本発明の以下の説明は、本発明の様々な実施形態を例示することのみを意図する。したがって、議論される特定の修正は、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。本発明の範囲から逸脱せずに、様々な等価物、変更、および修正がなされてもよいことが当業者に明らかであり、そのような等価な実施形態は本明細書に含まれることが理解される。
本明細書において以下の略語が使用される:3−AP、3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン;DCM、ジクロロメタン;DMF、ジメチルホルムアミド;dNTP;デオキシリボヌクレオチド三リン酸;HU、ヒドロキシウレア;RR、リボヌクレオチドレダクターゼ;RRM1、リボヌクレオチドレダクターゼ大サブユニット;RRM2、リボヌクレオチドレダクターゼ小サブユニット。
「治療上効果的な量」という語句は、本明細書において使用される場合、所望の治療効果を生じる化合物の量を指す。正確な治療上効果的な量は、所与の対象における有効性の点で最も効果的な結果をもたらす組成物の量である。この量は、治療化合物の特性(活性、薬物動態、薬力学、およびバイオアベイラビリティを含む)、対象の生理学的状態(年齢、性別、疾患の種類および段階、全身的な身体状態、所与の用量に対する反応性、および医薬の種類を含む)、製剤中の薬剤的に許容される担体(複数を含む)の性質、ならびに投与経路を含むがこれらに限定されない、様々な因子に依存して変動する。臨床および薬理学的分野における当業者は、慣例的な実験により、すなわち、化合物の投与に対する対象の反応を監視し、それに従い用量を調節することにより、治療上効果的な量を決定することができる。さらなる指針に関しては、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro ed.20thedition,Williams&Wilkins PA,USA)(2000)を参照されたい。
状態を「治療すること」または「治療」は、本明細書において使用される場合、状態を予防もしくは軽減すること、状態の発症もしくは進行速度を抑制すること、状態の進行のリスクを低減すること、状態に関連した症状の進行を予防もしくは遅延させること、状態に関連した症状を低減もしくは停止させること、状態の完全もしくは部分的退行を生み出すこと、状態を治癒すること、またはそれらのいくつかの組み合わせを指し得る。がんに関して、「治療すること」または「治療」は、腫瘍性および/もしくは悪性細胞の成長、増殖、および/もしくは転移を阻害もしくは抑制すること、腫瘍性および/もしくは悪性細胞の成長、増殖、および/もしくは転移の進行を予防もしくは遅延させること、またはそれらのいくつかの組み合わせを指し得る。腫瘍に関して、「治療すること」または「治療」は、腫瘍の全てもしくは一部を根絶すること、腫瘍の成長もしくは転移を阻害もしくは抑制すること、腫瘍の進行を予防もしくは遅延させること、またはそれらのいくつかの組み合わせを指し得る。
「RRM2の過剰発現を特徴とする」がんは、本明細書において使用される場合、対応する正常細胞または組織のレベルより高いレベルで、mRNAまたはタンパク質レベルのいずれかでRRM2を発現する任意のがんの型を指す。例えば、前立腺がん細胞株は、対応する正常前立腺がん細胞において観察されるレベルより高いレベルで、mRNAまたはタンパク質レベルのいずれかでRRM2を発現する場合、RRM2の過剰発現を特徴とするがんである。RRM2の過剰発現を特徴とするがんはまた、本明細書において使用される場合、RRM2阻害剤が、正常な非形質転換細胞または組織と比較して、追加的または選択的な効果を示す、任意のがんの型を指す。例えば、がんの型は、RRM2阻害に対してより感受性とする、正常細胞に関する分裂指数の差によるヌクレオチドプールに対するより大きな依存性を有する場合、RRM2過剰発現を特徴とするがんである。
本明細書において使用される場合、「ヒドロキシル保護基」という用語は、ヒドロキシル部分が本明細書に記載の化学合成方法において使用される試薬と反応するのを防ぐ(一般にヒドロキシル基を「保護」すると呼ばれる)ように機能する、一価ヒドロキシル酸素原子に共有結合する一価の化学部分であり、ヒドロキシル部分がその一部を形成する分子を分解することのない条件下で除去され(一般にヒドロキシル基を「脱保護」すると呼ばれる)、それによって遊離ヒドロキシルを生成し得る。ヒドロキシル保護基は、酸不安定性、塩基不安定性、または他の試薬の存在下で不安定性であってもよい。ヒドロキシル保護基は、活性化エチレン保護基、ベンジルエーテル保護基、ケイ素系バーボネート保護基、アセタール保護基または環式アセタール保護基を含むが、これらに限定されない。ヒドロキシル保護基は、メチルベンジル、p−メトキシベンジル、アリル、トリチル、p−メトキシフェニル、テトラヒドロピラニル、メトキシメチル、1−エトキシエチル、2−メトキシ−2−プロピル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2−トリメチルシリルエトキシメチル、メチルチオメチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、
または
を含み、nは、0または1であり、R
12は、水素、−OH、−OR
16または置換もしくは非置換アルキルであり、R
16は、置換または非置換アルキルであり、R
13、R
14およびR
15は、置換または非置換アルキルである。
本明細書において使用される場合、「ヒドロキシル脱保護剤」という用語は、ヒドロキシル保護基を除去し、それによって遊離ヒドロキシルを生成するように機能する化学化合物または元素である。本発明の方法において有用なヒドロキシル脱保護剤は、臭化亜鉛、臭化マグネシウム、四塩化チタン、臭化ジメチルホウ素、ヨウ化トリメチルシリル、銀(Ag+)塩、水銀(Hg+)塩、亜鉛、二ヨウ化サマリウム、ナトリウムアマルガム、トリフルオロ酢酸、フッ化水素酸、塩酸、水素化、(TBAF)テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド、三フッ化ホウ素、四フッ化ケイ素、三臭化ホウ素、アリールメチルエーテル、テトラブチルアンモニウムフルオリド、水素/Pd/C、Zn/酸またはアンモニアを含む。
本明細書で使用される略語は、化学および生物学分野でのそれらの従来の意味を有する。本明細書に示される化学構造および化学式は、化学分野において既知の化学結合価の標準の規則に従って構築される。
置換基が、左から右へ書かれた、それらの従来の化学式により特定される場合、それらはその構造を右から左へ書くことから生ずるであろう化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、−CH2O−は−OCH2−と等価である。
「アルキル」という用語は、単独または別の置換基の一部として、別段に指定されない限り、直鎖(すなわち、非分岐)もしくは分岐炭素鎖(もしくは炭素)、またはその組み合わせを意味し、これは、完全飽和、単不飽和または多価不飽和であってもよく、指定された炭素原子の数を有する(すなわち、C1〜C10は、1個から10個の炭素を意味する)二価または多価の基であってもよい。飽和炭化水素基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、(シクロヘキシル)メチル;例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等のホモログおよびそれらの異性体等の基が挙げられるが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合または三重結合を有する基である。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびにより高次のホモログおよび異性体が挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシは、酸素リンカー(−O−)により、分子の残りの部分に付加されたアルキルである。
「ヘテロアルキル」という用語は、単独または別の用語と組み合わせて、別段に指定されない限り、少なくとも1つの炭素原子ならびにO、N、P、Si、およびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、安定な直鎖もしくは分枝鎖、またはこれらの組み合わせを意味し、窒素および硫黄原子は、任意に酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は、任意に四級化されてもよい。ヘテロ原子(複数を含む)O、N、P、S、およびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に、またはそのアルキル基が分子の残りの部分に付加される位置に、置かれてもよい。例としては、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2、−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、−CH=CH−N(CH3)−CH3、−O−CH3、−O−CH−2−CH3、および−CNが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、−CH2−NH−OCH3および−CH2−O−Si(CH3)3等、2個または3個までのヘテロ原子が連続していてもよい。「ヘテロアルキル」が列挙された後に−NR’R’’等の特定のヘテロアルキル基の列挙が続く場合、ヘテロアルキルおよび−NR’R’’の用語は重複せず、相互排他的ではないと理解される。むしろ、特定のヘテロアルキル基が、明確にするために列挙される。したがって、「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書において、−NR’R’’等の特定のヘテロアルキル基を除外するものとして解釈されるべきではない。
「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独または他の用語と組み合わせて、別段に指定されない限り、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状変形を意味する。加えて、ヘテロシクロアルキルについて、ヘテロ原子は、そのヘテロ環が分子の残りの部分に付加される位置を占有することができる。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチル等が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例としては、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル等が挙げられるが、これらに限定されない。「シクロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキレン」は、単独または別の置換基の一部として、それぞれ、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから得られる二価の基を意味する。
