以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態のシリカ系材料は、
ケイ素と、
アルミニウムと、
鉄、コバルト、ニッケル及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種の第4周期元素と、
アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性元素と、
を、前記ケイ素と前記アルミニウムと前記第4周期元素と前記塩基性元素との合計モル量に対して、それぞれ、42〜90モル%、3〜38モル%、0.5〜20モル%、2〜38モル%、の範囲で含有する。
本実施形態のシリカ系材料は、ケイ素と、アルミニウムと、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及び亜鉛(Zn)からなる群より選択される少なくとも1種の第4周期元素と、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性元素と、を含む複合酸化物からなるものであり、いわゆるシリカ系複合材料である。
以下、本実施形態のシリカ系材料の特性について説明する。本実施形態において、シリカ系材料の耐酸性及び塩基性、機械的強度を大きく改善できた理由については、以下のように推定される。
本実施形態のシリカ系材料では、シリカゲルのような未架橋シリカ(Si−O)鎖を有するシリカにアルミニウム(Al)が共存することで、Si−O−Al−O−Si結合のようなSi−O鎖のAlによる架橋構造(以下、「シリカ・アルミナ架橋構造」ともいう)が新たに形成され、Si−O鎖本来の酸性物質に対する安定性を失うことなく、Alによる架橋構造が形成されると考えられる。これにより、Si−O結合が強化されると共に、耐加水分解安定性(以下、単に「耐水性」ともいう)が格段に向上すると考えられる。また、シリカ・アルミナ架橋構造が形成されると、シリカ単独の場合に比べてSi−O未架橋鎖が減少し、機械的強度も大きくなると考えられる。すなわち、シリカ・アルミナ架橋構造の形成量と、得られるシリカ系材料の機械的強度及び耐水性の向上とが相関するものと推定される。
シリカ・アルミナ架橋構造の生成に伴い、Si(4価)とAl(3価)との価数の違いに基づいて、電荷が不安定となる。そこで、本実施形態のシリカ系材料では、ケイ素及びアルミニウムに加えて、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素及び希土類元素より選択される少なくとも1種の塩基性元素が共存する。これにより、1〜3価の塩基性元素が補償中和し、電荷の安定化が促される。さらに、三成分系となることにより、さらに電荷的なバランスがとれるため、その構造の安定性がより高められるものと推定される。その根拠の一つとして、シリカ−アルミナでは酸性を示すのに対し、シリカ−アルミナ−マグネシアではほぼ中性を示す。
さらに、本実施形態のシリカ系材料は、上記三成分元素に加えて、鉄、コバルト、ニッケル及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種の第4周期元素を含むことで、その第4周期元素を含有しないものと比較して、耐酸性及び塩基性が高くなる。そのため、酸、塩基に繰り返し曝されるpHスイング条件においても、構造安定性が高く、細孔径の拡大と比表面積の低下とが抑制される。
本発明者らの検討によると、シリカ−アルミナ又はシリカ−アルミナ−マグネシアを酸、塩基に繰り返し曝した場合、徐々にではあるがこれらシリカ系材料の構造変化が起こることが明らかになった。この現象は、これらのシリカ系材料が局所的に酸と塩基とに繰り返し曝され、シリカ系材料中のシリカ及びアルミニウムの一部が溶解、析出し、シリカ・アルミナ架橋構造の再配列が生じることによって、シリカ系材料の細孔径が拡大することに起因すると考えられる。また、上記シリカ系材料に貴金属が担持された金属担持物の場合、pHスイングによる細孔径の拡大に伴って、担持された貴金属のシンタリングが起こり、貴金属の比表面積が低下することによって、触媒活性が低下することも判明した。
一方、本実施形態のシリカ系材料においては、上記第4周期元素が、そのシリカ系材料の構成元素であるアルミニウム及び/又は塩基性元素と反応することによって、第4周期元素を含む複合酸化物が生成していると考えられる。そのような化合物の形成がシリカ・アルミナ架橋構造の安定化に作用した結果、シリカ系材料の耐酸性及び塩基性が向上し、構造変化が大きく改善されたと考えられる。
ここで、本明細書中の「複合酸化物」とは、2種以上の金属を含む酸化物を表す。すなわち、「複合酸化物」とは、金属酸化物の2種以上が化合物を形成した酸化物であり、その構造の単位としてオキソ酸のイオンが存在しない複酸化物(例えば、ニッケルのペロブスカイト型酸化物やスピネル型酸化物)を包含する。ただし、複酸化物よりも広い概念であり、2種以上の金属が複合した酸化物を全て包含する。2種以上の金属酸化物が固溶体を形成した酸化物も「複合酸化物」の範疇である。
例えば、上記第4周期元素としてニッケル、塩基性元素としてマグネシウムを選定し、ケイ素−アルミニウム−ニッケル−マグネシウムを含む複合酸化物からなるシリカ系材料について、二結晶型高分解能蛍光X線分析法(HRXRF)によってニッケルの化学状態を解析すると、本実施形態のシリカ系材料中のニッケルは、単一化合物である酸化ニッケルとしては存在しない。そのニッケルは、酸化ニッケルとアルミナ及び/又はマグネシアとが結合して生成するニッケルの酸化化合物若しくは固溶体又はこれらの混合物等の、ニッケルを含む複合酸化物として存在する。
二結晶型高分解能蛍光X線分析法(HRXRF)は、そのエネルギー分解能が極めて高く、得られるスペクトルのエネルギー位置(化学シフト)や形状から元素の化学状態が分析できる。特に、3d遷移金属元素のKαスペクトルにおいては、価数や電子状態の変化によって化学シフトやスペクトル形状に変化が現れ、元素の化学状態を詳細に解析することができる。本実施形態のシリカ系材料は、酸化ニッケルの場合と比較するとNiKαスペクトルが異なっており、単一化合物である酸化ニッケルとは異なるニッケルの化学状態が確認される。
本実施形態のシリカ系材料において、ニッケルは、例えば、酸化ニッケルとアルミナとのスピネル化合物であるアルミン酸ニッケル(NiAl2O4)、あるいは、酸化ニッケルとマグネシアとの固溶体(NiO・MgO)として存在すると推定される。ニッケル以外の上記第4周期元素についても同様に、その酸化物がアルミナとのスピネル化合物又は塩基性金属酸化物との固溶体を形成することによって、シリカ・アルミナ架橋構造の安定化に作用し、化学的安定性が高くなったものと考えられる。
本実施形態のシリカ系材料は、その比表面積は特に限定されないが、担体として用いる場合は、20〜500m2/gであるのが好ましく、より好ましくは50〜400m2/g、さらに好ましくは50〜350m2/gである。シリカ系材料を担体として用いる場合、貴金属等の担持成分の担持しやすさの観点から、また前記担持物を触媒として用いる場合は触媒活性の観点から、シリカ系材料の比表面積は20m2/g以上であることが好ましい。また、機械的強度及び耐水性の観点から、シリカ系材料の比表面積は、500m2/g以下であることが好ましい。
シリカ系材料が触媒担体として用いられる場合、その細孔径は好ましくは3〜50nm、より好ましくは3〜30nm、さらに好ましくは3〜10nmである。触媒を液相反応で使用する場合に、反応基質の拡散過程を律速にしないよう細孔内拡散抵抗を大きくし過ぎず、反応活性を高く維持する観点から、細孔径は3nm以上であることが好ましい。一方、触媒の割れ難さ、貴金属等、担持成分の剥離し難さの観点から50nm以下であることが好ましい。
シリカ系材料の細孔容積は、強度、担持特性の観点から0.1〜1.0mL/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5mL/gの範囲である。シリカ系材料中の細孔は、担持成分を担持するために必要となる。本実施形態のシリカ系材料は、機械的強度及び耐水性の観点から、比表面積、細孔径及び細孔容積が共に上記範囲にあるものが好ましい。ここで、シリカ系材料の比表面積、細孔径及び細孔容積は、後述する方法に準拠して測定される。
ケイ素、アルミニウム、上記第4周期元素及び上記塩基性元素を含む複合酸化物からなるシリカ系材料は、ケイ素とアルミニウムと第4周期元素と塩基性元素との合計モル量に対して、ケイ素を42〜90モル%、アルミニウムを3〜38モル%、第4周期元素を0.5〜20モル%、塩基性元素を2〜38モル%の範囲で含む。ケイ素、アルミニウム、第4周期元素及び塩基性元素の量が上記範囲内であると、ケイ素、アルミニウム、第4周期元素、塩基性元素及び酸素原子が互いに特定の安定な結合構造を形成し、しかもその結合構造がシリカ系材料中で均一に分散した状態で形成され易い。ケイ素を70〜90モル%、アルミニウムを5〜30モル%、第4周期元素を0.75〜15モル%、塩基性元素を2〜30モル%含むことが好ましく、ケイ素を75〜90モル%、アルミニウムを5〜15モル%、第4周期元素を1〜10モル%、塩基性元素を2〜15モル%の範囲で含むことがより好ましい。特に、第4周期元素の組成比を0.75モル%以上とし、各成分が材料全体に均一に分散した状態にすると、構造中に第4周期元素が存在しない部分が少なく、繰り返し酸及び/又は塩基に晒した場合でも耐性を示す(耐酸性及び塩基性が高い)シリカ系材料を得ることができる。機械的強度が高く、比表面積が大きいシリカ系材料を得る観点から、第4周期元素は10モル%以下、塩基性元素は30モル%以下であることが好ましい。ケイ素とアルミニウムの組成比は、シリカ系材料の耐酸性及び塩基性、耐水性の観点で好ましい範囲に設定している。アルミニウムに対するケイ素の組成比は、好ましくは(ケイ素/アルミニウム)=2〜4である。(ケイ素/アルミニウム)が上記範囲より小さいと、耐酸性及び塩基性が低くなる傾向にある。(ケイ素/アルミニウム)が上記範囲より大きいと、耐水性が低くなる傾向にある。
塩基性元素のアルカリ金属元素の例としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)が、アルカリ土類金属元素の例としては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)が、希土類元素の例としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)がそれぞれ挙げられる。
本実施形態においては、第4周期元素とアルミニウム又は塩基性元素との組成比に好適な範囲が存在する。アルミニウムに対する第4周期元素の組成比(第4周期元素/アルミニウム)は、モル基準で、好ましくは0.02〜2.0、より好ましくは0.05〜1.75、さらに好ましくは0.1〜1.2である。また、塩基性元素に対する第4周期元素の組成比(第4周期元素/塩基性元素)は、モル基準で、好ましくは0.02〜2.0、より好ましくは0.05〜1.75、さらに好ましくは0.1〜1.2である。第4周期元素とアルミニウム又は塩基性元素との組成比が上記範囲内であると、アルミニウムの溶出及びシリカ系材料の構造変化の改善効果が大きくなる傾向がある。これは、この範囲内で第4周期元素、アルミニウム、塩基性元素が特定の複合酸化物を形成し、安定な結合構造を形成するためと考えられる。つまり、シリカ系材料中で、塩基性元素又はアルミニウムに対する第4周期元素の比率が低すぎると、好ましい構造は局所的には形成されるものの、シリカ系材料全体にわたって十分な存在密度で形成されるとは限らない。これに対し、上述の組成比、特に(第4周期元素/アルミニウム)=0.05〜1.75、(第4周期元素/塩基性元素)=0.05〜1.75を満たす場合は、好ましい構造が材料全体の安定化に寄与できる程度に存在し得ると考えられる。
第4周期元素がニッケル、塩基性元素がマグネシウムである場合、ケイ素と、アルミニウムと、ニッケルと、マグネシウムとを含む複合酸化物からなるシリカ系材料は、耐酸性及び塩基性、機械的強度及び耐水性の観点で、ケイ素とアルミニウムとニッケルとマグネシウムとの合計モル量に対して、好ましくは、ケイ素を42〜90モル%、アルミニウムを3〜38モル%、ニッケルを0.5〜20モル%、マグネシウムを2〜38モル%の範囲で含む。より好ましくは、ケイ素を70〜90モル%、アルミニウムを5〜30モル%、ニッケルを0.75〜15モル%、マグネシウムを2〜30モル%、さらに好ましくは、ケイ素を75〜90モル%、アルミニウムを5〜15モル%、ニッケルを1〜10モル%、マグネシウムを2〜15モル%の範囲で含む。ケイ素、アルミニウム、ニッケル及びマグネシウムの元素組成が上記範囲内であると、ケイ素、アルミニウム、ニッケル及びマグネシウムが特定の安定な結合構造を形成し易い。特に、より好ましい組成比の場合、上述の安定な結合構造は、シリカ系材料中に均一に分散していると想定しても、シリカ系材料全体の安定化に寄与するのに十分な存在密度で形成されると期待される。その結果、シリカ系材料は、繰り返しの使用にも耐えうる良好な耐酸性、塩基性及び機械的強度を示す傾向にある。
本実施形態のシリカ系材料の固体形態としては、所定の物性が得られるものであれば特に限定されない。
本実施形態のシリカ系材料中における第4周期元素の分散状態は、特に限定されないが、シリカ系材料全体の構造を安定化する観点で、材料全体に偏りなく分散していることが好ましい。具体的には、シリカ材料の断面を電子プローブ微小部分析法(EPMA)で観察測定し、いずれの観察場所においても、第4周期元素がほぼ同濃度で存在している状態であることが好ましい。このような分散状態であると、ケイ素、アルミニウム、第4周期元素及び塩基性元素が形成する特定の安定な結合構造が材料全体の安定化に寄与できる程度に存在し、長期間に渡って繰り返し使用しても耐酸性及び塩基性を維持する傾向にある。ここで、「ほぼ同濃度」とは、測定値の分布範囲が10%以内である状態をいう。
シリカ系材料の実質的な厚さ又は粒子径は、μmからcmのオーダーの様々の大きさでよく、形状も特に限定されない。シリカ系材料の形状の具体例としては、球状、楕円状、円柱状、錠剤状、中空円柱状、板状、棒状、シート状、ハニカム状が挙げられる。触媒又は触媒担体として用いる場合、本実施形態のシリカ系材料の形状を、用いる反応形式によって適宜変えることができる。例えば、固定床反応にシリカ系材料を用いる場合、圧力損失の少ない中空円柱状又はハニカム状が好ましく、液相スラリー懸濁条件では、一般的に球状が好ましい。特に、シリカ系材料を流動床反応に使われる触媒の担体とする場合、その形状は球状の粒子状であることが好ましく、その粒子径は、平均粒子径で好ましくは1〜200μm、より好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは30〜150μmである。シリカ系材料をこのような粒子として用いることで、本発明の優れた効果を一層有効かつ確実に引き出すことが可能になる。シリカ系材料の平均粒子径は、後述する方法に準拠して測定される。
ケイ素、アルミニウム、上記第4周期元素及び上記塩基性元素を含む複合酸化物からなるシリカ系材料は、シリカに比べて高い耐水性を有し、アルミナに比べて耐酸性が高い。また、そのシリカ系材料は、シリカに比べて機械的強度が高い等、優れた物性を備えている。しかも、そのシリカ系材料は、シリカ−アルミナ又はシリカ−アルミナ−マグネシアに比べて化学的安定性が極めて高く、例えば、酸、塩基に繰り返し曝されるpHスイング条件において、ケイ素、アルミニウムの一部が溶解、析出することによる細孔径の拡大や比表面積の低下等の構造変化が抑制されるものである。
次に、上記のような組成を有する本実施形態のシリカ系材料の製造方法について説明する。
ケイ素、アルミニウム、上記第4周期元素及び上記塩基性元素を含む複合酸化物からなるシリカ系材料の製造方法としては、特に限定されず、例えば、以下の(1)〜(6)の方法によりシリカとアルミニウム化合物と第4周期元素の化合物と塩基性元素の化合物とを含む組成物を得る工程と、その組成物を必要に応じて乾燥して乾燥物を得る工程と、その乾燥物又は上記組成物を後述する条件で焼成する工程とを有する。
(1)市販のシリカ−アルミナ組成物と第4周期元素の化合物及び塩基性元素の化合物とを反応させる。
(2)予めシリカ−アルミナゲルを形成させ、第4周期元素の化合物及び塩基性元素の化合物をゲルに添加し、反応させる。
(3)シリカゾルと、アルミニウム化合物、第4周期元素の化合物及び塩基性元素の化合物とを反応させる。
(4)シリカゾルと、水に不溶のアルミニウム化合物、水に不溶の第4周期元素の化合物及び水に不溶の塩基性元素の化合物とを反応させる。
