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JP6034625B2 - 剥離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接着剤層を介してウエハに貼り付けられた支持体を、当該ウエハから剥離する剥離方法および剥離装置に関する。
近年、携帯電話、デジタルAV機器およびICカード等の高機能化に伴い、搭載される半導体シリコンチップ(以下、チップ)を小型化および薄型化することによって、パッケージ内にチップを高集積化する要求が高まっている。例えば、CSP(chip size package)またはMCP(multi-chip package)に代表されるような複数のチップをワンパッケージ化する集積回路においては、一層の薄型化が求められている。パッケージ内のチップの高集積化を実現するためには、チップの厚さを25〜150μmの範囲にまで薄くする必要がある。
しかしながら、チップのベースになる半導体ウエハ(以下、ウエハ)は、研削することにより肉薄になるため、その強度は弱くなり、クラックまたは反りが生じ易くなる。また、薄板化することによって強度が弱くなったウエハを自動搬送することは困難であるため、人手によって搬送しなければならず、その取り扱いが煩雑である。
そのため、研削するウエハにサポートプレートと呼ばれる、ガラス、シリコンまたは硬質プラスチック等からなるプレートを貼り合わせることによって、ウエハの強度を保持し、クラックの発生およびウエハの反りを防止するウエハハンドリングシステムが開発されている。ウエハハンドリングシステムによりウエハの強度を維持することができるため、薄板化したウエハの搬送を自動化することができる。
ウエハハンドリングシステムにおいて、ウエハとサポートプレートとは粘着テープ、熱可塑性樹脂、接着剤等により形成された接着剤層を用いて貼り合わせられる。そして、サポートプレートが貼り付けられたウエハを薄板化した後、ウエハをダイシングする前にサポートプレートを基板から剥離する。このウエハとサポートプレートとの貼り合わせに接着剤を用いた場合、接着剤を溶解してウエハをサポートプレートから剥離する。
近年、上述したような接着剤として、炭化水素系の接着剤が開発されている(特許文献1および2)。
特表2009−529065(2009年8月13日公開) 特表2010−506406(2010年2月25日公開)
従来技術に係る接着剤では、ウエハと当該ウエハの支持体とを接着させた積層体を薄化工程等の所定の工程に供した後、当該ウエハと当該支持体を分離する場合に、接着剤を溶解させるための溶剤に溶解し難いという問題があった。したがって、接着剤を溶解させるために、多量の溶剤が必要になる。また、接着剤を溶解するために長時間を要し、結果として、ウエハと支持体とを分離するのに時間がかかるという問題点を有している。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ウエハと当該ウエハの支持体とを接着剤層を介して接着させた後に、ウエハに貼り付けられた支持体を、当該ウエハから容易に剥離することが可能な剥離方法および剥離装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る剥離方法は、接着剤層を介してウエハに貼り付けられた支持体を、当該ウエハから剥離する剥離方法であって、上記接着剤層を膨潤させて、その表面の接着性を低下させる溶剤を、上記接着剤層に供給する溶剤供給工程と、上記ウエハから、膨潤した上記接着剤層を剥離する剥離工程とを包含することを特徴としている。
本発明に係る剥離装置は、接着剤層を介してウエハに貼り付けられた支持体を、当該ウエハから剥離する剥離装置であって、上記接着剤層を膨潤させて、その表面の接着性を低下させる溶剤を、上記接着剤層に供給する溶剤供給手段と、上記ウエハから上記接着剤層を剥離する剥離手段とを備えていることを特徴としている。
本発明に係る剥離方法は、接着剤層を膨潤させて、その表面の接着性を低下させる溶剤を、接着剤層に供給する溶剤供給工程と、ウエハから、膨潤した接着剤層を剥離する剥離工程とを包含しており、本発明に係る剥離装置は、接着剤層を膨潤させて、その表面の接着性を低下させる溶剤を、接着剤層に供給する溶剤供給手段と、ウエハから、膨潤した接着剤層を剥離する剥離手段とを備えているので、ウエハから支持体を容易に剥離することができる。
本発明の一実施形態に係る剥離方法を示す説明図である。 本発明の他の実施形態に係る剥離方法を示す説明図である。 本発明の他の実施形態に係る剥離方法を示す説明図である。 本発明の他の実施形態に係る剥離方法を示す説明図である。 本発明の他の実施形態に係る剥離方法を示す説明図である。 本発明の他の実施形態に係る剥離方法を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[剥離方法]
本発明に係る剥離方法は、接着剤層を介してウエハに貼り付けられた支持体を、ウエハから剥離する剥離方法である。剥離方法は、上記接着剤層を膨潤させて、その表面の接着性を低下させる溶剤を、上記接着剤層に供給する溶剤供給工程と、上記ウエハから、膨潤した上記接着剤層を剥離する剥離工程とを包含する。
〔第1実施形態〕
本実施形態に係る剥離方法を、図1を参照して説明する。図1中(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係る剥離方法を示す説明図である。本実施形態の剥離方法においては、図1中(a)に示すように、ウエハ1と支持体2とを接着剤層3を介して貼り付けた積層体10を剥離処理の対象とする。
<ウエハ1>
ウエハ1は、支持体2に貼り合わされた状態で、回路形成処理、薄化処理等の半導体プロセスに供されたものであり、例えば、シリコン(Si)製の基板等であってもよい。剥離方法に供する積層体10中のウエハ1は、薄化処理により、例えば、25〜150μmの厚さに薄化されたものであってもよい。
<支持体2>
支持体2は、例えば、ウエハを薄化する工程で当該ウエハを支持する役割を果たす部材であり、接着剤層3を介してウエハ1に接着されて積層体10を構成する。一実施形態において、支持体は、例えば、その膜厚が500〜1,000μmであるガラスまたはシリコンで形成されている。
<接着剤層3>
