[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図18を用いて説明する。
本実施形態では、表示装置として、透過型の液晶パネル(表示体)を備えた液晶表示装置の例を挙げて説明する。
なお、以下の全ての図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
図1は本実施形態の液晶表示装置を斜め上方(視認側)から見た斜視図である。図2は液晶表示装置の断面図である。
本実施形態の液晶表示装置1は、図1及び図2に示すように、バックライト4(照明装置)と、第1偏光板5と、液晶パネル2と、視野角拡大部材3(偏光板付き光拡散部材)と、を備えている。視野角拡大部材3は、光拡散部材6と、第2偏光板7と、を備えている。本実施形態の第2偏光板7は、特許請求の範囲の「偏光板付き光拡散部材」を構成する偏光板に相当する。
図1では、液晶パネル2を模式的に1枚の板状に図示しているが、その詳細な構造については後述する。
観察者は、視野角拡大部材3が配置された図1における液晶表示装置1の上側から表示を見ることになる。以下の説明では、視野角拡大部材3が配置された側を視認側と称し、バックライト4が配置された側を背面側と称する。また、以下の説明において、x軸は液晶表示装置1の画面の水平方向、y軸は液晶表示装置1の画面の垂直方向、z軸は液晶表示装置1の厚さ方向、と定義する。
本実施形態の液晶表示装置1においては、バックライト4から射出された光を液晶パネル2で変調し、変調した光によって所定の画像や文字等を表示する。また、液晶パネル2から射出された光が視野角拡大部材3を透過すると、射出光の配光分布(拡散角度分布)が視野角拡大部材3に入射する前より広がった状態となって、光が視野角拡大部材3から射出される。これにより、観察者は広い視野角を持って表示を視認できる。
以下、液晶パネル2の具体的な構成について説明する。
ここでは、アクティブマトリクス方式の透過型液晶パネルを一例に挙げて説明する。ただし、本発明に適用可能な液晶パネルはアクティブマトリクス方式の透過型液晶パネルに限るものではない。本発明に適用可能な液晶パネルは、例えば半透過型(透過・反射兼用型)液晶パネルであっても良い。さらには、各画素がスイッチング用薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)を備えていない単純マトリクス方式の液晶パネルであっても良い。
図3は、液晶パネル2の縦断面図である。
図3に示すように、液晶パネル2は、TFT基板9と、カラーフィルター基板10と、液晶層11と、を有している。TFT基板9は、スイッチング素子基板として機能する。カラーフィルター基板10は、TFT基板9に対向して配置されている。液晶層11は、TFT基板9とカラーフィルター基板10との間に挟持されている。
液晶層11は、TFT基板9と、カラーフィルター基板10と、枠状のシール部材(図示せず)と、によって囲まれた空間内に封入されている。シール部材は、TFT基板9とカラーフィルター基板10とを所定の間隔をおいて貼り合わせる。
本実施形態の液晶パネル2は、例えばTN(Twisted Nematic)モードで表示を行う。液晶層11には誘電率異方性が正の液晶が用いられる。TFT基板9とカラーフィルター基板10との間には、スペーサー12が配置されている。スペーサー12は球状或いは柱状である。スペーサー12は、TFT基板9とカラーフィルター基板10との間の間隔を一定に保持する。
本発明の液晶パネル2の表示モードは上記のTNモードに限らない。例えば、VA(Vertical Alignment, 垂直配向)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、IPS(In-Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード等を用いてもよい。
図示はしないが、TFT基板9には、複数の画素がマトリクス状に配置されている。画素は、表示の最小単位領域である。TFT基板9には、複数のソースバスラインが、互いに平行に延在するように形成されている。TFT基板9には、複数のゲートバスラインが、互いに平行に延在するように形成されている。複数のゲートバスラインは、複数のソースバスラインと直交している。TFT基板9上には、複数のソースバスラインと複数のゲートバスラインとが格子状に形成されている。隣接するソースバスラインと隣接するゲートバスラインとによって区画された矩形状の領域が一つの画素となる。ソースバスラインは、TFT19のソース電極17に接続されている。ゲートバスラインは、TFT19のゲート電極16に接続されている。
TFT基板9を構成する透明基板14の液晶層11側の面には、半導体層15、ゲート電極16、ソース電極17、ドレイン電極18等を有するTFT19が形成されている。透明基板14としては、例えばガラス基板を用いることができる。
透明基板14上には、半導体層15が形成されている。半導体層15の材料としては、例えばCGS(Continuous Grain Silicon:連続粒界シリコン)、LPS(Low-temperature Poly-Silicon:低温多結晶シリコン)、α−Si(Amorphous Silicon:非結晶シリコン)等の半導体材料が用いられる。
透明基板14上には、半導体層15を覆うようにゲート絶縁膜20が形成されている。ゲート絶縁膜20の材料としては、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、もしくはこれらの積層膜等が用いられる。
ゲート絶縁膜20上には、半導体層15と対向するようにゲート電極16が形成されている。ゲート電極16の材料としては、例えばW(タングステン)/TaN(窒化タンタル)の積層膜、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)等が用いられる。
ゲート絶縁膜20上には、ゲート電極16を覆うように第1層間絶縁膜21が形成されている。第1層間絶縁膜21の材料としては、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、もしくはこれらの積層膜等が用いられる。
第1層間絶縁膜21上には、ソース電極17およびドレイン電極18が形成されている。第1層間絶縁膜21とゲート絶縁膜20とには、コンタクトホール22およびコンタクトホール23が、第1層間絶縁膜21とゲート絶縁膜20とを貫通して形成されている。ソース電極17は、コンタクトホール22を介して半導体層15のソース領域に接続されている。ドレイン電極18は、コンタクトホール23を介して半導体層15のドレイン領域に接続されている。ソース電極17およびドレイン電極18の材料としては、上述のゲート電極16と同様の導電性材料が用いられる。
第1層間絶縁膜21上には、ソース電極17およびドレイン電極18を覆うように第2層間絶縁膜24が形成されている。第2層間絶縁膜24の材料としては、上述の第1層間絶縁膜21と同様の材料、もしくは有機絶縁性材料が用いられる。
第2層間絶縁膜24上には、画素電極25が形成されている。第2層間絶縁膜24には、コンタクトホール26が第2層間絶縁膜24を貫通して形成されている。画素電極25は、コンタクトホール26を介してドレイン電極18に接続されている。画素電極25は、ドレイン電極18を中継用電極として半導体層15のドレイン領域に接続されている。画素電極25の材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide、インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電性材料が用いられる。
この構成により、ゲートバスラインを通じて走査信号が供給され、TFT19がオン状態となったときに、ソースバスラインを通じてソース電極17に供給された画像信号が、半導体層15、ドレイン電極18を経て画素電極25に供給される。また、画素電極25を覆うように第2層間絶縁膜24上の全面に配向膜27が形成されている。この配向膜27は、液晶層11を構成する液晶分子を水平配向させる配向規制力を有している。なお、TFT19の形態としては、図3に示したトップゲート型TFTであっても良いし、ボトムゲート型TFTであっても良い。
一方、カラーフィルター基板10を構成する透明基板29の液晶層11側の面には、ブラックマトリクス30、カラーフィルター31、平坦化層32、対向電極33、配向膜34が順次形成されている。
ブラックマトリクス30は、画素間領域において光の透過を遮断する機能を有する。ブラックマトリクス30は、例えば、Cr(クロム)やCr/酸化Crの多層膜等の金属、もしくはカーボン粒子を感光性樹脂に分散させたフォトレジストで形成されている。