(5)シリカゲルと、水溶性アルミニウム化合物、水溶性の第4周期元素の化合物及び水溶性の塩基性元素の化合物の水溶液とを反応させる。
(6)シリカゲルと、アルミニウム化合物、第4周期元素の化合物及び塩基性元素の化合物とを固相反応させる。
以下に、上記(1)〜(6)の方法を用いたシリカ系材料の調製方法について詳細に説明する。
上記(1)の方法では、市販のシリカ−アルミナ組成物に第4周期元素を含む化合物と塩基性元素を含む化合物とを混合して、スラリーを得る。そのスラリーを乾燥して、さらに後述する条件で焼成することにより、シリカ系材料を調製することができる。第4周期元素を含む化合物及び塩基性元素を含む化合物としては、塩化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩に代表される水溶性化合物が好ましい。ただし、水酸化物、酸化物等の水に不溶な化合物も用いることができる。
上記(2)〜(6)の方法においては、シリカ源として、例えば、シリカゾル、水ガラス又はシリカゲルを用いることができる。シリカゲルとしてはAlと反応する未架橋Si部位を有するものであればよく、Si−O鎖の長さについては特に制約はない。アルミニウム化合物としては、アルミン酸ソーダ、塩化アルミニウム6水和物、過塩素酸アルミニウム6水和物、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム9水和物、二酢酸アルミニウムに代表される水溶性化合物が好ましい。ただし、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等の水に不溶な化合物であってもよく、シリカゾル、シリカゲル中の未架橋Siと反応する化合物であれば、シリカ系材料の調製に用いることが可能である。第4周期元素又は塩基性元素を含む化合物としては、例えば、それらの元素の酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩が挙げられる。
シリカ−アルミナゲルを用いる(2)の方法の場合、予め水ガラスに硫酸を加えてpH8〜10.5のシリカヒドロゲルを作製し、これにpHが2又はそれ以下のAl2(SO4)3溶液を加え、さらにpHが5〜5.5のアルミン酸ソーダを添加してシリカ−アルミナヒドロゲルを調製する。次いで、そのヒドロゲルに含まれる水分を噴霧乾燥等により10〜40%に調整し、そこに第4周期元素の化合物と塩基性元素の化合物とを添加して組成物を得る。そして、その組成物を乾燥した後、後述の条件で焼成することにより、シリカ系材料を得ることができる。
シリカゾルを出発原料とする(3)及び(4)の方法の場合、シリカゾルに、アルミニウム化合物と第4周期元素の化合物と塩基性元素の化合物とを混合して、シリカゾルとアルミニウム化合物と第4周期元素の化合物と塩基性元素の化合物とを含む組成物である混合物ゾルを得、次いで、その混合物ゾルを乾燥してゲルを得、後述の温度、時間、雰囲気条件でそのゲルを焼成する。あるいは、上記混合物ゾルにアルカリ性水溶液を加えて、シリカとアルミニウム化合物と第4周期元素の化合物と塩基性元素の化合物とを共沈させ、その共沈物を乾燥後、後述の条件で焼成する。また、上記混合物ゾルをそのままスプレードライヤーを用いて乾燥すると共に微粉化したり、上記混合物ゾルを乾燥してゲルを造粒したりする工程を経ることによって、所望の粒子径を有するシリカ系材料を得ることも可能である。
特に(4)の方法の場合、シリカゾルと、水に不溶のアルミニウム化合物、水に不溶の第4周期元素の化合物及び水に不溶の塩基性元素の化合物とを反応させるが、この時、アルミニウム化合物、第4周期元素の化合物及び塩基性元素の化合物をそれぞれ若しくはまとめて、予め所定の粒子径にまで粉砕しておくか、あるいは、予備的に粗粉砕しておくこともできる。水に不溶のアルミニウム化合物、水に不溶の第4周期元素の化合物及び水に不溶の塩基性元素の化合物と、シリカゾルとを混合して反応させた後、反応物を乾燥し、さらに後述する条件で焼成する。なお、アルミニウム化合物、第4周期元素の化合物及び塩基性元素の化合物を予め粉砕したり予備的に粗粉砕したりせず、焼成後のシリカ−アルミナ−第4周期元素−塩基性元素の組成物を所定の粒径まで粉砕してもよい。
シリカゲルを出発原料として用いる(5)の方法の場合、シリカゲルに水溶性アルミニウム化合物、水溶性の第4周期元素の化合物及び水溶性の塩基性元素の化合物の水溶液を反応させるが、この時、シリカゲルを予め所定の粒径まで粉砕しておくか、又は、予備的に粗粉砕しておいてもよい。(5)の方法の場合、シリカゲルと、水溶性アルミニウム化合物の水溶液、水溶性の第4周期元素の化合物の水溶液及び水溶性の塩基性元素の化合物の水溶液とを混合したスラリーを得た後、そのスラリーを乾燥し、さらに後述する条件で1〜48時間焼成する。あるいは、シリカゲルを予め粉砕したり予備的に粗粉砕したりせず、焼成後のシリカ−アルミナ−第4周期元素−塩基性元素の組成物を所定の粒径まで粉砕してもよい。
同じくシリカゲルを出発原料として用いる(6)の方法は、シリカゲルと、アルミニウム化合物、第4周期元素の化合物及び塩基性元素の化合物とを固相反応させて、組成物である反応物を得るものである。この場合、Alを未架橋Siと固相状態で反応させる。シリカゲル、アルミニウム化合物、第4周期元素の化合物及び塩基性元素の化合物を予め所定の粒径まで粉砕しておいてもよく、また、予備的に粗粉砕しておいてもよい。この際、各物質を単独で粉砕してもよく、両者を混合して粉砕してもよい。固相反応させて得られた反応物を、必要に応じて乾燥した後、更に焼成する。焼成は後述する温度、時間、雰囲気条件で行うと好ましい。シリカゲル、アルミニウム化合物、第4周期元素の化合物、塩基性元素の化合物を予め粉砕したり予備的に粗粉砕したりせず、反応により得られた反応物を所望の粒子径まで粉砕して用いてもよい。
シリカとアルミニウム化合物と第4周期元素の化合物と塩基性元素の化合物とを含む組成物の他の調製方法として、ケイ素、アルミニウム及び第4周期元素を含む複合酸化物からなるシリカ系材料に、上記塩基性元素の成分を吸着させる方法を用いることもできる。この場合、例えば、塩基性元素の化合物を溶解した液中に上記シリカ系材料を加えて乾燥処理を行う等の浸漬法を用いた方法や、細孔容量分の塩基性元素の化合物を上記シリカ系材料に染み込ませて乾燥処理を行う含浸法を用いる方法を適用できる。
ケイ素、アルミニウム及び塩基性元素を含む複合酸化物からなるシリカ系材料に、第4周期元素を含む成分を吸着させる方法も用いることができる。この場合、例えば、第4周期元素を含む化合物を溶解した液中に上記シリカ系材料を加えて乾燥処理を行う等の浸漬法を用いた方法や、細孔容量分の第4周期元素を含む化合物を上記シリカ系材料に染み込ませて乾燥処理を行う含浸法を用いる方法を適用できる。ただし、後から塩基性元素を含む成分又は第4周期元素を含む成分を吸着させる方法は、シリカ系材料に塩基性元素を含む成分又は第4周期元素を含む成分を高分散化する上で、液乾燥処理を緩和な条件で行う等の注意が必要である。
上述のようにして得られた各種原料を含むスラリーに、スラリー性状の制御並びに生成物の細孔構造等の特性及び得られる物性を微調整するために、無機物や有機物を添加してもよい。無機物の具体例としては、硝酸、塩酸、硫酸等の鉱酸類;Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属等の金属塩;及びアンモニアや硝酸アンモニウム等、の水溶性化合物のほか、水中で分散して懸濁液を生じる粘土鉱物が挙げられる。また、有機物の具体例としては、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等の重合体が挙げられる。
無機物及び有機物を添加することにより得られる効果は様々であるが、主には、シリカ系材料の球状への成形、細孔径及び細孔容積の制御が挙げられる。より具体的には、球状のシリカ系材料を得るには、混合スラリーの液質が重要な因子となる。無機物又は有機物を添加して、スラリーの粘度や固形分濃度を調整することによって、球状のシリカ系材料が得られやすい液質に変更できる。また、細孔径及び細孔容積を制御するには、シリカ系材料の成形段階でその内部に残存し、成形後の焼成及び洗浄操作により除去され得る最適な有機化合物を選択すればよい。
次いで、前述の各種原料及び添加物を含むスラリーやゲル、反応物等の組成物を乾燥する。乾燥する方法としては特に限定されないが、シリカ系材料の粒子径を制御する観点から噴霧乾燥が好ましい。この場合、混合スラリーを液滴化する方法として、回転円盤方式、二流体ノズル方式、加圧ノズル方式等の公知の噴霧装置を用いる方法が挙げられる。
噴霧する液(スラリー)は、よく混合された状態で用いられることが必要である。混合状態が悪い場合には、組成の偏在によって耐久性が低下する等、シリカ系材料の性能に影響する。特に各原料を調合する時には、スラリーの粘度上昇及び一部ゲル化(コロイドの縮合)が生じる場合もあり、不均一な粒子を形成することが懸念される。そのため、各原料を攪拌下で徐々に混合する等配慮する他、酸やアルカリを加える等の方法によって、例えば、pH2付近のシリカゾルの準安定領域に混合物を制御しながら、混合スラリーを調製することが好ましい場合もある。
噴霧する液は、所定範囲の粘度と固形分濃度とを有していると好ましい。粘度や固形分濃度が所定範囲よりも低いと、噴霧乾燥で得られる多孔質体が真球とならずに、陥没した球状の多孔質体が多く生成する傾向にある。また、それらが所定範囲よりも高いと、多孔質体同士の分散性に悪影響を及ぼすことがある他、性状によっては安定に液滴が形成しなくなる。そのため、噴霧する液の粘度としては、噴霧可能であれば、噴霧時の温度で5〜10000cpの範囲にあることが好ましい。また、形状の観点から、噴霧可能な範囲で高い粘度の方が好ましい傾向が見られ、操作性とのバランスから、その粘度は、より好ましくは10〜1000cpの範囲にある。また、固形分濃度は10〜50質量%の範囲内にあることが形状や粒子径の観点から好ましい。なお、噴霧乾燥条件の目安として、噴霧乾燥器の乾燥塔入り口の熱風温度が200〜280℃、乾燥塔出口温度が110〜140℃の範囲であると好ましい。
次に、上記(1)〜(5)の方法を経て更に乾燥した後の組成物又は(6)の方法で得られた反応物を焼成することによって固形物が得られる。その焼成温度は、一般的には200〜800℃の範囲である。800℃以下で上記組成物を焼成すると、シリカ系材料の比表面積を大きくすることができ、200℃以上で上記組成物を焼成すると、ゲル間の脱水や縮合反応がより十分となり、細孔容積が大きく嵩高くなるのを更に抑制することができる。焼成温度が300〜600℃の範囲であると、物性のバランス及び操作性等の観点から好ましい。ただし、組成物が硝酸塩を含む場合、その硝酸塩の分解温度以上で焼成することが好ましい。焼成温度や昇温速度によって、多孔質性等のシリカ系材料の物性を変化させることが可能であり、目標とする物性に合わせて、適切な焼成温度及び昇温条件を選定すればよい。すなわち、焼成温度を適切な条件に設定することで複合酸化物として耐久性の維持が良好となり、細孔容積の低下も抑制できる。また、昇温条件として、プログラム昇温等を利用し徐々に昇温していくことが好ましい。これにより、無機物及び有機物のガス化や燃焼が激しくなって、それに伴い設定以上の高温状態に曝されやすくなったり、ひび割れが起こりやすくなったりして、その結果として粉砕が起こる、ということを防ぐことができる。
焼成雰囲気は特に限定されないが、空気中又は窒素中で焼成するのが一般的である。また、焼成時間は、焼成後のシリカ系材料の比表面積に応じて決めることができるが、一般的に1〜48時間である。これらの焼成条件によっても、多孔質性等のシリカ系材料の物性を変化させることが可能であり、目標とする物性に合わせて、各焼成条件を選定すればよい。
上述のようにして焼成する工程を経て得られた固形物を本実施形態のシリカ系材料として用いてもよいが、その固形物をさらに水熱処理することが好ましい。水熱処理する工程を経ることにより、驚くべきことに大部分の細孔の細孔径が3〜5nmという狭い範囲に存在するような均一な細孔構造を有すると共に、比表面積も機械的強度も大きなシリカ系材料を得ることができる。
ここでいう「水熱処理」とは、水又は水を含む溶液中に、上記固形物を浸漬し、加温しながら一定の時間保持する操作である。これにより、固形物の細孔内に十分な水が存在するようになり、その水を媒体として物質移動が起こり、細孔の再構成が進行すると本発明者らは推定している。したがって、速やかな物質移動を促す観点から、水熱処理の温度は好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上、特に好ましくは90℃以上である。水熱処理の温度は100℃以上の高い温度であってもよいが、その場合、水分が過度に蒸発しないよう、加圧装置が必要になる。また、水熱処理の温度が60℃未満の低い温度でも、本実施形態のシリカ系材料を得ることは可能であるが、処理時間が長くなる傾向にある。また、上述から明らかなように、加圧下で溶液の沸点以上の温度で水熱処理することは短時間で効果を発現する利点がある。ただし、操作の容易性の観点から、通常は沸点以下の範囲で、より高い温度で水熱処理することが好ましい。水熱処理の時間は、固形物の構成金属の種類、金属量、金属組成比、処理温度等の条件により異なるが、好ましくは1分間〜5時間、より好ましくは5分間〜3時間、更に好ましくは5分間〜1時間の範囲内である。
水熱処理によって細孔分布が狭くなる理由については定かではなく、詳細な検討は不十分であるが、現在のところ、本発明者らはその理由を下記のとおりに推測している。すなわち、シリカを含有する上述のような組成物に成形、乾燥、焼成等を施すことによって、組成物中の粒子間の架橋反応が進行し、まずは2〜10nmの細孔分布を有する構造体(固形物)が形成される。乾燥する工程や焼成する工程においては、ガス雰囲気下での加熱によるゲル間の脱水反応、架橋反応が進むが、これらの反応は固相反応であるから、得られたシリカ系材料は必ずしも均一な細孔分布にはならない。ところが、固形物にさらに水熱処理を施すことによって、固形物の加水分解と再架橋反応とによる反応が進行し、構造の組み替えが起こると推測される。また、得られる細孔容積が粒子の最密充填による空隙率に近いことも参酌すると、水熱処理による水熱反応によって熱力学的に安定な充填構造に変化し、この結果、細孔径3〜5nmの狭い範囲に細孔分布を有するシリカ系材料が得られるものと推測される。
次に、本実施形態のシリカ系材料の好ましい他の製造方法について説明する。この製造方法は、シリカと、アルミニウム化合物と、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性元素の化合物と、を含有する組成物又はその組成物の乾燥物を焼成して固形物を得る工程(第1の工程)と、上記固形物と、鉄、コバルト、ニッケル及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種の第4周期元素を含む可溶性金属塩の酸性水溶液との混合物を中和して上記固形物に第4周期元素を析出させる工程(第2の工程)と、第4周期元素を析出した上記固形物を水熱処理する工程(第3の工程)と、その水熱処理する工程を経た固形物を加熱処理する工程(第4の工程)とを有するものである。
第1の工程では、シリカ、アルミニウム化合物及び上記塩基性元素の化合物をさらに含むスラリーを調合し、乾燥した後、焼成して固形物を得る。スラリーは、第4周期元素の化合物を含まないこと以外は、上述の実施形態と同様の方法により調合すればよい。また、焼成温度は、上述の実施形態における焼成温度と同様であればよい。
次いで、第2の工程では、第1の工程で得られた固形物と、上記第4周期元素を含む酸性水溶液との混合物を中和することによって、固形物に第4周期元素を含む成分を析出させる。この際、酸性水溶液と混合する固形物は、それを水に分散させた水スラリーの状態であってもよい。この段階で水溶液中の第4周期元素のイオンと塩基との中和反応によって、例えば第4周期元素の水酸化物の状態で、第4周期元素を含む成分が固形物に析出して固定化される。
第2の工程で中和する際に用いられる塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニアが挙げられる。また、固形物又はその固形物を含む水スラリーにアルカリ金属元素(Li、Na、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属元素(Be、Mg、Ca、Sr、Ba)及び希土類元素(La、Ce、Pr)からなる群より選択される1種又は2種以上の塩基性元素を含む成分が含まれていてもよい。そのような塩基性元素を含む成分としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化ランタン、酸化セリウムが挙げられる。
