか以上のドメイン(隣接したドメイン、不連続ドメイン、またはPUFA PKS系の異なるタンパク質上でドメインを含む)、PUFA PKS系の完全なタンパク質、および無傷のPUFA PKS系(たとえば、PUFA PKS遺伝子によってコードされるタンパク質の全て)の改変を含むことができると理解される。したがって、改変は、内因性PUFA PKS系の単一のドメインに対する小さな改変;所与のPUFA PKS系の1つまたは複数のドメインまたはタンパク質に対する置換、欠失、または付加;異なる生物からPUFA PKS系を有する生物の全PUFA PKS系の置換までを含むことができる。当業者であれば、PUFA PKS系に対する任意の遺伝子改変が本発明によって包含されることを理解するであろう。
本明細書において使用される遺伝子改変微生物は、遺伝子改変された細菌、原生生物、微小藻類、または他の微生物、および特に、本明細書に記載されるヤブレツボカビ目(たとえば、スラウストキトリド)の属のいずれでも(たとえば、シゾキトリウム、スラウストキトリウム、ジャポノチトリウム、ラビリンチュロイデスなど)を含むことができる。このように遺伝子改変微生物は、望ましい結果が達せられるように(すなわち、増加したもしくは改変されたPUFA PKS活性および/またはPKS系を使用して所望の産物の産生)、その正常な(すなわち、野生型または天然に存在する)形態から改変された(すなわち、変異しているまたは変化された)ゲノムを有する。微生物の遺伝子改変は、古典的系統発生および/または分子遺伝学的技術を使用して達成することができる。このような技術は、当技術分野において公知であり、微生物については、たとえば、Sambrook et al., 1989, 「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」, Cold Spring Harbor Labs Pressに一般に開示されている。この文献(Sambrook et al., 同書)は、参照としてその全体が本明細書に組み入れられる。遺伝子改変微生物は、このような改変が微生物内に望ましい効果を与えるような様式で核酸分子が挿入、欠失、または改変された(すなわち、たとえば、ヌクレオチドの挿入、欠失、置換、および/または反転により変異された)微生物を含むことができる。
本発明により改変するための好ましい微生物宿主細胞は、任意の細菌、原生生物、微小藻類、真菌、または原生動物も含むが、これらに限定されない。一つの局面において、遺伝子改変するための好ましい微生物は、スラウストキトリアシエおよびラビリンチュラシエ科の任意の微生物も含むヤブレツボカビ目の任意の微生物も含むが、これらに限定されない。本発明に使用するための特に好ましい宿主細胞は、以下のものを含む属由来の微生物を含むことができるが、これらに限定されない:スラウストキトリアシエおよびラビリンチュラ内のラウストキトリウム、ジャポノチトリウム、アプラノキトリウム、エリナ、およびシゾキトリウム、ラビリンチュロイデス、およびラビリンチュラシエ内のラビリントミキサ。これらの属内の好ましい種には、以下を含むが、これらに限定されない:以下を含むラビリンチュラ内の任意の種:ラビリンチュラ種、ラビリンチュラ・アルジェリエンシス(Labyrinthula algeriensis)、ラビリンチュラ・シエンコウスキ(Labyrinthula cienkowskii)、ラビリンチュラ・シャトニ(Labyrinthula chattonii)、ラビリンチュラ・コエノシスティス(Labyrinthula coenocystis)、ラビリンチュラ・マクロシスティス(Labyrinthula macrocystis)、ラビリンチュラ・マクロシスティス・アルトランチカ(Labyrinthula macrocystis atlantica)、ラビリンチュラ・マクロシスティス・マクロシスティス(Labyinthula macrocystis macrocystis)、ラビリンチュラ・マグニフィカ(Labyrinthula magnifica)、ラビリンチュラ・ミヌタ(Labyrinthula minuta)、ラビリンチュラ・ロスコフェンシス(Labyrinthula roscoffensis)、ラビリンチュラ・ファルカノフィイ(Labyrinthula valkanovii)、ラビリンチュラ・ヴィテリナ(Labyrinthula vitellina)、ラビリンチュラ・ビテリナ・パシフィカ(Labyrinthula vitellina pacifica)、ラビリンチュラ・ビテリナ・ビテリナ(Labyrinthula vitellina vitellina)、ラビリンチュラ・ゾプフィ(Labyrinthula zopfii);以下を含む任意のラビリンチュロイデス種:ラビリンチュロイデス種、ラビリンチュロイデス・ミヌタ(Labyrinthuloides minuta)、ラビリンチュロイデス・シゾキトロプス(Labyrinthuloides schizochytrops);以下を含む任意のラビリントミキサ種:ラビリントミキサ種、ラビリントミキサ・ポリア(Labyrinthomyxa pohlia)、ラビリントミキサ・サウバゲアウイ(Labyrinthomyxa sauvageaui)、以下を含む任意のアプラノキトリウム種:アプラノキトリウム種およびアプラノキトリウム・ケルグエレンシス(Aplanochytrium kerguelensis);以下を含む任意のエリナ種:エリナ種、エリナ・マリサルバ(Elina marisalba)、エリナ・シノリフィカ(Elina sinorifica);以下を含む任意のジャポノキトリウム種:ジャポノキトリウム種、ジャポノキトリウム・マリナム(Japanochytrium marinum);以下を含む任意のシゾキトリウム種:シゾキトリウム・アグレガツム、シゾキトリウム・リマシナム、シゾキトリウム・ミヌツム、シゾキトリウム・オクトスポラム(Schizochytrium octosporum);および以下を含む任意のスラウストキトリウム種:スラウストキトリウム種、スラウストキトリウム・アグレガツム(Thraustochytrium aggregatum)、スラウストキトリウム・アルヂメンタレ(Thraustochytrium arudimentale)、スラウストキトリウム・オーレウム(Thraustochytrium aureum)、スラウストキトリウム・ベンチコラ(Thraustochytrium benthicola)、スラウストキトリウム・グロボサム(Thraustochytrium globosum)、スラウストキトリウム・キネイ(Thraustochytrium kinnei)、スラウストキトリウムモチバム(Thraustochytrium motivum)、スラウストキトリウム・パチデルマム(Thraustochytrium pachydermum)、スラウストキトリウム・プロリフェラム(Thraustochytrium proliferum)、スラウストキトリウム・ローゼウム(Thraustochytrium roseum)、スラウストキトリウム・ストリアツム、ウルケニア種、ウルケニア・ミヌタ(Ulkenia minuta)、ウルケニア・プロフンダ(Ulkenia profunda)、ウルケニア・ラジアート(Ulkenia radiate)、ウルケニア・サルカリアナ(Ulkenia sarkariana、)およびウルケニア・ビスルゲンシス(Ulkenia visurgensis)。これらの属内の好ましい種は、以下のものを含むが、これらに限定されない:シゾキトリウム・アグレガツム、シゾキトリウム・リマシナム、シゾキトリウム・ミヌツムを含む任意のシゾキトリウム種;任意のスラウストキトリウム種(U. visurgensis, U. amoeboida, U. sarkariana, U. profunda, U. radiata, U. minuta、およびウルケニア種BP-5601などの前ウルケニア種を含む)、およびスラウストキトリウム・ストリアツム(Thraustochytrium striatum)、スラウストキトリウム・オーレウム(Thraustochytrium aureum)、スラウストキトリウムローゼウム(Thraustochytrium roseum);並びに任意のジャポノチトリウム種、ヤブレツボカビの特に好ましい株は以下のものを含むが、これらに限定されない:シゾキトリウム種(S31)(ATCC 20888);シゾキトリウム種(S8)(ATCC 20889);シゾキトリウム種(LC-RM)(ATCC 18915);シゾキトリウム種(SR21);シゾキトリウムアグレガツム(GoldsteinおよびBelsky)(ATCC 28209);シゾキトリウムリマシナム(HondaおよびYokochi)(IFO 32693);スラウストキトリウム種(23B)(ATCC 20891);スラウストキトリウムストリアツム(Schneider)(ATCC 24473);スラウストキトリウム・オーレウム(Goldstein)(ATCC 34304);スラウストキトリウムローゼウム(Goldstein)(ATCC 28210);およびジャポノチトリウム種(L1)(ATCC 28207)。遺伝子改変に適した宿主微生物の他の例には、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)を含む酵母、もしくはカンジダ(Candida)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)のような他の酵母、または他の真菌、たとえば、アスペルギルス(Aspergillus)、ノイロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)のような繊維状真菌などを含むが、これらに限定されない。細菌細胞もまた、宿主として使用することができる。これは、発酵過程において有用であろう大腸菌を含む。またはラクトバチルス(Lactobacillus)種またはバチルス(Bacillus)種などの宿主を宿主として使用することができる。
本発明のもう一つの態様は、植物が高度不飽和脂肪酸(PUFA)ポリケチドシンターゼ(PKS)系の少なくとも1つの生物学的に活性なドメインを含むPKS系を組換え発現するために遺伝子改変された遺伝子改変植物に関する。PUFA PKS系のドメインは、上記の通りのPUFA PKS系のための(たとえば、シゾキトリウムおよびスラウストキトリウムのための任意のドメイン(これらの相同体を含む)含むことができ、また任意のスラウストキトリド微生物を含む任意の真核微生物を含む任意のその他の非細菌の微生物に由来するPUFA PKS系の任意のドメイン、または上記米国特許出願第10/124,800号に記載されたとおりのスクリーニング法によって同定される微生物に由来するPUFA PKS系の任意のドメインを含むことができる。また、植物は、細菌性PUFA PKSまたはPKS系、I型 PKS系、II型 PK系、モジュラーPKS系、および/または任意の非細菌性PUFA PKS系(たとえば、真核生物、スラウストキトリド、スラウストキトリアシエ、またはラビリンチュラシエ、シゾキトリウム、その他)を含むが、これらに限定されない、別のPKS系の少なくとも1つのドメインまたはそれらの生物活性断片によってさらに改変することができる。
本明細書において使用される遺伝子改変植物は、高等植物、特に任意の消費可能な植物または本発明の望ましい生物活性分子を産生するために有用な植物を含む任意の遺伝子改変植物を含むことができる。このように遺伝子改変植物は、望ましい結果が達せられるように(すなわち、増加もしくは改変されたPUFA PKS活性および/またはPKS系を使用する所望の産物の産生)、その正常な(すなわち、野生型または天然に存在する)形態から改変されている(すなわち、変異しているまたは変化している)ゲノムを有する。植物の遺伝子改変は、古典的系統発生および/または分子遺伝学的技術を使用して達成することができる。所望のアミノ酸配列をコードする組換え核酸分子が、その植物のゲノムに組み入れられたトランスジェニック植物を作製するための方法は、当技術分野において公知である。本発明にしたがって遺伝子改変するために好ましい植物は、好ましくはヒトを含む動物による消費のために適した植物である。
本発明にしたがって遺伝子改変するために好ましい植物(すなわち、植物宿主細胞)は、任意の高等植物、特に作物植物およびとりわけこれらの油が使用される植物を含む消費可能な植物を含むが、これらに限定されない。このような植物は、たとえば、キャノーラ、大豆、菜種、亜麻仁、トウモロコシ、ベニバナ、ヒマワリ、およびタバコを含むことができる。その他の有用な植物は、薬学的薬品、調味料、栄養剤、機能性食品成分もしくは美容的活性剤として使用される化合物を産生することが知られているこれらの植物、またはこれらの化合物/薬剤を産生するように遺伝的に操作されている植物を含む。
本発明によれば、遺伝子改変微生物または植物は、組換え技術を使用して改変微生物または植物を含む。本明細書において使用される、遺伝子発現、その遺伝子の機能、遺伝子産物(すなわち、遺伝子によりコードされるタンパク質)の機能の減少が生じる遺伝子改変は、遺伝子の不活化(完全または部分的)、欠失、中断、妨害またはダウンレギュレーションということができる。たとえば、このような遺伝子によってコードされるタンパク質の機能に減少が生じる遺伝子の遺伝子改変は、遺伝子の完全な欠失の結果(すなわち、遺伝子が存在せず、それゆえにタンパク質が存在しない)、タンパク質の不完全な翻訳を生じるか、または翻訳を生じない(たとえば、タンパク質が発現されない)遺伝子の突然変異、またはタンパク質の本来の機能を減少させるか、もしくは消失させる(たとえば、減少した酵素活性もしくは作用をもつか、または酵素活性もしくは作用をもたないタンパク質が発現される)遺伝子の突然変異であることができる。遺伝子発現または機能の増加を生じる遺伝子改変は、遺伝子の増幅、過剰産生、過剰発現、活性化、増強、付加、またはアップレギュレーションと言うことができる。
本発明に従った微生物または植物の遺伝子改変は、好ましくは、PKS系が内因性および遺伝子改変されているか、生物への組換え核酸分子の導入により内因性であるか(内因性の系を改変する選択肢を有する、または有さない)、または組換え技術によって完全に供給されるかのいずれかによって、微生物または植物により発現されるPKS系の活性に影響を及ぼす。このような系を発現するPUFA PKS系または生物のPUFA産生プロフィールを変更することは、遺伝子改変されていない場合と比較して、宿主微生物または植物によって任意の1つまたは複数のPUFAの産生の任意の検出可能なまたは有意な変化を生じさせることを含む(すなわち、無改変ものと比較して、野生型微生物またはPUFA合成に関して少なくとも改変された植物または微生物または植物-すなわち、生物は、PUFA合成に関連しないその他の改変を有するかもしれない)。PKS系の活性に影響及ぼすこととは、遺伝子改変されていない場合と比較して、生物によって発現されるPKS系においていずれの検出可能なまたは測定可能な変化または改変を引き起こすいずれの遺伝子改変も含む。PKS系における検出可能な変化または改変は、以下のものを含むことができるが、これらに限定されない:
遺伝子改変されていない内因性PUFA PKS系と比較して、改変されたPUFA PKS系における一つ又は複数のドメインのいずれかの発現および/又は生物活性の変化又は改変(増加又は減少の導入);
生物が現在測定可能/検出可能なPKS系活性を有する(すなわち、生物は遺伝子改変の前にはPKS系を含んでいなかった)ような、生物へのPKS系活性の導入;
PKS系活性が改変されるような、生物により内因性に発現されるPKS系とは異なるPKS系由来の機能性ドメインの生物への導入(たとえば、細菌性PUFA PKSドメインまたはI型PKSドメインが、非細菌性PUFA PKS系を内因性に発現する生物へ導入される);
PKS系により産生される生物活性分子(例えばPUFA)の量における変化(たとえば、系は、その遺伝子改変の非存在下と比較してより多く(増加した量の)またはより少なく(減少した量の)所定の産物を産生する);
PKS系により産生される、生物活性分子の型における変化(例えばPUFAの型の変化)(たとえば、系は、追加もしくは異なるPUFA、新規もしくは異なる産物、または、その系により本来産生されるPUFAもしくはその他産物の変種を産生する);および/または
PKS系により産生される複数の生物活性分子の比率における変化(たとえば、系は、あるPUFAと別のPUFAの異なる比率を生じ、遺伝子改変されていない場合と比較して完全に異なる脂質プロフィールを生じ、または、その天然の配置と比較してトリアシルグリセロールにおいて異なる位置に様々なPUFAを配置する)。このように遺伝子改変は、任意の型の遺伝子改変を含み、特に組換え技術および古典的突然変異誘発により作製される改変を含む。
PUFA PKS系における機能性ドメインまたはタンパク質の活性を増加させることについての言及は、ドメインまたはタンパク質系の機能性の増大を生じるドメインまたはタンパク質を含む(またはドメインもしくはタンパク質が導入される)生物における任意の遺伝子改変をいい、ドメインまたはタンパク質のより高い活性(たとえば、特異的活性またはインビボでの酵素活性)、ドメインまたはタンパク質系の抑制または分解の低下、およびドメインまたはタンパク質の過剰発現を含むことができることに留意されたい。たとえば、遺伝子コピー数を増大することができ、天然のプロモーターのレベルよりも高い発現レベルを与えるプロモーターの使用によって発現レベルを増加することができ、または遺伝子を、その遺伝子によってコードされるドメインもしくはタンパク質の活性を増大させるように遺伝子操作もしくは古典的突然変異誘発によって変化することができる。
