以下添付図面に基づいて、本発明のダンパ付きヒンジ装置(以下、単にヒンジ装置という)の実施形態を詳細に説明する。図1ないし図5は、本発明の第一の実施形態のヒンジ装置を示す。図1は、ヒンジ装置の側面図(ヒンジ装置が取り付けられた本体1及び扉2の水平断面図)を示す。図1に示すように、ヒンジ装置は、ヒンジ8、ダンパ11、及び間欠機構14を備える。なお、以下においては、説明の便宜上、本体1を正面から見たときの方向、すなわち図1及び図3に示す前後方向、左右方向、及び上下方向を用いてヒンジ装置の構成を説明する。もちろん、ヒンジ装置の配置は、このような前後、左右、及び上下に限定されるものではない。
図1に示すように、ヒンジ8は、本体側部材4、扉側部材7、並びに本体側部材4及び扉側部材7に両端部が回転可能に連結される第一のリンク5及び第二のリンク6を備える。以下では、第一のリンク5を内側リンク5と呼び、第二のリンク6を外側リンク6と呼ぶ。本体側部材4は、本体1の側板の内面に取り付けられる。扉側部材7は、扉2の背面に取り付けられる。本体側部材4、扉側部材7、内側リンク5及び外側リンク6は、すべて回り対偶によって連鎖をなす四節回転連鎖である。本体側部材4を固定すると、扉2は一定の運動(水平方向への回転)だけが可能になり、扉2は本体1の前面の開口部を開閉する。なお、ヒンジ8の構成は、少なくとも一つのリンクを有するものであれば、四つのリンクがすべて回り対偶によって連鎖をなすものに限られることはなく、例えば図15に示すヒンジ(詳しくは後述する)を用いることもできる。
図1に示すように、ダンパ11は、ダンパ本体9と、ダンパ本体9に対して相対的に回転可能なロータ10と、を備える。ダンパ本体9とロータ10との間にはオイルが充填される。ダンパ本体9に対してロータ10が相対的に回転するとき、オイルの粘性抵抗でロータ10に制動力が働く。なお、図1には、ダンパ本体9が固定され、ロータ10がダンパ本体9に対して回転可能な例が示されているが、ロータ10を固定し、ダンパ本体9を回転可能にすることも可能である。また、図1に示すダンパ11は本体側部材4に取り付けられているが、本体側部材4に限られることはなく、ヒンジ8を構成する四つのリンク(本体側部材4、扉側部材7、第一のリンク5、第二のリンク6)のいずれにもダンパ11を取り付けることができる。
間欠機構14は、内側リンク5の回転によってロータ10を間欠的に回転させる。すなわち、間欠機構14は、内側リンク5が連続回転するとき、内側リンク5の回転によってロータ10を一定期間回転させ、内側リンク5が回転してもロータ10の回転を一定期間停止させる。この実施形態では、間欠機構14は、扉2の開き位置(図4(a)の位置)から閉じ位置の直前(図4(b)の位置)までは、内側リンク5が回転してもロータ10の回転を停止させる。そして、間欠機構14は、扉2の閉じ位置の直前(図4(b)の位置)から閉じ位置(図4(c)の位置)まで内側リンク5の回転によってロータ10を回転させる。間欠機構14は、ロータ10の回転が停止するとき、ロータ10の回転を拘束する。
以下に、ヒンジ8、ダンパ11、間欠機構14の詳細な構造を順番に説明する。
図1に示すように、ヒンジ8は、扉側部材7、本体側部材4、内側リンク5及び外側リンク6を備える。本体側部材4は、本体1の側板に取り付けられる取付けプレート16と、取付けプレート16に着脱可能に取り付けられるヒンジ本体17と、を備える。取付けプレート16は、前後調節ねじ、上下調節ねじ、及び左右調節ねじを備える。各調節ねじを手回しドライバで調整することによって、ヒンジ本体17を前後方向、上下方向及び左右方向に位置調整可能である。
図3は、ヒンジ装置の分解斜視図を示す。図3に示すように、ヒンジ本体17は、対向する一対の側板部17a、及び一対の側板部17aを連結する連結板部17bを有して、断面U字形に形成される。一対の側板部17aは、その長手方向を前後方向に向けていて、上下方向に対向して配置される。連結板部17bは、一対の側板部17aの長辺部に一体に形成される。ヒンジ本体17は、その開放部を取付けプレート16(図1参照)に向けて配置される。ヒンジ本体17の一対の側板部17aの前端部には、長手方向を上下方向に向けた第一及び第二の軸21,22が固定される。第一の軸21には、外側リンク6の一端部が回転可能に連結される。第二の軸22には、内側リンク5の一端部が回転可能に連結される。