「アリール」という用語は、別段に指定されない限り、ポリ不飽和、芳香族、炭化水素置換基を意味し、それらは単環、または互いに縮合(すなわち縮合環アリール)もしくは共有結合された多環(好ましくは1〜3環)であってもよい。縮合環アリールは、縮合環の少なくとも1つがアリール環である、互いに縮合された多環を指す。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、またはS等の少なくとも1つのヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を指し、窒素および硫黄原子は、任意に酸化され、窒素原子(複数を含む)は、任意に四級化される。したがって、「ヘテロアリール」という用語は、縮合環ヘテロアリール基(すなわち、互いに縮合した多環であって、その縮合環のうちの少なくとも1つが芳香族複素環である多環)を含む。5,6−縮合環ヘテロアリーレンは、互いに縮合した2つの環を指し、1つの環は5員を有し、他の環は6員を有し、少なくとも1つの環はヘテロアリール環である。同様に、6,6−縮合環ヘテロアリーレンは、互いに縮合した2つの環を指し、1つの環は6員を有し、他の環は6員を有し、少なくとも1つの環はヘテロアリール環である。また、6,5−縮合環ヘテロアリーレンは、互いに縮合した2つの環を指し、1つの環は6員を有し、他の環は5員を有し、少なくとも1つの環はヘテロアリール環である。ヘテロアリール基は、炭素またはヘテロ原子を通して、分子の残りの部分に付加することができる。アリールおよびヘテロアリール基の例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられるが、これらに限定されない。上記に示されるアリールおよびヘテロアリール環系のそれぞれについての置換基は、以下に示される許容される置換基の群から選択される。ヘテロアリール基の例としては、ピリジニル、ピリミジニル、チオフェニル、フラニル、インドリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、チアナフタニル、ピロロピリジニル、インダゾリル、キノリニル、キノキサリニル、ピリドピラジニル、キナゾリノニル、ベンゾイソオキサゾリル、イミダゾピリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フリルチエニル、ピリジル、ピリミジル、ベンゾチアゾリル、プリニル、ベンズイミダゾリル、イソキノリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、ジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、またはキノリルが挙げられるが、これらに限定されない。上記の例は、置換または非置換であってもよく、また、上記の各ヘテロアリールの例の二価の基は、ヘテロアリーレンの限定されない例である。
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)のそれぞれは、示された基の置換および非置換形態(本明細書において示されている場合)の両方を含む。各種の基について好ましい置換基は、以下に提供される。
アルキルおよびヘテロアルキル基(多くの場合アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと呼ばれる基を含む)についての置換基は、0から(2m’+1)の範囲の数の、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)2R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、−NRSO2R’、−NR’NR’’R’’’、−ONR’R’’、−NR’C=(O)NR’’NR’’’R’’’’、−CN、−NO2から選択されるがこれらに限定されない様々な基の1つ以上であってもよく、m’は、そのような基における炭素原子の総数である。R、R’、R’’、R’’’、およびR’’’’は、それぞれ、好ましくは独立して水素、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール(例えば、1〜3つのハロゲンで置換されたアリール)、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、R基のそれぞれは独立して選択され、R’、R’’、R’’’、およびR’’’’基のうちの2つ以上が存在する場合、これらの基のそれぞれも独立して選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に付加される場合、それらは窒素原子と結合し、4、5、6、または7員環を形成することができる。例えば、−NR’R’’としては、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。置換基の上記議論から、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば、−CF3および−CH2CF3)ならびにアシル(例えば、−C(O)CH3、−C(O)CF3、−C(O)CH2OCH3等)等の、水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基を含むことを意図することが、当業者に理解される。アルキル基について説明された置換基と同様に、アリールおよびヘテロアリール基についての置換基は多様であり、例えば、0から芳香環系上の開放原子価の総数の範囲の数の、−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)2R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、−NRSO2R’、−NR’NR’’R’’’、−ONR’R’’、−NR’C=(O)NR’’NR’’’R’’’’、−CN、−NO2、−R’、−N3、−CH(Ph)2、フルオロ(C1−C4)アルコキシ、およびフルオロ(C1−C4)アルキルから選択され、式中、R’、R’’、R’’’、およびR’’’’は、好ましくは独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択される。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、R基のそれぞれは独立して選択され、R’、R’’、R’’’、およびR’’’’基のうちの2つ以上が存在する場合、これらの基それぞれも独立して選択される。
2つ以上の置換基が任意に連結されて、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基が形成されてもよい。そのようなないわゆる環形成置換基は、典型的に、必ずではないが、環状基礎構造に付加されることが見られる。一実施形態において、環形成置換基は、基礎構造の近隣のメンバーに付加される。例えば、環状基礎構造の近隣のメンバーに付加された2つの環形成置換基は、縮合環構造を形成する。別の実施形態において、環形成置換基は、基礎構造の単一のメンバーに付加される。例えば、環状基礎構造の単一のメンバーに付加された2つの環形成置換基は、スピロ環状構造を形成する。また別の実施形態において、環形成置換基は、基礎構造の非近隣のメンバーに付加される。
アリールまたはヘテロアリール環の近隣の原子上の置換基のうちの2つは、任意に、式−T−C(O)−(CRR’)q−U−の環を形成してもよく、式中、TおよびUは、独立して、−NR−、−O−、−CRR’−、または単結合であり、qは、0から3の整数である。代替として、アリールまたはヘテロアリール環の近隣の原子上の置換基のうちの2つは、任意に、式−A−(CH2)r−B−の置換基と置き換えられてもよく、式中、AおよびBは、独立して、−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−S(O)2NR’−、または単結合であり、rは、1から4の整数である。そのように形成された新規環の単結合のうちの1つは、任意に二重結合と置き換えられてもよい。代替として、アリールまたはヘテロアリール環の近隣の原子上の置換基のうちの2つは、任意に、式−(CRR’)s−X’−(C’’R’’R’’’)d−の置換基と置き換えられてもよく、式中、sおよびdは、独立して、0から3の整数であり、X’は、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、または−S(O)2NR’−である。置換基R、R’、R’’、およびR’’’は、好ましくは独立して水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択される。
本明細書において使用される場合、「ヘテロ原子」または「環ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、およびケイ素(Si)を含むことを意図する。
「置換基」は、本明細書において使用される場合、以下の部分から選択される基を意味する。
(A)−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、オキソ、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ならびに
(B)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールであって、以下から選択される少なくとも1つの置換基で置換されるもの:
(i)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ならびに
(ii)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールであって、以下から選択される少なくとも1つの置換基で置換されるもの:
(a)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ならびに
(b)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであって、以下から選択される少なくとも1つの置換基で置換されるもの:オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、および非置換ヘテロアリール。
「サイズ限定置換基(size−limited substituent)」または「サイズ限定置換基(size−limited substituent group)」は、本明細書において使用される場合、「置換基」について上述された置換基の全てから選択される基を意味し、各置換または非置換アルキルは、置換または非置換C1〜C20アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは、置換または非置換2〜20員ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは、置換または非置換C3〜C8シクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは、置換または非置換3〜8員ヘテロシクロアルキルである。
「低級置換基(lower substituent)」または「低級置換基(lower substituent group)」は、本明細書において使用される場合、「置換基」について上述された置換基の全てから選択される基を意味し、各置換または非置換アルキルは、置換または非置換C1〜C8アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは、置換または非置換2〜8員ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは、置換または非置換C3〜C7シクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは、置換または非置換3〜7員ヘテロシクロアルキルである。
いくつかの実施形態において、本明細書における化合物において説明される各置換基は、少なくとも1つの置換基で置換される。より具体的には、いくつかの実施形態において、本明細書における化合物において説明される各置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、および/または置換ヘテロアリーレンは、少なくとも1つの置換基で置換される。他の実施形態において、これらの基の少なくとも1つまたは全ては、少なくとも1つのサイズ限定置換基で置換される。他の実施形態において、これらの基の少なくとも1つまたは全ては、少なくとも1つの低級置換基で置換される。
本明細書における化合物の他の実施形態において、各置換もしくは非置換アルキルは、置換もしくは非置換C1〜C20アルキルであってもよく、各置換もしくは非置換ヘテロアルキルは、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキルであり、各置換もしくは非置換シクロアルキルは、置換もしくは非置換C3〜C8シクロアルキルであり、および/または、各置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルは、置換もしくは非置換3〜8員ヘテロシクロアルキルである。
いくつかの実施形態において、各置換もしくは非置換アルキルは、置換もしくは非置換C1〜C8アルキルであり、各置換もしくは非置換ヘテロアルキルは、置換もしくは非置換2〜8員ヘテロアルキルであり、各置換もしくは非置換シクロアルキルは、置換もしくは非置換C5〜C7シクロアルキルであり、および/または各置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルは、置換もしくは非置換5〜7員ヘテロシクロアルキルである。