同様に、PUFA PKS系における機能性ドメインまたはタンパク質の活性を減少させることについての言及は、ドメインまたはタンパク質の機能の減少を生じるようなドメインまたはタンパク質を含む(またはドメインもしくはタンパク質が導入される)生物におけるいずれの遺伝子改変をもいい、ドメインまたはタンパク質の活性の減少、ドメインまたはタンパク質の抑制または分解の増大、およびドメインまたはタンパク質の発現の低下もしくは消失を含む。たとえば、本発明のドメインまたはタンパク質の作用は、ドメインもしくはタンパク質の産生を遮断することもしくは低下させること、ドメインもしくはタンパク質をコードする遺伝子もしくはその一部を「ノックアウトすること」、ドメインもしくはタンパク質活性を低下させること、またはドメインもしくはタンパク質の活性を阻害することにより減少することができる。ドメインまたはタンパク質の産生を遮断することまたは低下させることは、増殖培地において誘導化合物の存在を必要とするプロモーターの制御下にドメインまたはタンパク質をコードする遺伝子を配置することを含むことができる。その誘導物質が培地から涸渇してしまうような条件を確立することにより、ドメインまたはタンパク質をコードする遺伝子の発現(およびしたがって、タンパク質合成の発現)を止めることができる。ドメインまたはタンパク質の活性を遮断することまたは低下させることは、また、米国特許第4,743,546号(参照として本明細書に組み入れられる)に記載される方法に類似した切除技術方法を使用することを含むことができる。この方法を使用するために、関心対象のそのタンパク質をコードする遺伝子を特定の遺伝子配列の間にクローン化して、特定の制御されたゲノムから遺伝子の切除を行わせる。切除は、たとえば米国特許第4,743,546号のように、培養の培養温度における転換により、またはいくらかの他の物質的もしくは栄養的シグナルにより促進することができる。
本発明の一つの態様において、遺伝子改変は、本明細書に記載された非細菌性PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列の改変を含む(例えば、スラウストキトリド宿主の内因性PUFA PKS系の、一つのドメイン、複数のドメイン、一つのタンパク質、またはPUFA PKS系全体)。このような改変は、内因性に(天然に)発現されている非細菌性PUFA PKS系内のアミノ酸配列に対するものであってもよく、これにより、天然にこのような系を含む微生物が、たとえば古典的突然変異誘発および選択技術および/または遺伝子工学技術を含む分子遺伝学的技術により遺伝子改変される。遺伝子工学技術は、たとえば内因性遺伝子の部分を除去するために(実施例で証明されている)、または内因性遺伝子の部分を異種性配列で置換するために(実施例で証明されている)、ターゲティング組換えベクターを使用する段階を含むことができる。宿主ゲノムに導入することができる異種配列の例は、異なる非細菌性PUFA PKS系(たとえば、別のスラウストキトリドを含む真核生物に由来)、細菌性PUFA PKS系、I型PKS系、II型PKS系、またはモジュラーPKS系などの別のPKS系由来の少なくとも1つの機能性ドメインをコードする配列を含む。また、異種配列は、宿主において全内因性PUFA PKS系(たとえば、内因性PUFA PKS系の全ての遺伝子)を置換するために使用される全PUFA PKS系(たとえば、PUFA PKS系と関係する全ての遺伝子)を含むことができる。また、異種配列は、宿主スラウストキトリドのPUFA PKS系に由来する天然のドメインの改変された機能的なドメイン(相同体)をコードする配列であることができる(たとえば、シゾキトリウムのOrfB由来の改変されたドメインをコードする核酸配列であって、改変されたドメインは、シゾキトリウムに発現された天然に存在するドメインを置換するために使用されるときに、シゾキトリウムによるPUFA産生プロフィールを変更する)。宿主のゲノムに導入するための他の異種配列は、PKS系のドメインではないが、内因性PKS系の活性に影響を及ぼすであろうタンパク質または機能性ドメインをコードする配列を含む。たとえば、ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼをコードする核酸分子を宿主ゲノムへ導入することができるものと思われる(下記で考察されている)。内因性PUFA PKS系に対して行うことができる特異的改変は、下記で詳細に考察されている。
本発明のこの態様のもう一つの局面において、遺伝子改変は、(1)非細菌性PUFA PKS系の少なくとも1つのドメインの生物活性を有するアミノ酸配列をコードする組換え核酸分子の導入;および/または(2)宿主へのPUFA PKS系の活性に影響を及ぼすタンパク質または機能性ドメインをコードする組換え核酸分子の導入を含む。宿主は、以下のものを含むことができる:(1)いずれのPKS系も発現しない宿主細胞であり、PKS系のすべての機能性ドメインがその宿主細胞へと導入され、かつ少なくとも1つの機能性ドメインが非細菌性PUFA PKS系由来である宿主細胞;(2)非細菌性PUFA PKS系の少なくとも1つの機能性ドメインを有するPKS系を発現する宿主細胞であり、導入される組換え核酸分子は、少なくとも1つの追加的非細菌性PUFA PKSドメイン機能または宿主PKS系の活性に影響を及ぼす別のタンパク質もしくはドメインをコードすることができる宿主細胞;および(3)必ずしも非細菌性PUFA PKS由来のドメイン機能を含むとは限らないPKS系(内因性のまたは組換え型の)を発現する宿主細胞であり、導入される組換え核酸分子は、非細菌性PUFA PKS系の少なくとも1つの機能性ドメインをコードする核酸配列を含む宿主細胞。換言すれば、本発明は、任意の遺伝子改変生物(たとえば、微生物または植物)であって、生物は少なくとも1つの非細菌性PUFA PKSドメイン機能を含み(内因性にまたは組換え改変により)、遺伝子改変は、生物が機能性PKS系を含むときには、非細菌性PUFA PKSドメイン機能またはPKS系に測定可能な効果を生じる遺伝子改変生物を含むことを企図する。
本発明は、本明細書に記載されているPUFA PKS系のための可能性がある宿主細胞として、および/または本明細書に記載されている遺伝子改変および方法に使用するためのPUFA PKS系タンパク質およびドメインをコードするさらなる遺伝形質の与源として、多くの可能性のある非細菌性および細菌性の微生物を包含する。たとえば、本発明の本発明者らによって発見され、実施例1に記載されているスラウストキトリウム微生物などのシゾキトリウムにおいて見いだされたものと同様のPUFA PKS系を有する微生物の生物は、米国特許出願第20020194641号、前記(米国特許出願第10/124,800号に対応する)に詳述されている高度不飽和脂肪酸(PUFA)ポリケチドシンターゼ(PKS)系を有するその他の非細菌性微生物を同定するための方法によって容易に同定し/単離し/スクリーニングすることができる。
本発明によるPUFA PKS系のためのスクリーニングについて好ましいタイプの微生物の収集場所は、以下のいずれかを含む:微生物または微生物含有食品を消費する(濾過摂食生物の型を含む)無脊椎動物を含む動物の消化管中を含む低酸素環境(またはこれらのタイプの低酸素環境近くの場所)、低または無酸素含有の水中生息地(淡水、塩水および海を含む)、および特に海洋における低酸素環境(領域)地点または近く。微生物株は、好ましくは偏性嫌気性菌ではなく、好気性および低または無酸素の環境の両方で生存するように適合されている方がよい。好気的および低酸素または無酸素の環境の両方を含む土壌環境もまた、水中生息地または一時的水中生息地において、特にこれらのタイプの土壌においてこれらの生物を見出すためのすばらしい環境であると思われる。
本発明に従ったPUFA PKS遺伝子の宿主および/または供与源として使用するためのスクリーニングのために特に好ましい非細菌性微生物の株は、その生活環の一部の間、食作用、食作用栄養生物もしくはエンドサイトーシスの能力のような機構により細菌細胞全体を消費する能力がある(細菌食性)および/またはそれがアメーバ状期もしくは裸のプロトプラストとして存在するその生活環の時期をもつ株(藻類、真菌(酵母を含む)、原生動物または原生生物からなる群より選択される)であると考えられる。この栄養物摂取の方法は、間違いが起こり、その細菌細胞(またはそのDNA)は消化されず、その代わりとして、真核細胞へと機能的に組み入れられている場合での細菌のPKS系の真核細胞への移行についての可能性を大いに強めているものと思われる。
本明細書に具体的に記載されているPUFA PKS系を含むもの以外の任意のスラウストキトリドが、PUFA PKS遺伝子(およびこれによりコードされるタンパク質およびドメイン)の供与源として本発明に含まれる。このようなスラウストキトリドは、スラウストキトリアシエおよびラビリンチュラシエ科の任意の微生物も含むヤブレツボカビ目の任意の微生物を含むが、これらに限定されず、これらはさらに以下の属を含むが、これらに限定されない:スラウストキトリアシエおよびラビリンチュラ内のラウストキトリウム、ジャポノチトリウム、アプラノキトリウム、エリナ、およびシゾキトリウム、ラビリンチュロイデス、およびラビリンチュラシエ内のラビリントミキサ。これらの属内の好ましい種には、以下を含むが、これらに限定されない:以下を含むラビリンチュラ内の任意の種:ラビリンチュラ種、ラビリンチュラ・アルジェリエンシス、ラビリンチュラ・シエンコウスキ(、ラビリンチュラ・シャトニ、ラビリンチュラ・コエノシスティス、ラビリンチュラ・マクロシスティス、ラビリンチュラ・マクロシスティス・アルトランチカ、ラビリンチュラ・マクロシスティス・マクロシスティス、ラビリンチュラ・マグニフィカ、ラビリンチュラ・ミヌタ、ラビリンチュラ・ロスコフェンシス、ラビリンチュラ・ファルカノフィイ、ラビリンチュラ・ヴィテリナ、ラビリンチュラ・ビテリナ・パシフィカ、ラビリンチュラ・ビテリナ・ビテリナ、ラビリンチュラ・ゾプフィ;以下を含む任意のラビリンチュロイデス種:ラビリンチュロイデス種、ラビリンチュロイデス・ミヌタ、ラビリンチュロイデス・シゾキトロプス;以下を含む任意のラビリントミキサ種:ラビリントミキサ種、ラビリントミキサ・ポリア、ラビリントミキサ・サウバゲアウイ、以下を含む任意のアプラノキトリウム種:アプラノキトリウム種およびアプラノキトリウム・ケルグエレンシス;以下を含む任意のエリナ種:エリナ種、エリナ・マリサルバ、エリナ・シノリフィカ;以下を含む任意のジャポノキトリウム種:ジャポノキトリウム種、ジャポノキトリウム・マリナム;以下を含む任意のシゾキトリウム種:シゾキトリウム・アグレガツム、シゾキトリウム・リマシナム、シゾキトリウム・ミヌツム、シゾキトリウム・オクトスポラム;および以下を含む任意のスラウストキトリウム種:スラウストキトリウム種、スラウストキトリウム・アグレガツム、スラウストキトリウム・アルヂメンタレ、スラウストキトリウム・オーレウム、スラウストキトリウム・ベンチコラ、スラウストキトリウム・グロボサム、スラウストキトリウム・キネイ、スラウストキトリウムモチバム、スラウストキトリウム・パチデルマム、スラウストキトリウム・プロリフェラム、スラウストキトリウム・ローゼウム、スラウストキトリウム・ストリアツム、ウルケニア種、ウルケニア・ミヌタ、ウルケニア・プロフンダ、ウルケニア・ラジアート、ウルケニア・サルカリアナ、およびウルケニア・ビスルゲンシス。
特定の理論に拘束されるわけではないが、ラビリンチュラシエは、PUFA PKS遺伝子を有することが公知であるスラウストキトリアシエに密接に関連しており、ラビリンチュラシエは、細菌食性で/貪食性であることが公知であり、およびラビリンチュラシエのメンバーは、PUFA PKS系を有することと整合して脂肪酸/PUFAプロフィールを有するので、本発明の本発明者らはLabyrinthulaおよびその他のラビリンチュラシエをPUFA PKS遺伝子の供与源と考えることに留意されたい。
細菌食性(特に、食作用またはエンドサイトーシスによる)の能力がある微生物(スラウストキトリドのメンバー以外)の株は、以下の微生物綱に見出され得る(例示された属を含むがこれらに限定されない)。
藻類および藻類様微生物(ストラメノパイル(stramenopiles)を含む)において:
ユーグレナ藻綱(Euglenophyceae)(たとえば、ユーグレナ(Euglena)属およびペラネマ(Peranema)属)、緑藻綱(Chrysophyceae)(たとえば、オクロモナス(Ochromonas)属)、サヤツナギ綱(Dinobryaceae)(たとえば、サヤツナギ(Dinobryon)属、プラチクリシス(Platychrysis)属およびクリソクロムリナ(Chrysochromulina)属)、渦鞭毛藻綱(Dinophyceae)(クリプセコディニウム(Crypthecodinium)属、ギムノジニウム(Gymnodinium)属、ペリジリウム(Peridinium)属、セラチウム(Ceratium)属、ギロジニウム(Gyrodinium)属およびオキシルリス(Oxyrrhis)属)、クリプト藻綱(Cryptophyceae)(たとえば、クリプトモナス(Cryptomonas)属およびロドモナス(Rhodomonas)属)、黄緑藻綱(Xanthophyceae)(たとえば、オリストディスカス属(Olisthodiscus))(かつ、鞭毛虫リゾクロリス類(Rhizochloridaceae)並びにアファノカエテパシェリ(Aphanochaete pascheri)、ブミレリアスティゲオクロニウム(Bumilleria stigeoclonium)およびバウケリアゲミナタ(Vaucheria geminata)の遊走子/配偶子においてのようなアメーバ状期を生じる藻類の品種を含む)、真正眼点藻綱(Eustigmatophyceae)およびプリムネシウム藻綱(Prymnesiopyceae)(プリムネシウム(Prymnesium)属およびディアクロネマ(Diacronema)属を含む)。
ストラメノパイルにおいて:
プロテロモナス類(Proteromonads)、オパリナ類(Opalines)、デベロッパイエラ(Developayella)、ディプロフォリス(Diplophorys)、ラビリンチュラ類(Labyrinthulids)、スラウストキトリド(Thraustochytrids)、ビコセシド(Bicosecids)、卵菌類(Oomycetes)、サカゲツボカビ類(Hypochytridiomycetes)、コマチオン(Commation)、レチキュロスファエラ(Reticulosphaera)、ペラゴモナス(Pelagomonas)、ペラポコッカス(Pelapococcus)、オリコラ(Ollicola)、オーレオコッカス(Aureococcus)、パルマ類(Parmales)、ラフィド藻類(Raphidiophytes)、シヌリド(Synurids)、リゾクロムリナーレス(Rhizochromulinaales)、ペディネルラ類(Pedinellales)、ディクチオカ類(Dictyochales)、クリソメリダレス(Chrysomeridales)、サルキノクリシス類(Sarcinochrysidales)、ヒドルラレス(Hydrurales)、ヒベルディアレス(Hibberdiales)、およびクロムリナレス(Chromulinales)を含む。
真菌界において:
変形菌綱(Myxomycetes)(品種粘液アメーバ)--粘液カビ(slime mold)、アクラシ目(Acrasiceae)(たとえば、サッピニア(Sappinia)属)を含むアクラシ綱(Acrasieae)、グッツリナ綱(Guttulinaceae)(たとえば、グッツリノプシス(Guttulinopsis)属およびグッツリナ(Guttulina)属)、ディクチオステリウム綱(Dictysteliaceae)(たとえば、アクラシス(Acrasis)属、ディクチオステリウム(Dictyostelium)属、ポリスフォンジリウム(Polysphondylium)属およびコエノニア(Coenonia)属)、並びにツボカビ(Chytridiales)目、アンシリスタレス(Ancylistales)目、コウマクノウキン(Blastocladiales)目、サヤミドロモドキ(Monoblepharidales)目、ミズカビ(Saprolegniales)目、ツユカビ(Peronosporales)目、ケカビ(Mucorales)目、並びにハエカビ(Entomophthorales)目を含む藻菌類。
原生動物界において:
