本発明に係る第1の態様のマイクロ波加熱装置は、被加熱物を収納して、当該被加熱物にマイクロ波を照射して高周波加熱を行うための加熱室、
前記加熱室の天井壁面から上方に突出して形成されたマイクロ波の給電室、
前記加熱室において前記被加熱物を高周波加熱するためのマイクロ波を生成するマイクロ波生成部、
前記給電室と前記マイクロ波生成部とを連結してマイクロ波を伝送する導波管、および
前記給電室と前記導波管との接合部分に形成された結合孔を貫通して鉛直方向に設けられた垂直軸素子と、前記垂直軸素子に接合され前記加熱室に対してマイクロ波を放射する放射面を有する平板素子と、を有する給電部を備え、
前記平板素子のマイクロ波の放射面における少なくとも一部の放射面が水平方向に対して所定角度θを有して傾斜して配置され、
前記所定角度θを有する放射面の面積が、前記平板素子における全体の放射面の1/2以上となるように構成され、
前記平板素子の全放射面において、水平面に対して所定角度θだけ傾斜した放射面の傾斜方向における全長をLyとし、前記加熱室内における被加熱物から、前記垂直軸素子に接合された位置に対応する前記平板素子の放射面の位置までの高さをHとすると、
前記傾斜した放射面の傾斜角度θradが、Ly/2/Hより大きく、Ly/Hより小さい角度に設定され、前記被加熱物からの反射波を前記給電部で受けることを低減するように構成されている。
上記のように構成された本発明の第1の態様のマイクロ波加熱装置においては、加熱室の天井壁面に設けた給電室と導波管とを接合する部分にマイクロ波を供給する結合孔を設けて、この結合孔からマイクロ波が下方に向かって所定角度θで放射されるように給電部の平板素子が設けられている。このため、給電部から放射されたマイクロ波の一部が被加熱物との境界面で反射しても、この反射波は鉛直方向に対する角度がθ分だけ給電部からずれた方向に反射する。したがって、反射波を給電部により受け取られることが低減されており、導波管を介してマイクロ波生成部に戻る反射波成分が抑制されている。この結果、第1の態様のマイクロ波加熱装置においては、自己発熱によるマイクロ波生成部における温度上昇を防止することができる。また、第1の態様のマイクロ波加熱装置は、導波管が給電室を介して加熱室に接合されており、導波管が加熱室から離間して配置される構造である。このため、加熱室内が高温になっていても加熱室の天井壁面からマイクロ波生成部が熱を受けにくい構成となり、加熱室から導波管を経てマイクロ波生成部に伝わる熱も大幅に低減されている。このため、第1の態様のマイクロ波加熱装置は、マイクロ波生成部の温度上昇が確実に防止できる構造を有する。第1の態様のマイクロ波加熱装置においては、マイクロ波生成部が加熱室の上方に設けられたコンパクトな構成であっても、マイクロ波生成部の温度上昇を抑制して、マイクロ波生成部の長寿命化を図ることができ、マイクロ波生成部の出力を低下させることなく高い出力を保持しつつ高い信頼性を有して、出力効率の向上を図ることができる。
上記のように構成された第1の態様のマイクロ波加熱装置において、給電部から放射されるマイクロ波は、平板素子の放射面に対して垂直方向へ強い放射指向性を有しており、折り曲げられて角度θに設定された放射面が全体の1/2以上を占めている。このため、第1の態様のマイクロ波加熱装置においては、給電部から放射されるマイクロ波の多くが鉛直方向に対して角度θだけ斜めに放射される。このように平板素子の放射面から斜めに放射されたマイクロ波は、被加熱部等において、その斜め分だけ給電部からずれた方向に反射する。したがって、第1の態様のマイクロ波加熱装置においては、反射波を給電部が受け取ることが低減されており、導波管を介してマイクロ波生成部に戻る反射波成分を抑制することができ、自己発熱によるマイクロ波生成部での温度上昇を防止することができる。この結果、第1の態様のマイクロ波加熱装置は、マイクロ波生成部の長寿命化を図ることができ、マイクロ波生成部のパワーダウン設定を不要とし、出力効率の向上を図ることができる。また、このように構成された第1の態様のマイクロ波加熱装置において、平板素子における傾斜した放射面の傾斜角度θradがLy/2/Hより大きい(ly/2/H<θ)ため、平板素子の放射面から垂直方向への強い放射指向性で放射されたマイクロ波が、加熱室の底面近傍で被加熱物や壁面で反射しても給電部に戻らない角度設定になっている。また、平板素子における傾斜した放射面の傾斜角度θradがLy/Hより小さい(θ<ly/H)ので、傾斜角度が大きすぎて垂直軸素子の直下の加熱室の底面中央付近にマイクロ波が放射されない領域が形成されることを防止しており、被加熱物の中央部分が十分に加熱されずにドーナツ状(リング状)に加熱されてしまうことを防止できる好適な放射角度に設定することができる。したがって、第1の態様のマイクロ波加熱装置は、加熱ムラのないマイクロ波加熱の実現と、マイクロ波生成部に戻る反射波成分を抑制して、マイクロ波生成部における自己発熱による温度上昇の防止とを両立することができる。
本発明に係る第2の態様のマイクロ波加熱装置は、特に第1の態様における加熱室内において、被加熱物を高周波加熱と同時に、輻射熱または対流熱の少なくとも一つで加熱を行う高温加熱部、を備え、
前記加熱室の上方に前記マイクロ波生成部および前記導波管が配置される構成において、
前記導波管が水平部と鉛直部とを有して直角に屈曲した伝送路を有し、前記鉛直部に対して前記マイクロ波生成部が水平接続され、前記水平部に対して前記加熱室の天井壁面に設けられた前記給電室が結合孔を介して接続されており、前記導波管および前記マイクロ波生成部はともに、前記加熱室から離間して配置されている。このように構成された第2の態様のマイクロ波加熱装置において、金属トレイ等の電波遮蔽作用を有する材料の上に被加熱物を載置して高周波加熱と他の加熱とを同時に併用しても、加熱室の天井壁面に設けた給電室から下方に向かってマイクロ波を供給できる構成を有する。このため、第2の態様のマイクロ波加熱装置は、マイクロ波が遮蔽されることなく、被加熱物を確実にマイクロ波加熱することができる。また、第2の態様のマイクロ波加熱装置においては、給電部の平板素子の放射面からマイクロ波が鉛直方向に対して斜めに放射されるので、マイクロ波生成部に戻る反射波成分が抑制されており、自己発熱による温度上昇を防止することができる。さらに、加熱室の天井壁面に給電室を設け、その給電室に対して直角に屈曲した導波管を接続し、導波管およびマイクロ波生成部がともに、加熱室の天井壁面から離間して配置されているので、第2の態様のマイクロ波加熱装置は、高温加熱中の加熱室の天井壁面からマイクロ波生成部が熱を受けにくい構成となり、加熱室から導波管を経てマイクロ波生成部に伝わる熱も減少する。このため、第2の態様のマイクロ波加熱装置は、マイクロ波生成部の温度上昇を確実に防止することができる。このように第2の態様のマイクロ波加熱装置においては、マイクロ波生成部が加熱室の上方に設けられたコンパクトな構成でも、加熱室からマイクロ波生成部への伝熱を減少させて、マイクロ波生成部の長寿命化を図ることができ、マイクロ波生成部のパワーダウン設定を不要として、出力効率の向上を図ることができる。さらに、第2の態様のマイクロ波加熱装置においては、導波管の鉛直伝送路に対してマイクロ波生成部、例えばマグネトロンを横向きに水平接続しているため、装置全体としての高さ方向のサイズをコンパクトにすることができる。
本発明に係る第3の態様のマイクロ波加熱装置において、特に第1又は第2の態様のいずれかにおける前記平板素子を、直径が略62mmの略円形の平板で構成してもよい。このように構成された第3の態様のマイクロ波加熱装置は、電子レンジ用等のマイクロ波加熱用の波長に適合した平板素子となり、平板素子がマイクロ波の波長で確実に共振することができる。第3の態様のマイクロ波加熱装置は、平板素子の放射面においては、その放射面に対して垂直な方向にビームの中心軸を有する単向性の放射パターンを発生するため、平板素子の放射面からのマイクロ波は鉛直方向に対して角度θだけ斜めに放射される。この結果、この斜め分の角度θだけ給電部からずれた方向に反射波が進行するため、第3の態様のマイクロ波加熱装置においては、反射波を給電部が受け取ることが抑制されており、マイクロ波生成部での自己発熱による温度上昇が防止されている。