外側リンク6は、上下方向に対向する一対の側板部6aと、一対の側板部6aの長辺部を連結する連結板部6bを有して、断面U字形に形成される。外側リンク6の一対の側板部6aは、ヒンジ本体17の一対の側板部17aの内側に配置される。外側リンク6の側板部6aの長手方向の一端部には、第一の軸21が貫通する貫通孔6cが空けられる。外側リンク6の側板部6aの長手方向の他端部には、第三の軸23が貫通する貫通孔6dが空けられる。
内側リンク5は、湾曲した細長い板状に形成される。内側リンク5の長手方向の一端部には、上下方向に対向する一対の側板部5aが一体に形成される。内側リンク5の一対の側板部5aは、ヒンジ本体17の一対の側板部17aの内側に配置される。内側リンク5の側板部5aには、第二の軸22が貫通する貫通孔5cが形成される。内側リンク5の長手方向の他端部には、カール加工等により第四の軸24が挿入される筒部5dが形成される。
内側リンク5の側板部5aには、間欠機構を構成する扇形の原動歯車12が一体に形成される。原動歯車12は、ロータ10の従動歯車13との噛み合いを間欠的にするために、歯車部12aと、円弧部12bと、を円周方向に隣接して有する(図5(a)も参照)。歯車部12aには、円周方向に複数の歯が形成される。歯の形は、インボリュート歯形、サイクロイド歯形等のいずれでもよい。円弧部12bには、歯は形成されていない。円弧部12bはその外縁が、第二の軸22の中心(すなわち原動歯車12の回転中心)と同心の円弧形に形成される。この円弧部12bの半径は、歯車部12aの歯底円の半径よりも大きく歯先円の半径よりも小さい。
図1に示すように、扉側部材7(以下カップ部材7という)は、扉2の背面に取り付けられる。図3に示すように、カップ部材7は、扉2の背面の穴に嵌められるカップ本体7aと、扉2の背面に取り付けられる一対の突出片7bと、を備える。突出片7bには、ねじの通し孔7cが形成される。カップ本体7aには、凹部7a1が形成される。カップ本体7aには、平行な一対の第三及び第四の軸23,24を有するU字形の連結部材25が固定される。第三及び第四の軸23,24は上下方向に向くように配置されていて、互いに平行である。第三の軸23には、外側リンク6の長手方向の他端部が回転可能に連結される。第四の軸24には、内側リンク5の長手方向の他端部が回転可能に連結される。外側リンク6及び内側リンク5の長手方向の他端部は、カップ本体7aの凹部7a1内に入る。
図1に示すように、ヒンジ本体17と内側リンク5との間には、付勢手段としてのねじりコイルばね31が配置される。図3に示すように、ねじりコイルばね31は、中心線が一致する第一及び第二のコイル部32,33と、第一のコイル部32から引き出された第一のアーム32aと、第二のコイル部33から引き出された第二のアーム33aと、第一のコイル部32と第二のコイル部33とを連結するU字形アーム34と、を備える。ねじりコイルばね31の第一及び第二のコイル部32,33は、第一の軸21に嵌められる。ねじりコイルばね31の第一及び第二のアーム32a,33aは、ヒンジ本体17の連結板部17bに当接する。ねじりコイルばね31のU字形アーム34は、内側リンク5の起立片5e(図1、図5参照)に当接する。
図4(a)は扉2の開き位置を示し、図4(b)は扉2の中間位置を示し、図4(c)は扉2の閉じ位置を示す。内側リンク5の起立片5eは、図4(b)に示す扉2の中間位置でねじりコイルばね31のねじり量が最も大きく、図4(c)に示す扉2の閉じ位置及び図4(a)に示す開き位置で中間位置よりもねじりコイルばね31のねじり量が小さくなるように形成される。このため、ねじりコイルばね31は、図4(b)に示す中間位置から図4(a)に示す開き位置まで、扉2に開き方向の付勢力を与え、図4(b)に示す中間位置から図4(c)に示す閉じ位置まで扉2に閉じ方向の付勢力を与える。なお、ねじりコイルばね31が、扉2に開き方向及び閉じ方向のいずれか一方の付勢力を与えるように内側リンク5の起立片5eを形成することもできる。また、ねじりコイルばね31をヒンジ本体17と外側リンク6との間に配置することもできるし、カップ部材7と内側リンク5又は外側リンク6との間に配置することもできるし、内側リンク5と外側リンク6との間に配置することもできる。さらに、上開きの扉にヒンジを使用する場合等、ねじりコイルばね31を省略することもできる。