第2の工程においては、例えば、第4周期元素を含む可溶性金属塩の酸性水溶液と固形物とを混合して攪拌しながら塩基で中和して、固形物上に第4周期元素の成分を沈澱により析出させる。第4周期元素の成分を析出させる際、第4周期元素を含む酸性水溶液の濃度、塩基、水溶液のpH、温度等の条件を適宜選択すればよい。
上記酸性水溶液における第4周期元素の濃度(第4周期元素が2種以上含まれる場合は、各々の第4周期元素の濃度)は、好ましくは0.0001〜1.0mol/L、より好ましくは0.001〜0.5mol/L、更に好ましくは0.005〜0.2mol/Lの範囲である。
塩基で中和する際、水溶液のpHが好ましくは5〜10、より好ましくは6〜8の範囲内になるように塩基の量を調整すればよい。その水溶液の温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃、さらに好ましくは60〜90℃である。
第4周期元素を含む成分を析出させる際に要する時間は、アルミナ、第4周期元素及び塩基性元素の含有量や温度等の条件により異なるが、好ましくは1分間〜5時間、より好ましくは5分間〜3時間、更に好ましくは5分間〜1時間の範囲である。
次に、第3の工程では、第4周期元素を含む成分が析出した固形物を水熱処理して混合物を得る。固形物を水熱処理することによって、シリカゲルの加水分解と再架橋反応とが進行し、構造の組み替えが起こると同時に第4周期元素の化合物の複合化が進行する。
水熱処理は、上記実施形態におけるものと同様であってもよく、第2の工程で用いた中和液をそのまま加熱して水熱処理を施してもよい。水熱処理は好ましくは60℃以上の温度範囲で、1〜48時間実施される。60℃未満の低い温度でも水熱処理することは可能であるが、処理時間が長くなる傾向にある。操作性、処理時間等の観点から、水熱処理は、60〜90℃で行うことが好ましい。
さらに、第3の工程で得られた混合物に含まれる固形物を必要に応じて水洗、乾燥した後、第4の工程で、加熱処理する。こうして本実施形態のシリカ系材料を得ることができる。
第4の工程における固形物の加熱処理温度は、好ましくは40〜900℃、より好ましくは80〜800℃、更に好ましくは200〜700℃、特に好ましくは300〜600℃である。
加熱処理の雰囲気は、空気中(又は大気中)、酸化性雰囲気中(酸素、オゾン、窒素酸化物、二酸化炭素、過酸化水素、次亜塩素酸、無機・有機過酸化物等)、及び不活性ガス雰囲気中(ヘリウム、アルゴン、窒素等)が挙げられる。加熱処理時間は、加熱処理温度及び固形物の量に応じて適宜選択すればよい。
本実施形態のシリカ系材料は、顔料、充填剤、研磨剤、化粧品基剤、農薬用担体、触媒担体、吸着材、膜構成材料等に好適に用いることができる。
以下に各用途について具体例を挙げて説明する。まず、顔料には、水、油、有機溶剤などに不溶性の微細な粉末で、機械的強度が強いことが求められている。本実施形態のシリカ系材料からなる球状粒子は機械的強度が大きく、さらに耐水性、耐油性、耐有機溶剤性にも優れていることから、顔料として好ましく用いられ得る。また、顔料としては小さな粒子が一般的に用いられ、平均粒子径が10μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以下である。
従来、充填剤として用いられていた合成シリカ充填剤は、嵩密度が0.04〜0.2g/cm3と小さいので、輸送、取り扱いが不便であった。本実施形態のシリカ系材料は、その嵩密度を0.9〜1.2g/cm3と高くすることもできるので、従来の合成シリカ充填剤の欠点を解決している。また、このシリカ系材料は機械的強度も高いので、ポリマーの強度を増加させる補強剤として有用である。さらに、このシリカ系材料は、艶消し剤や塩化ビニルペースト、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂のプレポリマーの粘度調整材としても有用である。
本実施形態のシリカ系材料は、後述の方法に準拠して測定される耐磨耗性が1.0質量%/15時間以下であると好ましく、これにより、研磨剤としても有用となる。研磨剤としては、形状及び嵩密度の幾何学的性質が重要である。ケイ砂、浮き石、ケイソウ土等と比較して、本実施形態のシリカ系材料は機械的強度が強く、球状で嵩密度が高いので研磨剤としての特性に優れている。また、研磨する対象によって粒径を揃える必要があるが、機械的強度が強いので、分級しても破損等が起こり難く、研磨対象に応じた粒度の球状粒子物を得ることができる。研磨剤としての平均粒子径は、研磨する対象によって様々な範囲をとることができ、一般的には1〜300μmが好ましく、用途によって最適な粒子径のものが用いられる。本実施形態のシリカ系材料は、ガラス、木材の研磨や、錆び落とし、汚れ落とし、金属、木材、象牙等の骨細工品の仕上げ、美術工芸品、セラミック、軟質金属の光沢出し等に有用な研磨剤としても用いられ得る。
化粧品基剤としては、人体に対して安定性が高いこと、使用性が良いことが望まれている。本実施形態のシリカ系材料は、耐水性、耐油性、耐有機溶剤性に優れているので人体に対する安定性が高く、球形である場合、滑らかな感触を与え、使用性も高いので化粧品基剤として有用である。
農薬用担体として用いられる粒子は、粒度分布が斉一であると好ましく、かつ、10μm以下の粒子が分級などの処理によって取り除かれたものであると好ましい。10μm以下の粒子が取り除かれていると、粉剤の物理性、例えば、吐粉性、分散性、飛散性等、及び経時的安定性が著しく改善される。
本実施形態のシリカ系材料は、細孔径を3〜5nmの範囲に制御することが可能であり、細孔分布が狭いことから、インクジェットプリンター用紙のインク吸収材等としても有効に用いられる。また、本実施形態のシリカ系材料は、細孔容積が小さく、嵩密度が高いことから、従来の合成シリカ充填剤の有していた欠点が解消され、機械的強度も高いことから、ポリマーの強度を増加させる補強剤として有用である。さらに、本実施形態のシリカ系材料は、艶消し剤や塩化ビニルペースト、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂のプレポリマー粘度調整材としても有用である。
シリカ系材料には、様々な金属イオンを担持することも可能であり、触媒担体として用いることができる。触媒担体として用いる場合、このシリカ系材料に触媒活性成分を担持させるが、その触媒活性成分は、対象になる反応により適宜選定される。活性成分として担持する金属成分としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金からなる群より選択される少なくとも1種の貴金属成分であることが好ましい。貴金属成分の中でも、より好ましいのはルテニウム、パラジウム、白金、金からなる群より選択される少なくとも1種である。これらの貴金属成分は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。貴金属成分の化学状態は、金属単体、酸化物、水酸化物、2種以上の貴金属元素を含む複合化合物、又はこれらの混合物のいずれでもよいが、好ましい化学状態は金属単体又は金属酸化物である。
貴金属粒子は、担体に高分散の状態で担持されているのが好ましい。具体的には、貴金属粒子は、粒子が担体との積層方向に互いに重ならないような状態で担持されていると好ましく、微粒子状(すなわち、粒子同士が接していない状態)又は薄膜状(すなわち、粒子同士が互いに接しているが、担体との積層方向に重なっていない状態)で分散して担持されているのがより好ましい。貴金属粒子の平均粒子径は、好ましくは2〜10nm、より好ましくは2〜8nm、さらに好ましくは2〜6nmである。
貴金属粒子の平均粒子径が上記範囲内にあると、特定の活性種構造が形成され、反応活性が向上する傾向にある。ここで、本実施形態における「平均粒子径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定された数平均粒子径を意味する。具体的には、透過型電子顕微鏡で観察される画像において、黒いコントラストの部分が複合粒子であり、その画像内での各粒子の直径を全て測定してその数平均として算出される。
貴金属担持物は、貴金属成分の他に第2成分元素を含有してもよい。第2成分元素としては、周期律表第4周期、第5周期及び第6周期の4〜16族元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属が挙げられる。第2成分元素の具体例としては、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、ハフニウム、タングステン、イリジウム、水銀、タリウム、鉛、ビスマス等が挙げられる。更に、第2成分元素として、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属を含有してもよい。
これらの金属元素は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの金属元素の化学状態は、金属単体、酸化物、水酸化物、2種以上の金属元素を含む複合物、又はこれらの混合物のいずれでもよいが、好ましい化学状態としては金属単体又は金属酸化物である。
各貴金属成分の担持量は特に限定されない。ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金からなる群より選択される少なくとも1種の貴金属成分が担持される場合のそれらの担持量は、担体100質量%に対して、合計で好ましく0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%である。貴金属成分は貴金属の単体でもよいし、貴金属元素の化合物(例えば、酸化物、水酸化物)でもよい。
周期律表第4周期、第5周期及び第6周期の4〜16族元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素及び/又はその金属元素の化合物が担持される場合のそれらの担持量は、貴金属担持物の質量あたり、合計で好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.05〜10質量%であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属が担持される場合それらの担持量は、貴金属担持物の質量あたり、合計で好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
本実施形態の貴金属担持物の比表面積は、反応活性の向上及び活性成分の離脱し難さの観点から、BET窒素吸着法による測定で、好ましくは20〜500m2/gであり、より好ましくは50〜400m2/g、さらに好ましくは100〜350m2/gの範囲である。
本実施形態の貴金属担持物の細孔構造は、貴金属成分の担持特性、剥離等を含めた長期安定性、触媒として用いた場合の反応特性の観点から極めて重要な物性の一つであり、細孔径はこれらの特性を発現するための指標となる物性値である。その細孔径が3nmよりも小さいと、担持貴金属成分の剥離性状は良好となる傾向にはあるが、触媒として液相反応等で用いる場合に、反応基質の細孔内拡散抵抗が大きくなり、その拡散過程が律速となりやすく反応活性が低下する傾向にある。したがって、細孔径は3nm以上であるのが好ましい。一方、担持物の割れ難さ、担持した貴金属粒子の剥離し難さの観点から、細孔径は50nm以下であるのが好ましい。したがって、貴金属担持物の細孔径は、好ましくは3nm〜50nmであり、より好ましくは3nm〜30nm、さらに好ましくは3nm〜10nmである。細孔容積は、担持特性及び反応特性の観点から、0.1〜1.0mL/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5mL/g、さらに好ましくは0.1〜0.3mL/gの範囲である。本実施形態の貴金属担持物は、細孔径及び細孔容積が共に上記範囲を満たすものが好ましい。
貴金属成分をシリカ系材料に担持させる方法としては、上記のような担持物が得られる限り特に限定はされず、一般的に用いられる金属担持物の製法、例えば含浸法(吸着法、ポアフィリング法、蒸発乾固法、スプレー法)、沈殿法(共沈法、沈着法、混錬法)、イオン交換法、気相蒸着法等を適用することができる。貴金属以外の各金属成分を貴金属担持物の調製時に添加してもよいが、貴金属担持物を触媒として用いる場合、その触媒を用いた反応系に添加することも可能である。
貴金属成分の他に第2成分元素を含有する場合、第2成分元素は貴金属担持物の製造や反応の際に貴金属担持物中に含有させてもよいし、あらかじめ担体に含有させておいてもよい。なお、第2成分元素が貴金属担持物中でどのような構造をとるかは特に制限されず、貴金属粒子と合金又は金属間化合物を形成していてもよいし、貴金属粒子とは別に担体に担持されていてもよい。アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物についても、貴金属担持物の調製時に予め共存させてもよく、貴金属担持物の調製時又は反応系に添加することもできる。触媒調製に用いられる金属原料としては、上記金属の無機化合物、有機金属化合物等の化合物が用いられるが、好ましくは金属ハロゲン化物、金属酸化物、金属水酸化物、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属酢酸塩、金属リン酸塩、金属カルボニル、金属アセチルアセトナト、金属ポルフィリン類、金属フタロシアニン類である。
[貴金属成分の他に第2成分元素を含有する貴金属担持物の調製方法]
貴金属担持物のうち、貴金属成分の他に第2成分元素を含有する場合の調製方法について、沈澱法を例にとって説明する。例えば、第1の工程として、第2成分及び貴金属が含まれる可溶性金属塩の酸性水溶液を中和することによってシリカ系材料に第2成分及び貴金属成分を析出させて貴金属担持物の前駆体を得る。この段階で水溶液中の第2成分及び貴金属イオンが塩基との中和反応によって第2成分及び貴金属成分(例えば水酸化物)がシリカ系材料に析出して固定化される。次いで、第2の工程として、前記第1の工程で得られた貴金属担持物の前駆体を必要に応じて水洗、乾燥した後、熱処理することによって貴金属担持物を得ることができる。
貴金属担持物の調製に用いられる第2成分元素が含まれる可溶性金属塩としては、第2成分元素の硝酸塩、酢酸塩及び塩化物が挙げられる。また、貴金属成分が含まれる可溶性金属塩の例としては、貴金属としてパラジウムを選択する場合は、塩化パラジウム及び酢酸パラジウムが、ルテニウムの場合は、塩化ルテニウム及び硝酸ルテニウムが、金の場合は、塩化金酸、塩化金ナトリウム、ジシアノ金酸カリウム、ジエチルアミン金三塩化物及びシアン化金が、銀の場合は、塩化銀及び硝酸銀が挙げられる。
貴金属担持物の調製に用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等が用いられる。また、担体にアルカリ金属(Li,Na,K,Rb,Cs)、アルカリ土類金属(Be,Mg,Ca,Sr,Ba)及び希土類金属(La,Ce,Pr)から選ばれる単独もしくは複数種の塩基性金属成分が含まれていてもよい。
第1の工程においては、第2成分元素及び貴金属が含まれる可溶性金属塩の酸性水溶液とシリカ系材料を混合して攪拌しながら塩基で中和し、シリカ系材料上に第2成分元素及び貴金属成分の沈澱を析出させる。第2成分元素及び貴金属成分を析出させる際、第2成分元素及び貴金属成分を含む水溶液の濃度、塩基、水溶液のpH、温度等の条件を適宜選択すればよい。
第2成分元素及び貴金属を含む水溶液の各々の濃度は、通常0.0001〜1.0mol/L、好ましくは0.001〜0.5mol/L、より好ましくは0.005〜0.2mol/Lの範囲である。水溶液中の第2成分元素及び貴金属の比率は、第2成分元素/貴金属原子比で0.1〜10の範囲が好ましく、より好ましくは0.2〜5.0、さらに好ましくは0.5〜3.0である。
水溶液のpHは、通常5〜10、好ましくは6〜8の範囲内になるように前記塩基で調整すればよい。水溶液の温度は、通常0〜100℃の範囲、好ましくは30〜90℃、より好ましくは60〜90℃である。
第2成分元素及び貴金属成分を析出させる際の時間は特に限定されるものでなく、シリカ系材料種、第2成分元素及び貴金属の担持量、比率等の条件により異なるが、通常1分〜5時間、好ましくは5分〜3時間、より好ましくは5分〜1時間である。