本発明に係る第4の態様のマイクロ波加熱装置は、特に第3の態様における前記給電部が、前記平板素子の円板の中心から偏心した位置に前記垂直軸素子が接合されており、前記垂直軸素子が回転するよう構成してもよい。このように構成された第4の態様のマイクロ波加熱装置においては、平板素子の放射面から加熱室内に対してマイクロ波を均一に攪拌放射することができる。
本発明に係る第5の態様のマイクロ波加熱装置は、特に第3又は第4の態様における前記平板素子が、円板の中心線(円板の中心点を有する線)を含む直線上の折り曲げ線において一方の放射面を他方の放射面に対して所定角度θだけ折り曲げて構成してもよい。このように構成された第5の態様のマイクロ波加熱装置においては、平板素子の放射面から鉛直方向に対して角度θだけ斜めとなったマイクロ波を、加熱室内に対して多く放射することができる。
以下、本発明のマイクロ波加熱装置に係る好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態のマイクロ波加熱装置においては加熱調理器を用いて説明するが、加熱調理器は例示であり、本発明のマイクロ波加熱装置としては加熱調理器に限定されるものではなく、高周波加熱である誘電加熱を利用した加熱装置、乾燥装置、陶芸用加熱装置、生ゴミ処理機、或いは半導体製造装置等の加熱装置を含むものである。したがって、本発明は、以下の実施の形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成を含むものである。
(実施の形態1)
本発明に係る実施の形態1としては、マイクロ波加熱装置における加熱調理器について説明する。なお、以下の各実施の形態においては、加熱調理器の加熱手段として少なくとも1つのヒータを備える電子レンジを例として説明する。
図1は、本発明に係る実施の形態1のマイクロ波加熱装置としての加熱調理器における主要部の内部構成を示す正面断面図である。図1に示す加熱調理器において、加熱調理器の外観を構成する筐体10の内部には被加熱物である食品15を誘電加熱(高周波加熱)するための加熱室11が設けられている。即ち、加熱室11においては、被加熱物である食品15が収納されて、当該食品15に対してマイクロ波が放射されて、高周波加熱が行われる。表面がホーロー塗装された鋼鈑により形成された加熱室11の内部には、加熱室内を高温にするための高温加熱部としての輻射加熱部である2つの上ヒータ12、下ヒータ13が設けられている。一方の上ヒータ12は加熱室11の天井壁面側(上側)に配置されており、他方の下ヒータ13は加熱室11の底面壁側(下側)に配置されている。加熱室11の内部には、ステンレスの棒材を縦横に組み合わせて溶接して形成された焼き網14が脱着可能に設けられている。焼き網14は加熱室11における複数段の所望の位置に装着できる構成である。焼き網14の上に載せられた、被加熱物である食品15は、上ヒータ12と下ヒータ13とにより挟まれて上下方向から輻射加熱される。加熱室11を構成する壁面と壁面との間の接続部分の角は、曲面により構成されている。また、加熱室11の底面壁の全体は大きな曲率半径を有する曲面形状に形成されている。
なお、実施の形態1の加熱調理器においては、加熱室11の壁面がホーロー塗装を行った鋼鈑で形成した例で説明するが、他の耐熱性を有する塗装を行った鋼鈑で形成してもよい。また、壁面材質としてはステンレス、PCM鋼板(Pre−coated metal)でもよい。実施の形態1においては、焼き網14はステンレスの棒材を組み合わせて形成したが、めっき処理を施した鋼材等を用いて形成することもできる。
図1に示すように、加熱室11の天井壁面における中央付近には給電室24が設けられている。給電室24の内部には電波撹拌部としての回転アンテナの給電部22が配置されている。給電室24の壁面は、給電部22から放射されたマイクロ波を反射する材料で構成されており、給電室24の外側へマイクロ波が漏洩しないよう遮蔽構造を有している。回転アンテナの給電部22は導波管21に形成され結合孔である給電口25から導出するよう設けられている。導波管21は、マイクロ波生成部であるマグネトロン16からのマイクロ波を給電部22に伝送する。マグネトロン16は、加熱室11において被加熱物である食品15を高周波加熱するためのマイクロ波を生成している。給電部22に伝送されたマイクロ波は、加熱室11内に放射される。マグネトロン16は、加熱室11の上側に配置された導波管21おける右側端部(図1参照)に配置されており、導波管21に対してマグネトロン16の発振アンテナであるマグネトロン出力部44が横向き(水平方向)に挿入されている。
上記のように構成された実施の形態1の加熱調理器においては、1つの加熱手段としてマイクロ波による誘電加熱部を有し、他の加熱手段として上ヒータ12、下ヒータ13による輻射による高温加熱部としての輻射加熱部を有している。このように、実施の形態1の加熱調理器は、誘電加熱部と輻射加熱部とを併用することにより、加熱室11内の被加熱物である食品15に対する所望の加熱調理を行うことができる構成である。
なお、実施の形態1の加熱調理器においては、一つの加熱手段としてマイクロ波による誘電加熱部を有し、他の加熱手段として上ヒータ12、下ヒータ13による輻射加熱部を有する構成で説明するが、加熱調理器においては、輻射加熱部のような高温加熱部の代わりに、加熱室内に熱風を循環させて加熱調理を行う対流加熱部を設けてもよい。この対流加熱部としては、加熱室の背面側に循環ファンと循環ヒータとを設けて、加熱室内の空気を高温度に加熱して循環させる構成である。勿論、加熱調理器においては、誘電加熱部、輻射加熱部および対流加熱部の3つの加熱部を設けて加熱調理を行うよう構成してもよい。
実施の形態1の加熱調理器における輻射加熱部である上ヒータ12、下ヒータ13は、充填材とともに電熱線を金属パイプ内に封止して構成されている。加熱室11内には上ヒータ12の表面に接触する上ヒータ熱電対17が設けられている。上ヒータ熱電対17は、給電部22から放射されるマイクロ波の影響を受けないように、金属管で覆われており、上ヒータ12の温度検出手段として機能する。また、加熱室11内には下ヒータ13の表面に接触する下ヒータ熱電対18が設けられており、上ヒータ熱電対17と同様の構成を有している。下ヒータ熱電対18は下ヒータ13の温度検出手段として機能する。加熱室11の壁面には加熱室内の温度検出手段としてサーミスタ19が固定されている。上ヒータ熱電対17と下ヒータ熱電対18とサーミスタ19は、制御手段である制御部20に電気的に接続されている。制御部20は、上ヒータ熱電対17と下ヒータ熱電対18とサーミスタ19からのそれぞれの検出信号に基づき、上ヒータ12と下ヒータ13への通電量を制御している。このように、実施の形態1の加熱調理器においては、加熱室11に対する加熱量が設定された温度となるように精度高く加減制御されている。
加熱室11の内部において、被加熱物である食品15に対して上方からの輻射熱により加熱する輻射加熱部の上ヒータ12は、給電室24の直下以外の領域に配置されている。即ち、給電室24内の回転アンテナである給電部22から放射されたマイクロ波により、上ヒータ12が直接的に照射されることがなく、被加熱物である食品15が直接的に照射される。
加熱室11の上側に設けられた導波管21は、水平方向に延設された水平部42と、鉛直方向に延設された鉛直部43とで構成されている。即ち、導波管21は、水平部42により形成される水平伝送路(42)と、鉛直部43により形成される鉛直伝送路(43)とにより直角に折れ曲がったL字形状の内部通路(伝送路)を有している。マイクロ波生成部であるマグネトロン16は、導波管21の鉛直部43に対して発振アンテナであるマグネトロン出力部44が水平方向に導入するよう挿入されて接続されている。したがって、マグネトロン16が導波管21に対して横向きに接続(水平接続)されているため、鉛直方向の高さ寸法は、導波管21に対してマグネトロン16を縦方向に接続(鉛直接続:図10参照)した場合に比べて短くなっている。