接着剤層3は、ウエハ1と支持体2とを貼り合わせるものであり、支持体2をウエハ1から剥離するときに、特定の溶剤と接触することによって膨潤し、その表面の接着性を低下させるように形成されていればよい。このような接着剤層3は、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含み、当該スチレン単位の含有量が10重量%以上、90重量%以下であり、重量平均分子量が10,000以上、200,000以下であるエラストマーを、40重量%以上含む接着剤組成物により形成することができる。接着剤組成物の詳細については後述する。
接着剤層3は、例えば、上記接着剤組成物をウエハ1上に塗布して乾燥した後の膜厚が10〜1,000μmとなるように、所望する接着剤層3の膜厚に応じて適宜、公知の方法により、形成することができる。なお、接着剤層3は、優れた耐熱性を有する上記接着剤組成物を用いて形成されているので、接着した後に150℃以上の環境下に曝されるウエハ1と当該支持体2との接着に好適に用いられる。具体的には、接着剤層3は、180℃以上、さらには220℃以上の環境下にも好適に用いることができる。
(溶剤供給工程)
溶剤供給工程においては、図1中(b)に示すように、溶剤を接着剤層3に供給する。溶剤を接着剤層3に供給する方法としては、特に限定されないが、図1中(b)に示すように、槽100内に導入された溶剤中に積層体10を浸漬することによって、溶剤を接着剤層3に供給することができる。
積層体10を溶剤中に浸漬する場合、浸漬時間は、接着剤層3を形成する接着剤組成物および溶剤の種類、接着剤層3の厚さ、気温等に応じて適宜設定することができるが、5分以下であることが好ましい。また、積層体10を浸漬する溶剤は、室温であってもよいが、例えば、45℃以下の温度に加熱されていてもよい。
なお、槽内に導入された溶剤中に積層体10を浸漬する方法によってウエハ1から接着剤層3を除去したときには、接着剤層3を除去した後の溶剤をフィルター等によりろ過すれば、溶剤を再利用することができる。
<溶剤>
接着剤層3に供給する溶剤は、接着剤層3を膨潤させて、その表面の接着性を低下させる溶剤であればよく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルアミルケトン(MAK)、酢酸ブチル、酢酸エチル等を好適に使用可能である。
(剥離工程)
剥離工程においては、図1中(c)に示すように、ウエハ1から、膨潤した接着剤層3を剥離する。これにより、ウエハ1から支持体2を剥離する。溶剤が供給された接着剤層3は、膨潤し、その表面の接着性が低下しているので、当該接着剤層3により接着したウエハ1と支持体2とを、速やかに分離することができる。また、接着剤層3は膨潤させればよく、溶解させる必要はないので、支持体2をウエハ1から剥離するために必要な溶剤の量を少量に抑えることができる。ここで、接着剤層3が膨潤するとは、接着剤層3に溶剤が浸透し、接着剤層3が膨張して体積が変化するような状態を含む。
(洗浄工程)
本実施形態の剥離方法は、剥離工程において、ウエハ1から接着剤層3を剥離した後、図1中(d)に示すように、ウエハ1上を洗浄する洗浄工程をさらに包含していてもよい。洗浄工程においては、ウエハ1上の接着剤層3の残渣を除去する。洗浄工程においては、接着剤層3を溶解させる洗浄液をウエハ1上に供給する。
洗浄液をウエハ1上に供給する方法としては、特に限定されないが、洗浄液をウエハ1上に噴霧するスプレー塗布等が挙げられる。洗浄液をウエハ1上にスプレー塗布するとき、ウエハ1を回転させてスピン塗布してもよい。
洗浄液は、接着剤層3を溶解させるものであればよく、接着剤層3を形成する接着剤組成物に応じて適宜選択されるものであるが、例えば、p−メンタン等を好適に使用可能である。また、洗浄液は、接着剤層3を溶解させるものの替わりに、接着剤層3を膨潤させるものであってもよく、この場合、接着剤層3を膨潤させるために用いた溶剤と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
このように、ウエハ1から接着剤層3を剥離した後に、ウエハ1上を洗浄することによって、ウエハ1上に残存する接着剤層3等を好適に除去することができるので、残渣のない良質なウエハ1を得ることができる。そして、洗浄工程においては、接着剤層3が剥離された後の残渣のみを溶解させて除去すればよいため、必要な洗浄液の量を少量に抑えることができる。
<接着剤組成物>
ここで、接着剤層3を形成する接着剤組成物の詳細を説明する。
≪エラストマー≫
接着剤組成物に含まれるエラストマーは、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含み、当該スチレン単位の含有量が10重量%以上、90重量%以下であり、重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲であればよい。
本明細書において「構成単位」とは、重合体であるエラストマーを構成する構造において、一分子の単量体に起因する構造を指す。
本明細書において「スチレン単位」とは、スチレンを重合したときに重合体に含まれる当該スチレン由来の構成単位を指す。
接着剤組成物は、スチレン単位の含有量が10重量%以上、90重量%以下の範囲であり、エラストマーの重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲である。このようなエラストマーを40重量%以上含めば、当該接着剤組成物からなる接着剤層3は、溶剤によって膨潤することにより、その表面の接着性が低下するので、当該接着剤層3により接着したウエハ1と支持体2とを、より速やかに分離することができる。
また、スチレン単位の含有量およびエラストマーの重量平均分子量が上記の範囲であることにより、ウエハがレジストリソグラフィー工程に供されるときに曝されるレジスト溶剤(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等)、酸(フッ化水素酸等)、およびアルカリ(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、N−メチルピロリドン等)に対して、接着剤層が優れた耐性を発揮する。
スチレン単位の含有量は、50重量%より多いことがより好ましい。エラストマーの重量平均分子量は、20,000以上であることがより好ましく、また、150,000以下であることがより好ましい。
エラストマーとしては、スチレン単位の含有量が10重量%以上、90重量%以下の範囲であり、エラストマーの重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲であれば、種々のエラストマーを用いることができる。具体的には、例えば、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SBBS)、および、これらの水添物;スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEEPS)等が挙げられ、スチレン単位の含有量および重量平均分子量が上述の範囲であるものを用いることができる。
