以下、実施形態に係るワイヤーハーネス配索構造部30について説明する(図1〜図3参照)。このワイヤーハーネス配索構造部30は、車両の車体10とドア20との間で配索する構成である。
<ワイヤーハーネス>
配索対象であるワイヤーハーネス32は、車体10からドア20に搭載される電気機器に対して電源供給又は信号伝達するための複数の電線が結束されて(一本の電線により構成されていてもよい)配索形態に形成されたものである。ドア20に搭載される電気機器としては、スピーカー、サイドミラーモータ、ドアロックモータ、パワーウインドウモータ及び各種スイッチ等がある。ここで、ワイヤーハーネス32のうち車体10からドア20に架け渡される部分は、複数の電線が1本に結束されて構成されている。そして、ワイヤーハーネス32は、ドア20内で分岐されて各種電気機器に接続される。
<車体及びドア>
車体10は、金属材料等により形成されるフレーム及びパネル等が溶接等されて構成された部分である。車体10の側部には、車両に乗り降りするための乗降口が形成されている。
ドア20は、車体10に対して、乗降口を開閉可能にヒンジ部15等により連結されている(図4、図5参照)。より具体的には、ドア20は、閉状態における車両前方側の端部が、フロントピラー(車体10の乗降口における車両前方側に位置する部位)に対して、略鉛直方向に沿ったヒンジ部15の連結軸周りに開閉動作可能に連結されている。また、ドア20は、ドアインナーパネル22、ドアアウターパネル24及びドアトリム26を有している。ドアインナーパネル22は、ドアアウターパネル24とドアトリム26との間に設けられる部分である。ドアアウターパネル24は、ドア20の外装部材であり、ドアインナーパネル22の車外側に取り付けられている。ドアトリム26は、ドア20の内装部材であり、ドアインナーパネル22の車内側に取り付けられている。ドアインナーパネル22及びドアアウターパネル24は、金属板を打抜き、プレス成形等して形成されている。また、ドアトリム26は、合成樹脂材料等を射出成型等して形成されている。
以下、ドア20について、車体10に対して連結される端部側を前方、その反対側を後方として説明することがある。また、ドア20及びワイヤーハーネス配索構造部30のうちドア20に配索される部分について、ドア20の前方から後方を見たのが正面、ドア20の車内側から車外側を見たのが側面であるものとして説明する。
ここで、ワイヤーハーネス32は、車体10のフロントピラーを貫通して配索されると共に、ドア20のドアインナーパネル22とドアトリム26との間に配索される。このため、車体10のフロントピラーには、ワイヤーハーネス32を貫通配索するための車体配索用孔部11が形成されている。ここでは、車体配索用孔部11は、略楕円形、より具体的には一対の直線部分の各端部を一対の弧状部分が結んだ形状に形成されているものとする。また、ドア20における前方側端部には、ドアインナーパネル22とドアトリム26との間にワイヤーハーネス32を配索するための導入開口部21が形成されている。この導入開口部21は、ドアインナーパネル22及びドアトリム26の一方又は両方(図9ではドアトリム26)が前方側端部で切り欠かれることによって形成される。ここでは、導入開口部21は、後述するプロテクタ60の挿入口部62を内側に配設可能な大きさ及び形状(ここでは、各角部が丸められた矩形状)に形成されている。
そして、上記車体10の車体配索用孔部11とドア20の導入開口部21とは、ドア20の閉状態において、車両の前後方向において対向する部位に設けられている(図2、図4参照)。また、ここでは、車体配索用孔部11および導入開口部21は、車両の上下方向において、ドア20に配設されるスピーカー90の下方の位置に形成され、ワイヤーハーネス32をスピーカー90の下方を通して配索できるように設定されている(図1参照)。
また、ドア20には、周縁部に沿って防水用のウェザーストリップ28が設けられている(図1参照)。このウェザーストリップ28は、ドア20を閉めた状態で、車体10の乗降口の内周部に密着して、車内外において水密状態を維持可能なゴム等の弾性部材で形成されている(図4参照)。そして、本ワイヤーハーネス配索構造部30では、ワイヤーハーネス32が、ウェザーストリップ28より車内側に配索される。
<ワイヤーハーネス配索構造部の全体構成>
ワイヤーハーネス配索構造部30は、上記ワイヤーハーネス32、車体密着部41及び保護部51を含む配線部31と、収容部としてのプロテクタ60と、遮蔽部70と、被ガイド部80とを備えている。概略的には、ワイヤーハーネス配索構造部30は、車体10側からドア20側に配索されたワイヤーハーネス32の外周部を覆う形態で配設されるグロメット40が、車体10に密着する形態で取り付けられ、そのドア側部分がドア20内に配設されたプロテクタ60内に挿入され、グロメット40のドア20側の端部から延出するワイヤーハーネス32をプロテクタ60内で余長吸収するように構成されている。