上記のようにL字形状の内部通路(伝送路)を有する導波管21の水平部42(水平伝送路)に形成された給電口25には、回転アンテナである給電部22が設けられている。給電部22は、平板素子22aと垂直軸素子22bで構成されている。給電部22の垂直軸素子22bはモータ23に接続されている。モータ23の駆動により垂直軸素子22bが回動されて、平板素子22aが回転する構成である。給電部22は、導波管21の水平伝送路(42)に結合されており、導波管21を伝送したマイクロ波が給電部22の平板素子22aにより加熱室11内に攪拌放射される。
加熱室11の天井壁面の略中央には、回転する平板素子22aを収納するドーム形状の給電室24が設けられている。給電室24は、下端部分が円形に広がった形状を有しており、円錐台形形状である。給電室24は加熱室11の天井壁面を絞り加工により外側に突出させて円錐台形形状に形成されている。導波管21の水平部42の下面に形成された給電口25は、給電室24の上端部に形成された開口に接続されて結合孔として一体となって機能しており、導波管21と給電部22との結合部分は、給電口として所定の直径が確保されている。上記のように、給電室24は、加熱室11の天井壁面に設けられ、平板素子22aから横方向(略水平方向)に放射されたマイクロ波を反射するよう構成されている。平板素子22aは使用するマイクロ波の波長で共振し、平板素子22aの放射面に垂直な方向にビームの中心軸を有する単向性の放射パターンを発生するように設定されている。もし、平板素子22aから水平方向にわずかでもマイクロ波が放射されると、給電室24の壁面で反射するよう構成されている。また、給電室24は、平板素子22aからのマイクロ波が加熱室11内に放射されるように、給電室24の下端部分は開放されている。
図1に示すように、加熱室11の天井壁面において、給電室24の下端となる開口部分にカバー27が設けられている。カバー27は、マイカ製であり、給電部22の平板素子22a等に対して加熱室11内の食品から飛び散った汚れ等が付着しないように設けられている。カバー27は、加熱室11の天井壁面に設けられた絶縁体のフック26に脱着可能に装着されている。なお、カバー27は低損失誘電材料であるマイカを用いた例で説明したが、マイカに限定されるものではなく、セラミックやガラス等の材料を用いても同様の効果を奏する。
加熱室11内の上部に設けられた上ヒータ12は、給電部22からのマイクロ波により直接的に加熱されないように、給電室24の下端となる開口部分の直下は避けて配置されている。このように上ヒータ12が給電室24の開口部分を迂回するよう配置されているため、上ヒータ12の中央部分には空隙部28が形成されている。したがって、給電部22から食品15の方向に向かって直接に放射されたマイクロ波M(図1参照)は、上ヒータ12により妨げられることがない。このように、実施の形態1の加熱調理器においては、給電部22から放射されたマイクロ波Mが上ヒータ12を直接加熱することがなく、損失が防止されており、加熱効率の向上が図られている。
図2は、実施の形態1の加熱調理器における導波管21および給電室24を示す斜視図である。図2に示すように、導波管21は、水平伝送路を形成する水平部42と、鉛直伝送路を形成する鉛直部43とを有しており、伝送路である内部通路がL字形状に直角に折れ曲がった屈曲形状を有している。即ち、水平伝送路(42)の延設方向(水平方向)と、鉛直伝送路(43)の延設方向(鉛直方向)とは直交している。上記のように、導波管21は、直角に屈曲した水平伝送路(42)と鉛直伝送路(43)とを有し、鉛直伝送路(43)にマイクロ波生成部であるマグネトロン16が水平接続されており、マグネトロン16からのマイクロ波を水平伝送路(42)に伝送している。
実施の形態1においては、水平部42と鉛直部43との接続部位における屈曲位置C(図2参照)から、給電口25の中心までの水平伝送距離をLh(図2参照)とすると、実施の形態1においては、距離Lhが約135mmに設定されている。なお、水平伝送距離Lhとは、導波管21内の伝送路における屈曲位置Cから給電口25の中心までの水平伝送路の延設方向(図1における左右方向)に沿った水平距離のことである。
導波管21の伝送路である内部通路の幅aは約80mmであり、導波管21の水平部42の内部通路の高さbは約16mmである。なお、内部通路の幅aおよび水平部42における内部通路の高さbは、導波管21の内面側となる伝送路の寸法を示している。
前述のように、導波管21の鉛直部43に対してはマグネトロン16が横向きで水平接続で固定されている。即ち、マグネトロン16の発振アンテナであるマグネトロン出力部44が、導波管21の鉛直部43の側面壁(右側面壁)に形成された開口部29に横向きに挿入されて装着されている。導波管21において、屈曲位置Cからマグネトロン16のマグネトロン出力部44の中心までの鉛直伝送距離(鉛直方向の長さ)をLv(図2参照)とすると、実施の形態1における鉛直伝送距離Lvは、約15mmに設定されている。
実施の形態1の加熱調理器において、マグネトロン16は発振周波数が約2450MHzのものが使用されている。このため、内部通路の幅aが約80mmの導波管21内の管内波長をλgとすると、λgは約190mmになり、半波長(λg/2)の長さは約95mmとなる(λg/2=95mm)。したがって、実施の形態1の加熱調理器における導波管21の構成は、水平部42における実質的な伝送路の長さである水平伝送距離Lh(約135mm)が半波長(λg/2=95mm)よりも長く(Lh>λg/2)構成されている。また、鉛直部43における実質的な伝送路の長さである鉛直伝送距離Lv(約15mm)は1/4波長(λg/4=47.5mm)よりも短く(Lv<λg/4)構成されている。
図3は、実施の形態1の加熱調理器における給電部22と被加熱物15を示す要部断面図である。図3に示すように、導波管21から伝送されたマイクロ波をその回転によって攪拌放射する給電部22の平板素子22aは、金属製で構成され、厚さが1mmであり、直径が62mmの円板を、その円板の中心線(円板の中心点を有する線)を含む折り曲げ線に沿って角度10°だけ折り曲げた形状を有している。モータ23の回転を平板素子22aに伝動する垂直軸素子22bは、平板素子22aにおける円板中心から約12mm偏心した位置に接続されている。したがって、平板素子22aの一方の半円部分の放射面は垂直軸素子22bに接続されて水平方向に配置され、残りの半円部分の放射面は水平方向から折り曲げられて所定の角度θ(θ=10°)だけ下方に向くように配置されている。なお、実施の形態1における平板素子22aの折り曲げ線の位置を円板の中心線を含む直線上の折り曲げ線において折り曲げる構成で説明するが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、折り曲げ線が円板の中心線を含まなくてもよい。したがって、本発明のマイクロ波加熱装置においては、平板素子のマイクロ波の放射面における少なくとも一部の放射面が、水平方向に対して所定角度θを有して折り曲げられており、所定角度θを有して折り曲げられた放射面の面積が、平板素子における全体の放射面の1/2以上となるよう構成されていればよい。
上記のように、平板素子22aは、折り曲げ線により、水平方向に配置される水平面部Ahと、水平面に対して所定角度θだけ折り曲げ線から下方へ斜行する斜行面部Asとの2つの領域に分けられる。そして、斜行面部Asの放射面は、水平面部Ahの放射面と同じか、若しくは水平面部Ahの放射面より広くなるよう設定されている(As≧Ah)。実施の形態1の加熱調理器において、平板素子22aにおける斜行面部Asに含まれる、折り曲げ線に直交する線(Y)が、水平面部Ahに対して折り曲げ角度(θ=10°)だけ水平面(X)から下方を向いている。所定の角度である折り曲げ角度(θ=10°)を弧度法(ラジアン)で表すとθ≒0.175radとなる。このときのsinθ(≒0.174)は角度(θ=10°)が小さいので、θradとほぼ等しくなる。したがって、直径が62mmの円板である平板素子22aにおける折り曲げ線に直交するY方向の長さ(Ly)は、約62mmと考えてよい。