細菌食性(食作用によるものを含む)の可能な生活期をもつ原生動物系統は、繊毛虫、鞭毛虫またはアメーバとして分類される型から選択することができる。原生動物界の繊毛虫は、以下の群を含む:漏斗類(Chonotrichs)、コルポダ類(Colpodids)、キルトス類(Cyrtophores)、ハプトリド(Haptorids)、原始大核類(Karyorelicts)、貧膜口類(Oligohymenophora)、ポリメノフォル類(Polyhymenophora)(スピロトリカ類(spirotrichs))、原口類(Prostomes)および吸管虫類(Suctoria)。原生動物界の鞭毛虫は、ビオソエシド(Biosoecids)、ボドニド(Bodonids)、セルコモナド(Cercomonads)、黄金色植物(Chrysophytes)(たとえば、アンソファイサ(Anthophysa)属、クリスアメーバ(Chrysamoemba)属、クリソスファエレラ(Chrysosphaerella)属、デンドロモナス(Dendromonas)属、ディノブリヨン(Dinobryon)属、マロモナス(Mallomonas)属、オクロモナス(Ochromonas)属、パラフィソモナス(Paraphysomonas)属、ポテリオクロモナス(Poteriochromonas)属、スプメラ(Spumella)属、シンクリプタ(Syncrypta)属、シヌラ(Synura)属、およびウログレナ(Uroglena)属)、襟鞭毛虫類(Collar flagellates)、クリプト植物類(Cryptophytes)(たとえば、フカミゾヒゲム(Chilomonas)属、カゲヒゲムシ(Cryptomonas)属、シアノモナス(Cyanomonas)属、およびゴニオモナス(Goniomonas)属)、渦鞭毛虫類(Dinoflagellates)、ヒゲハラムシ類(Diplomonads)、ユーグレナ類(Euglenoids)、異形葉状根足虫類(Heterolobosea)、ペディネリド(Pedinellids)、ペロビオニト類(Pelobionts)、ファランステリイド(Phalansteriids)、シュードデンドロモナド(Pseudodendromonads)、スポンゴモナド(Spongomonads)およびオオヒゲマワリ類(Volvocales)(並びにアルトディスカス(Artodiscus)、クラウトリアビア(Clautriavia)、ヘルケシマスティックス(Helkesimastix)、カタブレファリス(Kathablepharis)およびマルチシリア(Multicilia)の割り当てられていない鞭毛虫属を含む他の鞭毛虫類)を含む。アメーバ様原生動物は以下の群を含む:タイヨウチュウ類(Actinophryids)、カラタイヨウチュウ類(Centrohelids)、カゴメタイヨウチュウ類(Desmothoricids)、ディプロフィリド(Diplophryrids)、ユームアメーバ(Eumamoebae)、異形葉状根足虫類(Heterolobosea)、レプトミキシド(Leptomyxids)、ヌクレアリイド糸状アメーバ(Nucleariid filose amoebae)、ペレビオント(Pelebionts)、テステートアメーバ(Testate amoebae)およびバムピレリド(Vampyrellids)(並びに割り当てられていないアメーバ属のギムノフィリス(Gymnophrys)、バイオミキサ(Biomyxa)、マイクロコメテス(Microcometes)、レチキュロミキサ(Reticulomyxa)、ベロノシスティス(Belonocystis)、エラエオルハニス(Elaeorhanis)、アレロゴロミア(Allelogromia)、グロミア(Gromia)またはリーベルクーニア(Lieberkuhnia)を含む)。原生動物目は以下のものを含む:ペルコロモナド目(Percolomonadeae)、異形葉状根足虫目(Heterolobosea)、リロモナド目(Lyromonadea)、シュードシリアタ(Pseudociliata)、トリコモナド目(Trichomonadea)、ケカムリ類(Hypermastigea)、ヘテロミテア(Heteromiteae)、テロネメア(Telonemea)、シアトボドネア(Cyathobodonea)、エブリデア(Ebridea)、ピイトミキシア(Pyytomyxea)、オパリネア(Opalinea)、キネトモナド目(Kinetomonadea)、ヘミマスティゲア(Hemimastigea)、プロトステレア(Protostelea)、ミキサガストレア(Myxagastrea)、ディクチョステレア(Dictyostelea)、コアノモナド目(Choanomonadea)、アピコモナド目(Apicomonadea)、エオグレガリネア(Eogregarinea)、ネオグレガリネア(Neogregarinea)、コエロトロルフェア(Coelotrolphea)、ユーコシデア(Eucoccidea)、ハエモスポレア(Haemosporea)、ピロプラスメア(Piroplasmea)、スピロトリケア(Spirotrichea)、プロストマテア(Prostomatea)、リトストマテア(Litostomatea)、フィロファリンゲア(Phyllopharyngea)、ナッソフォレア(Nassophorea)、貧膜口類(Oligohymenophorea)、コルポデア(Colpodea)、原始大核類(Karyorelicta)、ヌクレオヘレア(Nucleohelea)、カラタイヨウチュウ目(Centrohelea)、アカンタレア(Acantharea)、スティコロンケア(Sticholonchea)、ポリシスティネア(Polycystinea)、ファエオダレア(Phaeodarea)、葉状根足虫類(Lobosea)、糸状根足虫類(Filosea)、アタラメア(Athalamea)、モノタラメア(Monothalamea)、ポリタラメア(Polythalamea)、クセノフィオフォラ類(Xenophyophorea)、シゾクラデア(Schizocladea)、ホロセア(Holosea)、エントアメーバ目(Entamoebea)、ミキソスポレア(Myxosporea)、アクチノミキシア(Actinomyxea)、ハロスポレア(Halosporea)、パラミキシア(Paramyxea)、ロームボゾア(Rhomobozoa)、およびオルトネクテア(Orthonectea)。
本発明の好ましい態様は、上記に列挙される好ましい生息地の一つから収集された上記列挙した微生物の系統を含む。
本発明のこの方法のいくつかの態様において、遺伝子およびこれらの部分を含む細菌に由来するPUFA PKS系(全PUFA PKS系、これらのタンパク質、および/またはこれらのドメイン)は、その他のPUFA PKS系(たとえば、任意の非細菌性PUFA PKS系)および/または本発明の態様の前述のもの(またはその逆)を含む微生物を遺伝子改変するために使用することができる。一つの局面において、新規のPUFA PKS系は、特に遺伝子改変微生物を作製するために有用であると思われる細菌(たとえば、遺伝子改変されたスラウストキトリド)および/または本発明の方法および遺伝子改変微生物および植物に使用されるPUFA PKS系をコードする新規のハイブリッド構築物において同定することができる。一つの局面において、特に本発明の態様において有用でもよい細菌は、PUFA PKS系が約20℃を超える、好ましくは約25℃を超える、およびさらにより好ましくは約30℃を超える温度でPUFAを産生することができるPUFA PKS系をを有する。本明細書において前に記載されているように、米国特許第6,140,486号に記載される海洋細菌、シュワネラおよびビブリオ・マリナスは、高い方の温度ではPUFAを産生せず、これらの細菌由来のPUFA PKS系の実用性を、特に野外条件下での植物の適用の際に制限する。したがって、一つの態様において、本発明のスクリーニング方法は、高い方の温度(たとえば、約15℃、20℃、25℃、もしくは30℃、またはさらにそれ以上)で増殖およびPUFA産生の能力があるPUFA PKS系を有する細菌を同定するために使用することができる。しかし、細菌供与源がより高い温度でうまく増殖し、または、PUFAを産生しない場合であっても、本発明は、細菌に由来するPUFA PKS系が約15℃、20℃、25℃、もしくは30℃、またはそれ以上の温度で酵素活性/生物活性を有するPUFA PKS系(遺伝子およびこれによりコードされるタンパク質/ドメイン)の同定、単離、および使用を含む。この態様の一態様において、ナイスタチン(抗真菌性)またはシクロヘキシミド(真核生物のタンパク質合成の阻害剤)などの真核生物増殖の阻害剤を、下に記載されるタイプの生息地/ニッチから収集される水試料/土壌試料から最初の株を培養/選択するために使用される寒天プレートに添加することができる。この段階は、真核生物株の混入を伴わずに(または最小限の)細菌株の濃縮のための選択を助けるものである。この選択段階は、高められた温度(たとえば、30℃)でプレートを培養し、その後少なくとも1種のPUFAを産生する株を選択することと組み合わせて、高められた温度で効力のあるPUFA PKS系を有する候補の細菌株(約20℃未満およびより好ましくは約5℃未満の温度においてのみPUFA産生を示す先行文献におけるこれらの細菌株とは対照的に)を最初に同定するものである。
しかし、より高い温度であまり(または全く)増殖しないか、またはより高い温度では少なくとも1種のPUFAを産生しない細菌でさえ、このような株は、任意の条件下で細菌がPUFAを産生する能力を同定することによって、および/または細菌または非細菌生物に由来するその他の公知のPUFA PKS遺伝子に相同的な遺伝子について細菌のゲノムをスクリーニングすることによって、PUFA PKS系を含むものとして同定すること、および選択することができる(たとえば、実施例7を参照されたい)。任意の細菌供与源に由来する遺伝子に関してより高い温度でのPUFA PKS機能を評価するために、無細胞抽出液を作製して、種々の温度でPUFA産生について試験し、続いてより高い温度範囲(たとえば、15℃、20℃、25℃、もしくは30℃、またはさらにそれ以上)で酵素活性/生物活性を有するPUFA PKS遺伝子を含む微生物を選択することができる。
遺伝子改変のための宿主として使用するための適切な細菌は、上記のとおりの任意の菌種を含む。本発明にしたがって遺伝子改変された配列および生物の産生のためのPUFA PKS遺伝子(およびこれによりコードされるタンパク質およびドメイン)の供与源として使用するために特に適した細菌は、PUFA PKS系を含む任意の細菌を含む。このような細菌は、典型的には海または河口域の生息地から単離され、これらがPUFAを産生する能力によって、および/または生物内の公知のPUFA PKS遺伝子に対して相同性を有する1つもしくは複数の遺伝子の存在下によって、容易に同定することができる。このような細菌は、シュワネラおよびビブリオ属の細菌含むことができるが、これらに限定されない。本発明に使用される好ましい細菌は、より高い温度(たとえば、上記の約15℃、20℃、25℃、30℃、またはさらにそれ以上)で生物学的に活性であるPUFA PKS系を有するものを含む。本発明者らは、PUFA PKS遺伝子の供与源として使用するために特に適していると考えられ、かつ他者が容易に同定することができるか、またはPUFA PKS遺伝子を含むことが公知であり、かつ本発明のある態様において有用であろう2つの例示的な細菌を同定した(たとえば、シュワネラ・オレヤナおよびシュワネラ・ジャポニカ;実施例7および実施8を参照されたい)(たとえば、シュワネラ・ゲリヂマリナ(Shewanella gelidimarina))。
さらに、全ての細菌または非細菌の微生物が天然の生息地から容易に培養することができるというわけでないことが認識される。しかし、このような培養できない微生物の遺伝子の特徴は、混合試料または粗環境試料から ひとまとめに調製されたDNAから遺伝子を単離することによって評価することができる。培養できない微生物に由来する、特に本発明に適したPUFA PKS遺伝子は、公知のPUFA PKS遺伝子内の高い類似性の領域に一般にマッチするようにプライマーをデザインする縮重PCRによって、環境DNA試料から単離することができる(たとえば、実施例7を参照されたい)。または、全DNA断片は、当該技術分野において公知の任意のいくつかの方法によって精製した環境DNAから直接クローン化することができる。したがって、得られるDNA断片の配列は、PUFA PKS遺伝子などの公知の遺伝子に対する相同体を明らかにすることができる。OrfBおよびOrfCの相同体(たとえば、シゾキトリウムおよびスラウストキトリウムのドメイン構造をいう)は、特にPUFA PKS最終産物を定義する際に有用である。次いで、PUFA PKS遺伝子の全コード領域を、宿主生物(大腸菌または酵母など)において発現させて、互いに、または公知のPUFA PKS遺伝子または遺伝子断片の組み合わせと組み合わせてPUFA産生に対するこれらの効果を評価すことができる。上記のとおり、無細胞抽出液の活性は、所望の温度での機能を決定するために使用することができる。また、単離されたPUFA PKS遺伝子は、機能を測定するために、適切なシゾキトリウムまたはその他の適切な株に直接形質転換することができる。また、このような方法で同定され、または産生された、ハイブリッド構築物を含むPUFA PKS系をコードする構築物は、植物などのその他の生物を形質転換するために使用することができる。
従って、たとえば、スラウストキトリド PUFA PKS系、並びに細菌に由来するPUFA PKS系およびPKS系に由来する遺伝子を利用する、本発明の非細菌性PUFA PKS系を使用して、PUFA産物の範囲をEPA、DHA、ARA、GLA、SDAその他(以下に詳細に記載される)を含むように拡張するために、並びに抗生物質、その他の薬学的化合物、およびその他の望ましい産物を含む多種多様な生理活性分子を産生するために、遺伝子混合を使用することができる。これらの生理活性分子を得る方法は、種々の生物に由来する遺伝子を混合するだけでなく、本明細書に開示された非細菌性PUFA PKS遺伝子を遺伝子改変する種々の方法も含む。本発明の非細菌性PUFA PKS系の遺伝的基礎およびドメイン構造についての知識は、種々の生理活性分子を産生する新規の遺伝子改変された生物をデザインするための基礎を提供する。任意のPKSドメインおよび関連した遺伝子を混合および改変することは、本発明の本発明者らによって想定されるが、例として、種々の可能性のあるPUFA-PKS系の操作を遺伝子改変および生理活性分子の作製に関して考察する。
従って、以下の段階によって微生物または植物の細胞を遺伝子改変する方法が本発明に包含される:本発明に従った非細菌性PUFA PKS系の少なくとも1つの機能的なドメインの生物活性を有するアミノ酸配列をコードする生物の少なくとも1つの核酸配列を遺伝子改変する段階、および/またはこのようなアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む少なくとも1つの組換え核酸分子を発現させる段階。このような配列、生物を遺伝子改変する方法、および特異的な改変の種々の態様は、上に詳述した。典型的には、本方法は、特定の生理活性分子を産生する特定の遺伝子改変された生物を産生するために使用される。
本発明の一つの態様は、遺伝子改変されたスラウストキトリド微生物であって、微生物は、内因性の高度不飽和脂肪酸(PUFA)ポリケチドシンターゼ(PKS)系を有し、内因性のPUFA PKS系は、遺伝子改変されていないスラウストキトリド微生物と比較して、スラウストキトリド微生物による高度不飽和脂肪酸(PUFA)の発現プロフィールを変更するように遺伝子改変されたスラウストキトリド微生物に関する。本発明の宿主生物として有用なスラウストキトリド微生物は、PUFA PKS系を内因性に含み、かつ発現する。遺伝子改変は、内因性PUFA PKS系の機能的なドメインの1つまたは複数の遺伝子改変であることができ、これにより、改変によって内因性PUFA PKS系のPUFA産生プロフィールを変更する。加えて、または変形例として、遺伝子改変は、少なくとも1つの外来性核酸配列(たとえば、組換え核酸分子)の微生物への導入であることができ、外来性核酸配列は、第二のPKS系由来の少なくとも1つの生物活性を有するドメインもしくはタンパク質および/またはPUFA PKS系の活性に影響を及ぼすタンパク質(たとえば、ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ(PPTase))をコードする。第2のPKS系は、その他のPUFA PKS系を含む任意のPKS系であることができ、遺伝子改変されたスラウストキトリド PUFA PKS系に由来する遺伝子の相同体を含む。
本発明の本態様は、PUFA濃縮脂質(トリアシルグリセロール(TAG)並びに膜結合リン脂質(PL))を効率的に産生するための遺伝子改変微生物および方法を本発明の本発明者らが開発したことを介して、EPAなどの所望のPUFAが濃縮された商業的に有益な脂質の産生のために特に有用である。
本発明のこの特定の態様は、一つには以下の知識に由来する:(1)選択された微生物、特に本明細書に記載されている商業的に開発されたシゾキトリウム株などのスラウストキトリドのの固有のTAG産生能の利用;(2)本発明の本発明者らの、真核生物における、および特にヤブレツボカビ目のメンバーおける、PUFA PKS生合成経路(すなわち、PUFA PKS系)の詳細な理解;および(3)シゾキトリウムの相同遺伝的組換え系の利用。関与する系についての本発明者らの知識に基づいて、同様の一般的なアプローチをEPA以外のPUFAを産生するために利用してもよい。