第2工程における貴金属担持物の前駆体の熱処理温度は、通常40〜900℃、好ましくは80〜800℃、より好ましくは200〜700℃、さらに好ましくは300〜600℃である。
熱処理の雰囲気は、空気中(又は大気中)、酸化性雰囲気中(酸素、オゾン、窒素酸化物、二酸化炭素、過酸化水素、次亜塩素酸、無機・有機過酸化物等)又は不活性ガス雰囲気中(ヘリウム、アルゴン、窒素等)で行われる。熱処理時間は、熱処理温度及び貴金属担持物の前駆体の量に応じて適宜選択すればよい。
上述した第2の工程の後、必要に応じて還元性雰囲気中(水素、ヒドラジン、ホルマリン、蟻酸等)で還元処理を行うこともできる。還元処理の温度及び時間は、還元剤の種類、貴金属の種類及び貴金属担持物の量に応じて適宜選択すればよい。
上記熱処理又は還元処理の後、必要に応じて空気中(又は大気中)又は酸化性雰囲気中(酸素、オゾン、窒素酸化物、二酸化炭素、過酸化水素、次亜塩素酸、無機・有機過酸化物等)で酸化処理することもできる。その場合の温度及び時間は、酸化剤の種類、貴金属の種類及び貴金属担持物の量に応じて適宜選択される。
[貴金属担持物を触媒として用いた化合物の製造方法]
本実施形態の貴金属担持物は、広く化学合成用の触媒として用いられる。この貴金属担持物は、例えば、アルカンの酸化、アルコールの酸化、アルデヒドの酸化、カルボニルの酸化、アルケンの酸化、アルケンのエポキシ化、アルケンの酸化的付加、アルデヒドとアルコールとの酸化的エステル化、アルコールの酸化的エステル化、グリコールとアルコールとの酸化的エステル化、アルケンの水素化、アルキンの水素化、フェノール類の水素化、α,β不飽和ケトンの選択水素化反応、ニトロ、オレフィン、カルボニル、芳香族環等の水添反応、アミノ化、水素及び酸素からの直接過酸化水素合成、一酸化炭素の酸化、水性ガスシフト反応等の化学合成触媒、あるいはNOxの還元触媒、光触媒として用いられ得る。
以下に、本実施形態の貴金属担持物を触媒として用いて、アルデヒド及びアルコールから酸素存在下で酸化的エステル化反応によりカルボン酸エステルを製造する方法を例に挙げて説明する。
原料として用いるアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、グリオキサール等のC1−C10脂肪族飽和アルデヒド;アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド等のC3−C10脂肪族α,β−不飽和アルデヒド;ベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、ベンジルアルデヒド、フタルアルデヒド等のC6−C20芳香族アルデヒド;並びにこれらアルデヒドの誘導体が挙げられる。これらのアルデヒドは1種を単独で又は2種以上の混合物として用いられる。それらのうち、アルデヒドが、アクロレイン、メタクロレイン、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であると、本実施形態の貴金属担持物を触媒として更に有効に用いることができるので好ましい。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール等のC1−C10脂肪族飽和アルコール;シクロペンタノール、シクロヘキサノール等のC5−C10脂環族アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のC2−C10ジオール;アリルアルコール、メタリルアルコール等のC3−C10脂肪族不飽和アルコール;ベンジルアルコール等のC6−C20芳香族アルコール;3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等のヒドロキシオキセタンが挙げられる。これらのアルコールは1種を単独で又は2種以上の混合物として用いられる。それらのうち、アルコールがメタノールであると、本実施形態の貴金属担持物を触媒として更に有効に用いることができるので好ましい。
アルデヒドとアルコールとの量比は、特に限定されず、例えば、アルコールに対するアルデヒドの比(アルデヒド/アルコール)がモル基準で、10〜1/1000のような広い範囲であってもよいが、一般的には1/2〜1/50である。
触媒の使用量は、反応原料の種類、触媒の組成や調製法、反応条件、反応形式等によって大幅に変更することができ、特に限定されない。触媒をスラリー状態で反応させる場合、触媒は、スラリー中の固形分濃度として、好ましくは1〜50質量/容量%、より好ましくは3〜30質量/容量%、さらに好ましくは10〜25質量/容量%の範囲で用いられる。
カルボン酸エステルの製造は、気相反応、液相反応、潅液反応等の任意の方法で、回分式又は連続式のいずれによっても実施できる。
その反応は、無溶媒でも実施され得るが、反応成分(反応基質、反応生成物及び触媒)に対して不活性な溶媒、例えば、ヘキサン、デカン、ベンゼン、ジオキサンを用いても実施され得る。
反応形式は、固定床式、流動床式、攪拌槽式等の従来公知の形式であればよい。例えば、液相で反応させる際には、気泡塔反応器、ドラフトチューブ型反応器、撹拌槽反応器等の任意の反応器形式を採用することができる。
カルボン酸エステルの製造に用いる酸素は、分子状酸素、すなわち、酸素ガス自体、又は、酸素ガスを反応に不活性な希釈剤、例えば、窒素、炭酸ガス等で希釈した混合ガスの形であってもよい。酸素原料としては、操作性、経済性等の観点から、空気が好ましく用いられる。
酸素分圧は、アルデヒド種、アルコール種等の反応原料、反応条件又は反応器形式等により変化するが、実用的には、反応器出口の酸素分圧を爆発範囲の下限以下の濃度となる範囲とし、例えば、20〜80kPaに管理することが好ましい。反応圧力については、減圧から加圧下の任意の広い圧力範囲でもよく、例えば0.05〜2MPaの範囲の反応圧力である。また、反応器から流出するガス中の酸素濃度が爆発限界を超えないように全圧を設定(例えば、酸素濃度8%)することが安全性の観点から好ましい。
カルボン酸エステルの製造反応を液相等で実施する場合、反応系にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物(例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩)を添加して反応系のpHを6〜9に保持することが好ましい。これらのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
カルボン酸エステルを製造する際の反応温度は、200℃を超える高温でもよいが、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは60〜120℃である。反応時間は、特に限定されるものではなく、設定した条件により異なるので一義的には決められないが、通常1〜20時間である。
次に、本実施形態の貴金属担持物を触媒として用い、水を含む液相中でアルデヒドを酸化してカルボン酸を製造する方法を例に挙げて説明する。
液相に含まれる水としては、特に限定されないが、例えば、軟水、精製された工業用水、イオン交換水等を挙げることができる。通常の水質を持つ水であればよいが、あまり不純物(Fe、Ca、Mg等のイオン)を多く含むものは好ましくない。カルボン酸の製造において使用するアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、グリオキサール等のC1−C10脂肪族飽和アルデヒド;アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド等のC3−C10脂肪族α,β−不飽和アルデヒド;ベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、ベンジルアルデヒド、フタルアルデヒド等のC6−C20芳香族アルデヒド及びこれらのアルデヒドの誘導体が挙げられる。なかでも、メタクロレイン、アクロレインが好ましい。これらのアルデヒドは単独もしくは任意の2種以上の混合物として用いることができる。
アルデヒドと水の量比に特に限定はなく、例えば、アルデヒド/水のモル比で1/10〜1/1000のような広い範囲で実施できるが、一般的には1/2〜1/100の範囲で実施される。
アルデヒドと水からなる混合液相中、すなわち無溶媒の条件下でアルデヒドを酸化することも可能であるが、アルデヒドと水からなる混合液に溶媒を添加し、アルデヒド、水、溶媒からなる混合液としても差し支えない。溶媒としては、例えば、ケトン類、ニトリル類、アルコール類、有機酸エステル類、炭化水素類、有機酸類、アミド類を使用することができる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルが挙げられる。アルコール類としては、例えば、ターシャリーブタノール、シクロヘキサノールが挙げられる。有機酸エステル類としては、例えば、酢酸エチル、プロピオン酸メチルが挙げられる。炭化水素類としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンが挙げられる。有機酸類としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸が挙げられる。アミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホアミドが挙げられる。また、溶媒は1種類でも、2種類以上の混合溶媒でもよい。水と溶媒を混合する場合、その混合比は反応原料であるアルデヒドの種類、触媒の組成や調製法、反応条件、反応形式等によって大幅に変更することができ、特に限定はされないが、高選択性及び高生産性でアルデヒドからカルボン酸を製造する観点から、溶媒の量は水の質量に対して8〜65質量%が好ましく、8〜55質量%がより好ましい。アルデヒドと水からなる混合液、もしくはアルデヒド、水、溶媒からなる混合液は均一であることが好ましいが、不均一な状態で用いても差し支えない。
触媒の使用量については、反応原料の種類、触媒の組成や調製法、反応条件、反応形式等によって大幅に変更することができ、特に限定はされないが、触媒をスラリー状態で反応させる場合は、スラリー中の触媒濃度として、好ましくは4〜50質量/容量%、より好ましくは4〜30質量/容量%、さらに好ましくは10〜25質量/容量%の範囲内に収まるように使用する。すなわち、液体成分の体積(L)に対する触媒の質量(kg)が、好ましくは4〜50%、より好ましくは4〜30%、さらに好ましくは10〜25%の範囲内に収まるように使用する。
液相におけるカルボン酸の製造は、連続式、バッチ式のいずれの形式で行ってもよいが、生産性を考慮すると工業的には連続式が好ましい。
酸化のための酸素源としては、反応器に酸素ガス自体を供給してもよいし、酸素ガスを反応に不活性な希釈剤、例えば、窒素、炭酸ガス等で希釈した混合ガスを供給してもよいが、酸素源としては空気を用いるのが操作性、経済性等の面から好適である。
好ましい酸素分圧は、アルデヒド種や溶媒種、反応条件や反応器形式等により異なるが、実用的には反応器出口の酸素分圧は、爆発範囲の下限以下の濃度となる範囲で、例えば、20〜80kPaに管理することが好ましい。反応圧力は、減圧から加圧下の任意の広い圧力範囲で実施することができるが、通常は0.05〜5MPaの圧力で実施される。安全性の観点から、反応器流出ガスの酸素濃度が爆発限界(8%)を超えないように全圧を設定することが好ましい。
カルボン酸を製造する際の反応温度は30〜200℃が好ましく、40〜150℃がより好ましく、60〜120℃がさらに好ましい。反応時間は特に限定されず、通常1〜20時間である。
なお、シリカ系材料の構成元素(Si、Al、第4周期元素、塩基性元素)の含有量の決定、アルミニウム又は塩基性元素に対する第4周期元素の組成比の決定、比表面積、細孔径及び細孔容積の測定、形状観察、平均粒子径の測定、嵩密度(CBD)の測定、耐摩耗性の測定、結晶構造の解析、第4周期元素の化学状態解析、貴金属担持物の形態観察は、次の方法により実施することができる。
[シリカ系材料及び貴金属担持物の構成元素の含有量の決定]
シリカ系材料中のSi、Al、第4周期元素及び塩基性元素の濃度は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のICP発光分析装置(ICP−AES、MS)である「IRIS Intrepid II XDL型」(商品名)を用いて定量される。
試料は下記のとおりに調製する。まず、シリカ系材料をテフロン(登録商標)製分解容器に秤取り、そこに硝酸及びフッ化水素を加える。得られた溶液を、マイルストーンゼネラル社製のマイクロウェーブ分解装置である「ETHOS・TC型」(商品名)にて加熱分解後、ヒーター上で蒸発乾固する。次いで、析出した残留物に硝酸及び塩酸を加えて、上記マイクロウェーブ分解装置にて加圧分解し、得られた分解液を純水で一定容量としたものを試料とする。
上記ICP−AESにて内標準法で試料の定量を行い、同時に実施した操作ブランク値を差し引いてシリカ系材料中のSi、Al、第4周期元素及び塩基性元素の含有量並びに貴金属担持物中の金属元素の含有量を求め、組成比(モル基準)、担持量を算出する。
[組成比の決定]
上記「シリカ系材料及び貴金属担持物の構成元素の含有量の決定」で測定したAl、第4周期元素及び塩基性元素の含有量から、アルミニウムに対する第4周期元素の組成比(X/Al)、及び、塩基性元素に対する第4周期元素の組成比(X/B)を算出する。
[比表面積、細孔径及び細孔容積の測定]
ユアサ・アイオニクス社製のガス吸着量測定装置「オートソーブ3MP」(商品名)により、吸着ガスとして窒素を用いて、シリカ系材料及び貴金属担持物の比表面積、細孔径及び細孔容積を測定する(窒素吸着法)。比表面積はBET法、細孔径及び細孔分布はBJH法、細孔容積はP/P0、Maxでの吸着量を採用する。
[形状観察]
日立製作所社製のX−650走査型電子顕微鏡装置(SEM)を用いて、シリカ系材料(担体)及び貴金属担持物(触媒)粒子を観察する。
[平均粒子径の測定]
ベックマン・コールター社製のLS230型レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置を用いて、シリカ系材料及び貴金属担持物の平均粒子径(体積基準)を測定する。
[嵩密度(CBD)の測定]
前処理として、まず、シリカ系材料をステンレスルツボに約120g採取し、500℃のマッフル炉で1時間焼成を行う。焼成後のシリカ系材料を、デシケータ(シリカゲル入り)に入れ、室温まで冷却する。このようにして前処理したシリカ系材料を100.0g採取し、250mLのメスシリンダーに移し、メスシリンダー内にシリカ系材料を振とう器で15分間タッピング充填する。メスシリンダーを振とう器から取り外し、メスシリンダー内のシリカ系材料表面を平らにならし、充填容積を読み取った。嵩密度はシリカ系材料の質量を充填容積で除した値である。
[耐摩耗性の測定]
底部に1/64インチの3つのオリフィスを有する穴あき円板を備えた、内径1.5インチの垂直チューブにシリカ系材料約50gを精秤して投入する。外部から垂直チューブ内に穴あき円板を通して、毎時15CF(Cubic Feet)の速度で空気を吹き込み、激しくチューブ内のシリカ系材料の粒子を流動させる。空気の吹き込みを開始してから5〜20時間の間に微細化して垂直チューブの上部から逸散したシリカ系材料の粒子の総量の、初期に投入した量に対する割合(質量%)を、「耐摩耗性」として求める。
[結晶構造の解析]
リガク社製の粉末X線回折装置(XRD)「Rint2500型」(商品名)を用い、X線源Cu管球(40kV、200mA)、測定範囲5〜65deg(0.02deg/step)、測定速度0.2deg/分、スリット幅(散乱、発散、受光)1deg、1deg、0.15mmの条件でシリカ系材料の結晶構造の解析を行う。
測定は、試料を無反射試料板上に均一に散布し、ネオプレンゴムで固定して行う。
[第4周期元素(ニッケル)の化学状態解析]
シリカ系材料のNiKαスペクトルをTechnos社製のXFRA190型二結晶型高分解能蛍光X線分析装置(HRXRF)で測定し、得られた各種パラメーターを標準物質(ニッケル金属、酸化ニッケル)のそれらと比較し、シリカ系材料中のニッケルの価数等の化学状態を推測する。
測定試料として、調製したシリカ系材料をそのままの状態で用いる。NiのKαスペクトルの測定は、部分スペクトルモードで行う。この際、分光結晶にはGe(220)、スリットは縦発散角1°のものを用い、励起電圧及び電流はそれぞれ35kV及び80mAに設定する。その上で、標準試料ではアブソーバとしてろ紙を用い、シリカ系材料試料では計数時間を試料毎に選択してKαスペクトルのピーク強度が3000cps以下、10000counts以上になるように測定する。それぞれの試料で5回測定を繰り返し、その繰り返し測定前後にニッケル金属の測定を行う。実測スペクトルを平滑化処理(S−G法7点―5回)後、ピーク位置、半値幅(FWHM)、非対称性係数(AI)を算出し、ピーク位置は試料の測定前後に測定したニッケル金属の測定値からのズレ、化学シフト(ΔE)として取り扱う。