そして、加熱室11の内部において、食品15の表面から、垂直軸素子22bに接合された位置に対向する平板素子22aの水平面部Ahの放射面の位置までの高さをHとすると、実施の形態1の加熱調理器において、Hは約330mmとなっている。したがって、平板素子22aの斜行面部Asの斜行角度θradは、約0.175であるので、Ly/2/H≒0.094より大きく、Ly/H≒0.188より小さい角度に設定されている(Ly/2/H<θrad<Ly/H)。
垂直軸素子22bにおいて、モータ23側の部分はフッ素樹脂で構成されており、平板素子22a側の部分は金属で構成されている。垂直軸素子22bにおける金属部分は、導波管21の内部に入っている部分と、導波管21の給電口25を通って給電室24側に突出している部分がそれぞれある。また、垂直軸素子22bにおける金属部分と給電口25との隙間は、5mm以上の距離が確保されている。
次に、上記のように構成された実施の形態1の加熱調理器における動作と作用について説明する。
実施の形態1のような円形の平板素子の場合、基本モードの励振される共振周波数は、平板素子の直径をcとすると、c=0.58×(波長)、を用いて求められることが知られている。ただし、垂直軸素子22bを含めた共振周波数は、垂直軸素子22bの長さや直径、垂直軸素子22bが接合する平板素子22a上の位置などにより変化するため、正確な共振周波数は、これら寸法形状を含めて最終的に決まるものである。
したがって、上記のように構成された実施の形態1の加熱調理器においては、直径略62mmの円形の平板素子22aで共振し、この共振電流により平板素子22aの折れ曲がった水平面部Ahおよび斜行面部Asのそれぞれの放射面に垂直な方向にビームの中心軸を有する単向性の放射パターンが発生する。水平方向に対して所定角度θだけ下方へ傾斜した斜行面部Asの放射面から、強い放射指向性を有して放射されたマイクロ波は、鉛直方向に対して角度θだけ斜めに放射される。
一般に、食品15は水分含有率が高く、マイクロ波的には水とほぼ同等と考えてよい。水の比誘電率は約80であるため、食品15に垂直に入射したマイクロ波のうち食品内に透過し吸収される分は、空気との誘電率との違いから電力に換算して約36%となり、残りの約64%が空気と食品15との境界面において反射する。
上記のように、平板素子22aから鉛直方向に対して角度θだけ斜めに放射されたマイクロ波は、その一部が食品15との境界面において反射する。この反射波は鉛直方向に対する角度θ分だけ給電部22であるアンテナからずれた方向に反射する。傾斜角度θradは、Ly/2/Hより大きいため(Ly/2/H<θrad)、理想的にはマイクロ波が距離Hを進む間に、食品15上で平板素子22aの放射面から距離Ly/2だけずれた点で反射し、反射波が上方へ再び距離H進む間に距離Ly/2だけずれる。したがって、反射波が到達したその位置には平板素子22aが存在しないため、実施の形態1の加熱調理器においては、食品15からの反射波をアンテナで受けることが防止されている。
上記のように、実施の形態1の加熱調理器においては、加熱室11の天井壁面に導波管21を接続してマイクロ波を供給する結合孔である給電口25を設け、この結合孔部分からマイクロ波が下方に向かって所定角度θで放射されるように、平板素子22aが配置されている。このため、放射されたマイクロ波の一部が被加熱物である食品15との境界面において反射するが、この反射波は鉛直方向に対する角度θ分だけアンテナである給電部22からずれた方向に反射する。したがって、被加熱物からの反射波を、給電部であるアンテナにより受け取ることが大幅に低減されており、導波管21を介してマグネトロン16に戻る反射波成分が抑制されている。この結果、実施の形態1の加熱調理器においては、自己発熱によるマグネトロン16での温度上昇が防止され、マグネトロン16の長寿命化が図られ、マグネトロン16に対するパワーダウンの設定が不要となり、出力効率の向上を図ることができる構成となる。
実施の形態1の加熱調理器においては、アンテナから放射されるマイクロ波は平板素子22aの下向き面を放射面として、この下向き面に対して垂直な方向への強い放射指向性を有している。また、平板素子22aの円板における中心線で折り曲げられて、折り曲げ角度θに設定された斜行面部Asの放射面が、全体の放射面の1/2以上を占めている。このため、平板素子22aからの放射波の大半は鉛直方向に対して角度θだけ斜めに放射される。この平板素子22aにおける斜行面部Asを放射面として斜めに放射されたマイクロ波は、被加熱物等を斜めに照射して、その斜めの分だけ給電部22であるアンテナの位置からずれた方向に反射される。したがって、実施の形態1の加熱調理器においては、アンテナが反射波を受け取ることが大幅に少なくなり、マグネトロン16に戻る反射波成分を大幅に抑制することができる。このため、実施の形態1の加熱調理器は、自己発熱によるマグネトロン16における温度上昇が防止される構成となっている。
実施の形態1の加熱調理器においては、導波管21が直角に折れ曲がったL字形状を有しており、マグネトロン16が導波管21に対して横向きに接続されている。即ち、導波管21の鉛直壁面に対してマグネトロン16のマグネトロン出力部44の導出部分が直交するよう取り付けられている。このため、マグネトロン16が接合された導波管21の配置空間は、上下方向である鉛直方向の寸法(高さ)が小さくなる。例えば、前述の図10に示した従来の構成のようにマグネトロン103が鉛直方向に接合された導波管104の配置空間における高さに比べて、実施の形態1におけるマグネトロン16が接合された導波管21の配置空間における高さは小さくなっている。また、マグネトロン16が導波管21に対して横向きに接合されているため、マグネトロン16より上方の空間に余裕があり、他の構成物を配置することが可能となる。
したがって、実施の形態1の加熱調理器においては、マグネトロン16、導波管21、および給電室24等で構成されるマイクロ波給電構成をコンパクトに形成することが可能となる。また、キッチンにビルトインされる構成にする場合においては、操作盤を加熱室の上方に設けるとともに、電気回路、マイクロ波給電構成、冷却構成などの他の構成も加熱室の上方にまとめてコンパクトに実装する空間が得られやすくなる。
実施の形態1の加熱調理器においては、加熱室11の天井壁面から上方に突設された給電室24の突出端部の給電口25に導波管21の水平部42が接続され、導波管21の鉛直部43が屈曲位置Cから上方に延設されている。このため、導波管21は、加熱室11の天井壁面から遠ざかるように配置されている。そして実施の形態1の加熱調理器においては、加熱室11の天井壁面に給電室24を形成し、その給電室24の上方端部に導波管21が接続されている。このため、導波管21は給電室24を介して加熱室11と結合されている。したがって、導波管21と給電室24との接触部分は、導波管を加熱室の天井壁面に直接接触させた場合に比して、小さな面積とすることが可能となり、水平部42の半分以上を他の部材と接触しないように構成できる。また、導波管21は加熱室11から離間するように構成されて両者の間には空間が形成されている。このため、実施の形態1の加熱調理器の構成においては、高温加熱中の加熱室11の天井壁面から導波管21に対して直接的に熱伝導されることが防止されている。
また、実施の形態1の加熱調理器においては、加熱室11から給電室24、導波管21を介してマグネトロン16に伝導する熱量が大幅に減少するよう構成されている。さらに、マグネトロン16が加熱室11から離間するように配置されているため、実施の形態1の加熱調理器においては、加熱室11の天井壁面からマグネトロン16に直接的に熱伝導されることが防止されている。
上記のように構成された実施の形態1の加熱調理器においては、高温加熱中の加熱室11の天井壁面からマグネトロン16が熱を受け取りにくい構成となり、加熱室11から導波管21を経てマグネトロン16に伝わる熱が減少し、マグネトロン16の温度上昇が防止されている。その結果、マグネトロン16が加熱室11の上方に設けられたコンパクトな構成でも、加熱室11からマグネトロン16への伝熱を減少させて、マグネトロン16の長寿命化を図り、マグネトロン16に対するパワーダウン設定を不要とし、出力効率の向上を図ることができる。