本発明の一つの態様において、通常DHAおよびDPAを産生するPUFA PKS酵素をコードするシゾキトリウム遺伝子などの内因性スラウストキトリド PUFA PKS遺伝子は、ランダムまたは標的化された突然変異誘発によって改変され、相同的なPKSタンパク質をコードするその他の生物に由来する(たとえば、細菌またはその他の供与源に由来する)遺伝子で置換され、または遺伝子改変されたシゾキトリウム、スラウストキトリウム、またはその他のスラウストキトリド PUFA PKS遺伝子で置換される。これらの導入されたおよび/または改変された遺伝子によってコードされる酵素の産物は、たとえばEPAであることができ、またはそれは、その他のPUFAを含むいくつかのその他の関連した分子であることができる。この方法の1つの特徴は、スラウストキトリドPUFA合成の内因性成分の利用およびPUFAの効率的な産生およびPLおよびTAGへの組み入れに必須な蓄積機械である。特に、本発明の本態様は、生物によって産生されるPUFAのタイプの改変に向けられ、その一方で、親株の高い油産生性を保持する。
以下の考察のいくつかでは、例示的な宿主生物として生物シゾキトリウムを使用するが、スラウストキトリウム、ラビリンチュロイデス、およびジャポノチトリウム属のメンバーを含む任意のスラウストキトリドを本発明に従って改変することができる。たとえば、スラウストキトリウムの種のPUFA PKS系をコードする遺伝子が同定された(実施例6を参照されたい)、この生物は、また、本明細書に記載されている方法を使用して遺伝子改変するための宿主生物として役立つことができるが、スラウストキトリウム PKS遺伝子は、シゾキトリウムなどの別のスラウストキトリドの内因性PUFA PKS遺伝子を改変するために使用されるであろう可能性がより高い。さらに、米国特許出願第10/124,800号、前記に記載したように、生物をスクリーニングするための方法を用いて、本方法に有用なその他の生物を同定することができ、全てのこのような生物が本明細書に包含される。
本発明のこの態様は、以下の通りに例証することができる。例として、シゾキトリウムにおけるPUFA合成および蓄積の本発明の本発明者らの現在の理解に基づいて、全体の生化学的プロセスは、3部分に分けることができる。
第1に、シゾキトリウム油(DHAおよびDPA)に蓄積するPUFAは、上記のようにPUFA PKS系の産物である。シゾキトリウムのPUFA PKS系は、有意な量の中間化合物を放出することなくマロニルCoAを最終産物PUFAに変換する。シゾキトリウムにおいて、実際のPUFAの合成に必要とされる公知の酵素のドメインの全てコードする3つの遺伝子が同定された(Orf A、B、およびC;また、それぞれSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、およびSEQ ID NO:5によって表される)。同様の一連の遺伝子(酵素のドメインの一連の相同体を含むタンパク質をコードする)がPUFAを産生するいくつかのその他の非真核生物の生物、すなわち海洋細菌のいくつかの株からクローン化されて、特徴づけられた。加えて、本発明者らは、少なくとも1つのその他の海洋原生生物(スラウストキトリウム株23B)においてPUFA PKS遺伝子を同定し、今回配列決定した(以下に詳細に記載される)。
海洋細菌性PUFA産物は、(たとえば、シュワネラSRC2738およびフォトバクター・プロファンダムによって産生される)並びにDHA(今回、モリテラ・マリーナとして知られるビブリオ・マリナス)(米国特許第6,140,486号、前記;および米国特許第6,566,583号、前記、に記載されている)EPAを含む。任意の一連のPUFA PKS遺伝子により、本明細書の実施例に記載されているシゾキトリウム遺伝子を置換することを想像することができることは、発酵条件において産生生物(たとえば、シゾキトリウム)の生理的成長要求性が満たされる限り、本発明の態様である。特に、上記したPUFA産生菌種は、比較的低温(典型的には、20℃未満)でのみ増殖し、これらのPUFA PKS遺伝子産物がシゾキトリウムのための標準的な増殖温度(25〜30℃)で機能しないであろうことをさらに示す。しかし、本発明者らは、シゾキトリウムおよびその他のスラウストキトリド(実施例7を参照)に関して標準的な増殖温度で増殖し、かつEPAを産生する少なくとも2つのその他の海洋細菌を最近同定した。PUFA-PKS様遺伝子を有することを示したこれらのかわりの海洋細菌は、本明細書に記載されている方法によってシゾキトリウムおよびその他のスラウストキトリドを改変するための材料として役立つであろう。その他の現在研究されていないか、または未確認のPUFA産生細菌も、スラウストキトリドの改変のために有用なPUFA PKS遺伝子を含むであろうことは、本開示から当業者には明らかであろう。
第2に、PUFA合成に直接関与する酵素をコードする遺伝子に加えて、「アクセサリ」酵素も必要とされる。本遺伝子は、PUFA PKS複合体に存在する(ACP)ドメインを活性化するホスホパンテテイントランスフェラーゼ(PPTase)をコードする。この補因子の添加によるACPドメインの活性化は、PUFA PKS酵素複合体が機能するために必要とされる。今までに同定されたPUFA PKS系のACPドメインの全ては、高度なアミノ酸配列の保存を示し、特定の理論に拘束されるわけではないが、本発明者らは、シゾキトリウムおよびその他のスラウストキトリドのPPTaseがその他のPUFA PKS系に由来するACPドメインを認識して活性化するであろうと考える。異種のPPTaseおよびPUFA PKS遺伝子は、共に機能してPUFA産物を産生することができる原理の証拠として、本発明の本発明者らは、細菌宿主細胞においてPUFAを産生するために、シゾキトリウムに由来するPUFA PKS遺伝子と共に、2つの異なる異種のPPTaseの使用を本明細書において証明する。
第3に、シゾキトリウムでは、PUFA PKS系の産物がリン脂質(PL)およびトリアシルグリセロール(TAG)に効率的に向けられる。本発明者らのデータは、PUFAがPKS複合体のACPドメインからコエンザイムA(CoA)に転移されることを示唆する。その他の真核生物のように、次いでこのアシルCoAは、PLおよびTAG分子を形成する種々のアシルトランスフェラーゼの基質として役立つであろう。対照的に、データは、細菌においてCoAへの転移は生じず;むしろ、PKS複合体のACPドメインから直接アシルトランスフェラーゼに転送してPLを形成することを示す。PUFAをACPからCoAへ転移するシゾキトリウムの酵素系は、明らかにDHAおよびDPAの両方を認識することができ、したがって、本発明者らは、PUFA PKS系の任意のPUFA産物系(PUFA PKS ACPドメインに付着されたもの)が基質として役立つであろうことが予測できると考える。
従って、本発明の一つの態様において、本発明者らは、PUFA PKS酵素複合体の成分をコードする遺伝子を改変し(第1部)、一方でシゾキトリウムまたは別のスラウストキトリド宿主由来の内因性PPTaseおよび(第2部)、並びにPUFA-CoAに対するPUFA ACPトランスフェラーゼ活性およびTAG/PL合成系(またはTAG/PLメカニズムに対するその他の内因性PUFA-ACP)(第3部)を利用することを提案する。本発明のこれらの方法は、実験データによって支持されており、これらの一部は、実施例の節に詳細に示される。
第1に、本発明者らは、PUFA PKS系が生物間で転移することができること、および一部は交換可能であることを見いだした。より詳細には、海洋細菌シュワネラ SCR2738(Yazawa, 1996, Lipids 31: S297-300)およびビブリオ・マリナス(シュワネラに由来するPPTaseとともに)(米国特許第6,140,486号)のPUFA PKS経路は、異種宿主に(すなわち、大腸菌に)首尾よく移すことができることが以前に示された。加えて、これらの2つの生物(シュワネラ SCRC2738およびビブリオ・マリナス)に由来するPUFA PKS酵素のサブユニット間の構造的な相同性の程度は、その結果として2つの系(米国特許第6,140,486号、前記)に由来する遺伝子を混合し、マッチすることが可能性であった。遺伝子の混合セットのPUFA最終産物は、特異的な遺伝子相同体の起源に応じて変化した。少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(シュワネラのOrf 7およびそのビブリオ・マリナス相同体;米国特許第6,140,486号の図13を参照されたい;このOrfのための命名法が変わったことに留意されたい;これは、本特許ではOrf 8としてラベルされているが、Orf 7として Genbankに提出され、今回はそのGenBankの名称によって呼ぶ)は、DHAまたはEPAがコンポジット系の産物であるであろうかどうかの決定に関係する。今までに同定されたPUFA PKS酵素の全ての機能的なドメインは、互いに配列相同性を示す。同様に、これらのデータは、海洋細菌に由来するものを含むPUFA PKS系をシゾキトリウムおよびその他のスラウストキトリドに移すことができ、その中で機能するであろうことを示した。
本発明者らは、今回、大腸菌宿主においてシゾキトリウムに由来するPUFA PKS遺伝子(Orf A、B、およびC)を発現し、細胞がシゾキトリウムでのPUFAの内因性産生とほぼ同じ比率でDHAおよびDPAを作製したことを証明した(実施例2を参照されたい)。したがって、組換えシゾキトリウム PUFA PKS遺伝子は、機能的なPUFA合成系をコードすることが証明された。さらに、スラウストキトリウム 23B OrfAおよびOrfC遺伝子の全てまたは一部が、シゾキトリウムにおいて機能することをに示した(実施例6を参照されたい)。
第2に、本発明者らは、PPTaseが異種のPUFA PKS ACPドメインを活性化することができたことを以前見いだした。ビブリオ・マリナス由来のPUFA PKS遺伝子を形質転換した大腸菌のDHAの産生は、適切なPPTase遺伝子(この場合、シュワネラ SCRC2738由来)も存在した場合にだけ生じた(米国特許第6,140,486号、前記を参照されたい)。これは、シュワネラ PPTaseがビブリオPUFA PKS ACPドメインを活性化することができることを証明した。さらに、本発明者らは、今回、枯草菌(実施例2を参照されたい)に由来するPPTase(sfp)を使用してシゾキトリウムOrf Aに由来するACPドメインの活性化(パンテテイニル化(pantetheinylation))を証明した。本発明者らは、また、ノストク由来のHet Iと呼ばれるPPTaseによるシゾキトリウム Orf A由来のACPドメインの活性化(パンテテイニル化)を証明した(実施例2を参照されたい)。加えて、HetI酵素は、組換えシゾキトリウム PUFA PKS遺伝子を使用する大腸菌でのDHAおよびDPAの産生のための上に論議した実験において、PPTaseとして使用された(実施例2)。
第3に、データは、DHA-CoAおよびDPA-CoAがシゾキトリウム TAGおよびPL合成経路の代謝中間体であろうことを示す。公表された生化学データは、細菌において、新しく合成されたPUFAは、PUFA PKS ACPドメインからリン脂質合成酵素に直接に移されることを示唆する。対照的に、本発明者らのデータは、シゾキトリウム、真核生物において、PUFA PKS ACPドメイン上のPUFAと標的TAGおよびPL分子との間の中間体であろうことを示す。真核生物の細胞質の脂肪酸の典型的なキャリアは、CoAである。本発明者らは、シゾキトリウム細胞の抽出物を検査して、DHA-CoA、DPA-CoA、16:0-CoA、および18:1-CoAの確実な標準での HPLC分画の間に共に移動した有意なレベルの化合物を見いだした。推定上のDHA-CoAおよびDPA-CoAピークの同一性は、質量分析を使用して確認した。対照的に、本発明者らは、ビブリオ・マリナスの抽出物中にDHA-CoAを検出することができなかったことから、PUFAをその最終的な標的に転移するための異なる機構が細菌に存在することを再び示唆する(たとえば、PLへの直接の転移)。データは、シゾキトリウムに存在する可能性が高い新しく合成されたPUFAをCoAに転移するための(おそらくACPからCoAへの直接の転移を経る)機構を示す。次いで、TAGおよびPL合成酵素は、このPUFA-CoAにアクセスすることができる。DHAおよびDPA CoAの両方が産生されるという観察は、酵素転移機械がPUFAの範囲を認識するであろうことを示唆する。
第4に、本発明者らは、シゾキトリウムのOrf A、Orf B、およびOrf Cのノックアウトを作製した(実施例3を参照されたい)。ノックアウト・ストラテジーは、シゾキトリウムにおいて生じることが証明された相同的組換えに依存する(前記米国特許出願第10/124,807号を参照されたい)。いくつかのストラテジーをノックアウト構築物の設計に使用することができる。これらの3つの遺伝子を不活性化するために使用する特異的なストラテジーは、チューブリン・プロモーター(pMON50000に由来し、米国特許出願第10/124,807号を参照されたい)に結合したゼオシン(商標)耐性遺伝子をOrfのクローン化された部分に挿入することを利用した。次いで、断続的コード領域を含む新たな構築物を微粒子銃(米国特許出願第10/124,807号を参照されたい)による野生型シゾキトリウム細胞の形質転換のために使用した。照射された細胞をゼオシン(商標)およびPUFA(下記を参照)の供給を含むプレート上で広げた。次いで、これらのプレート上で増殖したコロニーを、PUFAを補わなかったゼオシン(商標)プレートにまいた。増殖のためにPUFA補充が必要とされるこれらのコロニーは、相同的組換えを経て不活性化されるPUFA PKS Orfを有したことの候補であった。3つ全ての場合おいて、この推定は、それぞれのシゾキトリウムOrfの全長ゲノムDNAクローンで細胞を形質転換することによってノックアウトをレスキューすることによって確認された。さらに、一部の場合では、ゼオシン(商標)耐性遺伝子が除去されていたことが判明し(実施例5を参照されたい)、導入された機能的な遺伝子が、二重相同的組換えによって本来の部位に組み込まれた(すなわち、抵抗性マーカーを欠失させている)ことを示す。このストラテジーの成功の1つの鍵は、PUFAで増殖培地を補充することにあった。この場合、補充の有効な手段は、増殖に培地を添加する前に部分的にメチル化されたβ-シクロデキストリンと混合するPUFAの隔離であることが見いだされた(実施例5を参照されたい)。合わせると、これらの実験は、当業者であれば、本明細書で提供されるガイダンスを考慮して、シゾキトリウムなどのPUFA PKSを含む微生物においてPUFA PKS遺伝子の1つまたは複数を不活性化して、PUFA栄養要求体を作製することができ、次いで本発明に従って(たとえば、その他のPKS遺伝子を導入することによって)さらに遺伝子改変する(たとえば、組換え生物の脂肪酸プロフィールを変更する)ために使用することができる。
本発明の生物の遺伝子改変の1つの重要なエレメントは、スラウストキトリドゲノムを直接形質転換する能力である。米国特許出願第10/124,807号、前記では、一つの交差相同的組換えを経たシゾキトリウムの形質転換および二重交さ相同的組換えを経た標的化された遺伝子の置換を証明した。前記のように、本発明者らは、今回、有する本は、シゾキトリウムにおけるPUFA-PKA系のOrf A、OrfB、およびOrfCを不活性化するために、相同的組換えのためのこの技術を使用した。生じる変異体は、PUFAを有する培地の補充に依存的である。形質転換のいくつかのマーカー、導入された遺伝子の高レベルの発現のためのプロモーターエレメント、および外来遺伝形物質のデリバリーのための方法が開発されており、利用することができる。したがって、本ツールは、上で提案したように、スラウストキトリドの内因性PUFA PKS遺伝子をノックアウトするために、並びに同様のPUFA PKS系を有するその他の生物これらをその他の真核生に由来する遺伝子で(またはシゾキトリウム遺伝子で)置換するために適している。
EPAに富むTAG産生のための1つのアプローチにおいて、シゾキトリウムのPUFA PKS系は、産物がEPAであるPUFA PKS系をコードする異種遺伝子を添加することによって変更することができる。内因性PPTaseは、その異種のPUFA PKS系のACPドメインを活性化するであろうことが予期される。さらに、EPAがEPA-CoAに変換されるであろうと考えられ、容易にシゾキトリウム TAGおよびPL膜に組み入れられるであるであろうことが予期される。本アプローチの1つの改変において、内因性シゾキトリウム系の関連したドメインを、その最終産物がDHAおよびDPAではなくEPAであるように改変するために、(異種遺伝子の特定の領域の導入によって、またはシゾキトリウム遺伝子それ自体の突然変異誘発によって)技術を使用することができる。この技術は、その他のPUFA最終産物の産生に、並びにPUFA PKS系を含み、かつリン脂質(PL)およびトリアシルグリセロール(TAG)の両方に効率的にPUFA PKS系の産物に向ける能力を有する任意の真核微生物に適用することができるので、これは、例示的なアプローチである。特に、本発明は、内因性PUFA PKS系を有する任意のスラウストキトリド微生物または他のいかなる真核生物にも適用でき、これは、例証として以下に詳述される。加えて、本発明は、本明細書に記載されている種々のPUFAプロフィールの産生のために遺伝子改変された物質に形質転換することができる任意の適切な宿主生物に適用できる。たとえば、実施例では、シゾキトリウムに由来すのPUFA PKS系が大腸菌に形質転換される。このような形質転換された生物は、次いで本明細書に記載されている方法を使用してさらに改変してPUFA産生プロフィールを変更する様に改変することができる。