「薬剤的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載の化合物上に見られる特定の置換基に依存して、比較的非毒性の酸または塩基で調製される活性化合物の塩を含むことを意図する。本発明の化合物が比較的酸性の官能性を含有する場合、塩基付加塩は、そのような化合物の中性形態を、未処理の、または好適な不活性溶媒中の十分な量の所望の塩基と接触させることにより得ることができる。薬剤的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、もしくはマグネシウム塩、または同様の塩が挙げられる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、酸付加塩は、そのような化合物の中性形態を、未処理の、または好適な不活性溶媒中の十分な量の所望の酸と接触させることにより得ることができる。薬剤的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、または亜リン酸等の無機酸から得られるもの、および、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、メタンスルホン酸等の比較的非毒性の有機酸から得られる塩が挙げられる。また、アルギネート等のアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸等の有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge et al.,“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1−19を参照されたい)。本発明のある特定の化合物は、化合物を塩基または酸付加塩のいずれかに変換させる、塩基性および酸性官能性の両方を含有する。
したがって、本発明の化合物は、例えば薬剤的に許容される酸との塩として存在し得る。本発明は、そのような塩を含む。そのような塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩、またはラセミ混合物を含むそれらの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、およびグルタミン酸等のアミノ酸との塩が挙げられる。これらの塩は、当業者に知られた方法により調製され得る。
化合物の中性形態は、好ましくは、塩を塩基または酸と接触させ、従来の様式で親化合物を単離することにより再生される。化合物の親形態は、極性溶媒に対する溶解度等のある特定の物理的特性において、各種塩形態と異なる。
本発明のある特定の化合物は、非溶媒和形態および水和形態を含む溶媒和形態で存在し得る。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含される。本発明のある特定の化合物は、複数の結晶性または非晶質形態で存在し得る。一般に、本発明により企図される用途において、全ての物理的形態が等価であり、本発明の範囲内であることが意図される。
記号
は、化合物の残りの部分に対する置換基の付加点を表す。
本明細書において使用される場合、「塩」という用語は、本発明の方法において使用される化合物の酸性または塩基性塩を指す。許容される塩の実例は、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸等)塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸等)塩、四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等)塩である。
本発明のある特定の化合物は、不斉炭素原子(光学もしくはキラル中心)または二重結合(絶対立体化学の点で(R)−もしくは(S)−として、またはアミノ酸に対しては(D)−もしくは(L)−として定義され得る、鏡像異性体、ラセミ化合物、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体、立体異性体形態)を有し、個々の異性体は、本発明の範囲内に包含される。本発明の化合物は、当該技術分野において、合成および/または単離する上で過度に不安定であることが知られている化合物を含まない。本発明は、ラセミ体および光学的に純粋な形態の化合物を含むことを意図する。光学活性(R)−および(S)−、または(D)−および(L)−異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製されてもよく、または、従来の技術を使用して分割されてもよい。本明細書に記載の化合物が、オレフィン結合または他の幾何学的非対称中心を含有する場合、別段に指定されない限り、化合物は、EおよびZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。
本明細書において使用される場合、「異性体」という用語は、同じ数および種類の原子、すなわち同じ分子量を有するが、原子の構造配列または構成に関して異なる化合物を指す。
「互変異性体」という用語は、本明細書において使用される場合、平衡状態で存在し、一方の異性体形態から別の異性体形態に容易に変換される、2つ以上の構造異性体の1つを指す。
本発明のある特定の化合物は、互変異性体形態で存在してもよく、化合物の全てのそのような互変異性体形態は、本発明の範囲内であることが、当業者に明らかである。
別段に指定されない限り、本明細書に示される構造は、その構造の全ての立体化学形態、すなわち、各不斉中心についてのRおよびS配置を含むこともまた意図する。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、ならびに鏡像異性体およびジアステレオマー混合物は、本発明の範囲内である。
別段に指定されない限り、本明細書に示される構造は、1つ以上の同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物を含むこともまた意図する。例えば、水素が重水素または三重水素により置き換えられた、または炭素が13Cまたは14C濃縮炭素により置き換えられたことを除いては本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
また、本発明の化合物は、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ以上で、不自然な割合の原子同位体を含有し得る。例えば、化合物は、例えば三重水素(3H)、ヨウ素−125(125I)、または炭素−14(14C)等の放射性同位体で放射性標識化されてもよい。本発明の化合物の全ての同位体変形は、放射性であろうとなかろうと、本発明の範囲内に包含される。
「1つ(aまたはan)」という用語は、本明細書において使用される場合、1つ以上を意味する。さらに、「1つ(a(n))の〜で置換される」という語句は、本明細書において使用される場合、指定された基が、挙げられた置換基のいずれかまたは全ての1つ以上で置換されてもよいことを意味する。例えば、アルキルまたはヘテロアリール基等の基が「非置換C1〜C20アルキル、または非置換2〜20員ヘテロアルキルで置換される」場合、この基は、1つ以上の非置換C1〜C20アルキル、および/または1つ以上の非置換2〜20員ヘテロアルキルを含有し得る。さらに、ある部分がR置換基で置換される場合、この基は、「R置換される」と呼ぶことができる。ある部分がR置換される場合、この部分は、少なくとも1つのR置換基で置換され、また各R置換基は、任意に異なる。
本発明の化合物の説明は、当業者に既知の化学結合の原理により限定される。したがって、基がいくつかの置換基のうちの1つ以上により置換され得る場合、そのような置換基は、化学結合の原理に従うように、また本質的に不安定でない、および/または水性、中性、およびいくつかの既知の生理学的条件などの環境条件下で不安定となり得ることが当業者に知られるであろう化合物を与えるように、選択される。例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、当業者に既知の化学結合の原理に従って、環ヘテロ原子を介して分子の残りの部分に付加され、それにより本質的に不安定な化合物を回避する。
真核生物におけるdNTP産生は、デオキシリボヌクレオチド合成における律速段階を触媒するRRにより厳密に制御される(Jordan 1998)。RRは、大サブユニットおよび小サブユニットからなる。人間においては、1つの大サブユニット(M1とも呼ばれるRRM1)ならびに2つの小サブユニット(M2とも呼ばれるRRM2、およびp53R2)が特定されている(Tanaka 2000;Liu 2006)。小RRサブユニットは、触媒中に電子的変換の開始に必要なチロシル遊離基を安定化させる2つの等価な二核鉄中心を形成する(Ochiai 1990;Cooperman 2003;Liu 2006)。
RRM1は、基質と、RRホロ酵素活性および基質特異性を制御するアロステリックエフェクター部位とを含有する、170Kd二量体である(Cory 1983;Wright 1990;Cooperman 2003;Liu 2006)。
RRM2は、チロシン遊離基と、酵素活性のための非ヘム鉄とを含有する、88Kd二量体である(Chang 1979)。p53R2は、イントロン1にp53結合部位を含有し、RRM2との著しい類似性を有する351アミノ酸ペプチドをコードする(Tanaka 2000)。RRM2およびp53R2は、アミノ酸配列の80%の類似性を有する(Tanaka 2000)。
p53R2は、p53の転写標的として特定されており(Nakano 2000;Tanaka 2000;Yamaguchi 2001)、一方RRM2は、NF−YおよびE2F等の細胞周期関連因子により転写制御される(Filatov 1995;Currie 1998;Chabes 2004;Liu 2004)。したがって、RRM2ではなくp53R2の発現は、紫外(UV)光、ガンマ線照射、またはドキソルビシン(Dox)治療により、p53依存的様式で誘発される(Lozano 2000;Tanaka 2000;Guittet 2001)。p53変異または欠失細胞において、RRM2は、UV照射に暴露された細胞のDNA修復プロセスにおいて、p53R2を置き換えることができる(Zhou 2003;Liu 2005)。p53R2は、RRM2よりも強い還元能力を有することが判明しており、これはp21の安定化においてシャペロン効果を提供し得る(Xue 2007)。
RB腫瘍抑制因子は、細胞周期の進行を制御するためのメカニズムとして、RRサブユニットを抑制することが観察されている(Elledge 1990)。しばしば腫瘍内で観察されるRB不活性化は、dNTPレベルの上昇、ならびにそれに伴う5−フルオロウラシル(5−Fu)およびHU等の薬物に対する腫瘍細胞の耐性をもたらす(Angus 2002)。RRM2サブユニットの過剰発現は、いくつかの活性化されたがん遺伝子との連携により、形質転換および腫瘍形成能を促進する(Fan 1998)が、RRM1サブユニットの過剰発現は、悪性度をインビボで抑制する(Fan 1997)。RRM2の発現の増加は、がん細胞の薬物耐性を増加させ、侵襲性を増加させることが判明しており、一方RRM2抑制は、薬物耐性の逆転をもたらし、腫瘍細胞の増殖の低下をもたらす(Zhou 1995;Huang 1997;Zhou 1998;Goan 1999;Chen 2000;Nakano 2000;Kuschak 2002)。正常な細胞は、非増殖状態において、非常に低レベルのRRを発現し、一方ほとんどの腫瘍細胞は、RRを過剰発現し、それによりDNA合成および細胞増殖のためのdNTPプールを供給する。したがって、RRM2の特異的阻害が、抗腫瘍の利点を提供し得る。
RRは、がん治療の重要な標的であるが、臨床的にはヒドロキシウレア(HU)、3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン(3−AP、Triapine(登録商標))、およびGTI2040の3つのRR阻害剤しか使用されていない。チロシル遊離基を低減することによりDNA合成を遮断するHUは、30年以上にわたりがん治療薬として市販されており、商業的に入手可能な唯一のRR阻害剤である(Nocentini 1996)。しかしながら、HU治療に対する耐性が、一般的な問題である(Lassmann 1992;Nyholm 1993;Le 2002)。RRを不活性化する小分子鉄キレート剤である3−APは、低酸素、呼吸困難、および赤血球のメトヘモグロブリンをもたらすことが判明している。さらに、3−APは、RRM2の代わりにp53R2を選択的に標的化する。アンチセンス分子であるGTI2040は、今までのところ、ヒトに対する臨床試験において非効果的である。これらの3つのRR阻害剤に関する他の問題は、不完全なRR遮断、短い半減期、およびRRの再生である。さらに、p53R2の変異は、がんではないが、遺伝性のミトコンドリア欠失症候群をもたらし、p53R2ノックアウトマウスは、腎尿細管障害を示すが、明確ながん成長は示さない(Kimura 2003)。これらの観察は、RRM2が、腫瘍増殖および転移能を担い、一方DNA損傷により誘発されるp53R2が、DNA修復のシグナル伝達を行うことを示唆している。したがって、がん治療における使用に理想的なRR阻害剤は、HUよりも高い効力、3−APよりも低い鉄キレート化能力、およびRRM2の特異的標的化を有するものである。