[第4周期元素の分散状態観察]
シリカ系材料の断面の解析を、島津製作所製: EPMA1600を用い、加速電圧:20KeVで測定する。
[金属担持物の形態観察]
JEOL社製の3100FEF型透過型電子顕微鏡(TEM)[加速電圧300kV、エネルギー分散型X線検出器(EDX)付属]を用いて、TEMの明視野像を観察する。
試料として、貴金属担持物を乳鉢で破砕後、エタノールに分散させ、超音波洗浄を約1分間行った後、Mo製マイクログリット上に滴下し風乾したものを用いる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。当業者は、以下に示す実施例のみならず様々な変更を加えて実施することが可能であり、かかる変更も本特許請求の範囲に包含される。なお実施例及び比較例におけるシリカ系材料の構成元素の含有量の決定、アルミニウム又は塩基性元素に対する第4周期元素の組成比の決定、比表面積、細孔径及び細孔容積の測定、形状観察、平均粒子径の測定、嵩密度の測定、耐摩耗性の測定、結晶構造の解析、第4周期元素の化学状態解析、金属担持物の形態観察は、それぞれ上述のとおりとした。
〔実施例1〕
硝酸アルミニウム9水和物1.5kg、硝酸ニッケル6水和物0.24kg、硝酸マグネシウム6水和物0.98kg及び60%硝酸0.27kgを、純水3.0Lに溶解した水溶液を準備した。その水溶液を15℃に保持した攪拌状態のコロイド粒子径10〜20nmのシリカゾル溶液(日産化学社製、商品名「スノーテックスN−30」、SiO2含有量:30質量%)10.0kg中へ徐々に滴下し、シリカゾル、硝酸アルミニウム、硝酸ニッケル及び硝酸マグネシウムの混合スラリーを得た。その後、出口温度を130℃に設定したスプレードライヤー装置で混合スラリーを噴霧乾燥し固形物を得た。
次いで、得られた固形物を上部が開放されたステンレス製容器に厚さ約1cm程充填し、電気炉で室温から300℃まで2時間かけて昇温後、300℃で3時間保持した。さらに600℃まで2時間で昇温後、600℃で3時間保持して焼成した。その後、徐冷して、ケイ素−アルミニウム−ニッケル−マグネシウムを含む複合酸化物からなるシリカ系材料を得た。
得られたシリカ系材料は、ケイ素とアルミニウムとニッケルとマグネシウムとの合計モル量に対して、ケイ素を85.3モル%、アルミニウムを6.8モル%、ニッケルを1.4モル%、マグネシウムを6.5モル%含んでいた。Ni(X)/Alの組成比はモル基準で0.21、Ni(X)/Mg(B)の組成比はモル基準で0.22であった。
窒素吸着法による比表面積は223m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は5.1nmであった。嵩密度は0.97CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ系材料に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
シリカ系材料中のニッケルの化学状態について、二結晶型高分解能蛍光X線分析法(HRXRF)の結果から、ニッケルのハイスピン2価と推測され、NiKαスペクトルの相違から単一化合物である酸化ニッケルとは異なる化学状態であることが判明した。実測スペクトルから得られたシリカ系材料のNiKαスペクトルの半値幅(FWHM)は3.474、化学シフト(ΔE)は0.331であった。標準物質として測定した酸化ニッケルのNiKαスペクトルの半値幅(FWHM)は3.249、化学シフト(ΔE)は0.344であった。
シリカ系材料中のニッケルの分散状態は、電子プローブ微小部分析法(EPMA)の結果から、いずれの場所でもニッケルがほぼ同濃度で存在している状態であった。
次に、シリカ系材料の耐酸性及び塩基性を評価するために、以下の方法によりpHスイング試験を行った。
上記のようにして得られたシリカ系材料10gを、ガラス容器に入れたpH4の緩衝液100mLに添加し、90℃で10分間攪拌を続けた後、静置して上澄みを除去し、水洗、デカンテーションを行った。こうして得られた固形物を、ガラス容器に入れたpH10の緩衝液100mLに添加し、90℃で10分間攪拌を続けた後、静置して上澄みを除去し、水洗、デカンテーションを行った。以上の操作を1サイクルとし、計50サイクルのpHスイング処理を実施した。その結果、pHスイング処理後のシリカ系材料の比表面積は220m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は5.2nmであり、pHスイング処理によるシリカ系材料の構造変化は認められなかった。
〔実施例2〕
硝酸アルミニウム9水和物1.5kgに代えて硝酸アルミニウム9水和物4.0kg、硝酸ニッケル6水和物0.24kgに代えて硝酸亜鉛6水和物0.11kg、硝酸マグネシウム6水和物0.98kgに代えて硝酸カリウム1.1kgを用いた以外は実施例1と同様にして、ケイ素を69.7モル%、アルミニウムを15.0モル%、亜鉛を0.5モル%、カリウムを14.9モル%含むシリカ系材料を得た。Zn(X)/Alの組成比はモル基準で0.03、Zn(X)/K(B)の組成比はモル基準で0.03であった。窒素吸着法による比表面積は170m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は5.3nmであった。嵩密度は0.95CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、64μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ系材料に割れや欠けもなく、形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカ系材料の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ系材料の比表面積は169m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は5.7nmであり、pHスイング処理によるシリカ系材料の構造変化はほとんど認められなかった。
〔実施例3〕
硝酸アルミニウム9水和物1.5kgに代えて硝酸アルミニウム9水和物2.0kg、硝酸ニッケル6水和物0.24kgに代えて硝酸コバルト6水和物0.75kg、硝酸マグネシウム6水和物0.98kgに代えて硝酸ルビジウム0.38kgを用いた以外は実施例1と同様にして、ケイ素を82.7モル%、アルミニウムを8.8モル%、コバルトを4.3モル%、ルビジウムを4.3モル%含むシリカ系材料を得た。Co(X)/Alの組成比はモル基準で0.49、Co(X)/Rb(B)の組成比はモル基準で0.99であった。窒素吸着法による比表面積は196m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は5.1nmであった。嵩密度は0.96CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ系材料に割れや欠けもなく、形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
シリカ系材料中のコバルトの分散状態は、電子プローブ微小部分析法(EPMA)の結果から、いずれの場所でもコバルトがほぼ同濃度で存在している状態であった。
次に、上記のようにして得られたシリカ系材料の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ系材料の比表面積は198m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は5.0nmであり、pHスイング処理による構造変化は認められなかった。
〔実施例4〕
硝酸ニッケル6水和物0.24kgに代えて硝酸鉄9水和物0.2kg、硝酸マグネシウム6水和物0.98kgに代えて硝酸ランタン9水和物0.48kgを用いた以外は実施例1と同様にして、ケイ素を89.9モル%、アルミニウムを7.2モル%、鉄を0.9モル%、ランタンを2.0モル%含むシリカ系材料を得た。Fe(X)/Alの組成比はモル基準で0.12、Fe(X)/La(B)の組成比はモル基準で0.45であった。窒素吸着法による比表面積は232m2/g、細孔容積は0.28mL/g、平均細孔径は5.0nmであった。嵩密度は0.98CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、64μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ系材料に割れや欠けもなく、形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカ系材料の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ系材料の比表面積は230m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は5.3nmであり、pHスイング処理による構造変化は認められなかった。
〔実施例5〕
水ガラス3号(SiO2:28〜30質量%、Na2O:9〜10質量%)10kgに、pHが9になるまで硫酸を添加し、次いで硫酸アルミニウムを添加し、pHを2とした。さらにアルミン酸ソーダを添加し、pHを5〜5.5とし、一部を脱水してシリカ−アルミナを約10質量%含むヒドロゲルを得た。このヒドロゲルを130℃でスプレードライにて噴霧乾燥後、Na2Oが0.02質量%、SO4が0.5質量%以下になるように洗浄した。これに、酸化マグネシウム0.83kgと酸化ニッケル1.8kgとを添加、混合してスラリーを得た。そのスラリーを、ろ過、洗浄後、110℃で6時間乾燥し、次いで700℃まで3時間かけて昇温後、700℃で3時間保持して焼成した。その後、除冷して、シリカ系材料を得た。
得られたシリカ系材料は、ケイ素とアルミニウムとニッケルとマグネシウムとの合計モル量に対して、ケイ素を42.2モル%、アルミニウム20.4モル%、ニッケルを19.8モル%、マグネシウムを17.6モル%含んでいた。Ni(X)/Alの組成比はモル基準で0.97、Ni(X)/Mg(B)の組成比はモル基準で1.13であった。
窒素吸着法による比表面積は73m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は5.4nmであった。嵩密度は1.05CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、63μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ系材料に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカ系材料の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ系材料の比表面積は72m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は5.3nmであり、pHスイング処理による構造変化は認められなかった。
〔実施例6〕
硝酸アルミニウム9水和物1.5kgに代えて酸化アルミニウム4.4kg、硝酸ニッケル6水和物0.24kgに代えて酸化ニッケル0.93kg、硝酸マグネシウム6水和物0.98kgに代えて酸化マグネシウム0.42kgを用い、焼成温度を600℃から800℃に代えた以外は実施例1と同様にして、ケイ素を42.9モル%、アルミニウムを37.0モル%、ニッケルを10.9モル%、マグネシウムを9.1モル%含むシリカ系材料を得た。Ni(X)/Alの組成比はモル基準で0.30、Ni(X)/Mg(B)の組成比はモル基準で1.20であった。窒素吸着法による比表面積は78m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は5.2nmであった。嵩密度は1.02CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ系材料に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカ系材料の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ系材料の比表面積は77m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は5.2nmであり、pHスイング処理による構造変化は認められなかった。
〔実施例7〕
硝酸アルミニウム9水和物1.5kgに代えて硝酸アルミニウム9水和物1.0kg、硝酸ニッケル6水和物0.24kgに代えて水酸化ニッケル0.23kg、硝酸マグネシウム6水和物0.98kgに代えて水酸化マグネシウム1.9kgを用い、焼成温度を600℃から650℃に代えた以外は実施例1と同様にして、ケイ素を57.6モル%、アルミニウムを3.1モル%、ニッケルを2.8モル%、マグネシウムを36.6モル%含むシリカ系材料を得た。Ni(X)/Alの組成比はモル基準で0.91、Ni(X)/Mg(B)の組成比はモル基準で0.08であった。窒素吸着法による比表面積は92m2/g、細孔容積は0.28mL/g、平均細孔径は5.1nmであった。嵩密度は0.99CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ系材料に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカ系材料の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ系材料の比表面積は94m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は5.0nmであり、pHスイング処理による構造変化は認められなかった。
〔実施例8〕
実施例1で得られた固形物であるシリカ系材料100gを90℃に加熱された1.0Lの蒸留水中に投入し、攪拌しながら90℃で1時間保持して水熱処理を行った。
次いで、水熱処理後の混合物を静置して上澄みを除去し、蒸留水で数回洗浄し、濾過した後の固形物を105℃で16時間乾燥した。得られたシリカ系材料の比表面積は240m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は3.9nmであった。シリカ系材料の平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ系材料に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカ系材料の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ系材料の比表面積は242m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は4.0nmであり、pHスイング処理による構造変化は認められなかった。
〔実施例9〕
硝酸アルミニウム9水和物2.0kg、硝酸マグネシウム1.5kg、及び、60%硝酸0.27kgを純水3.0Lに溶解した水溶液を準備した。その水溶液を15℃に保持した攪拌状態のコロイド粒子径10〜20nmのシリカゾル溶液(日産化学社製、商品名「スノーテックスN−30」、SiO2含有量:30質量%)10.0kg中へ徐々に滴下し、シリカゾル、硝酸アルミニウム及び硝酸マグネシウムの混合スラリーを得た。その後、混合スラリーを50℃で24時間保持して熟成させた。熟成させた混合スラリーを室温に冷却した後、出口温度を130℃に設定したスプレードライヤー装置で噴霧乾燥し乾燥物を得た。
次いで、得られた乾燥物を上部が開放したステンレス製容器に厚さ約1cm程充填し、電気炉で室温から300℃まで2時間かけて昇温後、300℃で3時間保持した。さらに600℃まで2時間で昇温後、600℃で3時間保持して焼成した。その後、徐冷して、固形物であるシリカ−アルミナ−マグネシアを得た。