<配線部>
配線部31は、ワイヤーハーネス32と、車体密着部41と、保護部51とを含む部分である。概略的には、配線部31は、車体密着部41と保護部51とが一体に形成された筒状体が、車体10に固定され、ワイヤーハーネス32のうちの車体10とドア20との間に架け渡される部分を含む範囲の外周部を覆う形態で配設されている。
なお、車体密着部41及び保護部51は、後述する遮蔽部70と共にゴム材料により一体に形成されてグロメット40を構成する(図6、図7参照)。すなわち、このグロメット40は、比較的剛性の高い合成樹脂材料ではなく、車体10の金属パネル(フロントピラー等)に対して形状に沿って密着可能な弾性、柔軟性を有する部材である。例えば、グロメット40は、エラストマー、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等を射出成型して形成されているとよい。また、このグロメット40は、周方向に連続して切開部分がない形状に形成されている。
ここでは、グロメット40は、中心軸方向に直交する断面視において略楕円形状に形成されている(図8、図9参照)。そして、グロメット40は、断面視楕円形の長軸方向が鉛直方向に略沿う姿勢で車体10に取り付け可能に構成されている。すなわち、グロメット40は、ドア20の開閉動作に伴って、主として断面視楕円形の短軸方向に曲げられる。
<車体密着部>
車体密着部41は、グロメット40のうちの車体側の端部に(保護部51の車体10側に連続して)設けられて、車体10に形成された車体配索用孔部11の開口縁部に対してドア20側から密着可能に形成された部分である。この車体密着部41は、全体として環状に形成されている。ここでは、車体密着部41は、車体10に対して固定可能に構成されている。より具体的には、車体密着部41は、本体部42と、第1係止部44と、第2係止部46と、ハーネス固定部48とを備えている。
本体部42は、車体配索用孔部11に挿通されるワイヤーハーネス32を、車体配索用孔部11の開口縁部から保護する部分である。すなわち、本体部42は、車体配索用孔部11に挿通され、車体配索用孔部11の開口縁部とワイヤーハーネス32との間に介在する筒状(ここでは断面視楕円形の筒状)に形成されている。この本体部42は、車体配索用孔部11に挿通可能な外部形状に形成されていると共に、ワイヤーハーネス32を挿通可能な内部形状に形成されている。
ここでは、本体部42は、車体側部分とドア側部分とを有している。車体側部分は、車体配索用孔部11の内側に配設される部分であって、車体配索用孔部11の開口縁部と同じかそれより僅かに小さい(ここでは僅かに小さい)外部形状に形成されている。ドア側部分は、そのドア20側の端部に保護部51が連続して設けられる部分であり、車体側部分からドア20側に向けて徐々に縮径するラッパ形状に形成されている。また、ドア側部分は、車体側部分に近付くにつれて徐々に肉厚になる形状に形成されている。この形状により、ドア20の開閉動作に伴う保護部51の湾曲変形時に負荷がかかりやすい本体部42のドア側部分の座屈変形を抑制できる。以下、本体部42について、中心軸方向において車体側部分側の端部を先端部、ドア側部分側の端部を基端部と呼ぶことがある。
第1係止部44は、車体配索用孔部11の開口縁部に対して車体10のフロントピラーの内側(ここでは前方側)から係止する部分である。この第1係止部44は、本体部42の車体側部分のうちの端部寄りの外周部から外周側に張り出す形状に形成されている。より具体的には、第1係止部44は、環状(楕円環状)に張り出す鍔状に形成されている。すなわち、第1係止部44は、ドア20側を向く(ここでは本体部42の中心軸方向に直交する)環状の係止面を有している。また、第1係止部44は、本体部42の先端側から基端側に向けて徐々に外周側への張り出し寸法が大きくなる形状に形成されている。第1係止部44の先端部は、車体配索用孔部11の開口縁部と同じかそれより僅かに小さい(ここでは僅かに小さい)外部形状に形成されている。すなわち、第1係止部44を先端側から車体配索用孔部11に挿入し易い形状に形成されている。
第2係止部46は、車体配索用孔部11の開口縁部に対してドア20側(車体10のフロントピラーの外側で、ここでは後方側)から係止する部分である。この第2係止部46は、本体部42の車体側部分のうちのドア側部分寄りの外周部から外周側に張り出す形状に形成されている。より具体的には、第2係止部46は、環状(楕円環状)に張り出す鍔状に形成されている。すなわち、第2係止部46は、車体10側を向く(ここでは本体部42の中心軸方向に直交する)環状の係止面を有している。