本発明は、本明細書に記載されているPUFA PKS系および米国特許出願第10/124,800号のPKS系に由来するタンパク質またはドメインをコードする遺伝子および核酸配列以外を利用することができ、前記したII型、I型、およびモジュラーのPKS系を含む、細菌および非細菌のPKS系に由来する遺伝子および核酸配列を含む。これらの型のPKS系のそれぞれを発現する生物は、当該技術分野において公知であり、本発明の遺伝子改変法に有用な核酸のための供与源として役立つことができる。
好ましい態様において、PUFA PKS系以外のPKS系由来の、またはその他のPUFA PKS系由来のタンパク質またはドメインをコードする遺伝子および核酸配列は、PUFAの産生のために好ましい増殖特性を有する生物から単離され、または由来する。特に、約15℃よりも高い、20℃よりも高い、25℃よりも高い、30℃よりも高い、35℃よりも高い、40℃よりも高い温度で、または一つの態様において、約20℃〜40℃の間の任意の温度で遺伝子改変されたスラウストキトリド微生物を培養することができることが望ましい。したがって、これらの温度で機能的な酵素活性を有するPKSタンパク質またはドメインが好ましい。たとえば、本発明の本発明者らは、天然にEPAを産生し、30℃〜35℃までの温度で増殖する海洋細菌であるシュワネラ ・オレヤナまたはシュワネラ・ジャポニカに由来するそれぞれのPKS遺伝子の使用を本明細書に記載する(実施例7を参照されたい)。これらの生物に由来するPKSタンパク質またはドメインは、本明細書に記載されたスラウストキトリド PUFA PKSタンパク質およびドメインと混合して、特異的にデザインされ、または改変されたPUFA産生プロフィールを有する遺伝子改変された生物を産生することができるタンパク質およびドメインの例である。
もう一つの好ましい態様において、1つの脂肪酸プロフィールを生じるPUFA PKS系に由来するタンパク質またはドメインをコードする遺伝子および核酸配列は、もう一つのPUFA PKS系を改変するために使用され、これにより宿主の脂肪酸プロフィールが変更される。たとえば、スラウストキトリウム23B(ATCC 20892)は、シゾキトリウム種(ATCC 20888)とは、その脂肪酸プロフィールにおいて顕著に異なる。DHA:DPA(n-6)比は、シゾキトリウム(ATCC 20888)がわずかに2-3:1であるのに対し、スラウストキトリウム23Bは40:1と高い比を有する。スラウストキトリウム23Bはまた、高レベルのC20:5(n-3)を有することができる。しかし、シゾキトリウム(ATCC 20888)は、スラウストキトリウム 23Bと比較して優れた油産生者である。シゾキトリウムは、DHAおよびドコサペンタエン酸(DPA;22:5ω6);たとえば、乾燥重量で30%のDHA+DPA、に富んだ大量のトリアシルグリセロールを蓄積する。したがって、本発明の本発明者らはスラウストキトリウム23Bと同様のDHA:DPAプロフィールを有する遺伝子改変されたシゾキトリウムを作製するために、スラウストキトリウム 23B PUFA PKS遺伝子でシゾキトリウム内因性PUFA PKS系を改変することを本明細書において記述する(すなわち、シゾキトリウムの産生能力がスラウストキトリウムのDHA:DPA比と組み合わされた「超DHA産生株」シゾキトリウム)。
従って、本発明は、スラウストキトリド PUFA PKS系に由来する遺伝子を利用し、さらに遺伝子混合を利用してPUFA産物の範囲をEPA、DHA、DPA、ARA、GLA、SDAその他を含むように拡張し、および/または変更する。これらの変更されたPUFA産生プロフィールを得る方法は、スラウストキトリド PUFA PKS遺伝子内の種々の生物に由来する遺伝子を混合することだけでなく、本明細書に開示された内因性スラウストキトリド PUFA PKS遺伝子を遺伝子改変する種々の方法も含む。本発明のスラウストキトリド PUFA PKS系の遺伝手液基礎およびドメイン構造についての知識(たとえば、上記シゾキトリウムについて詳述した)は、種々のPUFAプロフィールを生じる新規の遺伝子改変された生物をデザインするのための基礎を提供する。スラウストキトリドなどの微生物において調製される新規のPUFA PKS構築物は、単離し、かつ植物を形質転換してその植物に対して同様のPUFA産生性質を与えるために使用することができる。
任意の1つまたは複数の内因性スラウストキトリド PUFA PKSドメインは、改変により所望の結果(すなわち、微生物のPUFA産生プロフィールの変化)を生じることを条件として、本発明に従って変更すること、または置換することができる。変更し、または置換するために特に好ましいドメインは、シゾキトリウム OrfBまたはOrfCに対応するドメインの任意のドメイン(β-ケトアシル-ACPシンターゼ(KS)、アシルトランスフェラーゼ(AT)、FabA様βヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ(DH)、鎖長因子(CLF)、エノイルACP-レダクターゼ(ER)、トランス-2-アシル-ACPの合成を触媒する酵素、トランス-2-アシル-ACPのシス-3-アシル-ACPへの可逆的異性化を触媒する酵素、およびシス-3-アシル-ACPのシス-5-β-ケト-アシル-ACPへの伸長を触媒する酵素)を含むが、限定されない。一つの態様において、変更し、または置換するために好ましいドメインは、β-ケトアシル-ACPシンターゼ(KS)、FabA様β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ(DH)、および鎖長因子(CLF)を含むが、限定されない。
本発明の一つの局面において、スラウストキトリド PUFA PKS PUFA産生は、CLF(鎖長因子)ドメインを改変することによって変更される。このドメインは、II型(分離した酵素)PKS系の特性を示している。そのアミノ酸配列は、KS(ケトシンターゼ対)ドメインに対して相同性を示すが、活性部位のシステインを欠いている。CLFは、伸長サイクルの数、それゆえに最終産物の鎖長を決定するように機能するであろう。本発明の本実施例において、FASおよびPKS合成についての知識の現在の状態を使用して、非細菌性PUFA-PKS系の定方向可変によってARAを産生するための合理的なストラテジーが提供される。PKS系におけるCLFの機能に関しては論文において論争されており(Bisang et al., Nature 401, 502(1999);Yi et al., J.Am.Chem.Soc. 125, 12708(2003))、最終産物の鎖長の決定に他のドメインが関与している可能性があると理解されている。しかし、シゾキトリウムがDHA(C22:6、ω-3)およびDPA(C22:5、ω-6)の両方を産生することは意義深い。PUFA-PKS系において、シス二重結合が伸びる炭素鎖の合成の間に導入される。ω-3およびω-6二重結合の配置は、分子の合成の初期に起きるため、これらがその後の最終産物鎖長決定に影響を及ぼすであろうことは誰も予想しなかったであろう。したがって、理論に拘束されないが、本発明者らは、C20ユニット(C22ユニットのかわり)の合成を誘導する因子(たとえば、CLF)のシゾキトリウムPUFA-PKS系への導入が結果としてEPA(C20:5、ω-3)およびARA(C20:4、ω-6)の生成を生じると考えている。たとえば、異種系において、EPA生成系由来のCLF(フォトバクテリウム由来のもののような)をシゾキトリウム遺伝子セットへ直接的に置換することによりそのCLFを活用することができるものと思われる。その結果生じる形質転換体の脂肪酸を、その後、EPAおよび/またはARAを産生する形質転換体を同定するためにプロフィールにおける変化について分析することができる。
例として、本発明のこの局面において、OrfBのCLFがC20 PUFA-PKS由来のCLFに置換されているクローンを構築することができる。マーカー遺伝子は、そのコード領域の下流に挿入される。より詳しくは、本明細書において、および詳細には米国特許出願第10/124,807号、前記、に記載されているとおり、スラウストキトリドの形質転換のために相同的組換え系を使用することができる。次いで、野生型細胞を形質転換し、マーカー表現型について選択し、新規のCLFを組み入れたものについてスクリーニングすることができる。再び、EPAおよび/またはARAを産生する形質転換体を同定するために脂肪酸プロフィールにおけるいずれの効果についてもこれらを分析することになる。CLFに関連するもの以外のいくつかの因子が、最終産物の鎖長に影響を及ぼすことが見出される場合には、同様のストラテジーをこれらの因子を変えるために使用することができる。
本発明のもう一つの局面において、β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ/ケトシンターゼ対の改変または置換を含む。大腸菌におけるシス-バクセン酸(C18:1、Δ11)合成の間、シス二重結合の形成は、FabA遺伝子の産物である、特定のDH酵素、β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼに依存していると考えられている。この酵素は、β-ヒドロキシアシル-ACPからHOHを除去し、その炭素鎖にトランス二重結合を残す。FabA様のDHのサブセットは、シス-トランスイソメラーゼ活性をもつ(Heath et al., 1996、前記)。細菌性および非細菌性のPUFA-PKS系の新規な局面は、2つのFabA様DHドメインの存在である。理論に拘束されないが、本発明者らは、これらのDHドメインの1つまたは両方がシス-トランスイソメラーゼ活性をもつであろうと考えている(そのDHドメインの操作は、下記でより詳細に考察する)。
大腸菌における不飽和脂肪酸合成のもう一つの局面において、FabB遺伝子の産物である、特定のKS酵素、β-ケトアシル-ACPシンターゼが必要とされる。これは、マロニル-ACPと活性部位でのシステイン残基に連結されて、脂肪酸の縮合を行う酵素である。多段階反応において、CO2が放出され、線状鎖が2炭素単位で伸長される。このKSのみが二重結合を含む炭素鎖を伸長できると考えられている。この伸長は、二重結合がシス配置である場合のみ生じる;これがトランス配置である場合には、二重結合は伸長の前にエノイル-ACPレダクターゼ(ER)により還元される(Heath et al., 1996、前記)。これまでに特徴付けられたすべてのPUFA-PKS系は、2つのKSドメインを有し、そのうちの1つは、他方より、大腸菌のFabB様KSと高い相同性を示す。再び、理論に拘束されないが、本発明者らは、PUFA-PKS系において、DH(FabA様)およびKS(FabB様)の酵素のドメインの特異性並びに相互作用が、最終産物におけるシス二重結合の数および配置を決定すると考えている。2炭素伸長反応の数がPUFA-PKS最終産物に存在する二重結合の数よりも多いことから、いくつかの伸長サイクルにおいて、完全な還元が起きることを決定することができる。したがって、DHおよびKSドメインは、他の長鎖脂肪酸のDHA/DPA割合の変化のための標的として使用することができる。これらは、他の系由来の相同性ドメインの導入により、またはこれらの遺伝子断片の突然変異誘発により、改変および/または評価することができる。
もう一つの態様において、ER(エノイル-ACPレダクターゼ - 結果として完全な飽和化炭素を生じる脂肪アシル-ACPにおけるトランス-二重結合を還元する酵素)ドメインは、PKS系により生成される産物の型を変化させるために改変または置換することができる。たとえば、本発明者らは、シゾキトリウムPUFA-PKS系が、(1つよりもむしろ)2つのERドメインを有する点において、以前に記載されている細菌の系とは異なっていることをわかっている。理論に拘束されないが、本発明者らは、これらのERドメインが、結果として生じるPKS産産生物に強く影響を及ぼすことができると考えている。結果として生じるPKS産物は、その個々のドメインを別々にノックアウトすることにより、またはこれらのヌクレオチド配列を改変することにより、または他の生物由来のERドメインの置換により変化させることができるであろう。
本発明のもう一つの局面において、異性化活性をもたないDHドメインのPUFA-PKS系のDH(FabA様)ドメインの1つを置換することにより、シスとトランスの二重結合の混合した分子を作製する可能性があることが想定される。シゾキトリウムPUFA PKS系の現行の産物は、DHAおよびDPA(C22:5 ω6)である。C20脂肪酸を産生する系を操作した場合、産物がEPAおよびARA(C20:4 ω6)であることが期待されると思われる。これによりARAについての新規の供給源が提供されるであろう。たとえば、スラウストキトリウム23B(そのPUFA PKS系は、前記米国特許出願第10/124,800号で同定されている)に由来する遺伝子を使用することにより、異なるDHAとDPAとの比を生じる関連のPUFA-PKS系由来のドメインを置換することもできると思われる
さらに、一つの態様において、最終産物プロフィールへの効果を変化させるために、シゾキトリウムPUFA PKS系においてERドメインの1つを特異的に変化される(たとえば、除去すること、または不活化することによる)。同様のストラテジーを、より精巧度の高いまたはより精巧度の低い方法を使用してPUFA-PKSタンパク質の別個のドメインのそれぞれについて定方向様式で試みることができよう。もちろん、単一のドメインの操作に限定されることはない。最後に、全範囲の新規の最終産物を作製するために、そのPUFA-PKS系および他のPKSまたはFAS系(たとえば、I型、II型、モジュラー)由来のドメインを混合することによりその方法を拡大することができる。
ランダムな、または定方向の、多くの遺伝子の改変を、天然の(内因性の天然の)PKS系に導入してもよく、酵素機能の不活性化を生じるであろうことが認識される。したがって、制御された環境においてスラウストキトリドPUFA PKS系の遺伝子操作の効果を試験するために、大腸菌などの別の宿主の組換え系を最初に使用して、系の種々の局面を操作して、および結果を評価することができる。たとえば、大腸菌のFabB-株は、不飽和脂肪酸を合成することができず、増殖のために、その正常な不飽和脂肪酸の代わりに用いることができる脂肪酸での培地の補充を必要とする(Metz et al. , 2001、前記を参照されたい)。しかし、本株が機能することができるPUFA-PKS系(すなわち、大腸菌宿主においてPUFA産物を生成するもの(Metz et al., 2001、前記、図2Aを参照されたい))で形質転換される場合、この必要性(培地の補充について)をなくすことができる。形質転換されたFabB-株は、補充をともなわずに増殖するために機能性のPUFA-PKS系(その不飽和脂肪酸を生成するための)を必要としている。この例において鍵となる要素は、幅広い不飽和脂肪酸範囲の生成で十分であることである(分枝鎖脂肪酸のような不飽和脂肪酸置換体でさえも)。したがって、本発明のもう一つの好ましい態様において、本明細書に開示されているPUFA PKS遺伝子の1つまたは複数に多数の突然変異を作製し、次いで、適切に改変されたFabB-株を形質転換し(たとえば、ERドメインを含む発現構築物に突然変異を作製し、単独のプラスミド上に、または染色体へと組み込まれた他の必須ドメインを有するFabB-株を形質転換する)、および培地を補充することなく増殖する(すなわち、FabB-の欠陥を補完することができるであろう分子を生成する能力をまだ有している)これらの形質転換体についてのみ選択する。
PUFA PKSの遺伝子改変のための1つの試験系は、実施例の節に例示される。簡単には、スラウストキトリド PUFA PKS系の全てまたは一部を含むPUFA PKS系をコードする遺伝子(たとえば、シゾキトリウムのOrf A、B、およびC)、および、PKS系において活性のあるホロ-ACPを生成するためのホスホパンテテイン補因子の付着に必要なホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ(PPTase))をコードする遺伝子で、大腸菌などの宿主微生物を形質転換する。PKS系をコードする遺伝子を遺伝子操作して、スラウストキトリド PUFA PKS遺伝子に1つまたは複数の改変を導入し、および/またはスラウストキトリド遺伝子にその他のPKS系に由来するドメインをコードする核酸(非スラウストキトリド微生物に由来する遺伝子および異なるスラウストキトリド微生物に由来する遺伝子を含む)を導入することができる。PUFA PKS系を大腸菌に発現すること、およびPUFA産生プロフィールを測定することができる。このように、潜在的遺伝子改変をスラウストキトリド PUFA産生生物の操作の前に評価することができる。
本発明は、内因性核酸分子の操作および/またはスラウストキトリド PUFA PKS系またはこれらの相同体に由来する核酸配列を含む単離された核酸分子の使用を含む。一つの局面において、本発明は、以下のタンパク質のうちの少なくとも1つの生物活性を有するPUFA PKS系に由来するドメインをコードする核酸配列を含む核酸分子の改変および/または使用に関する:マロニル-CoA:ACPアシルトランスフェラーゼ(MAT)、β-ケトアシル-ACPシンターゼ(KS)、ケトレダクターゼ(KR)、アシルトランスフェラーゼ(AT)、FabA様β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ(DH)、ホスホパンテテイントランスフェラーゼ、鎖伸長因子(CLF)、アシルキャリアータンパク質(ACP)、エノイルACP-レダクターゼ(ER)、トランス-2-アシル-ACPの合成を触媒する酵素、トランス-2-アシル-ACPのシス-3-アシル-ACPへの可逆的異性化を触媒する酵素、および/またはシス-3-アシル-ACPのシス-5-β-ケト-アシル-ACPへの伸長を触媒する酵素。宿主スラウストキトリドのPUFA産生プロフィールを変更するために改変するのに好ましいドメインは、本明細書において以前に論議した。
