JP5806997B2 - 農作業情報管理装置及び農作業情報管理システム - Google Patents
農作業情報管理装置及び農作業情報管理システム Download PDFInfo
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Description
特許文献1では、作物収穫機に、作物の収穫に伴って作物の品質を計測する作物品質計測手段と、その作物品質計測手段にて計測された品質の計測情報を機外に出力可能な情報出力手段とが備えられ、情報出力手段から出力される複数の収穫場所の各々に対応する品質の計測情報を収集する計測情報収集手段と、この計測情報収集手段にて収集された収集情報に基づいて、複数の収穫場所に対応する作物の地域毎の品質マップを求めて出力する品質マップ作成手段とを備えている。この特許文献1では、各収穫場所の計測情報は、GPS衛星によって得られた作物収穫機の位置に基づいて求めることとしている。
請求項1に係る発明では、農業機械が複数の圃場で農作業したときの農作業情報と衛星測位システムによって検出された前記農業機械の作業位置とを対応付けて記憶する情報記憶部と、前記各圃場の地図データを記憶する地図データ記憶部と、前記作業位置及び前記地図データを用いて前記情報記憶部に記憶された前記農作業情報を圃場毎に整理する情報整理部とを備えており、前記情報整理部は、前記衛星測位システムによって検出された作業位置と前記圃場に定められた位置とのズレ量を演算するズレ量演算部と、前記ズレ量演算部で求められたズレ量に基づいて、前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する情報対応関係判定部と、を備えていることを特徴とする。
を備えていることを特徴とする。
本発明の最も好ましい技術的手段は以下の通りである。
本発明の農作業情報管理装置は、農業機械が複数の圃場で農作業したときの農作業情報と衛星測位システムによって検出された前記農業機械の作業位置とを対応付けて記憶する情報記憶部と、前記各圃場の地図データを記憶する地図データ記憶部と、前記作業位置及び前記地図データを用いて前記情報記憶部に記憶された前記農作業情報を圃場毎に整理する情報整理部とを備えており、前記情報整理部は、前記衛星測位システムによって検出された作業位置と前記圃場に定められた位置とのズレ量を演算するズレ量演算部と、前記ズレ量演算部で求められたズレ量に基づいて、前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する情報対応関係判定部と、を備え、前記ズレ量演算部は、前記作業位置に基づいて求めた農業機械の変化位置と前記地図データに基づいて定められた圃場の基準位置とのズレ量であるポイントズレ量を求めるポイントズレ量演算部と、前記圃場の輪郭を示す輪郭線の中で向きの異なる少なくとも2つの辺部と前記作業位置とのズレ量である輪郭ズレ量を求める輪郭ズレ量演算部とを備え、前記情報対応関係判定部は、前記ポイントズレ量演算部で求めたポイントズレ量と前記農業機械のイベント発生とに基づいて前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する第1情報対応関係判定部と、前記輪郭ズレ量に基づいて前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する第2情報対応関係判定部とを備えていることを特徴とする。
前記第1情報対応関係判定部は、前記ポイントズレ量演算部で求めたポイントズレ量の時間的な変化と、前記農業機械のイベント発生のタイミングとに基づいて、前農作業情報が前記地図データで示された一圃場と一圃場とは異なる他圃場とのいずれかに対応しているかを判定する。