また、第2係止部46は、第1係止部44に対してドア20側に、車体配索用孔部11の開口縁部を配設可能な隙間をあけて設けられている。すなわち、車体密着部41の外周部には、本体部42の外周部を底部として第1係止部44及び第2係止部46により形成された周方向に沿う溝状部分が形成されている。第1係止部44と第2係止部46との隙間は、車体配索用孔部11の開口縁部(金属パネル)の厚さ寸法と同じかそれより僅かに小さい寸法に設定されている。すなわち、車体密着部41は、車体配索用孔部11の貫通方向において、車体配索用孔部11の開口縁部に対して、両側から第1係止部44及び第2係止部46が密着するように構成されている(図2参照)。そして、これにより、車体密着部41は、車体10に対して固定される。
ハーネス固定部48は、グロメット40に挿通されるワイヤーハーネス32が固定される部分である。このハーネス固定部48は、本体部42の先端部又は第1係止部44の先端部から先端側に延出する一対の細長板状の延出片により構成されている。ここでは、ハーネス固定部48は、本体部42の先端部又は第1係止部44の先端部のうちの楕円形状の直線部分から一対の延出片が延出して構成されている。一対の延出片は、車体密着部41の周方向に沿って扁平な細長板状に形成されている。そして、このハーネス固定部48に対して、グロメット40に挿通されるワイヤーハーネス32が一緒にテープ95巻き等されることにより、ワイヤーハーネス32に対して固定される。
<保護部>
保護部51は、ワイヤーハーネス32の外周部を覆って、ワイヤーハーネス32を保護する部分である。この保護部51は、車体密着部41のドア20側に連続して延在する長尺筒状に形成された部分である。より具体的には、保護部51は、中心軸に直交する断面視において略楕円形状に形成されている。すなわち、保護部51は、断面視における長軸方向に曲がり難く、端軸方向に曲がりやすくなっている。また、保護部51が断面視楕円形状に形成されているため、ワイヤーハーネス配索構造部30のドア20における車内外方向の占有スペースをなるべく小さくすることができる。なお、保護部51内に挿通されるワイヤーハーネス32も、断面視楕円形状に束ねられていてもよい。また、保護部51の内周部は、中心軸方向全体に亘って平坦な筒状に形成されている。この保護部51は、溝部54と、リブ56と、クランプ取付部58とを有している。
溝部54は、保護部51の外周部に周方向に沿って形成され、中心軸方向において間隔をあけて複数設けられている。ここでは、複数の溝部54は、保護部51のうちのクランプ取付部58を除く範囲に、中心軸方向において等間隔に設けられている。この溝部54は、保護部51をドア20の開閉動作に伴ってより湾曲変形しやすくする構成である。すなわち、保護部51は、溝部54の部分で肉薄になって曲がり易くなっている。
リブ56は、保護部51の中心軸方向に間隔をあけて形成された複数の溝部54を、中心軸方向に沿って横切る凸条に形成された部分である。このリブ56は、保護部51の座屈変形を抑制するための構成である。より具体的には、リブ56は、溝部54の底部から保護部51の外周側に向けて突出している。ここでは、リブ56の高さ寸法は、溝部54の深さ寸法と同じに設定されている。すなわち、リブ56の先端部は、保護部51の外周部と面一に設定されている。また、リブ56によって周方向において遮断された溝部54は、その遮断端部が弧状に形成されている。
ここでは、保護部51は、両側部、すなわちドア20の開閉動作に伴う曲げ形態における内周側の側部並びに外周側の側部、上端部及び下端部の周方向4箇所に設けられている。より具体的には、両側部に設けられたリブ56は、保護部51の中心軸に直交する断面視において、一対の直線部の各中間部に設けられている。ここで、リブ56のうち、車室外側に位置する保持部51の内周側の側部に設けられたリブ56は、車室内側に位置する外周側の側部に設けられたリブ56より幅広に形成されていてもよい。すなわち、ドア20の開閉動作に伴う保護部51の曲げ形態における内周側の部分の方が外周側の部分に比べて曲げ径が小さくなって大きい負荷が加わるため、より剛性を高く設定することができる。
もっとも、上記溝部54及びリブ56の形状及び数は、曲げ易さ、剛性等を考慮して適宜決定されるとよい。