本発明に従ったスラウストキトリド微生物の遺伝子改変は、好ましくはに微生物によって産生されるPUFAのタイプ、量、および/または活性、内因性PUFA PKS系が遺伝子改変されるどうか、および/または組換え核酸分子が生物に導入されるどうかに影響を与える。本発明によれば、PUFA産生プロフィールに影響を及ぼすなどの、PUFA PKS系の活性に影響を及ぼすことには、遺伝子改変されていないものと比較して、生物によって発現されるPUFA PKS系を任意の生物活性で、任意の検出可能な、もしくは測定可能な変化または改変を生じさせるPUFA PKS系と相互作用するPUFA PKS系または遺伝子に任意の遺伝子改変を含む。本発明によれば、「PUFAプロフィール」、「PUFA発現プロフィール」、および「PUFA産生プロフィール」という句は、交換可能に使用することができ、微生物によって発現された/産生されたPUFAの全体のプロフィールを記載する。PUFA発現プロフィールは、微生物によって発現されるPUFAのタイプ、並びに産生されたPUFAの絶対量および相対量を含むことができる。したがって、PUFAプロフィールは、微生物によって産生される互いのPUFAの比率に関して、微生物によって産生されるPUFAのタイプに関して、および/または微生物によって産生されるPUFAのタイプおよび絶対量または相対量に関して記載することができる。
上記のように、宿主微生物は、内因性PUFA PKS系、並びにリン脂質(PL)およびトリアシルグリセロール(TAG)の両方に効率的にPUFA PKS系の産物に向ける能力を有する任意の真核微生物を含むことができると共に、好ましい宿主微生物は、スラウストキトリアシエおよびラビリンチュラシエ科を含むヤブレツボカビ目の任意のメンバーである。本発明に使用するために特に好ましい宿主細胞は、以下の属に由来する微生物を含むことができるが、これらに限定されない:スラウストキトリアシエおよびラビリンチュラ内のラウストキトリウム、ジャポノチトリウム、アプラノキトリウム、エリナ、およびシゾキトリウム、ラビリンチュロイデス、およびラビリンチュラシエ内のラビリントミキサ。これらの属内に含まれる好ましい種には、以下を含むが、これらに限定されない:以下を含むラビリンチュラ内の任意の種:ラビリンチュラ種、ラビリンチュラ・アルジェリエンシス、ラビリンチュラ・シエンコウスキ、ラビリンチュラ・シャトニ、ラビリンチュラ・コエノシスティス、ラビリンチュラ・マクロシスティス、ラビリンチュラ・マクロシスティス・アルトランチカ、ラビリンチュラ・マクロシスティス・マクロシスティス、ラビリンチュラ・マグニフィカ、ラビリンチュラ・ミヌタ、ラビリンチュラ・ロスコフェンシス、ラビリンチュラ・ファルカノフィイ、ラビリンチュラ・ヴィテリナ、ラビリンチュラ・ビテリナ・パシフィカ、ラビリンチュラ・ビテリナ・ビテリナ、ラビリンチュラ・ゾプフィ;以下を含む任意のラビリンチュロイデス種:ラビリンチュロイデス種、ラビリンチュロイデス・ミヌタ、ラビリンチュロイデス・シゾキトロプス;以下を含む任意のラビリントミキサ種:ラビリントミキサ種、ラビリントミキサ・ポリア、ラビリントミキサ・サウバゲアウイ、以下を含む任意のアプラノキトリウム種:アプラノキトリウム種およびアプラノキトリウム・ケルグエレンシス;以下を含む任意のエリナ種:エリナ種、エリナ・マリサルバ、エリナ・シノリフィカ;以下を含む任意のジャポノキトリウム種:ジャポノキトリウム種、ジャポノキトリウム・マリナム;以下を含む任意のシゾキトリウム種:シゾキトリウム・アグレガツム、シゾキトリウム・リマシナム、シゾキトリウム・ミヌツム、シゾキトリウム・オクトスポラム;および以下を含む任意のスラウストキトリウム種:スラウストキトリウム種、スラウストキトリウム・アグレガツム、スラウストキトリウム・アルヂメンタレ、スラウストキトリウム・オーレウム、スラウストキトリウム・ベンチコラ、スラウストキトリウム・グロボサム、スラウストキトリウム・キネイ、スラウストキトリウムモチバム、スラウストキトリウム・パチデルマム、スラウストキトリウム・プロリフェラム、スラウストキトリウム・ローゼウム、スラウストキトリウム・ストリアツム、ウルケニア種、ウルケニア・ミヌタ、ウルケニア・プロフンダ、ウルケニア・ラジアート、ウルケニア・サルカリアナ、およびウルケニア・ビスルゲンシス。これらの属内の好ましい種は、以下のものを含むが、これらに限定されない:シゾキトリウム・アグレガツム、シゾキトリウム・リマシナム、シゾキトリウム・ミヌツムを含む任意のシゾキトリウム種;任意のスラウストキトリウム種(U. visurgensis, U. amoeboida, U. sarkariana, U. profunda, U. radiata, U. minutaおよびウルケニア種BP-5601などの前ウルケニア種を含む)、およびスラウストキトリウム・ストリアツム、スラウストキトリウムオーレウム、スラウストキトリウムローゼウム;並びに任意のジャポノチトリウム種。ヤブレツボカビの特に好ましい株は、以下のものを含むが、限定されない:シゾキトリウム種(S31)(ATCC 20888);シゾキトリウム種(S8)(ATCC 20889);シゾキトリウム種(LC-RM)(ATCC 18915);シゾキトリウム種(SR21);シゾキトリウム・アグレガツム(GoldsteinおよびBelsky)(ATCC 28209);シゾキトリウム・リマシナム(HondaおよびYokochi)(IFO 32693);スラウストキトリウム種(23B)(ATCC 20891);スラウストキトリウム・ストリアツム(Schneider)(ATCC 24473);スラウストキトリウム・オーレウム(Goldstein)(ATCC 34304);スラウストキトリウム・ローゼウム(Goldstein)(ATCC 28210);およびジャポノチトリウム種(L1)(ATCC 28207)。
本発明の一つの態様において、突然変異誘発プログラムは、関心対象のPUFA産生プロフィールを有するスラウストキトリド微生物を得るために選択的なスクリーニングするプロセスと組み合わせることができることが想定される。突然変異誘発法は、以下のものを含むことができるが、これらに限定されない:化学的突然変異誘発、遺伝子混合、特定の酵素のドメインをコードする遺伝子の領域を交換すること、またはこれらの遺伝子の特定の領域に制限された突然変異誘発、並びにその他の方法。
たとえば、ハイスループットな突然変異誘発法を用いて、所望のPUFAプロフィールの産生に影響を及ぼし、または最適化することができる。一旦効果的なモデル系が開発されたならば、ハイスループットな形式でこれらの遺伝子を改変することができるであろう。これらの技術の利用は、2つのレベルで想定することができる。第一に、関心対象の産物(たとえば、EPA)の産生についての十分な選択的スクリーニングを工夫することができる場合には、この産物を産生するために系を変更することを試みるために使用することができる(たとえば、上で考察されているものなどのその他のストラテジーの代わりに、または組み合わせて)。さらに、上記で概略を述べたストラテジーが、関心対象のPUFAプロフィールを産生する一連の遺伝子を生じた場合は、その後、ハイスループット技術を使用して系を最適化することができるであろう。たとえば、導入されたドメインが比較的低い温度でのみ機能する場合は、選択方法を、その制限を除去することができるように工夫することができる。
本発明の一つの態様において、遺伝子改変されたスラウストキトリド微生物は、所望のPUFAを合成するための増強された能力を有しており、および/またはPUFAの異なるプロフィールを合成するための新しく導入された能力を有する。本発明によれば、産物を「合成する増強された能力」とは、微生物が、同じ条件下で培養されたもしくは生長した野生型の微生物と比較して増加した量の産物を生成するように(以前にはなかった産物の任意の産生を含む)、産物の合成に関連する経路における任意の増強、またはアップレギュレーションをいう。このように遺伝子改変生物を作製するための方法は、上で詳細に記載されている。
上記の通り、本発明の一つの態様において、遺伝子改変微生物または植物は、所望の生物活性分子(産物)を合成するための増強された能力を有しているか、または特定の産物を合成するための(たとえば、特異的な抗生物質を合成するための)新しく導入された能力を有する微生物および植物を含む。本発明によれば、産物を「合成する増強された能力」とは、微生物または植物が、同じ条件下で培養されたもしくは生長した野生型の微生物または植物と比較して増加した量の産物を生成するように(以前にはなかった産物の任意の産生を含む)、産物の合成に関連する経路における任意の増強、またはアップレギュレーションをいう。このように遺伝子改変生物を作製するための方法は、上で詳細に記載されている。
本発明の一つの態様は、本発明の遺伝子改変微生物もしくは植物(上で詳細に記載)を生長させるまたは培養することにより、所望の生物活性分子(産物または化合物とも呼ばれる)を産生するための方法である。このような方法は、本明細書で前に記載されているように、および本発明に従って、遺伝子改変を有する微生物もしくは植物を、それぞれ発酵培地で培養する段階、または土壌のような適した環境において生長させる段階を含む。本発明のPUFA PKS系に関連した遺伝子改変のための好ましい宿主細胞は、上に記載される。
本発明の一つの態様は、本発明(上で詳細に記載)の遺伝子改変されたスラウストキトリド微生物を培養することによって所望のPUFAを産生する方法である。このような方法は、発酵培地でおよびPUFAを産生するために有効な条件下で、本明細書で前に記載されているように、および本発明に従って、遺伝子改変を有するスラウストキトリド微生物を培養する段階を含む。適切な、または有効な培地は、スラウストキトリドおよびその他の微生物を含む本発明の遺伝子改変微生物が、培養したときに、所望のPUFA産物を産生することができる任意の培地をいう。このような培地は、典型的には、同化できる炭素、窒素、およびリン酸源を含む水性培地である。このような培地はまた、適切な塩、ミネラル、金属および他の栄養素を含むことができる。本発明の微生物は、通常の発酵バイオリアクターにおいて培養することができる。微生物は、バッチ、流加培養、細胞再利用、および連続発酵を含むいずれの発酵方法によっても培養することができるが、限定されない。本発明に従ったスラウストキトリド微生物のための好ましい増殖条件は、当技術分野において周知であり、たとえば米国特許第5,130,242号、米国特許第5,340,742号、および米国特許第5,698,244号に詳細に記載されており、それぞれは、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
一つの態様において、遺伝子改変微生物は、約15℃を超える温度で、およびもう一つの態様において、約20℃を超える温度で、もう一つの態様において約25℃を超える温度で、もう一つの態様において約30℃を超える温度で、もう一つの態様において約35℃を超える温度で、もう一つの態様において約40℃を超える温度で、および一つの態様において、約20℃〜40℃の間の任意の温度で培養される。
遺伝子改変微生物によって産生される所望のPUFAおよび/またはその他の生理活性分子は、従来の分離および精製技術を使用して発酵培地から取り戻すことができる。たとえば、発酵培地は、微生物、細胞片および他の粒子物を除去するために濾過または遠心分離してもよく、産物は、たとえば、イオン交換、クロマトグラフィー、抽出、溶剤抽出、膜分離、電気透析法、逆浸透法、蒸留、化学的誘導体化、および結晶化のような通常の方法により、細胞を含まない上清から回収することができる。または、PUFAを産生する微生物、またはこれらの抽出物および種々の画分を、産物から微生物成分の除去することなく使用することができる。
好ましくは、本発明の遺伝子改変されたスラウストキトリド微生物は、以下のものを含む(しかし、限定されない)1つまたは複数の高度不飽和脂肪酸を産生する:EPA(C20:5,ω-3)、DHA(C22:6,ω-3)、DPA(C22:5,ω-6)、ARA(C20:4,ω-6)、GLA(C18:3,n-6)、およびSDA(C 18:4,n-3))。1つの好ましい態様において、野生型形態で高レベルのDHAおよびDPAを産生するシゾキトリウムは、本発明に従って遺伝子改変されて、高レベルのEPAを産生する。上記のように、PUFAを産生するように遺伝子改変されたスラウストキトリド微生物を使用する1つの利点は、PUFAがリン脂質(PL)およびトリアシルグリセリド(TAG)に直接組み入れられるということである。
好ましくは、PUFAは、微生物の乾燥重量の約5%を超える量で、一つの局面において、6%を超える量で、もう一つの局面において、7%を超える量で、もう一つの局面において、8%を超える量で、もう一つの局面において、9%を超える量で、もう一つの局面において、10%を超える量でなど、全ての整数の割合で、微生物の乾燥重量の90%を超えるまで(たとえば、15%、20%、30%、40%、50%、および中間の任意の割合)で産生される。
本発明の所望の生物活性化合物の産生のための方法において、遺伝子改変された植物は、発酵培地で培養されるか、または土壌のような適した培地において生長する。適切なまたは有効な発酵培地は、上で詳細に考察している。高等植物のために適している生長培地は、限定されるものではないが、土壌、砂、他のいずれもの根の成長を支える粒状培地(たとえば、バーミキュライト、パーライトなど)、または水耕栽培、並びに、適切な光、水および高等植物の生長を最適化する栄養補給剤を含む植物のためのいずれの生長培地も含む。本発明の遺伝子改変された植物は、本発明に従って遺伝子改変されたPKS系の活性を通してその所望の産物の有意な量を産生するように操作される。化合物は、植物から化合物を抽出する精製段階を通して回収することができる。好ましい態様において、化合物はその植物を収穫することにより回収される。この態様において、植物は、自然の状態で消費することができる、または消費可能な製品へとさらに加工処理することができる。
本開示および種々のその他の改変を本明細書において以前に論議したことを考慮すると、生理活性分子を産生するために有用な多くの遺伝子改変が当業者に明らかであろう。本発明は、本明細書に記述したPUFA PKS系に関連した、所望の生理活性分子を産生する任意の遺伝子改変を想定する。
生理活性分子は、本発明によれば、生物活性を有し、かつ本明細書に記載されているように非細菌性PUFA PKS系の少なくとも1つの機能的なドメインの生物活性を有する少なくとも1つのアミノ酸配列を含むPKS系によって産生することができる任意の分子(化合物、産物、その他)を含む。このような生理活性分子は、抗炎症性製剤、化学療法剤、活性賦形剤、骨粗鬆症薬、抗うつ剤、抗痙攣剤、抗ヘリコバクター・ピロリ薬、神経変性疾患の治療薬、変性肝疾患の治療薬、抗生物質、およびコレステロール低下製剤含むことができるが、これらに限定限定されない。本発明の非細菌性PUFA PKS系の1つの利点は、シス配置に炭素-炭素二重結合を導入し、分子が3炭素ごとに二重結合を含んでいるこのような系の能力である。この能力は、様々な化合物を産生するために利用することができる。
好ましくは、関心対象の生理活性の化合物は、微生物の乾燥重量の約0.05%より多い、好ましくは約0.1%より多い、より好ましくは約0.25%より多い、より好ましくは約0.5%より多い、より好ましくは約0.75%より多い、より好ましくは約1%より多い、より好ましくは約2.5%より多い、より好ましくは約5%より多い、より好ましくは約10%より多い、より好ましくは約15%より多い、およびさらにより好ましくは約20%より多い量で、遺伝子改変微生物より産生される。脂質化合物については、好ましくは、このような化合物は、微生物の乾燥重量の約5%より多い量で産生される。抗生物質またはより少量で合成される化合物などの他の生物活性化合物については、このような化合物をその微生物の乾燥重量で有するこれらの株は、上記の型の新規PKS系を予想通り含むものとして同定される。いくつかの態様において、特定の生物活性分子(化合物)は、蓄積するというよりむしろ、微生物により分泌される。したがって、このような生物活性分子は、一般的に培地から回収され、生成された分子の濃度は、微生物およびその培養物のサイズに依存して異なる。
本発明の一つの態様は、少なくとも1つの脂肪酸を含む最終産物を改変するための方法であって、PUFA PKS系の少なくとも1つの生物学的に活性なドメインをコードする核酸配列を含む少なくとも1つの組換え核酸分子を発現する組換え宿主細胞によって産生される油を最終産物に添加する段階を含む方法に関する。PUFA PKS系は、本明細書に記載されている任意の適切な細菌性または非細菌性のPUFA PKS系を含み、スラウストキトリウムおよびシゾキトリウムに由来のPUFA PKS系、またはシュワネラ ・オレヤナまたはシュワネラ・ジャポニカなどの、通常は(すなわち、正常な、または天然の条件下で)22℃以上の温度で増殖し、かつPUFAを産生することができる細菌に由来する任意のPUFA PKS系を含む。