図3に示すように、ダンパ11は、ダンパ本体9と、ダンパ本体9に対して相対的に回転可能なロータ10と、を備える。ダンパ本体9は、一端が開口し、他端が底部によって閉じられた有底円筒形に形成されており、内部がロータ10を収容する収容部11a(図5(b)参照)とされている。ダンパ本体9の開口部はロータ10で塞がれる。図5(b)に示すように、ダンパ本体9の収容部11aの内壁面には、収容部11aを二つに区画する一対の凸部11bが円周方向に180度の間隔を空けて形成される。
ロータ10は、ダンパ本体9に回転可能に支持されるロータ軸41と、ロータ軸41に結合されるロータ本体42と、ロータ軸41に結合される従動歯車13と、を備える。ロータ本体42は、ダンパ本体9の収容部11a内に配置されており、円周方向に180度の間隔を空けて半径方向に突出する一対の羽根43を備える。羽根43の先端部には、羽根43と収容部11aの内壁面との間の隙間を開閉する弁が設けられる。ダンパ本体9の収容部11aとロータ本体42との間にはオイルが充填される。
例えばロータ10が図5(b)の時計方向に回転するとき、弁は、羽根43と収容部11aの内壁面との間の隙間を塞ぎ、収容部11aの区画S1を高圧室S1−1と低圧室S1−2に区画する。同様に、弁は、収容部11aの区画S2を高圧室S2−1と低圧室S2−2に区画する。区画S1の高圧室S1−1内のオイルは、弁によって低圧室S1−2に流れにくくなり、同様に区画S2の高圧室S2−1内のオイルは、弁によって低圧室S2−2に流れにくくなっている。このため、ロータ10の回転に制動力が働く。一方、ロータ10が反時計方向に回転するとき、弁は、羽根43と収容部11aの内壁面との間にオイルが流れる隙間を発生させる。このため、ロータ10に制動力が働きにくくなる。ダンパ11には、制動力を調整できるように、ダンパ本体9とロータ10との間の隙間を調整する隙間調整機構を設けることもできる。
ダンパ本体9に対してロータ10が所定角度以上回転すると、ロータ10の羽根43とダンパ本体9の凸部11bが当接する。このため、ロータ10の回転が制限される。この実施形態のダンパ11は、所定角度以上のロータ10の回転が制限される有限ダンパである。なお、ダンパ11には、ロータ10が無限回転可能な無限ダンパを用いることもできる。また、ダンパ11には、ロータ10が時計方向及び反時計方向のいずれに回転したときにも制動力が発生する両方向ダンパを用いることもできる。
図5(a)に示すように、間欠機構14は、内側リンク5に一体に形成される原動歯車12と、ロータ軸41に結合される従動歯車13と、を備える。従動歯車13は通常の円形の歯車であり、従動歯車13の周囲には、一定のピッチで複数の歯が形成される。歯の形は、インボリュート歯形、サイクロイド歯形等のいずれでもよい。上記のように、原動歯車12は、円弧部12bと、歯車部12aと、を備える。ロータ10の回転を停止させるとき、原動歯車12の円弧部12bが従動歯車13に向かい合う。原動歯車12の円弧部12bは、従動歯車13の隣り合う一対の歯13a,13bに接触するように形成される。ロータ10を回転させるとき、原動歯車12の歯車部12aが従動歯車13に噛み合う。なお、従動歯車13の隣り合う一対の歯13a,13bを利用して、従動歯車13の回転を拘束することができれば、原動歯車12の円弧部12bと従動歯車13の隣り合う一対の歯13a,13bとの間には、僅かな隙間があってもよい。