クランプ取付部58は、後述する被ガイド部80が取り付けられる部分である(図6、図7参照)。このクランプ取付部58は、保護部51のドア20側の端部に設けられている。ここでは、クランプ取付部58は、全体として直方体形状に形成されている。また、クランプ取付部58は、外周部に周方向に沿って形成された嵌合溝部を有している。また、クランプ取付部58のドア20側端部には、嵌合溝部の隣に該嵌合溝部より大きい外部形状の断面視略楕円形の部分が形成されており、クランプ取付部58に取り付けられる被ガイド部80の脱落をより確実に抑制するように形成されている。
<プロテクタ>
プロテクタ60は、ドア20の開閉動作に伴ってドア20内に進退されるワイヤーハーネス32を余長吸収可能に収容すると共に外部から保護する部分である(図2、図3参照)。このプロテクタ60は、ドアトリム26とドアトリム26より車外側のドアインナーパネル22との間でドア20内に配設されている。プロテクタ60は、挿入口部62と、余長吸収部64と、ガイド部66とを備えている。以下、プロテクタ60について、ドア20に配置された状態における前後方向、上下方向を用いて説明することがある。
挿入口部62は、配線部31の保護部51のドア20側の端部を含む部分が挿入される部分である。この挿入口部62は、筒状に形成されている。ここでは、挿入口部62は、中心軸に直交する断面視において略長方形状(ここでは、各角部が丸く形成された形状(図8参照))に形成されている。また、挿入口部62は、平面視において、開口端部に近付くにつれて車内外に対向する各側壁部が徐々に拡がるラッパ形状に形成されている。このような挿入口部62の形状によると、プロテクタ60内への保護部51の進退動作がよりスムーズになる。
プロテクタ60は、挿入口部62の中心軸をドア20の前後方向に沿わせる姿勢で(もっとも傾いた姿勢でも構わない)、該挿入口部62をドア20の前方に向けてドア20内に配設されている。図1では、プロテクタ60が、スピーカー90の下方の位置に配設される例を示している。また、プロテクタ60は、挿入口部62がドア20の導入開口部21の内側(或いはその後方)に位置するように配設される。
余長吸収部64は、保護部51のドア20側の端部から延出するワイヤーハーネス32を迂回可能な余裕空間を有して収容する部分である。この余長吸収部64は、挿入口部62の後方に連続して形成されている。余長吸収部64は、その内側に、挿入口部62の内部空間と連通する余裕空間を含む収容空間を有している。また、余長吸収部64は、挿入口部62に対して収容空間を挟んで、ドア20内にワイヤーハーネス32を引き出し可能な引出口部68を有している。
余長吸収部64は、収容空間内において、配線部31のワイヤーハーネス32を、第1経路R1と、第1経路R1に対して迂回した第2経路R2との間で曲げて収容する。余長吸収部64は、側面視(上述したように車内側から見た側面視)において、収容空間を囲む第1壁部641と、第2壁部642、第3壁部643とを有している(図2、図3参照)。そして、第1経路R1は、第2壁部642に沿った経路であり、第2経路R2は、第1壁部641及び第3壁部643に沿った経路である。
第1壁部641は、挿入口部62の上側の壁部に連続して直線状に延在する壁部である。すなわち、第1壁部641は、収容空間の上方の位置で、ドア20の前後方向に沿って直線状に延在している。この第1壁部641は、挿入口部62の上側の壁部と共にドア20の前後方向におけるプロテクタ60の全体に亘って直線状に延在する直線状壁部を構成している。第2壁部642は、挿入口部62の下側の壁部に連続してなだらかな逆S字の曲線状に延在する壁部である。すなわち、第2壁部642は、収容空間の下方且つ前方の位置に延在している。より具体的は、第2壁部642は、挿入口部62の後端部から、なだらかな曲線を描きながら徐々に下方に延在すると共に、さらになだらかな曲線を描きながら徐々に後方に延在する形状に形成されている。第3壁部643は、第1壁部641の後端部に対して下方に折れ曲がる形態で連続し、なだらかな逆S字の曲線状に延在する壁部である。すなわち、第3壁部643は、収容空間の後方の位置に延在している。より具体的には、第3壁部643は、第1壁部641の後端部から、第1壁部641に略直交する下方に向けて延在してなだらかな曲線を描きながら徐々に前方に延在すると共に、さらになだらかな曲線を描きながら徐々に下方及び後方に延在する。上記第2壁部642の後端部と第3壁部643の下端部との間には隙間があけられており、この部分が引出口部68である。