本明細書において開示されるように、RRM2は、抗がん標的として検証されている。siRNAによるRRM2の抑制は、ヒトHepG2肝臓がん細胞を移植されたマウスにおける腫瘍成長を減少させることが判明した。RRM2の発現は、がん細胞において、対応する正常細胞よりも著しく高いことが見出された。さらに、RRM2でトランスフェクトされたヒトKBおよびPC3細胞は、トランスフェクトされていないそれらの細胞に比べて増加した侵襲性を示したが、これは、RRM2ががん細胞の侵襲性を高めることを示唆している。
RRを阻害する化合物を特定するために、NCI Developmental Therapeutics Program(DTP)からの多様な化合物ライブラリがスクリーニングされた。RRM1/RRM2活性を80%以上阻害した、このスクリーニングにおいて特定された4つの化合物のうちの3つは、同様の構造骨格、NCI−3が共通していた。NCI−3は、以下の構造を有する:
スクリーニングプロセスからの最初のヒットは、RR阻害剤COH1、COH2、COH4、COH20、およびCOH29を得るために合成的および合理的に最適化され、それらの構造は以下に示される。
COH29(N−(4―(3,4−ジヒドロキシフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−イル)−3,4−ジヒドロキシベンズアミド):
これらの化合物のそれぞれは、著しい程度までRRを阻害する能力を示し、COH20およびCOH29は両方とも、広範ながん細胞の型にわたってがん細胞成長を阻害する能力を示した。したがって、ある特定の実施形態において、本出願は、新規RR阻害剤、組成物、製剤、およびこれらの阻害剤の1つ以上を含むキット、ならびに、RRを阻害する、細胞の成長もしくは増殖を阻害する、がんを治療する、および/または幹細胞増殖を阻害するためにこれらの阻害剤を使用する方法を開示する。
COH20は、薬理作用団(RR活性の阻害のため)、結合基(選択性のため)、ならびに連結基(薬理作用団および結合基を接続するため)の3つの基本構造単位からなる。本明細書において開示されるように、COH20は、インビトロでの組み換えおよび細胞内RRの両方の低マイクロモル範囲の阻害を示し、dNTPプールの減少をもたらした。生化学分析では、COH20がRRM2を標的化することが明らかとなった。RRM1/RRM2複合体への結合後、COH20は、RRM1とRRM2との間の界面のV字ポケットに存在し、新規カテコール基安定化メカニズムにより、遊離基伝達経路を遮断すると思われる。COH20のサイズおよび化学組成、ならびに二核鉄中心までの距離を考慮すると、(このポケット内の)結合したリガンドは、3−APのように鉄キレート化を受けやすい、または、HUのように最初に形成されたチロシル遊離基の直接的クエンチに関与するとは思われない。COH20は、ヒト白血病細胞株REHおよびMOLT−4、ヒト前立腺がん細胞株LNCaP、ならびにヒト口腔咽頭がん細胞株KBの成長を、10μM未満の濃度にてインビトロで阻害する一方で、HUよりも低い正常線維芽細胞に対する細胞傷害性を示すことが判明した。また、COH20は、3−APよりも高いHU耐性細胞株KBHURに対する細胞傷害性を示したが、これは、HU薬物耐性を克服することができることを示している。COH20は、3−APまたはHUよりも低い濃度(それぞれ80μM対200μMおよび>1000μM)でKBMDR細胞に対する細胞傷害性を示し、これは、COH20が3−APよりも効果的にMDRを回避することを示している。さらに、COH20は、マウスに投与された場合非常に低い毒性を有し、鉄キレート化またはメトヘモグロブリンの証拠を示さなかった。
本明細書において開示されるように、COH29は、以下を含む広範なヒトがん細胞株に対して有望な成長阻害効果を示した。
・ヒト非小細胞肺がん細胞株NCI−H23、NCI−H522、A549−ATCC、EKVX、NCI−H226、NCI−H332M、H460、H0P62、HOP92;
・ヒト結腸がん細胞株HT29、HCC−2998、HCT116、SW620、COLO205、HCT15、KM12;
・乳がん細胞株MCF7、MCF7ADRr、MDAMB231、HS578T、MDAMB435、MDN、BT549、T47D;
・卵巣がん細胞株OVCAR3、OVCAR4、OVCAR5、OVCAR8、IGROV1、SKOV3;
・ヒト白血病細胞株CCRFCEM、K562、MOLT4、HL60、RPMI8266、SR;
・腎臓がん細胞株UO31、SN12C、A498、CAKI1、RXF393、7860、ACHN、TK10;
・黒色腫細胞株LOXIMVI、MALME3M、SKMEL2、SKMEL5、SKMEL28、M14、UACC62、UACC257;
・前立腺がん細胞株PC3、DU145;および
・CNSがん細胞株SNB19、SNB75、U251、SF268、SF295、SM539。
ある特定の実施形態において、COH29は、結腸がん細胞株HT29、黒色腫がん細胞株UACC−257、卵巣がん細胞株NCI/ADR−RES、および腎臓がん細胞株CAKI−1を除くNCI60ヒトがん細胞株に対し、約10μM未満のGI50を示した。さらに、COH29の薬物動態研究では、COH29が静脈内ボーラスで投与された場合、用量依存的な様式が示された。
COH4、COH20およびCOH29は、以前に開示されたRR阻害剤に勝る著しい利点を提供する、高い抗腫瘍活性を有する独特のRR阻害剤である。具体的には、COH20は、HUよりも高い効力を伴ってRRM1/RRM2界面におけるラジカル伝達経路に干渉する独特のメカニズムおよび標的特異性、ならびに3−APにおいて観察される鉄キレート化関連副作用の改善を提供する。したがって、本明細書において、小分子RR阻害剤、ならびに、RRを阻害するために、およびがんを処置するためにこれらの阻害剤を使用する方法が、ある特定の実施形態で提供される。本明細書において開示される阻害剤は、がん治療の一般的な障害であるHU耐性を克服することができ、また、多剤耐性も克服することができる。
ある特定の実施形態において、本明細書において開示される新規RR阻害剤は、COH1、COH2、COH4、COH20、もしくはCOH29、またはその薬剤的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、もしくはプロドラッグ誘導体である。
ある特定の実施形態において、本明細書において開示される新規RR阻害剤は、
またはその薬剤的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、もしくはプロドラッグ誘導体であり、式中、
R
1およびR
2は、独立して、水素、アルキル、およびアリール基からなる群から選択され、
R
3は、アルキル基からなる群から選択され、
Xは、Br、ハロゲン、アルキルおよびアリール基からなる群から選択される。
ある特定の実施形態において、本明細書において開示されるRR阻害剤は、
またはその薬剤的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、もしくはプロドラッグ誘導体であり、式中、
Xは、ハロゲン、置換および非置換アルキルならびに置換および非置換アリール基からなる群から選択され、
R
1〜R
2は、独立して、H、OH、置換および非置換アルキル、ならびに置換および非置換アリール基からなる群から選択され、
R
1〜R
2は、互いに組み合わさって環を形成してもよく、環は、アリールまたは非アリールである。
本明細書において使用される場合、「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、IおよびAtを意味する。
本明細書において開示されるRR阻害剤は、RRM2を特異的に標的化し、RRM1とRRM2との間の相互作用を阻害し、RR複合体の活性を阻害する。したがって、これらの阻害剤は、RRM2の過剰発現に関連するがん、または好適な治療指数が存在するがんを含む、ある特定のがんに対して使用され得る。本明細書において開示されるように、RRM2は、正常細胞に比べ乳がん細胞において過剰発現し得、外来性RRM2の発現が、がん細胞の侵襲性を増加させる。本明細書において開示される阻害剤は、インビトロで複数の型のがん細胞の成長を阻害することが示されており、広範ながんを治療するためのこれらの阻害剤の使用を後押ししている。
以前の研究では、RRM2が結腸の幹細胞において高度に発現することが示されている(Liu 2006)。結腸がんの初期段階において、RRM2発現は若干減少する。しかしながら、一度腫瘍が侵襲性となると、RRM2発現は著しく増加する。これらの結果は、RRM2発現ががん細胞の侵襲性の増加に関連しているという本明細書における所見を裏付けている。さらに、これらの結果は、がんを生成する幹細胞の成長または増殖を阻害し、それによりある特定のがんの型の発症を予防または抑制するための、本明細書に開示される阻害剤の使用を後押ししている。
がんに加えて、本明細書において開示される阻害剤は、RRまたはRR過剰発現に関連した他の状態、例えば、様々なミトコンドリア病、レドックス関連疾患、または変性疾患等を治療するために使用され得る。さらに、阻害剤は、RRを発現する細胞の成長または増殖を阻害するために使用され得る。
ある特定の実施形態において、本明細書において開示される小分子RR阻害剤の小規模および大規模合成の両方のための方法が、本明細書において提供される。ある特定のこれらの実施形態において、合成される小分子RR阻害剤は、COH29である。本明細書において提供される方法を使用して合成される小分子RR阻害剤は、当該技術分野において知られた様々な方法により精製され得る。使用され得る具体的精製ステップは、例えば、沈殿、磨砕、結晶化、またはシリカゲルクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー技術を含む。
ある特定の実施形態において、COH29の合成のための方法が提供される。ある特定のこれらの実施形態において、出発物質は、以下の構造:
を有する化合物であり、式中、R
1、R
2、およびR
3は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アルキルである。ある特定のこれらの実施形態において、出発物質化合物は、ベラトロール(1,2−ジメトキシベンゼン)であり、これは、以下の構造:
を有する。
ある特定の実施形態において、COH29の合成における第1のステップは、出発物質化合物の、以下の構造:
を有する第一の中間化合物への変換であり、式中、Rは、例えばフェニルを含む置換または非置換アリールであり、R
1、R
2、およびR
3は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アルキルである。ある特定のこれらの実施形態において、第1の中間化合物は、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−フェニルエタノンであり、これは、以下の構造:
を有する。
ある特定の実施形態において、出発物質化合物は、出発物質化合物をジクロロメタン(CH
2Cl
2)中の無水AlCl
3を含む混合物に添加することにより、第1の中間化合物に変換され、化合物は、構造:
を有し、式中、Rは、例えばフェニルを含む置換または非置換アリールである。ある特定の実施形態において、構造IVの化合物は、フェニルアセチルクロリドである。ある特定の実施形態において、第1の中間化合物は、例えばジクロロメタンおよび/またはヘキサンを使用して、合わせた有機層から沈殿される。ある特定の実施形態において、本明細書において提供されるCOH29合成法の第1のステップは、以下のように要約される:
ある特定の実施形態において、COH29の合成における第2のステップは、構造IIIの第1の中間化合物の、構造:
を有する第2の中間化合物への変換であり、式中、Rは、例えばフェニルを含む置換または非置換アリールであり、R
1、R
2、R
3、およびR