本発明の第一の実施形態のヒンジ装置の動作を図4及び図5を参照して説明する。図4(a)は扉2の開き位置を示し、図4(b)は扉2の中間位置(ダンパ作動開始位置)を示し、図4(c)は扉2の閉じ位置を示す。図5(a)(b)(c)は、図4(a)(b)(c)のA部、B部、C部の拡大図を示す。図5(b)の右側の図は、ダンパ11の断面図を示す。
図4(a)に示す扉2の開き位置では、図5(a)の拡大図に示すように、原動歯車12の円弧部12bが従動歯車13の隣り合う一対の歯13a,13bに向かい合う。このため、原動歯車12が反時計方向に図5(b)に示す中間位置まで回転しても、従動歯車13の回転は拘束され(言い換えれば回転不可能であり)、従動歯車13は一定の位置に保持される。従動歯車13に結合されるロータ10も回転することはなく、ダンパ11の制動力も発生しない。
図5(b)に示す中間位置を過ぎて原動歯車12が反時計方向に回転すると、原動歯車12の歯車部12aが従動歯車13に噛み合い始める。このため、原動歯車12の反時計方向の回転によってダンパ11のロータ10が時計方向に回転し、制動力が発生する。原動歯車12の歯車部12aと従動歯車13との噛み合いは、図5(c)に示す扉2の閉じ位置まで継続する。
逆に、扉2が図5(c)に示す閉じ位置から図5(b)に示す中間位置まで開くとき、原動歯車12の時計方向の回転によってダンパ11のロータ10が反時計方向に回転する。ダンパ11には一方向ダンパを用いているので、このときダンパ11には制動力は働かない。扉2が図5(b)に示す中間位置から図5(a)に示す開き位置まで開くとき、原動歯車12が時計方向に回転しても、ロータ10は回転することなく、一定の位置を保持する。
本発明の第一の実施形態のヒンジ装置によれば、以下の効果を奏する。ロータ10の回転が停止するとき、間欠機構14がロータ10の回転を拘束するので、ロータ10の位置を保持することができる。このため、再び内側リンク5の原動歯車12の歯車部12aとロータ10の従動歯車13が噛み合うとき、これらが正規の位置で噛み合う。また、従動歯車13を特殊な形状に形成しなくても、従動歯車13の隣り合う一対の歯13a,13bを利用して、従動歯車13の回転を拘束することができる。さらに、原動歯車12が内側リンク5に一体に形成されるので、部品点数を削減することができる。さらに、間欠機構14がロータ10の位置ずれを防止するので、ロータ10の回転が制限される有限ダンパを使用することが可能になる。
図6(a)は、本発明の第一の実施形態のヒンジ装置の他の例を示す。この例のヒンジ装置も、ヒンジ8、ダンパ11、及び間欠機構14を備える。ヒンジ8、ダンパ11の構成は、第一の実施形態のヒンジ装置と略同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
この例のヒンジ装置では、間欠機構14の原動歯車46が内側リンク5ではなく、外側リンク6に一体に設けられている点が、第一の実施形態のヒンジ装置と異なる。原動歯車46は、外側リンク6の側板部6aに一体に形成される。原動歯車46は、ロータ10の従動歯車13との噛み合いを間欠的にするために、歯車部46aと、円弧部46bと、を円周方向に隣接して有する(図6(b)参照)。
図6(a)に示す開き位置にある扉2を閉じるとき、外側リンク6は図6(b)に示す中間位置までは時計方向に回転し、図6(b)に示す中間位置を過ぎると、逆に反時計方向に回転する。図6(a)に示す開き位置から図6(b)に示す中間位置までは、原動歯車46の円弧部46bが従動歯車13の隣り合う一対の歯13a,13bに向かい合う。このため、原動歯車46が時計方向に回転しても、従動歯車13の回転は拘束される。図6(b)に示す中間位置を過ぎて原動歯車46が反時計方向に回転すると、図6(c)に示すように原動歯車46の歯車部46aが従動歯車13に噛み合い始める。このため、原動歯車46の反時計方向の回転によってダンパ11のロータ10が時計方向に回転し、制動力が発生する。原動歯車46の歯車部46aと従動歯車13との噛み合いは、図6(c)に示す扉2の閉じ位置まで継続する。
