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JP6174361B2 - タンパク質固定化担体の製造方法 - Google Patents

タンパク質固定化担体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、タンパク質固定化担体の製造方法に関する。詳細には、特定の物質に対して特異的に結合する機能を有する機能タンパク質が担体に固定化されてなるタンパク質固定化担体の製造方法に関する。
タンパク質の機能を生体外において安定的に利用する方法として、固定化法がある。固定化法は、利用するタンパク質を反応系内に固定して保持する技術であり、タンパク質を化学結合を介して不溶性担体に結合させる担体結合法、タンパク質を格子状或いは膜状の高分子構造に包摂する包括法、タンパク質を連結して不溶性巨大分子を形成する架橋法等がある。特に、担体結合法は、固定化されるタンパク質を安定化し、且つ担体の連続使用を容易にする利点を備えている。そこで、抗体や酵素といった特定の物質に対して特異的に結合する機能を有する機能タンパク質が、担体結合法によって固定化され、、アフィニティークロマトグラフィーの固定相、バイオセンサーの検出子等として応用されている。
アフィニティークロマトグラフィーの固定相の一例として、特開2012−001462号公報(特許文献1)には、抗体結合能を有するタンパク質が、当該タンパク質のアミノ基またはチオール基を介して固定化された無機モノリスに関する技術が開示されている。
特開2012−001462号公報
特許文献1には、タンパク質のアミノ基またはチオール基を介して抗体結合性タンパク質を無機モノリスに固定化する方法として、無機モノリスにエポキシ基を導入し、エポキシ基に対し、タンパク質のアミノ基またはチオール基を付加反応させる方法、無機モノリスに脱離基を導入し、タンパク質のアミノ基またはチオール基による求核置換反応を行う方法、無機モノリスにアルデヒド(ホルミル基)を導入し、タンパク質のアミノ基を利用して還元的アミノ化反応(イミンを形成後還元しアミンとする)を行う方法、無機モノリスに、チオール基を導入し、タンパク質のチオール基とジスルフィド結合を形成する方法、が挙げられている(第6頁第44行〜第7頁第7行;明細書の段落[0036]参照)。
しかしながら、このような方法では、固定化される多数のタンパク質は、それぞれ異なる官能基を介して担体に結合することがあり、必ずしも、それぞれが所定の方向に一律に配向した状態とはならない。特に、特定の物質と特異的に結合する機能を有する機能タンパク質が担体に固定化される場合には、物質との結合部位が担体の表面側に提示されていない状態で、機能タンパク質が固定化されてしまうことがある。このような機能タンパク質の物質に結合する能力は損なわれているため、適切に配向していない機能タンパク質の発生に伴い、タンパク質固定化担体が物質と結合する効率は、担体の容量あたりでみると低下してしまうという問題がある。
したがって、本発明の課題は、担体に固定化された機能タンパク質と、この機能タンパク質が特異的に結合する物質との結合の効率が改善されたタンパク質固定化担体を提供することにある。
前記課題を解決するために本発明に係るタンパク質固定化担体の製造方法は、N末端のアミノ酸残基が、チオール基を含む脱離性の修飾基が結合したアミノ酸又はシステインを有してなり、且つ特定の物質に対して特異的に結合する機能を有する機能タンパク質、並びに、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、トレオニン、ヒスチジン及びシステインからなる群から選ばれる1種又は複数種のアミノ酸が連結してなり、且つC末端のカルボキシル基がチオエステル化されたペプチドリンカーを調製する工程と、表面に複数のカルボキシル基又はアミノ基を有する担体に調製された前記ペプチドリンカーのN末端を共有結合させて固定する工程と、N末端が前記担体に固定された前記ペプチドリンカーのC末端に前記機能タンパク質のN末端をアミド結合させて連結する工程と、を含み、前記機能タンパク質は、抗体に特異的に結合する抗体結合タンパク質であり、前記ペプチドリンカーは、3個以上200個以下のアミノ酸残基が連結した長さを有し、前記固定する工程における共有結合は、前記担体が表面に前記カルボキシル基を有するとき、カルボジイミド化合物によって、前記担体が表面に前記アミノ基を有するとき、グルタルアルデヒドによって、それぞれ形成され、前記連結する工程におけるアミド結合は、ネイティブケミカルライゲーション法によって形成されることを特徴とする。
本発明によれば、担体に固定化された機能タンパク質と、この機能タンパク質が特異的に結合する特定の物質との結合の効率が改善されたタンパク質固定化担体を提供することができる。
本実施形態に係るタンパク質固定化担体の構造の一例を示す模式図である。 比較例のタンパク質固定化担体における機能タンパク質と担体との結合状態を示す模式図である。 本実施形態に係るタンパク質固定化担体の製造方法の一例を示す図である。 ペプチドリンカーを担体に固定する工程の一例を示す図である。 機能タンパク質をペプチドリンカーに連結する工程の一例を示す図である。 機能タンパク質をペプチドリンカーに連結する工程の他の例を示す図である。 機能タンパク質が有するチオール基を脱硫する工程を示す図である。 本実施形態に係るタンパク質固定化担体を分離精製材料として利用した分離精製装置の一例を示す図である。 実施例に係るタンパク質固定化担体の目的物質に対する結合の効率を示す図である。
以下に本発明の実施形態に係るタンパク質固定化担体とその製造方法について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るタンパク質固定化担体の構造の一例を示す模式図である。
本発明の一実施形態であるタンパク質固定化担体1は、図1に示されるように、特定の物質に対して特異的に結合する機能を有する機能タンパク質50が、ペプチドリンカー40を介して担体30に固定化されてなる。
タンパク質固定化担体1は、特定の物質に対して特異的に結合する機能を有する機能タンパク質50を担体30に固定化することにより、その物質を目的物質60として認識して結合するというこのタンパク質が備える機能を、生体外において安定的且つ持続的に利用可能にするタンパク質−担体複合体である。
本実施形態に係るタンパク質固定化担体1において、機能タンパク質50とペプチドリンカー40とは、略直鎖状の分枝である単位構造を担体30上に形成する。このような単位構造は、タンパク質固定化担体1の表面上に多数繰り返し備えられる。機能タンパク質50は、タンパク質固定化担体1の最表面側に位置し、タンパク質固定化担体1に接触する目的物質60と容易に相互作用することができるように担体30に担持される。
このようなタンパク質固定化担体1は、具体的には、機能タンパク質50として、所望のタンパク質が固定化されることによって、そのタンパク質が特異的に結合する特定の物質を混合物から分離するための分離精製材料として用いられ得る。また、機能タンパク質50として、所望の酵素が固定化されることによって、酵素固定化担体として用いられ得る。
図2は、比較例のタンパク質固定化担体2における機能タンパク質と担体との結合状態を示す模式図である。
図2においては、機能タンパク質50の例として、複数の抗体(免疫グロブリン)が、担体30に固定化されている。抗体は、Y字状に示される分岐の先端側に結合部位を有し、この部位に目的物質60である抗原を特異的に結合するタンパク質である。
比較例のタンパク質固定化担体2に固定化される機能タンパク質50は、担体30に結合し得る官能基を分子中に複数有している場合がある。そのため、固定化される各機能タンパク質50は、分子中に有する任意の官能基を介して担体30と結合し、図2に示されるように、複数の機能タンパク質50のそれぞれが、所定の方向に一律に配向することなく担体30に担持されてしまう。そして、任意の方向に配向して固定化された機能タンパク質50の一部については、機能タンパク質50の結合部位が担体30の表面に露出することなく、内側に埋没し、目的物質60と結合できない状態となる。