カラーフィルター31には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の色素が含まれている。TFT基板9上の一つの画素電極25に、R,G,Bのいずれか一つのカラーフィルター31が対向して配置されている。なお、カラーフィルター31は、R、G、Bの3色以上の多色構成としても良い。
平坦化層32は、ブラックマトリクス30およびカラーフィルター31を覆う絶縁膜で構成されている。平坦化層32は、ブラックマトリクス30およびカラーフィルター31によってできる段差を緩和して平坦化する機能を有している。
平坦化層32上には対向電極33が形成されている。対向電極33の材料としては、画素電極25と同様の透明導電性材料が用いられる。
対向電極33上の全面に配向膜34が形成されている。この配向膜34は、液晶層11を構成する液晶分子を水平配向させる配向規制力を有している。
図1に戻り、バックライト4は、光源36と、導光体37と、を備えている。光源36は、導光体37の端面に配置されている。光源36としては、例えば、発光ダイオード、冷陰極管等が用いられる。
本実施形態のバックライト4は、エッジライト型のバックライトである。
導光体37は、光源36から射出された光を液晶パネル2に導く機能を有する。導光体37の材料としては、例えば、アクリル樹脂等の樹脂材料が用いられる。
光源36から導光体37の端面に入射した光は、導光体37の内部を全反射しつつ伝播し、導光体37の上面(光射出面)から概ね均一な強度で射出される。図示はしないが、導光体37の上面には、散乱シート及びプリズムシートが配置されている。導光体37の上面から射出された光は、散乱シートにより散乱した後、プリズムシートによって集光され、概ね平行化されて射出される。プリズムシートとしては、例えば、住友3M社製のBEF(商品名)が用いられる。
バックライト4と液晶パネル2との間には、第1偏光板5が設けられている。第1偏光板5は、偏光子として機能する。ここで、x軸方向の正方向を基準として反時計回りに角度を表す。すると、第1偏光板5の透過軸P1は135°−315°方向に設定されている。
視野角拡大部材3の液晶パネル2の側、つまり液晶パネル2と光拡散部材6との間には、第2偏光板7が設けられている。第2偏光板7は、偏光子として機能する。第2偏光板7の透過軸P2は、第1偏光板5の透過軸P1と直交するように配置されている。第2偏光板7の透過軸P2は、45°−225°方向に設定されている。第1偏光板5の透過軸P1と第2偏光板7の透過軸P2とは、クロスニコルの配置となっている。
次に、光拡散部材6について詳細に説明する。
図4は、光拡散部材6を視認側から見た斜視図である。
光拡散部材6は、図4に示すように、基材39と、複数の遮光層40と、光拡散部41と、を備えている。複数の遮光層40は、基材39の一面(背面側の面)に形成されている。光拡散部41は、基材39の一面のうち遮光層40の形成領域以外の領域に形成されている。
光拡散部材6は、図2に示すように、光拡散部41が設けられた側を第2偏光板7に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で第2偏光板7上に配置されている。光拡散部材6は、接着剤層43を介して第2偏光板7に固定されている。
基材39には、例えばトリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)フィルム等の透明樹脂製の基材が好ましく用いられる。基材39は、製造プロセスにおいて、後で遮光層40や光拡散部41の材料を塗布する際の下地となる。基材39は、製造プロセス中の熱処理工程における耐熱性と機械的強度とを備える必要がある。したがって、基材39には、樹脂製の基材の他、ガラス製の基材等を用いても良い。ただし、基材39の厚さは耐熱性や機械的強度を損なわない程度に薄い方が好ましい。その理由は、基材39の厚さが厚くなる程、表示のボヤケが生じる虞があるからである。また、基材39の全光線透過率は、JIS K7361−1の規定で90%以上が好ましい。全光線透過率が90%以上であると、十分な透明性が得られる。本実施形態では、一例として厚さが100μmの透明樹脂製基材を用いる。
遮光層40は、基材39の主面の法線方向から見てランダムに配置されている。遮光層40は、一例として、ブラックレジスト、黒色インク等の光吸収性および感光性を有する有機材料で構成されている。その他、Cr(クロム)やCr/酸化Crの多層膜等の金属膜を用いても良い。
光拡散部41は、例えばアクリル樹脂やエポキシ樹脂等の光透過性および感光性を有する有機材料で構成されている。また、光拡散部41の全光線透過率は、JIS K7361−1の規定で90%以上が好ましい。全光線透過率が90%以上であると、十分な透明性が得られる。
光拡散部41は、図2に示すように、光射出端面41aと、光入射端面41bと、反射面41cと、を有する。光射出端面41aは、基材39に接する面である。光入射端面41bは、光射出端面41aと対向する面である。反射面41cは、光拡散部41のテーパ状の側面である。反射面41cは、光入射端面41bから入射した光を反射する面である。光入射端面41bの面積は、光射出端面41aの面積よりも大きい。
光拡散部41は、光拡散部材6において光の透過に寄与する部分である。すなわち、光拡散部41に入射した光は、光拡散部41の反射面41cで全反射しつつ、光拡散部41の内部に略閉じこめられた状態で導光し、射出される。
光拡散部材6は、基材39が視認側に向くように配置されている。そのため、光拡散部41の2つの対向面のうち、面積の小さい方の面が光射出端面41aとなる。一方、面積の大きい方の面が光入射端面41bとなる。
光拡散部41の反射面41cの傾斜角度(光入射端面41bと反射面41cとのなす角度)は、75°以上85°以下が好ましい。本実施形態では、光拡散部41の反射面41cの傾斜角度が75°である。ただし、光拡散部41の反射面41cの傾斜角度は、光拡散部材6から射出する際に、入射光を十分に拡散することが可能な角度であれば、特に限定されない。本実施形態において、光拡散部41の反射面41cの傾斜角度は一定になっている。
光拡散部41の光入射端面41bから光射出端面41aまでの高さは、遮光層40の層厚よりも大きく設定されている。本実施形態の場合、遮光層40の層厚は一例として150nm程度である。光拡散部41の光入射端面41bから光射出端面41aまでの高さは一例として20μm程度である。光拡散部41の反射面41cと遮光層40とにより囲まれた部分は、中空部42となっている。
なお、基材39の屈折率と光拡散部41の屈折率とは略同等であることが望ましい。その理由は、以下による。例えば、基材39の屈折率と光拡散部41の屈折率とが大きく異なる場合を考える。この場合、光入射端面41bから入射した光が光拡散部41から射出する際に、光拡散部41と基材39との界面で不要な光の屈折や反射が生じることがある。この場合、所望の視野角が得られない、射出光の光量が減少する、等の不具合が生じる虞があるからである。
本実施形態の場合、中空部42(光拡散部41の外部)には空気が存在している。そのため、光拡散部41を例えば透明アクリル樹脂で形成したとすると、光拡散部41の反射面41cは透明アクリル樹脂と空気との界面となる。ここで、中空部42を他の低屈折率材料で充填しても良い。しかしながら、光拡散部41の内部と外部との界面の屈折率差は、外部にいかなる低屈折率材料が存在する場合よりも空気が存在する場合が最大となる。したがって、スネルの法則より、本実施形態の構成においては臨界角が最も小さくなり、光拡散部41の反射面41cで光が全反射する入射角範囲が最も広くなる。その結果、光の損失がより抑えられ、高い輝度を得ることができる。
なお、本実施形態において、低屈折率材料が存在するとは、光を全反射可能にするため、光拡散部41の周囲を低屈折率状態とすることを示している。そのため、中空部42には、空気に代えて、窒素等の不活性ガスが充填されている状態も含むものとする。もしくは、中空部42の内部が真空状態や大気よりも減圧状態であっても良い。
図5は、光拡散部材6の模式図である。図5において、左側上段は光拡散部材6の平面図である。左側下段は、左側上段の平面図のA−A線に沿った断面図である。右側上段は、左側上段の平面図のB−B線に沿った断面図である。
本実施形態の光拡散部材6は、図5の左側上段に示すように、複数の遮光層40が、基材39の一面に点在して設けられている。基材39の法線方向から見た遮光層40の平面形状は細長い楕円形である。遮光層40は、長軸と短軸とを有している。ここで、長軸とは、基材39の法線方向から見た遮光層40の平面形状において最も長さの長い軸とする。短軸とは、基材39の法線方向から見た遮光層40の平面形状において最も長さの短い軸とする。本実施形態の光拡散部材6では、それぞれの遮光層40において長軸の長さに対する短軸の長さの比が概ね等しい。
図5の左側下段、右側上段に示すように、遮光層40の下方に相当する部分が楕円錐台状の中空部42となる。光拡散部材6は複数の中空部42を有している。複数の中空部42以外の部分には、光拡散部41が連なって設けられている。