図7及び図8は、本発明の第二の実施形態のヒンジ装置を示す。図7(a)に示すように、この例のヒンジ装置も、ヒンジ8、ダンパ11、及び間欠機構44を備える。ヒンジ8、ダンパ11の構成は、第一の実施形態のヒンジ装置と略同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
この例のヒンジ装置では、間欠機構44の原動歯車12が内側リンク5に一体に形成される。原動歯車12は、ロータ10の従動歯車47との噛み合いを間欠的にするために、歯車部12aと、円弧部12bと、を円周方向に隣接して有する(図8(b)参照)。図8(b)に示すように、歯車部12aには、円周方向に複数の歯が形成される。歯の形は、インボリュート歯形、サイクロイド歯形等のいずれでもよい。円弧部12bには、原動歯車12の歯は形成されていない。円弧部12bはその外縁が、第二の軸22の中心(すなわち原動歯車12の回転中心)と同心の円弧形に形成される。この円弧部12bの半径は、歯車部12aの歯底円の半径よりも大きく、歯先円の半径よりも小さい。円弧部12bの半径は、例えば歯車部12aのピッチ円と等しい。
ロータ軸41に結合される従動歯車47は、第一の実施形態のような円形の歯車ではなく、従動歯車47には略三角形の突出部47aが形成される。従動歯車47には、略半周に渡って歯が形成されるが、突出部47aが形成される残りの略半周には歯が形成されない。従動歯車47の歯の形は、インボリュート歯形、サイクロイド歯形等のいずれでもよい。従動歯車47の突出部47aは、外縁が原動歯車12の回転中心と同心の円弧形の円弧部48を有する。図8(c)に示すように、円弧部48は、従動歯車47の歯先円49よりも内側の内側領域50と、歯先円49よりも外側の外側領域51と、を含む。従動歯車47の円弧部48は原動歯車12の円弧部12bに接触するか、又は従動歯車47の円弧部48と原動歯車12の円弧部12bとの間には僅かな隙間がある。なお、円弧部48は少なくとも外側領域51を有すればよく、円弧部48を全て歯先円49の外側に形成することもできる。
本発明の第二の実施形態のヒンジ装置の動作は以下のとおりである。図7(a)に示す扉2の開き位置では、図8(a)の拡大図に示すように、原動歯車12の円弧部12bが従動歯車47の円弧部48に向かい合う。このため、原動歯車12が反時計方向に図8(b)に示す中間位置まで回転しても、従動歯車47の回転は拘束され、従動歯車47は一定の位置に保持される。従動歯車47に結合されるロータ10も回転することはなく、ダンパ11の制動力も発生しない。
図8(b)に示す中間位置を過ぎて原動歯車12が反時計方向に回転すると、原動歯車12の歯車部12aが従動歯車47に噛み合い始める。このため、原動歯車12の反時計方向の回転によってダンパ11のロータ10が時計方向に回転し、制動力が発生する。原動歯車12の歯車部12aと従動歯車47との噛み合いは、図8(c)に示す扉2の閉じ位置まで継続する。
本発明の第二の形態のヒンジ装置によれば、以下の効果を奏する。ロータ10の回転が停止するとき、間欠機構44がロータ10の回転を拘束するので、ロータ10の位置を保持することができる。このため、ロータ10の位置ずれを防止することができ、再び内側リンク5の原動歯車12とロータ10の従動歯車47とが噛み合うとき、これらの歯が正規の位置で噛み合う。従動歯車47の円弧部48が歯先円49よりも外側の外側領域51を有するので、従動歯車47の円弧部48を長くすることができ、従動歯車47の回転を確実に拘束することができる。
図9及び図10は、本発明の第二の実施形態のヒンジ装置の他の例を示す。この例のヒンジ装置も、ヒンジ8、ダンパ11、及び間欠機構44を備える。ヒンジ8、ダンパ11の構成は、第一の実施形態のヒンジ装置と略同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