上記エラストマーは、水添物であることがより好ましい。エラストマーが水添物であれば、熱に対する安定性が向上して分解や重合等の変質が起こり難く、さらに、炭化水素系溶剤への溶解性およびレジスト溶剤への耐性により優れる。
また、上記エラストマーのうち、分子の両末端がスチレン部位であるエラストマーがより好ましい。熱安定性の高いスチレン部位を両末端にブロック構造として有することで、エラストマーはより高い耐熱性を示す。
さらに、エラストマーは、分子の両末端がスチレン部位である、スチレンおよび共役ジエンのブロックコポリマーの水添物であることがより好ましい。これにより、熱に対する安定性が向上して分解や重合等の変質が起こり難く、さらに、炭化水素系溶剤への溶解性およびレジスト溶剤への耐性により優れると共に、熱安定性の高いスチレン部位を両末端にブロック構造として有することで、より高い耐熱性を示す。
また、エラストマーは、必要に応じて、分子内に官能基含有原子団を少なくとも一つ有していてもよい。当該エラストマーは、例えば、公知のブロック共重合体に対して、変性剤を用いて官能基含有原子団を結合させることによって得ることができる。
官能基含有原子団とは、一つ以上の官能基を含む原子団を指す。官能基含有原子団が含む官能基としては、例えば、アミノ基、酸無水物基(好ましくは無水マレイン酸基)、イミド基、ウレタン基、エポキシ基、イミノ基、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、およびアルコキシシラン基(当該アルコキシシラン基は炭素数1〜6であることが好ましい)が挙げられる。エラストマーが分子内に官能基含有原子団を少なくとも一つ有することにより、接着剤組成物の柔軟性および接着性がより向上する。
上記エラストマーとして用いることができる市販品としては、例えば、株式会社クラレ製「セプトン(商品名)」、同社製「ハイブラー(商品名)」、旭化成株式会社製「タフテック(商品名)」、JSR株式会社製「ダイナロン(商品名)」等が挙げられる。
接着剤組成物に含まれるエラストマーの含有量は、40重量%以上であればよいが、50重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることが最も好ましい。
また、エラストマーは、複数の種類を混合して用いてもよい。つまり、接着剤組成物は複数の種類のエラストマーを含んでもよい。接着剤組成物が、複数の種類のエラストマーを含む場合、混合した結果、エラストマーの重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲になるように調整すればよい。そして、複数種類のエラストマーのうち少なくとも一つが、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含み当該スチレン単位の含有量が10重量%以上、90重量%以下の範囲であり、複数種類のエラストマーの総含有量が、40重量%以上であればよい。また、接着剤組成物において、複数種類のエラストマーを含む場合、混合した結果、スチレン単位の含有量が上記の範囲となるように調整してもよい。例えば、スチレン単位の含有量が65重量%である株式会社クラレ製のセプトン(商品名)のSepton2104と、スチレン単位の含有量が12重量%である同社製のセプトン(商品名)のSepton2063とを重量比1対1で混合すると、接着剤組成物に含まれるエラストマー全体に対するスチレン含有量は38〜39重量%となり、10重量%以上、90重量%以下となる。また、例えば、スチレン単位が10重量%のものと60重量%のものとを1対1で混合すると35重量%となり、上記の範囲内となる。本発明においてはこのような接着剤組成物により形成された接着剤層3を用いてもよい。また、接着剤組成物に含まれる複数種類のエラストマーは、全て上記の範囲でスチレン単位を含むことが最も好ましい。
接着剤組成物に含まれるエラストマーは、溶剤に対する相溶性を示すユニットと非相溶性を示すユニットとを有することが好ましい。このように、接着剤組成物に含まれるエラストマーに、溶剤に対する極性の異なるユニットが含まれていることによって、このような接着剤組成物からなる接着剤層に溶剤を添加したときに、接着剤層が膨潤し、その表面の接着性を低下させることができる。ここで、溶剤に対する相溶性を示すユニットとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの極性溶剤に対して相溶性を示すスチレン単位が挙げられ、非相溶性を示すユニットとしては、例えば、上記極性溶剤に対して非相溶性を示す長鎖アルキル単位が挙げられる。したがって、接着剤組成物に含まれるエラストマーとして、スチレン単位と長鎖アルキル単位とを含む水添スチレン系エラストマーを例示することができる。
また、接着剤組成物は、炭化水素樹脂を含んでいてもよい。炭化水素樹脂は、炭化水素骨格を有し、単量体組成物を重合してなる樹脂である。炭化水素樹脂として、シクロオレフィン系ポリマーが挙げられる。
シクロオレフィン系ポリマーとしては、具体的には、シクロオレフィン系モノマーを含む単量体成分の開環(共)重合体、シクロオレフィン系モノマーを含む単量体成分を付加(共)重合させた樹脂などが挙げられる。
前記シクロオレフィン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ジヒドロキシペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセンなどの四環体、シクロペンタジエン三量体などの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、またはこれら多環体のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)置換体、アルケニル(ビニルなど)置換体、アルキリデン(エチリデンなど)置換体、アリール(フェニル、トリル、ナフチルなど)置換体等が挙げられる。これらの中でも特に、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、またはこれらのアルキル置換体からなる群より選ばれるノルボルネン系モノマーがより好ましい。