この引出口部68は、挿入口部62と略逆向きに開口し、すなわち、ドア20の後方を向いている。また、引出口部68は、開口縁部が部分的に(ここでは略L字状に)延出するハーネス固定部69を有している。図2、図3には、結束部材96挿通用の一対の孔部が形成されたハーネス固定部69を示している。そして、引出口部68を通じてプロテクタ60から引き出されるワイヤーハーネス32を、ハーネス固定部69の一対の孔部に通した結束部材96により締付け固定する。これにより、ドア20の開閉動作に伴ってプロテクタ60内で余長吸収されるワイヤーハーネス32が、プロテクタ60外に飛び出し又はプロテクタ60から引き込みされることを抑制できる。なお、結束部材96とは、ワイヤーハーネス32を締付固定可能な長尺部材であればよく、例えば、輪部を形成して任意の周長に維持可能な結束バンド、ワイヤー等を採用することができる。
保護部51との関係で説明すると、挿入口部62の上側の壁部及び第1壁部641の延在寸法(奥行き)は、保護部51のうちのプロテクタ60内に挿入される部分の中心軸方向の寸法より大きく設定されている。また、前記寸法は、ワイヤーハーネス32を第3壁部643に沿って曲げる際に、ワイヤーハーネス32に対する負荷がなるべく小さくなるように、保護部51の進入寸法に対してワイヤーハーネス32の曲げ半径かそれより大きい寸法分大きく設定されていることが好ましい。
また、第1壁部641の後端部(第3壁部643の後端部)は、挿入口部62の中心軸方向において、引出口部68より挿入口部62に対して離間した位置(ドア20の前後方向後方の位置)に設定されている。すなわちプロテクタ60内で余長吸収されるワイヤーハーネス32は、引出口部68より奥側まで押し込まれてUターンした形態に曲げられる。これにより、プロテクタ60は、ワイヤーハーネス32の曲げによる経路変更に必要のない無駄を省いたよりコンパクトな形態で、ワイヤーハーネス32の余長吸収を行うことができる。
そして、ドア20の開状態においては、保護部51がプロテクタ60内から退避しており、ワイヤーハーネス32は、収容空間内において、第2壁部642に沿って曲げられた第1経路R1を通って配索されている(図3参照)。また、この際、第1経路R1を通るワイヤーハーネス32の第1壁部641及び第3壁部643側には余裕空間が存在する。ドア20が開状態から閉操作されると、保護部51がプロテクタ60内に挿入される。より具体的には、保護部51は、挿入口部62及び第1壁部641に沿って余長吸収部64内に進入する。そして、ワイヤーハーネス32は、保護部51に挿通されている部位が第1壁部641に沿って曲げられると共に保護部51のドア20側の端部から延出する部位が第3壁部643に沿って曲げられた第2経路R2を通って配索されている(図2参照)。このように、ワイヤーハーネス32が第1経路R1より長い第2経路R2に経路変更されることにより、ドア20の閉操作に伴うワイヤーハーネス32の余長を吸収することができる。さらに、ドア20が閉状態から開操作されると、保護部51がプロテクタ60内から退避して、ワイヤーハーネス32は、第2経路R2から第2壁部642に沿って曲げられた第1経路R1に経路変更される。
ガイド部66は、後述する被ガイド部80をガイドする部分であり、これにより保護部51及びワイヤーハーネス32のプロテクタ60内への進退移動経路を規制する。より具体的には、ガイド部66は、ドア20の前後方向に延在し、被ガイド部80を延在方向に沿って案内可能に形成されている。ここでは、ガイド部66は、挿入口部62の上側の壁部及び第1壁部641の直線状壁部に形成されている(もっとも他の部位に形成されてもよい)。そして、ガイド部66は、プロテクタ60の内外に貫通してドア20の前後方向(挿入口部62の中心軸方向)に沿って延在するスリット状に形成されている。このガイド部66の延在範囲は、少なくとも、車体10に固定されたグロメット40のクランプ取付部58の、プロテクタ60に対するドア20の開状態における位置と閉状態における位置とで、被ガイド部80が嵌合可能な範囲に設定される。
ここで、プロテクタ60のドア20に対する取り付け構造について説明しておく。プロテクタ60は、ドア20のドアインナーパネル22に対して、車室外側に向けて押し付けることにより、取り付け可能に形成されている(図4、図5参)。ここでは、プロテクタ60は、ドアインナーパネル22に形成される孔部に対して嵌合可能な固定部78を有している。例えば、固定部78としては、プロテクタ60(ここでは後述する第1部材P1)の外面から突出する基軸部と、その基端部から外周側に張り出す皿バネ状の押え部と、基軸部の先端部からその外周側に張り出すように設けられると共に内周側に向けて弾性変形可能な係止部とを有する構成を採用できる。つまり、この固定部78を孔部に対して車室内側から車室外側に向けて挿入することにより、係止部が、孔部の周縁部に当接して内周側に弾性変形し、孔部を越えると外周側に弾性復帰して孔部の開口縁部に対して車室外側から係止する。また、押え部が孔部に周縁部に対して車室内側から係止する。他にも、プロテクタ60は、ドアインナーパネル22に対してねじ止め等により固定されてもよい。