本発明の農作業情報管理システムは、農業機械が複数の圃場で農作業したときの農作業情報と衛星測位システムによって検出された前記農業機械の作業位置とを対応付けて記憶する情報記憶部と、前記各圃場の地図データを記憶する地図データ記憶部と、前記作業位置及び前記地図データを用いて前記情報記憶部に記憶された前記農作業情報を圃場毎に整理する情報整理部とを備え、前記情報整理部は、前記衛星測位システムによって検出された作業位置と前記圃場に定められた位置とのズレ量を演算するズレ量演算部と、前記ズレ量演算部で求められたズレ量に基づいて、前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する情報対応関係判定部と、を備え、前記ズレ量演算部は、前記作業位置に基づいて求めた農業機械の変化位置と前記地図データに基づいて定められた圃場の基準位置とのズレ量であるポイントズレ量を求めるポイントズレ量演算部と、前記圃場の輪郭を示す輪郭線の中で向きの異なる少なくとも2つの辺部と前記作業位置とのズレ量である輪郭ズレ量を求める輪郭ズレ量演算部とを備え、前記情報対応関係判定部は、前記ポイントズレ量演算部で求めたポイントズレ量と前記農業機械のイベント発生とに基づいて前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する第1情報対応関係判定部と、前記輪郭ズレ量に基づいて前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する第2情報対応関係判定部とを備えていることを特徴とする。
請求項1及び請求項3に係る発明によれば、複数の圃場で農作業した場合において、各圃場で取得した農作業情報が、どの圃場に対応しているかを正確に判定することができる。
請求項2に係る発明によれば、各圃場で取得した農作業情報がどの圃場に対応しているかを正確に判定するにあたって、農作業を行ったときの作業位置と圃場に予め定められた基準位置とのズレ(ポイントズレ量)や作業位置と圃場の輪郭線を構成する向きの異なる辺部とのズレ(輪郭ズレ量)とを用いているため、圃場内で行われる様々な農作業の態様に応じて作業位置による農業機械の位置及びその位置に対応した農作業情報と圃場との対応関係を簡単に求めることができる。
図1は、農作業情報管理システムの全体図を示したものである。
図1、4に示すように、農作業情報管理システム1は、コンバインや田植機等の農業機械2を用いて、圃場3内で農作業したときの農作業情報(農作業情報という)を当該農業機械2で収集し、収集した農作業情報を圃場毎に管理するものである。
図14はコンバインの全体図を示している。
コンバイン2は、左右一対の走行装置11を備えた機体12に、運転席13、エンジン14、脱穀処理する脱穀装置15、脱穀された作物を貯留するグレンタンク16等を備えて構成されたもので、機体12の前側には、作物(例えば、穀物)を刈り取る刈取部17が設けられている。
図2(a)に示すように、農作業情報の中で、水分及び食味の測定は、グレンタンク16に入れられる作物の一部を測定ケース23に入れ、測定ケース23に入れられた作物の水分及び食味を、水分測定部20や食味測定部21によって測定することによって行われる。
即ち、水分及び食味は、測定ケース23に作物を貯めてサンプリング用の作物を確保後、当該サンプリング用の作物を測定し、一方、収穫量は、グレンタンク16内の作物が満杯になった時点等にグレンタンクの重量を測定しているため、水分及び食味のサンプリング周期と、収穫量のサンプリング周期とは異なり、水分及び食味のサンプリング周期は、収穫量のサンプリング周期よりも周期が短くなる。
御する制御装置26、又は、コンバイン2に設けられた無線通信機器27に送信される。また、作物の収穫量の測定が終了すると、収穫量の測定時(測定終了時)でのコンバイン2の作業位置が、収穫量に関連付けられ、収穫量は、制御装置26又は無線通信機器27に送信される。
図3に示すように、農作業情報管理装置6は、水分、食味、収穫量、作業位置を受信すると、当該農作業情報管理装置6に設けられた情報記憶部30に、所定の間隔で順に、水分、食味、収穫量、作業位置を記憶(保存)する。即ち、情報記憶部30には、所定の間隔(作業位置の検出間隔)で、複数の農作業情報(水分、食味、収穫量)が保存されることになる。例えば、コンバイン2が第1位置(経度34.55989、緯度135.467494)から第2位置(経度34.56449、緯度135.472094)まで移動する間に、情報記憶部30には、24個の農作業情報が保存されることになる。
即ち、コンバイン2等に採用される位置検出装置25は、位置精度(測定誤差)が数十cm〜数mであるものが多く、これらの誤差を含んだ作業位置を用いて、コンバイン2が位置する圃場3を特定することは、従来の技術では難しい。