本実施形態の光拡散部材6では、それぞれの遮光層40の平面形状をなす楕円の長軸方向(以下、遮光層の長軸方向と称することがある)が概ねX方向に揃っている。それぞれの遮光層40の平面形状をなす楕円の短軸方向(以下、遮光層の短軸方向と称することがある)が概ねY方向に揃っている。このことから、光拡散部41の反射面41cの向きを考えると、光拡散部41の反射面41cのうち、X方向に沿った反射面41cの割合はY方向に沿った反射面41cの割合よりも多い。そのため、X方向に沿った反射面41cで反射してY方向に拡散する光Lyは、Y方向に沿った反射面41cで反射してX方向に拡散する光Lxよりも多くなる。
したがって、光拡散部材6の拡散性が最も強い方位角方向Vsは、遮光層40の短軸方向であるY方向となる。極角方向は任意とする。なお、極角と方位角の定義については後述する。
ただし、遮光層の平面形状が円形の場合には、光拡散部の反射面のうち、X方向に沿った反射面の割合はY方向に沿った反射面の割合と等しい。そのため、X方向に沿った反射面で反射してY方向に拡散する光は、Y方向に沿った反射面で反射してX方向に拡散する光と等しくなる。つまり、基材の法線方向から見て、反射面からは光が等方的に反射されることとなる。したがって、光拡散部材の拡散性が最も強い方位角方向は存在しない。
図1に戻り、TFT基板9の配向膜27の配向制御方向を矢印H1で示す。一方、カラーフィルター基板10の配向膜34の配向制御方向を矢印H2で示す。
配向膜27には、配向制御方向H1が135°−315°方向となるように、ラビング等の配向処理がなされている。一方、配向膜34には、配向制御方向H2が45°−225°方向となるように、ラビング等の配向処理がなされている。
図6(A)、(B)は、液晶パネル2の動作を説明するための図である。
図6(A)は、液晶パネル2(図3に示す画素電極25と対向電極33との間)に電圧が印加されていないとき(電圧無印加時)の状態を示す図である。図6(B)は、液晶パネル2に一定の電圧を印加したとき(電圧印加時)の状態を示す図である。なお、図6(A)、(B)において、符号Mは、液晶層11を構成する液晶分子である。
電圧無印加時には、図6(A)に示すように、液晶分子Mは、配向膜27と配向膜34との間で、90°ツイストした状態となる。このとき、135°−315°方向の透過軸P1を有する第1偏光板5を透過した直線偏光の偏光面が、液晶層11の持つ旋光性により90°回転する。これにより、第1偏光板5を透過した直線偏光が、45°−225°方向の透過軸P2を有する第2偏光板7を透過する。その結果、電圧無印加時には白表示となる。
電圧印加時には、図6(B)に示すように、液晶分子Mは、配向膜27と配向膜34との間で、電界に沿った方向に立ち上がった状態となる。このとき、135°−315°方向の透過軸P1を有する第1偏光板5を透過した直線偏光の偏光面は回転しない。そのため、第1偏光板5を透過した直線偏光は、45°−225°方向の透過軸P2を有する第2偏光板7を透過しない。その結果、電圧印加時には黒表示となる。
以上のように、画素毎に電圧の印加/無印加を制御することにより白表示と黒表示とを切り替え、画像を表示することができる。
図7は、極角と方位角の定義を説明するための図である。
ここで、図7に示すように、液晶表示装置1の画面の法線方向Eを基準とした観察者の視線方向Fのなす角度を極角θとする。x軸の正方向(0°方向)を基準とした観察者の視線方向Fを画面上に射影したときの線分Gの方向のなす角度を方位角φとする。
図8は、液晶表示装置1の正面図である。
図8に示すように、液晶表示装置1の画面において、水平方向(x軸方向)を方位角φ:0°−180°方向とする。方位角φ:0°−180°方向は、端的にいうと左右方向である。具体的には、方位角φ:0°−180°方向は、地面に対して水平な軸に沿った方向である。垂直方向(y軸方向)を方位角φ:90°−270°方向とする。方位角φ:90°−270°方向は、端的にいうと上下方向である。具体的には、方位角φ:90°−270°方向は、地面に対して垂直な軸に沿った方向である。
図9は、本実施形態に係る液晶表示装置1の正面図における、光拡散部材6の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、偏光板の透過軸(第1偏光板5の透過軸P1、第2偏光板7の透過軸P2)との配置関係を示す図である。なお、図9においては、便宜上、複数の遮光層40がそれぞれ同じサイズで規則的に配置されている。
図9に示すように、本実施形態の液晶表示装置1の正面形状は、左右方向に長い(横長の)長方形である。本実施形態において、光拡散部材6の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsは、方位角φ:0°−180°方向である。これにより、液晶表示装置1において左右方向の拡散強度が大きくなり、左右方向の視認性がより改善される。
本実施形態では、光拡散部材6の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第2偏光板7の透過軸P2と、を概ね直交させている。一方、光拡散部材6の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第1偏光板5の透過軸P1と、を概ね一致させている。
なお、光拡散部材6の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第2偏光板7の透過軸P2とは、完全に一致する必要はなく、概ね一致していればよい。一般に液晶表示装置の組立て工程において、液晶パネルと偏光板との位置合わせの回転方向のずれは5°程度以内と考えられる。したがって、光拡散部材6の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第2偏光板7の透過軸P2とが5°程度ずれている場合も、本発明の技術範囲に含まれる。
(液晶表示装置の製造方法)
図10は、視野角拡大部材3の製造方法を示すフローチャートである。
図11(A)〜(E)は、視野角拡大部材3の製造工程を、順を追って示す斜視図である。
上記構成の液晶表示装置1を構成する視野角拡大部材3の製造工程を中心に、その製造方法について説明する。
液晶パネル2の製造工程の概略を先に説明する。最初に、TFT基板9とカラーフィルター基板10をそれぞれ作製する。その後、TFT基板9のTFT19が形成された側の面とカラーフィルター基板10のカラーフィルター31が形成された側の面とを対向させて配置する。そして、TFT基板9とカラーフィルター基板10とをシール部材を介して貼り合わせる。その後、TFT基板9とカラーフィルター基板10とシール部材とによって囲まれた空間内に液晶を注入する。以上の工程を経て、液晶パネル2が完成する。
そして、このようにしてできた液晶パネル2のTFT基板9の側の外面に、光学接着剤等を用いて第1偏光板5を貼り合わせる。
なお、TFT基板9やカラーフィルター基板10の製造方法は常法によれば良く、その説明を省略する。
次に、視野角拡大部材3の製造工程を説明する。
図11(A)〜(E)に示すように、視野角拡大部材3は、印刷装置50、塗布装置55、露光装置60、現像装置65、及び偏光板貼付装置70によってこの順に各種の処理が施されることにより製造される。
図11(A)に示すように、印刷装置50は、長尺の基材をロール・トゥー・ロールで搬送し、その間に印刷処理を行うものである。印刷装置50において、一端には基材を送り出す送出ローラー51が設けられ、他端には基材を巻き取る巻取ローラー52が設けられている。基材は送出ローラー51側から巻取ローラー52側に向けて移動する構成となっている。基材の上方には、印刷ローラー53が設けられている。
図11(B)に示すように、塗布装置55は、印刷処理が施された基材をロール・トゥー・ロールで搬送し、その間に塗布処理を行うものである。塗布装置55において、一端には基材を送り出す送出ローラー56が設けられ、他端には基材を巻き取る巻取ローラー57が設けられている。基材は送出ローラー56側から巻取ローラー57側に向けて移動する構成となっている。基材の上方には、スリットコーター58が設けられている。
図11(C)に示すように、露光装置60は、塗布処理が施された基材をロール・トゥー・ロールで搬送し、その間に露光処理を行うものである。露光装置60において、一端には基材を送り出す送出ローラー61が設けられ、他端には基材を巻き取る巻取ローラー62が設けられている。基材は送出ローラー61側から巻取ローラー62側に向けて移動する構成となっている。基材の下方には、拡散光Q1を射出する光源(図示略)が設けられている。
図11(D)に示すように、現像装置65は、露光処理が施された基材をロール・トゥー・ロールで搬送し、その間に現像処理を行うものである。現像装置65において、一端には基材を送り出す送出ローラー66が設けられ、他端には基材を巻き取る巻取ローラー67が設けられている。基材は送出ローラー66側から巻取ローラー67側に向けて移動する構成となっている。基材の上方には、現像液Q2を吐出する装置(図示略)が設けられている。