さらに、実施の形態1の加熱調理器においては、導波管21の鉛直伝送路(43)に対してマイクロ波生成部であるマグネトロン16を横向きに水平接続しているため、装置全体としての高さ方向のサイズをコンパクトにすることができる。
実施の形態1の加熱調理器においては、導波管21の水平部42における水平伝送距離Lh(図2参照)を長く設定することにより、加熱室11から給電室24および導波管21を介してマグネトロン16に伝導する熱量をさらに抑制することができる。マグネトロン16は、一般的に、温度が低い方が効率が高いため、実施の形態1の加熱調理器においては、マグネトロン16の出力効率が向上する構成となる。
実施の形態1の加熱調理器においては、金属トレイ等の電波遮蔽作用を有する材料の上に食品15を載置して電波と他の加熱機能とを同時に併用しても、天井壁面部分の給電室24から下方に向かってマイクロ波を供給できるので、マイクロ波が遮蔽されずに食品15を確実にマイクロ波加熱できる。
また、平板素子22aの斜行面部Asの放射面からマイクロ波が鉛直方向に対して斜めに放射されるので、マイクロ波生成部であるマグネトロン16に戻る反射波成分が大幅に抑制されており、マグネトロン16における自己発熱による温度上昇を防止することができる。
さらに、導波管21およびマグネトロン16がともに、加熱室11の天井壁面から離間するように構成されているので、高温加熱中の加熱室11から導波管21を経てマグネトロン16に伝わる熱量が大幅に減少し、マグネトロン16の温度上昇がさらに防止される構成となる。
実施の形態1の加熱調理器においては、傾斜角度θradがLy/2/Hより大きいため(Ly/2/H<θrad)、平板素子22aの斜行面部Asの放射面から鉛直方向から斜めに強い放射指向性で放射されたマイクロ波が、加熱室11の底部近傍で食品15や壁面で反射しても、アンテナに戻らない角度設定となっている。また、斜行面部Asの放射面の傾斜角度θradは、Ly/Hより小さいため(θrad<Ly/H)、放射面の傾斜角度が大きすぎてアンテナの直下である鉛直方向の加熱室11の底面中央付近にマイクロ波が放射できなくなることが防止されている。実施の形態1の加熱調理器においては、食品15の中央部分が十分に加熱されずにドーナツ状(リング状)に加熱されてしまうことを確実に防止することができるように、平板素子22aの放射面が好適な放射角度に設定される。これによって、実施の形態1の加熱調理器においては、加熱ムラのないマイクロ波加熱の実現と、マグネトロン16に戻る反射波成分を大幅に抑制して、マグネトロン16における自己発熱による温度上昇の防止とを両立することができる。このため、実施の形態1の加熱調理器は、マグネトロン16の長寿命化を図り、マグネトロン16に対するパワーダウン設定を不要とし、出力効率の向上を図ることができる。
実施の形態1の加熱調理器においては、2450MHzの電子レンジ用マイクロ波の波長に適合した平板素子22aを実現しており、平板素子22aの直径が略62mmの略円形の平板である。このため、実施の形態1の加熱調理器は、2450MHzのマイクロ波の波長で共振することができ、平板素子22aの放射面に垂直な方向にビームの中心軸を有する単向性の放射パターンを発生する。また、実施の形態1の加熱調理器においては、平板素子22aの斜行面部ASの放射面からの放射波が鉛直方向に対して角度θだけ斜めに放射されている。このため、斜め分(θ)だけアンテナからずれた方向に反射して、反射波をアンテナで受け取ることが抑制されており、マグネトロン16での自己発熱による温度上昇が防止される構成である。したがって、マグネトロン16の長寿命化、マグネトロン16のパワーダウン設定の不要、そして出力効率の向上を図ることができる。
実施の形態1の加熱調理器においては、導波管21の両側の対向する壁面であるE面には多数の貫通孔36a,36bを有する通気領域21aが形成されている。図2においては、一方の壁面における複数の貫通孔36aで構成された通気領域21aのみを記載しているが、この一方の壁面に隠れてはいるが対向する他方の壁面にも同様に複数の貫通孔36bで構成された通気領域21aが形成されている。通気領域21aは、導波管21の外部へマイクロ波が漏洩しないように、直径約2〜5mmの小さい貫通孔36a,36bが多数個配列された壁面の領域である。このように、導波管21の壁面に複数の貫通孔36a,36bを有する通気領域21aを設けることにより、導波管21の壁面における伝熱抵抗が大きくなるとともに、通気領域21aにおける貫通孔36a,36bを通って空気の移動が可能になる。この結果、導波管21において空気移動が生じることにより、冷却作用が発生し、加熱室11から導波管21を介してマグネトロン16に伝わる熱が低減される。したがって、マグネトロン16が加熱室11の上方に設けられたコンパクト構成でも、高温加熱中の加熱室11からマグネトロン16への伝熱を減少させてマグネトロン16の温度上昇を防止し、マグネトロン16の長寿命化を図ることができる。また、マグネトロン16は、一般的に低い温度の方が効率が高いため、実施の形態1の加熱調理器は、マグネトロン16によるマイクロ波の加熱効率が向上する構成となる。
また、実施の形態1の構成においては、導波管21の水平部42の水平伝送距離Lhを半波長(λg/2)より長く設定されているため、マグネトロン16と給電部22との結合状態を安定させることができ、負荷変化等の運転状態が変動した場合であっても、高い効率を維持できる構成となる。
また、長い水平伝送路を有する導波管21により加熱室11からマグネトロン16への伝熱が抑制され、マグネトロン16が加熱室11の上方に設けられたコンパクト構成でも、マグネトロン16の温度上昇を防止することができる。
さらに、実施の形態1の加熱調理器においては、導波管21におけるマグネトロン出力部44の中心から屈曲位置Cまでの鉛直伝送距離Lvを1/4波長(λg/4)より短く設定することにより、伝送効率を向上させることができる。導波管21において、鉛直伝送距離Lvを発振周波数の1/4波長以下とすることにより、マグネトロン出力部44から屈曲位置Cを含む屈曲部分までの領域において電界が逆方向になることがなく、導波管21の伝送路内において複雑な反射の発生を防止することができる。この結果、実施の形態1の加熱調理器においては、高い発振効率となり、加熱効率の高い装置となる。
なお、実施の形態1の加熱調理器においては、一つの加熱手段としてマイクロ波による誘電加熱部を有し、他の加熱手段として上ヒータ12、下ヒータ13による輻射による高温加熱部を併用した構成で説明したが、本発明はこのような構成に限定されず、他の高温加熱部として加熱室内に熱風を循環させて加熱調理を行う対流加熱部を設けてもよい。
さらに、本発明のマイクロ波加熱装置は、マグネトロンを用いた誘電加熱部と共に、高温加熱部として輻射加熱部と対流加熱部の両方を設けた構成としてもよい。このように構成された本発明のマイクロ波加熱装置は、誘電加熱部の構成において、加熱室から給電室および導波管を介してマグネトロンに伝導する熱量が大幅に低減される。このため、本発明のマイクロ波加熱装置においては、他の加熱手段を用いたとしても、マグネトロンの温度上昇を防止して長寿命化を図ることができるものとなる。
また、実施の形態1の加熱調理器においては、平板素子22aが円形である場合を示したが、円は楕円の一種であり、平板素子が楕円形であっても、楕円の長軸に直交する方向に折り曲げ線を形成して、水平面部Ahと斜行面部Asを構成すればよい。このように構成された平板素子の斜行面における長軸方向の全体の長さ(Ly)がおよそ1/2波長であれば、平板素子の水平面における長軸方向の全体の長さが斜行面における長軸方向の長さ(Ly)と多少違っていても、実施の形態1の加熱調理器における平板素子22aと類似の共振モードで励振され、その共振周波数が若干変化するだけである。そのため、平板素子の水平面における長軸方向の全体の長さが1/4波長〜3/4波長程度の範囲であれば、十分に本発明の機能を発揮する特性を実現する平板素子を構成することができる。
