以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係る放射線情報システム10(以下、「RIS10」(RIS:(Radiology Information System)という)が示されている。RIS10は病院内の放射線科部門における診療予約や診断記録等の情報管理を行うためのシステムであり、複数台の端末装置12、RISサーバ14、病院内の個々の放射線撮影室(或いは手術室)に設置された放射線画像撮影システム18(のコンソール42)が、有線又は無線のLAN(Local Area Network)から成る病院内ネットワーク16に各々接続されて構成されている。なお、RIS10は同じ病院内に設けられた病院情報システム(HIS:Hospital Information System)の一部を構成しており、病院内ネットワーク16にはHIS全体を管理するHISサーバ(図示省略)も接続されている。
個々の端末装置12はパーソナル・コンピュータ(PC)等で構成され、医師や放射線技師によって操作される。医師や放射線技師は端末装置12を介して診断情報や施設予約の入力・閲覧を行い、放射線画像の撮影依頼(撮影予約)も端末装置12を介して入力される。また、RISサーバ14はRISデータベース(DB)を記憶する記憶部14Aを含んで構成されたコンピュータであり、RISデータベースには、患者の属性情報(例えば患者の氏名、性別、生年月日、年齢、血液型、患者ID等)や、病歴、受診歴、放射線画像撮影の履歴、過去に撮影した放射線画像のデータ等の患者に関する他の情報、個々の放射線画像撮影システム18の電子カセッテ32(後述)に関する情報(例えば識別番号、型式、サイズ、感度、使用可能な撮影部位(対応可能な撮影依頼の内容)、使用開始年月日、使用回数等)が登録されている。RISサーバ14はRISデータベースに登録されている情報に基づいて、RIS10全体を管理する処理(例えば各端末装置12からの撮影依頼を受け付け、個々の放射線画像撮影システム18における放射線画像の撮影スケジュールを管理する処理)を行う。
個々の放射線画像撮影システム18は、RISサーバ14から指示された放射線画像の撮影を、医師や放射線技師の操作に従って行うシステムであり、患者(被写体)に照射する放射線を発生させる放射線発生装置34、患者を透過した放射線を検出し放射線画像データに変換・出力する放射線検出器を内蔵した電子カセッテ32、電子カセッテ32に内蔵されたバッテリ96A(図3参照)を充電するクレードル40、及び、上記各機器の動作を制御するコンソール42を各々備えている。なお、電子カセッテ32は本発明に係る放射線検出パネルの一例である。
図2に示すように、放射線発生装置34の放射線源130(詳細は後述)が配置される放射線撮影室44には、立位での放射線撮影を行う際に用いられる立位台45と、臥位での放射線撮影を行う際に用いられる臥位台46とが設置されており、立位台45の前方空間は立位での放射線撮影を行う際の被撮影者の撮影位置48とされ、臥位台46の上方空間は臥位での放射線撮影を行う際の被撮影者の撮影位置50とされている。立位台45には電子カセッテ32を保持する保持部150が設けられており、立位での放射線画像の撮影を行う際には電子カセッテ32が保持部150に保持される。また、臥位での放射線画像の撮影を行う際には、臥位台46の天板152上に電子カセッテ32が載置される。
また、放射線撮影室44には、単一の放射線源130からの放射線によって立位での放射線撮影も臥位での放射線撮影も可能とするために、放射線源130を、水平な軸回り(図2の矢印A方向)に回動可能で、鉛直方向(図2の矢印B方向)に移動可能で、かつ水平方向(図2の矢印C方向)に移動可能に支持する支持移動機構52が設けられている。支持移動機構52は、放射線源130を水平な軸回りに回動させる駆動源と、放射線源130を鉛直方向に移動させる駆動源と、放射線源130を水平方向に移動させる駆動源を各々備えており(何れも図示省略)、撮影条件情報で指定された撮影時姿勢が立位であれば、放射線源130を立位撮影用の位置54(射出した放射線が撮影位置48に位置している患者に側方から照射される位置)へ移動させ、撮影条件情報で指定された撮影時姿勢が臥位であれば、放射線源130を臥位撮影用の位置56(射出した放射線が撮影位置50に位置している患者に上方から照射される位置)へ移動させる。
また、クレードル40には電子カセッテ32を収納可能な収容部40Aが形成されている。電子カセッテ32は、未使用時にはクレードル40の収容部40Aに収納され、この状態でクレードル40によって内蔵バッテリへの充電が行われる。また、放射線画像の撮影時には放射線技師等によってクレードル40から取り出され、撮影姿勢が立位であれば立位台45の保持部150に保持され、撮影姿勢が臥位であれば臥位台46の天板152上に載置される。なお、電子カセッテ32は撮影時に上記2種類の位置の何れかに配置されることに限られるものではなく、電子カセッテ32は可搬性を有しているので、撮影時に放射線撮影室44内の任意の位置に自在に配置可能であることは言うまでもない。
次に電子カセッテ32について説明する。図3に示すように、電子カセッテ32は、放射線Xを透過させる材料から成り、矩形状で放射線Xが照射される照射面56が形成された直方体状の筐体54を備えている。電子カセッテ32は、手術室等で使用される際に血液やその他の雑菌が付着することがある。このため、電子カセッテ32は筐体54によって密閉され、防水性も確保された構造とされており、必要に応じて殺菌洗浄することで同一の電子カセッテ32を繰り返し使用可能とされている。
電子カセッテ32の筐体54内には、被撮影者を透過した放射線Xの到来方向に沿って、筐体54の放射線Xの照射面56側から順に、本発明の第2検出手段の一例としての放射線検出部62、本発明の第1検出手段の一例としての放射線検出器60、本発明の発光部の一例としてのシンチレータ71が積層配置されている。また、筐体54の内部には、照射面56の長手方向に沿った一端側に、マイクロコンピュータを含む各種の電子回路や、充電可能かつ着脱可能なバッテリ96Aを収容するケース31が配置されている。放射線検出器60や上記の各種電子回路は、ケース31内に収容されたバッテリ96Aから供給される電力によって作動する。ケース31内に収容された各種電子回路が放射線Xの照射に伴って損傷することを回避するため、筐体54内のうちケース31の照射面56側には鉛板等から成る放射線遮蔽部材が配設されている。
また、筐体54の照射面56には、複数個のLEDから成り、電子カセッテ32の動作モード(例えば「レディ状態」や「データ送信中」等)やバッテリ96Aの残容量の状態等の動作状態を表示するための表示部56Aが設けられている。なお、表示部56AはLED以外の発光素子で構成してもよいし、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示手段で構成してもよい。また、表示部56Aは照射面56以外の部位に設けてもよい。
図4に示すように、放射線検出器60は、フォトダイオード(PD:PhotoDiode)等から成る光電変換部72、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)70及び蓄積容量68を備えた画素部74が、図6に示すように、平板状で平面視における外形形状が矩形状とされた絶縁性基板64上にマトリクス状に複数形成されたTFTアクティブマトリクス基板(以下、「TFT基板」という)で構成されている。
光電変換部72は、上部電極72Aと下部電極72Bとの間に、シンチレータ71から放出された光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する光電変換膜72Cが配置されて構成されている。
なお、上部電極72Aは、シンチレータ71から放出された光を光電変換膜72Cに入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ71の発光波長の光に対する光透過率の高い導電性材料で構成することが好ましく、具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物(TCO;Transparent Conducting Oxide)を用いることが好ましい。なお、上部電極72AとしてAuなどの金属薄膜を用いることもできるが、90%以上の光透過率を得ようとすると抵抗値が増大し易くなるため、TCOの方が好ましい。例えば、ITO、IZO、AZO、FTO、SnO2、TiO2、ZnO2等を用いることが好ましく、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からITOが最も好ましい。なお、上部電極72Aは、全画素部共通の一枚構成としてもよいし、画素部毎に分割してもよい。