次に、硝酸ニッケル6水和物27gを含む水溶液1.0Lを90℃に加温した。この水溶液に上記のようにして得られた固形物であるシリカ−アルミナ−マグネシア300gを投入し、攪拌しながら90℃で1時間保持して、ニッケル成分を固形物に析出させた。次いで、その混合物を静置して上澄みを除去し、蒸留水で数回洗浄し、濾過した後の固形物を105℃で16時間乾燥し、さらに空気中600℃で5時間焼成した。こうして、ケイ素を80.3モル%、アルミニウムを8.7モル%、ニッケルを1.5モル%、マグネシウムを9.5モル%含むシリカ系材料を得た。Ni(X)/Alの組成比はモル基準で0.18、Ni(X)/Mg(B)の組成比はモル基準で0.16であった。
窒素吸着法による比表面積は245m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は4.0nmであった。嵩密度は0.99CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ系材料に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカ系材料の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ系材料の比表面積は243m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は4.1nmであり、pHスイング処理によるシリカ系材料の構造変化は認められなかった。
〔実施例10〕
硝酸アルミニウム9水和物188g、硝酸ニッケル6水和物145g、硝酸マグネシウム6水和物128g及び60%硝酸46gを、純水552mLに溶解した水溶液を準備した。その水溶液を15℃に保持した攪拌状態のコロイド粒子径10〜20nmのシリカゾル溶液(日産化学社製、商品名「スノーテックスN−30」、SiO2含有量:30質量%)993g中へ徐々に滴下し、シリカゾル、硝酸アルミニウム、硝酸ニッケル及び硝酸マグネシウムの混合スラリーを得た。その後、出口温度を130℃に設定したスプレードライヤー装置で混合スラリーを噴霧乾燥し固形物を得た。
次いで、実施例1と同様の方法で加熱・焼成、徐冷して、ケイ素を76.9モル%、アルミニウムを7.7モル%、ニッケルを7.7モル%、マグネシウムを7.7モル%含むシリカ系材料を得た。Ni(X)/Alの組成比はモル基準で1.0、Ni(X)/Mg(B)の組成比はモル基準で1.0であった。窒素吸着法による比表面積は130m2/g、細孔容積は0.25mL/g、平均細孔径は7.8nmであった。嵩密度は0.96CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ系材料に割れや欠けもなく、形状はほぼ球状であった。
次に、上記のようにして得られたシリカ系材料の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ系材料の比表面積は131m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は7.9nmであり、pHスイング処理によるシリカ系材料の構造変化はほとんど認められなかった。
〔実施例11〕
硝酸ニッケル6水和物145gに代えて硝酸ニッケル218g、純水552mLに代えて純水704mLを用いた以外は実施例10と同様にして、ケイ素を74.1モル%、アルミニウムを7.4モル%、ニッケルを11.1モル%、マグネシウムを7.4モル%含むシリカ系材料を得た。Ni(X)/Alの組成比はモル基準で1.5、Ni(X)/Mg(B)の組成比はモル基準で1.5であった。窒素吸着法による比表面積は100m2/g、細孔容積は0.20mL/g、平均細孔径は8.2nmであった。嵩密度は0.95CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、63μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ系材料に割れや欠けもなく、形状はほぼ球状であった。
次に、上記のようにして得られたシリカ系材料の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ系材料の比表面積は99m2/g、細孔容積は0.20mL/g、平均細孔径は8.3nmであり、pHスイング処理によるシリカ系材料の構造変化はほとんど認められなかった。
〔実施例12〕
実施例9で得られたシリカ系材料30gを、ガラス容器内に入れた蒸留水100mLに添加し、60℃で攪拌しながら、所定量の塩化パラジウム水溶液を滴下し、さらに0.5N水酸化ナトリウム水溶液を添加して、上記水溶液のpHを8に調整した。そのまま1時間攪拌を続けた後、混合液を静置して上澄みを除去し、さらにClイオンが検出されなくなるまで蒸留水で洗浄した固形物を105℃で16時間乾燥した後、空気中300℃で5時間焼成した。次いで、得られた固形物に対して、水素雰囲気中で400℃、3時間の還元処理を行うことにより、パラジウム2.4質量%を担持した貴金属担持物を得た。
この貴金属担持物について、窒素吸着法による比表面積は247m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は4.0nmであった。得られた貴金属担持物の平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、貴金属担持物に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。
また、この貴金属担持物の形態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、粒子4〜5nmに極大分布(数平均粒子径:4.3nm(算出個数:100))を有するパラジウム粒子が担体としてのシリカ系材料に担持されていることが確認された。
次に、上記のようにして得られた貴金属担持物の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後の貴金属担持物の比表面積は245m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は4.1nmであり、pHスイング処理による構造変化は認められなかった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)によるパラジウム粒子の平均粒子径は4.4nm(算出個数:100)であり、パラジウム粒子のシンタリングはほとんど観察されなかった。
〔実施例13〕
実施例4で得られたシリカ系材料30gを、ガラス容器内に入れた蒸留水100mLに添加し、80℃で攪拌しながら、所定量の塩化ルテニウム水溶液を滴下し、さらに0.5N水酸化ナトリウム水溶液を添加して、上記水溶液のpHを8に調整した。そのまま1時間攪拌を続けた後、混合液を静置して上澄みを除去し、さらにClイオンが検出されなくなるまで蒸留水で洗浄した固形物を105℃で16時間乾燥した後、空気中300℃で3時間焼成した。次いで、得られた固形物に対して、水素雰囲気中で350℃、3時間の還元処理を行うことにより、ルテニウム2.1質量%を担持した貴金属担持物を得た。
この貴金属担持物について、窒素吸着法による比表面積は241m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は3.9nmであった。得られた貴金属担持物の平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、貴金属担持物に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。
また、この貴金属担持物の形態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、粒子4〜5nmに極大分布(数平均粒子径:4.4nm(算出個数:100))を有するルテニウム粒子が担体としてのシリカ系材料に担持されていることが確認された。
次に、上記のようにして得られた貴金属担持物の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後の貴金属担持物の比表面積は240m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は4.2nmであり、pHスイング処理による構造変化は認められなかった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)によるルテニウム粒子の平均粒子径は4.7nm(算出個数:100)であり、ルテニウム粒子のシンタリングはほとんど観察されなかった。
〔実施例14〕
実施例2で得られたシリカ系材料30gを、ガラス容器内に入れた蒸留水100mLに添加し、80℃で攪拌しながら、所定量の塩化金酸水溶液を滴下し、さらに0.5N水酸化ナトリウム水溶液を添加して、上記水溶液のpHを8に調整した。そのまま1時間攪拌を続けた後、混合液を静置して上澄みを除去し、さらにClイオンが検出されなくなるまで蒸留水で洗浄した固形物を105℃で16時間乾燥した後、空気中400℃で3時間焼成を行うことにより、金1.8質量%を担持した貴金属担持物を得た。
この貴金属担持物について、窒素吸着法による比表面積は175m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は4.0nmであった。得られた貴金属担持物の平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、貴金属担持物に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。
また、この貴金属担持物の形態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、粒子3〜4nmに極大分布(数平均粒子径:3.5nm(算出個数:100))を有する金粒子が担体としてのシリカ系材料に担持されていることが確認された。
次に、上記のようにして得られた貴金属担持物の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後の貴金属担持物の比表面積は173m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は4.5nmであり、pHスイング処理による構造変化はほとんど認められなかった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)による金粒子の平均粒子径は3.9nm(算出個数:100)であり、金粒子のシンタリングはほとんど観察されなかった。
表1に、実施例1〜11のシリカ系材料及び実施例12〜14の貴金属担持物の物性を示す。
〔比較例1〕
原料としてシリカゾル溶液を日産化学社製、商品名「スノーテックスN−30」から同社製、商品名「スノーテックスN−40」(SiO2含有量:40質量%)に代え、硝酸アルミニウム、硝酸ニッケル、硝酸マグネシウムを添加せずにシリカ単独の組成にした以外は実施例1と同様にして、スプレードライヤー装置による混合スラリーの噴霧乾燥まで行い固形物を得た。次に、得られた固形物をロータリーキルンで室温から300℃まで2時間かけて昇温後、300℃で1時間保持した。さらに600℃まで2時間で昇温後、600℃で1時間保持して焼成した。その後、徐冷して、シリカを得た。
窒素吸着法による比表面積は215m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は5.5nmであった。嵩密度は0.55CBD、耐摩耗性は3.3質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、66μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカに割れや欠けが認められた。シリカの形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、非晶質パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカの耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカの比表面積は198m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は9.8nmであり、pHスイング処理による構造変化が認められた。
〔比較例2〕
硝酸ニッケル、硝酸マグネシウムを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、ケイ素を93.0モル%、アルミニウムを7.0モル%含むシリカ−アルミナ組成物を得た。窒素吸着法による比表面積は220m2/g、細孔容積は0.30mL/g、平均細孔径は5.2nmであった。嵩密度は0.94CBD、耐摩耗性は0.2質量%であった。シリカ−アルミナ組成物の平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ−アルミナ組成物に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、非晶質パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカ−アルミナの耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ−アルミナ組成物の比表面積は210m2/g、細孔容積は0.32mL/g、平均細孔径は9.5nmであり、pHスイング処理による構造変化が認められた。
〔比較例3〕
硝酸ニッケルを用いなかった以外は、実施例1と同様の方法にして、ケイ素を86.5モル%、アルミニウムを6.9モル%、マグネシウムを6.6モル%含むシリカ−アルミナ−マグネシア組成物を得た。窒素吸着法による比表面積は213m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は5.1nmであった。嵩密度は0.96CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。シリカ−アルミナ−マグネシア組成物の平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ−アルミナ−マグネシア組成物に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカ−アルミナ−マグネシア組成物の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ−アルミナ−マグネシアの比表面積は204m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は8.5nmであり、pHスイング処理による構造変化が認められた。
〔比較例4〕
硝酸アルミニウム9水和物1.5kgに代えて硝酸アルミニウム9水和物2.3kg、硝酸ニッケル6水和物0.24kgに代えて硝酸ニッケル6水和物0.37kg、硝酸マグネシウム6水和物0.98kgに代えて硝酸マグネシウム6水和物0.21kg、シリカゾル溶液(日産化学社製、商品名「スノーテックスN−30」、SiO2含有量:30質量%)10.0kgに代えてそのシリカゾル溶液1.0kgを用いた以外は、実施例1と同様にして、ケイ素を37.3モル%、アルミニウムを46.2モル%、ニッケルを10.1モル%、マグネシウムを6.5モル%含むシリカ−アルミナ−酸化ニッケル−マグネシア組成物を得た。Ni(X)/Alの組成比はモル基準で0.22、Ni(X)/Mg(B)の組成比はモル基準で1.56であった。窒素吸着法による比表面積は195m2/g、細孔容積は0.3mL/g、平均細孔径は5.3nmであった。嵩密度は0.85CBD、耐摩耗性は0.5質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、64μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ−アルミナ−酸化ニッケル−マグネシア組成物に割れや欠けが認められた。形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、アルミナに由来する結晶パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカ−アルミナ−酸化ニッケル−マグネシア組成物の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ−アルミナ−酸化ニッケル−マグネシア組成物の比表面積は180m2/g、細孔容積は0.29mL/g、平均細孔径は8.7nmであり、pHスイング処理による構造変化が認められた。
〔比較例5〕