なお、ここで説明した平板素子の形状としては円形と楕円形の場合のみであるが、平板素子が共振状態になるには矩形でもよく、さらには完全な矩形や楕円形である必要はない。例えば、大きく角をカット、または丸くした矩形、またその中間形状等の多様な形状が考えられることは言うまでもない。すなわち、基本的に平板素子は斜行面における最大幅が略1/2波長、水平面における最大幅が略1/4波長〜3/4波長の範囲内の平板であればよい。
(実施の形態2)
以下、本発明のマイクロ波加熱装置の一例として実施の形態2の加熱調理器について説明する。実施の形態2の加熱調理器において、前述の実施の形態1の加熱調理器と大きく異なる点は、加熱室にマイクロ波を給電するための構成である。
以下の実施の形態2の加熱調理器の説明においては、実施の形態1の加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は実施の形態1の説明を適用する。図4は実施の形態2の加熱調理器における主要部の内部構成を示す正面断面図である。図5は、図4に示した加熱調理器の側面断面図である。
図4および図5に示すように、実施の形態2の加熱調理器において、マグネトロン16からのマイクロ波を伝送する導波管21は、実施の形態1における導波管21と同様に、水平部42と鉛直部43とを有してL字形状に屈曲して構成されている。即ち、導波管21の内部通路は、直角に折れ曲がった水平伝送路と鉛直伝送路とにより構成されている。マグネトロン16はマグネトロン出力部44が導波管21に対して水平方向に挿入されるように横向きに接続(水平接続)されている。即ち、マグネトロン出力部44の導出部分が導波管21の鉛直部43の鉛直側面に対して直交するよう設けられている。したがって、マグネトロン16が導波管21に接続された状態において、上下方向である鉛直方向の高さ寸法は、実施の形態1の構成と同様に小さくなっている。
上記のように、L字形状の内部通路(伝送路)を有する導波管21の水平部42には、平板素子22aと垂直軸素子22bとを有するアンテナである給電部22が接続されている。加熱室11の天井壁面の略中央部分には、平板素子22aを収納する給電室49が形成されている。給電室49は、下端部分が円形に広がった形状であり、円錐台形形状を有している。給電室49は加熱室11の天井壁面を絞り加工により形成されている。なお、実施の形態2においては、給電室49の下端部分を覆うカバーが設けられていないため、カバーにおいて僅かに生じる誘電損失が無く、加熱効率がさらに向上する構成となる。
図6は、実施の形態2の加熱調理器における導波管21および給電室49を示す斜視図である。図6に示すように、実施の形態2の導波管21においては、実施の形態1における導波管21と同様に、水平部42の水平伝送距離Lhは約135mmであり、半波長(λg/2)より長く設定されている(Lh>λg/2)。また、導波管21の鉛直部43の鉛直伝送距離Lv(図2参照)は約15mmであり、1/4波長(λg/4)より短く設定されている(Lv<λg/4)。なお、実施の形態2においても、導波管21の伝送路である内部通路の幅aは実施の形態1と同じく80mmである。したがって、マグネトロン16の発振周波数は約2450MHzのものが使用されているため、内部通路の幅aが約80mmの導波管21内の管内波長λgは約190mmであり、半波長(λg/2)の長さは95mmである(λg/2=95mm)。
図4に示すように、給電室49の下端部分の裾の部分は加熱室11の内部に突出しており、加熱室の天井壁面から下方に突出する遮蔽壁となっている。一方、給電室49の上端部分は加熱室11の天井壁面より上方に突出している。導波管21の水平部42に形成されている給電口25は、給電室49の上端部に形成された開口に接続されて結合孔として一体となって機能している。このため、導波管21は給電室49を介して加熱室11と接続されている。したがって、導波管21と給電室49との接触部分は、導波管を加熱室の天井壁面に直接接触させた場合に比して、小さな面積とすることが可能となり、水平部42の半分以上を他の部材と接触しないように構成できる。また、導波管21は加熱室11から離間するように構成されて両者の間には空間が形成される。このため、高温加熱中の加熱室11の天井壁面から導波管21に対して直接的に熱伝導されることが防止されている。また、加熱室11の天井壁面における上側の面においては、給電室49の回りを取り囲むように、断熱材で形成された断熱部50が設けられている。このように断熱部50が設けられているため、加熱室11の天井壁面から上方への放出熱が抑制されている。断熱部50は、導波管21と加熱室11の天井壁面との間の空間に配設されており、加熱室11の天井壁面からの放出熱により導波管21が直接的に加熱されないよう構成されている。したがって、高温加熱中の加熱室11から導波管21を介してマグネトロン16に伝導する熱量は大幅に抑制されている。さらに、マグネトロン16も加熱室11から離間するように構成されているため、加熱室11の天井壁面から直接的に熱伝導されることが防止されている。
また、図4および図5に示すように、給電室49内には直径が62mmの円板をその中心線(円板の中心点を有する線)を含む折り曲げ線にて所定角度θ(例えば10°)で折り曲げた形状を有する平板素子22aが設けられている。平板素子22aは使用するマイクロ波の波長で共振し、平板素子22aの放射面に垂直な方向にビームの中心軸を有する単向性の放射パターンを発生するように設定されている。このため、加熱室11の天井壁面の結合孔部分に設けられている給電部22の平板素子22aの放射面からマイクロ波が下方に向かって放射され、マイクロ波の一部が鉛直方向に対して所定角度θを有して放射される。放射されたマイクロ波の一部は、被加熱物である食品15との境界面で反射するが、この反射波は鉛直方向に対する角度θ分だけアンテナである給電部22からずれた方向に反射する。したがって、反射波をアンテナで受け取ることが大幅に低減されており、アンテナを介してマグネトロン16に戻る反射波成分を抑制することができる。この結果、実施の形態2の加熱調理器においては、自己発熱によるマグネトロン16での温度上昇が、前述の加熱室11からの伝熱による温度上昇とともに防止される構成である。
したがって、実施の形態2の加熱調理器においては、マグネトロン16を加熱室11の上方に設けたコンパクト構成であっても、マグネトロン16の長寿命化、マグネトロン16のパワーダウン設定の不要、そして出力効率の向上を図ることができる。
また、導波管21の水平部42の水平伝送距離Lhを半波長(λg/2)より長く設定することにより、マグネトロン16と給電部22との結合状態が安定し、負荷変化等の運転状態が変動した場合であっても、高い加熱効率を維持できる構成となる。そして、長い水平伝送路を有する導波管21により加熱室11からマグネトロン16への伝熱が抑制され、マグネトロン16が加熱室11の上方に設けられたコンパクトな構成でも、マグネトロン16の温度上昇を防止できる構成となる。
さらに、実施の形態2の加熱調理器においては、導波管21におけるマグネトロン出力部44の中心から屈曲位置Cまでの鉛直伝送距離Lvを1/4波長(λg/4)より短く設定することにより、発振効率を向上させることができる。導波管21において、鉛直伝送距離Lvを発振周波数の1/4波長以下とすることにより、マグネトロン出力部44から屈曲位置Cを含む屈曲部分までの領域において電界が逆方向になることがなく、導波管21の伝送路内において複雑な反射の発生を防止することができる。この結果、実施の形態2の加熱調理器においては、発振効率が大幅に向上している。
上記のように、実施の形態2の加熱調理器においては、導波管21がL字形状の屈曲形状であり、給電室49が加熱室11の天井壁面から上方に突設されている。このため、導波管21の水平部42と加熱室11の天井壁面との間の空間に断熱部50を設けることが可能となっている。このように、加熱室11と導波管21とを給電室49を介して結合して、加熱室11と導波管21との間の空間内に熱伝導を防止する断熱部50を設けることにより、加熱効率の高い加熱調理器をコンパクトな構成で構築することが可能となる。