炭化水素樹脂を構成する単量体成分は、上述したシクロオレフィン系モノマーと共重合可能な他のモノマーを含有していてもよく、例えば、アルケンモノマーを含有することが好ましい。アルケンモノマーとしては、炭素数2〜10のアルケンモノマーが挙げられ、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンが挙げられる。アルケンモノマーは、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
また、炭化水素樹脂を構成する単量体成分として、シクロオレフィンモノマーを含有することが、高耐熱性(低い熱分解、熱重量減少性)の観点から好ましい。炭化水素樹脂を構成する単量体成分全体に対するシクロオレフィンモノマーの割合は、5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることがさらに好ましい。また、炭化水素樹脂を構成する単量体成分全体に対するシクロオレフィンモノマーの割合は、特に限定されないが、溶解性および溶液での経時安定性の観点からは80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましい。
また、炭化水素樹脂を構成する単量体成分として、直鎖状または分岐鎖状のアルケンモノマーを含有してもよい。炭化水素樹脂を構成する単量体成分全体に対するアルケンモノマーの割合は、溶解性および柔軟性の観点からは10〜90モル%であることが好ましく、20〜85モル%であることがより好ましく、30〜80モル%であることがさらに好ましい。
なお、炭化水素樹脂は、例えば、シクロオレフィン系モノマーとアルケンモノマーとからなる単量体成分を重合させてなる樹脂のように、極性基を有していない樹脂であることが、高温下でのガスの発生を抑制する上でより好ましい。
単量体成分を重合する際の重合方法や重合条件等については、特に制限はなく、常法に従い適宜設定すればよい。
炭化水素樹脂として用いることのできる市販品としては、例えば、ポリプラスチックス株式会社製の「TOPAS」、三井化学株式会社製の「APEL」、日本ゼオン株式会社製の「ZEONOR」および「ZEONEX」、JSR株式会社製の「ARTON」などが挙げられる。
炭化水素樹脂のガラス転移点(Tg)は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることが特に好ましい。炭化水素樹脂のガラス転移点が60℃以上であると、積層体10が高温環境に曝されたときに接着剤層3の軟化を抑制することができる。
≪エラストマーを溶解する溶剤≫
接着剤組成物は、溶剤(主溶剤)を含んでいてもよく、このような溶剤は、エラストマーを溶解する機能を有していればよく、例えば、非極性の炭化水素系溶剤、並びに、極性および無極性の石油系溶剤等を用いることができる。
また、上記溶剤は、縮合多環式炭化水素を含んでいることがより好ましい。溶剤が縮合多環式炭化水素を含むことにより、接着剤組成物を液体状態で(特に低温にて)保存したときに生じ得る白濁化を防止することができ、製品安定性を向上させることができる。
炭化水素系溶剤としては、直鎖状、分岐状または環状の炭化水素が挙げられる。当該炭化水素系溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の炭素数3から15の直鎖状の炭化水素;メチルオクタン等の炭素数4から15の分岐状の炭化水素;p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、1,4−テルピン、1,8−テルピン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン、ツジャン、カラン、ロンギホレン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、α−ピネン、β−ピネン、α−ツジョン、β−ツジョン等の環状の炭化水素が挙げられる。
石油系溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ナフタレン、デカヒドロナフタレン(デカリン)、テトラヒドロナフタレン(テトラリン)等が挙げられる。
また、縮合多環式炭化水素とは、二つ以上の単環がそれぞれの環の辺を互いに一つだけ供給してできる縮合環の炭化水素であり、二つの単環が縮合されてなる炭化水素を用いることが好ましい。
そのような縮合多環式炭化水素としては、5員環および6員環の組み合わせ、または二つの6員環の組み合わせが挙げられる。5員環および6員環を組み合わせた縮合多環式炭化水素としては、例えば、インデン、ペンタレン、インダン、テトラヒドロインデン等が挙げられ、二つの6員環を組み合わせた縮合多環式炭化水素としては、例えば、ナフタレン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
これら溶剤は、一種類のみを用いてもよく、複数種類を組み合わせて用いてもよい。また、溶剤が上記縮合多環式炭化水素を含む場合、溶剤に含まれる成分は上記縮合多環式炭化水素のみであってもよいし、例えば、飽和脂肪族炭化水素等の他の成分を含有していてもよい。この場合、縮合多環式炭化水素の含有量が炭化水素系溶剤全体の40重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましい。縮合多環式炭化水素の含有量が炭化水素系溶剤全体の40重量%以上である場合には、上記樹脂に対する高い溶解性が発揮することができる。縮合多環式炭化水素と飽和脂肪族炭化水素との混合比が上記範囲内であれば、縮合多環式炭化水素の臭気を緩和させることができる。
上記飽和脂肪族炭化水素としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の炭素数3から15の直鎖状の炭化水素;メチルオクタン等の炭素数4から15の分岐状の炭化水素;p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、1,4−テルピン、1,8−テルピン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン、ツジャン、カラン、ロンギホレン等が挙げられる。
なお、接着剤組成物におけるエラストマーを溶解する溶剤の含有量としては、当該接着剤組成物を用いて成膜する接着剤層3の厚さに応じて適宜調整すればよいが、例えば、接着剤組成物の全量を100重量部としたとき、20重量部以上、90重量部以下の範囲であることが好ましい。溶剤の含有量が上記範囲内であれば、粘度調整が容易となる。
≪熱重合禁止剤≫