したがって、機能タンパク質50の配向が管理されていない比較例のタンパク質固定化担体2では、適切に配向していない機能タンパク質50が担持される割合に応じて、担体表面積あたり、機能タンパク質50と目的物質60とが相互作用する実効作用面積は減少し、タンパク質固定化担体2が目的物質60と結合する効率は、担体の容量あたりでみると減殺された状態となっている。
そこで、本実施形態に係るタンパク質固定化担体1においては、図1に示されるように、担体30にペプチドリンカー40がN末端で共有結合し、ペプチドリンカー40のC末端に機能タンパク質50のN末端がアミド結合して形成される単位構造によって、機能タンパク質50が、担体30に対して所定の方向に一律に配向して担持される構成とした。
タンパク質固定化担体1では、図1に示されるように、担体30に担持されたそれぞれのペプチドリンカー40は、同一の位置にある官能基、すなわちペプチドリンカー40のN末端の主鎖のアミノ基を介して担体30と共有結合している。また、それぞれの機能タンパク質50は、同一の位置にある官能基、すなわち機能タンパク質50のN末端の主鎖のアミノ基を介してペプチドリンカー40のC末端の主鎖のカルボキシル基とアミド結合している。
そのため、担体30上に形成される各単位構造は、同様の分子構造からなる略直鎖状の分枝をそれぞれ形成し、各分枝の先端に担持される複数の機能タンパク質50は、それぞれN末端側からC末端側に向けて、所定の方向に一律に配向した状態となる。
なお、図1においては、ペプチドリンカー40と担体30とが形成する共有結合は、アミド結合となっている。
また、機能タンパク質50とペプチドリンカー40との結合に関与する機能タンパク質50のN末端のアミノ酸残基は、システイン残基となっている。このシステイン残基は、製造方法に応じて、グリシン残基又はアラニン残基となり得る。
次に、本実施形態に係るタンパク質固定化担体1の構成について説明する。
本実施形態に係る担体30は、機能タンパク質50をペプチドリンカー40を介して担持する固相担体である。担体30は、表面に複数の官能基を有し、これらの官能基を介して、ペプチドリンカー40のN末端の主鎖のアミノ基と共有結合を形成する。
担体30が有する官能基としては、カルボキシル基又はアミノ基が挙げられるが、共有結合を形成する反応がより一般的であるカルボキシル基が特に好ましい。
担体30の材質としては、製造するタンパク質固定化担体1の用途に応じて、不溶性の高分子を形成する有機高分子又は無機高分子を用いることができる。
有機高分子の材質としては、例えば、アガロース、セルロース、へパリン等の多糖、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレンやポリヒドロキシスチレン等のポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素樹脂、ポリアクリルアミド、ポロエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン、アラミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート等の適宜の材質とすることができる。また、これらの有機高分子は、構成する単量体が他の修飾をなされていてもよく、他の分子との共重合体やグラフト重合体であってもよい。
無機高分子の材質としては、ソーダガラスや石英やシリカゲル等の無機ケイ酸、ポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサン、金やチタン等の金属、グラフェン等の無機炭素、その他セラミックス等の適宜の材質とすることができる。
これらの高分子を材質とする担体30は、ペプチドリンカー40のN末端のアミノ基と共有結合を形成し得る官能基が、担体30の表面に導入されるように調製される。例えば、所定の官能基を有する単量体を重合することによって、有機高分子の担体30を調製することができる。この場合、官能基は、高分子構造中において、主鎖の末端及び側鎖の少なくとも一方に有していればよい。
また、高分子を化学処理することによって、担体30の表面に官能基を導入することができる。例えば、官能基としてカルボキシル基を導入する方法としては、水酸基を有する担体30に高濃度アルカリ存在下、ハロゲン化酢酸塩類を反応させる方法(例えば、特開平1−262468号公報参照)、アミノ基を有する担体30にジカルボン酸無水物を反応させる方法(例えば、米国特許第4560704号明細書参照)、エポキシ基を有する担体30にアミノカプロン酸等のカルボキシル基を有するアミノ化合物を反応させる方法やアリル基を有する担体30を過マンガン酸塩類で酸化させる方法(例えば、米国特許第4029583号明細書参照)等、適宜の方法を用いることができる。若しくは、分子中に官能基を複数種有するシランカップリング剤等の化学処理剤を用いることによって、有機高分子又は無機高分子に官能基を導入することができる。この場合、化学処理剤の官能基の一方をペプチドリンカー40のN末端のアミノ基と共有結合を形成し得る所望の官能基とし、他方を担体30と反応し得る官能基とすればよい。
また、無機高分子の表面に有機高分子の単分子膜を形成することによって、無機高分子を材質とする担体30の表面に官能基を導入することができる。この場合、ペプチドリンカー40のN末端のアミノ基と共有結合を形成し得る所望の官能基は、単分子膜を形成する分子の吸着部位の反対側に配置されるように導入すればよい。
担体30の形状としては、板状、シート状、ビーズ状、膜状、繊維状等のタンパク質固定化担体1の用途に応じた適宜の形状とすることができる。
本実施形態に係るペプチドリンカー40は、機能タンパク質50と担体30の間を連結するリンカーであり、側鎖にアミノ基又はカルボキシル基を有さない所定のアミノ酸が、アミド結合を介して複数個連結してなるペプチドである。
ペプチドリンカー40は、N末端の主鎖のアミノ基を唯一のアミノ基、C末端の主鎖のカルボキシル基を唯一のカルボキシル基としてそれぞれ有する略直鎖状の構造からなる。このN末端の主鎖のアミノ基のみが担体と、C末端の主鎖のカルボキシル基のみが機能タンパク質50のN末端の主鎖のアミノ基と共有結合することによって、複数の機能タンパク質50が所定の方向に一律に配向して担体30に固定化される。
ペプチドリンカー40を構成するアミノ酸としては、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、トレオニン、ヒスチジン及びシステインからなる群から選ばれる1種又は複数種のアミノ酸が挙げられる。ペプチドリンカー40は、これら側鎖にアミノ基又はカルボキシル基を有さないアミノ酸で構成されるため、ペプチドリンカー分子には、アミノ基はN末端に唯一つ備えられ、カルボキシル基はC末端に唯一つ備えられることになる。
ペプチドリンカー40を構成するアミノ酸は、D体のアミノ酸及びL体のアミノ酸のいずれでもよく、ペプチドリンカー40は、D体のアミノ酸及びL体のアミノ酸のいずれかのみが連結したポリアミノ酸、或いはD体のアミノ酸及びL体のアミノ酸が組み合わされて連結したポリアミノ酸のいずれであってもよい。
ペプチドリンカー40のアミノ酸配列は、任意の配列とすることができ、1種のアミノ酸により構成されるホモポリマー及び複数種のアミノ酸の組み合わせにより構成されるヘテロポリマーのいずれでもよい。また、ペプチドリンカー40が形成する立体構造は、担体30と機能タンパク質40とに結合した状態で安定して形成される構造であれば、直線状、シート状、球状等の任意の形状であってよく、α−へリックス、β−シートやこれらの組み合わせにより形成されるモチーフで構成される構造に限られるものではない。ペプチドリンカー40のC末端のアミノ酸は、機能タンパク質50に連結する効率に影響することから、前記したアミノ酸のうち、バリン、イソロイシン、トレオニン以外のアミノ酸であることが好ましい。