光電変換膜72Cを構成する材料は光を吸収して電荷を発生する材料であればよく、例えば、アモルファスシリコンや有機光電変換材料等を用いることができる。光電変換膜72Cをアモルファスシリコンで構成した場合、シンチレータ71から放出された光を広い波長域に亘って吸収するように構成することができる。但し、アモルファスシリコンから成る光電変換膜72Cの形成には蒸着を行う必要があり、絶縁性基板64が合成樹脂製である場合、絶縁性基板64の耐熱性が不足する可能性がある。
一方、光電変換膜72Cを有機光電変換材料を含む材料で構成した場合は、主に可視光域で高い吸波を示す吸収スペクトルが得られ、光電変換膜72Cによるシンチレータ71から放出された光以外の電磁波の吸収が殆ど無くなるので、X線やγ線等の放射線が光電変換膜72Cで吸収されることで発生するノイズを抑制できる。また、有機光電変換材料から成る光電変換膜72Cは、インクジェットヘッド等の液滴吐出ヘッドを用いて有機光電変換材料を被形成体上に付着させることで形成させることができ、被形成体に対して耐熱性は要求されない。このため、本実施形態では、光電変換部72の光電変換膜72Cを有機光電変換材料で構成している。
光電変換膜72Cを有機光電変換材料で構成した場合、光電変換膜72Cで放射線が殆ど吸収されないので、放射線が透過するように放射線検出器60が配置される表面読取方式(ISS)において、放射線検出器60を透過することによる放射線の減衰を抑制することができ、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。従って、光電変換膜72Cを有機光電変換材料で構成することは、特に表面読取方式(ISS)に好適である。
光電変換膜72Cを構成する有機光電変換材料は、シンチレータ71から放出された光を最も効率良く吸収するために、その吸収ピーク波長が、シンチレータ71の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光電変換材料の吸収ピーク波長とシンチレータ71の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ71から放出された光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光電変換材料の吸収ピーク波長と、シンチレータ71の放射線に対する発光ピーク波長との差が10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えばキナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、シンチレータ71の材料としてCsI:Tl(タリウムを添加したヨウ化セシウム)を用いた場合には、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜72Cで発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。光電変換膜72Cに適用可能な有機光電変換材料については、特開2009−32854号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
放射線検出器60に適用可能な光電変換膜72Cについて具体的に説明する。放射線検出器60における電磁波吸収/光電変換部位は、電極72A,72Bと、該電極72A,72Bに挟まれた光電変換膜72Cを含む有機層である。この有機層は、より具体的には、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び、層間接触改良部位等を積み重ねるか、若しくは混合することで形成することができる。
上記有機層は、有機p型化合物または有機n型化合物を含有することが好ましい。有機p型半導体(化合物)は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質を有する有機化合物である。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物である。従って、ドナー性有機化合物としては、電子供与性を有する有機化合物であれば何れの有機化合物も使用可能である。有機n型半導体(化合物)は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容し易い性質を有する有機化合物である。更に詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物である。従って、アクセプター性有機化合物は、電子受容性を有する有機化合物であれば何れの有機化合物も使用可能である。
有機p型半導体及び有機n型半導体として適用可能な材料や、光電変換膜72Cの構成については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。なお、光電変換膜72Cは、更にフラーレン又はカーボンナノチューブを含有していてもよい。
また、光電変換部72は、少なくとも電極対72A,72Bと光電変換膜72Cを含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜及び正孔ブロッキング膜の少なくとも何れかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
電子ブロッキング膜は、下部電極72Bと光電変換膜72Cとの間に設けることができ、下部電極72Bと上部電極72Aとの間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極72Bから光電変換膜72Cに電子が注入されて暗電流が増加してしまうことを抑制することができる。電子ブロッキング膜には電子供与性有機材料を用いることができる。実際に電子ブロッキング膜に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜72Cの材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、かつ、隣接する光電変換膜72Cの材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIp、若しくはそれより小さいIpを有するものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
電子ブロッキング膜の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、光電変換部72の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、より好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
正孔ブロッキング膜は、光電変換膜72Cと上部電極72Aとの間に設けることができ、下部電極72Bと上部電極72Aとの間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極72Aから光電変換膜72Cに正孔が注入されて暗電流が増加してしまうことを抑制することができる。正孔ブロッキング膜には電子受容性有機材料を用いることができる。実際に正孔ブロッキング膜に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜72Cの材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、かつ、隣接する光電変換膜72Cの材料の電子親和力(Ea)と同等のEa、若しくはそれより大きいEaを有するものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
正孔ブロッキング膜の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、光電変換部308の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、より好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
なお、光電変換膜72Cで発生した電荷のうち、正孔が上部電極72Aに移動し、電子が下部電極72Bに移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜と正孔ブロッキング膜の位置を逆にすれば良い。また、電子ブロッキング膜と正孔ブロッキング膜は両方設けることは必須ではなく、何れかを設けておけば、或る程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