接着剤組成物は、必要に応じて熱重合禁止剤を含有していてもよい。熱重合禁止剤は、熱によるラジカル重合反応を防止する機能を有する。具体的には、熱重合禁止剤は、ラジカルに対して高い反応性を示すため、モノマーよりも優先的に反応してモノマーの重合を禁止する。接着剤組成物は、熱重合禁止剤を含むことにより、高温環境下(特に、250℃〜350℃)において重合反応が抑制される。
例えば、半導体製造工程においては、支持体2が貼り付けられたウエハ1を250℃で1時間加熱する高温プロセスがある。このとき、高温により接着剤組成物の重合が起こると、高温プロセス後にウエハ1から支持体2を剥離するときに供給する溶剤に対する接着剤組成物の溶解性が低下し、ウエハ1から支持体2を良好に剥離することができなくなる。ところが、接着剤組成物が熱重合禁止剤を含むことにより、熱による酸化およびそれに伴う重合反応が抑制されるため、高温プロセスを経たとしてもウエハ1から支持体2を容易に剥離することができ、残渣の発生を抑えることができる。
熱重合禁止剤は、熱によるラジカル重合反応を防止する機能を有していればよく、特に限定されるものではないが、フェノール構造を有する熱重合禁止剤が好ましい。これにより、接着剤組成物は大気下での高温処理後にも良好な溶解性を確保することができる。フェノール構造を有する熱重合禁止剤としては、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤を用いることが可能であり、例えば、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2−メチルフェノール)、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4”−エチリデントリス(2−メチルフェノール)、4,4’,4”−エチリデントリスフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[2−(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、n−オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名IRGANOX1010、BASF社製)、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられる。熱重合禁止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱重合禁止剤の含有量は、エラストマーの種類、並びに接着剤組成物の用途および使用環境に応じて適宜決定すればよいが、例えば、エラストマーの量を100重量部としたとき、0.1重量部以上、10重量部以下であることが好ましい。熱重合禁止剤の含有量が上記範囲内であれば、熱による重合を抑える効果が良好に発揮され、高温プロセス後において、接着剤組成物の剥離液に対する溶解性の低下をさらに抑えることができる。
また、接着剤組成物は、必要に応じて、エラストマーを溶解するための溶剤(主溶剤)とは異なる組成からなり、熱重合禁止剤を溶解する添加溶剤をさらに含有していてもよい。添加溶剤としては、特に限定されないが、接着剤組成物に含まれる各成分を溶解する有機溶剤を用いることができる。
上記有機溶剤としては、接着剤組成物に含まれる各成分を溶解して均一な溶液にすることができる溶剤であればよく、任意の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機溶剤の具体例としては、例えば、極性基として酸素原子、カルボニル基またはアセトキシ基等を有するテルペン溶剤が挙げられ、例えば、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、イソメントール、ネオメントール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネン−1−オール、テルピネン−4−オール、ジヒドロターピニルアセテート、1,4−シネオール、1,8−シネオール、ボルネオール、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファーが挙げられる。また、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン(CH)、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、上記多価アルコール類または上記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体(これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい);ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル等の芳香族系有機溶剤等を挙げることができる。
添加溶剤の含有量は、熱重合禁止剤の種類等に応じて適宜決定すればよいが、例えば、熱重合禁止剤を1重量部としたとき、1重量部以上、50重量部以下であることが好ましく、1〜30重量部がさらに好ましく、1〜15重量部が最も好ましい。熱重合禁止剤の含有量が上記範囲内であれば、熱重合禁止剤を十分に溶解することができる。
≪その他の成分≫
接着剤組成物は、接着剤組成物の本質的な特性を損なわない範囲において、混和性を有する他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、接着剤組成物の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤および界面活性剤等の、慣用されている各種添加剤が挙げられる。
<接着剤組成物の調製方法>
上述した接着剤組成物の調製方法は特に限定されず、公知の方法を用いればよいが、例えば、エラストマーを主溶剤に溶解させ、既存の攪拌装置を用いて、各組成を攪拌することにより、接着剤組成物を得ることができる。
また、接着剤組成物に熱重合禁止剤を添加する場合には、熱重合禁止剤を、予め熱重合禁止剤を溶解させるための添加溶剤に溶解させたものを添加することが好ましい。
<接着フィルム>
上述した接着剤組成物は、用途に応じて様々な利用形態を採用することができる。例えば、接着剤組成物を液体状態のまま、所望する接着剤層3の膜厚に応じて適宜、公知の方法を用いて、被加工体であるウエハ1上や支持体2上に塗布し、乾燥させて接着剤層3を形成する方法を採用してもよく、或いは、可撓性フィルム等のフィルム上に接着剤組成物を塗布し、乾燥させて接着剤層3を形成することにより接着フィルムとした後、当該接着フィルムを、被加工体であるウエハ1や支持体2に貼り付ける方法を採用してもよい。