図11(E)に示すように、偏光板貼付装置70は、現像処理が施された基材(光拡散部材の母材)をロール・トゥー・ロールで搬送し、その間に偏光板貼付処理(第2偏光板の母材を貼付する処理)を行うものである。偏光板貼付装置70において、一端には基材を送り出す第1送出ローラー71が設けられ、他端には偏光板貼付処理が施された基材を巻き取る巻取ローラー72が設けられている。基材は送出ローラー71側から巻取ローラー72側に向けて移動する構成となっている。基材の上方には、第2偏光板の母材を送り出す第2送出ローラー73が設けられている。基材の搬送経路には、光拡散部材の母材と第2偏光板の母材とを貼付するための一対の貼付ローラー74,75が設けられている。
最初に、長尺の基材として、厚さが100μmのトリアセチルセルロースの基材を準備する。次いで、図11(A)に示す印刷装置50を用い、この基材の一面に遮光層材料としてカーボンが含有された黒色樹脂、もしくは黒色インクからなる遮光層40を、印刷ローラー53から基材上に転写する。遮光層40の平面形状は楕円形状である。遮光層40の膜厚は150nmとする。これにより、複数の遮光層40を基材の一面に形成する(図10に示すステップS1)。
楕円形の遮光層40は次工程の光拡散部41の非形成領域(中空部42)に対応する。隣接する遮光層40の間隔(ピッチ)の配置は、規則的でもなく、周期的でもない。遮光層40の間隔(ピッチ)は液晶パネル2の画素の間隔(ピッチ、例えば150μm)よりも小さいことが望ましい。これにより、画素内に少なくとも1つの遮光層40が形成される。そのため、例えばモバイル機器等に用いる画素ピッチが小さい液晶パネルと組み合わせたときに広視野角化を図ることができる。
なお、本実施形態では、印刷法を用いて遮光層40を形成したが、これに限らない。この他に、ブラックネガレジストを用いたフォトリソグラフィー法によって遮光層40を形成することもできる。この場合、開口パターンと遮光パターンとが反転したフォトマスクを用いれば、光吸収性を有するポジレジストを用いることもできる。もしくは、蒸着法やインクジェット法等を用いて遮光層40を直接形成しても良い。
次いで、図11(B)に示す塗布装置55を用い、スリットコーター58を用いて、基材の一面に、複数の遮光層40を覆うように、光拡散部材料としてアクリル樹脂からなる透明ネガレジストを塗布する。これにより、膜厚20μmの塗膜(ネガ型感光性樹脂層)を形成する(図10に示すステップS2)。
なお、本実施形態では、スリットコーターを用いて透明ネガレジストを形成したが、これに限らない。この他に、スピンコート法や印刷法等を用いて透明ネガレジストを形成してもよい。
次いで、図11(C)に示す露光装置60を用い、平面形状が楕円形状の複数の遮光層40をマスクとして塗膜に拡散光Q1を照射し、露光を行う(図10に示すステップS3)。このとき、波長365nmのi線、波長404nmのh線、波長436nmのg線の混合線を用いた露光装置を使用する。露光量は500mJ/cm2とする。
次いで、図11(D)に示す現像装置65を用い、専用の現像液Q2を用いて透明ネガレジストからなる塗膜の現像を行い、100℃でポストベークし、複数の中空部42を有する透明樹脂層41を基材の一面に形成する(図10に示すステップS4)。
本実施形態では、図11(C)に示したように、拡散光を用いて露光を行っているので、塗膜を構成する透明ネガレジストが遮光層40の非形成領域から外側に広がるように放射状に露光される。これにより、順テーパ状の中空部42が形成される。光拡散部41は逆テーパ状の形状となる。光拡散部41の反射面41cの傾斜角度は拡散光の拡散の度合いで制御できる。
ここで用いる光Q1として、平行光、もしくは拡散光、もしくは特定の出射角度における強度が他の出射角度における強度と異なる光、すなわち特定の出射角度に強弱を有する光を用いることができる。平行光を用いた場合、光拡散部41の反射面41cの傾斜角度が例えば60°〜90°程度の単一の傾斜角度となる。拡散光を用いた場合には、傾斜角度が連続的に変化する、断面形状が曲線状の傾斜面となる。特定の出射角度に強弱を有する光を用いた場合には、その強弱に対応した斜面角度を有する傾斜面となる。このように、光拡散部41の反射面41cの傾斜角度を調整することができる。これにより、光拡散部材6の光拡散性を、目的とする視認性が得られるように調整することが可能となる。
なお、露光装置から出射された平行光を拡散光Q1として基材39に照射する手段の一つとして、例えば露光装置から出射された光の光路上にヘイズ50程度の拡散板を配置し、拡散板を介して光を照射する。
以上、図11(A)〜(D)の工程を経て、光拡散部材6の母材が完成する。光拡散部材6の全光線透過率は、90%以上が好ましい。全光線透過率が90%以上であると、十分な透明性が得られ、光拡散部材6に求められる光学性能を十分に発揮できる。全光線透過率は、JIS K7361−1の規定によるものである。
次いで、図11(E)に示す偏光板貼付装置70を用い、光拡散部材6の母材における光拡散部41の光入射端面41bに第2偏光板7の母材を、接着剤層43(図2参照)を介して貼付する(図10に示すステップS5)。
この工程では、光拡散部材6の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第2偏光板7の透過軸P2と、を概ね直交させるようにする。
そして、貼付された光拡散部材6の母材と第2偏光板7の母材との貼合体(以下、単に貼合体と称する)を、液晶表示装置1の平面視サイズに切断する。以上の工程により、本実施形態に係る視野角拡大部材3が完成する。
なお、本実施形態では、光拡散部材6の母材と第2偏光板7の母材との貼付した後に、この貼合体を、液晶表示装置1の平面視サイズに切断することにより視野角拡大部材3を作製したが、これに限らない。例えば、光拡散部材6の母材と第2偏光板7の母材とをそれぞれ液晶表示装置1の平面視サイズに切断した後に、光拡散部材6と第2偏光板7とを貼付することにより視野角拡大部材3を作製してもよい。
最後に、完成した視野角拡大部材3を、図2に示すように、基材39を視認側に向け、第2偏光板7を液晶パネル2に対向させた状態で、光学接着剤等を用いて液晶パネル2に貼付する。
以上の工程により、本実施形態に係る液晶表示装置1が完成する。
ここで、本実施形態に係る視野角拡大部材3の作用について、図12〜図15を用いて説明する。
先ず、光拡散部41の反射面41cに対して所定の偏光状態で入射する光について、光拡散部41内への光の入射角度と光拡散部41の反射面41cでの反射率との関係を説明する。
ここでは一例として、図12に示すように、光拡散部41の反射面41cの傾斜角度ψ1を75°とし、光拡散部41の屈折率nを1.55とした場合について説明する。なお、図12において、光拡散部41に対して入射角度ψ2で入射した光を実線で示し、光拡散部41の反射面41cで反射した光を破線で示す。なお、入射角度ψ2は、光拡散部41の光入射端面41bの法線と、光拡散部41に入射した光の進行方向と、のなす角度である。
図13は、光拡散部41の反射面41cの傾斜角度ψ1を75°とし、光拡散部41の屈折率nを1.55とした場合における、P偏光及びS偏光のそれぞれについて光拡散部41内への光の入射角度と光拡散部41の反射面41cでの反射率との関係を示す図である。図13において、横軸は光拡散部41内への光の入射角度であり、縦軸は光拡散部41の反射面41cでの反射率である。
以下、光拡散部41内への光の入射角度ψ2を、単に入射角度ψ2と称することがある。光拡散部41の反射面41cでの反射率を、単に反射率と称することがある。
ここで、遮光層40の短軸(光拡散部材6の拡散性が最も強い方位角方向に平行な線)と光拡散部41の光入射端面41bの法線とを含む面を入射面とする。P偏光とは、光拡散部41の反射面41cに対して入射角度ψ2で光が入射するとき、電場の振動方向が入射面に平行な偏光成分を有する偏光である。S偏光とは、光拡散部41の反射面41cに対して入射角度ψ2で光が入射するとき、電場の振動方向が入射面に垂直な偏光成分を有する偏光である。
図13に示すように、P偏光及びS偏光のそれぞれにおいて、入射角度ψ2が0°から34°までの範囲で、反射率は1である。しかしながら、入射角度ψ2が34°を超えると、反射率が急激に低下する。これは、入射角度ψ2が35°を超えると、スネルの法則により、全反射の起こる条件を満たさなくなることによる。
S偏光においては、入射角度ψ2が36°を超えると、入射角度ψ2が70°まで反射率が徐々に低下し、反射率が0.05に落ち込む。そして、入射角度ψ2が70°から90°までの範囲で、反射率は概ね一定となる。
一方、P偏光においては、入射角度ψ2が38°から46°までの範囲で反射率が0となる。これは、P偏光特有の性質である。このようにP偏光において反射率が0となる角度をブリュースター角という。