7は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アルキルである。ある特定のこれらの実施形態において、第2の中間化合物は、4−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−アミンであり、これは、構造:
を有する。
ある特定の実施形態において、第1の中間化合物は、第1の中間化合物およびピリジニウムトリブロミドをジクロロメタンに溶解し、続いて洗浄および乾燥を行うことにより、第2の中間化合物に変換される。ある特定の実施形態において、乾燥された反応混合物は、次いでエタノール中のチオ尿素と混合される。ある特定の実施形態において、得られた生成物は、濃縮され、洗浄され、磨砕および乾燥により精製され得る。
ある特定の実施形態において、本明細書において提供されるCOH29合成法の第2のステップは、以下のように要約される:
ある特定の実施形態において、COH29の合成における第3のステップは、構造Vの第2の中間化合物の、構造:
を有する第3の中間化合物への変換であり、式中、Rは、例えばフェニルを含む置換または非置換アリールであり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、およびR
7は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アルキルである。ある特定のこれらの実施形態において、第2の中間化合物は、N−(4−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−イル)−3,4−ジメトキシベンズアミドであり、これは、構造:
を有する。
ある特定の実施形態において、第2の中間化合物は、第2の中間化合物、4−ジメチルアミノピリジン、およびEt3Nを、3,4−ジメトキシ安息香酸および塩化チオニルで処理されたジメチルホルムアミドを含有する酸塩化物溶液に添加することにより、第3の中間化合物に変換される。ある特定の実施形態において、反応は、NaHCO3でクエンチされ得る。ある特定の実施形態において、得られた懸濁液は、ジクロロメタンで抽出されてもよく、ある特定のこれらの実施形態において、抽出された生成物は、ヘキサンを使用して磨砕されてもよい。
ある特定の実施形態において、本明細書において提供されるCOH29合成法の第3のステップは、以下のように要約される:
ある特定の実施形態において、COH29の合成における第4のステップは、構造VIの第3の中間化合物のCOH29への変換である。ある特定のこれらの実施形態において、第3の中間化合物は、トルエン中の三臭化ホウ素と混合され、ある特定のこれらの実施形態において、反応は、エタノールでクエンチされ、続いて水から沈殿される。ある特定の実施形態において、得られた生成物は、1つ以上の精製ステップを受ける。ある特定のこれらの実施形態において、生成物は、C−18シリカゲルを使用して精製され、続いて任意に結晶化される。
ある特定の実施形態において、本明細書において提供されるCOH29合成法の第4のステップは、以下のように要約される:
ある特定の実施形態において、COH29の合成は、50%以上の最終収量をもたらし、ある特定のこれらの実施形態において、最終収量は60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上である。
ある特定の実施形態において、図26に示される合成経路を使用したCOH29の大規模合成のための方法が提供される。
以下の例は、請求される発明をより良く例示するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。特定の物質が挙げられている場合、これは例示のみを目的とし、本発明を限定することを意図しない。当業者は、発明力を行使することなく、本発明の範囲から逸脱せずに、同等の手段または反応物質を考案することができる。
ある特定の実施形態において、式:
を有する化合物が提供される。
構造VIAにおいて、Rは、置換または非置換アリールである。実施形態において、Rは、非置換フェニルである。R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、およびR
7は、独立して、水素、−OH、−NH
2、−SH、−CN、−CF
3、−NO
2、オキソ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。実施形態において、R
7は、−OH、−NH
2、−SH、−CN、−CF
3、−NO
2、オキソまたはハロゲンではない。R
8、R
9、R
10およびR
11は、独立して、ヒドロキシル保護基である。R
8およびR
9は、任意で、互いに連結して置換または非置換ヘテロシクロアルキル(例えば5員ヘテロシクロアルキル)を形成する。R
10およびR
11は、任意で、互いに連結して置換または非置換ヘテロシクロアルキル(例えば5員ヘテロシクロアルキル)を形成する。R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、およびR
7はまた、独立して、水素、置換もしくは非置換アリール(例えばフェニル)、または置換もしくは非置換アルキル(例えばC
1〜C
10アルキル)であってもよい。
R1、R2、R3、R4、R5、R6、またはR7が、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリールまたは置換ヘテロアリールである場合、置換基は、上で定義されたような置換基であってもよい。置換基はまた、上で定義されたようなサイズ限定置換基であってもよい。置換基はまた、上で定義されたような低級置換基であってもよい。
Rが置換された置換アリールである場合、置換基は、上で定義されたような置換基であってもよい。置換基はまた、上で定義されたようなサイズ限定置換基であってもよい。置換基はまた、上で定義されたような低級置換基であってもよい。
実施形態において、R8、R9、R10およびR11は、独立して、置換もしくは非置換アルキル(例えばC1〜C10アルキル)、置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば2〜10員ヘテロアルキル)、置換もしくは非置換シクロアルキル(例えばC3〜C8シクロアルキル)、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば3〜6員ヘテロシクロアルキル)、置換もしくは非置換アリール(例えばフェニル)、または置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば5〜6員ヘテロアリール)である。実施形態において、R8、R9、R10およびR11は、置換もしくは非置換アルキル(例えばC1〜C10アルキル)、置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば2〜10員ヘテロアルキル)、または置換もしくは非置換アリール(例えばフェニル)である。実施形態において、R8、R9、R10およびR11は、独立して、置換シリルである。「置換シリル」は、本明細書において使用される場合、ヘテロ原子の少なくとも1つがケイ素原子である置換ヘテロアルキルを指す。ケイ素原子は、保護されているヒドロキシルの酸素原子に直接付加し、それによりシリルエーテルを形成し得る。実施形態において、置換シリルは、非置換アルキル(例えばC1〜C5アルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば2〜5員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えばC3〜C6シクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば3〜6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えばフェニル)、または非置換ヘテロアリール(例えば5〜6員ヘテロアリール)で置換される。実施形態において、置換シリルは、非置換アルキル(例えばC1〜C5アルキル)、非置換アリール(例えばフェニル)、または非置換ヘテロアリール(例えば5〜6員ヘテロアリール)で置換される。関連する実施形態において、置換シリルのケイ素原子は、化合物の残りの部分の酸素原子に直接付加し、それによりシリルエーテルを形成する。
R8、R9、R10およびR11が、置換アルキル、置換ヘテロアルキル(例えば置換シリル)、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリールまたは置換ヘテロアリールである場合、置換基は、上で定義されたような置換基であってもよい。置換基はまた、上で定義されたようなサイズ限定置換基であってもよい。置換基はまた、上で定義されたような低級置換基であってもよい。
R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7はまた、独立して、水素、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、オキソ、ハロゲン、R17置換もしくは非置換アルキル(例えばC1〜C10アルキル)、R17置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば2〜10員ヘテロアルキル)、R17置換もしくは非置換シクロアルキル(例えばC3〜C8シクロアルキル)、R17置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば3〜6員ヘテロシクロアルキル)、R17置換もしくは非置換アリール(例えばフェニル)、またはR17置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば5もしくは6員ヘテロアリール)であってもよい。実施形態において、R7は、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、オキソまたはハロゲンではない。R8およびR9は、任意で、互いに連結してR18置換または非置換ヘテロシクロアルキル(例えば5員ヘテロシクロアルキル)を形成してもよい。R10およびR11は、任意で、互いに連結してR19置換または非置換ヘテロシクロアルキル(例えば5員ヘテロシクロアルキル)を形成してもよい。Rは、R19A置換または非置換アリールであってもよい。R8、R9、R10およびR11は、R19B置換もしくは非置換アルキル(例えばC1〜C10アルキル)、R19B置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば2〜10員ヘテロアルキル)、R19B−置換もしくは非置換シクロアルキル(例えばC3〜C8シクロアルキル)、R19B置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば3〜6員ヘテロシクロアルキル)、R19B置換もしくは非置換アリール(例えばフェニル)、またはR19B置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば5もしくは6員ヘテロアリール)であってもよい。
R12、R13、R14、R15、およびR16は、独立して、R19C置換もしくは非置換アルキル(例えばC1〜C10アルキル)、R19C置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば2〜10員ヘテロアルキル)、R19C置換もしくは非置換シクロアルキル(例えばC3〜C8シクロアルキル)、R19C置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば3〜6員ヘテロシクロアルキル)、R19C置換もしくは非置換アリール(例えばフェニル)、またはR19C置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば5もしくは6員ヘテロアリール)であってもよい。R12、R13、R14、R15およびR16は、独立して、R19C置換もしくは非置換アルキル(例えばC1〜C10アルキル)、またはR19C置換もしくは非置換アリール(例えばフェニル)であってもよい。