接着フィルムは、接着剤層3にさらに保護フィルムを被覆して用いてもよい。この場合には、接着剤層3上の保護フィルムを剥離し、被加工体の上に露出した接着剤層3を重ねた後、接着剤層から上記フィルムを剥離することによって被加工体上に接着剤層3を容易に設けることができる。
したがって、この接着フィルムを用いれば、被加工体の上に直接、接着剤組成物を塗布して接着剤層3を形成する場合と比較して、膜厚がより均一でかつ表面平滑性の良好な接着剤層3を形成することができる。
接着フィルムを構成する上記フィルムは、当該フィルム上に形成された接着剤層3を剥離してウエハや支持体に貼り付ける(転写する)ことができるように離型性を備えていればよく、特に限定されるものではないが、可撓性フィルムであることがより好ましい。可撓性フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の、膜厚15〜125μmの合成樹脂フィルムが挙げられる。上記フィルムには、必要に応じて、接着剤層3の転写が容易となるように離型処理が施されていることが好ましい。
上記接着フィルムを形成する方法としては、接着剤層3の乾燥後の膜厚が例えば10〜1,000μmとなるように、所望する接着剤層3の膜厚に応じて適宜、公知の方法を用いて、フィルム上に、接着剤組成物を塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。
また、保護フィルムを用いる場合、保護フィルムとしては、接着剤層3から剥離することができる限り限定されるものではないが、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエチレンフィルムが好ましい。また、各保護フィルムは、シリコンをコーティングまたは焼き付けしてあることが好ましい。これにより、接着剤層3からの剥離が容易となる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、15〜125μmであることが好ましい。これにより、保護フィルムを備えた接着フィルムの柔軟性を確保することができる。
接着フィルムの使用方法は、特に限定されるものではないが、例えば、保護フィルムを用いた場合には、これを剥離した上で、被加工体の上に露出した接着剤層3を重ねて、フィルム上(接着剤層3の形成された面の裏面)から加熱ローラを移動させることにより、接着剤層3を被加工体の表面に熱圧着させる方法が挙げられる。このとき、接着フィルムから剥離した保護フィルムは、順次巻き取りローラなどのローラでロール状に巻き取れば、保存して再利用することが可能である。
〔第2実施形態〕
本実施形態に係る剥離方法を、図2および3を参照して説明する。図2および3は、本発明の他の実施形態に係る剥離方法を示す説明図である。図2および3に示すように、本実施形態に係る剥離方法は、溶剤供給工程の前に、光照射工程および支持体剥離工程を包含する点において第1実施形態と異なっている。したがって、本実施形態においては、第1実施形態と異なる点について説明し、他の詳細については省略する。
本実施形態の剥離方法においては、図2中(a)および図3中(a)に示すように、ウエハ1、接着剤層3、分離層4、および、支持体2を、この順に積層してなる積層体20を剥離処理の対象とする。分離層4は、接着剤層3と支持体2との間に設けられており、支持体2を介して照射される光を吸収することによって変質するものである。分離層4の詳細については、後述する。
(光照射工程)
本実施形態においては、図2中(b)および図3中(b)に示すように、溶剤供給工程の前に、支持体2を介して分離層4に光101を照射して、分離層4を変質させる光照射工程をさらに含む。したがって、本実施形態においては、分離層4に照射する光101を透過する材料からなる支持体2を用いる。分離層4に光101を照射して、分離層4を変質させることによって、接着剤層3と支持体2とを容易に分離することができる。
分離層4に照射する光101としては、分離層4が吸収可能な波長に応じて、例えば、YAGレーザ、リビーレーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、LDレーザー、ファイバーレーザー等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、COレーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He−Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、または、非レーザ光を適宜用いればよい。分離層4に吸収されるべき光の波長としては、これに限定されるものではないが、例えば、600nm以下の波長の光であればよい。
(支持体剥離工程)
本実施形態においては、図2中(c)および図3中(c)に示すように、光照射工程と溶剤供給工程との間において、接着剤層3から支持体2を剥離する支持体剥離工程をさらに含む。光照射工程後の積層体20においては、分離層4が光の照射により変質しているので、分離層4を介して貼り合わされた支持体2と接着剤層3とを容易に分離することができる。
このように、支持体2と接着剤層3とを分離した後に、溶剤供給工程において、接着剤層3を膨潤させて、その表面の接着性を低下させる溶剤を接着剤層3に供給する。支持体2と接着剤層3とを、溶剤の供給前に分離しているので、接着剤層3において、ウエハ1が貼り合わされている面に背向する面が露出している。よって、接着剤層3の露出面全体に溶剤を供給することが可能であり、接着剤層3に溶剤を容易に浸透させることができる。
したがって、溶剤供給工程においては、図2中(d)に示すように、槽100内に導入された溶剤中に接着剤層3が接着したウエハ1を浸漬してもよいし、図3中(d)に示すように、接着剤層3に溶剤をスピン塗布してもよい。そして、溶剤により膨潤した接着剤層3をウエハ1から分離し、図2中(d)および図3中(d)に示すように、ウエハ1上に洗浄液をスピン塗布し、ウエハ1上を洗浄してもよい。
<分離層4>