圃場Aで農作業を開始した直後の時点では、コンバイン2は圃場3の入口側に位置することになるが、圃場3の入口は、圃場Aだけでなく圃場Bにも近いため、位置検出装置25によって、コンバイン2の1点の作業位置を検出したとしても、位置検出装置25による作業位置には誤差が含まれるため、1点のみの作業位置を見ただけでは、実際のコンバイン2が圃場Aに居るのか圃場Bに居るのか判定が行い難い。
まず、コンバイン2で農作業(作物の収穫)を行った場合の移動ルートについて図5を用いて説明する。
刈りを行う。
即ち、コンバイン2で作物の収穫を行う場合、まず、圃場Aの入口から圃場Aの各辺(輪郭線E)に沿って反時計回りに周りながら作物の収穫を行い、圃場A内を輪郭線Eに沿って1周した後は、同じように、圃場A内を反時計回りに移動しながら作物の収穫を行う。
具体的には、第1に、圃場(圃場Aや圃場B)の重心位置(中心位置)を任意位置としたうえで当該重心位置と作業位置とのズレ量の傾向からコンバイン2が農作業した圃場を特定することとしている。また、第2に、圃場の輪郭線上を任意位置としたうえで当該輪郭線と作業位置とのズレ量の傾向からコンバイン2が農作業した圃場を特定することとしている。
上述したように、コンバイン2は、圃場Aの輪郭線Eに沿って反時計回りに進みながら農作業を行う。そのため、コンバイン2が作業位置である緯度や経度を足して平均し、その平均値(変化位置)と、圃場の重心位置との差(ズレ)がほとんど無くなる。
任意位置を、圃場Aの輪郭の1つである右縦辺部R1としたとき、上述したように、コンバイン2が圃場Aの右縦辺部R1に沿って移動している状態では、圃場Aの右縦辺部R1(任意位置)と作業位置との差(ズレ)は、殆ど無いと考えられる。
このように、コンバイン2が圃場Aを移動したときの作業位置と圃場Aの輪郭線Eとの差(ズレ)を見ると共に、作業位置と圃場Bの輪郭線Eとの差を比べることよって、圃場Aと圃場Bとが隣接している場合であっても、コンバイン2がどの位置に居るのかを判定することが可能となる。
農作業情報管理装置6は、コンバイン2から送信された水分、食味、収穫量等の農作業情報を収集して、収集後に農作業情報(水分、食味、収穫量)をオフラインにて整理するものであり、整理の際に、農作業情報と圃場との対応関係も抽出する。農作業情報管理装置6は、ユーザ等が所有するパーソナルコンピュータ、農業管理会社が所有する管理サーバ等で構成されている。
具体的には、コンバイン2にて農作業を行っている状況下で、グレンタンク16に作物を貯める動作から作物を排出する動作に切り換えるというイベント(排出イベントということがある)が発生すると、グレンタンク16から作物を排出したことを示すイベント内容と、イベント発生時の作業位置を制御装置26に一時的に保存される。そして、これらイベント内容及びイベント発生時の作業位置は、農作業管理装置6に送信される。
び地図データを用いて農作業情報を圃場毎に整理する情報整理部32とを備えている。
情報記憶部30は、不揮発性のメモリ等で構成され、上述したように、コンバイン2から送信された複数の農作業情報(水分、食味、収穫量、イベント内容)及び作業位置(緯度、経度)を記憶すると共に、農作業を行ったときの作業位置とを関連付けて記憶する。
この地図データ記憶部31(地図データ)には、圃場毎の重心位置(圃場の中心)が格納されていると共に、圃場3の輪郭線(各辺)に対応する緯度及び経度が格納されている。なお、地図データ記憶部31に圃場毎の重心位置が格納されていない場合であっても、地図データには、圃場3の輪郭線(各辺)に対応する緯度及び経度が含まれるため、地図データを用いると圃場3の重心位置を求めることも可能である。
この情報整理部32は、ズレ量演算部40と、情報対応関係判定部41とを備えている。これらズレ量演算部40、情報対応関係判定部41は、CPUやプログラム等から構成されている。
ポイントズレ量演算部40aは、上述したように、コンバイン2の変化位置と圃場3の基準位置(重心位置)とのズレ量であるポイントズレ量を求めるものである。第1情報対応関係判定部41aは、ポイントズレ量に基づいて情報記憶部30に記憶された農作業情報がどの圃場に対応しているかを判定するものである。