なお、P偏光においては、入射角度ψ2が70°になると、反射率が0.05まで上昇する。そして、入射角度ψ2が70°から90°までの範囲で、反射率は概ね一定となる。
図14は、比較例に係る視野角拡大部材3Xの作用を説明するための図である。
図15は、本実施形態に係る視野角拡大部材3の作用を説明するための図である。
図14に示すように、比較例に係る視野角拡大部材3Xは、光拡散部材6Xの拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第2偏光板7Xの透過軸P2とが概ね一致している。この場合、遮光層40Xの短軸方向における光拡散部41Xの反射面41Xcには、P偏光が相対的に多く入射しやすくなる。P偏光が光拡散部41Xの反射面41Xcに入射すると、上述したように、ブリュースター角において反射率が0となる。そのため、光拡散部41Xに入射した光のうち、反射面41Xcに向かう光のすべてが、反射面41Xcで反射されずに遮光層40Xに吸収されてしまう。その結果、光の利用効率が低下してしまう。
これに対し、図15に示すように、本実施形態に係る視野角拡大部材3は、光拡散部材6の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第2偏光板7の透過軸P2とが概ね直交している。この場合、遮光層40の短軸方向における光拡散部41の反射面41cには、S偏光が相対的に多く入射しやすくなる。S偏光が光拡散部41の反射面41cに入射する場合、P偏光が光拡散部41Xの反射面41Xcに入射する場合のように反射率が0となることはない。そのため、光拡散部41に入射した光のうち、反射面41cに向かう光のすべてが、反射面41cで反射される。反射面41cで反射した光は、遮光層40に吸収されることなく、外部に射出される。よって、光の利用効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、光の利用効率を向上させることができる視野角拡大部材3の製造方法を提供することができる。また、視野角拡大部材3材を備え、表示品位に優れた液晶表示装置1を提供することができる。
一般に、ストライプや格子等のような規則性のあるパターン同士を重ね合わせた場合、各パターンの周期が僅かにずれると、干渉縞模様(モアレ)が視認されることが知られている。例えば複数の光拡散部がマトリクス状に配列された光拡散部材と複数の画素がマトリクス状に配列された液晶パネルとを重ね合わせたとすると、光拡散部材の光拡散部による周期パターンと液晶パネルの画素による周期パターンとの間でモアレが発生し、表示品位を低下させる虞がある。
これに対し、本実施形態の液晶表示装置1においては、複数の遮光層40が平面的にランダムに配置されている。光拡散部41が遮光層40の形成領域以外の領域に形成されている。そのため、液晶パネル2の画素の規則的配列との間で干渉によるモアレが生じることがなく、表示品位を維持することができる。
本実施形態では、複数の遮光層40の配置をランダムとしたが、必ずしも複数の遮光層40の配置がランダムである必要はない。複数の遮光層40の配置が非周期的であれば、モアレの発生を抑えることができる。さらに、状況や用途に応じて多少のモアレの発生が許容される場合には、複数の遮光層40が周期的に配置されていても良い。
[第1実施形態の第1変形例]
図16は、第1実施形態の第1変形例に係る液晶表示装置1Aの正面図における、光拡散部材6Aの拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、偏光板の透過軸(第1偏光板5の透過軸P1、第2偏光板7の透過軸P2)との配置関係を示す図である。
上記第1実施形態では、液晶表示装置1の正面形状が、左右方向に長い(横長の)長方形であった。これに対し、本変形例では、液晶表示装置1Aの正面形状が、上下方向に長い(縦長の)長方形である。
本変形例においては、上記第1実施形態と同様、光拡散部材6の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsが、方位角φ:0°−180°方向である。これにより、液晶表示装置1Aにおいて左右方向の拡散強度が大きくなり、左右方向の視認性がより改善される。
また、本変形例においては、上記第1実施形態と同様、光拡散部材6Aの拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第2偏光板7の透過軸P2と、を概ね直交させている。
本変形例に係る視野角拡大部材においても、光の利用効率を向上させることができる。また、視野角拡大部材を備え、表示品位に優れた液晶表示装置1Aを提供することができる。
[第1実施形態の第2変形例]
図17は、第1実施形態の第2変形例に係る液晶表示装置1Bの正面図における、光拡散部材6Bの拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、偏光板の透過軸(第1偏光板5の透過軸P1、第2偏光板7の透過軸P2)との配置関係を示す図である。
上記第1実施形態では、光拡散部材6の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsが、方位角φ:0°−180°方向であった。
これに対し、本変形例では、光拡散部材6Bの拡散性が相対的に強い方位角方向Vsが、方位角φ:90°−270°方向である。これにより、液晶表示装置1Bにおいて上下方向の拡散強度が大きくなり、上下方向の視認性がより改善される。
本変形例においては、上記第1実施形態と同様、液晶表示装置1Bの正面形状が、左右方向に長い(横長の)長方形である。また、光拡散部材6Bの拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第2偏光板7の透過軸P2と、を概ね直交させている。
本変形例に係る視野角拡大部材においても、光の利用効率を向上させることができる。また、視野角拡大部材を備え、表示品位に優れた液晶表示装置1Bを提供することができる。
[第1実施形態の第3変形例]
図18は、第1実施形態の第3変形例に係る液晶表示装置1Cの正面図における、光拡散部材6Cの拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、偏光板の透過軸(第1偏光板5の透過軸P1、第2偏光板7の透過軸P2)との配置関係を示す図である。
上記第1実施形態では、液晶表示装置1の正面形状が、左右方向に長い(横長の)長方形であった。また、光拡散部材6の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsが、方位角φ:0°−180°方向であった。
これに対し、本変形例では、液晶表示装置1Cの正面形状が、上下方向に長い(縦長の)長方形である。
また、光拡散部材6Cの拡散性が相対的に強い方位角方向Vsが、方位角φ:90°−270°方向である。これにより、液晶表示装置1Cにおいて上下方向の拡散強度が大きくなり、上下方向の視認性がより改善される。
本変形例においては、上記第1実施形態と同様、光拡散部材6Cの拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第2偏光板7の透過軸P2と、を概ね直交させている。
本変形例に係る視野角拡大部材においても、光の利用効率を向上させることができる。また、視野角拡大部材を備え、表示品位に優れた液晶表示装置1Cを提供することができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図19を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、光拡散部材106に複数の光拡散部141が配置されている点が第1実施形態と異なる。そのため、本実施形態では、液晶表示装置の基本構成の説明は省略し、光拡散部材106について説明する。
図19は、光拡散部材106の模式図である。図19において、左側上段は光拡散部材106の平面図である。左側下段は、左側上段の平面図のC−C線に沿った断面図である。右側上段は、左側上段の平面図のD−D線に沿った断面図である。
上記第1実施形態では、基材39の一面に形成された複数の遮光層40と、基材39の一面において遮光層40の形成領域以外の領域に形成された光拡散部41と、を備えていた。また、複数の遮光層40が基材39の一面に点在して配置され、光拡散部41が遮光層40の形成領域以外の領域に連続して形成されていた。
これに対して、本実施形態の光拡散部材106は、図19の左側上段に示すように、基材139の一面に形成された複数の光拡散部141と、基材139の一面において光拡散部141の形成領域以外の領域に形成された遮光層140と、を備えている。また、複数の光拡散部141が、基材139の一面に点在して配置され、遮光層140が光拡散部141の形成領域以外の領域に連続して形成されている。