ペプチドリンカー40の長さは、3個以上200個以下のアミノ酸残基が連結した長さとすることが好ましく、6Å(0.6nm)以上の長さとすることが好ましい。より好ましくは3個以上100個以下のアミノ酸残基、さらに好ましくは3個以上50個以下のアミノ酸残基が連結した長さとする。ペプチドリンカー40のアミノ酸配列の長さが、3個のアミノ酸残基が連結した長さ未満であると、機能タンパク質50を担体30に結合する効率が低下する傾向がある。一方で、ペプチドリンカー40のアミノ酸配列の長さが、200個のアミノ酸残基が連結した長さを超えると、溶液中におけるペプチドリンカー40の立体構造が不安定になり、一定の構造に保持されないため、機能タンパク質50を所定の方向に配向させることができない虞がある。
本実施形態に係る機能タンパク質50は、特定の物質に対して特異的に結合する機能を有するタンパク質である。
「特異的に結合する」とは、ある物質に対する結合親和性が認められる一方で、他の物質に対する結合親和性が顕著に低いために、実質的にその特定の物質にのみ選択的に結合をすることをいう。結合には、可逆的に形成される結合、不可逆的に形成される結合のいずれも含まれ、共有結合の他、水素結合、疎水結合、ファンデルワールス力、イオン結合等の分子間に働く相互作用の形成が含まれる。
特異的に結合する特定の物質は、単一の物質である場合に限られず、類似した性質を有する物質群である場合や、複数の非類似の物質である場合が含まれる。
機能タンパク質50は、特定の物質に対して特異的に結合する機能を有する限り、天然のタンパク質であっても、人工のタンパク質であってもよい。このような機能は、機能タンパク質50が、生体において果たす本来の役割のために備えている場合に限られず、一性質として備えていればよい。
機能タンパク質50の例としては、例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の細胞壁由来のプロテインAやストレプトコッカス(Streptococcus)属微生物の細胞壁由来のプロテインGやぺプトストレプトコッカス・マグヌス(Peptostreptococcus magnus)由来のプロテインL等の抗体結合タンパク質、レクチンやヘパリン結合タンパク質やキチン結合タンパク質等の糖結合タンパク質、脂肪酸結合タンパク質やリン脂質結合タンパク質等の脂質結合タンパク質、DNA結合タンパク質やRNA結合タンパク質等の核酸結合タンパク質、金属結合タンパク質や無機イオン結合タンパク質等の無機物結合タンパク質、タンパク結合タンパク質、糖タンパク結合タンパク質、リポタンパク結合タンパク質、アミノ酸結合タンパク質、ビタミン結合タンパク質、抗原、アビジン、ストレプトアビジン、その他の酵素や受容体タンパク質等が挙げられる。
本実施形態に係る機能タンパク質50は、N末端の主鎖のアミノ基を介してペプチドリンカー40のC末端の主鎖のカルボキシル基とアミド結合している。機能タンパク質50は、ペプチドリンカー40に連結された状態においては、N末端のアミノ酸残基がシステイン、グリシン又はアラニンからなる。このように、機能タンパク質50のN末端のアミノ酸が、所定のアミノ酸に限られる理由は、後記するタンパク質固定化担体1の製造方法において、機能タンパク質50とペプチドリンカー40とを連結するのに許容されるN末端のアミノ酸が限られているためである。
この機能タンパク質50が、ペプチドリンカー40を介して担体30に結合されてなる本実施形態に係るタンパク質固定化担体1では、一分子のペプチドリンカー40のC末端に、一分子の機能タンパク質50のN末端が結合してなる鎖状のペプチドが、一律に、担体30が備えるカルボキシル基又はアミノ基の、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上に結合した構造を有している。また、担持される多数のこのような鎖状のペプチドは、一律に、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上が、それぞれ同一の部位に有する官能基を介して互いに結合した構造を有している。
このような構造を有する本実施形態に係るタンパク質固定化担体1では、担体30に固定化される複数の機能タンパク質50は、所定の方向に一律に配向した状態となる。そのため、機能タンパク質50の結合部位が、担体30の内側に埋没することが無く、担体30の表面側に適切に提示される。したがって、タンパク質固定化担体1において目的物質60と相互作用し得る状態で担持された機能タンパク質50の割合は向上し、タンパク質固定化担体1が目的物質60と特異的に結合する効率が、不適切な配向で機能タンパク質50が固定化された担体の場合と比較して改善される。
また、このような構造を有するタンパク質固定化担体1において、各機能タンパク質50は、担体30上に規則的に配列して固定化されるため、立体障害を生じることが少なく、隣接して担持される他の機能タンパク質50との干渉が減少する。さらに、機能タンパク質50は、N末端側で担体30に固定化されることによって、天然のタンパク質のように適切に折り畳まれた立体構造を採ることができる。
そして、このような本実施形態に係るタンパク質固定化担体1によれば、機能タンパク質50として所望のタンパク質を担持させることによって、そのタンパク質が特異的に結合する物質との結合効率が向上し、結合容量が改善された分離精製材料を提供することができる。また、機能タンパク質50として所望の酵素を担持させることによって、その酵素が基質と相互作用する効率が向上し、酵素反応効率が改善された酵素固定化担体を提供することができる。
次に、本発明の一実施形態であるタンパク質固定化担体の製造方法について説明する。
図3は、本実施形態に係るタンパク質固定化担体の製造方法の一例を示す図である。
本実施形態に係るタンパク質固定化担体の製造方法は、主に、N末端のアミノ酸残基が、チオール基を含む脱離性の修飾基が結合したアミノ酸又はシステインを有してなり、且つ特定の物質に対して特異的に結合する機能を有する機能タンパク質を調製する工程と、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、トレオニン、ヒスチジン及びシステインからなる群から選ばれる1種又は複数種のアミノ酸が連結してなり、且つC末端のカルボキシル基がチオエステル化されたペプチドリンカーを調製する工程(以下、これら機能タンパク質及びペプチドリンカーを調製する工程を併せて調製工程ということがある。)と、表面に複数のカルボキシル基を有する担体と調製されたペプチドリンカーのN末端とを結合させて固定する工程(以下、固定工程ということがある。)と、調製されたペプチドリンカーのC末端と機能タンパク質のN末端とをアミド結合させて連結する工程(以下、連結工程ということがある。)と、を含んでなる。
図3においては、担体30にペプチドリンカー40を固定化した後、担体30に固定化されたペプチドリンカー40に機能タンパク質50を連結する方法が示されているが、このタンパク質固定化担体の製造方法において、固定工程及び連結工程のそれぞれは、実施する順序の先後が制限されるものではない。すなわち、図3の手順に代えて、ペプチドリンカー40に機能タンパク質50を連結した後、機能タンパク質50に連結されたペプチドリンカー40を担体30に固定化する方法を採用することもできる。但し、機能タンパク質50が、N末端又はC末端を除くアミノ酸配列の中間部に、担体30と結合し得る官能基を有している場合は、固定工程を経た後、連結工程を実施することが好ましい。
なお、図3においては、ペプチドリンカー40と担体30とが形成する共有結合は、アミド結合となっており、機能タンパク質50とペプチドリンカー40との結合に関与する機能タンパク質50のN末端のアミノ酸残基は、システイン残基となっているが、これらに限定されるものではない。
調製工程では、所定のアミノ酸が連結してなり、且つC末端のカルボキシル基がチオエステル化されたペプチドリンカーを調製する(図3(a1))。
C末端のカルボキシル基がチオエステル化されたペプチドリンカー40は、公知の化学合成法を用いてペプチド合成した後、チオエステル化することによって調製することができるが、直接にペプチドチオエステルを得られる、インテインのスプライシングを利用した方法、又は所定の修飾がなされた固相を用いるペプチド合成法のいずれかを用いることが好ましい。