ポイントズレ量演算部40aは、情報記憶部30に記憶された農作業情報を整理するとき、まず、情報記憶部30に保存された複数の作業位置を用いて、コンバイン2が農作業したときの位置変化を求める。
予め設定された候補圃場の重心位置を読み出し、読み出した重心位置と変化位置との差であるポイントズレ量を求める。ここで、以下、説明の便宜上、一の圃場A(一圃場ということがある)と、この圃場Aに隣接する圃場B(他圃場ということがある)との2つの圃場3を候補圃場とし、説明を進める。なお、候補圃場の設定は、限定されないが、予め作業者(ユーザ)が農作業情報管理装置6に設定しておいた圃場3を候補圃場としてもよい。或いは、農作業情報管理装置6が情報記憶部30に保存された作業位置を参照し、作業位置の周辺の複数の圃場3を自動的にピックアップして、ピックアップした複数の圃場3を候補圃場としてもよい。
第1情報対応関係判定部41aは、圃場Aズレ量及び圃場Bズレ量に基づいて、コンバイン2が農作業していたときの圃場が、圃場Aであるか圃場Bであるかを判定する。即ち、情報記憶部30に記憶された農作業情報が、圃場Aに対応しているのか圃場Bに対応しているのかを判定する。
このような場合は、どの時点で、コンバイン2が圃場Aから圃場Bに移り変わり、収集した複数の農作業情報の中で、どの部分が圃場Bに対応するものであるか判定する必要がある。
なお、農作業を行ったときの農作業情報を収集するシステムでは、圃場Aから圃場Bに移り変わる前に、圃場Aから圃場Bに持ち越してしまうデータをリセットすることとしている。例えば、農作業情報の1つである収穫量は、グレンタンク16の重量に基づいて求めるため、グレンタンク16に作物を入れたまま、コンバイン2が圃場Aから圃場Bに移り変わると、収集した収穫量が圃場Aのものであるのか、圃場Bのものであるのかの混同する可能性がある。そのため、圃場Aから圃場Bへ農作業が移り変わる場合、圃場Aで農作業が終了した時点(例えば、後述する6回目の排出イベント)で、グレンタンク16内
の作物を排出し、圃場Bで農作業を開始する前までに、グレンタンク16を空にした後、圃場Bにおける農作業を開始することとしている。
図9は、圃場A及び圃場Bで農作業を行った場合でのポイントズレ量の傾向と、排出イベントのタイミングとをまとめたものである。
圃場Aの農作業に続けて、圃場Bの農作業を行った場合、情報記憶部30には、圃場Aの作業位置と圃場Bの作業位置との両方が格納される。そのため、ポイントズレ量の計算には、圃場Aの作業位置と圃場Bの作業位置とのデータが使用されることになるため、圃場Aズレ量の傾向を見ると、図9に示すように、一旦、圃場Aに対応する重心位置付近で収束していた圃場Aズレ量は、圃場Bでの作業位置の影響によって、圃場Aとされる所定値を超え、次第に増加することになる。
例えば、圃場Aの農業作業中に、複数回の排出イベントがあったとする。圃場A内で発生した排出イベントと、そのときの圃場Aズレ量とを見比べてみると、当該排出イベント時の前後でも、圃場Aズレ量は増加してない。しかしながら、図9に示すように、圃場Bの農業作業中での排出イベント時は、圃場Aズレ量が所定値以上となる。このように、圃場Bへのコンバイン2の移動に伴って変化する圃場Aズレ量と、排出イベントとを見ることによって、複数の農作業情報のうち、圃場Aに対応する農作業情報なのか、圃場Bに対応する農作業情報なのかを判別することが可能となる。
情報対応関係判定部41は、農作業情報を整理する際、まず、情報記憶部30に記憶された農作業情報の中から排出イベントが発生したときの作業位置を抽出する。情報対応関係判定部41は、例えば、1回目〜8回目までの排出イベントの作業位置を抽出する。
最初排出イベントよりも以前に収集された農作業情報(6回目の排出イベント以前の農作業情報は、圃場Aに対応しているものとする。つまり、情報対応関係判定部41は、圃場Aズレ量が所定値以上であるときの最初排出イベント発生時を起点として、圃場A(一圃場)に対応する農作業情報と、圃場B(他圃場)に対応する農作業情報との判定を行っている。
より詳しく説明すると、情報対応関係判定部41は、7回目の排出イベントを行ったときの圃場Aズレ量が所定値以上であるため、7回目の排出イベントは圃場Aではなく圃場Bで行ったと判定する。そして、情報対応関係判定部41は、6回目の排出イベントが終了後、7回目の排出イベントが開始されるまでの間で収集した水分、食味は圃場Bで農作