図5に示すように、絶縁性基板64上には、光電変換部72の下部電極72Bに対応して、下部電極72Bに移動した電荷を蓄積する蓄積容量68と、蓄積容量68に蓄積された電荷を電気信号として出力するTFT70が形成されている。蓄積容量68及びTFT70が形成された領域は、平面視において下部電極72Bと一部重なっている。これにより、各画素部における蓄積容量68及びTFT70と光電変換部72とが厚さ方向で重なりを有することとなり、小さな面積に蓄積容量68及びTFT70と光電変換部72を配置できる。蓄積容量68は、絶縁性基板64と下部電極72Bとの間に設けられた絶縁膜65Aを貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極72Bと電気的に接続されている。これにより、下部電極72Bで捕集された電荷は蓄積容量68に移動される。
TFT70は、ゲート電極70A、ゲート絶縁膜65B及び活性層(チャネル層)70Bが積層され、更に活性層70B上にソース電極70Cとドレイン電極70Dが所定の間隔を隔てて形成されている。活性層70Bは、例えばアモルファスシリコンや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブ等のうちの何れかにより形成することができるが、活性層70Bを形成可能な材料はこれらに限定されるものではない。
活性層70Bを形成可能な非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO3(ZnO)m(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnO4がより好ましい。なお、活性層70Bを形成可能な非晶質酸化物はこれらに限定されるものではない。
また、活性層70Bを形成可能な有機半導体材料としては、例えば、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開2009−212389号公報で詳細に説明されているため、説明を省略する。
TFT70の活性層70Bを非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブ等のうちの何れかによって形成すれば、X線等の放射線を吸収せず、或いは吸収したとしても極めて微量に留まるため、画像信号へのノイズの重畳を効果的に抑制することができる。
また、活性層70Bをカーボンナノチューブで形成した場合、TFT70のスイッチング速度を高速化することができ、また、TFT70における可視光域の光の吸収度合いを低下させることができる。なお、活性層70Bをカーボンナノチューブで形成する場合、活性層70Bにごく微量の金属性不純物が混入しただけでTFT70の性能が著しく低下するため、遠心分離等により非常に純度の高いカーボンナノチューブを分離・抽出して活性層70Bの形成に用いる必要がある。
なお、有機光電変換材料で形成した膜及び有機半導体材料で形成した膜は何れも十分な可撓性を有しているので、有機光電変換材料で形成した光電変換膜72Cと、活性層70Bを有機半導体材料で形成したTFT70と、を組み合わせた構成であれば、患者(被写体)の体の重みが荷重として加わることのある放射線検出器60の高剛性化は必ずしも必要ではなくなる。このため、放射線検出器60ではTFT70の活性層を有機半導体材料で形成することが好ましい。
また、絶縁性基板64は光透過性を有し且つ放射線の吸収が少ないものであればよい。ここで、TFT70の活性層70Bを構成する非晶質酸化物等や、光電変換部72の光電変換膜72Cを構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、絶縁性基板64としては、半導体基板、石英基板、及びガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、合成樹脂製の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板を用いることができる。このような合成樹脂製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。なお、絶縁性基板64には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
なお、アラミドは200度以上の高温プロセスを適用できるため、透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドはITO(indium tin oxide)やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて基板を薄型化できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して絶縁性基板64を形成してもよい。
また、バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂とを複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、かつ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60−70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3−7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、かつフレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて絶縁性基板64を薄型化できる。
絶縁性基板64としてガラス基板を用いた場合、放射線検出器(TFT基板)60全体としての厚みは、例えば0.7mm程度になるが、本実施形態では電子カセッテ32の薄型化も考慮し、絶縁性基板64として、光透過性を有する合成樹脂から成る薄型の基板を用いている。これにより、放射線検出器(TFT基板)60全体としての厚みを、例えば0.1mm程度に薄型化できると共に、放射線検出器(TFT基板)60に可撓性をもたせることができる。また、放射線検出器(TFT基板)60に可撓性をもたせることで、放射線検出器60(TFT基板)の耐衝撃性が向上し、電子カセッテ32の筐体30に衝撃が加わった場合にも放射線検出器(TFT基板)60が破損し難くなる。また、プラスチック樹脂や、アラミド、バイオナノファイバ等は何れも放射線の吸収が少なく、絶縁性基板64をこれらの材料で形成した場合、絶縁性基板64による放射線の吸収量も少なくなるため、表面読取方式(ISS)により光検出部306を放射線が透過する構成であっても、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。
なお、電子カセッテ32の絶縁性基板64として合成樹脂製の基板を用いることは必須ではなく、電子カセッテ32の厚さは増大するものの、ガラス基板等の他の材料から成る基板を絶縁性基板64として用いるようにしてもよい。
また、図6に示すように、放射線検出器(TFT基板)60には、一定方向(行方向)に沿って延設され個々のTFT70をオンオフさせるための複数本のゲート配線76と、前記一定方向と交差する方向(列方向)に沿って延設され、蓄積容量68(及び光電変換部72の上部電極72Aと下部電極72Bの間)に蓄積された電荷をオン状態のTFT70を介して読み出すための複数本のデータ配線78が設けられている。また図4に示すように、放射線検出器(TFT基板)60のうち、放射線の到来方向と反対側の端部には、TFT基板上を平坦にするための平坦化層67が形成されている。
また、図4に示すように、本実施形態では放射線検出器60を挟んで放射線の到来方向と反対側に、入射された放射線を吸収して発光するシンチレータ71が配置されており、放射線検出器60(の平坦化層67)とシンチレータ71とは接着層69によって接着されている。シンチレータ71の発光波長域は可視光域(波長360nm〜830nm)であることが好ましく、放射線検出器60によってモノクロの放射線画像の撮影を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。一般に、シンチレータに適用する蛍光体としては、例えばCsI(Tl)(タリウムを添加したヨウ化セシウム)や、CsI(Na)(ナトリウム賦活ヨウ化セシウム)、GOS(Gd2O2S:Tb)等の材料を用いることができるが、これらの材料に限られるものではない。
放射線としてX線を用いて撮影を行う場合はヨウ化セシウム(CsI)を含むものが好ましく、X線照射時の発光スペクトルが420nm〜700nmにあるCsI(Tl)を用いることが特に好ましい。なお、CsI(Tl)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。但し、CsIから成るシンチレータ71の形成にあたっても蒸着を行う必要があるのに対し、本実施形態では、前述のように絶縁性基板64として耐熱性の低い合成樹脂製の基板を用いている。このため、本実施形態ではシンチレータ71として、シンチレータの形成にあたって蒸着等が不要なGOSを用いている。なお、シンチレータ71の厚みは例えば0.3mm程度である。