図9(a)に示すように、この例のヒンジ装置では、間欠機構44の原動歯車55が内側リンク5ではなく、外側リンク6に一体に設けられている点が、第二の実施形態のヒンジ装置と異なる。原動歯車55は、外側リンク6の側板部6aに一体に形成される。原動歯車55は、ロータ10の従動歯車52との噛み合いを間欠的にするために、歯車部55aと、円弧部55bと、を円周方向に隣接して有する(図10(b)参照)。図10(b)に示すように、円弧部55bはその外縁が、第一の軸21の中心(すなわち原動歯車55の回転中心)と同心の円弧形に形成される。この円弧部55bの半径は、歯車部55aの歯底円の半径よりも大きく、歯先円の半径よりも小さい。
図10(b)に示すように、ロータ10に結合される従動歯車52は、半円状の突出部52aを備える。従動歯車52には、略半周に渡って歯が形成されるが、突出部52aが形成される残りの略半周には歯が形成されない。従動歯車52の突出部52aは、外縁が原動歯車55の回転中心と同心の円弧形の円弧部53を有する。図10(c)に示すように、円弧部53は、従動歯車52の歯先円56よりも内側の内側領域54と、歯先円56よりも外側の外側領域57と、を含む。
図9(a)に示す開き位置にある扉2を閉じるとき、外側リンク6は図9(b)に示す中間位置までは時計方向に回転し、図9(b)に示す中間位置を過ぎると、逆に反時計方向に回転する。図10(a)に示す開き位置から図10(b)に示す中間位置までは、原動歯車55の円弧部55bが従動歯車52の円弧部53に向かい合う。このため、原動歯車55が時計方向に回転しても、従動歯車52の回転は拘束される。図10(b)に示す中間位置を過ぎて原動歯車55が反時計方向に回転すると、図10(c)に示すように原動歯車55の歯車部55aが従動歯車52に噛み合い始める。このため、原動歯車55の反時計方向の回転によってダンパ11のロータ10が時計方向に回転し、制動力が発生する。原動歯車55の歯車部55aと従動歯車52との噛み合いは、図10(c)に示す扉2の閉じ位置まで継続する。
図11及び図12は、本発明の第三の実施形態のヒンジ装置を示す。図11(a)に示すように、この例のヒンジ装置も、ヒンジ8、ダンパ11、及び間欠機構63を備える。ヒンジ8、ダンパ11の構成は、第一の実施形態のヒンジ装置と略同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
この例のヒンジ装置では、間欠機構63は、原動部材61と、従動部材62と、を備える。扇形の原動部材61は、内側リンク5に一体に形成される。原動部材61には、軸部としてのピン64が設けられる。ピン64は、第二の軸22の中心(原動部材61の回転中心)から所定距離だけ離れた位置に配置される。
従動部材62は、ロータ軸41に結合される。従動部材62は、細長い板状に形成されており、長手方向の一端部がロータ軸41に結合される。図12(a)に示すように、従動部材62は、原動部材61の回転中心と同心の円弧溝65を有する。円弧溝65の横幅はピン64の直径に略等しい。円弧溝65は、従動部材62の長手方向の一端から従動部材62の途中まで形成される。従動部材62には、円弧溝65に対して傾斜する傾斜溝66が形成される。傾斜溝66は、円弧溝65の奥側の端部からロータ10に向かって伸びる。傾斜溝66は直線的に形成されても、曲線的に形成されてもよい。傾斜溝66の横幅はピン64の直径に略等しい。なお、上記実施形態では、従動部材62に円弧溝65及び傾斜溝66が形成され、原動部材61にピン64が設けられているが、従動部材62にピン64を設け、原動部材61に円弧溝65及び傾斜溝66を形成することもできる。
本発明の第三の実施形態のヒンジ装置の動作は以下のとおりである。図11(a)に示す扉2の開き位置では、図12(a)の拡大図に示すように、原動部材61のピン64が従動部材62の円弧溝65に嵌まる。このため、従動部材62の回転が拘束される。原動部材61が反時計方向に図12(b)に示す中間位置まで回転しても、原動部材61のピン64は、従動部材62の円弧溝65に嵌まったままである。このため、従動部材62は回転することが不可能であり、従動部材62の回転は拘束される。従動部材62に結合されるロータ10も回転することはなく、ダンパ11の制動力も発生しない。