インテインのスプライシングを利用した方法は、遺伝子工学的手法を用いることによってペプチドをインテイン結合ペプチドとして発現させた後、チオール化合物により誘導されるインテインスプライシングを利用する方法(Chong, S. et al., Gene, 1997, 192, 2, 271等参照)である。ペプチドリンカー40をC末端にインテインが結合した融合ペプチドとして所定の宿主に産生させた後、チオール化合物の誘導により自己スプライシングさせると、C末端のカルボキシル基がチオエステル化された状態で遊離したペプチドリンカー40が得られる。具体的には、サッカロマイセス・セレビジエのインテインにバチルス・サーキュランスのキチン結合ドメイン(CBD)をタグとして結合したIMPACT(登録商標) Kit(New England BioLabs社製)等を用いることができる。
所定の修飾がなされた固相を用いるペプチド合成法は、所定のチオ化合物により修飾された樹脂を固相として固相ペプチド合成を行う方法である。この方法は、まず、チオエステル化されるべきC末端のアミノ酸が、所定の修飾がなされている樹脂に結合され、その後、C末端からN末端の方向へのペプチドの伸長が常法に従って行われる。所望の配列のペプチドの合成が終了した後、合成されたペプチドが樹脂から開裂されると、C末端のカルボキシル基がチオエステル化された状態で遊離したペプチドリンカー40が得られる。このような方法として、具体的には、チオエステル樹脂を固相としてBoc法による固相ペプチド合成を行う方法(Dawson, P. E. et al., Science, 1994, 266, 766等参照)、アシルスルホンアミド樹脂を固相としてFmoc法による固相ペプチド合成を行う方法(Ingenito, R. et al., J. Am. Chem. Soc., 1999, 121, 49, 11369等参照)等が用いられる。
また、C末端のカルボキシル基がチオエステル化されたペプチドリンカーを直接調製する方法に代えて、ペプチドリンカー40のチオ酸を調製し、チオ酸とハロゲン化アルキルを反応させることによりC末端のカルボキシル基がチオエステル化されたペプチドリンカー40を得ることもできる。例えば、ペプチドのチオ酸の調製方法としては、N−ヒドロキシスクシンイミドアミノ酸エステルとベンジルチオールを反応させた、ジシクロヘキシルアミン塩を固定化した樹脂を用いて固相ペプチド合成する方法(Lynne, E. C. et al., Tetrahedron lett, 1995, 36, 8, 1217等参照)がある。合成されたペプチドをフッ化水素で担体から切り離すとペプチドリンカー40のチオ酸が得られ、このチオ酸にベンジルブロマイド等を反応させると、ペプチドチオエステルを得ることができる。
調製するチオエステル化されたペプチドリンカー40としては、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、2,4,6−トリメトキシベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基、tert−ブチル基、tert−ブチルスルファニル基、9−フルオレニルメチル基等を置換基としてチオエステル化されたペプチドリンカーが挙げられるが、ベンジルチオエステルとすることが好ましい。
調製工程では、さらに、特定の物質に対して特異的に結合する機能を有する機能タンパク質50であって、N末端のアミノ酸残基が、チオール基を含む脱離性の修飾基が結合したアミノ酸からなる機能タンパク質50、又は、N末端のアミノ酸残基が、システインからなる機能タンパク質50を調製する(図3(a2))。機能タンパク質50としては、製造するタンパク質固定化基材1の用途に応じて、所望の機能タンパク質50が選択され、その機能タンパク質50のN末端のアミノ酸がシステインであるか否かに応じて異なる調製方法が用いられる。
天然のアミノ酸配列においてN末端のアミノ酸がシステインである機能タンパク質50は、N末端のアミノ酸を改変すること無く、天然のアミノ酸配列と同一の配列を有するタンパク質を化学合成法又は生化学的合成法を用いて合成することによって調製することができる。
化学合成法としては、保護されたアミノ酸を固相上のアミノ酸と反応させてポリアミノ酸鎖を化学合成により伸長する固相ペプチド合成法等の公知の方法を用いることができる。
また、生化学的合成法としては、タンパク質合成酵素の作用を利用して遺伝子を翻訳させる方法を用いることができる。例えば、機能タンパク質50の遺伝子を所定の宿主細胞に導入して発現させ、宿主細胞に機能タンパク質50を産生させた後、宿主細胞から分離、精製することによって機能タンパク質50を取得する。
機能タンパク質50が天然に存在するタンパク質である場合には、天然に存在するタンパク質を起源生物から分離、精製することによって調製することができる。この場合は、その機能タンパク質50を産生する起源生物から、常法に従い、分離及び精製することによって機能タンパク質50を取得することができる。また、公知の化学合成法を用いて天然のアミノ酸配列と同一の配列を有するタンパク質を合成することによって機能タンパク質50を取得することができる。
一方で、天然のアミノ酸配列においてN末端のアミノ酸がシステインではない機能タンパク質50は、N末端のアミノ酸がシステインとなるように改変することによって調製することができる。
N末端のアミノ酸をシステインに改変する方法としては、機能タンパク質50のN末端のアミノ酸をシステインに置換する方法、アミノ酸配列中に最初に現れるシステインよりN末端側に存在するアミノ酸を欠失させる方法、又はアミノ酸配列のN末端にシステインを付加する方法、若しくはN末端がシステインであるポリアミノ酸を付加する方法等を、機能タンパク質50の機能が損なわれない限りにおいて用いることができる。
このようなアミノ酸の改変には、適宜の方法を用いることができるが、例えば、遺伝子工学的手法を用いて、機能タンパク質50をコードするDNAに部位特異的変異を導入する方法を用いることができる。部位特異的変異導入法としては、Kunkel法(PNAS, 1985, 82, 488)やインバースPCR法、その他「Molecular Cloning (4th Edition)」(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2012 Chapter 14)に記載される方法等を用いることができる。
部位特異的変異が導入された機能タンパク質50をコードするDNAは、所定の宿主細胞に導入して発現させ、宿主細胞に機能タンパク質を産生させた後、分離、精製することによって、N末端のアミノ酸がシステインに改変された機能タンパク質50を取得する。
また、天然のアミノ酸配列においてN末端のアミノ酸がシステインではない機能タンパク質は、N末端のアミノ酸残基が、チオール基を含む脱離性の修飾基が結合したアミノ酸となるように化学合成法を用いて調製することができる。
このような方法としては、チオール基を含む脱離性の修飾基として、N−(2−メルカプトエトキシ)基を機能タンパク質のN末端に導入する方法(Canne, L. et al., J. Am. Chem. Soc., 1996, 118, 5891)を用いることができる。チオール基を含む脱離性の修飾基が導入される機能タンパク質のN末端のアミノ酸は、グリシンとすることができる。
図4は、ペプチドリンカーを担体に固定する工程の一例を示す図である。
固定工程では、担体が有するカルボキシル基又はアミノ基とペプチドリンカーのN末端のアミノ基との間で共有結合を形成する。
製造されるタンパク質固定化担体1において機能タンパク質50を所定の方向に配向させるためには、担体やペプチドリンカーの変性や熱分解を避けるために、穏和な条件の下で共有結合を形成することが好ましい。そこで、担体30が有するカルボキシル基とペプチドリンカー40との間で共有結合を形成する方法としては、ホスホニウム化合物、ウロニウム化合物、イモニウム化合物、カルボキシイミド化合物等の縮合剤による縮合反応を用い、担体30が有するアミノ基とペプチドリンカー40との間で共有結合を形成する方法としては、グルタルアルデヒドによる架橋反応を用いる。