業したときのものとし、6回目の排出イベントの開始時を起点として、当該起点前までに収集した水分及び食味は、圃場Aで農作業したものとする。
次に、輪郭ズレ量演算部40b及び第2情報対応関係判定部41bについて説明する。
図5を用いて、輪郭ズレ量と、輪郭線Eと、コンバイン2の作業位置とについて説明しながら、輪郭ズレ量演算部40b及び第2情報対応関係判定部41bについて詳しく説明する。
一方、圃場Aの上横辺部U2に沿う(横区間)において、圃場Aを移動するコンバイン2の各作業位置と、圃場Aの上横辺部U2との相対距離(輪郭ズレ量)を求めると、輪郭ズレ量は、図10(b)に示す傾向となる。
即ち、図10(b)に示すように、圃場Aの上横辺部U2と作業位置との輪郭ズレ量と、圃場Bの上横辺部U2と作業位置との輪郭ズレ量とは、異なる傾向を示し、圃場Bの上横辺部U2と作業位置とのズレ量が大きくなる。
輪郭ズレ量演算部40bは、まず、情報記憶部30に保存された農作業情報を農作業を
行った圃場に紐付けするため、複数の圃場3と、それぞれの圃場3の輪郭線Eの全部又は一部を、地図データから抽出する。
また、輪郭ズレ量演算部40bは、圃場Aの他に、圃場Aの右側に位置していて当該圃場Aに隣接する圃場B(他圃場)も候補圃場とする。
輪郭線抽出処理では、まず、圃場Aの4つの輪郭線E(右縦辺部R1、左縦辺部L1、上横辺部U2、下横辺部D2)のうち、作業位置の移動軌跡Qと隣接し、向きの異なる少なくとも2つの辺部を抽出する。上述したように、圃場Aにおいては、一方向に延び且つ移動軌跡Qに近い右縦辺部R1と、一方向と直交する方向に延び且つ移動軌跡Qに近い上横辺部U2を抽出する。
輪郭ズレ量演算部40bは、圃場A及び圃場Bにおいて、第1辺部の抽出と、第2辺部の抽出が終了すると、第1辺部の位置情報(緯度、経度)を地図データから抽出すると共に、第2辺部の位置情報(緯度、経度)を地図データから抽出する。
第1辺ズレ量演算部45は、候補圃場毎に、第1辺部と作業位置とのズレ量である第1辺ズレ量を求める。詳しくは、上述したように、圃場Aにおける第1辺部は、右縦辺部R1であるため、第1辺ズレ量演算部45は、圃場Aの右縦辺部R1の位置情報を用いて当該右縦辺部R1と、縦区間の各作業位置との第1辺ズレ量(圃場A用第1辺ズレ量という)を求める。
第2辺ズレ量演算部46は、候補圃場毎に、第2辺部と作業位置とのズレ量である第2辺ズレ量を求める。詳しくは、上述したように、圃場Aにおける第2辺部は、上横辺部U2であるため、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Aの上横辺部U2の位置情報を用いて当該上横辺部U2と、横区間の各作業位置との第2辺ズレ量(圃場A用第2辺ズレ量という)を求める。
なお、ズレ量の演算では、第1辺部(縦辺部)に対しては、同じ縦区間の作業位置を用い、第2辺部(横辺部)に対しては、同じ横区間の作業位置を用いている。また、1つの辺部(縦辺部又は横辺部)に着目したとき、当該1つの辺部を示す位置情報は複数存在するため、その1つの辺部における各位置情報から1つの作業位置までの距離の平均値を、各作業位置の輪郭ズレ量とするのが好ましい。言い換えれば、1点の作業位置と、複数の
位置情報(1つの辺部を示す情報)との差の平均値を、各作業位置に対応するズレ量(輪郭ズレ量)とすることが好ましい。
第2情報対応関係判定部41bは、各圃場における第1辺ズレ量(圃場A用第1辺ズレ量、圃場B用第1辺ズレ量)と、第2辺ズレ量(圃場A用第2辺ズレ量、圃場B用第2辺ズレ量)とに基づいて、作業位置に対応する農作業情報が、どの圃場に対応しているかを判定する(コンバイン2がどの圃場で作業したかを判定する)。この第2情報対応関係判定部41bは、第1辺ズレ量比較部47と、第2辺ズレ量比較部48と、圃場判定部49とを備えている。
例えば、図10(a)に示したように、圃場A用第1辺ズレ量の変化傾向と、圃場B用第1辺ズレ量の変化傾向とを並べ、これら第1辺ズレ量の変化傾向に違いがないか比べる。なお、圃場A用第1辺ズレ量の変化傾向と、圃場B用第1辺ズレ量の変化傾向との比較を行うにあたっては、ズレ量の計算を開始したときの計算開始点(作業位置の緯度又は経度)を合わしておく。