好ましくは、最終製品は、食品、栄養補助食品、薬学的製剤、母乳化した動物乳、および乳幼児用調合乳からなる群より選択される。適切な薬学的製剤は、限定されるものではないが、抗炎症製剤、化学療法剤、活性賦形剤、骨粗鬆症治療薬、抗鬱薬、抗痙攣剤、抗ヘリコバクター・ピロリ薬、神経変性疾患の治療薬、変性肝疾患の治療薬、抗生物質、およびコレステロール低下製剤を含む。一つの態様において、最終製品は、慢性炎症、急性炎症、胃腸障害、癌、悪液質、心臓再狭窄、神経変性疾患、肝臓の変性疾患、血中脂質疾患、骨粗鬆症、骨関節炎、自己免疫疾患、子癇前症、早産、年齢に関連した黄斑症、肺疾患、およびペルオキシソーム疾患からなる群より選択される状態を治療するために使用される。
適切な食品は、これらに限定されるものではないが、洗練されたベーカリー製品、パンおよびロールパン、朝食用シリアル、加工および非加工チーズ、香辛料(ケチャップ、マヨネーズなど)、乳製品(ミルク、ヨーグルト)、プリンおよびゼラチンデザート、炭酸飲料、茶、粉末飲料ミックス、加工魚製品、果物飲料、チューインガム、固形型菓子類、冷凍乳製品、加工肉製品、ナッツおよびナッツのスプレッド、パスタ、加工家禽肉製品、肉汁およびソース、ポテトチップスおよび他のチップスまたはクリスプ、チョコレートおよび他の菓子類、スープおよびスープミックス、大豆製品(ミルク、飲料、クリーム、漂白剤)、植物油主材料のスプレッド、および野菜飲料を含む。
本発明のさらにもう一つの態様は、母乳化した動物乳を産生するための方法に関する。この方法は、本明細書に記載されたとおり、PUFA PKS系の少なくとも1つの生物学的に活性なドメインをコードする核酸配列を含む少なくとも1つの組換え核酸分子でミルク産生動物のミルク産生細胞を遺伝子改変する段階を含む。
宿主細胞を遺伝子改変する、および遺伝子改変の母乳化されていないミルク産生動物を作製するための方法は、当技術分野において公知である。改変するための宿主動物の例には、導入遺伝子発現個体群の迅速な拡大のために遺伝子操作およびクローニングを受け入れられる、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ヤクなどを含む。動物について、PKS様導入遺伝子は、その遺伝子の制御領域の改変を通して、標的の細胞小器官、組織および体液における発現に適応しうる。特に関心対象となるのは、宿主動物の乳房ミルクにおけるPUFAの産生である。
以下の実施例は、例証の目的のために提供され、本発明の範囲を限定することを企図しない。
実施例
実施例1
以下の実施例では、米国特許出願第10/124,800号からの、本発明に従ったPUFA PKS系を含むその他の非細菌生物を同定するための、本発明のスクリーニング方法の使用を記載される。
スラウストキトリウム種23B(ATCC 20892)は、本明細書に詳述したとおりに培養した。
凍結したウイルスであるスラウストキトリウム種23B(ATCC 20892)を用い、RCA培地50mLを含む250mLの振盪フラスコに播種した。この培養物を、振盪台(200rpm)で、72時間、25℃で振盪した。RCA培地は、以下を含む。
*PII金属混合物およびビタミン混合物は、米国特許第5,130,742号に開示したものと同じであり、これはその全体が本明細書に参照として組入れられる。
次いで、72時間の古培養物25mLを使用して、別の低窒素RCA培地(MSGを、20g/Lの代わりに10g/L)が50mL入った250mLの振盪フラスコに播種し、残りの培養物25mLを低窒素RCA培地175mLが入った250mLの振盪フラスコに播種した。次いで、2つのフラスコを振盪台(200rpm)に25℃で72時間放置した。次いで、細胞を遠心により収集し、凍結乾燥によって乾燥した。乾燥した細胞を、標準のガスクロマトグラフィー手法を使用して脂肪含量並びに脂肪酸プロフィールおよび含量について分析した。
スラウストキトリウム23Bに関するスクリーニング結果は下記のとおりであった。
これらの結果、特に低酸素条件下でのDHA含量(%FAMEとしての)の有意な増加は、このスラウストキトリウム株におけるPUFA生成PKS系の存在を強力に示している。
PUFA PKS系の存在を確認する追加のデータを提供するために、スラウストキトリウム23Bのサザンブロットを、PUFA生成PKS系(すなわち、上記SEQ ID NO:1〜32)を有することが既に決定されているシゾキトリウム株20888由来のPKSプローブを使用して行った。PKS PUFA合成遺伝子に由来するハイブリダイゼーションプローブと相同であるスラウストキトリウム23BゲノムDNAの断片は、サザンブロット技術を使用して検出した。スラウストキトリウム23BゲノムDNAは、ClaIまたはKpnI制限エンドヌクレアーゼのいずれかにより消化し、アガロースゲル電気泳動(0.7%アガロース、標準のTris-酢酸-EDTA緩衝液中)によって分離し、Schleicher & Schuell Nytran Supercharge膜に、キャピラリートランスファーによりブロティングした。2種のジゴキシゲンインで標識したハイブリダイゼーションプローブを用いた。すなわち、ひとつはシゾキトリウムPKS OrfBのエノイルレダクターゼ(ER)領域(OrfBのヌクレオチド5012〜5511;SEQ ID NO:3)に特異的であり、他方はシゾキトリウムPKS OrfCの始まりの保存領域(OrfCのヌクレオチド76〜549;SEQ ID NO:5)に特異的である。
OrfB-ERプローブは、スラウストキトリウム23BゲノムDNAにおける約13kb ClaI断片および約3.6kb KpnI断片を検出した。OrfCプローブは、スラウストキトリウム23BゲノムDNAにおける約7.5kb ClaI断片および約4.6kb KpnI断片を検出した。
最後に、ベクターλFIX II(Stratagene)に挿入されたスラウストキトリウム23BゲノムDNAのDNA断片からなる組換えゲノムライブラリーを、下記のシゾキトリウム20888 PUFA-PKS遺伝子のセグメントに相当するジゴキシゲニン標識プローブを使用して、スクリーニングした:OrfAのヌクレオチド7385〜7879(SEQ ID NO:1)、OrfBのヌクレオチド5012〜5511(SEQ ID NO:3)、およびOrfCのヌクレオチド76〜549(SEQ ID NO:5)。これらの各プローブは、スラウストキトリウム23Bライブラリーから陽性プラークを検出し、これはシゾキトリウム PUFA-PKS遺伝子と、スラウストキトリウム23Bの遺伝子の間の強度の相同性を示している。
これらの結果は、スラウストキトリウム23BゲノムDNAは、シゾキトリウム20888由来のPKS遺伝子と相同である配列を含むことを示している。
実施例2
以下の実施例は、シゾキトリウム Orf A、B、およびCが、大腸菌の機能発現を介して機能的なDHA/DPA合成酵素をコードすることを証明する。
大腸菌形質転換物の一般的調製
シゾキトリウムにおいてDHAおよびDPAを産生するシゾキトリウム PUFA PKS系をコードする3つの遺伝子(Orf A、B、およびC;それぞれSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、およびSEQ ID NO:5,)を単一の大腸菌発現ベクター(pET21c(Novagen)に由来する)にクローン化した。遺伝子は、(T7 RNAポリメラーゼによって)単一のメッセージとして転写され、各々の遺伝子の前にクローン化されたリボソーム結合部位が翻訳を開始する。大腸菌の全長Orf Bタンパク質の産生を得るためには、Orf Bコード配列の改変が必要であった(下記を参照されたい)。PPTaseをコードするアクセサリ遺伝子(下記を参照されたい)は、第2のプラスミドにクローン化した(pACYC184、New England Biolabsに由来する)。
OrfB
OrfB遺伝子は、〜224kDaの質量を有するタンパク質をコード化すると予測された。大腸菌の遺伝子の発現での最初の試みは、〜165kDaの明らかな分子量を有するタンパク質の蓄積を生じた(SDS-PAGEの間に公知の質量のタンパク質と比較した判断したもの)。Orf Bヌクレオチド配列の調査により、それらの全てがTCTコドンである15個の連続したセリンコドンを含む領域が明らかになった。遺伝暗号は、6個の異なるセリンコドンを含み、これらのうちの3つは、大腸菌において頻繁に使用されている。本発明者らは、4つの重複するオリゴヌクレオチドをポリメラーゼ連鎖反応法プロトコルと組み合わせて使用して、セリンコドン反復領域を含むOrf B遺伝子の小さな部分(〜195塩基対、BspHI toSacII制限酵素断片)を再合成(resynthesize)した。合成Orf B断片では、大腸菌によって共通に使用される3つのセリンコドンのランダムな混合物を使用し、いくつかのその他の潜在的に問題のあるコドンを同様に変更した(すなわち、大腸菌によってまれに使用されるその他のコドン)。元のOrfBに存在するBspHI〜SacIIの断片を再合成した断片により置換し(Orf B*を得るため)、改変された遺伝子を関連した発現ベクターにクローン化した。改変したOrfB*は、なおもSEQ ID NO:4のアミノ酸配列をコードする。大腸菌にクローン化された改変したOrfB*の発現は、〜224kDaタンパク質を生じ、OrfBの全長産物が産生されたことを示す。再合成したOrf B*のBspHI 〜SacII断片の配列は、SEQ ID NO:80に示される。SEQ ID NO:80についての言及では、再合成されたOrf BのBspHI〜SacII領域のヌクレオチド配列が示される。BspHI制限部位およびSacII制限部位は、同定される。BspHI部位は、Orf B CDS(SEQ ID NO:3)のヌクレオチド4415で始まる(注:Orf B CDSには合計3つのBspHI部位があるが、SacII部位は、唯一である)。無改変Orf B CDSの配列は、GenBank アクセッション番号AF378328において、およびSEQ ID NO:3において与えられる。
PPTase
Orf Aタンパク質のACPドメイン(シゾキトリウムのSEQ ID NO:2)は、機能するためには、ホスホパンテテイン群の添加による活性化がなければならない。この一般的な反応型を触媒する酵素は、ホスホパンテテイントランスフェラーゼ(PPTase)と呼ばれている。大腸菌は、2つの内因性PPTaseを含むが、これらがシゾキトリウムに由来するOrf A ACPドメインを認識しないであろうことが予測された。これは、さらなるPPTaseを伴わずに大腸菌のOrf A、B*(上記のものを参照されたい)、およびCを発現することによって確認された。この形質転換体において、DHA産生は検出されなかった。本発明者らは、大腸菌PUFA PKS発現系の2つの異種のPPTase:(1)sfp(枯草菌に由来する)、および(2)Het I(シアノバクテリウム・ノストク株7120に由来)を試験した。
sfp PPTaseは、よく特徴づけられており、その幅広い範囲の基質を認識する能力のために、広く使用されている。公表された配列情報基(Nakana、et al., 1992,Molecular and General Genetics 232:313-321)づいて、定義された上流および下流のフランキングDNA配列とともにコード領域をpACYC-184クローニングベクターにクローン化することによってsfpのためのベクターを構築した。オリゴヌクレオチド:
を使用してゲノム枯草菌DNAから関心領域を増幅した。便利な制限酵素部位をオリゴヌクレオチドに含めて、中間体の高コピー数ベクターにおいておよび最終的に pACYC184のEcoRV部位にクローン化するのを容易にし、プラスミド:pBR301を作製した。このプラスミドによって形質転換した大腸菌の抽出物の調査により、sfpに関して予想される移動度を有する新規のタンパク質の存在が明らかになった。Orf A、B
*、Cタンパク質を発現する細胞におけるsfp構築物の同時発現により、一定の条件下でDHA産生を生じた。この実験は、sfpがシゾキトリウム Orf A ACPドメインを活性化することができることを証明した。加えて、sfp遺伝子に付随する調節エレメントを使用して、その他の遺伝子を挿入することができる発現カセットを作製した。特に、pBR301のsfpコード領域(ATGのすぐ上流の3つのヌクレオチドと共に)を、これが(この構築物に関して)いくつかの唯一の制限酵素部位を含むようにデザインしたDNAの53塩基対の区分と置換した。この領域の最初の制限酵素部位は、NdeIである(CATATG;SEQ ID NO:79)。この部位に埋め込まれたATG配列は、導入された遺伝子のための開始メチオニンコドンとして利用される。クローニング法を容易にするためにさらなる制限部位(BgILL、NotI、SmaI、PmelI、HindIH、SpeI、およびXhoI)を含めた。この発現ベクター・カセットの機能性は、PCRを用いて5'末端にNdeI部位と3'末端にXhoI部位を有するsfpのバージョンを作製することによって試験した。この断片を発現カセットにクローン化し、Orf A、B
*、およびC発現ベクターとともに大腸菌に導入した。適切な条件下で、これらの細胞はDHAを蓄積し、機能的なsfpが産生されたことを証明する。
本発明者らの知る限り、Het Iは、異種の状況で以前試験されていなかった。Het Iは、その生物の異質細胞に存在する糖脂質層の成分である長鎖オキシ脂肪酸の合成の役割を果たすことが公知のノストクの遺伝子クラスターに存在する。本発明者らは、特定の理論に拘束されるわけではないが、Het Iが、クラスターに存在するタンパク質Hgl EのACPドメインを活性化すると考えている。Hgl Eの2つのACPドメインは、シゾキトリウム Orf Aにおいて見いだされるACPドメインに対して高度な配列相同性を有する。Het Iの内因性開始コドンは、同定されなかった(推定上のタンパク質にメチオニンが存在しない)。オープンリーディングフレームの5'末端近くにいくつかの潜在的な代わりの開始コドンがある(たとえば、TTGおよびATT)。HetI遺伝子をコードするノストクDNAの領域の配列は、SEQ ID NO:81に示される。SEQ ID NO:82は、SEQ ID NO:81によってコードされるアミノ酸配列を表す。SEQ ID NO:81についての言及では、SEQ ID NO:81の1〜3位のインフレームのナンセンス・トリプレット(TAA)〜SEQ ID NO:81の715〜717位の停止コドン(TGA)を有する末端によって示される上流のコード領域に限定する。メチオニン・コドン(ATG)は、配列には存在しない。他の潜在的開始コドンは:3つのTTGコドン(SEQ ID NO:81の4〜6、7〜9、および49〜51位)、ATT(SEQ ID NO:81の76〜78位)、並びにGTG(SEQ ID NO:81のうちの235〜237位)である。Het I発現構築物は、PCRを使用して最も遠い5'の潜在的中割の開始コードン(TTG)をメチオニンコドンと(ATG、前記したNdeI制限酵素認識部位の一部として)置換し、コード配列の3'末端にXhoI部位を導入することによって行った。次いで、改変されたHetIコード配列をsfp調節エレメントを含むpACYC 184ベクター構築物のNdeIおよびXhoI部位に挿入した。大腸菌におけるこのHet I構築物の発現により、配列データから予想されるサイズの新たなタンパク質が出現した。大腸菌におけるシゾキトリウムOrf A、B*、CとHet Iの同時発現により、一部の条件下では、これらの細胞においてDHAおよびDPAの蓄積を生じた。sfpおよびHet Iを比較した実験の全てにおいて、より多くのDHAおよびDPAが、sfp構築物を含む細胞においてHetI構築物を含む細胞が蓄積した。
大腸菌形質転換体におけるDHAおよびDPAの産生
(1)シゾキトリウム PUFA PKS遺伝子(Orf A、B*、およびC)、および(2)PPTase(sfp由来またはHetI由来)をコードする2つのプラスミド:を誘導性のT7 RNAポリメラーゼ遺伝子を含む大腸菌株BL21に形質転換した。シゾキトリウムタンパク質の合成は、培地にIPTGを添加することによって誘導し、一方PPTaseの発現は、別々の調節エレメント(前記のものを参照されたい)によって制御される。2つの異種PPTase遺伝子のいずれかを使用して、細胞を種々の定義された条件下で培養した。細胞をか蝟集し、脂肪酸をメチルエステル(FAME)に変換して、ガス液体クロマトグラフィーを使用して分析した。
いくつかの条件下で、2つの異種PPTaseのいずれかに加えて、シゾキトリウム PUFA PKS遺伝子を発現する大腸菌細胞においてDHAおよびDPAが検出され。DHAまたはDPAは、対照細胞(すなわち、Orfの一つを欠いているプラスミドで形質転換した細胞)から調製したFAMEでは検出されなかった。大腸菌において観察されるDPAに対するDHAの比率は、シゾキトリウムにおいて観察される内因性DHAおよびDPA産生のものに非常に近い。最も高いレベルのPUFA(DHAプラスDPA)は、総FAMEの〜17%を示し、10%(重量によって)のグリセロールを補った765培地(ATCCから入手可能な製法)中で32℃において培養した細胞で見いだされた。また、PUFA蓄積は、細胞を5または10%のグリセロールを補ったルーリアブロス中で培養したとき、および20℃で培養したときにも観察されたことに留意されたい。それぞれのプラスミドの存在についての選択は、増殖の間に適切な抗生物質を含めることによって維持し、Orf A、B*、およびCの発現を誘導するためにIPTG(0.5mMの終濃度に)を使用した。