複数の光拡散部141は、基材139の主面の法線方向から見てランダムに(非周期的に)配置されている。したがって、隣接する光拡散部141間のピッチは一定ではない。しかし、隣接する光拡散部141間のピッチを平均した平均ピッチは25μmに設定されている。
光拡散部141の平均間隔は液晶パネル2の画素の間隔(ピッチ)よりも小さいことが望ましい。これにより、画素内に少なくとも1つの光拡散部141が形成されるので、例えばモバイル機器等に用いる画素ピッチが小さい液晶パネルと組み合わせたときに広視野角化を図ることができる。
遮光層140には、基材139上にランダムに(非周期的に)複数の開口が形成されている。本実施形態において、複数の光拡散部141は、遮光層140の開口の形成位置に対応して設けられている。
図19の左側下段、右側上段に示すように、光拡散部141は、基材139の一面に平行な平面で切断したときの断面積(楕円形状)が基材139の側で小さく、基材139から離れるにつれて漸次小さくなる楕円錐体形状を有している。光拡散部141の2つの対向面のうち、面積の小さい方の面(基材139に接する側の面)が光射出端面141aとなり、面積の大きい方の面(基材139と反対側の面)が光入射端面141bとなる。
遮光層140の下方に相当する部分が中空部142となる。この中空部142に空気が存在している。光拡散部材106は空気が存在する連続した中空部142を有している。
本実施形態の場合、隣接する光拡散部141間には空気が介在しているため、光拡散部41を例えばアクリル樹脂で形成したとすると、光拡散部141の反射面141cはアクリル樹脂と空気との界面となる。
したがって、スネルの法則より、光拡散部141の反射面141cで光が全反射する入射角範囲が広い。その結果、光の損失がより抑えられ、高い輝度を得ることができる。
なお、本実施形態において、光を全反射可能にするため、光拡散部141の周囲を低屈折率状態としても良く、空気に代えて、窒素等の不活性ガスが充填されている状態としても良い。もしくは、光拡散部141間が真空状態や大気よりも減圧状態であっても良い。
図19の左側上段に示すように、基材139の法線方向から見た光拡散部141の平面形状は細長い楕円形である。光拡散部141は、長軸と短軸とを有している。
複数の光拡散部141の長軸方向は概ねX方向に揃っている。複数の光拡散部141の短軸方向は概ねY方向に揃っている。このことから、光拡散部141の反射面141cの向きを考えると、光拡散部141の反射面141cのうち、X方向に沿った反射面141cの割合はY方向に沿った反射面141cの割合よりも多い。そのため、X方向に沿った反射面141cで反射してY方向に拡散する光Lyは、Y方向に沿った反射面141cで反射してX方向に拡散する光Lxよりも多くなる。
したがって、光拡散部材106の拡散性が最も強い方位角方向Vsは、光拡散部141の短軸方向であるY方向となる。極角方向は任意とする。
ただし、光拡散部の平面形状が円形の場合には、光拡散部の反射面のうち、X方向に沿った反射面の割合はY方向に沿った反射面の割合と等しい。そのため、X方向に沿った反射面で反射してY方向に拡散する光は、Y方向に沿った反射面で反射してX方向に拡散する光と等しくなる。つまり、基材の法線方向から見て、反射面からは光が等方的に反射されることとなる。したがって、光拡散部材の拡散性が最も強い方位角方向は存在しない。
本実施形態においては、上記第1実施形態と同様、光拡散部材106の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第2偏光板7の透過軸P2と、を概ね直交させている。
次に、本実施形態に係る視野角拡大部材の製造工程を説明する。
本実施形態に係る視野角拡大部材の製造方法の基本工程は第1実施形態と同一であり、遮光層を形成する工程において基材の一面に形成される遮光層が複数の開口部を有する遮光層である点が第1実施形態と異なる。したがって、本実施形態に係る視野角拡大部材は、第1実施形態で説明した処理装置と共通の処理装置によって各種の処理が施される。そのため、第1実施形態で説明した処理装置と共通の処理装置には同一の符号を付し、第1実施形態で説明した製造方法と共通の製造方法についてはその詳細な説明は省略する。
先ず、図20(A)に示す印刷装置50を用い、基材の一面に、上述の遮光層40と同様の形成材料からなる、複数の開口部を有する遮光層140を、印刷ローラー53から基材上に転写する。遮光層140の開口部の平面形状は楕円形状である。遮光層140の膜厚は150nmとする。これにより、複数の開口部を有する遮光層140を基材の一面に形成する(図10に示すステップS1)。
楕円形の開口部は次工程の光拡散部141の形成領域に対応する。開口部の間隔(ピッチ)は液晶パネル2の画素の間隔(ピッチ、例えば150μm)よりも小さいことが望ましい。これにより、画素内に少なくとも1つの光拡散部141が形成される。そのため、例えばモバイル機器等に用いる画素ピッチが小さい液晶パネルと組み合わせたときに広視野角化を図ることができる。
なお、本実施形態では、印刷法を用いて、複数の開口部を有する遮光層140を形成したが、これに限らない。この他に、ブラックネガレジストを用いたフォトリソグラフィー法によって遮光層140を形成することもできる。この場合、開口パターンと遮光パターンとが反転したフォトマスクを用いれば、光吸収性を有するポジレジストを用いることもできる。もしくは、蒸着法やインクジェット法等を用いて遮光層140を直接形成しても良い。
次いで、図20(B)に示す塗布装置55を用い、スリットコーター58を用いて、基材の一面に、複数の開口部を覆うように、光拡散部材料としてアクリル樹脂からなる透明ネガレジストを塗布する。これにより、膜厚20μmの塗膜を形成する(図10に示すステップS2)。
なお、本実施形態では、スリットコーターを用いて透明ネガレジストを形成したが、これに限らない。この他に、スピンコート法や印刷法等を用いて透明ネガレジストを形成してもよい。
次いで、図20(C)に示す露光装置60を用い、複数の開口部を有する遮光層140をマスクとして塗膜に拡散光Q1を照射し、露光を行う(図10に示すステップS3)。このとき、波長365nmのi線、波長404nmのh線、波長436nmのg線の混合線を用いた露光装置を使用する。露光量は500mJ/cm2とする。
次いで、図20(D)に示す現像装置65を用い、専用の現像液Q2を用いて透明ネガレジストからなる塗膜の現像を行い、100℃でポストベークし、中空部142を有する透明樹脂層141を基材の一面に形成する(図10に示すステップS4)。
本実施形態では、図10(C)に示したように、拡散光Q1を用いて露光を行っているので、塗膜を構成する透明ネガレジストが遮光層140の非形成領域(開口部)から外側に広がるように放射状に露光される。これにより、順テーパ状の中空部142が形成される。光拡散部141は逆テーパ状の形状となる。光拡散部141の反射面141cの傾斜角度は拡散光の拡散の度合いで制御できる。
以上、図20(A)〜(D)の工程を経て、光拡散部材106の母材が完成する。
次いで、図20(E)に示す偏光板貼付装置70を用い、光拡散部材106の母材における光拡散部141の光入射端面141bに第2偏光板7の母材を、接着剤層を介して貼付する(図10に示すステップS5)。
この工程では、光拡散部材106の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第2偏光板7の透過軸P2と、を概ね直交させるようにする。
そして、貼付された光拡散部材106の母材と第2偏光板7の母材との貼合体(以下、単に貼合体と称する)を、液晶表示装置1の平面視サイズに切断する。以上の工程により、本実施形態に係る視野角拡大部材が完成する。
最後に、完成した視野角拡大部材を、基材139を視認側に向け、第2偏光板7を液晶パネル2に対向させた状態で、光学接着剤等を用いて液晶パネル2に貼付する。
以上の工程により、本実施形態に係る液晶表示装置が完成する。
本実施形態に係る光拡散部材106を備えた視野角拡大部材においても、光の利用効率を向上させることができる。また、視野角拡大部材を備え、表示品位に優れた液晶表示装置を提供することができる。
[第2実施形態の第1変形例]
図21は、第2実施形態の第1変形例に係る光拡散部材106Aの断面図である。
上記第2実施形態では、複数の光拡散部141の反射面の傾斜角度は全て同一であった。これに対して、本変形例の光拡散部材106Aでは、図21に示すように、複数の光拡散部141Aの反射面141Acの傾斜角度が異なっている。すなわち、複数の光拡散部141Aの全体を見ると、複数の光拡散部141Aの光射出端面141Aaが複数種類の寸法を有し、複数の光拡散部141Aの反射面141Acが複数種類の傾斜角度を有している。複数の光拡散部141Aの反射面141Acの傾斜角度が異なることに伴い、光入射端面141Abの寸法も異なる。その他の構成は第2実施形態と同様である。
本変形例に係る光拡散部材106Aを備えた視野角拡大部材においても、光の利用効率を向上させることができる。また、視野角拡大部材を備え、表示品位に優れた液晶表示装置を提供することができる。
