JP6080565B2 - 荷電粒子線装置 - Google Patents
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その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
<構成および動作>
図1は本発明に先立って検討した走査電子顕微鏡の概略を示す図である。走査型電子顕微鏡101は、電子銃1、集束レンズ7,8、対物レンズ9等を格納する真空容器102と、真空容器102の外にあるレンズ制御電源5、制御部31等の制御系とで構成される。電子銃1は、電子源2,引出電極3、及び加速電極4から構成される。電子源2と引出電極3との間には、高電圧を発生する可変直流電源5D1によって引出電圧V1が印加され、これによって、電子源2から電子ビーム36が引き出される。加速電極4はアース電位に維持され、加速電極4と電子源2との間には、高電圧(3KV〜5KV)を発生する可変直流電源5D0によって加速電圧V0が印加される。したがって電子ビーム36は、この加速電圧V0によって加速される。
ここで本発明に先立って検討した技術の課題について図を用いて説明する。走査信号発生部24および信号増幅部53は電子回路にて構成されている。電子回路は伝搬遅延時間を持っている。図6は伝搬遅延時間を考慮した画像取得時の動作を示す図である。走査信号発生部24が持つ伝搬遅延時間Td1だけ走査信号58a、58bがタイミング信号51よりも遅延し、輝度情報信号56dはそれからさらに信号増幅部53の伝搬遅延時間Td2だけ遅れAD変換器54に到達する。したがって、輝度情報信号56dはタイミング信号51から総伝搬遅延時間Td=Td1+Td2の時間遅延してAD変換器54に到達する。この場合Td<画素周期であることから、画像に位置ずれへの影響は少ない。
(a)電子ビームを所定の位置に偏向する。
(b)電子ビームの照射により生じた二次電子を検出器で検出する。
(c)検出器の出力を増幅、AD変換して画素ごとの輝度情報を得る。
(d)画素ごとの輝度情報を電子ビームの照射位置に応じて2次元的に並べる。
この動作の中で(a)から(c)において(a)では偏向回路の遅延時間、(b)では一次、二電子の飛行時間、(c)では二次信号の増幅回路の遅延時間といった遅延時間を有している。そのため、輝度情報は前記、遅延時間の分だけ電子ビームの照射よりも遅れた照射位置の輝度情報となる。この遅延時間が輝度情報の取得周期、よりも長くなると取得画像の位置ずれが生じる。この位置ずれ量ΔXは、遅延時間をTd、輝度情報取得周期をTsとすると、以下の式(1)のようになる。
ΔX=Td/Ts ……(1)
特に電子ビームを高速に走査する場合は輝度情報取得周期をTsが短くなるため位置ずれ量が大きくなる。また、位置ずれの方向は電子ビームの走査方向と同じ方向となる。
<構成および動作>
図14は実施の形態に係る走査電子顕微鏡の構成を示す図である。走査電子顕微鏡101Aは、図1の走査電子顕微鏡101と制御部が異なるのみである。すなわち、図1の制御部31が制御部31Aに置き換わっている。その他の構成及び動作は図1と同じであるので、重複する説明は省略する。
遅延回路の追加という簡単な方法で、走査位置と輝度情報56との対応を一致させることが可能となる。ここで、遅延回路52での遅延時間は走査信号発生部57から信号増幅部53の出力である輝度情報信号56dがAD変換器54に入力するまでの総遅延時間と等しい値とする。このようにすることで位置ずれをなくすことが可能となる。さらに往復走査においても位置ずれ、画像の異常ともに解消することが可能となる。