また、本実施形態では、放射線検出器60を挟んでシンチレータ71と反対側(放射線の到来方向上流側)に放射線検出部62が設けられている。放射線検出部62は、放射線検出器60の絶縁性基板64のうち画素部74が形成されている側と反対側の面に、後述する配線160(図7参照)がパターニングされた配線層142、絶縁層144が順に形成され、その上層(図4における下方側)に、シンチレータ71から放出され放射線検出器60を透過した光を検出するセンサ部146が複数形成され、更に当該センサ部146の上層に保護層148が形成されて構成されている。なお、放射線検出部62の厚みは例えば0.05mm程度である。
センサ部146は、上部電極147A及び下部電極147Bを備え、上部電極147Aと下部電極147Bとの間に、シンチレータ71からの光を吸収して電荷を発生する光電変換膜147Cが配置されて構成されている。センサ部146(光電変換膜147C)としては、アモルファスシリコンを用いたPIN型、MIS型フォトダイオードを適用することも可能であるが、本実施形態では、光電変換部72の光電変換膜72Cと同様に、光電変換膜147Cを有機光電変換材料で構成している。これにより、インクジェットヘッド等の液滴吐出ヘッドを用いて有機光電変換材料を被形成体上に付着させることで光電変換膜147Cを形成させることが可能となり、絶縁性基板64として、光透過性を有する合成樹脂製で薄型の基板を用いることが可能となる。
なお、放射線検出部62は、電子カセッテ32への放射線の照射タイミングの検出、及び、電子カセッテ32への放射線の積算照射量の検出を行うためのものであり、放射線画像の検出(撮影)は放射線検出器60によって行われるので、放射線検出部62のセンサ部146は、放射線検出器60の画素部74よりも配置ピッチが大きく(配置密度が低く)されており、単一のセンサ部146の受光領域は、放射線検出器60の画素部74の数個〜数百個分のサイズとされている。
図7に示すように、放射線検出器60の個々のゲート配線76はゲート線ドライバ80に接続されており、個々のデータ配線78は信号処理部82に接続されている。被写体を透過した放射線(被写体の画像情報を担持した放射線)が電子カセッテ32に照射されると、シンチレータ71のうち照射面56上の各位置に対応する部分からは、前記各位置における放射線の照射量に応じた光量の光が放出され、個々の画素部74の光電変換部72では、シンチレータ71のうちの対応する部分から放出された光の光量に応じた大きさの電荷が発生され、この電荷が個々の画素部74の蓄積容量68(及び光電変換部72の上部電極72Aと下部電極72Bの間)に蓄積される。
上記のようにして個々の画素部74の蓄積容量68に電荷が蓄積されると、個々の画素部74のTFT70は、ゲート線ドライバ80からゲート配線76を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、TFT70がオンされた画素部74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は、アナログの電気信号としてデータ配線78を伝送されて信号処理部82に入力される。従って、個々の画素部74の蓄積容量68に蓄積された電荷は行単位で順に読み出される。
信号処理部82は、個々のデータ配線78毎に設けられた増幅器及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線78を伝送された電気信号は増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。
信号処理部82には画像メモリ90が接続されており、信号処理部82のA/D変換器から出力された画像データは画像メモリ90に順に記憶される。画像メモリ90は複数フレーム分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ90に順次記憶される。
画像メモリ90は電子カセッテ32全体の動作を制御するカセッテ制御部92と接続されている。カセッテ制御部92はマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPU92A、ROM及びRAMを含むメモリ92B、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部92Cを備えている。
また、カセッテ制御部92には無線通信部94が接続されている。無線通信部94は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g/n等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部92は、無線通信部94を介してコンソール42と無線通信が可能とされており、コンソール42との間で各種情報の送受信が可能とされている。
一方、放射線検出部62にはセンサ部146と同数の配線160が設けられており、放射線検出部62の個々のセンサ部146は、互いに異なる配線160を介して信号検出部162に各々接続されている。信号検出部162は、各配線160毎に設けられた増幅器、サンプルホールド回路及びA/D変換器を備えており、カセッテ制御部92と接続されている。信号検出部162は、カセッテ制御部92からの制御により、個々のセンサ部146から配線160を介して伝送される信号のサンプリングを所定の周期で行い、サンプリングした信号をデジタルデータに変換してカセッテ制御部92へ順次出力する。
また、電子カセッテ32には電源部96が設けられており、上述した各種電子回路(ゲート線ドライバ80や信号処理部82、画像メモリ90、無線通信部94、カセッテ制御部92、信号検出部162等)は電源部96と各々接続され(図示省略)、電源部96から供給された電力によって作動する。電源部96は、電子カセッテ32の可搬性を損なわないように、前述のバッテリ(二次電池)96Aを内蔵しており、充電されたバッテリ96Aから各種電子回路へ電力を供給する。
図9に示すように、コンソール42はコンピュータから成り、装置全体の動作を司るCPU104、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM106、各種データを一時的に記憶するRAM108、及び、各種データを記憶するHDD110を備え、これらはバスを介して互いに接続されている。またバスには、通信I/F部132及び無線通信部118が接続され、ディスプレイ100がディスプレイドライバ112を介して接続され、更に、操作パネル102が操作入力検出部114を介して接続されている。
通信I/F部132は接続端子42A及び通信ケーブル35を介して放射線発生装置34と接続されている。コンソール42(のCPU104)は、放射線発生装置34との間での曝射条件等の各種情報の送受信を通信I/F部132経由で行う。無線通信部118は電子カセッテ32の無線通信部94と無線通信を行う機能を備えており、コンソール42(のCPU104)は電子カセッテ32との間の画像データ等の各種情報の送受信を無線通信部118経由で行う。また、ディスプレイドライバ112はディスプレイ100への各種情報を表示させるための信号を生成・出力し、コンソール42(のCPU104)はディスプレイドライバ112を介して操作メニューや撮影された放射線画像等をディスプレイ100に表示させる。また、操作パネル102は複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される。操作入力検出部114は操作パネル102に対する操作を検出し、検出結果をCPU104へ通知する。
また、放射線発生装置34は、放射線源130と、コンソール42との間で曝射条件等の各種情報の送受信を行う通信I/F部132と、コンソール42から受信した曝射条件(この曝射条件には管電圧、管電流の情報が含まれている)に基づいて放射線源130を制御する線源制御部134と、を備えている。
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態に係る電子カセッテ32は、シンチレータ71、放射線検出器60及び放射線検出部62が放射線の到来方向に沿って積層配置されているので、電子カセッテ32に放射線検出部62を追加したことに伴って、照射面56に平行な方向に沿った電子カセッテ32のサイズが大型化(照射面56の面積が増大)することを防止することができる。
また、本実施形態に係る電子カセッテ32は、放射線検出器60を挟んでシンチレータ71の反対側に放射線検出部62を設けているが、放射線検出器60を構成する絶縁性基板64として光透過性を有する基板を用い、シンチレータ71から放出された光が放射線検出器60を透過して放射線検出部62にも入射されるように構成することで、放射線検出器60及び放射線検出部62がシンチレータ71から放出された光を各々検出するように構成しているので、放射線検出器60に対応するシンチレータと放射線検出部62に対応するシンチレータを各々設ける必要が無くなり、電子カセッテ32に設けるシンチレータの数を削減できる(シンチレータの数が1個で済む)。