ホスホニウム化合物としては、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)、ブロモ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBroP)、(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−オキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(AOP)、(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyAOP)等が挙げられる。
ウロニウム化合物としては、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBPyU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−オキシビス(ピロリジノ)ウロニウムヘキサフルオロホスファート(HAPyU)等が挙げられる。
イモニウム化合物としては、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−N,N−ジメチルメタンイミニウムヘキサクロロアンチモネート(BDMP)、1−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−フェニルメチレンピロリジニウムヘキサクロロアンチモネート(BPMP)等が挙げられる。
カルボジイミド化合物としては、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、フェニルエチルカルボジイミド(PEC)、フェニルイソプロピルカルボジイミド(PIC)、N−tert−ブチル−N’−メチルカルボジイミド(BMC)、N−tert−ブチル−N’−エチルカルボジイミド(BEC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)、N,N’−ジ−tert−ブチルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トリルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−(2−モルフォリノエチル)カルボジイミド、等が挙げられる。
これら縮合剤のうち、最も頻用されているカルボジイミド化合物を用いた縮合反応においては、副生成物として尿素化合物が生成するため、反応後に得られる縮合反応生成物からこのような副生成物を分離除去する必要が生じる。そこで、図4に示されるように、縮合剤として水溶性カルボジイミド化合物(Water Soluble Carbodiimide;WSC)を用いることによって、副生成物を可溶性の化合物として生成させることができる。この可溶性の副生成物は、洗浄により容易に分離除去することが可能である。
水溶性カルボジイミド化合物を用いてペプチドリンカー40を担体30に固定する縮合反応は、次のように行う。
まず、カルボキシル基を有する担体30に、水溶性カルボジイミド化合物70を添加する(図4(a))。
すると、水溶性カルボジイミド化合物70は、担体30のカルボキシル基に付加して、O−アシル化カルバミド誘導体を生成し、担体30が活性化される(図4(b))。このとき、一部の水溶性カルボジイミド化合物70は、副生成物としてN−アシル化カルバミド誘導体を生成し、残部は、未反応の状態で残存する。そこで、この担体30を洗浄することによって、副生成物と未反応の水溶性カルボジイミド化合物70を除去しておく。
次に、活性化された担体30にペプチドリンカー40を添加する(図4(c))。活性化された担体30上のO−アシル化カルバミド誘導体は、担体30上のカルボキシル基同士で求電子性の酸無水物を形成し、この酸無水物にペプチドリンカー40が備える求核性のN末端のアミノ基が付加することにより、担体30にペプチドリンカー40が固定される(図4(d))。
ペプチドリンカー40が固定化された担体30は、洗浄することによって未反応のペプチドリンカー40を除去し、以降の工程に供する。
このような縮合反応は、例えば4℃〜40℃、pH4.0〜7.0の範囲で行うことができる。好ましい温度範囲は、15℃〜40℃である。常温付近の温度の下で反応を行うことにより、反応時間を短縮し、且つ担体30やペプチドリンカー40の変性や熱分解を避けることができる。また、好ましいpHの範囲は、pH6.0〜7.0である。中性付近のpHで反応を行うことにより、担体30やペプチドリンカー40の変性を避けることができる。
縮合反応の反応溶媒は、水相とすることができるが、好ましいpHの範囲を維持する非有機酸系の緩衝液、例えばリン酸緩衝液を用いることが好ましい。
この縮合反応には、副生成物の生成やラセミ化を抑制するために、添加剤を加えることができる。添加剤としては、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)等が挙げられる。
図5は、機能タンパク質をペプチドリンカーに連結する工程の一例を示す図である。
連結工程では、ペプチドリンカーのC末端と機能タンパク質のN末端のアミノ基との間でアミド結合を形成する。
連結工程において、機能タンパク質50とペプチドリンカー40との間でアミド結合を形成する方法としては、ネイティブケミカルライゲーション法(Science, 1994, 266, 776参照)が用いられる。
連結工程の一例では、N末端のアミノ酸残基がシステインである機能タンパク質50が、チオエステル化されたカルボキシル基を有する、ペプチドリンカー40のC末端に、機能タンパク質50のN末端を介して化学選択的に連結される。
ネイティブケミカルライゲーション法を用いて機能タンパク質50をペプチドリンカー40に結合させる連結反応は、次のように進行する。
まず、チオエステル化されたカルボキシル基を有するペプチドリンカー40と、N末端のアミノ酸がシステインである機能タンパク質50とを混合する(図5(a))。
すると、ペプチドリンカー40と機能タンパク質50とは、チオエステル交換反応することにより、ペプチドリンカー40と機能タンパク質50とがチオエステル結合を介して連結した反応中間体を生じる(図5(b))。
この反応中間体の分子内において、アシル基が速やかに自然転位(S→N転位)することによって、ペプチドリンカー40と機能タンパク質50とが、アミド結合を介して連結される(図5(c))。
このように、ペプチドリンカー40とN末端のアミノ酸がシステインである機能タンパク質50とをネイティブケミカルライゲーション法を用いて連結することによって、ペプチドリンカー40と機能タンパク質50との間に形成されるアミド結合を、天然ペプチドにおけるXaa−Cys間のアミド結合と同様の構造とすることができ、機能タンパク質50のN末端に相当するアミノ酸残基に非天然の修飾基等が導入されることを避けることができる。
図6は、機能タンパク質をペプチドリンカーに連結する工程の他の例を示す図である。
連結工程の他の例では、N末端のアミノ酸残基が、チオール基を含む脱離性の修飾基が結合したアミノ酸である機能タンパク質50が、チオエステル化されたカルボキシル基を有する、ペプチドリンカー40のC末端に、機能タンパク質50のN末端を介して化学選択的に連結される。図6においては、機能タンパク質50のN末端のアミノ酸には、チオール基を含む脱離性の修飾基として、N−(2−メルカプトエトキシ)基が結合している。
この例における連結反応は、N末端のアミノ酸がシステインである機能タンパク質50を連結する反応と同様に進行する(図6(a),(b))。
エステル交換反応の後、アシル基が自然転位して生じる生成物は、N−(2−メルカプトエトキシ)基を有する修飾アミノ酸を介して連結された構造となる(図6(c))。
これらの連結反応は、例えば4℃〜40℃の範囲の水相で行うことができる。