各R17、R18、R19、R19A、R19BおよびR19Cは、独立して、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、オキソ、ハロゲン、R20置換もしくは非置換アルキル(例えばC1〜C10アルキル)、R20置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば2〜10員ヘテロアルキル)、R20置換もしくは非置換シクロアルキル(例えばC3〜C8シクロアルキル)、R20置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば3〜6員ヘテロシクロアルキル)、R20置換もしくは非置換アリール(例えばフェニル)、またはR20置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば5もしくは6員ヘテロアリール)である。各R20は、独立して、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、オキソ、ハロゲン、R21置換もしくは非置換アルキル(例えばC1〜C10アルキル)、R21置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば2〜10員ヘテロアルキル)、R21置換もしくは非置換シクロアルキル(例えばC3〜C8シクロアルキル)、R21置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば3〜6員ヘテロシクロアルキル)、R21置換もしくは非置換アリール(例えばフェニル)、またはR21置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば5もしくは6員ヘテロアリール)である。各R21は、独立して、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、オキソ、ハロゲン、非置換アルキル(例えばC1〜C10アルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば2〜10員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えばC3〜C8シクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば3〜6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えばフェニル)または非置換ヘテロアリール(例えば5もしくは6員ヘテロアリール)である。
実施形態において、各R17、R18、R19、R19A、R19BおよびR19Cは、独立して、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、オキソ、ハロゲン、非置換アルキル(例えばC1〜C10アルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば2〜10員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えばC3〜C8シクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば3〜6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えばフェニル)、または非置換ヘテロアリール(例えば5もしくは6員ヘテロアリール)である。
実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、独立して、水素、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、オキソ、ハロゲン、非置換アルキル(例えばC1〜C10アルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば2〜10員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えばC3〜C8シクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば3〜6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えばフェニル)、または非置換ヘテロアリール(例えば5もしくは6員ヘテロアリール)である。実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7の少なくとも1つは、水素である。実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7の少なくとも2つは、水素である。実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7の少なくとも3つは、水素である。実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7の少なくとも4つは、水素である。実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7の少なくとも5つは、水素である。実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7の少なくとも6つは、水素である。実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、水素である。
実施形態において、R8、R9、R10およびR11は、独立して、非置換アルキル(例えばC1〜C10アルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば2〜10員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えばC3〜C8シクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば3〜6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えばフェニル)、または非置換ヘテロアリール(例えば5もしくは6員ヘテロアリール)である。
実施形態において、R
8、R
9、R
10およびR
11は、独立して、活性化エチレン保護基、ベンジルエーテル保護基、ケイ素系カーボネート保護基、または環式アセタール保護基である。実施形態において、R
8、R
9、R
10およびR
11は、メチルベンジル、p−メトキシベンジル、アリル、トリチル、p−メトキシフェニル、テトラヒドロピラニル、メトキシメチル、1−エトキシエチル、2−メトキシ−2−プロピル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2−トリメチルシリルエトキシメチル、メチルチオメチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、
または
である。記号nは、0または1である。R
12は、水素、−OH、−OR
16、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。実施形態において、R
12は、水素、−OH、−OR
16または置換もしくは非置換アルキルである。実施形態において、R
12は、水素である。R
16は、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。実施形態において、R
16は、置換または非置換アルキルである。R
13、R
14およびR
15は、独立して、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。実施形態において、R
13、R
14およびR
15は、独立して、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換アリールである。
R12、R13、R14、R15およびR16が、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリールまたは置換ヘテロアリールである場合、置換基は、上で定義されたような置換基であってもよい。置換基はまた、上で定義されたようなサイズ限定置換基であってもよい。置換基はまた、上で定義されたような低級置換基であってもよい。
実施形態において、R12は、水素、メチルまたは−OCH3である。R13、R14およびR15は、非置換C1〜C5アルキルまたは非置換フェニルであってもよい。実施形態において、R13、R14およびR15は、非置換C1〜C5アルキルであってもよい。
実施形態において、Rは、非置換アリール(例えばフェニル)である。R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、独立して、水素、非置換アリール(例えばフェニル)、または非置換アルキル(例えばC1〜C5アルキル)であってもよい。
実施形態において、R
8およびR
9は、任意に、互いに連結してアセタール保護基を形成し、R
10およびR
11は、任意に、互いに連結してアセタール保護基を形成する。「アセタール保護基」は、化学合成の分野におけるその一般的な意味に従って使用され、アセタール基は、カテコールヒドロキシル部分を保護するために頻繁に使用される。アセタール保護基は、式:
を有し得る。
構造VICにおいて、R
22およびR
23は、独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル(例えばC
1〜C
5アルキル、例えばメチル)または置換もしくは非置換アリール(例えばフェニル)である。記号
は、カテコール酸素原子(すなわち、それぞれR
8、R
9およびR
10、ならびにR
11に付加した酸素原子)への付加点を表す。実施形態において、R
22およびR
23は、独立して、水素、非置換アルキル(例えばC
1〜C
5アルキル、例えばメチル)または非置換アリール(例えばフェニル)である。いくつかの実施形態において、R
22およびR
23は、水素である。実施形態において、R
22およびR
23は、非置換アルキル(例えばC
1〜C
5アルキル)である。実施形態において、R
22およびR
23は、メチルである。いくつかの実施形態において、R
22およびR
23は、非置換アリール(例えばフェニル)である。実施形態において、アセタール保護基は、ジフェニルメチレンアセタールである。
実施形態において、構造VIAの化合物は、式:
を有する。
構造VIBにおいて、R、R
8、R
9、R
10およびR
11は、上で定義された通りであり、その全ての実施形態を含む。構造VIAまたはVIBの化合物の実施形態において、Rは、非置換アリールである。構造VIまたはVIBの実施形態において、Rは、非置換フェニルである。
実施形態において、構造VIAの化合物もしくはその実施形態、または構造VIBの化合物もしくはその実施形態、および有機溶媒(例えば、極性非プロトン性溶媒の非極性溶媒)を含む組成物が提供される。実施形態において、有機溶媒は、非極性溶媒(例えば、トルエンまたは1,4−ジオキサン)である。実施形態において、有機溶媒は、ジオキサンである。実施形態において、有機溶媒は、極性非プロトン性溶媒(例えば、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのアセトニトリル)である。実施形態において、有機溶媒は、ジメチルホルムアミドである。
実施形態において、構造VIAの化合物もしくはその実施形態、または構造VIBの化合物もしくはその実施形態、およびヒドロキシル脱保護剤を含む組成物が提供される。ヒドロキシル脱保護剤は、本明細書に記載のようなヒドロキシル保護基の除去において有用な化学薬剤である。有用な化学薬剤は、ヒドロキシル脱保護剤として、構造VIAの化合物およびその実施形態、構造VIBの化合物およびその実施形態、ならびに構造VIDの化合物およびその実施形態の分解を最小限とするように選択される。実施形態において、脱保護剤は、還元剤、酸性薬剤または塩基性薬剤である。実施形態において、脱保護剤は、三臭化ホウ素、アリールメチルエーテル、テトラブチルアンモニウムフルオリド、還元剤(例えば、水素/Pd/C等のパラジウム還元剤)、金属酸性薬剤(例えば、Zn/酢酸もしくはZn/HCl等のZn/酸)またはアンモニアである。
ある特定の実施形態において、構造:
を有する化合物を合成するための方法が提供される。
方法は、(上述のような)ヒドロキシル脱保護剤を、式:
を有する化合物と接触させることを含む。
構造VIAおよび構造VIDにおいて、R、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11は、上で定義された通りであり、全ての実施形態を含む。実施形態において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、およびR
7は、独立して、水素、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アルキルである。R
8、R
9、R
10およびR
11は、独立して、ヒドロキシル保護基であってもよい。R
8およびR