硝酸アルミニウム9水和物1.5kgに代えて硝酸アルミニウム9水和物1.0kg、硝酸ニッケル6水和物0.24kgに代えて硝酸ニッケル6水和物0.05kg、硝酸マグネシウム6水和物0.98kgに代えて硝酸マグネシウム6水和物0.23kgを用いた以外は、実施例1と同様にして、ケイ素を93.1モル%、アルミニウムを5.0モル%、ニッケルを0.3モル%、マグネシウムを1.6モル%含むシリカ−アルミナ−酸化ニッケル−マグネシア組成物を得た。Ni(X)/Alの組成比はモル基準で0.07、Ni(X)/Mg(B)の組成比はモル基準で0.22であった。窒素吸着法による比表面積は210m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は5.4nmであった。嵩密度は0.9CBD、耐摩耗性は2.0質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、65μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、シリカ−アルミナ−酸化ニッケル−マグネシア組成物に割れや欠けが認められた。形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカ−アルミナ−酸化ニッケル−マグネシア組成物の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ−アルミナ−酸化ニッケル−マグネシア組成物の比表面積は195m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は8.5nmであり、pHスイング処理による構造変化が認められた。
〔比較例6〕
硝酸ニッケル6水和物0.24kgに代えて硝酸マンガン6水和物0.24kgを用いた以外は、実施例1と同様にして、ケイ素を85.3モル%、アルミニウムを6.8モル%、マンガンを1.4モル%、マグネシウムを6.5モル%含むシリカ−アルミナ−酸化マンガン−マグネシア組成物を得た。窒素吸着法による比表面積は220m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は5.1nmであった。嵩密度は0.98CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
次に、上記のようにして得られたシリカ−アルミナ−酸化マンガン−マグネシア組成物の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後のシリカ−アルミナ−酸化マンガン−マグネシア組成物の比表面積は210m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は8.1nmであり、pHスイング処理による構造変化が認められた。
〔比較例7〕
硝酸ニッケルを用いなかった以外は実施例12と同様にして、シリカ−アルミナ−マグネシア組成物にパラジウムが担持された貴金属担持物を得た。得られた貴金属担持物は、ケイ素とアルミニウムとマグネシウムの合計モル量に対して、ケイ素を81.7モル%、アルミニウムを8.8モル%、マグネシウムを9.5モル%含んでいた。パラジウムの担持量は2.1質量%であった。
窒素吸着法による比表面積は243m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は4.1nmであった。この貴金属担持物の平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、貴金属担持物に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。
また、この貴金属担持物の形態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、粒子4〜5nmに極大分布(数平均粒子径:4.2nm(算出個数:100))を有するパラジウム粒子が担体に担持されていることが確認された。
次に、上記で得られた貴金属担持物の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後の金属担持物の比表面積は224m2/g、細孔容積は0.28mL/g、平均細孔径は8.4nmであり、pHスイング処理による構造変化が認められた。また、透過型電子顕微鏡(TEM)による複合粒子の平均粒子径は6.7nm(算出個数:100)であり、貴金属担持物の細孔径の拡大とともにパラジウム粒子のシンタリングが観察された。
〔実施例15〕
実施例1のシリカ系材料300gを、蒸留水1Lを入れたガラス容器に添加し、60℃で撹拌しながら、所定量の塩化金酸水溶液を素早く滴下した。次いで、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を更に添加して上記水溶液のpHを8に調整し、そのまま1時間攪拌を続けた。その後、ガラス容器を静置してから上澄みを除去して沈殿物を回収し、その沈殿物をClイオンが検出されなくなるまで蒸留水で洗浄し、これを105℃で16時間乾燥した後、さらに空気中400℃で5時間焼成して、Auを2.0質量%担持した貴金属担持物(2%Au/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)を得た。
この貴金属担持物について、窒素吸着法による比表面積は242m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は3.9nmであった。その平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、貴金属担持物に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。
上記貴金属担持物の粉末X線回折(XRD)の結果によれば、Auに帰属される回折ピークが観察された。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて上記貴金属担持物の微細構造を観察したところ、粒子径2〜3nmのAu粒子が担体表面上に均一に担持されていた。Au粒子の数平均粒子径は3.1nmであった(算出個数:100)。
次に、上記貴金属担持物の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後の貴金属担持物の比表面積は243m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は3.9nmであり、pHスイング処理による貴金属担持物の構造変化は認められなかった。また、透過型電子顕微鏡(TEM/STEM)によるAu粒子の平均粒子径は3.2nm(算出個数:100)であり、Au粒子の粒子成長はほとんど観察されなかった。
触媒として、上記貴金属担持物(2%Au/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)240gを、触媒分離器を備え、液相部が1.2リットルの攪拌型ステンレス製反応器に仕込んだ。その反応器中の攪拌羽の先端速度4m/秒の速度で内容物を攪拌しながら、アルデヒド及びアルコールからの酸化的カルボン酸エステルの生成反応を実施した。36.7質量%のメタクロレイン/メタノール溶液を0.6リットル/時間、1〜4質量%のNaOH/メタノール溶液を0.06リットル/時間で、それぞれ連続的に反応器に供給した。反応温度80℃、反応圧力0.5MPaで出口酸素濃度が4.0容量%(酸素分圧0.02MPa相当)となるように空気を吹き込み、反応系のpHが7となるように反応器に供給するNaOH濃度を調整した。反応生成物は、反応器出口からのオーバーフローラインにより連続的に抜き出し、ガスクロマトグラフィーでその組成を分析して反応性を調べた。
反応開始から500時間経過時点のメタクロレイン転化率は45.8%、メタクリル酸メチルの選択率は87.5%、触媒の単位質量当たりのメタクリル酸メチルの生成活性は4.36mol/時間/kg−触媒であった。反応開始から1000時間経過時点のメタクロレイン転化率は45.5%、メタクリル酸メチルの選択率は87.4%、メタクリル酸メチルの生成活性は4.33mol/時間/kg−触媒であり、反応活性はほとんど変化しなかった。
反応開始から1000時間経過後の触媒を抜き出し、走査型電子顕微鏡(SEM)で調べたところ触媒粒子に割れ、欠けはほとんど見られなかった。また、窒素吸着法による触媒の比表面積は243m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は4.0nmであった。
次に、反応開始から1000時間経過後の触媒を透過型電子顕微鏡(TEM/STEM)で観察したところ、粒子径2〜3nmに極大分布(数平均粒子径:3.3nm)を有するナノ粒子が担体に担持されていることが確認され、Au粒子のシンタリングは観察されなかった。
〔実施例16〕
実施例1で得られた担体300gを、ガラス容器に入れた蒸留水1Lに添加し、60℃で撹拌しながら、それぞれPd及びPbとして2.5質量%に相当する量の塩化パラジウムの希塩酸溶液及び硝酸鉛水溶液を素早く滴下した。その後、ガラス容器の内容物を1時間保持し、そこにヒドラジンを化学量論量の1.2倍添加して還元した。還元後の内容物からデカンテーションにより上澄みを除去して沈殿物を回収し、その沈殿物をClイオンが検出されなくなるまで蒸留水で洗浄し、さらに60℃で真空乾燥して、Pd、Pbを各々2.5質量%担持した貴金属担持物(PdPb/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)を得た。
この貴金属担持物について、窒素吸着法による比表面積は240m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は4.0nmであった。その平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、貴金属担持物に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。
上記貴金属担持物の粉末X線回折(XRD)の結果によれば、Pd3Pb1の金属間化合物に帰属される回折ピーク(2θ=38.6°、44.8°、65.4°、78.6°)が観察された。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて上記貴金属担持物の微細構造を観察したところ、粒子径5〜6nmのPdPb粒子が担体表面上に均一に担持されていた。PdPb粒子の数平均粒子径は5.5nmであった(算出個数:100)。
次に、上記のようにして得られた貴金属担持物の化学的安定性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後の貴金属担持物の比表面積は241m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は4.0nmであり、pHスイング処理による構造変化は認められなかった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)によるPdPb粒子の平均粒子径は5.1nm(算出個数:100)であり、PdPb粒子の粒子成長はほとんど観察されなかった。
触媒として、上記で得られた貴金属担持物(PdPb/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)240gを用いた以外は、実施例15と同様にして、メタクロレインからメタクリル酸メチルを製造した。
反応開始から500時間経過時点のメタクロレイン転化率は44.2%、メタクリル酸メチルの選択率は91.5%、触媒の単位質量当たりのメタクリル酸メチルの生成活性は4.40mol/時間/kg−触媒であった。反応開始から1000時間経過時点のメタクロレイン転化率は44.6%、メタクリル酸メチルの選択率は91.3%、メタクリル酸メチルの生成活性は4.43mol/時間/kg−触媒であり、反応活性はほとんど変化しなかった。
反応開始から1000時間経過後の触媒を抜き出し、走査型電子顕微鏡(SEM)で調べたところ触媒粒子に割れ、欠けはほとんど見られなかった。また、窒素吸着法による触媒の比表面積は241m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は4.1nmであった。
次に、反応開始から1000時間経過後の触媒を透過型電子顕微鏡(TEM/STEM)で観察したところ、粒子径5〜6nmに極大分布(数平均粒子径:5.2nm)を有するナノ粒子が担体に担持されていることが確認され、PdPb粒子のシンタリングは観察されなかった
〔実施例17〕
触媒として、実施例14で得られた貴金属担持物(Au/Si−Al−Zn−K複合酸化物)240gを用いた以外は、実施例15と同様にして、メタクロレインからメタクリル酸メチルを製造した。
反応開始から500時間経過時点のメタクロレイン転化率は33.5%、メタクリル酸メチルの選択率は86.7%、触媒の単位質量当たりのメタクリル酸メチルの生成活性は3.16mol/時間/kg−触媒であった。反応開始から1000時間経過時点のメタクロレイン転化率は33.2%、メタクリル酸メチルの選択率は86.5%、メタクリル酸メチルの生成活性は3.12mol/時間/kg−触媒であり、反応活性はほとんど変化しなかった。
反応開始から1000時間経過後の触媒を抜き出し、走査型電子顕微鏡(SEM)で調べたところ触媒粒子に割れ、欠けはほとんど見られなかった。また、窒素吸着法による触媒の比表面積は171m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は4.7nmであった。
次に、反応開始から1000時間経過後の触媒を透過型電子顕微鏡(TEM/STEM)で観察したところ、粒子径3〜4nmに極大分布(数平均粒子径:4.1nm)を有するナノ粒子が担体に担持されていることが確認され、Au粒子のシンタリングはほとんど観察されなかった。
〔比較例8〕
担体を比較例3で得られたシリカ系材料に代えた以外は実施例15と同様にして、Auを2.0質量%担持した貴金属担持物(2%Au/SiO2−Al2O3−MgO)を得た。
この貴金属担持物について、窒素吸着法による比表面積は232m2/g、細孔容積は0.28mL/g、平均細孔径は4.0nmであった。その平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、貴金属担持物に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて上記貴金属担持物の微細構造を観察したところ、粒子径3〜4nmのAu粒子が担体表面上に均一に担持されていた。Au粒子の数平均粒子径は3.4nmであった(算出個数:100)。
次に、上記のようにして得られた貴金属担持物の耐酸性及び塩基性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後の貴金属担持物の比表面積は242m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は8.2nmであり、pHスイング処理による構造変化が認められた。また、透過型電子顕微鏡(TEM)によるAu粒子の平均粒子径は5.6nm(算出個数:100)であり、Au粒子の粒子成長が観察された。
上記貴金属担持物(2%Au/SiO2−Al2O3−MgO)を用いた以外は実施例15と同様にして反応を行った。その結果、反応開始から500時間経過時点のメタクロレイン転化率は39.4%、メタクリル酸メチルの選択率は82.1%、触媒の単位質量当たりのメタクリル酸メチルの生成活性は3.52mol/時間/kg−触媒であった。反応開始から1000時間経過時点のメタクロレイン転化率は31.1%、メタクリル酸メチルの選択率は78.2%、メタクリル酸メチルの生成活性は2.39mol/時間/kg−触媒であり、反応活性の低下が認められた。
反応開始から1000時間経過後の触媒を抜き出し、走査型電子顕微鏡(SEM)で調べたところ触媒粒子に割れ、欠けはほとんど見られなかった。また、窒素吸着法による触媒の比表面積は212m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は8.2nmであり、触媒の構造変化が認められた。
次に、反応開始から1000時間経過後の触媒を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、Au粒子の数平均粒子径は5.5nmであり、細孔径の拡大と同時にAu粒子のシンタリングが観察された。