例えば、図10(b)に示したように、圃場A用第2辺ズレ量の変化傾向と、圃場B用第2辺ズレ量の変化傾向とを並べ、これら第2辺ズレ量の変化傾向に違いがないか比べる。
つまり、コンバイン2によって圃場Aや圃場Bで農作業を行いながら農作業情報を収集した場合であっても、圃場Aに対応する農作業情報と、圃場Bに対応する農作業情報との区別をすることができる。即ち、複数の圃場3で農作業して得られた農作業情報が、どの圃場3に対応しているかを正確に判定されて分けることができるため、各圃場3における農作業情報が、混同することを防止することができる。
以下、変形例として、縦に隣接する圃場Aと圃場Cの場合について説明する。
図11に示すように、コンバイン2が移動した場合、輪郭ズレ量演算部40bは、第2辺部(横辺部)として、圃場Cの下横辺部D2を抽出すると共に、圃場Aの上横辺部U2を抽出する。また、輪郭ズレ量演算部40bは、第1辺部(縦辺部)として、圃場Cの左
縦辺部L1を抽出すると共に、圃場Aの左縦辺部L1を抽出する。
第2辺ズレ量演算部46は、圃場Aの上横辺部U2の位置情報を用いて当該上横辺部U2と、横区間の作業位置との第2辺ズレ量(圃場A用第2辺ズレ量という)を求める。また、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Cの下横辺部D2の位置情報を用いて当該下横辺部D2と、横区間の作業位置との第2辺ズレ量(圃場C用第2辺ズレ量という)を求める。
つまり、圃場に定めた任意位置(重心位置又は輪郭)と作業位置とのズレ量に基づいて、コンバイン2が農作業したときの圃場を特定することができると共に、収集した複数の農作業情報を圃場毎に分割することができる。
郭ズレ方式によって農作業情報の区別を行うかの切り換えを手動で行う手段を設けても良い。例えば、農作業情報管理装置6を起動したときに、当該農作業情報管理装置6の表示部(モニター)に、重心ズレ方式(ポイントズレ量演算部40a、第1情報対応関係判定部41a)によって農作業情報の区別を行うか、輪郭ズレ方式(輪郭ズレ量演算部40b、第2情報対応関係判定部41b)によって農作業情報の区別を行うかの選択画面を表示しておき、ユーザがマウス、キーボート等の入力インタフェースを用いて、どちらかを選択できるようにしてもよい。
図14に示すように、コンバイン2がP10から位置P11まで移動した場合、辺抽出部40は、第1辺部(縦辺部)として、圃場Aの右縦辺部R1を抽出すると共に、圃場Bの左縦辺部L1を抽出する。また、辺抽出部40は、第2辺部(横辺部)として、圃場Aの上横辺部U2を抽出すると共に、抽出した上横辺部U2に近い側の圃場Bの下横辺部D2を抽出する。
また、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Aの上横辺部U2の位置情報を用いて当該上横辺部U2と、横区間の作業位置との圃場A用第2辺ズレ量を求める。また、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Bの下横辺部D2の位置情報を用いて当該下横辺部D2と、横区間の作業位置との圃場B用第2辺ズレ量を求める。
また、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Aの上横辺部U2の位置情報を用いて当該上横辺部U2と、横区間の作業位置との圃場A用第2辺ズレ量を求める。また、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Bの下横辺部D2の位置情報を用いて当該下横辺部D2と、横区間の作業位置との圃場B用第2辺ズレ量を求める。
なお、農作業情報管理システム1を、図16に示すように、携帯端末60と、管理サーバ61とで構成してもよい。言い換えれば、農作業情報管理装置6の機能を、携帯端末60と管理サーバ61とで構成してもよい。
2 農業機械(コンバイン)
3 圃場
6 農作業情報管理装置
11 走行装置
12 機体
13 運転席
14 エンジン
15 脱穀装置
16 グレンタンク
17 刈取部
20 水分測定部
21 食味測定部
22 収穫量測定部
23 測定ケース
25 位置検出装置