また、本実施形態に係る電子カセッテ32は、放射線検出部62を支持する支持体として、放射線検出器60を構成する絶縁性基板64を用いており、放射線検出器60及び放射線検出部62を同一の支持体(絶縁性基板64)上に設けているので、放射線検出部62を支持する支持体を別に設ける必要が無くなり、電子カセッテ32に設ける支持体(基板或いはベース)の数も削減できる。
更に、本実施形態に係る電子カセッテ32は、放射線検出部62の光電変換膜147Cを有機光電変換材料で構成しているので、シンチレータ71をGOSで構成し、放射線検出器60の光電変換部72の光電変換膜72Cを有機光電変換材料で構成し、TFT70の活性層70Bを非晶質酸化物で構成したことと相俟って、絶縁性基板64として光透過性を有する合成樹脂製で薄型の基板を用いることができる。また、シンチレータの形成にあたって蒸着が不要な材料(GOS等)でシンチレータ71を構成しているので、蒸着によってシンチレータを形成するための基板(耐熱性の高い基板(蒸着基板))も不要である。
このように、本実施形態に係る電子カセッテ32は、放射線検出部62の支持体としても機能する絶縁性基板64を薄くすることができると共に、放射線検出部62を追加したにも拘わらず、シンチレータ及び放射線検出部62の支持体の追加が不要で、シンチレータを形成するための蒸着基板も不要な構成であるので、照射された放射線を画像として検出する機能と別に、照射された放射線を検出する機能も備えた電子カセッテ32を、非常に薄型に構成することができる。
続いて、放射線情報システム10(放射線画像撮影システム18)における放射線画像の撮影について説明する。放射線画像の撮影を行う場合、端末装置12(図1参照)は、医師又は放射線技師からの撮影依頼を受け付ける。当該撮影依頼では、撮影対象とする患者、撮影対象とする撮影部位、撮影モード(静止画像撮影か動画像撮影か)が指定され、管電圧、管電流などが必要に応じて指定される。端末装置12は、受け付けた撮影依頼の内容をRISサーバ14に通知する。RISサーバ14は、端末装置12から通知された撮影依頼の内容をデータベース14Aに記憶する。コンソール42は、RISサーバ14にアクセスすることにより、RISサーバ14から撮影依頼の内容及び撮影対象とする患者の属性情報を取得し、撮影依頼の内容及び患者の属性情報をディスプレイ100(図8参照)に表示する。
撮影者(放射線技師)は、ディスプレイ100に表示された撮影依頼の内容に基づいて、放射線画像の撮影を行うための準備作業を行う。例えば図2に示す臥位台46上に横臥した被撮影者の患部の撮影を行う場合には、撮影部位に応じて臥位台46と被撮影者の撮影部位との間に電子カセッテ32を配置する。また撮影者は、操作パネル102に対して放射線Xを照射する際の管電圧及び管電流等を指定する。
ここで、本実施形態では、放射線画像の撮影時に、電子カセッテ32への放射線の照射量の累積値を放射線検出部62を用いて検出し、放射線源130からの放射線の照射を制御する自動照射制御(所謂AEC(automatic exposure control))を行っている。具体的には、電子カセッテ32は、検出した放射線の照射量累積値が上限値に達した場合に、コンソール42に対して放射線源130からの放射線の射出終了を指示すると共に、放射線検出器60からの画像の読み出しを開始する。なお、放射線の照射量累積値の上限値は、撮影される放射線画像が静止画像であれば、撮影部位の放射線画像として鮮明な静止画像が得られる値に設定され、撮影される放射線画像が動画像であれば、被撮影者の被曝を許容される範囲内に抑えるための値が設定される。
放射線の照射量累積値の上限値は、撮影時に撮影者により操作パネル102から入力されるようにしてもよいし、放射線の照射量累積値の上限値を撮影部位毎に予め記憶しておき、撮影者が操作パネル102に対して撮影部位の指定を行い、指定された撮影部位に対応する放射線の照射量累積値の上限値を読み出すようにしてもよいし、RISサーバ14のデータベース14Aに患者毎に日別の被曝量を記憶しておき、この情報に基づいて所定期間(例えば直近3ヶ月間)内の被撮影者の総被曝量を演算し、演算した総被曝量から被撮影者の今回の撮影における許容被曝量を演算し、演算した許容被曝量を放射線の照射量累積値の上限値として用いるようにしてもよい。
撮影者は、上記の準備作業が完了すると、コンソール42の操作パネル102を介して準備作業の完了を通知する操作を行い、コンソール42は、この操作をトリガとして、指定された管電圧、管電流を曝射条件として放射線発生装置34へ送信すると共に、指定された撮影モード(静止画像/動画像)、放射線の照射量累積値の上限値を撮影条件として電子カセッテ32へ送信する。放射線発生装置34の線源制御部134は、コンソール42から受信した曝射条件を内蔵メモリ等に記憶し、電子カセッテ32のカセッテ制御部92は、コンソール42から受信した撮影条件を記憶部92Cに記憶させる。
コンソール42は、放射線発生装置34及び電子カセッテ32への上記情報の送信が正常に終了すると、ディスプレイ100の表示を切り替えることで撮影可能状態になったことを撮影者へ通知し、この通知を確認した撮影者は、コンソール42の操作パネル102を介して撮影開始を指示する操作を行う。これにより、コンソール42は、曝射開始を指示する指示信号を放射線発生装置34へ送信し、放射線発生装置34は、コンソール42から事前に受信した曝射条件に応じた管電圧、管電流で放射線源130から放射線を射出させる。
一方、電子カセッテ32のカセッテ制御部92は、コンソール42から撮影条件を受信すると、記憶部92Cに予め記憶された撮影制御プログラムをCPU92Aによって実行することで、図9に示す撮影制御処理を行う。
この撮影制御処理では、まずステップ250において、メモリ92B上の所定領域に記憶される放射線の照射量累積値を0に初期化する。また、次のステップ252では指定された撮影モードが動画像撮影モードか否か判定する。指定された撮影モードが静止画像撮影モードであれば、判定が否定されてステップ256へ移行するが、指定された撮影モードが動画像撮影モードの場合は、ステップ252の判定が肯定されてステップ254へ移行し、撮影する動画像のフレームレートに応じた撮影周期を設定した後にステップ256へ移行する。また、
また、ステップ256では、ゲート線ドライバ80からゲート配線76を介してTFT70へ供給される信号のレベルを、TFT70をオンさせるレベルへ切り替えることを、放射線検出器60の全てのゲート配線76について同時に行うことで、放射線検出器60の全てのTFT70を各々オンさせる。これにより、放射線検出器60の個々の画素部74の蓄積容量68(及び光電変換部72の上部電極72Aと下部電極72Bの間)に蓄積されていた電荷が廃棄されると共に、電子カセッテ32に放射線が照射される迄の間、個々の画素部74の光電変換部72から出力される暗電流が電荷として蓄積されることも阻止される。
次のステップ258では、放射線検出部62の各センサ部146から配線160を介して伝送された出力信号を、信号検出部162を介してデジタルデータ(放射線の照射量検出値)として取得する。なお、放射線検出部62の各センサ部146からの出力信号のレベルは、シンチレータ71から放出され放射線検出器(TFT基板)60を透過して各センサ部146で受光される光の受光量に応じて変化し、各センサ部146の受光量はシンチレータ71から放出される光の光量に応じて変化し、シンチレータ71から放出される光の光量は電子カセッテ32への放射線の照射量に応じて変化するので、上記のデジタルデータの値は放射線検出部62による電子カセッテ32への放射線の照射量検出値に相当する。
ステップ260では、放射線検出部62の各センサ部146から取得した放射線の照射量検出値に基づき、放射線の照射量検出値を閾値以上か否かを判定することで、電子カセッテ32への放射線の照射が開始されたか否か判定する。なお、閾値と比較する放射線の照射量検出値としては、各センサ部146から取得した放射線の照射量検出値の平均値を用いてもよいが、電子カセッテ32の照射面56のうち被撮影者の体を透過した放射線が照射される部分については、放射線の一部が被撮影者の体に吸収されることで放射線の照射量が低下するので、各センサ部146のうち、放射線源130からの放射線が直接照射される(被撮影者の体を透過することなく照射される)部分に対応するセンサ部146から取得した照射量検出値を用いることが好ましい。
この態様において、照射量検出値を用いるセンサ部146としては、例えば、被撮影者の体を透過した放射線が照射されることが稀な照射面56の四隅のうちの何れかに近い位置に配置されたセンサ部146を適用することができる。また、照射面56のうち放射線源130からの放射線が直接照射される範囲は撮影部位によって相違するので、コンソール42から撮影部位の情報を取得しておき、取得した情報が表す撮影部位に応じて、照射量検出値を用いるセンサ部146を切り替えるようにしてもよい。