上述したプロテクタ60は、第1部材と第2部材とが合体されて構成されているとよい(図示省略)。例えば、第1部材及び第2部材として、ドア20の車内外方向に分割された凹状部材と蓋状部材との組合せ、一対の凹状部材の組合せ等を採用することができる。また、ガイド部66は、第1壁部641を形成する第1部材と第2部材との縁部が隙間をあけて突き合わされることにより形成されるとよい。そして、プロテクタ60は、第1部材と第2部材とを、それぞれ合成樹脂材料を金型に流し込んで射出成型し、合体させることにより得ることができる。この第1部材と第2部材とは、各部材に被係止部又は係止部が設けられ、合体状態を維持可能に形成されているとよい。
<遮蔽部>
遮蔽部70は、ドア20内への水、埃及び砂等の侵入を抑制するための部分である(図2、図3参照)。この遮蔽部70は、開状態遮蔽部71と、閉状態遮蔽部75とを含んでいる(図6、図7参照)。開状態遮蔽部71及び閉状態遮蔽部75は、上述したように車体密着部41及び保護部51と共にゴム材料によって一体に形成されてグロメット40を構成している。
開状態遮蔽部71は、配線部31の外周部から外周側に張り出して、ドア20の開状態において配線部31と挿入口部62との隙間を遮蔽する部分である(図3参照)。ここでは、開状態遮蔽部71は、保護部51の外周部から外周側に張り出している。より具体的には、開状態遮蔽部71は、保護部51のうち、ドア20の開状態において挿入口部62の開口端部の内側に配設される部位に設けられている。ここでは、開状態遮蔽部71は、保護部51のうち、中心軸方向におけるクランプ取付部58の車体10側に隣接する部位に設けられている。
この開状態遮蔽部71は、配線部31の延在方向に直交する方向に沿って扁平な形状に形成されている。すなわち、開状態遮蔽部71は、比較的柔軟なゴム材料により扁平な形状に形成されているため、配線部31の延在方向、すなわち保護部51のプロテクタ60内に対する進退方向により弾性変形し易くなっている。ここでは、開状態遮蔽部71は、外周縁部から内周側に向けて形成された複数のスリットを挟んで周方向に分割された形状に形成されている。すなわち、開状態遮蔽部71は、周方向にスリットを挟んで並ぶ複数の遮蔽片を有している。
開状態遮蔽部71の外周形状は、挿入口部62の内周形状に沿った形状(相似形状)に形成されているとよい。また、開状態遮蔽部71の外周部は、挿入口部62の内周部と同じかそれより大きい(ここでは僅かに大きい)大きさに設定されている。なお、挿入口部62は、平面視において開口端部が拡がる形状に形成されているが、この拡がった部分の内周部の大きさに対応した大きさに設定されているとよい。すなわち、開状態遮蔽部71は、ドア20の開状態において、挿入口部62の内周部に対して周方向全体に外周縁部を密着させることが可能な形状及び大きさに設定されている。
そして、開状態遮蔽部71は、ドア20の閉状態において、プロテクタ60の収容部64の内壁部(第1壁部641等)に当接した状態に維持される。また、開状態遮蔽部71は、ドア20の開閉動作時にプロテクタ60の内壁部に当接した状態で移動する。このため、車両走行時の振動等による配線部31のがたつき、ドア20の開閉動作に伴う保護部51の移動による配線部31のがたつき等を抑制し、配線部31とプロテクタ60との接触音等の異音を抑制できる。
閉状態遮蔽部75は、配線部31の外周部から外周側に張り出して、ドア20の閉状態において配線部31と挿入口部62との隙間を遮蔽する部分である(図3参照)。ここでは、閉状態遮蔽部75は、保護部51の外周部から外周側に張り出している。より具体的には、閉状態遮蔽部75は、ドア20の閉状態において挿入口部62の開口端部に対して車体10側から当接(好ましくは密着)するように、保護部51に設けられている。ここでは、閉状態遮蔽部75は、保護部51のうち、中心軸方向における車体密着部41のドア20側に隣接する部位に設けられている。
また、この閉状態遮蔽部75は、ドア20の閉状態において、ドア20の導入開口部21を車体10側から遮蔽可能に形成されている。すなわち、閉状態遮蔽部75は、プロテクタ60の挿入口部62と導入開口部21とを両方遮蔽する。
閉状態遮蔽部75の外周形状は、導入開口部21の開口形状に沿った形状(相似形状)に形成されているとよい。また、閉状態遮蔽部75の外周部は、導入開口部21の開口部より大きい大きさに設定されている。すなわち、閉状態遮蔽部75は、ドア20の閉状態において、導入開口部21の開口縁部(ドアインナーパネル22及びドアトリム26の前端面)に対して車体10側から面接触可能(密着可能)な形状及び大きさに設定されている。