26 制御装置
27 無線通信機器
30 情報記憶部
31 地図データ記憶部
32 情報整理部
40 ズレ量演算部
40a ポイントズレ量演算部
40b 輪郭ズレ量演算部
41 情報対応関係判定部
41a 第1情報対応関係判定部
41b 第2情報対応関係判定部
45 第1辺ズレ量演算部
46 第2辺ズレ量演算部
47 第1辺ズレ量比較部
48 第2辺ズレ量比較部
49 圃場判定部
R1 右縦辺部
L1 左縦辺部
U2 上横辺部
D2 下横辺部
E 輪郭線
Q 移動軌跡
Claims (3)
- 農業機械が複数の圃場で農作業したときの農作業情報と衛星測位システムによって検出された前記農業機械の作業位置とを対応付けて記憶する情報記憶部と、前記各圃場の地図データを記憶する地図データ記憶部と、前記作業位置及び前記地図データを用いて前記情報記憶部に記憶された前記農作業情報を圃場毎に整理する情報整理部とを備えており、
前記情報整理部は、
前記衛星測位システムによって検出された作業位置と前記圃場に定められた位置とのズレ量を演算するズレ量演算部と、
前記ズレ量演算部で求められたズレ量に基づいて、前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する情報対応関係判定部と、
を備え、
前記ズレ量演算部は、前記作業位置に基づいて求めた農業機械の変化位置と前記地図データに基づいて定められた圃場の基準位置とのズレ量であるポイントズレ量を求めるポイントズレ量演算部と、前記圃場の輪郭を示す輪郭線の中で向きの異なる少なくとも2つの辺部と前記作業位置とのズレ量である輪郭ズレ量を求める輪郭ズレ量演算部とを備え、
前記情報対応関係判定部は、前記ポイントズレ量演算部で求めたポイントズレ量と前記農業機械のイベント発生とに基づいて前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する第1情報対応関係判定部と、前記輪郭ズレ量に基づいて前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する第2情報対応関係判定部とを備えていることを特徴とする農作業情報管理装置。 - 前記第1情報対応関係判定部は、前記ポイントズレ量演算部で求めたポイントズレ量の時間的な変化と、前記農業機械のイベント発生のタイミングとに基づいて、前農作業情報が前記地図データで示された一圃場と一圃場とは異なる他圃場とのいずれかに対応しているかを判定する請求項1に記載の農作業情報管理装置。
- 農業機械が複数の圃場で農作業したときの農作業情報と衛星測位システムによって検出された前記農業機械の作業位置とを対応付けて記憶する情報記憶部と、前記各圃場の地図データを記憶する地図データ記憶部と、前記作業位置及び前記地図データを用いて前記情報記憶部に記憶された前記農作業情報を圃場毎に整理する情報整理部とを備え、
前記情報整理部は、
前記衛星測位システムによって検出された作業位置と前記圃場に定められた位置とのズレ量を演算するズレ量演算部と、
前記ズレ量演算部で求められたズレ量に基づいて、前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する情報対応関係判定部と、
を備え、
前記ズレ量演算部は、前記作業位置に基づいて求めた農業機械の変化位置と前記地図データに基づいて定められた圃場の基準位置とのズレ量であるポイントズレ量を求めるポイントズレ量演算部と、前記圃場の輪郭を示す輪郭線の中で向きの異なる少なくとも2つの辺部と前記作業位置とのズレ量である輪郭ズレ量を求める輪郭ズレ量演算部とを備え、
前記情報対応関係判定部は、前記ポイントズレ量演算部で求めたポイントズレ量と前記農業機械のイベント発生とに基づいて前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する第1情報対応関係判定部と、前記輪郭ズレ量に基づいて前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する第2情報対応関係判定部とを備えていることを特徴とする農作業情報管理システム。
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