分離層4は、例えば光等によって分解される光吸収剤を含んでいてもよい。光吸収剤としては、例えば、グラファイト粉、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、亜鉛、テルルなどの微粒子金属粉末、黒色酸化チタンなどの金属酸化物粉末、カーボンブラック、または芳香族ジアミノ系金属錯体、脂肪族ジアミン系金属錯体、芳香族ジチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、スクアリリウム系化合物、シアニン系色素、メチン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの染料もしくは顔料を用いることができる。このような分離層4は、例えば、バインダー樹脂と混合して、支持体上に塗布することによって形成することができる。また、光吸収基を有する樹脂を用いることもできる。
また、分離層4として、プラズマCVD法により形成した無機膜または有機膜を用いてもよい。無機膜としては、例えば、金属膜を用いることができる。また、有機膜としては、フルオロカーボン膜を用いることができる。このような分離層4は、例えば、支持体2上にプラズマCVD法により形成することができる。
〔第3実施形態〕
本実施形態に係る剥離方法を、図4を参照して説明する。図4は、本発明の他の実施形態に係る剥離方法を示す説明図である。図4に示すように、本実施形態に係る剥離方法においては、外周部分に接着剤部を備えた分離層14を用い、溶剤供給工程および光照射工程の後に、支持体剥離工程を行う点において第2実施形態と異なっている。したがって、本実施形態においては、第2実施形態と異なる点について説明し、他の詳細については省略する。
本実施形態に係る剥離方法においては、図4中(a)に示すように、ウエハ1、接着剤層3、外周部分に接着剤部を備えた分離層14、および、支持体2を、この順に積層してなる積層体30を剥離処理の対象とする。分離層14は、上記支持体2を介して照射される光を吸収することによって変質する材料からなる内周部と、その外周に位置し、接着剤層3を形成する接着剤組成物を含む接着剤部とを備えている。分離層14において、内周部は、第2実施形態の分離層4と同様に形成されており、その外周の接着剤部は、接着剤層3と同様に形成されている。
本実施形態に係る剥離方法においては、図4中(b)に示すように、まず、光照射工程において、支持体2を介して、外周の接着剤部を除く分離層14の内周部に光101を照射して、分離層14の内周部を変質させる。次に、図4中(c)に示すように、積層体30を、槽100内に導入された溶剤中に浸漬する。これにより、分離層14の外周に位置する接着剤部を膨潤させて、その表面の接着性を低下させる。なお、図4中(b)および(c)の処理は、それぞれ順番を入れ替えて行ってもよい。すなわち、積層体30を、槽100内に導入された溶剤中に浸漬して分離層14の接着剤部を膨潤させた後に、支持体2を介して分離層14の内周部に光101を照射して、分離層14の内周部を変質させてもよい。
そして、図4中(d)に示すように、支持体剥離工程において、接着剤層3と支持体2とを分離する。その後、図4中(e)に示すように、溶剤供給工程において、接着剤層3の露出した面に溶剤をスピン塗布し、接着剤層3を膨潤させて、その表面の接着性を低下させる。最後に、膨潤した接着剤層3をウエハ1から剥離し、図4中(f)に示すように、ウエハ1上に洗浄液をスピン塗布して、ウエハ1上を洗浄する。
このように、外周部に接着剤部を備えた分離層14を用いることによって、例えば、リソグラフィ処理やめっき処理等に用いる溶剤に対する耐性が低い分離層材料を用いても、外周に接着剤部を設けることによって、分離層材料部分を保護することができる。したがって、分離層14を形成する材料の選択肢が広がる。
〔第4実施形態〕
本実施形態に係る剥離方法を、図5を参照して説明する。図5は、本発明の他の実施形態に係る剥離方法を示す説明図である。図5に示すように、本実施形態に係る剥離方法においては、貫通孔を有する支持体12とウエハ1とを貼り合わせた積層体40を用いる点において、第1実施形態と異なっている。したがって、本実施形態においては、第1実施形態と異なる点について説明し、他の詳細については省略する。
本実施形態の剥離方法においては、図5中(a)に示すように、ウエハ1と、その厚さ方向に貫通する貫通孔を有する支持体12とを、接着剤層3を介して貼り合わせた積層体40を剥離処理の対象とする。そして、図5中(b)に示すように、積層体40を、槽100内に導入された溶剤内に浸漬する。
本実施形態においては、支持体12が、その厚さ方向に貫通する貫通孔を有しているので、積層体40を溶剤内に浸漬するのみで、当該貫通孔を介して溶剤が接着剤層3に供給される。したがって、図5中(c)に示すように、支持体12と共に、溶剤により膨潤した接着剤層3をウエハ1から容易に分離することができる。そして、接着剤層3を膨潤剥離した後のウエハ1の表面に、図5中(d)に示すように、洗浄液をスピン塗布することによって、残渣のない良質なウエハ1を得ることができる。
〔第5実施形態〕
本実施形態に係る剥離方法を、図6を参照して説明する。図6は、本発明の他の実施形態に係る剥離方法を示す説明図である。図6に示すように、本実施形態に係る剥離方法においては、超音波振動工程を包含する点において第4実施形態と異なっている。したがって、本実施形態においては、第4実施形態と異なる点について説明し、他の詳細については省略する。
本実施形態の剥離方法においては、図6中(a)に示すように、ウエハ1と、その厚さ方向に貫通する貫通孔を有する支持体12とを、接着剤層3を介して貼り合わせた積層体40を剥離処理の対象とする。そして、図6中(b)に示すように、支持体12の上に超音波振動装置102を載置して、例えばその中央部に設けられた溶剤注入口103を介して、積層体40に溶剤を供給する。溶剤注入口103を介して積層体40に供給された溶剤は、支持体12の貫通孔を介して接着剤層3に供給される。
(超音波振動工程)
次に、図6中(c)に示すように、超音波振動工程において、溶剤が供給された接着剤層3を超音波振動させる。超音波振動工程においては、超音波振動装置102が備える超音波振動子を超音波振動させ、その振動を、支持体12を介して接着剤層3に伝播させて、接着剤層3を超音波振動させることができる。超音波振動工程においては、超音波振動装置102により、例えば、周波数1kHz〜1MHzの超音波を、1〜30分間、接着剤層3に伝播させればよく、周波数26kHzの超音波を、10分間、接着剤層3に伝播させることがより好ましい。
このように、接着剤層3を超音波振動させることによって、接着剤層3に供給された溶剤を、より迅速に接着剤層3に浸透させることができる。その結果、接着剤層3をより迅速に膨潤させることができるので、図6中(d)に示すように、支持体12と接着剤層3との分離、および、接着剤層3とウエハ1との分離を、より迅速に行うことができる。そして、接着剤層3を膨潤剥離した後のウエハ1の表面に、図6中(e)に示すように、洗浄液をスピン塗布することによって、残渣のない良質なウエハ1を得ることができる。