[第2実施形態の第2変形例]
図22(A)、(B)は、それぞれ、第2実施形態の第2変形例に係る光拡散部材106B,106Cの断面図である。
上記第2実施形態では、光拡散部141の反射面141cの傾斜角度が一定であった。これに対し、本変形例の光拡散部141B,141Cのそれぞれの反射面141Bc,141Ccの傾斜角度は、図22(A)、(B)に示すように、場所によって異なっている。具体的には、本変形例の光拡散部141B,141Cのそれぞれの反射面141Bc,141Ccは、傾斜角度が連続的に変化している。
図22(A)に示す光拡散部材106Bにおいては、光拡散部141Bの反射面141Bcが外側に湾曲している。
図22(B)に示す光拡散部材106Cにおいては、光拡散部141Cの反射面141Ccが内側に湾曲している。
本変形例に係る構成によれば、上記第2実施形態に係る構成に比べて、光拡散性を高めることができる。
[第2実施形態の第3変形例]
図23(A)、(B)は、それぞれ、第2実施形態の第3変形例に係る光拡散部材106D,106Eの断面図である。
上記第2実施形態では、光拡散部141の反射面141cの傾斜角度が一定であった。これに対し、本変形例の光拡散部141D,141Eのそれぞれの反射面141Dc,141Ecの傾斜角度は、図23(A)、(B)に示すように、場所によって異なっている。具体的には、本変形例の光拡散部141D,141Eのそれぞれの反射面141Dc,141Ecは、複数の異なる傾斜角度(断面形状が折れ線状の傾斜面)となっている。
図23(A)に示す光拡散部材106Dにおいては、光拡散部141Dの反射面141Dcが傾斜角度の異なる3つの傾斜面を有し、外側に凸となっている。
図23(B)に示す光拡散部材106Eにおいては、光拡散部141Eの反射面141Ecが傾斜角度の異なる3つの傾斜面を有し、内側に凸となっている。
本変形例に係る構成によれば、上記第2実施形態に係る構成に比べて、光拡散性を高めることができる。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図24及び図25(A)、(B)を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、視野角拡大部材203に屈折率調整層243が設けられている点が第1実施形態と異なる。そのため、本実施形態では、視野角拡大部材203について説明する。
図24は、視野角拡大部材203の断面図である
基材239の一面には、屈折率調整層243が遮光層240を覆うように全面に設けられている。屈折率調整層243は、例えばアクリル樹脂やエポキシ樹脂等の光透過性を有する有機材料で構成されている。本実施形態の一例として、屈折率調整層243は、屈折率が1.57のアクリル樹脂で構成されている。屈折率調整層243の屈折率は、基材239の屈折率よりも小さく、かつ、光拡散部241の屈折率および第2偏光板7の屈折率よりも大きくなるように設定されている。言い換えると、第2偏光板7と基材239との間に、第2偏光板7の屈折率と基材239の屈折率との間の屈折率を有する屈折率調整層243が設けられている。本実施形態の屈折率調整層243は、特許請求の範囲の「偏光板の屈折率と基材の屈折率との間の屈折率を有する部材」に相当する。
屈折率調整層243は、1種類の材料のみから構成されていてもよいし、屈折率を上記の関係に設定するために、異なる屈折率を有する2種類以上の材料から構成されていてもよい。屈折率調整層243は、遮光層240を覆うとともに、表面(基材239と反対側の面)が平坦な面となっている。
以下、本実施形態に係る視野角拡大部材203の作用について、図25(A)、(B)を用いて説明する。
ここで、屈折率調整層243を持たない比較例の液晶表示装置を考える。比較例の液晶表示装置は、屈折率調整層243を持たないこと以外は本実施形態の表示装置と同じ構成である。その場合、比較例の液晶表示装置においては、図25(A)に示すように、液晶パネルから射出される光Liは、第2偏光板7X、光拡散部241X、基材239Xをこの順に透過して観察者側に射出される。第2偏光板7Xの屈折率niが1.50であり、光拡散部241Xの屈折率ntが1.50であるから、第2偏光板7Xと光拡散部241Xとの界面K1では界面反射が生じない。ところが、光拡散部241Xの屈折率ntが1.50であり、基材239Xの屈折率noが1.65であるから、光拡散部241Xと基材239Xとの界面K2では界面反射が生じ、光の透過率が低下する。
本発明者のシミュレーションによれば、光拡散部241Xと基材239Xとの界面K2に対して垂直に入射する光のうち、0.23%の光Lrが界面反射する。その結果、光Loの透過率は99.77%に低下する。
これに対して、本実施形態の液晶表示装置においては、図25(B)に示すように、液晶パネル2から射出される光Liは、第2偏光板7、光拡散部241、屈折率調整層243、基材239をこの順に透過して観察者側に射出される。第2偏光板7の屈折率niが1.50であり、光拡散部241の屈折率ntが1.50であるから、第2偏光板7と光拡散部241との界面K1では界面反射が生じない。光拡散部241の屈折率ntが1.50であり、屈折率調整層243の屈折率n1が1.57であるから、光拡散部241と屈折率調整層243との界面K2ではわずかな界面反射が生じる。屈折率調整層243の屈折率n1が1.57であり、基材239の屈折率noが1.65であるから、屈折率調整層243と基材239との界面K3ではわずかな界面反射が生じる。
本発明者のシミュレーションによれば、光拡散部241と屈折率調整層243との界面K2に対して垂直に入射する光のうち、0.06%の光Lr1が界面反射する。同様に、屈折率調整層243と基材239との界面K3に対して垂直に入射する光L1のうち、0.06%の光Lr2が界面反射する。その結果、光Loの透過率は99.89%となり、比較例に比べて高くなる。
本実施形態に係る視野角拡大部材203によれば、第2偏光板7の屈折率と基材239の屈折率との中間の屈折率を有する屈折率調整層243を基材239と光拡散部241との間に挿入して界面での屈折率差を小さくしたことにより、界面反射を低減することができる。図25(A)、(B)に示したように、比較例では界面反射が生じる界面が1箇所であり、本実施形態では界面反射が生じる界面が2箇所であった。これに対して、本実施形態に係る反射光の総量は、比較例のものよりも少ない。したがって、光の透過率が向上し、明るい表示が可能な液晶表示装置を実現できる。
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、図26〜図29(A)、(B)を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、光散乱部345が基材339の視認側の面に部分的に形成されている点が第1実施形態と異なる。そのため、本実施形態では、光拡散部材306について説明する。
図26は、光拡散部材306の断面図である
光散乱部345は、光硬化樹脂346の内部に多数の散乱体347が分散されて構成されている。光散乱部345の厚み(Z軸方向の寸法)は一例として20μm程度であり、球状の散乱体347の球径は0.5〜20μm程度である。光散乱部345は、光拡散部341で拡散された光を等方的に拡散しさらに広角に広げる。
本実施形態においては、光散乱部345は層状に形成されるとともに、この層状の光散乱部345を貫通する複数の孔348が形成されている。具体的には、光散乱部345には、光散乱部345の視認側から基材39側まで連通(貫通)した複数の孔348が形成されている。これらの複数の孔348は、基材339と接する遮光層40の面積よりも、光散乱部345に形成された孔348の基材側の面積の方が小さくなるように設定されている。また、視認側から見て、遮光部340の内方に光散乱部345の孔348が配置されるようになっている。
光硬化樹脂346としては、例えば、(メタ)アクリレート系光硬化樹脂、イミド系光硬化樹脂、シリコーン系光硬化樹脂等を用いることができる。
散乱体347としては、例えばアクリルビーズを用いることができるが、これに限らず、アクリル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ビニル系ポリマー、セルロース系ポリマー、アミド系ポリマー、フッ素系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマー、イミド系ポリマーなどからなる樹脂片、ガラスビーズ等の適宜な透明の物質で構成されていてもよい。
また、散乱体347としては、これら透明な物質以外でも、光の吸収の無い散乱体、反射体を用いることができる。あるいは、散乱体347を光拡散部341内に拡散させた気泡としてもよい。個々の散乱体347の形状は、例えば、球形、楕円球形、平板形、多角形立方体など、各種形状に形成することができる。散乱体347のサイズも均一あるいは不均一になるように形成されていればよい。