より具体的には、閉状態遮蔽部75は、外周部に近付くにつれて徐々にドア20側に向けて傾斜する形状に形成されている。一方、閉状態遮蔽部75の内周側部分は、配線部31の延在方向に直交する方向に沿った扁平な形状に形成されている。
そして、ドア20の閉状態において、閉状態遮蔽部75の内周側部分は、挿入口部62の開口端部に対して車体20側から周方向全体に密着する。また、閉状態遮蔽部75の外周側部分は、導入開口部21の開口縁部に対して車体10側から周方向全体に押し付けられて車体10側に弾性変形しつつ密着する。
<被ガイド部>
被ガイド部80は、プロテクタ60のガイド部66によってガイドされる部分である(図2、図3参照)。この被ガイド部80は、保護部51のドア20側の端部、ここではクランプ取付部58に取り付けられている。被ガイド部80は、クランプ部82と、ガイド嵌合部86とを有している。
クランプ部82は、略直方体状のクランプ取付部58を配設可能な略直方体状の内部空間を有する角筒状に形成されている。また、クランプ部82は、クランプ取付部58に形成された嵌合溝部に対して凹凸嵌合する嵌合リブを有している。すなわち、嵌合リブは、嵌合溝部内に配設可能なように、クランプ部82の内周部から突出し、中心軸に関する周方向に沿って延在する凸条に形成されている。そして、嵌合リブ83が嵌合溝部に対して嵌合した状態で、クランプ部82は、保護部51に対して中心軸方向に移動規制される。
このクランプ部82は、周方向に分割された一対の凹状部材等が一端部同士でヒンジ部により連結されて構成されているとよい(図示省略)。また、クランプ部82は、一対の凹状部材のそれぞれに被係止部又は係止部を設け、該一対の凹状部材を閉じた状態に維持可能に形成されているとよい。そして、連結された一対の凹状部材によりクランプ取付部58を挟み込むことにより、嵌合リブ83が嵌合溝部に嵌合してクランプ部82は保護部51に対して中心軸方向に移動不能に連結される。
ガイド嵌合部86は、ガイド部66に対して延在方向に移動可能に嵌合する部分であり、クランプ部82の外周部に連続して外周側に突出する形状に形成されている。より具体的には、ガイド嵌合部86は、スリット状に形成されたガイド部66のうちの延在方向に沿った一対の縁部に対して凹凸嵌合するように形成されている。より具体的には、ガイド嵌合部86は、ガイド部66の延在方向に沿った一対の縁部の間に介在部を介在させると共に、該一対の縁部を外側係止部と内側係止部とで挟み込んで、ガイド部66に対して凹凸嵌合する。
そして、ドア20の開閉動作に伴って保護部51がプロテクタ60内に進退移動されると、被ガイド部80がガイド部66によってガイドされることにより、保護部51のドア20側の端部がプロテクタ60内で略一定の経路を通る。このため、保護部51がプロテクタ60の内壁に対して引っ掛かることが抑制される。また、保護部51から延出するワイヤーハーネス32は、より後方の第3壁部643に近接した位置まで押し込まれる。
上記実施形態に係るワイヤーハーネス配索構造部30によると、車体10に固定されてワイヤーハーネス32を含む配線部31が挿入される筒状の挿入口部62を含み、ワイヤーハーネス32を迂回可能な余裕空間を有して収容するプロテクタ60がドア20内に設けられ、配線部31の外周部から外周側に張り出すと共に配線部31の延在方向に直交する方向に沿って扁平な形状に形成され、ドア20の開状態において配線部31と挿入口部62との隙間を遮蔽する開状態遮蔽部71を含む遮蔽部70を備える。このため、ドア20内に水、埃及び砂等が侵入するのを抑制することができる。
また、開状態遮蔽部71が、外周縁部から内周側に向けて形成された複数のスリットを挟んで周方向に分割された形状に形成されているため、開状態遮蔽部71が配線部31の延在方向に変形しやすく、ドア20の開閉動作に伴う配線部31のプロテクタ60に対する進退動作をスムーズにすることができる。
また、開状態遮蔽部71が、配線部31のうち、ドア20の開状態において挿入口部62の開口端部の内側に配設される部位に設けられているため、プロテクタ60内への水、埃及び砂の侵入をより効果的に抑制することができる。
また、遮蔽部70が、配線部31の外周部から外周側に張り出してドア20の閉状態において配線部31と挿入口部62との隙間を遮蔽する閉状態遮蔽部75を含んでいるため、ドア20の閉状態においても、ドア20内に水、埃及び砂等が侵入するのを抑制することができる。
また、閉状態遮蔽部75が、ドア20の閉状態において、ドア20の導入開口部21を、車体10側から遮蔽可能に形成されているため、ドア20の閉状態において、より確実にドア20内に水、埃及び砂等が侵入するのを抑制することができる。