図4は、対照細胞に、およびシゾキトリウム PUFA PKS遺伝子プラスPPTase(この場合はHetI)を発現する細胞に由来するFAMEsの気‐液クロマトグラフ分析からの実施クロマトグラムを示す。ラベルされたFAMEsの同一性は、質量分析を使用して確認した。
実施例3
以下の実施例は、シゾキトリウム PUFA PKS酵素複合体をコードする遺伝子を選択的に不活性化することができる(ノックアウトされる)こと、および高度不飽和脂肪酸で培地を補わない限り、致死表現型であるを証明する。
相同組換えは、シゾキトリウム(出願中の米国特許出願第10/124,807号(その全体が参照として本明細書に組み入れられる)を参照されたい)において証明されている。シゾキトリウムOrfA(SEQ ID NO:1)を不活性化するようにデザインしたプラスミドは、Orf Aコード配列を含むクローンのSma I部位にゼオシン(商標)耐性マーカーを挿入することによって作製した。ゼオシン耐性マーカーは、ゼオシン(商標)耐性遺伝子のプラスミドpMON50000から得て-ゼオシン(商標)の発現は、シゾキトリウム由来チューブリン・プロモーターエレメントによってドライブされる(米国特許出願第10/124,807号、同書を参照されたい)。したがって、ノックアウト構築物は:5'シゾキトリウム Orf Aコード配列、tub-ゼオシン耐性エレメント、および3'シゾキトリウムOrf Aコード配列からなり、全てのpBluescriptII SK(+)ベクター(Stratagene)にクローン化した。
プラスミドを微粒子銃によってシゾキトリウム細胞に導入し、形質転換体をゼオシンおよび高度不飽和脂肪酸(PUFA)を補った含有プレート上で選択した(実施例4を参照されたい)。ゼオシンプラスPUFAプレート上で増殖したコロニーが、PUFAサプルメントのないプレート上で増殖する能力について試験すると、いくつかは、PUFAが必要であったことが見いだされた。これらのPUFA栄養要求体は、Orf Aノックアウトであると推定される。これらの変異体のいくつかに由来するRNA抽出物のノーザンブロット分析により、全長Orf Aメッセージがこれらの変異体において産生されないことを確認した。
これらの実験は、シゾキトリウム遺伝子(たとえば、OrfA)を、相同組換えを経て不活性化することができること、Orf Aの不活性化が致死表現型を生じること、およびこれらの変異体が、PUFAを含む培地を補うことによってレスキューすることができることを証明する。
シゾキトリウム OrfB(SEQ ID NO:3)およびOrf C(SEQ ID NO:5)の不活性化に向けられる同様の一連の実験では、同様の結果を得た。すなわち、OrfBおよびOrf Cは、相同組換えによって個々に不活性化することができ、これらの細胞が増殖するためにはPUFAを補うことが必要である。
実施例4
以下の実施例は、PUFA栄養要求体が、EPAを補った培地上で維持することができることを示し、EPAがシゾキトリウムにおいてDHAを置換することができることを証明する。
実施例3に示したように、PUFA PKS複合体が不活性化されたシゾキトリウム細胞は、生存するためにPUFAを補うことが必要であった。シゾキトリウムが増殖のためにこの系の産物に依存的であることを証明することの他に、この実験系は、種々の脂肪酸がこれらが変異体をレスキューする能力について試験することを可能にする。突然変異細胞(3つの遺伝子のいずれかが不活性化された)は、これらがDHAを補った培地と同様に、EPAを補った培地でも増殖したことを発見した。この結果は、DHAを産生する内因性PUFA PKS複合体が、その産物がEPAであるものと置換した場合に、細胞が生存可能であろう事を示す。さらに、これらの突然変異細胞は、ARAまたはGLAを補うことによってレスキューすることができ、これらの産物を産生する遺伝子改変されたシゾキトリウムを産生することの実現可能性を証明する。PUFAを補うための好ましい方法は、PUFAを培地に添加する前に遊離脂肪酸を部分的にメチル化されたβ-シクロデキストリンと組み合わせる段階を含む点に留意されたい。
実施例5
以下の実施例は、PUFA合成を回復するために、不活性化されたPUFA遺伝子を遺伝子の活性型と同じ部位で置換することができることを示す。
アセト乳酸シンターゼ遺伝子部位での二重相同組換えは、シゾキトリウム(米国特許出願第10/124,807号、前記を参照されたい)において証明した。本発明者らは、全長シゾキトリウムOrf Aゲノムクローンでのシゾキトリウム Orf Aノックアウト株(実施例2に記載した)の形質転換によるシゾキトリウム PUFA PKS遺伝子の置換関するこの概念を試験した。形質転換体は、これらがPUFAを補っていない培地で増殖する能力によって選択した。次いで、これらのPUFA原栄養株をゼオシン耐性について試験し、いくつかが、抗生物質に感受性であったことが見いだされた。これらの結果は、導入されたシゾキトリウムOrf Aが、二重相同組換えを経てノックアウト株のゼオシン耐性遺伝子を置換したことを示す。この実験は、PUFA PKS遺伝子内の遺伝子置換についての概念の証拠を証明する。シゾキトリウムOrf BおよびOrf Cノックアウトについての同様の実験でも、同一の結果を与えた。
実施例6
本実施例は、スラウストキトリウム 23B PUFA PKS遺伝子の全部またはいくつかの部分が、シゾキトリウムにおいて機能できることを示す。
米国特許出願第10/124,800号、前記に記載されているように、DHA産生原生生物スラウストキトリウム 23B(Th. 23B)は、orfA、orfB、およびorfC相同体を含むことを示した。3つの Th. 23B遺伝子の完全なゲノムクローンは、同族のOrf「ノックアウト」を含むシゾキトリウム株を形質転換するために使用した。補完された形質転換体の直接の選択は、PUFA補完の非存在下で行った。この方法によって、Th. 23B orfAおよびorfC遺伝子は、それぞれPUFA原栄養性にシゾキトリウムorfAおよびorfCノックアウト株を補完することができることが示された。補完された形質転換体は、ゼオシン耐性が保持され、または失ったことが見いだされた(本マーカーがシゾキトリウム遺伝子に挿入されたことにより、ノックアウトを定義する)。ゼオシン(商標)耐性の補完された形質転換体は、それぞれのOrf領域の外でシゾキトリウムゲノム内に完全なスラウストキトリウム遺伝子を単一交差組込みすることによって生じた可能性が高い。この結果は、完全なスラウストキトリウム遺伝子がシゾキトリウムにおいて機能することを示唆する。ゼオシン(商標)感受性の補完された形質転換体は、スラウストキトリウム遺伝子の一部(または、おそらく全て)が、分裂されたゼオシン耐性マーカーを含んだシゾキトリウム遺伝子の同族領域を機能的に置換するという二重交差イベントによって生じた可能性が高い。この結果は、一部分のスラウストキトリウム遺伝子がシゾキトリウムにおいて機能することを示唆する。
実施例7
以下の実施例は、一定のEPA産生細菌が、シゾキトリウムの改変のために適しているように見えるPUFA PKS様の遺伝子を含むことを示す。
シュワネラ属の2つのEPA産生海洋菌種は、典型的なシゾキトリウム発酵の温度で増殖すること、およびPUFA PKS様のシュワネラ・オレヤナ属(Australian Collection of Antarctic Miroorganism(ACAM)株番号644;Skerratt et al., Int.J:Syst.Evol.Microbiol 52、2101(2002))は、EPAを産生し、かつ30℃まで増殖することが示された。シュワネラ・ジャポニカ(American Type Culture Collection(ATCC)株番号BAA-316;Ivanova et al., Int. J. Syst. Evol.Microbiol.51、1027(2001))は、EPA産生し、かつ35℃まで増殖する。
これらの細菌株に由来するPUFA-PKS遺伝子を同定し、かつ単離するために、シュワネラ SCRC-2738、シュワネラ・オネイデンシスMR-1;シュワネラ種GA-22;フォトバクター・プロファンダム、およびモリテラ・マリーナ(上記考察参照)の公表された遺伝子配列に基づいて、細菌orf5/pfaA遺伝子のKS-MAT領域および細菌orf7/pfaC遺伝子のDH-DH領域のための縮重PCRプライマー対をデザインした。特に、プライマーおよびPCR条件は、以下の通りにデザインした。
KS/AT領域のためのプライマー:
公表された配列(シュワネラ種 SCRC-2738;シュワネラ・オネイデンシスMR-1;フォトバクター・プロファンダム;モリテラ・マリーナ)に基づく:
DH領域のためのプライマー:
公表された配列(シュワネラ種GA-22;シュワネラ種SCRC-2738;フォトバクター・プロファンダム;モリテラ・マリーナ)に基づく:
(鋳型として細菌染色体DNAを用いた)PCR条件は、以下の通りであった。
反応混合物:
0.2μMのdNTPs
0.1μMの各プライマー
8%のDMSO
250ngの染色体DNA
2.5Uのヘロクラーゼ(Herculase)(登録商標)DNAポリメラーゼ(Stratagene)
1×ヘロクラーゼ(登録商標)緩衝液
総体積50μL
PCRプロトコル:(1)3分間98℃;(2)40秒間98℃(3)30秒間56℃;(4)90秒間72℃;(5) 29サイクルの間段階2〜4を繰り返す;(6)10分間72℃;(7)6℃で保持する。
両方のプライマー対について、PCRでは、シュワネラ ・オレヤナまたはシュワネラ・ジャポニカに由来する染色体DNA鋳型を使用して予想されるサイズと異なった産物を与えた。4つそれぞれのPCR産物をpCR-BLUNTII-TOPO(Invitrogen)にクローン化し、挿入配列を、M13フォワードおよびリバースのプライマーを使用して決定した。全例において、こうして得られたDNA配列は、公知の細菌性PUFA PKS遺伝子領域に対して高度に相同的であった。
細菌PCR産物から得られたDNA配列を、標準BLASTx検索(BLASTパラメーター:低複雑度フィルター:オン、マトリックス:BLOSUM62、ワードサイズ:3、ギャップコスト:Existence11、伸張1(その全体が参照として本明細書に組み入れられるAltschul, S.F., Madden, T. L., Schaaffer, A.A. , Zhang, J., Zhang, Z., Miller, W. & Lipman, D. J. (1997)「Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs.」Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402に記載のBLAST)で、公知の配列と、および、シゾキトリウム ATCC 20888由来のPUFA PKS遺伝子と比較した。
アミノ酸レベルにおいて、SEQ ID NO:76によってコードされるシュワネラ・オレヤナ ACAM644ケトアシル・シンターゼ/アシルトランスフェラーゼ(KS-AT)の推定アミノ酸配列に対して最高度の相同性を有する配列は:フォトバクター・プロファンダムpfaA(同一性=70%;ポジティブ=81%);シュワネラ・オネイデンシスMR-1「マルチドメインβ-ケトアシル・シンターゼ」(同一性= 66%;ポジティブ=77%);およびモリテラ・マリーナORF8(同一性=56%;ポジティブ=71%)であった。シゾキトリウム種ATCC20888 orfAは、SEQ ID NO:76によってコードされる推定アミノ酸配列に対して41%同一であり、56%ポジティブであった。
アミノ酸レベルにおいて、SEQ ID NO:78によってコードされるシュワネラ・ジャポニカ ATCC BAA-316ケトアシル・シンターゼ/アシルトランスフェラーゼ(KS-AT)の推定アミノ酸配列に対して最高度の相同性を有する配列は:シュワネラ・オネイデンシスMR-1「マルチドメインβ-ケトアシル・シンターゼ」(同一性= 67%;ポジティブ=79%);シュワネラ種SCRC-2738 orf5(同一性= 69%;ポジティブ=77%);およびモリテラ・マリーナORF8(同一性= 56%;ポジティブ=70%)であった。シゾキトリウム種ATCC20888 orfAは、SEQ ID NO:78によってコードされる推定アミノ酸配列に対して41%同一であり、55%ポジティブであった。
アミノ酸レベルにおいて、SEQ ID NO:75によってコードされるシュワネラ・オレヤナ ACAM644デヒドロゲナーゼ(DH)の推定アミノ酸配列に対して最高度の相同性を有する配列は:シュワネラ種SCRC-2738 orf7(同一性= 77%;ポジティブ=86%);フォトバクター・プロファンダムpfaC(同一性= 72%;ポジティブ=81%);およびシュワネラ・オネイデンシスMR-1「マルチドメインβ-ケトアシル・シンターゼ」(同一性= 75%;ポジティブ=83%)。シゾキトリウム種ATCC20888 orfCは、SEQ ID NO:75によってコードされる推定アミノ酸配列に対して26%同一であり、42%ポジティブであった。
アミノ酸レベルにおいて、SEQ ID NO:77によってコードされるシュワネラ・ジャポニカATCC BAA-316のデヒドロゲナーゼ(DH)の推定アミノ酸に対して最高度の相同性を有する配列は:シュワネラ種SCRC-2738 orf7(同一性=77%;ポジティブ=86%);フォトバクター・プロファンダム pfaC(同一性= 73%;ポジティブ=83%)、およびシュワネラ・オネイデンシスMR-1「マルチドメインβ-ケトアシル・シンターゼ」(同一性= 74%;ポジティブ=81%)であった。シゾキトリウム種ATCC20888 orfCは、SEQ ID NO:77によってコードされる推定アミノ酸配列に対して27%同一であり、42%ポジティブであった。
これらの2つのシュワネラ株に由来する一連のPUFA PKS遺伝子は、シゾキトリウム PUFA産生の改変のための、遺伝子全体または個々のドメインの有益な供与源を提供するであろうと思われる。シュワネラ ・オレヤナまたはシュワネラ・ジャポニカのいずれかによりコードされるPUFA PKS遺伝子およびタンパク質並びにドメインは、本発明によって明確に包含される。
実施例8
本実施例は、実施例7に記載されている細菌性PUFA PKS遺伝子断片が、どのくらいシゾキトリウムにおけるPUFA産生を改変するために使用することができるかを証明する。
細菌に由来するPUFA PKS遺伝子の現在公知の全ての例は、シゾキトリウムの3遺伝子セットにおけるものと同じドメインを含む4つの密接に関連した遺伝子として存在する。シュワネラ・オレヤナおよびシュワネラ・ジャポニカに由来するPUFA PKS遺伝子は、同様にこの密接して集まった配置においても見いだされるであろうことが予期される。Sh.オレヤナおよびSh.ジャポニカのDNAのクローン・バンクからPUFA PKS遺伝子集団を単離するために、実施例7で同定された相同領域を使用する。クローン・バンクは、バクテリオファージλベクター、コスミドベクトル、細菌人工染色体(「BAC」)ベクター、または当該技術分野において公知のその他の方法によって構築することができる。細菌性PUFA PKS遺伝子を含む所望のクローンは、実施例7の部分的な遺伝子配列のPCRによって、これらの配列からデザインしたプライマーを使用して作製されるプローブを使用して、コロニーまたはプラーク・ハイブリダイゼーションによって同定することができる(実施例1に記載したとおり)。次いで、新たな一連の細菌性PUFA PKS遺伝子の完全なDNA配列を使用して内因性PUFA PKS遺伝子に欠損があるシゾキトリウム株の形質転換のためのベクターをデザインする(たとえば、実施例3、5、および6を参照されたい)。細菌遺伝子全体(コード配列)は、シゾキトリウム遺伝子全体(コード配列)を置換するために使用してもよく、したがってシゾキトリウム遺伝子発現領域を利用してもよく、び第4の細菌遺伝子をゲノム内の異なる位置にターゲットしてもよい。または、個々の細菌性PUFA PKSの機能的なドメインを、相同組換えと同様の技術によって類似のシゾキトリウムドメインと「入れ替え」または交換してもよい。細菌性PUFA PKS遺伝子またはドメインの配列は、シゾキトリウムコドンの選択性の詳細に対応するために改変しなければならないかもしれないことが理解されるが、これは、当業者の能力内のものである。
本明細書において引用されたか、または論議されたそれぞれの刊行物は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
本出願は、以下の出願を参照によって組み入れる:2003年3月26日に出願された米国仮出願第60/457,979号;2002年4月16日に出願された米国特許出願第 10/124,800号;2001年4月16日に出願された米国仮出願第60/284,066号;2001年6月15日に出願された米国仮出願第60/298,796号;および2001年9月18日に出願された米国仮出願第60/323,269号;1999年1月14日に出願され、現在米国特許第6,566,583の米国特許出願第09/231,899号および1998年6月4日に出願され、現在米国特許第6,140,486号の米国特許出願第09/090,793号。
様々な本発明の態様を詳細に説明しているが、当業者には、これらの態様の改変および適合を行うことは明らかである。しかし、このような改変および適合は、特許請求の範囲に示されたような本発明の範囲内にあることは、説明的に理解されるべきである。