連結反応におけるpHは、通常pH6.0〜8.0、好ましくはpH7.0〜7.5とする。pHが6.0を下回ると反応速度が大きく低下する虞がある。一方で、pHが8.0を超えるとペプチドやタンパク質がアルカリ変性する虞がある。
連結反応には、チオエステル交換反応を促進するチオール化合物を触媒として用いることができる。用いるチオール化合物としては、チオフェノール、ベンジルメルカプタン、4−メルカプトフェニル酢酸、2−メルカプトエタンスルホナート等が挙げられる。
連結反応の反応溶媒は、意図しないジスルフィド結合が形成されたり、意図しないアシル化化合物が副生成されることを避けるために、還元雰囲気とすることが好ましい。そのため、これらチオール化合物を還元剤として反応溶媒に添加することができ、さらに、これらチオール化合物にトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン等を併用することもできる。
また、連結反応の反応溶媒は、反応させるペプチド又はタンパク質が可溶化する程度の変性条件とすることが好ましい。例えば、6〜7M程度となるグアニジンを反応溶媒に添加することにより、ペプチド又はタンパク質の凝集を避けることができる。
以上の工程からなる、実施形態に係るタンパク質固定化担体1の製造方法によれば、担体30に担持されたそれぞれのペプチドリンカー40は、N末端の主鎖のアミノ基を介してのみ担体30と共有結合し、それぞれの機能タンパク質50は、N末端の主鎖のアミノ基を介してペプチドリンカー40のC末端の主鎖のカルボキシル基とのみアミド結合した構造を有する実施形態に係るタンパク質固定化担体1を製造することができる。
そして、このような構造を有するタンパク質固定化担体1に担持される複数の機能タンパク質50は、それぞれ所定の方向に一律に配向した状態となる。
したがって、担体30に固定化された機能タンパク質50と、この機能タンパク質50が特異的に結合する物質との結合の効率が改善されたタンパク質固定化担体1を製造することができる。
また、固定工程において、担体30とペプチドリンカー40との共有結合を、カルボジイミド化合物によって形成することで、担体30やペプチドリンカー40が、共有結合を形成する反応において変性するのを避けることができる。
また、連結工程において、ネイティブケミカルライゲーション法を用いることで、機能タンパク質50が分子中に他の官能基を有している場合であっても、機能タンパク質50が有するアミノ基やカルボキシル基の保護や脱保護を行うことなく、ペプチドリンカー40と機能タンパク質50とを、ペプチドリンカー40のC末端と機能タンパク質50のN末端のみを介して化学選択的に連結することができる。さらに、アミノ酸のラセミ化を抑制できるため、担体30に固定化される複数の機能タンパク質50のそれぞれについて配向及び立体構造を揃えることができる。
そして、製造されるタンパク質固定化担体1において、物質と結合する効率が低下するのを防ぐことができる。
図7は、機能タンパク質が有するチオール基を脱硫する工程を示す図である。
前記した工程においては、機能タンパク質50は、ネイティブケミカルライゲーション法を用いてペプチドリンカー40と連結するために、N末端のアミノ酸残基が、システイン又はチオール基を含む脱離性の修飾基が結合したアミノ酸となるように調製されている。そこで、連結工程を経た後に、機能タンパク質50のN末端のアミノ酸残基が有するチオール基を脱硫する脱硫工程に供することができる。
N末端のアミノ酸残基がシステインである場合は、システインを還元的に脱硫することによって、アラニンに変換することができる(図7(a))。このような脱硫は、脱硫触媒を用いた水素化脱硫反応により行うことができる。脱硫触媒としては、例えば、コバルト、モリブデン、ニッケル、タングステン、パラジウム、白金、オスミウム、ルテニウム、クロム等の金属やこれらの酸化物等をアルミナやゼオライト等の多孔質担体に担持させた触媒が挙げられる。機能タンパク質50が、分子中に他のチオール基を有している場合は、そのような基を予め保護することにより、N末端のシステインを選択的に脱硫してもよい。
一方で、N末端のアミノ酸残基がチオール基を含む脱離性の修飾基を有するアミノ酸残基である場合は、チオール基を含む脱離性の修飾基を開裂させることによって、非修飾のアミノ酸に変換することができる(図7(b))。このような開裂は、連結された機能タンパク質50を、亜鉛粉末を含む酸性溶媒中で反応させることにより行うことができる。
以上の脱硫工程を含むタンパク質固定化担体1の製造方法によれば、機能タンパク質50のN末端のアミノ酸が、天然のアミノ酸配列においてシステインではない場合であっても、製造されるタンパク質固定化担体1における機能タンパク質50のアミノ酸配列を、天然のアミノ酸配列と同様の配列とすることができる。
図8は、本実施形態に係るタンパク質固定化担体を分離精製材料として利用した分離精製装置の一例を示す図である。
本実施形態に係るタンパク質固定化担体1は、固定化された機能タンパク質50が認識する特定の物質を、その物質を含む混合物中から分離乃至精製するための分離精製材料として用いることができる。
この分離精製装置3は、動物細胞を用いて抗体を生産する抗体医薬製造装置における精製手段の一部を構成するように配置される。分離精製装置3には、図8に示すように、分離精製される抗体を含む精製原液が供給され、抗体はタンパク質固定化担体1が分離精製材料として充填されたアフィニティーカラム12において精製されると、精製された抗体は、精製後液として他の工程に供される。
このような分離精製装置3の前段には、図示しない、特定の抗体を産生する動物細胞を培養するための培養槽が設けられる。培養槽には、所定の培養条件を保持できるように、温度調節手段、pH調節手段、溶存酸素濃度や溶存二酸化炭素濃度を調節する通気手段及び排気手段が備えられ、培養槽内の培養液は撹拌手段により均一化される。
このような培養槽において、特定の抗体遺伝子が導入された遺伝子組み換え動物細胞又は特定のウイルスを感染させた動物細胞が培養されると抗体が産生される。そして、産生された抗体を含む培養液は、分離槽に供給されて遠心分離によって動物細胞やウイルス等の不純物が除去され、培養液受けタンク11に供給される。
分離精製装置3は、アフィニティークロマトグラフィーにより抗体原液から抗体を分離精製するための手段である。通常、抗体医薬製造装置には、アフィニティークロマトグラフィー装置、イオン交換クロマトグラフィー装置、疎水性クロマトグラフィー装置等の異なる原理に基づく複数の分離精製装置が組み合わされて用いられる。一般に、抗体医薬製造装置に備えられる複数の分離精製装置のうち、抗体原液が最初に供される装置は、アフィニティークロマトグラフィー装置である。
この装置には、図8に示すように、アフィニティーカラム12と、溶離液タンク13と、平衡化液タンク14と、画分タンク15と、が備えられている。
アフィニティーカラム12は、上端及び下端に開口を有する筒状容器であり、容器内部には、本実施形態に係るタンパク質固定化担体1が充填される。このタンパク質固定化担体1には、抗体に特異的に結合する機能タンパク質50が固定化される。
このような機能タンパク質50としては、プロテインA、プロテインG、プロテインL等がある。
アフィニティークロマトグラフィー装置においては、抗体原液から抗体を分離精製する工程に先立って、平衡化液タンク14からの通液により、アフィニティーカラムの平衡化が行われる。平衡化液タンク14は、アフィニティーカラム12を平衡化するための中性緩衝液を貯留するタンクである。
平衡化液タンク14に貯留された中性緩衝液は、配管を介してアフィニティーカラム12に供給され、アフィニティーカラム12の上端側から通液されることによって、アフィニティーカラム12に充填されているタンパク質固定化担体1に固定化されたプロテインAを平衡化する。その後、アフィニティーカラム12内に通液され、プロテインAの平衡化を終えた中性緩衝液は、アフィニティーカラム12の下端から排出され、ドレン16を経て廃棄される。
抗体原液から抗体を分離精製する工程では、このような平衡化されたアフィニティーカラム12に、抗体原液が通液されることによって、抗体の粗精製が行われる。