9は、任意で、互いに連結して置換または非置換ヘテロシクロアルキルを形成する。R
10およびR
11は、任意で、互いに連結して置換または非置換ヘテロシクロアルキルを形成する。
実施例1:抗がん治療の標的としてのRRM2の確認:
RRM2−ルシフェラーゼ融合コンストラクト(「pR2Luc」)を、単独で、またはRRM2 siRNA(「siR2B+5」)と組み合わせて、流体力学的尾静脈注射(HPTV)[プラスミド0.25mg/kg、siRNA 1.25mg/kg]により、ヒトHepG2肝臓がん細胞を移植された雌BALB/cマウスに投与した。インビボ生体発光画像法により、数週間にわたるマウス肝臓がん細胞内での強力な下方制御が明らかとなった(図1)。RRM2 siRNAと組み合わせてRRM2が与えられたマウスは、単独で、または対照siRNA(「siCONTROL」)と組み合わせてRRM2が与えられたマウスに比べ、腫瘍成長の大幅な減少を示した。これらの結果は、RRM2が、がんの成長において重要な役割を担い、治療薬剤として認められることを示唆している。
RRM2 mRNA発現レベルは、35の新鮮な凍結ヒト乳がん細胞生検および対応する正常組織試料におけるRT−PCRにより測定した。最適なPCRプライマーならびにRRM2およびβ−アクチンハウスキーピング遺伝子のプローブ濃度は、増幅中に最大効率に達するように決定した。PCR反応は、Taqman PCRミックス(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)を使用し、各試料からの1μLのcDNAを添加して20μl最終体積で行った。対応する正常組織に比べ、乳がん組織においてRRM2発現の著しい増加が観察された(p<0.05)(図2A)。ウエスタンブロットでは、胎児肝臓および精巣以外の正常なヒト組織が、低レベルのRRM2を示し、一方がん細胞は、大幅に高いレベルのRRM2を発現することが示された(図2B)。
ヒト口腔咽頭がん細胞KB(野生型p53)およびヒト前立腺がんPC3(切断p53)細胞を、センスRRM2(それぞれKBM2およびPC3M2)ならびに対照ベクターでトランスフェクトし、生じたRRM2の過剰発現を、ウェスタンブロット分析により確認した。トランスフェクタントを、Bordenチャンバー内のMatrigelの上層に塗布した。72時間後、下層に侵入した細胞をアルコールで固定し、メチレンブルーで染色し、計数し、試験した。RRM2トランスフェクト細胞は、非トランスフェクト細胞と比較して、侵襲性の増加を示した(図3)。
実施例2:新規RR阻害剤の特定:
潜在的RR阻害剤を特定するために、NCI Developmental Therapeutics Program(DTP)からの多様な化合物ライブラリを、仮想スクリーニングプロセスに供した。DTPライブラリは、2,000種類の異なる化合物を含む。RRM1/RRM2界面に近接するが、鉄キレート化副作用を回避するために二チロシル−二鉄中心から離れている潜在的阻害剤化合物を特定するために、X線結晶構造(PDB 2UW2)から特定されたヒトRRM2上の新規リガンド結合ポケットを選択した。ヒトおよびマウスRRM2タンパク質ファミリーの中で保存された32アミノ酸残基からなるこのリガンド結合ポケットは、RRM1/RRM2界面に近接する。リガンド結合ポケットの構造を、図4に示す。ポケットは、C末端ドメインの螺旋α7、α8およびα10からなる。V字ポケットの狭い内部末端は、二チロシル二鉄クラスター中心の背面近くの疎水性残基と並んでいる。ポケットの開放端の近くに位置するD271、R330、およびE334等の極性残基は、柔軟なC末端と潜在的に相互作用し得る。ポケットは、ほとんど、表面に露出した荷電残基を有する内部疎水性残基と並んでいる。
リガンド結合ポケットにドッキングした化合物は、TRIPOS FlexXドッキングツールを使用して特定され、包埋コンセンサスドッキングスコアを使用してランク付けした。仮想スクリーニングにおいて3−APの結合親和性以上の結合親和性を示した上位80のRR阻害剤候補を、小分子阻害剤の効力およびサブユニット選択性を決定するために、既知の半ハイスループットホロ酵素ベースアッセイを使用したインビトロスクリーニングに供した(Shao 2005)。アッセイは、組み換えRRM1/RRM2またはRRM1/RRM2複合体を使用し、HPLCにより[
3H]CDP還元活性(すなわち、CDPからdCDPへの)を測定した。10種類の化合物が、天然RRM1/RRM2活性をインビトロで50%超阻害する能力を示し、4種類のこれらの化合物は、酵素活性を80%以上阻害した。80%以上の阻害を示す4種類の化合物のうちの3種類は、同様の構造骨格を共有しており(NCI−3、NSC#659390、およびNSC#45382)、また、他の試験化合物よりも良好な溶解度および低い毒性を示した。NCI−3(ジヒドロキシフェニルチアゾール、DHPT)は、以下の構造を有する:
図5に示される戦略を使用して、一連のNCI−3類似体を合成した。アミノチアゾール基に様々なR基を付加することにより、さらなる24のNCI−3類似体を作製した。このようにして生成された化合物は、COH1、COH2、COH4、COH20およびCOH29を含んでいた。
実施例3:新規NCI−3類似体の特性決定:
実施例2において合成されたNCI−3およびNCI−3類似体の、RR活性を阻害する能力を、上述のインビトロホロ酵素アッセイを使用して試験した。COH4は、顕著なRR阻害を示した。COH20はさらにより効果的であり、インビトロで組み換えRRM1/RRM2複合体の90.2%の阻害をもたらした(図6)。各種化合物のIC50の結果を、表1に示す。
3−APとは著しく対照的に、COH20によるRRの阻害は、鉄の添加により実質的に影響を受けなかった(表2)。
部位特異的突然変異誘発、Biacore分析、およびNMR飽和移動差(STD)分析を行って、結合ポケットおよびCOH20とRRM2との間のリガンド/タンパク質相互作用を検証した。RRM2点突然変異は、結合ポケットにおけるある特定の主要な残基を突然変異させることにより生成した。これらの残基は、それぞれ荷電して結合ポケットの表面上に存在するY323、D271、R330およびE334、ならびにポケット内深くに位置するG233を含んでいた。これらの突然変異における阻害の減弱は、リガンド結合における突然変異残基の関与を確証するものであり、結合ポケットを実証した。興味深いことに、阻害を減弱しなかった唯一の突然変異は、G233Vであった。これは、バリン側鎖の導入により安定化された疎水性ポケットの存在を示唆している。
RR活性を阻害するCOH20の能力が組み換えRRに特異的ではないことを確認するために、細胞内RRに対するCOH20の効果を試験するアッセイを行った。10μMのCOH20で治療されたKB細胞を溶解し、タンパク質を高塩緩衝液中に抽出し、G25 Sephadexカラムに通過させて、dNTP等の小分子を除去した。溶出液を反応緩衝液中の[3H]CDPと混合し、RR活性を監視した。COH20での治療は、細胞内RR活性を約50%減少させた(図7)。COH20での治療は、ウェスタンブロットにより測定されるように、RRM2タンパク質レベルに対して効果はなかったが、これは、RR活性に対するCOH20の効果が、RRM2発現の減少に起因しないことを示している。
KB細胞からのdNTPプールを、10μM COH20での治療に続くポリメラーゼテンプレートアッセイにより測定した。処置前および処置後の細胞ペレットを、100μlの15%トリクロロ酢酸と混合し、氷上で10分間インキュベートし、高速で5分間遠心分離した。上清を回収し、50μlの一定量のフレオン/トリオクチルアミン(55%/45%)で抽出し、トリクロロ酢酸を中和した。各添加後、試料を高速で遠心分離し、上清を回収した。各試料の2つの5μlの一定量(各重複に対し1つ)を使用して、dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP濃度を確認した。各管内の反応混合物は、50mM Tris−HCL pH7.5、10mM MgCl、5mM DTT、0.25mMテンプレート/プライマー、1.25μM3H−dATP(dCTPアッセイ用)または3H−dTTP(dATPアッセイ用)、および0.3単位のSequenase(2.0)を、50μLの全体積で含有していた。室温で20分間、DNA分析を進行させた。インキュベーション後、40μlの各反応混合物を、Whatman DE81イオン交換紙(直径2.4cm)上に滴下した。紙を室温で30〜60分間乾燥させ、5% Na2HPO4で洗浄し(3×10分)、蒸留水で1回、および95%エタノールでもう1回濯いだ。それぞれの紙を乾燥させ、小バイアル内に沈着させ、5mlのシンチレーション液を各バイアルに添加した。液体シンチレーションカウンタを使用してトリチウム標識化dNTPを計数し、0.25、0.5、0.75、および1.0pmol/μLのdNTPで調製された基準と比較した。比較のため、新たに添加した阻害剤を用いて2組の反応を行った。COH20は、KB細胞におけるdATP、dCTP、dGTP、およびdTTPプールを減少させることが判明したが、これは、RRの阻害が、同時にdNTP生成を減少させることを示している(図8)。他の細胞株を使用して、同様の実験が行われる。
MTTアッセイを使用して、ヒト白血病REHおよびMOLT−4細胞、ヒト前立腺がんLNCaP細胞、ヒト口腔咽頭がんKB細胞、および正常線維芽NHDF細胞に対するCOH4およびCOH20のインビトロ細胞傷害性を評価した。様々な濃度の薬物と共に、5,000細胞を6ウェルプレート上で72時間播種した。COH20は、10μM未満でがん細胞株に対する細胞傷害性を有する一方で、正常細胞に対しては3−APよりも低い細胞傷害性をもたらした。結果を表3に要約する。LNCaP、KB、およびNHDFに対する結果を、図9〜11に示す。COH20が細胞傷害性を示す広範ながん細胞型に基づき、COH20は、結腸がん、乳がん、肺がん、黒色腫、白血病、およびリンパ腫細胞を含む様々なさらなるがん細胞型に対して細胞傷害性を有することが予期される。
RRM2を過剰発現するKB細胞から得られるHU耐性クローンであるKBHURを使用して、インビトロ細胞傷害性アッセイを繰り返した。COH20は、試験された他のRR阻害剤よりも大幅に低い濃度でKBHURに対し細胞傷害性を有したが、これは、COH20がHU耐性を克服し得ることを確証するものである(図12)。さらに、COH20は、3−APまたはHUよりも低い濃度で、細胞膜上でMDRポンプを過剰発現するKBクローンであるKBMDRに対し細胞傷害性を有することが判明した(図13)。リアルタイム増殖アッセイでは、COH20がKBMDR細胞においてもまた細胞増殖を阻害することが確認された(図14)。同じくRRM2を過剰発現するゲムシタビン耐性細胞株KBGemを使用して、同様の実験が繰り返される。他の細胞株での結果に基づき、COH20がKBGemに対してもまた細胞傷害性および増殖阻害を示すであろうことが予期される。
上述のMTTアッセイを使用して、ヒトがん細胞株のパネルに対するCOH29のインビトロ細胞傷害性を試験した。COH29は、広範ながん細胞型にわたり成長を大幅に阻害し、IC
50は、結腸がんHT29、黒色腫UACC−257、卵巣がんNCI/ADR−RES、および腎臓がんCAKI−1を除く試験された全ての細胞型において約10μM未満であった(図20〜24)。代表的な結果を表4に要約する。
9μMもしくは27μMのCOH20または3μMの3−APで24時間治療されたKB細胞に対して、フローサイトメトリーおよびアネキシン染色を行った。これらの結果は、COH20治療が、用量依存的様式にS期の細胞を停止させることを示した(図15、上パネル)。72時間のCOH20による治療後、アネキシン染色は、顕著な細胞死を示し、アポトーシスを示した(図15、下パネル)。COH20は、3−APとほぼ同じ効力でアポトーシスを誘発した。
単回投与薬物動態評価のため、3匹の雄ラットにCOH20を1mg/kgで注射した。血漿からのCOH20の排除は、急速な初期衰退期(組織分布または肝臓取込みが考えられる)に続く中間期(分布および排除の組み合わせ)、およびより遅い末期(排除)を伴って、三次指数関数的であることが判明した(図16)。終末相半減期(T1/2)は、約5.5時間であった。クリアランス、バイオアベイラビリティ、および組織/血漿分配係数等のパラメータを確立するために、様々な用量のCOH20を用いてより詳細な薬物動態研究が行われる。
同じ技術を使用し、COH29を25mg/kgの用量で投与して、COH29に対して薬物動態評価を行った。3回の分析からの結果を表5に要約する。曲線下面積(AUC)計算では、COH29が、静脈内ボーラスにより投与された場合、用量依存的様式で作用することが示された(図25)。