図12(b)に示す中間位置では、原動部材61のピン64は、円弧溝65と傾斜溝66の交差部に位置する。図12(b)に示す中間位置を過ぎて原動部材61が反時計方向に回転すると、図12(c)に示すように原動部材61のピン64が従動部材62の傾斜溝66に入る。すると、原動部材61の反時計方向の回転によって、原動部材61のピン64が傾斜溝66の奥の方に移動し、従動部材62が時計方向に回転する。従動部材62の回転は、図12(c)に示す扉2の閉じ位置まで継続する。
本発明の第三の形態のヒンジ装置によれば、以下の効果を奏する。ロータ10の回転が停止するとき、間欠機構63がロータ10の回転を拘束するので、ロータ10の位置を保持することができる。このため、ロータ10の位置ずれを防止することができる。また、原動部材61のピン64及び従動部材62の円弧溝65を利用して、従動部材62の回転を拘束するので、間欠機構63の形状をシンプルにすることができる。
図13及び図14は、本発明の第三の実施形態のヒンジ装置の他の例を示す。この例のヒンジ装置も、ヒンジ8、ダンパ11、及び間欠機構63を備える。ヒンジ8、ダンパ11の構成は、第一の実施形態のヒンジ装置と略同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
図13(a)に示すように、この例のヒンジ装置では、間欠機構63の原動部材71が内側リンク5ではなく、外側リンク6に一体に設けられている点が、第三の実施形態のヒンジ装置と異なる。原動部材71は、第三の実施形態のヒンジ装置と同様にピン73(図14(a)参照)を有する。
図14(a)に示すように、従動部材72は、第一の軸21の中心(原動部材71の回転中心)と同心の円弧溝74を有する。円弧溝74の横幅はピン73の直径に略等しい。従動部材72には、円弧溝74の奥側の端部から傾斜する傾斜溝76が形成される。傾斜溝76は円弧溝74の端部からロータ10に向かって伸びる。傾斜溝76は直線的に形成されても、曲線的に形成されてもよい。傾斜溝76の横幅は、ピン73の直径に略等しい。
図13(a)に示す開き位置にある扉2を閉じるとき、原動部材71は図13(b)に示す中間位置までは時計方向に回転し、図13(b)に示す中間位置を過ぎると、逆に反時計方向に回転する。図14(a)に示す開き位置から図14(b)に示す中間位置までは、原動部材71のピン73が従動部材72の円弧溝74に嵌まったままであり、従動部材72の回転が拘束される。
図14(b)に示す中間位置を過ぎて原動部材71が反時計方向に回転すると、図14(c)に示すように原動部材71のピン73が従動部材72の傾斜溝76に嵌まり始める。このため、原動部材71の反時計方向の回転によってダンパ11のロータ10が時計方向に回転し、制動力が発生する。原動部材71のピン73と従動部材72の傾斜溝76との係合は、図14(c)に示す扉2の閉じ位置まで継続する。
図15は、ヒンジの他の例を示す。本実施形態のヒンジは、上記第一ないし上記第三の実施形態のように、四つのリンクが全て回り対偶で連結される四節回転連鎖のヒンジに限られることはない。例えば、図15(a)(b)に示すように、本体側部材81に第一のリンク83の一端部を回転可能に連結し、扉側部材82に第一のリンク83の他端部を回転可能にかつスライド可能に連結し、扉側部材82に第二のリンク84の一端部を回転可能に連結し、本体側部材81に第二のリンク84の他端部をスライド可能に連結し、第一のリンク83と第二のリンク84とを回転可能に連結するヒンジを使用することもできる。また、第一のリンク83の他端部を図示しない連結リンクを介して扉側部材82に回転可能に連結し、第二のリンク84の他端部を図示しない連結リンクを介して本体側部材81に回転可能に連結するヒンジ(軸が7個のヒンジ)を用いることもできる。
なお、本発明は、上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な実施形態に具現化可能である。上記第一ないし上記第三の実施形態のヒンジ装置のヒンジ、ダンパ、間欠機構の形状、構造は一例であり、本発明の要旨を変更しない範囲で他の形状、構造を採用し得る。