ステップ260の判定が否定された場合はステップ258に戻り、ステップ260の判定が肯定される迄ステップ258,260を繰り返す。また、放射線源130からの放射線の射出が開始され、射出された放射線が、その一部が被撮影者の体を透過した後に電子カセッテ32に照射されると、ステップ258で取得した放射線の照射量検出値が閾値以上となることで、ステップ260の判定が肯定されてステップ262へ移行する。ステップ262では、ゲート線ドライバ80からゲート配線76を介してTFT70へ供給される信号のレベルを、TFT70をオフさせるレベルへ切り替えることを、放射線検出器60の全てのゲート配線76について同時に行うことで、放射線検出器60の全てのTFT70を各々オフさせる。これにより、放射線検出器60の個々の画素部74の蓄積容量68(及び光電変換部72の上部電極72Aと下部電極72Bの間)への電荷の蓄積が開始される。
次のステップ264では指定された撮影モードが動画像撮影モードか否か判定する。指定された撮影モードが静止画像撮影モードの場合には、判定が否定されてステップ266へ移行し、放射線検出部62の各センサ部146から放射線の照射量検出値を取得する。ステップ268では、各センサ部146から取得した放射線の照射量検出値が0又は0に近い値か否か判定する。この判定は、放射線源130からの放射線の射出が停止されたか否かを判定しており、判定が否定された場合はステップ270へ移行し、ステップ266で取得した放射線の照射量検出値(例えば各センサ部146から取得した放射線照射量の平均値)を放射線の照射量累積値に加算する。次のステップ272では、放射線の照射量累積値がコンソール42から受信した上限値以上になったか否か判定する。この判定も否定された場合はステップ266に戻り、ステップ268又はステップ272の判定が肯定される迄、ステップ266〜ステップ272を繰り返す。
静止画像撮影モードでは、曝射終了タイミングが到来すると、コンソール42から放射線発生装置34へ放射線の射出終了が指示され、放射線発生装置34は、放射線源130からの放射線の射出を停止させる。この場合、電子カセッテ32への放射線の照射が停止されることで、ステップ268の判定が肯定されてステップ276へ移行し、放射線検出器60のTFT70をゲート配線76単位で順にオンさせることで、個々の画素部74の蓄積容量68(及び光電変換部72の上部電極72Aと下部電極72Bの間)に蓄積された電荷を、撮影された放射線画像の信号として順に読み出す。そしてステップ278では、ステップ276の電荷読み出しによって得られた放射線画像のデータを、無線通信によってコンソール42へ送信し、撮影制御処理を終了する。
また、曝射終了タイミングが到来する前に放射線の照射量累積値が上限値以上になった場合には、ステップ268の判定が肯定される前にステップ272の判定が肯定されてステップ274へ移行し、曝射終了を指示する信号を無線通信によってコンソール42へ送信する。これにより、コンソール42は放射線発生装置34へ放射線の射出終了を指示し、放射線発生装置34は放射線源130からの放射線の射出を停止させる。これにより、静止画像の撮影が中止される。そして、ステップ276で放射線検出器60の各画素部74からの電荷の読み出しを行い、ステップ278でコンソール42への放射線画像データの送信を行い、撮影制御処理を終了する。
一方、撮影モードが動画像撮影モードの場合には、ステップ264の判定が肯定されてステップ280へ移行し、前述のステップ266〜ステップ272と同様に、放射線検出部62の各センサ部146から放射線の照射量検出値を取得し(ステップ280)、取得した放射線の照射量検出値が0又は0に近い値か否か判定し(ステップ282)、判定が否定された場合は取得した放射線の照射量検出値を放射線の照射量累積値に加算し(ステップ284)、放射線の照射量累積値がコンソール42から受信した上限値以上になったか否か判定する(ステップ286)。
また、ステップ286の判定が否定された場合はステップ288へ移行し、撮影を開始してからの経過時間(放射線検出器60の各画素部74からの電荷読み出しを行った以降は、前回の電荷読み出しからの経過時間)が、先のステップ254で設定した撮影周期に相当する時間になったか否かに基づいて、放射線検出器60の各画素部74から電荷を読み出すタイミングが到来したか否かを判定する。この判定が否定された場合はステップ280に戻り、ステップ282、ステップ286及びステップ288の何れかの判定が肯定される迄、ステップ280〜ステップ288を繰り返す。また、電荷読み出しタイミングが到来すると、ステップ288の判定が肯定されてステップ290へ移行し、前述のステップ276と同様に放射線検出器60の各画素部74からの電荷の読み出しを行い、次のステップ292でコンソール42への放射線画像データの送信を行ってステップ280に戻る。
動画像撮影モードでは、撮影者によって操作パネル102を介して撮影終了(曝射終了)が指示され、これにより、コンソール42は放射線発生装置34へ放射線の射出終了を指示し、放射線発生装置34は放射線源130からの放射線の射出を停止させる。この場合、電子カセッテ32への放射線の照射が停止されることで、ステップ282の判定が肯定され、撮影制御処理を終了する。
また、撮影者によって撮影終了(曝射終了)が指示される前に放射線の照射量累積値が上限値以上になった場合には、ステップ282の判定が肯定される前にステップ286の判定が肯定されてステップ274へ移行し、曝射終了を指示する信号を無線通信によってコンソール42へ送信し、撮影制御処理を終了する。これにより、コンソール42は放射線発生装置34へ放射線の射出終了を指示し、放射線発生装置34は放射線源130からの放射線の射出を停止させることで、動画像の撮影が中止される。
なお、上記では、動画像撮影モードで放射線の照射量累積値が上限値以上になった場合に動画像の撮影を中止させる態様を説明したが、放射線の照射量累積値が上限値以上になったことをコンソール42へ通知し、コンソール42はディスプレイ100に警告を表示させる処理を行うようにしてもよいし、コンソール42が放射線発生装置34に対して管電圧、管電流の少なくとも一方を低下させた曝射条件への変更を指示することで、放射線源130から照射される単位時間あたりの放射線量を低下させるようにしてもよい。
次に、放射線検出パネルの他の構成について説明する。上記で説明した電子カセッテ32は、図10(C)に模式的に示すように、放射線検出器60の一方の面に、蒸着が不要な材料(例えばGOS等)で構成したシンチレータ71が配置されると共に、放射線検出器60の他方の面に放射線検出部62が設けられ、放射線検出部62側から放射線が到来する構成であり、放射線検出器60(第1検出手段)はシンチレータ71(発光部)から放出された光を画像として検出し、放射線検出部62(第2検出手段)はシンチレータ71(発光部)から放出された光を検出している。
この構成では、シンチレータ71の放射線照射面側に放射線検出器60が配置されているが、発光部(シンチレータ)と光検出部(放射線検出器)をこのような位置関係で配置する方式は「表面読取方式(ISS:Irradiation Side Sampling)」と称する。シンチレータは放射線入射側がより強く発光するので、シンチレータの放射線入射側に光検出部(放射線検出器)を配置する「表面読取方式(ISS)」は、発光部(シンチレータ)の放射線照射面と反対側に光検出部(放射線検出器)を配置する「裏面読取方式(PSS:Penetration Side Sampling)」よりも光検出部とシンチレータの発光位置とが接近することから、撮影によって得られる放射線画像の分解能が高く、また光検出部(放射線検出器)の受光量が増大することで、結果として放射線検出パネル(電子カセッテ)の感度が向上する。
シンチレータ71と放射線検出器60との位置関係が「表面読取方式」で、蒸着が不要な材料で構成したシンチレータを用いた放射線検出パネルの構成としては、図10(C)に示す構成以外に、図10(A),(B),(D),(E)に示す構成が考えられる。なお、図10に示す構成のうち図10(B),(D)に示す構成は本発明の比較例に相当する。
図10(A)に示す構成は、シンチレータ71、放射線検出器60及び放射線検出部62の位置関係は図10(C)に示す構成と同じであるが、放射線検出部62が支持体としてのベース120上に形成された後に、放射線検出器60のうちシンチレータ71と反対側の面に貼付される点で図10(C)に示す構成と相違している。この構成では、ベース120の厚み分だけ図10(C)に示す構成よりも厚みが増大することになるが、ベース120としては先に一例を列挙した合成樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート等)製の可撓性基板を適用することができ、ベース120自体の厚みは、例えば0.1mm程度に抑制可能である。なお、図10(A)に示す構成において、放射線検出器60と放射線検出部62との間に、シンチレータ71から放出されて放射線検出器(TFT基板)60を透過した光を一部反射する反射層を設けてもよい。