COH20の最大耐量を決定するために、マウスにCOH20を10mg/kgから160mg/kgの範囲の用量で静脈内投与した。160mg/kg群内で死亡した1匹のマウス以外、全ての処置群において体重は安定なままであったが、これは、COH20が最小限の毒性を有する耐容性化合物であることを示している(図17)。致死的な鉄キレート化またはメトヘモグロビンの誘発の証拠はなかったが、これは、COH20が重大な鉄キレート化副作用を有さないことをさらに示している。
Biacore T100機器を使用して、COH20または3−APおよびRRM2の間のリガンド−タンパク質相互作用を試験した。標準的なアミンカップリング法を使用して、25℃および10μL/分の流速で、野生型RRM2を単離しCM4センサチップ上に固定した。具体的には、フローセルのカルボキシメチルデキストラン表面を、1:1比の0.4M(N−エチル−N0−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)および0.1M N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の7分間の注入により活性化した。標的固定化8000RUのために、RRM2を10mM酢酸ナトリウム、pH4.5中に25μg/mlまで希釈し、標的フローセル上に注入した。ブランク固定化のために、10mM酢酸ナトリウム、pH4.5緩衝液を参照フローセルに注入した。残りの活性化表面を、1Mエタノールアミン−HCl、pH8.5の7分間の注入で遮断した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を、固定化中の実行緩衝液として使用した。COH20および3−APをDMSOに溶解し、100mM原液を調製した。次いで、化合物を、実行緩衝液(PBS、1.5%DMSO、10倍カルボキシメチルデキストラン、0.002%メチル−6−O−(N−ヘプチルカルバモイル)−α−D−グルコイラノシド)中で、適切な実行濃度まで連続で希釈した。試料を、参照フローセルおよび標的フローセル(固定化RRM2を有する)上に、60μL/分の流速で25℃にて注入した。会合および解離を、それぞれ180秒間および60秒間測定した。全ての化合物を、5つの異なる濃度で3回試験した。各化合物の濃度シリーズは、少なくとも2回行った。所与の化合物濃度シリーズ内において、系統誤差を最小限化するために試料を無作為化した。試料間で、0.3%SDSの30秒間の注入により、センサチップを再生した。結果は、COH20とRRM2との間の大きな相互作用を示したが、COH20と3−APとの間の相互作用は示さなかった(図18)。
また、Biacore T100を使用して、RRM2のRRM1への結合に干渉するCOH20の能力を分析した。COH20の2倍希釈濃度シリーズ(3.125〜25μM)の非存在および存在下での固定濃度のRRM1(1μM)を、参照フローセルおよび標的フローセル(固定化RRM2を有する)上に、30μL/分の流速で25℃にて注入した。会合および解離を、それぞれ90秒間および60秒間測定した。同じ条件を使用して2回の測定を行った。試料間で、0.3%SDS、0.2M Na2CO3の30秒間の注入により、センサチップを再生した。COH20は、界面におけるRRM1/RRM2相互作用を妨害することが判明した(図19)。
COH20の細胞傷害性の有効性は、マウス異種移植片モデルを使用して、インビボで試験される。異種移植片腫瘍モデルは、KB、KBHUR、およびKBGem等のヒトがん細胞株を使用して形成される。KB異種移植片モデルの樹立のために、0.1mlの体積の生理食塩水の1〜5 106のKB細胞を、5〜6週齢の雌ヌードマウスの右後ろ脇腹に注射する。デジタルノギスを使用して、腫瘍体積を週2回監視する。腫瘍体積が約100〜160mm3に達したら、中央および平均体重ならびに腫瘍体積が群内の全てのマウスにおいて大まかに同じとなるように、マウスを10匹の群に分割する。COH20は、1)効果的な用量を決定するために単回用量で単独で、2)スケジューリング試験のために様々な間隔で単独で、または3)化学療法薬等の既知のがん治療薬と組み合わせて、のいずれかで投与される。約4週間の監視期間中、腫瘍細胞成長、体重、臓器機能不全、および鉄キレート化副作用の変化を、様々な時点で分析する。監視期間後、マウスを安楽死させ、組織、腫瘍および血漿を、視覚的および組織学的検査により分析する。インビトロでの様々ながん細胞株に対するCOH20の細胞傷害性に基づき、COH20で治療されたマウスは、より高い生存率、減少した腫瘍成長、およびより少ない腫瘍関連副作用(例えば、体重の減少、臓器機能不全)を示すことが予期される。
COH20およびCOH29等のNCI−3類似体の構造は、様々な類似体を生成し、部位特異的突然変異誘発試験、Biacore分析、およびNMR STD実験を使用して、そのRRM2およびRRM1/RRM2複合体に対する結合を分析することにより、精密化および最適化され得る。X線結晶学試験を行って、COH20−RRM2複合体の3次元構造を決定することができる。これらのツールを使用して、より高い効力、より高い選択性、およびより低い毒性を有するさらなるRR阻害剤が生成され得る。
上に示されたように、RRM2変異G233Vは、COH20阻害剤活性を向上させた。バリン側鎖と、結合したリガンドとの間のさらなる疎水性相互作用は、結合および阻害の向上に寄与すると考えられ、これはCOH20から延在する追加的な疎水性側鎖が、結合親和性を最適化し得ることを示唆している。したがって、これらの疎水性側鎖を含有するCOH20類似体(例えば、COH1、COH2、COH4、COH29、構造Iを有する化合物、および群Iから選択される化合物)もまた、RR阻害剤となり得る。
実施例4:COH29の合成および精製:
図26に概説される合成経路を使用して、COH29を合成した。
ステップ1:1,2−ジメトキシベンゼン(ベラトロール)の1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−フェニルエタノン(中間体1)への変換:
低温フィンガートラップに通気されたバブラーを備えた反応槽内で、中間体1を合成した。フェニルアセチルクロリド(151mL、1.12mol)を、ジクロロメタン(DCM;CH2Cl2、600mL)中の無水AlCl3(161g、1.21mol)の撹拌懸濁液に、窒素下で、0℃で30分にわたり滴下により添加した。内部温度を10℃未満に維持しながら、ベラトロール(129mL、1.00mol)を6時間にわたり滴下により添加した。添加の完了後、冷却浴を取り外した。周囲温度で16時間後、反応を0℃に冷却し、内部温度を20℃未満に維持しながら2N HCl(700mL)の滴下による添加によってクエンチした。有機層を水(600mL)およびNaHCO3水溶液(500mL)で洗浄し、セライトを通して濾過し、減圧下で約400mLの全体積まで濃縮した。ヘキサン(1.7L)を添加し、激しく撹拌して生成物を沈殿させた。得られた固体を濾過し、濾過ケーキをヘキサン(2×250mL)で洗浄した。固体を真空中にて50℃で乾燥させると、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−フェニルエタノン(中間体1;213g、831mmol、収率83%)が、オフホワイトの固体として得られた。
ステップ2:中間体1の4−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−アミン(中間体2)への変換:
低温フィンガートラップに通気されたバブラーを備えた反応槽内で、中間体2を合成した。中間体1(213g、831mmol)およびピリジニウムトリブロミド(315g、886mmol)を、窒素下でDCM(1.2L)に溶解した。周囲温度で5時間後、反応混合物を氷バッチ内で冷却し、内部温度を20℃未満に維持しながら水(750mL)でクエンチした。有機層を水(750mL)で洗浄し、乾燥するまで濃縮した。得られたスラリーをエタノール(1.2L)中に吸収させ、20℃に冷却し、チオ尿素(114g、1.48mol)を添加した。添加の完了後、反応を周囲温度で24時間撹拌した。反応を減圧下で濃縮し、得られたスラリーをEtOAc(1.0L)および2N NaOH(800mL)に分配した。エマルジョンを分離させ、水層をEtOAc(750mL)で抽出した。合わせた有機層を水(250mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。得られた固体をEt2O(1.5L)と摺り合わせて濾過し、濾過ケーキをEt2O(200mL)で洗浄した。生成物を真空中にて50℃で乾燥させると、4−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−アミン(中間体2;230g、736mmol、収率は2ステップで89%)が褐色固体として得られた。
ステップ3:中間体2のN−(4−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−イル)−3,4−ジメトキシベンズアミド(中間体3)への変換:
低温フィンガートラップに通気されたバブラーを備えた反応槽内で、中間体3を合成した。内部温度を15℃未満に維持しながら、塩化チオニル(100mL、1.36mol)を、CH2Cl2(1.0L)中のジメチルホルムアミド(DMF;20mL)中の3,4−ジメトキシ安息香酸(250g、1.36mol)の冷却溶液に、2時間にわたり滴下により添加した。添加の完了後、反応を周囲温度で3時間撹拌し、次いで減圧下で乾燥するまで濃縮した。内部温度を20℃未満に維持しながら、酸塩化物(164g、818mmol、1.5当量)を、DMF(1.0L)中の中間体2(170g、545mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(4−DMAP;6.73g、54.5mmol、10mol%)、およびEt3N(384mL、2.73mol)の撹拌懸濁液に、窒素下で少しずつ添加した。反応を周囲温度で15時間撹拌し、次いで残りの酸塩化物(112g、545mmol)を少しずつ添加した。周囲温度で6時間後、反応混合物をナトリウム飽和水溶液NaHCO3(500mL)でクエンチし、水(500mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CH2Cl2)により精製した。合わせたクロマトグラフィー分画を、減圧下で乾燥するまで濃縮した。固体を真空中にて50℃で乾燥させると、N−(4−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−フェニルチアゾール−2−イル)−3,4−ジメトキシベンズアミド(中間体3;245g、515mmol、70%)が、オフホワイトの固体として得られた。
低温フィンガートラップに通気されたバブラーを備えた反応槽内で、COH29を合成した。内部温度を15℃未満に維持しながら、三臭化ホウ素(BBr3;191mL、1.98mol)を、トルエン(1.2L)中の中間体3(245g、515mmol)の撹拌溶液に、窒素下で徐々に添加した。添加の完了後、反応を周囲温度まで温め、5時間撹拌した。内部温度を20℃未満に維持しながら、反応混合物を冷却し、EtOH(800mL)で徐々にクエンチした。添加の完了後、溶液を周囲温度で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた固体をDCM(1.0L)と摺り合わせて濾過し、濾過ケーキをDCM(100mL)で洗浄した。得られた固体を高温のEtOH(400mL)中に吸収させ、徐々に水(2.4L)に添加して、沈殿を誘発した。得られたスラリーを周囲温度で2時間撹拌して濾過し、濾過ケーキを水(200mL)で洗浄した。この磨砕プロセスをさらに3回繰り返すと、オフホワイトの固体が得られた。得られた固体を、真空下で50℃にて24時間、次いで真空下で125℃にて24時間乾燥させると、COH29(118g、281mmol、55%)が得られた。
上述のように、上記は、本発明の様々な実施形態を例示することのみを意図する。したがって、上で議論される特定の修正は、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。本発明の範囲から逸脱せずに、様々な等価物、変更、および修正がなされてもよいことが当業者に明らかであり、そのような等価な実施形態は本明細書に含まれることが理解される。本明細書において引用される全ての参考文献は、参照により、本明細書に全てが記載されるのと同等に組み込まれる。
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