図16は実施の形態の変形例に係る走査電子顕微鏡の構成を詳細に示した図である。図10に示す実施の形態では、タイミング信号51を遅延させる遅延回路52の出力信号51dをAD変換器54に入力しているが、図16に示す変形例1ではタイミング信号51を遅延させる遅延回路52Bの出力信号51Bdを画像処理部37に入力している。変形例1では、輝度情報55を記憶部27に取り込むタイミングを遅延させている。輝度情報55はタイミング信号51から総伝搬遅延時間Td´=Td1+Td2+Td3の時間遅延して記憶部27に到達する。ここで、遅延時間Td3はAD変換器54の遅延時間である。したがって、記憶部27に取り込むタイミングであるタイミング信号51Bdを遅延回路52Bによってタイミング信号51に対してTd´遅延させる。遅延回路52Bも遅延回路52と同様に遅延量はソウフトウェアで変更できるようになっている。なお、遅延回路52Bは制御部31B内にあるが、画像処理部37内にあってもよい。
実施の形態別の変形例としてタイミング信号51に対する輝度情報信号56または輝度情報55の遅延時間分だけ余分に走査を行い、記憶部7に輝度情報55を格納し画像処理にて画像をずらすという方法もある。この方法(変形例2)では余分に走査を行う必要があるため、画像の取得時間が増える。また、より高速な走査を行った場合は位置ずれ量が大きくなり、画像を取得しない部分への荷電ビーム照射範囲が大きくなる。そのため、試料帯電による画像劣化等の原因となる可能性があり、最良の手段とは言えない。しかしながら、変形例2では、実施の形態および変形例1のような遅延回路を設けることなく、高速な走査を行ったとしても画素の位置ずれが生じない。
実施の形態、変形例1および変形例2を実現するにあたって、遅延回路52,52Bの最適な遅延時間Tdを正確に求める必要がある。最適な遅延時間Tdを求める方法はいくつか考えられるが、その一つは電気的な遅延時間をオシロスコープなどの測定器にて計測する方法である。この方法では電子回路の伝搬遅延時間を測定することが可能であるが電子回路以外の遅延時間を計測することが困難である。しかしながら、電子回路以外の遅延時間は電子回路部分の遅延時間に比べて小さいので測定器によって遅延時間Tdを求めることも可能である。さらに精度の良い方法として、実際に画像を取得し、画像から最適遅延時間Tdを求める方法を以下に説明する。
図11は実施の形態に係るエッジ位置から最適遅延時間を求める方法を示す図である。まず、図11(a)に示すように縦方向(Y方向)のラインパターン(黒色の下に長い長方形形状のパターン)を横方向(X方向)に往復走査して画像を取得する。このときの遅延回路52の遅延時間をTdsとする。次にX方向の1ラインごとにパターンのエッジ位置を算出する。ここで遅延時間Tdsが最適でない場合、図11(b)のようにエッジ位置がラインごとに異なった画像となる。図11(c)はラインごとのパターンのエッジ位置をプロットしたものである。ここでエッジ位置の誤差量ΔPは往復走査を行っているため往走査、復走査において逆方向の位置ずれが生じている。したがって、画素周期をTpとするとエッジ位置の誤差量ΔPからと遅延時間誤差ΔTdには以下の式(2)の関係が成り立つ。
ΔTd = Tp × ΔP / 2 ……(2)
以上のような方法で遅延時間誤差ΔTdを測定することが可能である。
最適な遅延時間Tdは画像取得時に使用した遅延時間Tdsに遅延時間誤差ΔTdを加算することで求めることができる。
また、第2の方法として走査電子顕微鏡の性能評価方法の一つである分解能評価にて行う方法がある。本説明では簡略化のため評価画像をラインパターンとして説明する。ここで分解能評価は、輝度プロファイルを取得し、その傾きから算出する方法とする。図12は実施の形態に係る輝度プロファイルから最適遅延時間を求める方法を示す図である。図12(a)に示すようなラインパターンの同一部分を往復走査し、ライン方向の輝度プロファイルを往走査、復走査にてそれそれで取得する。