培養液受けタンク11に一時貯留されていた抗体原液がアフィニティーカラム12に上端側から通液されると、抗体原液に含まれている抗体は、アフィニティーカラム12に充填されているタンパク質固定化担体と接触し、タンパク質固定化担体に固定化されたプロテインAと特異的に結合することによって他の夾雑物を含む抗体原液中から分離される。
その後、抗体が分離された抗体原液は、アフィニティーカラム12の下端から排出され、ドレン16を経て廃棄される。
続いて、平衡化液タンク14に貯留される中性緩衝液が、再び、配管を介してアフィニティーカラム12に供給され、アフィニティーカラム12の上端側から通液されることによって、非結合物質が溶出され、アフィニティーカラム12が洗浄される。アフィニティーカラム内に通液された中性緩衝液は、アフィニティーカラムの下端から排出され、ドレン16を経て廃棄される。
次に、溶離液タンク13からの通液により、抗体の溶出が行われる。溶離液タンク13は、アフィニティーカラム12に結合した抗体を溶出させるための酸性緩衝液を貯留するタンクである。
溶離液タンク13に貯留された酸性緩衝液は、配管を介してアフィニティーカラム12に供給され、アフィニティーカラム12の上端側から通液されることによって、プロテインAと特異的に結合している抗体を溶離させる。その後、溶離した抗体を含む酸性緩衝液は、アフィニティーカラム12の下端から排出され、画分タンク15に供給される。
画分タンク15は、アフィニティーカラム12から溶出した抗体を含む溶出液を一時的に貯留するタンクである。
画分タンク15において、抗体を含む溶出液は中和され、アフィニティークロマトグラフィー装置による精製工程は終了する。
このように、培養後に最初に供された精製工程で粗精製された溶出液には、動物細胞やウイルス等の不純物が残存している場合がある。そのため、中和された溶出液は、フィルタ17によるろ過に供された後、溶出液受けタンク18に貯留される。その後、図示しない他の分離精製装置による分離精製に供され、さらに精製される。精製された抗体を含む溶液は、ろ過装置において、ウイルス等の不純物や精製工程における混入物を除去された後、濃縮され、所定の医薬品助剤が添加されて製剤化される。
このような本実施形態に係るタンパク質固定化担体1を分離精製材料として利用した分離精製装置3においては、アフィニティーカラム12に充填されるタンパク質固定化担体1に固定化される機能タンパク質50は、アミノ酸配列のN末端側で担体30に固定化されることによって、機能タンパク質50のそれぞれが所定の方向を向いて配向し、機能タンパク質50の作用部位が一律に担体の表面側に提示される状態とすることができる。
そのため、担体30に担持される複数の機能タンパク質50のうち、作用部位が担体30の内側に埋没して特定の物質と相互作用する機能が低下した機能タンパク質50の割合が低下する。
したがって、アフィニティーカラム12に充填されたタンパク質固定化担体1の動的及び静的な結合容量は、改善され、分離効率及び精製効率が優れた分離精製材料及び分離精製装置が提供される。
また、本実施形態に係るタンパク質固定化担体1は、機能タンパク質50として酵素を固定化することにより、固定化酵素担体として用いることができる。
このような本実施形態のタンパク質固定化担体1を利用した固定化酵素担体においては、担体30に固定化される酵素は、アミノ酸配列のN末端側で担体30に固定化されることによって、酵素のそれぞれが所定の方向を向いて配向し、タンパク立体構造を形成するため、酵素の作用部位が一律に担体30の表面側に提示される状態とすることができる。
そのため、担体30に担持される複数の酵素のうち、作用部位が担体の内側に埋没して特定の物質と相互作用する機能が低下した酵素の割合が低下し、固定化酵素担体の容量あたりの酵素反応効率が改善される。
次に、本発明の実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例では、実施形態に係るタンパク質固定化担体の製造方法に従って、タンパク質固定化担体1を製造し、担体30に固定化された機能タンパク質50と、この機能タンパク質50が特異的に結合する物質との結合の効率が改善されているか否かを確認した。
担体30としては、表面に複数のアミノ基を有する96ウェルプレート(住友ベークライト株式会社製)を用い、機能タンパク質50としては、プロテインAを用いた。
また、タンパク質固定化担体の製造方法としては、固定工程を経た後、連結工程を実施する方法を採用した。
はじめに、C末端のカルボキシル基がチオエステル化されたペプチドリンカー40を調製した。調製方法としては、インテインのスプライシングを利用した方法を用いた。
まず、ペプチドリンカー40をコードするDNAをIMPACT(登録商標) Kit(New England BioLabs社製)のベクターpTXB1のマルチクローニングサイトに挿入し、次いで、このpTXB1を大腸菌ER2566株に形質転換した。このベクターは、目的タンパク質のC末端がインテイン及びキチン結合ドメイン(CBD)と結合した融合タンパク質を産生させる発現ベクターである。
pTXB1を導入した大腸菌ER2566株を所定条件の下で培養し、融合ペプチドを産生させた後、得られた融合ペプチドをキチンビーズに結合させた。次いで、チオール化合物(ジチオトレイトール又は2−メルカプトエタンスルホン酸)を添加し、キチンビーズに結合したペプチドリンカー40をスプライシングにより解離させて、C末端がチオエステル化されたペプチドリンカー40を得た。
次に、N末端のアミノ酸残基がシステインからなる機能タンパク質50を調製した。機能タンパク質50として用いるプロテインAは、N末端のアミノ酸がシステインではないタンパク質である。そこで、調製方法としては、N末端がシステインであるポリアミノ酸を付加する方法を用いた。
プロテインAをコードするDNAをIMPACT(登録商標) Kit(New England BioLabs社製)のベクターpTYB21のマルチクローニングサイトに挿入し、次いで、このpTYB21を大腸菌ER2566株に形質転換した。このベクターは、目的タンパク質のN末端がインテイン及びキチン結合ドメイン(CBD)と結合した融合タンパク質を産生させる発現ベクターである。
pTYB21を導入した大腸菌ER2566株を所定条件の下で培養し、融合タンパク質を産生させた後、得られた融合タンパク質をキチンビーズに結合させた。次いで、チオール化合物(ジチオトレイトール又は2−メルカプトエタンスルホン酸)を添加し、キチンビーズに結合した機能タンパク質50スプライシングにより解離させて、N末端のアミノ酸残基がシステインからなる機能タンパク質50を得た。
次に、表面に複数のアミノ基を有する担体30と調製されたペプチドリンカー40のN末端とを結合させた。
まず、炭酸緩衝液に、終濃度が2v/v%となるようにグルタルアルデヒドを添加し、固定溶液を調製した。次いで、得られた固定溶液を96ウェルプレート(住友ベークライト株式会社製)の各ウェルに150μL加え、37℃で2時間に亘り反応させた。
反応後、各ウェルを純水で3回洗浄した後、調製されたペプチドリンカー40を各ウェルに100μL加えて、37℃で2時間に亘り反応させた。
その後、各ウェルをリン酸緩衝液(PBS)で3回洗浄して、担体30に固定されたペプチドリンカー40を得た。
次に、調製されたペプチドリンカー40のC末端と機能タンパク質50のN末端とをアミド結合させた。
はじめに、次の手順に従って、連結反応バッファーを調製した。
脱イオン水に、リン酸水素ナトリウム1.42gを溶解した後、グアニジン塩酸塩28.7gを溶解し、リン酸水素ナトリウムの終濃度が0.1M、グアニジンの終濃度が6Mとなる、pH6.8〜7.0の50mLの原液を調製した。
次いで、バイアルに、4−メルカプトフェニル酢酸(MPAA)(Sigma-Aldrich社製;Cat. #:653152)42.1gと、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP・HCl)(Sigma-Aldrich社製;Cat. #:C4706)28.7gを投入し、調製した原液を5mL添加して、MPAAの終濃度が50mM、TCEPの終濃度が20mMとなる溶液を調製した。このとき、原液は、孔径0.2μmのシリンジフィルタを用いてろ過しながら添加した。