また、図10(B)に示す構成は、シンチレータ71の一方の面に放射線検出器60が配置されると共に、シンチレータ71の他方の面に、放射線検出部62が形成されたベース120の裏面(放射線検出部62の形成面と反対側の面)が貼付されている。この構成では、シンチレータ71と放射線検出部62との位置関係が「裏面読取方式」となり、放射線検出部62の受光量が減少するが、放射線検出部62は放射線の照射タイミングや照射量を検出するものであるので、例えばセンサ部146の配置ピッチを大きくし、個々のセンサ部146の受光領域の面積を増大させる(例えば1cm×1cm以上)等の構成を採用することは可能であり、これにより、受光量の減少に伴う感度の低下を補償することができる。
また、図10(D)に示す構成は、放射線検出器60の一方の面に放射線検出部62が形成され、また、放射線検出部62を挟んで放射線検出器60と反対側の面にシンチレータ71が貼付されている。この構成では、図10(C)に示す構成と同様に厚みを薄くできるものの、シンチレータ71と放射線検出器60との間に放射線検出部62が配置されているので、シンチレータ71から放出された光の一部が放射線検出部62によって吸収されることで、放射線検出器60の受光量が低下する。
このため、例として図11に示すように、放射線検出部62の各センサ部146の受光領域を、シンチレータ71から放出されて放射線検出器60の各画素部74の光電変換部72に入射される光を遮断しない範囲内(光電変換部72に入射される光が透過する領域を除外した範囲内)に配置する。これにより、放射線検出器60の受光量の低下に伴って放射線検出パネルの感度が低下することを抑制することができる。
また、図10(E)に示す構成は、図10(B)に示す構成に対し、放射線検出器60を挟んでシンチレータ71と反対側にも、放射線検出部62と同様の構成の放射線検出部63が配置されている。この構成では、放射線検出部63の厚み分だけ図10(B)に示す構成よりも厚みが増大することになるが、放射線検出部63の厚みは放射線検出部62と同様に、例えば0.05mm程度である。この構成において、2個の放射線検出部62,63は、例えば各々の照射量検出値を加算して用いることで、放射線検出部全体としての感度を向上させる目的で利用してもよいし、一方の放射線検出部を電子カセッテ32への放射線の照射タイミングの検出に用い、他方の放射線検出部を電子カセッテ32への放射線照射量の検出に用いてもよい。この場合、放射線検出部62,63の特性を各々の用途に応じて最適化することが可能となり、例えば放射線の照射タイミングの検出に用いる放射線検出部については、応答速度が向上するように静電容量や配線抵抗を調整する一方、放射線照射量の検出に用いる放射線検出部については、感度が向上するように受光領域の面積を調整することが可能となる。
また、シンチレータ71と放射線検出器60との位置関係が「裏面読取方式」で、蒸着が不要な材料で構成したシンチレータを用いた放射線検出パネルの構成としては、図12(A)〜(E)に示す構成が考えられる。なお、図12に示す各構成は本発明の比較例に相当する。
図12(A)に示す構成は、図10(B)に示す構成と同一であり、図10(B)に示す構成とは反対の方向から放射線が到来する。この構成では、放射線検出部62が放射線到来方向の最上流に位置しているが、放射線検出部62では放射線の吸収が生じないので、放射線検出部62が上記の位置に配置しても、シンチレータ71への放射線の照射量の低下は生じない。なお、図12(A)に示す構成において、シンチレータ71と放射線検出部62との間に、シンチレータ71から放出されて放射線検出部62に入射される光を一部反射する反射層を設けてもよい。先にも述べたように、シンチレータ71と放射線検出器60との位置関係が「裏面読取方式」の場合、放射線検出器60の受光量は「表面読取方式」よりも低下するが、上記の反射層を設けることで、放射線検出器60の受光量の低下を補うことができる。
また、図12(B)に示す構成は、図10(A)に示す構成と同一であり、図10(A)に示す構成とは反対の方向から放射線が到来する。この構成では、シンチレータ71と放射線検出部62との位置関係が「裏面読取方式」となる上に、放射線検出器60を透過した光が放射線検出部62に入射されることで、放射線検出部62の受光量が減少するが、放射線検出部62は放射線の照射タイミングや照射量を検出するものであるので、例えばセンサ部146の配置ピッチを大きくし、個々のセンサ部146の受光領域の面積を増大させる(例えば1cm×1cm以上)等の構成を採用することは可能であり、これにより、受光量の減少に伴う感度の低下を補償することができる。
また、図12(C)に示す構成は、図10(C)に示す構成と同一であり、図10(C)に示す構成とは反対の方向から放射線が到来する。この構成においても、図12(B)に示す構成と同様に、シンチレータ71と放射線検出部62との位置関係が「裏面読取方式」となる上に、放射線検出器60を透過した光が放射線検出部62に入射されることで、放射線検出部62の受光量が減少するが、放射線検出部62のセンサ部146の配置ピッチを大きくし、個々のセンサ部146の受光領域の面積を増大させる(例えば1cm×1cm以上)等により、受光量の減少に伴う感度の低下を補償できる。この構成は、図12に示す各構成の中で厚みを最も薄くすることができ、次に述べる図12(D)に示す構成のように放射線検出部62のセンサ部146の配置の制約も無いので望ましい。
また、図12(D)に示す構成は、図10(D)に示す構成と同一であり、図10(D)に示す構成とは反対の方向から放射線が到来する。この構成においても、シンチレータ71と放射線検出器60との間に放射線検出部62が配置されているので、シンチレータ71から放出された光の一部が放射線検出部62によって吸収されることで、放射線検出器60の受光量が低下する。このため、図10(D)に示す構成と同様に、放射線検出部62の各センサ部146の受光領域を、シンチレータ71から放出されて放射線検出器60の各画素部74の光電変換部72に入射される光を遮断しない範囲内に配置する(図11参照)。これにより、放射線検出器60の受光量の低下に伴って放射線検出パネルの感度が低下することを抑制することができる。
また、図12(E)に示す構成は、図10(E)に示す構成と同一であり、図10(E)に示す構成とは反対の方向から放射線が到来する。この構成においても、図10(E)に示す構成と同様に、2個の放射線検出部62,63は、例えば各々の照射量検出値を加算して用いることで、放射線検出部全体としての感度を向上させる目的で利用してもよいし、一方の放射線検出部を電子カセッテ32への放射線の照射タイミングの検出に用い、他方の放射線検出部を電子カセッテ32への放射線照射量の検出に用いてもよい。
また、シンチレータ71と放射線検出器60との位置関係が「表面読取方式」で、CsI等の材料を蒸着基板122(図13参照)に蒸着させて形成したシンチレータを用いた放射線検出パネルの構成としては、図13(A)〜(E)に示す構成が考えられる。なお、図13に示す構成のうち図13(B),(D)に示す構成は本発明の比較例に相当する。
図13(A)に示す構成は、シンチレータ71を挟んで放射線検出器60と反対側に蒸着基板122が配置されている点で図10(A)に示す構成と相違している。図13(A)に示す構成においても、放射線検出器60と放射線検出部62との間に、シンチレータ71から放出されて放射線検出器(TFT基板)60を透過した光を一部反射する反射層を設けてもよい。
また、図13(B)に示す構成は、シンチレータ71とベース120との間に蒸着基板122が配置されている点で図10(B)に示す構成と相違している。この構成では、シンチレータ71から放出された光が蒸着基板122及びベース120を透過した後に放射線検出部62に入射されるので、蒸着基板122としては、放射線の透過率やコスト等の面から蒸着基板として多用されるAl製の基板等に代えて、例えばガラス基板等のように光透過性を有する基板を用いる必要がある。
また、図13(C)に示す構成は、シンチレータ71を挟んで放射線検出器60と反対側に蒸着基板122が配置されている点で図10(C)に示す構成と相違している。この構成は、図13に示す各構成の中で厚みを最も薄くすることができ、次に述べる図13(D)に示す構成のように放射線検出部62のセンサ部146の配置の制約も無いので望ましい。