また、実施の形態2の加熱調理器においては、加熱室11の天井壁面に突設された給電室49の上端部分に上方に屈曲した導波管21を設けることにより、加熱室11の天井壁面に断熱部50を設けるためのスペースを確保することができ、断熱部50を厚く敷設することが可能となる。なお、実施の形態2の加熱調理器には、加熱室内の排気を行う換気ファン61および加熱室内の照明となるランプ62が設けられている。
上記のように構成された実施の形態2の加熱調理器においては、高温加熱部としてヒータ等の加熱部を使った調理工程において、断熱部50の断熱作用により加熱室11から上方へ放出される熱が遮断されている。このため、実施の形態2の加熱調理器は、加熱効率の大幅な向上を図ることができる構成である。
さらに、実施の形態2の加熱調理器は、ヒータによる輻射加熱および対流加熱と共に誘電加熱を連動させた調理の場合において、加熱室11からマグネトロン16へ伝導する熱量を大幅に抑制する構成を有している。このため、実施の形態2の加熱調理器は、コンパクトで加熱効率の高い調理器となる。
なお、実施の形態2の加熱調理器の構成においては、図4および図5に示すように、加熱室11の内部における上側に上ヒータ12が設けられており、加熱室11の底面壁の下側に下ヒータ13が設けられている。また、実施の形態2の加熱調理器においては、この下ヒータ13により加熱室11の底面壁が加熱される構成である。さらに、実施の形態2の加熱調理器は、加熱室11の背面側にオーブン調理のための熱風循環用の背面ヒータ30および循環ファン31を有している(図5参照)。このように実施の形態2の加熱調理器は、誘電加熱による加熱以外にも輻射熱および対流熱により直接食品を加熱できる構成である。したがって、実施の形態2の加熱調理器は、複数の調理メニューに対応することが可能な高機能を有する調理器となる。
加熱室11の上部に設けられた上ヒータ12の一端(端子側)は、加熱室11の背面において固定されており、上ヒータ12の前面側が上ヒータ支持具51により保持されている(図5参照)。上ヒータ支持具51は上ヒータ12の熱膨張に対応できるように自由度を有して上ヒータ12を保持する構成である。なお、上ヒータ支持具51の材料としては耐熱要求温度に応じて碍子等のセラミックで構成され、金属金具に比べてマイクロ波への影響が小さくなる材質が用いられている。
図4および図5に示すように、給電室49の下端部分は加熱室11の内部に天井壁面から突出しており、その給電室49の下端部分の回りには上ヒータ12が配置されている。即ち、上ヒータ12は、給電室49の下端部分の開口部分の直下を避けて設けられている。このように、上ヒータ12は、加熱室内に突設された給電室49の下端部分である遮蔽壁の外側に設けられているため、給電部22からのマイクロ波により直接加熱されることがなく、マイクロ波加熱の損失が防止されている。
図7は、加熱室11の天井壁面の下面側を示す配置図であり、天井壁面に設けられている給電部22、給電室49、上ヒータ支持具51、上ヒータ12等を示している。図7において、上方が装置の前面側である。図7に示すように、上ヒータ12は、給電室49の下端部分の開口部分を避けるように配置されており、複数の箇所で上ヒータ支持具51により遊動可能に保持されている。
実施の形態2の加熱調理器において、加熱室11の底面壁の下側に設けられた下ヒータ13は、加熱室11の底面壁を加熱する構成である。下ヒータ13により加熱室11の底面壁を加熱して、加熱室11の内部において輻射熱や対流熱を発生させている。
また、実施の形態2の加熱調理器の構成においては、加熱室11の背面側にオーブン調理のための熱風循環用の背面ヒータ30および循環ファン31が設けられており、対流加熱部が構成されている。この対流加熱部は、背面ヒータ30の発熱と、循環ファン31の回転により、加熱室11の内部の空気を加熱して、加熱室11の内部を熱風が循環するよう構成されている。実施の形態2の加熱調理器は、上記のように構成された対流加熱部により、加熱室11の内部を熱風が循環して被加熱物である食品15を加熱調理するよう構成されている。
さらに、実施の形態2の加熱調理器においては、図5に示すように、前面側には開閉用のドア32が設けられており、ドア32の開閉により被加熱物の加熱室11に対する出し入れを行うよう構成されている。ドア32の上部には加熱調理の各種条件の設定等を行うための操作部33が設けられている。
図5に示すように、実施の形態2の加熱調理器においては、ドア32と操作部33との間には隙間34が形成されている。隙間34は、加熱室11の上側空間における後方位置に設けられた冷却ファン35からの冷却風を排出するための冷却通路を構成する。冷却ファン35からの冷却風は、断熱部50の上面に接触しつつ流れるとともに、導波管21における対向する両側の壁面に形成された小さい貫通孔36a,36bを通り、隙間34から前方へ排気されている。ここで、小さい貫通孔36a,36bとは、マイクロ波が漏洩しない大きさ、例えば直径が2〜5mmの孔である。貫通孔36a,36b(図5参照)を有する通気領域21cは、導波管21の給電口25近傍に設けられているが、図6に示すように導波管21の鉛直部43のE面にも、多数の貫通孔36a,36bを有する別の通気領域21aが、実施の形態1の構成と同様に形成されている。したがって、冷却ファン35からの冷却風は、断熱部50を冷却するとともに、導波管21を貫通して流れて導波管21の冷却も行っている。
上記のように、実施の形態2の加熱調理器においては、冷却ファン35および冷却通路を設けることにより、例えばオーブン調理で加熱室内が高温になった場合でも、冷却ファン35を駆動して、加熱室11の天井壁面を外側から冷却することができる。このため、実施の形態2の加熱調理器は、加熱室11の天井壁面よりも上側に配置された制御部20等を構成する各種部品の温度上昇を防止することができる。また、実施の形態2の加熱調理器においては、加熱室11の天井壁面よりも上側に配設される部品実装を高密度に行っても温度上昇が生じにくい構成となる。このため、実施の形態2の加熱調理器は、装置全体としてコンパクトな構成とすることが可能となる。
また、実施の形態2の加熱調理器においては、導波管21の貫通孔36a,36bを連通する冷却通路に冷却ファン35によって冷却風を強制的に流すことができる。このため、実施の形態2の加熱調理器は、マグネトロン16や導波管21の冷却効果が向上しており、マグネトロン16が加熱室11の上方に設けられたコンパクト構成でも、マグネトロン16の温度上昇が防止されて、マグネトロン16の長寿命化、マグネトロン16に対するパワーダウン設定の不要、そして出力効率の向上を図ることができる。また、マグネトロンは一般的に温度が低いほうが効率が良いので、実施の形態2の加熱調理器の構成においては、マグネトロン16によるマイクロ波の加熱効率が向上している。
実施の形態2の加熱調理器においては、給電室49の下端部分が、加熱室11内に突出するよう構成されており、給電室49の下端部分の外周に上ヒータ12が配置されている。このように上ヒータ12が配置されているため、給電部22から放射されたマイクロ波が、食品15に対して直接的に放射され、上ヒータ12により遮られることがない。このように、実施の形態2の構成においては、上ヒータ12が給電部22からのマイクロ波を塞ぐことがないため、給電部22からのマイクロ波が上ヒータ12を加熱して損失することが防止されており、加熱効率の向上が図られている。
また、実施の形態2の加熱調理器においては、給電室49における加熱室11内への突出部分がマイクロ波の遮蔽壁として機能している。この遮蔽壁は、平板素子22aから放射されたマイクロ波を遮蔽する材料で構成されている。このため、回転アンテナである給電部22から略水平方向に放射されたマイクロ波は遮蔽壁により確実に遮られ、給電室49の周囲に設けられた上ヒータ12および上ヒータ支持具51が給電部22からのマイクロ波により直接的に加熱されることがない。即ち、この遮蔽壁により、アンテナ部からのマイクロ波が反射されて、給電室49の外周部分に配置された上ヒータ12の高温加熱部を直接加熱しないよう構成されている。この結果、実施の形態2の加熱調理器は、マイクロ波の損失が大幅に抑制されており、高い加熱効率で被加熱物である食品を加熱調理できる構成である。