MPAAとTCEPを添加した溶液は、1Mの塩酸と2Mの水酸化ナトリウムを用いて、pHを7.0付近に調整することによってMPAAを完全に溶解させた後、pH7.1に調整して連結反応バッファーとした。
次に、調製した連結反応バッファーを用いて、ネイティブケミカルライゲーションを行った。
C末端がチオエステル化されたペプチドリンカー40が固定された96ウェルプレートに、N末端がシステインの機能タンパク質50を溶解させた連結バッファーを加え、連結反応を開始した。このとき、連結反応バッファーのpHが7を超えるとペプチドリンカーのチオエステルが加水分解される虞があるため、この溶液のpHは、0.2Mの水酸化ナトリウムを用いて7.0に調整した。
8時間経過した時点で、直ちに1Mのグアニジン塩酸塩水溶液(0.1% TFA)を含むリン酸緩衝液を添加して反応液を希釈し、反応液のpHを4以下に低下させることによって連結反応を停止させた。
反応後、各ウェルをリン酸緩衝液(PBS)で3回洗浄して、実施例に係るタンパク質固定化担体1を得た。
また、比較例として、担体30の官能基に直接機能タンパク質50を反応させて固定化する方法を用いてタンパク質固定化担体を製造した。
比較例における担体30としては、実施例と同様に、表面に複数のアミノ基を有する96ウェルプレート(住友ベークライト株式会社製)を用い、機能タンパク質50としては、プロテインAを用いた。
まず、炭酸緩衝液に、終濃度が2v/v%となるようにグルタルアルデヒドを添加し、固定溶液を調製した。次いで、得られた固定溶液を96ウェルプレート(住友ベークライト株式会社製)の各ウェルに150μL加え、37℃で2時間に亘り反応させた。
反応後、各ウェルを純水で3回洗浄した後、機能タンパク質50を各ウェルに100μL加えて、37℃で2時間反応させた。
その後、各ウェルをリン酸緩衝液(PBS)で3回洗浄して、比較例に係るタンパク質固定化担体を得た。
次に、このようにして得られた実施例に係るタンパク質固定化担体1と比較例に係るタンパク質固定化担体について、担体に固定化された機能タンパク質50と、この機能タンパク質50が特異的に結合する特定の物質との相互作用の効率を評価した。
機能タンパク質50であるプロテインAに、特異的に結合させる目的物質60としては、AssayMax Human Tissue-Type Plasminogen Activator ELISA Kit(Cat. No. ET1001-1;フナコシ株式会社製)に付属している、ビオチン化された抗ヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター(Tissue-type plasminogen activator;t−PA)抗体(Immunoglobulin G;IgG)を用いた。
実施例に係るタンパク質固定化担体1と比較例に係るタンパク質固定化担体における結合効率の測定は、次の手順に従いそれぞれ行った。
はじめに、機能タンパク質50が固定化された96ウェルプレートの各ウェルに5%のスキムミルク溶液を加えて、抗体が非特異的に結合しないようブロッキングを行った。次いで、前記したELISA Kitに付属している洗浄バッファーを各ウェルあたり150μL添加して3回に亘って洗浄した。
次に、20μg/mLの濃度に調整したビオチン化された抗体を、各ウェルあたり50μLずつ添加して、37℃で2時間に亘って反応させ、抗体をプロテインAに結合させた。このとき、それぞれビオチン化された抗体が1倍量から1/30000倍量まで希釈された計7種類の希釈系列を調製して、それぞれプロテインAと反応させた。次いで、前記したELISA Kitに付属している洗浄バッファーを各ウェルあたり200μL添加して3回に亘って洗浄し、結合していない抗体を除去した。
続いて、各ウェルにストレプトアビジン標識ぺルオキシダーゼを50μL添加し、37℃で1時間に亘って反応させて、プロテインAに結合した抗体をぺルオキシダーゼで標識した。次いで、前記したELISA Kitに付属している洗浄バッファーを各ウェルあたり200μL添加して3回に亘って洗浄した。
得られた96ウェルプレートの各ウェルにぺルオキシダーゼの基質を添加して発色させた後、塩酸を添加して反応を停止し、速やかに抗体とプロテインAの結合の効率を確認した。
結合の効率は、96ウェルプレートの各ウェルの吸光度を、マイクロプレートリーダーを用いて確認し、検出波長としては、波長480nmを用いた。その結果を図9に示す。
図9は、実施例に係るタンパク質固定化担体の目的物質に対する結合の効率を示す図である。
図9において、横軸は、タンパク質固定化担体によって分離精製される目的物質(抗体)の濃度を表し、縦軸は、抗体に結合したぺルオキシダーゼが基質と反応した反応液の480nmにおける吸光度を表している。また、●のプロット及び実線は、実施例に係るタンパク質固定化担体による結果、○のプロット及び破線は、比較例に係るタンパク質固定化担体による結果を示している。
図9に示されるように、実施例に係るタンパク質固定化担体1では、比較例に係るタンパク質固定化担体に対して吸光度の上昇が確認された。すなわち、実施例に係るタンパク質固定化担体1に担持される複数のプロテインAは、比較例に係るタンパク質固定化担体の場合と比較して、より高い効率で抗体と相互作用することができ、実施例に係るタンパク質固定化担体1は、目的物質60との結合効率が飛躍的に向上した分離精製材料として機能することが確認された。
したがって、実施例に係るタンパク質固定化担体1のように、機能タンパク質50が所定の方向に配向して担持されたタンパク質固定化担体においては、担体30に固定化された機能タンパク質50と、この機能タンパク質50が特異的に結合する特定の物質との結合の効率が改善されることが認められた。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
1 タンパク質固定化担体
3 分離精製装置
11 培養液受けタンク
12 アフィニティーカラム
13 溶離液タンク
14 平衡化液タンク
15 画分タンク
16 ドレン
17 フィルタ
18 溶出液受けタンク
30 担体
40 ペプチドリンカー
50 機能タンパク質
60 目的物質
70 水溶性カルボジイミド

Claims (2)

  1. N末端のアミノ酸残基が、チオール基を含む脱離性の修飾基が結合したアミノ酸又はシステインを有してなり、且つ特定の物質に対して特異的に結合する機能を有する機能タンパク質、並びに、
    アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、トレオニン、ヒスチジン及びシステインからなる群から選ばれる1種又は複数種のアミノ酸が連結してなり、且つC末端のカルボキシル基がチオエステル化されたペプチドリンカーを調製する工程と、
    表面に複数のカルボキシル基又はアミノ基を有する担体に調製された前記ペプチドリンカーのN末端を共有結合させて固定する工程と、
    N末端が前記担体に固定された前記ペプチドリンカーのC末端に前記機能タンパク質のN末端をアミド結合させて連結する工程と、
    を含み、
    前記機能タンパク質は、抗体に特異的に結合する抗体結合タンパク質であり、
    前記ペプチドリンカーは、3個以上200個以下のアミノ酸残基が連結した長さを有し、
    前記固定する工程における共有結合は、前記担体が表面に前記カルボキシル基を有するとき、カルボジイミド化合物によって、前記担体が表面に前記アミノ基を有するとき、グルタルアルデヒドによって、それぞれ形成され、
    前記連結する工程におけるアミド結合は、ネイティブケミカルライゲーション法によって形成されることを特徴とするタンパク質固定化担体の製造方法。
  2. 前記連結する工程の後、さらに、前記機能タンパク質のN末端のアミノ酸残基が有するチオール基を脱硫する工程を含むことを特徴とする請求項に記載のタンパク質固定化担体の製造方法。
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