また、図13(D)に示す構成は、シンチレータ71を挟んで放射線検出部62と反対側に蒸着基板122が配置されている点で図10(D)に示す構成と相違している。この構成においても、シンチレータ71と放射線検出器60との間に放射線検出部62が配置されているので、シンチレータ71から放出された光の一部が放射線検出部62によって吸収されることで、放射線検出器60の受光量が低下する。このため、図10(D)や図12(D)に示す構成と同様に、放射線検出部62の各センサ部146の受光領域を、シンチレータ71から放出されて放射線検出器60の各画素部74の光電変換部72に入射される光を遮断しない範囲内に配置する(図11参照)。これにより、放射線検出器60の受光量の低下に伴って放射線検出パネルの感度が低下することを抑制することができる。
また、図13(E)に示す構成は、シンチレータ71とベース120との間に蒸着基板122が配置されている点で図10(E)に示す構成と相違している。この構成においても、図13(B)に示す構成と同様に、シンチレータ71から放出された光が蒸着基板122及びベース120を透過した後に放射線検出部62に入射されるので、蒸着基板122として、ガラス基板等の光透過性を有する基板を用いる必要がある。この構成における2個の放射線検出部62,63についても、図10(E)や図12(E)に示す構成と同様に、放射線検出部全体としての感度を向上させる目的で用いてもよいし、一方の放射線検出部を電子カセッテ32への放射線の照射タイミングの検出に用い、他方の放射線検出部を電子カセッテ32への放射線照射量の検出に用いてもよい。
また、シンチレータ71と放射線検出器60との位置関係が「裏面読取方式」で、CsI等の材料を蒸着基板122に蒸着させて形成したシンチレータを用いた放射線検出パネルの構成としては、図14(A)〜(E)に示す構成が考えられる。なお、図14に示す各構成は本発明の比較例に相当する。
図14(A)に示す構成は、図13(B)に示す構成と同一であり、図13(B)に示す構成とは反対の方向から放射線が到来する。この構成においても、シンチレータ71から放出された光が蒸着基板122及びベース120を透過した後に放射線検出部62に入射されるので、蒸着基板122として、ガラス基板等の光透過性を有する基板を用いる必要がある。
また、図14(B)に示す構成は、図13(A)に示す構成と同一であり、図13(A)に示す構成とは反対の方向から放射線が到来する。この構成では、シンチレータ71と放射線検出部62との位置関係が「裏面読取方式」となる上に、放射線検出器60を透過した光が放射線検出部62に入射されることで、放射線検出部62の受光量が減少するが、放射線検出部62のセンサ部146の配置ピッチを大きくし、個々のセンサ部146の受光領域の面積を増大させる(例えば1cm×1cm以上)等により、受光量の減少に伴う感度の低下を補うことができる。
また、図14(C)に示す構成は、図13(C)に示す構成と同一であり、図13(C)に示す構成とは反対の方向から放射線が到来する。この構成においても、図14(B)に示す構成と同様に、シンチレータ71と放射線検出部62との位置関係が「裏面読取方式」となる上に、放射線検出器60を透過した光が放射線検出部62に入射されることで放射線検出部62の受光量が減少するが、放射線検出部62のセンサ部146の配置ピッチを大きくし、個々のセンサ部146の受光領域の面積を増大させる(例えば1cm×1cm以上)等により、受光量の減少に伴う感度の低下を補うことができる。この構成は、図14に示す各構成の中で厚みを最も薄くすることができ、次に述べる図14(D)に示す構成のように放射線検出部62のセンサ部146の配置の制約も無いので望ましい。
また、図14(D)に示す構成は、図13(D)に示す構成と同一であり、図13(D)に示す構成とは反対の方向から放射線が到来する。この構成においても、シンチレータ71と放射線検出器60との間に放射線検出部62が配置されているので、シンチレータ71から放出された光の一部が放射線検出部62によって吸収されることで、放射線検出器60の受光量が低下する。このため、図10(D),図12(D),図13(D)に示す構成と同様に、放射線検出部62の各センサ部146の受光領域を、シンチレータ71から放出されて放射線検出器60の各画素部74の光電変換部72に入射される光を遮断しない範囲内に配置する(図11参照)。これにより、放射線検出器60の受光量の低下に伴って放射線検出パネルの感度が低下することを抑制することができる。
また、図14(E)に示す構成は、図13(E)に示す構成と同一であり、図13(E)に示す構成とは反対の方向から放射線が到来する。この構成においても、図13(E)に示す構成と同様に、2個の放射線検出部62,63は、例えば各々の照射量検出値を加算して用いることで、放射線検出部全体としての感度を向上させる目的で利用してもよいし、一方の放射線検出部を電子カセッテ32への放射線の照射タイミングの検出に用い、他方の放射線検出部を電子カセッテ32への放射線照射量の検出に用いてもよい。
また、放射線検出器60の光電変換部72として、光電変換膜を有機光電変換材料を含む材料で構成した有機CMOSセンサを用いてもよく、放射線検出器60のTFT基板として、TFT70としての有機材料を含む有機トランジスタを可撓性を有するシート上にアレイ状に配列した有機TFTアレイ・シートを用いてもよい。上記の有機CMOSセンサは、例えば特開2009−212377号公報に開示されている。また上記の有機TFTアレイ・シートは、例えば「日本経済新聞、”東京大学、「ウルトラフレキシブル」な有機トランジスタを開発”、[online]、[平成23年4月11日検索]、インターネット<URL:http://www.nikkei.com/tech/trend/article/g=96958A9C93819499E2EAE2E0E48DE2EAE3E3E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E0E7E2E6E0E2E3E2E2E0E2E0>」に開示されている。
また、放射線検出器60のTFT70等が光透過性を有しない構成(例えばアモルファスシリコン等の光透過性を有しない材料で活性層70Bを形成した構成)であっても、このTFT70等を、光透過性を有する絶縁性基板64(例えば合成樹脂製の可撓性基板)上に配置し、絶縁性基板64のうちTFT70等が形成されていない部分は光が透過するように構成することで、光透過性を有する放射線検出器60を得ることは可能である。光透過性を有しない構成のTFT70等を光透過性を有する絶縁性基板64上に配置することは、第1の基板上に作製した微小デバイスブロックを第1の基板から切り離して第2の基板上に配置する技術、具体的には、例えばFSA(Fluidic Self-Assembly)を適用することで実現できる。上記のFSAは、例えば「富山大学、”微小半導体ブロックの自己整合配置技術の研究”、[online]、[平成23年4月11日検索]、インターネット<URL:http://www3.u-toyama.ac.jp/maezawa/Research/FSA.html>」に開示されている。
上記のようにして放射線検出器60に光透過性をもたせることで、例えば図10(A),(C),(E)、図12(B),(C),(E)、図13(A),(C),(E)、図14(B),(C),(E)のように、放射線検出器60を挟んでシンチレータ71の反対側に放射線検出部62(又は放射線検出部63)が配置された構成において、シンチレータ71から射出された光の一部が放射線検出器60を透過して放射線検出部62(又は放射線検出部63)へ入射されるように構成することができる。
なお、上記では放射線検出部62の個々のセンサ部146を、放射線の照射タイミングの検出及び放射線照射量の検出に各々用いる態様を説明したが、これに限定されるものではなく、放射線検出部62のセンサ部146を2群に分け、一方のセンサ部群からの出力信号は放射線の照射タイミングの検出に用い、一方のセンサ部群からの出力信号は放射線照射量の検出に用いるようにしてもよい。また、出力信号の用途に応じて、各センサ部群毎に特性(例えば応答速度や感度)を相違させるようにしてもよい。
また、上記では電子カセッテ32で放射線の照射タイミングの検出及び放射線照射量の検出を各々行う態様を説明したが、これに限定されるものではなく、放射線の照射タイミングの検出及び放射線照射量の検出のうちの何れか一方のみを行う態様も本発明の権利範囲に含まれる。
特に、上記では電子カセッテ32がコンソール42と無線により直接通信する機能を備えた構成を説明したが、電子カセッテ32が放射線の照射タイミングの検出のみを行い、放射線照射量の検出(放射線の照射量累積値が上限値に達したか否かを監視し、上限値に達した場合はコンソール42へ通知する処理)を行わない場合、電子カセッテ32がコンソール42と無線により直接通信する機能は省略することも可能であり前記機能を省略した場合、コンソール42への放射線画像データの転送は、例えば電子カセッテ32がクレードルにセットされた際に、クレードルが電子カセッテ32から放射線画像データを読み出してコンソール42へ送信するようにクレードルを構成することで実現できる。また、電子カセッテ32からコンソール42への放射線画像データの転送は、メモリカード等を用いてオフラインで行うことも可能である。