以下、本実施形態に係る光拡散部材306の作用について、図27(A)、(B)〜図29(A)、(B)を用いて説明する。
図27(A)に示すように、光散乱部345が配置されていない光拡散部材306Xの場合、光拡散部341Xの光入射端面341Xaに対して垂直に入射する光R1が光射出端面341Xbから特定の拡散角度に集中して射出される。その結果、広い角度範囲に均一に光を拡散させることができず、特定の視野角のみでしか明るい表示が得られない。
これに対して、本実施形態の場合、図27(B)に示すように、光拡散部材306の最表面には光散乱部345が配置されている。これにより、光拡散部341の光入射端面341aに対して垂直に入射する光R1は、光拡散部341で拡散した後、光散乱部345でさらに拡散する。このため、光散乱部345からは様々な角度の光が射出される。
このように、本実施形態の場合、光拡散部材306の最表面には光散乱部345が配置されているため、光の拡散角度を1つに集中させないようにできる。その結果、光拡散部材306の光拡散特性をよりなだらかにすることができ、広い視野角で明るい表示が得られる。
さらに、本実施形態においては、基材339の視認側の面に形成された光散乱部345には、視認側から基材まで連通した複数の孔348が形成されている。
ここで、基材339の視認側の面の全面に光散乱部345Xが形成されている場合を考える。この場合、図28(A)に示すように、視認側からの光R2(外光)が光散乱部345に入射すると、外光R2は光散乱部345で反射散乱(後方散乱)されて視認側へと光が進行する。すると、視認者に外光R2の散乱光が認識されることになり、液晶表示の視認性が悪化する。
これに対して、本実施形態の場合、上述のように、光散乱部345には孔348が形成されている。この孔348に視認側から入射した光R2(外光)は、図28(B)に示すように、遮光部340に吸収され反射散乱を生じない。そのため、基材339の全面に光散乱部345が形成されている場合と比較して、視認側からの光R2の反射散乱を抑制することができ、視認性が良好となる。
また、本実施形態においては、光拡散部341に対向する位置に光散乱部345が形成されているので、背面側からの光の光拡散特性を損ねることなく、視認側からの光の反射散乱を抑制することができる。つまり、本実施形態の光拡散部材306によれば、背面側からの光の光拡散特性と、視認側からの光の反射散乱の特性を両立することができる。
さらに、本実施形態においては、光散乱部345が基材339と接する遮光部340の面積よりも、光散乱部345に形成された孔348の基材339側に形成される面積の方が小さくなるように設定されている。また、視認側から見て(平面視において)、遮光部340の内方に光散乱部345の孔348が配置されるようになっている。
図29(A)に示すように、遮光部340と対向する位置において、基材339側の孔348Aの面積が、遮光部340と同一面積とされている場合は、背面側からの光R3が光散乱部345Aに散乱されない場合がある。
これに対して、本実施形態の場合、図29(B)に示すように、背面側から基材339の面に対して斜め方向から入射する光R3を光散乱部345によって散乱することができる。よって、光拡散特性をさらに向上させることができる。
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について、図30を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、遮光層440の基材439とは反対側の面440aの一部が光散乱部445で覆われている点が第1実施形態と異なる。そのため、本実施形態では、光拡散部材406について説明する。
図30は、光拡散部材406の断面図である
光散乱部445は、光硬化樹脂446の内部に多数の散乱体447が分散されて構成されている。光散乱部445は、中空部442と遮光層440との間に配置されている。光散乱部445は、遮光層440を一部露出させるように覆った状態で基材439の一面(視認側と反対側の面)に配置されている。すなわち、本実施形態では、視認側から見て(平面視において)、遮光層440の一部が光散乱部445の形成領域からはみ出ている。
本実施形態の場合、中空部442に入射した光の一部L11は、光散乱部445に入射して前方散乱されることで遮光層440が形成されていない領域に導かれることになる。従って、光拡散部材406は、中空部442への入射光の一部を、基材439を介して様々な角度で射出させることができ、高い光利用効率を得ることができる。また、光拡散部材406は、光拡散部441に入射した光の一部L12を光散乱部445内で散乱させて基材439に対して様々な角度で射出させることができる。
なお、本実施形態では、遮光層の基材とは反対側の面の一部が光散乱部で覆われている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、光散乱部が遮光層の全面を覆って形成されていてもよい。すなわち、遮光層の基材と反対側の面の少なくとも一部が光散乱部で覆われていればよい。
なお、上記第1実施形態においては、遮光層40の形状を、図31(A)に示すように細長い楕円形状としたが、遮光層40の形状はこれに限定されることはない。
例えば、図31(B)に示すように、細長い長方形状の遮光層40Gを用いても良い。あるいは、図31(C)に示すように、細長い八角形状の遮光層40Hを用いても良い。あるいは、図31(D)に示すように、細長い長方形の対向する2辺を外側に湾曲させた形状の遮光層40Iを用いても良い。あるいは、図31(E)に示すように、縦横比が異なる2つの長方形を直交する2方向に交差させた形状の遮光層40Jを用いても良い。あるいは、図31(F)に示すように、二等辺三角形状の遮光層40Kを用いても良い。あるいは、図31(G)に示すように、菱形状の遮光層40Lを用いても良い。さらに、図31(A)〜(G)の形状が所定方向に回転していてもよい。
また、各遮光層40の平面形状をそれぞれ異ならせ、種々の異方性の方位(図31(A)〜(G)参照)を持つ異なる複数種類のサイズ、形状のものを混在させるようにしてもよい。
なお、上記第2実施形態においては、光拡散部141の形状を、図31(A)に示すように楕円形状としたが、光拡散部141の形状はこれに限定されることはない。
例えば、図31(B)〜(G)に示したように、光拡散部141の形状を、細長い長方形状、細長い八角形状、細長い長方形の対向する2辺を外側に湾曲させた形状、縦横比が異なる2つの長方形を直交する2方向に交差させた形状、二等辺三角形状、菱形状、あるいはこれらの形状を所定方向に回転させた形状としてもよい。
また、各光拡散部141の平面形状をそれぞれ異ならせ、種々の異方性の方位(図31(A)〜(G)参照)を持つ異なる複数種類のサイズ、形状のものを混在させるようにしてもよい。
また、上記実施形態における視野角拡大部材の基材の視認側に、反射防止層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層のうちの少なくとも一つを設けた構成としても良い。
この構成によれば、基材の視認側に設ける層の種類に応じて、外光反射を低減する機能、塵埃や汚れの付着を防止する機能、傷を防止する機能等を付加することができ、視野角特性の経時劣化を防ぐことができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
また、上記実施形態では、光拡散部もしくは空間部分の形状を楕円錐台状としたが、その他の形状であってもよい。また、光拡散部の反射面の傾斜角度は光軸を中心として必ずしも対称でなくても良い。上記実施形態のように光拡散部の形状を楕円錐台状とした場合には、光拡散部の反射面の傾斜角度が光軸を中心として線対称となるため、光軸を中心として線対称的な角度分布が得られる。これに対し、表示装置の用途や使い方に応じて意図的に非対称な角度分布が要求される場合、例えば画面の上方側だけ、あるいは右側だけに視野角を広げたい等の要求がある場合には、光拡散部の反射面の傾斜角度を非対称にしても良い。
また、上記実施形態では、液晶表示装置の製造方法として、完成した視野角拡大部材を、基材を視認側に向け、第2偏光板を液晶パネルに対向させた状態で、光学接着剤等を用いて液晶パネルに貼付する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、偏光板付きの液晶パネルに光拡散部材を後から貼付してもよい。この場合、光拡散部材の拡散性が相対的に強い方位角方向Vsと、第2偏光板の透過軸P2と、を概ね直交させるようにする。
その他、液晶表示装置の各構成部材の材料、数、配置等に関する具体的な構成は上記実施形態に限ることなく、適宜変更が可能である。例えば上記実施形態では、液晶パネルの外側に偏光板を配置する例を示したが、この構成に代えて、液晶パネルを構成する一対の基板の内側に偏光層を形成しても良い。