ここで実際の走査電子顕微鏡を用いて試料を観察する条件に、画像拡大率である倍率、画像の回転量がある。画像の倍率は走査信号の振幅と反比例の関係にあることから走査信号の振幅で画像の倍率を制御している。また、画像の回転はX方向,Y方向それぞれの走査信号を合成することで走査方向を変える制御している。このような走査波形の変更に伴って、遅延時間Tdが変化することが予測される。その場合は、倍率、回転によって、遅延時間Tdを可変とすることが必要となる。荷電粒子の照射条件、特に荷電粒子源での加速電圧、および試料への照射エネルギーによって荷電ビームの飛行時間が異なる。これも輝度信号の遅延時間含まれることから、加速電圧、照射エネルギーによって遅延時間Tdの最適値が異なる。したがって、加速電圧、照射エネルギーも考慮して遅延時間の最適値を求める必要がある。
2 電子源
3 引出電極
4 加速電極
5 レンズ制御電源
6 電界制御部
7,8 集束レンズ
9 対物レンズ
10 クロスオーバ
11 位置モニター用測定装置
12 試料ステージ
13 試料
14 可変減速電源
15 絞り
16a,16b 偏向器
17,18 電極
19 電圧制御部
20 直交電磁界偏向器
21 検出器
22,31,41 制御部
23 ステージ駆動装置
24 走査信号発生器
27 記憶部
32 像表示装置
33,34 情報信号
36 電子ビーム
37 画像処理部
40 非点収差補正器
43 光軸
50 直交電磁界制御部
51 タイミング信号
52 遅延回路
53 信号増幅部
54 AD変換器
55 輝度情報
56 輝度情報信号
57 タイミング制御部
Claims (9)
- 荷電粒子源から放出されるビームを試料上で走査する偏向器と、
前記偏向器に与える走査信号を発生する走査信号発生器と、
前記荷電粒子源から放出されるビームの照射に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、
前記検出器からの輝度情報信号を増幅する信号増幅部と、
前記信号増幅部で増幅された輝度情報信号をディジタル変換するAD変換器と、
前記偏向器の動作タイミングを発生するタイミング制御部と、
前記動作タイミングを遅延させる遅延部と、
を備え、
前記タイミング制御部で発生させた動作タイミングで前記偏向器を走査させ、
前記遅延部にて遅延させた動作タイミングで前記AD変換器を動作させ、
前記遅延部は、前記動作タイミングを、前記走査信号発生器の遅延時間、前記走査信号の伝搬時間、前記ビームを照射して得られる荷電粒子が前記検出器で検出するまでの電子の飛行時間、前記輝度情報信号の伝搬時間および前記信号増幅部の遅延時間を含む前記タイミング制御部からそれに対応する前記輝度情報信号が前記AD変換器に到着するまでの時間遅延させる荷電粒子線装置。 - 請求項1の荷電粒子線装置において、
前記遅延部の遅延時間を可変にすることができる。 - 請求項2の荷電粒子線装置において、
前記遅延部の遅延時間を、前記走査信号発生器を駆動することで所定の位置にビームを偏向し、ビーム照射に基づいて得られる荷電粒子情報が前記AD変換器に到達する時間と一致させる。 - 請求項2の荷電粒子線装置において、
前記遅延部の遅延時間を画像の取得倍率によって切り替える。 - 請求項2の荷電粒子線装置において、
前記遅延部の遅延時間を画像取得時の走査信号の方向によって切り替える。 - 請求項2の荷電粒子線装置において、
前記遅延部の遅延時間を画像の取得時の荷電粒子の加速電圧によって切り替える。 - 請求項2の荷電粒子線装置において、
前記遅延部の遅延時間を画像の取得時の試料への照射エネルギーによって切り替える。 - 請求項2の荷電粒子線装置において、
前記遅延部の遅延時間を、複数の方向に走査して画像を取得し、該取得した画像から取得パターンのエッジ位置情報を走査ごとに算出し、該エッジ位置情報の不連続性から算出する。 - 請求項2の荷電粒子線装置において、
前記遅延部の遅延時間を複数方向走査にて取得した画像から分解能を算出し、該分解能が最小となる遅延時間とする。
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