〔剥離装置〕
本発明に係る剥離装置は、接着剤層を介してウエハに貼り付けられた支持体を、当該ウエハから剥離する剥離装置であって、上記接着剤層を膨潤させて、その表面の接着性を低下させる溶剤を、上記接着剤層に供給する溶剤供給手段と、上記ウエハから上記接着剤層を剥離する剥離手段と、を備えている。すなわち、本発明に係る剥離装置は、本発明に係る剥離方法を実施するための剥離装置の一実施形態である。したがって、本発明に係る剥離装置の説明は、上述した本発明に係る剥離方法の説明に準じる。
〔実施例1〕
(接着剤組成物の調製)
株式会社クラレ製の水添スチレン系エラストマーH1051(SEBS:スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンのトリブロックコポリマー)100重量部を、主溶剤であるデカヒドロナフタリンに25%濃度で溶解させた。次に、熱重合禁止剤であるIRGANOX1010を溶解させた酢酸ブチル溶液を、エラストマー100重量部に対して、熱重合禁止剤が1重量部、酢酸ブチルが15重量部となるように加えた。これにより、接着剤組成物を得た。
(積層体の形成)
半導体ウエハ基板(Si、12インチ)に、上記の接着剤組成物をスピン塗布し、100℃、160℃、200℃で各5分間焼成して、膜厚100μmの接着剤層を形成した。
貫通孔を有するガラス製の支持体(12インチガラス基板、厚さ700μm)と、接着剤層とを、215℃の減圧下において、1,000kgで5分間貼り合わせて、積層体を形成した。形成した積層体について、その後の薄化処理および加熱処理における破損並びにウエハの面内均一性の低下につながる貼付不良(未接着部分)がないことを目視で確認した。
(積層体の薄化・加熱処理)
形成した積層体において、ウエハの裏面をDISCO社製のバックグラインド装置を用いて薄化処理(50μm)した後、N環境下において、220℃で3時間の加熱処理を行い、薄化処理に対する耐性、および、耐熱性に問題がないことを確認した。
(剥離処理)
薄化処理および加熱処理後の積層体に対して、支持体の貫通孔を介してPGMEA溶剤を注入し、周波数26kHzで10分間、超音波振動させた。その結果、接着剤層は膨潤し、その表面の接着性が低下しており、支持体を容易に剥離することができた。さらに、膨潤した接着剤層をウエハから除去することで、残渣のないウエハが得られた。
〔実施例2〕
(積層体の形成)
半導体ウエハ基板(Si、12インチ)に、実施例1で調製した接着剤組成物をスピン塗布し、100℃、160℃、200℃で各5分間焼成して、膜厚100μmの接着剤層を形成した。
次に、流量400sccm、圧力700mTorr、高周波電力2500Wおよび成膜温度240℃の条件下において、反応ガスとしてCを使用したCVD法により、分離層であるフルオロカーボン膜(厚さ1μm)をベアガラス製の支持体(12インチガラス基板、厚さ700μm)に形成した。その後、分離層と、接着剤層とを、215℃の減圧下において、1,000kgで5分間貼り合わせて、積層体を形成した。形成した積層体について、その後の薄化処理および加熱処理における破損並びにウエハの面内均一性の低下につながる貼付不良(未接着部分)がないことを目視で確認した。
(積層体の薄化・加熱処理)
形成した積層体において、ウエハの裏面をDISCO社製のバックグラインド装置を用いて薄化処理(50μm)した後、N環境下において、220℃で3時間の加熱処理を行い、薄化処理に対する耐性、および、耐熱性に問題がないことを確認した。
(剥離処理)
薄化処理および加熱処理後の積層体に対して、532nmのレーザを積層体の支持体側から分離層に向けて照射し、支持体を分離した。続いて、接着層に対し、スプレーノズルにてPGMEAを5分間噴射して接着層を膨潤剥離させた。さらに、接着層を分離したウエハ表面をp−メンタンでスピン洗浄することで、残渣のないウエハが得られた。
〔比較例〕
(接着剤組成物の調製)、(積層体の形成)、および、(積層体の薄化・加熱処理)を、実施例と同様に行った後、支持体の貫通孔を介してp−メンタン溶剤を注入し、周波数26kHzで60分間、超音波振動させた。その結果、接着剤層は溶解し、支持体とウエハとを分離することはできたが、実施例と比較してより長時間を要した。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、例えば、微細化された半導体装置の製造工程において好適に利用することができる。
1 ウエハ
2 支持体
3 接着剤層
4 分離層
10 積層体

Claims (4)

  1. 接着剤層を介してウエハに貼り付けられた支持体を、当該ウエハから剥離する剥離方法であって、
    上記支持体と上記接着剤層との間には、上記支持体を介して照射される光を吸収することによって変質する分離層がさらに設けられており、
    上記分離層は、その外周部分に、上記接着剤層を形成する接着剤組成物を含む接着剤部を備えており、
    上記接着剤層を膨潤させて、その表面の接着性を低下させる溶剤を、上記接着剤層に供給する溶剤供給工程と、
    上記溶剤供給工程の前に、上記支持体を介して上記分離層に光を照射して、上記分離層を変質させる光照射工程と、
    上記光照射工程と上記溶剤供給工程との間において、上記接着剤層から上記支持体を剥離する支持体剥離工程と、
    上記支持体剥離工程の前に、上記接着剤部に上記溶剤を供給する工程と、
    上記溶剤供給工程後、上記ウエハから、膨潤した上記接着剤層を剥離する剥離工程と、を包含することを特徴とする剥離方法。
  2. 上記溶剤供給工程と上記剥離工程との間において、上記溶剤が供給された上記接着剤層を超音波振動させる超音波振動工程をさらに包含することを特徴とする請求項1に記載の剥離方法。
  3. 上記剥離工程の後に、上記接着剤層が剥離された上記ウエハ上を洗浄する洗浄工程を包含することを特徴とする請求項1又は2に記載の剥離方法。
  4. 上記接着剤層は、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含み、当該スチレン単位の含有量が10重量%以上、90重量%以下であり、重量平均分子量が10,000以上、200,000以下であるエラストマーを、40重量%以上含む接着剤組成物により形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の剥離方法。
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