〔実施例18〕
実施例15と同じ貴金属担持物(2%Au/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)0.5g、メタクロレイン0.5g、水6.3g、溶媒としてアセトニトリル3.2gをマグネチックスターラーを備えたSUS316製の高圧オートクレーブ式反応器(総容量120ml)に仕込み、オートクレーブを閉じて、系内を窒素ガスで置換した後、7体積%の酸素を含有する窒素の混合ガスを気相部に導入し、系内全圧を3.0MPaまで昇圧した。
次いで、オイルバスに反応器を固定し、攪拌下に反応温度を100℃にして4時間反応させた。冷却後、残留圧を除いてオートクレーブを開放した後、触媒を濾別し、濾液をガスクロマトグラフによって分析した。その結果、メタクロレイン転化率は49.7%、メタクリル酸選択率は95.3%、メタクリル酸収率は47.4%であった。
〔実施例19〕
溶媒をアセトンとした以外は実施例18と同様の方法で、実施例15と同じ貴金属担持物(2%Au/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)を用いて、メタクロレインからメタクリル酸を製造した。その結果、メタクロレイン転化率は61.1%、メタクリル酸選択率は96.6%、メタクリル酸収率は59.0%であった。
〔実施例20〕
溶媒をターシャリーブタノールとした以外は実施例18と同様にして、実施例15と同じ貴金属担持物(2%Au/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)を用いて、メタクロレインからメタクリル酸を製造した。その結果、メタクロレイン転化率は64.7%、メタクリル酸選択率は96.8%、メタクリル酸収率は62.6%であった。
〔実施例21〕
所定量の塩化金酸水溶液と硝酸ニッケル6水和物を含む水溶液1.0Lを90℃に加温した。この水溶液に実施例1で得られたシリカ系材料300gを投入し、攪拌下90℃に保持しながら、1時間攪拌を続け、金成分とニッケル成分をシリカ系材料上に析出させた。
次いで、静置して上澄みを除去し、蒸留水で数回洗浄した後、濾過した。これを105℃で16時間乾燥した後、空気中500℃で3時間焼成することにより、金1.5質量%、ニッケル1.5質量%を担持した貴金属担持物(AuNiO/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)を得た。
この貴金属担持物について、窒素吸着法による比表面積は227m2/g、細孔容積は0.26mL/g、平均細孔径は4.9nmであった。その平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、65μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、貴金属担持物に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて上記貴金属担持物の微細構造を観察したところ、粒子径2〜3nmの金属粒子がシリカ材料表面上に均一に担持されていた。金属粒子の数平均粒子径は3.0nmであった(算出個数:100)。
次に、上記のようにして得られた貴金属担持物の化学的安定性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後の貴金属担持物の比表面積は229m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は4.9nmであり、pHスイング処理による構造変化は認められなかった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)による金属粒子の平均粒子径は3.0nm(算出個数:100)であり、金属粒子の粒子成長はほとんど観察されなかった。
上記の貴金属担持物(AuNiO/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)を用いて、実施例16と同様の方法で、メタクロレインからメタクリル酸を製造した。その結果、メタクロレイン転化率は59.9%、メタクリル酸選択率は96.1%、メタクリル酸収率は57.6%であった。
〔実施例22〕
実施例21と同じ貴金属担持物(AuNiO/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)50g、メタクロレイン100g、水580g、溶媒としてアセトン320gをSUS316製の攪拌型オートクレーブ(15L)に仕込み、オートクレーブを閉じて系内を窒素ガスで置換した後、7体積%の酸素を含有する窒素の混合ガスを気相部に導入し、系内全圧を3.0MPaまで昇圧した。
反応温度を110℃にして8時間反応後、冷却し、残留圧を除いてオートクレーブを開放した後、反応液をガスクロマトグラフによって分析した。その結果、メタクロレイン転化率は53.7%、メタクリル酸選択率は95.9%、メタクリル酸収率は51.5%であった。
〔実施例23〕
硝酸アルミニウム9水和物1.5kgに代えて、酸化アルミニウム4.4kg、硝酸ニッケル6水和物0.24kgに代えて酸化ニッケル0.93kg、硝酸マグネシウム6水和物0.98kgに代えて酸化マグネシウム0.42kgを用い、焼成温度を600℃から800℃に代えた以外は実施例1の(1)と同様にして、ケイ素を42.9モル%、アルミニウムを37.0モル%、ニッケルを10.9モル%、マグネシウムを9.1モル%含む担体を得た。Ni(X)/Alの組成比はモル基準で0.30、Ni(X)/Mg(B)の組成比はモル基準で1.20であった。窒素吸着法による比表面積は78m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は5.2nmであった。嵩密度は1.02CBD、耐摩耗性は0.1質量%であった。平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、担体に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。固体形態について、粉末X線回折(XRD)の結果から、シリカゲルと同様の非晶質パターンが得られた。
上記のようにして得られたシリカ系材料300gを、蒸留水1Lを入れたガラス容器に添加し、60℃で撹拌しながら、所定量の塩化金酸水溶液と硝酸ニッケル6水和物との希塩酸溶液を素早く滴下した。次いで、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を更に添加して上記水溶液のpHを8に調整し、そのまま1時間攪拌を続けた。その後、ガラス容器の内容物にヒドラジンを化学量論量の1.2倍添加して還元した。還元後の内容物からデカンテーションにより上澄みを除去して沈殿物を回収し、その沈殿物をClイオンが検出されなくなるまで蒸留水で洗浄し、さらに60℃で真空乾燥して、Au、Niを各々3.0質量%担持した貴金属担持物(AuNi/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)を得た。
この貴金属担持物について、窒素吸着法による比表面積は105m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は4.0nmであった。その平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、貴金属担持物に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて上記貴金属担持物の微細構造を観察したところ、粒子径4〜5nmの金属粒子が担体表面上に均一に担持されていた。金属粒子の数平均粒子径は4.5nmであった(算出個数:100)。
次に、上記のようにして得られた貴金属担持物の化学的安定性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後の貴金属担持物の比表面積は107m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は4.1nmであり、pHスイング処理による構造変化は認められなかった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)による金属粒子の平均粒子径は4.7nm(算出個数:100)であり、金属粒子の粒子成長はほとんど観察されなかった。
上記の貴金属担持物(AuNi/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)を用いて、実施例18と同様の方法で、メタクロレインからメタクリル酸を製造した。その結果、メタクロレイン転化率は38.9%、メタクリル酸選択率は94.9%、メタクリル酸収率は36.7%であった。
〔実施例24〕
実施例2で得られた担体300gを、蒸留水1Lを入れたガラス容器に添加し、60℃で撹拌しながら、所定量の塩化金酸水溶液と塩化白金酸との希塩酸溶液を素早く滴下した。次いで、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を更に添加して上記水溶液のpHを8に調整し、そのまま1時間攪拌を続けた。その後、ガラス容器の内容物にヒドラジンを化学量論量の1.2倍添加して還元した。還元後の内容物からデカンテーションにより上澄みを除去して沈殿物を回収し、その沈殿物をClイオンが検出されなくなるまで蒸留水で洗浄し、さらに60℃で真空乾燥して、Au、Ptを各々2.0質量%担持した貴金属担持物(AuPt/Si−Al−Zn−K複合酸化物)を得た。
この貴金属担持物について、窒素吸着法による比表面積は220m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は3.9nmであった。その平均粒子径は、レーザー・散乱法粒度分布測定による結果から、62μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、貴金属担持物に割れや欠けはなく、形状はほぼ球状であった。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて上記貴金属担持物の微細構造を観察したところ、粒子径3〜4nmの金属粒子が担体表面上に均一に担持されていた。金属粒子の数平均粒子径は3.5nmであった(算出個数:100)。
次に、上記のようにして得られた貴金属担持物の化学的安定性を評価するために、実施例1と同様の方法によりpHスイング試験を行った。その結果、pHスイング処理後の貴金属担持物の比表面積は217m2/g、細孔容積は0.27mL/g、平均細孔径は4.0nmであり、pHスイング処理による構造変化は認められなかった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)による金属粒子の平均粒子径は3.7nm(算出個数:100)であり、金属粒子の粒子成長はほとんど観察されなかった。
上記の貴金属担持物(AuPt/Si−Al−Zn−K複合酸化物)を用いて、実施例18と同様の方法でメタクロレインからメタクリル酸を製造した。その結果、メタクロレイン転化率は63.1%、メタクリル酸選択率は96.3%、メタクリル酸収率は60.8%であった。
〔実施例25〕
実施例12と同じ貴金属担持物(Pd/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)を用いて、実施例18と同様の方法でメタクロレインからメタクリル酸を製造した。その結果、メタクロレイン転化率は6.0%、メタクリル酸選択率は66.6%、メタクリル酸収率は4.0%であった。
〔実施例26〕
触媒として、実施例12と同じ貴金属担持物(Pd/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)10gと10質量%のエチレングリコール水溶液を、液相部が0.5リットルの攪拌型ステンレス製反応器に仕込んだ。その反応器中の攪拌羽の先端速度1.5m/秒の速度で内容物を攪拌しながら、エチレングリコールの酸化反応を実施した。反応温度を50℃とし、空気を常圧で350ml/分で吹き込み、反応系のpHが8〜10となるように2.5質量%のNaOH水溶液を反応器に供給しながら4時間反応を実施後、触媒を濾別し、濾液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固し、ヒドロキシ酢酸ナトリウムの白色粉末63gを得た。
〔実施例27〕
触媒として、実施例12と同じ貴金属担持物(Pd/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)1gと150gの液状フェノールを攪拌型ステンレス製反応器(500ml)に仕込んだ。系内を窒素ガスで置換した後、水素ガスを気相部に導入し、系内全圧を2.5MPaまで昇圧した。反応温度を140℃とし、攪拌羽の先端速度1.5m/秒の速度で内容物を攪拌しながら、フェノールのシクロヘキサノンへの水素化反応を実施した。1時間反応を実施後冷却し、残留圧を除いてオートクレーブを開放した後、触媒を濾別し、濾液をガスクロマトグラフによって分析した。その結果、フェノール転化率は99.7%、シクロヘキサノン選択率は91.3%であった。
〔実施例28〕
実施例4で得られたシリカ系材料30gを、ガラス容器内に入れた蒸留水100mLに添加し、80℃で攪拌しながら、所定量の塩化ルテニウム水溶液と硝酸亜鉛水溶液を滴下し、さらに0.5N水酸化ナトリウム水溶液を添加して、上記水溶液のpHを8に調整した。そのまま1時間攪拌を続けた後、混合液を静置して上澄みを除去し、さらにClイオンが検出されなくなるまで蒸留水で洗浄した固形物を105℃で16時間乾燥した後、空気中300℃で3時間焼成した。次いで、得られた固形物に対して、水素雰囲気中で350℃、3時間の還元処理を行うことにより、ルテニウム10.4質量%、亜鉛/ルテニウムの原子比が0.11である亜鉛を担持した貴金属担持物(RuZn/Si−Al−Fe−La複合酸化物)を得た。
上記の貴金属担持物(RuZn/Si−Al−Fe−La複合酸化物)0.5gと10質量%の硫酸亜鉛水溶液280mLを1リットルのハステロイ製のオートクレーブに仕込み、攪拌しながら水素で置換し、150℃に昇温後、22時間保持し、触媒スラリーの前処理を行った。その後ベンゼン140mLを圧入し、全圧5MPaで高速攪拌しながら、ベンゼンの部分水素化反応を実施した。この反応液を経時的に抜き出し、ガスクロマトグラフィーにより液相の組成を分析したところ、ベンゼンの転化率が50%におけるシクロヘキセンの選択率は81.5%であった。
〔実施例29〕
実施例1で得られたシリカ系材料30gを、ガラス容器内に入れた蒸留水100mLに添加し、80℃で攪拌しながら、所定量の塩化ルテニウム、塩化白金酸、塩化スズとの希塩酸溶液を滴下し、さらに0.5N水酸化ナトリウム水溶液を添加して、上記水溶液のpHを8に調整した。そのまま1時間攪拌を続けた後、混合液を静置して上澄みを除去し、さらにClイオンが検出されなくなるまで蒸留水で洗浄した固形物を105℃で16時間乾燥した後、空気中300℃で3時間焼成した。次いで、得られた固形物に対して、水素雰囲気中で350℃、3時間の還元処理を行うことにより、ルテニウム6.1質量%、スズ5.0質量%、白金3.4質量%を担持した貴金属担持物(RuSnPt/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)を得た。
上記の貴金属担持物(RuSnPt/Si−Al−Ni−Mg複合酸化物)0.15gと水5g、コハク酸23質量%、グルタル酸60質量%、アジピン酸17質量%からなるコハク酸、グルタル酸、アジピン酸の混合物2.1gを30mLのオートクレーブに仕込み、室温下窒素でオートクレーブ内の雰囲気を置換した後、水素ガスを気相部に導入して系内全圧を2.0MPaまで昇圧し、180℃まで昇温した。180℃に達した時点で水素ガスを導入し、系内全圧を15MPaとした後、10時間水素化還元反応を実施した。反応終了後、デカンテーションにより触媒を分離し、触媒はイオン交換水で洗浄した。デカンテーションにより分離した反応液と触媒洗浄液を併せて各ジカルボン酸の転化率とジオールの収率を液体クロマトグラフィーとガスクロマトグラフィーで分析した結果、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸の転化率はそれぞれ93%、93%、95%であり、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールの収率は、それぞれ51%、75%、61%であった。