(実施の形態3)
以下、本発明のマイクロ波加熱装置の一例として実施の形態3の加熱調理器について説明する。実施の形態3の加熱調理器において、前述の実施の形態1および実施の形態2の加熱調理器と大きく異なる点は、加熱室にマイクロ波を給電するための構成である。実施の形態3の加熱調理器において、その他の構成に関しては、実施の形態1又は実施の形態2の構成が適用される。
以下の実施の形態3の加熱調理器の説明においては、実施の形態1および実施の形態2の加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は実施の形態1および実施の形態2の説明を適用する。
図8および図9は、実施の形態3の加熱調理器における給電部と被加熱物を示す要部断面図である。
図8に示すように、導波管21から伝送されたマイクロ波を攪拌放射する給電部22の平板素子22aは、金属製で構成され、厚さ1mmであり、直径が62mmの円板形状を有している。モータ23の回転を平板素子22aに伝動する垂直軸素子22bは、平板素子22aにおける円板中心から約12mm偏心した位置に接続され、かつ平板素子22aは水平方向に対して所定の角度θ(θ=10°)だけ下方に向くように垂直軸素子22bに斜めに接続されている。このように、実施の形態3における図8に示す平板素子22aの放射面の全面が水平面に対して所定角度θ(θ=10°)だけ斜行して設けられている。図8に示す平板素子22aにおいて、所定角度θ=10°だけ水平方向から下方を向いた方向をY方向とし、水平面上におけるY方向に対応する方向をX方向とする。すなわち、X方向とY方向の間の角度θは、10°である。直径が62mmの円板である平板素子22aのY方向の全放射面の長さをLyとすると、Lyは62mmである。
図8に示す加熱室11の内部において、垂直軸素子22bが接続された位置と対向する平板素子22aの放射面の位置から食品15の表面までの高さをHとすると、実施の形態3の加熱調理器において、Hは約330mmになっている。したがって、平板素子22aの傾斜角度θradは、約0.175であるので、Ly/2/H≒0.094より大きく、Ly/H≒0.188より小さい角度に設定されている(Ly/2/H<θrad<Ly/H)。
垂直軸素子22bにおいて、モータ23側の部分はフッ素樹脂で構成されており、平板素子22a側の部分は金属で構成されている。垂直軸素子22bにおける金属部分は、導波管21の内部に入っている部分と、導波管21の給電口25を通って給電室24側に突出している部分がそれぞれある。また、垂直軸素子22bにおける金属部分と給電口25との隙間は、5mm以上の距離が確保されている。
上記のように構成された図8に示した加熱調理器においては、マイクロ波が下方に向かって所定角度θで放射されるように平板素子22aが配置されているため、放射されたマイクロ波の一部が被加熱物である食品15との境界面で反射するが、この反射波は鉛直方向に対する角度θ分だけアンテナである給電部22からずれた方向に反射する。したがって、被加熱物からの反射波を、給電部であるアンテナにおいて受け取ることが大幅に低減されており、導波管21を介してマグネトロン16に戻る反射波成分が抑制されている。この結果、図8に示した加熱調理器の構成においては、自己発熱によるマグネトロン16での温度上昇が防止され、マグネトロン16の長寿命化、マグネトロン16のパワーダウン設定の不要、そして出力効率の向上を図ることができる。
実施の形態3の加熱調理器における、さらに別の構成を図9に示す。図9に示す加熱調理器の構成においては、給電部22の平板素子22aにおける折り曲げ線が湾曲した曲面で構成されている。
図9に示す加熱調理器の構成において、導波管21から伝送されたマイクロ波を攪拌放射する給電部22の平板素子22aは、金属製で構成され、厚さが1mmであり、直径が62mmの円板である。この平板素子22aは、円板の中心線を対称にして、その中心線部分において曲面で曲げて湾曲させた形状を有している。すなわち、図9に示す平板素子22aは、円板の中心線部分において2つの領域に分けられており、それらの2つの領域を曲面で繋いだ構成である。
図9に示す加熱調理器の構成において、モータ23の回転を平板素子22aに伝動する垂直軸素子22bは、平板素子22aにおける円板中心から約12mm偏心した位置に接続されている。したがって、平板素子22aにおける一方の領域が垂直軸素子22bに接続されて水平方向となるよう配置されている。また、平板素子22aにおける他方の領域が、垂直軸素子22bに接続された一方の領域と曲面により繋がっており、その一方の曲面に対して所定の角度θ(θ=10°)だけ下方に向くように配置されている。図9に示した平板素子22aにおいて、曲面の稜線にあたる直径方向は、水平方向であり、この曲面の稜線の水平方向と直交して、水平方向から下を向いた方向をY方向とする。したがって、平板素子22aの略半分の領域は、水平方向に対して所定角度θ=10°だけ下方を向いたY方向となるよう配置されている。直径が62mmの円板である平板素子22aにおいて、Y方向における全放射面の長さをLyとすると、角度θが小さいため、Y方向の長さLyは約62mmと考えてもよい。
したがって、図9に示す形状においても、平板素子22aの傾斜角度θradは約0.175であるので、Ly/2/H≒0.094より大きく、Ly/H≒0.188より小さい角度に設定されている(Ly/2/H<θrad<Ly/H)。
図9に示す垂直軸素子22bにおいても、モータ23側の部分はフッ素樹脂で構成されており、平板素子22a側の部分は金属で構成されている。垂直軸素子22bにおける金属部分は、導波管21の内部に入っている部分と、導波管21の給電口25を通って給電室24側に突出している部分がそれぞれある。また、垂直軸素子22bにおける金属部分と給電口25との隙間は、5mm以上の距離が確保されている。
上記のように構成された図9に示した加熱調理器においては、マイクロ波が下方に向かって所定角度θで放射されるように平板素子22aが配置されているため、放射されたマイクロ波の一部が被加熱物である食品15との境界面で反射するが、この反射波は鉛直方向に対する角度θ分だけアンテナからずれた方向に反射する。したがって、被加熱物からの反射波を、給電部であるアンテナで受け取ることが大幅に低減されており、導波管21を介してマグネトロン16に戻る反射波成分が抑制されている。この結果、図9に示した加熱調理器の構成においては、自己発熱によるマグネトロン16での温度上昇が防止され、マグネトロン16の長寿命化、マグネトロン16のパワーダウン設定の不要、そして出力効率の向上を図ることができる。
以上のように、実施の形態3の加熱調理器においては、マイクロ波を下方に向かって所定角度θで放射する平板素子22aを給電部22に設けたので、反射波をアンテナで受けることにより、マグネトロン16に戻ってくる反射波成分を大幅に抑制することができる構成となっている。この結果、実施の形態3の加熱調理器は、自己発熱によるマグネトロン16での温度上昇が防止されて、前述の実施の形態1の構成とほぼ同等の特性と機能を発揮し、マグネトロン16の長寿命化を図ることができ、マグネトロン16に対するパワーダウン設定が不要となり、そして出力効率の大幅な向上を図ることができる。
以上のように、前述の各実施の形態において説明したように、本発明のマイクロ波加熱装置においては、加熱室の天井壁面の結合孔部分からマイクロ波が下方に向かって所定角度θで放射されるように平板素子を配置したので、放射されたマイクロ波の被加熱物との境界面での反射波が、鉛直方向に対する角度θ分だけアンテナからずれた方向に反射する。したがって、反射波を再度アンテナで受けることが低減されており、マイクロ波生成部に戻る反射波成分を大幅に抑制することができる。この結果、本発明のマイクロ波加熱装置は、自己発熱によるマイクロ波生成部での温度上昇を防止することができる。また、本発明のマイクロ波加熱装置は、マイクロ波生成部が加熱室の上方に設けられたコンパクト構成であっても、マイクロ波生成部の長寿命化を図ることができ、マイクロ波生成部のパワーダウン設定を不要として、そして大幅な出力効率の向上を図ることができる。