また、閉状態遮蔽部75が、外周部に近付くにつれてドア20側に向けて傾斜する形状に形成されているため、ドア20の閉状態において、閉状態遮蔽部75の外周部がドア20の導入開口部21の周縁部に対して車体10側からより強く押し付けられ、ドア20の閉状態において、より確実にドア20内に水、埃及び砂等が侵入するのを抑制することができる。
また、配線部31が、ワイヤーハーネス32の外周部を覆うと共にドア20側の端部を含む部分がプロテクタ60に挿入されている保護部51を含み、遮蔽部70が保護部51の外周部から外周側に張り出す形状に形成されている。このため、車体10とドア20との間に架け渡されるワイヤーハーネス32を外部から保護することができる。
また、配線部31が、保護部51に対して車体10側に連続して設けられ、車体10に密着可能な車体密着部41を含むため、ワイヤーハーネス32の止水性が向上する。
また、遮蔽部70が保護部51と一体に形成されているため、配線部32の保護部51とプロテクタ60の挿入口部62との隙間をより確実に遮蔽することができる。
これまで、車体密着部41と保護部51とがゴム材料により一体に形成されている例で説明してきたが、これに限られるものではない。例えば、保護部がコルゲートチューブにより構成され、別の車体固定部材により該保護部が車体に対して固定されてもよい。
さらに、保護部が省略されて配線部がワイヤーハーネス32により構成されていてもよい。この場合、ワイヤーハーネス32は、自身の剛性によりドア20の開閉動作に伴ってプロテクタ60内に進退移動可能なように結束等されて形成されているとよい。
なお、保護部51のプロテクタ60内における進退移動をスムーズにする観点から好ましい例として、被ガイド部80が備えられた例で説明してきたが、この被ガイド部80は省略されても構わない。この場合、クランプ取付部58及びガイド部66は省略されてよい。
また、開状態遮蔽部71の形状は、上記形状に限られるものではなく、例えば、スリットが省略された形状であってもよい。また、開状態遮蔽部71の位置は、ドア20の開状態において配線部31と挿入口部62との隙間を遮蔽可能な位置であれば適宜変更可能である。
また、閉状態遮蔽部75の形状は、上記形状に限られるものではなく、例えば、外周側部分が配線部31の延在方向に直交する方向に沿った形状であってもよい。また、閉状態遮蔽部75は、挿入口部62を遮蔽可能であればよく、導入開口部21を遮蔽しない形状であってもよい。また、閉状態遮蔽部75の位置は、ドア20の閉状態において配線部31と挿入口部62との隙間を遮蔽可能な位置であれば適宜変更可能である。
さらに、遮蔽部70が、閉状態遮蔽部75を含む例で説明してきたが、閉状態遮蔽部75は省略されてもよい。
また、これまで、ワイヤーハーネス32をスピーカー90の下方を通して配索する例で説明してきたが、スピーカー90の下方にワイヤーハーネス32の配索スペースを確保することが困難な場合等には、スピーカー90の上方にワイヤーハーネス32を配索してもよい。この場合、プロテクタ60は、スピーカー90の上方の位置に配設される。また、車体配索用孔部11及び導入開口部21もスピーカー90の上方の位置にそれぞれ形成される。
また、プロテクタ60の配設姿勢は、上述した第1壁部641が第2壁部642及び第3壁部643の上方に位置する姿勢に限られるものではない。すなわち、プロテクタ60は、上記実施形態に対して上下逆向きに、第1壁部641が第2壁部642及び第3壁部643の下方に位置する姿勢で配設されてもよい。この向きは、ワイヤーハーネス32を構成する各電線等のドア20内における配索経路に応じて決定されるとよい。
これまで、収容部としてドア20内にプロテクタ60が配設される例で説明してきたが、収容部は、ドア20のドアインナーパネル22及びドアトリム26により形成されていてもよい。
また、ワイヤーハーネス配索構造部30を、フロントサイドドアとしてのドア20に適用する例で説明したが、車体10とヒンジ部15で連結されるリアサイドドア等に適用してもよい。この場合、センターピラー(フロントサイドドアとリアサイドドアとの間のピラー)とリアサイドドアとの間にワイヤーハーネス32が架け渡される。すなわち、センターピラーに車体配索用孔部11が形成され、ここにグロメット40が固定される。そして、リアサイドドアの前方側端部には導入開口部21が形成され、リアサイドドア内にプロテクタ60が配設されるとよい。
以上のように、ワイヤーハーネス配索構造部30は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。